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特開2024-129750半導体製造装置、検査装置および半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129750
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】半導体製造装置、検査装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20240919BHJP
【FI】
H01L21/52 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039156
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】515085901
【氏名又は名称】ファスフォードテクノロジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小橋 英晴
(72)【発明者】
【氏名】内藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】蒔田 美明
【テーマコード(参考)】
5F047
【Fターム(参考)】
5F047FA01
5F047FA08
5F047FA31
5F047FA73
5F047FA74
5F047FA83
(57)【要約】
【課題】ボンドされたダイの状態を検出することが可能な技術を提供することにある。
【解決手段】半導体製造装置は、ボンドヘッドでダイがボンドされた基板を保持するステージと、前記基板の上方に設けられる認識カメラと、前記基板の上方に設けられる照明装置と、前記照明装置で前記ダイに照明光を照射すると共に前記認識カメラで前記ダイを撮影し、前記照明光の鏡像の有無または前記照明光の鏡像の位置または前記照明光の鏡像の形状または前記照明光の鏡像の明度の分布に基づいて前記ダイの状態の検査を行うよう構成される制御装置と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボンドヘッドでダイがボンドされた基板を保持するステージと、
前記基板の上方に設けられる認識カメラと、
前記基板の上方に設けられる照明装置と、
前記照明装置で前記ダイに照明光を照射すると共に前記認識カメラで前記ダイを撮影し、前記照明光の鏡像の有無または前記照明光の鏡像の位置または前記照明光の鏡像の形状または前記照明光の鏡像の明度の分布に基づいて前記ダイのボンド状態の検査を行うよう構成される制御装置と、
を備える半導体製造装置。
【請求項2】
請求項1の半導体製造装置において、
前記制御装置は、前記照明光の鏡像の有無、前記鏡像の位置または形状に基づいて前記ダイの傾きの有無を判別するよう構成される半導体製造装置。
【請求項3】
請求項2の半導体製造装置において、
前記照明装置は、前記認識カメラが有するレンズの周囲に設けられる環状照明装置であり、
前記認識カメラは、前記ダイが前記認識カメラの光学軸上に位置するように設置される半導体製造装置。
【請求項4】
請求項3の半導体製造装置において、
前記照明装置は、同心の環状に設置される複数の環状照明装置で構成され、
前記制御装置は、前記複数の環状照明装置を順次点灯しながら各点灯時に前記認識カメラで前記ダイを撮影し、前記環状照明装置の照明光の鏡像の位置に基づいて前記ダイの傾き量または向きを判別するよう構成される半導体製造装置。
【請求項5】
請求項2の半導体製造装置において、
前記照明装置は、前記認識カメラが有するレンズの近傍に設けられる円形光源または点光源を有する円形照明装置または環状照明装置であり、
前記ダイが前記基板に平行にボンドされる場合に、前記照明装置の照明光の鏡像が前記ダイの中央に写るよう前記認識カメラの視野の中央から外れた位置に前記ダイが配置される半導体製造装置。
【請求項6】
請求項5の半導体製造装置において、
前記照明装置は、前記円形照明装置または前記環状照明装置と前記円形照明装置または前記環状照明装置の外側に同心の環状に配置される複数の環状照明装置とで構成され、
前記制御装置は、前記円形照明装置または前記環状照明装置および前記複数の環状照明装置を順次点灯しながら各点灯時に前記認識カメラで前記ダイを撮影し、前記円形照明装置または前記環状照明装置および前記複数の環状照明装置の照明光鏡像の位置に基づいて前記ダイの傾き量または向きを判別するよう構成される半導体製造装置。
【請求項7】
請求項1の半導体製造装置において、
前記ダイは前記基板にボンドされたダイの上に第一方向にオフセットして積層されたダイであり、
前記照明装置は、前記認識カメラに対して前記第一方向とは反対方向の第二方向に設けられるバー照明装置であり、
前記制御装置は、前記バー照明装置の照明光の鏡像の有無に基づいて前記ダイの反り上がりの有無を判別するよう構成される半導体製造装置。
【請求項8】
請求項7の半導体製造装置において、
前記照明装置は、複数のバー照明装置で構成され、
前記制御装置は、前記複数のバー照明装置を順次点灯しながら各点灯時に前記認識カメラで前記ダイを撮影し、前記複数のバー照明装置の照明光の鏡像の位置に基づいて前記ダイの反り上がり量を判別するよう構成される半導体製造装置。
【請求項9】
請求項7の半導体製造装置において、
前記制御装置は、前記バー照明装置の位置または前記認識カメラの位置または前記ダイの位置を移動しながら前記バー照明装置の各位置において前記認識カメラで前記ダイを撮影し、前記バー照明装置の照明光の鏡像の位置に基づいて前記ダイの反り上がり量を判別するよう構成される半導体製造装置。
【請求項10】
請求項7の半導体製造装置において、
前記照明装置は、さらに、
前記認識カメラに対して前記第一方向に設けられる第二のバー照明装置と、
前記認識カメラに対して前記第一方向に直交する第三方向に設けられる第三のバー照明装置と、
前記認識カメラに対して前記第三方向とは反対方向である第四方向に設けられる第四のバー照明装置と、
を有する半導体製造装置。
【請求項11】
請求項7の半導体製造装置において、
前記制御装置は、前記バー照明装置を前記第一方向、または、前記第二方向、または、前記認識カメラに対して前記第一方向に直交する第三方向、または、前記認識カメラに対して前記第三方向とは反対方向である第四方向に移動し照明光を照射し、前記照明光の鏡像の有無に基づいて前記ダイの反り上がりの有無を判別するよう構成される半導体製造装置。
【請求項12】
請求項7の半導体製造装置において、
前記照明装置は、さらに、前記認識カメラに対して前記第一方向に設けられる第二のバー照明装置を有し、
前記制御装置は、前記第二のバー照明装置で照明光を照射して前記認識カメラで前記ダイを撮影し、前記第二のバー照明装置の照明光の鏡像の有無に基づいて前記ダイの垂れ下がりの有無を判別するよう構成される半導体製造装置。
【請求項13】
請求項7の半導体製造装置において、
前記制御装置は、前記バー照明装置を前記第一方向に移動し照明光を照射し、前記照明光の鏡像の有無に基づいて前記ダイの垂れ下がりの有無を判別するよう構成される半導体製造装置。
【請求項14】
請求項1の半導体製造装置において、
前記照明装置は、前記認識カメラが有するレンズ挿入型同軸照明装置である半導体製造装置。
【請求項15】
請求項1の半導体製造装置において、
前記照明装置は、前記認識カメラが有するレンズの下方に設けられる、面発光型の光源を有する同軸照明装置であり、
前記制御装置は、前記面発光型の光源の点灯エリアを中央部または一部のみに限定するよう構成される半導体製造装置。
【請求項16】
請求項4または6の半導体製造装置において、
前記制御装置は、前記ダイの傾き量が所定値以上と判断するときはエラーを発報する、または前記ダイの不良を登録する、または前記ボンドヘッドで前記ダイの再加圧を行うよう構成される半導体製造装置。
【請求項17】
請求項4または6の半導体製造装置において、
さらに、基板にペーストを塗布するシリンジを備え、
前記ペーストが塗布された前記基板に前記ダイがボンドされており、
前記制御装置は、前記ダイの傾き量および向きに基づいて前記ペーストの塗布量調整を行うよう構成される半導体製造装置。
【請求項18】
ダイがボンドされた基板を保持するステージと、
前記基板の上方に設けられる認識カメラと、
前記基板の上方に設けられる照明装置と、
前記照明装置で前記ダイに照明光を照射すると共に前記認識カメラで前記ダイを撮影し、前記照明光の鏡像の有無または前記照明光の鏡像の位置または前記照明光の鏡像の形状または前記照明光の鏡像の明度の分布に基づいて前記ダイの状態の検査を行うよう構成される制御装置と、
を備える検査装置。
【請求項19】
基板を保持するステージと、前記基板の上方に設けられる認識カメラと、前記基板の上方に設けられる照明装置と、を備える半導体製造装置に基板を搬入する工程と、
前記基板にダイをボンドするボンド工程と、
前記照明装置で前記ダイに照明光を照射すると共に前記認識カメラで前記ダイを撮影し、前記照明光の鏡像の有無または前記照明光の鏡像の位置または前記照明光の鏡像の形状または前記照明光の鏡像の明度の分布に基づいて前記ダイの状態の検査を行う検査工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は半導体製造装置に関し、例えば、ダイのボンド状態の検査を行うダイボンダに適用可能である。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程の一工程として、ボンドヘッドに設けられたコレット(吸着ノズル)を使ってダイがピックアップされ、ピックアップされたダイが基板や既に基板に実装されているダイにボンドされるダイボンディング工程がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-150045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ダイが正常にボンドされないことがある。例えば、ダイの一部が上下方向に変位してボンドされることがある。
【0005】
本開示は、ボンドされたダイのボンド状態を検出することが可能な技術を提供することにある。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
すなわち、半導体製造装置は、ボンドヘッドでダイがボンドされた基板を保持するステージと、前記基板の上方に設けられる認識カメラと、前記基板の上方に設けられる照明装置と、前記照明装置で前記ダイに照明光を照射すると共に前記認識カメラで前記ダイを撮影し、前記照明光の鏡像の有無または前記照明光の鏡像の位置または前記照明光の鏡像の形状または前記照明光の鏡像の明度の分布に基づいて前記ダイの状態の検査を行うよう構成される制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ボンドされたダイのボンド状態を検出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は実施形態におけるダイボンダの概略を示す上面図である。
図2図2図1において矢印A方向から見たときの概略構成を説明する図である。
図3図3図1に示すプリフォーム部の概略を示す側面図である。
図4図4図1に示すダイボンダの制御系の概略構成を示すブロック図である。
図5図5図1に示すダイボンダを用いた半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
図6図6図1に示すボンディング部における光学系、ダイおよび画像を示す図である。
図7図7は第一変形例における光学系、ダイおよび画像を示す図である。
図8図8は第二変形例における光学系、ダイおよび画像を示す図である。
図9図9は鏡像位置を移動する方法を示す図である。
図10図10は第三変形例におけるバー照明装置の配置を示す図である。
図11図11は第四変形例における光学系およびダイを示す図である。
図12図12は第五変形例における光学系およびダイを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態および変形例について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。
【0010】
半導体製造装置の一態様としてのダイボンダの構成について図1から図3を用いて説明する。図1は実施形態におけるダイボンダの概略を示す上面図である。図2図1において矢印A方向から見たときの概略構成を説明する図である。図3図1に示すプリフォーム部の概略を示す側面図である。
【0011】
ダイボンダ1は、大別して、ウエハ供給部10と、ピックアップ部20と、中間ステージ部30と、プリフォーム部90と、ボンディング部40と、搬送部50と、基板供給部60と、基板搬出部70と、制御部(制御装置、コントローラ)80と、を有する。Y2-Y1方向がダイボンダ1の前後方向であり、X2-X1方向が左右方向であり、Z1-Z2方向が上下方向である。ウエハ供給部10がダイボンダ1の前側に配置され、ボンディング部40が後側に配置される。
【0012】
ウエハ供給部10は、ウエハカセットリフタ11と、ウエハ保持台12と、剥離ユニット13と、ウエハ認識カメラ14と、を有する。
【0013】
ウエハカセットリフタ11は複数のウエハリングWRが格納されるウエハカセット(不図示)をウエハ搬送高さまで上下動させる。図示しないウエハ修正シュートによりウエハカセットリフタ11から供給されるウエハリングWRのアライメントが行われる。図示しないウエハエキストラクタによりウエハリングWRをウエハカセットから取出してウエハ保持台12に供給したり、ウエハ保持台12から取り出してウエハカセットに収納したりする。
【0014】
ダイシングテープDT上にウエハWが接着(貼付)されており、そのウエハWは複数のダイDに分割されている。ダイシングテープDTはウエハリングWRに保持されている。ウエハWは、例えば、半導体ウエハやガラスウエハであり、ダイDは半導体チップやガラスチップ、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)である。
【0015】
ウエハ保持台12は図示しないXYテーブルおよび駆動部によってX1-X2方向およびY1-Y2方向に移動し、ピックアップするダイDを剥離ユニット13の位置に移動させる。ウエハ保持台12は図示しない駆動部によってXY平面内においてウエハリングWRを回転させる。剥離ユニット13は図示しない駆動部によってZ1-Z2方向に移動する。剥離ユニット13はダイシングテープDTからダイDを剥離する。
【0016】
ウエハ認識カメラ14はウエハWからピックアップするダイDのピックアップ位置を把握したり、ダイDの表面検査をしたりする。
【0017】
ピックアップ部20は、ピックアップヘッド21と、Y駆動部23と、を有する。ピックアップヘッド21には、剥離されたダイDを先端に吸着保持するコレット22が設けられる。ピックアップヘッド21はウエハ供給部10からダイDをピックアップし、中間ステージ31に載置する。Y駆動部23はピックアップヘッド21をY1-Y2方向に移動させる。ピックアップ部20は、ピックアップヘッド21を昇降、回転及びX1-X2方向に移動させる各駆動部(不図示)を有する。
【0018】
中間ステージ部30は、ダイDが載置される中間ステージ31と、中間ステージ31上のダイDを認識するためのステージ認識カメラ34と、を有する。中間ステージ31は載置されたダイDを吸着する吸引孔を備える。載置されたダイDは中間ステージ31に一時的に保持される。
【0019】
プリフォーム部90は、シリンジ91と、駆動部93と、撮像装置としてのプリフォームカメラ94と、プリフォームステージ96と、を有する。シリンジ91は下部の先端にノズル92を有する。シリンジ91は搬送部50によりプリフォームステージ96に搬送されてきた基板Sにペーストを塗布する。駆動部93はシリンジ91をX1-X2方向、Y1-Y2方向およびZ1-Z2方向に動かす。基板Sは、例えば、配線基板や金属薄板で形成されるリードフレーム、ガラス基板等である。
【0020】
プリフォームカメラ94はシリンジ91によって基板Sに塗布されたペーストの位置等を把握する。プリフォームステージ96はペーストを基板Sに塗布する際に上昇し、基板Sを下方から支える。プリフォームステージ96は基板Sを真空吸着するための吸着孔(不図示)を有し、基板Sを固定することが可能である。
【0021】
ボンディング部40は、ボンドヘッド41と、Y駆動部43と、基板認識カメラ44と、ボンドステージ46と、を有する。ボンドヘッド41にはダイDを先端に吸着保持するコレット42が設けられる。Y駆動部43はボンドヘッド41をY1-Y2方向に移動させる。基板認識カメラ44は基板SのパッケージエリアPの位置認識マーク(図示せず)を撮像し、ボンド位置を認識する。ここで、基板Sには、最終的に一つのパッケージとなる、複数の製品エリア(以下、パッケージエリアPという。)が形成されている。位置認識マークはパッケージエリアPごとに設けられる。ボンドステージ46は、基板SにダイDが載置される際、上昇させられ、基板Sを下方から支える。ボンドステージ46は基板Sを真空吸着するための吸引口(不図示)を有し、基板Sを固定することが可能である。ボンドステージ46は基板Sを加熱する加熱部(不図示)を有する。ボンディング部40は、ボンドヘッド41を昇降、回転及びX1-X2方向に移動させる各駆動部(不図示)を有する。
【0022】
このような構成によって、ボンドヘッド41は、ステージ認識カメラ34の撮像データに基づいてピックアップ位置・姿勢を補正し、中間ステージ31からダイDをピックアップする。そして、ボンドヘッド41は、基板認識カメラ44の撮像データに基づいて、搬送されてくる基板Sのペーストが塗布されたパッケージエリアP上にダイDをボンド(載置して接着)する。
【0023】
搬送部50は、基板Sを掴み搬送する搬送爪51と、基板Sが移動する一対の搬送レーン52と、を有する。基板Sは、搬送レーン52に設けられた搬送爪51の図示しないナットを搬送レーン52に沿って設けられた図示しないボールネジで駆動することによってX1-X2方向に移動する。このような構成によって、基板Sは、基板供給部60から搬送レーン52に沿ってボンド位置まで移動し、ボンド後、基板搬出部70まで移動して、基板搬出部70に基板Sを渡す。
【0024】
基板供給部60は、搬送治具に格納されて搬入された基板Sを搬送治具から取り出して搬送部50に供給する。基板搬出部70は、搬送部50により搬送された基板Sを搬送治具に格納する。
【0025】
ダイボンダ1の制御系について図4を用いて説明する。図4図1に示すダイボンダの制御系の概略構成を示すブロック図である。
【0026】
制御系8は制御部80と駆動部86と信号部87と光学系88とを備える。制御部80は、大別して、主としてCPU(Central Processing Unit)で構成される制御・演算装置81と、記憶装置82と、入出力装置83と、バスライン84と、電源部85とを有する。記憶装置82は主記憶装置82aと補助記憶装置82bとを有する。主記憶装置82aは、処理プログラムなどを記憶しているRAM(Random Access Memory)で構成される。補助記憶装置82bは制御に必要な制御データや画像データ等を記憶しているHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等で構成される。
【0027】
入出力装置83は、ダイボンダ1の装置状態や情報等を表示するモニタ83aと、オペレータの指示を入力するタッチパネル83bと、モニタ83aを操作するマウス83cと、光学系88からの画像データを取り込む画像取込装置83dと、を有する。入出力装置83は、さらに、モータ制御装置83eと、I/O信号制御装置83fと、を有する。モータ制御装置83eは、ウエハ供給部10のXYテーブルやボンディング部40のボンドヘッドテーブルのZY駆動軸等の駆動部86を制御する。I/O信号制御装置83fは信号部87から信号を取り込んだり、信号部87を制御したりする。信号部87は、種々のセンサ、照明装置などの明るさを制御するスイッチやボリューム等を含む。制御・演算装置81はバスライン84を介して必要なデータを取込み、演算し、ピックアップヘッド21等の制御や、モニタ83a等に情報を送る。
【0028】
制御・演算装置81は画像取込装置83dを介して光学系88で撮像した画像データを記憶装置82に保存する。光学系88には、ウエハ認識カメラ14、ステージ認識カメラ34、基板認識カメラ44およびプリフォームカメラ94が含まれる。光学系88で使用するカメラは光強度や色を数値化する。保存した画像データに基づいてプログラムしたソフトウェアにより、制御・演算装置81はダイDおよび基板Sの位置決め、ペーストの塗布パターンの検査並びにダイDおよび基板Sの表面検査を行う。制御・演算装置81は算出したダイDおよび基板Sの位置に基づいてソフトウェアによりモータ制御装置83eを介して駆動部86を動かす。このプロセスにより、制御・演算装置81はウエハW上のダイDの位置決めを行い、ウエハ供給部10、ピックアップ部20およびボンディング部40の駆動部で動作させダイDを基板SのパッケージエリアP上にボンドする。
【0029】
ダイボンダ1を用いた半導体装置の製造工程の一工程であるボンド工程(半導体装置の製造方法)について図5を用いて説明する。図5図1に示すダイボンダを用いた半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。以下の説明において、ダイボンダ1を構成する各部の動作は制御部80により制御される。
【0030】
(ウエハ搬入:工程S1)
ウエハリングWRがウエハカセットリフタ11のウエハカセットに供給される。供給されたウエハリングWRがウエハ保持台12に供給される。
【0031】
(基板搬入:工程S2)
基板Sが格納された搬送治具が基板供給部60に供給される。基板供給部60で搬送治具から基板Sが取り出され、基板Sが搬送爪51に固定される。
【0032】
(ピックアップ:工程S3)
工程S1後、所望するダイDをダイシングテープDTからピックアップできるようにウエハ保持台12が動かされる。ウエハ認識カメラ14によってダイDが撮影され、撮影によって取得された画像データに基づいてダイDの位置決めおよび表面検査が行われる。画像データが画像処理されることによって、ダイボンダのダイ位置基準点からのウエハ保持台12上のダイDのずれ量(X、Y、θ方向)が算出されて位置決めが行われる。なお、ダイ位置基準点は、予め、ウエハ保持台12の所定の位置を装置の初期設定として保持されている。画像データが画像処理されることによって、ダイDの表面検査が行われる。
【0033】
位置決めされたダイDは剥離ユニット13およびピックアップヘッド21によってダイシングテープDTから剥離される。ダイシングテープDTから剥離されたダイDは、ピックアップヘッド21に設けられたコレット22に吸着、保持されて、中間ステージ31に搬送されて載置される。
【0034】
ステージ認識カメラ34によって中間ステージ31の上のダイDが撮影され、撮影により取得された画像データに基づいてダイDの位置決めおよび表面検査が行われる。画像データが画像処理されることによって、ダイボンダ1のダイ位置基準点からの中間ステージ31上のダイDのずれ量(X、Y、θ方向)が算出されて位置決めが行われる。なお、ダイ位置基準点は、予め、中間ステージ31の所定の位置を装置の初期設定として保持されている。画像データが画像処理されることによって、ダイDの表面検査が行われる。
【0035】
ダイDを中間ステージ31に搬送したピックアップヘッド21はウエハ供給部10に戻される。上述した手順に従って、次のダイDがダイシングテープDTから剥離され、以後同様の手順に従ってダイシングテープDTから1個ずつダイDが剥離される。
【0036】
(プリフォーム:工程S4)
S2工程後、搬送部50によって基板Sがプリフォームステージ96に搬送される。プリフォームカメラ94によって塗布前の基板Sの表面が撮影され、撮影によって取得された画像データに基づいてペーストを塗布すべき面が確認される。塗布すべき面に問題なければ、プリフォームステージ96により支持された基板Sのペーストが塗布される位置が確認されて位置決めされる。位置決めはパターンマッチングなどで行われる。
【0037】
ペーストがシリンジ91の先端のノズル92から射出され、ノズル92の軌跡に従って基板Sに塗布される。シリンジ91に収納されているペーストが基板Sに塗布される際、例えば、エアパルス方式のディスペンサから一定の時間、空気等の加圧気体がシリンジ91の上部から供給されて、所定量のペーストが吐出される。ノズル92が基板Sに近接された状態で、シリンジ91がXY平面内で2次元的に一筆書き走査(描画動作)される。
【0038】
プリフォームカメラ94によって塗布されたペーストが撮影される。撮影によって取得された画像に基づいてペーストが正確に塗布されているかどうかが確認されて、塗布されたペーストの検査(外観検査)が行われる。すなわち、外観検査では、塗布されたペーストが基板Sの所定位置に所定の形状で所定量だけ塗布されているかが確認される。検査内容は、例えば、ペーストの有無、塗布面積、塗布形状(過不足、はみ出し)などである。検査は二値化処理にてペーストの領域を分離後に画素数を数える方法のほか、差分による比較、パターンマッチングによるスコアを比較する方法などで行われる。
【0039】
(ボンド:工程S5)
塗布に問題なければ搬送部50によって基板Sがボンドステージ46に搬送される。ボンドステージ46上に載置された基板Sが基板認識カメラ44によって撮影され、撮影によって画像データが取得される。画像データが画像処理されることによって、ダイボンダの基板位置基準点からの基板Sのずれ量(X、Y、θ方向)が算出される。なお、基板位置基準点は、予め、ボンディング部40の所定の位置を装置の初期設定として保持されている。
【0040】
工程S3において算出された中間ステージ31上のダイDのずれ量からボンドヘッド41の吸着位置が補正されてダイDがコレット42によって吸着される。中間ステージ31からダイDを吸着したボンドヘッド41によってボンドステージ46に支持された基板Sの所定箇所にダイDがボンドされる。基板認識カメラ44によって基板SにボンドされたダイDが撮影され、撮影によって取得された画像データに基づいてダイDが所望の位置にボンドされたかどうか等の検査が行われる。
【0041】
ダイDを基板Sにボンドしたボンドヘッド41は中間ステージ31に戻される。上述した手順に従って、次のダイDが中間ステージ31からピックアップされ、基板Sにボンドされる。これが繰り返されて基板SのすべてのパッケージエリアPにダイDがボンドされる。
【0042】
(基板搬出:工程S6)
ダイDがボンドされた基板Sが基板搬出部70に搬送される。基板搬出部70で搬送爪51から基板Sが取り出されて搬送治具に格納される。ダイボンダ1から基板Sが格納されている搬送治具が搬出される。
【0043】
上述したように、ダイDは、基板S上に実装され、ダイボンダ1から搬出される。その後、例えば、ダイDが実装された基板Sが格納された搬送治具がワイヤボンディング工程に搬送され、ダイDの電極はAuワイヤ等を介して基板Sの電極と電気的に接続される。そして、基板Sがモールド工程に搬送され、ダイDとAuワイヤとをモールド樹脂(図示せず)で封止することによって、半導体パッケージが完成する。
【0044】
積層ボンドする場合は、ワイヤボンディング工程に続いて、ダイDが実装された基板Sを載置格納した搬送治具がダイボンダに搬入されて基板S上に実装されたダイDの上にダイDが積層される。そして、ダイボンダから搬出された後、ワイヤボンディング工程でAuワイヤを介して基板Sの電極と電気的に接続される。第二段目より上のダイDは、上述した方法でダイシングテープDTから剥離された後、ボンディング部に搬送されてダイDの上に積層される。上記工程が所定回数繰り返された後、基板Sがモールド工程に搬送され、複数個のダイDとAuワイヤとをモールド樹脂(図示せず)で封止することによって、積層パッケージが完成する。
【0045】
基板Sまたは基板Sに実装されている半導体チップにボンドされたダイDが基板Sの上面と平行かどうかというダイDの傾きを検査するチルト検査の方法の概要について説明する。
【0046】
大半のダイの表面は鏡面反射の特徴を有する。例えば、半導体チップ、ガラスおよびMEMS等のダイDの表面は鏡面反射の特徴を有する。本実施形態は照明装置(光源)でダイに照明光を照射すると共に認識カメラでダイを撮影し、照射光の鏡像等に基づいてダイの傾きの検査を行う。
【0047】
ボンディング部40における光学系で行うチルト検査について図6を用いて説明する。図6図1に示すボンディング部における光学系、ダイおよび画像を示す図である。
【0048】
図6に示すように、基板認識カメラ44はカメラ本体ユニット44aとレンズユニット44bを備える。基板認識カメラ44は、その光学軸が基板Sに対して垂直になるよう基板Sの上方に設置される。照明装置45は基板Sの上方(例えば、基板認識カメラ44の近傍)に設置される。照明装置45はリング照明装置で構成され、レンズユニット44bの周囲に設置される。基板認識カメラ44はダイDの真上付近に設置される。すなわち、基板認識カメラ41の撮影範囲IR(視野)の中心付近にダイDが配置される。制御部80は照明装置45からリング状の照明光をダイDに照射して基板認識カメラ44でダイDを撮影する。
【0049】
図6のNTLに示すように、ダイDが基板S等に水平(光学軸に対して垂直)にボンドされているときは、基板認識カメラでダイDに照明(鏡像MI)の写り込みを認識できない。すなわち、ダイDの画像に局所的に明るい箇所がない。
【0050】
図6のTLTに示すように、ダイDが水平から傾くとダイDの表面に照明光の鏡像MIが写る。ダイDの画像に局所的に明るい箇所である鏡像MIがある。ここで、ダイDは角C1が角C3よりも高くなって傾いている例が示されている。ダイDの画像におけるX1側かつY2側が角C1であり、X2側かつY1側が角C3に対応する。
【0051】
制御部80は、ダイDの画像を画像処理して、鏡像MIの有無によってダイDのチルトを判定する。照明装置45のリングの半径は、ダイDのチルト角度が問題になる半径に設定される。言い換えると、リング照明装置の半径によってチルト判定の閾値が設定され得る。制御部80は、鏡像MIの円弧の向きからダイDの傾き方向も検出することが可能である。
【0052】
図6のMLに示すように、照明装置45はリング照明装置を同心円状に多重に設置して構成してもよい。制御部80は、リング照明装置を内側から順次点灯しながら各点灯時に画像を取り込む。複数の画像に写り込んだ鏡像MIを確認することで、ダイDのチルトの有無や向きの他に、ダイDのチルト量(チルト角度)を把握することが可能である。すなわち、ダイDの表面の鏡像MIの位置を画像処理にて判定することでチルト量を把握することが可能である。点灯するリング照明を選択することでチルト量の閾値調整も可能となる。
【0053】
制御部80は、チルト量や向き(ダイの傾きの傾向)から、塗布量の調整を行うようにしてもよい。例えば、制御部80は、ペンライト塗布の個別の軌跡の部分だけヘッドの動作速度を変更したり、ディスペンサの塗布圧や速度を変更したりすることにより、塗布量を調整する。これにより、ダイDのチルト量を低減するよう調整することが可能である。塗布量の調整は生産中に自動フィードバックにて行ってもよい。
【0054】
制御部80は、チルトを検出し、チルト量が閾値以上と判断した場合はエラーを発報するようにしてもよいし、そのダイの不良を登録するようにしてもよい。制御部80は、閾値以上と判断した場合、ボンドヘッド41でダイDに再加圧を行ってチルト量を低減するようにしてもよい。この場合、チルトの再検査するようにしてもよい。
【0055】
不良を登録する場合であって、積層ボンドする製品の場合は、制御部80は、それ以降の層にボンドしないようにしてもよいし、ダミーダイをボンドするようにしてもよい。ダミーダイをボンドすることでモールド工程での一括形成を安定させることができる。
【0056】
本実施形態によれば、下記の一つまたは複数の効果を奏する。
【0057】
(a)ダイボンディング工程でチルト検査が可能であり、チルトの有無起因の不良に関する品質管理が可能である。これにより、ダイのチルトの有無起因で発生する不良を改善することが可能になる。
【0058】
例えば、基板Sに半導体チップであるイメージセンサチップが実装され、イメージセンサチップの上にペーストが枠型に塗布され、その上にガラスチップ(カバーガラス)であるダイDがマウントされることがある。ダイDは基板Sの上面(半導体チップの上面)に対しては少し浮かせる形になる。このとき、ダイDが基板Sの上面に対して傾かないようにすることが要求される。すなわち、ダイDが傾いているかどうかを確認する必要があり、本実施形態によって確認することが可能になる。
【0059】
(b)レーザなどを用いた変位計では一度に一点しか検査できないため、複数点を測定してチルト量を割り出す。そのために処理時間がかかる。本実施形態では、1回の画像取込でダイ全体の傾きを把握することが可能である。これにより、変位計によるチルト検査よりも高速で検査が可能になり、生産効率を維持、改善することが可能になる。
【0060】
(c)変位計でダイのチルトを測定する場合に比べてシステムを簡単にすることが可能であり、メンテナンス性を良くすることが可能になる。
【0061】
<変形例>
以下、実施形態の代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態にて説明されているものと同様の構成および機能を有する部分に対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部分の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が適宜援用され得るものとする。また、上述の実施形態の一部、および、複数の変形例の全部または一部が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
【0062】
(第一変形例)
第一変形例におけるチルト検査について図7を用いて説明する。図7は第一変形例における光学系、ダイおよび画像を示す図である。
【0063】
第一変形例における照明装置45はレンズユニット44bの近傍に設置される円形照明装置である。円形照明装置は、輪郭のはっきりした円形の光源または点光源である。この光源は平行光である必要はなく、拡散光でもよい。
【0064】
図7のNTLに示すように、ダイDが水平に保たれているときに照明光の鏡像がダイDの中央に写るよう基板認識カメラ44の撮像範囲(視野)IRの中央から外れた位置にダイDが設置される。
【0065】
図7のNTLに示すように、ダイDが基板S等に水平にボンドされているときは、ダイDの中央に照明光の鏡像MIが円形状に写る。
【0066】
図7のTLTに示すように、ダイDが水平から傾くとダイDの中央に照明光の鏡像MIが円形状に写らない。ここで、ダイDは角C1が角C3よりも高くなって傾いている例が示されている。ダイDの画像におけるX1側かつY2側が角C1であり、X2側かつY1側が角C3に対応する。鏡像MIはダイDの角C1付近に小さく写っている。ダイDのチルト量がさらに大きくなると、鏡像MIは写らなくなる。
【0067】
制御部80は、ダイDの画像を画像処理して、鏡像MIの有無、位置によってダイDのチルトを判定する。鏡像MIがダイDの表面に正しい位置で写し出されれば、ダイDのチルトがなく正しくボンドされていると判定する。鏡像MIの位置がずれていたり、写らなかったりすればダイDのチルトがあると判定する。この方法によりダイDのチルト検査を行い、良品であるか不良品であるかを判別する。制御部80は、鏡像MIの位置からダイDの傾き方向も検出することが可能である。
【0068】
図7のMLに示すように、円形照明装置を中心にリング照明を同心円状に多重に設けて照明装置45を構成してもよい。制御部80は、照明を順次点灯しながら各点灯時に画像を取り込む。複数の画像に写り込んだ鏡像MIを確認することで、ダイDのチルトの有無にのみならず、ダイDのチルト量を把握することが可能である。すなわち、ダイDの表面の鏡像MIの位置を画像処理にて判定することでチルト量や向きを把握することが可能である。点灯する照明の組み合わせによって、円形発光エリアの径を調整することにより、チルト量の検出閾値を調整することも可能である。
【0069】
上述した構成および作動により第一変形例は、実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0070】
(第二変形例)
ダイの反り上がりを検出する検査について図8を用いて説明する。図8は第二変形例における光学系、ダイおよびその画像を示す図である。図9は鏡像位置を移動する方法を示す図である。
【0071】
実施形態および第一変形例の光学系では、ダイのチルトを検査する例について説明した。他方、第二変形例の光学系ではダイの反り上がりを検査する。
【0072】
ダイの積層は、ダイのボンディングパッドが上層のダイによって覆われないように、ずらして行われる。言い換えると、上層のダイのボンディングパッドとは反対側の箇所には下層のダイが接触していない。すなわち、スタック(積層)するダイは下部に中空の領域が形成される。この中空の領域がある側において反り上がる傾向がある。
【0073】
図8に示すように、レンズユニット44bの中心に対して、ダイDの反り上がりが予想される位置(X2側)と反対側(X1側)にバー照明装置で構成される照明装置45が設置される。
【0074】
図8のNCRに示すように、ダイDの反り上がりが無いまたは少ない場合は、この照明装置45の照明光の鏡像MIはダイDに写り込まない。すなわち、ダイDの画像に局所的に明るい箇所がない。
【0075】
図8のCRVに示すように、ダイDに反り上がりが発生すると、反り上がった部分に照明光の鏡像MIが写り込む。
【0076】
制御部80は、ダイDの画像を画像処理して、鏡像MIの有無によってダイDの反り上がりの有無と程度を判定する。
【0077】
図8のMLに示すように、照明装置45はバー照明装置を多列に配置して構成してもよい。これにより、鏡像MIの位置を移動することが可能になる。制御部80は、複数のバー照明装置を順次点灯を行い、それ毎に取り込みと画像処理を行うことで鏡像MIの位置から反り上がり量を算出することも可能である。
【0078】
なお、照明装置45は複数のバー照明装置で構成する代わりに、図9のLMに示すように、一つのバー照明装置で構成される照明装置45をX1-X2方向に動かしてもよいし、図9のCMに示すように、基板認識カメラ44をX1-X2方向に動かしてもよいし、図9のDMに示すように、ダイD(基板S)をX1-X2方向に動かしてもよい。
【0079】
第二変形例では、ダイボンディング工程でダイDの反りの検査が可能であり、反りの有無起因の不良に関する品質管理が可能である。これにより、ダイの反りの有無起因で発生する不良を改善することが可能になる。
【0080】
(第三変形例)
図10は第三変形例におけるバー照明装置の配置を示す図である。
第二変形例では基板認識カメラ44を基準としてバー照明装置で構成される照明装置45を一方向に配置する例を説明した。他方、第三変形例では基板認識カメラ44を基準として照明装置45を複数の方向に配置する。
【0081】
図10の4DLに示すように、基板認識カメラ44を中心にバー照明装置で構成される照明装置45を四方向(X1側、X2側、Y1側、Y2側)に設置してもよい。これにより、スタックが四方の何れの方向にダイDをずらし形成されても反り上がりの有無を判定することが可能になる。複数方向に照明装置45を設置する代わりに、図10の1L4Dに示すように、一つの照明装置45を四方向に動かしてもよい。
【0082】
なお、積層したダイで形成される中空の領域がある側(例えば、X2側)に設置される照明装置45からの照明光の鏡像MIが写る場合は、中空の領域がある側が垂れ下がっていることも把握することが可能である。なお、この場合、反り上がりはX1側に設置される照明装置45からの照明光の鏡像MIにより判定される。図10の2DLに示すように、照明装置45を二方向に設置しても、ダイDの反り上がりおよび垂れ下がりを検査することが可能である。二方向に照明装置45を設置する代わりに、図10の1L2Dに示すように、一つの照明装置45を二方向に動かしてもよい。
【0083】
(第四変形例)
第四変形例における光学系について図11を用いて説明する。図11は第四変形例における光学系、ダイDおよびその画像を示す図である。
【0084】
第四変形例における照明装置45はカメラ本体ユニット44aにレンズ挿入型の同軸照明装置で構成される。
【0085】
レンズ挿入型の同軸照明装置に内蔵されるレンズがテレセントリックレンズの場合、レンズ挿入型の同軸照明装置は、光源45aからの光を内部のハーフミラーで反射してダイDに平行光を照射する。
【0086】
図11のNTLに示すように、ダイDの水平がきわめて正確に保たれている場合はダイD全体が光を反射し、照明光の鏡像MIがダイD全体に写り込む。
【0087】
図11のTLTに示すように、ダイがわずかに傾いている場合は光を反射しなくなり、照明光の鏡像MIはダイDに写り込まない。
【0088】
制御部80は、ダイDの画像を画像処理して、ダイD全体の明度によってダイDのチルトを判定する。点光源45aの径を選択することで、チルト判定の閾値を調整することが可能である。
【0089】
照明装置45のレンズまたは光源45aの部分に絞りを設けるようにしてもよい。これにより、平行光である照明光の平行度を調整することが可能である。平行度を調整することにより、図11のDFLに示すように、ダイDに撓みDFがある場合はダイDの画像に明度が小さい(暗い)箇所が現れる。よって、わずかな撓みを検出することが可能になる。
【0090】
照明装置45で使用されるレンズが非テレセントリックレンズの場合、ダイDの表面に写る鏡像MIはぼやけた円形になる。制御部80は、ダイDの画像を画像処理して、この円形の鏡像MIの有無でダイDのチルトの有無を判別する。
【0091】
(第五変形例)
第五変形例における光学系について図12を用いて説明する。図12は第五変形例における光学系およびダイを示す図である。
【0092】
第五変形例では、レンズユニット44bの下方に面発光型の同軸照明装置で構成される照明装置45が設置される。
【0093】
図12のALSに示すように、照明装置45は面発光型の光源45aとハーフミラー45bとを有する。
【0094】
例えば、LED(Light Emitting Diode)またはEL(Electronic Luminescent)をアレイ状に配置して面発光型の光源45aを構成する。光源45aの点灯エリアを調整することでダイDのチルトを検出することが可能である。図12のCLSに示すように、制御部80は、回路制御などにより点灯エリアを中央部または一部のみに限定し、そのダイDに写り込む鏡像MIを検出することでダイのチルトの有無を判定する。ここでは、照明装置45は中央部の円形のエリアに限定して円形光源の照明装置と同様の照明光を照射する。
【0095】
図12のBLSに示すように、点灯エリアの調整として、光源45aの発光面に液晶パネル45cを設置するようにしてもよい。これにより、任意かつ自由度の高い点灯エリア制御が可能になる。ここでは、照明装置45は矩形状のエリアに限定してバー照明装置と同様の照明光を照射する。
【0096】
照明装置45を図12のBLSに示すような同軸照明装置で構成することにより、実施形態におけるリング照明の照明光、第一変形例における円形光源(点光源)の照明光、第二変形例におけるバー照明の照明光を形成することが可能である。これにより、実施形態、第一変形例および第二変形例における方式の検査が可能になる。
【0097】
第四変形例のようにテレセントリックレンズを用いなくても、第五変形例は照明を点光源化することが可能である。これにより、ダイDの表面の各位置に照射される光が限定されるため、詳細な凹凸も把握することが可能になるので、凹凸の有無起因の不良に関する品質管理が可能である。
【0098】
以上、本開示者によってなされた開示を実施形態および変形例に基づき具体的に説明したが、本開示は、上記実施形態および変形例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【0099】
実施形態および変形例はダイDの表面の鏡像を確認するため、照明光は拡散光でよいが、平行光であってもよい。
【0100】
実施形態では、照明装置としてリング照明装置を例に説明したが、リング照明装置は円形状に限定されるものではなく、多角形状の環状照明装置であってもよい。
【0101】
第一変形例では、照明装置として円形照明装置を例に説明したが、円形照明装置は円形状に限定されるものではなく、円形状の環状照明装置(リング照明装置)または多角形状の環状照明装置であってもよい。
【0102】
基板認識カメラの設置は基板Sの表面に対して垂直が望ましいが、場合によってはシャインプルーフレンズなどを用いた斜めから撮影してもよい。
【0103】
照明光源は輪郭がはっきりしていることが望ましいが、拡散板などを透過したのちの滲んだ状態でもよい。その場合、画像処理側でバイナリ変換処理などを用いて、鏡像の位置や形状を判定する。
【0104】
ダイDが水平であるときの撮像画像をテンプレートとして保持しておき、検査時にその鏡像と比較を行うことでダイDのチルトの変化を検出してもよい。この場合、比較は画像差分処理などで行う。
【0105】
照明装置を複数設置する場合は、各照明の色を変更し、カラーカメラを用いるようにしてもよい。これにより、同一撮影での処理が可能である。
【0106】
照明装置の設置高さはレンズやカメラのそれと合わせてもよいが、そうでなくてもよい。
【0107】
カメラレンズは焦点調整の機能を有して鏡像に焦点が合うようにすることが望ましいが、焦点の合わない状態である程度ぼやけた鏡像でもよい。
【0108】
点灯領域の形状の変更にはLEDまたはELの回路制御や液晶の他に、照明ユニットの分割と同期制御、透過ホールを有するカバー等がある。
【0109】
また、実施形態では、接着剤としてペーストを用いる例を説明したが、DAF(Die Attach Film)を用いてもよい。
【0110】
また、実施形態では、ウエハ供給部10とボンディング部40との間に中間ステージ部30を設け、ピックアップヘッド21でウエハ供給部10からピックアップしたダイDを中間ステージ31に載置し、ボンドヘッド41で中間ステージ31から再度ダイDをピックアップし、搬送されてきた基板Sにボンドする例を説明した。しかし、ボンドヘッド41でウエハ供給部10からピックアップしたダイDを基板Sにボンドするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0111】
1・・・ダイボンダ(半導体製造装置)
44・・・基板認識カメラ(認識カメラ)
45・・・照明装置
46・・・ボンドステージ(ステージ)
80・・・制御部(制御装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12