(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129865
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】研磨終点検出装置及びCMP装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240920BHJP
G01B 11/06 20060101ALI20240920BHJP
B24B 37/013 20120101ALI20240920BHJP
B24B 37/12 20120101ALI20240920BHJP
B24B 49/12 20060101ALI20240920BHJP
B24B 49/04 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01L21/304 622S
G01B11/06 Z
B24B37/013
B24B37/12 D
B24B49/12
B24B49/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039227
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴光
(72)【発明者】
【氏名】藤山 秀人
【テーマコード(参考)】
2F065
3C034
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
2F065AA30
2F065CC17
2F065MM02
2F065MM04
2F065MM09
2F065PP13
2F065PP22
3C034AA19
3C034BB93
3C034CA02
3C034CB03
3C034DD01
3C158AA07
3C158AC02
3C158BA01
3C158BA07
3C158BB02
3C158CB01
3C158DA12
3C158EB01
3C158EB14
5F057AA19
5F057CA12
5F057DA03
5F057EB11
5F057GA12
5F057GB02
5F057GB13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】研磨中のワークの研磨終点をリアルタイムで検出する研磨終点検出装置及びCMP装置を提供する。
【解決手段】研磨終点検出装置は、プラテン2及び研磨パッド5に形成された観測孔8内に収容され、測定点からの反射光を受光可能なセンサヘッド22を有する膜厚測定部20と、センサヘッドが基準線を通過したときに検出信号を発信するトリガーセンサ31、膜厚測定部とセンサヘッドの基準線に対する回転角度を算出する回転角度算出部32及び各測定時刻におけるセンサヘッドの回転角度及びワークWの膜厚測定の可否に基づいて、プラテンの回転中心に対するエッジの相対的な位置関係を推定し、ワークの中心から各測定点までの距離を算出する距離算出部33を有する膜厚分布生成部30と、ワークの中心から各測定点までの距離と、各測定点におけるワークの膜厚とを紐付けて生成した、ワークの膜厚分布に基づいて研磨終点を検出する検出部40と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラテン上の研磨パッドに揺動しながら押し付けられて研磨されるワークの膜厚分布を測定し、前記ワークの膜厚分布に基づいて研磨終点を検出する研磨終点検出装置であって、
前記プラテン及び前記研磨パッドに形成された観測孔内に収容され、前記プラテンとともに回転しながら上方に向けて測定光を所定間隔おきに照射するとともに測定点からの反射光を受光可能なセンサヘッドと、
前記プラテンの回転中心を通り前記プラテンの径方向に沿って設定された基準線に対応して設けられ、前記センサヘッドが前記基準線を通過したときに検出信号を発信するトリガーセンサと、
前記トリガーセンサの検出信号に基づいて前記センサヘッドが前記基準線を通過した基準時刻を計時し、前記センサヘッドが測定光を照射した測定時刻毎に前記ワークの膜厚を測定する膜厚測定部と、
前記基準時刻、前記測定時刻及び前記プラテンの回転速度に基づいて、各測定時刻における前記センサヘッドの前記基準線に対する回転角度を算出する回転角度算出部と、
各測定時刻における前記センサヘッドの回転角度及び前記ワークの膜厚測定の可否に基づいて、前記プラテンの回転中心に対する前記ワークのエッジの相対的な位置関係を推定し、前記ワークの中心から各測定点までの距離を算出する距離算出部と、
前記ワークの中心から各測定点までの距離と各測定点における前記ワークの膜厚とが紐付けられて生成された前記ワークの膜厚分布に基づいて研磨終点を検出する検出部と、
を備えていることを特徴とする研磨終点検出装置。
【請求項2】
前記距離算出部は、
前記膜厚測定部が前記膜厚を算出できた測定点である算出可能測定点と前記膜厚測定部が前記膜厚を算出できなかった測定点である算出不可測定点との位置関係に基づいて、前記ワークのエッジの位置を推定し、
前記算出可能測定点における前記センサヘッドの測定時刻と前記算出不可測定点における前記センサヘッドの測定時刻とに基づいて、前記エッジが前記センサヘッド上を通過した通過時刻を推定し、
前記通過時刻における前記センサヘッドの回転角度及び前記センサヘッドの回転半径に基づいて、前記プラテンの回転中心に対する前記エッジの相対的な位置関係を算出することを特徴とする請求項1に記載の研磨終点検出装置。
【請求項3】
前記距離算出部は、互いに隣り合う前記算出可能測定点と前記算出不可測定点との間に前記ワークのエッジが位置すると推定し、互いに隣り合う前記算出可能測定点と前記算出不可測定点の各前記センサヘッドの測定時刻に基づいて、前記通過時刻を推定することを特徴とする請求項2に記載の研磨終点検出装置。
【請求項4】
前記距離算出部は、
前記プラテンの回転中心に対する前記エッジの相対的な位置関係と、前記ワークが揺動する際の前記プラテンの回転中心に対するワーク中心の軌道直線の位置関係とに基づいて、前記プラテンの回転中心に対する前記ワーク中心の位置関係を算出し、
前記プラテンの回転中心に対する前記ワーク中心の位置関係と、前記プラテンの回転中心に対する前記軌道直線の位置関係と、前記測定点における前記センサヘッドの回転角度とに基づいて、前記ワークの中心から前記測定点までの距離を算出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の研磨終点検出装置。
【請求項5】
前記距離算出部は、前記ワークが前記センサヘッド上を1回通過する度に、異なる2つの前記エッジにそれぞれ対応して算出される2つの前記ワークの中心座標を平均して前記ワークの平均中心座標を算出することを特徴とする請求項1に記載の研磨終点検出装置。
【請求項6】
請求項1に記載の研磨終点検出装置を備えていることを特徴とするCMP装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨終点検出装置及びCMP装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造分野では、半導体シリコンウェハ等(以下、「ワーク」という)を研磨して平坦化するCMP装置が知られている。
【0003】
特許文献1記載の研磨装置は、化学的機械的研磨、いわゆるCMP(Chemical Mechanical Polishing)技術を適用した研磨装置である。本CMP装置は、研磨ヘッドに装着されたワークを研磨パッドに押圧してワークを研磨するものである。また、プラテンの下方に配置されたセンサヘッドが、プラテンが1回転する度に観測孔を介してワークに向けて光を照射し、反射光の光強度スペクトルに基づいてワークの研磨終点を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の研磨装置では、プラテンが1回転する度にワーク内の1点のみ膜厚測定を行うため、
図15に示すように、研磨ヘッドを水平方向d1に移動させて、回転方向d2に沿って回転するワーク100内でセンサヘッド101の測定点mpを走査させ、研磨終点を精度良く検出する上で必要な数の測定点(
図15中では、8カ所)での膜厚を測定するため、膜厚測定に長時間を要し、研磨終点を適時に検出できない虞があった。
【0006】
そこで、研磨中のワークの研磨終点をリアルタイムで検出するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る研磨装置は、プラテン上の研磨パッドに揺動しながら押し付けられて研磨されるワークの膜厚分布を測定し、前記ワークの膜厚分布に基づいて研磨終点を検出する研磨終点検出装置であって、前記プラテン及び前記研磨パッドに形成された観測孔内に収容され、前記プラテンとともに回転しながら上方に向けて測定光を所定間隔おきに照射するとともに測定点からの反射光を受光可能なセンサヘッドと、前記プラテンの回転中心を通り前記プラテンの径方向に沿って設定された基準線に対応して設けられ、前記センサヘッドが前記基準線を通過したときに検出信号を発信するトリガーセンサと、前記トリガーセンサの検出信号に基づいて前記センサヘッドが前記基準線を通過した基準時刻を計時し、前記センサヘッドが測定光を照射した測定時刻毎に前記ワークの膜厚をそれぞれ測定する膜厚測定部と、前記基準時刻、前記測定時刻及び前記プラテンの回転速度に基づいて、各測定時刻における前記センサヘッドの前記基準線に対する回転角度を算出する回転角度算出部と、各測定時刻における前記センサヘッドの回転角度及び前記ワークの膜厚測定の可否に基づいて、前記プラテンの回転中心に対する前記ワークのエッジの相対的な位置関係を推定し、前記ワークの中心から各測定点までの距離を算出する距離算出部と、前記ワークの中心から各測定点までの距離と各測定点における前記膜厚とが紐付けられて生成された前記ワークの膜厚分布に基づいて研磨終点を検出する検出部と、を備えている。
【0008】
また、本発明に係るCMP装置は、上述した研磨終点検出装置を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、研磨中のワークの研磨終点をリアルタイムで検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るCMP装置を模式的に示す斜視図。
【
図3】プラテンが1回転する間に、ワーク内の測定点が走査される様子を示す模式図。
【
図4】ワークが水平方向に揺動しない状態で研磨を行う場合のワークとセンサヘッドとの位置関係を示す平面図。
【
図5】ワークが水平方向に揺動する状態で研磨を行う場合のワークとセンサヘッドとの位置関係を示す平面図。
【
図6】プラテンに対するワーク、トリガーセンサ及び測定点の軌跡の位置関係を示す平面図。
【
図7】ワーク近傍における、測定点の軌跡とワークとの位置関係を示す模式図。
【
図8】ワークのエッジにセンサヘッドの測定点が位置する場合における、ワーク、センサヘッド及びプラテンの回転中心の位置関係を示す模式図。
【
図9】ワークのエッジより内側にセンサヘッドの測定点が位置する場合における、ワーク、センサヘッド及びプラテンの回転中心の位置関係を示す模式図。
【
図10】測定時刻毎のセンサヘッドの回転角度及び膜厚を記録したデータテーブル。
【
図11】2つのエッジ間における、測定時刻毎のセンサヘッドの回転角度及び膜厚を記録したデータテーブル。
【
図12】ワーク中心からの各測定点までの距離と各測定点における膜厚との関係を示すワークの膜厚分布。
【
図14】研磨中にワークの膜厚分布を変化する様子を示すグラフ。
【
図15】従来のCMP装置において、研磨ヘッドが水平移動してワーク内の測定点が走査される様子を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態について図面に基づいて説明する。なお、以下では、構成要素の数、数値、量、範囲等に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも構わない。
【0012】
また、構成要素等の形状、位置関係に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似又は類似するもの等を含む。
【0013】
また、図面は、特徴を分かり易くするために特徴的な部分を拡大する等して誇張する場合があり、構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、構成要素の断面構造を分かり易くするために、一部の構成要素のハッチングを省略することがある。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係るCMP装置1を模式的に示す斜視図である。CMP装置1は、ワークWの一面を平坦に研磨するものである。CMP装置1は、プラテン2と、研磨ヘッド3と、を備えている。ワークWは、例えば、シリコンウェハであるがこれに限定されるものではない。
【0015】
プラテン2は、円盤状に形成されており、プラテン2の下方に配置された回転軸部2aに連結されている。回転軸部2aがモータ4の駆動によって回転することにより、プラテン2は
図1中の矢印D1の方向に回転する。プラテン2の上面には、研磨パッド5が貼付されており、研磨パッド5上に図示しないノズルから研磨剤と化学薬品との混合物であるCMPスラリが供給される。
【0016】
研磨ヘッド3は、プラテン2より小径に形成されており、研磨ヘッド3の上方に配置された回転軸部3aに連結されている。回転軸部3aが図示しないモータの駆動によって回転することにより、研磨ヘッド3は、
図1中の矢印D2の方向に回転する。研磨ヘッド3は、図示しないヘッド移動機構によって垂直方向及び水平方向に移動可能に構成されている。研磨ヘッド3は、ワークWを研磨する際に下降して研磨パッド5にワークWを押圧する。
【0017】
CMP装置1は、研磨中にワークWの研磨終点を検出する研磨終点検出装置10を備えている。研磨終点検出装置10は、ワークWの膜厚を測定する膜厚測定部20と、膜厚測定部20が測定した膜厚に基づいてワークWの膜厚分布を生成する膜厚分布生成部30と、ワークWの研磨終点を検出する検出部40と、を備えている。研磨終点検出装置10の具体的構成については、後述する。
【0018】
CMP装置1の動作は、コントローラ6によって制御される。コントローラ6は、CMP装置1を構成する構成要素をそれぞれ制御するものである。コントローラ6は、例えばコンピュータであり、CPU、メモリ等により構成される。なお、コントローラ6の機能は、ソフトウェアを用いて制御することにより実現されても良く、ハードウェアを用いて動作するものにより実現されても良い。
【0019】
このような構成により、CMP装置1は、以下の手順でワークWを研磨する。すなわち、まず、ワークWの被研磨層が下方を向いた状態で、ワークWが研磨ヘッド3に吸着保持される。次に、研磨ヘッド3がプラテン2上に移動し、プラテン2及び研磨ヘッド3が同一方向に回転する。そして、研磨パッド5上にスラリが供給されながら、研磨ヘッド3が、ワークWを研磨パッド5に押圧してワークWを研磨する。また、コントローラ6は、研磨終点検出装置10がワークWの研磨終点を検出すると、プラテン2及び研磨ヘッド3を停止させて、ワークWの研磨が終了する。
【0020】
次に、CMP装置1の要部について、
図2に基づいて説明する。研磨ヘッド3は、回転軸部3aに接続されて回転軸部3aと共に回転するチャック7を備えている。
【0021】
研磨ヘッド3の下部には、チャック7が設けられている。チャック7は、例えばアルミナ製のチャックテーブル7aを備えている。チャック7は、図示しない真空源、圧縮空気源に接続されている。真空源を起動させることにより、チャック7の保持面7bにワークWが吸着保持される。また、圧縮空気源を起動させることにより、保持面7bとワークWとの間に圧縮空気が供給されてワークWの吸着保持が解除される。
【0022】
膜厚測定部20は、いわゆる光干渉式の膜厚センサである。膜厚測定部20は、光源21と、センサヘッド22と、分光装置23と、を備えている。
【0023】
光源21は、例えば、波長400~800nmの白色光を出射するハロゲン光源であるが、これに限定されるものではない。光源21は、所定間隔(例えば、0.01秒)おきに測定光を出射し、光源21から出射された測定光は、第1の光ファイバ24、固定側鏡筒25、回転側鏡筒26及び第2の光ファイバ27を経てセンサヘッド22に伝送される。
【0024】
第1の光ファイバ24は、複数の光ファイバを束ねるとともに途中で分岐したY型の光ファイバであり、一方端が光源21及び分光装置23にそれぞれ接続されるとともに、他方端が固定側鏡筒25に接続されている。第1の光ファイバ24の束径は、例えば1000μmに設定されている。なお、第1の光ファイバ24の構成は、これに限定されるものではない。
【0025】
固定側鏡筒25と回転側鏡筒26とは、互いに接触しないように、所定距離だけ離間して対向配置されており、相互に光を照射及び受光可能である。すなわち、光は、固定側鏡筒25と回転側鏡筒26との間において無線で伝送される。以下、光が無線で伝送される光路を「中空光路OP」という。
【0026】
固定側鏡筒25の光軸と第1の光ファイバ24の光軸とは、略一致するように構成されている。固定側鏡筒25は、支持アーム28に支持されている。支持アーム28は、移動ステージ29に載置されており、移動ステージ29が水平方向又は上下方向に移動することにより、固定側鏡筒25は、回転側鏡筒26に対して相対的に移動可能である。これにより、固定側鏡筒25と回転側鏡筒26との隙間や、固定側鏡筒25の光軸と回転側鏡筒26の光軸との同軸度を容易に調整可能なため、ワークWの膜厚測定を安定して行うことができる。
【0027】
回転側鏡筒26は、アタッチメント26aを介してプラテン2の回転軸部2aの底部に装着されている。回転側鏡筒26は、アタッチメント26aに外周を支持されている。アタッチメント26aは、図示しない長孔にボルトを締結される等によって回転軸部2aに着脱自在に構成されている。また、アタッチメント26aは、回転軸部2aに対する組み付け位置を水平方向に微調整可能である。
【0028】
第2の光ファイバ27は、複数の光ファイバを束ねたI型の光ファイバであり、一方端が回転側鏡筒26に接続され、他方端がセンサヘッド22に接続されている。第2の光ファイバ27の束径は、例えば1000μmに設定されている。なお、第2の光ファイバ27の構成は、これに限定されるものではない。回転側鏡筒26の光軸と第2の光ファイバ27の光軸とは、略一致するように構成されている。
【0029】
センサヘッド22は、観測孔8内に収容され、観測窓9に対向して配置されている。観測孔8は、プラテン2及び研磨パッド5に上下方向に貫通して形成されている。観測孔8は、プラテン2の回転軸Aから径方向に所定距離だけオフセットして設けられている。観測孔8の形状は、例えば、平面から視て長楕円形状に形成されている。
【0030】
観測窓9は、観測孔8の上端を閉塞するように配置されている。観測窓9は、研磨中に研磨パッド5上のスラリ等が漏水しないように、観測窓9の周面が研磨パッド5に接着される等して研磨パッド5に一体化されている。観測窓9の材質は、後述する測定光の波長に対して光学的に透明であれば如何なるものであってもよく、例えばウレタン製である。
【0031】
光源21から出射された測定光は、第1の光ファイバ24、固定側鏡筒25、回転側鏡筒26及び第2の光ファイバ27を介してセンサヘッド22に伝達される。すなわち、測定光は中空光路OPを経由する。
【0032】
そして、センサヘッド22からワークWに向けて照射された測定光は、観測窓9を透過してワークWに至る。このとき、センサヘッド22はプラテン2と一体で回転するため、
図3に示すように、ワークWが観測窓9上を通過するときに、センサヘッド22がワークWに対して測定光を照射する測定点MPは、プラテン2の回転方向D1に沿ってワークWの回転中心を通りワークWを横断するようにワークW内を走査される。すなわち、プラテン2が1回転する間に、極めて短時間で多点測定が可能である。
【0033】
また、センサヘッド22は、ワークWの被研磨層の表面及び裏面で反射して観測窓9を透過した反射光を受光する。センサヘッド22が受光した反射光は、第2の光ファイバ27、回転側鏡筒26、固定側鏡筒25及び第1の光ファイバ24を経て分光装置23に伝送される。すなわち、反射光は中空光路OPを経由する。なお、センサヘッド22は、観測窓9に対して垂直に光を照射又は受光するものに限定されず、光路が反射部材等で屈折されても構わない。
【0034】
分光装置23は、固定側鏡筒25に第1の光ファイバ24を介して接続されている。分光装置23は、ワークWからの反射光を波長に応じて分解して、波長と反射光の強度との関係を示す分光波形を生成する。また、分光装置23は、フーリエ解析等を用いて、分光波形から研磨中のワークWの膜厚を算出する。
【0035】
このようにして、膜厚測定部20は、センサヘッド22及び固定側鏡筒25がプラテン2とともに回転可能であり、測定点MPが、プラテン2が1回転する毎にワークWを横断するように走査されるため、ワークW内の広範囲に亘って膜厚測定を短時間で精度良く行うことができる。
【0036】
さらに、光源21、分光装置23がプラテン2に搭載された場合、プラテン2の回転時に生じる遠心力で光源21や分光装置23が破損したり、光源21や分光装置23への給電が不安定になったりノイズが混入する虞があるが、光源21、分光装置23がプラテン2外に設けられていることにより、ワークWの膜厚測定を安定して行うことができる。
【0037】
膜厚分布生成部30は、分光装置23が算出した各測定点MPにおけるワークWの膜厚に基づいて、ワークWの膜厚分布を生成する。なお、ワークWの膜厚分布とは、測定点MPのワークWの中心からの距離と測定点MPにおけるワークWの膜厚との関係を示すものである。
【0038】
まず、
図4に示すように、研磨ヘッド3が水平方向に移動せず、ワークWの中心が測定点MP上を通過するように配置されている場合には、測定点MPの軌跡Tは、ワークWに対して略一定に設定されるため、分光装置23が算出したワークWの膜厚を測定点MPの軌跡Tに対応する測定点MPに順に割り振ることにより、分光装置23が算出したワークWの膜厚からワークWの膜厚分布を生成することができる。
【0039】
一方、
図5に示すように、研磨ヘッド3が水平方向に移動する場合、ワークWに対する測定点MPの軌跡Tは一定ではないため、分光装置23が算出したワークWの膜厚がどの測定点MPに対応するのか直ちに判別できない。また、例えば、プラテン2の回転軸部2aの回転角及び研磨ヘッド3を水平方向に移動させるヘッド移動機構の送り量をセンサ等でそれぞれ検出して、センサヘッド22とワークWとの相対的な位置関係を算出して、各測定点MPに分光装置23が算出したワークWの膜厚を割り振ることでワークWの膜厚分布を生成することも考えられるが、このような回転軸部2aの回転角や研磨ヘッド3のヘッド移動機構の送り量を極めて短時間で繰り返し検出する方法は、測定点MPの座標の算出に複雑な演算処理を要する。
【0040】
そこで、膜厚分布生成部30は、複雑な演算処理を伴うことなくワークWの膜厚分布をリアルタイムで生成する。
図2に戻り、膜厚分布生成部30は、トリガーセンサ31と、回転角度算出部32と、記憶部33と、を備えている。
【0041】
トリガーセンサ31は、プラテン2の外側面の近傍に配置されたフォトマイクロセンサ等であり、プラテン2の外側面に設けられたドグ等の被検知体がトリガーセンサ31の検知範囲を通過したことを検出すると検出信号を発信する。
図6に示すように、トリガーセンサ31は、プラテン2及びセンサヘッド22の回転角度の基準となる基準線RL上に配置されている。また、トリガーセンサ31の検出信号を分光装置23が受信すると、分光装置23は、センサヘッド22が基準線を通過した時刻(基準時刻)を計時する。
【0042】
なお、
図6に示す基準線RLは、プラテン2の回転中心Oを通るとともに揺動するワークWの中心(ワーク中心P)の軌跡を通る直線SLと平行な直線に設定されているが、例えば、
図6において、ワークWに対して回転方向D1の上流側でワークWの近傍に設定されるのが好ましい。これにより、後述する測定時刻を算出するにあたって計時の誤差を小さくすることができる。以下、プラテン2の回転中心Oを原点として、基準線RLと平行な方向にX軸をとり、X軸に垂直な方向にY軸をとる。なお、X軸は、回転中心Oからトリガーセンサ31に向かう向きを正とし、Y軸は、回転中心Oから直線SLに向かう方向を正とする。
【0043】
回転角度算出部32は、トリガーセンサ31が計時した基準時刻、光源21が測定光を出射した時刻(測定時刻)、及び予め記憶部33に記憶されたプラテン2の回転速度に基づいて、
図7に示すように、各測定時刻におけるセンサヘッド22の基準線RLからの回転角度θ1を算出する。光源21は、所定間隔おきに測定光を出射することから、基準時刻と光源21が測定光を出射した何れかの測定時刻とを同期させることで、光源21の出射回数に応じてセンサヘッド22の回転角度θ1と各測定点MPとを対応させることができる。
【0044】
記憶部33には、光源21が測定光を出射したタイミング毎に、測定時刻、センサヘッド22の回転角度及びワークWの膜厚が紐付けて記憶される。
【0045】
膜厚分布生成部30は、ワークWの中心から各測定点MPまでの距離を算出する距離算出部34を備えている。距離算出部34は、まずプラテン2の回転中心Oに対するワークWのエッジの相対的な位置関係を算出し、続いてプラテン2の回転中心Oに対するワークWの中心(ワーク中心)の相対的な位置関係を算出し、さらにワークWの中心から各測定点MPまでの距離を算出する。以下、距離算出部34がワークWの中心から各測定点MPまでの距離を算出する手順の概要を説明する。
【0046】
まず、距離算出部34は、分光装置23が膜厚を算出できた測定点MP(算出可能測定点)と分光装置23が膜厚を算出できなかった測定点MP(算出不可測定点)との位置関係に基づいて、ワークWのエッジの位置を推定する。
【0047】
具体的には、
図7に示すように、膜厚測定部20は、所定間隔おきに連続してワークWの膜厚を測定するところ、測定点MPがワークW内に位置するときは膜厚を測定できるのに対し、測定点MPがチャックテーブル7a等のワークW外に位置するときは反射光を受光できない又は反射光の光量が十分でない等の理由により膜厚を測定できない。
【0048】
そこで、距離算出部34は、ワークWの膜厚が算出できた場合(
図7において測定点MP2から測定点MP3の間)には、測定点MPがワークW内に存在するとみなし、ワークWの膜厚が算出できない場合(
図7において測定点MP1から回転方向D1の上流側及び測定点MP4から回転方向D1の下流側)には、測定点MPがワークW外に存在したとみなす。
【0049】
そして、距離算出部34は、軌跡T上で互いに隣り合う算出不可測定点である測定点MP1と算出可能測定点である測定点MP2との間、及び軌跡T上で互いに隣り合う算出可能測定点である測定点MP3と算出不可測定点である測定点MP4との間に、ワークWのエッジが存在するとみなす。
【0050】
次に、距離算出部34は、軌跡T上でエッジを挟むように位置する測定点MP1、MP2の各測定時刻の中間の時刻を、回転方向D1の上流側に位置するエッジがセンサヘッド22上を通過した通過時刻と推定し、軌跡T上でエッジを挟むように位置する測定点MP3、MP4の各測定時刻の中間の時刻を、回転方向D1の下流側に位置するエッジがセンサヘッド22上を通過した通過時刻と推定する。
【0051】
次に、距離算出部34は、軌跡T上でエッジを挟むように位置する測定点MP1、MP2の各回転角度の中間の角度を回転方向D1の上流側に位置するエッジがセンサヘッド22上を通過した通過時刻におけるセンサヘッド22の回転角度とみなし、通過時刻におけるセンサヘッド22の回転角度とセンサヘッド22の回転半径Rとに基づいて、ワーク中心Pに対して回転方向D1の上流側に位置するエッジの座標を算出する。
【0052】
同様にして、距離算出部34は、軌跡T上でエッジを挟むように位置する測定点MP3、MP4の各回転角度の中間の角度を回転方向D1の下流側に位置するエッジがセンサヘッド22上を通過した通過時刻におけるセンサヘッド22の回転角度とみなし、通過時刻におけるセンサヘッド22の回転角度とセンサヘッド22の回転半径Rとに基づいて、ワーク中心Pに対して回転方向D1の下流側に位置するエッジの座標を算出する。
【0053】
次に、距離算出部34は、エッジの座標に基づいて、ワークWの中心の座標を算出する。
図8に示すように、プラテン2の回転中心Oを直線SLに垂直におろした点を点A、エッジBを直線SLに垂直におろした点を点H、ワークWの中心を点Pとし、ワークWの半径をr、センサヘッド22の回転半径をR、垂線OAの長さをL1、線分AHの長さをL2、線分PHの長さをL3、垂線OAと線分OBとの角度をθ2としたとき、膜厚分布生成部30は、数式1に示す計算式とエッジBの座標により、線分APの長さL4を算出する。なお、半径r、回転半径R及び長さL1は、既知であり、予め記憶部33に記憶されている。
【0054】
【0055】
そして、距離算出部34は、ワーク中心PのX座標をL4、Y座標をL1と算出する。なお、距離算出部34は、ワーク中心Pに対して回転方向D1の上流側に位置するエッジBの座標に代えて、ワーク中心Pに対して回転方向D1の下流側に位置するエッジB’の座標に基づいて、ワークWの中心座標を算出しても構わない。また、エッジBの座標に基づいて得られたワークWの中心座標に代えて、エッジB、B’の各座標から得られたワークWの中心座標を平均したワークWの平均中心座標を用いても構わない。
【0056】
次に、距離算出部34は、ワークWの中心座標に基づいて、測定点MPのワーク中心Pからの距離を算出する。
図9に示すように、垂線OAとプラテン2の回転中心Oから測定点MP(点Q)までの線分OQとの角度をθ3としたとき、数式2に示す計算式とワークWの中心座標により、測定点MPのワーク中心Pからの距離L5を算出する。
【0057】
【0058】
次に、距離算出部34が、測定点MPのワーク中心Pからの距離を算出する手順の一例を示す。以下では、垂線OAの長さL1を200mm、センサヘッド22の回転半径Rを250mm、ワークWの半径を100mm、プラテン2の回転速度を60rpmに設定した場合を例に説明する。
【0059】
図10は、記憶部33に記憶されるデータテーブルの一例である。
図10に示すデータテーブルは、測定時刻が15.00秒から15.27秒に亘って0.01秒おきに設定され、各測定時刻に対応するワークWの膜厚及びセンサヘッド22の回転角度が紐付けて記憶されている。なお、「膜厚」の列の「NaN」は、測定点MPからの反射光の光量が十分でない等の理由によってワークWの膜厚が算出不能であったことを示す。
【0060】
次に、距離算出部34が、
図10に示すデータテーブルに基づいて、互いに隣り合う算出可能測定点と算出不可測定点との中間を、エッジBがセンサヘッド22上を通過した通過時刻を推定する。具体的には、
図10に示すデータテーブルでは、膜厚が測定できた測定時刻15.12~15.25秒が算出可能測定点に対応し、それ以外の測定時刻が算出不可測定点に対応する。したがって、距離算出部34は、測定時刻15.11秒、15.12秒の中間である測定時刻15.115秒が、ワーク中心Pに対して回転方向D1の上流側に位置するエッジBがセンサヘッド22上を通過した通過時刻に相当すると推定する。また、距離算出部34は、測定時刻15.24秒、15.25秒の中間である測定時刻15.245秒が、ワーク中心Pに対して回転方向D1の下流側に位置するエッジB’がセンサヘッド22上を通過した通過時刻に相当すると推定する。
【0061】
次に、距離算出部34は、通過時刻15.115秒、15.245秒及びプラテン2の回転速度60rpmから、各通過時刻におけるプラテン2の回転角度θ2(41.4度、88.2度)を算出し、エッジB、B’の座標(Rcosθ2、Rsinθ2)を算出する。
図11に示すデータテーブルは、
図10に示すデータテーブルの一部に、通過時刻及びセンサヘッド22の回転角度θ1、θ2、θ3を追加したものである。
【0062】
次に、距離算出部34は、数式1に基づいて、回転方向D1の上流側に位置するエッジBの座標から線分APの長さL4を93,73091mmと算出し、回転方向D1の下流側に位置するエッジB’ の座標から線分APの長さL4を94,52663mmと算出し、これらの平均値である94,1286235mmを線分APの長さL4として採用する。
【0063】
次に、距離算出部34は、数式2に基づいて各測定点MPのワーク中心Pからの距離L5を算出する。そして、記憶部33には、
図12に示すような、各測定時刻に対応する膜厚と測定点MPのワーク中心Pからの距離L5とが紐付けて記憶され、ワークWの膜厚分布が生成される。
図13は、
図12に示すワークWの膜厚分布をグラフに表したものである。このようにして、膜厚分布生成部30は、プラテン2が1回転する度にワークWの膜厚分布をリアルタイムで得ることができる。
【0064】
検出部40は、膜厚分布生成部30が生成した研磨中のワークWの膜厚分布と予め記憶された研磨終点に応じたターゲット膜厚とを比較し、検出部40は、ワークWの研磨終点を検出する。
【0065】
検出部40による研磨終点の検出基準は、様々なものが考えられる。
図14は、横軸に測定点MPのワーク中心Pから距離L5、縦軸にワークWの膜厚分布をとり、4インチウェーハの研磨中に、ワークWの膜厚分布が経時的に変化する様子を示すグラフである。
図14によれば、ワークWの膜厚分布は、加工が進むにつれて徐々に薄くなるように変化していることが分かる。そこで、検出部40は、
図14に示すワークWの膜厚分布に対して、例えば、任意の測定点MPの膜厚がターゲット膜厚に達したときに研磨終点を検出してもよいし、ワークWの膜厚分布において最も薄い膜厚がターゲット膜厚に達したときに研磨終点を検出してもよい。
【0066】
検出部40は、研磨終点を検出すると、コントローラ6に対してCMP装置1の停止信号を出力して、ワークWに対する研磨を終了させる。また、コントローラ6は、ワークWの膜厚分布の傾向を踏まえて、加工中のワークWの加工条件をリアルタイムで調整しても構わないし、その後のワークWの加工条件を調整しても構わない。
【0067】
このようにして、上述した本実施形態に係る研磨終点検出装置10は、プラテン2上の研磨パッド5に揺動しながら押し付けられて研磨されるワークWの膜厚分布を測定し、ワークWの膜厚分布に基づいて研磨終点を検出する研磨終点検出装置10であって、プラテン2及び研磨パッド5に形成された観測孔8内に収容され、プラテン2とともに回転しながら上方に向けて測定光を所定間隔おきに照射するとともに測定点MPからの反射光を受光可能なセンサヘッド22と、プラテン2の回転中心Oを通りプラテン2の径方向に沿って設定された基準線RLに対応して設けられ、センサヘッド22が基準線RLを通過したときに検出信号を発信するトリガーセンサ31と、トリガーセンサ31の検出信号に基づいてセンサヘッド22が基準線RLを通過した基準時刻を計時し、センサヘッド22が測定光を照射した測定時刻毎にワークWの膜厚をそれぞれ測定する膜厚測定部20と、基準時刻、測定時刻及びプラテン2の回転速度に基づいて、各測定時刻におけるセンサヘッド22の基準線RLに対する回転角度θ1を算出する回転角度算出部32と、各測定時刻におけるセンサヘッド22の回転角度θ1及びワークWの膜厚測定の可否に基づいて、プラテン2の回転中心Oに対するエッジB、B’の相対的な位置関係を推定し、ワーク中心Pから各測定点MPまでの距離を算出する距離算出部34と、ワーク中心Pから各測定点MPまでの距離と各測定点MPにおけるワークWの膜厚とが紐付けられて生成されたワークWの膜厚分布に基づいて研磨終点を検出する検出部40と、を備えている構成とした。
【0068】
この構成により、膜厚測定を行った測定時刻毎のセンサヘッド22の回転角度θ1及びワークWの膜厚測定の可否に基づいて、プラテン2の回転中心Oに対するエッジB、B’の相対的な位置関係を推定し、複雑な演算処理を伴うことなくワークWの膜厚分布が生成されるため、研磨中のワークWの研磨終点をリアルタイムで検出することができる。さらに、得られたワークWの膜厚分布に基づいて、加工中のワークWの加工条件をリアルタイムで調整したり、その後のワークWの加工条件を調整することができる。
【0069】
また、本実施形態に係る研磨終点検出装置10は、距離算出部34が、膜厚測定部20がワークWの膜厚を算出できた算出可能測定点と膜厚測定部20がワークWの膜厚を算出できなかった算出不可測定点との位置関係に基づいて、ワークWのエッジB、B’の位置を推定し、算出可能測定点におけるセンサヘッド22の測定時刻と算出不可測定点におけるセンサヘッド22の測定時刻とに基づいて、エッジB、B’がセンサヘッド22上を通過した通過時刻を推定し、通過時刻におけるセンサヘッド22の回転角度θ1及びセンサヘッド22の回転半径rに基づいて、プラテン2の回転中心Oに対するエッジB、B’の相対的な位置関係を算出する構成とした。
【0070】
この構成により、膜厚測定を行った測定時刻毎のセンサヘッド22の回転角度θ1及びワークWの膜厚測定の可否に基づいて、プラテン2の回転中心Oに対するエッジB、B’の相対的な位置関係を複雑な演算処理を伴うことなく得ることができる。
【0071】
また、本実施形態に係る研磨終点検出装置10は、距離算出部34が、互いに隣り合う算出可能測定点と算出不可測定点との間にワークWのエッジB、B’が位置すると推定し、互いに隣り合う算出可能測定点と算出不可測定点のセンサヘッド22の測定時刻に基づいて、通過時刻を推定する構成とした。
【0072】
この構成により、エッジB、B’がセンサヘッド22上を通過した通過時刻を複雑な演算処理を伴うことなく推定することができる。
【0073】
また、本実施形態に係る研磨終点検出装置10は、距離算出部34が、プラテン2の回転中心Oに対するエッジB、B’の相対的な位置関係と、ワークWが揺動する際のプラテン2の回転中心Oに対するワーク中心Pの軌道直線SLの位置関係とに基づいて、プラテン2の回転中心Oに対するワーク中心Pの位置関係を算出し、プラテン2の回転中心Oに対するワーク中心Pの位置関係と、プラテン2の回転中心Oに対する軌道直線SLの位置関係と、測定点MPにおけるセンサヘッド22の回転角度θ1とに基づいて、ワーク中心Pから測定点MPまでの距離を算出する構成とした。
【0074】
この構成により、プラテン2の回転中心O、エッジB、B’、軌道直線SL及びワーク中心Pの相対的な位置関係と測定点MPにおけるセンサヘッド22の回転角度θ1とに基づいて、複雑な演算処理を伴うことなくワークWの膜厚分布を得ることができる。
【0075】
また、本実施形態に係るCMP装置1は、研磨終点検出装置10を備えている構成とした。
【0076】
この構成により、複雑な演算処理を伴うことなくワークWの膜厚分布が生成され、研磨中のワークWの研磨終点をリアルタイムで検出可能なため、ワークWを精度良く研磨することができる。
【0077】
また、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り、上記以外にも種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【符号の説明】
【0078】
1 :CMP装置
2 :プラテン
2a :(プラテンの)回転軸部
3 :研磨ヘッド
3a :(研磨ヘッドの)回転軸部
4 :モータ
5 :研磨パッド
6 :コントローラ
7 :チャック
7a :チャックテーブル
7b :保持面
8 :観測孔
9 :観測窓
10 :研磨終点検出装置
20 :測定部
21 :光源
22 :センサヘッド
23 :分光装置
24 :第1の光ファイバ
25 :固定側鏡筒
26 :回転側鏡筒
26a:アタッチメント
27 :第2の光ファイバ
28 :支持アーム
29 :移動ステージ
30 :膜厚分布生成部
31 :トリガーセンサ
32 :回転角度算出部
33 :記憶部
34 :距離算出部
40 :検出部
A :回転軸
OP :中空光路
W :ワーク