(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128883
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】撮影装置、撮影システム、制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20240913BHJP
A61B 6/00 20240101ALI20240913BHJP
A61B 6/04 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
A61B8/14
A61B6/00 330Z
A61B6/04 309B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038157
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀内 久嗣
(72)【発明者】
【氏名】大澤 敦
(72)【発明者】
【氏名】延山 理紗子
【テーマコード(参考)】
4C093
4C601
【Fターム(参考)】
4C093AA07
4C093CA16
4C093DA06
4C093ED21
4C093FB12
4C601DD08
4C601EE09
4C601EE11
4C601JC37
4C601KK16
4C601KK25
4C601KK31
4C601LL33
(57)【要約】
【課題】撮影台に設けられたマーカを読み取れる精度での超音波画像の撮影を支援できる撮影装置、撮影システム、制御方法及び制御プログラムを提供する。
【解決手段】撮影装置は、少なくとも1つのマーカ18が配置された撮影面16Aを有する撮影台16と、撮影面16A上に配置される乳房2を圧迫状態とするための圧迫部材40と、圧迫部材40によって圧迫状態とされた乳房2の超音波画像を得る超音波プローブ30と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのマーカが配置された撮影面を有する撮影台と、
前記撮影面上に配置される乳房を圧迫状態とするための圧迫部材と、
前記圧迫部材によって圧迫状態とされた前記乳房の超音波画像を得る超音波プローブと、
を備える撮影装置。
【請求項2】
前記マーカは、前記撮影面における少なくとも前記マーカと隣接する領域とは異なる音響インピーダンスを有する素材を含んで構成されている
請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
前記マーカは、前記撮影面に対して凹状又は凸状に形成された部位である
請求項1に記載の撮影装置。
【請求項4】
前記撮影面には、隣り合うマーカ同士の間隔が異なる3以上のマーカが配置されている
請求項1に記載の撮影装置。
【請求項5】
前記圧迫部材によって圧迫状態とされた前記乳房に放射線を照射する放射線源を更に備え、
前記マーカは、前記撮影面上であって、前記放射線の照射野以外の領域に配置されている
請求項1に記載の撮影装置。
【請求項6】
請求項1に記載の撮影装置と、少なくとも1つのプロセッサを備えた制御装置と、を含む撮影システムであって、
前記プロセッサは、
前記超音波プローブによって得られる前記乳房の超音波画像を取得し、
前記超音波画像から前記マーカを検出し、
前記超音波画像から前記マーカを検出できない場合に、警告する
撮影システム。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記圧迫部材によって圧迫状態とされた前記乳房の複数の断層面のそれぞれにおける断層画像を取得し、
複数の前記断層画像に基づいて、前記乳房に含まれる関心領域について、前記圧迫部材と前記乳房との接触面からの圧迫方向における深さ位置を特定し、
前記関心領域の深さ位置が予め定められた閾値以上であり、かつ、前記超音波画像から前記マーカを検出できない場合に、警告する
請求項6に記載の撮影システム。
【請求項8】
少なくとも1つのマーカが配置された撮影面を有する撮影台の前記撮影面上に配置され、かつ、圧迫部材によって圧迫状態とされた乳房の超音波画像を取得し、
前記超音波画像から前記マーカを検出し、
前記超音波画像から前記マーカを検出できない場合に、警告する
処理を含む制御方法。
【請求項9】
少なくとも1つのマーカが配置された撮影面を有する撮影台の前記撮影面上に配置され、かつ、圧迫部材によって圧迫状態とされた乳房の超音波画像を取得し、
前記超音波画像から前記マーカを検出し、
前記超音波画像から前記マーカを検出できない場合に、警告する
処理をコンピュータが実行するための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮影装置、撮影システム、制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乳房の放射線画像を撮影するマンモグラフィ装置が知られている。また、特定種類の病巣の検出精度の向上及び検査の効率化といった観点から、放射線画像に加えて乳房の超音波画像も撮影可能な装置が提案されている。例えば、特許文献1には、圧迫状態の乳房の放射線画像を撮影した後、圧迫状態のままで乳房の超音波画像を連続撮影することが開示されている。また例えば、特許文献2には、乳房を圧迫したままX線装置、MR装置、治療装置を用いることにより、X線装置とMR装置と治療装置との間で同じ病巣位置を容易に特定する手法が開示されている。特許文献2には、病巣位置の特定のために、圧迫板、寝台及び椅子、並びに患者等に、位置レジストレーション用画像マーカを設けることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-192181号公報
【特許文献2】特開2006-280444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、超音波画像は、超音波を物体に照射してその反射波を受信するという原理上、照射部からの距離が離れるほど画像は不明瞭になる。したがって、特許文献1に記載のように、撮影台と圧迫部材との間で圧迫状態とされた乳房に対して圧迫部材の上から超音波を照射する場合、圧迫部材側から離れて撮影台側に近づくほど、得られる超音波画像は不明瞭になる。理論上、超音波測定の場合は照射部からの距離と分解能のおおよその算出は可能であるが、乳房の大きさ及び乳房の組成(例えば脂肪組織と乳腺組織の比率及び分布等)には個人差があり、算出される分解能は参考値程度に留まる可能性がある。そこで、検査対象の乳房、特に超音波の照射部から離れた部位において、十分な精度の超音波画像を撮影できているかを確認できる技術が求められている。
【0005】
本開示は、撮影台に設けられたマーカを読み取れる精度での超音波画像の撮影を支援できる撮影装置、撮影システム、制御方法及び制御プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、撮影装置であって、少なくとも1つのマーカが配置された撮影面を有する撮影台と、撮影面上に配置される乳房を圧迫状態とするための圧迫部材と、圧迫部材によって圧迫状態とされた乳房の超音波画像を得る超音波プローブと、を備える。
【0007】
上記第1の態様において、マーカは、撮影面における少なくともマーカと隣接する領域とは異なる音響インピーダンスを有する素材を含んで構成されていてもよい。
【0008】
上記第1の態様において、マーカは、撮影面に対して凹状又は凸状に形成された部位であってもよい。
【0009】
上記第1の態様において、撮影面には、隣り合うマーカ同士の間隔が異なる3以上のマーカが配置されていてもよい。
【0010】
上記第1の態様において、圧迫部材によって圧迫状態とされた乳房に放射線を照射する放射線源を更に備え、マーカは、撮影面上であって、放射線の照射野以外の領域に配置されていてもよい。
【0011】
本開示の第2の態様は、撮影システムであって、上記第1の態様に記載の撮影装置と、少なくとも1つのプロセッサを備えた制御装置と、を含み、プロセッサは、超音波プローブによって得られる乳房の超音波画像を取得し、超音波画像からマーカを検出し、超音波画像からマーカを検出できない場合に、警告する。
【0012】
上記第2の態様において、プロセッサは、圧迫部材によって圧迫状態とされた乳房の複数の断層面のそれぞれにおける断層画像を取得し、複数の断層画像に基づいて、乳房に含まれる関心領域について、圧迫部材と乳房との接触面からの圧迫方向における深さ位置を特定し、関心領域の深さ位置が予め定められた閾値以上であり、かつ、超音波画像からマーカを検出できない場合に、警告する。
【0013】
本開示の第3の態様は、制御方法であって、少なくとも1つのマーカが配置された撮影面を有する撮影台の撮影面上に配置され、かつ、圧迫部材によって圧迫状態とされた乳房の超音波画像を取得し、超音波画像からマーカを検出し、超音波画像からマーカを検出できない場合に、警告する処理を含む。
【0014】
本開示の第4の態様は、制御プログラムであって、少なくとも1つのマーカが配置された撮影面を有する撮影台の撮影面上に配置され、かつ、圧迫部材によって圧迫状態とされた乳房の超音波画像を取得し、超音波画像からマーカを検出し、超音波画像からマーカを検出できない場合に、警告する処理をコンピュータが実行するためのものである。
【発明の効果】
【0015】
上記態様によれば、本開示の撮影装置、撮影システム、制御方法及び制御プログラムは、撮影台に設けられたマーカを読み取れる精度での超音波画像の撮影を支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】撮影システムの概略構成の一例を示す図である。
【
図3】圧迫部材の概略構成の一例を示す三面図である。
【
図4】圧迫部材の概略構成の一例を示す三面図である。
【
図5】撮影面に配置されたマーカの概略構成の一例を示す図である。
【
図6】撮影面に配置されたマーカの概略構成の一例を示す図である。
【
図7】コンソールのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図8】コンソールの機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図10】ディスプレイに表示される画面の一例を示す図である。
【
図12】制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本開示の実施形態について説明する。
【0018】
まず、
図1を参照して、撮影システム1の構成について説明する。
図1は、撮影システム1の概略構成を示す図である。
図1に示すように、撮影システム1は、撮影装置10及びコンソール50を備える。撮影装置10とコンソール50、コンソール50と外部のRIS(Radiology Information System)6は、有線又は無線のネットワークを介して接続可能に構成されている。
【0019】
撮影システム1においては、コンソール50がRIS6から撮影オーダ等を取得し、当該撮影オーダ及びユーザの指示等に応じて、撮影装置10の制御を行う。撮影装置10は、圧迫部材40によって圧迫状態とされた被検者の乳房を被写体として、放射線画像及び超音波画像を取得する。コンソール50が、本開示の制御装置の一例である。
【0020】
次に、
図2を参照して、撮影装置10の概略構成について説明する。
図2は、撮影装置10の外観の一例を示す側面図であり、被検者の右側から撮影装置10を見た場合の図である。
図2に示すように、撮影装置10は、放射線源17Rと、放射線検出器28と、放射線源17Rと放射線検出器28との間に配置された撮影台16と、撮影台16との間で乳房を圧迫する圧迫部材40と、放射線源17Rと圧迫部材40との間に配置された超音波プローブ30と、を備える。撮影装置10では、医師及び技師等のユーザによって、撮影台16の撮影面16A上に被検者の乳房がポジショニングされる。
【0021】
撮影装置10は、アーム部12、基台14及び軸部15を備える。アーム部12は、基台14によって、上下方向(Z方向)に移動可能に保持される。軸部15は、アーム部12を基台14に連結する。アーム部12は、軸部15を回転軸として、基台14に対して相対的に回転可能となっている。また、アーム部12は、放射線照射部17を備える上部と撮影台16を備える下部とで別々に、軸部15を回転軸として、基台14に対して相対的に回転可能となっていてもよい。
【0022】
アーム部12は、放射線照射部17及び撮影台16を備える。放射線照射部17は、放射線源17Rを備え、放射線源17Rから照射される放射線(例えばX線)の照射野を変更可能に構成されている。照射野の変更は、例えば、ユーザが操作部26を操作することで行われてもよいし、取り付けられた圧迫部材40の種類に応じて制御部20が行うものであってもよい。放射線源17Rは、圧迫部材40によって圧迫状態とされた乳房に放射線Rを照射する。
【0023】
撮影台16は、制御部20、記憶部22、I/F(Interface)部24、操作部26及び放射線検出器28を備える。制御部20は、コンソール50の制御に応じて、撮影装置10の全体の動作を制御する。制御部20は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備える(図示省略)。ROMには、CPUで実行される、放射線画像及び超音波画像の取得に関する制御を行うためのプログラムを含む各種プログラムが予め記憶されている。RAMは、各種データを一時的に記憶する。
【0024】
記憶部22には、放射線画像及び超音波画像のデータ及びその他の各種情報等が記憶される。記憶部22は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)及びフラッシュメモリ等の記憶媒体によって実現される。
【0025】
I/F部24は、有線通信又は無線通信により、コンソール50との間で各種情報の通信を行う。具体的には、I/F部24は、コンソール50から撮影装置10の制御に関する情報を受信する。また、I/F部24は、コンソール50に対して、放射線画像及び超音波画像のデータを送信する。
【0026】
操作部26は、撮影台16等に設けられた、ユーザが手又は足等で操作可能なパーツであり、例えばスイッチ、ボタン及びタッチパネル等である。また例えば、操作部26は、ユーザによる音声入力を受け付けてもよい。
【0027】
放射線検出器28は、撮影台16の内部に配置され、乳房及び撮影台16を透過した放射線Rを検出し、検出した放射線Rに基づいて放射線画像を生成し、生成した放射線画像を表す画像データを出力する。なお、放射線検出器28の種類は特に限定されず、例えば、放射線Rを光に変換し、変換した光を電荷に変換する間接変換方式の放射線検出器であってもよいし、放射線Rを直接電荷に変換する直接変換方式の放射線検出器であってもよい。
【0028】
また、アーム部12には、プローブユニット38及び圧迫ユニット48が連結される。プローブユニット38には、超音波プローブ30を着脱可能に支持する支持部36が取り付けられる。プローブユニット38に備えられた駆動部(図示省略)によって、支持部36(超音波プローブ30)が上下方向(Z方向)及び水平方向(X方向及びY方向)に移動される。支持部36は、放射線Rを透過する材料で形成されていることが好ましい。
【0029】
超音波プローブ30は、圧迫部材40によって圧迫状態とされた乳房の超音波画像を得るためのものであり、放射線源17Rと圧迫部材40との間に配置され、超音波を圧迫部材40を介して乳房に照射し、乳房からの反射波を受信する。具体的には、超音波プローブ30は、超音波トランスデューサアレイを備える。超音波トランスデューサアレイは、複数の超音波トランスデューサが一次元状又は二次元状に配列された構成である。超音波トランスデューサは、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(lead) Zirconate Titanate)に代表される圧電セラミック、及びポリフッ化ビニリデン(PVDF:Polyvinylidene Difluoride)に代表される高分子圧電素子等の圧電体の両端に電極を形成してなる。また、プローブユニット38には、超音波プローブ30が受信した乳房からの反射波を超音波画像に変換する変換器(図示省略)が内包され、変換器によって超音波画像が得られる。
【0030】
また、撮影装置10には、互いに異なる複数種類の超音波プローブ30が取付可能であってもよい。例えば、被検者の体格(例えば乳房の大きさ)、乳房の組織構成(例えば脂肪量及び乳腺量)、並びに撮影の種類(例えば拡大撮影及びスポット撮影)等に応じて、それぞれ異なる種類の超音波プローブ30が用意され、撮影装置10に着脱できるようになっていてもよい。例えば、中心周波数が約7.5MHzのリニア型プローブ(表在等用)、中心周波数が約3.5MHzのコンベックス型プローブ(腹部等用)、及び中心周波数が約2.5MHzのセクタ型プローブ(心臓等用)等の、性能及び寸法が異なる超音波プローブ30を選択的に用いてもよい。
【0031】
圧迫ユニット48には、圧迫部材40を支持する支持部46が着脱可能に取り付けられる。圧迫ユニット48に備えられた駆動部(図示省略)によって、支持部46(圧迫部材40)が上下方向(Z方向)に移動される。
【0032】
圧迫部材40は、撮影面16A上に配置される乳房を圧迫状態とするためのものである。具体的には、圧迫部材40は、放射線源17Rと撮影台16との間に配置され、撮影台16との間で乳房を挟み込むことによって、乳房を圧迫状態にする。
図3に、圧迫部材40の一例の三面図を示す。
図3の三面図には、圧迫部材40を上側(放射線照射部17側)から見た上面図、被検者側から見た側面図、及び被検者の右側から見た側面図が含まれる。
図3に示すように、圧迫部材40は、圧迫部42及び支持部46を含む。
【0033】
支持部46は、取付部47及び腕49を含む。取付部47は、圧迫部材40を撮影装置10、具体的には圧迫ユニット48の駆動部に取り付ける。腕49は、圧迫部42を支持する。
【0034】
圧迫部42は、高さが略一様の壁部44によって、略平坦に構成された底部43が囲まれ、断面形状が凹型に形成されている。圧迫部42は、乳房の圧迫においてポジショニング及び圧迫状態の確認を行うために、光学的に透明又は半透明の材料で形成されることが好ましい。また、圧迫部42は、放射線R及び超音波の透過性に優れた材料で形成されることが好ましい。また、圧迫部42は、例えば落下強度及び圧縮強度等の強度に優れた材料で形成されることが好ましい。
【0035】
このような材料としては、例えば、ポリメチルペンテン(PMP:Polymethylpentene)、ポリカーボネート(PC:Polycarbonate)、アクリル、ポリプロピレン(PP:Polypropylene)及びポリエチレンテレフタラート(PET:Polyethylene Terephthalate)等の樹脂を用いることができる。特にポリメチルペンテンは、超音波の透過率及び反射率に影響する音響インピーダンスが、他の材料と比較して人体(乳房)と近い値となっており、超音波画像に与えるノイズの割合を低下できる。したがって、圧迫部42の材料としては、ポリメチルペンテンが好適である。
【0036】
また、撮影装置10には、互いに異なる複数種類の圧迫部材40が取付可能であってもよい。例えば、被検者の体格(例えば乳房の大きさ)、乳房の組織構成(例えば脂肪量及び乳腺量)、並びに撮影の種類(例えば拡大撮影及びスポット撮影)等に応じて、それぞれ異なる種類の圧迫部材40が用意され、撮影装置10に着脱できるようになっていてもよい。具体的には、乳房の大きさに応じた圧迫部材、腋窩撮影用の圧迫部材、拡大撮影用の圧迫部材、並びに、病変が存在する領域のみの放射線画像を撮影する、いわゆるスポット撮影用の圧迫部材等を用いてもよい。すなわち、圧迫部材40は、乳房全体を圧迫するものに限らず、乳房の一部を圧迫するような乳房よりも小さいものであってもよい。
【0037】
図4に、
図3の圧迫部材40と異なる他の形態の一例として、小乳房用の圧迫部材40Sの三面図を示す。
図4の三面図には、圧迫部材40Sを上側(放射線照射部17側)から見た上面図、被検者側から見た側面図、及び被検者の右側から見た側面図が含まれる。圧迫部材40Sは、
図3の圧迫部材40と同様に、圧迫部42及び支持部46を含む。圧迫部材40Sにおいては、底部43が平坦ではなく、胸壁側(取付部47から離れた側)に比べて、取付部47側が高くなっている。また、壁部44は、高さが一様ではなく、胸壁側の一部の高さが、その他の部分の高さに比べて低くなっている。このような形状によって、圧迫部材40Sは、小さい乳房であってもポジショニング及び圧迫が容易となっている。
【0038】
このように、撮影装置10においては、乳房を圧迫状態とするための圧迫部材40、及び超音波画像を取得するための超音波プローブ30の少なくとも一方を着脱可能としてもよい。すなわち、撮影装置10には、それぞれ寸法の異なる複数種類の圧迫部材40及び超音波プローブ30が取付可能であってもよい。この場合、撮影装置10は、取り付けられている圧迫部材40及び超音波プローブ30の種類を検出してもよい。
【0039】
例えば、圧迫部材40の取付部47に、圧迫部材40の種類ごとに配置が異なる複数のピンを識別情報として設け、圧迫ユニット48に設けられたピンの配置の検知が可能なセンサ(例えばフォトインタラプタ等)によって、識別情報を読み取ってもよい。また例えば、圧迫部材40の任意の位置に圧迫部材40の種類に応じたマーカ(例えばバーコード及び二次元コード等)を識別情報として設け、当該マーカを検出可能なセンサ(例えばCCD(Charge Coupled Device)センサ等)によって、識別情報を読み取ってもよい。
【0040】
また例えば、圧迫部材40の任意の位置に圧迫部材40の種類に応じた識別情報を有するRFID(Radio Frequency Identification)タグを設け、当該RFIDタグを読取可能なRFIDリーダによって、識別情報を読み取ってもよい。また例えば、圧迫部材40の種類ごとの重さと識別情報とを対応付けて予め記憶部22に記憶しておき、重さを検出可能なセンサによって取り付けられた圧迫部材40の重さを測定し、測定値に基づいて識別情報(圧迫部材40の種類)を特定してもよい。
【0041】
超音波プローブ30についても同様に、例えばピン、マーカ、RFIDタグ及び重さ等に応じて、取り付けられた超音波プローブ30の種類を識別してもよい。
【0042】
なお、圧迫部材40の底部43の上面43A及び/又は乳房との接触面43Bには、ゲル状又は液状の超音波透過性を有する媒質が塗布されていてもよい。このような媒質としては、例えば、人体(乳房)の音響インピーダンスに近い音響インピーダンスを有する公知の超音波検査用ゼリーを適用できる。すなわち、撮影装置10は、ゲル状又は液状の超音波透過性を有する媒質が塗布された状態の圧迫部材40によって圧迫状態とされた乳房の超音波画像を、圧迫部材40を介して取得してもよい。この場合、超音波プローブ30の超音波放射面と上面43Aとの界面、及び/又は、接触面43Bと乳房との界面に空気が入ることを抑制でき、各界面における音響インピーダンスの差を小さくできるので、超音波画像に与えるノイズの割合を低下できる。
【0043】
撮影台16は、少なくとも1つのマーカ18が配置された撮影面16Aを有する。
図5及び
図6に、マーカ18が配置された撮影面16Aの部分拡大図の一例を示す。
図5は、被検者の右側から撮影装置10を見た場合の図である。
図6は、被検者の胸壁側から乳頭側へ向かって撮影装置10を見た場合の図である。
図5及び
図6において、説明に不要な構成は一部省略している。
【0044】
上述したように、超音波画像は、超音波Uを乳房2に照射してその反射波を受信するという原理上、超音波プローブ30からの距離が離れるほど、得られる画像は不明瞭になる。そこで、本開示の撮影装置10は、検査対象の乳房2、特に超音波プローブ30から離れた撮影面16A側の部位において、十分な精度の超音波画像を撮影できているかを確認するためのマーカ18を撮影面16A上に有する。すなわち、撮影した超音波画像にマーカ18が含まれていれば、撮影面16A側の部位まで十分な精度の超音波画像を撮影できていることが分かる。
【0045】
マーカ18は、超音波画像では読み取り可能だが、放射線画像には影響が小さいものであることが望ましい。以下、このようなマーカ18の具体例について説明する。
【0046】
例えば、マーカ18は、撮影面16Aにおける少なくともマーカ18と隣接する領域とは異なる形状を有するものであってもよい。例えば
図5及び
図6に示すように、マーカ18は、撮影面16Aに対して凸状に形成された部位であってもよい。一方で、例えば、マーカ18は、撮影面16Aに対して凹状に形成された部位であってもよい。すなわち、マーカ18の深度を周囲の領域と異ならせることによって、超音波画像においてマーカ18を検出できる。同一材料で凹凸によってマーカ18を形成した場合、放射線画像には影響が少ない具体的な一事例となる。
【0047】
また例えば、マーカ18は、撮影面16Aにおける少なくともマーカ18と隣接する領域とは異なる素材で形成されたものであってもよい。異なる素材とは、具体的には、音響インピーダンスの異なる素材である。すなわち、マーカ18は、撮影面16Aにおける少なくともマーカ18と隣接する領域とは異なる音響インピーダンスを有する素材を含んで構成されていることが好ましい。例えば、マーカ18をポリカーボネート製とし、撮影面16Aのマーカ18の周囲の領域をポリメチルペンテン製としてもよい。マーカ18の素材(すなわち音響インピーダンス)を周囲の領域と異ならせることによって、超音波画像においてマーカ18をより検出しやすくなる。
【0048】
より具体的には、マーカ18の素材は、撮影面16Aにおける隣接する領域を形成する素材とは音響減衰係数の差が大きく(好適には0.2以上)、かつX線吸収係数の差が小さい(好適には0.1以下)ものとすることが好ましい。このような素材を選択することによって、超音波画像では読み取り可能だが、放射線画像に与える影響が小さいマーカ18とすることができる。このような素材の組合せとしては、ポリアミド(PA6:Polyamide 6)とポリカーボネートの組合せ等が挙げられる。特に、マーカ18の素材を、X線吸収係数の絶対値が極小さい(好適には0.2以下)素材とすれば、放射線画像に特に影響が小さいマーカ18とすることができるので、好適である。
【0049】
また、マーカ18の素材は、原子数が少なく、かつ、人体の音響インピーダンスよりも大きな音響インピーダンスを有するものとすることが好ましい。このような素材の具体例としては、Be(ベリリウム)、グラファイト、アルミニウム等が挙げられ、特にBeは好適である。原子数が少ない素材を選択することによって、放射線画像に与える影響が小さいマーカ18とすることができる。また、人体と比べて音響インピーダンスが大きい素材を選択することによって、超音波画像における乳房との差分が見えやすくなる。なお、音響インピーダンスは、人体は約1.46MRayl、Beは約30.1MRayl、グラファイトは約39.6MRayl、アルミニウムは約17.2MRaylである。
【0050】
また例えば、マーカ18は、撮影面16Aにおけるマーカ18と隣接する領域を形成する素材に、添加物を加えて形成されるものであってもよい。添加物としては、例えば、カーボン、ガラス、ロックウール(ミネラルグラス)、セルロース等のファイバが挙げられる。添加物を加えることによって、密度及び剛性が変化し、音響インピーダンスも変化するため、超音波画像で捉えることができるようになる。また、添加物を加える程度であれば、X線透過率の変化は小さいままなので、放射線画像に与える影響を小さくできる。
【0051】
なお、上記のようにマーカ18の素材を隣接する領域を形成する素材と異ならせる場合には、マーカ18は周囲の領域と異なる形状(凸状又は凹状等)を有しなくともよい。例えば、マーカ18は、撮影面16Aに埋め込まれて撮影面16Aと連続する平面を形成するものであってもよいし、撮影面16A上に配置された薄膜状のものであってもよい。
【0052】
また例えば、
図5に示すように、マーカ18は、撮影面16A上であって、放射線Rの照射野以外の領域に配置されていることが好ましい。このような構成にすることによって、放射線画像にマーカ18が写り込むことがなく、マーカ18による放射線画像への影響を気にする必要がないので、素材選択の自由度を高めることができる。
【0053】
また例えば、撮影面16Aには、隣り合うマーカ同士の間隔が異なる3以上のマーカが配置されていてもよい。一例として、
図6には、隣り合うマーカ同士の間隔d1~d3が異なる4つのマーカ18A~18Dが撮影面16Aに配置されている例を図示している。このように隣り合うマーカ同士の間隔d1~d3を異ならせることによって、十分な深度まで超音波画像を撮影できているかの確認に加えて、超音波画像の分解能も確認できるようになる。例えば、超音波画像において、マーカ18A及び18Bは異なるマーカとして検出できる一方、マーカ18C及び18Dが一体となって検出された場合(
図9参照)、分解能はd2以下、d3以上となることが分かる。
【0054】
なお、撮影装置10による乳房の撮影方式は特に限定されない。例えば頭尾方向(CC:Cranio-Caudal)撮影、内外斜位方向(MLO:Medio-Lateral Oblique)撮影、乳房の一部を撮影する拡大撮影及びスポット撮影等であってもよい。CC撮影は、上下方向(Z方向)に撮影台16と圧迫部材40とで乳房を挟み込むことで、圧迫状態の乳房を撮影する方式である。MLO撮影は、アーム部12の基台14に対する回転角度が45度以上90度未満となるよう傾けた状態で、撮影台16と圧迫部材40とで乳房を挟み込むことで、腋窩部分を含む圧迫状態の乳房を撮影する方式である。
【0055】
また例えば、撮影装置10は、トモシンセシス撮影を行うものであってもよい。トモシンセシス撮影では、照射角度が異なる複数の照射位置の各々から放射線源17Rにより乳房に向けて放射線Rを照射して、複数枚の乳房の放射線画像が撮影される。すなわちトモシンセシス撮影においては、撮影台16、圧迫部材40及び乳房等の角度は固定としたまま、放射線照射部17の基台14に対する回転角度を変えて撮影が行われる。
【0056】
また、撮影装置10では、被検者が起立している状態(立位状態)のみならず、被検者が椅子及び車椅子等に座った状態(座位状態)において、被検者の乳房がポジショニングされるものであってもよい。
【0057】
コンソール50は、RIS6から取得した撮影オーダ及びユーザの指示等に応じて放射線画像を取得するよう、撮影装置10の制御を行う機能を有する。また、コンソール50は、超音波プローブ30によって得られる乳房の超音波画像からマーカ18を検出し、検出できない場合には警告する機能を有する。以下、コンソール50について説明する。
【0058】
図7を参照して、コンソール50のハードウェア構成の一例を説明する。
図7に示すように、コンソール50は、CPU51、不揮発性の記憶部52、及び一時記憶領域としてのメモリ53を含む。また、コンソール50は、液晶ディスプレイ等のディスプレイ54、タッチパネル、キーボード及びマウス等の操作部55、並びにI/F部56を含む。I/F部56は、撮影装置10、RIS6及びその他外部装置等との有線又は無線通信を行う。CPU51、記憶部52、メモリ53、ディスプレイ54、操作部55及びI/F部56は、システムバス及びコントロールバス等のバス58を介して相互に各種情報の授受が可能に接続されている。
【0059】
記憶部52は、例えば、HDD、SSD及びフラッシュメモリ等の記憶媒体によって実現される。記憶部52には、コンソール50における制御プログラム57が記憶される。CPU51は、記憶部52から制御プログラム57を読み出してからメモリ53に展開し、展開した制御プログラム57を実行する。コンソール50としては、例えば、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末及びウェアラブル端末等を適宜適用できる。
【0060】
また、記憶部52には、撮影装置10で取得された放射線画像及び超音波画像の画像データ及びその他の各種情報等が記憶される。放射線画像及び超音波画像の画像データは、撮影オーダ及び撮影情報の少なくとも一方と対応付けられて記憶されていてもよい。撮影情報とは、例えば、撮影オーダに含まれる被検者情報及び撮影種目、撮影を行った撮影者(例えば医師及び技師等のユーザ)を示す撮影者情報、撮影を行った日時を示す日時情報、のうち少なくとも1つであってもよい。
【0061】
図8を参照して、コンソール50の機能的な構成の一例について説明する。
図8に示すように、コンソール50は、取得部60、検出部62及び制御部64を含む。CPU51が制御プログラム57を実行することにより、CPU51が取得部60、検出部62及び制御部64として機能する。
【0062】
取得部60は、撮影装置10から、圧迫部材40によって圧迫状態とされた乳房に放射線Rを照射させて撮影された放射線画像を取得する。具体的には、取得部60は、I/F部56を介して撮影装置10の記憶部22に記憶された放射線画像を取得してもよいし、記憶部52に記憶済みの放射線画像を取得してもよいし、外部装置に保存されている放射線画像を取得してもよい。
【0063】
また、取得部60は、撮影装置10から、圧迫部材40によって圧迫状態とされた乳房を超音波プローブ30によって超音波撮影して得られる超音波画像を取得する。
図9に、超音波画像98の一例を示す。
図9の超音波画像98は、
図5及び
図6に示すように、4つのマーカ18A~18Dを有する撮影面16A上に配置された乳房を超音波撮影した画像である。ただし、比較的近しい間隔d3で撮影面16A上に配置されたマーカ18C及び18Dは、超音波画像98上は一体のマーカ18CDとなっているものとする。また、超音波画像98には、関心領域4が含まれている。
【0064】
検出部62は、取得部60によって取得された超音波画像98からマーカ18を検出する。例えば
図9の場合、検出部62は、超音波画像98から複数のマーカ18A、18B及び18CDを検出する。この場合、検出部62は、4つのマーカ18A~18Dのうち2つのマーカ18A及び18Bは適切に検出できたものの、2つのマーカ18C及び18Dは適切に検出できなかったと判定する。なお、検出部62は、例えば、検出したマーカの個数が予め定められた個数(
図9の例では4つ)と異なる場合に適切に検出できなかったと判定してもよい。また例えば、検出部62は、検出したそれぞれのマーカ18A、18B及び18CDの大きさを測定して、大きさが予め定められた閾値以上のマーカがあれば、何れかのマーカが一体化しており適切に検出できていないと判定してもよい。
【0065】
また例えば、乳房が大きく厚みがあったり、高濃度乳腺(デンスブレスト)であったりする場合は、マーカを1つも検出できない可能性もある。この場合も、検出部62は、超音波画像98からマーカ18を適切に検出できなかったと判定する。
【0066】
制御部64は、検出部62が超音波画像98からマーカを検出できなかった場合に、警告する制御を行う。例えば、制御部64は、ディスプレイ54に警告文を表示させる制御を行ってもよいし、音声等による通知を行ってもよい。また、制御部64は、取得部60により取得された放射線画像と超音波画像とを対応付けてディスプレイ54に表示させる制御を行ってもよい。
【0067】
図10に、制御部64によりディスプレイ54に表示される画面D1の一例を示す。画面D1には、マンモグラフィ画像(放射線画像)90と、超音波画像98と、が対応付けられて表示されている。また、超音波画像98において、検出部62によって検出されたマーカ18A、18B及び18CDから特定される撮影面16Aの位置がハイライト99によって強調表示されている。また、検出部62によって2つのマーカ18C及び18Dが適切に検出できなかったと判定されたことから、分解能が十分ではないとする警告文が表示されている。
【0068】
また、制御部64は、取得部60により取得された放射線画像と超音波画像とを対応付けて、コンソール50の記憶部52、撮影装置10の記憶部22、及び外部の記憶装置等に記憶させてもよい。
【0069】
(変形例)
以上、超音波画像からマーカ18を検出できるか否かに応じて警告する形態について説明したが、これに限らない。例えば、マーカ18を検出できなかったとしても、異常が疑われる関心領域が圧迫部材40に近しい比較的浅い領域にあれば、警告は不要な場合もある。そこで、コンソール50は、マーカ18の検出結果に加えて、関心領域の深さ位置に応じて、警告を発するか否かを異ならせてもよい。以下、この場合の具体例について説明する。
【0070】
取得部60は、撮影装置10から、圧迫部材40によって圧迫状態とされた乳房の複数の断層面のそれぞれにおける断層画像を取得する。
図11に、乳房2の任意の断層面のそれぞれを表す複数の断層画像T1~Tmの一例を示す。これらの断層画像T1~Tmは、例えばトモシンセシス撮影により得られる。
図11の例では、ある断層画像Txに、乳房2に異常が疑われる関心領域4が含まれているものとする。また、
図11の断層画像T1は、圧迫部材40と乳房2との接触面における断層画像であるものとする。
【0071】
検出部62は、取得部60により取得された複数の断層画像T1~Tmに基づいて、乳房2に含まれる関心領域4について、圧迫部材40と乳房2との接触面からの圧迫方向における深さ位置を特定する。
図11の例では、検出部62は、断層画像T1から、関心領域4が含まれる断層画像Txまでの距離をスライス厚等に応じて導出し、深さ位置として特定する。
【0072】
なお、関心領域4の位置の特定方法としては、例えば、公知のCAD(Computer Aided Detection/Diagnosis)技術を用いた方法を適宜適用できる。CAD技術を用いて関心領域を特定する方法としては、例えば、CNN(Convolutional Neural Network)等の学習モデルを用いた方法を適用してもよい。例えば、検出部62は、断層画像T1~Tmのそれぞれを入力とし、当該断層画像T1~Tmに含まれる関心領域を抽出して出力するよう学習された学習モデルを用いて、各断層画像T1~Tmにおける関心領域の位置を特定してもよい。また例えば、検出部62は、操作部55を介してユーザにより指定された領域を関心領域として特定してもよい。
【0073】
制御部64は、検出部62によって検出された関心領域4の深さ位置が予め定められた閾値以上であり、かつ、検出部62によって超音波画像からマーカ18を検出できなかった場合に、警告する制御を行う。閾値としては、例えば、乳房の個体差に依らず、分解能が十分に確保できていることが予め分かっている深さ位置等を適宜設定できる。
【0074】
次に、
図12を参照して、本実施形態に係るコンソール50の作用を説明する。コンソール50において、CPU51が制御プログラム57を実行することによって、
図12に示す制御処理が実行される。制御処理は、例えば、ユーザにより操作部55を介して実行開始の指示があった場合に実行される。
【0075】
ステップS10で、取得部60は、撮影装置10で撮影された超音波画像を取得する。ステップS12で、検出部62は、ステップS10で取得された超音波画像からマーカ18の検出を試みる。ステップS12においてマーカ18を検出できた場合は、本制御処理を終了する。
【0076】
一方、ステップS12においてマーカ18を検出できなかった場合(マーカ18が複数ある場合は、その一部でも検出できなかった場合)は、ステップS14へ移行する。ステップS14で、取得部60は、撮影装置10から、圧迫部材40によって圧迫状態とされた乳房の複数の断層面のそれぞれにおける断層画像を取得する。ステップS16で、検出部62は、ステップS14で取得された複数の断層画像T1~Tmに基づいて、乳房に含まれる関心領域について、圧迫部材40と乳房との接触面からの圧迫方向における深さ位置を特定する。
【0077】
ステップS18で、制御部64は、ステップS16で特定された関心領域の深さ位置が予め定められた閾値以上であるか否かを判定する。ステップS18において関心領域の深さ位置が予め定められた閾値未満である場合、マーカ18は検出できないものの、関心領域が圧迫部材40に近しい比較的浅い領域にあるので、警告は不要であるとして、本制御処理を終了する。
【0078】
一方、ステップS18において関心領域の深さ位置が予め定められた閾値以上である場合、ステップS20へ移行する。ステップS20で、制御部64は、関心領域の深さ位置が予め定められた閾値以上であり、かつ、超音波画像からマーカ18を検出できなかったとして、警告する制御を行う。ステップS20が完了すると、本制御処理を終了する。
【0079】
以上説明したように、本開示の一態様に係る撮影装置10は、少なくとも1つのマーカ18が配置された撮影面16Aを有する撮影台16と、撮影面16A上に配置される乳房2を圧迫状態とするための圧迫部材40と、圧迫部材40によって圧迫状態とされた乳房2の超音波画像を得る超音波プローブ30と、を備える。
【0080】
すなわち、本実施形態に係る撮影装置10によれば、撮影された超音波画像からマーカ18を検出できるか否かを確認することによって、検査対象の乳房2の、特に超音波プローブ30から離れた部位(撮影台16側)について十分な精度の超音波画像を撮影できているかを確認できる。したがって、撮影台に設けられたマーカを読み取れる精度での超音波画像の撮影を支援できる。
【0081】
なお、上記実施形態では、コンソール50が本開示の制御装置の一例である形態について説明したが、コンソール50以外の装置が本開示の制御装置の機能を備えていてもよい。換言すると、取得部60、検出部62及び制御部64の機能の一部又は全部を、例えば撮影装置10及び外部装置等の、コンソール50以外の装置が備えていてもよい。
【0082】
また、上記実施形態において、例えば、制御部20、取得部60、検出部62及び制御部64といった各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0083】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0084】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System on Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0085】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【0086】
また、上記各実施形態では、撮影装置10における各種プログラムが制御部20に含まれるROMに予め記憶(インストール)され、コンソール50における制御プログラム57が記憶部52に予め記憶されている態様を説明したが、これに限定されない。撮影装置10における各種プログラム及び制御プログラム57は、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、撮影装置10における各種プログラム及び制御プログラム57は、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。さらに、本開示の技術は、プログラムに加えて、プログラムを非一時的に記憶する記憶媒体にもおよぶ。
【0087】
本開示の技術は、上記実施形態例及び実施例を適宜組み合わせることも可能である。以上に示した記載内容及び図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用及び効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用及び効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容及び図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0088】
1 撮影システム
2 乳房
4 関心領域
6 RIS
10 撮影装置
12 アーム部
14 基台
15 軸部
16 撮影台
16A 撮影面
17 放射線照射部
17R 放射線源
18、18A~18D、18CD マーカ
20、64 制御部
22、52 記憶部
24、56 I/F部
26、55 操作部
28 放射線検出器
30 超音波プローブ
36 支持部
38 プローブユニット
40、40S 圧迫部材
42 圧迫部
43 底部
43A 上面
43B 接触面
44 壁部
46 支持部
47 取付部
48 圧迫ユニット
49 腕
50 コンソール
51 CPU
53 メモリ
54 ディスプレイ
57 制御プログラム
58 バス
60 取得部
62 検出部
64 制御部
90 放射線画像
98 超音波画像
99 ハイライト
D1 画面
R 放射線
T1~Tm 断層画像
U 超音波