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特開2024-129714半導体装置及び半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129714
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20240919BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
H01L29/78 652N
H01L29/78 653A
H01L29/06 301V
H01L29/78 652P
H01L29/06 301G
H01L29/06 301M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039082
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 壮
(57)【要約】
【課題】トレンチによって半導体層を確実に分断し、半導体装置の耐圧を向上させる。
【解決手段】半導体装置12は、半導体基板(第一半導体層20)と、半導体基板に積層され、半導体基板と反対側の表面(第二面24B)が周辺部24Eにおいて中央部24Cよりも半導体基板側に位置している積層半導体(第三半導体層24)と、周辺部24E及び中央部24Cにおいて積層半導体を厚み方向に貫く複数のトレンチ32を介して形成された複数の第一膜(ゲート電極36、ゲート酸化膜34)と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板に積層され、前記半導体基板と反対側の表面が周辺部において中央部よりも前記半導体基板側に位置している積層半導体と、
前記周辺部及び前記中央部において前記積層半導体を厚み方向に貫く複数のトレンチを介して形成された複数の第一膜と、
を有する半導体装置。
【請求項2】
前記トレンチの前記半導体基板への侵入深さが前記中央部よりも前記周辺部において深い、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
複数の前記トレンチは一定の深さである、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記周辺部において前記中央部に相対的に近い位置に設けられる第一領域と、
前記周辺部において前記第一領域よりも前記中央部から相対的に遠い位置に設けられ、複数の前記トレンチの間隔が前記第一領域よりも狭い第二領域と、
を有する請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
半導体基板に積層された積層半導体の、前記半導体基板の反対側の表面の周辺部に中央部よりも前記半導体基板側に凹む凹部を形成し、
前記中央部及び前記周辺部に、前記積層半導体を厚み方向に貫く複数のトレンチを形成する、
ことを含む半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記積層半導体の表面にシリコン酸化膜を設け、
前記シリコン酸化膜上に窒化膜を設けると共に前記周辺部において前記窒化膜を除去し、
前記周辺部において前記シリコン酸化膜を成長させて前記表面を局所的に凹ませ、
前記窒化膜及び前記シリコン酸化膜を除去することで前記凹部を形成する、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セル部と、セル部の外周の外周耐圧部と、を備えた半導体装置がある。たとえば、特許文献1には、外周耐圧部が、セル部の外周に設けられた外周サージ緩和領域と、外周サージ緩和領域の外周に設けられた外周ウェル領域と、ダミーゲート電極を含んでいる構成が開示されている。この半導体装置では、外周サージ緩和領域および外周ウェル領域にそれぞれ設けられると共に、トレンチゲート構造と同じ構造のダミートレンチ構造を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-10556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、外周サージ緩和領域と外周ウェル領域との境界部に設けられたダミートレンチおよび外周ウェル領域に配置されたダミートレンチは、外周サージ緩和領域に配置されたダミートレンチよりも深くなっている。これにより、ダミートレンチはP型ベース層を分断している。
【0005】
このように、たとえば外周サージ緩和領域と外周ウェル領域との境界部のダミートレンチを深くすると、つまりこのダミートレンチがP型ベース層(半導体層)を貫通していると、P型ベース層(半導体層)をダミートレンチにより分断できる。そして、半導体層を分断することで、電圧印加時の電界を緩和し、半導体装置の耐圧を向上させることが可能である。
【0006】
しかしながら、これら複数のトレンチが同じ工程で形成される場合、一部のトレンチの深さを他のトレンチの深さと異ならせることは難しい。このため、半導体装置において、トレンチが半導体層を確実に貫いていない、すなわち半導体層を分断できていない構造になってしまうと、耐圧が低くなる。すなわち、半導体装置の耐圧を向上させる点で改善の余地がある。
【0007】
本開示は、トレンチによって半導体層を確実に分断し、半導体装置の耐圧を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板に積層され、前記半導体基板と反対側の表面が周辺部において中央部よりも前記半導体基板側に位置している積層半導体と、前記周辺部及び前記中央部において前記積層半導体を厚み方向に貫く複数のトレンチを介して形成された複数の第一膜と、を有する。
【0009】
本開示の半導体装置の製造方法は、半導体基板に積層された積層半導体の、前記半導体基板の反対側の表面の周辺部に中央部よりも前記半導体基板側に凹む凹部を形成し、前記中央部及び前記周辺部に、前記積層半導体を厚み方向に貫く複数のトレンチを形成する、ことを含む。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、トレンチによって半導体層を確実に分断し、半導体装置の耐圧を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は第一実施形態の半導体装置を示す平面図である。
図2図2は第一実施形態の半導体装置を部分的に示す図1の2-2線断面図である。
図3図3は第一実施形態の半導体装置を部分的に図2からさらに拡大して示す断面図である。
図4図4は第一実施形態の半導体装置の製造工程の一部を示す断面図である。
図5図5は第一実施形態の半導体装置の製造工程の一部を示す断面図である。
図6図6は第一実施形態の半導体装置の製造工程の一部を示す断面図である。
図7図7は第一実施形態の半導体装置の製造工程の一部を示す断面図である。
図8図8は第一実施形態の半導体装置の製造工程の一部を示す断面図である。
図9図9は第一実施形態の半導体装置の製造工程の一部を示す断面図である。
図10図10は第一実施形態の半導体装置の製造工程の一部を示す断面図である。
図11図11は第一実施形態の半導体装置において空乏層が広がる状態を示す断面図である。
図12図12は第一比較例の半導体装置において空乏層が広がる状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本開示の半導体装置について説明する。なお、説明の便宜上、各図面において、半導体装置の幅方向を矢印Wで、上下方向を矢印Uで示す。ただしこれらの方向は、半導体装置の実際の使用状況を制限するものではない。また、以下において、P型半導体、N型半導体を示す場合の「+」及び「-」は、それぞれ不純物の濃度が「高い」構成、及び「低い」構成を示す。
【0013】
図1及び図2には、第一実施形態の半導体装置12が示されている。この半導体装置12は、例えば、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、又はIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。
【0014】
図1に示すように、半導体装置12は、セル部14、FLR(Field Limiting Ring)部16及びEQR(Equivalent Potential Ring)部18を含んでいる。セル部14は、半導体装置12の平面視で中央部分に位置しており、トランジスタセルとして作用する。FLR部16は、半導体装置12の平面視でセル部14を取り囲んでおり、半導体装置12における電界を緩和する作用を有する。EQR部18はさらにFLR部16を取り囲んでおり、半導体装置12の外縁部分を一定の電位に維持する作用を有する。
【0015】
図2に示すように、半導体装置12は、第一半導体層20、第二半導体層22、第三半導体層24、及び第四半導体層26を有している。
【0016】
第一半導体層20は、N-型半導体により構成される基板にエピタキシャル層が形成されており、全体として、本開示の技術の半導体基板の一例を成している。
【0017】
第二半導体層22は、第一半導体層20の第一面20A(図2における下側の面)において、N+型半導体により構成されるエピタキシャル層である。第二半導体層22には、図示しないドレイン電極が設けられている。
【0018】
第一半導体層20において、第二面20B(図2における上側の面)には収容部28が形成されている。収容部28では、第一半導体層20の第二面20Bが、局所的に第一面20A側に凹んでいる。
【0019】
第三半導体層24は、第一半導体層20の収容部28において、第一半導体層20に積層されている。第三半導体層24は、P+半導体により構成されるP型ボディー層である。また、第三半導体層24は、本開示の技術の積層半導体の一例を成している。
【0020】
第三半導体層24の第一面24A(図2における下側の面)は平坦である。これに対し、第三半導体層24の第二面24B(図2における上側の面)には、凹部30が形成されている。凹部30の位置は、セル部14を囲む領域であり、半導体装置12を平面視した場合にFLR部16に含まれる範囲である。凹部30では、第二面24Bが、凹部30以外の領域と比較して、第一半導体層20側に位置している。この凹部30が形成されていることで、第三半導体層24の第一面24Aには段差24Dが生じている。図3に示すように、第三半導体層24において凹部30が形成されている部分は周辺部24Eであり、凹部30が形成されていない部分は中央部24Cである。
【0021】
第三半導体層24には、複数のトレンチ32が形成されている。トレンチ32は、周辺部24E及び中央部24Cにおいて、それぞれ複数形成されている。トレンチ32はそれぞれ、第三半導体層24を厚み方向に貫いている。そして、トレンチ32の底面32Bは、第一半導体層20に部分的に侵入している。
【0022】
本開示の技術において、複数のトレンチ32の深さD1は一定である。上記したように、第三半導体層24には周辺部24Eに凹部30が形成されており、周辺部24Eでは中央部24Cよりも、第一面24Aの位置が第一半導体層20側に位置している。このため、FLR部16の領域、すなわち周辺部24Eに形成されているトレンチ32の底面32Bは、セル部14の領域、すなわち中央部24Cに形成されているトレンチ32よりも、第一半導体層20への侵入深さD2が深い。
【0023】
なお、トレンチ32の深さD1が「一定」である、とは、完全に一定である場合の他、たとえば、公差の範囲内で深さD1に差が生じている程度を含む。たとえば、複数のトレンチ32を1つの工程で成形した場合に、深さD1に製造上のバラツキが生じている程度であれば、「一定」に含まれる。
【0024】
FLR部16では、複数のトレンチ32の間隔S1が、中央部24C(セル部14)から離隔するに従って狭くなるように形成されている。図2に示す例では、中央部24C(セル部14)に相対的に近い位置の第一領域16Fと、中央部24Cから相対的に遠い位置の第二領域16Sと、が設定されている。第一領域16Fにおける複数のトレンチ32の間隔S1は、たとえばセル部14における複数のトレンチ32の間隔S1よりも広い。これに対し、第二領域16Sにおける複数のトレンチ32の間隔S1は、セル部14の複数のトレンチ32の間隔S1よりも狭い。このため、第二領域16Sにおけるトレンチ32の間隔S1は、第一領域16Fにおけるトレンチ32の間隔S1よりも狭い。換言すれば、第二領域16Sにおけるトレンチ32の配置密度は、第一領域16Fにおけるトレンチ32の配置密度よりも高い。
【0025】
それぞれのトレンチ32には、底面32B及び内周面32Cに沿うゲート酸化膜34と、このゲート酸化膜34の内側のゲート電極36と、が形成されている。つまり、トレンチ32内にはゲート酸化膜34等の絶縁膜やゲート電極36等の導電膜が形成されている。ゲート酸化膜34は絶縁膜として作用する。
【0026】
第一半導体層20の第一面20A及び第三半導体層24の第一面24Aは、絶縁膜38で覆われている。絶縁膜38は、トレンチ32において、ゲート酸化膜34の間にも入り込んでいる。
【0027】
絶縁膜38上には、セル部14の領域にソース電極40が形成され、EQR部18の領域にEQR電極42が形成されている。
【0028】
セル部14では、トレンチ32の間に第四半導体層26が形成されている。第四半導体層26は、N+半導体により構成されるN型ソース層である。そして、セル部14におけるトレンチ32の間では、ソース電極40が部分的に絶縁膜38及び第四半導体層26を貫通して、第三半導体層24に達している。
【0029】
次に、本実施形態の半導体装置12の製造方法を説明する。図2図10には、半導体装置12を製造する工程の一部が、半導体装置12において図2に破線L1で囲った領域で示されている。
【0030】
図4に示すように、あらかじめ第一半導体層20(N-半導体層)中に第三半導体層24(P+半導体層)を形成しておき、さらに、第三半導体層24の第一面24Aにシリコン酸化膜50を成膜する。
【0031】
次に、図5に示すように、シリコン酸化膜50上に、窒化膜52を成膜する。そして、図6に示すように、FLR部16となる領域の窒化膜52をエッチング等により除去する。
【0032】
次に、図7に示すように、窒化膜52を除去した部分において、シリコン酸化膜50を成長させる。シリコン酸化膜50は、第三半導体層24の第一面24Aから上下に成長される。したがって、所望の段差24Dを第一面24Aに形成するためには、段差24Dの約2倍の厚みとなるまでシリコン酸化膜50を成長させる。
【0033】
次に、図8に示すように窒化膜52を除去し、さらに、図9に示すようにシリコン酸化膜50を除去する。これにより、第三半導体層24の第一面24Aに、周辺部24Eにおいて中央部24Cよりも第一半導体層20側に凹む凹部30が形成される。
【0034】
そして、図10に示すように、第三半導体層24の第一面24Aから、複数のトレンチ32を所定位置(中央部24C及び周辺部24Eの両部位)に形成する。1つの工程で複数のトレンチ32を形成することが可能であり、この場合、複数のトレンチ32自体の深さD1は一定である。実質的に、周辺部24Eでは凹部30が形成されていることで、中央部24Cよりもトレンチ32の上下位置が低くなる。すなわち、トレンチ32が確実に第三半導体層24を貫くための余裕分(マージン)が得られている。第一半導体層20に対するトレンチ32の侵入深さD2は、中央部24Cよりも周辺部24Eで深い。
【0035】
次に、本実施形態の半導体装置12の作用を説明する。
【0036】
半導体装置12では、ゲート電極36に印加された電圧に応じて、ドレイン電極とソース電極40との間の電流が制御される。
【0037】
図11には、ゲートがオフ状態でドレイン電極にプラスの電圧を印加した場合における半導体装置12の状態が示されている。ドレイン電極への電圧印加により、第一半導体層20には空乏層54が生じており、印加電圧を高くするほど、空乏層54は矢印F1で示すように、横方向に広がる。空乏層54は絶縁体として作用するので、空乏層54が広がることで、半導体装置12の耐圧が向上する。
【0038】
ここで、図12には、第一比較例の半導体装置92が示されている。第一比較例の半導体装置92では、第三半導体層24においてFLR部16の領域にはトレンチ32が形成されていない。この場合、空乏層54は、矢印F1方向へ広がっていくが、第一半導体層20の第二面20Bに達した空乏層54は、表面効果により広がりにくい。このため、第一半導体層20の第二面20Bに、電界の集中領域E1が生じる。
【0039】
これに対し、本実施形態の半導体装置12では、第三半導体層24においてFLR部16にもトレンチ32が形成されている。しかも、第三半導体層24に凹部30が形成されていることで、トレンチ32の底面32Bが第一半導体層20に達し、第三半導体層24を確実に分断する構造が実現されている。これにより、図11に示すように、矢印F1方向への空乏層54の広がりが制限され、第一半導体層20の第一面20Aへ空乏層54が到達することが抑制される。すなわち、第一半導体層20の第一面20Aに、電界の集中領域E1(図12参照)が生じづらくなり、半導体装置12の耐圧がさらに向上する。
【0040】
本実施形態の半導体装置12では、このように、空乏層54の広がりを許容しつつ、第一半導体層20の第一面20Aにおける電界集中は抑制できる。これにより、半導体装置12の耐圧を高く確保することができる。
【0041】
しかも、本実施形態の半導体装置12では、第三半導体層24に凹部30を設けているので、複数のトレンチ32の深さD1が一定であっても、FLR部16の領域ではトレンチ32が第三半導体層24を確実に分断できる。
【0042】
また、複数のトレンチ32で深さを変更する必要がないので、深さの異なるトレンチを形成する場合と比較して、トレンチ32を形成する工程を簡素化できる。
【0043】
特に、中央部24Cは、半導体装置12のセル部14として機能する領域であり、これに対し、周辺部24Eは半導体装置12のFLR部16として機能する領域である。したがって、トレンチ32に求められる作用は、中央部24Cと周辺部24Eとで異なる。中央部24Cに求められるトレンチ32の深さD1を基準にしてトレンチ32を形成した場合でも、本開示の技術では、周辺部24Eにおいて、トレンチ32が確実に第三半導体層24を貫いている構造を実現できる。
【0044】
また、本実施形態の半導体装置12では、FLR部16の第一領域16Fでは、トレンチ32の間隔S1が相対的に広い。したがって、たとえば空乏層54が矢印F1方向に広がる前半段階において、空乏層54広がり速度が速い場合でも、それぞれのトレンチ32について、空乏層54の広がりを抑制する作用を充分に発揮させることができる。また、FLR部16の第二領域16Sでは、トレンチ32の間隔S1が相対的に狭い。したがって、たとえば空乏層54が矢印F1方向に広がる後半段階において、高密度に形成されたトレンチ32により、空乏層54の広がりを抑制できる。
【0045】
さらに、以下の付記を開示する。
(付記1)
半導体基板と、
前記半導体基板に積層され、前記半導体基板と反対側の表面が周辺部において中央部よりも前記半導体基板側に位置している積層半導体と、
前記周辺部及び前記中央部において前記積層半導体を厚み方向に貫く複数のトレンチを介して形成された複数の第一膜と、
を有する半導体装置。
(付記2)
前記トレンチの前記半導体基板への侵入深さが前記中央部よりも前記周辺部において深い、付記1に記載の半導体装置。
(付記3)
複数の前記トレンチは一定の深さである、付記1又は付記2に記載の半導体装置。
(付記4)
前記周辺部において前記中央部に相対的に近い位置に設けられる第一領域と、
前記周辺部において前記第一領域よりも前記中央部から相対的に遠い位置に設けられ、複数の前記トレンチの間隔が前記第一領域よりも狭い第二領域と、
を有する付記1~付記3のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記5)
半導体基板に積層された積層半導体の、前記半導体基板の反対側の表面の周辺部に中央部よりも前記半導体基板側に凹む凹部を形成し、
前記中央部及び前記周辺部に、前記積層半導体を厚み方向に貫く複数のトレンチを形成する、
ことを含む半導体装置の製造方法。
(付記6)
付記5に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記積層半導体の表面にシリコン酸化膜を設け、
前記シリコン酸化膜上に窒化膜を設けると共に前記周辺部において前記窒化膜を除去し、
前記周辺部において前記シリコン酸化膜を成長させて前記表面を局所的に凹ませ、
前記窒化膜及び前記シリコン酸化膜を除去することで前記凹部を形成する、半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0046】
12 半導体装置
14 セル部
16 FLR部
16F 第一領域
16S 第二領域
18 EQR部
20 第一半導体層
20A 第一面
20B 第二面
22 第二半導体層
24 第三半導体層
24A 第一面
24C 中央部
24D 段差
24E 周辺部
26 第四半導体層
28 収容部
30 凹部
32 トレンチ
32B 底面
32C 内周面
34 ゲート酸化膜
36 ゲート電極
38 絶縁膜
40 ソース電極
42 電極
50 シリコン酸化膜
52 窒化膜
52 シリコン窒化膜
54 空乏層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12