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特開2024-129784レジスト下層膜形成方法、パターン形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129784
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】レジスト下層膜形成方法、パターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/11 20060101AFI20240919BHJP
   G03F 7/26 20060101ALI20240919BHJP
   C08F 120/12 20060101ALI20240919BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
G03F7/11 503
G03F7/11 502
G03F7/26 511
C08F120/12
H01L21/30 573
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023204015
(22)【出願日】2023-12-01
(31)【優先権主張番号】P 2023038307
(32)【優先日】2023-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】小林 直貴
(72)【発明者】
【氏名】長町 伸宏
(72)【発明者】
【氏名】石綿 健汰
(72)【発明者】
【氏名】郡 大佑
【テーマコード(参考)】
2H196
2H225
4J100
5F146
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196KA07
2H225AF18N
2H225AF24N
2H225AF24P
2H225AF41N
2H225AF44N
2H225AF44P
2H225AH17
2H225AJ13
2H225AJ54
2H225AJ59
2H225AM22N
2H225AM61N
2H225AM79N
2H225AM85N
2H225AM91N
2H225AM92N
2H225AM94N
2H225AM95N
2H225AM99N
2H225AN02N
2H225AN11N
2H225AN21N
2H225AN31N
2H225AN37N
2H225AN38N
2H225AN39N
2H225AN39P
2H225AN62P
2H225AN68N
2H225BA01N
2H225BA26P
2H225BA32N
2H225BA32P
2H225CA12
2H225CB10
2H225CC03
2H225CC15
4J100AL08P
4J100BA15P
4J100CA01
4J100FA19
4J100JA38
5F146NA19
(57)【要約】      (修正有)
【課題】埋め込み性とドライエッチング耐性を高次元に両立した金属を含有したレジスト下層膜形成方法およびこれを用いたパターン形成方法を提供する。
【解決手段】レジスト下層膜形成方法であって、金属-酸素共有結合を有する金属化合物と有機溶媒とを含むレジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、前記塗布された基板を酸素濃度が1体積%未満の雰囲気中、450℃以上800℃以下の温度で加熱する加熱工程と、を備え、前記金属化合物として下記一般式(a-1)~(a-4)、及び、特定の式で示される架橋基を少なくとも1つ以上含むものを用いることを特徴とするレジスト下層膜形成方法。

【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レジスト下層膜形成方法であって、
金属-酸素共有結合を有する金属化合物と有機溶媒とを含むレジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
前記塗布された基板を酸素濃度が1体積%未満の雰囲気中、450℃以上800℃以下の温度で加熱する加熱工程と、を備え、
前記金属化合物として下記一般式(a-1)~(a-4)、(b-1)~(b-4)、及び(c-1)~(c-3)で示される架橋基を少なくとも1つ以上含むものを用いることを特徴とするレジスト下層膜形成方法。
【化1】
(一般式(a-1)~(a-4)中、Rは水素原子または炭素数1~10の1価の有機基であり、qは0または1を表し、*は結合部を表す。)
【化2】
(一般式(b-1)~(b-4)中、Rは水素原子またはメチル基であり、同一式中それらは互いに同一でも異なっていてもよく、Rは水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20の飽和または不飽和の1価の有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基であり、*は結合部を表す。)
【化3】
(一般式(c-1)~(c-3)中、Yは炭素数1~20の2価の有機基であり、Rは水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20の飽和または炭素数2~20の不飽和の2価の有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基であり、Rは下記一般式(1)で表される酸、及び熱のいずれか、または両方の作用により保護基が脱離して1個以上の水酸基もしくはカルボキシ基を発生する有機基であり、*は結合部を表す。)
【化4】
(一般式(1)中、Rは酸、及び熱のいずれか、または両方の作用により保護基が脱離する有機基であり、*はYとの結合部を表す。)
【請求項2】
前記酸素濃度を0.1体積%以下とすることを特徴とする請求項1に記載のレジスト下層膜形成方法。
【請求項3】
前記温度を500℃以上600℃以下とすることを特徴とする請求項1に記載のレジスト下層膜形成方法。
【請求項4】
前記金属化合物に含まれる金属を、チタン、ジルコニウム、ハフニウム又はこれらの組み合わせとすることを特徴とする請求項1に記載のレジスト下層膜形成方法。
【請求項5】
前記金属化合物として、さらに下記一般式(2)で示されるケイ素化合物に由来する配位子を含むものを用いることを特徴とする請求項1に記載のレジスト下層膜形成方法。
【化5】
(一般式(2)中、R3A、R3B及びR3Cは、下記一般式(d-1)~(d-3)で示される構造のいずれかの架橋基を有する炭素数2~30の有機基、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基、及び炭素数6~20のアリール基から選択される有機基のいずれかである。)
【化6】
(一般式(d-1)~(d-3)中、Rは水素原子または炭素数1~10の1価の有機基であり、qは0または1を表し、*は結合部を表す。)
【請求項6】
被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(I-1)被加工基板上に、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のレジスト下層膜形成方法によりレジスト下層膜を形成する工程、
(I-2)前記レジスト下層膜上に、ケイ素含有レジスト中間膜を形成する工程、
(I-3)前記ケイ素含有レジスト中間膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(I-4)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(I-5)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記ケイ素含有レジスト中間膜にパターンを転写する工程、
(I-6)前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト下層膜にパターンを転写する工程、及び
(I-7)前記パターンが形成されたレジスト下層膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項7】
被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(II-1)被加工基板上に、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のレジスト下層膜形成方法によりレジスト下層膜を形成する工程、
(II-2)前記レジスト下層膜上に、ケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜を形成する工程、
(II-3)前記無機ハードマスク中間膜上に、有機薄膜を形成する工程、
(II-4)前記有機薄膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(II-5)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(II-6)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記有機薄膜及び前記無機ハードマスク中間膜にパターンを転写する工程、
(II-7)前記パターンが転写された無機ハードマスク中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト下層膜にパターンを転写する工程、及び
(II-8)前記パターンが形成されたレジスト下層膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項8】
被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(III-1)被加工基板上に、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のレジスト下層膜形成方法によりレジスト下層膜を形成する工程、
(III-2)前記レジスト下層膜上に、有機中間膜を形成する工程、
(III-3)前記有機中間膜上に、ケイ素含有レジスト中間膜または、ケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜と有機薄膜の組み合わせを形成する工程、
(III-4)前記ケイ素含有レジスト中間膜または前記有機薄膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(III-5)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(III-6)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングでケイ素含有レジスト中間膜または前記有機薄膜及び前記無機ハードマスク中間膜にパターンを転写する工程、
(III-7)前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜または無機ハードマスク中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記有機中間膜にパターンを転写する工程、
(III-8)前記パターンが転写された有機中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト下層膜にパターンを転写する工程、及び
(III-9)前記パターンが形成されたレジスト下層膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項9】
レジスト下層膜形成方法であって、
周期表第3族~第15族の第3周期~第7周期に属する金属を含むレジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
前記塗布された基板を酸素濃度が1体積%未満の雰囲気中、450℃以上800℃以下の温度で加熱する加熱工程と、を備えることを特徴とするレジスト下層膜形成方法。
【請求項10】
前記レジスト下層膜形成用組成物として、金属-酸素共有結合を有する金属化合物または金属-炭素共有結合を有する金属化合物、を含むものを用いることを特徴とする請求項9に記載のレジスト下層膜形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト下層膜形成方法、及びパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターン寸法の微細化が急速に進んでいる。リソグラフィー技術は、この微細化に併せ、光源の短波長化とそれに対するレジスト組成物の適切な選択により、微細パターンの形成を達成してきた。その中心となったのは単層で使用するポジ型フォトレジスト組成物である。この単層ポジ型フォトレジスト組成物は、塩素系あるいはフッ素系のガスプラズマによるドライエッチングに対しエッチング耐性を持つ骨格をレジスト樹脂中に持たせ、かつ露光部が溶解するようなスイッチング機構を持たせることによって、露光部を溶解させてパターンを形成し、残存したレジストパターンをエッチングマスクとして被加工基板をドライエッチング加工するものである。
【0003】
ところが、使用するフォトレジスト膜の膜厚をそのままで微細化、即ちパターン幅をより小さくした場合、フォトレジスト膜の解像性能が低下し、また現像液によりフォトレジスト膜をパターン現像しようとすると、いわゆるアスペクト比が大きくなりすぎ、結果としてパターン崩壊が起こってしまうという問題が発生した。このため、パターンの微細化に伴いフォトレジスト膜は薄膜化されてきた。
【0004】
一方、被加工基板の加工には、通常、パターンが形成されたフォトレジスト膜をエッチングマスクとして、ドライエッチングにより基板を加工する方法が用いられるが、現実的にはフォトレジスト膜と被加工基板の間に完全なエッチング選択性を取ることのできるドライエッチング方法が存在しない。そのため、基板の加工中にフォトレジスト膜もダメージを受けて崩壊し、レジストパターンを正確に被加工基板に転写できなくなるという問題があった。そこで、パターンの微細化に伴い、レジスト組成物により高いドライエッチング耐性が求められてきた。しかしながら、その一方で、解像性を高めるために、フォトレジスト組成物に使用する樹脂には、露光波長における光吸収の小さな樹脂が求められてきた。そのため、露光光がi線、KrF、ArFと短波長化するにつれて、樹脂もノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、脂肪族多環状骨格を持った樹脂と変化してきたが、現実的には基板加工時のドライエッチング条件におけるエッチング速度は速いものになってきてしまっており、解像性の高い最近のフォトレジスト組成物は、むしろエッチング耐性が弱くなる傾向にある。
【0005】
このことから、より薄くよりエッチング耐性の弱いフォトレジスト膜で被加工基板をドライエッチング加工しなければならないことになり、この加工工程における材料及びプロセスの確保は急務になってきている。
【0006】
このような問題点を解決する方法の一つとして、多層レジスト法がある。この方法は、フォトレジスト膜(即ち、レジスト上層膜)とエッチング選択性が異なるレジスト下層膜をレジスト上層膜と被加工基板の間に介在させ、レジスト上層膜にパターンを得た後、レジスト上層膜パターンをドライエッチングマスクとして、ドライエッチングによりレジスト下層膜にパターンを転写し、更にレジスト下層膜をドライエッチングマスクとして、ドライエッチングにより被加工基板にパターンを転写する方法である。
【0007】
多層レジスト法の一つに、単層レジスト法で使用されている一般的なレジスト組成物を用いて行うことができる3層レジスト法がある。この3層レジスト法では、例えば、被加工基板上にノボラック樹脂等による有機膜をレジスト下層膜として成膜し、その上にケイ素含有レジスト中間膜をレジスト中間膜として成膜し、その上に通常の有機系フォトレジスト膜をレジスト上層膜として形成する。フッ素系ガスプラズマによるドライエッチングを行う際には、有機系のレジスト上層膜は、ケイ素含有レジスト中間膜に対して良好なエッチング選択比が取れるため、レジスト上層膜パターンはフッ素系ガスプラズマによるドライエッチングによりケイ素含有レジスト中間膜に転写することができる。この方法によれば、直接被加工基板を加工するための十分な膜厚を持ったパターンを形成することが難しいレジスト組成物や、基板の加工に十分なドライエッチング耐性を持たないレジスト組成物を用いても、ケイ素含有レジスト中間膜(レジスト中間膜)にパターンを転写することができ、続いて酸素系又は水素系ガスプラズマによるドライエッチングによるパターン転写を行えば、基板の加工に十分なドライエッチング耐性を持つノボラック樹脂等による有機膜(レジスト下層膜)のパターンを得ることができる。上述のようなレジスト下層膜としては、例えば特許文献1に記載のものなど、すでに多くのものが公知となっている。
【0008】
一方、近年においては、DRAMメモリの微細化が加速しており、さらなるドライエッチング耐性の改善と、優れた埋め込み特性及び平坦化特性を有するレジスト下層膜の必要性が高まってきている。埋め込み特性及び平坦化特性に優れた塗布型レジスト下層膜材料としては、例えば特許文献2に記載のものなどが報告されている。また、酸素濃度1容量%以下の雰囲気下で450~800℃の温度で熱処理することで、レジスト下層膜材料のドライエッチング耐性が改善することが特許文献3で報告されている。しかしながら、先端世代での適用を見据えた場合、レジスト下層膜材料ではドライエッチング耐性に懸念があり、従来の塗布型レジスト下層膜材料の適用限界が近づいている。
【0009】
上記課題に対して、レジスト下層膜に金属元素を含む材料を用いた開発が検討されている。特許文献4では、Ti化合物を用いた材料がCHF/CF系ガスおよびCO/N系ガスに対して優れたドライエッチング耐性を示すことを報告している。
【0010】
一方、金属化合物をレジスト下層膜に用いる際の課題としては、埋め込み性が挙げられる。特許文献4では埋め込み性に関して言及されていないが、一般的に金属化合物は、ベーク時の熱収縮が大きく、高温ベーク後には充填性の著しい劣化を誘発するため、高度な平坦化特性・埋め込み特性と耐熱特性が要求されるレジスト下層膜材料としては不十分である懸念がある。
【0011】
特許文献5および6では、特定の配位子で修飾した金属化合物が埋め込み性に優れることを報告しているが、実施されている埋め込み性評価のベーク温度が150℃と低温であり、耐熱性(例えば、レジスト下層膜形成後に施されることがある熱処理に対する特性)が必要とされるレジスト下層膜としては不十分である懸念がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004-205685号公報
【特許文献2】特許6714493号公報
【特許文献3】特許6711104号公報
【特許文献4】特許6189758号公報
【特許文献5】特許6786391号公報
【特許文献6】特許7050137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、埋め込み性とドライエッチング耐性を高次元に両立した金属を含有したレジスト下層膜形成方法およびこれを用いたパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明では、レジスト下層膜形成方法であって、
金属-酸素共有結合を有する金属化合物と有機溶媒とを含むレジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
前記塗布された基板を酸素濃度が1体積%未満の雰囲気中、450℃以上800℃以下の温度で加熱する加熱工程と、を備え、
前記金属化合物として下記一般式(a-1)~(a-4)、(b-1)~(b-4)、及び(c-1)~(c-3)で示される架橋基を少なくとも1つ以上含むものを用いるレジスト下層膜形成方法を提供する。
【化1】
(一般式(a-1)~(a-4)中、Rは水素原子または炭素数1~10の1価の有機基であり、qは0または1を表し、*は結合部を表す。)
【化2】
(一般式(b-1)~(b-4)中、Rは水素原子またはメチル基であり、同一式中それらは互いに同一でも異なっていてもよく、Rは水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20の飽和または不飽和の1価の有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基であり、*は結合部を表す。)
【化3】
(一般式(c-1)~(c-3)中、Yは炭素数1~20の2価の有機基であり、Rは水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20の飽和または炭素数2~20の不飽和の2価の有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基であり、Rは下記一般式(1)で表される酸、及び熱のいずれか、または両方の作用により保護基が脱離して1個以上の水酸基もしくはカルボキシ基を発生する有機基であり、*は結合部を表す。)
【化4】
(一般式(1)中、Rは酸、及び熱のいずれか、または両方の作用により保護基が脱離する有機基であり、*はYとの結合部を表す。)
【0015】
このようなレジスト下層膜形成方法であれば、埋め込み性に優れた金属含有材料のドライエッチング耐性を大きく向上させることが可能であり、従来技術では達成困難であった埋め込み性とドライエッチング耐性を高次元に両立した金属を含有したレジスト下層膜を形成することができる。
【0016】
また、本発明では、前記酸素濃度を0.1体積%以下とすることが好ましい。
【0017】
このような酸素濃度にすることで、レジスト下層膜の埋め込み性を損なうことなく、ドライエッチング耐性を向上させることができる。
【0018】
また、本発明では、前記温度を500℃以上600℃以下とすることが好ましい。
【0019】
このような温度で加熱することで、レジスト下層膜の埋め込み性を損なうことなく、ドライエッチング耐性を向上させることができる。
【0020】
また、本発明では、前記金属化合物に含まれる金属を、チタン、ジルコニウム、ハフニウム又はこれらの組み合わせとすることが好ましい。
【0021】
上記金属を含むことで、基板加工時のドライエッチング耐性をより向上させることができる。
【0022】
また、本発明では、前記金属化合物として、さらに下記一般式(2)で示されるケイ素化合物に由来する配位子を含むものを用いることが好ましい。
【化5】
(一般式(2)中、R3A、R3B及びR3Cは、下記一般式(d-1)~(d-3)で示される構造のいずれかの架橋基を有する炭素数2~30の有機基、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基、及び炭素数6~20のアリール基から選択される有機基のいずれかである。)
【化6】
(一般式(d-1)~(d-3)中、Rは水素原子または炭素数1~10の1価の有機基であり、qは0または1を表し、*は結合部を表す。)
【0023】
前記ケイ素含有化合物を含む金属化合物を用いたレジスト下層膜形成方法であれば、より埋め込み性に優れたレジスト下層膜を形成することが可能である。
【0024】
また、本発明では、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(I-1)被加工基板上に、上記に記載のレジスト下層膜形成方法によりレジスト下層膜を形成する工程、
(I-2)前記レジスト下層膜上に、ケイ素含有レジスト中間膜を形成する工程、
(I-3)前記ケイ素含有レジスト中間膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(I-4)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(I-5)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記ケイ素含有レジスト中間膜にパターンを転写する工程、
(I-6)前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト下層膜にパターンを転写する工程、及び
(I-7)前記パターンが形成されたレジスト下層膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有するパターン形成方法を提供する。
【0025】
上記パターン形成方法により、被加工体に微細なパターンを高精度で形成することができる。
【0026】
また、本発明では、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(II-1)被加工基板上に、上記に記載のレジスト下層膜形成方法によりレジスト下層膜を形成する工程、
(II-2)前記レジスト下層膜上に、ケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜を形成する工程、
(II-3)前記無機ハードマスク中間膜上に、有機薄膜を形成する工程、
(II-4)前記有機薄膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(II-5)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(II-6)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記有機薄膜及び前記無機ハードマスク中間膜にパターンを転写する工程、
(II-7)前記パターンが転写された無機ハードマスク中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト下層膜にパターンを転写する工程、及び
(II-8)前記パターンが形成されたレジスト下層膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有するパターン形成方法を提供する。
【0027】
上記パターン形成方法により、被加工体に微細なパターンを高精度で形成することができる。
【0028】
また、本発明では、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(III-1)被加工基板上に、上記に記載のレジスト下層膜形成方法によりレジスト下層膜を形成する工程、
(III-2)前記レジスト下層膜上に、有機中間膜を形成する工程、
(III-3)前記有機中間膜上に、ケイ素含有レジスト中間膜または、ケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜と有機薄膜の組み合わせを形成する工程、
(III-4)前記ケイ素含有レジスト中間膜または前記有機薄膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(III-5)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(III-6)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングでケイ素含有レジスト中間膜または前記有機薄膜及び前記無機ハードマスク中間膜にパターンを転写する工程、
(III-7)前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜または無機ハードマスク中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記有機中間膜にパターンを転写する工程、
(III-8)前記パターンが転写された有機中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト下層膜にパターンを転写する工程、及び
(III-9)前記パターンが形成されたレジスト下層膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有するパターン形成方法を提供する。
【0029】
上記パターン形成方法により、被加工体に微細なパターンを高精度で形成することができる。
【0030】
また、本発明では、レジスト下層膜形成方法であって、
周期表第3族~第15族の第3周期~第7周期に属する金属を含むレジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
前記塗布された基板を酸素濃度が1体積%未満の雰囲気中、450℃以上800℃以下の温度で加熱する加熱工程と、を備えるレジスト下層膜形成方法を提供する。
【0031】
このようなレジスト下層膜形成方法であれば、埋め込み性に優れた金属含有材料のドライエッチング耐性を大きく向上させることが可能であり、従来技術では達成困難であった埋め込み性とドライエッチング耐性を高次元に両立した金属を含有したレジスト下層膜を形成することができる。
【0032】
この時、前記レジスト下層膜形成用組成物として、金属-酸素共有結合を有する金属化合物または金属-炭素共有結合を有する金属化合物、を含むものを用いることが好ましい。
【0033】
このようなレジスト下層膜形成方法であれば、従来技術では達成困難であった埋め込み性とドライエッチング耐性を高次元に両立したレジスト下層膜を形成することができる。
【発明の効果】
【0034】
以上説明したように、本発明のレジスト下層膜形成方法、及びパターン形成方法は、段差、凹凸のある被加工基板の埋め込み/平坦化を含む、多層レジストプロセスに特に好適に用いられ、半導体装置製造用の微細パターニングにおいて極めて有用である。特に、半導体装置製造工程における多層レジスト法を用いた微細パターニングプロセスにおいて、微細化の進むDRAMメモリに代表される高アスペクト比の微細パターン構造の密集部など、埋め込み/平坦化が困難な部分を有する被加工基板上であっても、ボイドや剥がれ等の不良を生じることなく埋め込むことが可能であり、平坦特性に優れたレジスト下層膜を形成することができる。また、従来のレジスト下層膜形成方法に対して優れたエッチング耐性を示し、特に、酸素濃度が1体積%未満の雰囲気中、450℃以上800℃以下の温度で加熱することで、その効果を発揮することができる。このため、被加工体に微細なパターンをより一層高精度で形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、本発明のパターン形成方法の一例(3層レジストプロセス)の説明図である。
図2図2は、埋め込み特性評価方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
上述のように、多層レジスト法を用いた微細パターニングプロセスにおいて、より高精度でレジストパターンを被加工基板に転写できるレジスト下層膜形成方法および該レジスト下層膜形成方法を用いたパターン形成方法の開発が求められていた。
【0037】
一般的に金属酸化物化合物は、ベーク時の熱収縮が大きく、高温ベーク後には充填性の著しい劣化を誘発するため、高度な平坦化特性・埋め込み特性と耐熱特性が要求されるレジスト下層膜材料としては不十分である懸念がある特許文献5では、埋め込み性に優れた金属含有材料が報告されているが、有機成分を多く含むため、金属材料の強みである基板加工時のドライエッチング耐性が不十分であると考える。金属材料の埋め込み性とドライエッチング耐性はトレードオフの関係であり、ブレイクスルーが必要であった。本発明者らは、段差を埋め込んだ後の金属含有膜中に含まれる炭素結合の乖離と再結合を促進することで、埋め込み性を劣化させることなく、ドライエッチング耐性を向上できないかと想定し、鋭意検討を重ねた。その結果、金属含有レジスト下層膜を、酸素濃度が1体積%未満の雰囲気中、450℃以上800℃以下の温度で加熱を行うレジスト下層膜形成方法であれば、レジスト下層膜の埋め込み性を損なうことなく、基板加工時のドライエッチング耐性が大きく向上することを見出し、本発明を完成させた。
【0038】
即ち、本発明は、レジスト下層膜形成方法であって、
金属-酸素共有結合を有する金属化合物と有機溶媒とを含むレジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
前記塗布された基板を酸素濃度が1体積%未満の雰囲気中、450℃以上800℃以下の温度で加熱する加熱工程と、を備え、
前記金属化合物として下記一般式(a-1)~(a-4)、(b-1)~(b-4)、及び(c-1)~(c-3)で示される架橋基を少なくとも1つ以上含むものを用いるレジスト下層膜形成方法である。
【化7】
(一般式(a-1)~(a-4)中、Rは水素原子または炭素数1~10の1価の有機基であり、qは0または1を表し、*は結合部を表す。)
【化8】
(一般式(b-1)~(b-4)中、Rは水素原子またはメチル基であり、同一式中それらは互いに同一でも異なっていてもよく、Rは水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20の飽和または不飽和の1価の有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基であり、*は結合部を表す。)
【化9】
(一般式(c-1)~(c-3)中、Yは炭素数1~20の2価の有機基であり、Rは水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20の飽和または炭素数2~20の不飽和の2価の有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基であり、Rは下記一般式(1)で表される酸、及び熱のいずれか、または両方の作用により保護基が脱離して1個以上の水酸基もしくはカルボキシ基を発生する有機基であり、*は結合部を表す。)
【化10】
(一般式(1)中、Rは酸、及び熱のいずれか、または両方の作用により保護基が脱離する有機基であり、*はYとの結合部を表す。)
【0039】
また、本発明は、レジスト下層膜形成方法であって、
周期表第3族~第15族の第3周期~第7周期に属する金属を含むレジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
前記塗布された基板を酸素濃度が1体積%未満の雰囲気中、450℃以上800℃以下の温度で加熱する加熱工程と、を備えるレジスト下層膜形成方法である。
【0040】
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0041】
<レジスト下層膜形成方法>
本発明は、レジスト下層膜形成方法であって、
周期表第3族~第15族の第3周期~第7周期に属する金属を含むレジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
前記塗布された基板を酸素濃度が1体積%未満の雰囲気中、450℃以上800℃以下の温度で加熱する加熱工程と、を備えるレジスト下層膜形成方法である。
【0042】
このようなレジスト下層膜形成方法であれば、埋め込み性を損なうことなく、基板加工時のエッチング耐性に優れたレジスト下層膜を形成することができる。
【0043】
この時、前記レジスト下層膜形成用組成物として、金属-酸素共有結合を有する金属化合物または金属-炭素共有結合を有する金属化合物、を含むものを用いることが好ましい。
【0044】
このようなレジスト下層膜形成方法であれば、従来技術では達成困難であった埋め込み性とドライエッチング耐性を高次元に両立したレジスト下層膜を形成することができる。
【0045】
また、本発明は、レジスト下層膜形成方法であって、
金属-酸素共有結合を有する金属化合物と有機溶媒とを含むレジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
前記塗布された基板を酸素濃度が1体積%未満の雰囲気中、450℃以上800℃以下の温度で加熱する加熱工程と、を備え、
前記金属化合物として下記一般式(a-1)~(a-4)、(b-1)~(b-4)、及び(c-1)~(c-3)で示される架橋基を少なくとも1つ以上含むものを用いるレジスト下層膜形成方法である。
【化11】
(一般式(a-1)~(a-4)中、Rは水素原子または炭素数1~10の1価の有機基であり、qは0または1を表し、*は結合部を表す。)
【化12】
(一般式(b-1)~(b-4)中、Rは水素原子またはメチル基であり、同一式中それらは互いに同一でも異なっていてもよく、Rは水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20の飽和または不飽和の1価の有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基であり、*は結合部を表す。)
【化13】
(一般式(c-1)~(c-3)中、Yは炭素数1~20の2価の有機基であり、Rは水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20の飽和または炭素数2~20の不飽和の2価の有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基であり、Rは下記一般式(1)で表される酸、及び熱のいずれか、または両方の作用により保護基が脱離して1個以上の水酸基もしくはカルボキシ基を発生する有機基であり、*は結合部を表す。)
【化14】
(一般式(1)中、Rは酸、及び熱のいずれか、または両方の作用により保護基が脱離する有機基であり、*はYとの結合部を表す。)
【0046】
このようなレジスト下層膜形成方法であれば、埋め込み性を損なうことなく、基板加工時のエッチング耐性に優れたレジスト下層膜を形成することができる。
【0047】
加熱時の酸素濃度としては1体積%未満の雰囲気中であり、0.1体積%以下が好ましく、0.01体積%以下がより好ましく、0.005体積%以下がさらに好ましい。
【0048】
上記酸素濃度で熱処理を行うことで、レジスト下層膜の急激な体積収縮を抑制でき、温和にレジスト下層膜中の有機成分を除去できるため、埋め込み性を損なうことなく、ドライエッチング耐性を向上させることができる。また、被加工基板が空気酸化を受け易い場合であっても、酸素濃度1体積%未満の雰囲気で熱処理してレジスト下層膜を形成することにより、基板ダメージを抑制可能である。
【0049】
レジスト下層膜のベーク温度は、450℃以上800℃以下の温度であり、450℃以上650℃以下の温度が好ましく、500℃以上600℃以下の温度が更に好ましい。ベーク時間は10秒から7,200秒間の範囲が好ましく、30秒から600秒間の範囲が更に好ましい。
【0050】
ベーク温度及び時間を上記範囲の中で適宜調整することにより、用途に適した平坦化・埋込特性、またドライエッチング耐性や耐熱特性などの硬化特性を得ることができる。450℃以上800℃以下の温度範囲内でベークを行うことで、レジスト下層膜中の有機成分が分解し、金属酸化膜への改質が促進されやすくなるため、ドライエッチング耐性に優れたレジスト下層膜を形成することができる。ベーク温度が450℃未満では、膜中の有機成分を低減できない。ベーク温度が800℃を超えると、金属含有膜の結晶化を抑制できない。加熱は複数に分けて行う(ステップベーク)ことも可能である。
【0051】
<レジスト下層膜形成用組成物>
本発明のレジスト下層膜形成方法に用いるレジスト下層膜形成用組成物は、周期表第3族~第15族の第3周期~第7周期に属する金属を含むレジスト下層膜形成用組成物である。
【0052】
周期表第3族~第15族の第3周期~第7周期に属する金属としては、
第3族の金属としては、例えばスカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム等が、
第4族の金属としては、例えばチタン、ジルコニウム、ハフニウム等が、
第5族の金属としては、例えばバナジウム、ニオブ、タンタル等が、
第6族の金属としては、例えばクロム、モリブデン、タングステン等が、
第7族の金属としては、マンガン、レニウム等が、
第8族の金属としては、鉄、ルテニウム、オスミウム等が、
第9族の金属としては、コバルト、ロジウム、イリジウム等が、
第10族の金属としては、ニッケル、パラジウム、白金等が、
第11族の金属としては、銅、銀、金等が、
第12族の金属としては、亜鉛、カドミウム、水銀等が、
第13族の金属としては、アルミニウム、ガリウム、インジウム等が、
第14族の金属としては、ゲルマニウム、スズ、鉛等が、
第15族の金属としては、アンチモン、ビスマス等が挙げられる。
【0053】
第4族~第6族、第13族~第15族の金属がより好ましく、チタン、ジルコニウム、ハフニウムがさらに好ましい。
【0054】
このようなレジスト下層膜形成用組成物であれば、極めて優れたドライエッチング耐性を示すレジスト下層膜を提供することができる。本発明のレジスト下層膜形成方法であれば、レジスト下層膜の埋め込み性を劣化させることなく、ドライエッチング耐性を向上させることができる。
【0055】
この時、前記レジスト下層膜形成用組成物として、金属-酸素共有結合を有する金属化合物または金属-炭素共有結合を有する金属化合物、を含むものを用いることが好ましい。
【0056】
このようなレジスト下層膜形成方法であれば、従来技術では達成困難であった埋め込み性とドライエッチング耐性を高次元に両立したレジスト下層膜を形成することができる。
【0057】
また、本発明のレジスト下層膜形成方法に用いるレジスト下層膜形成用組成物は、(A)金属化合物及び(B)有機溶剤を含有するレジスト下層膜形成用組成物である。
【0058】
このようなレジスト下層膜形成用組成物であれば、熱流動性と熱硬化性を高度に両立した金属化合物を含むため、高度な埋め込み/平坦化特性を示すとともに、高温ベーク処理を行うことで極めて優れたドライエッチング耐性を示すレジスト下層膜を提供することができる。耐熱特性に優れたレジスト下層膜を形成できるため、高温ベーク処理により埋め込み特性を劣化させることなく、ドライエッチング耐性を向上させることができる。
【0059】
[(A)金属化合物]
本発明のレジスト下層膜形成方法に用いるレジスト下層膜形成用組成物に含まれる金属化合物は、金属-酸素共有結合を有し、下記一般式(a-1)~(a-4)、(b-1)~(b-4)、及び(c-1)~(c-3)で示される架橋基を少なくとも1つ以上含むものである。
【化15】
(一般式(a-1)~(a-4)中、Rは水素原子または炭素数1~10の1価の有機基であり、qは0または1を表し、*は結合部を表す。)
【化16】
(一般式(b-1)~(b-4)中、Rは水素原子またはメチル基であり、同一式中それらは互いに同一でも異なっていてもよく、Rは水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20の飽和または不飽和の1価の有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基であり、*は結合部を表す。)
【化17】
(一般式(c-1)~(c-3)中、Yは炭素数1~20の2価の有機基であり、Rは水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20の飽和または炭素数2~20の不飽和の2価の有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基であり、Rは下記一般式(1)で表される酸、及び熱のいずれか、または両方の作用により保護基が脱離して1個以上の水酸基もしくはカルボキシ基を発生する有機基であり、*は結合部を表す。)
【化18】
(一般式(1)中、Rは酸、及び熱のいずれか、または両方の作用により保護基が脱離する有機基であり、*はYとの結合部を表す。)
【0060】
前記金属化合物が金属-酸素共有結合を有するものであることにより、エッチング耐性が高いものとなる。
【0061】
前記金属化合物が上記一般式(a-1)~(a-4)、(b-1)~(b-4)、及び(c-1)~(c-3)で示される架橋基を少なくとも1つ以上含むことで、埋め込み性に優れたレジスト下層膜を形成できる。また、耐熱性に優れたレジスト下層膜を形成することができるため、450℃以上800℃以下の温度範囲内でベークを行うことで、埋め込み性を劣化させることなく、ドライエッチング耐性を向上させることができる。
【0062】
金属化合物に配位している配位子は、上記一般式(a-1)~(a-4)、(b-1)~(b-4)、及び(c-1)~(c-3)で示される架橋基を持つ配位子が1つ以上配位していれば、特に限定されないが、安定性の観点からカルボキシレート、アセチルアセテート、多価アルコールなどが好ましい。
【0063】
上記一般式(a-1)~(a-4)で示される架橋基を含む配位子の例として、具体的には下記の化合物を例示できるがこれらに限定されない。
【化19】
(上記式中、R1Aは置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基、及び炭素数6~20のアリール基から選択される有機基のいずれかを表す。)
【0064】
【化20】
【0065】
【化21】
(上記式中、XおよびXは炭素数1~20の炭化水素基または炭素数1~20のアルコキシ基を表す。)
【0066】
【化22】
(上記式中、XおよびXは炭素数1~20の炭化水素基または炭素数1~20のアルコキシ基を表す。)
【0067】
【化23】
(上記式中、R1Aは置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基、及び炭素数6~20のアリール基から選択される有機基のいずれかを表し、XおよびXは炭素数1~20の炭化水素基または炭素数1~20のアルコキシ基を表す。)
【0068】
【化24】
(上記式中、R1Aは置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基、及び炭素数6~20のアリール基から選択される有機基のいずれかを表し、Rは水素原子または炭素数1~10の1価の有機基を表す。)
【0069】
【化25】
【0070】
【化26】
(上記式中、XおよびXは炭素数1~20の炭化水素基または炭素数1~20のアルコキシ基を表す。)
【0071】
【化27】
(上記式中、XおよびXは炭素数1~20の炭化水素基または炭素数1~20のアルコキシ基を表す。)
【0072】
【化28】
(上記式中、XおよびXは炭素数1~20の炭化水素基または炭素数1~20のアルコキシ基を表す。)
【0073】
【化29】
(上記式中、Yは炭素数1~10の2価の有機基である。)
【0074】
上記一般式(b-1)~(b-4)で示される架橋基を含む配位子の例として、具体的には下記の化合物を例示できるがこれらに限定されない。
【0075】
【化30】
(上記式中、Rは水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20の飽和または不飽和の1価の有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基である。)
【0076】
【化31】
(上記式中、Rは水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20の飽和または不飽和の1価の有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基であり、XおよびXは炭素数1~20の炭化水素基または炭素数1~20のアルコキシ基を表し、Yは炭素数1~10の2価の有機基である。)
【0077】
上記一般式(c-1)~(c-3)で示される架橋基を含む配位子の例として、具体的には下記の化合物を例示できるがこれらに限定されない。
【化32】
【0078】
上記一般式(c-1)~(c-3)では、酸、及び熱のいずれか、または両方の作用により保護基が脱離して発生する1個以上の水酸基もしくはカルボキシ基が架橋基として機能する。
【0079】
上記金属化合物に含まれる金属を、チタン、ジルコニウム、ハフニウム又はこれらの組み合わせとすることが好ましい。
【0080】
レジスト下層膜形成用組成物が上記金属を含む金属化合物を含有することで、基板加工時のドライエッチング耐性をより向上させることができる。
【0081】
前記金属化合物として、さらに下記一般式(2)で示されるケイ素化合物に由来する配位子を含むものを用いることが好ましい。
【化33】
(一般式(2)中、R3A、R3B及びR3Cは、下記一般式(d-1)~(d-3)で示される構造のいずれかの架橋基を有する炭素数2~30の有機基、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基、及び炭素数6~20のアリール基から選択される有機基のいずれかである。)
【化34】
(一般式(d-1)~(d-3)中、Rは水素原子または炭素数1~10の1価の有機基であり、qは0または1を表し、*は結合部を表す。)
【0082】
上記一般式(2)中、R3A、R3B及びR3Cは、上記一般式(d-1)~(d-3)で示される構造のいずれかの架橋基を有する炭素数2~30の有機基、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基、及び炭素数6~20のアリール基から選択される有機基のいずれかであり、上記一般式(d-1)~(d-3)で示される構造のいずれかの架橋基を有する炭素数2~30の有機基または非置換の炭素数1~10のアルキル基がより好ましい。非置換の炭素数1~10のアルキル基の中では、メチル基またはエチル基がより好ましい。
【0083】
上記一般式(d-1)から(d-3)中、Rはそれぞれ独立に水素原子または炭素数1~10の1価の有機基であり、qはそれぞれ独立に0または1を表す。
【0084】
上記金属化合物が上記一般式(2)で示されるケイ素化合物に由来する配位子を含むことで、レジスト下層膜形成用組成物中における金属化合物の安定性が向上し、レジスト下層膜形成用組成物の流動性を向上させることができる。
【0085】
熱硬化性の観点から、上記一般式(2)で示されるケイ素化合物に由来する配位子が、下記一般式(2A)で示される構造のいずれかであることがより好ましい。
【化35】
(一般式(2A)中、R3D及びR3Eは置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基、及び炭素数6~20のアリール基から選択される有機基であり、Rは上記と同様であり、sは1~10である。)
【0086】
上記一般式(2A)中、R3D及びR3Eは原材料入手の観点からメチル基であることがより好ましい。
【0087】
前記金属化合物中、上記一般式(a-1)~(a-4)、(b-1)~(b-4)、及び(c-1)~(c-3)で示される架橋基を含む配位子に加えて、ケイ素化合物に由来する配位子にも架橋基が含まれる場合、上記レジスト下層膜形成用組成物の熱硬化性をさらに向上させることができ、これをレジスト下層膜形成用組成物に用いた場合、埋め込み/平坦化特性に優れたレジスト下層膜を形成することが可能となる。
【0088】
上記金属化合物は、上記一般式(a-1)~(a-4)、(b-1)~(b-4)、及び(c-1)~(c-3)で示される架橋基を含む配位子を1つ以上有していれば、金属原子に構造の異なる複数の配位子またはケイ素化合物に由来する配位子が修飾されていても問題なく、要求特性に応じて適宜調整することができる。また、上記金属化合物は、上記一般式(a-1)~(a-4)、(b-1)~(b-4)、及び(c-1)~(c-3)で示される架橋基を含む配位子およびケイ素化合物に由来する配位子以外の配位子を有していてもよい。例えば、炭素数1~10のアルキル基に由来する配位子を含んでいてもよい。
【0089】
上記金属化合物中、上記一般式(a-1)~(a-4)、(b-1)~(b-4)、及び(c-1)~(c-3)で示される架橋基を含む配位子の含有量は、金属原子に配位する配位子の合計の10モル%から100モル%の含有量が好ましく、20モル%から80モル%がより好ましい。ケイ素化合物に由来する配位子は、金属原子に配位する配位子の合計の0モル%から90モル%の含有量が好ましく、20モル%から80モル%がより好ましい。上記一般式(a-1)~(a-4)、(b-1)~(b-4)、及び(c-1)~(c-3)で示される架橋基を含む配位子およびケイ素化合物に由来する配位子以外の配位子、例えば炭素数1~10のアルキル基に由来する配位子は、金属原子に配位する配位子の合計の0モル%から50モル%の含有量が好ましく、0モル%から20モル%の含有量がより好ましい。
【0090】
以下、上記(A)金属化合物以外の本発明のレジスト下層膜形成方法に用いるレジスト下層膜形成用組成物に含まれる成分について説明する。
【0091】
<(B)有機溶剤>
本発明のレジスト下層膜形成方法に用いるレジスト下層膜形成用組成物において使用可能な(B)有機溶剤としては、上記の(A)金属化合物、及び含まれる場合には後述の(C)架橋剤、(E)界面活性剤、(F)酸発生剤、その他添加剤等が溶解又は分散するものであれば特に制限はない。
【0092】
具体的には、特開2007-199653号公報中の[0091]~[0092]段落に記載されている有機溶剤を添加することができる。さらに具体的には、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、2-ヘプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びγ-ブチロラクトン、またはこれらのうち1種以上を含む混合物が好ましく用いられる。
【0093】
有機溶剤の配合量は、(A)金属化合物100質量部に対して好ましくは200~10,000質量部、より好ましくは250~5,000質量部の範囲である。
【0094】
前記レジスト下層膜形成用組成物は、1種類以上の上記(A)金属化合物及び(B)有機溶剤を含有するものであればよく、必要に応じて(C)架橋剤、(E)界面活性剤、および(F)酸発生剤を含んでいてもよい。
以下、上記(A)金属化合物以外の本発明のレジスト下層膜形成方法に用いるレジスト下層膜形成用組成物に含まれる成分について説明する。
【0095】
<(B1)高沸点溶剤>
本発明のレジスト下層膜形成方法に用いるレジスト下層膜形成用組成物では、前記(B)有機溶剤を沸点が180℃未満の有機溶剤1種以上と、沸点が180℃以上の有機溶剤((B1)高沸点溶剤)1種以上との混合物として用いてもよい。
【0096】
(B1)高沸点溶剤としては、本発明のレジスト下層膜形成方法に用いるレジスト下層膜形成用組成物の各成分を溶解又は分散できるものであれば、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、塩素系溶剤等の制限は特にはないが、具体例として1-オクタノール、2-エチルヘキサノール、1-ノナノール、1-デカノール、1-ウンデカノール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、2,4-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2,4-ヘプタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン、酢酸n-ノニル、モノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリアセチン、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールメチル-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1,4―ブタンジオールジアセテート、1,3―ブチレングリコールジアセテート、1,6-ヘキサンジオールジアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、γ-ブチロラクトン、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、マロン酸ジヘキシル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジプロピル、コハク酸ジブチル、コハク酸ジヘキシル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジブチルなどを例示することができ、これらを単独又は混合して用いてもよい。
【0097】
(B1)高沸点溶剤は、本発明のレジスト下層膜形成方法に用いるレジスト下層膜形成用組成物を熱処理する温度等に合わせて、例えば上記のものから適宜選択すればよい。高沸点溶剤の沸点は180℃~300℃であることが好ましく、200℃~300℃であることが更に好ましい。このような沸点であれば、ベーク(熱処理)した際の揮発が速くなりすぎる恐れがないため、成膜時に十分な熱流動性を得ることができ、埋め込み/平坦化特性に優れるレジスト下層膜を形成することができるものと考えられる。また、このような沸点であれば、ベーク後も揮発することなく膜中に残存してしまうことがないため、エッチング耐性等の膜物性に悪影響を及ぼす恐れがない。
【0098】
また、(B1)高沸点溶剤を使用する場合の配合量は、沸点180℃未満の有機溶剤100質量部に対して1~30質量部とすることが好ましい。このような配合量であればベーク時に十分な熱流動性を付与することができ、膜中に残存せずエッチング耐性等の膜物性の劣化につながらないため、好ましい。
【0099】
[(C)架橋剤]
また、本発明のレジスト下層膜形成方法に用いるレジスト下層膜形成用組成物には、金属化合物の硬化性を高め、レジスト上層膜とのインターミキシングを更に抑制するために、更に(C)架橋剤を含有することもできる。(C)架橋剤としては、特に限定されることはなく、公知の種々の系統の架橋剤を広く用いることができる。一例として、メラミン系架橋剤、アクリレート系架橋剤、グリコールウリル系架橋剤、ベンゾグアナミン系架橋剤、ウレア系架橋剤、β-ヒドロキシアルキルアミド系架橋剤、イソシアヌレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、フェノール系架橋剤(例えば多核フェノール類のメチロールまたはアルコキシメチル型架橋剤)を例示できる。前記(C)架橋剤の含有量は、前記(A)金属化合物の100質量部に対して5~50質量部が好ましく、より好ましくは10~40質量部である。
【0100】
メラミン系架橋剤として、具体的には、ヘキサメトキシメチル化メラミン、ヘキサブトキシメチル化メラミン、これらのアルコキシ及び/又はヒドロキシ置換体、及びこれらの部分自己縮合体を例示できる。
アクリレート系架橋剤として、具体的には、ジペンタエリトリトールヘキサアクリラートを例示できる。
グリコールウリル系架橋剤として、具体的には、テトラメトキシメチル化グリコールウリル、テトラブトキシメチル化グリコールウリル、これらのアルコキシ及び/又はヒドロキシ置換体、及びこれらの部分自己縮合体を例示できる。
ベンゾグアナミン系架橋剤として、具体的には、テトラメトキシメチル化ベンゾグアナミン、テトラブトキシメチル化ベンゾグアナミン、これらのアルコキシ及び/又はヒドロキシ置換体、及びこれらの部分自己縮合体を例示できる。
ウレア系架橋剤として、具体的には、ジメトキシメチル化ジメトキシエチレンウレア、このアルコキシ及び/又はヒドロキシ置換体、及びこれらの部分自己縮合体を例示できる。
β-ヒドロキシアルキルアミド系架橋剤として具体的には、N,N,N’,N’-テトラ(2-ヒドロキシエチル)アジピン酸アミドを例示できる。
イソシアヌレート系架橋剤として具体的には、トリグリシジルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートを例示できる。
アジリジン系架橋剤として具体的には、4,4’-ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、2,2-ビスヒドロキシメチルブタノール-トリス[3-(1-アジリジニル)プロピオナート]を例示できる。
オキサゾリン系架橋剤として具体的には、2,2’-イソプロピリデンビス(4-ベンジル-2-オキサゾリン)、2,2’-イソプロピリデンビス(4-フェニル-2-オキサゾリン)、2,2’-メチレンビス-4,5-ジフェニル-2-オキサゾリン、2,2’-メチレンビス-4-フェニル-2-オキサゾリン、2,2’-メチレンビス-4-tertブチル-2-オキサゾリン、2,2’-ビス(2-オキサゾリン)、1,3-フェニレンビス(2-オキサゾリン)、1,4-フェニレンビス(2-オキサゾリン)、2-イソプロペニルオキサゾリン共重合体を例示できる。
エポキシ系架橋剤として具体的には、ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ポリ(メタクリル酸グリシジル)、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテルを例示できる。
【0101】
多核フェノール系架橋剤としては、具体的には下記一般式(XL-1)で示される化合物を例示することができる。
【化36】
(一般式(XL-1)中、Qは単結合、又は、炭素数1~20のq’価の炭化水素基である。R’は水素原子、又は、炭素数1~20のアルキル基である。q’は1~5の整数である。)
【0102】
Qは単結合、又は、炭素数1~20のq’価の炭化水素基である。q’は1~5の整数であり、2または3であることがより好ましい。Qとしては具体的には、メタン、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルペンタン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、エチルイソプロピルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン、メチルナフタレン、エチルナフタレン、エイコサンからq’個の水素原子を除いた基を例示できる。R’は水素原子、又は、炭素数1~20のアルキル基である。炭素数1~20のアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、エチルヘキシル基、デシル基、エイコサニル基を例示でき、水素原子またはメチル基が好ましい。
【0103】
上記一般式(XL-1)で示される化合物の例として、具体的には下記の化合物を例示できる。この中でもレジスト下層膜の硬化性および膜厚均一性向上の観点からトリフェノールメタン、トリフェノールエタン、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼンのヘキサメトキシメチル化体が好ましい。R’は前記と同じである。
【化37】
【0104】
【化38】
【0105】
<(E)界面活性剤>
本発明のレジスト下層膜形成方法に用いるレジスト下層膜形成用組成物には、スピンコーティングにおける塗布性を向上させるために(E)界面活性剤を添加することができる。(E)界面活性剤としては、例えば、特開2009-269953号公報中の[0142]~[0147]段落に記載のものを用いることができる。(E)界面活性剤を添加する場合の添加量は、上記(A)金属化合物100質量部に対して好ましくは0.01~10質量部、より好ましくは0.05~5質量部である。
【0106】
<(F)酸発生剤>
本発明のレジスト下層膜形成方法に用いるレジスト下層膜形成用組成物においては、上記(A)金属化合物の硬化反応を更に促進させるために(F)酸発生剤を添加することができる。(F)酸発生剤は熱分解によって酸を発生するものや、光照射によって酸を発生するものがあるが、いずれのものも添加することができる。具体的には、特開2007-199653号公報中の[0061]~[0085]段落に記載されている材料を添加することができるがこれらに限定されない。
【0107】
上記(F)酸発生剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。(F)酸発生剤を添加する場合の添加量は、上記(A)金属化合物100質量部に対して好ましくは0.05~50質量部、より好ましくは0.1~10質量部である。
【0108】
<その他添加剤>
また、本発明のレジスト下層膜形成方法に用いるレジスト下層膜形成用組成物には、埋め込み/平坦化特性を付与するための添加剤として、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール構造を有する液状添加剤、又は30℃から250℃までの間の質量減少率が40質量%以上であり、かつ重量平均分子量が300~200,000である熱分解性重合体が好ましく用いられる。この熱分解性重合体は、下記一般式(DP1)、(DP1a)で示されるアセタール構造を有する繰り返し単位を含有するものであることが好ましい。
【0109】
【化39】
(一般式(DP1)中、Rは水素原子又は置換されていてもよい炭素数1~30の飽和もしくは不飽和の1価の有機基である。Yは炭素数2~30の飽和又は不飽和の2価の有機基である。)
【0110】
【化40】
(一般式(DP1a)中、R6aは炭素数1~4のアルキル基である。Yは炭素数4~10の飽和又は不飽和の2価の炭化水素基であり、エーテル結合を有していてもよい。nは平均繰り返し単位数を表し、3~500である。)
【0111】
<流動性促進剤(BP)>
また、本発明のレジスト下層膜形成方法に用いるレジスト下層膜形成用組成物には、埋め込み/平坦化特性を付与するための添加剤として、流動性促進剤(BP)を添加することができる。前記流動性促進剤(BP)は、下記一般式(3)で示される有機基と芳香環とを有することが好ましい。
【化41】
(一般式(3)中、*は酸素原子への結合部位を表し、Rは炭素数1~10の2価の有機基、Rは水素原子又は炭素数1~10の1価の有機基である。)
【0112】
前記流動性促進剤(BP)が上記一般式(3)の有機基を持つことで、上記レジスト下層膜形成用組成物に熱流動性と熱硬化性を付与することができる。また、前記流動性促進剤(BP)が芳香環を有することで、レジスト下層膜形成用組成物のドライエッチング耐性の劣化を緩和することができる。
【0113】
前記流動性促進剤(BP)は、下記一般式(BP-1)、(BP-2)、(BP-3)、(BP-4)および(BP-5)で示される構成単位を少なくとも1つ有することが好ましい。
(構成単位:BP-1、BP-2およびBP-3)
【化42】
(一般式(BP-1)および(BP-2)中、WとWはそれぞれ独立に、ベンゼン環又はナフタレン環であり、ベンゼン環およびナフタレン環中の水素原子は炭素数1~6の炭化水素基で置換されていてもよい。Rは下記式(4)で示される基である。Yは下記式(5)で示される基である。n1は0又は1であり、n2は1又は2であり、Vはそれぞれ独立に水素原子又は連結部を表す。)
【化43】
(一般式(BP-3)中、Zは下記一般式(6)で示される基あり、Rは下記式(4)で示される基である。n4は0又は1であり、n5は1又は2であり、Vはそれぞれ独立に水素原子又は連結部を表す。)
【化44】
(式(4)中、*は酸素原子との結合部を表す。)
【化45】
(式(5)中、*は結合手を表す。)
【化46】
(一般式(6)中、W、W、Y、n1は前記と同じである。)
【0114】
上記一般式(BP-1)、(BP-2)および(BP-3)で示される構成単位を有する樹脂であれば、カルド構造を含む高炭素密度な縮合炭素環を導入しているため、耐熱性に優れる。上記特徴を有するため、高温ベーク処理を施しても、ボイドを発生することなく段差基板を充填することが可能なレジスト下層膜を形成することができる。また、ドライエッチング耐性にも優れるため、本発明のレジスト下層膜形成方法に用いるレジスト下層膜形成用組成物に添加しても、金属化合物が持つ優れたドライエッチング耐性を大きく劣化させることなく、耐熱性と熱流動性を付与することができる。
【0115】
上記一般式(BP-1)、(BP-2)および(BP-3)で示される構成単位を有する樹脂は、下記一般式(bp-1)、(bp-2)および/または(bp-3)で示される化合物であることができる。
【化47】
(一般式(bp-1)および(bp-2)中、W、W、R、Y、n1、n2は前記と同じである。)
【0116】
上記一般式(bp-1)および(bp-2)中の、W、W、R、Y、n1、n2は、上記一般式(BP-1)及び(BP-2)について説明した通りである。
【0117】
【化48】
(一般式(bp-3)中、Z、R、n4、n5は前記と同じである。)
【0118】
上記一般式(bp-3)中の、Z、R、n4、n5は、上記一般式(BP-3)について説明した通りである。
【0119】
上記一般式(bp-1)、(bp-2)および(bp-3)で示される構成単位を有する樹脂の例として、具体的には下記の化合物を例示できるがこれらに限定されない。
【化49】
(式中、Rは上記と同じである。)
【0120】
上記化合物(bp-1)、(bp-2)および(bp-3)が、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によるポリスチレン換算の重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比率Mw/Mn(即ち、分散度)が、1.00≦Mw/Mn≦1.25の範囲内であることが好ましく、さらに1.00≦Mw/Mn≦1.10であることが好ましい。
【0121】
このような範囲の分散度を有する化合物であれば、レジスト下層膜形成用組成物の熱流動性が更に良好なものとなるため、レジスト下層膜形成用組成物に配合した際に、埋め込み性/平坦化特性により優れたレジスト下層膜形成用組成物を提供することができる。
【0122】
上記一般式(BP-1)、(BP-2)および(BP-3)で示される構成単位を有する樹脂は、下記一般式(bp-4)、(bp-5)および/または(bp-6)で示される繰り返し単位を有する重合体であることができる。
【化50】
(一般式(bp-4)および(bp-5)中、W、W、R、Y、n1、n2は前記と同じであり、Lは炭素数1~40の2価の有機基である。)
【0123】
上記一般式(bp-4)および(bp-5)中の、W、W、R、Y、n1、n2は、上記一般式(BP-1)及び(BP-2)について説明した通りである。
【0124】
【化51】
(一般式(bp-6)中、Z、R、n4、n5は前記と同じであり、Lは炭素数1~40の2価の有機基である。)
【0125】
上記一般式(bp-6)中の、Z、R、n4、n5は、上記一般式(BP-3)について説明した通りである。
【0126】
これらは上記一般式(bp-1)、(bp-2)および(bp-3)で表される化合物を用いて得られる重合体であり、前記化合物を用いているためドライエッチング耐性と耐熱性に優れる。また、単量体ではなく繰り返し単位を有する重合体であるためアウトガス成分が少なく、また、分子量分布を有する重合体であるため結晶性が緩和され成膜性の改善も期待できる。
【0127】
上記一般式(bp-4)、(bp-5)および(bp-6)の繰り返し単位を構成する連結基であるLは炭素数1~40個の2価値の有機基であり具体的には下記などを例示することができる。
【化52】
【0128】
さらに、前記重合体の連結基Lが下記一般式(10)であることが好ましい。
【化53】
(一般式(10)中、R’は水素原子または炭素数6~20の芳香環を含む有機基であり、破線は結合手を表す。)
【0129】
上記一般式(10)としては具体的には下記などを例示することができ、下記の中でも原料の入手の容易さからメチレン基、すなわちR’が水素原子であることが好ましい。
【化54】
【0130】
さらに上記一般式(bp-4)、(bp-5)および(bp-6)で示される繰り返し構造単位を有する重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、1,000~12,000であることが好ましく、さらにMwが2,000~10,000であることが好ましい。
【0131】
このような分子量範囲であれば、有機溶剤への溶解性が確保でき、ベーク時に生じる昇華物を抑制することができる。また、レジスト下層膜形成用組成物の熱流動性が良好なものとなるため、レジスト下層膜形成用組成物に配合した際に、埋め込み性/平坦化特性のより優れたレジスト下層膜形成用組成物を提供することができる。
【0132】
(構成単位:BP-4)
【化55】
(一般式(BP-4)中、m3およびm4は1または2を表し、Zは単結合または下記一般式(7)で示される構造のいずれかである。Rは下記一般式(8)で示される構造のいずれかである。)
【化56】
(一般式(7)中、*は結合手を表し、lは0から3の整数を表し、R’~R’はそれぞれ独立して水素原子またはフッ素置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、フェニル基、またはフェニルエチル基を表し、R’とR’が結合して環状化合物を形成してもよい。)
【化57】
(一般式(8)中、*は芳香環への結合部位を表し、Qは1~30の直鎖状の飽和炭化水素基、または下記一般式(9)で示される構造である。)
【化58】
(一般式(9)中、*はカルボニル基への結合部位を表し、Rは上記式(4)で示される基である。Rは炭素数1~10の直鎖状、若しくは分岐状の炭化水素基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、ニトリル基、炭素数2~10のアルコキシカルボニル基、又は炭素数1~10のアルカノイルオキシ基を表す。n’3およびn’4は芳香環上の置換基の数を表し、それぞれ0~7の整数を表す。ただし、n’3+n’4は0以上7以下である。n’5は0~2を表す。)
【0133】
上記一般式(BP-4)中、m3およびm4は1または2を表し、Zは単結合または上記一般式(7)で示される構造のいずれかである。Rは上記一般式(8)で示される構造のいずれかである。
【0134】
ドライエッチング耐性と耐熱性の観点から、上記一般式(BP-4)中、Zは単結合又は下記一般式(4A)で示される構造のいずれかであることが好ましい。
【化59】
(一般式(4A)中、*は結合手を表し、lは上記と同様である。)
【0135】
上記一般式(8)中、*は芳香環への結合部位を表し、Qは1~30の直鎖状の飽和炭化水素基、または上記一般式(9)で示される構造である。Qが炭素数1~30の直鎖状の炭化水素基を表す場合、Qを構成するメチレン基が酸素原子またはカルボニル基に置換されていてもよい。ドライエッチング耐性と耐熱性の観点から、Qは上記一般式(9)で示される構造が好ましい。
【0136】
上記一般式(9)中、*はカルボニル基への結合部位を表し、Rは前記式(4)で示される基である。Rは炭素数1~10の直鎖状、若しくは分岐状の炭化水素基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、ニトリル基、炭素数2~10のアルコキシカルボニル基、又は炭素数1~10のアルカノイルオキシ基を表す。n’3およびn’4は芳香環上の置換基の数を表し、それぞれ0~7の整数を表す。ただし、n’3+n’4は0以上7以下である。n’5は0~2を表す。
【0137】
上記一般式(BP-4)で示される構成単位を含む化合物は、芳香環を単結合又は一般式(7)で連結した構造を有しているため炭素密度が高いことから、これらの化合物を含むレジスト下層膜形成用組成物は耐熱性に優れる。また、連結基Zは上記一般式(7)で示すように、種々の連結基から所望の性能に合わせ適宜構造を選択することができる。特に、Zとして上記一般式(4A)で示される構造を導入することで成膜性を損なうことなく耐熱性/エッチング耐性を付与できる。また、柔軟性の高い末端部Rを有するため、剛直な芳香環構造を含むにも関わらず、クラックなどの欠陥を発生することなく、レジスト下層膜形成用組成物を厚膜形成することが可能である。さらに末端部Rは熱流動性を付与する末端基Qを含んでおり、末端基Qとしては、熱流動性の向上に寄与する柔軟な炭化水素構造、エッチング耐性及び耐熱性に寄与する剛直な芳香環構造を任意の割合で要求性能に合わせ導入可能である。上記のように、これらの化合物を添加したレジスト下層膜形成用組成物は、埋め込み性/平坦化特性と耐熱性を高い次元で両立することが可能であり、要求特性に合わせて厚膜形成が可能である。
【0138】
(構成単位:BP-5)
【化60】
(一般式(BP-5)中、Rは炭素数1~30の飽和の1価の有機基又は炭素数2~30の不飽和の1価の有機基、Xは炭素数1~30の2価の有機基であり、Rは上記式(4)で示される基である。pは0~5の整数、qは1~6の整数、p+qは1以上6以下の整数であり、qは0又は1である。)
【0139】
上記一般式(BP-5)中、Xで表される炭素数1~30の2価の有機基としては、例えば、メチレン基、エタンジイル基、プロパンジイル基、ブタンジイル基、ペンタンジイル基、ヘキサンジイル基、オクタンジイル基、デカンジイル基等のアルカンジイル基、シクロプロパンジイル基、シクロブタンジイル基、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、シクロヘプタンジイル基、シクロオクタンジイル基、シクロデカンジイル基、メチルシクロヘキサンジイル基、エチルシクロヘキサンジイル基等の単環式シクロアルカンジイル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジイル基、ビシクロ[2.2.2]オクタンジイル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジイル基(ジシクロペンチレン基)、トリシクロ[3.3.1.13,7]デカンジイル基、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカンジイル基、アダマンタンジイル基等の多環式シクロアルカンジイル基、フェニレン基、ナフチレン基等のアレーンジイル基等が挙げられる。
【0140】
上記Xで表されるアルカンジイルオキシ基としては、例えば、上記アルカンジイル基と酸素原子とを組合せた基等が挙げられる。また、上記Xで表されるシクロアルカンジイルオキシ基としては、上記シクロアルカンジイル基と酸素原子とを組合せた基等が挙げられる。
【0141】
上記アルカンジイル基、シクロアルカンジイル基、アルカンジイルオキシ基、シクロアルカンジイルオキシ基及びアレーンジイル基等が有する水素原子の一部又は全部は置換されていてもよく、置換基としては、例えば、上記Rで表される有機基が有していてもよい置換基の例と同様の基等が挙げられる。
【0142】
上記Xで表される有機基として、下記式で表される基等が挙げられる。
【化61】
(式中、*は結合手を表す。)
【0143】
上記Xとしては、原材料入手の観点から、好ましくはメチレン基を挙げることができる。
【0144】
上記一般式(BP-5)で示される構造単位を有する樹脂として、具体的には下記のものを例示できる。
【化62】
(式中、Rは上記と同じである。)
【0145】
【化63】
(式中、Rは上記と同じである。)
【0146】
上記一般式(BP-5)で示される構成単位を含む重合体は、芳香環を有機基Xで連結した構造を有しているため炭素密度が高いことから、これらの重合体を含むレジスト下層膜形成用組成物は、高いドライエッチング耐性を発揮するとともに耐熱性に優れる。さらに、熱流動性の向上に寄与する上記式(4)で示される構造の有機基が酸素原子を介して樹脂の母核構造である芳香環に直接結合しているため、これらの重合体を添加したレジスト下層膜形成用組成物は、埋め込み性/平坦化特性と耐熱性/エッチング耐性を高い次元で両立することが可能である。また、母核の芳香環構造が剛直すぎず、連結基である有機基Xを介した繰り返し構造を形成していることから、クラックなどの欠陥を発生することなく、レジスト下層膜を形成することが可能である。
【0147】
本発明のレジスト下層膜形成方法に用いるレジスト下層膜形成用組成物中、流動性促進剤(BP)は金属化合物100質量部に対して、50質量%以下の含有量であることが好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。
【0148】
流動性促進剤の添加量は、本発明のレジスト下層膜形成方法に用いるレジスト下層膜形成用組成物を使用するプロセスの要求特性にあわせて、任意の割合に調整することができる。ドライエッチング耐性の劣化を最小限に抑えたい場合は、流動性促進剤の割合を減らし、ドライエッチング耐性の劣化をある程度許容し、埋め込み性/平坦化特性をより向上させたい場合は、流動性促進剤の割合を増やせばよい。
【0149】
<レジスト下層膜形成方法を用いたパターン形成方法>
また、本発明では、上記レジスト下層膜形成方法を用いた2層レジストプロセスによるパターン形成方法として、
被加工基板上に上記レジスト下層膜形成方法を用いてレジスト下層膜を形成し、
前記レジスト下層膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成し、
前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像してレジスト上層膜にパターンを形成し、
前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト下層膜にパターンを転写し、
前記パターンが形成されたレジスト下層膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成するパターン形成方法を提供する。
【0150】
上記2層レジストプロセスのレジスト上層膜は、塩素系ガスによるエッチング耐性を示すため、上記2層レジストプロセスにおいて、レジスト上層膜をマスクにして行うレジスト下層膜のドライエッチングを、塩素系ガスを主体とするエッチングガスを用いて行うことが好ましい。
【0151】
また、本発明では、このようなレジスト下層膜形成方法を用いた3層レジストプロセスによるパターン形成方法として、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(I-1)被加工基板上に、上記に記載のレジスト下層膜形成方法によりレジスト下層膜を形成する工程、
(I-2)前記レジスト下層膜上に、ケイ素含有レジスト中間膜を形成する工程、
(I-3)前記ケイ素含有レジスト中間膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(I-4)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(I-5)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記ケイ素含有レジスト中間膜にパターンを転写する工程、
(I-6)前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト下層膜にパターンを転写する工程、及び
(I-7)前記パターンが形成されたレジスト下層膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有するパターン形成方法を提供する。
【0152】
図1を用いて3層レジストプロセスによるパターン形成方法について説明する。本発明では、このようなレジスト下層膜形成方法を用いた3層レジストプロセスによるパターン形成方法として、図1(A)のように被加工基板1上の被加工層2に上記レジスト下層膜形成方法を用いてレジスト下層膜3を形成し、前記レジスト下層膜上にケイ素含有レジスト中間膜材料を用いてケイ素含有レジスト中間膜4を形成し、前記ケイ素含有レジスト中間膜上にフォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜5を形成する。続けて図1(B)のように、前記レジスト上層膜の露光部分6をパターン露光した後、図1(C)のように、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にレジスト上層膜パターン5aを形成し、図1(D)のように、パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記ケイ素含有レジスト中間膜にケイ素含有レジスト中間膜パターン4aを転写し、図1(E)のように、前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト下層膜にレジスト下層膜パターン3aを転写し、図1(F)のように、前記パターンが形成されたレジスト下層膜をマスクにして前記被加工基板上の被加工層を加工して前記被加工基板1にパターン2aを形成するパターン形成方法を提供する。
【0153】
上記3層レジストプロセスのケイ素含有レジスト中間膜は、塩素系ガスによるエッチング耐性を示すため、上記3層レジストプロセスにおいて、ケイ素含有レジスト中間膜をマスクにして行うレジスト下層膜のドライエッチングを、塩素系ガスを主体とするエッチングガスを用いて行うことが好ましい。
【0154】
上記3層レジストプロセスのケイ素含有レジスト中間膜としては、ポリシロキサンベースの中間膜も好ましく用いられる。ケイ素含有レジスト中間膜に反射防止効果を持たせることによって、反射を抑えることができる。特に193nm露光用としては、有機膜として芳香族基を多く含み基板とのエッチング選択性の高い材料を用いると、k値が高くなり基板反射が高くなるが、ケイ素含有レジスト中間膜として適切なk値になるような吸収を持たせることで反射を抑えることが可能になり、基板反射を0.5%以下にすることができる。反射防止効果があるケイ素含有レジスト中間膜としては、248nm、157nm露光用としてはアントラセン、193nm露光用としてはフェニル基又はケイ素-ケイ素結合を有する吸光基をペンダントし、酸又は熱で架橋するポリシロキサンが好ましく用いられる。
【0155】
加えて、本発明では、このようなレジスト下層膜形成方法を用いた4層レジストプロセスによるパターン形成方法として、
被加工基板上に、上記レジスト下層膜形成方法を用いてレジスト下層膜を形成し、
前記レジスト下層膜上に、ケイ素含有レジスト中間膜材料を用いてケイ素含有レジスト中間膜を形成し、
前記ケイ素含有レジスト中間膜上に、有機反射防止膜(BARC)又は密着膜を形成し、
前記BARC又は前記密着膜上にフォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成し、
前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成し、
前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記BARC又は前記密着膜、及び前記ケイ素含有レジスト中間膜にパターンを転写し、
前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト下層膜にパターンを転写し、
前記パターンが形成されたレジスト下層膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程を有するパターン形成方法を提供する。
【0156】
また、ケイ素含有レジスト中間膜の代わりに無機ハードマスク中間膜を形成してもよく、この場合には、少なくとも、被加工体上に本発明のレジスト下層膜形成方法を用いてレジスト下層膜を形成し、
前記レジスト下層膜の上にケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、ケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜を形成し、
前記無機ハードマスク中間膜の上にフォトレジスト組成物を用いてレジスト上層膜を形成して、前記レジスト上層膜に回路パターンを形成し、
前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして無機ハードマスク中間膜をエッチングし、
前記パターンが形成された無機ハードマスク中間膜をマスクにしてレジスト下層膜をエッチングし、
さらに、前記パターンが形成されたレジスト下層膜をマスクにして前記被加工体をエッチングして前記被加工体にパターンを形成することで、基板に半導体装置回路パターンを形成できる。
【0157】
上記のように、レジスト下層膜の上に無機ハードマスク中間膜を形成する場合は、CVD法やALD法等で、ケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜(SiON膜)を形成できる。例えばケイ素窒化膜の形成方法としては、特開2002-334869号公報、国際公開第2004/066377号に記載されている。無機ハードマスク中間膜の膜厚は5~200nmが好ましく、より好ましくは10~100nmである。また、無機ハードマスク中間膜としては、反射防止膜としての効果が高いSiON膜が最も好ましく用いられる。SiON膜を形成する時の基板温度は300~500℃となるために、レジスト下層膜としては300~500℃の温度に耐える必要がある。本発明で用いるレジスト下層膜形成用組成物は、高い耐熱性を有しており300℃~500℃の高温に耐えることができるため、CVD法又はALD法で形成された無機ハードマスク中間膜と、回転塗布法で形成されたレジスト下層膜の組み合わせが可能である。
【0158】
上記のように、無機ハードマスク中間膜の上にレジスト上層膜としてフォトレジスト膜を形成してもよいが、無機ハードマスク中間膜の上に有機反射防止膜(BARC)又は密着膜をスピンコートで形成して、その上にフォトレジスト膜を形成してもよい。特に、無機ハードマスク中間膜としてSiON膜を用いた場合、SiON膜とBARCの2層の反射防止膜によって1.0を超える高NAの液浸露光においても反射を抑えることが可能となる。BARCを形成するもう一つのメリットとしては、SiON膜直上でのフォトレジストパターンの裾引きを低減させる効果があることである。
【0159】
また、本発明では、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(II-1)被加工基板上に、上記に記載のレジスト下層膜形成方法によりレジスト下層膜を形成する工程、
(II-2)前記レジスト下層膜上に、ケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜を形成する工程、
(II-3)前記無機ハードマスク中間膜上に、有機薄膜を形成する工程、
(II-4)前記有機薄膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(II-5)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(II-6)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記有機薄膜及び前記無機ハードマスク中間膜にパターンを転写する工程、
(II-7)前記パターンが転写された無機ハードマスク中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト下層膜にパターンを転写する工程、及び
(II-8)前記パターンが形成されたレジスト下層膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有するパターン形成方法を提供する。
【0160】
上記パターン形成方法において、レジスト上層膜はポジ型でもネガ型でもどちらでもよく、通常用いられているフォトレジスト組成物と同じものを用いることができる。また、フォトレジスト組成物がSn、In、Ga、Ge、Al、Ce、La、Cs、Zr、Hf、Ti、Bi、Sb、Znなどの金属原子を含んでいてもよい。上記フォトレジスト組成物によりレジスト上層膜を形成する場合、スピンコート法でもCVD法またはALD法による蒸着処理により形成する方法でもよい。
【0161】
スピンコート法によりレジスト上層膜を形成する場合、フォトレジスト組成物塗布後にプリベークを行うが、60~180℃で10~300秒の範囲が好ましい。その後常法に従い、露光を行い、ポストエクスポージャーベーク(PEB)、現像を行い、レジスト上層膜パターンを得る。なお、レジスト上層膜の厚さは特に制限されないが、10~500nm、特に20~400nmが好ましい。
【0162】
CVD法またはALD法による蒸着処理によりレジスト上層膜を形成する場合、前記フォトレジスト組成物はEUV感光性の金属酸化物含有膜であり、前記金属はSn、Zr、Hf、Ti、Bi、Sbなどから選択され、中でもEUV感光性に優れるSnが好ましい。金属酸化物含有膜は、有機スズ酸化物(例えば、ハロアルキルSn、アルコキシアルキルSn、または、アミドアルキルSn)などの感光性有機金属酸化物膜であってよい。適切な前駆体のいくつかの具体例は、塩化トリメチルスズ、二塩化ジメチルスズ、三塩化メチルスズ、トリス(ジメチルアミノ)メチルスズ(IV)、および、(ジメチルアミノ)トリメチルスズ(IV)を含む。
【0163】
金属酸化物含有膜は、例えば、Lam Vector(登録商標)ツールを用いて、PECVDまたはPEALDによって蒸着されてよく、ALD実施例ではSn酸化物前駆体をO前駆体/プラズマから分離する。蒸着温度は、50℃~600℃の範囲が好ましい。蒸着圧力は、100~6,000mTorrの間が好ましい。金属酸化物含有膜の前駆体液の流量(例えば、有機スズ酸化物前駆体)は、0.01~10cmmであってよく、ガス流量(CO、CO、Ar、N)は、100~10,000sccmであってよい。プラズマ電力は、高周波プラズマ(例えば、13.56MHz、27.1MHz、または、それより高い周波数)を用いて、300mmウェハステーションあたり200~1,000Wであってよい。蒸着厚さは、100~2,000Åが好ましい。
【0164】
露光光としては、波長300nm以下の高エネルギー線、具体的には248nm、193nm、157nmのエキシマレーザー、3~20nmの軟X線、電子ビーム、X線等を挙げることができる。
【0165】
上記レジスト上層膜のパターン形成方法として、波長が5nm以上300nm以下の光リソグラフィー、電子線による直接描画、ナノインプリンティングまたはこれらの組み合わせによるパターン形成とすることが好ましい。
【0166】
また、前記パターン形成方法における現像方法を、アルカリ現像または有機溶剤による現像とすることが好ましい。
【0167】
次に、得られたレジスト上層膜パターンをマスクにしてエッチングを行う。3層レジストプロセスにおけるケイ素含有レジスト中間膜や無機ハードマスク中間膜のエッチングは、フロン系のガスを用いてレジスト上層膜パターンをマスクにして行う。これにより、ケイ素含有レジスト中間膜パターンや無機ハードマスク中間膜パターンを形成する。
【0168】
次いで、得られたケイ素含有レジスト中間膜パターンや無機ハードマスク中間膜パターンをマスクにして、レジスト下層膜のエッチング加工を行う。レジスト下層膜のエッチング加工は塩素系ガスを主体とするエッチングガスを用いて行うことが好ましい。
【0169】
次の被加工体のエッチングも、常法によって行うことができ、例えば被加工体がSiO、SiN、シリカ系低誘電率絶縁膜であればフロン系ガスを主体としたエッチングを行う。基板加工をフロン系ガスでエッチングした場合、3層レジストプロセスにおけるケイ素含有レジスト中間膜パターンは基板加工と同時に剥離される。
【0170】
本発明のレジスト下層膜形成方法によって得られるレジスト下層膜は、これら被加工体エッチング時のエッチング耐性に優れる特徴がある。
【0171】
なお、被加工体(被加工基板)としては、特に限定されるものではなく、Si、α-Si、p-Si、SiO、SiN、SiON、W、TiN、Al等の基板や、該基板上に被加工層が成膜されたもの等が用いられる。被加工層としては、Si、SiO、SiON、SiN、p-Si、α-Si、W、W-Si、Al、Cu、Al-Si等種々のLow-k膜及びそのストッパー膜が用いられ、通常50~10,000nm、特に100~5,000nmの厚さに形成し得る。なお、被加工層を成膜する場合、基板と被加工層とは、異なる材質のものが用いられる。
【0172】
本発明のレジスト下層膜形成方法を用いたパターン形成方法は、高さ30nm以上の構造体又は段差を有する被加工基板を用いることが好ましい。上述のように、本発明のレジスト下層膜形成方法に用いるレジスト下層膜形成用組成物は、埋め込み/平坦化特性に優れるため、被加工基板に高さ30nm以上の構造体又は段差(凹凸)があっても、平坦なレジスト下層膜を形成することができる。上記被加工体基板の有する構造体又は段差の高さは30nm以上が好ましく、50nm以上であることがより好ましく、100nm以上であることがさらに好ましい。上記高さのパターンを有する段差基板を加工する方法において、本発明のレジスト下層膜形成方法に用いるレジスト下層膜形成用組成物を成膜して埋込/平坦化を行うことにより、その後成膜されるケイ素含有レジスト中間膜、レジスト上層膜の膜厚を均一にすることが可能となるため、フォトリソグラフィー時の露光深度マージン(DOF)確保が容易となり、非常に好ましい。
【0173】
さらに本発明では、このようなレジスト下層膜形成方法を用いた4層レジストプロセスによるパターン形成方法として、
被加工基板上に、上記レジスト下層膜形成方法を用いてレジスト下層膜を形成し、
前記レジスト下層膜上に、有機中間膜材料を用いて有機中間膜を形成し、
前記有機中間膜上に、ケイ素含有レジスト中間膜材料を用いてケイ素含有レジスト中間膜を形成し、
必要に応じて前記ケイ素含有レジスト中間膜上に、有機反射防止膜(BARC)又は密着膜を形成し、
前記ケイ素含有レジスト中間膜上または前記BARC若しくは前記密着膜上にフォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成し、
前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成し、
前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記BARC又は前記密着膜、及び前記ケイ素含有レジスト中間膜にパターンを転写し、
前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記有機中間膜にパターンを転写し、
前記パターンが形成された有機中間膜をマスクにして前記レジスト下層膜にパターンを転写し、
前記パターンが形成されたレジスト下層膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程を有するパターン形成方法を提供する。
【0174】
さらに本発明では、このようなレジスト下層膜形成方法を用いた4層レジストプロセスによるパターン形成方法として、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(III-1)被加工基板上に、上記に記載のレジスト下層膜形成方法によりレジスト下層膜を形成する工程、
(III-2)前記レジスト下層膜上に、有機中間膜を形成する工程、
(III-3)前記有機中間膜上に、ケイ素含有レジスト中間膜または、ケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜と有機薄膜の組み合わせを形成する工程、
(III-4)前記ケイ素含有レジスト中間膜または前記有機薄膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(III-5)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(III-6)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングでケイ素含有レジスト中間膜または前記有機薄膜及び前記無機ハードマスク中間膜にパターンを転写する工程、
(III-7)前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜または無機ハードマスク中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記有機中間膜にパターンを転写する工程、
(III-8)前記パターンが転写された有機中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト下層膜にパターンを転写する工程、及び
(III-9)前記パターンが形成されたレジスト下層膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有するパターン形成方法を提供する。
【0175】
上記有機中間膜に用いることができる有機中間膜材料としては、既に3層レジスト法用、あるいはシリコンレジスト組成物を使用した2層レジスト法用の下層膜として公知のもの、特開2005-128509号公報に記載の4,4’-(9-フルオレニリデン)ビスフェノールノボラック樹脂(分子量11,000)の他、ノボラック樹脂をはじめとする多数の樹脂であって、2層レジスト法や3層レジスト法のレジスト下層膜材料として公知のもの等を使用することができる。また、通常のノボラックよりも耐熱性を上げたい場合には、6,6’-(9-フルオレニリデン)-ジ(2-ナフトール)ノボラック樹脂のような多環式骨格を入れることもでき、更にポリイミド系樹脂を選択することもできる(例えば、特開2004-153125号公報)。
【0176】
上記有機中間膜は、組成物溶液を用い、フォトレジスト組成物と同様にスピンコート法等で被加工基板上に形成することが可能である。スピンコート法等で有機中間膜を形成した後、有機溶剤を蒸発させるためベークをすることが望ましい。ベーク温度は80~400℃の範囲内で、ベーク時間は10~300秒の範囲内が好ましく用いられる。
【0177】
上記有機中間膜の代わりに、CVD法またはALD法で形成された有機ハードマスクを適用することも可能である。
【0178】
上記多層レジストプロセスの有機中間膜は、塩素系ガスによるエッチング耐性を示すため、上記多層レジストプロセスにおいて、有機中間膜をマスクにして行うレジスト下層膜のドライエッチングを、塩素系ガスを主体とするエッチングガスを用いて行うことが好ましい。
【実施例0179】
以下、合成例、比較合成例、実施例、及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0180】
[合成例]
以下の合成例には、下記に示す有機基原材料群G:(G1)~(G20)とケイ素含有有機基原材料群H:(H1)~(H5)を用いた。
有機基原材料群G:(G1)~(G20)を以下に示す。
【化64】
【0181】
ケイ素含有有機基原材料群H:(H1)~(H5)を以下に示す。
【化65】
【0182】
金属原材料Mには、下記金属化合物を用いた。
(M1):チタンテトライソプロポキシド(Sigma-Aldrich Corp、377996)
(M2):チタンブトキシドテトラマー(富士フイルム和光純薬(株))
(M3):Zr(OBu):ジルコニウム(IV)テトラブトキシド(80質量%1-ブタノール溶液)(東京化成工業(株)、Z0016)
(M4):Hf(OBu):ハフニウム(IV)n-ブトキシド(Sigma-Aldrich Corp、667943)
(M5):Ti(OBu):オルトチタン酸テトラブチル(東京化成工業(株)、B0742)
(M6):チタン(IV)ジイソプロポキシビス(2,4-ペンタンジオナート)(75質量%イソプロピルアルコール溶液)(東京化成工業(株)、B3395)
【0183】
[合成例1]レジスト下層膜形成用化合物(A-1)の合成
窒素雰囲気下、チタンテトライソプロポキシド(M1)33.4gのIPA溶液12.1gに攪拌しながら、脱イオン水1.6gのIPA24.2g溶液を室温で2時間かけて滴下した。得られた溶液に有機基原材料群(G1)16.6gを添加し、室温で30分攪拌した。この溶液を減圧下、30℃で濃縮した後、更に60℃まで加熱し、減圧下、留出物が出なくなるまで加熱を続けた。留出物が見られなくなったところで、69.0gのPGMEA/PGME(質量比70/30)溶液を加え、40℃、減圧下でIPAが留出しなくなるまで加熱し、レジスト下層膜形成用化合物(A-1)のPGMEA/PGME溶液を得た。前記溶液中の溶媒以外の成分の濃度は20質量%であった。
【0184】
[合成例2~4]レジスト下層膜形成用化合物(A-2)~(A-4)の合成
表1に示される仕込み量で上記金属原材料M、上記有機基原材料群Gを使用した以外は、合成例1と同じ反応条件で表1に示されるレジスト下層膜形成用化合物(A-2)~(A-4)を得た。
【表1】
【0185】
[合成例5]レジスト下層膜形成用化合物(A-5)の合成
窒素雰囲気下、11.8gのオルトチタン酸テトラブチル(M5)を、20.6gのPGMEA/PGME(質量比70/30)溶液に溶解し、攪拌しながら反応温度を50℃まで高め、6.5gのケイ素含有有機基原材料群(H1)を前記溶液中に滴下した。滴下後、反応温度を60℃として攪拌を2時間継続した。次に、4.8gの有機基原材料群(G5)を8.6gのPGMEA/PGME(質量比70/30)溶液に懸濁させた混合物を前記反応系中に添加して、反応温度60℃のまま攪拌を1時間継続した。室温に冷却後、得られた反応溶液を0.45μmPTFEフィルターで濾過することでレジスト下層膜形成用化合物(A-5)のPGMEA/PGME溶液を得た。前記溶液中の溶媒以外の成分の濃度は23質量%であった。
【0186】
[合成例6~20]レジスト下層膜形成用化合物(A-6)~(A-20)の合成
表2に示される仕込み量で上記金属原材料M、上記有機基原材料群Gと上記ケイ素含有有機基原材料群Hを使用した以外は、合成例5と同じ反応条件で表2に示されるレジスト下層膜形成用化合物(A-6)~(A-20)を得た。
【表2】
【0187】
[比較例用レジスト下層膜形成用樹脂(R-1)の合成]
窒素雰囲気下、1,5-ジヒドロキシナフタレン160.2g、ホルムアルデヒド56.8g、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)300gを加え、内温100℃で均一化した。その後、あらかじめ混合し均一化したパラトルエンスルホン酸・一水和物8.0gとPGME8.0gの混合液をゆっくりと滴下し、内温80℃で8時間反応を行った。反応終了後、室温まで冷却しMIBK2,000mlを加え、純水500mlで6回洗浄を行い、有機層を減圧乾固した。残渣にTHF300gを加え均一溶液とした後、ヘキサン2,000gに晶出した。沈降した結晶をろ過で分別し、ヘキサン500gで2回洗浄を行い回収した。回収した結晶を70℃で真空乾燥することで比較例用レジスト下層膜形成用樹脂(R-1)を得た。
テトラヒドロフランを溶離液としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(R-1):Mw=3,300、Mw/Mn=2.54
【化66】
【0188】
[レジスト下層膜形成用組成物(UDL-1)の調製]
レジスト下層膜形成用化合物(A-1)を、界面活性剤FC-4430(住友スリーエム(株)製)0.5質量%を含むプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)とプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)の混合溶剤に表3に示す割合で溶解させ、0.02μmのメンブレンフィルターで濾過することによってレジスト下層膜形成用組成物(UDL-1)を調製した。
【0189】
[レジスト下層膜形成用組成物(UDL-2~20)、比較例用レジスト下層膜形成用組成物(比較例UDL-1)の調製]
各成分の種類及び含有量を表3に示す通りとした以外は、UDL-1と同様に操作し、各組成物を調製した。なお、表3中、「-」は該当する成分を使用しなかったことを示す。酸発生剤(TAG)には下記式(F-1)を用いた。
【0190】
[酸発生剤]
レジスト下層膜形成用組成物に用いた酸発生剤(F-1)を以下に示す。
【化67】
【0191】
【表3】
【0192】
[埋め込み特性評価(実施例1-1~1-17、比較例1-1~1-2)]
上記で調製した組成物(UDL-1~17、及び比較例UDL-1)をそれぞれ、密集ライン&スペースパターン(ライン線幅60nm、ライン深さ100nm、隣り合う二つのラインの中心間の距離120nm)を有するSiOウエハー基板上に塗布し、ホットプレートを用いて350℃で60秒間加熱した後、窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%)において、500℃で60秒間加熱し、膜厚80nmのレジスト下層膜を形成した。
また、比較例1-2では、大気雰囲気下にて、500℃で60秒間加熱を行ったレジスト下層膜を形成した。
【0193】
使用した基板は図2(G)(俯瞰図)及び(H)(断面図)に示すような密集ライン&スペースパターンを有する下地基板7(SiOウエハー基板)である。埋め込み特性評価で得られた各ウエハー基板の断面形状を、(株)日立製作所製電子顕微鏡(S-4700)を用いて観察し、ライン間を充填したレジスト下層膜内部にボイド(空隙)が存在していないかを確認した。結果を表4に示す。埋め込み特性に劣るレジスト下層膜形成用組成物を用いた場合は、本評価において、ライン間を充填したレジスト下層膜内部にボイドが発生する。埋め込み特性が良好なレジスト下層膜形成用組成物を用いた場合は、本評価において、図2(I)に示されるように密集ライン&スペースパターンを有する下地基板7のライン間を充填したレジスト下層膜内部にボイドのないレジスト下層膜8が充填される。
【0194】
【表4】
【0195】
表4に示されるように、本発明のレジスト下層膜形成方法を用いた実施例1-1~1-17では、酸素濃度を制御することで、500℃ベーク後においてもボイドを発生することなく、密集ライン&スペースパターンを充填することが可能であり、高温ベーク条件下においても良好な埋め込み特性を有することが確認できた。
大気雰囲気下にて500℃で60秒間加熱を行ってレジスト下層膜を形成した比較例1-2では、パターン底部にボイドが観察された。有機架橋基を持つレジスト下層膜形成用化合物(A-1)を含んだレジスト下層膜形成用組成物UDL-1を用いた場合でも、大気雰囲気下での高温ベークでは体積収縮が大きくなるため、埋め込み性の観点から好ましくないと言える。
【0196】
[エッチング耐性評価(実施例2-1~2-20、比較例2-1)]
レジスト下層膜形成用組成物(UDL-1~20、及び比較例UDL-1)をシリコン基板上に塗布し、ホットプレートを用いて350℃で60秒間加熱し加熱し、膜厚80nmのレジスト下層膜を形成した(膜厚a)。また、上記評価とは別に、上記組成物を塗布して350℃で60秒間加熱した基板を、さらに窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%)において、500℃で60秒間加熱し、膜厚80nmのレジスト下層膜を形成した(膜厚a)。
次いで、ULVAC製エッチング装置CE-300Iを用いた下記条件でCFガスを用いた各エッチングを行い、膜厚bを測定した。各ガスを用いて指定時間の間にエッチングされる膜厚(膜厚a-膜厚b)から1分間にエッチングされる膜厚をエッチングレート(nm/min)として算出した。結果を表5に示す。
【0197】
CFガスでのドライエッチング条件
圧力:1Pa
アンテナRFパワー:100W
バイアスRFパワー:15W
CFガス流量:15sccm
時間:30sec
【0198】
【表5】
【0199】
表5に示されるように、本発明のレジスト下層膜形成方法を用いた実施例2-1~2-20は、比較例用レジスト下層膜形成用樹脂(R-1)を含む比較例用レジスト下層膜形成用組成物である比較例UDL-1を使用した比較例2-1に対して、極めて優れたCFガスに対するエッチング耐性を示すことがわかった。また、酸素濃度を制御した高温ベークによりエッチング耐性が改善する結果が得られた。有機架橋基を含まないレジスト下層膜形成用化合物を含むレジスト下層膜形成用組成物であるUDL-18~20を用いた実施例2-18~2-20に比べ、有機架橋基を含むレジスト下層膜形成用化合物(A-1)~(A-17)を含むレジスト下層膜形成用組成物であるUDL-1~UDL-17を用いた実施例2-1~2-17は、500℃ベークによるエッチング耐性の改善率が大きい結果となった。この要因について定かではないが、レジスト下層膜中の有機架橋成分が高温ベークにより切断、再架橋され、膜の緻密化が起こっている可能性が考えられる。
【0200】
[パターン形成方法(実施例3-1~3-17、比較例3-1)]
上記のレジスト下層膜形成用組成物(UDL-1~17、比較例UDL-1)を、それぞれ、SiOウエハー基板上に塗布し、大気中、350℃で60秒間焼成した後、酸素濃度0.01体積%中、500℃で60秒焼成し、膜厚80nmのレジスト下層膜を形成した。その上にケイ素原子含有レジスト中間膜材料(SOG-1)を塗布して220℃で60秒間ベークして膜厚50nmのレジスト中間膜を形成し、その上にレジスト上層膜材料のArF用単層レジストを塗布し、105℃で60秒間ベークして膜厚100nmのフォトレジスト膜を形成した。フォトレジスト膜上に液浸保護膜材料(TC-1)を塗布し90℃で60秒間ベークし膜厚50nmの保護膜を形成した。
【0201】
ケイ素原子含有レジスト中間膜材料(SOG-1)としてはArF珪素含有中間膜ポリマー(SiP1)で示されるポリマー、及び熱架橋触媒(CAT1)を、FC-4430(住友スリーエム社製)0.1質量%を含む有機溶剤中に表6に示す割合で溶解させ、孔径0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって、ケイ素原子含有レジスト中間膜材料(SOG-1)を調製した。
【0202】
【表6】
【0203】
用いたArF珪素含有中間膜ポリマー(SiP1)、熱架橋触媒(CAT1)の構造式を以下に示す。
【化68】
【0204】
レジスト上層膜材料(ArF用単層レジスト)としては、ポリマー(RP1)、酸発生剤(PAG1)、塩基性化合物(Amine1)を、界面活性剤FC-4430(住友スリーエム(株)製)0.1質量%を含む溶媒中に表7の割合で溶解させ、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって調製した。
【0205】
【表7】
【0206】
レジスト上層膜材料(ArF用単層レジスト)に用いたポリマー(RP1)、酸発生剤(PAG1)、及び塩基性化合物(Amine1)を以下に示す。
【化69】
【0207】
液浸保護膜材料(TC-1)としては、保護膜ポリマー(PP1)を有機溶剤中に表8の割合で溶解させ、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって調製した。
【0208】
【表8】
【0209】
液浸保護膜材料(TC-1)に用いた保護膜ポリマー(PP1)を以下に示す。
【化70】
【0210】
次いで、ArF液浸露光装置((株)ニコン製;NSR-S610C,NA1.30、σ0.98/0.65、35度ダイポールs偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)で露光し、100℃で60秒間ベーク(PEB)し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間現像し、55nm1:1のポジ型のラインアンドスペースパターン(レジスト上層膜パターン)を得た。
【0211】
次いで、ドライエッチングによりレジスト上層膜パターンをマスクにしてレジスト中間膜をエッチング加工してハードマスクパターンを形成し、得られたハードマスクパターンをマスクにしてレジスト下層膜をエッチングしてレジスト下層膜パターンを形成し、得られたレジスト下層膜パターンをマスクにしてSiO膜のエッチング加工を行った。エッチング条件は下記に示すとおりである。
【0212】
レジスト上層膜パターンのレジスト中間膜への転写条件。
CFガスでのドライエッチング条件
圧力:1Pa
アンテナRFパワー:100W
バイアスRFパワー:15W
CFガス流量:15sccm
時間:60sec
【0213】
ハードマスクパターンのレジスト下層膜への転写条件。
Clガスでのドライエッチング条件
圧力:1Pa
アンテナRFパワー:320W
バイアスRFパワー:30W
Clガス流量:25sccm
時間:45sec
【0214】
レジスト下層膜パターンのSiO膜への転写条件。
CFガスでのドライエッチング条件
圧力:1Pa
アンテナRFパワー:100W
バイアスRFパワー:15W
CFガス流量:15sccm
時間:60sec
【0215】
パターン断面を(株)日立製作所製電子顕微鏡(S-4700)にて観察した結果を表9に示す。
【0216】
【表9】
【0217】
表9に示されるように、本発明のパターン形成方法(実施例3-1~3-17)では、いずれの場合もレジスト上層膜パターンが最終的に基板まで良好に転写されており、多層レジスト法による微細加工に好適に用いられることが確認された。一方で、ドライエッチング耐性評価において性能の不足が確認された比較例UDL-1を用いた比較例3-1はパターン加工時にパターン形状のヨレが派生し、最終的に良好なパターンを得ることができなかった。
【0218】
以上のことから、本発明のレジスト下層膜形成方法、及びパターン形成方法は、段差、凹凸のある被加工基板の埋め込み/平坦化を含む、多層レジストプロセスに特に好適に用いられ、半導体装置製造用の微細パターニングにおいて極めて有用である。
【0219】
本明細書は、以下の態様を包含する。
[1]:レジスト下層膜形成方法であって、
金属-酸素共有結合を有する金属化合物と有機溶媒とを含むレジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
前記塗布された基板を酸素濃度が1体積%未満の雰囲気中、450℃以上800℃以下の温度で加熱する加熱工程と、を備え、
前記金属化合物として下記一般式(a-1)~(a-4)、(b-1)~(b-4)、及び(c-1)~(c-3)で示される架橋基を少なくとも1つ以上含むものを用いることを特徴とするレジスト下層膜形成方法。
【化71】
(一般式(a-1)~(a-4)中、Rは水素原子または炭素数1~10の1価の有機基であり、qは0または1を表し、*は結合部を表す。)
【化72】
(一般式(b-1)~(b-4)中、Rは水素原子またはメチル基であり、同一式中それらは互いに同一でも異なっていてもよく、Rは水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20の飽和または不飽和の1価の有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基であり、*は結合部を表す。)
【化73】
(一般式(c-1)~(c-3)中、Yは炭素数1~20の2価の有機基であり、Rは水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20の飽和または炭素数2~20の不飽和の2価の有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基であり、Rは下記一般式(1)で表される酸、及び熱のいずれか、または両方の作用により保護基が脱離して1個以上の水酸基もしくはカルボキシ基を発生する有機基であり、*は結合部を表す。)
【化74】
(一般式(1)中、Rは酸、及び熱のいずれか、または両方の作用により保護基が脱離する有機基であり、*はYとの結合部を表す。)
[2]:前記酸素濃度を0.1体積%以下とすることを特徴とする上記[1]のレジスト下層膜形成方法。
[3]:前記温度を500℃以上600℃以下とすることを特徴とする上記[1]又は上記[2]のレジスト下層膜形成方法。
[4]:前記金属化合物に含まれる金属を、チタン、ジルコニウム、ハフニウム又はこれらの組み合わせとすることを特徴とする上記[1]から上記[3]のいずれか1つのレジスト下層膜形成方法。
[5]:前記金属化合物として、さらに下記一般式(2)で示されるケイ素化合物に由来する配位子を含むものを用いることを特徴とする上記[1]から上記[4]のいずれか1つのレジスト下層膜形成方法。
【化75】
(一般式(2)中、R3A、R3B及びR3Cは、下記一般式(d-1)~(d-3)で示される構造のいずれかの架橋基を有する炭素数2~30の有機基、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基、及び炭素数6~20のアリール基から選択される有機基のいずれかである。)
【化76】
(一般式(d-1)~(d-3)中、Rは水素原子または炭素数1~10の1価の有機基であり、qは0または1を表し、*は結合部を表す。)
[6]:被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(I-1)被加工基板上に、上記[1]から上記[5]のいずれか1つのレジスト下層膜形成方法によりレジスト下層膜を形成する工程、
(I-2)前記レジスト下層膜上に、ケイ素含有レジスト中間膜を形成する工程、
(I-3)前記ケイ素含有レジスト中間膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(I-4)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(I-5)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記ケイ素含有レジスト中間膜にパターンを転写する工程、
(I-6)前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト下層膜にパターンを転写する工程、及び
(I-7)前記パターンが形成されたレジスト下層膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
[7]:被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(II-1)被加工基板上に、上記[1]から上記[5]のいずれか1つのレジスト下層膜形成方法によりレジスト下層膜を形成する工程、
(II-2)前記レジスト下層膜上に、ケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜を形成する工程、
(II-3)前記無機ハードマスク中間膜上に、有機薄膜を形成する工程、
(II-4)前記有機薄膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(II-5)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(II-6)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記有機薄膜及び前記無機ハードマスク中間膜にパターンを転写する工程、
(II-7)前記パターンが転写された無機ハードマスク中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト下層膜にパターンを転写する工程、及び
(II-8)前記パターンが形成されたレジスト下層膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
[8]:被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(III-1)被加工基板上に、上記[1]から上記[5]のいずれか1つのレジスト下層膜形成方法によりレジスト下層膜を形成する工程、
(III-2)前記レジスト下層膜上に、有機中間膜を形成する工程、
(III-3)前記有機中間膜上に、ケイ素含有レジスト中間膜または、ケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜と有機薄膜の組み合わせを形成する工程、
(III-4)前記ケイ素含有レジスト中間膜または前記有機薄膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(III-5)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(III-6)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングでケイ素含有レジスト中間膜または前記有機薄膜及び前記無機ハードマスク中間膜にパターンを転写する工程、
(III-7)前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜または無機ハードマスク中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記有機中間膜にパターンを転写する工程、
(III-8)前記パターンが転写された有機中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト下層膜にパターンを転写する工程、及び
(III-9)前記パターンが形成されたレジスト下層膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
[9]:レジスト下層膜形成方法であって、
周期表第3族~第15族の第3周期~第7周期に属する金属を含むレジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
前記塗布された基板を酸素濃度が1体積%未満の雰囲気中、450℃以上800℃以下の温度で加熱する加熱工程と、を備えることを特徴とするレジスト下層膜形成方法。
[10]:前記レジスト下層膜形成用組成物として、金属-酸素共有結合を有する金属化合物または金属-炭素共有結合を有する金属化合物、を含むものを用いることを特徴とする上記[9]のレジスト下層膜形成方法。
【0220】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0221】
1…被加工基板、 2…被加工層、
2a…パターン(被加工層に形成されるパターン)、 3…レジスト下層膜、
3a…レジスト下層膜パターン、 4…ケイ素含有レジスト中間膜、
4a…ケイ素含有レジスト中間膜パターン、 5…レジスト上層膜、
5a…レジスト上層膜パターン、 6…露光部分、
7…密集ライン&スペースを有する下地基板、 8…レジスト下層膜。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-03-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
一般的に金属酸化物化合物は、ベーク時の熱収縮が大きく、高温ベーク後には充填性の著しい劣化を誘発するため、高度な平坦化特性・埋め込み特性と耐熱特性が要求されるレジスト下層膜材料としては不十分である懸念がある特許文献5では、埋め込み性に優れた金属含有材料が報告されているが、有機成分を多く含むため、金属材料の強みである基板加工時のドライエッチング耐性が不十分であると考える。金属材料の埋め込み性とドライエッチング耐性はトレードオフの関係であり、ブレイクスルーが必要であった。本発明者らは、段差を埋め込んだ後の金属含有膜中に含まれる炭素結合の離と再結合を促進することで、埋め込み性を劣化させることなく、ドライエッチング耐性を向上できないかと想定し、鋭意検討を重ねた。その結果、金属含有レジスト下層膜を、酸素濃度が1体積%未満の雰囲気中、450℃以上800℃以下の温度で加熱を行うレジスト下層膜形成方法であれば、レジスト下層膜の埋め込み性を損なうことなく、基板加工時のドライエッチング耐性が大きく向上することを見出し、本発明を完成させた。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0132
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0132】
(構成単位:BP-4)
【化55】
(一般式(BP-4)中、m3およびm4は1または2を表し、Zは単結合または下記一般式(7)で示される構造のいずれかである。Rは下記一般式(8)で示される構造のいずれかである。)
【化56】
(一般式(7)中、*は結合手を表し、lは0から3の整数を表し、R’~R’はそれぞれ独立して水素原子またはフッ素置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、フェニル基、またはフェニルエチル基を表し、R’とR’が結合して環状化合物を形成してもよい。)
【化57】
(一般式(8)中、*は芳香環への結合部位を表し、Q炭素数1~30の直鎖状の飽和炭化水素基、または下記一般式(9)で示される構造である。)
【化58】
(一般式(9)中、*はカルボニル基への結合部位を表し、Rは上記式(4)で示される基である。Rは炭素数1~10の直鎖状、若しくは分岐状の炭化水素基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、ニトリル基、炭素数2~10のアルコキシカルボニル基、又は炭素数~10のアルカノイルオキシ基を表す。n’3およびn’4は芳香環上の置換基の数を表し、それぞれ0~7の整数を表す。ただし、n’3+n’4は0以上7以下である。n’5は0~2を表す。)
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0135
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0135】
上記一般式(8)中、*は芳香環への結合部位を表し、Q炭素数1~30の直鎖状の飽和炭化水素基、または上記一般式(9)で示される構造である。Qが炭素数1~30の直鎖状の炭化水素基を表す場合、Qを構成するメチレン基が酸素原子またはカルボニル基に置換されていてもよい。ドライエッチング耐性と耐熱性の観点から、Qは上記一般式(9)で示される構造が好ましい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0136
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0136】
上記一般式(9)中、*はカルボニル基への結合部位を表し、Rは前記式(4)で示される基である。Rは炭素数1~10の直鎖状、若しくは分岐状の炭化水素基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、ニトリル基、炭素数2~10のアルコキシカルボニル基、又は炭素数~10のアルカノイルオキシ基を表す。n’3およびn’4は芳香環上の置換基の数を表し、それぞれ0~7の整数を表す。ただし、n’3+n’4は0以上7以下である。n’5は0~2を表す。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0196
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0196】
[エッチング耐性評価(実施例2-1~2-20、比較例2-1)]
レジスト下層膜形成用組成物(UDL-1~20、及び比較例UDL-1)をシリコン基板上に塗布し、ホットプレートを用いて350℃で60秒間加熱し、膜厚80nmのレジスト下層膜を形成した(膜厚a)。また、上記評価とは別に、上記組成物を塗布して350℃で60秒間加熱した基板を、さらに窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%)において、500℃で60秒間加熱し、膜厚80nmのレジスト下層膜を形成した(膜厚a)。
次いで、ULVAC製エッチング装置CE-300Iを用いた下記条件でCFガスを用いた各エッチングを行い、膜厚bを測定した。各ガスを用いて指定時間の間にエッチングされる膜厚(膜厚a-膜厚b)から1分間にエッチングされる膜厚をエッチングレート(nm/min)として算出した。結果を表5に示す。