(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128744
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】機器
(51)【国際特許分類】
G03B 17/02 20210101AFI20240913BHJP
【FI】
G03B17/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】28
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037919
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】亀井 敬太
(57)【要約】
【課題】グリップ部が例えばエッチングによる凹凸を有する場合に比して、グリップ部のグリップ性能を向上させることができる機器を提供する。
【解決手段】機器は、表面形状部を有するグリップ部を備える。表面形状部は、第1方向に延びる第1形状部と、第2方向に延びる第2形状部及び/又は第3方向に延びる第3形状部とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面形状部を有するグリップ部を備え、
前記表面形状部は、
第1方向に延びる第1形状部と、
第2方向に延びる第2形状部及び/又は第3方向に延びる第3形状部と、
を有する
機器。
【請求項2】
前記グリップ部は、複数の前記表面形状部を有する
請求項1に記載の機器。
【請求項3】
複数の前記表面形状部は、繰り返しのパターンを形成している
請求項1に記載の機器。
【請求項4】
前記繰り返しのパターンは、シボを含む
請求項3に記載の機器。
【請求項5】
前記表面形状部は、立体形状に形成されている
請求項1に記載の機器。
【請求項6】
前記表面形状部は、前記第2形状部及び前記第3形状部を有する
請求項1に記載の機器。
【請求項7】
前記第1形状部は、前記表面形状部の中央部から延び、
前記第2形状部及び/又は前記第3形状部は、前記中央部から延びる
請求項1に記載の機器。
【請求項8】
前記第1方向は、前記機器の重力方向であり、
前記第2方向及び/又は前記第3方向は、前記重力方向に対して傾斜する方向である
請求項1に記載の機器。
【請求項9】
前記第2形状部及び/又は前記第3形状部は、前記第1形状部に対する前記重力方向の上側に位置する
請求項8に記載の機器。
【請求項10】
前記第1形状部は、前記表面形状部の中央部から前記重力方向の下側に延び、
前記第2形状部及び/又は前記第3形状部は、前記中央部から斜め上側に延びる
請求項8に記載の機器。
【請求項11】
前記機器は、撮像装置である
請求項1に記載の機器。
【請求項12】
前記第1形状部と、前記第2形状部及び/又は前記第3形状部とは、同一の形状に形成されている
請求項1に記載の機器。
【請求項13】
前記第1形状部と、前記第2形状部及び/又は前記第3形状部とは、連結されている
請求項1に記載の機器。
【請求項14】
前記第1形状部と、前記第2形状部及び/又は前記第3形状部とは、離れている
請求項1に記載の機器。
【請求項15】
前記第1形状部と、前記第2形状部又は前記第3形状部との成す角度は、鈍角である
請求項1に記載の機器。
【請求項16】
前記角度は、120°である
請求項15に記載の機器。
【請求項17】
前記第1形状部の前記第1方向の端部は、円弧形状又は先端角形状に形成され、
前記第2形状部の前記第2方向の端部及び/又は前記第3形状部の前記第3方向の端部は、円弧形状又は先端角形状に形成されている
請求項1に記載の機器。
【請求項18】
前記繰り返しのパターンは、複数の前記表面形状部が、前記第1方向に沿って配列され、かつ前記第2方向及び/又は前記第3方向に沿って配列されているパターンである
請求項3に記載の機器。
【請求項19】
各前記表面形状部は、前記第2形状部及び前記第3形状部を有し、
前記繰り返しのパターンは、複数の前記表面形状部が、前記第1方向、前記第2方向、及び前記第3方向に沿って配列されているパターンであり、
前記繰り返しのパターンは、
前記第1方向に隣接する前記表面形状部のうちの一方の前記表面形状部の前記第2形状部と前記第3形状部との間の領域である第1領域に、前記第1方向に隣接する前記表面形状部のうちの他方の前記表面形状部の前記第1形状部が入り込み、
前記第2方向に隣接する前記表面形状部のうちの一方の前記表面形状部の前記第1形状部と前記第3形状部との間の領域である第2領域に、前記第2方向に隣接する前記表面形状部のうちの他方の前記表面形状部の前記第2形状部が入り込み、
前記第3方向に隣接する前記表面形状部のうちの一方の前記表面形状部の前記第1形状部と前記第2形状部との間の領域である第3領域に、前記第3方向に隣接する前記表面形状部のうちの他方の前記表面形状部の前記第3形状部が入り込むパターンである
請求項18に記載の機器。
【請求項20】
前記表面形状部は、前記第2形状部を有し、
前記第1形状部及び前記第2形状部は、それぞれ立体形状に形成され、
前記第1形状部の頂上部である第1頂上部は、前記第1方向に延びる稜線である第1稜線を有し、
前記第2形状部の頂上部である第2頂上部は、前記第2方向に延びる稜線である第2稜線を有する
請求項1に記載の機器。
【請求項21】
前記表面形状部は、前記第3形状部を有し、
前記第3形状部は、立体形状に形成され、
前記第3形状部の頂上部である第3頂上部は、前記第3方向に延びる稜線である第3稜線を有する
請求項20に記載の機器。
【請求項22】
前記第1形状部の立体形状は、前記第1頂上部から前記第1形状部の麓部である第1麓部に向かうに従って前記第1方向と直交する方向に幅が広がる立体形状であり、
前記第2形状部の立体形状は、前記第2頂上部から前記第2形状部の麓部である第2麓部に向かうに従って前記第2方向と直交する方向に幅が広がる立体形状である
請求項20に記載の機器。
【請求項23】
前記第3形状部の立体形状は、前記第3頂上部から前記第3形状部の麓部である第3麓部に向かうに従って前記第3方向と直交する方向に幅が広がる立体形状である
請求項21に記載の機器。
【請求項24】
前記表面形状部は、レーザ加工された成型面を有する金型を用いて形成されたものである
請求項1に記載の機器。
【請求項25】
表面形状部を有するグリップ部を備え、
前記表面形状部は、前記表面形状部に対して第1方向と交差する方向に把持力が付与された場合に第2方向又は第3方向と交差する方向に分力を発生させる形状に形成されている
機器。
【請求項26】
前記分力は、持ち上げ力としての分力である
請求項25に記載の機器。
【請求項27】
前記表面形状部は、前記表面形状部に対して重力方向に前記把持力が付与された場合よりも前記表面形状部に対して前記第1方向と交差する方向に前記把持力が付与された場合の方が、前記表面形状部に対するグリップ力が強まり、前記機器の落下防止となる形状に形成されている
請求項25に記載の機器。
【請求項28】
表面形状部を有するグリップ部を備え、
前記表面形状部は、
前記表面形状部に対して把持力が付与される方向である把持方向に対して交差方向に延びる第1形状部と、
前記交差方向に対する傾斜方向に延び、前記表面形状部に対して前記把持力が付与された場合に持ち上げ力としての分力を発生させる第2形状部及び/又は第3形状部と、
を有する
機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、カメラボディの表面に、右手でグリップを行うときの右手指先の位置を触知させるための凸部又は凹部からなる指掛かりが形成され、この指掛かりがカメラボディを正面から見たときに、右手でグリップされる側のカメラボディ側面とシャッタボタンの押圧中心線との間に収まるように設けられているカメラが開示されている。
【0003】
特許文献2には、ボディ本体部の前面を金属製の前カバーで覆ったカメラにおいて、前カバーの内面側に内装され、ボディ本体部に連結されるプラスチック製の内枠にグリップ部を一体成形し、このグリップ部を前カバーから表面に露呈させたカメラが開示されている。
【0004】
特許文献3には、携帯機器を保護する、サイドカバーと、複数のカバー部材と、内装部材を保持するメインシャーシからなる携帯機器の外装構造であって、サイドカバーに形成された係合溝に複数のカバー部材が係合して、位置決めされ、複数のカバー部材が、サイドカバーとメインシャーシとによって固定されている携帯機器の外装構造が開示されている。
【0005】
特許文献4には、カメラに取り付け可能なシャッターレリーズ用アダプタにおいて、アダプタ本体上に設けられたシャッターレリーズ操作用のアダプタ側レリーズボタンと、アダプタ側レリーズボタンに加わった外力をカメラ本体のカメラ側レリーズボタンに伝達する伝達部材とを備え、アダプタ側レリーズボタンを、カメラレリーズボタンの押圧操作方向と異なる方向に押圧操作するように構成したシャッターレリーズ用アダプタが開示されている。
【0006】
特許文献5には、予め未露光の写真フイルムが装填され、撮影レンズやシャッタ機構等の簡単な撮影機構を備えたレンズ付きフイルムユニットにおいて、レンズ付きフイルムユニットの上面両端部に、シャッタ機構を動作させる第1と第2のレリーズボタンを各々設けたレンズ付きフイルムユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10-161206号公報
【特許文献2】特開平09-211626号公報
【特許文献3】特開2014-026297号公報
【特許文献4】特開2002-162685号公報
【特許文献5】特開2000-066285号公報
【発明の概要】
【0008】
本開示の技術に係る一つの実施形態は、例えば、グリップ部が例えばエッチングによる凹凸を有する場合に比して、グリップ部のグリップ性能を向上させることができる機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の技術に係る第1態様は、表面形状部を有するグリップ部を備え、表面形状部は、第1方向に延びる第1形状部と、第2方向に延びる第2形状部及び/又は第3方向に延びる第3形状部と、を有する機器である。
【0010】
本開示の技術に係る第2態様は、第1態様に係る機器において、グリップ部は、複数の表面形状部を有する機器である。
【0011】
本開示の技術に係る第3態様は、第1態様又は第2態様に係る機器において、複数の表面形状部は、繰り返しのパターンを形成している機器である。
【0012】
本開示の技術に係る第4態様は、第3態様に係る機器において、繰り返しのパターンは、シボを含む機器である。
【0013】
本開示の技術に係る第5態様は、第1態様から第4態様の何れか一つの態様に係る機器において、表面形状部は、立体形状に形成されている機器である。
【0014】
本開示の技術に係る第6態様は、第1態様から第5態様の何れか一つの態様に係る機器において、表面形状部は、第2形状部及び第3形状部を有する機器である。
【0015】
本開示の技術に係る第7態様は、第1態様から第6態様の何れか一つの態様に係る機器において、第1形状部は、表面形状部の中央部から延び、第2形状部及び/又は第3形状部は、中央部から延びる機器である。
【0016】
本開示の技術に係る第8態様は、第1態様から第7態様の何れか一つの態様に係る機器において、第1方向は、機器の重力方向であり、第2方向及び/又は第3方向は、重力方向に対して傾斜する方向である機器である。
【0017】
本開示の技術に係る第9態様は、第8態様に係る機器において、第2形状部及び/又は第3形状部は、第1形状部に対する重力方向の上側に位置する機器である。
【0018】
本開示の技術に係る第10態様は、第8態様又は第9態様に係る機器において、第1形状部は、表面形状部の中央部から重力方向の下側に延び、第2形状部及び/又は第3形状部は、中央部から斜め上側に延びる機器である。
【0019】
本開示の技術に係る第11態様は、第1態様から第10態様の何れか一つの態様に係る機器において、機器は、撮像装置である機器である。
【0020】
本開示の技術に係る第12態様は、第1態様から第11態様の何れか一つの態様に係る機器において、第1形状部と、第2形状部及び/又は第3形状部とは、同一の形状に形成されている機器である。
【0021】
本開示の技術に係る第13態様は、第1態様から第12態様の何れか一つの態様に係る機器において、第1形状部と、第2形状部及び/又は第3形状部とは、連結されている機器である。
【0022】
本開示の技術に係る第14態様は、第1態様から第12態様の何れか一つの態様に係る機器において、第1形状部と、第2形状部及び/又は第3形状部とは、離れている機器である。
【0023】
本開示の技術に係る第15態様は、第1態様から第14態様の何れか一つの態様に係る機器において、第1形状部と、第2形状部又は第3形状部との成す角度は、鈍角である機器である。
【0024】
本開示の技術に係る第16態様は、第15態様に係る機器において、角度は、120°である機器である。
【0025】
本開示の技術に係る第17態様は、第1態様から第16態様の何れか一つの態様に係る機器において、第1形状部の第1方向の端部は、円弧形状又は先端角形状に形成され、第2形状部の第2方向の端部及び/又は第3形状部の第3方向の端部は、円弧形状又は先端角形状に形成されている機器である。
【0026】
本開示の技術に係る第18態様は、第3態様に従属する第4態様から第17態様の何れか一つの態様に係る機器において、繰り返しのパターンは、複数の表面形状部が、第1方向に沿って配列され、かつ第2方向及び/又は第3方向に沿って配列されているパターンである機器である。
【0027】
本開示の技術に係る第19態様は、第18態様に係る機器において、各表面形状部は、第2形状部及び第3形状部を有し、繰り返しのパターンは、複数の表面形状部が、第1方向、第2方向、及び第3方向に沿って配列されているパターンであり、繰り返しのパターンは、第1方向に隣接する表面形状部のうちの一方の表面形状部の第2形状部と第3形状部との間の領域である第1領域に、第1方向に隣接する表面形状部のうちの他方の表面形状部の第1形状部が入り込み、第2方向に隣接する表面形状部のうちの一方の表面形状部の第1形状部と第3形状部との間の領域である第2領域に、第2方向に隣接する表面形状部のうちの他方の表面形状部の第2形状部が入り込み、第3方向に隣接する表面形状部のうちの一方の表面形状部の第1形状部と第2形状部との間の領域である第3領域に、第3方向に隣接する表面形状部のうちの他方の表面形状部の第3形状部が入り込むパターンである機器である。
【0028】
本開示の技術に係る第20態様は、第1態様から第19態様の何れか一つの態様に係る機器において、表面形状部は、第2形状部を有し、第1形状部及び第2形状部は、それぞれ立体形状に形成され、第1形状部の頂上部である第1頂上部は、第1方向に延びる稜線である第1稜線を有し、第2形状部の頂上部である第2頂上部は、第2方向に延びる稜線である第2稜線を有する機器である。
【0029】
本開示の技術に係る第21態様は、第20態様に係る機器において、表面形状部は、第3形状部を有し、第3形状部は、立体形状に形成され、第3形状部の頂上部である第3頂上部は、第3方向に延びる稜線である第3稜線を有する機器である。
【0030】
本開示の技術に係る第22態様は、第20態様又は第21態様に係る機器において、第1形状部の立体形状は、第1頂上部から第1形状部の麓部である第1麓部に向かうに従って第1方向と直交する方向に幅が広がる立体形状であり、第2形状部の立体形状は、第2頂上部から第2形状部の麓部である第2麓部に向かうに従って第2方向と直交する方向に幅が広がる立体形状である機器である。
【0031】
本開示の技術に係る第23態様は、第1態様から第22態様の何れか一つの態様に係る機器において、第3形状部の立体形状は、第3頂上部から第3形状部の麓部である第3麓部に向かうに従って第3方向と直交する方向に幅が広がる立体形状である機器である。
【0032】
本開示の技術に係る第24態様は、第1態様から第23態様の何れか一つの態様に係る機器において、表面形状部は、レーザ加工された成型面を有する金型を用いて形成されたものである機器である。
【0033】
本開示の技術に係る第25態様は、表面形状部を有するグリップ部を備え、表面形状部は、表面形状部に対して第1方向と交差する方向に把持力が付与された場合に第2方向又は第3方向と交差する方向に分力を発生させる形状に形成されている機器である。
【0034】
本開示の技術に係る第26態様は、第25態様に係る機器において、分力は、持ち上げ力としての分力である機器である。
【0035】
本開示の技術に係る第27態様は、第25態様又は第26態様に係る機器において、表面形状部は、表面形状部に対して重力方向に把持力が付与された場合よりも表面形状部に対して第1方向と交差する方向に把持力が付与された場合の方が、表面形状部に対するグリップ力が強まり、機器の落下防止となる形状に形成されている機器である。
【0036】
本開示の技術に係る第28態様は、表面形状部を有するグリップ部を備え、表面形状部は、表面形状部に対して把持力が付与される方向である把持方向に対して交差方向に延びる第1形状部と、交差方向に対する傾斜方向に延び、表面形状部に対して把持力が付与された場合に持ち上げ力としての分力を発生させる第2形状部及び/又は第3形状部と、を有する機器である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】実施形態に係る撮像装置の一例を示す二面図である。
【
図3】
図2に示す第1形状部、第2形状部、及び第3形状部の断面を示す図である。
【
図4】
図1に示す複数の表面形状部によって形成される繰り返しのパターンの一部を示す図である。
【
図5】
図1に示す隣接する表面形状部の互いの位置関係を示す図である。
【
図6】
図1に示す表面形状部の作用を説明する図である。
【
図7】第1変形例に係る表面形状部を示す図である。
【
図8】第2変形例に係る表面形状部を示す図である。
【
図9】第3変形例に係る表面形状部を示す図である。
【
図10】第3変形例に係る複数の表面形状部によって形成される繰り返しのパターンの一部を示す図である。
【
図11】第4変形例に係る表面形状部を示す図である。
【
図12】第4変形例に係る複数の表面形状部によって形成される繰り返しのパターンの一部を示す図である。
【
図13】第5変形例に係る表面形状部を示す図である。
【
図14】第5変形例に係る複数の表面形状部によって形成される繰り返しのパターンの一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、添付図面に従って本開示の技術に係る機器の実施形態の一例について説明する。
【0039】
図1は、実施形態に係る撮像装置10の一例を示す二面図(すなわち、正面図及び底面図)である。撮像装置10は、例えば、デジタルカメラである。撮像装置10は、本開示の技術に係る機器の一例である。撮像装置10は、撮像装置本体12と、レンズユニット14と、グリップ部16とを備える。レンズユニット14は、撮像装置本体12の前面12Aに設けられている。グリップ部16は、撮像装置本体12の横方向の一端側(一例として、右側)に設けられている。グリップ部16は、前面12Aに対して撮像装置本体12の前側に向けて突出している。グリップ部16は、撮像装置本体12の上下方向に延びている。グリップ部16は、ユーザの手100によって撮像装置10の横方向の両側から把持される。以下、撮像装置10の横方向を把持方向と称する場合がある。
【0040】
グリップ部16は、複数の表面形状部20を有する。複数の表面形状部20は、グリップ部16の表面に形成されている。具体的には、複数の表面形状部20は、グリップ部16の右側面16A、前面16B、及び左側面16Cに亘って分布して形成されている。一例として、複数の表面形状部20は、互いに同一の形状に形成されている。
【0041】
複数の表面形状部20は、グリップ部16の表面に繰り返しのパターンを形成している。繰り返しのパターンは、シボを含む繰り返しのパターンである。ここで言うシボとは、立体的な模様のことを指す。つまり、各表面形状部20は、グリップ部16の表面に対して高さを有する立体形状に形成されている。各表面形状部20が立体形状に形成されることにより、手100がグリップ部16に引っ掛かり、これにより、グリップ部16がグリップ性能を発揮する。ここで言うグリップ性能とは、ユーザが撮像装置10の横方向の両側からグリップ部16を把持した場合の鉛直方向下側へのグリップ部16の滑りにくさを示す性能のことを指す。
【0042】
図2は、
図1に示す表面形状部20の拡大図である。各表面形状部20は、第1形状部21と、第2形状部22と、第3形状部23とを有する。第1形状部21、第2形状部22、及び第3形状部23は、互いに異なる方向に延びている。すなわち、第1形状部21は、第1方向に延びており、第2形状部22は、第2方向に延びており、第3形状部23は、第3方向に延びている。第1方向は、撮像装置10の上下方向であり、第2方向及び第3方向は、それぞれ上下方向に対して傾斜する方向である。撮像装置10の上下方向は、撮像装置10が横向きに使用される場合の重力方向(すなわち、鉛直方向)に相当する。第1方向は、把持方向に対して交差する方向の一例として、把持方向に対して直交する方向である。
【0043】
第1形状部21は、表面形状部20の中央部20Aから上下方向の下側に延びており、第2形状部22及び第3形状部23は、それぞれ中央部20Aから斜め上側に延びている。第2形状部22及び第3形状部23は、第1形状部21に対する上下方向の上側に位置する。上下方向の上側は、重力が作用する側と反対側(すなわち、反重力側)に相当する。第1形状部21と、第2形状部22と、第3形状部23とは、中央部20A(具体的には、表面形状部20の中央側の部分)にて連結されている。
【0044】
一例として、第1形状部21と、第2形状部22と、第3形状部23とは、互いに同一の形状に形成されている。第1形状部21と、第2形状部22と、第3形状部23とは、中央部20A(具体的には、表面形状部20の中心部)を中心に回転対称に形成されている。第1形状部21と第2形状部22との成す角度をθ1とし、第2形状部22と第3形状部23との成す角度をθ2とし、第3形状部23と第1形状部21との成す角度をθ3とした場合、角度θ1、θ2、θ3は、いずれも鈍角(一例として、120°)である。
【0045】
第1形状部21の第1方向の端部(すなわち、第1形状部21における中央部20Aとは反対側の端部)である第1端部21Aは、第1形状部21の先端部であり、第1端部21Aは、円弧形状に形成されている。同様に、第2形状部22の第2方向の端部(すなわち、第2形状部22における中央部20Aとは反対側の端部)である第2端部22Aは、第2形状部22の先端部であり、第2端部22Aは、円弧形状に形成されている。また、第3形状部23の第3方向の端部(すなわち、第3形状部23における中央部20Aとは反対側の端部)である第3端部23Aは、第3形状部23の先端部であり、第3端部23Aは、円弧形状に形成されている。
【0046】
第1形状部21、第2形状部22、及び第3形状部23は、それぞれ立体形状に形成されている。第1形状部21は、頂上部である第1頂上部21Bを有しており、第2形状部22は、頂上部である第2頂上部22Bを有しており、第3形状部23は、頂上部である第3頂上部23Bを有する。第1頂上部21Bは、第1方向に延びる稜線である第1稜線31を有しており、第2頂上部22Bは、第2方向に延びる稜線である第2稜線32を有しており、第3頂上部23Bは、第3方向に延びる稜線である第3稜線33を有する。
【0047】
第1稜線31は、表面形状部20の中央部20Aから第1方向に延びており、第1端部21Aよりも中央部20A側で終端している。第2稜線32は、表面形状部20の中央部20Aから第2方向に延びており、第2端部22Aよりも中央部20A側で終端している。第3稜線33は、表面形状部20の中央部20Aから第3方向に延びており、第3端部23Aよりも中央部20A側で終端している。
【0048】
図3は、
図2に示す第1形状部21、第2形状部22、及び第3形状部23の断面を示す図である。なお、
図3では、第1形状部21、第2形状部22、及び第3形状部23の各高さ方向の寸法が誇張して示されている。第1形状部21は、麓部である第1麓部21Cを有する。第1麓部21Cは、第1形状部21のうちの第1形状部21の高さ方向に第1頂上部21Bと対向する部分である。第1形状部21の立体形状は、第1頂上部21Bから第1麓部21Cに向かうに従って第1方向と直交する方向に幅が広がる立体形状である。
【0049】
同様に、第2形状部22の立体形状は、第2頂上部22Bから第2形状部22の麓部である第2麓部22Cに向かうに従って第2方向と直交する方向に幅が広がる立体形状であり、第3形状部23の立体形状は、第3頂上部23Bから第3形状部23の麓部である第3麓部23Cに向かうに従って第3方向と直交する方向に幅が広がる立体形状である。
【0050】
なお、本明細書の説明において、「直交」とは、完全な直交の他に、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差であって、本開示の技術の趣旨に反しない程度の誤差を含めた意味合いでの直交を指す。本明細書では、「直交」に限らず、「交差」でもよい。
【0051】
第1形状部21、第2形状部22、及び第3形状部23の各高さHは、0.1mm以上0.5mm以下である。ここで、高さHが0.1mmを上回る場合、適正なグリップ性能が得られる場合に比して、指の引っ掛かりが強くなりすぎて指の痛みに繋がる。また、高さHが0.1mmを下回る場合、適正なグリップ性能が得られる場合に比して、指の引っ掛かりが弱くなり、グリップ性能が得られなくなる。一方、高さHが0.1mm以上0.5mm以下である場合、適正なグリップ性能が得られる。
【0052】
第1形状部21、第2形状部22、及び第3形状部23の各幅Wは、0.5mm以上1.2mm以下である。ここで、幅Wが1.2mmを上回る場合、適正なグリップ性能が得られる場合に比して、指に引っ掛かる表面形状部20の数が足りず、把持力が不足する。また、幅Wが0.5mmを下回る場合、適正なグリップ性能が得られる場合に比して、指の引っ掛かりが弱くなり、グリップ性能が得られなくなる。一方、幅Wが0.5mm以上1.2mm以下である場合、適正なグリップ性能が得られる。
【0053】
第1形状部21、第2形状部22、及び第3形状部23の各長さLは、0.5mm以上2mm以下である。ここで、長さLが2mmを上回る場合、適正なグリップ性能が得られる場合に比して、指に引っ掛かる表面形状部20の数が足りず、把持力が不足する。また、長さLが0.5mmを下回る場合、適正なグリップ性能が得られる場合に比して、指の引っ掛かりが弱くなり、グリップ性能が得られなくなる。一方、長さLが0.5mm以上2mm以下である場合、適正なグリップ性能が得られる。適正なグリップ性能は、例えば、性能評価試験等によって定まる。
【0054】
図4は、
図1に示す複数の表面形状部20によって形成される繰り返しのパターンの一部を示す図である。複数の表面形状部20は、第1方向と、第2方向と、第3方向とに沿って配列されることにより規則性を有する繰り返しのパターンを形成している。複数の表面形状部20は、互いに同じ向きで形成されている。第1線L1は、第1方向に延びる線であり、第2線L2は、第2方向に延びる線であり、第3線L3は、第3方向に延びる線である。一例として、複数の表面形状部20は、各中央部20A(具体的には、各表面形状部20の中心部)が、第1線L1、第2線L2、及び第3線L3上にそれぞれ位置するように配列されている。
【0055】
図5は、
図1に示す隣接する表面形状部20の互いの位置関係を示す図である。複数の表面形状部20によって形成される繰り返しのパターンでは、隣接する表面形状部20のうちの一方の表面形状部20-1と他方の表面形状部20-2との位置関係が次のように設定されている。
【0056】
すなわち、第1方向に隣接する表面形状部20では、一方の表面形状部20-1の第2形状部22と第3形状部23との間の領域である第1領域Aに、他方の表面形状部20-2の第1形状部21が入り込んでいる。他方の表面形状部20-2の第1形状部21の側で一方の表面形状部20-1の第2形状部22の第2端部22Aと第3形状部23の第3端部23Aとに接する接線である第1接線Laを設定した場合に、第1領域Aは、第1接線Laと、一方の表面形状部20-1の第2形状部22と第3形状部23とによって囲まれる領域として定義される。第1領域Aには、具体的には、他方の表面形状部20-2の第1形状部21の第1端部21Aが入り込んでいる。
【0057】
同様に、第2方向に隣接する表面形状部20では、一方の表面形状部20-1の第1形状部21と第3形状部23との間の領域である第2領域Bに、他方の表面形状部20-2の第2形状部22が入り込んでいる。他方の表面形状部20-2の第2形状部22の側で一方の表面形状部20-1の第1形状部21の第1端部21Aと第3形状部23の第3端部23Aとに接する接線である第2接線Lbを設定した場合に、第2領域Bは、第2接線Lbと、一方の表面形状部20-1の第1形状部21と第3形状部23とによって囲まれる領域として定義される。第2領域Bには、具体的には、他方の表面形状部20-2の第2形状部22の第2端部22Aが入り込んでいる。
【0058】
また、第3方向に隣接する表面形状部20では、一方の表面形状部20-1の第1形状部21と第2形状部22との間の領域である第3領域Cに、他方の表面形状部20-2の第3形状部23が入り込んでいる。他方の表面形状部20-2の第3形状部23の側で一方の表面形状部20-1の第1形状部21の第1端部21Aと第2形状部22の第2端部22Aとに接する接線である第3接線Lcを設定した場合に、第3領域Cは、第3接線Lcと、一方の表面形状部20-1の第1形状部21と第2形状部22とによって囲まれる領域として定義される。第3領域Cには、他方の表面形状部20-2の第3形状部23の第3端部23Aが入り込んでいる。
【0059】
なお、上記の複数の表面形状部20は、例えば、レーザ加工された成型面を有する金型を用いて形成されたものである。レーザ加工された成型面を有する金型を用いることにより、上述の幾何学的な繰り返しのパターンを有する複数の表面形状部20が実現される。
【0060】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0061】
図6は、
図1に示す表面形状部20の作用を説明する図である。ユーザが撮像装置10の横方向の両側からグリップ部16を把持した場合、表面形状部20に対して横方向に把持力F1が付与される。ここで、表面形状部20については、表面形状部20に対して上下方向に把持力F1が付与された場合よりも表面形状部20に対して横方向に把持力F1が付与された場合の方が、表面形状部20に対するグリップ力が強まり、撮像装置10の落下防止となる。すなわち、表面形状部20は、表面形状部20に対するグリップ力が強まり、撮像装置10の落下防止となる形状として、表面形状部20に対して把持力F1が付与される方向である把持方向に対して直交する方向に延びる第1形状部21を有する。これにより、表面形状部20に対して横方向に把持力F1が付与された場合には、表面形状部20に対するグリップ力を確保することができる。
【0062】
また、撮像装置10の上下方向が鉛直方向である状態で、グリップ部16がユーザによって把持された場合には、撮像装置10に作用する重力によって、第2形状部22のうちの第2稜線32よりも下側の部分の方が上側の部分よりもユーザの手100に対する接触圧が高まる。同様に、第3形状部23のうちの第3稜線33よりも下側の部分の方が上側の部分よりもユーザの手100に対する接触圧が高まる。そして、この状態で、表面形状部20に対して横方向に把持力F1が付与された場合には、表面形状部20によって上方向に持ち上げ力としての分力F2及びF3が発生する。分力F2は、第2方向と直交する方向の分力であり、分力F3は、第3方向と直交する方向の分力である。すなわち、表面形状部20は、上方向に持ち上げ力としての分力F2及びF3を発生させる形状として、斜め上側に延びる第2形状部22及び第3形状部23を有する。具体的には、第2形状部22は、第2形状部22が延びる方向である第2方向に対して直交する方向へ分力F2を発生させ、第3形状部23は、第3形状部23が延びる方向である第3方向に対して直交する方向へ分力F3を発生させる。これにより、表面形状部20に対して横方向に把持力F1が付与された場合には、表面形状部20に対する持ち上げ力を確保することができる。
【0063】
このように、表面形状部20に対して横方向に把持力F1が付与された場合には、グリップ力及び持ち上げ力を発生させることできるので、グリップ部16が例えばエッチングによる凹凸を有する場合に比して、グリップ部16のグリップ性能(すなわち、鉛直方向下側への滑りにくさを示す性能)を向上させることができる。
【0064】
また、第1形状部21は、第1頂上部21Bに第1稜線31を有し、第2形状部22は、第2頂上部22Bに第1稜線31を有し、第3形状部23は、第3頂上部23Bに第3稜線33を有する。したがって、例えば、第1頂上部21B、第2頂上部22B、及び第3頂上部23Bがそれぞれ曲面によって形成されている場合に比して、ユーザの手100に対する表面形状部20の引掛り力を強めることができる。
【0065】
また、
図3に示されるように、第1形状部21は、第1頂上部21Bから第1麓部21Cに向かうに従って第1方向と直交する方向に幅が広がる立体形状に形成されている。同様に、第2形状部22は、第2頂上部22Bから第2麓部22Cに向かうに従って第2方向と直交する方向に幅が広がる立体形状に形成されており、第3形状部23は、第3頂上部23Bから第3麓部23Cに向かうに従って第3方向と直交する方向に幅が広がる立体形状に形成されている。したがって、例えば、第1形状部21、第2形状部22、及び第3形状部23がそれぞれ矩形断面を有する立体形状(すなわち、高さ方向に幅が一定の立体形状)に形成される場合に比して、第1形状部21、第2形状部22、及び第3形状部23とユーザの手100との接触面積を広く確保することができる。
【0066】
また、
図4に示されるように、複数の表面形状部20は、繰り返しのパターンを形成しており、グリップ部16に分布して形成されている。したがって、例えば、グリップ部16に一つの表面形状部20が形成されている場合に比して、グリップ部16の広い範囲に亘ってグリップ性能を向上させることができる。
【0067】
また、
図5に示されるように、第1形状部21の第1端部21Aは、円弧形状に形成されている。したがって、例えば、第1端部21Aが矩形形状に形成されている場合に比して、第1方向に隣接する表面形状部20では、他方の表面形状部20-2の第1端部21Aを、一方の表面形状部20-1の第2形状部22及び第3形状部23に近づけて配置することができる。同様に、第2形状部22の第2端部22Aは、円弧形状に形成されている。したがって、例えば、第2端部22Aが矩形形状に形成されている場合に比して、第2方向に隣接する表面形状部20では、他方の表面形状部20-2の第2端部22Aを、一方の表面形状部20-1の第1形状部21及び第3形状部23に近づけて配置することができる。また、第3形状部23の第3端部23Aは、円弧形状に形成されている。したがって、例えば、第3端部23Aが矩形形状に形成されている場合に比して、第3方向に隣接する表面形状部20では、他方の表面形状部20-2の第3端部23Aを、一方の表面形状部20-1の第1形状部21及び第2形状部22に近づけて配置することができる。以上により、複数の表面形状部20を高密度に配置することができる。
【0068】
次に、本実施形態の変形例について説明する。
【0069】
図7は、第1変形例に係る表面形状部20を示す図である。上記実施形態(
図2参照)において、第1形状部21と、第2形状部22と、第3形状部23とは、中央部20Aにて連結されているが、
図7に示されるように、第1形状部21と、第2形状部22と、第3形状部23とは、中央部20Aにて離れていてもよい。また、第1形状部21、第2形状部22、及び第3形状部23のうちのいずれか一つが残りの二つと離れていてもよい。このように構成されていても、上記実施形態と同様の作用及び効果が得られる。
【0070】
図8は、第2変形例に係る表面形状部20を示す図である。上記実施形態(
図2参照)において、第1形状部21と第2形状部22との成す角度θ1、第2形状部22と第3形状部23との成す角度θ2、及び第3形状部23と第1形状部21との成す角度θ3は、いずれも鈍角であるが、
図8に示されるように、角度θ1及び角度θ3は、鈍角で、角度θ2は、鋭角でもよい。また、角度θ1、角度θ2、及び角度θ3は、それぞれ120°以外の角度でもよい。このように構成されていても、上記実施形態と同様の作用及び効果が得られる。
【0071】
図9は、第3変形例に係る表面形状部20を示す図である。上記実施形態(
図6参照)において、表面形状部20は、第1形状部21、第2形状部22、及び第3形状部23を有するが、
図9に示されるように、表面形状部20は、第1形状部21及び第2形状部22を有し、かつ第3形状部23が省かれた構成でもよい。
【0072】
このように構成された場合でも、表面形状部20に対して横方向に把持力F1が付与された場合には、第1形状部21によって表面形状部20に対するグリップ力を確保することができる。また、表面形状部20に対して横方向に把持力F1が付与された場合には、第2形状部22によって上方向に持ち上げ力としての分力F2を発生させることができるので、表面形状部20に対する持ち上げ力を確保することができる。
【0073】
図10は、第3変形例に係る複数の表面形状部20によって形成される繰り返しのパターンの一部を示す図である。
図10に示される第3変形例において、複数の表面形状部20は、第1方向と第2方向とに沿って配列されることにより繰り返しのパターンを形成している。このように繰り返しのパターンが形成された場合でも、例えば、グリップ部16に一つの表面形状部20が形成されている場合に比して、グリップ部16の広い範囲に亘ってグリップ性能を向上させることができる。
【0074】
図11は、第4変形例に係る表面形状部20を示す図である。
図11に示されるように、表面形状部20は、第1形状部21及び第3形状部23を有し、かつ第2形状部22が省かれた構成でもよい。
【0075】
このように構成された場合でも、表面形状部20に対して横方向に把持力F1が付与された場合には、第1形状部21によって表面形状部20に対するグリップ力を確保することができる。また、表面形状部20に対して横方向に把持力F1が付与された場合には、第3形状部23によって上方向に持ち上げ力としての分力F3を発生させることができるので、表面形状部20に対する持ち上げ力を確保することができる。
【0076】
図12は、第4変形例に係る複数の表面形状部20によって形成される繰り返しのパターンの一部を示す図である。
図12に示される第4変形例において、複数の表面形状部20は、第1方向と第3方向とに沿って配列されることにより繰り返しのパターンを形成している。このように繰り返しのパターンが形成された場合でも、例えば、グリップ部16に一つの表面形状部20が形成されている場合に比して、グリップ部16の広い範囲に亘ってグリップ性能を向上させることができる。
【0077】
図13は、第5変形例に係る表面形状部20を示す図である。
図13に示されるように、表面形状部20は、第2形状部22及び第3形状部23を有し、かつ第1形状部21が省かれた構成でもよい。
【0078】
このように構成された場合でも、表面形状部20に対して横方向に把持力F1が付与された場合には、第2形状部22及び第3形状部23によって上方向に持ち上げ力としての分力F2及びF3を発生させることができるので、表面形状部20に対する持ち上げ力を確保することができる。
【0079】
図14は、第5変形例に係る複数の表面形状部20によって形成される繰り返しのパターンの一部を示す図である。
図14に示される第5変形例において、複数の表面形状部20は、第2方向と第3方向とに沿って配列されることにより繰り返しのパターンを形成している。このように繰り返しのパターンが形成された場合でも、例えば、グリップ部16に一つの表面形状部20が形成されている場合に比して、グリップ部16の広い範囲に亘ってグリップ性能を向上させることができる。
【0080】
なお、第5変形例において、第2形状部22は、本開示の技術に係る第1形状部の一例であり、第3形状部23は、本開示の技術に係る第2形状部又は第3形状部の一例である。また、第2方向は、本開示の技術に係る第1方向の一例であり、第3方向は、本開示の技術に係る第2方向又は第3方向の一例である。
【0081】
また、上記実施形態において、複数の表面形状部20(
図4参照)は、各中央部20Aが、第1線L1、第2線L2、及び第3線L3上にそれぞれ位置するように配列されているが、各中央部20Aが、第1線L1、第2線L2、及び第3線L3のうちの少なくとも一つの線上からずれた位置に配置されるように配列されていてもよい。このように構成されていても、上記実施形態と同様の作用及び効果が得られる。
【0082】
また、上記実施形態において、第1形状部21、第2形状部22、及び第3形状部23は、いずれも立体形状に形成されているが、溝状に形成されていてもよい。このように構成されていても、上記実施形態と同様の作用及び効果が得られる。なお、立体形状及び溝状を、三次元形状と捉えてもよい。
【0083】
また、上記実施形態において、グリップ部16は、複数の表面形状部20を有するが、一つの表面形状部20を有していてもよい。このように構成された場合でも、表面形状部20に対して横方向に把持力F1が付与された場合には、第1形状部21によって表面形状部20に対するグリップ力を確保することができる。また、表面形状部20に対して横方向に把持力F1が付与された場合には、第2形状部22及び第3形状部23によって上方向に持ち上げ力としての分力F2及びF3を発生させることができるので、表面形状部20に対する持ち上げ力を確保することができる。
【0084】
また、上記実施形態において、複数の表面形状部20は、第1方向と、第2方向と、第3方向とに沿って配列されることにより規則性を有する繰り返しのパターンを形成しているが、ランダムに配置されることにより不規則なパターンを形成していてもよい。このように構成されていても、上記実施形態と同様の作用及び効果が得られる。
【0085】
また、上記実施形態において、第1形状部21、第2形状部22、及び第3形状部23は、互いに同一の形状に形成されているが、互いに異なる形状に形成されていてもよい。また、第1形状部21、第2形状部22、及び第3形状部23のうちいずれか一つが残りの二つと異なる形状でもよい。このように構成されていても、上記実施形態と同様の作用及び効果が得られる。
【0086】
また、上記実施形態において、第1端部21A、第2端部22A、及び第3端部23Aは、いずれも円弧形状に形成されているが、先端角形状に形成されていてもよい。このように構成されていても、例えば、第1端部21A、第2端部22A、及び第3端部23Aが矩形形状に形成されている場合に比して、複数の表面形状部20を高密度に配置することができる。
【0087】
また、上記実施形態において、第1形状部21は、第1頂上部21Bから第1麓部21Cに向かうに従って第1方向と直交する方向に幅が広がる立体形状の一例として、断面三角形状に形成されているが、例えば、断面半円状又は断面台形状などのように、断面三角形状以外の断面形状に形成されていてもよい。同様に、第2形状部22及び第3形状部も、例えば、断面半円状又は断面台形状などのように、断面三角形状以外の断面形状に形成されていてもよい。
【0088】
また、上記実施形態において、第1方向は、把持方向に対して交差する方向の一例として、把持方向(すなわち、撮像装置10の横方向)に対して直交する方向であるが、把持方向に対して傾斜する方向でもよい。
【0089】
また、上記実施形態において、表面形状部20は、表面形状部20に対して上下方向に把持力F1が付与された場合よりも表面形状部20に対して横方向に把持力F1が付与された場合の方が、表面形状部20に対するグリップ力が強まる形状の一例として、第1形状部21を有するが、第1形状部21に代えて、又は第1形状部21に加えて、その他の形状を有していてもよい。
【0090】
また、上記実施形態において、表面形状部20は、表面形状部20に対して横方向に把持力F1が付与された場合に上方向に持ち上げ力としての分力F2及びF3を発生させる形状の一例として、第2形状部22及び第3形状部23を有するが、第2形状部22及び第3形状部23に代えて、又は第2形状部22及び第3形状部23に加えて、その他の形状を有していてもよい。
【0091】
また、上記実施形態において、第1形状部21、第2形状部22、及び第3形状部23を、グリップ部16の表面に沿って互いに異なる方向に延在する複数の延在部として捉えてもよい。また、複数の延在部の数は、いくつでもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、撮像装置10の一例として、デジタルカメラが挙げられているが、撮像装置10は、デジタルカメラ以外の各種カメラでもよい。また、グリップ部16は、撮像装置10に適用されているが、撮像装置10以外の各種機器等に適用されてもよい。機器としては、例えば、電子双眼鏡及びバッテリ装置等が挙げられる。
【0093】
上記複数の変形例のうち組み合わせ可能な変形例は、適宜組み合わされてもよい。
【0094】
以上に示した記載内容及び図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、及び効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用、及び効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容及び図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことは言うまでもない。また、錯綜を回避し、本開示の技術に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容及び図示内容では、本開示の技術の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
【0095】
本明細書において、「A及び/又はB」は、「A及びBのうちの少なくとも1つ」と同義である。つまり、「A及び/又はB」は、Aだけであってもよいし、Bだけであってもよいし、A及びBの組み合わせであってもよい、という意味である。また、本明細書において、3つ以上の事柄を「及び/又は」で結び付けて表現する場合も、「A及び/又はB」と同様の考え方が適用される。
【0096】
本明細書に記載された全ての文献は、個々の文献が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【0097】
上記実施形態に関し、以下の付記を開示する。
【0098】
(付記1)
前記第1形状部の高さは、0.1mm以上0.5mm以下であり、
前記第2形状部及び/又は前記第3形状部の高さは、0.1mm以上0.5mm以下である
第1態様から第28態様の何れか一つの態様に係る機器。
(付記2)
前記第1形状部の幅は、0.5mm以上1.2mm以下であり、
前記第2形状部及び/又は前記第3形状部の幅は、0.5mm以上1.2mm以下である
第1態様から第28態様の何れか一つの態様に係る機器。
(付記3)
前記第1形状部の長さは、0.5mm以上2mm以下であり、
前記第2形状部及び/又は前記第3形状部の長さは、0.5mm以上2mm以下である
第1態様から第28態様の何れか一つの態様に係る機器。
【符号の説明】
【0099】
10 撮像装置
12 撮像装置本体
12A 前面
14 レンズユニット
16 グリップ部
16A 右側面
16B 前面
16C 左側面
20 表面形状部
20A 中央部
21 第1形状部
21A 第1端部
21B 第1頂上部
21C 第1麓部
22 第2形状部
22A 第2端部
22B 第2頂上部
22C 第2麓部
23 第3形状部
23A 第3端部
23B 第3頂上部
23C 第3麓部
31 第1稜線
32 第2稜線
33 第3稜線
100 手
A 第1領域
B 第2領域
C 第3領域
F1 把持力
F2 分力
F3 分力
L1 第1線
L2 第2線
L3 第3線
La 第1接線
Lb 第2接線
Lc 第3接線