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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012874
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】鉄筋の定着構造
(51)【国際特許分類】
   E04C 5/06 20060101AFI20240124BHJP
   E04B 1/21 20060101ALN20240124BHJP
   E04B 1/58 20060101ALN20240124BHJP
【FI】
E04C5/06
E04B1/21 B
E04B1/58 504A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114650
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(71)【出願人】
【識別番号】390026723
【氏名又は名称】東京鐵鋼株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】392027933
【氏名又は名称】朝日工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】599157332
【氏名又は名称】株式会社堀江建築工学研究所
(71)【出願人】
【識別番号】520333457
【氏名又は名称】株式会社鈴木建築設計事務所
(71)【出願人】
【識別番号】522287695
【氏名又は名称】一般社団法人ニューテック研究会
(74)【代理人】
【識別番号】110003340
【氏名又は名称】弁理士法人湧泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】真田 靖士
(72)【発明者】
【氏名】栗原 光司
(72)【発明者】
【氏名】村山 峻一朗
(72)【発明者】
【氏名】千葉 雅大
(72)【発明者】
【氏名】大平 旭洋
(72)【発明者】
【氏名】迫田 丈志
(72)【発明者】
【氏名】清原 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】藤原 薫
(72)【発明者】
【氏名】小池 拓矢
(72)【発明者】
【氏名】太田 勤
【テーマコード(参考)】
2E125
2E164
【Fターム(参考)】
2E125AA03
2E125AA13
2E125AC01
2E125AF01
2E125AG03
2E125AG04
2E125BA41
2E164AA02
2E164BA12
2E164CA01
2E164CA02
2E164CA14
(57)【要約】
【課題】鉄筋コンクリート構造物1の耐震強度を高める。
【解決手段】鉄筋コンクリート構造物1のL形接合部2a内での梁20から延びる上側主筋21の定着構造において、上側主筋21の先端部がL形接合部2aでかぶりコンクリート5aの内側に直線定着されるとともに補強筋30を掛けられている。補強筋30が、上側主筋21の先端部に掛けられる湾曲した掛止部31と、掛止部31の端部から延びる脚部32とを有している。脚部32が上側主筋21と交差する方向であってかぶりコンクリート5aより内側方向に延びている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋コンクリート構造物のコンクリート部材接合部内でのコンクリート部材から延びる鉄筋の定着構造であって、
上記鉄筋の端部が上記接合部でかぶりコンクリートの内側に定着されるとともに補強筋を掛けられ、
この補強筋が、上記鉄筋の端部に掛けられる湾曲した掛止部と、この掛止部の端部から延びる脚部とを有しており、
この脚部が上記鉄筋と交差する方向であって上記かぶりコンクリートより内側方向に延びていることを特徴とする鉄筋の定着構造。
【請求項2】
上記掛止部がU字形状をなしており、
上記脚部が上記掛止部の両端から一対平行に延びていることを特徴とする請求項1に記載の鉄筋の定着構造。
【請求項3】
上記鉄筋が、上記接合部内の第1平面に配置されており、
上記第1平面と対向する第2平面に、上記鉄筋と同方向に延びる他の鉄筋が配置されており、
上記第1平面の鉄筋に掛けられた補強筋の一対の脚部が上記他の鉄筋を挟持していることを特徴とする請求項2に記載の鉄筋の定着構造。
【請求項4】
3つ以上の上記鉄筋が上記接合部内の第1平面に配置され互いに平行をなし、
上記補強筋がコ字形状をなし、上記掛止部がそれぞれL字形状をなす第1、第2掛止部を含み、これら第1、第2掛止部の一方の端部同士が連結され、上記第1、第2掛止部の他方の端部からそれぞれ上記脚部が延びており、
上記補強筋が、少なくとも2つの上記鉄筋の組に跨るように掛けられ、上記第1平面の鉄筋に複数配置されており、
上記鉄筋の長手方向に隣り合う上記補強筋が異なる組の鉄筋に跨っていることを特徴とする請求項1に記載の鉄筋の定着構造。
【請求項5】
上記補強筋の掛止部の一方の端部から延びる脚部の先端部が、折り曲げ形状をなしていることを特徴とする請求項1に記載の鉄筋の定着構造。
【請求項6】
上記補強筋が、その長手方向の一端側と他端側とに二等分する線に関して対称に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の鉄筋の定着構造。
【請求項7】
請求項1~6に記載の鉄筋の定着構造における補強筋配筋分量の決定方法であって、
上記補強筋の脚部と、上記かぶりコンクリートより内側のコンクリートとの付着作用により得られる抵抗力が、上記内側のコンクリートによる上記鉄筋を押し出す力以上となるように、上記鉄筋に配筋する補強筋の分量を決定することを特徴とする補強筋配筋分量の決定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋コンクリート構造物のコンクリート部材中に埋設された鉄筋の定着構造に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリート構造物を構成する柱や梁などのコンクリート部材やそれらの接合部において、主筋の端部に定着部材を固定しコンクリート中に埋設することにより直線定着する工法が知られている。しかし、直線定着された主筋に補強等がなされていないと、強い地震で大きな繰り返し荷重が付与された時に、コンクリート部材の外側方向に主筋が押し出され、コンクリート部材外側を覆うコンクリートが剥がれるように破壊される。
【0003】
下記特許文献1の図2図3に示す最上層の柱梁接合部では、梁の上端主筋が、その先端部への定着板の取り付けにより直線定着され、上端主筋を覆うコンクリートの破壊を回避するために、次の方策がなされている。
特許文献1の図2の柱梁接合部では、その上部に柱延長部が設けられている。特許文献1の図3の柱梁接合部では、上端主筋の上からコ字形の補強筋がその開口側を下側にしてその垂直部を柱の帯筋に内接させるように配筋されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-95290号公報(図2図3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の図2に示すものでは、最上層の柱梁接合部に対応する箇所で柱延長部によりコンクリートが盛り上がる形状となり、外観を著しく悪化させていた。特許文献1の図3に示すものでは、その補強筋で梁上端主筋に十分な補強をすることができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題の少なくとも1つを解決するためになされたものであって、本発明の一態様に係る鉄筋の定着構造は、
鉄筋コンクリート構造物のコンクリート部材接合部内でのコンクリート部材から延びる鉄筋の定着構造であって、
上記鉄筋の端部が上記接合部でかぶりコンクリートの内側に定着されるとともに補強筋を掛けられ、
この補強筋が、上記鉄筋の端部に掛けられる湾曲した掛止部と、この掛止部の端部から延びる脚部とを有しており、
この脚部が上記鉄筋と交差する方向であって上記かぶりコンクリートより内側方向に延びていることを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、鉄筋に掛けられた補強筋の脚部がかぶりコンクリートより内側のコンクリートとの付着作用による抵抗を利用して鉄筋を拘束することにより、地震の際に鉄筋が押し出されてコンクリートが破壊されることを防止できる。補強筋はその掛止部を鉄筋に掛けることで配筋できるため、作業性がよい。
【0008】
好ましくは、上記掛止部がU字形状をなしており、
上記脚部が上記掛止部の両端から一対平行に延びていることを特徴とする。
上記構成によれば、一対の平行な脚部がコンクリートとの付着に供されるため、鉄筋を拘束する抵抗を増大させることができる。
【0009】
好ましくは、上記鉄筋が、上記接合部内の第1平面に配置されており、
上記第1平面と対向する第2平面に、上記鉄筋と同方向に延びる他の鉄筋が配筋されており、
上記第1平面の鉄筋に掛けられた補強筋の一対の脚部が上記他の鉄筋を挟持していることを特徴とする。
上記構成によれば、補強筋の脚部が他の鉄筋を挟持することにより、補強筋の位置を安定させることができる。
【0010】
好ましくは、3つ以上の上記鉄筋が上記接合部内の第1平面に配置され互いに平行をなし、
上記補強筋がコ字形状をなし、上記掛止部がそれぞれL字形状をなす第1、第2掛止部を含み、これら第1、第2掛止部の一方の端部同士が連結され、上記第1、第2掛止部の他方の端部からそれぞれ上記脚部が延びており、
上記補強筋が、少なくとも2つの上記鉄筋の組に跨るように掛けられ、上記第1平面の鉄筋に複数配置されており、
上記鉄筋の長手方向に隣り合う上記補強筋が異なる組の鉄筋に跨っていることを特徴とする。
上記構成によれば、3つ以上の鉄筋に対しバランスよく効率的に拘束することができる。
【0011】
好ましくは、上記補強筋の掛止部の一方の端部から延びる脚部の先端部が、折り曲げ形状をなしていることを特徴とする。
上記構成によれば、直線状に延びる補強筋の脚部では、コンクリートとの付着作用による抵抗を十分に得られない場合であっても、脚部の折り曲げ形状によりコンクリートとの付着作用による抵抗を補うことができる。
【0012】
好ましくは、上記補強筋が、その長手方向の一端側と他端側とに二等分する線に関して対称に形成されていることを特徴とする。
上記構成によれば、補強筋の一端側と他端側が対称であるため、どちら側からも補強筋を鉄筋に掛けることができる。これにより、向きを誤って補強筋を掛けることがなく、配筋の施工性を向上させることができる。
【0013】
本発明の他の態様は、上記鉄筋の定着構造における補強筋配筋分量の決定方法であって、
上記補強筋の脚部と、上記かぶりコンクリートより内側のコンクリートとの付着作用により得られる抵抗力が、上記内側のコンクリートによる上記鉄筋を押し出す力以上となるように、上記鉄筋に配筋する補強筋の分量を決定することを特徴とする。
上記構成によれば、鉄筋が押し出されてコンクリートが破壊されることを防止するための補強筋の配筋分量を決定できる。ひいては、損傷抑制効果を高めた鉄筋コンクリート構造物の構築が可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、鉄筋コンクリート構造物の耐震強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明が適用される鉄筋コンクリート構造物を示す概略図である。
図2】本発明の第1実施形態に係わるL形接合部の鉄筋籠の概略を示す斜視図である。
図3】同L形接合部における鉄筋の定着構造をY軸方向から見た側面図であり、(A)は柱主筋および梁主筋を示し、(B)は柱主筋を省いて示す。
図4】(A)図3(A)の4A矢視図である。(B)図3(B)の4B-4B線に沿う断面図である。
図5】(A)図3(A)の5A矢視図である。(B)図3(B)の5B-5B線に沿う断面図である。
図6】本発明の第2実施形態に係わるL形接合部の鉄筋の定着構造をY軸方向から見た側面図であり、(A)は柱主筋及び梁主筋を示し、(B)は梁主筋を省いて示す。
図7】(A)図6(A)の7A矢視図である。(B)図6(B)の7B矢視図である。
図8】(A)図6(A)の8A矢視図である。(B)図6(B)の8B-8B線に沿う断面図である。
図9】本発明の第3実施形態に係わるL形接合部の鉄筋の定着構造を柱主筋を省いて示す図であり、(A)はY軸方向から見た側面図であり、(B)は図9(A)のB-B線に沿う断面図であり、(C)は図9(A)のC-C線に沿う断面図である。
図10】本発明の第4実施形態に係わるL形接合部の鉄筋の定着構造を柱主筋を省いて示す図であり、(A)はY軸方向から見た側面図であり、(B)は図10(A)のB-B線に沿う断面図であり、(C)は図10(A)のC-C線に沿う断面図である。
図11】本発明の第5実施形態に係わるト形接合部周辺部の鉄筋の定着構造をY軸方向から見た側面図であり、(A)は柱主筋、紙面左右方向に延びる梁の主筋、及び紙面垂直方向に延びる第2梁の主筋を示し、(B)は柱主筋及び第2梁主筋を省いて示す。
図12】(A)図11(B)の12A-12A線に沿う断面図である。
図13】(A)図11(B)の13A-13A線に沿う断面図である。
図14】本発明の第6実施形態に係わる、梁せいを異ならせたT形接合部の鉄筋の定着構造をY軸方向から見た側面図であり、(A)は柱主筋及び梁主筋を示し、(B)は柱主筋を省いて示す。
図15】(A)図14(B)の15A-15A線に沿う断面図である。(B)図14(B)の15B-15B線に沿う断面図である。
図16】本発明の第7実施形態に係わる、柱せいを異ならせたト形接合部の鉄筋の定着構造をY軸方向から見た側面図であり、(A)は柱主筋及び梁主筋を示し、(B)は柱主筋を省いて示す。
図17】(A)図16(B)の17A-17A線に沿う断面図である。(B)図16(B)の17B-17B線に沿う断面図である。
図18】(A)は本発明の第1、第2、第5~第7実施形態に用いられる補強筋を示し、(B)~(G)は補強筋の変形例を示し、(H)は本発明の第2実施形態に用いられる補強筋を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明が適用される鉄筋コンクリート構造物1を示す概略図である。鉄筋コンクリート構造物1は、これを構成するコンクリート部材として柱10と梁20を有するとともに、これら部材の接合部として、柱10と梁20が連結される柱梁接合部2や、梁20とこれに交差する梁が連結される梁梁接合部を有している。
【0017】
柱梁接合部2は、柱10の上端部と梁20の端部が連結されたL形接合部2aと、梁20の端部と柱10が連結されたト形接合部2b,2dと、柱10の上端部と梁20が連結されたT形接合部2cと、を含む。
【0018】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態をなす鉄筋の定着構造について、図2図5図18(A)を参照して説明する。本実施形態は、L形接合部2a(図1)における梁20の上側主筋の定着構造に、本発明を適用したものである。
【0019】
上記柱10は、主筋11とフープ筋12を備えている。主筋11は、垂直をなして仮想矩形形の角と辺にそれぞれ配置されており、本実施形態では、仮想矩形の辺には主筋が2本ずつ配置されている。柱10において、X軸方向の一端側にある主筋11は、同一垂直面(図3(A)に符号P1で示す。第1平面)に配置され、X軸方向の他端側にある主筋11は、同一垂直面(図3(A)に符号P2で示す。第2平面)に配置されている。垂直面P1にある複数(本実施形態では4本)の主筋11の配置間隔は、垂直面P2にある複数(本実施形態では4本)の主筋11の配置間隔と本実施形態では同じである。垂直面P1の主筋11の配置間隔と、垂直面P2の主筋11の配置間隔を異ならせてもよい。
【0020】
フープ筋12は、これら主筋11の長手方向に間隔をおいて配置され、これら主筋11を囲んでいる。主筋11とフープ筋12は、その交差部において番線等により連結されている。なお、必要に応じて上記矩形形の対向する辺に位置する主筋11間に副帯筋13(後述の第5実施形態の図11(A)にのみ示す)を掛け渡してもよい。上記主筋11及びフープ筋12からなる鉄筋籠は、コンクリート14に埋設されている。
【0021】
上記梁20は、同一水平面(図3(A)に符号P3で示す。第1平面)において互いに平行をなしてX軸方向に延びる複数(本実施形態では5本)の上側主筋21と、その下方の他の水平面(図3(A)に符号P4で示す。第2平面)において互いに平行をなしてX軸方向に延びる複数(本実施形態では5本)の下側主筋22と、これら主筋21,22の長手方向に沿って間隔をおいて配置され、これら主筋21,22を囲む多数の矩形形状の肋筋23とを有している。水平面P3にある複数(5本)の上側主筋21の配置間隔は、水平面P4にある複数(5本)の下側主筋22の配置間隔と本実施形態では同じである。上側主筋21の配置間隔と、下側主筋22の配置間隔を異ならせてもよい。
【0022】
主筋21、22と肋筋23は、その交差部において番線等により連結されている。なお、必要に応じて上側主筋21と下側主筋22間に副肋筋24(後述の第5実施形態の図11(A)にのみ示す)を掛け渡してもよい。上記主筋21,22および肋筋23からなる鉄筋籠は、コンクリート25に埋設されている。
【0023】
次に、上記L形接合部2a内での鉄筋構造について詳述する。このL形接合部2aの鉄筋構造が埋設されるコンクリートを図中符号5で示す。このコンクリート5の上面は、梁20のコンクリート25の上面と面一をなしている。コンクリート5のうち、その表面からL形接合部2a内の最も外側の鉄筋の間にある部分は、かぶりコンクリート5aとなっている。
【0024】
上記柱10の主筋11は、梁20の主筋21,22とL形接合部2aにおいて直交しており、主筋11の上端部および主筋21,22の先端部がこのL形接合部2a内に配置されている。図3(A),図4(A)に示すように、L形接合部2aにおいても柱主筋11には上記したフープ筋12と同形状の複数のフープ筋16が主筋11の長手方向に間隔をおいて連結されている。
【0025】
上記柱10の主筋11の上端部は、上記上側主筋21よりも低い位置にある。この主筋11は、外周にネジ節を有するネジ鉄筋からなり、その上端部には定着金物18が螺合されている。定着金物18は、主筋11の全周にわたって径方向に突出した定着部としての役割を担い、上端に鍔部18aを有し、主筋11の一部を構成している。これにより、主筋11は直線定着されている。
【0026】
図5(A)に示すように上方から見た時、上記梁20の主筋21,22は、柱10のフープ筋16の対向する2辺と平行をなし、この2辺の内側に配されており、その先端はフープ筋16の他の1辺を超えず離れている。
【0027】
梁20の主筋21,22も上記柱主筋11と同様に、ネジ鉄筋からなり、その先端部には定着金物28が螺合されている。定着金物28は、その一端(梁主筋の先端側)に鍔部28aを有している。定着金物28により、主筋21,22は直線定着されている。
【0028】
上記L形接合部2aにおいて、上記梁20の各上側主筋21には、長手方向に間隔をおいた複数箇所(本実施形態では6箇所)に、補強筋30が配されている。本実施形態では、補強筋30は等間隔に配されている。補強筋30は、図18(A)に示すように、鉄筋をほぼU字形に折り曲げて形成され、U字形状に湾曲して上側主筋21に掛けられる掛止部31と、この掛止部31の両端から上側主筋21と交差する方向に延びる直線状の一対の脚部32とを有している。本実施形態では、一対の脚部32は平行に延びており、同じ長さを有している。補強筋30の径は上側主筋21の径より小さい。補強筋30には、異形鉄筋を用いることができ、ネジ鉄筋を用いてもよい。
【0029】
図3図4に示すように、上側主筋21に掛けられた補強筋30の脚部32は、上側主筋21と交差する方向(本実施形態では直交方向)であって、かぶりコンクリート5aより内側のコンクリート5に向かって延びている。一対の脚部32は、少なくとも梁20の下側主筋22に達するまで延びており、各脚部32の先端は、下側主筋22の下方に位置している。すなわち、一対の脚部32は下側主筋22を挟持している。これにより、補強筋30の位置を安定させることができる。補強筋30の掛止部31は、番線等で上側主筋21に連結されている。尚、脚部32の先端を下側主筋22より上方に位置させてもよい。
【0030】
図3(A)、図5(A)に示すように、各上側主筋21に掛けられた複数の補強筋30のうち、いくつか(本実施形態では5つ)は上から見て上記フープ筋16内に配置され、残りのいくつか(本実施形態では1つ)はフープ筋16外に配置されている。尚、すべての補強筋30をフープ筋16内に配置してもよい。また、各上側主筋21において、等間隔に配置された複数の補強筋30を、間隔を異ならせて配置してもよく、補強筋30同士を当接させて配置してもよい。
【0031】
上記構成をなすL形接合部2aの構築工程を説明する。
柱10はL形接合部2aを除いて予め構築されており、柱10の主筋11が、コンクリート14から上方に突出している。主筋11には、フープ筋16及び定着金物18が装着される。この状態で、梁20の主筋21、22をL形接合部2aに配筋し、定着金物28を螺合する。さらに、上記補強筋30を、L形接合部2aの上方から差し込んで装着する。このとき、一対の脚部32の間に上側主筋21を通すことにより、上側主筋21に掛止部31(図18(A))が掛けられる。また、下側主筋22を一対の脚部32に挟持させる。最後に、梁20とL形接合部2aにコンクリート5,25を打設する。
【0032】
上記構築工程では、L形接合部2aの配筋作業の最後に、補強筋30を配筋すればよく、各補強筋30の装着作業は、補強筋30を上から差し込んで上側主筋21に掛けることで簡便に行うことができる。そのため、補強筋30の配筋は、作業性が良好である。
【0033】
上記構成において、L形接合部2aの耐震強度は、補強筋30を配筋したことにより向上している。以下、その理由を説明する。
強い地震により、構造物1が柱10と梁20の角度を増減する方向の繰り返し荷重を受けた時には、直線定着された、梁20の上側主筋21の端部が、L形接合部2aにおいて、その上方のかぶりコンクリート5aを跳ね上げようとする。しかし、本実施形態では、補強筋30が、その一対の脚部32と上側主筋21より下方のコンクリート5との付着作用による抵抗を利用して上側主筋21を拘束することにより、上側主筋21の定着力が高められている。これにより、上側主筋21の上方のかぶりコンクリート5aの破壊を防止できる。すなわち、L形接合部2aの耐震強度を高めることができ、ひいては構造物1の耐震強度を高めることができる。
【0034】
上記実施形態の構成によれば、従来のようにL形接合部2aの上方にコンクリートの盛り上げ形状を形成することなく、耐震強度を高めることができる。
【0035】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態については、上記実施形態と異なる構成だけを説明することとし、同様な構成部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0036】
[第2実施形態]
図6図8は、本発明の第2実施形態をなす鉄筋の定着構造を示す。本実施形態は、L形接合部2aにおいて、梁20の上側主筋21だけでなく柱10の主筋11の定着構造にも本発明を適用したものである。尚、本実施形態では、上側主筋21及び下側主筋22の本数がそれぞれ4本となっている。
【0037】
ここで、上記垂直面P1,P2(第1、第2平面)(図6(A))に配置された主筋11のうち、垂直面P1の辺部にある主筋に、図8(B)に示すように符号11aを付し、垂直面P2の辺部にある主筋に符号11bを付す。
【0038】
L形接合部2aにおいて、主筋11aには、長手方向に間隔をおいた複数箇所(本実施形態では5箇所)に、補強筋30が配されている。本実施形態では、各補強筋30は、各フープ筋16の上側に載置されており、補強筋30の間隔は、フープ筋16の間隔に対応している。
【0039】
補強筋30の掛止部31は主筋11aに掛けられ、一対の脚部32は主筋11aと交差する方向(本実施形態では直交方向)であって、かぶりコンクリート5aより内側のコンクリート5に向かって延びている。一対の脚部32は、主筋11aと対向する主筋11bを挟持している。
【0040】
フープ筋16の上側への補強筋30の載置と、一対の脚部32による主筋11bの挟持により、補強筋30の位置は安定している。本実施形態におけるL形接合部2aの構築工程においても、L形接合部2aの配筋作業の最後に、補強筋30を装着すればよく、その装着作業は補強筋30を横から差し込んで主筋11aに掛けることで簡便に行うことができる。
【0041】
本実施形態の構成において、直線定着された柱10の主筋11aの端部が、強い地震により、L形接合部2aにおける側方のかぶりコンクリート5aを押し出そうとしても、主筋11aは、フープ筋16だけでなく補強筋30にも拘束されることにより、定着力が高められているため、主筋11aの側方のかぶりコンクリート5aの破壊を防止することができる。
【0042】
[第3実施形態]
図9図18(H)は、本発明の第3実施形態をなす鉄筋の定着構造を示す。本実施形態は、L形接合部2aにおける梁20の主筋21の定着構造において、補強筋をコ字形状にして複数の主筋に掛けるようにしたものである。図9(A)~(C)は、柱主筋11と、そのフープ筋12,16及び定着金物18を省いて示している。
【0043】
図9(B)、図18(H)に示すように、本実施形態の補強筋30Hは、鉄筋をほぼコ字形に折り曲げて形成されている。補強筋30Hは、L字形状に湾曲して上側主筋21に掛けられる第1掛止部31h1及び第2掛止部31h2を有している。掛止部31h1,31h2の一方の端部同士が、連結部33により連結されている。掛止部31h1,31h2の他方の端部からそれぞれ脚部32が延びている。
【0044】
図9(C)に示すように、補強筋30Hは、水平面P3にある複数(本実施形態では5本)の上側主筋21のうちの隣接する2本を1組として、4組の主筋21においてそれぞれ2本の主筋21に跨るように掛けられている。各組の主筋21において、補強筋30HはX軸方向(主筋21の長手方向)に間隔をおいて複数箇所(本実施形態では等間隔に3箇所)に配されており、長手方向に隣接する補強筋30Hの間に、別の組の補強筋30Hが配置されている。すなわち、上側主筋21の長手方向に隣り合う補強筋30Hが、異なる組の上側主筋21に跨っている。
【0045】
本実施形態によれば、補強筋30Hにより2本1組の主筋21ごとに拘束することができ、補強筋30Hをずらして配置することにより、主筋21をバランスよく効率的に拘束することができる。
【0046】
[第4実施形態]
図10は、本発明の第4実施形態をなす鉄筋の定着構造を示す。本実施形態は、上記第3実施形態の補強筋30Hよりも、連結部33を長く形成した補強筋30H’を用いたものである。図10(A)~(C)は、柱主筋11、フープ筋12,16、定着金物18を省いて示している。
【0047】
図10(B),(C)に示すように、本実施形態では、補強筋30H’が、水平面P3にある複数(本実施形態では5本)の上側主筋21のうちの3本を1組とした3組において、それぞれ3本の主筋21に跨るように掛けられている。これにより、補強筋30H’の第1、第2掛止部31h1,31h2が掛けられる2本の上側主筋21は拘束され、その定着力が高められる。各組の主筋21において、長手方向の複数箇所(本実施形態では2箇所)に補強筋30H’は配されている。
【0048】
[第5実施形態]
図11図13は、本発明の第5実施形態をなす鉄筋の定着構造を示す。本実施形態は、ト形接合部2b(図1)の周辺部の梁梁接合部における上側主筋の定着構造に、本発明を適用したものである。
【0049】
図11図13に示す、本実施形態に係わるト形接合部2bにおいては、上記柱10と、上記梁20と、Y軸方向に延びる第2梁40とが連結されている。第2梁40は、梁20と同様の構成を有しているので詳しい説明を省略する。図11(A)には、第2梁40の、複数(本実施形態では4本)の上側主筋41と、複数(本実施形態では4本)の下側主筋42と、肋筋43が示されている。図12(A)、図13(A)には、第2梁40及びそのコンクリート45が示されている。
【0050】
図13(A)に示すように、平面視において、梁20の幅は、柱10の幅より広く形成されており、本実施形態の梁20の上側主筋21と下側主筋22の本数が、それぞれ7本となっている。梁20の幅が広いことにより、梁20と第2梁40のみが接合する梁梁接合部3が存在し、梁梁接合部3のコンクリートを図中符号6で示す。図12(A)に示すように、コンクリート6の上面は、梁20,40のコンクリート25,45の上面と面一をなしている。コンクリート6のうち、その上面又は下面からそれぞれ梁梁接合部3内の最も上側又は下側の鉄筋の間にある部分は、かぶりコンクリート6aとなっている。
【0051】
図11(A)に示すように、梁20の上側主筋21が配された水平面P3(第1平面)は、第2梁40の上側主筋41が配された水平面P3’より上に位置している。同様に、梁20の下側主筋22が配された水平面P4(第2平面)は、第2梁40の下側主筋42が配された水平面P4’より上に位置している。その結果、梁20の上側主筋21が、全ての梁主筋21,22,41,42のうちで最も上に位置している。
【0052】
図12(A)、図13(A)に示すように、梁梁接合部3において、梁20の各上側主筋21には、長手方向に間隔をおいた複数箇所(本実施形態では5箇所)に、補強筋30が配されており、本実施形態では等間隔で配されている。
【0053】
本実施形態の構成においては、直線定着された、梁20の上側主筋21の端部が、強い地震により、梁梁接合部3の上方のかぶりコンクリート6aを跳ね上げようとしても、補強筋30が上側主筋21を拘束することにより、かぶりコンクリート6aの破壊を防止できる。
【0054】
[第6実施形態]
図14図15は、本発明の第6実施形態をなす鉄筋の定着構造を示す。本実施形態は、T形接合部2c(図1)における梁20の上側主筋の定着構造に、本発明を適用したものである。
【0055】
本実施形態では、T形接合部2cに連結される梁20の梁せいを異ならせている。T形接合部2cの鉄筋構造が埋設されるコンクリートを図中符号7で示す。このコンクリート7の上面は、梁20の一方のコンクリート25の上面と面一をなしているが他方のコンクリート25’の上面とは段差が形成されている。
【0056】
コンクリート25’内には、下側主筋22の上方であって、水平面P3,P4の間の水平面P5において互いに平行をなしてX軸方向に延びる複数(本実施形態では5本)の第2上側主筋26が配されている。水平面P5にある複数(5本)の第2上側主筋26の配置間隔は、水平面P3,P4にそれぞれ複数(5本)配置された主筋21,22の間隔と本実施形態では同じである。第2上側主筋26の配置間隔と、主筋21,22の配置間隔を異ならせてもよい。第2上側主筋26は、コンクリート7,25内まで延びている。コンクリート25’内の第2上側主筋26及び下側主筋22には、これら主筋26,22を囲む多数の矩形形状の肋筋23’が長手方向に沿って間隔をおいて配置されている。
【0057】
T形接合部2cにおいて、柱10の主筋11の上端部の上方に梁の上側主筋21の先端部が配置され、定着金物28により直線定着されている。T形接合部2cのコンクリート7のうち、その上面からT形接合部2a内の最も上側の鉄筋の間にある部分は、かぶりコンクリート7aである。
【0058】
T形接合部2cの各上側主筋21には、長手方向に間隔をおいた複数箇所(本実施形態では6箇所)に、補強筋30が配されており、本実施形態では等間隔で配されている。各補強筋30の一対の脚部32は、第2上側主筋26と下側主筋22を挟持している。
本実施形態の構成では、補強筋30による上側主筋21の拘束により、かぶりコンクリート7aの破壊を防止できる。
【0059】
[第7実施形態]
図16図17は、本発明の第7実施形態をなす鉄筋の定着構造を示す。本実施形態は、ト形接合部2d(図1)における梁20の上側主筋の定着構造に本発明を適用したものである。
【0060】
本実施形態では、図16(A)に示すように、ト形接合部2dに連結される柱10の幅が、ト形接合部2dより上方でX軸方向に狭く形成されている。そのため、柱10の主筋11のうち、X軸方向内側の主筋11iはト形接合部2dを貫通しているが、X軸方向外側の主筋11oは、その上端部がト形接合部2d内に配置され、定着金物18により直線定着されている。外側の主筋11oの上端部より上方で梁20の上側主筋21が定着金物28によりト形接合部2d内に直線定着されている。内側の主筋11iは、フープ筋16の上方で間隔をおいて配置された多数のフープ筋12’によって囲まれている。
【0061】
ト形接合部2d内の各上側主筋21には、柱10の内側の主筋11iよりX軸方向外側に複数の補強筋30が配されている。一部の補強筋30は、ト形接合部2dのコンクリート8の上面の下方に配されている。これにより、ト形接合部2dのかぶりコンクリート8aの破壊を防止できる。
【0062】
[第8実施形態]
本実施形態は、上記第1~第7実施形態に係る鉄筋の定着構造における補強筋の配筋分量を決定する方法である。
【0063】
上記梁20の上側主筋21や、上記柱10の主筋11に配筋される補強筋30,30H,30H’の分量は、補強筋の脚部32とコンクリートとの付着作用により得られる抵抗力Tが、上記補強筋30,30H,30H’を掛ける主筋がその内側のコンクリートから受ける押し出し力C以上、すなわちT≧Cとなるように決定される。
【0064】
本実施形態によれば、鉄筋コンクリート構造物1を構成する梁20や柱10の主筋21,11の定着構造において、主筋が押し出されてかぶりコンクリートが破壊されることを防止するための補強筋の配筋分量を決定できる。ひいては、損傷抑制効果を高めた鉄筋コンクリート構造物1の構築が可能となる。
【0065】
[変形例]
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において各種の変形例を採用することができる。図18(B)~(G)は、補強筋の変形例を示している。
【0066】
図18(B)に示す補強筋30Bは、一方の脚部32に対し、他方の脚部32bの長さを短く形成している。これにより、補強筋30Bは、密に鉄筋が配置された接合部への配筋に対応することができる。
【0067】
図18(C)に示す補強筋30Cは、長い方の脚部32の先端部に定着金物34を装着している。これにより、定着金物34での支圧抵抗が補強筋30Cに付与され、上側主筋21等の拘束を強めることができる。
【0068】
図18(D)に示す補強筋30Dは、一方の脚部32dを長く形成してその先端部にU字状の折り曲げ形状を形成している。この脚部32dによれば、限られた大きさの接合部内で直線状に延びる脚部ではコンクリートとの付着作用による抵抗を十分に得られない場合であっても、折り曲げ形状によりコンクリートとの付着作用による抵抗を補うことができる。
【0069】
また、補強筋30Dは、その長手方向の一端側と他端側とに二等分する線に関して対称に形成されている。これにより、補強筋30Dをどちら側からも上側主筋21等に掛けることができ、向きを誤った配筋がなくなり、配筋の施工性を向上させることができる。
尚、補強筋30Dの脚部32dの先端部を、上側主筋21に対向する下側主筋22に掛けてもよい。
【0070】
図18(E)に示す補強筋30Eは、鉄筋を約135度折り曲げて形成されている。約135度湾曲した掛止部31eの他端から延びる脚部32eは、一端側の脚部32より短く形成されている。かかる構成の補強筋30Eでは、一対の脚部32を同方向に形成すれば他の部材と干渉する場合に、干渉を避けて配筋することができる。
【0071】
図18(F)に示す補強筋30Fは、長く形成した一方の脚部32fの先端部に約135度の折り曲げ形状を形成し、長手方向の一端側と他端側とを対称に形成している。
図18(G)に示す補強筋30Gは、鉄筋を約90度折り曲げてL字形に形成されている。L字形状に湾曲した掛止部31gの他端から延びる脚部32gは、一端側の脚部32より短く形成されている。
【0072】
図18(H)に示す補強筋30Hの変形例として、脚部32の先端部を折り曲げてもよく、一対の脚部32の先端同士を連結させた閉鎖形状に形成してもよい。
【0073】
尚、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
上記補強筋30,30B~30H,30H’の中から異なる補強筋を組み合わせて用いてもよい。
柱の主筋、梁の主筋、及び補強筋に固定される定着金物は、螺合によるもののほか、定着金物と鉄筋との間に充填材を充填することにより固定するものであってもよい。定着金物を摩擦圧接や溶接により鉄筋に接合させてもよく、定着金物を、冷間加工や熱間加工で形成した鉄筋のこぶにより固定させてもよい。定着金物に代えて、冷間加工や熱間加工で形成した鉄筋のこぶを定着部として用いてもよい。定着金物に代えて、金属以外の材料で構成された定着部材を用いてもよい。
主筋の定着方法は、主筋の端部に定着金物を固定する等の直線定着する方法に代えて、主筋の端部を折り曲げる方法を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、本発明は、鉄筋コンクリート構造物のコンクリート部材中に埋設された鉄筋の定着構造に適用することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 鉄筋コンクリート構造物
2 柱梁接合部
2a L形接合部
2b,2d ト形接合部
2c T形接合部
3 梁梁接合部
5,6,7,8 接合部のコンクリート
5a,6a,7a,8a かぶりコンクリート
10 柱(コンクリート部材)
11,11a,11b,11i,11o 柱の主筋(鉄筋)
12,12’ フープ筋
13 副帯筋
14 柱のコンクリート
16 フープ筋
18 定着金物
18a 鍔部
20 梁(コンクリート部材)
21 上側主筋(鉄筋)
22 下側主筋
23,23’ 肋筋
24 副肋筋
25,25’ 梁のコンクリート
26 第2上側主筋
28 定着金物
28a 鍔部
30,30B,30C,30D,30E,30F,30G,30H,30H’ 補強筋
31,31e,31g 掛止部
31h1 第1掛止部
31h2 第2掛止部
32,32b,32d,32e,32f 脚部
33 連結部
34 定着金物
40 第2梁(コンクリート部材)
41 上側主筋
42 下側主筋
43 肋筋
45 第2梁のコンクリート
P1 垂直面(第1平面)
P2 垂直面(第2平面)
P3 水平面(第1平面)
P4 水平面(第2平面)
P3’,P4’,P5 水平面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
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図18