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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129746
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】研磨装置の保持面加工方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 41/06 20120101AFI20240919BHJP
   B24B 37/30 20120101ALI20240919BHJP
   B24B 37/10 20120101ALI20240919BHJP
   B24B 37/015 20120101ALI20240919BHJP
   B23Q 3/08 20060101ALI20240919BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240919BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
B24B41/06 L
B24B37/30 A
B24B37/10
B24B37/015
B23Q3/08 A
H01L21/304 621D
H01L21/304 622H
H01L21/304 622R
H01L21/68 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039143
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴光
(72)【発明者】
【氏名】永井 大智
【テーマコード(参考)】
3C016
3C034
3C158
5F057
5F131
【Fターム(参考)】
3C016DA05
3C034AA07
3C034BB73
3C034DD10
3C158AA04
3C158AA07
3C158AB04
3C158BA02
3C158BA05
3C158BA08
3C158BB02
3C158CB01
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
3C158EA12
3C158EB01
3C158EB02
5F057AA02
5F057CA11
5F057DA03
5F057FA13
5F057GA23
5F131AA02
5F131BA32
5F131BA43
5F131CA06
5F131EA05
5F131EB03
5F131EB53
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ワークを精度良く研磨可能な研磨装置の保持面加工方法を提供する。
【解決手段】ワークを保持可能なポーラスチャック17とポーラスチャックと略同じ線膨張係数を示す間座プレート13とを室温を維持した状態で組み付ける工程と、間座プレートと室温より高温状態のポーラスチャックより高い線膨張係数を示すプレートホルダ14とを組み付ける工程と、プレートホルダを室温まで冷やしてポーラスチャックを膨張させ、ポーラスチャックの保持面17aを下方に凸状に変形させる工程と、下方に凸状に変形された状態の保持面を略平坦にラップ加工する工程と、ポーラスチャック、間座プレート及びプレートホルダの接続を解除して、保持面が上方に凸状に形成されたポーラスチャックを得る工程と、上方に凸状の保持面を備えているポーラスチャックと間座プレートとプレートホルダとを室温を維持した状態で再び組み付ける工程と、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨ヘッドの下端に保持されたワークをプラテン上の研磨パッドに押し当てて研磨する研磨装置のワーク保持面加工方法であって、
前記ワークを保持可能なポーラスチャックと前記ポーラスチャックと略同じ線膨張係数を示す間座プレートとを所定の基準温度を維持した状態で組み付ける工程と、
前記間座プレートと前記基準温度より高温状態の前記ポーラスチャックより高い線膨張係数を示すプレートホルダとを組み付ける工程と、
前記プレートホルダを前記基準温度まで冷やして前記ポーラスチャックを膨張させ、前記ポーラスチャックの保持面を下方に凸状に変形させる工程と、
前記下方に凸状に変形された状態の保持面を略平坦にラップ加工する工程と、
前記ポーラスチャック、前記間座プレート及び前記プレートホルダの接続を解除して、前記保持面が上方に凸状に形成された前記ポーラスチャックを得る工程と、
前記上方に凸状の保持面を備えている前記ポーラスチャックと前記間座プレートと前記プレートホルダとを前記基準温度を維持した状態で再び組み付ける工程と、
を含むことを特徴とする研磨装置の保持面加工方法。
【請求項2】
研磨ヘッドの下端に保持されたワークをプラテン上の研磨パッドに押し当てて研磨する研磨装置の保持面加工方法であって、
前記ワークを保持可能なポーラスチャックと前記ポーラスチャックと略同じ線膨張係数を示す間座プレートとを所定の基準温度を維持した状態で組み付ける工程と、
前記間座プレートと前記基準温度より低温状態の前記ポーラスチャックより高い線膨張係数を示すプレートホルダとを組み付ける工程と、
前記プレートホルダを前記基準温度まで温めて前記ポーラスチャックを収縮させ、前記ポーラスチャックの保持面を上方に凸状に変形させる工程と、
前記上方に凸状に変形された状態の保持面を略平坦にラップ加工する工程と、
前記ポーラスチャック、前記間座プレート及び前記プレートホルダの接続を解除して、前記保持面が下方に凸状に形成された前記ポーラスチャックを得る工程と、
前記下方に凸状の保持面を備えている前記ポーラスチャックと前記間座プレートと前記プレートホルダとを前記基準温度を維持した状態で再び組み付ける工程と、
を含むことを特徴とする研磨装置の保持面加工方法。
【請求項3】
前記基準温度は、室温であることを特徴とする請求項1又は2に記載の研磨装置の保持面加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを研磨する研磨装置の保持面加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造分野では、シリコンウェハ等(以下、「ワーク」という)を研磨して平坦化するCMP装置が知られている。
【0003】
特許文献1記載の研磨装置は、化学的機械的研磨、いわゆるCMP(Chemical Mechanical Polishing)技術を適用した研磨装置である。このCMP装置は、研磨ヘッドのチャックに装着されたワークを研磨パッドに押圧してワークを研磨するものである。研磨ヘッドは、ワークを下端に保持するチャックと、チャック上部に設けられてチャックにボルトで締結されたベース部材と、ベース部材とチャックを回転させる回転伝達部とを接続するプレートホルダと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-26348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、短時間で高負荷の研磨を行う場合、摩擦熱で研磨パッド、研磨ヘッド及びワークが研磨開始直後に急激に高温(例えば、1分間で室温から約50度)に達する。研磨ヘッドを構成するポーラスチャックやベース部材に用いるアルミナセラミック又はステンレスの熱伝導率は10~30W/(m・K)程度であり、高負荷研磨時の摩擦熱に起因した急激な温度上昇が発生すると、研磨ヘッドやベース部材が内部の熱勾配によって変形し、ポーラスチャックのワーク保持面が凸状に変形する。また、SiCやサファイアのように研磨が長時間(例えば、20分)に亘る場合、ポーラスチャック及びベース部材の温度は飽和して略一定に保たれる一方、ポーラスチャック及びベース部材の上に設けられた樹脂製の構成部材(プレートホルダ)の熱膨張が大きくなり、ポーラスチャックのワーク保持面が凹状に変形する。
【0006】
そして、セラミック製ポーラスチャック等の剛体がワークを保持して研磨を行う場合、ワーク保持面の面精度は、研磨後のワークの仕上がり精度に大きく影響するため、研磨時の摩擦熱に起因したワーク保持面の熱変形は、研磨不良を発生させる原因となる。このような摩擦熱の廃熱を促すために、装置内部にチラー回路を設けたり、研磨時に大量の冷却水を外部から装置にかけることが一般的に行われている。しかしながら、チラー回路は装置内部の温度勾配をさらに大きくしてポーラスチャックの熱変形を促進させる。また、大量の冷却水は大量の研磨液と同義であって、ワークにスクラッチが生じないように研磨液をかけ流しで使わなければならない場合、コストの観点から現実的ではない。
【0007】
また、研磨プロセス毎に予想されるチャック変形量を相殺するように、チャックの保持面を予め凸状又は凹状に加工して、研磨精度の向上を図る事も考えられるが、ラップ加工で数umの凸凹面を精度良く仕上げるのは困難であるという問題がある。
【0008】
そこで、ワークを精度良く研磨するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る研磨装置の保持面加工方法は、研磨ヘッドの下端に保持されたワークをプラテン上の研磨パッドに押し当てて研磨する研磨装置の保持面加工方法であって、前記ワークを保持可能なポーラスチャックと前記ポーラスチャックと略同じ線膨張係数を示す間座プレートとを所定の基準温度を維持した状態で組み付ける工程と、前記間座プレートと前記基準温度より高温状態の前記ポーラスチャックより高い線膨張係数を示すプレートホルダとを組み付ける工程と、前記プレートホルダを前記基準温度まで冷やして前記ポーラスチャックを膨張させ、前記ポーラスチャックの保持面を下方に凸状に変形させる工程と、前記下方に凸状に変形された状態の保持面を略平坦にラップ加工する工程と、前記ポーラスチャック、前記間座プレート及び前記プレートホルダの接続を解除して、前記保持面が上方に凸状に形成された前記ポーラスチャックを得る工程と、前記上方に凸状の保持面を備えている前記ポーラスチャックと前記間座プレートと前記プレートホルダとを前記基準温度を維持した状態で再び組み付ける工程と、を含む。
【0010】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る研磨装置の保持面加工方法は、研磨ヘッドの下端に保持されたワークをプラテン上の研磨パッドに押し当てて研磨する研磨装置の保持面加工方法であって、前記ワークを保持可能なポーラスチャックと前記ポーラスチャックと略同じ線膨張係数を示す間座プレートとを所定の基準温度を維持した状態で組み付ける工程と、前記間座プレートと前記基準温度より低温状態の前記ポーラスチャックより高い線膨張係数を示すプレートホルダとを組み付ける工程と、前記プレートホルダを前記基準温度まで温めて前記ポーラスチャックを収縮させ、前記ポーラスチャックの保持面を上方に凸状に変形させる工程と、前記上方に凸状に変形された状態の保持面を略平坦にラップ加工する工程と、前記ポーラスチャック、前記間座プレート及び前記プレートホルダの接続を解除して、前記保持面が下方に凸状に形成された前記ポーラスチャックを得る工程と、前記下方に凸状の保持面を備えている前記ポーラスチャックと前記間座プレートと前記プレートホルダとを前記基準温度を維持した状態で再び組み付ける工程と、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、ワークを精度良く平坦に研磨することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係るCMP装置を模式的に示す斜視図。
図2】研磨ヘッドの要部を模式的に示す縦断面図。
図3】チャックテーブルの保持面を中凹状に加工する一連の工程を示す模式図。
図4】保持面を中凹状に加工する各工程において、工程毎の保持面の平坦度を示すグラフ。
図5】チャックテーブル、間座プレート及びプレートホルダを締結するボルトの締付トルクを変化させた場合における保持面の平坦度を示すグラフ。
図6図5に示すチャックテーブルにフラットラップ加工を施し、その後にチャックテーブルに作用する応力を解放した状態で測定した保持面の平坦度を示すグラフ。
図7図6に示すチャックテーブル、間座プレート及びプレートホルダを通常の締付トルクで組み立てた状における保持面の平坦度を示すグラフ。
図8図7における保持面の凸度を示すグラフである。
図9】本発明の第2実施形態に係るCMP装置に用いられるチャックテーブルの保持面を中凸状に加工する手順を示す模式図。
図10】チャックテーブル、間座プレート及びプレートホルダを締結するボルトの締付トルクを変化させた場合における保持面の平坦度を示すグラフ。
図11図10に示すチャックテーブルにフラットラップ加工を施し、その後にチャックテーブルに作用する応力を解放した状態で測定した保持面の平坦度を示すグラフ。
図12図11に示すチャックテーブル、間座プレート及びプレートホルダを通常の締付トルクで組み立てた状における保持面の平坦度を示すグラフ。
図13図12における保持面の凸度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態について図面に基づいて説明する。なお、以下では、構成要素の数、数値、量、範囲等に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも構わない。
【0014】
また、構成要素等の形状、位置関係に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似又は類似するもの等を含む。
【0015】
また、図面は、特徴を分かり易くするために特徴的な部分を拡大する等して誇張する場合があり、構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、構成要素の断面構造を分かり易くするために、一部の構成要素のハッチングを省略することがある。
【0016】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るCMP装置1を模式的に示す斜視図である。CMP装置1は、ワークWの一面を平坦に研磨するものである。CMP装置1は、プラテン2と、研磨ヘッド10と、を備えている。ワークWは、例えば、シリコンウェハであるがこれに限定されるものではない。
【0017】
プラテン2は、円盤状に形成されており、プラテン2の下方に配置された回転軸3に連結されている。回転軸3がモータ4の駆動によって回転することにより、プラテン2は図1中の矢印D1の方向に回転する。プラテン2の上面には、研磨パッド5が貼付されており、研磨パッド5上に図示しないノズルから研磨剤と化学薬品との混合物であるCMPスラリーが供給される。
【0018】
研磨ヘッド10は、プラテン2より小径に形成されており、研磨ヘッド10の上方に配置された回転軸10aに連結されている。回転軸10aが図示しないモータの駆動によって回転することにより、研磨ヘッド10は、図1中の矢印D2の方向に回転する。研磨ヘッド10は、図示しないヘッド移動機構によって垂直方向及び水平方向に移動可能に構成されている。研磨ヘッド10は、ワークWを研磨する際に下降して研磨パッド5にワークWを押圧する。
【0019】
CMP装置1の動作は、コントローラ6によって制御される。コントローラ6は、CMP装置1を構成する構成要素をそれぞれ制御するものである。コントローラ6は、例えばコンピュータであり、CPU、メモリ等により構成される。なお、コントローラ6の機能は、ソフトウェアを用いて制御することにより実現されても良く、ハードウェアを用いて動作するものにより実現されても良い。
【0020】
次に、研磨ヘッド10の構造について説明する。図2は、研磨ヘッド10の要部を模式的に示す縦断面図である。
【0021】
研磨ヘッド10は、回転軸10aに接続されたヘッド本体11を備えている。ヘッド本体11は、回転伝達部12を介して間座プレート13に連結されており、図示しないスピンドルが回転軸10aを回転させると、ヘッド本体11、回転伝達部12及び間座プレート13は、回転軸10aと共に回転する。
【0022】
間座プレート13の上方には、間座プレート13の周方向に等間隔に配置された12本のボルトB1を介してPPS製のプレートホルダ14が締結されている。間座プレート13は、例えば、アルミナの線膨張係数に近い値になるように調合された低熱膨張合金(インバー合金)である。これにより、研磨ヘッド10に入力される回転駆動力が、プレートホルダ14を介して間座プレート13に伝達される。
【0023】
プレートホルダ14とヘッド本体11との間に、エアバッグ15が介装されている。
【0024】
エアバッグ15は、略円環状に形成されている。エアバッグ15は、図示しない圧縮空気源から圧空ライン15aを介して供給されるエアによって膨張、収縮自在である。圧縮空気源から供給されるエアの圧力は、コントローラ6により制御される図示しないレギュレータによって調整される。エアバッグ15は、供給されるエアの圧力に応じてプレートホルダ14全体を加圧することで、ワークW全体が研磨パッド5に押圧される研磨圧力を調整する。
【0025】
間座プレート13の下方には、ポーラスチャック17が設けられている。ポーラスチャック17は、アルミナ製のチャックテーブル18と、多孔質アルミナ製のチャック19と、を備えている。
【0026】
チャックテーブル18は、チャックテーブル18の周方向に等間隔に配置された12本のボルトB2を介して間座プレート13に締結されている。これにより、研磨ヘッド10に入力される回転駆動力が、間座プレート13を介してポーラスチャック17に伝達される。
【0027】
チャック19は、チャックテーブル18の下面に埋設されている。チャック19は、ライン18aを介して図示しない真空源、冷却水源に接続されている。真空源を起動させることにより、ポーラスチャック17の保持面17aにワークWが吸着保持される。また、冷却水源から供給される冷却水は、室温と略等しく温調されており、研磨後にチャック19を通水することでチャック19を冷却する。保持面17aは、下方に凸状に形成され、中央が外周に比べて凹である中凹状態に形成されている。
【0028】
このようにして、研磨ヘッド10は、ワークWの裏面がチャック19に吸着保持された状態でワークWの表面が研磨パッド5に押し当てられ、エアバッグ15の膨張に伴ってワークWに荷重が伝わることにより、ワークWは、研磨面としての保持面17aの形状が転写されるように研磨される(裏面基準研磨)。
【0029】
次に、ポーラスチャック17の保持面17aを中凹状態に形成する手順について、図3に基づいて説明する。なお、間座プレート13、ポーラスチャック17及びプレートホルダ14の温度測定は、安立計器株式会社製のデジタルサーモメータHA-202Kを用いて行った。また、保持面17aの平坦度の測定は、コーニング・トロペル社製のFlat Master 200XRA-Indstrialを用いて行った。
【0030】
まず、間座プレート13、プレートホルダ14及びポーラスチャック17を準備する。ポーラスチャック17及び間座プレート13は、略等しい線膨張係数(7.2ppm/℃)を示し、プレートホルダ14の線膨張係数(約30~100ppm/℃)より小さく設定されている。間座プレート13の線膨張係数とポーラスチャック17の線膨張係数とが略等しいことにより、温度が飽和する長時間研磨の場合には、CMP装置1の使用温度範囲(例えば、約10~40℃)に亘って、間座プレート13とポーラスチャック17とが、互いにボルトB2で締結された状態でそれぞれ同様に膨張・収縮し、また、ポーラスチャック17及び間座プレート13の線膨張係数とプレートホルダ14の線膨張係数との差に起因して、保持面17aの平坦度が略線形状に変化する(線形応答する)。なお、CMP装置1の使用温度範囲は、ワークWを押圧する圧力、研磨ヘッド10の回転数、プラテン2の回転数、スラリー流量、チラー水の温度及び流量等に応じて変動する。
【0031】
ポーラスチャック17及び間座プレート13の熱伝導率は、約10~30W/(m・K)に設定され、プレートホルダ14の熱伝導率は、約0.3W/(m・K)に設定されている。このような熱伝導率の差により、高負荷の研磨を短時間行う場合には、熱分散が比較的早いポーラスチャック17及び間座プレート13内に温度勾配が生じる。
【0032】
次に、図3(a)に示すように、ポーラスチャック17と間座プレート13とを所定の基準温度に保った状態でボルトB2を介して組み付ける。ボルトB2の締結によるトルクは、任意に調整可能であり、例えば約2N・mに設定される。なお、基準温度は、例えば22~24℃の室温に設定される。
【0033】
次に、図3(b)に示すように、プレートホルダ14を室温より高温に保った状態で、プレートホルダ14を間座プレート13にボルトB1を介して組み付ける。ボルトB1の締結によるトルクは、プレートホルダ14の熱膨張量や後述するラップ加工における保持面17aの所望の除去量に応じて予め実験等により取得された値に調整可能であり、例えば約1~4N・mの間に設定される。
【0034】
間座プレート13とプレートホルダ14との組み付けに先行して、プレートホルダ14は、加熱温度を約70℃、加熱時間を1時間に設定したドライオーブンで温められており、プレートホルダ14は、熱膨張した状態で間座プレート13に組み付けられる。なお、ドライオーブンには、例えばEYELA社製のWFO-400を用いた。なお、プレートホルダ14は、所望の熱膨張量を得られるように予め実験等により取得された温度に調整可能である。
【0035】
次に、図3(c)に示すように、プレートホルダ14を室温まで冷やしてプレートホルダ14を収縮させる。また、プレートホルダ14の収縮に追従して、間座プレート13及びポーラスチャック17は膨張変形する。これにより、ポーラスチャック17の保持面17aが、下方に凸状に変形する。保持面17aの膨張変形は、プレートホルダ14の冷却収縮とともに進行するが、ボルトB1の締結トルクに依存した静摩擦力を超える力が作用すると間座プレート13とプレートホルダ14との間に剪断方向の滑りが発生し、それ以降の保持面17aの変形は停止する。すなわち、ボルトB1の締結トルクを調整することにより、保持面17aの変形具合をコントロールすることができる。
【0036】
次に、図3(d)に示すように、下方に凸状に変形された状態の保持面17aを略平坦に形成するフラットラップ加工する。フラットラップ加工は、公知の手順により行われるものであって、例えば回転する図示しないラップ定盤に保持面17aを押し付けて平面研削することにより行われる。
【0037】
次に、図3(e)に示すように、ボルトB1、B2を取り外して、間座プレート13、プレートホルダ14及びポーラスチャック17の接続を一度解除する。これにより、ポーラスチャック17に作用する応力が解放される。そして、保持面17aが上方に凸の中凹状態に形成されたポーラスチャック17が得られる。
【0038】
次に、図3(f)に示すように、ボルトB1、B2を介して、中凹状態の保持面17aを備えているポーラスチャック17と間座プレート13とプレートホルダ14とを室温に保った状態で再び組み付ける。ボルトB1、B2の締結によるトルクは、任意に調整可能であり、例えば約2N・mに設定される。これにより、研磨で生じる摩擦熱に起因する研磨開始直後の急激な温度上昇によってポーラスチャック17内部に熱勾配が生じ、保持面17aが凸状に熱変形した場合であっても、予め中凹状態に形成された保持面17aは、そのような熱変形を吸収するように保持面17a全体が略平坦になる。
【0039】
図4は、保持面17aの平坦度を示すグラフである。図4は、縦軸に保持面17aの平坦度、横軸に径方向座標を設定している。なお、図4の凡例は、上述したポーラスチャック17の保持面17aを加工する一連の工程に対応しており、「PC」は、初期状態のポーラスチャック17単体の平坦度を示し、「PC-KP」は、図3(a)に対応するポーラスチャック17と間座プレート13とを締結トルク2N・mで組んだときの保持面17aの平坦度を示し、「PC-KP-PH」は、図3(b)に対応する間座プレート13とプレートホルダ14とを締結トルク2N・mで組んだときの保持面17aの平坦度を示し、「Lap」は、図3(d)に対応するフラットラップ加工を施した保持面17aの平坦度を示し、「Lapped PC」は、図3(e)に対応する応力を解放されたポーラスチャック17の保持面17aの平坦度を示す。なお、各種平坦度において、「Lapped PC」=「PC」-(「PC-KP-PH」-「Lap」)の関係式が成り立つ。
【0040】
図4によれば、初期状態のポーラスチャック17の保持面17aは、中央が約0.2μm程度凹の僅かな中凹状態であるのに対し、膨張したポーラスチャック17の保持面17aは、中央が約1μm程度凸の中凸状態に変形することが分かる。また、中凸状態のポーラスチャック17に対してフラットラップ加工することで、保持面17aが略平坦になることが分かる。さらに、ポーラスチャック17を膨張させる応力を解放すると、中央が約2μm程度凹の中凹状態の保持面17aが得られることが分かる。
【0041】
上述した数式に示すように、中凹状態の保持面17aの平坦度「Lapped PC」は、初期状態のポーラスチャック17における保持面17aの平坦度「PC」、収縮状態のポーラスチャック17における保持面17aの平坦度「PC-KP-PH」、フラットラップ加工後のポーラスチャック17における保持面17aの平坦度「Lap」によって任意に調整可能である。例えば、膨張状態のポーラスチャック17における保持面17aの平坦度「PC-KP-PH」は、ボルトB1、B2の締結トルクを増減することによって、ポーラスチャック17の膨張変形が、プレートホルダ14の収縮に追従する度合いを調整可能である。また、高温状態のプレートホルダ14の温度を加減することにより、プレートホルダ14の収縮量を調整して、プレートホルダ14の収縮に追従するポーラスチャック17の膨張変形量を調整可能である。
【0042】
図5は、図3(b)に示す工程において、室温状態のプレートホルダ14を間座プレート13に組み付ける際のボルトB1の締結トルクを2N・mに設定した場合(通常組)、及び加熱状態のプレートホルダ14を間座プレート13に組み付ける際のボルトB1の締結トルクを0.5N・m、1N・m、2N・m、3N・m、4N・mに変化させた場合に、図3(c)に対応する膨張状態のポーラスチャック17における保持面17aの平坦度「PC-KP-PH」を示すグラフであり、縦軸に保持面17aの平坦度、横軸に径方向座標を設定している。
【0043】
図5によれば、図3(b)に示す工程におけるボルトB1の締結トルクの増加に比例して、膨張状態のポーラスチャック17における保持面17aの平坦度「PC-KP-PH」が増加しており、保持面17aの中央が凸の中凸状態がより強調されていることが分かる。これは、ボルトB1の締結トルクが増加することにより、プレートホルダ14の収縮にポーラスチャック17がより追従するためと考えられる。
【0044】
次に、図6は、図5に示す保持面17aの平坦度「PC-KP-PH」を示すポーラスチャック17に対してフラットラップ加工を施した後に、応力が解放されたポーラスチャック17の保持面17aの平坦度「Lapped PC」を示す図3(e)に対応したグラフであり、縦軸に保持面17aの平坦度、横軸に径方向座標を設定している。
【0045】
図6によれば、図3(b)に示す工程におけるボルトB1の締結トルクの増加に比例して、膨張状態のポーラスチャック17における保持面17aの平坦度「PC-KP-PH」が増加した分、応力を解放されたポーラスチャック17の保持面17aの中央が凹の中凹状態がより強調されていることが分かる。
【0046】
次に、図7は、図6に示す保持面17aの平坦度「Lapped PC」を示すポーラスチャック17を、間座プレート13及びプレートホルダ14と再び組付けた場合における保持面17aの平坦度「PC-KP-PH」を示す図3(f)に対応したグラフであり、縦軸に保持面17aの平坦度、横軸に径方向座標を設定している。なお、図7では、図3(b)に示す工程において、図4図5中における「通常組」の保持面17aが形成されたポーラスチャック17を再組付けしたときに保持面17aが略平坦になるように、ボルトB1の締結トルクを設定した。
【0047】
図7によれば、図3(b)に示す工程におけるボルトB1の締結トルクの増加に比例して、再組付け後のポーラスチャック17の保持面17aの中央が凹の中凹状態がより強調されていることが分かる。
【0048】
また、図8は、図7に示す平坦度の最大値及び最小値の差である、保持面17aの凸度を示すグラフである。
【0049】
図8によれば、図3(b)に示す工程におけるボルトB1の締結トルクの増加に比例して、保持面17aの凸度も比例して減少していることが分かる。
【0050】
このようにして、本実施形態に係るCMP装置1の保持面加工方法は、研磨ヘッド10の下端に保持されたワークWをプラテン2上の研磨パッド5に押し当てて研磨するCMP装置1の保持面加工方法であって、ワークWを保持可能なポーラスチャック17とポーラスチャック17と略同じ線膨張係数を示す間座プレート13とを室温を維持した状態で組み付ける工程と、間座プレート13と室温より高温状態のポーラスチャック17より高い線膨張係数を示すプレートホルダ14とを組み付ける工程と、プレートホルダ14を室温まで冷やしてポーラスチャック17を膨張させ、ポーラスチャック17の保持面17aを下方に凸状に変形させる工程と、下方に凸状に変形された状態の保持面17aを略平坦にラップ加工する工程と、ポーラスチャック17、間座プレート13及びプレートホルダ14の接続を解除して、保持面17aが上方に凸状に形成されたポーラスチャック17を得る工程と、上方に凸状の保持面17aを備えているポーラスチャック17と間座プレート13とプレートホルダ14とを室温を維持した状態で再び組み付ける工程と、を含む構成とした。
【0051】
この構成によれば、保持面17aが予め中凹状態に形成されていることにより、研磨で生じる摩擦熱によってポーラスチャック17が下方に凸状に熱変形すると、保持面17a全体が略平坦になるため、ワークWを精度良く研磨することができる。
【0052】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係るCMP装置1の保持面加工方法について、図面に基づいて説明する。本実施形態は、ポーラスチャック17を中央が外周に比べて凸である中凸状態に形成する点で、上述した第1実施形態と異なり、その他の構成は共通するため、共通する説明を省略する。
【0053】
まず、間座プレート13、プレートホルダ14及びポーラスチャック17を準備する。ポーラスチャック17と間座プレート13とは、略等しい線膨張係数(7.2ppm/℃)を示し、プレートホルダ14の線膨張係数(約30~100ppm/℃)より小さく設定されている。
【0054】
次に、図9(a)に示すように、ポーラスチャック17と間座プレート13とを所定の基準温度に保った状態でボルトB2を介して組み付ける。ボルトB2の締結によるトルクは、任意に調整可能であり、例えば約2N・mに設定される。なお、基準温度は、例えば22~24℃の室温に設定される。
【0055】
次に、図9(b)に示すように、プレートホルダ14を室温より低温に保った状態で、プレートホルダ14を間座プレート13にボルトB1を介して組み付ける。ボルトB1の締結によるトルクは、プレートホルダ14の熱膨張量や後述するラップ加工における保持面17aの所望の除去量に応じて予め実験等により取得された値に調整可能であり、例えば約1~4N・mの間に設定される。
【0056】
なお、間座プレート13とプレートホルダ14との組み付けに先行して、プレートホルダ14はー5℃になるまで家庭用冷凍庫で冷却する。なお、プレートホルダ14は、所望の熱膨張量を得られるように予め実験等により取得された温度に調整可能である。
【0057】
次に、図9(c)に示すように、プレートホルダ14を室温まで温めてプレートホルダ14を膨張させる。また、プレートホルダ14の膨張に追従して、間座プレート13及びポーラスチャック17は収縮変形する。これにより、ポーラスチャック17の保持面17aが、上方に凸状に変形する。保持面17aの収縮変形は、プレートホルダ14の膨張変形とともに進行するが、ボルトB1の締結トルクに依存した静摩擦力を超える力が作用すると間座プレート13とプレートホルダ14との間に剪断方向の滑りが発生し、それ以降の保持面17aの変形は停止する。すなわち、ボルトB1の締結トルクを調整することにより、保持面17aの変形具合をコントロールすることができる。
【0058】
次に、図9(d)に示すように、上方に凸状に変形された状態の保持面17aを略平坦に形成するフラットラップ加工する。フラットラップ加工は、公知の手順により行われるものであって、例えば回転する図示しないラップ定盤に保持面17aを押し付けて平面研削することにより行われる。
【0059】
次に、図9(e)に示すように、ボルトB1、B2を取り外して、間座プレート13、プレートホルダ14及びポーラスチャック17の接続を一度解除する。これにより、ポーラスチャック17に作用する応力が解放される。そして、保持面17aが下方に凸の中凹状態に形成されたポーラスチャック17が得られる。
【0060】
次に、図9(f)に示すように、ボルトB1、B2を介して、中凹状態の保持面17aを備えているポーラスチャック17と間座プレート13とプレートホルダ14とを室温に保った状態で再び組み付ける。ボルトB1、B2の締結によるトルクは、任意に調整可能であり、例えば約2N・mに設定される。これにより、長時間の研磨で生じる摩擦熱によってプレートホルダ14がポーラスチャック17より相対的に大きく熱変形して、ポーラスチャック17が上方に凸状に熱変形した場合であっても、予め中凸状態に形成された保持面17aは、そのような熱変形を吸収するように保持面17a全体が略平坦になる。
【0061】
図10は、図9(b)に示す工程において、室温状態のプレートホルダ14を間座プレート13に組み付ける際のボルトB1の締結トルクを2N・mに設定した場合(通常組)、及び冷却状態のプレートホルダ14を間座プレート13に組み付ける際のボルトB1の締結トルクを1N・m、2N・m、3N・m、4N・mに変化させた場合に、図9(c)に対応する収縮状態のポーラスチャック17における保持面17aの平坦度「PC-KP-PH」を示すグラフであり、縦軸に保持面17aの平坦度、横軸に径方向座標を設定している。
【0062】
図10によれば、図9(a)に示す工程におけるボルトB1の締結トルクの増加に比例して、収縮状態のポーラスチャック17における保持面17aの平坦度「PC-KP-PH」は、保持面17aの中央の凸の度合いが減少しており、室温状態のプレートホルダ14の組付時におけるボルトB1の締結トルクが2N・mのとき及び冷却状態のプレートホルダ14の組付時におけるボルトB1の締結トルクが1N・m、2N・mのときには、保持面17aは中凸状態である一方、冷却状態のプレートホルダ14の組付時におけるボルトB1の締結トルクが3N・m、4N・mのときには、保持面17aは中凹状態に反転していることが分かる。
【0063】
次に、図11は、図10に示す保持面17aの平坦度「PC-KP-PH」を示すポーラスチャック17に対してフラットラップ加工を施した後に、応力が解放されたポーラスチャック17の保持面17aの平坦度「Lapped PC」を示す図3(e)に対応したグラフであり、縦軸に保持面17aの平坦度、横軸に径方向座標を設定している。
【0064】
図11によれば、図9(b)に示す工程におけるボルトB1の締結トルクの増加に比例して、収縮状態のポーラスチャック17における保持面17aの平坦度「PC-KP-PH」が増加した分、応力が解放されたポーラスチャック17の保持面17aの中央が凹の具合が減少しており、室温状態のプレートホルダ14の組付時におけるボルトB1の締結トルクが2N・mのとき及び冷却状態のプレートホルダ14の組付時におけるボルトB1の締結トルクが1N・m、2N・mのときには、保持面17aは中凹状態に変形している一方、冷却状態のプレートホルダ14の組付時におけるボルトB1の締結トルクが3N・m、4N・mのときには、保持面17aは中央が僅かに凸の中凸状態に変形していることが分かる。
【0065】
次に、図12は、図11に示す保持面17aの平坦度「Lapped PC」を示すポーラスチャック17を間座プレート13及びプレートホルダ14と再び組付けた場合における保持面17aの平坦度「PC-KP-PH」を示す図3(f)に対応したグラフであり、縦軸に保持面17aの平坦度、横軸に径方向座標を設定している。なお、図14では、図9(a)、(b)に示す工程において、図10図11中における「通常組」の保持面17aが形成されたポーラスチャック17を再組付けしたときに保持面17aが略平坦になるように、ボルトB1、B2の締結トルクを設定した。
【0066】
図12によれば、図9(b)に示す工程におけるボルトB1の締結トルクの増加に比例して、再組付け後のポーラスチャック17の保持面17aの中央が凸の中凸状態がより強調されていることが分かる。
【0067】
また、図13は、図12に示す平坦度の最大値及び最小値の差である、保持面17aの凸度を示すグラフである。
【0068】
図13によれば、図9(b)に示す工程におけるボルトB1の締結トルクの増加に比例して、保持面17aの凸度も比例して増加していることが分かる。
【0069】
このようにして、本実施形態に係るCMP装置1の保持面加工方法は、研磨ヘッド10の下端に保持されたワークWをプラテン2上の研磨パッド5に押し当てて研磨するCMP装置1の保持面加工方法であって、ワークWを保持可能なポーラスチャック17とポーラスチャック17と略同じ線膨張係数を示す間座プレート13とを室温を維持した状態で組み付ける工程と、間座プレート13と室温より低温状態のポーラスチャック17より高い線膨張係数を示すプレートホルダ14とを組み付ける工程と、プレートホルダ14を室温まで温めてポーラスチャック17を収縮させ、ポーラスチャック17の保持面17aを上方に凸状に変形させる工程と、上方に凸状に変形された状態の保持面17aを略平坦にラップ加工する工程と、ポーラスチャック17、間座プレート13及びプレートホルダ14の接続を解除して、保持面17aが下方に凸状に形成されたポーラスチャック17を得る工程と、下方に凸状の保持面17aを備えているポーラスチャック17と間座プレート13とプレートホルダ14とを室温を維持した状態で再び組み付ける工程と、を含む構成とした。
【0070】
この構成によれば、保持面17aが、予め中凸状態に形成されていることにより、研磨で生じる摩擦熱によってポーラスチャック17が上方に凸状に熱変形すると、保持面17a全体が略平坦になるため、ワークWを精度良く研磨することができる。
【0071】
また、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り、上記以外にも種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【符号の説明】
【0072】
1 :CMP装置
2 :プラテン
3 :(プラテンの)回転軸
4 :モータ
5 :研磨パッド
6 :コントローラ
10 :研磨ヘッド
10a:(研磨ヘッドの)回転軸
11 :ヘッド本体
12 :回転伝達部
13 :間座プレート
14 :プレートホルダ
15 :第1のエアバッグ
16 :第2のエアバッグ
17 :ポーラスチャック
17a:保持面
18 :チャックテーブル
19 :チャック
W :ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13