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特開2024-128889画像処理装置、画像撮影システム、画像処理方法、画像処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128889
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像撮影システム、画像処理方法、画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20240913BHJP
   A61B 6/04 20060101ALI20240913BHJP
   A61B 6/02 20060101ALI20240913BHJP
   A61B 6/00 20240101ALI20240913BHJP
【FI】
A61B8/14
A61B6/04 309B
A61B6/02 300B
A61B6/00 360Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038163
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅原 將高
(72)【発明者】
【氏名】堀内 久嗣
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 涼香
【テーマコード(参考)】
4C093
4C601
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093AA11
4C093AA26
4C093CA16
4C093CA23
4C093CA35
4C093DA06
4C093ED21
4C093FA06
4C093FA44
4C093FF17
4C093FF22
4C093FF28
4C093FF35
4C093FF37
4C093FG04
4C093FG13
4C093FH07
4C601BB03
4C601DD08
4C601EE11
4C601JC37
4C601KK25
4C601KK31
4C601LL33
(57)【要約】
【課題】放射線画像から合成された合成2次元画像と、超音波画像とのユーザによる比較を行い易くすることができる画像処理装置、画像撮影システム、画像処理方法、画像処理プログラムを提供する。
【解決手段】少なくとも1つのプロセッサを備え、記プロセッサは、圧迫部材によって乳房を圧迫状態として撮影された複数の放射線画像を合成した合成画像であって、前記乳房の深さ方向の情報を含む合成2次元画像を取得し、前記合成2次元画像を表示させ、表示されている前記合成2次元画像中の位置を表す位置情報を取得し、前記放射線画像と同一とみなせる圧迫状態で前記乳房を圧迫部材によって圧迫状態として撮影された複数の超音波画像を取得し、複数の前記超音波画像に応じた表示用の超音波画像を、前記位置情報が表す位置に対応する前記乳房の深さを表す深さ情報を付加して表示させる、画像処理装置。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
圧迫部材によって乳房を圧迫状態として撮影された複数の放射線画像を合成した合成画像であって、前記乳房の深さ方向の情報を含む合成2次元画像を取得し、
前記合成2次元画像を表示させ、
表示されている前記合成2次元画像中の位置を表す位置情報を取得し、
前記放射線画像と同一とみなせる圧迫状態で前記乳房を圧迫部材によって圧迫状態として撮影された複数の超音波画像を取得し、
複数の前記超音波画像に応じた表示用の超音波画像を、前記位置情報が表す位置に対応する前記乳房の深さを表す深さ情報を付加して表示させる、
画像処理装置。
【請求項2】
前記表示用の超音波画像は、前記複数の超音波画像のいずれかであり、前記乳房が載置される撮影台と交差する方向の断面画像である第1断面超音波画像、
前記複数の超音波画像から合成され、かつ前記撮影台及び前記第1断面超音波画像と交差する方向の断面画像である第2断面超音波画像、
前記複数の超音波画像から合成され、かつ前記撮影台と平行な断面画像である第3断面画像、
及び前記複数の超音波画像から合成され、かつ前記撮影台と平行な断面に応じた3次元超音波画像の少なくとも1つである、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記深さ情報が付加された前記表示用の超音波画像として、前記位置情報が表す位置に対応する前記乳房の深さの位置に応じた断面に対応する前記第3断面画像及び前記3次元超音波画像の少なくとも一方を表示させる
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記合成2次元画像から第1の関心領域を検出し、
前記合成2次元画像上に前記第1の関心領域を表す第1の関心領域情報を表示させ、
前記第1の関心領域の位置を表す位置情報を取得し、
前記表示用の超音波画像における前記第1の関心領域の近傍に対応する領域から第2の関心領域を検出し、
前記表示用の超音波画像上に前記第2の関心領域を表す関心領域情報を表示させる
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記放射線画像はトモシンセシス撮影により得られた放射線画像であって、
前記プロセッサは、
前記放射線画像を再構成した断層画像を取得し、
前記断層画像から第1の関心領域を検出し、
前記合成2次元画像上に前記第1の関心領域に対応する対応領域を表示させ、
前記合成2次元画像上の前記対応領域の位置を表す位置情報を取得し、
前記位置情報が示す位置に応じた前記表示用の超音波画像における前記第1の関心領域の近傍に対応する領域から第2の関心領域を検出し、
前記表示用の超音波画像上に前記第2の関心領域を表す関心領域情報を表示させる
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
複数の前記第2の関心領域が検出された場合、各第2の関心領域の疑義の度合いを表すスコアのリストを表示させ、
前記リストから指定された第2の関心領域を受け付けた場合、受け付けた前記第2の関心領域を表す情報を前記表示用の超音波画像上に表示させる
請求項4または請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記表示用の超音波画像に付加する前記深さ情報として、前記深さに応じた位置に指標となるラインを表示させる
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、
断面の位置を指定するために移動可能な断面線を前記合成2次元画像上に表示させ、
前記断面線によって指定された断面を表す前記表示用の超音波画像を表示させる
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、
前記合成2次元画像から関心領域を検出し、
前記関心領域を表す関心領域情報を前記合成2次元画像上に表示させ、
前記関心領域の位置を前記位置情報として取得する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、
前記関心領域の重心位置もしくは最大濃度位置を通過する断面線を前記合成2次元画像上に表示させ、
前記断面線によって指定された断面を表す前記表示用の超音波画像を表示させる
請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、
前記断面線として、前記関心領域の重心位置もしくは最大濃度位置を交点とする2本の断面線を表示させる
請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項12】
断面線によって指定された断面を表す前記表示用の超音波画像から関心領域を検出し、
前記表示用の超音波画像上に、検出した関心領域を表す情報を表示させる
請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記放射線画像はトモシンセシス撮影により得られた放射線画像であって、
前記プロセッサは、
前記放射線画像を再構成した断層画像を取得し、
前記断層画像から第1の関心領域を検出し、
前記合成2次元画像上の前記第1の関心領域に対応する位置を表す位置情報を取得し、
前記第1の関心領域の重心位置もしくは最大濃度位置を通過する断面線を前記合成2次元画像上に表示させ、
前記断面線によって指定された断面を表す前記表示用の超音波画像を表示させ、
前記表示用の超音波画像から第2の関心領域を検出し、
前記表示用の超音波画像上に前記第2の関心領域を表す関心領域情報を表示させる
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記プロセッサは、
前記表示用の超音波画像から複数の前記第2の関心領域が検出された場合、各第2の関心領域の疑義の度合いを表すスコアのリストを表示させ、
前記リストから指定された第2の関心領域を受け付けた場合、受け付けた前記第2の関心領域を表す情報を前記表示用の超音波画像上に表示させる
請求項13に記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記プロセッサは、
前記超音波画像の撮影と前記放射線画像の撮影とが、乳房を圧迫部材により圧迫状態としたまま連続して行われた場合、前記超音波画像の撮影における前記乳房の圧迫状態と、前記放射線画像の撮影における前記乳房の圧迫状態とが同一であると判定する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記プロセッサは、
乳房を圧迫状態とするための圧迫条件が同一の場合、前記超音波画像の撮影における前記乳房の圧迫状態と、前記放射線画像の撮影における前記乳房の圧迫状態とが同一であると判定する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項17】
前記プロセッサは、
圧迫状態とされた乳房の状態が同一の場合、前記超音波画像の撮影における前記乳房の圧迫状態と、前記放射線画像の撮影における前記乳房の圧迫状態とが同一であると判定する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項18】
前記プロセッサは、
さらに、前記複数の超音波画像の撮影における乳房自体の状態と、前記放射線画像の撮影における前記乳房自体の状態とが同一であるとみなせる場合に、前記超音波画像の撮影における前記乳房の圧迫状態と、前記放射線画像の撮影における前記乳房の圧迫状態とが同一であると判定する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項19】
請求項1に記載の画像処理装置と、
放射線画像撮影装置と、
超音波画像撮影装置と、
を備えた画像撮影システム。
【請求項20】
圧迫部材によって乳房を圧迫状態として撮影された複数の放射線画像を合成した合成画像であって、前記乳房の深さ方向の情報を含む合成2次元画像を取得し、
前記合成2次元画像を表示させ、
表示されている前記合成2次元画像中の位置を表す位置情報を取得し、
前記放射線画像と同一とみなせる圧迫状態で前記乳房を圧迫部材によって圧迫状態として撮影された複数の超音波画像を取得し、
複数の前記超音波画像に応じた表示用の超音波画像を、前記位置情報が表す位置に対応する前記乳房の深さを表す深さ情報を付加して表示させる、
処理をコンピュータが実行する画像処理方法。
【請求項21】
圧迫部材によって乳房を圧迫状態として撮影された複数の放射線画像を合成した合成画像であって、前記乳房の深さ方向の情報を含む合成2次元画像を取得し、
前記合成2次元画像を表示させ、
表示されている前記合成2次元画像中の位置を表す位置情報を取得し、
前記放射線画像と同一とみなせる圧迫状態で前記乳房を圧迫部材によって圧迫状態として撮影された複数の超音波画像を取得し、
複数の前記超音波画像に応じた表示用の超音波画像を、前記位置情報が表す位置に対応する前記乳房の深さを表す深さ情報を付加して表示させる、
処理をコンピュータに実行させるための画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置、画像撮影システム、画像処理方法、画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
放射線源から被検者の乳房等の被写体に向けて放射線を照射させ、被写体を透過した放射線を放射線検出器により検出することにより放射線画像を撮影する放射線画像撮影装置が知られている。
【0003】
また、被検者の乳房に沿って超音波プローブを走査することで、乳房を超音波で走査することにより乳房の超音波画像を撮影する超音波画像撮影装置が知られている。
【0004】
特許文献1及び2には、乳房の放射線画像及び超音波画像の両方の撮影が可能な装置が開示されている。特許文献1及び2では、乳房を圧迫した状態で放射線画像及び超音波画像の撮影が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-28381号公報
【特許文献2】特開2012-170718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、乳房の診断の際に、乳房組織の立体的な観察を行うことが好ましい。立体的な構造の観察のために、複数の放射線画像から合成された合成2次元画像を観察に用いることが行われている。また、合成2次元画像等の放射線画像と、超音波画像とを並べて表示させて、両者を比較しながら読影することが行われている。しかしながら、従来の技術では、合成2次元画像と超音波画像との比較がし難い場合があり、そのため、乳房組織の立体的な構造を認識し難い場合があった。
【0007】
本開示は、上記事情を考慮して成されたもので、放射線画像から合成された合成2次元画像と、超音波画像とのユーザによる比較を行い易くすることができる画像処理装置、画像撮影システム、画像処理方法、画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本開示の第1の態様の画像処理装置は、少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、圧迫部材によって乳房を圧迫状態として撮影された複数の放射線画像を合成した合成画像であって、乳房の深さ方向の情報を含む合成2次元画像を取得し、合成2次元画像を表示させ、表示されている合成2次元画像中の位置を表す位置情報を取得し、放射線画像と同一とみなせる圧迫状態で乳房を圧迫部材によって圧迫状態として撮影された複数の超音波画像を取得し、複数の超音波画像に応じた表示用の超音波画像を、位置情報が表す位置に対応する乳房の深さを表す深さ情報を付加して表示させる。
【0009】
本開示の第2の態様の画像処理装置は、第1の態様の画像処理装置において、表示用の超音波画像は、複数の超音波画像のいずれかであり、乳房が載置される撮影台と交差する方向の断面画像である第1断面超音波画像、複数の超音波画像から合成され、かつ撮影台及び第1断面超音波画像と交差する方向の断面画像である第2断面超音波画像、複数の超音波画像から合成され、かつ撮影台と平行な断面画像である第3断面画像、及び複数の超音波画像から合成され、かつ撮影台と平行な断面に応じた3次元超音波画像の少なくとも1つである。
【0010】
本開示の第3の態様の画像処理装置は、第2の態様の画像処理装置において、プロセッサは、深さ情報が付加された表示用の超音波画像として、位置情報が表す位置に対応する乳房の深さの位置に応じた断面に対応する第3断面画像及び3次元超音波画像の少なくとも一方を表示させる。
【0011】
本開示の第4の態様の画像処理装置は、第1の態様の画像処理装置において、プロセッサは、合成2次元画像から第1の関心領域を検出し、合成2次元画像上に第1の関心領域を表す第1の関心領域情報を表示させ、第1の関心領域の位置を表す位置情報を取得し、表示用の超音波画像における第1の関心領域の近傍に対応する領域から第2の関心領域を検出し、表示用の超音波画像上に第2の関心領域を表す関心領域情報を表示させる。
【0012】
本開示の第5の態様の画像処理装置は、第1の態様の画像処理装置において、放射線画像はトモシンセシス撮影により得られた放射線画像であって、プロセッサは、放射線画像を再構成した断層画像を取得し、断層画像から第1の関心領域を検出し、合成2次元画像上に第1の関心領域に対応する対応領域を表示させ、合成2次元画像上の対応領域の位置を表す位置情報を取得し、位置情報が示す位置に応じた表示用の超音波画像における第1の関心領域の近傍に対応する領域から第2の関心領域を検出し、表示用の超音波画像上に第2の関心領域を表す関心領域情報を表示させる。
【0013】
本開示の第6の態様の画像処理装置は、第4の態様または第5の態様の画像処理装置において、プロセッサは、複数の第2の関心領域が検出された場合、各第2の関心領域の疑義の度合いを表すスコアのリストを表示させ、リストから指定された第2の関心領域を受け付けた場合、受け付けた第2の関心領域を表す情報を表示用の超音波画像上に表示させる。
【0014】
本開示の第7の態様の画像処理装置は、第1の態様の画像処理装置において、プロセッサは、表示用の超音波画像に付加する深さ情報として、深さに応じた位置に指標となるラインを表示させる。
【0015】
本開示の第8の態様の画像処理装置は、第1の態様の画像処理装置において、プロセッサは、断面の位置を指定するために移動可能な断面線を合成2次元画像上に表示させ、断面線によって指定された断面を表す表示用の超音波画像を表示させる。
【0016】
本開示の第9の態様の画像処理装置は、第1の態様の画像処理装置において、プロセッサは、合成2次元画像から関心領域を検出し、関心領域を表す関心領域情報を合成2次元画像上に表示させ、関心領域の位置を位置情報として取得する。
【0017】
本開示の第10の態様の画像処理装置は、第9の態様の画像処理装において、プロセッサは、関心領域の重心位置もしくは最大濃度位置を通過する断面線を合成2次元画像上に表示させ、断面線によって指定された断面を表す表示用の超音波画像を表示させる。
【0018】
本開示の第11の態様の画像処理装置は、第10の態様に記載の画像処理装置において、プロセッサは、断面線として、関心領域の重心位置もしくは最大濃度位置を交点とする2本の断面線を表示させる。
【0019】
本開示の第12の態様の画像処理装置は、第9の態様に記載の画像処理装置において、断面線によって指定された断面を表す表示用の超音波画像から関心領域を検出し、表示用の超音波画像上に、検出した関心領域を表す情報を表示させる。
【0020】
本開示の第13の態様の画像処理装置は、第1の態様に記載の画像処理装置において、放射線画像はトモシンセシス撮影により得られた放射線画像であって、プロセッサは、放射線画像を再構成した断層画像を取得し、断層画像から第1の関心領域を検出し、合成2次元画像上の第1の関心領域に対応する位置を表す位置情報を取得し、第1の関心領域の重心位置もしくは最大濃度位置を通過する断面線を合成2次元画像上に表示させ、断面線によって指定された断面を表す表示用の超音波画像を表示させ、表示用の超音波画像から第2の関心領域を検出し、表示用の超音波画像上に第2の関心領域を表す関心領域情報を表示させる。
【0021】
本開示の第14の態様の画像処理装置は、第13の態様に記載の画像処理装置において プロセッサは、表示用の超音波画像から複数の第2の関心領域が検出された場合、各第2の関心領域の疑義の度合いを表すスコアのリストを表示させ、リストから指定された第2の関心領域を受け付けた場合、受け付けた第2の関心領域を表す情報を表示用の超音波画像上に表示させる。
【0022】
本開示の第15の態様の画像処理装置は、第1の態様に記載の画像処理装置において、プロセッサは、超音波画像の撮影と放射線画像の撮影とが、乳房を圧迫部材により圧迫状態としたまま連続して行われた場合、超音波画像の撮影における乳房の圧迫状態と、放射線画像の撮影における乳房の圧迫状態とが同一であると判定する。
【0023】
本開示の第16の態様の画像処理装置は、第1の態様に記載の画像処理装置において、プロセッサは、乳房を圧迫状態とするための圧迫条件が同一の場合、超音波画像の撮影における乳房の圧迫状態と、放射線画像の撮影における乳房の圧迫状態とが同一であると判定する。
【0024】
本開示の第17の態様の画像処理装置は、第1の態様に記載の画像処理装置において、プロセッサは、圧迫状態とされた乳房の状態が同一の場合、超音波画像の撮影における乳房の圧迫状態と、放射線画像の撮影における乳房の圧迫状態とが同一であると判定する。
【0025】
本開示の第18の態様の画像処理装置は、第1の態様に記載の画像処理装置において、プロセッサは、さらに、複数の超音波画像の撮影における乳房自体の状態と、放射線画像の撮影における乳房自体の状態とが同一であるとみなせる場合に、超音波画像の撮影における乳房の圧迫状態と、放射線画像の撮影における乳房の圧迫状態とが同一であると判定する。
【0026】
また、上記目的を達成するために本開示の第19の態様の画像撮影システムは、本開示の画像処理装置と、放射線画像撮影装置と、超音波画像撮影装置と、を備える。
【0027】
また、上記目的を達成するために本開示の第20の態様の画像処理方法は、圧迫部材によって乳房を圧迫状態として撮影された複数の放射線画像を合成した合成画像であって、乳房の深さ方向の情報を含む合成2次元画像を取得し、合成2次元画像を表示させ、表示されている合成2次元画像中の位置を表す位置情報を取得し、放射線画像と同一とみなせる圧迫状態で乳房を圧迫部材によって圧迫状態として撮影された複数の超音波画像を取得し、複数の超音波画像に応じた表示用の超音波画像を、位置情報が表す位置に対応する乳房の深さを表す深さ情報を付加して表示させる、処理をコンピュータが実行する方法である。
【0028】
また、上記目的を達成するために本開示の第21の態様の画像処理プログラムは、圧迫部材によって乳房を圧迫状態として撮影された複数の放射線画像を合成した合成画像であって、乳房の深さ方向の情報を含む合成2次元画像を取得し、合成2次元画像を表示させ、表示されている合成2次元画像中の位置を表す位置情報を取得し、放射線画像と同一とみなせる圧迫状態で乳房を圧迫部材によって圧迫状態として撮影された複数の超音波画像を取得し、複数の超音波画像に応じた表示用の超音波画像を、位置情報が表す位置に対応する乳房の深さを表す深さ情報を付加して表示させる、処理をコンピュータに実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0029】
本開示によれば、放射線画像から合成された合成2次元画像と、超音波画像とのユーザによる比較を行い易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】第1実施形態の画像撮影システムにおける全体の構成の一例を概略的に表した構成図である。
図2】第1実施形態のマンモグラフィ装置の外観の一例を表す側面図である。
図3】第1実施形態の画像処理装置の構成の一例を表したブロック図である。
図4】第1実施形態の画像処理装置の構成の一例を示す機能ブロック図である。
図5】合成2次元画像における高さについて説明するための図である。
図6】超音波画像における深さについて説明するための図である。
図7】第1実施形態の画像撮影システムを用いた、放射線画像及び超音波画像の撮影の流れの一例を表すフローチャートである。
図8】第1実施形態の画像処理装置における画像処理の流れの一例を表したフローチャートである。
図9】深さ情報が付加された表示用の超音波画像、及び合成2次元画像の表示例を示す図である。
図10】深さ情報が付加された表示用の超音波画像、及び合成2次元画像の表示例を示す図である。
図11】第2実施形態の画像処理装置の構成の一例を示す機能ブロック図である。
図12】関心領域を表す情報が重畳された合成2次元画像の表示の一例を示す図である。
図13】関心領域が指定された状態の表示の一例を示す図である。
図14】第2実施形態の画像処理装置における画像処理の流れの一例を表したフローチャートである。
図15】変形例1の画像処理装置における画像処理の流れの一例を表したフローチャートである。
図16】変形例1における表示状態の一例を示す図である。
図17】変形例1における表示状態の一例を示す図である。
図18】変形例2の画像処理装置における画像処理の流れの一部を表したフローチャートである。
図19】乳房の圧迫状態について判定する場合の画像処理について説明するためのフローチャートの一部である。
図20】関心領域関連処理の実行に係わる画像処理装置の機能の一例を表す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、本実施形態は本発明を限定するものではない。
【0032】
[第1実施形態]
本実施形態では、乳房全体を圧迫する圧迫力、を本開示の乳房を圧迫する力の一例とした形態について説明する。
まず、本実施形態の医用撮影システムにおける、全体の構成の一例について説明する。図1には、本実施形態の画像撮影システム1における、全体の構成の一例を表す構成図が示されている。
【0033】
図1に示すように、本実施形態の画像撮影システム1は、放射線画像撮影システム2、超音波画像撮影装置16、画像処理装置18、及び画像保存システム19を備える。
【0034】
まず、放射線画像撮影システム2の構成について説明する。放射線画像撮影システム2は、マンモグラフィ装置10及びコンソール12を含む。
【0035】
本実施形態のマンモグラフィ装置10は、被検者の乳房を被写体として、乳房に放射線R(例えば、X線)を照射して乳房の放射線画像を撮影する装置である。なお、マンモグラフィ装置10は、被検者が起立している状態(立位状態)のみならず、被検者が椅子(車椅子を含む)等に座った状態(座位状態)において、被検者の乳房を撮影する装置であってもよい。
【0036】
図2には、本実施形態のマンモグラフィ装置10の外観の一例を示す側面図が示されている。なお、図2では、被検者の右側からマンモグラフィ装置10を見た場合の側面図である。図2に示すように、マンモグラフィ装置10は、放射線源36Rと、放射線検出器30と、放射線源36Rと放射線検出器30との間に配置された撮影台40と、撮影台40との間で乳房を圧迫する圧迫部材34と、を備える。
【0037】
撮影台40は、制御部20、記憶部22、I/F(Interface)部24、操作部26及び放射線検出器30を備える。制御部20は、コンソール12の制御に応じて、マンモグラフィ装置10の全体の動作を制御する。制御部20は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備える(図示省略)。ROMには、CPUで実行される、放射線画像の撮影に関する制御を行うためのプログラムを含む各種プログラムが予め記憶されている。RAMは、各種データを一時的に記憶する。
【0038】
記憶部22には、放射線画像の画像データ及びその他の各種情報等が記憶される。記憶部22は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)及びフラッシュメモリ等の記憶媒体によって実現される。なお、以下では、「放射線画像の画像データ」について、単に「放射線画像」という。また同様に、「超音波画像の画像データ」について、単に「超音波画像」という。
【0039】
I/F部24は、有線通信又は無線通信により、コンソール12との間で各種情報の通信を行う。具体的には、I/F部24は、コンソール12からマンモグラフィ装置10の制御に関する情報を受信する。また、I/F部24は、コンソール12に対して、放射線画像を送信する。
【0040】
操作部26は、撮影台40等に設けられた、ユーザが手又は足等で操作可能なパーツであり、例えばスイッチ、ボタン、及びタッチパネル等である。また例えば、操作部26は、ユーザによる音声入力を受け付けてもよい。
【0041】
放射線検出器30は、撮影台40の内部に配置され、被写体である乳房を通過した放射線Rを検出する。本実施形態のマンモグラフィ装置10では、撮影を行う場合、撮影台40の撮影面40A上には、被検者の乳房が医師及び技師等のユーザによってポジショニングされる。被検者の乳房が接する撮影面40A等は、放射線Rの透過性や強度の観点から、例えば、カーボン等で形成されている。
【0042】
放射線検出器30は、被検者の乳房及び撮影台40を透過した放射線Rを検出し、検出した放射線Rに基づいて放射線画像を生成し、生成した放射線画像を出力する。本実施形態の放射線検出器30の種類は、特に限定されず、例えば、放射線Rを光に変換し、変換した光を電荷に変換する間接変換方式の放射線検出器であってもよいし、放射線Rを直接電荷に変換する直接変換方式の放射線検出器であってもよい。
【0043】
放射線源36Rは、放射線照射部36内に備えられている。図2に示すように放射線照射部36は、撮影台40及び圧迫ユニット46と共にアーム部42に設けられている。なお、図2に示すように本実施形態のマンモグラフィ装置10は、アーム部42と、基台44と、軸部45と、を備えている。アーム部42は、基台44によって、上下方向(Z軸方向)に移動可能に保持される。軸部45は、アーム部42を基台44に連結する。またアーム部42は、軸部45を回転軸として、基台44に対して相対的に回転可能となっている。
【0044】
本実施形態のマンモグラフィ装置10は、いわゆるトモシンセシス撮影が可能とされている。トモシンセシス撮影とは、被写体(本実施形態では乳房)に対する放射線の照射角度を異ならせて、照射角度毎に放射線画像(投影画像)を撮影する撮影方法のことである。トモシンセシス撮影を行う場合、アーム部42が回転することにより放射線照射部36の放射線源36Rが、照射角度(投影角度)が異なる複数の照射位置の各々に移動される。例えば、放射線源36Rは、予め定められた角度θずつ照射角度が異なる照射位置に移動される。換言すると放射線源36Rは、放射線検出器30の検出面に対する放射線Rの入射角度が異なる位置に移動される。各照射位置において、コンソール12の指示により放射線源36Rから放射線Rが照射され、放射線検出器30により放射線画像(投影画像)が撮影される。このように、トモシンセシス撮影では、複数の照射位置の数に応じた、複数の放射線画像(投影画像)が得られる。
【0045】
なお、トモシンセシス撮影を可能とするマンモグラフィ装置は、1つの放射線源36Rを備え、放射線源36Rを各照射位置に移動させ、照射位置毎に放射線画像(投影画像)の撮影を行うという本実施形態のマンモグラフィ装置10の形態に限定されない。例えば、トモシンセシス撮影を行うためのマンモグラフィ装置は、照射位置毎に放射線源36Rが設けられており、装置全体として複数の放射線源36Rを備えるマンモグラフィ装置であってもよい。
【0046】
また、図2に示すように、圧迫部材34は、圧迫ユニット46に取り付けられている。圧迫ユニット46と、アーム部42とは、軸部45を回転軸として、別々に、基台44に対して相対的に回転可能となっている。本実施形態では、軸部45、アーム部42、及び圧迫ユニット46にそれぞれギア(図示省略)が設けられ、このギア同士の噛合状態及び非噛合状態を切替えることにより、アーム部42及び圧迫ユニット46の各々が軸部45に連結される。軸部45に連結されたアーム部42及び圧迫ユニット46の一方または両方が、軸部45と一体に回転する。
【0047】
本実施形態の圧迫部材34は、板状の部材であり、圧迫ユニット46内に設けられた圧迫板駆動部(図示省略)により上下方向(Z軸方向)に移動し、撮影台40との間で被検者の乳房を圧迫する。図2に示すように、圧迫部材34の移動方向に関して、乳房を圧迫する方向、換言すると、撮影面40Aに近付く方向を「圧迫方向」といい、乳房への圧迫を解除する方向、換言すると、放射線照射部36に近付く方向を「圧迫解除方向」という。
【0048】
圧迫部材34は、乳房の圧迫において位置合わせや圧迫状態の確認を行うために光学的に透明であることが好ましく、また、放射線Rの透過性に優れた材料によって形成される。さらに、圧迫部材34は、超音波画像撮影装置16の超音波プローブ16A(図3参照、詳細後述)から送信される超音波を伝播し易い材料により形成されていることが望ましい。圧迫部材34の材料としては、例えば、ポリメチルペンテン、ポリカーボネート、アクリル、及びポリエチレンテレフタレート等の樹脂を用いることができる。特に、ポリメチルペンテンは、剛性が低く伸縮性及び可撓性に優れると共に、超音波の反射率に影響する音響インピーダンスと超音波の減衰に影響する減衰係数とにおいて適した値を有するので、圧迫部材34の材料として適している。なお、圧迫部材34を構成する部材は、本実施形態に限定されない。例えば、圧迫部材34を構成する部材は、フィルム状の部材であってもよい。
【0049】
なお、圧迫部材34は、乳房全体を圧迫するものに限らず、乳房の一部を圧迫するものであってもよい。換言すると、乳房よりも小さい圧迫部材34でもよい。このような圧迫部材34としては、例えば、病変が存在する領域のみの放射線画像を撮影する、いわゆるスポット撮影に用いられる圧迫部材34が知られている。
【0050】
一方、本実施形態のコンソール12は、無線通信LAN(Local Area Network)等を介してRIS(Radiology Information System)5等から取得した撮影オーダ及び各種情報と、操作部66等によりユーザにより行われた指示等とを用いて、マンモグラフィ装置10の制御を行う機能を有している。また、コンソール12は、マンモグラフィ装置10により撮影された放射線画像を、無線通信または有線通信によって画像保存システム19に送信する。本実施形態のコンソール12は、一例として、サーバーコンピュータである。
【0051】
次に、超音波画像撮影装置16について説明する。図1に示すように、本実施形態の超音波画像撮影装置16は、超音波プローブ16Aを備えている。超音波画像撮影装置16は、ユーザによって超音波プローブ16Aを走査することにより被検者の乳房を被写体とした超音波画像を撮影する、いわゆる、ハンドヘルドタイプの超音波画像撮影装置である。
【0052】
超音波プローブ16Aは、ユーザによって、圧迫部材34の上面34A(図2参照、被検者の乳房に接する側と反対側の面)に沿って移動され、乳房を超音波で走査することにより乳房の超音波画像を取得する。具体的には、超音波撮影が行われる場合には、超音波プローブ16Aは、圧迫部材34の上面34Aにエコーゼリー等の音響マッチング部材(図示省略)が塗布された状態で、ユーザにより、圧迫部材34の上面34Aに沿って移動される。
【0053】
超音波プローブ16Aは、1次元状、又は、2次元状に配列された複数の超音波トランスデューサ(図示省略)を備える。各々の超音波トランスデューサは、印加される駆動信号に基づいて超音波を送信すると共に、超音波エコーを受信することにより受信信号を出力する。複数の超音波トランスデューサの各々は、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛:Pb(lead) zirconate titanate)に代表される圧電セラミックや、PVDF(ポリフッ化ビニリデン:polyvinylidene difluoride)に代表される高分子圧電素子等の圧電性を有する材料(圧電体)の両端に電極を形成した振動子により構成される。振動子の電極に、パルス状又は連続波の駆動信号を送って電圧を印加すると、圧電体が伸縮する。この伸縮によって、それぞれの振動子からパルス状又は連続波の超音波が発生し、それらの超音波の合成によって超音波ビームが形成される。また、それぞれの振動子は、伝搬する超音波を受信することによって伸縮し、電気信号を発生する。それらの電気信号は、超音波の受信信号として出力され、ケーブル(図示省略)を介して、超音波画像撮影装置16の本体(図示省略)に入力される。
【0054】
超音波画像撮影装置16により撮影された超音波画像は、無線通信または有線通信によって画像保存システム19に送信される。
【0055】
次に、画像保存システム19について説明する。画像保存システム19は、放射線画像撮影システム2により撮影された放射線画像、及び超音波画像撮影装置16により撮影された超音波画像を保存するシステムである。画像保存システム19は、コンソール12及び超音波画像撮影装置16の各々と無線通信または有線通信により接続されている。画像保存システム19は、保存している放射線画像及び超音波画像から、コンソール12、超音波画像撮影装置16、及びその他の読影装置(図示省略)等からの要求に応じた画像を取り出して、要求元の装置に送信する。画像保存システム19の具体例としては、PACS(Picture Archiving and Communication Systems)が挙げられる。
【0056】
次に、画像処理装置18について説明する。画像処理装置18は、放射線画像撮影システム2により撮影された放射線画像及び超音波画像撮影装置16により撮影された超音波画像の各々を画像保存システム19から取得し、予め定められた画像処理を行う機能を有する。
【0057】
図3には、画像処理装置18の構成の一例を表すブロック図が示されている。図3に示すように、画像処理装置18は、制御部60、記憶部62、I/F部64、操作部66、及び表示部68を備えている。制御部60、記憶部62、I/F部64、操作部66、及び表示部68はシステムバスやコントロールバス等のバス69を介して相互に各種情報の授受が可能に接続されている。
【0058】
本実施形態の制御部60は、画像処理装置18の全体の動作を制御する。制御部60は、CPU60A、ROM60B、及びRAM60Cを備える。ROM60Bには、CPU60Aで実行される、後述する画像処理プログラム61を含む各種のプログラム等が予め記憶されている。RAM60Cは、各種データを一時的に記憶する。
【0059】
記憶部62には、画像保存システム19から取得した放射線画像、超音波画像、及びその他の各種情報等が記憶される。記憶部62の具体例としては、HDDやSSD等が挙げられる。
【0060】
操作部66は、画像処理に関する指示や各種情報等をユーザが入力するために用いられる。なお、操作部66は特に限定されるものではなく、例えば、各種スイッチ、タッチパネル、タッチペン、及びマウス等が挙げられる。表示部68は、各種情報を表示する。なお、操作部66と表示部68とを一体化してタッチパネルディスプレイとしてもよい。
【0061】
I/F部64は、無線通信または有線通信により、画像保存システム19との間で放射線画像、超音波画像、及び各種情報の通信を行う。
【0062】
図4には、画像処理装置18の機能の一例を表す機能ブロック図が示されている。画像処理装置18は、放射線画像取得部50、合成2次元画像生成部51、超音波画像取得部52、画像生成部53、位置情報取得部54、深さ特定部55、及び表示制御部56を備える。一例として本実施形態の画像処理装置18は、制御部60のCPU60Aが画像処理プログラム61を実行することにより、CPU60Aが、画像処理装置18は、放射線画像取得部50、合成2次元画像生成部51、超音波画像取得部52、画像生成部53、位置情報取得部54、深さ特定部55、及び表示制御部56として機能する。
【0063】
放射線画像取得部50は、放射線画像Xを取得する機能を有する。なお、一例として、本実施形態の放射線画像Xは、マンモグラフィ装置10において、トモシンセシス撮影により得られた一連の放射線画像(複数の投影画像)である。本実施形態では、ユーザが操作部66により入力した画像表示指示を受け付けると、放射線画像取得部50は、画像表示指示により指定された特定の被検体の乳房の、放射線画像X(複数の投影画像)をI/F部64を介して、画像保存システム19から取得する。なお、本実施形態では、放射線画像について、トモシンセシス撮影において各照射位置で撮影された投影画像、放射線画像を合成することにより得られる合成2次元画像等、複数の種類が存在するが、種類を限定せずに総称する場合は、単に「放射線画像」という場合がある。放射線画像取得部50は、取得した放射線画像Xを合成2次元画像生成部51に出力する。
【0064】
合成2次元画像生成部51は、放射線画像Xから合成2次元画像を生成する機能を有する。なお、合成2次元画像生成部51が放射線画像X、すなわち複数の投影画像から合成2次元画像を生成する方法は、特に限定されず、公知の手法を用いることができる。例えば、複数の投影画像である放射線画像Xを再構成して複数の断層画像を生成し、生成した複数の断層画像を組み合わせて、合成2次元画像を生成する方法が挙げられる。
【0065】
このようにして公知の手法により生成される放射線の合成2次元画像は、撮影台40の撮影面40Aに対して平行とみなせる断面の画像であり、乳房の高さ方向の情報を含む。具体的には、図5に示すように、合成2次元画像80は、撮影面40Aに平行とみなせる画像であり、図5ではXY座標を有する2次元の画像である。また、合成2次元画像80の各画素は、撮影台40の撮影面40Aからの高さ方向の情報、具体的には、図5に示す高さHを表す情報を有している。
【0066】
このように、一般的には、合成2次元画像80は、撮影台40の撮影面40Aを基準とした高さHを表す情報を有している。
【0067】
一方、超音波画像を撮影する場合、図6に示すように、上述したように、圧迫部材34の上面34Aを超音波プローブ16Aで走査し、超音波プローブ16Aから乳房Wに向けて超音波uを送信する。例えば、図6に示した例では、超音波プローブ16Aを乳房Wの左右方向(図6のX方向)に走査させて超音波画像90を撮影することを、乳房Wの前後方向(図6のY方向)の位置をずらしながら複数枚の超音波画像90を撮影する。この場合、撮影によって得られる各超音波画像90は、図6に示すように、撮影台40と交差する方向(乳房Wの左右方向)の断面画像となる。この超音波画像90について、他の断面の超音波画像と区別するため、本実施形態では、第1断面超音波画像90という。
【0068】
圧迫部材34の上面34Aから超音波uを送信するため、第1断面超音波画像90では、圧迫部材34から撮影台40に向かう深さ方向の情報に注目する。例えば、第1断面超音波画像90では、乳房Wの内部構造の位置を、圧迫部材34の上面34Aから撮影台40の撮影面40Aに向けた深さDにより特定する。
【0069】
このように超音波画像Uでは、深さ方向の情報を必要とする一方、合成2次元画像80が高さ方向の情報を有している場合、本実施形態の合成2次元画像生成部51は、合成2次元画像80が有する高さ方向の情報を、深さ方向の情報に変換する。なお、図6に示すように、第1断面超音波画像90は、圧迫部材34における上面34A側の部材による圧迫部材画像91と、乳房Wによる乳房画像92とを含む。そのため、本実施形態の合成2次元画像生成部51は、乳房Wの厚みT、圧迫部材34の圧迫部材34側の部材(乳房Wと接する面の部材)の厚みtとを用いて、合成2次元画像80が有する高さ方向の情報を、深さ方向の情報に変換する。これにより、深さ方向の情報を含む合成2次元画像80が得られる。合成2次元画像生成部51は、深さ方向の情報を含む合成2次元画像80を、記憶部62に記憶させる。
【0070】
一方、超音波画像取得部52は、超音波画像Uを取得する機能を有する。一例として本実施形態の超音波画像Uは、図6に示した複数の第1断面超音波画像90である。超音波画像取得部52は、上述した画像表示指示により指定された特定の被検体の乳房の、超音波画像UをI/F部64を介して、画像保存システム19から取得する。超音波画像取得部52は、取得した超音波画像Uを画像生成部53に出力する。
【0071】
画像生成部53は、複数の超音波画像Uを再構成することにより、乳房Wについて、超音波画像Uと交差する方向の断面である複数の超音波画像を生成する。上述のように、本実施形では、超音波画像Uは、乳房Wの左右方向の断面画像である第1断面超音波画像90であるため、画像生成部53は、乳房Wの前後方向の断面画像である複数の第2断面超音波画像を生成する。すなわち、画像生成部53は、超音波画像90を合成して、撮影台40及び第1断面超音波画像90と交差する方向の断面画像である複数の第2断面超音波画像を生成する。
【0072】
また、画像生成部53は、複数の超音波画像U、すなわち複数の第1断面超音波画像90を再構成することにより、乳房Wについて、撮影台40の撮影面40Aに平行とみなせる面の断面画像(以下、第3断面超音波画像という)、及び3次元超音波画像の少なくとも一方を生成する。なお、以降では、説明の簡略化のため、画像生成部53が3次元超音波画像を生成する場合について説明する。
【0073】
なお、画像生成部53が、複数の超音波画像U(複数の第1断面超音波画像90)から、複数の第2断面超音波画像、及び3次元超音波画像を生成する方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。画像生成部53は、生成した複数の第2断面超音波画像と、3次元超音波画像とを、記憶部62に記憶させる。
【0074】
位置情報取得部54は、合成2次元画像生成部51が生成した合成2次元画像中の位置を表す位置情報Sを取得する機能を有する。位置情報Sは、例えば、表示部68に表示された合成2次元画像上の位置をユーザが操作部66により指定する場合、指定された位置を表す情報であり、具体的には、指定された位置のXY座標である。また例えば、詳細を後述する、合成2次元画像上に配置された超音波画像の断面の位置を指定するために移動可能な断面線をユーザが操作部66により移動させる場合、移動された断面線の位置を表す情報であり、具体的には、断面線の位置のXY座標である。位置情報取得部54は、取得した位置情報Sを、深さ特定部55に取得する。
【0075】
深さ特定部55は、合成2次元画像における位置情報Sが表す位置に対応する深さを特定する。具体的には、深さ特定部55は、記憶部62から合成2次元画像を取得し、位置情報Sが表す位置に対応する画素が有する深さ情報に基づいて、深さD(図6参照)を特定する。深さ特定部55は、特定した深さDを表示制御部56に出力する。
【0076】
表示制御部56は、表示部68に表示させる表示用の超音波画像を、深さ特定部55が特定した深さDを表す情報を付加して表示させる機能を有する。本実施形態の表示制御部56は、表示画像選択部57及び深さ情報付加部58を含んでおり、表示画像選択部57及び深さ情報付加部58により、深さDを表す深さ情報が付加された表示用の超音波画像を表示部68に表示させる。
【0077】
具体的には、表示用の超音波画像として、第1断面超音波画像90及び第2超音波断面画像の少なくとも一方を用いる場合、表示画像選択部57は、記憶部62から、所望の位置の断面となる第1断面超音波画像90及び第2超音波断面画像の少なくとも一方を選択する。深さ情報付加部58は、選択された第1断面超音波画像90及び第2超音波断面画像の少なくとも一方の画像中の深さDに対応する位置に、指標となるライン(図12等のラインLA~LC参照)を深さ情報として付加する。一方、表示用の超音波画像として、3次元超音波画像を用いる場合、表示画像選択部57は、深さDに応じた、3次元超音波画像を記憶部62から選択し、深さ情報が付加された表示用の超音波画像とする。表示制御部56は、このようにして深さ情報が付加された表示用の超音波画像を、表示部68に表示させる。
【0078】
次に、本実施形態の画像処理装置18の作用について図面を参照して説明するが、まずは、画像撮影システム1を用いた、放射線画像X及び超音波画像Uの撮影の流れについて説明する。図7には、本実施形態の画像撮影システム1を用いた、放射線画像X及び超音波画像Uの撮影の流れの一例を表すフローチャートが示されている。
【0079】
まず、ユーザは、撮影台40の撮影面40A上に、被写体となる被検者の乳房Wをポジショニングする。ポジショニングが完了すると、ユーザは、操作部26により乳房Wの圧迫を指示する。そこで、図7のステップS10で、マンモグラフィ装置10の制御部20は、圧迫部材34により乳房Wの圧迫を開始する。具体的には、制御部20は、乳房Wの圧迫の指示を受け付けると、圧迫部材34を圧迫方向に移動させ、圧迫部材34により撮影台40の撮影面40Aとの間で乳房Wを圧迫状態にする。
【0080】
次のステップS12では、マンモグラフィ装置10に乳房Wの放射線画像Xを撮影する。具体的には、ユーザが操作部26に含まれる照射スイッチを操作することにより、放射線源36Rから放射線Rを乳房Wに照射させて、放射線検出器30により放射線画像Xの撮影を行う。本実施形態では、上述したように、トモシンセシス撮影を行い、複数の投影画像を、放射線画像Xとして取得する。マンモグラフィ装置10により得られた放射線画像Xは、コンソール12に出力され、予め定められたタイミングでコンソール12から画像保存システム19に出力され、画像保存システム19内に保存される。
【0081】
次のステップS14では、超音波画像撮影装置16の超音波プローブ16Aをユーザが走査させて、圧迫部材34により圧迫状態とされている乳房Wの複数の超音波画像Uを撮影する。具体的には、放射線画像Xの撮影後、ユーザは、圧迫部材34の上面34Aに、エコーゼリー等の音響マッチング部材(図示省略)を塗布する。さらに、ユーザは、音響マッチング部材により覆われた、圧迫部材34の上面34Aを超音波プローブ16Aにより超音波で走査することで複数の超音波画像Uを撮影する。本実施形態では、上述したように、複数の第1断面超音波画像90を、超音波画像Uとして取得する。超音波画像撮影装置16により得られた超音波画像Uは、予め定められたタイミングで超音波画像撮影装置16から画像保存システム19に出力され、画像保存システム19内に保存される。
【0082】
超音波画像Uの撮影が終了すると、次のステップS16では、圧迫部材34による乳房Wの圧迫を解除する。具体的には、ユーザは、操作部26により、圧迫を解除するための指示を行う。制御部20は、乳房Wの圧迫の解除を受け付けると、圧迫部材34を圧迫解除方向に移動させ、圧迫部材34を撮影台40の撮影面40Aから離れる方向に移動させて、圧迫部材34による乳房Wの圧迫を解除する。このようにして、ステップS16の処理が終了すると、放射線画像X及び超音波画像Uの連続撮影が終了する。なお、本実施形態では、図7に示した流れのように、乳房Wを圧迫部材34により圧迫状態としたままで放射線画像X及び超音波画像Uを連続して撮影することを、「連続撮影」という。なお、放射線画像Xの撮影(図7のステップS12)と、超音波画像Uの撮影(図7のステップS14)との順番は限定されないが、乳房Wの圧迫時間を短縮する観点からは、本実施形態のように放射線画像Xの撮影を先に行うことが好ましい。また、放射線画像Xの撮影と超音波画像Uの撮影との間で、乳房Wの圧迫状態に変化がないとみなせる程度ならば、圧迫部材34により乳房Wを圧迫する圧迫力を弱めてもよい。例えば、乳房Wの乳腺の展開具合に変化が生じないとみなせる程度ならば、圧迫部材34による圧迫力を弱めてもよい。
【0083】
このようにして放射線画像X及び超音波画像Uの連続撮影が終了すると、画像処理装置18による画像処理が行われる。本実施形態の画像処理装置18は、一例として、上述したように、ユーザにより入力された画像表示指示を受け付けた場合、制御部60のCPU60Aが、ROM60Bに記憶されている画像処理プログラム61を実行することにより、図8に一例を示した画像処理を実行する。図8には、本実施形態の画像処理装置18における画像処理の流れの一例を表したフローチャートが示されている。
【0084】
まず、ステップS100で放射線画像取得部50は、上述したように、被検者の乳房Wのトモシンセシス撮影により得られた一連の投影画像である放射線画像Xを、画像保存システム19から取得する。
【0085】
次のステップS102で合成2次元画像生成部51は、上述したように、一例の投影画像である放射線画像Xから深さ情報を含む合成2次元画像80を生成し、記憶部62に記憶させる。
【0086】
次のステップS104で超音波画像取得部52は、上述したように、複数の第1断面超音波画像90である超音波画像Uを、画像保存システム19から取得する。
【0087】
次のステップS106で画像生成部53は、上述したように、複数の第1断面超音波画像90から、複数の第2断面超音波画像及び3次元超音波画像を生成し、記憶部62に記憶させる。
【0088】
次のステップS108で表示制御部56は、図9に一例を示した合成2次元画像80、第1断面超音波画像90、第2断面超音波画像94、及び3次元超音波画像98の初期画像を表示部68に表示させる。図9に示すように、本実施形態では、第1断面超音波画像90の初期画像を、胸壁側の位置の断面図とし、第2断面超音波画像94の初期画像を、乳房の左右方向(図9では上下方向)の中心位置の断面図としている、そのため、合成2次元画像80の初期画像は、図9に示すように、第1断面超音波画像90が示す断面を表す断面線CAが初期位置である胸壁側に配置され、第2断面超音波画像94が示す断面を表す断面線CBが乳房Wの左右の中心位置に配置された、合成2次元画像80となる。
【0089】
また、表示制御部56は、超音波画像に関する初期画像として、合成2次元画像80上の断面線CAによって指定された第1断面超音波画像90、合成2次元画像80超音波画像Uの断面線CBによって指定された第2断面超音波画像94とを表示部68に表示させる。
【0090】
また、図9に示すように、本実施形態では、深さDの初期位置を、最大深さ(乳房の厚みTと、圧迫部材34の厚みとを加算した値)の中央の位置としている。そのため、表示制御部56は、上記中央の位置を示す深さDにおける3次元超音波画像98を表示部68に表示させる。さらに表示制御部56は、第1断面超音波画像90及び第2断面超音波画像94上の深さDに応じた位置に、指標となるラインLA及びLBを深さ情報として表示させる。
【0091】
なお、本実施形態では、合成2次元画像80及び第1断面超音波画像90等を表示部68に表示する場合、図9に示したように、深さ方向の位置を示した指標となるラインLCを付加した、乳房Wの模式図88も表示させる。このように、ラインLCを付加した模式図88も表示させることにより、表示されている第1断面超音波画像90の深さ方向の位置を分かり易くユーザに提示させることができる。
【0092】
次のステップS110で位置情報取得部54は、位置情報Sを取得したか否かを判定する。ユーザにより、表示されている合成2次元画像80上の位置が操作部66により指定された場合、または、合成2次元画像80上の断面線CA及び断面線CBの少なくとも一方が操作部66によって移動された場合、位置情報取得部54は、位置情報Sを取得する。なお、上述したように、表示されている合成2次元画像80上の位置をユーザが操作部66により指定した場合は、指定された位置の座標が位置情報Sとなる。また、合成2次元画像80上の断面線CA及び断面線CBの少なくとも一方の位置をユーザが操作部66により移動させた場合は、断面線CA及び断面線CBの位置を表す情報が位置情報Sとなる。
【0093】
位置情報取得部54が位置情報Sを取得していない場合、ステップS110の判定が否定判定となり、ステップS120へ移行する。一方、位置情報取得部54が位置情報Sを取得した場合、ステップS110の判定が肯定判定となり、ステップS112へ移行する。
【0094】
ステップS112で深さ特定部55は、取得した位置情報Sが断面線CA及び断面線CBの少なくとも一方が移動されたことを示す情報であるか否かを判定する。位置情報Sが、指定された位置の座標である場合、ステップS112の判定が否定判定となり、ステップS116へ移行する。一方、位置情報Sが断面線CA及び断面線CBの位置を表す情報である場合、ステップS112の判定が肯定判定となり、ステップS114へ移行する。
【0095】
ステップS114で深さ特定部55は、位置情報Sである断面線CA及び断面線CBの位置を表す情報から、断面線CA及び断面線CBの交点の位置(XY座標)を特定する。
【0096】
次のステップS116で深さ特定部55は、上述したように、合成2次元画像80における位置情報Sが表す位置に対応する深さを特定する。具体的には、合成2次元画像80における、ユーザにより指定された位置の座標、または断面線CA及び断面線CBの交点の座標に対応する画素が有する深さ情報に基づいて、深さDを特定する。
【0097】
次のステップS118で表示制御部56は、上述したように、深さ情報を付加した表示用の超音波画像を表示部68に表示させる。図10には、表示部68における表示状態の一例が示されている。図10では、合成2次元画像80に含まれる腫瘤89をユーザが操作部66により指定した場合、もしくは、腫瘤89の位置に合わせてユーザが断面線CA及び断面線CBを操作部66により移動させた場合の表示例が示されている。なお、表示制御部56は、ユーザが合成2次元画像80上の位置をユーザが操作部66により指定した場合、表示制御部56は、ユーザが指定した位置に対応する位置に、断面線CA及び断面線CBを表示させる。図10に示した例では、第1断面超音波画像90には、腫瘤89が存在する深さDの位置にラインLAが設けられており、第2断面超音波画像94には、腫瘤89が存在する深さDの位置にラインLBが設けられている。また、第1断面超音波画像90は、腫瘤89が存在する深さDに応じた3次元超音波画像である。
【0098】
次のステップS120で表示制御部56は、表示を終了するか否かを判定する。一例として、本実施形態では、表示を終了する場合、ユーザが操作部66により表示終了の指示を入力する。そのため、表示制御部56は、表示終了の指示が入力されるまで、ステップS120の判定が否定判定となり、ステップS110に戻り、ステップS110~S118の処理を繰り返す。一方、表示終了の指示が入力されると、ステップS120の判定が肯定判定となり、図8に示した画像処理が終了する。
【0099】
[第2実施形態]
以下、本開示の技術の別の実施形態について説明する。
なお、本実施形態において、画像撮影システム1全体の構成、マンモグラフィ装置10、コンソール12、超音波画像撮影装置16、及び画像保存システム19の構成及び動作は、第1実施形態と同様のため、説明を省略する。
【0100】
一方、本実施形態では、画像処理装置18の機能及び動作が第1実施形態の画像処理装置18と異なるため、画像処理装置18について詳細に説明する。なお、画像処理装置18のハードウェアの構成は、第1実施形態の画像処理装置18(図3参照)と同様のため、ハードウェアの構成については説明を省略する。
【0101】
図11には、本実施形態の画像処理装置18の機能の一例を表す機能ブロック図が示されている。本実施形態の画像処理装置18は、関心領域検出部59をさらに備える点で、第1実施形態の画像処理装置18(図4参照)と異なっている。一例として本実施形態の画像処理装置18は、制御部60のCPU60Aが画像処理プログラム61を実行することにより、CPU60Aが、放射線画像取得部50、合成2次元画像生成部51、超音波画像取得部52、画像生成部53、位置情報取得部54、深さ特定部55、表示制御部56、及び関心領域検出部59として機能する。
【0102】
関心領域検出部59は、合成2次元画像80から関心領域を検出する機能を有する。なお、関心領域検出部59が合成2次元画像80から関心領域を検出する方法は特に限定されない。例えば、既存のマンモグラフィCAD(Computer-Aided Detection)を用いて、合成2次元画像80から関心領域を検出してもよい。関心領域検出部59は、検出した関心領域を表す情報を表示制御部56に出力する。
【0103】
本実施形態の表示制御部56は、第1実施形態の表示制御部56が有する機能に加えて、関心領域検出部59が検出した関心領域を表す情報を合成2次元画像80上に表示させる機能を有する。図12には、関心領域を表す情報が重畳された合成2次元画像80の表示の一例が示されている。図12に示した例では、4つの関心領域(関心領域87A~87D)を表す情報が合成2次元画像80上に表示されている。なお、関心領域を表す情報をどのような情報とするかは特に限定されず、図12に示した例では、検出した関心領域の外郭を示す太線が関心領域を表す情報である。
【0104】
ユーザは、関心領域87A~87Dのうち、超音波画像により確認したい関心領域を指定する。例えば、断面線CA及び断面線CBの交点の位置が、指定したい関心領域の内部となるように、操作部66により断面線CA及び断面線CBを移動させることで関心領域の指定を行ってもよい。また例えば、指定したい関心領域の内部の位置を直接、操作部66によって指定することにより、関心領域の指定を行ってもよい。図13には、一例として、関心領域87Bが指定された状態が示されている。この場合、位置情報Sは、ユーザにより指定された関心領域(図13の例では、関心領域87B)の位置を表す情報となる。
【0105】
深さ特定部55は、位置情報Sに基づいて、指定された関心領域を特定し、特定した関心領域の重心位置もしくは最大濃度位置を導出する。
【0106】
深さ特定部55は、重心位置に対応する画素が有する深さ情報に基づいて、指定された関心領域が存在する深さDを特定する。
【0107】
表示制御部56は、深さ特定部55が特定した深さDを表す深さ情報を付加した表示用の超音波画像(第1断面超音波画像90、第2断面超音波画像94、及び3次元超音波画像98)を第1実施形態の表示制御部56と同様にして表示させる。なお、表示制御部56は、関心領域を指定するためにユーザが指定した合成2次元画像80上の位置と、深さ特定部55が導出した関心領域の重心位置もしくは最大濃度位置が異なる場合、深さ特定部55が導出した関心領域の重心位置もしくは最大濃度位置が交点となるように、断面線CA及び断面線CBを移動させることが好ましい。
【0108】
次に、本実施形態の画像処理装置18の作用について説明する。図14には、本実施形態の画像処理装置18における画像処理の流れの一例を表したフローチャートが示されている。図14に示した本実施形態の画像処理は、ステップS108に代わりステップS107及びS108Aの処理を備えており、ステップS116の前にステップS115の処理を備える点で第1実施形態の画像処理(図8参照)と異なっている。
【0109】
図14のステップS107で関心領域検出部59は、上述したように、合成2次元画像80から関心領域を検出する。
【0110】
次のステップS108Aで表示制御部56は、上述したように、上記ステップS107で検出した関心領域を表す情報を合成2次元画像80上に表示させた状態の初期画像(図12参照)を表示部68に表示させる。
【0111】
このようにして合成2次元画像80上に関心領域を表す情報(図12では、関心領域87A~87Dを表す情報)が表示されると、上述したように、ユーザにより、関心領域の指定が行われ、位置情報取得部54が、指定された関心領域の位置を表す位置情報Sを取得する。
【0112】
ステップS115で深さ特定部55は、位置情報Sに基づいて特定された関心領域の重心位置を導出する。なお、上述したように、重心位置に代えて、関心領域の最大濃度位置を導出してもよい。次のステップS116で深さ特定部55が、上述したように、上記ステップS115で導出した重心位置の深さDを特定する。
【0113】
これにより、ステップS118で表示制御部56は、上述したように、図13に示したように、合成2次元画像80、第1断面超音波画像90、第2断面超音波画像94、及び3次元超音波画像98を表示部68に表示させる。
【0114】
このように本実施形態の画像処理装置18によれば、合成2次元画像80から関心領域検出部59により検出さされた関心領域に応じて、第1断面超音波画像90、第2断面超音波画像94、及び3次元超音波画像98が表示される。なお、本実施形態では、関心領域検出部59が検出した関心領域のうち、ユーザが指定した関心領域に応じて第1断面超音波画像90、第2断面超音波画像94、及び3次元超音波画像98が表示される形態について説明した。しかしながら本形態に限定されず、例えば、関心領域検出部59が検出した関心領域の重心位置若しくは最大濃度位置が交点となるように自動的に断面線CA及び断面線CBを移動させて表示することで関心領域を表す情報としてもよい。この場合、ユーザが関心領域を指定せずとも、断面線CA及び断面線CBの交点に対応する画素が有する深さ情報に基づく深さに応じた状態で、第1断面超音波画像90、第2断面超音波画像94、及び3次元超音波画像98が表示される。
【0115】
(変形例1)
なお、上記では、合成2次元画像80から関心領域を検出したが、超音波画像からも関心領域を検出する形態としてもよい。この場合の画像処理装置18の作用について、変形例として説明する。図15には、本変形例の画像処理の流れの一例を表したフローチャートが示されている。図15に示した本変形例の画像処理は、ステップS118に代わり、ステップS117、及びステップS119A~S119Cの処理を備える点で上記実施形態の画像処理(図14参照)と異なっている。
【0116】
本変形例の画像処理では、合成2次元画像80の関心領域の重心位置に基づいて、関心領域の深さDを特定した後、ステップS117で関心領域検出部59は、3次元超音波画像98から関心領域を検出する。なお、合成2次元画像80から検出した関心領域が本開示の第1の関心領域の一例であり、超音波画像から検出した関心領域が本開示の第2の関心領域の一例である。
【0117】
次のステップS119Aで表示制御部56は、図16に示すように、上述と同様にして、深さ情報を付加した表示用の超音波画像を表示部68に表示させると共に、上記ステップS117で検出した3次元超音波画像98中の関心領域のリストLも表示させる。リストLは、3次元超音波画像98において検出された複数の関心領域の各々について、そのスコア(確からしさ)をリスト化したものである。例えば、関心領域検出部59が、上述したようにマンモグラフィCADを用いて、3次元超音波画像98から関心領域を検出した場合、CADの結果に応じたスコア挙げられ、スコアが大きいほど、その関心領域について病変の可能性が高いことを表している。ユーザは、表示されているリストLから、操作部66を用いて確認を行いたい関心領域を指定する。
【0118】
次のステップS119Bで表示制御部56は、リストLに対する指定が行われたか否かを判定する。リストLに対する指定が行われていない場合、ステップS119Bの判定が否定判定となり、ステップS120へ移行する。一方、リストLに対する指定が行われた場合、ステップS119Bの判定が肯定判定となり、ステップS119Cへ移行する。
【0119】
ステップS119Cで表示制御部56は、ユーザにより、リストLにおいて指定された関心領域を表す情報を、表示部68に表示されている3次元超音波画像98上に表示させる。図17には、リストLから「No.1」が選択された状態の一例が示されている。図17に示した3次元超音波画像98上には、リストLの「No.1」に対応する関心領域86の外郭が強調表示されると共に、リストLの番号(No.1)が関心領域情報として表示される。なお、表示部68に表示されている第1断面超音波画像90及び第2断面超音波画像94に対しても、リストLで指定された関心領域(図17では、関心領域86)を含む断面である場合、表示されている第1断面超音波画像90及び第2断面超音波画像94上にも、関心領域を表す情報を表示させることが好ましい。
【0120】
なお、3次元超音波画像98等、超音波画像から関心領域を検出する場合、合成2次元画像80から検出した関心領域の近傍に対応する超音波画像について、関心領域の検出を行い、近傍外の領域については、関心領域の検出を行わないことにより、関心領域の検出のためにかかる処理負荷を低減させる一方で、関心領域の検出精度を維持することができる。なお、「関心領域の近傍」について、具体的に、関心領域からどの程度の範囲の領域をいうのかは限定されず任意としてもよい。また、関心物の種類(石灰化や腫瘤等)に応じて、「近傍」とする範囲を異ならせてもよい。
【0121】
(変形例2)
合成2次元画像80に代えて、放射線画像Xから生成した断層画像から関心領域を検出してもよい。この場合、断層画像から検出した関心領域が本開示の技術の関心領域の一例である。
【0122】
本変形例の場合、図14または図15に示した画像処理のステップS107の処理を、図18に示したステップS107A及びS107Bの処理に置き換えればよい。なお、本変形例の場合、合成2次元画像生成部51が合成2次元画像80を生成する際に、生成した複数の断層画像を記憶部62に記憶させておく。
【0123】
図18のステップS107Aで関心領域検出部59は、記憶部62から断層画像を取得し、取得した断層画像からCAD等を用いて関心領域を検出する。
【0124】
次のステップS107Bで関心領域検出部59は、断層画像から検出した関心領域に対応する、合成2次元画像80上の領域(位置)を特定する。
【0125】
このように、本変形例の画像処理装置18では、合成2次元画像80から直接、関心領域を検出するのに代えて、断層画像を用いて、合成2次元画像80上の関心領域の位置を特定する。これにより、他の組織の影になり、検出し難い関心領域も検出され易くすることができる。
【0126】
以上説明したように、上記各実施形態及び変形例の画像処理装置18によれば、合成2次元画像と、超音波画像とのユーザによる比較を行い易くすることができる。そのため、上記各実施形態及び変形例の画像処理装置18によれば、乳房組織の立体的な構造を認識し易くすることができる。
【0127】
なお、上記画像処理を行う前提としては、放射線画像Xの撮影において圧迫部材34により圧迫状態とされた乳房の厚みと、超音波画像Uの撮影において圧迫部材34により圧迫状態とされた乳房の厚みとが同一であることが好ましい。そのため、上述した画像処理の最初のステップS100の前に、図19に示したステップS90の処理を行うことが好ましい。
【0128】
図19のステップS90で放射線画像取得部50は、放射線画像Xの撮影における乳房Wの圧迫状態と、超音波画像Uの撮影における乳房Wの圧迫状態とが同一であるか否かを判定する。例えば、図7を参照して上述したように、放射線画像Xの撮影と超音波画像Uの撮影とが、乳房Wの圧迫を解除することなく連続して行われた場合は、圧迫状態が同一とみなせる。
【0129】
また例えば、圧迫部材34により乳房Wを圧迫する圧力、圧迫部材34の種類、及び圧迫部材34と撮影台40の撮影面40Aと間隔等の少なくとも1つである圧迫条件が同一の場合、乳房Wの圧迫状態が同一であるとみなせる。また例えば、圧迫部材34により圧迫状態とされた乳房Wの厚み、圧迫状態における乳房Wと撮影台40の撮影面40Aの接触面積、及び圧迫状態における乳房Wと圧迫部材34との接触面積のうちの少なくとも一つである乳房の状態が同一の場合、乳房Wの圧迫状態が同一であるとみなせる。
【0130】
また例えば、放射線画像Xの撮影と超音波画像Uの撮影とで、乳房Wの硬さ及び大きさ等の乳房W自体の状態が異なる場合は、乳房Wの圧迫状態が同一であるとみなせない。
【0131】
放射線画像取得部50は、これらの判断基準により、圧迫状態が同一であるか否かを判定する。圧迫状態が同一ではない場合、ステップS90の処理が否定判定となり、画像処理を終了する。一方、圧迫状態が同一と見なせる場合、ステップS90の判定が肯定判定となり、ステップS100へ移行し、上述した画像処理を実行する。
【0132】
なお、上述した変形例1では、第1実施形態に、さらに、超音波画像から関心領域を検出し、関心領域のリストLを表示させ、リストLから選択された関心領域を表す情報を超音波画像上に表示させる一連の処理を付加する形態として説明した。しかしながら、この超音波画像における関心領域に係わる一連の処理(以下、関心領域関連処理という)については、第1実施形態で示した画像処理とは、別処理としてもよい。この場合、超音波画像における関心領域関連処理としては、以下に示す処理の流れとなる。まず、圧迫部材34によって乳房Wを圧迫状態として撮影された放射線画像の合成2次元画像または放射線画像から再構成された断層画像を取得する。また、合成2次元画像または断層画像から第1の関心領域を検出する。また。放射線画像と同一とみなせる圧迫状態で乳房を圧迫部材によって圧迫状態として撮影された複数の超音波画像を取得する。また、複数の超音波画像から、第1の関心領域に応じた関心領域超音波画像を取得し、また、関心領域超音波画像から第2の関心領域を検出する。そして、第1の関心領域を表す情報を付加した合成2次元画像または断層画像と、第2の関心領域を表す情報を付加した関心領域超音波画像とを表示させる。このような関心領域関連処理を行う装置は、画像処理装置18であってもよいし、画像処理装置18と別体の装置であってもよい。また、ユーザの所望に応じて、適宜、関心領域関連処理のみを行ってもよい。
【0133】
具体例として、このような関心領域関連処理を画像処理装置18が行う場合について図20を参照して説明する。図20には、関心領域関連処理の実行に係わる画像処理装置18の機能の一例を表す機能ブロック図が示されている。図20に示した画像処理装置18は、放射線画像取得部50、合成2次元画像生成部51、超音波画像取得部52、画像生成部53、深さ特定部55A、表示制御部56A、及び関心領域検出部59Aを備える。
【0134】
放射線画像取得部50、合成2次元画像生成部51、及び超音波画像取得部52は、上述した第1実施形態と同様の機能であるため、説明を省略する。
【0135】
一方、本実施形態の画像生成部53Aは、複数の超音波画像U(第1断面超音波画像90)を再構成することにより、乳房Wについて、乳房Wの前後方向の断面画像である複数の第2断面超音波画像を生成する点は、上記実施形態の画像生成部53と共通しているが、3次元超音波画像は生成しない点が異なっている。
【0136】
また、関心領域検出部59Aは、合成2次元画像80から関心領域(第1の関心領域)を検出する機能と、第1断面超音波画像90及び第2断面超音波画像の各々から、関心領域(第2の関心領域)を検出する機能とを有する。関心領域検出部59Aが合成2次元画像80から第1の関心領域を検出する方法は、上記実施形態の関心領域検出部59と同様である。合成2次元画像80から第1の関心領域を検出した後、関心領域検出部59Aは、第1断面超音波画像90及び第2断面超音波画像の各々から、第2の関心領域を検出する。一例として、本具体例では、まず、深さ特定部55Aが、合成2次元画像80における第1の関心領域の深さを特定し、特定した第1の関心領域の深さを関心領域検出部59Aに出力する。関心領域検出部59Aは、合成2次元画像80における第1の関心領域の位置(XY座標)に基づき、第1の関心領域が写っていると推定される、第1断面超音波画像90及び第2断面超音波画像を記憶部62から取得する。さらに、関心領域検出部59Aは、第1の関心領域の深さと位置とに基づいて、第1断面超音波画像90及び第2断面超音波画像の各々から、第1の関心領域の近傍の領域を、関心領域超音波画像として抽出する。上記のようにして、第1断面超音波画像90及び第2断面超音波画像の各々から関心領域超音波画像を取得すると関心領域検出部59Aは、関心領域超音波画像から、関心領域(第2の関心領域)を検出する。
【0137】
関心領域検出部59Aは、合成2次元画像80に第1の関心領域を表す情報を対応付けて表示制御部56Aに出力する。また、関心領域検出部59Aは、関心領域超音波画像に第2の関心領域を表す情報を対応付けて表示制御部56Aに出力する。
【0138】
表示制御部56Aは、第1の関心領域を表す情報を付加した合成2次元画像と、第2の関心領域を表す情報を付加した関心領域超音波画像とを表示部68に表示させる。また、表示制御部56Aは、上記実施形態の関心領域検出部59と同様に、関心領域超音波画像中の第2の関心領域のリストL(図16参照)も表示部68に表示させる。
【0139】
なお、本具体例では、合成2次元画像を用いたが上述のように断層画像を用いてもよい。また、第1断面超音波画像90及び第2断面超音波画像のいずれか一方のみを用いてもよいし、3次元超音波画像を用いてもよい。さらに、関心領域超音波画像と共に、もしくは関心領域超音波画像に替えて、関心領域超音波画像の取得元となった超音波画像に第2の関心領域を表す情報を付加して表示させる形態としてもよい。
【0140】
従って、図20に示した画像処理装置18によれば、関心領域関連処理を実行することにより、合成2次元画像または断層画像と、超音波画像とで、関心領域の比較を容易に行うことができる。
【0141】
なお、上記各実施形態において、例えば放射線画像取得部50、合成2次元画像生成部51、超音波画像取得部52、画像生成部53、位置情報取得部54、深さ特定部55、及び表示制御部56といった各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、上述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device :PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路などが含まれる。
【0142】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0143】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態が挙げられる。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態が挙げられる。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0144】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【0145】
また、上記各実施形態では、画像処理プログラム61が画像処理装置18の制御部60に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。画像処理プログラム61は、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、画像処理プログラム61は、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0146】
その他、上記各実施形態で説明した画像撮影システム1、放射線画像撮影システム2、マンモグラフィ装置10、超音波画像撮影装置16、及び画像処理装置18等の構成及び動作等は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることはいうまでもない。また、上記各実施形態を適宜組み合わせてもよいこともいうまでもない。
【0147】
以上の上記実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0148】
(付記1)
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
圧迫部材によって乳房を圧迫状態として撮影された複数の放射線画像を合成した合成画像であって、前記乳房の深さ方向の情報を含む合成2次元画像を取得し、
前記合成2次元画像を表示させ、
表示されている前記合成2次元画像中の位置を表す位置情報を取得し、
前記放射線画像と同一とみなせる圧迫状態で前記乳房を圧迫部材によって圧迫状態として撮影された複数の超音波画像を取得し、
複数の前記超音波画像に応じた表示用の超音波画像を、前記位置情報が表す位置に対応する前記乳房の深さを表す深さ情報を付加して表示させる、
画像処理装置。
【0149】
(付記2)
前記表示用の超音波画像は、前記複数の超音波画像のいずれかであり、前記乳房が載置される撮影台と交差する方向の断面画像である第1断面超音波画像、
前記複数の超音波画像から合成され、かつ前記撮影台及び前記第1断面超音波画像と交差する方向の断面画像である第2断面超音波画像、
前記複数の超音波画像から合成され、かつ前記撮影台と平行な断面画像である第3断面画像、
及び前記複数の超音波画像から合成され、かつ前記撮影台と平行な断面に応じた3次元超音波画像の少なくとも1つである、
付記1に記載の画像処理装置。
【0150】
(付記3)
前記プロセッサは、
前記深さ情報が付加された前記表示用の超音波画像として、前記位置情報が表す位置に対応する前記乳房の深さの位置に応じた断面に対応する前記第3断面画像及び前記3次元超音波画像の少なくとも一方を表示させる
付記2に記載の画像処理装置。
【0151】
(付記4)
前記プロセッサは、
前記合成2次元画像から第1の関心領域を検出し、
前記合成2次元画像上に前記第1の関心領域を表す第1の関心領域情報を表示させ、
前記第1の関心領域の位置を表す位置情報を取得し、
前記表示用の超音波画像における前記第1の関心領域の近傍に対応する領域から第2の関心領域を検出し、
前記表示用の超音波画像上に前記第2の関心領域を表す関心領域情報を表示させる
付記1から付記3のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【0152】
(付記5)
前記放射線画像はトモシンセシス撮影により得られた放射線画像であって、
前記プロセッサは、
前記放射線画像を再構成した断層画像を取得し、
前記断層画像から第1の関心領域を検出し、
前記合成2次元画像上に前記第1の関心領域に対応する対応領域を表示させ、
前記合成2次元画像上の前記対応領域の位置を表す位置情報を取得し、
前記位置情報が示す位置に応じた前記表示用の超音波画像における前記第1の関心領域の近傍に対応する領域から第2の関心領域を検出し、
前記表示用の超音波画像上に前記第2の関心領域を表す関心領域情報を表示させる
付記1から付記3のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【0153】
(付記6)
前記プロセッサは、
複数の前記第2の関心領域が検出された場合、各第2の関心領域の疑義の度合いを表すスコアのリストを表示させ、
前記リストから指定された第2の関心領域を受け付けた場合、受け付けた第2の関心領域を表す情報を前記表示用の超音波画像上に表示させる
付記4または付記5に記載の画像処理装置。
【0154】
(付記7)
前記プロセッサは、
前記表示用の超音波画像に付加する前記深さ情報として、前記深さに応じた位置に指標となるラインを表示させる
付記1から付記6のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【0155】
(付記8)
前記プロセッサは、
断面の位置を指定するために移動可能な断面線を前記合成2次元画像上に表示させ、
前記断面線によって指定された断面を表す前記表示用の超音波画像を表示させる
付記1から付記7のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【0156】
(付記9)
前記プロセッサは、
前記合成2次元画像から関心領域を検出し、
前記関心領域を表す関心領域情報を前記合成2次元画像上に表示させ、
前記関心領域の位置を前記位置情報として取得する、
付記1から付記8のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【0157】
(付記10)
前記プロセッサは、
前記関心領域の重心位置もしくは最大濃度位置を通過する断面線を前記合成2次元画像上に表示させ、
前記断面線によって指定された断面を表す前記表示用の超音波画像を表示させる
付記9に記載の画像処理装置。
【0158】
(付記11)
前記プロセッサは、
前記断面線として、前記関心領域の重心位置もしくは最大濃度位置を交点とする2本の断面線を表示させる
付記10に記載の画像処理装置。
【0159】
(付記12)
断面線によって指定された断面を表す前記表示用の超音波画像から関心領域を検出し、
前記表示用の超音波画像上に、検出した関心領域を表す情報を表示させる
付記9に記載の画像処理装置。
【0160】
(付記13)
前記放射線画像はトモシンセシス撮影により得られた放射線画像であって、
前記プロセッサは、
前記放射線画像を再構成した断層画像を取得し、
前記断層画像から第1の関心領域を検出し、
前記合成2次元画像上の前記第1の関心領域に対応する位置を表す位置情報を取得し、
前記第1の関心領域の重心位置もしくは最大濃度位置を通過する断面線を前記合成2次元画像上に表示させ、
前記断面線によって指定された断面を表す前記表示用の超音波画像を表示させ、
前記表示用の超音波画像から第2の関心領域を検出し、
前記表示用の超音波画像上に前記第2の関心領域を表す関心領域情報を表示させる
付記1から付記12のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【0161】
(付記14)
前記プロセッサは、
前記表示用の超音波画像から複数の前記第2の関心領域が検出された場合、各第2の関心領域の疑義の度合いを表すスコアのリストを表示させ、
前記リストから指定された第2の関心領域を受け付けた場合、受け付けた第2の関心領域を表す情報を前記表示用の超音波画像上に表示させる
付記13に記載の画像処理装置。
【0162】
(付記15)
前記プロセッサは、
前記超音波画像の撮影と前記放射線画像の撮影とが、乳房を圧迫部材により圧迫状態としたまま連続して行われた場合、前記超音波画像の撮影における前記乳房の圧迫状態と、前記放射線画像の撮影における前記乳房の圧迫状態とが同一であると判定する
付記1から付記14のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【0163】
(付記16)
前記プロセッサは、
乳房を圧迫状態とするための圧迫条件が同一の場合、前記超音波画像の撮影における前記乳房の圧迫状態と、前記放射線画像の撮影における前記乳房の圧迫状態とが同一であると判定する
付記1から付記15のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【0164】
(付記17)
前記プロセッサは、
圧迫状態とされた乳房の状態が同一の場合、前記超音波画像の撮影における前記乳房の圧迫状態と、前記放射線画像の撮影における前記乳房の圧迫状態とが同一であると判定する
付記1から付記16のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【0165】
(付記18)
前記プロセッサは、
さらに、前記複数の超音波画像の撮影における乳房自体の状態と、前記放射線画像の撮影における前記乳房自体の状態とが同一であるとみなせる場合に、前記超音波画像の撮影における前記乳房の圧迫状態と、前記放射線画像の撮影における前記乳房の圧迫状態とが同一であると判定する
付記1から付記17のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【0166】
(付記19)
付記1に記載の画像処理装置と、
放射線画像撮影装置と、
超音波画像撮影装置と、
を備えた画像撮影システム。
【0167】
(付記20)
圧迫部材によって乳房を圧迫状態として撮影された複数の放射線画像を合成した合成画像であって、前記乳房の深さ方向の情報を含む合成2次元画像を取得し、
前記合成2次元画像を表示させ、
表示されている前記合成2次元画像中の位置を表す位置情報を取得し、
前記放射線画像と同一とみなせる圧迫状態で前記乳房を圧迫部材によって圧迫状態として撮影された複数の超音波画像を取得し、
複数の前記超音波画像に応じた表示用の超音波画像を、前記位置情報が表す位置に対応する前記乳房の深さを表す深さ情報を付加して表示させる、
処理をコンピュータが実行する画像処理方法。
【0168】
(付記21)
圧迫部材によって乳房を圧迫状態として撮影された複数の放射線画像を合成した合成画像であって、前記乳房の深さ方向の情報を含む合成2次元画像を取得し、
前記合成2次元画像を表示させ、
表示されている前記合成2次元画像中の位置を表す位置情報を取得し、
前記放射線画像と同一とみなせる圧迫状態で前記乳房を圧迫部材によって圧迫状態として撮影された複数の超音波画像を取得し、
複数の前記超音波画像に応じた表示用の超音波画像を、前記位置情報が表す位置に対応する前記乳房の深さを表す深さ情報を付加して表示させる、
処理をコンピュータに実行させるための画像処理プログラム。
【0169】
(付記22)
少なくとも1つのプロセッサを備え
前記プロセッサは、
圧迫部材によって乳房を圧迫状態として撮影された放射線画像の合成2次元画像または前記放射線画像から再構成された断層画像を取得し、
前記合成2次元画像または前記断層画像から第1の関心領域を検出し、
前記放射線画像と同一とみなせる圧迫状態で前記乳房を圧迫部材によって圧迫状態として撮影された複数の超音波画像を取得し、
前記複数の超音波画像から、前記第1の関心領域に応じた関心領域超音波画像を取得し、
関心領域超音波画像から第2の関心領域を検出し、
前記第1の関心領域を表す情報を付加した前記合成2次元画像または前記断層画像と、前記第2の関心領域を表す情報を付加した前記関心領域超音波画像とを表示させる
画像処理装置。
【符号の説明】
【0170】
1 画像撮影システム
2 放射線画像撮影システム
5 RIS
10 マンモグラフィ装置
12 コンソール
16 超音波画像撮影装置、16A 超音波プローブ
18 画像処理装置
19 画像保存システム
20、60 制御部
60A CPU
60B ROM
60C RAM
22、62 記憶部
24、64 I/F部
26、66 操作部
30 放射線検出器、30A 検出面
34 圧迫板、34A 上面
36 放射線照射部、36R 放射線源
40 撮影台、40A 撮影面
42 アーム部
44 基台
45 軸部
46 圧迫ユニット
50 放射線画像取得部
51 合成2次元画像生成部
52 超音波画像取得部
53、53A 画像生成部
54 位置情報取得部
55、55A 深さ特定部
56、56A 表示制御部
57 表示画像選択部
58 深さ情報付加部
59、59A 関心領域検出部
61 画像処理プログラム
68 表示部
69 バス
80 合成2次元画像
86、87A~87D 関心領域
88 模式図
89 腫瘤
90 第1断面超音波画像
94 第2断面超音波画像
98 3次元超音波画像
91 圧迫部材画像
92 乳房画像
CA、CB 断面線
D 深さ
H 高さ
L リスト
LA、LB、LCライン
R 放射線
S 位置情報
T、t 厚み
U 超音波画像、u 超音波
W 乳房
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20