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特開2024-129801エッチング方法、プラズマ処理装置及び基板処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129801
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】エッチング方法、プラズマ処理装置及び基板処理システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20240919BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
【審査請求】未請求
【請求項の数】27
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024026375
(22)【出願日】2024-02-26
(31)【優先権主張番号】P 2023038460
(32)【優先日】2023-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100140431
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100135677
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 光一
(74)【代理人】
【識別番号】100131598
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 和宗
(72)【発明者】
【氏名】瀧野 裕輔
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 昴
(72)【発明者】
【氏名】横山 喬大
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004BA09
5F004BB13
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB25
5F004BB26
5F004BB28
5F004BD03
5F004CA04
5F004CA06
5F004DA01
5F004DA12
5F004DA20
5F004DB02
5F004DB03
5F004DB07
5F004EA10
5F004EA30
(57)【要約】
【課題】エッチングの形状異常を抑制する技術を提供する。
【解決手段】エッチング方法が提供される。この方法は、(a)少なくとも2つの異なるシリコン含有膜を含む積層膜と積層膜上のマスクとを有する基板を提供する工程と、(b)第1の処理ガスから生成したプラズマを用いて積層膜をエッチングして積層膜に凹部を形成する工程と、(c)積層膜の凹部にフッ化水素を供給する工程と、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エッチング方法であって、
(a)少なくとも2つの異なるシリコン含有膜を含む積層膜と前記積層膜上のマスクとを有する基板を提供する工程と、
(b)第1の処理ガスから生成したプラズマを用いて前記積層膜をエッチングして前記積層膜に凹部を形成する工程と、
(c)前記積層膜の前記凹部にフッ化水素を供給する工程と、
を含むエッチング方法。
【請求項2】
前記積層膜は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜及びポリシリコン膜からなる群から選択される少なくとも2つを含む、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項3】
前記積層膜は、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜とが交互に複数積層されて構成される、請求項2に記載のエッチング方法。
【請求項4】
前記マスクは、炭素含有膜又は金属含有膜である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のエッチング方法。
【請求項5】
前記第1の処理ガスは、フッ化水素ガスを含む、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項6】
前記第1の処理ガスは、フッ化水素ガス、ハイドロフルオロカーボンガス、及び、水素含有ガスとフッ素含有ガスとの混合ガスからなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項7】
前記第1の処理ガスは、リン含有ガスをさらに含む、請求項5又は請求項6に記載のエッチング方法。
【請求項8】
前記第1の処理ガスは、炭素含有ガス、酸素含有ガス及び金属含有ガスからなる群から選択される少なくとも1つのガスをさらに含む、請求項5又は請求項6に記載のエッチング方法。
【請求項9】
前記(b)の終了時において、前記凹部は、第1の開口寸法と前記第1の開口寸法と異なる第2の開口寸法とを前記凹部の深さ方向に沿って交互に有する、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項10】
前記第1の開口寸法と前記第2の開口寸法の差が0.2nm以上である、請求項9に記載のエッチング方法。
【請求項11】
前記(a)は、第1チャンバ内に前記基板を配置することを含み、
前記(b)は、前記第1チャンバ内に前記第1の処理ガスを供給して前記プラズマを生成することを含み、
前記(c)は、前記第1チャンバ内にフッ化水素ガスを含む第2の処理ガスを供給することを含む、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項12】
前記(c)は、
(c1)前記基板又は前記基板を支持する基板支持部の温度を第1の温度に制御し、かつ前記チャンバ内の前記フッ化水素ガスの分圧を第1の圧力に制御する工程と、
(c2)前記(c1)の後、前記基板又は前記基板支持部の前記温度を第2の温度に制御し、かつ前記チャンバ内の前記フッ化水素ガスの分圧を第2の圧力に制御する工程と、
を含み、
前記第2の温度は前記第1の温度よりも高い、及び/又は前記第2の圧力は前記第1の圧力よりも低い、請求項11に記載のエッチング方法。
【請求項13】
前記(c)は、
(c1)前記基板又は前記基板を支持する基板支持部の温度を第1の温度に制御し、かつ前記チャンバ内の前記フッ化水素ガスの分圧を第1の圧力に制御する工程と、
(c2)前記(c1)の後、前記基板又は前記基板支持部の前記温度を第2の温度に制御し、かつ前記チャンバ内の前記フッ化水素ガスの分圧を第2の圧力に制御する工程と、
を含み、
横軸を温度、縦軸を圧力としてフッ化水素の吸着平衡圧曲線を示すグラフにおいて、前記吸着平衡圧曲線よりも上側の第1領域に前記第1の温度及び前記第1の圧力が位置し、前記吸着平衡圧曲線よりも下側の第2領域に前記第2の温度及び前記第2の圧力が位置する、請求項11に記載のエッチング方法。
【請求項14】
前記(a)は、第1チャンバ内に前記基板を配置することを含み、
前記(b)は、前記第1チャンバ内に前記第1の処理ガスを供給して前記プラズマを生成することを含み、
前記(c)は、前記基板を前記第1チャンバから前記第1チャンバと異なる第2チャンバに搬送することと、前記第2チャンバ内にフッ化水素ガスを含む第2の処理ガスを供給することを含む、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項15】
前記(c)は、
(c1)前記基板又は前記基板を支持する基板支持部の温度を第1の温度に制御し、かつ前記チャンバ内の前記フッ化水素ガスの分圧を第1の圧力に制御する工程と、
(c2)前記(c1)の後、前記基板又は前記基板支持部の前記温度を第2の温度に制御し、かつ前記チャンバ内の前記フッ化水素ガスの分圧を第2の圧力に制御する工程と、
を含み、
前記第2の温度は前記第1の温度よりも高い、及び/又は前記第2の圧力は前記第1の圧力よりも低い、請求項14に記載のエッチング方法。
【請求項16】
前記(c)は、
(c1)前記基板又は前記基板を支持する基板支持部の温度を第1の温度に制御し、かつ前記チャンバ内の前記フッ化水素ガスの分圧を第1の圧力に制御する工程と、
(c2)前記(c1)の後、前記基板又は前記基板支持部の前記温度を第2の温度に制御し、かつ前記チャンバ内の前記フッ化水素ガスの分圧を第2の圧力に制御する工程と、
を含み、
横軸を温度、縦軸を圧力としてフッ化水素の吸着平衡圧曲線を示すグラフにおいて、前記吸着平衡圧曲線よりも上側の第1領域に前記第1の温度及び前記第1の圧力が位置し、前記吸着平衡圧曲線よりも下側の第2領域に前記第2の温度及び前記第2の圧力が位置する、請求項14に記載のエッチング方法。
【請求項17】
前記(c)における前記基板又は前記基板を支持する基板支持部の温度は、前記(b)における前記基板又は前記基板を支持する基板支持部の温度よりも低い温度に制御される、請求項11から請求項16のいずれか1項に記載のエッチング方法。
【請求項18】
前記第2の処理ガスは、リン含有ガスをさらに含む、請求項11から請求項16のいずれか1項に記載のエッチング方法。
【請求項19】
前記(a)は、第1チャンバ内に前記基板を配置することを含み、
前記(b)は、前記第1チャンバ内に前記第1の処理ガスを供給して前記プラズマを生成することを含み、
前記(c)は、前記基板を前記第1チャンバの外部に搬送することと、当該外部において前記基板にフッ化水素を含む処理液を供給することと、を含む、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項20】
前記処理液は、フッ酸(DHF)又はバッファードフッ酸(BHF)を含む、請求項19に記載のエッチング方法。
【請求項21】
前記(a)は、プラズマ処理システムの第1チャンバ内に前記基板を配置することを含み、
前記(b)は、前記第1チャンバ内に前記第1の処理ガスを供給して前記プラズマを生成することを含み、
前記(c)は、前記基板を前記プラズマ処理システムの外部の基板処理装置に搬送することと、前記基板処理装置内で前記積層膜の前記凹部にフッ化水素を供給することを含む、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項22】
前記積層膜の前記凹部の形状を示すデータに基づいて、前記(c)の条件を設定する工程をさらに含む、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項23】
前記条件は、前記基板が収容されるチャンバの圧力、前記基板又は前記基板を支持する基板支持部の温度、及び前記フッ化水素ガスの流量からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項22に記載のエッチング方法。
【請求項24】
前記(c)は、
(c3)前記積層膜の前記凹部に、第1の条件で前記フッ化水素を供給する工程と、
(c4)前記積層膜の前記凹部に、前記第1の条件と異なる第2の条件で前記フッ化水素を供給する工程と、
を含む、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項25】
前記第2の条件は、前記基板が収容されるチャンバの圧力、前記基板又は前記基板を支持する基板支持部の温度、及び前記フッ化水素ガスの流量からなる群から選択される少なくとも1種が前記第1の条件と異なる、請求項24に記載のエッチング方法。
【請求項26】
チャンバ、プラズマ生成部、ガス供給部及び制御部を有するプラズマ処理装置であって、前記制御部は、
(a)少なくとも2つの異なるシリコン含有膜を含む積層膜と前記積層膜上のマスクとを有する基板を前記チャンバに提供する制御と、
(b)前記チャンバ内で、前記プラズマ生成部により第1の処理ガスから生成したプラズマを用いて前記積層膜をエッチングして前記積層膜に凹部を形成する制御と、
(c)前記チャンバ内で、前記ガス供給部により前記積層膜の前記凹部にフッ化水素ガスを含む第2の処理ガスを供給する制御と、
を実行するプラズマ処理装置。
【請求項27】
第1チャンバ、プラズマ生成部、第2チャンバ、ガス供給部及び制御部を有する基板処理システムであって、前記制御部は、
(a)少なくとも2つの異なるシリコン含有膜を含む積層膜と前記積層膜上のマスクとを有する基板を前記第1チャンバに提供する制御と、
(b)前記第1チャンバ内で、前記プラズマ生成部により第1の処理ガスから生成したプラズマを用いて前記積層膜をエッチングして前記積層膜に凹部を形成する制御と、
(c)前記基板を前記第1チャンバから前記第2チャンバに搬送し、前記第2チャンバ内で、前記ガス供給部により前記積層膜の前記凹部にフッ化水素ガスを含む第2の処理ガスを供給する制御と、
を実行する基板処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、エッチング方法、プラズマ処理装置及び基板処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にはCF系ガスと酸素ガスとを含む処理ガスからプラズマを生成して積層膜をエッチングする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2014/069559号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、エッチングの形状異常を抑制する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一つの例示的実施形態において、エッチング方法であって、(a)少なくとも2つの異なるシリコン含有膜を含む積層膜と前記積層膜上のマスクとを有する基板を提供する工程と、(b)第1の処理ガスから生成したプラズマを用いて前記積層膜をエッチングして前記積層膜に凹部を形成する工程と、(c)前記積層膜の前記凹部にフッ化水素を供給する工程と、を含むエッチング方法が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一つの例示的実施形態によれば、エッチングの形状異常を抑制する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】プラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。
図2】容量結合型のプラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。
図3】本方法の一例を示すフローチャートである。
図4】工程ST1で提供される基板Wの断面構造の一例を示す図である。
図5】工程ST2の処理後の基板Wの断面構造の一例を示す図である。
図6】工程ST3の処理後の基板Wの断面構造の一例を示す図である。
図7】フッ化水素の吸着平衡圧曲線の一例を示すグラフである。
図8】基板処理システムPS1の構成例を説明するための図である。
図9】基板処理システムPS2の構成例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の各実施形態について説明する。
【0009】
一つの例示的実施形態において、エッチング方法であって、(a)少なくとも2つの異なるシリコン含有膜を含む積層膜と積層膜上のマスクとを有する基板を提供する工程と、(b)第1の処理ガスから生成したプラズマを用いて積層膜をエッチングして積層膜に凹部を形成する工程と、(c)積層膜の凹部にフッ化水素を供給する工程と、を含むエッチング方法が提供される。
【0010】
一つの例示的実施形態において、積層膜は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜及びポリシリコン膜からなる群から選択される少なくとも2つを含む。
【0011】
一つの例示的実施形態において、積層膜は、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜とが交互に複数積層されて構成される。
【0012】
一つの例示的実施形態において、マスクは、炭素含有膜又は金属含有膜である。
【0013】
一つの例示的実施形態において、第1の処理ガスは、フッ化水素ガスを含む。
【0014】
一つの例示的実施形態において、第1の処理ガスは、フッ化水素ガス、ハイドロフルオロカーボンガス、及び、水素含有ガスとフッ素含有ガスとの混合ガスからなる群から選択される少なくとも1つを含む。
【0015】
一つの例示的実施形態において、第1の処理ガスは、リン含有ガスをさらに含む。
【0016】
一つの例示的実施形態において、第1の処理ガスは、炭素含有ガス、酸素含有ガス及び金属含有ガスからなる群から選択される少なくとも1つのガスをさらに含む。
【0017】
一つの例示的実施形態において、(b)の終了時において、凹部は、第1の開口寸法と第1の開口寸法と異なる第2の開口寸法とを凹部の深さ方向に沿って交互に有する。
【0018】
一つの例示的実施形態において、第1の開口寸法と第2の開口寸法の差が0.2nm以上である。
【0019】
一つの例示的実施形態において、(a)は、第1チャンバ内に基板を配置することを含み、(b)は、第1チャンバ内に第1の処理ガスを供給してプラズマを生成することを含み、(c)は、第1チャンバ内にフッ化水素ガスを含む第2の処理ガスを供給することを含む。
【0020】
一つの例示的実施形態において、(c)は、(c1)基板又は基板を支持する基板支持部の温度を第1の温度に制御し、かつチャンバ内のフッ化水素ガスの分圧を第1の圧力に制御する工程と、(c2)(c1)の後、基板又は基板支持部の温度を第2の温度に制御し、かつチャンバ内のフッ化水素ガスの分圧を第2の圧力に制御する工程と、を含み、第2の温度は第1の温度よりも高い、及び/又は第2の圧力は第1の圧力よりも低い。
【0021】
一つの例示的実施形態において、(c)は、(c1)基板又は基板を支持する基板支持部の温度を第1の温度に制御し、かつチャンバ内のフッ化水素ガスの分圧を第1の圧力に制御する工程と、(c2)(c1)の後、基板又は基板支持部の温度を第2の温度に制御し、かつチャンバ内のフッ化水素ガスの分圧を第2の圧力に制御する工程と、を含み、横軸を温度、縦軸を圧力としてフッ化水素の吸着平衡圧曲線を示すグラフにおいて、吸着平衡圧曲線よりも上側の第1領域に第1の温度及び第1の圧力が位置し、吸着平衡圧曲線よりも下側の第2領域に第2の温度及び第2の圧力が位置する。
【0022】
一つの例示的実施形態において、(a)は、第1チャンバ内に基板を配置することを含み、(b)は、第1チャンバ内に第1の処理ガスを供給してプラズマを生成することを含み、(c)は、基板を第1チャンバから第1チャンバと異なる第2チャンバに搬送することと、第2チャンバ内にフッ化水素ガスを含む第2の処理ガスを供給することを含む。
【0023】
一つの例示的実施形態において、(c)における基板又は基板を支持する基板支持部の温度は、(b)における基板又は基板を支持する基板支持部の温度よりも低い温度に制御される。
【0024】
一つの例示的実施形態において、第2の処理ガスは、リン含有ガスをさらに含む。
【0025】
一つの例示的実施形態において、(a)は、第1チャンバ内に基板を配置することを含み、(b)は、第1チャンバ内に第1の処理ガスを供給してプラズマを生成することを含み、(c)は、基板を第1チャンバの外部に搬送することと、外部において基板にフッ化水素を含む処理液を供給することと、を含む。
【0026】
一つの例示的実施形態において、処理液は、フッ酸(DHF)又はバッファードフッ酸(BHF)を含む。
【0027】
一つの例示的実施形態において、(a)は、プラズマ処理システムの第1チャンバ内に基板を配置することを含み、(b)は、第1チャンバ内に第1の処理ガスを供給してプラズマを生成することを含み、(c)は、基板をプラズマ処理システムの外部の基板処理装置に搬送することと、基板処理装置内で積層膜の凹部にフッ化水素を供給することを含む。
【0028】
一つの例示的実施形態において、積層膜の凹部の形状を示すデータに基づいて、(c)の条件を設定する工程をさらに含む。
【0029】
一つの例示的実施形態において、条件は、基板が収容されるチャンバの圧力、基板又は基板を支持する基板支持部の温度、及びフッ化水素ガスの流量からなる群から選択される少なくとも1種を含む。
【0030】
一つの例示的実施形態において、(c)は、(c3)積層膜の凹部に、第1の条件でフッ化水素を供給する工程と、(c4)積層膜の凹部に、第1の条件と異なる第2の条件でフッ化水素を供給する工程とを含む。
【0031】
一つの例示的実施形態において、第2の条件は、基板が収容されるチャンバの圧力、基板又は基板を支持する基板支持部の温度、及びフッ化水素ガスの流量からなる群から選択される少なくとも1種が第1の条件と異なる。
【0032】
一つの例示的実施形態において、チャンバ、プラズマ生成部、ガス供給部及び制御部を有するプラズマ処理装置であって、制御部は、(a)少なくとも2つの異なるシリコン含有膜を含む積層膜と積層膜上のマスクとを有する基板をチャンバに提供する制御と、(b)チャンバ内で、プラズマ生成部により第1の処理ガスから生成したプラズマを用いて積層膜をエッチングして積層膜に凹部を形成する制御と、(c)チャンバ内で、ガス供給部により積層膜の凹部にフッ化水素ガスを含む第2の処理ガスを供給する制御とを実行するプラズマ処理装置が提供される。
【0033】
一つの例示的実施形態において、第1チャンバ、プラズマ生成部、第2チャンバ、ガス供給部及び制御部を有する基板処理システムであって、制御部は、(a)少なくとも2つの異なるシリコン含有膜を含む積層膜と積層膜上のマスクとを有する基板を第1チャンバに提供する制御と、(b)第1チャンバ内で、プラズマ生成部により第1の処理ガスから生成したプラズマを用いて積層膜をエッチングして積層膜に凹部を形成する制御と、(c)基板を第1チャンバから第2チャンバに搬送し、第2チャンバ内で、ガス供給部により積層膜の凹部にフッ化水素ガスを含む第2の処理ガスを供給する制御とを実行する基板処理システムが提供される。
【0034】
以下、図面を参照して、本開示の各実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一または同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づいて上下左右等の位置関係を説明する。図面の寸法比率は実際の比率を示すものではなく、また、実際の比率は図示の比率に限られるものではない。
【0035】
<プラズマ処理装置の構成例>
図1は、プラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。一実施形態において、プラズマ処理装置1は、基板処理システムの一部として構成されるプラズマ処理装置1は、制御部2、プラズマ処理チャンバ10、基板支持部11及びプラズマ生成部12を含む。プラズマ処理チャンバ10は、プラズマ処理空間を有する。また、プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間に供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。ガス供給口は、後述するガス供給部20に接続され、ガス排出口は、後述する排気システム40に接続される。基板支持部11は、プラズマ処理空間内に配置され、基板を支持するための基板支持面を有する。
【0036】
プラズマ生成部12は、プラズマ処理空間内に供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマを生成するように構成される。プラズマ処理空間において形成されるプラズマは、容量結合プラズマ(CCP;Capacitively Coupled Plasma)、誘導結合プラズマ(ICP;Inductively Coupled Plasma)、ECRプラズマ(Electron-Cyclotron-resonance plasma)、ヘリコン波励起プラズマ(HWP:Helicon Wave Plasma)、又は、表面波プラズマ(SWP:Surface Wave Plasma)等であってもよい。また、AC(Alternating Current)プラズマ生成部及びDC(Direct Current)プラズマ生成部を含む、種々のタイプのプラズマ生成部が用いられてもよい。一実施形態において、ACプラズマ生成部で用いられるAC信号(AC電力)は、100kHz~10GHzの範囲内の周波数を有する。従って、AC信号は、RF(Radio Frequency)信号及びマイクロ波信号を含む。一実施形態において、RF信号は、100kHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。
【0037】
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1の外部のシステムとして構成されてよい。制御部2は、処理部2a1、記憶部2a2及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aにより実現される。処理部2a1は、記憶部2a2からプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することにより種々の制御動作を行うように構成され得る。このプログラムは、予め記憶部2a2に格納されていてもよく、必要なときに、媒体を介して取得されてもよい。取得されたプログラムは、記憶部2a2に格納され、処理部2a1によって記憶部2a2から読み出されて実行される。媒体は、コンピュータ2aに読み取り可能な種々の記憶媒体であってもよく、通信インターフェース2a3に接続されている通信回線であってもよい。処理部2a1は、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local AreaNetwork)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1の各要素との間で通信してもよい。
【0038】
以下に、プラズマ処理装置1の一例としての容量結合型のプラズマ処理装置の構成例について説明する。図2は、容量結合型のプラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。
【0039】
容量結合型のプラズマ処理装置1は、制御部2、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11及びガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッド13を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。シャワーヘッド13は、基板支持部11の上方に配置される。一実施形態において、シャワーヘッド13は、プラズマ処理チャンバ10の天部(ceiling)の少なくとも一部を構成する。プラズマ処理チャンバ10は、シャワーヘッド13、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。プラズマ処理チャンバ10は接地される。シャワーヘッド13及び基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10の筐体とは電気的に絶縁される。
【0040】
基板支持部11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板Wを支持するための中央領域111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域111bとを有する。ウェハは基板Wの一例である。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。従って、中央領域111aは、基板Wを支持するための基板支持面とも呼ばれ、環状領域111bは、リングアセンブリ112を支持するためのリング支持面とも呼ばれる。
【0041】
一実施形態において、本体部111は、基台1110及び静電チャック1111を含む。基台1110は、導電性部材を含む。基台1110の導電性部材は下部電極として機能し得る。静電チャック1111は、基台1110の上に配置される。静電チャック1111は、セラミック部材1111aとセラミック部材1111a内に配置される静電電極1111bとを含む。セラミック部材1111aは、中央領域111aを有する。一実施形態において、セラミック部材1111aは、環状領域111bも有する。なお、環状静電チャックや環状絶縁部材のような、静電チャック1111を囲む他の部材が環状領域111bを有してもよい。この場合、リングアセンブリ112は、環状静電チャック又は環状絶縁部材の上に配置されてもよく、静電チャック1111と環状絶縁部材の両方の上に配置されてもよい。また、後述するRF電源31及び/又はDC電源32に結合される少なくとも1つのRF/DC電極がセラミック部材1111a内に配置されてもよい。この場合、少なくとも1つのRF/DC電極が下部電極として機能する。後述するバイアスRF信号及び/又はDC信号が少なくとも1つのRF/DC電極に供給される場合、RF/DC電極はバイアス電極とも呼ばれる。なお、基台1110の導電性部材と少なくとも1つのRF/DC電極とが複数の下部電極として機能してもよい。また、静電電極1111bが下部電極として機能してもよい。従って、基板支持部11は、少なくとも1つの下部電極を含む。
【0042】
リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。一実施形態において、1又は複数の環状部材は、1又は複数のエッジリングと少なくとも1つのカバーリングとを含む。エッジリングは、導電性材料又は絶縁材料で形成され、カバーリングは、絶縁材料で形成される。
【0043】
また、基板支持部11は、静電チャック1111、リングアセンブリ112及び基板のうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路1110a、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路1110aには、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。一実施形態において、流路1110aが基台1110内に形成され、1又は複数のヒータが静電チャック1111のセラミック部材1111a内に配置される。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と中央領域111aとの間の間隙に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
【0044】
シャワーヘッド13は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッド13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス拡散室13b、及び複数のガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス拡散室13bを通過して複数のガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。また、シャワーヘッド13は、少なくとも1つの上部電極を含む。なお、ガス導入部は、シャワーヘッド13に加えて、側壁10aに形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0045】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してシャワーヘッド13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する少なくとも1つの流量変調デバイスを含んでもよい。
【0046】
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、少なくとも1つのRF信号(RF電力)を少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ生成部12の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を少なくとも1つの下部電極に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
【0047】
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、10MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給される。
【0048】
第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。バイアスRF信号の周波数は、ソースRF信号の周波数と同じであっても異なっていてもよい。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号の周波数よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、100kHz~60MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、少なくとも1つの下部電極に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0049】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、第1のDC生成部32a及び第2のDC生成部32bを含む。一実施形態において、第1のDC生成部32aは、少なくとも1つの下部電極に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のDC信号は、少なくとも1つの下部電極に印加される。一実施形態において、第2のDC生成部32bは、少なくとも1つの上部電極に接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、少なくとも1つの上部電極に印加される。
【0050】
種々の実施形態において、第1及び第2のDC信号がパルス化されてもよい。この場合、電圧パルスのシーケンスが少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に印加される。電圧パルスは、矩形、台形、三角形又はこれらの組み合わせのパルス波形を有してもよい。一実施形態において、DC信号から電圧パルスのシーケンスを生成するための波形生成部が第1のDC生成部32aと少なくとも1つの下部電極との間に接続される。従って、第1のDC生成部32a及び波形生成部は、電圧パルス生成部を構成する。第2のDC生成部32b及び波形生成部が電圧パルス生成部を構成する場合、電圧パルス生成部は、少なくとも1つの上部電極に接続される。電圧パルスは、正の極性を有してもよく、負の極性を有してもよい。また、電圧パルスのシーケンスは、1周期内に1又は複数の正極性電圧パルスと1又は複数の負極性電圧パルスとを含んでもよい。なお、第1及び第2のDC生成部32a,32bは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第1のDC生成部32aが第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0051】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0052】
<エッチング方法の一例>
図3は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法(以下「本方法」ともいう。)の一例を示すフローチャートである。図3に示すように、本方法は、基板を提供する工程ST1と、基板の積層膜をエッチングする工程ST2と、基板の凹部にフッ化水素を供給する工程ST3とを含む。一実施形態において、各工程における処理は、プラズマ処理装置1(図1図2参照)で実行されてよい。以下の例では、制御部2が容量結合型のプラズマ処理装置1(図2参照)の各部を制御して本方法が実行される。
【0053】
(工程ST1:基板の提供)
工程ST1において、基板Wがプラズマ処理装置1のプラズマ処理空間10s内に提供される。基板Wは、基板支持部11の中央領域111aに配置され、静電チャック1111により基板支持部11に保持される。
【0054】
図4は、工程ST1で供給される基板Wの断面構造の一例を示す図である。図4に示すように、基板Wは、積層膜FS及びマスクMKを有する。一実施形態において、積層膜FS及びマスクMKは、下地膜UF上に形成される。すなわち、基板Wは、下地膜UF、積層膜FS及びマスクMKがこの順で積層されて形成されてよい。一実施形態において、基板Wは、半導体デバイスの製造に用いられる。半導体デバイスは、例えば、3D-NANDフラッシュメモリ、DRAM等の半導体メモリデバイスを含む。
【0055】
一実施形態において、下地膜UFは、シリコンウェハやシリコンウェハ上に形成された有機膜、誘電体膜、金属膜、半導体膜等である。下地膜UFは、複数の膜が積層されて構成されてよい。
【0056】
積層膜FSは、本方法によるエッチングの対象となる膜である。積層膜FSは、少なくとも2つの異なるシリコン含有膜を有する。一実施形態において、積層膜FSは、組成の異なる少なくとも2つのシリコン含有膜を有する。一実施形態において、積層膜FSは、図4に示すように、シリコン酸化膜SF1とシリコン窒化膜SF2とが交互に複数積層されて構成されてよい。一実施形態において、積層膜FSは、シリコン酸化膜と多結晶シリコン膜とが交互に積層されて構成されてよい。一実施形態において、積層膜FSは、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜及び多結晶シリコン膜が所与の順番で積層されて構成されてよい。一実施形態において、積層膜FSは、シリコン酸化膜とシリコン炭窒化膜とが交互に積層されて構成されてよい。一実施形態において、積層膜FSは、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜及びシリコン炭窒化膜が所与の順番で積層されて構成されてよい。なお、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、多結晶シリコン膜等のシリコン含有膜は、リン、ボロン又は窒素等の不純物を含んでもよい。
【0057】
マスクMKは、工程ST2で生成されるプラズマに対するエッチングレートが積層膜FSよりも低い材料から形成されてよい。一実施形態において、マスクMKは、炭素含有膜又は金属含有膜である。炭素含有膜は、一例では、アモルファスカーボン(ACL)膜、スピンオンカーボン(SOC)膜又はフォトレジスト膜である。ACL膜はホウ素、ヒ素、タングステン、キセノン等の元素がドープされてもよい。金属含有膜は、一例では、タングステン、モリブデン、チタン、ルテニウム、サマリウム及びイットリムからなる群から選択される少なくとも1種の金属を含む。金属含有膜は、一例では、タングステンカーバイド(WC)、タングステンシリサイド(WSi)、WSiN及びWSiCからなる群から選択される少なくとも1種を含んでよい。マスクMKは、1つの膜からなる単層マスクでよく、また2つ以上の積層膜からなる多層マスクであってもよい。
【0058】
マスクMKは、図4に示すように、積層膜FS上において少なくとも一つの開口OPを規定する。開口OPは、積層膜FS上の空間であって、マスクMKの側壁に囲まれている。すなわち、積層膜FSの上面は、マスクMKによって覆われた領域と、開口OPの底部において露出した領域とを有する。
【0059】
開口OPは、基板Wの平面視、すなわち、基板Wを図4の上から下に向かう方向に見た場合において、任意の形状を有してよい。当該形状は、例えば、円、楕円、矩形、線やこれらの1種類以上を組み合わせた形状であってよい。マスクMKは、複数の側壁を有し、複数の側壁が複数の開口OPを規定してもよい。複数の開口OPは、それぞれ線形状を有し、一定の間隔で並んでライン&スペースのパターンを構成してもよい。また、複数の開口OPは、それぞれ穴形状を有し、アレイパターンを構成してもよい。
【0060】
基板を構成する各膜(下地膜UF、積層膜FS、マスクMK)は、それぞれ、CVD法、ALD法、PVD法、スピンコート法等により形成されてよい。マスクMKは、リソグラフィによって形成されてもよい。またマスクMKの開口OPは、マスクMKをエッチングすることで形成されてよい。各膜は、それぞれ、平坦な膜であってよく、また凹凸を有する膜であってもよい。一実施形態において、基板Wは、下地膜UFの下に他の膜をさらに有してよい。この場合、積層膜FS及び下地膜UFに開口OPに対応する形状の凹部を形成し、当該他の膜をエッチングするためのマスクとして用いてもよい。
【0061】
一実施形態において、基板Wの各膜を形成する工程の少なくとも一部は、工程ST1の一部としてプラズマ処理空間10s内で行われてよい。例えば、マスクMKの開口OPをエッチングにより形成する場合、工程ST1の当該エッチングと、工程ST2の積層膜FSのエッチングとは、プラズマ処理空間10s内で連続して実行されてよい。一実施形態において、基板Wの各膜の全部又は一部がプラズマ処理装置1の外部の装置又はチャンバで形成された後、基板Wがプラズマ処理空間10s内に提供されてよい。
【0062】
一実施形態において、基板Wが基板支持部11の中央領域111aに提供された後、基板支持部11が温調モジュールにより所与の温度に制御される。一例では、基板支持部11の温度を所与の温度に制御することは、流路1110aを流れる伝熱流体の温度やヒータ温度を所与の温度にすること、又は、所与の温度とは異なる温度にすることを含む。なお、流路1110aに伝熱流体が流れ始めるタイミングは、基板Wが基板支持部11に載置される前でも後でもよく、また同時でもよい。また、基板支持部11の温度は、工程ST1の前に所与の温度に制御されてよい。すなわち、基板支持部11の温度が所与の温度に制御された後に、基板支持部11に基板Wが提供されてよい。一実施形態において、所与の温度は、0℃以下、-10℃以下、-20℃以下又は-30℃以下である。一実施形態において、所与の温度は、-70℃以上、-60℃以上、-50℃又は-40℃以上である。
【0063】
一実施形態において、基板支持部11を所与の温度に制御することに代えて、基板Wを所与の温度に制御してもよい。基板Wの温度を所与の温度に制御することは、基板支持部11、流路1110aを流れる伝熱流体の温度及び/又はヒータ温度を所与の温度にすること、又は、所与の温度とは異なる温度にすることを含む。
【0064】
(工程ST2:積層膜FSのエッチング)
工程ST2において、基板Wの積層膜FSがエッチングされる。これにより積層膜FSのうち、マスクMKにより覆われていない部分(開口OPにおいて露出した部分)がエッチングされ凹部が形成される。
【0065】
(第1の処理ガスの供給)
まず、ガス供給部20から第1の処理ガスがプラズマ処理空間10s内に供給される。第1の処理ガスはフッ化水素(HF)ガスを含む。一実施形態において、HFガスは、不活性ガスを除いて第1の処理ガス中最も流量(分圧)が大きくてよい。一例では、HFガスの流量は、第1の処理ガスの総流量(第1の処理ガスが不活性ガスを含む場合は当該不活性ガスを除く全てのガスの流量)に対して、50体積%以上、60体積%以上、70体積%以上、80体積%以上、90体積%以上又は95体積%以上でよい。HFガスの流量は、第1の処理ガスの総流量に対して、100体積%未満、99.5体積%以下、98体積%以下又は96体積%以下でよい。一例では、HFガスの流量は、第1の処理ガスの総流量に対して、70体積%以上96体積%以下である。
【0066】
一実施形態において、第1の処理ガスはリン含有ガスを含んでよい。リン含有ガスは、リン含有分子を含むガスである。リン含有分子は、十酸化四リン(P410)、八酸化四リン(P48)、六酸化四リン(P46)等の酸化物であってもよい。十酸化四リンは、五酸化二リン(P25)と呼ばれることがある。リン含有分子は、三フッ化リン(PF3)、五フッ化リン(PF5)、三塩化リン(PCl3)、五塩化リン(PCl5)、三臭化リン(PBr3)、五臭化リン(PBr5)、ヨウ化リン(PI3)のようなハロゲン化物(ハロゲン化リン)であってもよい。すなわち、リン含有分子は、フッ化リン等、ハロゲン元素としてフッ素を含んでもよい。或いは、リン含有分子は、ハロゲン元素としてフッ素以外のハロゲン元素を含んでもよい。リン含有分子は、フッ化ホスホリル(POF3)、塩化ホスホリル(POCl3)、臭化ホスホリル(POBr3)のようなハロゲン化ホスホリルであってよい。リン含有分子は、ホスフィン(PH3)、リン化カルシウム(Ca32等)、リン酸(H3PO4)、リン酸ナトリウム(Na3PO4)、ヘキサフルオロリン酸(HPF6)等であってよい。リン含有分子は、フルオロホスフィン類(HgPFh)であってよい。ここで、gとhの和は、3又は5である。フルオロホスフィン類としては、HPF2、H2PF3が例示される。第1の処理ガスは、少なくとも一つのリン含有分子として、上記のリン含有分子のうち一つ以上のリン含有分子を含み得る。例えば、第1の処理ガスは、少なくとも一つのリン含有分子として、PF3、PCl3、PF5、PCl5、POCl3、PH3、PBr3、又はPBr5の少なくとも一つを含み得る。なお、第1の処理ガスに含まれる各リン含有分子が液体又は固体である場合、各リン含有分子は、加熱等によって気化されてプラズマ処理空間10s内に供給され得る。
【0067】
一例では、リン含有ガスは、PClab(aは1以上の整数であり、bは0以上の整数であり、a+bは5以下の整数である)ガス又はPCcde(d、eはそれぞれ1以上5以下の整数であり、cは0以上9以下の整数である)ガスであってよい。
【0068】
PClabガスは、例えば、PClF2ガス、PCl2Fガス及びPCl23ガスからなる群から選択される少なくとも1種のガスでよい。
【0069】
PCcdeガスは、例えば、PF2CH3ガス、PF(CH32ガス、PH2CF3ガス、PH(CF32ガス、PCH3(CF32ガス、PH2Fガス及びPF3(CH32ガスからなる群から選択される少なくとも1種のガスでよい。
【0070】
一例では、リン含有ガスは、PClcdef(c、d、e及びfはそれぞれ1以上の整数である)ガスであってよい。またリン含有ガスは、P(リン)、F(フッ素)及びF(フッ素)以外のハロゲン(例えば、Cl、Br又はI)を分子構造に含むガス、P(リン)、F(フッ素)、C(炭素)及びH(水素)を分子構造に含むガス、又は、P(リン)、F(フッ素)及びH(水素)を分子構造に含むガスであってもよい。
【0071】
一例では、リン含有ガスは、ホスフィン系ガスを用いてよい。ホスフィン系ガスとしては、ホスフィン(PH3)、ホスフィンの少なくとも1つの水素原子を適当な置換基により置換した化合物、及びホスフィン酸誘導体が挙げられる。
【0072】
ホスフィンの水素原子を置換する置換基としては、特に限定されず、例えばフッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;並びにヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等のヒドロキシアルキル基等が挙げられ、一例では、塩素原子、メチル基、及びヒドロキシメチル基が挙げられる。
【0073】
ホスフィン酸誘導体としては、ホスフィン酸(H32P)、アルキルホスフィン酸(PHO(OH)R)、及びジアルキルホスフィン酸(PO(OH)R2)が挙げられる。
【0074】
ホスフィン系ガスとしては、例えば、PCH3Cl2(ジクロロ(メチル)ホスフィン)ガス、P(CH32Cl(クロロ(ジメチル)ホスフィン)ガス、P(HOCH2)Cl2(ジクロロ(ヒドロキシルメチル)ホスフィン)ガス、P(HOCH22Cl(クロロ(ジヒドロキシルメチル)ホスフィン)ガス、P(HOCH2)(CH32(ジメチル(ヒドロキシルメチル)ホスフィン)ガス、P(HOCH22(CH3)(メチル(ジヒドロキシルメチル)ホスフィン)ガス、P(HOCH23(トリス(ヒドロキシルメチル)ホスフィン)ガス、H32P(ホスフィン酸)ガス、PHO(OH)(CH3)(メチルホスフィン酸)ガス及びPO(OH)(CH32(ジメチルホスフィン酸)ガスからなる群から選択される少なくとも1種のガスを用いてよい。
【0075】
一実施形態において、第1の処理ガスに含まれるリン含有ガスの流量は、第1の処理ガスの総流量のうち、20体積%以下、10体積%以下、5体積%以下である。
【0076】
一実施形態において、第1の処理ガスはタングステン含有ガスを含んでよい。タングステン含有ガスは、タングステンとハロゲンとを含有するガスでよく、一例では、WFxClyガスである(x及びyはそれぞれ0以上6以下の整数であり、xとyとの和は2以上6以下である)。具体的には、タングステン含有ガスとしては、2フッ化タングステン(WF2)ガス、4フッ化タングステン(WF4)ガス、5フッ化タングステン(WF5)ガス、6フッ化タングステン(WF6)ガス等のタングステンとフッ素とを含有するガス、2塩化タングステン(WCl2)ガス、4塩化タングステン(WCl4)ガス、5塩化タングステン(WCl5)ガス、6塩化タングステン(WCl6)ガス等のタングステンと塩素とを含有するガスであってよい。これらの中でも、WF6ガス及びWCl6ガスの少なくともいずれかのガスであってよい。タングステン含有ガスの流量は、第1の処理ガスの総流量のうち5体積%以下でよい。一実施形態において、第1の処理ガスは、タングステン含有ガスに代えて又は加えて、チタン含有ガス、モリブデン含有ガス及びルテニウム含有ガスの少なくとも一つを含んでよい。
【0077】
一実施形態において、第1の処理ガスは炭素含有ガスを含んでよい。炭素含有ガスは、例えば、フルオロカーボンガス及びハイドロフルオロカーボンガスのいずれかまたは両方でよい。一例では、フルオロカーボンガスは、CF4ガス、C22ガス、C24ガス、C36ガス、C38ガス、C46ガス、C48ガス及びC58ガスからなる群から選択される少なくとも1種でよい。一例では、ハイドロフルオロカーボンガスは、CHF3ガス、CH22ガス、CH3Fガス、C2HF5ガス、C224ガス、C233ガス、C242ガス、C3HF7ガス、C322ガス、C324ガス、C326ガス、C335ガス、C426ガス、C455ガス、C428ガス、C526ガス、C5210ガス及びC537ガスからなる群から選択される少なくとも1種でよい。また、炭素含有ガスは、不飽和結合を有する直鎖状のものであってよい。不飽和結合を有する直鎖状の炭素含有ガスは、例えば、C36(ヘキサフルオロプロぺン)ガス、C48(オクタフルオロ-1-ブテン、オクタフルオロ-2-ブテン)ガス、C324(1,3,3,3-テトラフルオロプロペン)ガス、C426(トランス-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン)ガス、C48O(ペンタフルオロエチルトリフルオロビニルエーテル)ガス、CF3COFガス(1,2,2,2-テトラフルオロエタン-1-オン)、CHF2COF(ジフルオロ酢酸フルオライド)ガス及びCOF2(フッ化カルボニル)ガスからなる群から選択される少なくとも1種でよい。また、炭素含有ガスは、フッ素以外のハロゲンを含んでよく、フッ素とフッ素以外のハロゲンとを含んでよく、フッ素以外のハロゲンを2種以上含んでよい。一例では、炭素含有ガスは、CstBruClvw(ただし、sは1以上の整数、t、u、v及びwは、それぞれ0以上の整数)であってよく、CstBruClvw(ただし、sは1以上7以下の整数、t、u、v及びwは、それぞれ0以上16以下で、4≦t+u+v+w≦16を満たす整数)であってよい。例えば、炭素含有ガスは、CCl4、CH2Cl2、CHCl3、CF2Cl2、CH2ClF、CHCl2F、CBr22、C25Br、CF3I、C25I及びC37Iからなる群から選択される少なくとも1種を含んでよい。
【0078】
一実施形態において、第1の処理ガスは酸素含有ガスを含んでよい。酸素含有ガスは、例えば、O2、CO、CO2、H2O及びH22からなる群から選択される少なくとも1種のガスでよい。一例では、酸素含有ガスは、H2O以外の酸素含有ガス、例えばO2、CO、CO2及びH22からなる群から選択される少なくとも1種のガスでよい。酸素含有ガスの流量は、第1の処理ガスに含まれる他のガス(例えば炭素含有ガス)の流量に応じて調整されてよい。
【0079】
一実施形態において、第1の処理ガスはフッ素以外のハロゲン含有ガスを含んでよい。フッ素以外のハロゲン含有ガスは、塩素含有ガス、臭素含有ガス及び/又はヨウ素含有ガスでよい。塩素含有ガスは、一例では、Cl2、HCl、SiCl2、SiCl4、CCl4、SiH2Cl2、Si2Cl6、CHCl3、SO2Cl2、BCl3、PCl3、PCl5及びPOCl3からなる群から選択される少なくとも1種のガスでよい。臭素含有ガスは、一例では、Br2、HBr、CBr22、C25Br、PBr3、PBr5、POBr3及びBBr3からなる群から選択される少なくとも1種のガスでよい。ヨウ素含有ガスは、一例では、HI、CF3I、C25I、C37I、IF5、IF7、I2、PI3からなる群から選択される少なくとも1種のガスでよい。一例では、フッ素以外のハロゲン含有ガスは、Cl2ガス、Br2ガス及びHBrガスからなる群から選択される少なくとも1種でよい。一例では、フッ素以外のハロゲン含有ガスは、Cl2ガス又はHBrガスである。
【0080】
一実施形態において、第1の処理ガスは不活性ガスをさらに含んでよい。不活性ガスは、一例では、Arガス、Heガス、Krガス等の貴ガス又は窒素ガスでよい。
【0081】
一実施形態において、第1の処理ガスは、HFガスの一部又は全部に代えて、プラズマ中にフッ化水素種(HF種)を生成可能なガスを含んでよい。HF種は、フッ化水素のガス、ラジカル及びイオンの少なくともいずれかを含む。
【0082】
HF種を生成可能なガスは、例えば、ハイドロフルオロカーボンガスでよい。ハイドロフルオロカーボンガスは、炭素数が2以上、3以上又は4以上でもよい。ハイドロフルオロカーボンガスは、一例では、CH22ガス、C324ガス、C326ガス、C335ガス、C426ガス、C455ガス、C428ガス、C526ガス、C5210ガス及びC537ガスからなる群から選択される少なくとも1種である。ハイドロフルオロカーボンガスは、一例では、CH22ガス、C324ガス、C326ガス及びC426ガスからなる群から選択される少なくとも1種である。
【0083】
HF種を生成可能なガスは、例えば、水素源及びフッ素源を含む混合ガスでよい。水素源は、例えば、H2ガス、NH3ガス、H2Oガス、H22ガス及びハイドロカーボンガス(CH4ガス、C36ガス等)からなる群から選択される少なくとも一種でよい。フッ素源は、例えば、NF3ガス、SF6ガス、WF6ガス又はXeF2ガスのように炭素を含まないフッ素含有ガスでよい。またフッ素源は、フルオロカーボンガス及びハイドロフルオロカーボンガスのように炭素を含むフッ素含有ガスでもよい。フルオロカーボンガスは、一例では、CF4ガス、C22ガス、C24ガス、C36ガス、C38ガス、C46ガス、C48ガス及びC58ガスからなる群から選択される少なくとも1種でよい。ハイドロフルオロカーボンガスは、一例では、CHF3ガス、CH22ガス、CH3Fガス、C2HF5ガス及びCを3つ以上含むハイドロフルオロカーボンガス(C324ガス、C326ガス、C426ガス等)からなる群から選択される少なくとも1種でよい。
【0084】
(プラズマの生成)
次に、基板支持部11の下部電極及び/又はシャワーヘッド13の上部電極にソースRF信号が供給される。これにより、シャワーヘッド13と基板支持部11との間で高周波電界が生成され、プラズマ処理空間10s内の第1の処理ガスからプラズマが生成される。基板支持部11の下部電極にバイアス信号が供給されてよい。この場合、プラズマと基板Wとの間にバイアス電位が発生する。バイアス電位によって、プラズマ中のイオン、ラジカル等の活性種が基板Wに引きよせられる。バイアス信号は、第2のRF生成部31bから供給されるバイアスRF信号であってよい。またバイアス信号は、DC生成部32aから供給されるバイアスDC信号であってもよい。
【0085】
一実施形態において、ソースRF信号及びバイアス信号は、双方が連続波又はパルス波でよく、また一方が連続波で他方がパルス波でもよい。ソースRF信号及びバイアス信号の双方がパルス波である場合、双方のパルス波の周期は同期してよく、また同期しなくてもよい。ソースRF信号及び/又はバイアス信号パルス波のデューティ比は適宜設定してよく、例えば、1~80%でよく、また5~50%でよい。またバイアス信号として、バイアスDC信号を用いる場合、パルス波は、矩形、台形、三角形又はこれらの組み合わせの波形を有してよい。バイアスDC信号の極性は、プラズマと基板との間に電位差を与えてイオンを引き込むように基板Wの電位が設定されれば、負であっても正であってもよい。
【0086】
一実施形態において、ソースRF信号及びバイアス信号の少なくとも一方の供給と停止とが交互に繰り返されてよい。例えば、ソースRF信号が連続して供給される間に、バイアス信号の供給と停止とが交互に繰り返されてよい。また例えば、ソースRF信号の供給と停止とが交互に繰り返される間に、バイアス信号が連続して供給されてもよい。また例えば、ソースRF信号及びバイアス信号の双方の供給と停止とが交互に繰り返されてもよい。
【0087】
一実施形態において、工程ST2における処理の間、第1の処理ガスの構成及び各ガスの流量(分圧)は一定であってよい。一実施形態において、工程ST2におけるエッチングの進行に伴って、第1の処理ガスの構成及び/又は各ガスの流量(分圧)が変更されてよい。
【0088】
一実施形態において、工程ST2における処理の間、基板支持部11の温度は、工程ST1で設定した所与の温度に制御されてよい。一実施形態において、基板支持部11の温度に代えて、基板Wの温度が所与の温度に制御されてもよい。
【0089】
一実施形態において、工程ST2における処理の間、プラズマ処理チャンバ10内の圧力は、1mTorr以上50mTorr以下に制御されてよい。
【0090】
図5は、工程ST2の処理後の基板Wの断面構造の一例を示す図である。工程ST2によるエッチングにより、積層膜FSのうち、マスクMKにより覆われていない部分(開口OPにおいて露出した部分)がエッチングされ凹部RCが形成される。ここで積層膜FSに形成される凹部RCの開口寸法が深さ方向に沿って不均一になる場合がある。例えば凹部RCの開口寸法は、積層膜FSを構成する膜の種類に応じて異なり得る。この理由は必ずしも明らかではないが、例えば、膜ごとにプラズマ中の活性種に対する反応性や側壁に堆積するバイプロダクトの種類・堆積量が異なることで、膜ごとに水平方向のエッチングレートが異なること等が考えられる。
【0091】
図5に示す例では、積層膜FSに形成される凹部RCの開口寸法は、シリコン酸化膜SF1とシリコン窒化膜SF2とで異なっている。一実施形態においてシリコン酸化膜SF1における開口寸法CD1は、シリコン窒化膜SF2の開口寸法CD2よりも小さい。凹部RCは、深さ方向に沿って開口寸法CD1と開口寸法CD2とを交互に有する。これにより凹部RCを規定する積層膜FSの側壁SSは、深さ方向に沿って凹凸を有する。一例では、積層膜FSの側壁SSは深さ方向に沿って貝殼状の凹凸形状を有しうる。このような凹凸はその形状からスキャロップ(Scallop)と呼ばれることもある。スキャロップは、エッチングによる形状異常の1つである。一実施形態において、側壁SSの表面の粗さ(開口寸法CD1と開口寸法CD2との差)は0.2nm以上である。
【0092】
本方法では、以下に示す工程ST3により積層膜FSの側壁SSの表面の粗さ(凹部RCの開口寸法の深さ方向の均一性)を改善し得る。
【0093】
(工程ST3:凹部へのフッ化水素の供給)
工程ST3において、積層膜FSの凹部RCにフッ化水素が供給される。一実施形態において、フッ化水素はHFガスとして供給されてよい。一実施形態において、工程ST3は、工程ST2と同じチャンバで工程ST2から連続して実行されてよい。具体的には、ガス供給部20からHFガスを含む第2の処理ガスがプラズマ処理空間10s内に供給される。一実施形態において、第2の処理ガスは、上述した不活性ガスを含んでよい。基板Wの積層膜FSに形成された凹部RCにフッ化水素ガスが供給されることで、積層膜FSの側壁SSが水平方向にエッチングされる。側壁SSを構成する膜ごとにHFガスに対するエッチングレートは異なり得る。すなわち工程ST3においてエッチングされる側壁SSのエッチング量は膜ごとに異なり得る。
【0094】
一実施形態において、HFガスは、不活性ガスを除いて第2の処理ガス中最も流量(分圧)が大きくてよい。一例では、HFガスの流量は、第2の処理ガスの総流量(第2の処理ガスが不活性ガスを含む場合は当該不活性ガスを除く全てのガスの流量)に対して、50体積%以上、60体積%以上、70体積%以上、80体積%以上、90体積%以上又は95体積%以上でよい。HFガスの流量は、第2の処理ガスの総流量に対して、100体積%未満、99.5体積%以下、98体積%以下又は96体積%以下でよい。一例では、HFガスの流量は、第2の処理ガスの総流量に対して、70体積%以上96体積%以下である。
【0095】
一実施形態において第2の処理ガスは上述したリン含有ガスを含んでよい。一実施形態において、第2の処理ガスに含まれるリン含有ガスの流量は、第2の処理ガスの総流量のうち、20体積%以下、10体積%以下、5体積%以下である。
【0096】
一実施形態において、工程ST3における処理の間、基板支持部11の温度は、工程ST1及び/又は工程ST2で設定した所与の温度よりも低い温度に制御されてよく、また高い温度に制御されてもよい。一例では、基板支持部11の温度は、0℃以下、-10℃以下、-20℃又は-30℃、-40℃又は-50℃以下である。一実施形態において、所与の温度は-70℃以上又は-60℃以上である。一実施形態において、基板支持部11の温度に代えて、基板Wの温度が所与の温度よりも低い上記の温度に制御されてもよい。これにより、HFガスによるシリコン酸化膜のエッチングレートが向上し得る。
【0097】
一実施形態において、工程ST3における処理の間、プラズマ処理チャンバ10内の圧力は、工程ST2におけるプラズマ処理チャンバ10内の圧力よりも高い。
【0098】
図6は、工程ST3の処理後の基板Wの断面構造の一例を示す図である。図6に示すように、工程ST3により、凹部RCのシリコン酸化膜SF1の開口寸法CD10とシリコン窒化膜SF2の開口寸法CD20とが実質的に同一になり得る。一実施形態において、側壁SSの表面の粗さ(開口寸法CD10と開口寸法CD20との差)は1nm未満である。すなわち側壁SSの表面粗さが改善し得る。
【0099】
この理由は積層膜FSの側壁SSのうち、シリコン酸化膜SF1の水平方向のエッチングが進行する一方で、シリコン窒化膜SF2のエッチングは抑制されるためと考えられる。一例では、シリコン窒化膜SF2に対するシリコン酸化膜SF1のエッチングの選択比(第2の処理ガスによるシリコン酸化膜SF1のエッチングレート/第2の処理ガスによるシリコン窒化膜SF2のエッチングレート)は10以上、15以上、20以上又は25以上である。
【0100】
本方法によれば、エッチングにより積層膜に形成される凹部の例えばScallop等の形状異常を抑止し、積層膜の側壁の表面粗さを改善し得る。
【0101】
<変形例>
本方法の変形例について説明する。本開示は、以下の変形例によって何ら限定されるものではない。
【0102】
一実施形態において、工程ST3は、次の2つの工程ST31及び工程ST32を含んでよい。工程ST31は、基板支持部11の温度を第1の温度に制御し、かつチャンバ内のフッ化水素ガスの分圧を第1の圧力に制御する工程である。工程ST32は、工程ST31の後に実行され、基板支持部11の温度を第2の温度に制御し、かつチャンバ内のフッ化水素ガスの分圧を第2の圧力に制御する工程である。一実施形態において、工程ST31及び工程ST32において、基板支持部11の温度を制御することに代えて、基板Wの温度を制御してよい。
【0103】
一実施形態において、第2の温度は、第1の温度よりも高くてよい。一実施形態において、第2の圧力は、第1の圧力よりも低くてよい。
【0104】
図7は、フッ化水素の吸着平衡圧曲線の一例を示すグラフである。横軸は温度(℃)である。縦軸は圧力(mTorr)である。C1はフッ化水素の吸着平衡圧曲線である。C2はフッ化水素の飽和蒸気圧曲線である。図7のグラフの吸着平衡圧曲線C1上の温度及び圧力において、フッ化水素の吸着及び脱離は平衡となる。一実施形態において、吸着平衡圧曲線C1は、BETの吸着理論に基づき、測定データを用いて近似された指数関数により描かれてもよい。
【0105】
一実施形態において、第1の温度及び第1の圧力は、図7に示すグラフのフッ化水素の吸着平衡圧曲線C1よりも上の第1の領域に位置する。これにより、工程ST31では、積層膜FSの側壁SSの表面にフッ化水素が吸着し、揮発性の副生物が形成される。第1の領域は、フッ化水素の飽和蒸気圧曲線C2より下の領域(図7のグラフにおいて「R1」で示す領域)に位置してよい。この場合、フッ化水素は積層膜FSの側壁SSの表面に気相吸着する。第1の領域は、飽和蒸気圧曲線C2より上に位置してよい。この場合、フッ化水素は積層膜FSの側壁SSの表面に液相吸着する。一実施形態において、シリコン酸化膜SF1の側壁SSにおけるフッ化水素の吸着量及び副生成物の形成量は、シリコン窒化膜SF2の側壁SSよりも多い。
【0106】
一実施形態において、第2の温度及び第2の圧力は、図7に示すグラフのフッ化水素の吸着平衡圧曲線C1よりも下の第2の領域(図7のグラフにおいて「R2」で示す領域)に位置する。これにより、工程ST32では、積層膜FSの側壁SSの表面において吸着したフッ化水素及び副生成物が脱離する。一実施形態において、シリコン酸化膜SF1の側壁SSにおけるフッ化水素及び副生成物の脱離量は、シリコン窒化膜SF2の側壁SSよりも多い。これにより、シリコン酸化膜SF1の水平方向のエッチングがシリコン窒化膜SF2に比べて進行する。
【0107】
一実施形態において、工程ST3において、工程ST31と工程ST32とを含むサイクルが複数回実行されてよい。
【0108】
一実施形態において、工程ST3は工程ST2と異なるチャンバ(以下「第2チャンバ」という。)で実行されてよい。例えば、工程ST3は、基板Wをプラズマ処理チャンバ10から第2チャンバに搬送する工程と、当該第2のチャンバにおいて基板Wに上述した第2の処理ガスを供給する工程とを含んでよい。一実施形態において、第2チャンバは、以下に示す基板処理システムPS1の一部であってよい。一実施形態において、第2チャンバは、プラズマ処理装置1を含むプラズマ処理システムの外部にある、別の基板処理装置の一部であってよい。
【0109】
一実施形態において、工程ST3の条件は、積層膜FSの凹部RCの形状を示すデータに基づいて設定されてよい。工程ST2後の側壁SSの表面粗さは、凹部RCの深さによって異なる場合がある。このような場合、積層膜FSの凹部RCの形状を示すデータに基づいて、工程ST3の条件を設定することで、凹部RCの深さに関わらず、側壁SSの表面粗さを改善することができる。
【0110】
積層膜FSの凹部RCの形状を示すデータは、センサを用いて工程ST2後の基板Wを観察することにより取得してよい。センサは、光学センサであってもよく、他のセンサであってもよい。センサは、プラズマ処理チャンバ10内の基板支持部11上に載置された基板Wを観察可能に構成されたものであってもよく、プラズマ処理チャンバ10の外部において基板Wを観察可能に構成されたものであってもよい。一例では、センサは、後述する搬送モジュールTM内に設置される。なお、積層膜FSの凹部RCの形状を示すデータは、工程ST2におけるプラズマの発光状態及び/又は工程ST2の前後における基板Wの質量変化から推定したデータであってもよく、シミュレーション等により推定したデータであってもよい。
【0111】
一実施形態において、積層膜FSの凹部RCの形状を示すデータに基づいて設定される条件は、基板Wが収容されるプラズマ処理チャンバ10の圧力(以下、「圧力」ともいう。)、基板W又は基板Wを支持する基板支持部11の温度(以下、「温度」ともいう。)、及びフッ化水素ガスの流量(以下、「流量」ともいう。)からなる群から選択される少なくとも1種を含んでよい。
【0112】
一実施形態において、凹部RCの形状を示すデータに基づいて、圧力、温度及び流量は、以下のように設定されてよい。ここで、凹部RCの深さ方向で側壁SSの表面粗さが均一ないしは略均一である場合の圧力、温度及び流量を基準値とする。凹部RCの上側(開口側)から下側(底部側)に向かって側壁SSの表面粗さが小さくなっている場合には、圧力及び流量を基準値よりも低く設定し、温度を基準値よりも高く設定してよい。また、凹部RCの上側から下側に向かって側壁SSの表面粗さが大きくなっている場合には、圧力及び流量を基準値よりも高く設定し、温度を基準値よりも低く設定してよい。また、凹部RCの中間部の表面粗さが最も小さく、凹部RCの上側及び下側の表面粗さが同程度である場合には、圧力及び流量は基準値のまま、温度のみを低く設定してよい。また、凹部RCの中間部の表面粗さが最も小さく、凹部RCの上側よりも下側の表面粗さが大きい場合には、温度を基準値のまま、圧力及び流量を基準値よりも高く設定してよい。また、凹部RCの中間部の表面粗さが最も小さく、凹部RCの下側よりも上側の表面粗さが大きい場合には、温度を基準値のまま、圧力及び流量を基準値よりも低く設定してよい。
【0113】
一実施形態において、工程ST3の実行中、凹部RCの深さに応じて、工程ST3の条件を変更してもよい。例えば、工程3は、次の2つの工程ST33及び工程ST34を含んでよい。工程33は、積層膜FSの凹部RCに、第1の条件でフッ化水素を供給する工程である。工程34は、積層膜FSの凹部RCに、第1の条件と異なる第2の条件で前記フッ化水素を供給する工程である。工程3において、工程33と工程34とを含むサイクルが複数回実行されてもよい。
【0114】
一実施形態において、第2の条件は、基板Wが収容されるプラズマ処理チャンバ10の圧力、基板W又は基板Wを支持する基板支持部11の温度、及びフッ化水素ガスの流量からなる群から選択される少なくとも1種が第1の条件と異なってよい。
【0115】
一実施形態において、本方法は複数の基板処理室を含む基板処理システムPS1を用いて実行されてよい。
【0116】
図8は、基板処理システムPS1の構成例を説明するための図である。基板処理システムPS1は、基板処理室PM1~PM6(以下、総称して「基板処理モジュールPM」ともいう。)と、搬送モジュールTMと、ロードロックモジュールLLM1及びLLM2(以下、総称して「ロードロックモジュールLLM」ともいう。)と、ローダーモジュールLM、ロードポートLP1からLP3(以下、総称して「ロードポートLP」ともいう。)とを有する。制御部CTは、基板処理システムPS1の各構成を制御して、基板Wに所与の処理を実行する。
【0117】
基板処理モジュールPMは、その内部において、基板Wに対して、エッチング処理、トリミング処理、成膜処理、アニール処理、ドーピング処理、リソグラフィ処理、クリーニング処理、アッシング処理等の処理を実行する。基板処理室PM1~PM6の少なくとも一つは、図1図2に示すプラズマ処理装置1であってよい。
【0118】
搬送モジュールTMは、基板Wを搬送する搬送装置を有し、基板処理モジュールPM間又は基板処理モジュールPMとロードロックモジュールLLMとの間で、基板Wを搬送する。基板処理モジュールPM及びロードロックモジュールLLMは、搬送モジュールTMに隣接して配置されている。搬送モジュールTMと基板処理モジュールPM及びロードロックモジュールLLMは、開閉可能なゲートバルブによって空間的に隔離又は連結される。
【0119】
ロードロックモジュールLLM1及びLLM2は、搬送モジュールTMとローダーモジュールLMとの間に設けられている。ロードロックモジュールLLMは、その内部の圧力を、大気圧又は真空に切り替えることができる。「大気圧」は、基板処理システムPS1に含まれる各モジュールの外部の圧力であり得る。また、「真空」は、大気圧よりも低い圧力であって、例えば0.1Pa~100Paの中真空であり得る。ロードロックモジュールLLMは、大気圧であるローダーモジュールLMから真空である搬送モジュールTMへ基板Wを搬送し、また、真空である搬送モジュールTMから大気圧であるローダーモジュールLMへ搬送する。
【0120】
ローダーモジュールLMは、基板Wを搬送する搬送装置を有し、ロードロックモジュールLLMとロードボードLPとの間で基板Wを搬送する。ロードポートLP内の内部には、例えば25枚の基板Wが収納可能なFOUP(Front Opening Unified Pod)または空のFOUPが載置できる。ローダーモジュールLMは、ロードポートLP内のFOUPから基板Wを取り出して、ロードロックモジュールLLMに搬送する。また、ローダーモジュールLMは、ロードロックモジュールLLMから基板Wを取り出して、ロードボードLP内のFOUPに搬送する。
【0121】
制御部CTは、基板処理システムPS1の各構成を制御して、基板Wに所与の処理を実行する。制御部CTは、プロセスの手順、プロセスの条件、搬送条件等が設定されたレシピを格納しており、当該レシピに従って、基板Wに所与の処理を実行するように、基板処理システムPS1の各構成を制御する。制御部CTは、図1図2に示す制御部2の一部又は全部の機能を兼ねてよい。制御部CTの制御により、基板処理システムPS1において本方法が実行され得る。一実施形態において、工程ST1~工程ST3は、基板処理室PM1~PM6の一つにおいて実行されてよい。また例えば、工程ST1及び工程ST2が基板処理室PM1~PM6の一つにおいて実行され、工程ST3が基板処理室PM1~PM6の他の1つにおいて実行されてよい。
【0122】
一実施形態において、工程ST3において、フッ化水素を含む処理液が基板に供給されてよい。例えば、工程ST3は、基板Wをプラズマ処理チャンバ10の外部の液処理装置に搬送する工程と、当該液処理装置において基板Wにフッ化水素を含む処理液を供給する工程とを含んでよい。処理液は、例えば、フッ酸(DHF)又はバッファードフッ酸(BHF)でよい。一実施形態において、液処理装置は、以下に示す基板処理システムPS2の一部であってよい。
【0123】
一実施形態において、本方法は液処理装置を含む基板処理システムPS2を用いて実行されてよい。
【0124】
図9は、基板処理システムPS2の構成例を説明するための図である。一実施形態において、基板処理システムPS2は、プラズマ処理装置1(図1図2参照)と、液処理装置100と、制御部CT2とを含む。基板処理システムPS2は、プラズマ処理装置1と液処理装置100との間で基板Wを搬送する搬送装置を備えてよい。
【0125】
一実施形態において、液処理装置100は、フッ化水素を含む処理液を収容するための容器110と、リンス液を収容するための容器112と、純水を収容するための容器114とを備える。一実施形態において、液処理装置100は、基板Wを乾燥させるための乾燥機を備えてよい。
【0126】
一実施形態において、液処理装置100は、プラズマ処理装置1から搬出された基板Wを受け入れるための搬入口116と、基板Wをプラズマ処理装置1に搬出するための搬出口118とを備える。一実施形態において、液処理装置100は、基板Wを搬送するための搬送装置120を備える。搬送装置120は、基板Wを搬入口116から容器110に搬送する。搬送装置120は、基板Wを容器110から容器112に搬送する。搬送装置120は、基板Wを容器112から容器114に搬送する。搬送装置120は、基板Wを容器114から搬出口118に搬送する。
【0127】
制御部CT2は、プラズマ処理装置1及び液処理装置100の各部を制御するように構成される。制御部CT2は、図1図2に示す制御部2の一部又は全部の機能を兼ねてよい。制御部CT2の制御により、基板処理システムPS2において本方法が実行され得る。
【0128】
一実施形態において、基板処理システムPS2のプラズマ処理装置1において、工程ST及び工程ST2が実行される。次に、工程ST3において、基板Wがプラズマ処理装置1から液処理装置100の搬入口116に搬送される。そして基板Wは容器110に搬送され、容器110内でフッ化水素を含む処理液中に浸漬される。フッ化水素が基板Wの積層膜FSに形成された凹部RCに供給される。これにより積層膜FSの側壁SSが水平方向にエッチングされる。エッチング中、処理液の温度は15℃~25℃に維持されてよい。
【0129】
一実施形態において、基板Wは容器110から容器112に搬送されてリンス液中に浸漬されてよい。基板Wはさらに容器112から容器114に搬送され純水中に浸漬されてよい。一実施形態において、基板Wは、液処理装置100の乾燥機において乾燥されてよい。一実施形態において、基板Wは、プラズマ処理装置1に搬送され、プラズマ処理チャンバ10内の減圧により乾燥されてもよい。
【0130】
本開示の実施形態は、以下の態様をさらに含む。
【0131】
(付記1)
エッチング方法であって、
(a)少なくとも2つの異なるシリコン含有膜を含む積層膜と前記積層膜上のマスクとを有する基板を提供する工程と、
(b)第1の処理ガスから生成したプラズマを用いて前記積層膜をエッチングして前記積層膜に凹部を形成する工程と、
(c)前記積層膜の前記凹部にフッ化水素を供給する工程と、
を含むエッチング方法。
【0132】
(付記2)
前記積層膜は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜及びポリシリコン膜からなる群から選択される少なくとも2つを含む、付記1に記載のエッチング方法。
【0133】
(付記3)
前記積層膜は、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜とが交互に複数積層されて構成される、付記1又は付記2に記載のエッチング方法。
【0134】
(付記4)
前記マスクは、炭素含有膜又は金属含有膜である、付記1から付記3のいずれか1つに記載のエッチング方法。
【0135】
(付記5)
前記第1の処理ガスは、フッ化水素ガスを含む、付記1から付記4のいずれか1つに記載のエッチング方法。
【0136】
(付記6)
前記第1の処理ガスは、フッ化水素ガス、ハイドロフルオロカーボンガス、及び、水素含有ガスとフッ素含有ガスとの混合ガスからなる群から選択される少なくとも1つのガスを含む、付記1から付記5のいずれか1つに記載のエッチング方法。
【0137】
(付記7)
前記第1の処理ガスは、リン含有ガスをさらに含む、付記1から付記6のいずれか1つに記載のエッチング方法。
【0138】
(付記8)
前記第1の処理ガスは、炭素含有ガス、酸素含有ガス及び金属含有ガスからなる群から選択される少なくとも1つのガスをさらに含む、付記1から付記7のいずれか1つに記載のエッチング方法。
【0139】
(付記9)
前記(b)の終了時において、前記凹部は、第1の開口寸法と前記第1の開口寸法と異なる第2の開口寸法とを前記凹部の深さ方向に沿って交互に有する、付記1から付記8のいずれか1つに記載のエッチング方法。
【0140】
(付記10)
前記第1の開口寸法と前記第2の開口寸法の差が0.2nm以上である、付記9に記載のエッチング方法。
【0141】
(付記11)
前記(a)は、第1チャンバ内に前記基板を配置することを含み、
前記(b)は、前記第1チャンバ内に前記第1の処理ガスを供給して前記プラズマを生成することを含み、
前記(c)は、前記第1チャンバ内にフッ化水素ガスを含む第2の処理ガスを供給することを含む、付記1から付記10のいずれか1つに記載のエッチング方法。
【0142】
(付記12)
前記(c)は、
(c1)前記基板又は前記基板を支持する基板支持部の温度を第1の温度に制御し、かつ前記チャンバ内の前記フッ化水素ガスの分圧を第1の圧力に制御する工程と、
(c2)前記(c1)の後、前記基板又は前記基板支持部の前記温度を第2の温度に制御し、かつ前記チャンバ内の前記フッ化水素ガスの分圧を第2の圧力に制御する工程と、
を含み、
前記第2の温度は前記第1の温度よりも高い、及び/又は前記第2の圧力は前記第1の圧力よりも低い、付記11に記載のエッチング方法。
【0143】
(付記13)
前記(c)は、
(c1)前記基板又は前記基板を支持する基板支持部の温度を第1の温度に制御し、かつ前記チャンバ内の前記フッ化水素ガスの分圧を第1の圧力に制御する工程と、
(c2)前記(c1)の後、前記基板又は前記基板支持部の前記温度を第2の温度に制御し、かつ前記チャンバ内の前記フッ化水素ガスの分圧を第2の圧力に制御する工程と、
を含み、
横軸を温度、縦軸を圧力としてフッ化水素の吸着平衡圧曲線を示すグラフにおいて、前記吸着平衡圧曲線よりも上側の第1領域に前記第1の温度及び前記第1の圧力が位置し、前記吸着平衡圧曲線よりも下側の第2領域に前記第2の温度及び前記第2の圧力が位置する、付記11に記載のエッチング方法。
【0144】
(付記14)
前記(a)は、第1チャンバ内に前記基板を配置することを含み、
前記(b)は、前記第1チャンバ内に前記第1の処理ガスを供給して前記プラズマを生成することを含み、
前記(c)は、前記基板を前記第1チャンバから前記第1チャンバと異なる第2チャンバに搬送することと、前記第2チャンバ内にフッ化水素ガスを含む第2の処理ガスを供給することを含む、付記1から付記10のいずれか1つに記載のエッチング方法。
【0145】
(付記15)
前記(c)は、
(c1)前記基板又は前記基板を支持する基板支持部の温度を第1の温度に制御し、かつ前記チャンバ内の前記フッ化水素ガスの分圧を第1の圧力に制御する工程と、
(c2)前記(c1)の後、前記基板又は前記基板支持部の前記温度を第2の温度に制御し、かつ前記チャンバ内の前記フッ化水素ガスの分圧を第2の圧力に制御する工程と、
を含み、
前記第2の温度は前記第1の温度よりも高い、及び/又は前記第2の圧力は前記第1の圧力よりも低い、付記14に記載のエッチング方法。
【0146】
(付記16)
前記(c)は、
(c1)前記基板又は前記基板を支持する基板支持部の温度を第1の温度に制御し、かつ前記チャンバ内の前記フッ化水素ガスの分圧を第1の圧力に制御する工程と、
(c2)前記(c1)の後、前記基板又は前記基板支持部の前記温度を第2の温度に制御し、かつ前記チャンバ内の前記フッ化水素ガスの分圧を第2の圧力に制御する工程と、
を含み、
横軸を温度、縦軸を圧力としてフッ化水素の吸着平衡圧曲線を示すグラフにおいて、前記吸着平衡圧曲線よりも上側の第1領域に前記第1の温度及び前記第1の圧力が位置し、前記吸着平衡圧曲線よりも下側の第2領域に前記第2の温度及び前記第2の圧力が位置する、付記14に記載のエッチング方法。
【0147】
(付記17)
前記(c)における前記基板又は前記基板を支持する基板支持部の温度は、前記(b)における前記基板又は前記基板を支持する基板支持部の温度よりも低い温度に制御される、付記11から付記16のいずれか1つに記載のエッチング方法。
【0148】
(付記18)
前記第2の処理ガスは、リン含有ガスをさらに含む、付記11から付記17のいずれか1つに記載のエッチング方法。
【0149】
(付記19)
前記(a)は、第1チャンバ内に前記基板を配置することを含み、
前記(b)は、前記第1チャンバ内に前記第1の処理ガスを供給して前記プラズマを生成することを含み、
前記(c)は、前記基板を前記第1チャンバの外部に搬送することと、当該外部において前記基板にフッ化水素を含む処理液を供給することと、を含む、付記1から付記10のいずれか1つに記載のエッチング方法。
【0150】
(付記20)
前記処理液は、フッ酸(DHF)又はバッファードフッ酸(BHF)を含む、付記19に記載のエッチング方法。
【0151】
(付記21)
前記(a)は、プラズマ処理システムの第1チャンバ内に前記基板を配置することを含み、
前記(b)は、前記第1チャンバ内に前記第1の処理ガスを供給して前記プラズマを生成することを含み、
前記(c)は、前記基板を前記プラズマ処理システムの外部の基板処理装置に搬送することと、前記基板処理装置内で前記積層膜の前記凹部にフッ化水素を供給することを含む、付記1から付記10のいずれか1つに記載のエッチング方法。
【0152】
(付記22)
前記積層膜の前記凹部の形状を示すデータに基づいて、前記(c)の条件を設定する工程をさらに含む、付記1から付記18のいずれか1つに記載のエッチング方法。
【0153】
(付記23)
前記条件は、前記基板が収容されるチャンバの圧力、前記基板又は前記基板を支持する基板支持部の温度、及び前記フッ化水素ガスの流量からなる群から選択される少なくとも1種を含む、付記22に記載のエッチング方法。
【0154】
(付記24)
前記(c)は、
(c3)前記積層膜の前記凹部に、第1の条件で前記フッ化水素を供給する工程と、
(c4)前記積層膜の前記凹部に、前記第1の条件と異なる第2の条件で前記フッ化水素を供給する工程と、
を含む、付記1から付記18のいずれか1つに記載のエッチング方法。
【0155】
(付記25)
前記第2の条件は、前記基板が収容されるチャンバの圧力、前記基板又は前記基板を支持する基板支持部の温度、及び前記フッ化水素ガスの流量からなる群から選択される少なくとも1種が前記第1の条件と異なる、請求項24に記載のエッチング方法。
【0156】
(付記26)
チャンバ、プラズマ生成部、ガス供給部及び制御部を有するプラズマ処理装置であって、前記制御部は、
(a)少なくとも2つの異なるシリコン含有膜を含む積層膜と前記積層膜上のマスクとを有する基板を前記チャンバに提供する制御と、
(b)前記チャンバ内で、前記プラズマ生成部により第1の処理ガスから生成したプラズマを用いて前記積層膜をエッチングして前記積層膜に凹部を形成する制御と、
(c)前記チャンバ内で、前記ガス供給部により前記積層膜の前記凹部にフッ化水素ガスを含む第2の処理ガスを供給する制御と、
を実行するプラズマ処理装置。
【0157】
(付記27)
第1チャンバ、プラズマ生成部、第2チャンバ、ガス供給部及び制御部を有する基板処理システムであって、前記制御部は、
(a)少なくとも2つの異なるシリコン含有膜を含む積層膜と前記積層膜上のマスクとを有する基板を前記第1チャンバに提供する制御と、
(b)前記第1チャンバ内で、前記プラズマ生成部により第1の処理ガスから生成したプラズマを用いて前記積層膜をエッチングして前記積層膜に凹部を形成する制御と、
(c)前記基板を前記第1チャンバから前記第2チャンバに搬送し、前記第2チャンバ内で、前記ガス供給部により前記積層膜の前記凹部にフッ化水素ガスを含む第2の処理ガスを供給する制御と、
を実行する基板処理システム。
【0158】
(付記28)
チャンバ、プラズマ生成部及びガス供給部を有するプラズマ処理装置と、液処理装置と、制御部とを有する基板処理システムであって、前記制御部は、
(a)少なくとも2つの異なるシリコン含有膜を含む積層膜と前記積層膜上のマスクとを有する基板を前記プラズマ処理装置の前記チャンバに提供する制御と、
(b)前記チャンバ内で、前記プラズマ生成部により第1の処理ガスから生成したプラズマを用いて前記積層膜をエッチングして前記積層膜に凹部を形成する制御と、
(c)前記基板を前記チャンバから前記液処理装置に搬送し、前記液処理装置において前記積層膜の前記凹部にフッ化水素を含む処理液を供給する制御と、
を実行する基板処理システム。
【0159】
(付記29)
デバイス製造方法であって、
(a)少なくとも2つの異なるシリコン含有膜を含む積層膜と前記積層膜上のマスクとを有する基板を提供する工程と、
(b)第1の処理ガスから生成したプラズマを用いて前記積層膜をエッチングして前記積層膜に凹部を形成する工程と、
(c)前記積層膜の前記凹部にフッ化水素を供給する工程と、
を含むデバイス製造方法。
【0160】
(付記30)
制御部を備える基板処理システムのコンピュータに、
(a)少なくとも2つの異なるシリコン含有膜を含む積層膜と前記積層膜上のマスクとを有する基板を提供する制御と、
(b)第1の処理ガスから生成したプラズマを用いて前記積層膜をエッチングして前記積層膜に凹部を形成する制御と、
(c)前記積層膜の前記凹部にフッ化水素を供給する制御と、
を実行させるプログラム。
【0161】
(付記31)
付記30に記載のプログラムを格納した、記憶媒体。
【0162】
以上の各実施形態は、説明の目的で記載されており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。以上の各実施形態は、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく種々の変形をなし得る。例えば、ある実施形態における一部の構成要素を、他の実施形態に追加することができる。また、ある実施形態における一部の構成要素を、他の実施形態の対応する構成要素と置換することができる。
【符号の説明】
【0163】
1……プラズマ処理装置、2……制御部、10……プラズマ処理チャンバ、10s……プラズマ処理空間、11……基板支持部、13……シャワーヘッド、20……ガス供給部、31a……第1のRF生成部、31b……第2のRF生成部、32a……第1のDC生成部、FS……積層膜、MK……マスク、OP……開口、PS1、PS2……基板処理装置RC……凹部、SF1……シリコン酸化膜、SF2……シリコン窒化膜、SS……側壁、UF……下地膜、W……基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9