IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日産化学工業株式会社の特許一覧

特開2024-128823情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
<>
  • 特開-情報処理システム、情報処理方法及びプログラム 図1
  • 特開-情報処理システム、情報処理方法及びプログラム 図2
  • 特開-情報処理システム、情報処理方法及びプログラム 図3
  • 特開-情報処理システム、情報処理方法及びプログラム 図4
  • 特開-情報処理システム、情報処理方法及びプログラム 図5
  • 特開-情報処理システム、情報処理方法及びプログラム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128823
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/00 20180101AFI20240913BHJP
【FI】
G16H50/00
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038059
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 幸治
(72)【発明者】
【氏名】大田 政太郎
(72)【発明者】
【氏名】宮野 貴士
(72)【発明者】
【氏名】滝 博嗣
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
(57)【要約】
【課題】対象者の口腔内細菌に関する情報を参照して、対象者が選択可能な対応に関する情報を提供する。
【解決手段】情報処理システム(1)は、対象者の口腔内細菌に関する細菌情報を少なくとも含む健康情報を取得する取得部(11)と、取得部が取得した細菌情報と関連付けられる疾患を出力する機械モデル(121)を含む解析部(12)と、解析部が解析した解析結果を含む解析情報を生成する生成部(13)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の口腔内細菌に関する細菌情報を少なくとも含む健康情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記細菌情報と関連付けられる疾患を出力する機械モデルを含む解析部と、
前記解析部が解析した解析結果を含む解析情報を生成する生成部と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記健康情報を受信し、前記解析情報を送信する通信部をさらに備える、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記健康情報の送信者を示す送信者情報が、すでに登録されている登録者情報に合致しているか否かを識別する識別部をさらに備える、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記健康情報の少なくとも一部を暗号化する暗号化部をさらに備える、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記取得部は、口腔内細菌を測定する測定装置から送信された前記細菌情報を取得する、請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記解析結果は、前記健康情報から推定される有用情報を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記有用情報は、前記健康情報から推定される疾患のリスクと、当該リスクを低減するための対策を含む、請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記解析結果は、前記健康情報から推定される疾患名を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記健康情報は、前記対象者に関する情報をさらに含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記健康情報は、前記対象者が罹患している疾患に関する疾患情報をさらに含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項11】
細菌と疾患との新たな関連情報を用いて前記機械モデルを学習させる学習部をさらに含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項12】
対象者の口腔内細菌に関する細菌情報を少なくとも含む健康情報を取得するステップと、
取得した前記細菌情報と関連付けられる疾患を解析するステップと、
解析した解析結果を含む解析情報を生成するステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項13】
請求項1に記載の情報処理システムとしてコンピュータを機能させるための情報処理プログラムであって、上記取得部、上記解析部、及び上記生成部としてコンピュータを機能させるための情報処理プログラム。
【請求項14】
請求項13に記載の情報処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
口腔内細菌は、多くの疾患の発生又は悪化の原因となりうることが明らかになりつつある。例えば、歯周病菌は、動脈硬化、誤嚥性肺炎など、多くの疾患のリスクを高める原因になると考えられており、歯周病の予防又は治療の重要性が増加している。また、歯周病菌だけでなく、他の口腔内細菌もいくつかの疾患のリスクを高めることが明らかになりつつある。
【0003】
また、口腔内細菌を検出する技術も開発されつつある。例えば、特許文献1には、金属ナノ粒子を用いる微量の被検出物質を迅速に検出可能な装置が開示されている。このような装置は、口腔内細菌の検出にも有用であると考えられる。今後は、歯科患者、又は検査対象者から、このような装置を用いて検出された口腔内細菌データと、従来蓄積されてきた口腔内細菌と疾患との関係についての研究結果とから、その歯科患者、又は検査対象者に対してどのような治療又は疾患リスクへの対応をすればよいかを判断することが重要になると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6099108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、口腔内細菌と疾患との関係についての研究結果は多数報告されているものの、それらの研究結果を総合的に参照することは、歯科医師などの関係者にとっても容易ではないという問題がある。
【0006】
本発明の一態様は、対象者の口腔内細菌に関する情報を参照して、対象者が選択可能な対応に関する情報を提供する技術を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る情報処理システムは、対象者の口腔内細菌に関する細菌情報を少なくとも含む健康情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記細菌情報と関連付けられる疾患を出力する機械モデルを含む解析部と、前記解析部が解析した解析結果を含む解析情報を生成する生成部と、を備える。
【0008】
また、本発明の一態様に係る情報処理方法は、対象者の口腔内細菌に関する細菌情報を少なくとも含む健康情報を取得するステップと、取得した前記細菌情報と関連付けられる疾患を解析するステップと、解析した解析結果を含む解析情報を生成するステップと、を含む。
【0009】
本発明の各態様に係る情報処理システムは、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記情報処理システムが備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記情報処理システムをコンピュータにて実現させる情報処理システムの情報処理プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、対象者の口腔内細菌に関する情報を参照して、対象者が選択可能な対応に関する情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態1に係る情報処理システム1の構成を示すブロック図である。
図2】実施形態1に係る情報処理方法S1の流れを示すフローチャートである。
図3】実施形態2に係る情報処理システム1Aに構成を示すブロック図である。
図4】情報処理システム1,1Aを、歯科健康プラットフォームとして構成する場合の構成を示す模式図である。
図5】健康情報と解析情報の内容の一例を示す表である。
図6】口腔内細菌と疾患との関係の一例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔実施形態1〕
(情報処理システム1)
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る情報処理システム1の構成を示すブロック図である。情報処理システム1は、対象者の口腔内細菌の細菌を取得して、その細菌情報から推定される疾病のリスク等を解析して出力するシステムである。情報処理システム1は、インターネットなどの通信ネットワークに接続されており、この通信ネットワークを通じて外部から健康情報を取得することができる。
【0013】
図示するように、情報処理システム1は、制御部10,通信部20,プロセッサ30,及びメモリ40を備える。制御部10は、情報処理システム1を制御する機能部である。通信部20は、通信ネットワークを介して外部と情報通信を行う。具体的には、通信部20は、ユーザから健康情報を受信し、解析情報をユーザに送信する。ユーザとは、情報処理システム1を利用する、つまり、情報処理システム1に健康情報を送信して、解析結果を得ようとする者である。通信部20は、例えば、Bluetooth(登録商標)又はWi-Fi(登録商標)などの無線LAN(Local Area Network)アダプタ、又はUSBポート等であってもよい。プロセッサ30、メモリ40については後述する。
【0014】
制御部10は、取得部11、解析部12、及び生成部13を備える。制御部10は、さらに識別部14、暗号化部15、又は学習部16を備えていてもよい。
【0015】
取得部11は、対象者の口腔内細菌に関する細菌情報を少なくとも含む健康情報を取得する。対象者とは、歯科治療を必要とする患者、又は口腔内細菌の検査を受ける者などである。健康情報とは、対象者の健康に関する情報であり、本実施形態では、特に口腔歯科に関する健康情報である。口腔内細菌に関する細菌情報は、対象者の口腔内に存在する細菌に関する情報である。細菌情報は、最初に歯科医師、検査技師、又は対象者本人などにより、口腔内の細菌を検出する装置又は方法を用いて取得される。
【0016】
図5は、上述の健康情報と、後述する解析情報の内容の一例を示す表である。図5に示すように、健康情報には、対象者の検査情報と対象者に関する情報が含まれていてもよい。検査情報は、口腔内の細菌情報を含む。検査情報は、細菌情報のほか、対象者が罹患している疾患に関する疾患情報、既往症、口腔内の状況(残存歯の本数、治療歴等)、口腔内の写真、その他の医学的検査結果等を含んでもよい。口腔内の状況又は口腔内の写真は、歯科医師が診断した結果又は撮影した画像でもよく、ユーザが自ら判断又は撮影したものでもよい。また、健康情報には、送信者情報が含まれていてもよい。例えば、情報処理システム1が登録者情報を持つユーザのみしか利用できないシステムの場合は、登録者情報を含むことが必須である。
【0017】
対象者に関する情報は、対象者の個人情報を含んでもよい。個人情報とは、例えば対象者の氏名又は識別番号、生年月日又は年齢、性別等である。識別番号は、ユーザが情報処理システム1に登録した際に与えられる識別番号でもよい。個人情報は、解析結果と個人とを関連付ける情報となる。細菌情報と個人情報を含む健康情報は、歯科医師、検査技師、又は対象者本人などから、通信ネットワークを通じて情報処理システム1に向けて送信される。取得部11は、この健康情報を取得する。
【0018】
解析部12は、入力された細菌情報と関連付けられる疾患を出力する機械モデル121を含む。解析部12は、機械モデル121に細菌情報を入力し、機械モデル121が出力した解析結果を取得する。解析部12は、取得した解析結果を生成部13に送信する。図5に示すように、解析結果は、健康情報、特に口腔内細菌情報から推定される疾患名を含んでもよい。また、解析結果は、推定される有用情報を含んでもよい。
【0019】
機械モデル121は、従来蓄積されてきた口腔内細菌と疾患との関係を予め学習した機械モデルである。機械モデル121は、分類機能、予測機能、推定機能の少なくともいずれかを有する学習済モデルであってもよい。機械モデル121は、例えばサポートベクターマシン、ランダムフォレスト、決定木、ロジスティック回帰等のプログラムを備えてもよい。あるいは、機械モデル121は、多層ニューラルネットワークモデルを備えていてもよい。
【0020】
機械モデル121は、入力として細菌情報を受け取り、解析結果としてその細菌情報と関連付けられる疾患情報を出力する。機械モデル121は、例えば、口腔内細菌の種類とその量の情報から、可能性のある疾患名、その対応方法などを出力する。機械モデル121は、現在の疾患情報、既往症、その他の医学的検査結果等を用いて解析結果を出力してもよい。
【0021】
また、解析結果は、健康情報から推定される有用情報を含んでもよい。機械モデル121は、解析結果として、健康情報から推定される有用情報を、疾患情報と併せて出力してもよい。有用情報は、健康情報から推定される疾患のリスクと、当該リスクを低減するための対策を含んでもよい。例えば、有用情報は、細菌情報(検出された細菌)と疾患との関係、細菌が疾患を引き起こすリスク、疾患が悪化するリスクを低減するための生活習慣、食習慣、運動などの情報等であってもよい。また、有用情報は、患者自身の口腔ケアに用いる用具(歯磨き粉、歯ブラシ、歯間ブラシ、フロス、洗口液)を含んでもよい。また、有用情報は、歯周病治療を行っている民間の歯科医院の情報を含んでもよい。歯科医院の情報は、例えば、ユーザの情報通信端末のアプリケーションを用いて得られる位置情報から、ユーザに最寄りの歯科医院の場所を提示するものであってもよい。
【0022】
あるいは、機械モデル121は、従来蓄積されてきた口腔内細菌と疾患との関係を記憶するデータベースを用いてもよい。データベースは、メモリ40に記憶されていてもよい。機械モデル121は、データベースから、解析結果として、細菌情報と関連付けられる疾患に関する有用情報を取得してもよい。
【0023】
図5に示すように、解析情報には対象者の個人情報が含まれていてもよい。個人情報は、解析情報と個人とを関連付ける情報であり、例えば対象者の氏名であってもよく、あるいは対象者の識別情報であってもよい。また、解析情報には送信者情報が含まれていてもよい。送信者情報は、例えば登録者情報である。
【0024】
生成部13は、解析部12が解析した解析結果を含む解析情報を、出力情報として生成する。解析結果に疾患に関する有用情報を含んでいる場合は、有用情報も併せて出力情報として生成する。生成部13は、生成した解析情報を、通信部20を介して外部に送信することができる。解析情報は、健康情報を送信した歯科医師、検査技師、又は対象者本人などに送信される。これにより、歯科医師、検査技師、又は対象者本人などは、口腔内細菌に関する疾患情報、さらには疾患に関する有用情報などを取得することができる。
【0025】
プロセッサ30は、少なくとも1つのMPU(Micro Processing Unit)、CPU(Central Processing Unit)等の汎用プロセッサを用いて構成することができる。メモリ40は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の複数種類のメモリを備えていてもよい。また、メモリ40は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の内蔵又は外付けのメモリを含んでいてもよい。一例として、プロセッサ30は、メモリ40のROMに記録された各種の制御プログラムをRAMに展開して実行することにより、取得部11、解析部12、及び生成部13としての機能を実現する。また、プロセッサ30は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)又はPLD(Programmable Logic Device)等で構成される専用プロセッサを含んでいてもよい。
【0026】
情報処理システム1は、識別部14を備えていてもよい。識別部14は、健康情報の送信者を示す送信者情報が、すでに登録されている登録者情報に合致しているか否かを識別する。情報処理システム1が登録者情報を持つユーザのみしか利用できないシステムの場合は、識別部14が、送信された健康情報に登録者情報が含まれているか否か、含まれている場合は、それがすでに登録されている登録者情報に合致するか否かを識別する。そして、有効な登録者情報を含む健康情報のみを取得部11に送るようにする。
【0027】
情報処理システム1は、暗号化部15を備えていてもよい。暗号化部15は、取得部11が取得した健康情報健康情報の少なくとも一部を暗号化する。例えば、暗号化部15は、対象者の個人情報を暗号化してもよい。暗号化された情報は、情報処理システム1の運営者は、取得部11が取得した情報を閲覧しようとしても、暗号化された情報しか見ることができない。これにより、個人情報が不用意に流出、あるいは使用されることがなく、ユーザの安心感を高めることができる。暗号化された情報は、解析情報をユーザに送信する際に復号化して送信してもよい。
【0028】
情報処理システム1は、学習部16を備えていてもよい。学習部16は、疾患情報と細菌情報を用いて機械モデル121を学習させる。情報処理システム1の運用者が歯科の疾患と細菌との関係に関する未入力の知見、あるいは新たな知見を情報処理システム1に入力して、学習部16を用いて機械モデル121を学習させる。あるいは、学習部16は、入力された情報をデータベースに記録する。これにより、新たな情報を蓄積していくことができる。
【0029】
図6は、現在までに研究者から指摘されている、口腔内細菌と疾患との関係の一例を示す表である。日本臨床歯周病学会のホームページによれば、例えば、誤嚥性肺炎は、歯周病菌を誤嚥することにより発症する虞がある。例えば、全身麻酔を伴う手術などで患者の呼吸を助ける為に口から気管にチューブを挿入する場合、そのチューブを介して歯周病菌が気管や肺に侵入することによる誤嚥性肺炎の発症を防止するために、あるいは、チューブを挿入する際に、抜けやすくなっている歯が脱落し、気管に入ってしまう虞をなくすために、周術期口腔ケアを行うことがある。この周術期口腔ケアを行う必要性を判断する場合に、情報処理システム1を用いて解析情報を取得し、その判断の一助とすることができる。また、関節炎/子球体腎炎は、口腔内の黄色ブドウ球菌や連鎖球菌などは、歯周病原性細菌など口腔内に多く存在するとされている。また、重度歯周病患者では血中CRP(C-Reactive Protein)値が上昇し、動脈硬化や心筋梗塞発症のリスク亢進と密接に関与すると考えられている。また、妊娠している女性が歯周病に罹患していると、低体重児又は早産の危険度が高くなると指摘されている。また、歯周病菌に由来するTNF-α(Tumor Necrosis Factor-α)は、血糖値を下げるインスリンの働きを阻害するとされている。このような情報は対象者にとっても有用な情報であり、対象者が自らの健康管理を行うきっかけにもなりうる。
【0030】
以上の構成を備える情報処理システム1は、対象者の細菌情報を含む健康情報を取得して、細菌情報を解析した解析結果を含む解析情報を生成して送信する。つまり、情報処理システム1は、対象者の口腔内細菌に関する情報を参照して、対象者が選択可能な対応に関する情報を提供することができる。
【0031】
(情報処理方法)
図2は、本実施形態に係る情報処理方法S1の流れを示すフローチャートである。図示するように、情報処理方法S1は、ステップS11からステップS13を含む。
【0032】
ステップS11は、プロセッサ30(取得部11)が、対象者の口腔内細菌に関する細菌情報を少なくとも含む健康情報を取得するステップである。対象者、細菌情報、及び健康情報については、前述のとおりである。
【0033】
ステップS12は、プロセッサ30(解析部12)が、取得した細菌情報と関連付けられる疾患を解析するステップである。
【0034】
ステップS13は、プロセッサ30(生成部13)が、解析した解析結果を含む解析情報を生成するステップである。
【0035】
以上の情報処理方法S1によれば、対象者の細菌情報を含む健康情報を取得して、細菌情報を解析した解析結果を含む解析情報を生成して送信する。つまり、情報処理方法S1によれば、対象者の口腔内細菌に関する情報を参照して、対象者が選択可能な対応に関する情報を提供することができる。
【0036】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0037】
図3は、本実施形態に係る情報処理システム1Aに構成を示すブロック図である。情報処理システム1Aは、クラウド上に各部が配置されている。図示するように、情報処理システム1Aは、取得部11,解析部12,及び生成部13を備える。解析部12は、機械モデル121を備える。情報処理システム1Aは、さらに識別部14,暗号化部15、学習部16又はデータベース17を備えてもよい。
【0038】
情報処理システム1Aは、クラウド上に配置されており、互いに情報通信可能い接続されている。また、情報処理システム1Aは、インターネットNを介して複数のユーザ端末301,302,303等と接続可能である。取得部11,解析部12,生成部13、識別部14,暗号化部15、学習部16及びデータベース17の機能については、実施形態1で説明したとおりである。
【0039】
以上の構成を備える情報処理システム1Aによっても、実施形態1の情報処理システム1と同様の効果を得ることができる。
【0040】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0041】
図4は、上述の情報処理システム1,1Aを、歯科健康プラットフォーム1Cとして構成する場合の構成を示す模式図である。歯科健康プラットフォーム1Cは、情報処理システム1又は1Aと同様の機能を有する。つまり、歯科健康プラットフォーム1Cは、登録済のユーザから健康情報を受信して、健康情報を解析した解析情報をそのユーザに送信するシステムである。歯科健康プラットフォーム1Cは、例えばホームページをインターネットに開設して、そのホームページから入力されたユーザからの情報を通信部20を介して取得してもよい。あるいは、歯科健康プラットフォーム1Cは、ユーザが所有する通信端末機器(スマートフォン、パーソナルコンピュータ等)にダウンロードされた、歯科健康プラットフォーム1Cとの専用通信アプリケーションを用いて、通信部20を介してユーザからの情報を取得する構成としてもよい。歯科健康プラットフォーム1Cのユーザは、例えば大学の歯科部門又は口腔外科部門、総合病院の歯科部門、歯科医院、個人ユーザなどである。ユーザは、対象者(個人ユーザ自身も含む)の口腔内細菌情報を所有し、それぞれのユーザ端末から口腔内細菌情報を含む健康情報を歯科健康プラットフォーム1Cに送信することができる。
【0042】
図示するように、ユーザは、口腔内細菌測定装置(測定装置)を有していてもよい。ユーザは、この測定装置を用いて、対象者の口腔内細菌情報を取得してもよい。個人ユーザは、測定装置を有する歯科医院などから口腔内細菌情報を取得して、歯科健康プラットフォーム1Cにその情報を送信してもよい。
【0043】
測定装置は、市販の口腔内細菌測定装置でもよく、その種類は限定されない。測定装置は、インターネット等に接続可能な通信機能を備えていてもよい。測定装置が通信機能を備える場合は、測定装置が測定結果を歯科健康プラットフォーム1Cに送信するように構成してもよい。その場合、歯科健康プラットフォーム1Cの取得部11は、口腔内細菌を測定する測定装置から送信された細菌情報を取得してもよい。そして、歯科健康プラットフォーム1Cは、ユーザ端末に解析情報を送信する。
【0044】
このような構成を有する歯科健康プラットフォーム1Cによれば、歯科医療者又は歯科研究者のみならず、個人ユーザに対しても、細菌情報に関連して選択可能な対応に関する情報を提供することができる。
【0045】
〔ソフトウェアによる実現例〕
情報処理システム1,1A(以下、「システム」と呼ぶ)の機能は、当該システムとしてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該システムの各制御ブロック(特に制御部10に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0046】
この場合、上記システムは、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0047】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記システムが備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記システムに供給されてもよい。
【0048】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0049】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0050】
(まとめ)
(態様1)
対象者の口腔内細菌に関する細菌情報を少なくとも含む健康情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記細菌情報と関連付けられる疾患を出力する機械モデルを含む解析部と、前記解析部が解析した解析結果を含む解析情報を生成する生成部と、を備える情報処理システム。
【0051】
(態様2)
前記健康情報を受信し、前記解析情報を送信する通信部をさらに備える、態様1に記載の情報処理システム。
【0052】
(態様3)
前記健康情報の送信者を示す送信者情報が、すでに登録されている登録者情報に合致しているか否かを識別する識別部をさらに備える、態様1又は2に記載の情報処理システム。
【0053】
(態様4)
前記健康情報の少なくとも一部を暗号化する暗号化部をさらに備える、態様1から3のいずれか1つに記載の情報処理システム。
【0054】
(態様5)
前記取得部は、口腔内細菌を測定する測定装置から送信された前記細菌情報を取得する、態様1から4のいずれか1つに記載の情報処理システム。
【0055】
(態様6)
前記解析結果は、前記健康情報から推定される有用情報を含む、態様1から5のいずれか1つに記載の情報処理システム。
【0056】
(態様7)
前記有用情報は、前記健康情報から推定される疾患のリスクと、当該リスクを低減するための対策を含む、態様6に記載の情報処理システム。
【0057】
(態様8)
前記解析結果は、前記健康情報から推定される疾患名を含む、態様1から7のいずれか1つに記載の情報処理システム。
【0058】
(態様9)
前記健康情報は、前記対象者に関する情報をさらに含む、態様1から8のいずれか1つに記載の情報処理システム。
【0059】
(態様10)
前記健康情報は、前記対象者が罹患している疾患に関する疾患情報をさらに含む、態様1から9のいずれか1つに記載の情報処理システム。
【0060】
(態様11)
細菌と疾患との新たな関連情報を用いて前記機械モデルを学習させる学習部をさらに含む、1から10のいずれか1つに記載の情報処理システム。
【0061】
(態様12)
対象者の口腔内細菌に関する細菌情報を少なくとも含む健康情報を取得するステップと、取得した前記細菌情報と関連付けられる疾患を解析するステップと、解析した解析結果を含む解析情報を生成するステップと、を含む情報処理方法。
【0062】
(態様13)
態様1に記載の情報処理システムとしてコンピュータを機能させるための情報処理プログラムであって、上記取得部、上記解析部、及び上記生成部としてコンピュータを機能させるための情報処理プログラム。
【0063】
(態様14)
態様13に記載の情報処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【符号の説明】
【0064】
1、1A・・・情報処理システム
1C・・・歯科健康プラットフォーム
10・・・制御部
11・・・取得部
12・・・解析部
121・・・機械モデル
13・・・生成部
14・・・識別部
15・・・暗号化部
16・・・学習部
17・・・データベース
20・・・通信部
30・・・プロセッサ
40・・・メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-07-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内細菌を測定する測定装置と、
前記測定装置から送信された対象者の口腔内細菌に関する細菌情報を少なくとも含む健康情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記細菌情報と関連付けられる疾患を出力する機械モデルを含む解析部と、
前記解析部が解析した解析結果を含む解析情報を生成する生成部と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記健康情報を受信し、前記解析情報を送信する通信部をさらに備える、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記健康情報の送信者を示す送信者情報が、すでに登録されている登録者情報に合致しているか否かを識別する識別部をさらに備える、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記健康情報の少なくとも一部を暗号化する暗号化部をさらに備える、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記解析結果は、前記健康情報から推定される有用情報を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記有用情報は、前記健康情報から推定される疾患のリスクと、当該リスクを低減するための対策を含む、請求項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記解析結果は、前記健康情報から推定される疾患名を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記健康情報は、前記対象者に関する情報をさらに含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記健康情報は、前記対象者が罹患している疾患に関する疾患情報をさらに含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項10】
細菌と疾患との新たな関連情報を用いて前記機械モデルを学習させる学習部をさらに含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項11】
口腔内細菌を測定する測定装置から送信された対象者の口腔内細菌に関する細菌情報を少なくとも含む健康情報を取得するステップと、
取得した前記細菌情報と関連付けられる疾患を解析するステップと、
解析した解析結果を含む解析情報を生成するステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項12】
請求項1に記載の情報処理システムとしてコンピュータを機能させるための情報処理プログラムであって、上記取得部、上記解析部、及び上記生成部としてコンピュータを機能させるための情報処理プログラム。
【請求項13】
請求項12に記載の情報処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。