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特開2024-129588純水再生装置、純水再生システムおよび純水再生方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129588
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】純水再生装置、純水再生システムおよび純水再生方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240919BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20240919BHJP
   C02F 1/20 20230101ALI20240919BHJP
   B01D 19/00 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
H01L21/304 648F
H01L21/306 Z
H01L21/304 648K
H01L21/304 648G
H01L21/304 647Z
H01L21/304 643A
C02F1/20 Z
B01D19/00 A
B01D19/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038901
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小杉 仁
【テーマコード(参考)】
4D011
4D037
5F043
5F157
【Fターム(参考)】
4D011AA12
4D011AA16
4D011AB01
4D011AC02
4D037AA03
4D037AB12
4D037AB14
4D037BA23
4D037BA24
4D037BB02
4D037BB06
5F043AA09
5F043AA31
5F043AA35
5F043BB01
5F043BB22
5F043BB23
5F043DD13
5F043EE01
5F043EE07
5F043EE08
5F043EE28
5F043EE32
5F043EE33
5F043EE40
5F043GG10
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB90
5F157AC02
5F157AC26
5F157BC16
5F157BD26
5F157BD35
5F157BE12
5F157CB13
5F157CD42
5F157CD44
5F157CE10
5F157CE11
5F157CE83
5F157CF04
5F157CF14
5F157CF16
5F157CF34
5F157CF42
5F157CF44
5F157CF60
5F157CF74
5F157CF99
5F157DB23
5F157DC85
5F157DC86
(57)【要約】
【課題】高純度の純水を再生する。
【解決手段】本開示による純水再生装置は、混合液貯留部と、気化部と、排気部とを備える。混合液貯留部は、基板処理に用いた純水であって薬液成分が混入した混合液を貯留する。気化部は、混合液貯留部内に設けられ、混合液中の薬液成分を気化させる。排気部は、気化させた薬液成分を排気する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理に用いた純水であって薬液成分が混入した混合液を貯留する混合液貯留部と、
前記混合液貯留部内に設けられ、前記混合液中の前記薬液成分を気化させる気化部と、
気化させた前記薬液成分を排気する排気部と
を備える、純水再生装置。
【請求項2】
前記気化部によって前記薬液成分が気化された再生純水を貯留する純水貯留部と、
前記純水貯留部に貯留された前記再生純水の液面の高さを測定する液面センサと
を備える、
請求項1に記載の純水再生装置。
【請求項3】
前記混合液貯留部と前記純水貯留部とを接続する接続流路部と、
前記接続流路部内に設けられ、前記再生純水中の気泡を除去する脱気部と
を備える、
請求項2に記載の純水再生装置。
【請求項4】
前記混合液を加熱する加熱機構
を備える、
請求項1に記載の純水再生装置。
【請求項5】
前記混合液貯留部内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部
を備える、
請求項1に記載の純水再生装置。
【請求項6】
前記気化部は、
前記混合液貯留部内における前記混合液の液面よりも高い位置に設けられ、前記混合液を前記混合液貯留部内に供給するノズルを備え、
前記ノズルは、
減圧脱泡器を備える、
請求項1に記載の純水再生装置。
【請求項7】
前記気化部は、
前記混合液貯留部内の前記混合液中に気体を供給する気体供給部を備える、
請求項1に記載の純水再生装置。
【請求項8】
請求項1に記載の純水再生装置と、
前記純水再生装置により再生処理が施された再生純水、純水の新液またはこれらを混合した純水を基板処理装置に供給する純水供給部と、
前記基板処理装置に供給された後の混合液の流入先を切り替える切替弁と、
前記基板処理装置から前記純水再生装置の前記混合液貯留部に前記混合液を供給する混合液供給部と、
を備える、
純水再生システム。
【請求項9】
前記混合液貯留部に純水の新液を供給する新液供給部と、
前記純水再生装置に貯留された前記再生純水の液面の高さを測定する液面センサと、
前記純水再生装置に設けられ、前記再生純水の純度を測定する測定部と、
前記純水再生装置から前記再生純水を排出する純水排出部と、
前記混合液供給部、前記切替弁および前記純水排出部を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記混合液供給部によって前記混合液貯留部に前記混合液が供給されている間、前記液面センサを用いて前記純水再生装置内の前記再生純水の液面の高さを測定し、
測定された前記液面の高さが第1液面閾値以上である場合は、前記切替弁を制御して前記基板処理装置からの前記混合液の回収を停止し、かつ、前記純水排出部を制御して前記純水再生装置に貯留された前記再生純水を排出し、
測定された前記液面の高さが前記第1液面閾値よりも低い第2液面閾値以上である場合は、前記切替弁を制御して前記基板処理装置からの前記混合液の回収を停止する、
請求項8に記載の純水再生システム。
【請求項10】
前記混合液貯留部に純水の新液を供給する新液供給部と、
前記純水再生装置に貯留された前記再生純水の液面の高さを測定する液面センサと、
前記純水供給部および前記新液供給部を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記液面センサを用いて前記純水再生装置内の前記再生純水の液面の高さを測定し、
測定された前記液面の高さが第3液面閾値以下である場合は、前記新液供給部を制御して前記混合液貯留部に前記純水の新液を供給し、
測定された前記液面の高さが前記第3液面閾値よりも低い第4液面閾値以下である場合は、前記新液供給部を制御して前記混合液貯留部に前記純水の新液を供給し、かつ、前記純水供給部を制御して前記基板処理装置への前記再生純水の供給を停止する、
請求項8に記載の純水再生システム。
【請求項11】
前記純水再生装置に設けられ、前記再生純水の純度を測定する測定部と、
前記純水供給部を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記測定部を用いて前記再生純水の純度を測定し、
測定した前記再生純水の純度が第1純度閾値以上である場合には、前記純水供給部を制御して前記基板処理装置へ前記再生純水を供給し、
測定した前記再生純水の純度が前記第1純度閾値より小さい場合には、前記純水供給部を制御して前記再生純水の純度に応じた量の再生純水および純水の新液を混合した純水を前記基板処理装置へ供給する、
請求項8に記載の純水再生システム。
【請求項12】
基板処理に用いた純水であって薬液成分が混入した混合液を貯留する工程と、
前記混合液中の薬液成分を気化させる工程と、
気化させた前記薬液成分を排気する工程と
を含む、
純水再生方法。
【請求項13】
貯留された前記混合液に対して不活性ガスを供給する工程
をさらに含む、
請求項12に記載の純水再生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、純水再生装置、純水再生システムおよび純水再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板に対して薬液処理と純水処理とを行う枚葉化学処理装置において、薬液処理時の排液系統と純水処理時の排液系統とを分離することで、効率的な排液回収を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-294531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、高純度の純水を再生する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による純水再生装置は、混合液貯留部と、気化部と、排気部とを備える。混合液貯留部は、基板処理に用いた純水であって薬液成分が混入した混合液を貯留する。気化部は、混合液貯留部内に設けられ、混合液中の薬液成分を気化させる。排気部は、気化させた薬液成分を排気する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、高純度の純水を再生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態に係る純水再生システムの構成例を示す概略ブロック図である。
図2図2は、第1実施形態に係る基板処理装置の具体的な構成の一例を示す模式図である。
図3図3は、第1実施形態に係る純水再生装置の具体的な構成の一例を示す模式図である。
図4図4は、第1実施形態に係る基板処理装置が実行する制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、第1実施形態に係る純水再生システムが実行するリンス処理および純水回収処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、第1実施形態に係るリンス処理の手順の別の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、第1実施形態に係るリンス処理および純水回収処理の手順の別の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、再生純水の液面の高さに応じた制御処理の一例を示す表である。
図9図9は、第2実施形態に係る純水再生装置の具体的な構成の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本開示による純水再生装置、純水再生システムおよび純水再生方法を実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではない。また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0009】
また、以下に示す実施形態では、「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」といった表現が用いられる場合があるが、これらの表現は、厳密に「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」であることを要しない。すなわち、上記した各表現は、例えば製造精度、設置精度などのずれを許容するものとする。
【0010】
特許文献1には、基板に対して薬液処理と純水処理とを行う枚葉化学処理装置において、薬液処理時の排液系統と純水処理時の排液系統とを分離することで、効率的な排液回収を行う技術が開示されている。しかし、特許文献1に記載の方法では、基板に残存していた薬液を含んだ低純度の純水が回収されるおそれがある。このような場合、回収された純水を基板に対する処理に使用するには純度を高める再生処理を施す必要がある。
【0011】
そこで、高純度の純水を再生する技術が期待されている。
【0012】
(第1実施形態)
<純水再生システムの構成>
最初に、図1を参照しながら、第1実施形態に係る純水再生システム1の概略構成について説明する。図1は、第1実施形態に係る純水再生システム1の構成例を示す概略ブロック図である。
【0013】
図1に示すように、純水再生システム1は、基板処理装置2と、純水再生装置3と、循環部4とを備える。基板処理装置2は、図示しない基板搬送装置によって搬送されるウェハW(図2参照)に対して薬液を用いた薬液処理を行った後、純水を用いたリンス処理を行う。かかる基板処理装置2の構成については、図2を用いて後述する。
【0014】
純水再生装置3は、基板処理装置2で使用された純水に再生処理を施す。具体的には、薬液処理後のウェハWには薬液が残存しているため、基板処理装置2から回収される純水には、かかる薬液が混入している可能性がある。純水再生装置3は、このように薬液が混入した純水(以下、「混合液」と記載する)から薬液成分を除去して純水の純度を高める処理を行う。なお、以下の説明では、純水再生装置3によって再生処理が施され、循環路4aへと送り出された液体を「再生純水」と呼ぶ。また、以下の説明では、基板処理装置2の回収ライン65b(図2参照)に流入した純水であって薬液成分が混入した混合液を純水再生装置3によって再生する例について説明するが、純水再生装置3の処理対象となる混合液はこれに限られない。純水再生装置3の構成については、図3を用いて後述する。
【0015】
循環部4は、基板処理装置2と純水再生装置3との間で混合液または再生純水を循環させる。循環部4は、循環路4aと、複数の加熱機構4b、4cと、ポンプ4dと、フィルタ4eとを備える。
【0016】
加熱機構4b、4cは、循環路4aを流れる混合液または再生純水を加熱する。具体的に加熱機構4b、4cは、循環路4aを流れる混合液または再生純水を再生処理に適した温度に調整する。たとえば、薬液がHF(フッ酸)およびNHOH(水酸化アンモニウム)である場合、加熱機構4b、4cは、HFおよびNHOHの沸点よりも高く、純水の沸点よりも低い温度に混合液を加熱する。たとえば、加熱機構4b、4cは、循環路4aを流れる混合液または再生純水を70℃に加熱する。ポンプ4dは、再生純水を循環路4aに送り出す。フィルタ4eは、循環路4aを流れる再生純水から固形状の不純物(パーティクル)を除去する。加熱機構4b、4cおよびポンプ4dは、後述する制御部71によって制御される。
【0017】
また、純水再生システム1は、制御装置7を備える。制御装置7は、たとえばコンピュータであり、制御部71と記憶部72とを備える。記憶部72には、純水再生システム1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部71は、記憶部72に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって純水再生システム1の動作を制御する。
【0018】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置7の記憶部72にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0019】
<基板処理装置の構成>
次に、第1実施形態に係る基板処理装置2の構成について、図2を参照しながら説明する。図2は、基板処理装置2の具体的な構成の一例を示す模式図である。図2に示すように、基板処理装置2は、チャンバ20と、基板処理部30と、薬液供給部40と、純水供給部50と、回収カップ60とを備える。
【0020】
なお、図2では、2つのカップが多段に設けられた回収カップ60を例示しているが、カップの数は2つに限定されない。
【0021】
チャンバ20は、基板処理部30と、薬液供給部40と、純水供給部50と、回収カップ60とを収容する。チャンバ20の天井部には、FFU(Fan Filter Unit)21が設けられる。FFU21は、チャンバ20内にダウンフローを形成する。
【0022】
基板処理部30は、保持部31と、支柱部32と、駆動部33とを備え、載置されたウェハWに液処理を施す。保持部31は、ウェハWを水平に保持する。支柱部32は、鉛直方向に延在する部材であり、基端部が駆動部33によって回転可能に支持され、先端部において保持部31を水平に支持する。駆動部33は、支柱部32を鉛直軸まわりに回転させる。
【0023】
かかる基板処理部30は、駆動部33を用いて支柱部32を回転させることによって支柱部32に支持された保持部31を回転させ、これにより、保持部31に保持されたウェハWを回転させる。
【0024】
また、基板処理部30が備える保持部31の上面には、ウェハWを側面から保持する保持部材31aが設けられる。ウェハWは、かかる保持部材31aによって保持部31の上面からわずかに離間した状態で水平保持される。
【0025】
薬液供給部40は、保持部31に保持されたウェハWに薬液を供給する。薬液供給部40は、ノズル41と、ノズル41を水平に支持するアーム42と、アーム42を旋回および昇降させる旋回昇降機構43とを備える。
【0026】
ノズル41は、バルブ44を介して薬液供給源46に接続される。薬液供給源46は、薬液を貯留するタンクである。この薬液は、たとえば、HF(フッ酸)、HF/HNO(フッ硝酸)、HF/HNO/CHCOOH(フッ酸-硝酸-酢酸混合酸)、NHOH(水酸化アンモニウム)、SC1(アンモニア-過酸化水素水混合液)及びTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)の少なくとも1種である。
【0027】
また、ウェハWの表面には、たとえば、上述の薬液によってエッチング可能な薄膜(たとえば、酸化膜、窒化膜およびシリコン膜の少なくとも1種)が形成される。
【0028】
純水供給部50は、保持部31に保持されたウェハWに純水を供給して、ウェハWのリンス処理を行う。純水は、たとえばDIW(DeIonized Water:脱イオン水)である。純水供給部50は、ノズル51と、ノズル51を水平に支持するアーム52と、アーム52を旋回および昇降させる旋回昇降機構53とを備える。
【0029】
ノズル51は、調整弁54を介してDIW供給源56または循環路4aに接続される。調整弁54は、ノズル51に流入させる純水を、DIW供給源56から供給される純水と、循環路4aから供給される純水との間で切り替える。また、調整弁54は、DIW供給源56から供給される純水と、循環路4aから供給される純水との両方をノズル51に流入させることができる。さらに、調整弁54は、DIW供給源56から供給される純水と、循環路4aから供給される純水と割合を調整することができる。
【0030】
DIW供給源56は、DIWを貯留するタンクである。以下の説明では、DIW供給源56から供給される純水を「純水の新液」と呼び、循環路4aから供給される純水を「再生純水」と呼ぶ。また、純水の新液と再生純水とを区別しない場合にはこれらを単に「純水」と呼ぶ場合がある。
【0031】
たとえば、制御部71が調整弁54を制御して、ノズル51をDIW供給源56と接続した場合、DIW供給源56から供給される純水の新液は、調整弁54を介してウェハWに供給される。同様に、制御部71が調整弁54を制御して、ノズル51を循環路4aと接続した場合、循環路4aを循環する再生純水は、調整弁54を介してウェハWに供給される。なお、制御部71は、調整弁54を制御して、DIW供給源56からの純水の新液と、循環路4aを流れる再生純水との混合液をウェハWに供給してもよい。かかる点については、図6を用いて後述する。
【0032】
回収カップ60は、保持部31の周囲に設けられ、保持部31の回転によってウェハWから飛散する処理液を捕集する。回収カップ60は、基板処理部30によって保持され回転するウェハWの回転中心に同心配置された多段構成とすることができる。具体的には、回収カップ60は、純水回収カップ60aと、ドレイン回収カップ60fとを含む。
【0033】
純水回収カップ60aは、ウェハWの下方及び外周外方を囲むとともに、ウェハWの上方を開放させる形状を有する。純水回収カップ60aは、ドレイン回収カップ60fの外側に設けられる。純水回収カップ60aは、ウェハWの外周外方に回収口60bを形成するとともに、下方に回収口60bに連通する回収空間60cを形成する。
【0034】
また、純水回収カップ60aは、回収空間60cの底部に同心リング状の仕切壁60hを形成して、回収空間60cの底部を同心二重リング状の純水回収部60dとドレイン部60eとに区画する。純水回収部60dは、ドレイン部60eの外側に配置される。
【0035】
純水回収部60dには、排液口61aが形成される。排液口61aからの排出経路は、切替弁67を介して、ドレインライン65aおよび回収ライン65bに接続される。たとえば、制御部71が切替弁67を制御して、排液の流入先をドレインライン65aとした場合、排液口61aから排出される排液は、バルブ64aを介してドレインライン65aに流れる。同様に、たとえば、制御部71が切替弁67を制御して、排液の流入先を回収ライン65bとした場合、排液口61aから排出される排液は、バルブ64bを介して回収ライン65bに流れる。回収ライン65bを流れる排液は、循環路4aに流入される。
【0036】
また、純水回収部60dには、純水の純度を測定する測定部62aが設けられる。本明細書における「純水の純度」とは、純水における、主成分である水(HO)が占める割合を示す。「純水の純度が高い」とは、主成分である水(HO)の割合が高いこと、言い換えれば、主成分以外の成分(薬液成分等の不純物)の割合が少ないことを意味する。純水の純度は、たとえば、純水の導電率、濃度、比抵抗等から推定することが可能である。このため、測定部62aとしては、たとえば、導電率計や、濃度計または比抵抗計等を用いることができる。なお、比抵抗は、導電率の逆数である。
【0037】
ドレイン部60eには、排液口61bが形成される。排液口61bからの排出経路は、バルブ64cへ接続される。排液口61bから排出される排液は、かかるバルブ64cを介して処理ユニット16の外部へ排出される。なお、バルブ64cを複数個のバルブで構成し、酸性やアルカリ性といった薬液の性質に応じて個別にバルブを分けて、排出経路を分岐させてもよい。また、薬液が再利用可能な場合には、バルブ64cを介して排出された薬液を回収してもよい。
【0038】
純水回収カップ60aの仕切壁60hには、かかる仕切壁60hを貫き、かつ、回収カップ60内において排液口61a,61bよりも上方で開口された複数の排気口66が、仕切壁60hの円周方向に沿って間隔を空けつつ形成される。かかる排気口66からの排出経路は、バルブ66aに接続される。
【0039】
ドレイン回収カップ60fは、仕切壁60hの直上方に所定の間隔を空けて配置され、昇降可能に設けられる。ドレイン回収カップ60fには、かかるドレイン回収カップ60fを昇降させる昇降機構70(カップ切替部の一例)が接続される。かかる昇降機構70は、制御部71によって昇降制御される。
【0040】
ドレイン回収カップ60fは、上端部に純水回収カップ60aの回収口60bまで内側上方に向けて傾斜する傾斜壁部60gを有する。傾斜壁部60gは、純水回収カップ60aの回収口60bまで回収空間60cの傾斜壁に沿って平行に伸延されており、傾斜壁部60gが純水回収カップ60aの回収空間60cの傾斜壁と近接するようになっている。
【0041】
そして、昇降機構70を用いてドレイン回収カップ60fを下降させると、回収空間60cの内部において純水回収カップ60aの傾斜壁とドレイン回収カップ60fの傾斜壁部60gとの間に回収口60bから排液口61aへと通じる流路が形成される。
【0042】
また、昇降機構70を用いてドレイン回収カップ60fを上昇させると、回収空間60cの内部においてドレイン回収カップ60fの傾斜壁部60gの内側に回収口60bからドレイン部60eの排液口61bへと通じる流路が形成される。
【0043】
そして、処理ユニット16は、基板処理を行う際、基板処理中にてかかるドレイン回収カップ60fを昇降させることによって、排液口61a,61bの切り替えを実行する。
【0044】
たとえば、薬液をウェハWへ吐出してウェハWを処理する場合、制御部71は、基板処理部30の駆動部33を制御して保持部31を所定回転速度で回転させた状態でバルブ44を開放する。これにより、薬液供給源46から供給される薬液が、ノズル41からウェハWの上面へ吐出される。
【0045】
このとき、制御部71は、昇降機構70を制御してドレイン回収カップ60fを上昇させて、回収口60bからドレイン部60eの排液口61bへと通じる流路を形成しておく。
【0046】
これにより、ウェハWへ供給された薬液は、ウェハWの回転による遠心力の作用でウェハWの外周外方へ向けて振り切られ、回収口60bから回収空間60cのドレイン部60eに回収される。そして、薬液は、排液口61bから排出される。言い換えると、ドレイン回収カップ60fが上昇した状態は、液をドレイン回収カップ60fで受ける状態となっている。
【0047】
また、たとえば純水をウェハWへ吐出してウェハWを処理する場合、制御部71は、同じく駆動部33を制御して保持部31を所定回転速度で回転させた状態で調整弁54を制御する。これにより、DIW供給源56または循環路4aから供給される純水がノズル51からウェハWの上面へ吐出される。
【0048】
このとき、制御部71は、昇降機構70を制御してドレイン回収カップ60fを下降させて、回収口60bから純水回収部60dの排液口61aへと通じる流路を形成する。
【0049】
これにより、ウェハWに供給された純水は、ウェハWの回転による遠心力の作用でウェハWの外周外方へ向けて振り切られ、純水回収カップ60aの回収口60bから回収空間60cの純水回収部60dに回収される。そして、純水は、排液口61aから排出される。言い換えると、ドレイン回収カップ60fが下降した状態は、液を純水回収カップ60aで受ける状態となっている。
【0050】
なお、このようにドレイン回収カップ60fを昇降させることによって行う排液口61a,61bの切り替えを、以下では、「カップ切替」と呼ぶ場合がある。
【0051】
<純水再生装置の構成>
次に、第1実施形態に係る純水再生装置3の構成について、図3を参照しながら説明する。図3は、純水再生装置3の具体的な構成の一例を示す模式図である。図3に示すように、純水再生装置3は、混合液貯留部80と、純水貯留部90とを備える。
【0052】
混合液貯留部80は、基板処理装置2から回収された混合液を貯留する。混合液貯留部80は、混合液供給部81と、気体供給部82と、排気部83と、加熱機構84と、不活性ガス供給部85と、新液供給部87とを備える。
【0053】
混合液供給部81は、循環路4aを流れる混合液を混合液貯留部80内に供給する。混合液供給部81は、ノズル81aを備える。ノズル81aは、バルブ81bを介して循環路4aと接続される。ノズル81aは、混合液貯留部80内における混合液の液面よりも高い位置に設けられ、混合液を混合液貯留部80内に噴霧させる。
【0054】
ノズル81aは、不図示の減圧脱泡器を備えていてもよい。これにより、ノズル81aは、循環路4aを流れる混合液を混合液貯留部80内に減圧脱泡することができる。かかる構成によれば、混合液中の薬液成分の気化を促進することができる。ノズル81aは、混合液中の薬液成分を気化させる気化部の一例である。
【0055】
気体供給部82は、混合液貯留部80の内部において、ノズル81aよりも下方に配置される。具体的には、気体供給部82は、混合液貯留部80に貯留された混合液の液面よりも低い位置に、より具体的には、混合液貯留部80の底面付近に配置される。気体供給部82は、複数の供給口82cを備えており、かかる供給口82cから混合液貯留部80内の混合液に気体を供給する。複数の供給口82cは、バルブ82bを介して気体供給源82aに接続される。気体供給源82aは、複数の供給口82cに気体を供給する。気体供給源82aから複数の供給口82cに供給される気体は、たとえば窒素ガスや二酸化炭素であってもよい。
【0056】
かかる構成によれば、気液界面の面積を増加でき、混合液の気化を促進することができる。気体供給部82は、混合液中の薬液成分を気化させる気化部の一例である。
【0057】
純水再生装置3は、混合液に含まれる薬液成分を気化させることによって混合液から薬液成分を除去する。これにより、純水再生装置3は、純度の高い純水を得ることができる。かかる純水を基板処理に再利用することで、再利用しない場合と比較して、基板処理における純水の使用量を低減することができる。
【0058】
排気部83は、ノズル81aまたは気体供給部82によって気化させた薬液成分を排気する。排気部83は、混合液貯留部80の上部に形成される排気口83bを備える、排気口83bからの排気経路は、真空ポンプなどのポンプ部83aに接続される。
【0059】
加熱機構84は、混合液貯留部80内の混合液を加熱する。たとえば、制御部71は、加熱機構84を制御して、薬液であるHFおよびNHOHの沸点よりも高く、純水の沸点よりも低い温度に混合液を加熱する。かかる構成によれば、混合液中の薬液成分の気化を促進することができる。
【0060】
不活性ガス供給部85は、混合液貯留部80内に不活性ガスを供給する。不活性ガス供給部85は、不活性ガス供給源85aと、バルブ85bと、供給口85cとを備える。不活性ガス供給源85aからの不活性ガスは、バルブ85bを介して供給口85cから混合液貯留部80に供給される。かかる構成によれば、混合液貯留部80内の気体を排気部83経由でパージ(排気)することができる。不活性ガスは、たとえば窒素ガスである。
【0061】
新液供給部87は、混合液貯留部80内に純水の新液を供給する。純水は、たとえばDIW(DeIonized Water:脱イオン水)である。新液供給部87は、DIW供給源87aと、バルブ87bとを備える。DIW供給源56からの純水の新液は、バルブ87bを介して混合液貯留部80に供給される。
【0062】
純水貯留部90は、混合液貯留部80において薬液成分が除去された再生純水を貯留する。実施形態では、1つのタンクを仕切板86で2つに分割し、一方を混合液貯留部80、他方を純水貯留部90として用いている。仕切板86には開口86aが設けられており、混合液貯留部80と純水貯留部90とは開口86aを介して連通している。
【0063】
純水貯留部90は、液面センサ91と、測定部92と、純水排出部93と、純水回収部94と、排気部95と、不活性ガス供給部96とを備える。
【0064】
液面センサ91は、純水貯留部90に貯留された再生純水の液面の高さを測定する。かかる構成によれば、純水貯留部90中の再生純水の量を把握することができ、再生純水の排液や、液供給の制御を行うことができる。たとえば、制御部71は、液面センサ91を用いて再生純水の液面の高さを測定し、かかる液面の高さと予め定められた第1液面閾値~第4液面閾値とを比較する。そして、制御部71は、かかる比較結果に基づいて排液や、液供給の制御を行う。この点については、図7および図8を用いて後述する。
【0065】
測定部92は、純水貯留部90内の再生純水の純度を測定する。測定部92としては、たとえば、導電率計や、濃度計または比抵抗計等を用いることができる。たとえば、制御部71は、測定部92を用いて再生純水の純度を測定し、測定された純度に基づいて基板処理装置2に供給する液(再生純水、純水の新液またはこれらを混合した純水)を決定する。この点については、図6を用いて後述する。
【0066】
純水排出部93は、純水貯留部90内の再生純水を排出する。純水排出部93の排液口93aは、たとえば純水貯留部90における側面下部に設けられる。排液口93aから排出される排液は、バルブ93bを介して純水再生装置3の外部に排出される。
【0067】
純水回収部94は、純水貯留部90内の再生純水を回収して、循環路4a(図1参照)に送り出す。純水回収部94は、純水貯留部90に形成された排液口94a、94cを備える。具体的に、排液口94aは純水貯留部90の側面の底部に形成され、排液口94cは純水貯留部90の上部に形成される。排液口94a、94cからの排液経路は、バルブ94b、94dを介して、循環路4aに接続される。
【0068】
排気部95は、純水貯留部90の上部に形成される排気口95bを備える、排気口95bからの排気経路は、真空ポンプなどのポンプ部95aに接続される。不活性ガス供給部96は、純水貯留部90内に不活性ガスを供給する。不活性ガス供給部96は、不活性ガス供給源96aと、バルブ96bと、供給口96cとを備える。不活性ガス供給源96aからの不活性ガスは、バルブ96bを介して供給口96cから純水貯留部90に供給される。
【0069】
<制御処理の手順>
つづいて、第1実施形態に係る制御処理の手順について、図4を参照しながら説明する。図4は、実施形態に係る基板処理装置2が実行する制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。なお、図4のフローチャートが開始される時点で、ドレイン回収カップ60fは上昇しており、ドレイン回収カップ60fで液を受ける状態になっている。
【0070】
実施形態に係る制御処理では、まず、制御部71が、基板処理装置2に搬入されたウェハWを保持部31で保持する(ステップS101)。そして、制御部71は、基板処理部30などを制御して、ウェハWを所与の回転数で回転させる(ステップS102)。
【0071】
次に、制御部71は、薬液供給部40を制御して、ウェハW上に所与の流量で薬液を供給する(ステップS103)。その後、制御部71は、ウェハWに対する薬液の供給を停止する(ステップS104)。
【0072】
次に、制御部71は、昇降機構70を制御して、カップ切り替えを行う(ステップS105)。具体的には、制御部71は、昇降機構70を制御してドレイン回収カップ60fを下降させて、純水回収カップ60aで液を受ける状態にする。このとき、切替弁67は、排液口61aとドレインライン65aとを接続した状態となっている。このため、純水回収カップ60aに回収された液は、ドレインライン65a経由で外部に排出される。
【0073】
かかる処理によれば、純水回収カップ60aへの薬液の持ち込みが低減されるため、純水の純度低下を抑制することができる。純水の純度低下が抑制されると、純水再生装置3内で気化させる薬液成分が少量になるため、より効率的に再生処理を行うことができる。
【0074】
次に、制御部71は、薬液による液処理が終了したウェハWに対し、純水によるリンス処理を実施する(ステップS106)。具体的には、制御部71は、純水供給部50を制御してウェハW上に所与の流量で純水を供給する。
【0075】
制御部71は、所定の条件に基づいてウェハWに供給する純水の種類(再生純水、純水の新液またはこれらを混合した純水)を切り替える。たとえば、制御部71は、リンス処理開始からの経過時間に応じて純水の種類を切り替えてもよい。また、制御部71は、純水貯留部90に貯留されている再生純水の純度に応じて純水の種類を切り替えてもよい。また、制御部71は、純水貯留部90に貯留されている再生純水の液面の高さに応じて純水の種類を切り替えてもよい。
【0076】
制御部71は、かかるリンス処理中に純水回収処理を行う。具体的には、制御部71は、所定の条件に基づいて純水の流入先を切り替える。たとえば、制御部71は、リンス処理開始からの経過時間に応じて純水の流入先を切り替えてもよい。また、制御部71は、純水貯留部90に貯留されている再生純水の液面の高さに応じて純水の流入先を切り替えてもよい。
【0077】
上述したリンス処理および純水回収処理の詳細については、図5図7を用いて後述する。
【0078】
次に、制御部71は、ウェハWに対するリンス液の供給を停止し、リンス処理が終了したウェハWに対して、スピン乾燥などによる乾燥処理を実施する(ステップS107)。そして、制御部71は、乾燥処理が終了したウェハWを基板処理装置2から搬出し(ステップS108)、一連の制御処理を終了する。
【0079】
つづいて、第1実施形態に係るリンス処理および純水回収処理の手順について、図5図7を参照しながら説明する。図5は、第1実施形態に係る純水再生システム1が実行するリンス処理および純水回収処理の手順の一例を示すフローチャートである。上述した図4のステップS106におけるリンス処理が開始されると、本フローチャートのリンス処理および純水回収処理が開始される。
【0080】
まず、制御部71は、純水供給部50を制御して、ウェハWにリンス液として再生純水を供給する(ステップS201)。このとき、回収カップ60は純水回収カップ60aで液を受ける状態となっている。また、排液口61aは、切替弁67によってドレインライン65aと接続された状態となっており、バルブ64aは開いた状態となっている。これにより、ウェハWに供給された再生純水は、ドレインライン65aを介して外部に排出される。
【0081】
つづいて、制御部71は、ステップS201において再生純水の供給を開始してから所定の時間が経過したか否かを判定する(ステップS202)。制御部71は、所定時間が経過するまで、再生純水の供給を継続する(ステップS202,No)。一方、ステップS202において所定時間が経過したと判定すると、制御部71は、切替弁67を制御して、ウェハWに供給された後の純水の流入先をドレインライン65aから回収ライン65bに切り替える(ステップS203)。
【0082】
ここで、所定の時間とは、たとえば純水の純度が予め定められた閾値以上となるために必要な時間であってもよい。かかる所定の時間は、たとえば、リンス処理開始から純水の純度が閾値以上になった時点までの時間を複数回計測して、平均の時間を算出することで得られる。一例として、リンス処理中における純水の導電率の変化を導電率計である測定部62aにより測定し、測定された導電率が予め定められた値以下となるまでに要する時間を計測する。この計測を複数回行い、導電率が予め定められた値以下となるまでに要する時間の平均値を求める。このようにして得られた平均時間が、純水の純度が予め定められた閾値以上となるために必要な時間、すなわち、所定の時間としてレシピ情報に登録されてもよい。
【0083】
かかる処理によれば、薬液成分が多く含まれている可能性の高いリンス処理開始直後の純水は回収せずに、リンス処理開始から所定の時間経過後の純度が高い純水のみを回収することができる。
【0084】
また、制御部71は、ステップS203から所定の時間が経過した後に、純水供給部50を制御して、ウェハWにリンス液として純水の新液を供給する(ステップS204)。なお、ステップS203およびステップS204の処理は同時に行われてもよい。その後、制御部71は、本フローチャートの処理を終了し、図4のステップS107の乾燥処理を行う。
【0085】
図6は、第1実施形態に係るリンス処理の手順の別の一例を示すフローチャートである。上述した図4のステップS106におけるリンス処理が開始されると、本フローチャートのリンス処理が開始される。
【0086】
まず、制御部71は、測定部92を用いて、純水貯留部90における再生純水の純度を測定する(ステップS301)。そして、制御部71は、測定された再生純水の純度が予め定められた第1純度閾値以上であるか否か、言い換えると、純水貯留部90における再生純水がウェハWのリンス処理に使用可能な純度であるか否かを判定する(ステップS302)。制御部71は、再生純水の純度が第1純度閾値以上である場合(ステップS302,Yes)、純水供給部50を制御して、ウェハWに再生純水を供給する(ステップS303)。
【0087】
一方、制御部71は、再生純水の純度が第1純度閾値よりも小さい場合(ステップS302,No)、再生純水の純度が第1純度閾値よりも小さい第2純度閾値以上であるか否かを判定する(ステップS304)。制御部71は、再生純水の純度が第2純度閾値以上である場合(ステップS304,Yes)、純水供給部50を制御して、ウェハWに再生純水および純水の新液を混合した純水を供給する(ステップS305)。具体的には、制御部71は、再生純水の純度に応じて、再生純水の供給量と、純水の新液の供給量とを決定し、ウェハWに対して供給する。たとえば、再生純水の純度が第1純度閾値に近い純度である場合、制御部71は、再生純水の供給量を、純水の新液の供給量よりも多くする。一方、再生純水の純度が第2純度閾値に近い純度である場合、制御部71は、再生純水の供給量を、純水の新液の供給量よりも少なくする。
【0088】
このように、再生純水の純度が、ウェハWのリンス処理に使用可能な純度でない場合であっても、純水の新液を混合させることでリンス処理に使用可能な純度まで高めることができる。
【0089】
一方、制御部71は、再生純水の純度が第2純度閾値よりも小さい場合(ステップS304,No)、純水供給部50を制御して、ウェハWに純水の新液を供給する(ステップS306)。
【0090】
以上のように、実施形態に係る純水再生システム1は、測定部92を用いて再生純水の純度を測定し、測定した再生純水の純度が第1純度閾値以上である場合には、純水供給部50を制御して基板処理装置2へ再生純水を供給し、測定した再生純水の純度が第1純度閾値より小さい場合には、純水供給部50を制御して再生純水の純度に応じた量の再生純水および純水の新液を基板処理装置へ供給する。かかる処理によれば、再生純水の純度に応じて基板処理装置2へ供給する再生純水の使用量を調整することができる。
【0091】
図7は、第1実施形態に係るリンス処理および純水回収処理の手順の別の一例を示すフローチャートである。図8は、再生純水の液面の高さに応じた制御処理の一例を示す表である。上述した図4のステップS106におけるリンス処理が開始されると、本フローチャートのリンス処理が開始される。
【0092】
まず、制御部71は、液面センサ91を用いて、純水貯留部90における再生純水の液面の高さを測定する(ステップS401)。そして、制御部71は、測定された再生純水の液面の高さが予め定められた第1液面閾値以上であるか否かを判定する(ステップS402)。制御部71は、再生純水の液面の高さが第1液面閾値以上である場合(ステップS402,Yes)、第1処理を行う(ステップS403)。第1処理は、純水貯留部90における再生純水の貯留量を減らして適正範囲に近付ける処理である。
【0093】
具体的に、制御部71は、図8に示すように、基板処理装置2の純水供給部50を制御して、ウェハWへの再生純水の供給を停止する。プロセス処理が継続している場合には、純水の新液のみでリンス処理を行う。また、制御部71は、基板処理装置2の切替弁67を制御して、回収カップ60によって回収された純水をドレインライン65a経由で排出する。また、制御部71は、純水排出部93を制御して、再生純水を純水再生装置3の外部に排出する。第1処理において、制御部71は、新液供給部87から混合液貯留部80への純水の新液の供給を行わない。
【0094】
なお、第1処理において、ウェハWへの再生純水の供給を停止しているのは、純水貯留部90から再生純水を排出しながらウェハWへの再生純水の供給を行うと、再生純水の供給流量が安定せずリンス処理が適切に完了しないおそれがあるためである。
【0095】
次に、制御部71は、再生純水の液面の高さが第1液面閾値よりも低い場合(ステップS402,No)、再生純水の液面の高さが第1液面閾値よりも低い第2液面閾値以上であるか否かを判定する(ステップS404)。制御部71は、再生純水の液面の高さが第2液面閾値以上である場合(ステップS404,Yes)、第2処理を行う(ステップS405)。第2処理は、第1処理と同じく、純水貯留部90における再生純水の貯留量を減らす処理である。第2処理では、第1処理が実施される状況と比べ、再生純水の貯留量は適正範囲に近いため、ウェハWへの再生純水の供給の停止および純水貯留部90内の再生純水の排出は行われない。
【0096】
具体的に、制御部71は、図8に示すように、基板処理装置2の純水供給部50を制御して、ウェハWへ通常のリンス処理(たとえば、図5または図6で説明したリンス処理)を行う。また、制御部71は、基板処理装置2の切替弁67を制御して、回収カップ60によって回収された純水をドレインライン65a経由で排出する。第2処理において、制御部71は、純水貯留部90からの再生純水の排出を行わない。また、第2処理において、制御部71は、新液供給部87から混合液貯留部80への純水の新液の供給を行わない。
【0097】
次に、制御部71は、再生純水の液面の高さが第2液面閾値よりも低い場合(ステップS404,No)、再生純水の液面の高さが第2液面閾値よりも低い第3液面閾値以上であるか否かを判定する(ステップS406)。制御部71は、再生純水の液面の高さが第3液面閾値以上である場合(ステップS406,Yes)、第3処理を行う(ステップS407)。第3処理は、再生純水の貯留量が適正範囲内である場合に実施される処理である。
【0098】
具体的に、制御部71は、図8に示すように、基板処理装置2の純水供給部50を制御して、ウェハWへ通常のリンス処理を行う。また、制御部71は、基板処理装置2の切替弁67を制御して、回収カップ60によって回収された純水を回収ライン65bに流入させる。第3処理において、制御部71は、純水貯留部90からの再生純水の排出を行わない。また、第3処理において、制御部71は、新液供給部87から混合液貯留部80への純水の新液の供給を行わない。
【0099】
次に、制御部71は、再生純水の液面の高さが第3液面閾値よりも低い場合(ステップS406,No)、再生純水の液面の高さが第3液面閾値よりも低い第4液面閾値以上であるか否かを判定する(ステップS408)。制御部71は、再生純水の液面の高さが第4液面閾値以上である場合(ステップS408,Yes)、図8の第4処理を行う(ステップS409)。第4処理は、純水貯留部90における再生純水の貯留量を増やして適正範囲に近付ける処理である。
【0100】
具体的に、制御部71は、図8に示すように、基板処理装置2の純水供給部50を制御して、ウェハWへ通常のリンス処理を行う。また、制御部71は、基板処理装置2の切替弁67を制御して、回収カップ60によって回収された純水を回収ライン65bに流入させる。また、制御部71は、純水再生装置3の新液供給部87を制御して、混合液貯留部80へ純水の新液を供給する。第4処理において、制御部71は、純水貯留部90からの再生純水の排出を行わない。
【0101】
一方、制御部71は、再生純水の液面の高さが第4液面閾値よりも低い場合(ステップS408,No)、図8の第5処理を行う(ステップS410)。第5処理は、第4処理と同様に、純水貯留部90における再生純水の貯留量を増やす処理である。第5処理では、第4処理が実施される状況と比べ、再生純水の貯留量がさらに少ないため、ウェハWへの再生純水の供給を停止することで純水貯留部90内の再生純水が枯渇しないようにしている。
【0102】
具体的に、制御部71は、図8に示すように、基板処理装置2の純水供給部50を制御して、ウェハWへの再生純水の供給を停止する。プロセス処理が継続している場合には、純水の新液のみでリンス処理を行う。また、制御部71は、基板処理装置2の切替弁67を制御して、回収カップ60によって回収された純水を回収ライン65bに流入させる。また、制御部71は、純水再生装置3の新液供給部87を制御して、混合液貯留部80へ純水の新液を供給する。第5処理において、制御部71は、純水貯留部90からの再生純水の排出を行わない。
【0103】
次に、制御部71は、リンス処理が終了したか否かを判定する(ステップS411)。リンス処理が終了した場合(ステップS411,Yes)、制御部71は、本フローチャートの処理を終了する。その後、制御部71は、図4のステップS107の乾燥処理を行う。一方、リンス処理が終了していない場合(ステップS411,No)、制御部71は、処理をステップS401に戻す。すなわち、制御部71は、リンス処理が終了するまでの間、純水再生装置3における再生純水の液面の高さに応じた処理を続ける。
【0104】
以上のように、第1実施形態に係る純水再生システム1は、混合液供給部81によって混合液貯留部80に混合液が供給されている間、液面センサ91を用いて純水再生装置3内の再生純水の液面の高さを測定し、測定された液面の高さが第1液面閾値以上である場合は、切替弁67を制御して基板処理装置2からの混合液の回収を停止し、かつ、純水排出部93を制御して純水再生装置3に貯留された再生純水を排出し、測定された液面の高さが第1液面閾値よりも低い第2液面閾値以上である場合は、切替弁67を制御して基板処理装置2からの混合液の回収を停止する。
【0105】
かかる処理によれば、液面の高さが第2液面閾値以上である場合は再生純水の量が多いため、混合液の回収を停止することでそれ以上に量が多くなるのを防ぐことができる。また、液面の高さが第1液面閾値以上である場合は、混合液の回収を停止し、再生純水を排出することで純水貯留部90内の再生純水の量を通常に戻すことができる。
【0106】
また、第1実施形態に係る純水再生システム1は、液面センサ91を用いて純水再生装置3内の再生純水の液面の高さを測定し、測定された液面の高さが第3液面閾値以下である場合は、新液供給部87を制御して混合液貯留部80に純水の新液を供給し、測定された液面の高さが第3液面閾値よりも低い第4液面閾値以下である場合は、新液供給部87を制御して混合液貯留部80に純水の新液を供給し、かつ、純水供給部50を制御して基板処理装置2への再生純水の供給を停止する。
【0107】
かかる処理によれば、液面の高さが第3液面閾値以下である場合は再生純水の量が少ないため、純水再生装置3へ純水の新液を供給することで量を多くすることができる。また、液面の高さが第4液面閾値以下である場合は、純水再生装置3へ純水の新液を供給し、かつ、基板処理装置2への再生純水の供給を停止することで再生純水の量を通常に戻すことができる。
【0108】
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態に係る純水再生装置の具体的な構成の一例を示す模式図である。図9に示すように、混合液貯留部80と純水貯留部90とは、接続流路部110によって接続されていてもよい。
【0109】
接続流路部110は、混合液貯留部80と純水貯留部90とを接続する流路である。混合液貯留部80に貯留された純水は、接続流路部110を経由して純水貯留部90に流入する。
【0110】
接続流路部110には、脱気部120が設けられていてもよい。脱気部120は、再生純水中の気泡を除去する。脱気部120には、たとえば中空糸膜や減圧脱泡器が用いられていてもよい。かかる構成によれば、気体供給部82により供給された混合液貯留部80内の混合液中の気体を除去し、再生純水の純度をより高めることができる。
【0111】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲およびその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【0112】
また、ここまで示した実施形態および変形例では、基板処理装置2においてウェハWを1枚ずつ液処理する枚葉処理に対して本開示の技術を適用した例について示したが、本開示はかかる例に限られない。たとえば、複数のウェハWを一括で処理するバッチ処理に本開示の技術を適用してもよい。
【符号の説明】
【0113】
1 純水再生システム
2 基板処理装置
3 純水再生装置
4 循環部
7 制御装置
31 保持部
40 薬液供給部
41 ノズル
50 純水供給部
51 ノズル
60 回収カップ
60a 純水回収カップ
65a ドレインライン
65b 回収ライン
67 切替弁
70 昇降機構
71 制御部
72 記憶部
80 混合液貯留部
81 混合液供給部(気化部の一例)
82 気体供給部(気化部の一例)
83 排気部
90 純水貯留部
91 液面センサ
92 測定部
図1
図2
図3
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図5
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図9