(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012868
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】ブロッキング強度測定装置及びブロッキング強度測定方法
(51)【国際特許分類】
G01N 19/04 20060101AFI20240124BHJP
【FI】
G01N19/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114640
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】303017679
【氏名又は名称】独立行政法人 国立印刷局
(72)【発明者】
【氏名】金山 克幸
(57)【要約】
【課題】
寸法の大きい印刷物であっても、机上で印刷物間のブロッキング強度を精度良く測定することが可能なブロッキング強度測定装置及びブロッキング強度測定方法を提供する。
【解決手段】
本発明は、積層された印刷物のブロッキング強度を測定するブロッキング強度測定装置であって、積層された印刷物の最上の印刷物の端部を、積層された印刷物に対して垂直方向に引上げる引上げ機構と、引上げ機構により前記印刷物の端部を垂直方向に引上げた状態で、前記積層された印刷物を水平方向に移動させる移送機構と、引上げ機構に連結し、前記印刷物間の剥離力であるブロッキング強度を測定する測定手段とを有するブロッキング強度測定装置である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された印刷物のブロッキング強度を測定するブロッキング強度測定装置であって、
前記積層された印刷物の最上部の印刷物の一方の端部を、積層された印刷物に対して垂直方向に引き上げる引き上げ機構と、
前記引き上げ機構により前記印刷物の一方の端部を垂直方向に引き上げた状態で、前記積層された印刷物の最上部の印刷物の他方の端部に対して、水平方向にスライド可能とする移送機構と、
前記引き上げ機構と前記移送機構を同時に作動可能とする巻き上げ機構と、
前記引き上げ機構に連結し、前記積層された印刷物間のブロッキング強度を測定する測定手段と、
を備えることを特徴とするブロッキング強度測定装置。
【請求項2】
前記移送機構は、少なくとも、
前記水平方向に延びた支持フレームと、
前記引き上げ機構を前記支持フレームに沿って駆動する駆動部とから成る
ことを特徴とする請求項1に記載のブロッキング強度測定装置。
【請求項3】
前記巻き上げ機構は、前記積層された印刷物の最上部の印刷物を巻き取るローラであることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載のブロッキング強度測定装置。
【請求項4】
積層された印刷物間のブロッキング強度を測定するブロッキング強度測定方法であって、
平面上に、前記積層された印刷物を載置する工程と、
前記積層された印刷物の最上部の印刷物の一方の端部を固定部に固定する工程と、
前記固定された印刷物の一方の端部を、前記積層された印刷物に対して垂直方向に引き上げる工程と、
前記固定された印刷物の一方の端部を、前記積層された印刷物の最上部の印刷物の他方の端部に対して、平面に平行な方向にスライドする工程と、
前記印刷物の一方の端部がスライドすることによる印刷物が剥離されるときの支柱に作用する力を測定手段で測定する測定工程と、
を含むことを特徴とするブロッキング強度測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物のブロッキング強度を測定するためのブロッキング強度測定装置及びブロッキング強度測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
銀行券、パスポート、証券類、切手類等をはじめとする印刷物については、その性質上、偽造や変造がされにくいことが要求されるとともに、美的な要素も求められる。このような印刷物は、凸版印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、凹版印刷等、様々な印刷方法により印刷される。中でも、独特の手触り感、細かくシャープな画線の形成、特殊な印刷機を用いなければ製造できないこと等の理由から、上記のような印刷物には凹版印刷が用いられることが多い。
【0003】
通常、凹版印刷において用紙上に形成されたインキ皮膜の厚さは、概ね10μm~40μm程度であり、オフセット印刷等、他の印刷方式によって得られたインキ被膜と比較して非常に厚い。そのため、印刷機の排紙部において、次々に印刷された印刷物が積載された際、印刷物上のインキが完全に乾燥していないことに加えて、積載された印刷物の加重のために積層された相互の印刷物が接着する、「ブロッキング」と呼ばれる事象が発生することがある。
【0004】
この「ブロッキング」を解消する方法として、積載された大量の印刷物を一枚一枚、手で別けたり、束状の印刷物の両端を把持し、それぞれの手を内側に丸めるように折り曲げることで印刷物間へ空気を送り込んだりすることで、接着していた印刷物を離す必要があるが、その作業は多大な労力と時間がかかるという問題がある。そのため、「ブロッキング」を根本的に解消するためには、インキ材料やインキ膜厚、乾燥条件等、インキ設計の見直しを行う必要があり、それには、印刷物間のブロッキング強度を正確に把握することが不可欠となる。
【0005】
密着力を正確、かつ、定量的に測定するための従来技術として、シート状素材の一方を固定する基台と、他方を基台に対して垂直方向に引上げる引上げ部と、引上げ部を駆動する駆動部と、シート状素材の密着力を測定する測定手段とから成る剥離試験装置が提案されている(例えば、引用文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術の剥離試験装置によれば、シート状素材の一端を担持したチャックに接続された引上げ台が引き上がる際、同じく引上げ台に接続されているワイヤーが、シート状素材の基台を牽引することにより、シート状素材を常に直角の角度で剥離する構成である。この構成では、比較的小さい被試験体であれば問題ないが、被試験体が比較的大きく、一面に凹版印刷されている印刷物のような場合、基台がスライドする構成上、印刷物の幅の2倍の試験スペース、例えば、印刷物が縦60cm×横80cmである場合には、横幅160cm程度)を必要とし、装置が大がかりになってしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、上記課題の解決を目的とするものであり、被試験体が寸法の大きい印刷物であっても、机上で印刷物間のブロッキング強度を精度良く測定することが可能なブロッキング強度測定装置及びブロッキング強度測定方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のブロッキング強度測定装置は、積層された印刷物のブロッキング強度を測定するブロッキング強度測定装置であって、
積層された印刷物の最上部の印刷物の一方の端部を、積層された印刷物に対して垂直方向に引き上げる引き上げ機構と、
引き上げ機構により印刷物の一方の端部を垂直方向に引き上げた状態で、積層された印刷物の最上部の印刷物の他方の端部に対して、水平方向にスライド可能とする移送機構と、
引き上げ機構と移送機構を同時に作動可能とする巻き上げ機構と、
引き上げ機構に連結し、積層された印刷物間のブロッキング強度を測定する測定手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のブロッキング強度測定装置は、移送機構が少なくとも、水平方向に延びたレール上をスライドすることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のブロッキング強度測定装置は、印刷物等を巻き取る巻取ローラを備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明のブロッキング強度測定方法は、積層された印刷物間のブロッキング強度を測定するブロッキング強度測定方法であって、
平面上に、積層された印刷物を載置する工程と、
積層された印刷物の最上部の印刷物の一方の端部を固定部に固定する工程と、
固定された印刷物の一方の端部を、積層された印刷物に対して垂直方向に引き上げる工程と、
固定された印刷物の一方の端部を、積層された印刷物の最上部の印刷物の他方の端部に対して、平面に平行な方向にスライドする工程と、
印刷物の一方の端部がスライドすることによる印刷物が剥離されるときの支柱に作用する力を測定手段で測定する測定工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のブロッキング強度測定装置及びブロッキング強度測定方法によれば、被試験体が寸法の大きい印刷物であっても、机上で印刷物間のブロッキング強度を精度良く測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明のブロッキング強度測定装置の全体構成を示す斜視図
【
図2】本発明のブロッキング強度測定装置の巻取ローラ近傍を示す斜視図
【
図3】本発明のブロッキング強度測定装置の測定手段近傍を示す斜視図
【
図4】本発明のブロッキング強度測定装置の模式図(レール及び支持台を図示せずに側面側から見た場合)
【
図5】巻取ローラ側から見た、移送フレームと引上げローラ等の正面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。
【0016】
本発明のブロッキング強度測定装置の測定対象のとなる被試験体は、凹版印刷やスクリーン印刷等が施されたインキ被膜の厚い印刷物が挙げられる。
【0017】
本実施の形態となる、ブロッキング強度測定装置(1)の構成について説明する。
図1は、ブロッキング強度測定装置(1)の全体を示す斜視図である。ブロッキング強度測定装置(1)は、積層された印刷物(2)の最上にある印刷物(3)を垂直方向に引上げる引上げ機構と、印刷物(3)を水平方向にスライドさせる移送機構が同時に作動することにより、印刷物(3)の印刷された印刷領域(4)のブロッキング強度を測定手段(5)で測定する測定装置である。
【0018】
図2は、ブロッキング強度測定装置(1)の巻取ローラ(6)の近傍を示す斜視図である。また、
図3はブロッキング強度測定装置(1)の測定手段(5)の近傍を示す斜視図である。
【0019】
図2に示す、ブロッキング強度測定装置(1)の巻取ローラ(6)は、印刷物(3)の幅よりも長いローラである。巻取ローラ(6)の両軸は、支持台(7)の中にあるベアリング(8)の中に組込まれており、巻取ローラ(6)の一方の軸芯にはハンドル(9)が取付けられている。そのため、ハンドル(9)を手で回すと、巻取ローラ(6)は回転する。なお、ハンドル(9)の代わりに、ブロッキング強度測定装置(1)に、モータ等(図示せず)を取付けて、巻取ローラ(6)をモータ等で回転させても構わない。
【0020】
連結手段(10)は、巻取ローラ(6)と被試験体である印刷物(3)を連結する媒体である。連結手段(10)は、巻取ローラ(6)に巻付く柔軟性を有した媒体である。また、同じ連結手段(10)を何度もブロッキング強度測定に使用することになるため、一度、巻取ローラ(6)に巻付いた連結手段(10)を開巻する時に、しわや折れがつき難い耐折性を有した媒体でもある。このような媒体としては、帯状の布、樹脂製のフィルム、用紙が挙げられる。
【0021】
印刷物(3)のブロッキング強度を測定するには、
図3に示すとおり、まず、連結手段(10)の一方の端を粘着テープ(11)により巻取ローラ(6)に貼り付ける。次に、最上の1枚の印刷物(3)の端をつまみ上げて、紐(12)と引上げローラ(13)の間に印刷物(3)の端を通し、連結手段(10)の他方の端と印刷物(3)の端を粘着テープ(11’)で貼り付ける。
【0022】
粘着テープ(11)等を貼り付けた結果、
図1に示すとおり、巻取ローラ(6)と連結手段(10)と印刷部(3)はつながった状態となる。そのため、この状態において、巻取ローラ(6)が回転すると、連結手段(10)は巻取ローラ(6)に巻付くとともに、被試験体である印刷物(3)は、積層された印刷物(2)から垂直方向に引上げられて剥離し、その後、90度反転して巻取ローラ(6)の方向に向かって移動する。
【0023】
なお、連結手段(10)と印刷物(3)の連結は、1枚の印刷物(3)のブロッキング強度を測定する度に行うため、容易に実施できる必要がある。そこで、
図4に示すとおり、連結手段(10)の下面の端に、薄い鋼板(14)を両面テープ等で貼り付けておき、次に、被試験体の印刷物(3)の端を連結手段(10)の上面に置いて、印刷物(3)の上面に磁石(15)を置くことで、連結手段(10)と印刷物(3)を容易に連結することができる。また、ブロッキング測定後においては、磁石(15)を取外す作業だけで、容易に連結手段(10)と印刷物(3)の連結を解除することができる。
【0024】
また、連結手段(10)と印刷物(3)の他の連結方法として、積載された印刷物(2)の中からブロッキング強度を測定しない1枚の印刷物を抜き出して、それを連結手段として使用する方法がある。本方法は、連結手段(10)を用意する必要がないため、ブロッキング強度測定の作業性が向上する。また、連結手段(10)と印刷物(3)の他の連結方法として、ブロッキング強度測定が完了した印刷物を、そのまま連結手段(10)として使用する方法がある。本方法は、連続的にブロッキング強度測定を行うことができるため、効率性が向上する。
【0025】
ブロッキング強度測定装置(1)の引上げ機構は、引上げローラ(13)等から構成され、巻取ローラ(6)の回転によって、積層された印刷物(2)の最上の印刷物(3)を垂直に引上げる機構である。
【0026】
引上げローラ(13)は、
図3及び
図5に示すとおり、印刷物(3)の幅よりも長く(w1<w2)、軽量なアルミ製の円筒形ローラである。引上げローラ(13)には、引上げローラの(12)の内径より細い径の樹脂製の芯棒(16)が挿入されている。また、芯棒(16)の両端は、支柱(17)から伸びた紐(12)とつながっている。そのため、支柱(17)には、引上げローラ(13)と芯棒(16)と紐(12)の重量が常に作用している。
【0027】
巻取ローラ(6)が回転し、印刷物(3)が引上げローラ(13)に押えられながら巻取ローラ(6)に向かって移動する時、引上げローラ(13)は、芯棒(16)を軸にして回転する。そのため、印刷物(3)は、巻取ローラ(6)に向かってスムーズに移動する。また、印刷物(3)が移動する間、印刷物(3)を剥離した時に発生する剥離力は、支柱(17)に対し垂直に作用する。なお、この時、引上げローラ(13)は、引上げローラガイド(18)と接触しながら引上げローラガイド(18)を巻取ローラ(6)の方向へ押し出す動作を行う。
【0028】
引上げローラガイド(18)は、垂直方向に直線形状のガイドである。そのため、印刷物(3)が移動している間、引上げローラ(13)は、引上げローラガイド(18)に接触しながら垂直方向に上下動する。なお、引上げローラ(13)が下方に移動する場合は、強くブロッキングした印刷領域(4)を剥離している時であり、引上げローラ(13)が上方に移動する場合は、弱くブロッキングした印刷領域(4)を剥離している時である。
【0029】
ブロッキング強度測定装置(1)の移送機構は、移送フレーム(19)、引上げローラ(13)、引上げローラガイド(18)、芯棒(16)、支柱(17)、連結手段(10)(以下、「移送フレーム(19)等」という。)から構成され、巻取ローラ(6)が回転することで、移送フレーム(19)等が巻取ローラ(6)の方向に移動する機構である。
【0030】
移送フレーム(19)は、アルミニウム製の軽量なフレームであり、移送フレーム(19)の両端には引上げローラ(13)と接触する引上げローラガイド(18)が取付けられている。また、移送フレーム(19)の上部にスライダー(20)が取付けられている。
【0031】
巻取ローラ(6)の方向に向かって移動している引上げローラ(5)は、引上げローラガイド(18)を押し出すことで、スライダー(20)は、レール(21)の上をスムーズにスライドする。
【0032】
スライダー(20)はスライダー(20)の上面に、測定手段(5)が取付けらている。また、スライダー(20)と測定手段(5)を分解した状態を
図6に示す。
図6のとおり、スライダー(20)の中央部分には測定手段(5)とつながった支柱(17)が下方に突き出るように穴(22)が加工されている。
【0033】
レール(21)は、
図7、
図8及び
図9に示すとおり、凹型の直線形状のアルミフレームであり、積層された印刷物(2)の上方に水平方向に真っ直ぐ伸びている。なお、スライダー(20)の幅は、レール(21)の凹型の内側より短いため、スライダー(20)はレール(21)の凹型内側に収まっている。そのため、スライダー(20)は、レール(21)に沿って、一定の高さで水平方向にスライドすることになる。
【0034】
また、レール(21)の中央部分には、溝(23)が設けられており、移送フレーム(19)及び支柱(17)は、溝(23)の間を通って、レール(21)の下方に伸びている。そのため、スライダー(20)がスライドしている間、移送フレーム(19)と支柱(17)は、レール(21)と干渉することはない。
【0035】
レール(21)とスライダー(20)の接触する面は平滑である。そのため、スライダー(20)は、レール(21)に沿ってスムーズにスライドする。更に、レール(21)とスライダー(20)が接触する面に低摩擦係数のテフロン(登録商標)テープを貼り、潤滑剤を塗布することで、スライダー(20)は、更にスムーズなスライドが可能となる。
【0036】
支持台(7)は、軽量なアルミニウム製のフレームで、レール(21)等を適切な位置に保持する架台である。なお、ブロッキング強度測定装置(1)を作業台の上に置かれた積層された印刷物(2)の上に組み立てたり、また、ブロッキング強度測定後においては、ブロッキング強度測定装置(1)を解体することになるため、支持台(7)とレール(21)の締結及び分解は容易に行うことができる構造である。
【0037】
測定手段(5)は、支柱(17)に作用した力を電気信号に変換して、記録手段(24)にその信号を送る測定器具である。記録手段(24)は、測定手段(5)からの電気信号をデータ化して測定手段(5)が測定した力を時系列的に表示するとともに、記録する。
【0038】
なお、測定手段(5)が測定した力は、印刷物(3)の剥離力の他に、印刷物(3)の重量、引上げローラ(13)の重量、芯棒(16)の重量、紐(12)の重量が含まれている。そのため、測定手段(5)が測定した力からこれら重量を除算した力が、印刷物(3)の剥離力であるブロッキング強度となる。そのため、ブロッキング測定前に、これらの重量を測定しておき、その重量を記録手段(24)に、風袋として設定し、測定手段(5)が測定した力を風袋だけ除算することにより、記録手段(24)の表示器(図示せず)及びデータ保存装置(図示せず)には、正確なブロッキング強度が表示されるとともに、保存される。
【0039】
また、記録手段(24)に表示されたブロッキング強度は、印刷物の接着具合によって大きく異なるが、印刷物(3)の印刷領域(4)の形状やパターンによっても大きく異なることなる。
【0040】
例えば、
図10に示すとおり、印刷領域(4)が用紙全面にわたり一様に広がっている場合、測定された印刷物(3)の剥離力は、
図11に示すとおり、略一定の値となる。そのため、この印刷物(3)のブロッキング強度は、印刷領域(4)に該当する剥離力を平均化した値となる。
【0041】
一方、
図12に示すとおり、印刷物(3)の印刷領域(4)が用紙中において、ばらついている場合、印刷物(3)の剥離力は、大きくばらつくものとなる。そこで、この場合の印刷物(3)のブロッキング強度は、
図13に示すとおり最大値となる。
【0042】
このように印刷領域(4)の形状やパターンによって、ブロッキング強度の算出方法が異なるため、記録手段(24)には、予め印刷領域(4)の形状やパターン毎に、適切な算出式を登録しておき、実際にブロッキング強度を測定する場合は、印刷物(3)の印刷領域(4)を見て、適切な算出方法を選択することにより、正確にブロッキング強度の測定することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 ブロッキング強度測定装置
2 積層された印刷物
3 印刷物
4 印刷領域
5 測定手段
6 巻取ローラ
7 支持台
8 ベアリング
9 ハンドル
10 連結手段
11 粘着テープ
11’ 粘着テープ
12 紐
13 引上げローラ
14 薄い鋼板
15 板状の磁石
16 芯棒
17 支柱
18 引上げローラガイド
19 移送フレーム
20 スライダー
21 レール
22 穴
23 溝
24 記録手段