(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129596
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】媒体処理装置、画像形成システム、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/04 20060101AFI20240919BHJP
【FI】
B65H31/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038911
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢崎 琢磨
【テーマコード(参考)】
3F054
【Fターム(参考)】
3F054AA01
3F054AC01
3F054BA04
3F054BD02
(57)【要約】
【課題】排出部の積載量に応じた動作を妨害せずに、障害物が入り込むのを防ぐ。
【解決手段】媒体処理装置が、媒体に対して処理を行う処理部と、前記処理が終了した前記媒体が積載される排出部と、前記排出部に積載される前記媒体の積載量に基づき、前記排出部を動作方向に動作させる動作部と、前記排出部に対して前記動作方向に存在する固定部と、前記排出部、又は、前記固定部のいずれかに接続し、かつ、前記動作方向に前記積載量に基づいて伸縮して、前記排出部、及び、前記固定部の間に障害物が入るのを遮断して、前記排出部、前記固定部、又は、前記排出部と前記固定部の両方に収納される遮断部とを備える。
【選択図】
図37
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に対して処理を行う処理部と、
前記処理が終了した前記媒体が積載される排出部と、
前記排出部に積載される前記媒体の積載量に基づき、前記排出部を動作方向に動作させる動作部と、
前記排出部に対して前記動作方向に存在する固定部と、
前記排出部、又は、前記固定部のいずれかに接続し、かつ、前記動作方向に前記積載量に基づいて伸縮して、前記排出部、及び、前記固定部の間に障害物が入るのを遮断して、前記排出部、前記固定部、又は、前記排出部と前記固定部の両方に収納される遮断部と
を備える媒体処理装置。
【請求項2】
前記固定部は、
前記排出部が前記動作方向に動作すると、前記遮断部を収納する
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項3】
前記排出部は、
前記排出部が前記動作方向に動作すると、前記遮断部を収納する
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項4】
前記遮断部は、
前記媒体が排出される排出箇所を前記処理が終了するまで保護する
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項5】
前記固定部は、
前記排出部より小さいサイズであって、
前記固定部、及び、前記遮断部が前記排出部に収納される
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項6】
前記媒体は、
用紙であり、
前記処理部は、
前記用紙に画像形成がされた後、前記用紙に対し、後処理を少なくとも前記処理で行い、
前記排出部は、
前記用紙が排出される排出トレイであり、
前記動作方向は、
上下方向における下方であり、
前記排出トレイは、
前記積載量が多くなると、下方に動き、
前記固定部は、
前記排出トレイが動作できる動作範囲より下方に位置し、
前記遮断部は、
折り畳み、重ね合わせ、又は、長さが伸縮し、
一端が前記排出トレイに接続し、かつ、前記一端とは異なる他端が前記固定部に接続し、
前記一端と前記他端の間を構成する中間部が、前記積載量が変化すると前記排出トレイの動作量に応じて伸縮する
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項7】
媒体処理装置、及び、画像形成装置を有する画像形成システムであって、
前記媒体処理装置は、
媒体に対して処理を行う処理部と、
前記処理が終了した前記媒体が積載される排出部と、
前記排出部に積載される前記媒体の積載量に基づき、前記排出部を動作方向に動作させる動作部と、
前記排出部に対して前記動作方向に存在する固定部と、
前記排出部、又は、前記固定部のいずれかに接続し、かつ、前記動作方向に前記積載量に基づいて伸縮して、前記排出部、及び、前記固定部の間に障害物が入るのを遮断して、前記排出部、前記固定部、又は、前記排出部と前記固定部の両方に収納される遮断部とを備える
画像形成システム。
【請求項8】
媒体に対して画像形成を行う画像形成部と、
前記媒体に対して処理を行う処理部と、
前記処理が終了した前記媒体が積載される排出部と、
前記排出部に積載される前記媒体の積載量に基づき、前記排出部を動作方向に動作させる動作部と、
前記排出部に対して前記動作方向に存在する固定部と、
前記排出部、又は、前記固定部のいずれかに接続し、かつ、前記動作方向に前記積載量に基づいて伸縮して、前記排出部、及び、前記固定部の間に障害物が入るのを遮断して、前記排出部、前記固定部、又は、前記排出部と前記固定部の両方に収納される遮断部と
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体処理装置、画像形成システム、及び、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シート状の媒体に画像を形成する画像形成システムにおいて、画像形成をした後の媒体に各種の後処理(例えば、パンチ処理、ステープル処理、又は、製本処理等である。)を施して、後処理後の媒体を排紙トレイに排出する媒体処理装置を備えるものが知られている。
【0003】
従来の媒体処理装置が備える排紙トレイは、排出される媒体の量等に応じて昇降する構成を備えるものがある。排出トレイが昇降するための位置(降下するための空間)、すなわち、排出トレイの下方空間に、排出トレイの下降を阻害する物が存在すると、その物や排出トレイが破損する。そこで、排出トレイの下方空間を遮蔽部材で覆うことで、排出トレイの下降による破損などを防ぐ技術が知られている(特許文献1等を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示する構成は、排出トレイに排出された媒体が積載される量(以下単に「積載量」という。)によって排出トレイ等を備える排出部が昇降する点を考慮していない。そのため、積載量に応じて排出部が昇降しようとしても、遮蔽部材が障害となり、排出部の積載量に応じた動作が阻害される。そのため、積載量が制限される課題がある。
【0005】
本発明は、排出部の積載量に応じた動作を妨害せずに、障害物が入り込むのを防ぐのを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一態様は、媒体処理装置が、
媒体に対して処理を行う処理部と、
前記処理が終了した前記媒体が積載される排出部と、
前記排出部に積載される前記媒体の積載量に基づき、前記排出部を動作方向に動作させる動作部と、
前記排出部に対して前記動作方向に存在する固定部と、
前記排出部、又は、前記固定部のいずれかに接続し、かつ、前記動作方向に前記積載量に基づいて伸縮して、前記排出部、及び、前記固定部の間に障害物が入るのを遮断して、前記排出部、前記固定部、又は、前記排出部と前記固定部の両方に収納される遮断部と
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、排出部の積載量に応じた動作を妨害せずに、障害物が入り込むのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】画像形成装置による画像形成、及び、後処理の第1実行例を示す図である。
【
図4】画像形成装置による画像形成、及び、後処理の第2実行例を示す図である。
【
図6】ステープルモードの動作例を示す図(その1)である。
【
図7】ステープルモードの動作例を示す図(その2)である。
【
図8】ステープルモードの動作例を示す図(その3)である。
【
図9】ステープルモードの動作例を示す図(その4)である。
【
図10】ステープルモードの動作例を示す図(その5)である。
【
図11】ステープルモードの動作例を示す図(その6)である。
【
図12】オプションを備える場合の動作例を示す図(その1)である。
【
図13】オプションを備える場合の動作例を示す図(その2)である。
【
図14】オプションを備える場合の動作例を示す図(その3)である。
【
図20】排出部を折り畳む例を示す図(その1)である。
【
図21】排出部を折り畳む例を示す図(その2)である。
【
図22】固定部へ遮断部を収納する例を示す図である。
【
図23】排出部へ遮断部を収納する例を示す図である。
【
図25】遮断部の第2例で排出部へ遮断部を収納する例を示す図である。
【
図27】遮断部の第3例で排出部へ遮断部を収納する例を示す図である。
【
図28】遮断部の第3例で固定部へ遮断部を収納する例を示す図である。
【
図30】遮断部の第4例で排出部へ遮断部を収納する例を示す図である。
【
図34】保護部分を駆動させる構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[画像形成装置の例]
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1は、画像形成装置の例を示す図である。例えば、画像形成装置10は、シート状の媒体としての用紙Pに画像を形成する装置である。以下、媒体を用紙Pとする例で説明する。なお、用紙Pは、複数の用紙Pをまとめた用紙束でもよい。以下、単に用紙Pという。
【0011】
画像形成装置10は、筐体11を備える。
【0012】
筐体11は、画像形成装置10の構成部品を収容する内部空間を形成する箱状の部材である。また、筐体11には、画像形成装置10の外部からアクセス可能な胴内空間13が形成されている。
【0013】
胴内空間13は、例えば、筐体11の上下方向の中央よりやや上方に位置している。また、胴内空間13は、筐体11の外側壁が切り欠かれて、外部に露出する空間である。
【0014】
図1に示すように、胴内空間13は、排出トレイ32に排出された用紙Pをユーザが取り出すときのアクセス経路が開放された構造であり、かつ、上下方向の空間が、筐体11の大きさによって制限されるような意匠である。
【0015】
画像形成装置10は、胴内空間13に、後処理ユニット100が取り付け可能である。
【0016】
具体的には、後処理ユニット100は、画像形成装置10において画像が形成された用紙Pが筐体11から排出される排出口に付近に取り付けられる。そして、後処理ユニット100は、用紙Pに対して所定の後処理を施す。
【0017】
例えば、後処理ユニット100は、排出口から搬送された用紙Pを順次積層して、複数の用紙Pをまとめて用紙束とし、端部に綴じ処理をする綴じ処理等を行う。なお、後処理は、パンチ処理等でもよい。
【0018】
画像形成装置10は、用紙Pに画像を形成する。画像が形成された後、用紙Pは、後処理ユニット100に搬送される。
【0019】
画像形成装置10は、液体インクを用紙Pに付着させて用いて画像を形成するインクジェット方式でもよいし、トナーを用紙Pに付着させて画像を形成する電子写真方式でもよい。なお、後処理ユニット100は、筐体11に対して着脱自在な構成になっている。
【0020】
図2は、画像形成装置の変形例を示す図である。画像形成装置10は、
図2に示すような構成でもよい。
図1と比較すると、
図2に示す画像形成装置10は、オプション200が搭載されている点が異なる。例えば、オプション200は、ユーザが搭載、又は、非搭載を選択して設置する。このように、画像形成装置10は、オプション200があるような構成でもよい。
【0021】
図3は、画像形成装置による画像形成、及び、後処理の第1実行例を示す図である。例えば、
図1に示す画像形成装置10は、表示装置301、操作装置302、給紙装置303、作像装置304、定着装置305、及び、第2制御装置306を備える。また、後処理ユニット100は、第1処理装置101、及び、第1制御装置102を備える。
【0022】
用紙Pは、例えば、給紙装置303、作像装置304、定着装置305という順に搬送される。その後、用紙Pは、後処理ユニット100に搬送される。
【0023】
表示装置301は、ユーザに情報を出力する出力装置である。例えば、表示装置301は、ユーザに、各装置の状態、又は、操作内容を出力する。
【0024】
操作装置302は、ユーザによる操作を入力する入力装置である。例えば、操作装置302は、モードの設定、又は、部数の設定等を操作する。
【0025】
給紙装置303は、ストックする複数の用紙Pから1枚を分離させて、作像装置304に用紙Pを搬送する。
【0026】
作像装置304は、用紙Pに画像を形成する。例えば、作像装置304は、感光体等を用いて用紙Pに画像を形成する。
【0027】
定着装置305は、用紙Pに形成された画像を定着させる。
【0028】
第2制御装置306は、画像形成装置10が備える各装置、及び、外部装置を制御する。
【0029】
第1処理装置101は、後処理を行う。例えば、第1処理装置101は、第2制御装置306からの指示に基づき、用紙Pに対して後処理を行う。
【0030】
第1制御装置102は、第2制御装置306と通信を行う。このように、第1制御装置102、及び、第2制御装置306の間で通信を行うことで、モード、用紙Pのサイズ、又は、タイミング等のデータが送受信されて、各装置が制御される。
【0031】
図4は、画像形成装置による画像形成、及び、後処理の第2実行例を示す図である。
図2に示すようなオプション200がある構成では、以下のような構成、及び、手順となる。以下、第1実行例と異なる点を中心に説明して重複する説明を省略する。
【0032】
図3と比較すると、
図4は、オプション200に、第2処理装置201、及び、第3制御装置202がある点が異なる。
【0033】
図4に示す構成では、用紙Pは、画像形成が終了すると、オプション200に搬送される。次に、オプション200が所定の処理を行う。続いて、オプション200による所定の処理が終了すると、用紙Pは、後処理ユニット100に搬送される。
【0034】
第2処理装置201は、所定の処理を行う。例えば、第2処理装置201は、第1制御装置102を介して送られる第2制御装置306からの指示に基づき、用紙Pに対して所定の処理を行う。
【0035】
第3制御装置202は、第1制御装置102、及び、第2制御装置306と通信を行う。第1制御装置102、第2制御装置306、及び、第3制御装置202の間で通信を行うことで、モード、用紙Pのサイズ、又は、タイミング等のデータが送受信されて、各装置が制御される。
【0036】
なお、ハードウェア構成、及び、機能構成は、上述に説明する構成に限られない。例えば、画像形成装置10は、上述に説明する以外の機能、又は、装置を備えてもよい。
【0037】
[後処理ユニットの例]
図5は、後処理ユニットの構成例を示す図である。例えば、後処理ユニット100は、
図5に示すようなインナーフィニッシャである。
【0038】
後処理ユニット100は、作像装置304等によって画像が形成された用紙Pを綴じる綴じ処理を施す。
【0039】
後処理ユニット100は、ユニット筐体151と、排出トレイ32と、複数の搬送ローラ対152、103、104、105と、内部トレイ121と、叩きコロ122と、戻しコロ130と、エンドフェンス131と、ジョガーフェンス141と、綴じ処理装置160とを備える。
【0040】
ユニット筐体151は、後処理ユニット100を構成する部品を収容する内部空間が形成された箱状の部材である。また、ユニット筐体151の内部空間には、用紙Pが通過する空間である搬送路Ph3が形成される。
【0041】
排出トレイ32は、ユニット筐体151の外側面に支持される。そして、排出トレイ32は、搬送ローラ対152、103、104、105によって搬送された用紙Pを支持する。
【0042】
搬送ローラ対152、103、104、105は、搬送路Ph3上に所定の間隔を隔てて配置される。入口ローラとなる搬送ローラ対152から搬入された用紙Pは、搬送路Ph3に沿って搬送されてシフトローラとしての搬送ローラ対104、及び、排出ローラとして搬送ローラ対によって所定の搬送方向へと搬送される。
【0043】
排出ローラとしての搬送ローラ対105は、駆動ローラ105aと、駆動ローラ105aに接離可能な従動ローラ105bとで構成される。
【0044】
シフトローラとしての搬送ローラ対104は、用紙Pの排出位置を幅方向にずらす動作に用いられる。具体的には、搬送ローラ対104は、用紙Pの幅方向の位置を所定の枚数ごとにシフトさせて排出トレイ32に排出することでソート処理を実現する。なお、ソート処理は、所定の枚数ごとに排出トレイ32の位置をずらすことで実現されてもよい。
【0045】
シートスタック装置としての内部トレイ121は、搬送路Ph3上を搬送される用紙Pを一時的に支持(積載)して用紙Pを形成するために用いられる積載トレイとなる。
【0046】
叩きコロ122、及び、戻しコロ130は、内部トレイ121の上方において、回動アームの先端に支持されている。
【0047】
叩きコロ122は、搬送ローラ対105に挟持された用紙Pの上面に当接して回転することによって、用紙Pを内部トレイ121に搬入するための当接ローラである。
【0048】
戻し部材としての戻しコロ130は、内部トレイ121に搬入された用紙Pの上面に当接して回転することによって、用紙Pをエンドフェンス131に向けて案内する当接ローラである。
【0049】
叩きコロ122と戻しコロ130によって、用紙Pは排出ローラとしての搬送ローラ対105まで搬送されてきた方向と逆方向に搬送される。すなわち、叩きコロ122と戻しコロ130によって、用紙Pはスイッチバックして、搬送方向が内部トレイ121へと向かう方向になる。
【0050】
搬送方向整合部材としてのエンドフェンス131は、手前側エンドフェンス131Lと奥側エンドフェンス131Rで構成する。そして、エンドフェンス131は、内部トレイ121に支持された用紙Pの搬送方向の下流側の端部(後端部)に当接する位置に配置されている。
【0051】
叩きコロ122と戻しコロ130によってスイッチバックした用紙Pは、手前側エンドフェンス131Lと奥側エンドフェンス131Rに搬送方向端部が突き当てられて、整合される。なお、内部トレイ121は、エンドフェンス131に向かって下り傾斜面を形成する。
【0052】
内部トレイ121において、搬送方向端部が整合された複数の用紙Pの幅方向の整合は、幅方向整合部材としてのジョガーフェンス141によって行われる。
【0053】
ジョガーフェンス141は、内部トレイ121に支持された複数の用紙Pの積載物としての用紙Pの幅方向における両端部に当接して、用紙Pの幅方向の位置を揃える機能を有する。
【0054】
また、ジョガーフェンス141は、用紙Pの後端部が、シフトローラとしての搬送ローラ対104を抜けるまで搬送された後に、内部トレイ121へと落下する用紙Pの幅端部を支持する幅端部支持部と、内部トレイ121に一部が落下した状態の用紙Pの幅方向の端部を整合させる幅端部整合部と、を少なくとも有する。
【0055】
幅端部支持部は、内部トレイ121へと落下する用紙Pの幅方向端部を含む一部分を支持する傾斜面によって構成されていて、用紙P全体が、搬送方向端部の整合を終わるまでに内部トレイ121に落下しきってしまうことを抑制する効果を奏する。
【0056】
すなわち、ジョガーフェンス141は、搬送ローラ対104を抜けて内部トレイ121へと落下を始める用紙Pの幅方向端部を含む部分を、内部トレイ121の中央方向に向けた下り傾斜を形成している傾斜面で支持する。
【0057】
そして、ジョガーフェンス141は、用紙Pのその他の部分を(主に用紙Pの幅方向中央部分である。)、内部トレイ121の積載面、又は、内部トレイ121に既に載置されている他の用紙Pに接する状態で支持する。このように支持することで、用紙Pが内部トレイ121に落下し終わるまでの一部分を、浮かせた状態で支持し、搬送方向端部の整合を容易に行える状態を維持する。
【0058】
綴じ処理装置160は、内部トレイ121に支持された用紙Pを綴じる綴じ処理を実行する。
【0059】
綴じ処理は、用紙束Pbに綴じ針を貫通させて綴じる針綴じ処理でもよいし、用紙Pを加圧変形させて綴じる圧着綴じ処理でもよい。
【0060】
また、後処理ユニット100は、幅方向に離間した位置で互いに独立して動作可能な、針綴じ処理を実行する針綴じ処理装置と、圧着処理を実行する圧着綴じ処理装置とを備えていてもよい。
【0061】
また、綴じ処理装置160に対面する位置には、マニュアルステープル用スリットが設けられてもよい。そして、ユーザは、マニュアルステープル用スリットを通じて用紙Pを綴じ処理装置160に挿入して、操作装置302にマニュアルステープルボタン押下することによって、綴じ処理装置160に綴じ処理を実行させてもよい。
【0062】
後処理ユニット100は、複数の動作モードが実行できてもよい。例えば、搬送ローラ対152から搬入された用紙Pを、搬送路Ph3を通過させて排出トレイ32へと搬出する排紙モードがある。また、搬送ローラ対152から搬入された用紙Pを、内部トレイ121に一時的に搬送し積載して、整合処理を行って、綴じ処理等を行うステープルモードがある。
【0063】
[ステープルモードの動作例]
図6は、ステープルモードの動作例を示す図(その1)である。
【0064】
動作モードがステープルモードの場合、搬送ローラ対152は、搬送されてきた用紙Pを後処理ユニット100の内部の搬送路Ph3に受け入れる。
【0065】
図7は、ステープルモードの動作例を示す図(その2)である。
【0066】
続いて、従動ローラ105bを圧解除位置のままにして、用紙Pを内部トレイ121に向けて搬送可能な状態にする。
【0067】
図8は、ステープルモードの動作例を示す図(その3)である。
【0068】
後端が搬送ローラ対104を抜けたタイミングで、叩きコロ122を回動させる。これによって、用紙Pの後端部が内部トレイ121側へ移動する。この叩きコロ122の動作のように、用紙Pを下方に向けて叩いて後端部の位置を変更した状態で、用紙Pはエンドフェンス131に向け下り傾斜になっている内部トレイ121の情報に移動する。すなわち、叩きコロ122によって用紙Pは、スイッチバックする。
【0069】
以上のように、ステープルモードでは、内部トレイ121に向けて用紙Pをスイッチバックさせて、搬送方向端部の整合と、幅方向の整合を図るとき、内部トレイ121の傾斜は戻しコロ130により加えられる外力によって用紙Pがエンドフェンス131に突き当てられる。
【0070】
新たに積載される用紙Pをエンドフェンス131に突き当てるとき、内部トレイ121の載置面、内部トレイ121に既に積載されている用紙Pの最上位面と、突き当てられる用紙Pは接触する。
【0071】
用紙P同士は、摩擦は、新たな用紙Pの後端部の整合においては抵抗力として影響する摩擦を生ずることになる。整合するときに接触しあっている用紙Pを移動させることに抗う力となる摩擦は、なるべく少なくする方が、用紙Pの種類に関わらず、整合が容易に行える。
【0072】
そのためには、内部トレイ121の傾斜角度を大きくすることで、摩擦よりも用紙Pの自重による移動の力が大きいのが望ましい。ただし、筐体11の内部に設置される後処理ユニット100のように、上下方向の空間が制限されている場合、傾斜角度を大きくすることは困難である。一方、エンドフェンス131に用紙Pを向かわせるために最上位の用紙Pに加える外力を強くすると、用紙Pに損傷を与える虞がある。
【0073】
そこで以下の説明のように、後処理ユニット100においては、一対のジョガーフェンス141の形状と、その動作を工夫することにより、用紙P同士の接触を減らし、摩擦が少なくなる状態で端部の整合を行うようにすることで整合性を向上させる。
【0074】
図9は、ステープルモードの動作例を示す図(その4)である。
【0075】
図9(a)は、後処理ユニット100を排出口方向に向かって見た図である。
図9(b)は、後処理ユニット100の側面図である。
【0076】
図9(a)に示すように、一対のジョガーフェンス141として、手前側ジョガーフェンス141Lと奥側ジョガーフェンス141Rが対向配置される。これらは、用紙Pの幅方向に対向して配置され、それぞれが傾斜部と垂直部を有する。
【0077】
垂直部は、内部トレイ121の載置面に対する垂直面を有する。この幅方向整合面としての垂直面が用紙Pの積層方向と直交する方向(X軸方向である。)に移動して、用紙Pの幅方向端部に当接することで、用紙束の幅方向の整合を図ることができる。
【0078】
図10は、ステープルモードの動作例を示す図(その5)である。
【0079】
用紙Pは、叩きコロ122及び戻しコロ130により、エンドフェンス131に後端部が突き当てられるまで戻される。これによって、内部トレイ121に積層される複数の用紙Pの後端部が整合される。
【0080】
後端部の整合が終わった後、ジョガーフェンス141によって用紙Pを挟み込むようにして、用紙Pの幅方向の端部の整合が行われる。
【0081】
用紙Pを内部トレイ121で重ね合わせた後、綴じ処理装置160を動作させて、綴じ針を用いた針綴じ処理か、又は、圧着歯を用いた圧着綴じ処理によって用紙束を綴る。このとき、従動ローラ105bはニップ位置に移動する。
【0082】
図11は、ステープルモードの動作例を示す図(その6)である。綴じ処理が終わった用紙束Pbが排出トレイ32へと排出される。
【0083】
[オプションを備える場合の動作例]
図2に示すように、オプション200を備える場合には、オプション200は、例えば、以下のように動作する。
【0084】
図12は、オプションを備える場合の動作例を示す図(その1)である。例えば、オプション200は、パンチ処理を行う。
【0085】
オプション200は、検知装置211、穿孔装置212、及び、ホッパー214を備える。
【0086】
画像が形成された後、用紙Pは、まずオプション200に搬送される。例えば、
図12に示すように、用紙Pがオプション200内に搬送されると、次にオプション200は、以下のように動作する。
【0087】
図13は、オプションを備える場合の動作例を示す図(その2)である。
図13は、
図12と同様の状態を別の視点で示す図である。
【0088】
検知装置211は、センサ211aを備える。センサ211aは、例えば、光センサである。また、検知装置211は、幅方向(X軸方向である。)に移動する。そして、検知装置211は、幅方向に移動し、センサ211aで用紙Pの端部を検知する。このように検知する端部の位置に基づき、オプション200は、以下のようにパンチ処理を行う。
【0089】
図14は、オプションを備える場合の動作例を示す図(その3)である。
図14(a)、及び、14(b)は、同じ状態を異なる視点で示す。また、
図14は、
図13と比較すると、用紙Pが搬送方向(Y軸方向である。)に進んでいる点が異なる。
【0090】
穿孔装置212は、用紙Pの端部の位置、すなわち、センサ211aの検知結果に基づき、幅方向に移動する。そして、移動後、穿孔装置212は、穿孔ピン213で用紙Pを貫通させる。このようにして、穿孔装置212は、穿孔ピン213で用紙Pにパンチ穴を開ける。なお、パンチ処理で生じるパンチ屑は、ホッパー214によって回収される。
【0091】
以上のようなパンチ処理をした後、オプション200は、用紙Pを後処理ユニット100に搬送する。したがって、以降、後処理ユニット100が
図5乃至
図11に示すように処理を行う。
【0092】
なお、後処理ユニット100、及び、オプション200は、上述する以外の処理を行ってもよい。また、後処理ユニット100、及び、オプション200は、行う処理によって上述するのとは異なる装置を備えてもよい。したがって、後処理ユニット100、及び、オプション200は、上述する以外の装置、及び、機能を備えてもよい。
【0093】
[媒体処理装置の構成例、及び、動作例]
図15は、固定部の第1例を示す図である。固定部は、排出部に対し、排出部が動作する方向(例えば、下方である。)の位置に設置される物体である。排出部が稼動するのに対し、固定部は、位置が固定されている物体である。例えば、固定部は、筐体11の一部(以下「筐体部分11A」という。)である。筐体部分11Aのように、固定部は、装置の一部等でもよい。一方で、固定部は、以下のような物体でもよい。
【0094】
図16は、固定部の第2例を示す図である。
図15と比較すると、
図16は、固定部が異なる。例えば、固定部は、後処理ユニット100の一部でもよい。
図16に示す例では、固定部は、後処理ユニット100の筐体の一部が突起した部分(以下「突起部分153」という。)である。
【0095】
突起部分153は、後処理ユニット100の筐体の一部が他の部分より排出トレイ32側に突起している部分である。したがって、突起部分153は、上下方向(Z軸方向である。)において排出トレイ32の下方に位置する。
【0096】
このように、固定部は、後処理ユニット100が有する部品の一部でもよいし、他の装置の一部でもよい。また、固定部は、大きさ、及び、材質を問わない。以下、固定部を突起部分153とする例で説明する。
【0097】
排出トレイ32は、用紙Pが積載されると、積載量に基づき動作する。以下、排出トレイ32が動作する方向を「動作方向」という。また、以下の例では、動作方向は、Z軸方向である。
【0098】
動作方向は、排出トレイ32を動作させる駆動装置の仕様で定まる。したがって、排出トレイ32は、積載量が多くなると、下方に動作する。そのため、排出トレイ32は、積載量が多くなると、突起部分153に近づく。
【0099】
排出トレイ32の初期位置は、例えば、重力方向において最も高い位置とする。なお、初期位置とは、排出トレイ32に媒体が積載されていないときの位置をいう。そして、排出トレイ32は、積載量が多くなると下方に動作して、終点154まで下方に移動するように動作する。終点154は、排出トレイ32と突起部分153の位置関係を考慮して設定される。
【0100】
終点154は、固定部としての後処理ユニット100(
図16参照)において、Y軸方向の延出(突出)している部材としての排出トレイ32が動作できる範囲(以下「動作範囲」という。)において、最も下方の位置に相当する。
【0101】
なお、排出トレイ32は、Y軸方向に延出しつつZ軸方向に傾斜を有するように設けられているので、
図16に示すように、本実施形態では、終点154を排出トレイ32の突出した端部、かつ、傾斜面の最上位に相当する端部の最下点とする。したがって、排出トレイ32が終点154に位置する状態が、排出トレイ32と突起部分153が最も近づく状態となる。また、排出トレイ32が終点154に位置する状態は、積載量が最大になった状態である。
【0102】
動作範囲は、初期位置から終点154までの範囲である。そして、突起部分153は、動作範囲より下方に位置し、動作範囲内には位置しない。したがって、突起部分153が動作範囲内には位置しないため、排出トレイ32が動作しても、排出トレイ32と突起部分153が接触しない位置関係となる。
【0103】
図17は、遮断部の設置例を示す図である。以下、
図15、及び、
図16とは異なる後処理ユニット100の例で説明する。
図17(a)は、遮断部材155の設置前である。一方で、
図17(b)は、遮断部材155の設置後である。また、
図15、及び、
図16と比較すると、
図17は、遮断部が加わる構成である。例えば、遮断部は、遮断部材155である。
【0104】
図17に示すように、遮断部材155は、排出トレイ32と突起部分153の間となる位置に設置される。具体的には、遮断部材155は、排出トレイ32よりZ軸方向において下方、かつ、突起部分153よりZ軸方向において上方に位置する。
【0105】
また、遮断部材155は、排出トレイ32と突起部分153の間にある空間への障害物の進入を防ぐための部材である。そして、排出トレイ32と突起部分153の間となる空間と、後処理ユニット100の外部の空間とを遮断部材155によって遮断する。このように、排出トレイ32と突起部分153の間となる空間に遮断部材155を設置することで、この空間への障害物の進入を防ぐことができる状態になる。
【0106】
なお、障害物とは、排出部と固定部の間に入り込む物体の総称である。例えば、排出トレイ32に積載されていた媒体が排出トレイ32から脱落して、排出部と固定部との間に落ちると、排出トレイ32の動作を阻害する障害物となる。その結果、排出部(排出トレイ32)が、障害物の影響によって終点154まで動くことが不可能となる。したがって、障害物は、材質、及び、サイズ等を問わず、排出部と固定部の間に入り込む物体をいう。
【0107】
遮断部材155は、例えば、樹脂、又は、バネ等の金属である。ただし、遮断部材155は、排出トレイ32と接続するため、樹脂等の軽量かつ製造しやすい材質が用いられるのが望ましい。
【0108】
図18は、遮断部の伸縮例を示す図である。
図17と比較すると、
図18は、排出トレイ32が下方に動作した後である点が異なる。
【0109】
遮断部材155は、排出トレイ32の動作、すなわち、積載量によって変化する排出トレイ32の位置に応じて伸縮する部材である。
【0110】
[遮断部の第1例]
図19は、遮断部の第1例を示す図である。以下、遮断部材155が設置される付近に絞って説明する。また、遮断部材155は、正面(
図18等では、X-Z平面である。)、及び、側面(
図18等では、Z-Y平面である。)に設置されるが、説明を簡略にするため、X-Z平面に設置する遮断部材155をZ-Y断面で説明する。
【0111】
図19に示す例は、遮断部材155が所謂「蛇腹(bellows)」の構造である。具体的には、遮断部材155は、Z軸方向に山折りと谷折りを繰り返す構造である。
【0112】
遮断部材155は、一端(この例では、上端である。)が排出トレイ32と接続する。一方で、遮断部材155は、他端(この例では、下端である。)が突起部分153と接続する。以下、遮断部材155の構成部分のうち、一端と他端の間を構成する部分を「中間部」という。
【0113】
一端が排出トレイ32と接続するため、遮断部材155は、排出トレイ32の動作に応じて伸縮する。具体的には、遮断部材155は、以下のような構成により収縮する。
【0114】
図20は、排出部を折り畳む例を示す図(その1)である。
図19に示す排出トレイ32を初期位置とすると、
図20は、初期位置より下方に排出トレイ32が動いた後である点が異なる。
【0115】
遮断部材155は、排出トレイ32が下方に動くと、その動作量に基づき、折り畳まれてZ軸方向の長さが縮む。一方で、遮断部材155は、排出トレイ32が上方に動くと、その動作量に基づき、Z軸方向の長さが伸びる。主に、中間部が伸縮して、遮断部材155の全体の長さが伸縮する。
【0116】
図21は、排出部を折り畳む例を示す図(その2)である。
図21は、排出トレイ32を終点154まで動かした後である。排出トレイ32が最も下方に位置すると、遮断部材155は、最も縮んだ状態となる。
【0117】
なお、遮断部材155は、以下のように、排出トレイ32、又は、突起部分153に収納できる構造が望ましい。
【0118】
図22は、固定部へ遮断部を収納する例を示す図である。
図21と比較すると、
図22は、縮んだ遮断部材155が突起部分153に収納されている点が異なる。
【0119】
すなわち、突起部分153に遮断部材155が収納されるスペースがある構成が望ましい。そして、排出トレイ32の動作により、遮断部材155が折り畳まれると、遮断部材155の一部が突起部分153に収納されていく。
【0120】
図23は、排出部へ遮断部を収納する例を示す図である。
図21と比較すると、
図23は、縮んだ遮断部材155が排出トレイ32に収納されている点が異なる。
【0121】
すなわち、排出トレイ32に遮断部材155が収納されるスペースがある構成が望ましい。そして、排出トレイ32の動作により、遮断部材155が折り畳まれると、遮断部材155が排出トレイ32に収納されていく。
【0122】
図22、又は、
図23のように、排出トレイ32、又は、突起部分153に遮断部材155が収納できるスペースがあるのが望ましい。
【0123】
図24は、遮断部の第2例を示す図である。第1例と比較すると、第2例は、遮断部材155が突起部分153の方を固定しない構成である。
【0124】
図25は、遮断部の第2例で排出部へ遮断部を収納する例を示す図である。第2例の構成であっても、遮断部材155は、排出トレイ32、又は、突起部分153に収納できる構造が望ましい。
【0125】
具体的には、排出トレイ32が突起部分153に突き当たる位置まで動くと、遮断部材155は、折り畳まれる。そして、遮断部材155は、突起部分153に収納される。
【0126】
図26は、遮断部の第3例を示す図である。例えば、遮断部材155は、動作方向にスライドする板状の部品をつなげた部材でもよい。
【0127】
第3例では、遮断部材155は、排出トレイ32が下方に動くと、その動作量に基づき、中間部を構成する部品がZ軸方向と直交する方向(Y軸方向である。)に重なり合ってZ軸方向の長さが縮む。一方で、遮断部材155は、排出トレイ32が上方に動くと、その動作量に基づき、Z軸方向の長さが伸びる。主に、中間部が伸縮して、遮断部材155の全体の長さが伸縮する。
【0128】
第3例は、遮断部材155が所謂「シャッター」の構造である。
【0129】
図27は、遮断部の第3例で排出部へ遮断部を収納する例を示す図である。第3例の構成でも、排出トレイ32、又は、突起部分153に遮断部材155が収納できるスペースがあるのが望ましい。
【0130】
具体的には、
図27は、排出トレイ32に遮断部材155が収納されるスペースがある構成の例である。そして、排出トレイ32の動作により、遮断部材155を構成する部品が重なり合って、遮断部材155が排出トレイ32に収納されていく。
【0131】
図28は、遮断部の第3例で固定部へ遮断部を収納する例を示す図である。
図27と比較すると、
図28は、縮んだ遮断部材155が突起部分153に収納されている点が異なる。
【0132】
他の例と同様に、遮断部材155は、収納先が突起部分153でもよい。
【0133】
図29は、遮断部の第4例を示す図である。例えば、遮断部材155は、動作方向に部品が収納される構造でもよい。
【0134】
第4例では、遮断部材155は、排出トレイ32が下方に動くと、その動作量に基づき、中間部を構成する部品が収納されてZ軸方向の長さが縮む。一方で、遮断部材155は、排出トレイ32が上方に動くと、その動作量に基づき、収納されていた部品が出てくることでZ軸方向の長さが伸びる。主に、中間部が伸縮して、遮断部材155の全体の長さが伸縮する。
【0135】
図30は、遮断部の第4例で排出部へ遮断部を収納する例を示す図である。第4例の構成でも、排出トレイ32、又は、突起部分153に遮断部材155が収納できるスペースがあるのが望ましい。
【0136】
具体的には、
図30は、排出トレイ32に遮断部材155が収納されるスペースがある構成の例である。そして、排出トレイ32の動作により、遮断部材155を構成する部品が収納されて、遮断部材155全体も排出トレイ32に収納されていく。
【0137】
以上のような遮断部材155を備える構成であると、以下のような障害物が入り込むのを防ぐことができる。
【0138】
なお、遮断部材155は、上述に説明する構成、及び、構造に限られない。すなわち、遮断部材155は、排出部の積載量に応じて伸縮する構造であればよい。例えば、遮断部材155は、弾性体等を用いる構成等でもよい。
【0139】
図31は、障害物が入り込む例を示す図である。遮断部材155がない構成であると、排出トレイ32、又は、突起部分153の間(以下「下方空間162」という。)に、障害物161が入り込みやすい。
【0140】
障害物161は、例えば、書類、又は、ユーザが置く物体等である。障害物161は、排出トレイ32の動作方向、すなわち、下方に置かれる物体である。
【0141】
下方空間162に、
図31に示すように、障害物161があると、障害物161によって排出トレイ32が下方に動作するのを阻害される。したがって、障害物161があると、排出トレイ32は、積載量に応じた動作ができなくなる。このような状態になると、画像形成を含む画像形成装置10による処理が動作異常となる。
【0142】
したがって、遮断部材155によって、下方空間162に障害物161が入り込むのを遮断する。このように、遮断部材155によって、下方空間162に障害物161が入り込むのを防げると、排出トレイ32は、障害物161によって下方に動くのを阻害されるのを防ぐことができる。
【0143】
また、遮断部材155が伸縮する構成であると、排出トレイ32による積載量に応じた動作を妨害せずに、遮断部材155は下方空間162に障害物161が入り込むのを防げる。つまり、遮断部材155が伸縮しない構成であると、排出トレイ32が下方に動くのに、遮断部材155が突っかかる。そのため、遮断部材155が伸縮しない構成であると、遮断部材155は、排出トレイ32が下方に動くのを阻害する。
【0144】
一方で、遮断部材155が伸縮する構成であると、排出トレイ32が下方に動くのに合わせて伸縮するため、遮断部材155は、排出トレイ32が下方に動くのを阻害せず、かつ、下方空間162に障害物161が入り込むのを防げる。
【0145】
[排出箇所の保護例]
図32は、排出箇所の保護例を示す図である。
図32に示すように、遮断部材155は、用紙Pが排出される箇所(以下「排出箇所」という。)を保護する構成であってもよい。
【0146】
排出箇所は、例えば、排出トレイ32の上面である。つまり、排出箇所は、各種の処理が終了した後、用紙Pが排出される箇所である。したがって、排出箇所は、設定等によって異なる。以下、排出箇所が排出トレイ32の上面である例で説明する。
【0147】
図32は、
図17と比較すると、排出箇所より高くなる部分(以下「保護部分156」という。)がある点が異なる。
【0148】
図33は、排出箇所の保護の終了例を示す図である。
図33は、処理が終了した状態である。
図33は、
図32と比較すると、保護部分156が排出箇所より低い点が異なる。
【0149】
図34は、保護部分を駆動させる構成例を示す図である。例えば、保護部分156は、駆動ギア171、及び、ベルト172等の機構を駆動させると高さを変更できる。なお、保護部分156の高さを変更する機構は、上述する機構以外でもよい。例えば、アクチュエータ、及び、ギア等は他の種類でもよい。
【0150】
処理が途中であると、
図32に示すように、保護部分156が高くなる。このようにして、処理が終了して、排出箇所に蓄積される用紙Pは、処理が終了するまで保護部分156によって保護される。具体的には、処理が途中の状態において、排出箇所に蓄積される用紙Pにユーザが触ると、ジャム(Jam)の原因等になる。そのため、処理が終了するまで保護部分156を高くして、ユーザが用紙Pに接触しにくいように遮断する。
【0151】
一方で、処理が終了した後は、
図33に示すように、保護部分156を低くする。このようにすると、処理が終了した後は、ユーザが用紙Pを取りやすい。
【0152】
このように、排出箇所を処理が終了するまで保護すると、ジャム等を防ぎ、処理の品質を向上できる。
【0153】
なお、排出箇所の保護方法は、上述の方法に限られない。例えば、排出箇所は、排出箇所の上(排出箇所より高い位置のX-Y平面である。)を覆う等で保護されてもよい。
【0154】
[固定部の収納例]
図35は、固定部の収納例を示す図である。図示するように、突起部分153は、排出トレイ32に収納される構造であるのが望ましい。
【0155】
図35は、排出トレイ32が突起部分153を収納している状態の例を示す図である。また、排出トレイ32には遮断部材155も収納される。
【0156】
突起部分153が排出トレイ32より小さいサイズであると、排出トレイ32は、Z軸方向において下方に動いた位置で突起部分153を収納できる。したがって、排出トレイ32には、事前に突起部分153を収納するスペースが形成される。
【0157】
排出トレイ32は、
図21等よりも更に下方に動作できる動作範囲である。すなわち、排出トレイ32は、終点154よりも更に下方に動作できる動作範囲である。
【0158】
このように固定部、及び、遮断部を収納できると、省スペース化することができる。また、排出部が終点154よりも更に下方に動作できるため、積載量を増やすことができる。
【0159】
[画像形成システムの構成例]
図36は、画像形成システムの例を示す図である。例えば、画像形成システム500は、画像形成装置501、及び、後処理装置502を備える構成である。また、画像形成装置501に接続する操作装置302によって、ユーザが操作を入力する。例えば、ユーザは、操作装置302に、印刷方法、又は、綴じ枚数がオーバーした場合の設定等を入力する。
【0160】
例えば、媒体処理装置は、画像形成システム500における後処理装置502である。このように、媒体処理装置は、画像形成装置501等と一体でもよいし、別の装置であってもよい。
【0161】
[機能構成例]
図37は、機能構成例を示す図である。例えば、画像形成装置10は、処理部10F1、排出部10F2、動作部10F3、固定部10F4、遮断部10F5、及び、画像形成部10F6を備える。
【0162】
処理部10F1は、用紙Pに対して処理を行う処理手順を行う。例えば、処理部10F1は、第1処理装置101等で実現する。
【0163】
排出部10F2は、処理部10F1による処理が終了した用紙Pが積載される。例えば、排出部10F2は、排出トレイ32等で実現する。
【0164】
動作部10F3は、積載量に基づき、排出部10F2を動作方向に動作させる動作手順を行う。例えば、動作部10F3は、第1制御装置102等で実現する。
【0165】
固定部10F4は、排出部10F2に対して動作方向に存在する。例えば、固定部10F4は、突起部分153等で実現する。
【0166】
遮断部10F5は、排出部10F2、又は、固定部10F4のいずれかに接続し、かつ、動作方向に積載量に基づいて伸縮して、排出部10F2、及び、固定部10F4の間に障害物が入るのを遮断する。また、遮断部10F5は、排出部10F2、固定部10F4、又は、排出部10F2と固定部10F4の両方に収納される。例えば、遮断部10F5は、遮断部材155等で実現する。
【0167】
画像形成部10F6は、用紙Pに画像形成を行う画像形成手順を行う。例えば、画像形成部10F6は、作像装置304等で実現する。
【0168】
以上のように、遮断部材155があると、積載量に応じて排出部10F2が昇降しようとしても、遮断部材155が伸縮するため、排出部10F2の積載量に応じた動作を妨害せずに、障害物が入り込むのを防ぐことができる。
【0169】
[その他の実施形態]
媒体は、例えば、普通紙等である。なお、媒体は、用紙束でもよい。ただし、媒体は、用紙P以外のコート紙、ラベル紙等の他、オーバヘッドプロジェクタシート、フィルム、又は、可撓性を持つ薄板等でもよい。
【0170】
すなわち、媒体の素材は、インク滴が付着可能、一時的に付着可能、付着して固着、又は、付着して浸透する材質等であればよい。具体的には、媒体は、用紙、フィルム、若しくは、布等の被記録媒体、電子基板、圧電素子(「圧電部材」等ともいう。)等の電子部品、粉体層(「粉末層」等ともいう。)、臓器モデル、又は、検査用セル等である。
【0171】
また、3次元的な物体が形成されてもよい。このように、媒体の材質は、液体又はトナーが付着可能であって、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、又は、これらの組み合わせ等であればよい。また、液体は、上記の用途に応じて、インク以外の種類である、記録液、定着処理液、又は、樹脂等が含まれてもよい。
【0172】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【0173】
本発明の内容は、例えば、以下のとおりである。
【0174】
<1>媒体処理装置は、
媒体に対して処理を行う処理部と、
前記処理が終了した前記媒体が積載される排出部と、
前記排出部に積載される前記媒体の積載量に基づき、前記排出部を動作方向に動作させる動作部と、
前記排出部に対して前記動作方向に存在する固定部と、
前記排出部、又は、前記固定部のいずれかに接続し、かつ、前記動作方向に前記積載量に基づいて伸縮して、前記排出部、及び、前記固定部の間に障害物が入るのを遮断して、前記排出部、前記固定部、又は、前記排出部と前記固定部の両方に収納される遮断部と
を備える媒体処理装置である。
【0175】
<2>前記固定部は、
前記排出部が前記動作方向に動作すると、前記遮断部を収納する
上記<1>に記載の媒体処理装置である。
【0176】
<3>前記排出部は、
前記排出部が前記動作方向に動作すると、前記遮断部を収納する
上記<1>に記載の媒体処理装置である。
【0177】
<4>前記遮断部は、
前記媒体が排出される排出箇所を前記処理が終了するまで保護する
上記<1>乃至<3>のいずれかに記載の媒体処理装置である。
【0178】
<5>前記固定部は、
前記排出部より小さいサイズであって、
前記固定部、及び、前記遮断部が前記排出部に収納される
上記<1>乃至<4>のいずれかに記載の媒体処理装置である。
【0179】
<6>前記媒体は、
用紙であり、
前記処理部は、
前記用紙に画像形成がされた後、前記用紙に対し、後処理を少なくとも前記処理で行い、
前記排出部は、
前記用紙が排出される排出トレイであり、
前記動作方向は、
上下方向における下方であり、
前記排出トレイは、
前記積載量が多くなると、下方に動き、
前記固定部は、
前記排出トレイが動作できる動作範囲より下方に位置し、
前記遮断部は、
折り畳み、重ね合わせ、又は、長さが伸縮し、
一端が前記排出トレイに接続し、かつ、前記一端とは異なる他端が前記固定部に接続し、
前記一端と前記他端の間を構成する中間部が、前記積載量が変化すると前記排出トレイの動作量に応じて伸縮する
上記<1>乃至<5>のいずれかに記載の媒体処理装置である。
【符号の説明】
【0180】
10 :画像形成装置
32 :排出トレイ
100 :後処理ユニット
153 :突起部分
154 :終点
155 :遮断部材
156 :保護部分
161 :障害物
162 :下方空間
171 :駆動ギア
172 :ベルト
200 :オプション
10F1 :処理部
10F2 :排出部
10F3 :動作部
10F4 :固定部
10F5 :遮断部
10F6 :画像形成部
500 :画像形成システム
501 :画像形成装置
502 :後処理装置
P :用紙
Pb :用紙束
【先行技術文献】
【特許文献】
【0181】