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特開2024-12974配線基板、半導体装置及び配線基板の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012974
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】配線基板、半導体装置及び配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20240124BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
H01L23/12 Q
H05K3/46 B
H05K3/46 N
H05K3/46 T
H05K3/46 Z
H01L23/12 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114848
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚本 晃輔
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA22
5E316AA32
5E316AA43
5E316BB02
5E316CC04
5E316CC08
5E316CC09
5E316CC10
5E316CC13
5E316CC31
5E316CC32
5E316DD17
5E316DD24
5E316DD33
5E316EE31
5E316FF07
5E316GG15
5E316GG17
5E316GG28
5E316HH03
5E316HH06
5E316JJ02
(57)【要約】
【課題】挿入損失及び反射損失を低減できる配線基板等を提供する。
【解決手段】配線基板は、第1の絶縁層と、第1の絶縁層に設けられた第1の配線層と、第1の絶縁層の一方の面に設けられ、第1の絶縁層とは異なる第2の絶縁層及び第2の配線層を含む薄膜層と、を有する。薄膜層は、第1の絶縁層と対向する面とは反対の面に設けられた第1のパッドおよび第2のパッドと、第1のパッドと電気的に接続する第1のビアと、第2のパッドと電気的に接続する第2のビアと、を有する。第1の配線層は、第2の配線層に比較して厚く、かつ、第1のビアと第2のビアとの間を電気的に接続する伝送配線を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層に設けられた第1の配線層と、
前記第1の絶縁層の一方の面に設けられ、前記第1の絶縁層とは異なる第2の絶縁層及び第2の配線層を含む薄膜層と、を有する配線基板であって、
前記薄膜層は、
前記第1の絶縁層と対向する面とは反対の面に設けられた第1のパッド及び第2のパッドと、
前記第1のパッドと電気的に接続する第1のビアと、
前記第2のパッドと電気的に接続する第2のビアと、を有し、
前記第1の配線層は、
前記第2の配線層に比較して厚く、
前記第1の配線層は、
前記第1のビアと前記第2のビアとの間を電気的に接続する伝送配線を有することを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記伝送配線を有する前記第1の絶縁層の誘電正接は、
前記薄膜層内の前記第2の絶縁層に比較して小さいことを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記第1の配線層の配線厚は、
10~20μmの範囲内、
前記第2の配線層の配線厚は、
1~3μmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項4】
前記伝送配線は、
前記第1のビアと前記第2のビアとの間でシリアル高速信号を伝送する配線であることを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項5】
前記第1の配線層は、
前記第1の絶縁層の他方の面に形成された第1の導電層と、
前記第1の絶縁層の前記一方の面に形成された第2の導電層と、を有し、
前記薄膜層は、
前記第1の絶縁層と対向する面とは反対側の面に形成された第3の導電層を有し、
前記第1の絶縁層は、
前記第1の導電層と前記第2の導電層との間を電気的に接続する第3のビアを有し、
前記薄膜層は、
前記第2の導電層と前記第3の導電層との間を電気的に接続する前記第1のビア及び前記第2のビアを有することを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項6】
前記伝送配線は、
前記第1の導電層内に形成されることを特徴とする請求項5に記載の配線基板。
【請求項7】
前記伝送配線は、
前記第2の導電層内に形成されることを特徴とする請求項5に記載の配線基板。
【請求項8】
前記第1絶縁層の誘電正接は、0.0004~0.02の範囲内であることを特徴とする請求項2に記載の配線基板。
【請求項9】
第1の電子部品及び第2の電子部品を実装する配線基板と、
前記配線基板を実装する多層配線基板と、を有する半導体装置であって、
前記配線基板は、
第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層に設けられた第1の配線層と、
前記第1の絶縁層の一方の面に設けられた、前記第1の絶縁層とは異なる第2の絶縁層及び第2の配線層を含む薄膜層と、を有し、
前記薄膜層は、
前記第1の絶縁層と対向する面とは反対の面に設けられた第1のパッド及び第2のパッドと、
前記第1の電子部品と接続する第1のパッドと電気的に接続する第1のビアと、
前記第2の電子部品と接続する第2のパッドと電気的に接続する第2のビアと、を有し、
前記第1の配線層は、
前記第2の配線層に比較して厚く、
前記第1の配線層は、
前記第1のビアと前記第2のビアとの間を電気的に接続する伝送配線を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層に形成された第1の配線層と、
前記第1の絶縁層の一方の面に形成された前記第1の配線層内の第1の導電層と、
前記第1の絶縁層の他方の面に形成された前記第1の配線層内の第2の導電層と、
前記第1の絶縁層の一方の面に形成された、前記第1の絶縁層とは異なる第2の絶縁層及び第2の配線層を含む薄膜層と、
前記第1の絶縁層と対向する面とは反対側の面に形成された第3の導電層とを有する配線基板の製造方法であって、
前記第1の絶縁層を形成する工程は、
前記第2の絶縁層の配線厚に比較して厚くした前記第1の絶縁層を形成し、
前記薄膜層を形成する工程は、
前記第1の絶縁層と対向する面とは反対の面に設けられた第1のパッドおよび第2のパッドと、
前記第1のパッドと電気的に接続する第1のビアと、
前記第2のパッドと電気的に接続する第2のビアと、を形成し、
前記第1の導電層を形成する工程は、
前記第1の導電層内に、前記第1のビアと前記第2のビアとの間を電気的に接続する伝送配線を形成することを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項11】
第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層に形成された第1の配線層と、
前記第1の絶縁層の一方の面に形成された前記第1の配線層内の第1の導電層と、
前記第1の絶縁層の他方の面に形成された前記第1の配線層内の第2の導電層と、
前記第1の絶縁層の一方の面に形成された、前記第1の絶縁層とは異なる第2の絶縁層及び第2の配線層を含む薄膜層と、
前記第1の絶縁層と対向する面とは反対側の面に形成された第3の導電層とを有する配線基板の製造方法であって、
前記第1の絶縁層を形成する工程は、
前記第2の絶縁層の配線厚に比較して厚くした前記第1の絶縁層を形成し、


前記薄膜層を形成する工程は、
前記第1の絶縁層と対向する面とは反対の面に設けられた第1のパッド及び第2のパッドと、
前記第1のパッドと電気的に接続する第1のビアと、
前記第2のパッドと電気的に接続する第2のビアと、を形成し、
前記第2の導電層を形成する工程は、
前記第2の導電層内に、前記第1のビアと前記第2のビアとの間を電気的に接続する伝送配線を形成することを特徴とする配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板、半導体装置及び配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、熱硬化性樹脂の絶縁層上に薄膜層を形成する有機インタポーザ等の配線基板を作製し、配線基板をビルドアップ基板上に実装する半導体装置が知られている。図16は、従来の半導体装置100の一例を示す説明図である。図16に示す半導体装置100は、ビルドアップ基板102と、ビルドアップ基板102上に実装された配線基板105と、を有する。尚、ビルドアップ基板102の表面には、配線基板105実装時の半田の付着を抑制するソルダーレジスト106を有する。
【0003】
配線基板105は、絶縁層111と、薄膜層112と、接着層113とを有する。絶縁層111は、絶縁層111の一方の面に配置された第1の導電層114と、絶縁層111の他方の面に配置された第2の導電層115と、第1の導電層114と第2の導電層115との間を電気的に接続する第1のビア111Aとを有する。
【0004】
第1の導電層114は、ビルドアップ基板102のパッド102Aと電気的に接続するパッド114Aを有する。第2の導電層115は、絶縁層111内の第1のビア111Aと薄膜層112内の第2のビア112Aとの間を電気的に接続するパッド115Aを有する。
【0005】
薄膜層112は、例えば、配線層と絶縁層とが順次に積層された薄膜配線層と、薄膜配線層上に積層された第3の導電層116と、薄膜配線層内の配線層と第3の導電層116との間を電気的に接続する第2のビア112Aとを有する。薄膜配線層は、第1の絶縁層161と、第1の絶縁層161上に設けられた第1の配線層162と、第1の配線層162を被覆して第1の絶縁層161に積層された第2の絶縁層163と、第2の絶縁層163上に設けられた第2の配線層164と、第2の配線層164を被覆して第2の絶縁層163に積層された第3の絶縁層165とを有する。第3の導電層116は、チップ103のチップ用端子と半田118で電気的に接続するパッド116Aを有する。
【0006】
ビルドアップ基板102には、配線基板105上の第1の導電層114内のパッド114Aと電気的に接続するパッド102A1(102A)と、実装するコネクタ104と電気的に接続するパッド102A2(102A)と、を有する。更に、ビルドアップ基板102は、パッド102Aと電気的に接続する基板ビア102Cを有する。更に、ビルドアップ基板102は、チップ103に接続するパッド102A1と接続する基板ビア102C1(102C)と、コネクタ104に接続するパッド102A2と接続する基板ビア102C2(102C)との間を電気的に接続する伝送配線102Bとを有する。更に、ビルドアップ基板102内のパッド102A1と配線基板105のパッド114Aとの間は半田117で電気的に接続する。更に、ビルドアップ基板102内のパッド102A2とコネクタ104との間は半田117で電気的に接続する。
【0007】
伝送配線102Bは、配線基板105上に搭載されたチップ103とビルドアップ基板102に搭載されたコネクタ104との間を電気的に接続し、チップ103とコネクタ104との間でシリアルの高速信号を伝送するための線路である。尚、伝送配線102Bのライン/スペースは、例えば、15μm/15μm程度であって、配線厚は、例えば、15μmである。
【0008】
そして、配線基板105上のチップ103は、パッド116A→第2のビア112A→パッド115A→第1のビア111A→パッド114A→半田117→パッド102A1→基板ビア102C1→伝送配線102B→基板ビア102C2→パッド102A2の経路を経て高速信号をコネクタ104に伝送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2020-202278号公報
【特許文献2】特開2015-5612号公報
【特許文献3】特開2020-47735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、半導体装置100では、チップ103とコネクタ104との間で高速信号を伝送する場合、伝送配線102Bを用いた経路で高速信号が通過する際に高速信号の反射損失や挿入損失が発生する。
【0011】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、反射損失及び挿入損失を低減できる配線基板、半導体装置及び配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願が開示する配線基板は、1つの態様において、第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層に設けられた第1の配線層と、前記第1の絶縁層の一方の面に設けられ、前記第1の絶縁層とは異なる第2の絶縁層及び第2の配線層を含む薄膜層と、を有する。前記薄膜層は、前記第1の絶縁層と対向する面とは反対の面に設けられた第1のパッドおよび第2のパッドと、前記第1のパッドと電気的に接続する第1のビアと、前記第2のパッドと電気的に接続する第2のビアと、を有する。前記第1の配線層は、前記第2の配線層に比較して厚くする構造にした。前記第1の配線層は、前記第1のビアと前記第2のビアとの間を電気的に接続する伝送配線を有する。
【発明の効果】
【0013】
本願が開示する配線基板の1つの態様によれば、高速信号が通過する際に反射損失及び挿入損失を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施例1の半導体装置の一例を示す説明図である。
図2図2は、配線基板の一例を示す略断面図である。
図3図3は、各絶縁層の誘電率及び誘電正接の一例を示す説明図である。
図4図4は、コネクタ用端子及びチップ用端子の特徴の一例を示す説明図である。
図5A図5Aは、準備工程の一例を示す説明図である。
図5B図5Bは、導体層形成工程の一例を示す説明図である。
図5C図5Cは、絶縁層形成工程の一例を示す説明図である。
図6A図6Aは、薄膜層形成工程の一例を示す説明図である。
図6B図6Bは、支持キャリア剥離工程の一例を示す説明図である。
図7図7は、半田形成工程の一例を示す説明図である。
図8図8は、配線基板実装工程の一例を示す説明図である。
図9図9は、実施例2の半導体装置の一例を示す説明図である。
図10図10は、配線基板の一例を示す略断面図である。
図11A図11Aは、準備工程の一例を示す説明図である。
図11B図11Bは、導体層形成工程の一例を示す説明図である。
図11C図11Cは、絶縁層形成工程の一例を示す説明図である。
図12A図12Aは、反転支持キャリア形成工程の一例を示す説明図である。
図12B図12Bは、支持キャリア剥離工程の一例を示す説明図である。
図13A図13Aは、薄膜層形成工程の一例を示す説明図である。
図13B図13Bは、反転支持キャリア剥離工程の一例を示す説明図である。
図14図14は、半田形成工程の一例を示す説明図である。
図15図15は、配線基板実装工程の一例を示す説明図である。
図16図16は、従来の半導体装置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本願が開示する配線基板、半導体装置及び配線基板の製造方法の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。尚、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【実施例0016】
図1は、実施例1の半導体装置1の一例を示す説明図である。図1に示す半導体装置1は、ビルドアップ基板2と、複数のチップ3及びコネクタ4が実装された配線基板5とを有し、ビルドアップ基板2上に配線基板5が実装されることで構成する。尚、ビルドアップ基板2の表面には、配線基板5実装時の半田の付着を抑制するソルダーレジスト6を有する。
【0017】
図2は、配線基板5の一例を示す略断面図である。配線基板5は、絶縁層11と、薄膜層12と、接着層13とを有する。配線基板5の平面形状は、例えば、40mm角の正方形状とすることができる。但し、これには限定されず、配線基板5は任意の平面形状とすることができる。
【0018】
絶縁層11は、絶縁層11の一方の面に配置された第1の導電層14と、絶縁層11の他方の面に配置された第2の導電層15と、第1の導電層14と第2の導電層15との間を電気的に接続する第1のビア11Aとを有する。絶縁層11の厚さは、例えば、45μm~80μm程度である。絶縁層11は、例えば、第1の絶縁層である。第1の導電層14は、例えば、第1の配線層である。
【0019】
第1の導電層14は、ビルドアップ基板2と電気的に接続するパッド14Aと、伝送配線20とを有する。第1の導電層14は、最下層の導電層であり、絶縁層11に被覆されている。第1の導電層14は、例えば、平面形状が直径150μm程度の円形のパッドであるが、配線パターンを含んでいてもよい。隣接する第1の導電層14の間隔は、例えば、200μm程度とすることができる。第1の導電層14の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。第1の導電層14の厚さは、例えば、10~20μm程度とすることができる。第2の導電層15は、絶縁層11内の第1のビア11Aと薄膜層12内の第2のビア12Aとの間を電気的に接続するパッド15Aを有する。
【0020】
薄膜層12は、配線層と絶縁層とが順次に積層された薄膜配線層と、薄膜配線層上に積層された第3の導電層16と、例えば、薄膜配線層内の配線層と第3の導電層16との間を電気的に接続する第2のビア12Aとを有する。第2のビア12Aは、第3の導電層16と第2の導電層15との間を電気的に接続する。第3の導電層16は、チップ3のチップ用端子と電気的に接続する第1のパッド16Aと、コネクタ4のコネクタ用端子と電気的に接続する第2のパッド16Bと、を有する。
【0021】
薄膜配線層は、第1の絶縁層61と、第1の絶縁層61上に設けられた第1の配線層62と、第1の配線層62を被覆して第1の絶縁層61に積層された第2の絶縁層63と、第2の絶縁層63上に設けられた第2の配線層64と、第2の配線層64を被覆して第2の絶縁層63に積層された第3の絶縁層65とを有する。尚、薄膜配線層は、第1の絶縁層61、第1の配線層62、第2の絶縁層63、第2の配線層64及び第3の絶縁層65の5層構造を例示したが、5層構造に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【0022】
第1の絶縁層61は、絶縁層11の一方の面に、第2の導電層15を被覆するように形成されている。第1の配線層62は、第1の絶縁層61の一方の側に形成されており、第2の導電層15と電気的に接続されている。第2の絶縁層63は、第1の絶縁層61の一方の面に、第1の配線層62を被覆するように形成されている。第2の配線層64は、第2の絶縁層63の一方の側に形成されており、第1の配線層62と電気的に接続されている。第3の絶縁層65は、第2の絶縁層63の一方の面に、第2の配線層64を被覆するように形成されている。尚、薄膜配線層内の第1の配線層62及び第2の配線層64の厚みは、夫々、例えば、1~3μmの程度とする。薄膜層12内の第1の絶縁層61、第2の絶縁層63及び第3の絶縁層65は、例えば、第2の絶縁層に相当する。更に、薄膜層12内の第1の配線層62及び第2の配線層64は、例えば、第2の配線層に相当する。
【0023】
第1の導電層14内の伝送配線20は、絶縁層11と接着層13との間の境界部分の内、絶縁層11内の第1の導電層14に配置される。第1の導電層14の配線厚は、薄膜配線層内の第1の配線層62又は第2の配線層64に比較して厚い。伝送配線20は、第1のパッド16Aに接続する第1のビア12A1(12A)と電気的に接続する第1のビア11Aと、第2のパッド16Bに接続する第2のビア12A2(12A)と電気的に接続する第1のビア11Aとの間を電気的に接続する。つまり、伝送配線20は、第1のパッド16Aと接続するチップ3と、第2のパッド16Bと接続するコネクタ4との間を電気的に接続し、例えば、シリアルの高速信号を伝送するシリアル伝送路である。
【0024】
尚、本実施の形態では、便宜上、配線基板5の第3の導電層16側を上側又は一方の側、接着層13側を下側又は他方の側とする。又、各部位の第3の導電層16側の面を一方の面又は上面、接着層13側の面を他方の面又は下面とする。但し、配線基板5は天地逆の状態で用いることができ、又は任意の角度で配置することができる。又、平面視とは対象物を絶縁層11の上面の法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物を絶縁層11の上面の法線方向から視た形状を指すものとする。
【0025】
絶縁層11は、第1の導電層14を被覆している。尚、絶縁層11は単層のものに限定されず、複数の絶縁樹脂が積層されたものであってもよい。絶縁層11は、例えば、非感光性の熱硬化性樹脂を主成分とする絶縁層である。尚、非感光性の熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ系樹脂、イミド系樹脂、フェノール系樹脂、シアネート系樹脂等を挙げることができる。また、絶縁層11は、例えば、ガラス繊維やアラミド繊維等の補強部材を有していることが望ましい。絶縁層11は、第1の導電層14の側面のみを被覆してもよいが、第1の導電層14の上面及び側面を被覆していることが好ましい。言い換えれば、第1の導電層14の下面は、絶縁層11の下面から露出しており、絶縁層11の下面と第1の導電層14の下面とは、例えば、面一とすることができる。
【0026】
第1の導電層14の下面には、半田層17が形成されている。半田層17の材料としては、例えば、SnBi半田等を用いることができる。半田層17の厚さは、例えば、15~25μm程度とすることができる。半田層17は、絶縁層11の下面に形成された接着層13に被覆されている。接着層13の材料としては、例えば、エポキシ系の絶縁性樹脂等を用いることができる。接着層13の厚さは、例えば、25~30μm程度とすることができる。尚、半田層17及び接着層13は、配線基板5の必須の構成要素ではなく、必要なときに形成すればよい。
【0027】
第1のビア11Aは、絶縁層11に埋設されたビア配線である。より詳しくは、第1のビア11Aは、絶縁層11を貫通して、第1の導電層14の上面を露出するビアホール内に充填されたビア配線であり、第1の導電層14と電気的に接続されている。ビアホールは、薄膜層12側に開口されている開口部の径が第1の導電層14の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部とすることができる。ビアホールの開口部の径は、例えば、60~70μm程度とすることができる。
【0028】
第1のビア11Aの上面は、絶縁層11の上面から露出している。第1のビア11Aの上面は、例えば、絶縁層11の上面と面一とすることができる。第1のビア11Aの上面は、薄膜層12の下面と直接接合されている。また、第1のビア11Aの下面は、絶縁層11内で第1の導電層14と直接接合されている。第1のビア11Aの材料は、例えば、第1の導電層14と同一の材料である。
【0029】
第1のビア11Aは、絶縁層11のビアホールに形成されたビア配線のみからなる。言い換えれば、第1のビア11Aには、絶縁層11の上面に一体的に形成される配線パターンはない。第1のビア11Aと薄膜層12とは、電気的には接続されているが、一体的ではない。具体的には、後述する製造方法において、薄膜層12は、配線層と、絶縁層とを順次積層されて構成する。薄膜層12内の配線層は、セミアディティブ法で形成された高密度の配線パターン(例えば、ライン/スペースが3μm/3μm程度)である。
【0030】
薄膜層12内の配線層は、絶縁層11の上面に形成されている。配線層は、絶縁層11の上面に直接形成されており、第1のビア11Aを介して第1の導電層14と電気的に接続された配線(配線パターンやパッド)を含んでいる。すなわち、薄膜層12内の配線層の下面の一部は、第1のビア11Aの上面と接しており、両者は電気的に接続されている。薄膜層12内の配線層の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。薄膜層12は、複数の導体層が積層された積層膜である。薄膜層12は、第1の導電層14よりも配線密度が高く(ライン/スペースが狭く)、かつ第1の導電層14よりも薄い。本明細書では、ライン/スペースが8μm/8μm以下の配線層を配線密度が高い配線層とする。薄膜層12のライン/スペースは、例えば、1μm/1μm~3μm/3μm程度とすることができる。
【0031】
尚、ライン/スペースにおけるラインとは配線幅を表し、スペースとは隣り合う配線同士の間隔(配線間隔)を表す。例えば、ライン/スペースが2μm/2μmと記載されていた場合、配線幅が2μmで隣り合う配線同士の間隔が2μmであることを表す。
【0032】
薄膜層12内の第1の絶縁層61は、感光性の絶縁性樹脂を主成分とする絶縁層である。『感光性の絶縁性樹脂を主成分とする』とは、感光性の絶縁性樹脂以外にフィラー等の他の成分を含有してもよいことを意味する。例えば、第1の絶縁層61は、シリカ(SiO)等のフィラーを含有しても構わない。
【0033】
薄膜層12内の第1の絶縁層61は、第2のビア12Aを被覆するように形成されている。薄膜層12内の第1の絶縁層61に用いる感光性の絶縁性樹脂としては、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂等を挙げることができる。第1の絶縁層61の厚さは、例えば5~10μm程度とすることができる。尚、絶縁層11の厚みは、前述した通り、例えば、45μm~80μm程度であるため、薄膜層12内の第1の絶縁層の厚みに比較してかなり厚い。
【0034】
薄膜層12内の第1の配線層62は、第1の絶縁層61上に設けられた配線層であって、ビア配線や配線パターンを含んでいる。尚、第1の配線層62の厚みは、例えば、1~3μmの程度とする。第1の配線層62のライン/スペースは、例えば、1μm/1μm~3μm/3μm程度とすることができるが、第2のビア12Aよりも更にライン/スペースを狭くすることが可能である。第1の配線層62は、第1の絶縁層61を貫通して第2の導電層15の上面を露出する第2のビア12A内に充填されたビア配線、及び第1の絶縁層61の上面に形成された配線パターンを含む。第2のビア12Aは、第2の絶縁層63側に開口されている開口部の径が第2の導電層15の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部とすることができる。第2のビア12Aの開口部の径は、例えば、10~20μm程度とすることができる。第1の配線層62の材料、第1の配線層62を構成する配線パターンの厚さは、例えば、第2の導電層15と同様とすることができる。
【0035】
薄膜層12内の第2の絶縁層63は、第1の配線層62を被覆して第1の絶縁層61に積層された絶縁層であって、感光性の絶縁性樹脂を主成分とする絶縁層である。『感光性の絶縁性樹脂を主成分とする』とは、感光性の絶縁性樹脂以外にフィラー等の他の成分を含有してもよいことを意味する。例えば、第2の絶縁層63は、シリカ(SiO)等のフィラーを含有しても構わない。
【0036】
薄膜層12内の第2の絶縁層63は、第2のビア12Aを被覆するように形成されている。薄膜層12内の第2の絶縁層63に用いる感光性の絶縁性樹脂としては、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂等を挙げることができる。第2の絶縁層63の厚さは、例えば5~10μm程度とすることができる。尚、絶縁層11の厚みは、前述した通り、例えば、45μm~80μm程度であるため、薄膜層12内の第2の絶縁層63の厚みに比較してかなり厚い。
【0037】
薄膜層12内の第2の配線層64は、第2の絶縁層63上に設けられた配線層であって、ビア配線や配線パターンを含んでいる。尚、第2の配線層64の厚みは、例えば、1~3μmの程度とする。第2の配線層64のライン/スペースは、例えば、1μm/1μm~3μm/3μm程度とすることができるが、第2のビア12Aよりも更にライン/スペースを狭くすることが可能である。第2の配線層64は、第2の絶縁層63を貫通して第1の配線層62の上面を露出する第2のビア12A内に充填されたビア配線、及び第2の絶縁層63の上面に形成された配線パターンを含む。第2のビア12Aは、第3の絶縁層65側に開口されている開口部の径が第2の配線層64の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部とすることができる。第2のビア12Aの開口部の径は、例えば、10~20μm程度とすることができる。第2の配線層64の材料、第2の配線層64を構成する配線パターンの厚さは、例えば、第2の導電層15と同様とすることができる。第2の配線層64を構成する配線パターンのライン/スペースは、例えば、第1の配線層62と同様とすることができる。
【0038】
薄膜層12内の第3の絶縁層65は、第2の配線層64を被覆して第2の絶縁層63に積層された絶縁層であって、感光性の絶縁性樹脂を主成分とする絶縁層である。『感光性の絶縁性樹脂を主成分とする』とは、感光性の絶縁性樹脂以外にフィラー等の他の成分を含有してもよいことを意味する。例えば、第3の絶縁層65は、シリカ(SiO)等のフィラーを含有しても構わない。
【0039】
薄膜層12内の第3の絶縁層65は、第2のビア12Aを被覆するように形成されている。薄膜層12内の第3の絶縁層65に用いる感光性の絶縁性樹脂としては、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂等を挙げることができる。第3の絶縁層65の厚さは、例えば5~10μm程度とすることができる。尚、絶縁層11の厚みは、前述した通り、例えば、45μm~80μm程度であるため、薄膜層12内の第3の絶縁層65の厚みに比較してかなり厚い。
【0040】
薄膜層12内の最上位の導電層である第3の導電層16は、薄膜層12内の最上位の絶縁層である第3の絶縁層65の一方の側に形成されている。第3の導電層16は、ビア配線及び最上位の絶縁層の上面から突出するパッド16A,16Bを含んでいる。第3の導電層16の厚さ(最上位の絶縁層の上面から突出するパッド部分も含む)は、例えば、10μm程度とすることができる。第3の導電層16を構成する第1のパッド16Aの平面形状は、例えば、直径が20~30μm程度の円形とすることができる。第3の導電層16を構成する第1のパッド16Aのピッチは、例えば、40~50μm程度とすることができる。なお、第3の導電層16を構成する第1のパッド16Aは、チップ3等の電子部品と電気的に接続するために使用することができる。
【0041】
第3の導電層16を構成する第2のパッド16Bの平面形状は、例えば、0.1mm×0.1mm~2mm×2mmの矩形とすることができる。第3の導電層16を構成する第2のパッド16Bのピッチは、例えば、0.1mm~2mm程度とすることができる。尚、第3の導電層16を構成する第2のパッド16Bは、コネクタ4と電気的に接続するために使用することができる。
【0042】
尚、第3の導電層16を構成するパッド16A,16Bの表面(上面のみ、又は、上面及び側面)に表面処理層(図示せず)を形成してもよい。表面処理層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。また、第3の導電層16を構成するパッド16A、16Bの表面(上面のみ、又は、上面及び側面)に、OSP(Organic Solderability Preservative)処理等の酸化防止処理を施して表面処理層を形成してもよい。
【0043】
図3は、各絶縁層の誘電率及び誘電正接の一例を示す説明図である。薄膜層12内の絶縁層の誘電率、絶縁層11の誘電率及び接着層13の誘電率は、3.2~4.6の範囲内である。これに対して、薄膜層12内の誘電正接は0.01~0.06の範囲内、絶縁層11の誘電正接は0.004~0.02の範囲内、接着層13の誘電正接は0.004~0.02の範囲内である。
【0044】
図4は、コネクタ用端子4A及びチップ用端子3Aの特徴の一例を示す説明図である。第1のパッド16Aに接続するチップ用端子3Aは、形状が円形、電極サイズが径20μm~100μmの範囲内、電極厚さが5μm~20μmの範囲内、電極ピッチが30μm~200μmの範囲内である。これに対して、第2のパッド16Bに接続するコネクタ用端子4Aは、形状が矩形、電極サイズが0.1×0.1mm~2×2mmの範囲内、電極厚さが5μm~20μmの範囲内、電極ピッチが0.1mm~2mmの範囲内である。
【0045】
ビルドアップ基板2は、図示しないコア層に配線層及び絶縁層が積層された多層配線基板であり、例えば、周知のビルドアップ工法により作製できる。ビルドアップ基板2内の各配線層は、配線基板5の配線層に比べて配線密度が低い(ライン/スペースが広い)。ビルドアップ基板2内の各配線層のライン/スペースは、例えば、20μm/20μm程度とすることができる。
【0046】
配線基板5には、複数のチップ3及びコネクタ4がフリップチップ実装されている。チップ3は、例えば、シリコン等からなる薄板化された半導体基板に半導体集積回路(図示せず)等が形成されたものである。半導体基板の回路形成面には、半導体集積回路(図示せず)と電気的に接続されたチップ用端子3Aが形成されている。コネクタ4は、例えば、チップ3との間で高速信号をシリアル伝送するコネクタである。コネクタ4は、コネクタ用端子4Aが形成されている。
【0047】
チップ3のチップ用端子3Aは、半田バンプ18を介して、配線基板5の第3の導電層16内の第1のパッド16Aと電気的に接続されている。半田バンプ18の材料としては、例えば、SnBi半田等を用いることができる。チップ3としては、例えば、メモリ(DRAM(Dynamic Random Access Memory)等)やロジック(CPU(Central Processing Unit)等)が挙げられる。また、配線基板5には1つ又は2つのチップ3が実装されてもよいし、4つ以上のチップ3が実装されてもよい。コネクタ4のコネクタ用端子4Aは、半田バンプ18を介して、配線基板5の第3の導電層16内の第2のパッド16Bと電気的に接続されている。
【0048】
半導体装置1では、チップ3が配線密度の高い薄膜層12を有する配線基板5に実装されるため、チップ3同士を配線密度が高い配線パターンにより容易に信号接続することが可能となる。
【0049】
[実施例1の配線基板5の製造方法]
次に、実施例1の配線基板5の製造方法について説明する。図5A図8は、実施例1の配線基板5の製造工程を例示する図である。尚、ここでは、1つの配線基板5を作製する工程の例を示すが、配線基板5となる複数の部分を作製し、その後、個片化して各配線基板5とする工程としてもよい。
【0050】
図5Aは、準備工程の一例を示す説明図である。図5Aに示す準備工程では、支持キャリア50を準備する。支持キャリア50は、例えば、銅箔が形成されたコア基板51上に、プリプレグ52及びキャリア付き銅箔53を順次積層した構造である。コア基板51は、例えば、厚さが0.7mm程度のガラスエポキシ基板であり、銅箔の厚さは、例えば、7~50μm程度とする。プリプレグ52は、例えば、熱硬化性のエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等を予めガラス繊維やアラミド繊維等の織布や不織布に含浸させたものである。キャリア付き銅箔53は、例えば、銅からなる厚さ10~50μm程度の厚箔(キャリア箔)上に、剥離層(図示せず)を介して、例えば、銅からなる厚さ1.5~5μm程度の薄箔が剥離可能な状態で貼着された構造を有する。
【0051】
尚、支持キャリア50の構造は一例であり、これには限定されない。例えば、支持キャリア50において、コア基板51に代えて、複数のプリプレグが積層された積層体を用いてもよい。また、支持キャリア50は、ガラス基板や金属基板等の両側に、剥離層を介してキャリア付き銅箔53を配置した構造としてもよい。
【0052】
図5Bは、導体層形成工程の一例を示す説明図である。次に、図5Bに示す工程では、上側のキャリア付き銅箔53の上面(薄箔の上面)の全体に感光性のレジスト層(図示せず)を形成し、レジスト層を露光及び現像し、第1の導電層14を形成する部分を露出する開口部を形成する。レジスト層としては、例えば、ドライフィルムレジストを用いることができる。そして、上側のキャリア付き銅箔53を給電層とする電解めっき法により、開口部内に露出するキャリア付き銅箔53の上面に電解めっき層である第1の導電層14を形成する。第1の導電層14の材料や厚さは、前述の通りである。そして、レジスト層を剥離する。第1の導電層14は、パッド14A及び伝送配線20を含む。
【0053】
図5Cは、絶縁層形成工程の一例を示す説明図である。図5Cに示す工程では、上側のプリプレグ52の上面に、上側のキャリア付き銅箔53及び第1の導電層14を被覆する絶縁層11を形成する。
【0054】
具体的には、例えば、非感光性の熱硬化性樹脂を主成分とする半硬化状態のフィルム状の絶縁性樹脂を準備する。そして、上側のプリプレグ52の上面に、この絶縁性樹脂を、キャリア付き銅箔53及び第1の導電層14を被覆するようにラミネートし、加熱及び加圧しながら硬化させて絶縁層11を形成する。上側のプリプレグ52の上面に、半硬化状態の多層フィルムを、キャリア付き銅箔53及び第1の導電層14を被覆するようにラミネートし、加熱及び加圧しながら硬化させて絶縁層とする。
【0055】
次に、絶縁層11の表裏を貫通して第1の導電層14の上面を露出させるビアホールを絶縁層11に形成する。ビアホールは、例えば、COレーザ、YAGレーザ、エキシマレーザ等を用いたレーザ加工法により形成できる。ビアホールを形成した後、デスミア処理を行い、ビアホールの底部に各々露出する第1の導電層14の表面に付着した樹脂残渣を除去することが好ましい。
【0056】
次に、工程では、絶縁層11内に第1のビア11Aを形成する。第1のビア11Aは、例えば、セミアディティブ法を用いて形成できる。具体的には、まず、ビアホールの内壁を含む絶縁層11の表面及びビアホール内に露出する第1の導電層14の表面に、無電解めっき法やスパッタ法によりシード層を形成する。シード層としては、例えば、厚さ100~350nm程度の銅層を用いることができる。シード層として、厚さ20~50nm程度のチタン層と厚さ100~300nm程度の銅層を、この順番で積層した積層膜を用いてもよい。シード層の下層にチタン層を形成することにより、絶縁層11と第1のビア11Aとの密着性を向上できる。チタンに代えて、窒化チタン等を用いても構わない。なお、チタンや窒化チタンは、銅よりも耐腐食性の高い金属である。
【0057】
次に、シード層の上面の全体に感光性のレジスト層を形成し、レジスト層を露光及び現像し、第1のビア11Aを形成する部分を露出する開口部を形成する。レジスト層としては、例えば、ドライフィルムレジストを用いることができる。そして、シード層を給電層とする電解めっき法により、開口部内に露出するシード層の上面に電解めっき層(例えば、銅層)を形成する。
【0058】
次に、レジスト層を剥離した後、電解めっき層をマスクにして、電解めっき層に覆われていない部分のシード層をエッチングにより除去する。これにより、シード層上に電解めっき層が積層された第1のビア11Aが形成される。ここまでの工程により、支持キャリア50を中心として絶縁層11及び第1の導電層14が配置された層構造が形成される。
【0059】
次に、工程では、第1のビア11Aの上面側を研磨して絶縁層11の上面及びビアホール内を充填する第1のビア11Aの上面を露出させ、ビアホール内に充填された第1のビア11Aを形成する。第1のビア11Aの研磨には、例えば、CMP法(chemical mechanical polishing法)等を用いることができる。第1のビア11Aの上面は、例えば、絶縁層11の上面と面一とすることができる。
【0060】
第1のビア11Aを研磨する際、絶縁層11の上面の一部を同時に研磨して除去してもよい。第1のビア11Aと共に絶縁層11の上面を研磨し、絶縁層11の上面の一部を除去することにより、絶縁層11の上面の粗度を研磨前より小さくできる。つまり、絶縁層11の上面の平滑度を向上できる。絶縁層11の上面の粗度はCMP法を実行する前(研磨前)は、例えば、Ra300~400nm程度であり、CMP法を実行することによりRa15~40nm程度とすることができる。このように、絶縁層11の上面の粗度を低減して平滑度を向上することにより、後工程において、微細配線(配線密度が高い配線層)の形成が可能となる。なお、絶縁層11の下面の粗度は、例えば、Ra180~280nm程度である。
【0061】
次の工程では、絶縁層11上に第2の導電層15を形成する。第1のビア11Aの上面の全体に感光性のレジスト層(図示せず)を形成し、レジスト層を露光及び現像し、第2の導電層15を形成する部分を露出する開口部を形成する。レジスト層としては、例えば、ドライフィルムレジストを用いることができる。そして、第1のビア11Aを給電層とする電解めっき法により、開口部内に露出する第1のビア11Aの上面に電解めっき層である第2の導電層15を形成する。第2の導電層15の材料や厚さは、前述の通りである。そして、レジスト層を剥離する。第2の導電層15は、パッド15Aを含む。
【0062】
図6Aは、薄膜層形成工程の一例を示す説明図である。図6Aに示す工程では、絶縁層11及び第2の導電層15上に薄膜層12を形成する。薄膜層12は、例えば、セミアディティブ法を用いて高密度の配線層を形成する。
【0063】
次に、同様の工程を繰り返して薄膜層12内の第1の絶縁層61、第1の配線層62、第2の絶縁層63、第2の配線層64、及び第3の絶縁層65を形成し、薄膜層12の最上位の第3の絶縁層65上に第3の導電層16を形成する。第3の導電層16を構成するパッドの表面(上面のみ、又は、上面及び側面)に前述の表面処理層を形成する。第3の導電層16は、第1のパッド16A及び第2のパッド16Bを含む。
【0064】
次に、工程では、ダイシングブレード等を用いて構造体の外周部を切断する。切断は、絶縁層11と上側のプリプレグ52とが直接接している領域を除去するように行う。その結果、キャリア付き銅箔53内の厚箔と薄箔とが接している部分を容易に剥離することが可能となる。すなわち、支持キャリア50の主要部分を容易に除去できる。
【0065】
図6Bは、支持キャリア剥離工程の一例を示す説明図である。図6Bに示す工程では、支持キャリア50の主要部分を除去した構造体から薄箔を除去する。キャリア付き銅箔53内の薄箔は、例えば、ウェットエッチングにより除去できる。その結果、絶縁層11の下面に第1の導電層14の下面が露出する。絶縁層11の下面と第1の導電層14の下面とは、例えば、面一とすることができる。つまり、絶縁層11の下面には、第1の導電層14内の伝送配線20が露出することになる。
【0066】
図7は、半田形成工程の一例を示す説明図である。図7に示す工程では、第1の導電層14の下面にスクリーン印刷等により半田層17を形成する。半田層17の材料や厚さは、前述の通りである。そして、絶縁層11の下面に、半田層17を被覆する接着層13を形成する。接着層13は、例えば、絶縁層11の下面に、半田層17を被覆するように、NCF(Non Conductive Film)と称される絶縁性の熱硬化性樹脂のフィルムをラミネートし、加熱して硬化させることで形成できる。以上の工程により、配線基板5が完成する。なお、半田層17及び接着層13は、配線基板5の必須の構成要素ではなく、必要なとき(例えば、配線基板5をビルドアップ基板2上に実装する直前)に形成すればよい。
【0067】
その結果、第1の導電層14と、絶縁層11と、第2の導電層15と、薄膜層12と、第3の導電層16とを有する配線基板5が完成されたことになる。
【0068】
図8は、配線基板実装工程の一例を示す説明図である。配線基板5には、複数のチップ3及びコネクタ4がフリップチップ実装されている。チップ3のチップ用端子3Aは、半田バンプ18を介して、配線基板5の第3の導電層16内の第1のパッド16Aと電気的に接続する。コネクタ4のチップ用端子4Aは、半田バンプ18を介して、配線基板5の第3の導電層16内の第2のパッド16Bと電気的に接続する。配線基板5の第1の導電層14内のパッド14Aとビルドアップ基板2上のパッド2Aとを半田層17を介して電気的に接続することで、半導体装置1を形成する。
【0069】
実施例1の配線基板5は、薄膜層12内の絶縁層の厚みに比較して厚い絶縁層11内に、第1のパッド16Aと接続するビアと、第2のパッド16Bと接続するビアとの間を電気的に接続する伝送配線20を配置した。絶縁層11の厚さは、薄膜層12内の絶縁層の厚さに比較して厚いたため、伝送配線20を厚くすることができる。その結果、伝送配線20の配線抵抗が小さくできるため、伝送配線20内を高速信号が通過する際の挿入損失や反射損失を抑制し、高速信号の伝送特性の向上を図ることができる。
【0070】
配線基板5は、絶縁層11の内、薄膜層12と接触する面と反対側の面にある第1の導電層14内に伝送配線20を配置している。伝送配線20は、接着層13と接触するように絶縁層11内に埋設している。そして、伝送配線20を有する絶縁層11の誘電正接は、薄膜層12の誘電正接に比較して小さい。その結果、誘電正接によって、伝送配線20内を高速信号が通過する際の挿入損失及び反射損失を抑制し、高速信号の伝送特性の向上を図ることができる。
【0071】
配線基板5は、伝送配線20を通じてチップ3とコネクタ4との間でシリアル高速信号を伝送する。その結果、高速信号が通過する際に生じる挿入損失及び反射損失を抑制できる。
【0072】
伝送配線20は、第1の導電層14を形成する際にパッド14Aと同一の工程で形成する。その結果、伝送配線20を簡単に形成できる。
【0073】
尚、説明の便宜上、伝送配線20は、配線基板5に実装するチップ3とコネクタ4との間で信号を伝送する場合を例示したが、伝送配線20は、例えば、チップ3間、コネクタ4間で信号を伝送しても良く、適宜変更可能である。
【0074】
また、実施例1の配線基板5では、第1の導電層14に伝送配線20を配置する場合を例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、第2の導電層15に伝送配線20を配置しても良く、その実施の形態につき、実施例2として以下に説明する。
【実施例0075】
図9は、実施例2の半導体装置1Aの一例を示す説明図、図10は、配線基板5Aの一例を示す略断面図である。尚、実施例1の半導体装置1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。図2に示す配線基板5Aと図10に示す配線基板5Aとが異なるところは、第1の導電層14内に伝送配線20を配置する代わりに、第2の導電層15内に伝送配線20Aを配置した点にある。
【0076】
配線基板5Aは、絶縁層11と、薄膜層12と、接着層13とを有する。絶縁層11は、第1の導電層14と、第2の導電層15と、第1のビア11Bとを有する。絶縁層11の厚みは、前述した通り、例えば、45μm~80μm程度である。薄膜層12内の第1の絶縁層61、第2の絶縁層63及び第3の絶縁層64の厚みは、前述した通り、例えば5~10μm程度である。
【0077】
第1の導電層14は、ビルドアップ基板2のパッド2Aと接続するパッド14Aを有する。第1の導電層14は、最下層の導電層であり、絶縁層11に被覆されている。第2の導電層15は、絶縁層11内の第1のビア11Bと薄膜層12内の第2のビア12Aとの間を電気的に接続するパッド15Aの他に、伝送配線20Aを有する。第2の導電層15の厚みは、例えば10~20μm程度である。
【0078】
第1のビア11Bは、絶縁層11に埋設されたビア配線である。より詳しくは、第1のビア11Bは、絶縁層11を貫通して、第1の導電層14の上面を露出するビアホール内に充填されたビア配線であり、第1の導電層14と電気的に接続されている。ビアホールは、薄膜層12側に開口されている開口部の径が第1の導電層14の上面によって形成された開口部の底面の径よりも小さい円錐台状の凹部とすることができる。ビアホールの開口部の径は、例えば、60~70μm程度とすることができる。
【0079】
第1のビア11Bの上面は、絶縁層11の上面から露出している。第1のビア11Bの上面は、例えば、絶縁層11の上面と面一とすることができる。第1のビア11Bの上面は、薄膜層12の下面と直接接合されている。また、第1のビア11Bの下面は、絶縁層11内で第1の導電層14と直接接合されている。第1のビア11Bの材料は、例えば、第1の導電層14と同一の材料である。
【0080】
第1のビア11Bは、絶縁層11のビアホールに形成されたビア配線のみからなる。言い換えれば、第1のビア11Bには、絶縁層11の上面に一体的に形成される配線パターンはない。第1のビア11Bと薄膜層12とは、電気的には接続されているが、一体的ではない。具体的には、後述する製造方法において、薄膜層12は、配線層と、絶縁層とを順次積層されて構成する。薄膜層12内の配線層は、セミアディティブ法で形成された高密度の配線パターン(例えば、ライン/スペースが3μm/3μm程度)である。薄膜層12は、薄膜配線層と、第3の導電層16と、第2のビア12Aとを有する。
【0081】
薄膜配線層は、第1の絶縁層61と、第1の絶縁層61上に設けられた第1の配線層62と、第1の配線層62を被覆して第1の絶縁層61に積層された第2の絶縁層63と、第2の絶縁層63上に設けられた第2の配線層64と、第2の配線層64を被覆して第2の絶縁層63に積層された第3の絶縁層65とを有する。尚、薄膜配線層内の第1の配線層62及び第2の配線層64の厚みは、夫々、例えば、1~3μmの程度とする。薄膜配線層は、第1の絶縁層61、第1の配線層62、第2の絶縁層63、第2の配線層64及び第3の絶縁層65の5層構造を例示したが、5層構造に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【0082】
第2の導電層15内の伝送配線20Aは、絶縁層11と薄膜層12との間の境界部分の内、絶縁層11内に配置される。第2の導電層15の配線厚は、薄膜配線層内の第1の配線層62又は第2の配線層64に比較して厚い。伝送配線20Aは、第1のパッド16Aに接続する第1のビア12A1(12A)と電気的に接続する第1のビア11Bと、第2のパッド16Bに接続する第2のビア12A2(12A)と電気的に接続する第1のビア11Bとの間を電気的に接続する。つまり、伝送配線20Aは、第1のパッド16Aと接続するチップ3と、第2のパッド16Bと接続するコネクタ4との間を電気的に接続し、例えば、シリアルの高速信号を伝送するシリアル伝送路である。
【0083】
[実施例2の配線基板の製造方法]
次に、実施例2の配線基板5Aの製造方法について説明する。図11A図15は、実施例2の配線基板5Aの製造工程を例示する図である。尚、ここでは、1つの配線基板5Aを作製する工程の例を示すが、配線基板5Aとなる複数の部分を作製し、その後、個片化して各配線基板5Aとする工程としてもよい。
【0084】
図11Aは、準備工程の一例を示す説明図である。図11Aに示す準備工程では、支持キャリア50を準備する。支持キャリア50は、例えば、銅箔が形成されたコア基板51上に、プリプレグ52及びキャリア付き銅箔53を順次積層した構造である。
【0085】
図11Bは、導体層形成工程の一例を示す説明図である。次に、図11Bに示す工程では、上側のキャリア付き銅箔53の上面(薄箔の上面)の全体に感光性のレジスト層(図示せず)を形成し、レジスト層を露光及び現像し、第2の導電層15を形成する部分を露出する開口部を形成する。レジスト層としては、例えば、ドライフィルムレジストを用いることができる。そして、上側のキャリア付き銅箔53を給電層とする電解めっき法により、開口部内に露出するキャリア付き銅箔53の上面に電解めっき層である第2の導電層15を形成する。第2の導電層15の材料や厚さは、前述の通りである。そして、レジスト層を剥離する。第2の導電層15は、パッド15A及び伝送配線20Aを含む。
【0086】
図11Cは、絶縁層形成工程の一例を示す説明図である。図11Cに示す工程では、上側のプリプレグ52の上面に、上側のキャリア付き銅箔53及び第2の導電層15を被覆する絶縁層11を形成する。
【0087】
具体的には、例えば、非感光性の熱硬化性樹脂を主成分とする半硬化状態のフィルム状の絶縁性樹脂を準備する。そして、上側のプリプレグ52の上面に、この絶縁性樹脂を、キャリア付き銅箔53及び第2の導電層15を被覆するようにラミネートし、加熱及び加圧しながら硬化させて絶縁層11を形成する。上側のプリプレグ52の上面に、半硬化状態の多層フィルムを、キャリア付き銅箔53及び第2の導電層15を被覆するようにラミネートし、加熱及び加圧しながら硬化させて絶縁層11とする。
【0088】
次に、絶縁層11には、絶縁層11の表裏を貫通して第2の導電層15の下面を露出させるビアホールを形成する。ビアホールは、例えば、COレーザ、YAGレーザ、エキシマレーザ等を用いたレーザ加工法により形成できる。ビアホールを形成後、デスミア処理を行い、ビアホールの底部に各々露出する第2の導電層15の表面に付着した樹脂残渣を除去することが好ましい。
【0089】
次に、工程では、絶縁層11内に第1のビア11Bを形成する。第1のビア11Bは、例えば、セミアディティブ法を用いて形成できる。具体的には、まず、ビアホールの内壁を含む絶縁層11の表面及びビアホール内に露出する第2の導電層15の表面に、無電解めっき法やスパッタ法によりシード層を形成する。シード層としては、例えば、厚さ100~350nm程度の銅層を用いることができる。シード層として、厚さ20~50nm程度のチタン層と厚さ100~300nm程度の銅層を、この順番で積層した積層膜を用いてもよい。シード層の下層にチタン層を形成することにより、絶縁層11と第1のビア11Bとの密着性を向上できる。チタンに代えて、窒化チタン等を用いても構わない。なお、チタンや窒化チタンは、銅よりも耐腐食性の高い金属である。
【0090】
次に、シード層の上面の全体に感光性のレジスト層を形成し、レジスト層を露光及び現像し、第1のビア11Bを形成する部分を露出する開口部を形成する。レジスト層としては、例えば、ドライフィルムレジストを用いることができる。そして、シード層を給電層とする電解めっき法により、開口部内に露出するシード層の上面に電解めっき層(例えば、銅層)を形成する。
【0091】
次に、レジスト層を剥離した後、電解めっき層をマスクにして、電解めっき層に覆われていない部分のシード層をエッチングにより除去する。これにより、シード層上に電解めっき層が積層された第1のビア11Bが形成される。ここまでの工程により、支持キャリア50を中心として絶縁層11及び第2の導電層15が配置された層構造が形成される。
【0092】
次に、工程では、第1のビア11Bの下面側を研磨して絶縁層11の下面及びビアホール内を充填する第1のビア11Bの下面を露出させ、ビアホール内に充填された第1のビア11Bを形成する。
【0093】
次の工程では、絶縁層11下に第1の導電層14を形成する。第1のビア11Bの下面の全体に感光性のレジスト層(図示せず)を形成し、レジスト層を露光及び現像し、第1の導電層14を形成する部分を露出する開口部を形成する。レジスト層としては、例えば、ドライフィルムレジストを用いることができる。そして、第1のビア11Bを給電層とする電解めっき法により、開口部内に露出する第1のビア11Bの下面に電解めっき層である第1の導電層14を形成する。第1の導電層14の材料や厚さは、前述の通りである。そして、レジスト層を剥離する。第1の導電層14は、パッド14Aを含む。
【0094】
図12Aは、反転支持キャリア形成工程の一例を示す説明図である。図12Aに示す工程では、第1の導電層14及び絶縁層11の下面に両面粘着タイプの剥離シート56を接着する。剥離シート56は、例えば、ポリイミド系の基材フィルム層56Aと、基材フィルム層の表裏に積層されたアクリル系の粘着剤の粘着層56B,56Cと、を有する。尚、剥離シート56は、例えば、熱剥離タイプやUV剥離タイプ等のシートである。更に、工程では、剥離シート56の下面に反転支持キャリア55を接着する。反転支持キャリア55は、例えば、ガラスや金属等の基板である。
【0095】
図12Bは、支持キャリア剥離工程の一例を示す説明図である。図12Bに示す工程では、ダイシングブレード等を用いて構造体の外周部を切断する。切断は、絶縁層11と上側のプリプレグ52とが直接接している領域を除去するように行う。その結果、キャリア付き銅箔53内の厚箔と薄箔とが接している部分を容易に剥離することが可能となる。すなわち、支持キャリア50の主要部分を容易に除去できる。支持キャリア50の主要部分を除去した構造体から薄箔を除去する。キャリア付き銅箔53内の薄箔は、例えば、ウェットエッチングにより除去できる。その結果、絶縁層11の上面に第2の導電層15の上面が露出する。絶縁層11の上面と第2の導電層15の上面とは、例えば、面一とすることができる。つまり、絶縁層11の上面には、伝送配線20Aが露出することになる。
【0096】
図13Aは、薄膜層形成工程の一例を示す説明図である。図13Aに示す工程では、絶縁層11及び第2の導電層15上に薄膜層12を形成する。薄膜層12は、例えば、セミアディティブ法を用いて高密度の配線層を形成する。
【0097】
次に、同様の工程を繰り返して薄膜層12内の第1の絶縁層61、第1の配線層62、第2の絶縁層63、第2の配線層64、及び第3の絶縁層65を形成し、薄膜層12の最上位の第3の絶縁層65上に第3の導電層16を形成する。第3の導電層16を構成するパッド16A,16Bの表面(上面のみ、又は、上面及び側面)に前述の表面処理層を形成する。第3の導電層16は、第1のパッド16A及び第2のパッド16Bを含む。
【0098】
図13Bは、反転支持キャリア剥離工程の一例を示す説明図である。図13Bに示す工程では、第1の導電層14及び絶縁層11上に接着された剥離シート56を剥離することで、剥離シート56及び反転支持キャリア55を剥離する。その結果、反転支持キャリア55の主要部分を容易に除去できる。絶縁層11の下面に第1の導電層14の下面が露出する。絶縁層11の下面と第1の導電層14の下面とは、例えば、面一とすることができる。
【0099】
図14は、半田形成工程の一例を示す説明図である。図14に示す工程では、第1の導電層14の下面にスクリーン印刷等により半田層17を形成する。半田層17の材料や厚さは、前述の通りである。そして、絶縁層11の下面に、半田層17を被覆する接着層13を形成する。接着層13は、例えば、絶縁層11の下面に、半田層17を被覆するように、NCF等の絶縁性の熱硬化性樹脂のフィルムをラミネートし、加熱して硬化させることで形成できる。以上の工程により、配線基板5Aが完成する。なお、半田層17及び接着層13は、配線基板5Aの必須の構成要素ではなく、必要なとき(例えば、配線基板5Aをビルドアップ基板2上に実装する直前)に形成すればよい。
【0100】
その結果、第1の導電層14と、絶縁層11と、第2の導電層15と、薄膜層12と、第3の導電層16とを有する配線基板5Aを完成する。
【0101】
図15は、配線基板実装工程の一例を示す説明図である。配線基板5Aには、複数のチップ3及びコネクタ4がフリップチップ実装されている。チップ3のチップ用端子3Aは、半田バンプ18を介して、配線基板5Aの第3の導電層16内の第1のパッド16Aと電気的に接続する。コネクタ4のチップ用端子4Aは、半田バンプ18を介して、配線基板5の第3の導電層16内の第2のパッド16Bと電気的に接続する。配線基板5Aの第1の導電層14のパッド14Aとビルドアップ基板2上のパッド2Aとを半田層17を介して電気的に接続することで、半導体装置1Aを形成する。
【0102】
実施例2の配線基板5Aは、絶縁層11と薄膜層12との間の境界部にある第2の導電層15に伝送配線20Aを配置している。伝送配線20Aは、薄膜層12と接触するように絶縁層11内に埋設している。絶縁層11の厚さは、薄膜層12内の絶縁層の厚さに比較して厚いたため、伝送配線20Aを厚くすることができる。その結果、伝送配線20Aの配線抵抗が小さくできるため、伝送配線20A尚を高速信号が通過する際の挿入損失や反射損失を抑制し、高速信号の伝送特性の向上を図ることができる。
【0103】
更に、伝送配線20Aを有する絶縁層11の誘電正接は、薄膜層12の誘電正接に比較して小さい。その結果、誘電正接によって、伝送配線20A内を高速信号が通過する際の挿入損失及び反射損失を抑制し、高速信号の伝送特性の向上を図ることができる。
【0104】
伝送配線20Aは、第2の導電層15を形成する際にパッド15Aと同一の工程で形成する。その結果、伝送配線20Aを簡単に形成できる。
【0105】
本実施例では、インタポーザ基板に適用にする場合を例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、コア基板上に絶縁層と薄膜層とを順に積層し、薄膜層上に形成した複数のパッドを有するような構造であっても良い。その結果、伝送配線を絶縁層内の厚い配線層に形成することで同様の効果を得ることができる。
【0106】
また、伝送配線20と電気的に接続するビア配線を有する第1のビア12A1及び第2のビア12A2は、薄膜層に形成された他のビアよりも大きい径にしてもよい。そうすることで、伝送配線を介した高速信号の挿入損失を低減することができる。
【符号の説明】
【0107】
1 半導体装置
2 ビルドアップ基板
3 チップ
4 コネクタ
5、5A 配線基板
11 絶縁層
12 薄膜層
14 第1の導電層
15 第2の導電層
16 第3の導電層
16A 第1のパッド
16B 第2のパッド
20、20A,20B 伝送配線
11A、11B 第1のビア
12A 第2のビア
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図13A
図13B
図14
図15
図16