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特開2024-128886情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128886
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20240101AFI20240913BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20240913BHJP
   A61B 8/14 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
A61B6/00 390C
A61B6/00 330Z
A61B5/055 380
A61B5/055 383
A61B8/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038160
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀内 久嗣
(72)【発明者】
【氏名】森田 清輝
(72)【発明者】
【氏名】溝口 高志
(72)【発明者】
【氏名】和田 幸恵
【テーマコード(参考)】
4C093
4C096
4C601
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093AA26
4C093CA16
4C093DA06
4C093ED21
4C093EE30
4C093FA44
4C093FF15
4C093FF21
4C093FF35
4C093FF37
4C096AA18
4C096AB37
4C096AC04
4C096AD14
4C096AD24
4C096DC18
4C096DC22
4C096DC33
4C601BB03
4C601DD08
4C601EE09
4C601GA18
4C601GA21
4C601GC03
4C601KK24
4C601LL33
(57)【要約】
【課題】同一の被写体に関する複数の医用画像について、被写部位が完全には一致しない、あるいは被写部位の状態が完全には一致しない場合であっても、位置合わせが可能となる情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供する。
【解決手段】コンソール50は、少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、被検者を光学撮影して得られる第1光学画像に含まれる被検者の身体的特徴に基づいて特定される第1基準位置に対応付けられた、被検者の第1医用画像を取得し、第1基準位置又は第1基準位置と略同一の位置を示す第2基準位置に対応付けられた、被検者の第2医用画像を取得し、第1基準位置と第2基準位置とに基づいて、第1医用画像と第2医用画像とを対応付けた結果を出力する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
被検者を光学撮影して得られる第1光学画像に含まれる前記被検者の身体的特徴に基づいて特定される第1基準位置に対応付けられた、前記被検者の第1医用画像を取得し、
前記第1基準位置又は前記第1基準位置と略同一の位置を示す第2基準位置に対応付けられた、前記被検者の第2医用画像を取得し、
前記第1基準位置と前記第2基準位置とに基づいて、前記第1医用画像と前記第2医用画像とを対応付けた結果を出力する
情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記第1光学画像を取得し、
前記第1光学画像に含まれる前記被検者の身体的特徴に基づいて、前記第1基準位置を特定し、
前記第1医用画像と、特定した前記第1基準位置とを対応付ける
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1光学画像と前記第1医用画像は、それぞれ略同一の第1時点において撮影された画像である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記第2医用画像の撮影時点と略同一の第2時点において前記被検者を光学撮影して得られる第2光学画像を取得し、
前記第2光学画像に含まれる前記被検者の身体的特徴に基づいて、前記第2基準位置を特定し、
特定した前記第2基準位置と前記第2医用画像とを対応付ける
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記第1医用画像と前記第2医用画像とを対応付けた結果を記憶部に記憶させる
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記第1基準位置と前記第2基準位置とに基づいて、前記第1医用画像と前記第2医用画像とを位置合わせして、ディスプレイに表示させる又はプリンタによって用紙に印刷させる
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第1光学画像は、前記被検者の前記第1医用画像に含まれない部位を光学撮影して得られる画像である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記被検者の身体的特徴とは、前記被検者の関節点である
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記第1光学画像は、前記被検者の背面側から前記被検者を撮影して得られる画像である
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記第1光学画像は、前記被検者の頭上側から前記被検者を撮影して得られる画像である
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記第1光学画像は、可視光画像及び深度画像の少なくとも一方である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記第1医用画像は、マンモグラフィ画像であり、
前記第2医用画像は、超音波画像である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記第1医用画像は、マンモグラフィ画像であり、
前記第2医用画像は、コンピュータ断層撮影画像である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記第1医用画像は、マンモグラフィ画像であり、
前記第2医用画像は、磁気共鳴画像である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記第1医用画像は、前記被検者の左乳房のマンモグラフィ画像であり、
前記第2医用画像は、前記被検者の右乳房のマンモグラフィ画像である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記第1医用画像は、放射線源の焦点から被写体となる乳房までの撮影距離を第1距離として撮影されたマンモグラフィ画像であり、
前記第2医用画像は、前記撮影距離を、前記第1距離よりも短い第2距離として撮影された拡大マンモグラフィ画像であり、
前記プロセッサは、
前記第2距離に基づいて、前記第2医用画像の拡大率を導出し、
前記拡大率に基づいて、前記第2医用画像を縮小し、
縮小した前記第2医用画像と前記第1医用画像とを対応付けた結果を出力する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項17】
被検者を光学撮影して得られる第1光学画像に含まれる前記被検者の身体的特徴に基づいて特定される第1基準位置に対応付けられた、前記被検者の第1医用画像を取得し、
前記第1基準位置又は前記第1基準位置と略同一の位置を示す第2基準位置に対応付けられた、前記被検者の第2医用画像を取得し、
前記第1基準位置と前記第2基準位置とに基づいて、前記第1医用画像と前記第2医用画像とを対応付けた結果を出力する
処理を含む情報処理方法。
【請求項18】
被検者を光学撮影して得られる第1光学画像に含まれる前記被検者の身体的特徴に基づいて特定される第1基準位置に対応付けられた、前記被検者の第1医用画像を取得し、
前記第1基準位置又は前記第1基準位置と略同一の位置を示す第2基準位置に対応付けられた、前記被検者の第2医用画像を取得し、
前記第1基準位置と前記第2基準位置とに基づいて、前記第1医用画像と前記第2医用画像とを対応付けた結果を出力する
処理をコンピュータが実行するための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乳房の放射線画像を撮影するマンモグラフィ装置が知られている。また、病巣の検出精度の向上及び検査の効率化といった観点から、放射線画像に加えて乳房の超音波画像も撮影可能な装置が提案されている。例えば、特許文献1には、圧迫部材によって圧迫状態とされた乳房の放射線画像と超音波画像とを撮影する装置が開示されている。
【0003】
また例えば、特許文献2には、被検体の放射線画像と光画像を取得し、新たに放射線画像を取得する場合には、新たに取得した光画像と過去の光画像との位置ずれ量を算出し、位置ずれ量が基準値以下であるかを確かめることが開示されている。特許文献2に記載の技術では、被検体にマーカを付帯させて光画像に写り込むようにすることによって、マーカに基づく位置ずれ量の算出を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-176509号公報
【特許文献2】特開2004-283366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、1の被写体を複数回撮影することによって、比較読影を行う機会が増加している。また例えば、マンモグラフィ、超音波撮影、CT(Computed Tomography)撮影及びMRI(Magnetic Resonance Imaging)撮影等の異なる複数種の医用画像を組み合わせて比較読影する機会が増加している。これに伴い、複数の医用画像間の位置合わせを行うことによって、比較読影を容易にすることへの要求が高まっている。特許文献2に記載の技術では、位置ずれ量の算出にマーカを用いており、マーカの装着に手間がかかる。特にマンモグラフィ撮影においては、上半身裸で撮影を行う場合もあり、このようなマーカを用いずに位置合わせを行えるようにすることが望まれている。
【0006】
本開示は、同一の被写体に関する複数の医用画像について、被写部位が完全には一致しない、あるいは被写部位の状態が完全には一致しない場合であっても、位置合わせが可能となる情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様は、少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、被検者を光学撮影して得られる第1光学画像に含まれる被検者の身体的特徴に基づいて特定される第1基準位置に対応付けられた、被検者の第1医用画像を取得し、第1基準位置又は第1基準位置と略同一の位置を示す第2基準位置に対応付けられた、被検者の第2医用画像を取得し、第1基準位置と第2基準位置とに基づいて、第1医用画像と第2医用画像とを対応付けた結果を出力する。
【0008】
上記第1の態様において、プロセッサは、第1光学画像を取得し、第1光学画像に含まれる被検者の身体的特徴に基づいて、第1基準位置を特定し、第1医用画像と、特定した第1基準位置とを対応付けてもよい。
【0009】
上記第1の態様において、第1光学画像と第1医用画像は、それぞれ略同一の第1時点において撮影された画像であってもよい。
【0010】
上記第1の態様において、プロセッサは、第2医用画像の撮影時点と略同一の第2時点において被検者を光学撮影して得られる第2光学画像を取得し、第2光学画像に含まれる被検者の身体的特徴に基づいて、第2基準位置を特定し、特定した第2基準位置と第2医用画像とを対応付けてもよい。
【0011】
上記第1の態様において、プロセッサは、第1医用画像と第2医用画像とを対応付けた結果を記憶部に記憶させてもよい。
【0012】
上記第1の態様において、プロセッサは、第1基準位置と第2基準位置とに基づいて、第1医用画像と第2医用画像とを位置合わせして、ディスプレイに表示させる又はプリンタによって用紙に印刷させてもよい。
【0013】
上記第1の態様において、第1光学画像は、被検者の第1医用画像に含まれない部位を光学撮影して得られる画像であってもよい。
【0014】
上記第1の態様において、被検者の身体的特徴とは、被検者の関節点であってもよい。
【0015】
上記第1の態様において、第1光学画像は、被検者の背面側から被検者を撮影して得られる画像であってもよい。
【0016】
上記第1の態様において、第1光学画像は、被検者の頭上側から被検者を撮影して得られる画像であってもよい。
【0017】
上記第1の態様において、第1光学画像は、可視光画像及び深度画像の少なくとも一方であってもよい。
【0018】
上記第1の態様において、第1医用画像は、マンモグラフィ画像であり、第2医用画像は、超音波画像であってもよい。
【0019】
上記第1の態様において、第1医用画像は、マンモグラフィ画像であり、第2医用画像は、コンピュータ断層撮影画像であってもよい。
【0020】
上記第1の態様において、第1医用画像は、マンモグラフィ画像であり、第2医用画像は、磁気共鳴画像であってもよい。
【0021】
上記第1の態様において、第1医用画像は、被検者の左乳房のマンモグラフィ画像であり、第2医用画像は、被検者の右乳房のマンモグラフィ画像であってもよい。
【0022】
上記第1の態様において、第1医用画像は、放射線源の焦点から被写体となる乳房までの撮影距離を第1距離として撮影されたマンモグラフィ画像であり、第2医用画像は、撮影距離を、第1距離よりも短い第2距離として撮影された拡大マンモグラフィ画像であり、プロセッサは、第2距離に基づいて、第2医用画像の拡大率を導出し、拡大率に基づいて、第2医用画像を縮小し、縮小した第2医用画像と第1医用画像とを対応付けた結果を出力してもよい。
【0023】
本開示の第2の態様は、情報処理方法であって、被検者を光学撮影して得られる第1光学画像に含まれる被検者の身体的特徴に基づいて特定される第1基準位置に対応付けられた、被検者の第1医用画像を取得し、第1基準位置又は第1基準位置と略同一の位置を示す第2基準位置に対応付けられた、被検者の第2医用画像を取得し、第1基準位置と第2基準位置とに基づいて、第1医用画像と第2医用画像とを対応付けた結果を出力する処理を含む。
【0024】
本開示の第2の態様は、情報処理プログラムであって、被検者を光学撮影して得られる第1光学画像に含まれる被検者の身体的特徴に基づいて特定される第1基準位置に対応付けられた、被検者の第1医用画像を取得し、第1基準位置又は第1基準位置と略同一の位置を示す第2基準位置に対応付けられた、被検者の第2医用画像を取得し、第1基準位置と第2基準位置とに基づいて、第1医用画像と第2医用画像とを対応付けた結果を出力する処理をコンピュータが実行するためのものである。
【発明の効果】
【0025】
上記態様によれば、本開示の情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムは、同一の被写体に関する複数の医用画像について、被写部位が完全には一致しない、あるいは被写部位の状態が完全には一致しない場合であっても、位置合わせが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】撮影システムの概略構成の一例を示す図である。
図2】撮影装置の外観の一例を示す側面図である。
図3】圧迫部材の概略構成の一例を示す三面図である。
図4】圧迫部材の概略構成の一例を示す三面図である。
図5】コンソールのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図6】コンソールの機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図7】可視光画像の一例を示す図である。
図8】第1実施例に係る第1の医用画像の一例を示す図である。
図9】第1実施例に係る第1の医用画像と第2の医用画像の一例を示す図である。
図10】第1実施例に係るディスプレイに表示される画面の一例を示す図である。
図11】第2実施例に係るディスプレイに表示される画面の一例を示す図である。
図12】第3実施例に係るディスプレイに表示される画面の一例を示す図である。
図13】第4実施例に係る補正画像の一例を示す図である。
図14】拡大放射線撮影の概略図である。
図15】第5実施例に係る補正画像の一例を示す図である。
図16】情報処理の一例を示すフローチャートである。
図17】可視光画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本開示の実施形態について説明する。
【0028】
まず、図1を参照して、撮影システム1の構成について説明する。図1は、撮影システム1の概略構成を示す図である。図1に示すように、撮影システム1は、撮影装置10と、コンソール50と、光学カメラ8とを備える。撮影装置10とコンソール50、光学カメラ8とコンソール50、コンソール50と外部のRIS(Radiology Information System)6は、有線又は無線のネットワークを介して接続可能に構成されている。
【0029】
撮影システム1においては、コンソール50がRIS6から撮影オーダ等を取得し、当該撮影オーダ及びユーザの指示等に応じて、撮影装置10の制御を行う。撮影装置10は、圧迫部材40によって圧迫状態とされた被検者の乳房を被写体として、放射線画像及び超音波画像を取得する。コンソール50が、本開示の情報処理装置の一例である。
【0030】
次に、図2を参照して、撮影装置10の概略構成について説明する。図2は、撮影装置10の外観の一例を示す側面図であり、被検者の右側から撮影装置10を見た場合の図である。図2に示すように、撮影装置10は、放射線源17Rと、放射線検出器28と、放射線源17Rと放射線検出器28との間に配置された撮影台16と、撮影台16との間で乳房2を圧迫する圧迫部材40と、放射線源17Rと圧迫部材40との間に配置された超音波プローブ30と、を備える。撮影装置10では、医師及び技師等のユーザによって、撮影台16の撮影面16A上に被検者の乳房2がポジショニングされる。
【0031】
撮影装置10は、アーム部12、基台14及び軸部15を備える。アーム部12は、基台14によって、上下方向(Z方向)に移動可能に保持される。軸部15は、アーム部12を基台14に連結する。アーム部12は、軸部15を回転軸として、基台14に対して相対的に回転可能となっている。また、アーム部12は、放射線照射部17を備える上部と撮影台16を備える下部とで別々に、軸部15を回転軸として、基台14に対して相対的に回転可能となっていてもよい。
【0032】
アーム部12は、放射線照射部17及び撮影台16を備える。放射線照射部17は、放射線源17Rを備え、放射線源17Rから照射される放射線(例えばX線)の照射野を変更可能に構成されている。照射野の変更は、例えば、ユーザが操作部26を操作することで行われてもよいし、取り付けられた圧迫部材40の種類に応じて制御部20が行うものであってもよい。放射線源17Rは、圧迫部材40によって圧迫状態とされた乳房に放射線Rを照射する。
【0033】
撮影台16は、制御部20、記憶部22、I/F(Interface)部24、操作部26及び放射線検出器28を備える。制御部20は、コンソール50の制御に応じて、撮影装置10の全体の動作を制御する。制御部20は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備える(図示省略)。ROMには、CPUで実行される、放射線画像及び超音波画像の取得に関する制御を行うためのプログラムを含む各種プログラムが予め記憶されている。RAMは、各種データを一時的に記憶する。
【0034】
記憶部22には、放射線画像及び超音波画像のデータ及びその他の各種情報等が記憶される。記憶部22は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)及びフラッシュメモリ等の記憶媒体によって実現される。
【0035】
I/F部24は、有線通信又は無線通信により、コンソール50との間で各種情報の通信を行う。具体的には、I/F部24は、コンソール50から撮影装置10の制御に関する情報を受信する。また、I/F部24は、コンソール50に対して、放射線画像及び超音波画像のデータを送信する。
【0036】
操作部26は、撮影台16等に設けられた、ユーザが手又は足等で操作可能なパーツであり、例えばスイッチ、ボタン及びタッチパネル等である。また例えば、操作部26は、ユーザによる音声入力を受け付けてもよい。
【0037】
放射線検出器28は、撮影台16の内部に配置され、乳房及び撮影台16を透過した放射線Rを検出し、検出した放射線Rに基づいて放射線画像を生成し、生成した放射線画像を表す画像データを出力する。なお、放射線検出器28の種類は特に限定されず、例えば、放射線Rを光に変換し、変換した光を電荷に変換する間接変換方式の放射線検出器であってもよいし、放射線Rを直接電荷に変換する直接変換方式の放射線検出器であってもよい。
【0038】
また、アーム部12には、プローブユニット38及び圧迫ユニット48が連結される。プローブユニット38には、超音波プローブ30を着脱可能に支持する支持部36が取り付けられる。プローブユニット38に備えられた駆動部(図示省略)によって、支持部36(超音波プローブ30)が上下方向(Z方向)及び水平方向(X方向及びY方向)に移動される。また、支持部36は、プローブユニット38との係合部を回転軸として、基台14に対して相対的に回転可能となっていてもよい。支持部36は、放射線Rを透過する材料で形成されていることが好ましい。また、支持部36は、超音波プローブ30の位置を一時的に固定できるように構成されていることが好ましい。
【0039】
超音波プローブ30は、圧迫部材40によって圧迫状態とされた乳房の超音波画像を得るためのものであり、放射線源17Rと圧迫部材40との間に配置され、超音波を圧迫部材40を介して乳房に照射し、乳房からの反射波を受信する。具体的には、超音波プローブ30は、超音波トランスデューサアレイを備える。超音波トランスデューサアレイは、複数の超音波トランスデューサが一次元状又は二次元状に配列された構成である。超音波トランスデューサは、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(lead) Zirconate Titanate)に代表される圧電セラミック、及びポリフッ化ビニリデン(PVDF:Polyvinylidene Difluoride)に代表される高分子圧電素子等の圧電体の両端に電極を形成してなる。また、プローブユニット38には、超音波プローブ30が受信した乳房からの反射波を超音波画像に変換する変換器(図示省略)が内包され、変換器によって超音波画像が得られる。
【0040】
また、撮影装置10には、互いに異なる複数種類の超音波プローブ30が取付可能であってもよい。例えば、被検者の体格(例えば乳房の大きさ)、乳房の組織構成(例えば脂肪量及び乳腺量)、並びに撮影の種類(例えば拡大撮影及びスポット撮影)等に応じて、それぞれ異なる種類の超音波プローブ30が用意され、撮影装置10に着脱できるようになっていてもよい。例えば、中心周波数が約7.5MHzのリニア型プローブ(表在等用)、中心周波数が約3.5MHzのコンベックス型プローブ(腹部等用)、及び中心周波数が約2.5MHzのセクタ型プローブ(心臓等用)等の、性能及び寸法が異なる超音波プローブ30を選択的に用いてもよい。
【0041】
圧迫ユニット48には、圧迫部材40を支持する支持部46が着脱可能に取り付けられる。圧迫ユニット48に備えられた駆動部(図示省略)によって、支持部46(圧迫部材40)が上下方向(Z方向)に移動される。また、支持部46は、圧迫ユニット48との係合部を回転軸として、基台14に対して相対的に回転可能となっていてもよい。
【0042】
圧迫部材40は、撮影面16A上に配置される乳房を圧迫状態とするためのものである。具体的には、圧迫部材40は、放射線源17Rと撮影台16との間に配置され、撮影台16との間で乳房を挟み込むことによって、乳房を圧迫状態にする。図3に、圧迫部材40の一例の三面図を示す。図3の三面図には、圧迫部材40を上側(放射線照射部17側)から見た上面図、被検者側から見た側面図、及び被検者の右側から見た側面図が含まれる。図3に示すように、圧迫部材40は、圧迫部42及び支持部46を含む。
【0043】
支持部46は、取付部47及び腕49を含む。取付部47は、圧迫部材40を撮影装置10、具体的には圧迫ユニット48の駆動部に取り付ける。腕49は、圧迫部42を支持する。
【0044】
圧迫部42は、高さが略一様の壁部44によって、略平坦に構成された底部43が囲まれ、断面形状が凹型に形成されている。圧迫部42は、乳房の圧迫においてポジショニング及び圧迫状態の確認を行うために、光学的に透明又は半透明の材料で形成されることが好ましい。また、圧迫部42は、放射線R及び超音波の透過性に優れた材料で形成されることが好ましい。また、圧迫部42は、例えば落下強度及び圧縮強度等の強度に優れた材料で形成されることが好ましい。
【0045】
このような材料としては、例えば、ポリメチルペンテン(PMP:Polymethylpentene)、ポリカーボネート(PC:Polycarbonate)、アクリル、ポリプロピレン(PP:Polypropylene)及びポリエチレンテレフタラート(PET:Polyethylene Terephthalate)等の樹脂を用いることができる。特にポリメチルペンテンは、超音波の透過率及び反射率に影響する音響インピーダンスが、他の材料と比較して人体(乳房)と近い値となっており、超音波画像に与えるノイズの割合を低下できる。したがって、圧迫部42の材料としては、ポリメチルペンテンが好適である。
【0046】
また、撮影装置10には、互いに異なる複数種類の圧迫部材40が取付可能であってもよい。例えば、被検者の体格(例えば乳房の大きさ)、乳房の組織構成(例えば脂肪量及び乳腺量)、並びに撮影の種類(例えば拡大撮影及びスポット撮影)等に応じて、それぞれ異なる種類の圧迫部材40が用意され、撮影装置10に着脱できるようになっていてもよい。具体的には、乳房の大きさに応じた圧迫部材、腋窩撮影用の圧迫部材、拡大撮影用の圧迫部材、並びに、病変が存在する領域のみの放射線画像を撮影する、いわゆるスポット撮影用の圧迫部材等を用いてもよい。すなわち、圧迫部材40は、乳房全体を圧迫するものに限らず、乳房の一部を圧迫するような乳房よりも小さいものであってもよい。
【0047】
図4に、図3の圧迫部材40と異なる他の形態の一例として、小乳房用の圧迫部材40Sの三面図を示す。図4の三面図には、圧迫部材40Sを上側(放射線照射部17側)から見た上面図、被検者側から見た側面図、及び被検者の右側から見た側面図が含まれる。圧迫部材40Sは、図3の圧迫部材40と同様に、圧迫部42及び支持部46を含む。圧迫部材40Sにおいては、底部43が平坦ではなく、胸壁側(取付部47から離れた側)に比べて、取付部47側が高くなっている。また、壁部44は、高さが一様ではなく、胸壁側の一部の高さが、その他の部分の高さに比べて低くなっている。このような形状によって、圧迫部材40Sは、小さい乳房であってもポジショニング及び圧迫が容易となっている。
【0048】
このように、撮影装置10においては、乳房を圧迫状態とするための圧迫部材40、及び超音波画像を取得するための超音波プローブ30の少なくとも一方を着脱可能としてもよい。すなわち、撮影装置10には、それぞれ寸法の異なる複数種類の圧迫部材40及び超音波プローブ30が取付可能であってもよい。この場合、撮影装置10は、取り付けられている圧迫部材40及び超音波プローブ30の種類を検出してもよい。
【0049】
例えば、圧迫部材40の取付部47に、圧迫部材40の種類ごとに配置が異なる複数のピンを識別情報として設け、圧迫ユニット48に設けられたピンの配置の検知が可能なセンサ(例えばフォトインタラプタ等)によって、識別情報を読み取ってもよい。また例えば、圧迫部材40の任意の位置に圧迫部材40の種類に応じたマーカ(例えばバーコード及び二次元コード等)を識別情報として設け、当該マーカを検出可能なセンサ(例えばCCD(Charge Coupled Device)センサ等)によって、識別情報を読み取ってもよい。
【0050】
また例えば、圧迫部材40の任意の位置に圧迫部材40の種類に応じた識別情報を有するRFID(Radio Frequency Identification)タグを設け、当該RFIDタグを読取可能なRFIDリーダによって、識別情報を読み取ってもよい。また例えば、圧迫部材40の種類ごとの重さと識別情報とを対応付けて予め記憶部22に記憶しておき、重さを検出可能なセンサによって取り付けられた圧迫部材40の重さを測定し、測定値に基づいて識別情報(圧迫部材40の種類)を特定してもよい。
【0051】
超音波プローブ30についても同様に、例えばピン、マーカ、RFIDタグ及び重さ等に応じて、取り付けられた超音波プローブ30の種類を識別してもよい。
【0052】
なお、圧迫部材40の底部43の上面43A及び/又は乳房との接触面43Bには、ゲル状又は液状の超音波透過性を有する媒質が塗布されていてもよい。このような媒質としては、例えば、人体(乳房)の音響インピーダンスに近い音響インピーダンスを有する公知の超音波検査用ゼリーを適用できる。すなわち、撮影装置10は、ゲル状又は液状の超音波透過性を有する媒質が塗布された状態の圧迫部材40によって圧迫状態とされた乳房の超音波画像を、圧迫部材40を介して取得してもよい。この場合、超音波プローブ30の超音波放射面と上面43Aとの界面、及び/又は、接触面43Bと乳房との界面に空気が入ることを抑制でき、各界面における音響インピーダンスの差を小さくできるので、超音波画像に与えるノイズの割合を低下できる。
【0053】
なお、撮影装置10による乳房の撮影方式は特に限定されない。例えば頭尾方向(CC:Cranio-Caudal)撮影、内外斜位方向(MLO:Medio-Lateral Oblique)撮影、乳房の一部を撮影する拡大撮影及びスポット撮影等であってもよい。CC撮影は、上下方向(Z方向)に撮影台16と圧迫部材40とで乳房を挟み込むことで、圧迫状態の乳房を撮影する方式である。MLO撮影は、アーム部12の基台14に対する回転角度が45度以上90度未満となるよう傾けた状態で、撮影台16と圧迫部材40とで乳房を挟み込むことで、腋窩部分を含む圧迫状態の乳房を撮影する方式である。
【0054】
また例えば、撮影装置10は、トモシンセシス撮影を行うものであってもよい。トモシンセシス撮影では、照射角度が異なる複数の照射位置の各々から放射線源17Rにより乳房に向けて放射線Rを照射して、複数枚の乳房の放射線画像が撮影される。すなわちトモシンセシス撮影においては、撮影台16、圧迫部材40及び乳房等の角度は固定としたまま、放射線照射部17の基台14に対する回転角度を変えて撮影が行われる。
【0055】
また、撮影装置10では、被検者が起立している状態(立位状態)のみならず、被検者が椅子及び車椅子等に座った状態(座位状態)において、被検者の乳房がポジショニングされるものであってもよい。
【0056】
光学カメラ8は、被検者の頭上側から被検者を光学撮影し、光学画像を得る(図7参照)。例えば、光学カメラ8は、被検者の可視光画像を撮影する、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型イメージセンサ又はCCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサ等を含んで構成された光学式のデジタルカメラである。光学カメラ8と、撮影装置10(特に放射線検出器28又は照射野)と、の位置関係は予め定められている。なお、光学カメラ8は、例えば撮影装置10のアーム部12等に設けられていてもよいし、撮影装置10が配置された撮影室の壁及び天井等に設けられていてもよい。
【0057】
また、光学カメラ8は、被検者の医用画像に含まれない部位を光学撮影するものである。具体的には、撮影装置10によって得られる放射線画像及び超音波画像には、乳房が被写体として含まれる。しかしながら、圧迫状態の乳房を放射線撮影及び超音波画像する場合には、圧迫圧力、圧迫厚さ及びポジショニングの仕方、並びに撮影時の乳房の状態等に応じて、画像に写り込む乳房の形状及び位置が変化する場合がある。また、脂肪を多く含む乳房の形状は、同じ被検者でも経時的に変化しやすく、治療によって乳房の一部が切除される場合もある。そこで、光学カメラ8は、医用画像の被写体である乳房以外の被検者の身体的特徴、特に被検者の関節点を含む光学画像を撮影することによって、被検者ごとに固有で変化の小さい基準位置の特定に活用可能とする(詳細は後述)。
【0058】
ところで、例えば経過観察及び定期検査等のために同一の乳房を複数回撮影する場合、乳房の写り込み方が異なると比較読影がしづらい場合がある。また、マンモグラフィ、超音波撮影、CT撮影及びMRI撮影等の異なる複数種の医用画像を組み合わせて比較読影する場合、当然各画像への乳房の写り込み方は異なるので、比較読影がしづらい場合がある。
【0059】
そこで、本実施形態に係るコンソール50は、光学カメラ8によって得られた光学画像に基づいて、医用画像間で共通と推定される基準位置を医用画像ごと特定し、基準位置に基づいて複数の医用画像間の位置合わせを行う。これにより、同一の被写体に関する複数の医用画像について、被写部位が完全には一致しない、あるいは被写部位の状態が完全には一致しない場合であっても、位置合わせを可能とする。以下、コンソール50について説明する。
【0060】
図5を参照して、コンソール50のハードウェア構成の一例を説明する。図5に示すように、コンソール50は、CPU51、不揮発性の記憶部52、及び一時記憶領域としてのメモリ53を含む。また、コンソール50は、液晶ディスプレイ等のディスプレイ54、タッチパネル、キーボード及びマウス等の操作部55、並びにI/F部56を含む。I/F部56は、光学カメラ8、撮影装置10、RIS6及びその他外部装置等との有線又は無線通信を行う。CPU51、記憶部52、メモリ53、ディスプレイ54、操作部55及びI/F部56は、システムバス及びコントロールバス等のバス58を介して相互に各種情報の授受が可能に接続されている。
【0061】
記憶部52は、例えば、HDD、SSD及びフラッシュメモリ等の記憶媒体によって実現される。記憶部52には、コンソール50における情報処理プログラム57が記憶される。CPU51は、記憶部52から情報処理プログラム57を読み出してからメモリ53に展開し、展開した情報処理プログラム57を実行する。コンソール50としては、例えば、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末及びウェアラブル端末等を適宜適用できる。
【0062】
また、記憶部52には、光学カメラ8で撮影された光学画像、撮影装置10で取得された放射線画像及び超音波画像の画像データ、並びにその他の各種情報等が記憶される。光学画像、放射線画像及び超音波画像の画像データは、撮影オーダ及び撮影情報の少なくとも一方と対応付けられて記憶されていてもよい。撮影情報とは、例えば、撮影オーダに含まれる被検者情報及び撮影種目、撮影を行った撮影者(例えば医師及び技師等のユーザ)を示す撮影者情報、撮影を行った日時を示す日時情報、のうち少なくとも1つであってもよい。
【0063】
図6を参照して、コンソール50の機能的な構成の一例について説明する。図8に示すように、コンソール50は、取得部60、特定部62及び制御部66を含む。CPU51が情報処理プログラム57を実行することにより、CPU51が取得部60、特定部62及び制御部66として機能する。
【0064】
(第1実施例)
図7図10を参照して、第1実施例について説明する。第1実施例は、ある被検者の左乳房を被写体として、2回にわたって放射線撮影を行う場合の例である。
【0065】
取得部60は、光学カメラ8から、ある第1時点において撮影された被検者の第1光学画像を取得する。図7に、第1光学画像の一例として、被検者Hの頭上側から被検者Hを撮影して得られる可視光画像80を示す。図7の可視光画像80には、被検者Hと、撮影装置10が写り込んでいる。なお、図7において、説明のために、可視光画像80には写らない左乳房のスキンライン及び放射線検出器28の領域を点線で図示している。
【0066】
また、取得部60は、撮影装置10から、第1時点において撮影された被検者の第1医用画像を取得する。具体的には、取得部60は、I/F部56を介して撮影装置10の記憶部22に記憶された第1医用画像を取得してもよいし、記憶部52に記憶済みの第1医用画像を取得してもよいし、外部装置に保存されている第1医用画像を取得してもよい。図8に、第1医用画像の一例として、圧迫状態とされた左乳房のマンモグラフィ画像90Lを示す。
【0067】
なお、第1医用画像と第1光学画像とが撮影される「第1時点」とは略同一の時点であり、時刻的に全く同一でなくともよく、時間幅(例えば1分間程度)をもっていてもよい。すなわち、第1医用画像の撮影時点における被検者の状態(姿勢及び位置等)と、第1光学画像の撮影時点における被検者の状態と、が略同様であればよく、撮影のタイミングとしては時間的なずれが許容される。
【0068】
特定部62は、第1光学画像に含まれる被検者の身体的特徴に基づいて、少なくとも1つの第1基準位置を特定する。「第1基準位置」とは、被検者ごとに固有で、撮影の時期、方法、位置、姿勢及び身体状態等による変化が小さい指標である。以下、第1基準位置を1の3次元点(X座標、Y座標及びZ座標)で表して説明するが、これに限らず、第1基準位置は1次元又は2次元で表されてもよい。また、第1基準位置の個数は特に限定されず、複数であってもよい。
【0069】
「被検者の身体的特徴」とは、例えば、被検者の関節点である。特定部62は、第1光学画像に基づいて被検者の関節点を抽出し、関節点に応じて第1基準位置を特定してもよい。例えば図7には、関節点として被検者Hの右肩及び左肩を黒点で図示している。特定部62は、図7において右肩と左肩のX方向の中心(150)を、第1基準位置LのX座標として特定してもよい。同様に、特定部62は、図7において右肩と左肩のY方向の中心(155)を、第1基準位置LのY座標として特定してもよい。なお、関節点の抽出方法としては、公知の姿勢推定技術等を適宜適用できる。
【0070】
また例えば、特定部62は、第1基準位置のZ座標を、撮影装置10が配置された撮影室の床面から、被検者の乳房までの高さとして特定してもよい。床面から被検者の乳房までの高さは、例えば、床面から撮影装置10の撮影面16Aまでの既知の高さと、第1時点における圧迫厚さ(撮影面16Aから圧迫部材40の接触面43Bまでの高さ)と、の和で算出できる。圧迫厚さは、例えば、圧迫部材40等にリニアポテンショメータ等のセンサを設置することで測定できる。
【0071】
制御部64は、取得部60により取得された第1医用画像と、特定部62により特定された第1基準位置と、を対応付ける。また、制御部64は、第1医用画像を記憶部52等の記憶媒体に記憶させる場合、対応付けた第1基準位置とともに記憶させる。例えば、図8に星印で示すように、特定部62によって第1基準位置LのX座標、Y座標及びZ座標がそれぞれ(X、Y、Z)=(150、155、120)として特定されたとする。この場合、制御部64は、マンモグラフィ画像90Lと、その第1基準位置Lが(X、Y、Z)=(150、155、120)であるという情報と、を対応付けて、記憶部52に記憶させる。
【0072】
第1医用画像及び第1光学画像と同様に、取得部60は、第2時点において撮影された被検者の第2医用画像及び第2光学画像を取得する。第2医用画像と第2光学画像とが撮影される「第2時点」とは略同一の時点であり、時刻的に全く同一でなくともよく、時間幅(例えば1分間程度)をもっていてもよい。また、第2時点は、第1時点と略同一の時点であっても良いし、異なる時点であってもよい。
【0073】
第1基準位置と同様に、特定部62は、第2光学画像に含まれる被検者の身体的特徴に基づいて、少なくとも1つの第2基準位置を特定する。例えば、特定部62は、第2光学画像に含まれる被検者の関節点を特定し、関節点に応じて第2基準位置を特定してもよい。第1基準位置と同様に、「第2基準位置」も、被検者ごとに固有で、撮影の時期、方法、位置、姿勢及び身体状態等による変化が小さい指標である。したがって、第2基準位置は、第1基準位置(そのもの)又は第1基準位置と略同一の位置を示すものとなる。
【0074】
第1医用画像及び第1基準位置と同様に、制御部64は、取得部60により取得された第2医用画像と、特定部62により特定された第2基準位置と、を対応付ける。また、制御部64は、第2医用画像を記憶部52等の記憶媒体に記憶させる場合、対応付けた第2基準位置とともに記憶させる。
【0075】
図9に、第2医用画像の一例としてのマンモグラフィ画像90Laと、第2基準位置の一例としての第2基準位置Laを示す。また、図9には、参考のために図8のマンモグラフィ画像90L及び第1基準位置Lも並べて示している。マンモグラフィ画像90Laは、圧迫状態とされた左の乳房の画像であり、マンモグラフィ画像90Lの被写体と同一の被写体を、撮影時点を変えて撮影したものである。第2基準位置Laは(X、Y、Z)=(135、151、122)として特定されている。
【0076】
マンモグラフィ画像90L及び90Laの被写体は同一であるが、図9に示すように、各画像への乳房の写り込み方は異なっている。これは、被検者の位置、姿勢及び身体状態が異なっていたり、圧迫圧力、圧迫厚さ及びポジショニングの仕方が異なっていたりするためである。一方で、第1基準位置L及び第2基準位置Laは、被検者ごとに固有で変化が小さく、略同一の位置を示すはずのものである。
【0077】
そこで、制御部64は、第1基準位置と第2基準位置とに基づいて、第1医用画像と第2医用画像とを対応付けた結果を出力する。例えば、制御部64は、第1医用画像と第2医用画像とを対応付けた結果を記憶部52等の記憶媒体に記憶させる制御を行ってもよい。
【0078】
また例えば、制御部64は、第1基準位置と第2基準位置とに基づいて、第1医用画像と第2医用画像とを位置合わせして、ディスプレイ54に表示させる制御を行ってもよい。図10に、制御部64によってディスプレイ54に表示される画面D1の一例を示す。図10に示すように、制御部64は、第1基準位置Lと第2基準位置LaのX座標を揃えて、マンモグラフィ画像90L及び90Laをディスプレイ54に表示させてもよい。このようにすることによって、比較読影がしやすくなる。なお、図10において星印で示す第1基準位置Lと第2基準位置Laは説明用に図示したものであり、画面D1には含まれない。
【0079】
また例えば、制御部64は、第1基準位置と第2基準位置とに基づいて、第1医用画像と第2医用画像とを位置合わせして、外部のプリンタによって用紙に印刷させる制御を行ってもよい。また例えば、制御部64は、第1医用画像と第2医用画像とを対応付けた結果を、ネットワーク等を通じて他の外部機器に対して出力する制御を行ってもよい。このように、第1医用画像と第2医用画像とを対応付けた結果を出力する手段については特に限定されない。
【0080】
(第2実施例)
図11を参照して、第2実施例について説明する。第2実施例は、ある被検者の左右それぞれの乳房を被写体として、放射線撮影を行う場合の例である。図11は、制御部64によってディスプレイ54に表示される画面D2の一例である。以下の各実施例の説明において、第1実施例と重複する説明は一部省略する。
【0081】
取得部60は、第1時点において撮影された第1医用画像として、被検者の左乳房のマンモグラフィ画像90Lを取得する。また、取得部60は、第2時点において撮影された第2医用画像として、被検者の右乳房のマンモグラフィ画像Rを取得する。また、取得部60は、第1時点における第1光学画像と、第2時点における第2光学画像と、を取得する。
【0082】
特定部62は、第1光学画像に基づいて第1基準位置を特定し、第2光学画像に基づいて第2基準位置を特定する。マンモグラフィ画像90L及び90Rはそれぞれ被写体が異なる左右の乳房であるが、第1基準位置及び第2基準位置は被検者ごとに固有で、マンモグラフィ画像の被写体には何ら依存しない。
【0083】
制御部64は、取得部60により取得された左乳房のマンモグラフィ画像90Lと、特定部62により特定された第1基準位置と、を対応付ける。また、制御部64は、取得部60により取得された右乳房のマンモグラフィ画像90Rと、特定部62により特定された第2基準位置と、を対応付ける。また、制御部64は、第1基準位置と第2基準位置とに基づいて、マンモグラフィ画像90Lとマンモグラフィ画像90Rとを対応付けた結果を出力する。例えば、制御部64は、図11に示すように、第1基準位置と第2基準位置とに基づいて、マンモグラフィ画像90L及び90Rとを位置合わせして、ディスプレイ54に表示させる制御を行う。このように、右乳房と左乳房のように被写部位が完全には一致しない場合であっても、位置合わせをすることによって、比較読影がしやすくなる。
【0084】
(第3実施例)
図12を参照して、第3実施例について説明する。第3実施例は、ある被検者の左乳房を被写体として、放射線撮影と、超音波撮影とを行う場合の例である。図12は、制御部64によってディスプレイ54に表示される画面D3の一例である。
【0085】
取得部60は、第1時点において撮影された第1医用画像として、被検者の左乳房のマンモグラフィ画像90Lを取得する。また、取得部60は、第2時点において撮影された第2医用画像として、超音波プローブ30によって撮影された被検者の左乳房の超音波画像92を取得する。また、取得部60は、第1時点における第1光学画像と、第2時点における第2光学画像と、を取得する。なお、上述したように、第1時点と第2時点とは略同一の時点であっても良いし、異なる時点であってもよい。
【0086】
超音波画像92は、マンモグラフィ画像90Lと同様の断層面(XY平面)を示す画像であることが好ましい。図2において、超音波プローブ30によって撮影される超音波画像は、XZ平面又はYZ平面を示す画像である。これらのXZ平面又はYZ平面を示す超音波画像を撮影範囲を変えて複数撮影し、再構成することによって、3次元の超音波画像が得られる。この3次元の超音波画像から、XY平面を示す超音波画像を生成できる。
【0087】
特定部62は、第1光学画像に基づいて第1基準位置を特定し、第2光学画像に基づいて第2基準位置を特定する。
【0088】
ところで、図2等に示すように、撮影装置10においては、圧迫部材40を介して超音波プローブ30によって超音波撮影が行われる。超音波プローブ30は被写体となる乳房よりも一度の(すなわち固定した状態での)撮影範囲が小さく、乳房全体を超音波撮影する場合は、圧迫部材40の上面43Aを走査して撮影を行う必要がある。一方で、撮影時間の短縮等を目的として、超音波プローブ30によって乳房の一部を撮影する場合がある(図12参照)。この場合、画像間の位置合わせのためには、第2光学画像に基づく第2基準位置に加えて、超音波プローブ30を圧迫部材40の上面43Aのどの位置に配置して撮影を行ったのかを特定する必要がある。
【0089】
そこで特定部62は、医師及び技師等のユーザが超音波プローブ30の位置を固定して撮影を行った時点における超音波プローブ30の位置を特定してもよい。例えば、ユーザが超音波プローブ30の位置を固定した時点で操作部55を介してその旨を通知し、通知を受け取った特定部62が、その時点における超音波プローブ30の位置を取得してもよい。
【0090】
超音波プローブ30の位置は、例えば、被写体までの距離を測定する測距センサを撮影装置10のアーム部12等に設置し、当該測距センサを用いることによって測定してもよい。測距センサとしては、例えば、LIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging又はLight Detection and Ranging)、TOF(Time Of Flight)カメラ、及びステレオカメラ等を適用できる。LIDAR及びTOFカメラは、赤外線及び可視光等の光を照射し、その反射光を受光するまでの時間又は出射光と受光光との位相変化に基づいて距離を測定するものである。LIDARは、レーザ光の射出機を垂直方向に複数配置し、それぞれの射出機が水平走査(回転)することによって、被測定物までの距離を計測する。TOFカメラは、拡散光を照射することによって、被測定物までの距離を計測する。ステレオカメラは、被測定物を異なる方向から撮影して得られる複数の画像に基づいて、三角測量の原理を用い被測定物までの距離を計測する。
【0091】
また例えば、超音波プローブ30の位置は、予め定められた位置からの移動量を測定するメータを撮影装置10の支持部36等に設置し、当該メータを用いることによって測定してもよい。このようなメータとしては、例えばポテンショメータ等を適用できる。
【0092】
また例えば、超音波プローブ30の位置は、デジタルカメラをアーム部12等に設置し、圧迫部材40の全体と超音波プローブ30を撮影した可視光画像に基づく画像認識を行うことによって測定してもよい。この場合、超音波プローブ30に画像認識用のマーカを設け、画像認識の精度を向上させるようにしてもよい。画像認識用のマーカとしては、LED(Light Emitting Diode)等の電飾を用いてもよい。この場合、LEDは、超音波プローブ30が固定されている期間だけ発光又は変色するようにしてもよいし、ユーザが超音波プローブ30の位置を固定した旨を特定部62に通知した後の予め定められた期間だけ発光又は変色するようにしてもよい。
【0093】
制御部64は、取得部60により取得されたマンモグラフィ画像90Lと、特定部62により特定された第1基準位置と、を対応付ける。また、制御部64は、取得部60により取得された超音波画像92と、特定部62により特定された第2基準位置と、超音波プローブ30の位置と、を対応付ける。
【0094】
また、制御部64は、第1基準位置と第2基準位置と超音波プローブ30の位置とに基づいて、マンモグラフィ画像90Lと超音波画像92とを対応付けた結果を出力する。例えば、制御部64は、図12に示すように、第1基準位置と第2基準位置と超音波プローブ30の位置とに基づいて、マンモグラフィ画像90Lと超音波画像92とを位置合わせして、ディスプレイ54に表示させる制御を行う。図12の例では、超音波画像92をマンモグラフィ画像90Lに重畳して表示している。このように、被写部位が完全には一致しない場合であっても、位置合わせをすることによって、比較読影がしやすくなる。
【0095】
なお、超音波プローブ30は、圧迫部材40の上面43A対して角度をつけて超音波撮影することもできる。そこで、特定部62は、第2基準位置及び超音波プローブ30の位置に加えて、超音波プローブ30の向き(角度)を特定してもよい。超音波プローブの向きは、例えば、超音波プローブ30に磁気センサ又は加速度センサ(ジャイロセンサ)を設けることによって測定してもよい。また例えば、超音波プローブの向きは、可視光画像に基づく画像認識を行うことによって測定してもよい。
【0096】
制御部64は、取得部60により取得された超音波画像92と、特定部62により特定された第2基準位置と、超音波プローブ30の位置と、超音波プローブ30の向きと、を対応付ける。超音波プローブ30の向きが変われば、超音波画像92の撮影範囲も変わるので、制御部64は、第1基準位置と、第2基準位置と、超音波プローブ30の位置と、超音波プローブ30の向きと、に基づいて、マンモグラフィ画像90Lと超音波画像92とを位置合わせする。
【0097】
なお、圧迫部材40の全面に亘って超音波プローブ30を走査することによって、乳房全体を超音波撮影する場合は、超音波プローブ30の位置及び向きの特定は省略できる。
【0098】
(第4実施例)
図13を参照して、第4実施例について説明する。第4実施例は、ある被検者の左乳房を被写体として2回にわたって放射線撮影を行い、1回目は超音波撮影も行い、2回目は超音波撮影を行わなかった場合の例である。この場合、2回目の放射線画像に対して1回目の超音波画像を位置合わせすることによって、比較読影を支援できる場合がある。
【0099】
しかし、放射線画像への乳房の写り込み方は都度異なるため、超音波画像を補正したうえで位置合わせを行うことが望まれる。図13は、1回目のマンモグラフィ画像90L及び超音波画像92と、2回目のマンモグラフィ画像90Lbと、1回目の超音波画像92を2回目のマンモグラフィ画像90Lbに合わせて補正した補正画像92bと、を示す。
【0100】
取得部60は、第1時点において撮影された第1医用画像として、被検者の左乳房のマンモグラフィ画像90Lを取得する。また、取得部60は、第2時点において撮影された第2医用画像として、被検者の左乳房のマンモグラフィ画像90Lbを取得する。なお、マンモグラフィ画像90L及び90Laへの乳房の写り込み方は異なっているが、被写体は同一である。また、取得部60は、第1時点において超音波プローブ30によって撮影された被検者の左乳房の超音波画像92を取得する。
【0101】
また、取得部60は、第1時点における第1光学画像と、第2時点における第2光学画像と、を取得する。特定部62は、第1光学画像に基づいて第1基準位置Lを特定し、第2光学画像に基づいて第2基準位置Lbを特定する。
【0102】
制御部64は、1回目の超音波画像92に基づいて、2回目のマンモグラフィ画像90Lbに適した補正画像(超音波画像)92bを生成する。例えば、図13のX方向について、制御部64は、1回目のマンモグラフィ画像90Lに含まれる乳房のスキンラインの一端から、第1基準位置Lまでの距離Aを導出する。同様に、制御部64は、2回目のマンモグラフィ画像90Lbに含まれる乳房のスキンラインの一端から、第2基準位置Lbまでの距離Bを導出する。
【0103】
制御部64は、この距離A及びBの比と、1回目の超音波画像92のX方向の幅Cと、に基づいて、2回目の超音波画像として推定される補正画像92bのX方向の幅Dを下記式に基づいて導出する。
D=C×B/A
【0104】
その後、制御部64は、1回目の超音波画像92のX方向の幅がDとなるように拡大又は縮小し、補正画像92bとして生成する。なお、この場合、超音波画像92と第1基準位置Lとの相対的な位置関係と、補正画像92bと第1基準位置Lとの相対的な位置関係とが変化しないようにする。
【0105】
また、制御部64は、取得部60により取得された1回目のマンモグラフィ画像90Lと、超音波画像92と、特定部62により特定された第1基準位置Lと、を対応付ける。また、制御部64は、取得部60により取得された2回目のマンモグラフィ画像90Lbと、特定部62により特定された第2基準位置Lbと、補正画像92bと、を対応付ける。
【0106】
また、制御部64は、2回目のマンモグラフィ画像90Lbと補正画像92bとを位置合わせする。この場合、制御部64は、2回目のマンモグラフィ画像90Lbに対応付けられた第2基準位置Lbと、補正画像92bに対応付けられた第1基準位置Lと、に基づいて位置合わせを行う。このように、2回目のマンモグラフィ画像90Lbに対して1回目の超音波画像92を補正した画像(補正画像92b)を位置合わせすることによって、比較読影がしやすくなる。
【0107】
(第5実施例)
図14及び図15を参照して、第5実施例について説明する。第5実施例は、ある被検者の左乳房を被写体として、通常の放射線撮影と、拡大放射線撮影と、を行う場合の例である。図14は、拡大放射線撮影の概略を示す図である。図14に示すように、台41を用いて放射線検出器28と被写体となる乳房2との距離を離した状態で放射線Rを照射して撮影することで、乳房を拡大して撮影することができる。通常の放射線画像と、拡大放射線撮影で得られた画像とを比較読影する場合には、この拡大率の差を解消して位置合わせすることで見やすくなることがある。
【0108】
図15は、通常の、すなわち乳房2が撮影面16Aに接触した状態で撮影されたマンモグラフィ画像90Lと、拡大放射線撮影によって得られた拡大マンモグラフィ画像90Lcと、拡大マンモグラフィ画像90Lcの縮尺を補正した補正画像90Lcfと、を示す。
【0109】
取得部60は、第1時点において撮影された第1医用画像として、被検者の左乳房のマンモグラフィ画像90Lを取得する。また、取得部60は、第2時点において撮影された第2医用画像として、被検者の左乳房の拡大マンモグラフィ画像90Lcを取得する。以下、放射線源17Rの焦点から被写体となる乳房2までの距離を撮影距離という。マンモグラフィ画像Lが、撮影距離を第1距離として撮影されたものとした場合、拡大マンモグラフィ画像90Lcは、撮影距離を第1距離よりも短い第2距離として撮影されたものといえる。なお、図15に示すマンモグラフィ画像90L及び90Laへの乳房の写り込み方は異なっているが、被写体は同一である。
【0110】
また、取得部60は、第1時点における第1光学画像と、第2時点における第2光学画像と、を取得する。特定部62は、第1光学画像に基づいて第1基準位置Lを特定し、第2光学画像に基づいて第2基準位置Lcを特定する。
【0111】
制御部64は、第2距離に基づいて、拡大マンモグラフィ画像90Lcの拡大率Mを導出し、拡大マンモグラフィ画像90Lcの縮尺をマンモグラフィ画像90Lに合わせた補正画像(マンモグラフィ画像)90Lcfを生成する。図14に示すように、拡大マンモグラフィ画像90Lcの拡大率Mは、放射線源17Rの焦点17Fから被写体(乳房2)までの距離Pと、焦点17Fから放射線検出器28の検出面までの距離Qと、を用いた下記式によって基づいて導出できる。距離Pは撮影装置10ごとに既知の値である。距離Qは、例えば、圧迫部材40等にリニアポテンショメータ等のセンサを設置して圧迫厚さを測定することによって算出できる。
M=Q/P
【0112】
制御部64は、導出した拡大率Mに基づいて、マンモグラフィ画像90Lの拡大率と同じになるように拡大マンモグラフィ画像90Lcを縮小し、補正画像90Lcfとする。なおこの場合、拡大マンモグラフィ画像90Lcと第2基準位置Lcとの相対的な位置関係と、補正画像90Lcfと第2基準位置Lcとの相対的な位置関係とが変化しないようにする。
【0113】
また、制御部64は、取得部60により取得されたマンモグラフィ画像90Lと、特定部62により特定された第1基準位置Lと、を対応付ける。また、制御部64は、取得部60により取得された拡大マンモグラフィ画像90Lcと、特定部62により特定された第2基準位置Lcと、補正画像90Lcfと、を対応付ける。
【0114】
また、制御部64は、マンモグラフィ画像90Lと補正画像90Lcf(縮小された拡大マンモグラフィ画像90Lc)とを対応付けた結果を出力する。例えば、制御部64は、マンモグラフィ画像90Lに対応付けられた第1基準位置Lと、拡大マンモグラフィ画像90Lcに対応付けられた第2基準位置Lcと、に基づいて位置合わせを行う。このように、縮尺を合わせてから通常のマンモグラフィ画像90Lと補正画像90Lcf(拡大マンモグラフィ画像)を位置合わせすることによって、比較読影がしやすくなる場合がある。
【0115】
(第6実施例)
第6実施例は、第5実施例と同様の拡大放射線撮影と、超音波撮影と、を行う場合の例である。図14に示すように、拡大放射線撮影のために台41を用いて乳房2をポジショニングしても、超音波プローブ30と乳房2との距離は台41を用いずに通常放射線撮影を行う場合と同等のため、得られる超音波画像の倍率も変化しない。したがって、拡大放射線撮影で得られた画像と、超音波画像と、を比較読影する場合には、拡大放射線撮影で得られた画像を拡大率に応じて縮小してから位置合わせすることで、見やすくなることがある。
【0116】
取得部60は、第1時点において撮影された第1医用画像として、被検者の左乳房の拡大マンモグラフィ画像90Lcを取得する。また、取得部60は、第2時点において撮影された第2医用画像として、超音波プローブ30によって撮影された被検者の左乳房の超音波画像92を取得する。
【0117】
また、取得部60は、第1時点における第1光学画像と、第2時点における第2光学画像と、を取得する。特定部62は、第5実施例と同様に、第1光学画像に基づいて第1基準位置Lcを特定し、第2光学画像に基づいて第2基準位置を特定する。また、特定部62は、第3実施例と同様に、超音波プローブ30の位置及び/又は向きを特定する。
【0118】
第5実施例と同様に、特定部62は、拡大マンモグラフィ画像90Lcに基づき補正画像90Lcfを生成する。また、制御部64は、第1基準位置Lcと、第2基準位置と、超音波プローブ30の位置及び/又は超音波プローブ30の向きと、に基づいて、補正画像90Lcfと超音波画像92とを位置合わせする。このように、縮尺を合わせてから超音波画像92と補正画像90Lcf(拡大マンモグラフィ画像)を位置合わせすることによって、比較読影がしやすくなる場合がある。
【0119】
次に、図16を参照して、本実施形態に係るコンソール50の作用を説明する。コンソール50において、CPU51が情報処理プログラム57を実行することによって、図16に示す制御処理が実行される。制御処理は、例えば、ユーザにより操作部55を介して実行開始の指示があった場合に実行される。
【0120】
ステップS10で、取得部60は、撮影装置10から、第1時点において撮影された被検者の第1医用画像を取得する。また、取得部60は、光学カメラ8から、第1時点において撮影された被検者の第1光学画像を取得する。ステップS12で、特定部62は、ステップS10で取得された第1光学画像に含まれる被検者の身体的特徴に基づいて、少なくとも1つの第1基準位置を特定する。ステップS14で、制御部64は、ステップS10で取得された第1医用画像と、ステップS12で特定された第1基準位置と、を対応付ける。
【0121】
ステップS16で、取得部60は、撮影装置10から、第2時点において撮影された被検者の第2医用画像を取得する。また、取得部60は、光学カメラ8から、第2時点において撮影された被検者の第2光学画像を取得する。ステップS18で、特定部62は、ステップS16で取得された第2光学画像に含まれる被検者の身体的特徴に基づいて、少なくとも1つの第2基準位置を特定する。ステップS20で、制御部64は、ステップS16で取得された第2医用画像と、ステップS18で特定された第2基準位置と、を対応付ける。
【0122】
ステップS22で、制御部64は、ステップS14で対応付けられた第1基準位置と第1医用画像、及び、ステップS18で対応付けられた第2基準位置と第2医用画像に基づいて、第1医用画像と第2医用画像とを対応付けた結果を出力する。例えば、制御部64は、第1医用画像と第2医用画像とを位置合わせして、ディスプレイ54に表示させる制御を行う。ステップS22が完了すると、本情報処理は終了する。
【0123】
以上説明したように、本開示の一態様に係るコンソール50は、少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、被検者を光学撮影して得られる第1光学画像に含まれる被検者の身体的特徴に基づいて特定される第1基準位置に対応付けられた、被検者の第1医用画像を取得し、第1基準位置又は第1基準位置と略同一の位置を示す第2基準位置に対応付けられた、被検者の第2医用画像を取得し、第1基準位置と第2基準位置とに基づいて、第1医用画像と第2医用画像とを対応付けた結果を出力する。
【0124】
本実施形態に係るコンソール50によれば、被検者ごとに固有で、撮影の時期、方法、位置、姿勢及び身体状態等による変化が小さい基準位置が医用画像ごとに対応付けられる。したがって、例えば1の被写体を複数回撮影したり、1の被写体についてマンモグラフィ、超音波撮影、CT撮影及びMRI撮影等の異なる複数種の医用画像を組み合わせて撮影したりする場合に、基準位置に基づいて位置合わせを行うことができる。すなわち、同一の被写体に関する複数の医用画像について、被写部位が完全には一致しない、あるいは被写部位の状態が完全には一致しない場合であっても、位置合わせが可能となる。
【0125】
なお、上記実施形態においては、光学カメラ8が、被検者の頭上側から被検者の可視光画像を撮影するものである形態について説明したが、これに限らない。例えば、光学カメラ8は、被検者の背面側から被検者を撮影するものであってもよい。この場合、例えば図17に示すような、被検者の背中側を写した可視光画像80Bが得られる。特定部62は、可視光画像80Bに基づいて被検者の関節点を抽出し、関節点の位置関係に基づいて、基準位置を特定できる。例えば、特定部62は、左右の関節点の組合せ(右耳と左耳、右肩と左肩、右腰と左腰、右膝と左膝等)のX方向の中心の平均値を、基準位置のX座標として特定してもよい。
【0126】
また、光学カメラ8は、可視光画像を撮影するものに限らない。例えば、光学カメラ8として、深度画像を撮影するものを適用してもよい。深度画像とは、光学カメラ8から被検者までの距離を表す画素値で構成された画像であり、これにより被写体の3次元形状を特定できる。深度画像を撮影する光学カメラ8としては、例えば、LIDAR、TOFカメラ、及びステレオカメラ等を適用できる。
【0127】
また、上記実施形態においては、光学カメラ8が1台であり、第1光学画像及び第2光学画像がともに被検者の頭上側から被検者を可視光撮影して得られるものである形態について説明したが、これに限らない。光学カメラ8の種類及び台数は特に限定されず、第1光学画像及び第2光学画像の少なくとも一方が、可視光画像及び深度画像の少なくとも一方であればよい。例えば、第1光学画像は可視光画像であり、第2光学画像は深度画像であってもよい。また例えば、第1光学画像は頭上側から被検者を撮影して得られるものであり、第2光学画像は背面側から被検者を撮影して得られるものであってもよい。
【0128】
また例えば、第1光学画像として、複数の画像を組み合わせて用いてもよい。例えば、第1光学画像として、可視光画像と深度画像とを組み合わせてもよい。例えば、被検者の背中側を写した可視光画像(図17参照)と、被検者の背中側を写した深度画像と、を組み合わせて、基準位置のX座標は可視光画像に基づいて特定し、基準位置のY座標は深度画像に基づいて特定してもよい。
【0129】
また、上記実施形態においては、第1医用画像及び第2医用画像の一例として、撮影装置10によって撮影できるマンモグラフィ画像及び超音波画像を適用した例について説明したが、これに限らない。第1医用画像及び第2医用画像としては、例えば、撮影装置10以外の医用画像撮影装置によって撮影される、コンピュータ断層撮影画像(CT画像)及び磁気共鳴画像(MRI画像)等を適用してもよい。したがって例えば、第1医用画像を、マンモグラフィ画像とし、第2医用画像を、コンピュータ断層撮影画像としてもよい。また例えば、第1医用画像を、マンモグラフィ画像とし、第2医用画像を、磁気共鳴画像としてもよい。
【0130】
また、上記実施形態では、コンソール50が本開示の制御装置の一例である形態について説明したが、コンソール50以外の装置が本開示の制御装置の機能を備えていてもよい。換言すると、取得部60、特定部62及び制御部66の機能の一部又は全部を、例えば撮影装置10及び外部装置等の、コンソール50以外の装置が備えていてもよい。例えば、外部装置が、第1光学画像に基づいて第1基準位置を特定し、第1医用画像に対応付けて記憶媒体に記憶させ、コンソール50は、当該記憶媒体から第1基準位置が対応付けられた第1医用画像を取得するだけとしてもよい。
【0131】
また、上記実施形態において、例えば、制御部20、取得部60、特定部62及び制御部66といった各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0132】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0133】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System on Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0134】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【0135】
また、上記各実施形態では、撮影装置10における各種プログラムが制御部20に含まれるROMに予め記憶(インストール)され、コンソール50における情報処理プログラム57が記憶部52に予め記憶されている態様を説明したが、これに限定されない。撮影装置10における各種プログラム及び情報処理プログラム57は、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、撮影装置10における各種プログラム及び情報処理プログラム57は、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。さらに、本開示の技術は、プログラムに加えて、プログラムを非一時的に記憶する記憶媒体にもおよぶ。
【0136】
本開示の技術は、上記実施形態例及び実施例を適宜組み合わせることも可能である。以上に示した記載内容及び図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用及び効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用及び効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容及び図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0137】
1 撮影システム
2 乳房
6 RIS
8 光学カメラ
10 撮影装置
12 アーム部
14 基台
15 軸部
16 撮影台
16A 撮影面
17 放射線照射部
17F 焦点
17R 放射線源
20、64 制御部
22、52 記憶部
24、56 I/F部
26、55 操作部
28 放射線検出器
30 超音波プローブ
36 支持部
38 プローブユニット
40、40S 圧迫部材
41 台
42 圧迫部
43 底部
43A 上面
43B 接触面
44 壁部
46 支持部
47 取付部
48 圧迫ユニット
49 腕
50 コンソール
51 CPU
53 メモリ
54 ディスプレイ
57 情報処理プログラム
58 バス
60 取得部
62 特定部
64 制御部
80、80B 可視光画像
90L、90La、90Lb、90R マンモグラフィ画像
90Lc 拡大マンモグラフィ画像
92 超音波画像
90Lcf、92b 補正画像
D1~D4 画面
H 被検者
L 第1基準位置
La、Lb、Lc 第2基準位置
R 放射線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17