(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129892
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】三次元座標測定装置
(51)【国際特許分類】
G01B 5/00 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
G01B5/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039263
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】高梨 陵
【テーマコード(参考)】
2F062
【Fターム(参考)】
2F062AA04
2F062CC02
2F062CC03
2F062FF05
2F062MM02
2F062MM09
(57)【要約】
【課題】キャリッジカバーの内部の熱の影響を抑止し、測定精度の向上を図ることができる三次元座標測定装置を提供する。
【解決手段】 三次元座標測定装置は、定盤10と、定盤10を跨いで定盤のY軸方向に移動自在な門型のYキャリッジ14とを備え、Yキャリッジ14を構成する右Yキャリッジ16には、エアパッド群60とY駆動部80とを覆う右Yキャリッジカバー17が設けられる。第1Yキャリッジカバーは、Z軸方向の最も高い位置を画定し、右Yキャリッジカバー17の一部形状を構成するトラス形状17TRを有し、トラス形状17TRに近接した位置には排気口17Hが設けられる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物を載置する定盤と、
前記定盤を跨いで前記定盤のY軸方向に移動自在な門型のYキャリッジであって、二つの支柱部材により前記定盤に支持されるYキャリッジと、
を備え、
前記二つの支柱部材のうち一方の第1支柱部材は、前記Yキャリッジの前記Y軸方向への移動を可能にする第1エアパッドと第1駆動部とを有し、
前記第1支柱部材には、前記第1エアパッドと前記第1駆動部とを覆う第1Yキャリッジカバーが設けられ、
前記第1Yキャリッジカバーは、Z軸方向の最も高い位置を画定し、前記第1Yキャリッジカバーの一部形状を構成する第1トラス形状を有し、前記第1トラス形状に近接した位置には第1排気口が設けられる、三次元座標測定装置。
【請求項2】
前記Yキャリッジに設けられ、前記二つの支柱部材の上端部に架け渡されてX軸方向に沿って延在するXガイドと、
前記Xガイドに沿って前記X軸方向に移動自在なXキャリッジと、
を備え、
前記Xキャリッジは、前記X軸方向への移動を可能にする第2エアパッドと第2駆動部とを有し、
前記二つの支柱部材の間には、前記第2エアパッドと前記第2駆動部と前記Xガイドとを覆うXガイドカバーが設けられ、
前記Xガイドカバーは、前記Z軸方向の最も高い位置を画定し、前記Xガイドカバーの一部形状を構成する第2トラス形状を有し、前記第2トラス形状に近接した位置には第2排気口が設けられる、請求項1に記載の三次元座標測定装置。
【請求項3】
前記Xキャリッジに設けられたZキャリッジと、
前記Zキャリッジに沿ってZ軸方向に移動可能であり、且つ、下端部に測定プローブを支持するZガイドと、
を備え、
前記Zキャリッジは、前記Zガイドの前記Z軸方向への移動を可能にする第3エアパッドと第3駆動部とを有し、
前記第3エアパッドと前記第3駆動部と覆うZキャリッジカバーが設けられ、
前記Zキャリッジカバーは、前記Z軸方向の最も高い位置を画定し、Zキャリッジカバーの一部形状を構成する第3トラス形状を有し、前記第3トラス形状に近接した位置に第3排気口が設けられる、請求項2に記載の三次元座標測定装置。
【請求項4】
前記第1トラス形状は、前記Y軸方向から見た場合に前記定盤の中央側とは反対側に位置する、請求項1から3のいずれか一項に記載の三次元座標測定装置。
【請求項5】
前記第1Yキャリッジカバーの上面部は蛇腹カバーにより構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の三次元座標測定装置。
【請求項6】
前記二つの支柱部材のうち他方の第2支柱部材は、第4エアパッドを有し、
前記第2支柱部材には、前記第4エアパッドを覆う第2Yキャリッジカバーが設けられ、
前記第2Yキャリッジカバーは、前記Z軸方向の最も高い位置を画定し、第2Yキャリッジカバーの一部形状を構成する第4トラス形状を有し、前記第4トラス形状に近接した位置に第4排気口が設けられる、請求項1から3のいずれか一項に記載の三次元座標測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は三次元座標測定装置に係り、特にX、Y、Z軸の3軸方向に測定プローブを移動させて測定対象物の三次元形状を測定する三次元座標測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な三次元座標測定装置では、測定対象物を載置する定盤の上部に前後方向(Y軸方向)に移動自在の門型のYキャリッジが配置される。Yキャリッジは、左右方向(X軸方向)に沿って架け渡された柱状のXガイドを有し、XガイドにはXキャリッジがX軸方向に移動自在に支持される。Xキャリッジには、上下方向(Z軸方向)に沿った柱状のZガイドがZ軸方向に移動自在に支持され、Zガイドの下端には測定プローブが取り付けられる。
【0003】
特許文献1に記載の三次元座標測定装置は、Yキャリッジを構成する1つの支柱部材を複数のエアパッド(エアベアリング)を介して定盤に支持し、モータとローラとを備える駆動部によりYキャリッジをY軸方向に移動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、エアパッドは数μmという非常に小さな浮上量で浮上させて使用する。そのためわずかな埃やごみでも挟み込むと不具合に繋がってしまう。また、生産効率向上のため、精密測定機も環境の良い測定室から、ラインサイドでの測定を要求されるようになってきている。このような状況下、測定精度を維持するため、三次元座標測定装置では、エアパッド及び駆動部をカバーで覆っている。
【0006】
しかしながら、カバーで覆うことで、カバーの内部に熱が滞留してしまい、三次元座標測定装置の測定精度が悪化する懸念があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、カバーの内部の熱の影響を抑止し、測定精度の向上を図ることができる三次元座標測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1態様に係る三次元座標測定装置は、測定対象物を載置する定盤と、定盤を跨いで定盤のY軸方向に移動自在な門型のYキャリッジであって、二つの支柱部材により定盤に支持されるYキャリッジと、を備え、二つの支柱部材のうち一方の第1支柱部材は、YキャリッジのY軸方向への移動を可能にする第1エアパッドと第1駆動部とを有し、第1支柱部材には、第1エアパッドと第1駆動部とを覆う第1Yキャリッジカバーが設けられ、第1Yキャリッジカバーは、Z軸方向の最も高い位置を画定し、第1Yキャリッジカバーの一部形状を構成する第1トラス形状を有し、第1トラス形状に近接した位置には第1排気口が設けられる。
【0009】
第2態様に係る三次元座標測定装置において、Yキャリッジに設けられ、二つの支柱部材の上端部に架け渡されてX軸方向に沿って延在するXガイドと、Xガイドに沿ってX軸方向に移動自在なXキャリッジと、を備え、Xキャリッジは、X軸方向への移動を可能にする第2エアパッドと第2駆動部とを有し、二つの支柱部材の間には、第2エアパッドと第2駆動部とXガイドとを覆うXガイドカバーが設けられ、Xガイドカバーは、Z軸方向の最も高い位置を画定し、Xガイドカバーの一部形状を構成する第2トラス形状を有し、第2トラス形状に近接した位置には第2排気口が設けられる。
【0010】
第3態様に係る三次元座標測定装置において、Xキャリッジに設けられたZキャリッジと、Zキャリッジに沿ってZ軸方向に移動可能であり、且つ、下端部に測定プローブを支持するZガイドと、を備え、Zキャリッジは、ZガイドのZ軸方向への移動を可能にする第3エアパッドと第3駆動部とを有し、第3エアパッドと第3駆動部と覆うZキャリッジカバーが設けられ、Zキャリッジカバーは、Z軸方向の最も高い位置を画定し、Zキャリッジカバーの一部形状を構成する第3トラス形状を有し、第3トラス形状に近接した位置に第3排気口が設けられる。
【0011】
第4態様に係る三次元座標測定装置において第1トラス形状は、Y軸方向から見た場合に定盤の中央側とは反対側に位置する。
【0012】
第5態様に係る三次元座標測定装置において、第1Yキャリッジカバーの上面部は蛇腹カバーにより構成される。
【0013】
第6態様に係る三次元座標測定装置において、二つの支柱部材のうち他方の第2支柱部材は、第4エアパッドを有し、第2支柱部材には、第4エアパッドを覆う第2Yキャリッジカバーが設けられ、第2Yキャリッジカバーは、Z軸方向の最も高い位置を画定し、第2Yキャリッジカバーの一部形状を構成する第4トラス形状を有し、第4トラス形状に近接した位置に第4排気口が設けられる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、カバーの内部の熱の影響を抑止し、測定精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態の三次元座標測定装置の外観を示した斜視図である。
【
図2】
図1に示した三次元座標測定装置の正面図である。
【
図3】定盤の右側部を拡大して示した正面図である。
【
図4】定盤の右側部を拡大して示した右側面図である。
【
図5】定盤の上面を示した上面図であり、Yキャリッジに設けられたエアパッド及び駆動部の定盤に対する配置を示した図である。
【
図7】カバーの内部の状態の示したYキャリッジの斜視図である。
【
図8】
図1に示した三次元座標測定装置の左側面図である。
【
図9】
図1に示した三次元座標測定装置の背面から見た斜視図である。
【
図10】第2実施形態の三次元座標測定装置の外観を示した斜視図である。
【
図11】
図10の定盤の右側部を拡大して示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面に従って本発明に係る三次元座標測定装置の実施形態について説明する。
【0017】
<第1実施形態>
図1及び
図2は、実施形態に係る三次元座標測定装置1の外観を示した斜視図及び正面図である。なお、以下の説明では、互いに直交するX、Y、Z軸の三次元直交座標系を用いて説明する。
【0018】
図1及び
図2に示す三次元座標測定装置1は、設置面(床面)に架台12を介して支持された定盤10を有する。定盤10は、一例として花崗岩(granite、御影石)又は大理石(marble、石灰岩、結晶質石灰岩)等の石材により平面視で矩形状に構成され、測定対象物を載置する平坦な上面10Tを有する。上面10Tは、X軸方向及びY軸方向に平行に、すなわち、Z軸方向に垂直に配置される。なお、定盤10は、本発明の定盤の一例である。
【0019】
定盤10の上面10T側には、定盤10を跨いで門型のYキャリッジ14が設置される。Yキャリッジ14は、定盤10を正面側から見たときの定盤10の右側及び左側の各々にZ軸方向(上下方向)に沿って延在して立設される右Yキャリッジ16及び左Yキャリッジ18と、右Yキャリッジ16及び左Yキャリッジ18の各々の上端部に架け渡されてX軸方向(左右方向)に沿って延在する柱状のXガイド20とを有する。Xガイド20は、本発明のXガイドの一例である。Yキャリッジ14は、本発明のYキャリッジの一例である。
【0020】
Xガイド20には、Zコラム23の内部に収容されるXキャリッジ22が設けられる(
図7参照)。Xキャリッジ22は、Xガイド20をガイドとしてX軸方向に移動自在に配置される。Xキャリッジ22は、本発明のXキャリッジの一例である。
【0021】
Xキャリッジ22には、Zキャリッジ25が連結されている(
図7参照)。Zキャリッジ25には、Z軸に沿って延在する柱状のZガイド24が設けられる。Zガイド24は、Zキャリッジ25をガイドとしてZ軸方向に移動自在に配置される。Zガイド24は、本発明のZガイドの一例である。Zキャリッジ25は、本発明のZキャリッジの一例である。
【0022】
Zガイド24は、Zコラム23の内部に収容され、Zガイド24の下端部側がZコラム23の下端部側から突出されている。
【0023】
Zガイド24の下端部には、タッチプローブ等の測定プローブ26が取り付けられる。測定プローブ26は、例えば、先端球を有する棒状のスタイラス28を有する。測定プローブ26は、スタイラス28の先端(先端球)の測定対象物への接触の有無やスタイラス28の先端の測定対象物への接触により生じるスタイラス28の変位量を検出する。
【0024】
以上の如く構成された三次元座標測定装置1は、Yキャリッジ14のY軸方向への移動、Xキャリッジ22のX軸方向への移動、及びZガイド24のZ軸方向への移動によって測定プローブ26のスタイラス28をX、Y、Z軸方向に移動させ、定盤10の上面10Tに載置された測定対象物の表面に沿わせてスタイラス28の先端(先端球)を移動させる。そして、そのときのYキャリッジ14のY軸方向の位置(移動量)、Xキャリッジ22のX軸方向の位置(移動量)、Zガイド24のZ軸方向の位置(移動量)、及びスタイラス28の位置(変位量)を計測することにより、測定対象物の表面の各位置の三次元座標を測定する。なお、三次元座標の測定に関する処理については周知であるので詳細な説明は省略する。
【0025】
<右Yキャリッジカバー>
次に、右Yキャリッジカバー17の構造について説明する。
【0026】
図3及び
図4は、定盤10の右側部を拡大して示した正面図及び右側面図である。
図5は、定盤10の上面を示した上面図である。
図6は、右Yキャリッジカバー17の拡大図である。
【0027】
図3に示すように、定盤10は、Y軸方向(前後方向)に沿って設けられたYガイド42を備えており、右Yキャリッジ16はYガイド42をガイドとしてY軸方向に移動自在に構成されている。
【0028】
定盤10は、Z軸方向に垂直な上面10T及び下面10Bと、X軸方向に垂直な右側面10Rとを有している。定盤10の上面10Tには、右Yキャリッジ16の側(右側面10Rの側)にY軸方向に延びる凹状の溝40が形成されている。Yガイド42は、溝40と右側面10Rとの間に挟まれた部分であり、Y軸方向に延びて形成されている。
【0029】
なお、定盤10の右側面10RがYガイド42の右側面42Rとして構成され、溝40の右側面40RがYガイド42の左側面42Lとして構成される。右側面42R及び左側面42Lは、定盤10の上面10Tに対して垂直に形成される。また、右側面42Rと左側面42Lとの間の定盤10の上面10TがYガイド42の上面42Tとして構成される。
【0030】
図3及び
図4に示すように、支持部50は、基部52、右側部54、左側部56及び先端部58を有する。基部52は、定盤10の上面10Tに対向し、Z軸方向に直交する方向(水平方向)に沿って配置される。右側部54は、基部52の右端からZ軸方向に沿って下方向に延設されてYガイド42の右側面42Rに対向する側に配置される。左側部56は、基部52の左端からZ軸方向に沿って下方向に延設されてYガイド42の左側面42Lに対向する側に配置される。先端部58は、右側部54の下端部からX軸方向に延設されてYガイド42の下面42Bに対向する側に配置される。すなわち、右側部54と左側部56とは、定盤10の上面10Tの側からYガイド42を左右から挟み込むように対向して配置される。
【0031】
支持部50を構成する基部52、右側部54、左側部56及び先端部58の各々には、次に示すように、空気を噴出することで右Yキャリッジ16をYガイド42に沿って移動(摺動)可能とする複数の円板状のエアパッド群60が設けられる。
【0032】
具体的には、
図3から
図5に示すように、定盤10の上面10Tと対向する位置に、上面10Tに沿って配置された2つのエアパッド62F、62Eが配置される。これらのエアパッド62F、62Eは、支持部50の基部52においてY軸方向に沿った2箇所(Y軸方向に平行な直線上の2箇所)の位置に設けられる。また、エアパッド62F、62Eは、定盤10の上面10Tに対向して下向きに配置される。よって、基部52は、エアパッド62F、62Eを介して定盤10の上面10Tに摺動自在に配置される。
【0033】
Yガイド42の右側面42R(定盤10の右側面10R)と対向する位置に、右側面42Rに沿って配置された2つのエアパッド64F、64Eが配置される。これらのエアパッド64F、64Eは、支持部50の右側部54においてY軸方向に沿った2箇所(Y軸方向に平行な直線上の2箇所)の位置に設けられる。また、エアパッド64F、64Eは、Yガイド42の右側面42Rに対向して左向きに配置される。よって、右側部54は、エアパッド64F、64Eを介してYガイド42の右側面42Rに摺動自在に配置される。
【0034】
Yガイド42の左側面42L(溝40の右側面40R)と対向する位置に、左側面42Lに沿って配置された2つのエアパッド66F、66Eが配置される。これらのエアパッド66F、66Eは、支持部50の左側部56においてY軸方向に沿った2箇所(Y軸方向に平行な直線上の2箇所)の位置に設けられる。また、エアパッド66F、66Eは、Yガイド42の左側面42Lに対向して右向きに配置される。よって、左側部56は、エアパッド66F、66Eを介してYガイド42の左側面42Lに摺動自在に配置される。
【0035】
Yガイド42の下面42B(定盤10の下面10B)と対向する位置に、下面42Bに沿って配置された2つのエアパッド68F、68Eが配置される。これらのエアパッド68F、68Eは、支持部50の先端部58においてY軸方向に沿った2箇所(Y軸方向に平行な直線上の2箇所)の位置に設けられる。また、エアパッド68F、68Eは、Yガイド42の下面42Bに対向して上向きに配置される。よって、先端部58は、エアパッド68F、68Eを介してYガイド42の下面42Bに摺動自在に配置される。
【0036】
エアパッド62F、62E、64F、64E、66F、66E、68F及び68Eは、本発明の第1エアパッドの一例である。なお、以下では、エアパッド62F、62E、64F、64E、66F、66E、68F及び68Eを区別する必要がない場合、エアパッド群60と称することがある。
【0037】
図3から
図5に示すように、支持部50の右側部54には、Y駆動部80が設けられる。Y駆動部80は、モータ82と、回転自在のローラ84と、それらを動力伝達可能に連結する減速機構とが支持部材に組み付けられて一体的に構成される。モータ82を駆動すると減速機構を介してローラ84が回転する。Y駆動部80は、本発明の第1駆動部の一例である。
【0038】
Y駆動部80は、
図5に示すように、ローラ84の回転軸がZ軸方向と平行に配置される。ローラ84は、2つのエアパッド64F、64Eの間の略中間位置に配置され、ローラ84の外周面がYガイド42の右側面42R(定盤10の右側面10R)に当接される。
【0039】
かかる構成により、エアパッド群60から空気を噴出し、Y駆動部80のモータ82を駆動してローラ84を回転させることで、右Yキャリッジ16を駆動側とし、左Yキャリッジ18を従動側として、Yキャリッジ14をY軸方向に移動させることができる。右Yキャリッジ16は本発明の第1支柱部材の一例である。
【0040】
図1から
図5に示すように、右Yキャリッジ16のZ軸方向の下方には、右Yキャリッジ16のY駆動部80を覆う右Yキャリッジカバー17が配置されている。右Yキャリッジカバー17は、エアパッド群60に埃やごみが入り込むのを抑制するために設けられている。
【0041】
右Yキャリッジカバー17は、Y駆動部80のモータ82の熱で暖められた空気が右Yキャリッジカバー17の内部に滞留しないようにするために、右Yキャリッジカバー17の上面部にトラス形状17TRを有すると共に、トラス形状17TRに近接して熱を排気するための排気口17Hを有している。以下、右Yキャリッジカバー17の構造について詳しく説明する。
【0042】
図3、
図4及び
図6に示すように、右Yキャリッジカバー17は、右Yキャリッジ16のZ軸方向の下側に配置され、エアパッド群60とY駆動部80とを覆っている。右Yキャリッジカバー17は、本発明の第1Yキャリッジカバーの一例である。
【0043】
図6の拡大図に示すように、右Yキャリッジカバー17は、右側面17Rと、左側面17Lと、前面17Fと、後面17E、上面17Tと、下面17Bとを備えている。右Yキャリッジカバー17は、例えば、剛性の有る部材で構成される。
【0044】
右側面17Rと左側面17Lとは対向配置され、前面17Fと後面17Eとは対向配置され、上面17Tと下面17Bとは対向配置されている。左側面17Lは定盤10の中央側に配置され、右側面17Rは定盤10の中央側とは反対側(外側)に向けて配置されている。上面17Tには右Yキャリッジ16の下端部が接続される。上面17T、右側面17R及び左側面17LのY軸方向の長さは、右Yキャリッジ16のY軸方向の長さより長く、定盤10の右側面10Rより短い。左側面17Lの一部は、定盤10の溝40の内部に入り込んでいる(
図3参照)。上面17Tは、右側面17R、左側面17L、前面17F及び後面17Eの上端とそれぞれ連接される。
【0045】
図3に示すように、右側面17Rの上端が、左側面17Lの上端よりZ軸方向において上側に位置している。右側面17Rの上端及び左側面17Lの上端に連接される上面17Tは、その法線がZ軸方向に対して定盤10の中央側に傾いた平坦面で構成される。すなわち上面17Tは、Y軸方向から見て、その右端が左端より高い位置にある傾斜面で構成される。
【0046】
右Yキャリッジカバー17には、Y軸方向から見て、上面17Tと右側面17Rとの接続部分にトラス形状17TRが形成される。このトラス形状17TRはY軸方向に沿って延びている。トラス形状17TRは、右Yキャリッジカバー17に含まれる面で構成され、且つ右Yキャリッジカバー17の中で、Z軸方向で最も高い位置で上面17Tの一部を構成し、Z軸方向の上側に向かう三角(角部を有する)形状を画定する。トラス形状17TRは、本発明の第1トラス形状の一例である。ここで、本例におけるトラス形状とは、2つの面のなす角度が鋭角(90度未満)である形状で、カバーにおいて、その接続部分となる角部が最も高い位置にある形状である。なお、トラス形状は、Z軸方向において最も高い位置を画定することができれば、2つの面のなす角度は鋭角に限定されず、例えば山型形状のように、2つの面のなす角度が90度であってもよいし、鈍角(180度未満)であってもよい。
【0047】
また、
図6に示すように、右Yキャリッジカバー17には、右側面17Rの上端側で、トラス形状17TRの近くに複数の排気口17Hが配置されている。これらの複数の排気口17Hは、所定の間隔をあけて、Y軸方向に沿って配置されている。排気口17Hは、本発明の第1排気口の一例である。
【0048】
次に、実施形態の右Yキャリッジカバー17の作用を説明する。
図3に示すように、右Yキャリッジカバー17にトラス形状17TRを配置することで、右Yキャリッジカバー17の内部の空気(エアパッド群60から噴出される空気)であって、Y駆動部80により熱せられた空気Ar1を、太矢印に示すように、右側面17Rと上面17Tとの接続部分に設けられるトラス形状17TRに効率的に導くことができる。
【0049】
さらに、トラス形状17TRに移動した暖められた空気Ar1は、
図3及び
図6に示すように、トラス形状17TRの近くに配置される排気口17Hから排出される。特に、右Yキャリッジカバー17の内圧は、エアパッド群60から噴出される空気により、右Yキャリッジカバー17の外部圧力に比べて高い。したがって、空気Ar1が右Yキャリッジカバー17の内部から複数の排気口17Hを介して外部に排出される。すなわち、トラス形状17TRと排気口17Hとにより右Yキャリッジカバー17の内部の熱を効率的に外部に排出できる。
【0050】
図3に示すように、トラス形状17TRは、Y軸方向から見て、定盤10の中央側とは反対側に位置すること、すなわち上面17Tと右側面17Rとで構成されることが好ましい。暖められた空気Ar1が定盤10の中央側となる測定領域から遠ざけられるので、精度の高い測定が可能となる。
【0051】
また、複数の排気口17Hは右側面17Rに配置され、暖められた空気Ar1は定盤10の中央側とは反対側に排出されることが好ましい。これにより、暖められた空気Ar1が測定領域に排出されないので、精度の高い測定が可能となる。
【0052】
排気口17Hとして楕円トラック形状を例示したが、この形状、大きさに限定されない。また、排気口17Hの数も特に限定されない。なお、排気口17Hを形成する位置は、右Yキャリッジカバー17の内部への埃の侵入を抑制するため、上面17Tではなく右側面17Rに形成することが好ましい。
【0053】
なお、トラス形状17TRは、必ずしも上面17Tの右端の側に位置しなくてもよい。例えば、上面17Tが平坦面ではなく、2つの傾斜面で構成され、2つの傾斜面が上面17Tの略中央部(前面17F及び後面17Eの上端中央部)で接続するトラス形状(いわゆる山型形状)であってもよい。
【0054】
<Xガイドカバー>
次に、Xガイドカバー30の構造について説明する。
【0055】
図7は、Xガイドカバー30とZコラム23の内部の状態を示している。
図8は、三次元座標測定装置1の左側面図である。
図9は、三次元座標測定装置1の背面から見た斜視図である。
【0056】
図7及び
図8に示すように、Xガイド20は、4つの面を有する四角柱状に構成されている。Xキャリッジ22は、四角柱状のXガイド20を挿通するXガイド挿通孔22Aを画定するため4つ面を有している。Xキャリッジ22の4つの面とXガイド20の4つの面は、それぞれ対向する。Xキャリッジ22とXガイド20の各面の間には、それぞれエアパッド37が配置される。エアパッド37が空気を噴出することでXキャリッジ22をXガイド20に沿って移動(摺動)可能となる。エアパッド37は、本発明の第2エアパッドの一例である。
【0057】
Xキャリッジ22は、Xガイド20と対向する後面の側に、X駆動部31を備える。X駆動部31はモータ32とローラ33とを備えている。X駆動部31は、ローラ33の回転軸がZ軸方向と平行となるようにXキャリッジ22の後面に設置され、且つ、ローラ33の外周面がXガイド20に当接するように設置される。X駆動部31は、本発明の第2駆動部の一例である。
【0058】
図1、
図7~
図9に示すように、Xガイドカバー30が、Xガイド20と、エアパッド37及びX駆動部31を含むXキャリッジ22を覆っている。Xガイドカバー30は、本発明のXガイドカバーの一例である。
【0059】
X駆動部31のモータ32を駆動してローラ33を回転させることで、Xガイド20に沿ってXガイドカバー30の内部をXキャリッジ22が移動する。Xキャリッジ22はZコラム23の内部に収容されており、Xキャリッジ22の移動によってZコラム23がXキャリッジ22と一体となってX軸方向に移動する。
【0060】
Xガイドカバー30は、X駆動部31のモータ32の熱で暖められた空気がXガイドカバー30の内部に滞留しないようにするために、Xガイドカバー30の上面部にトラス形状30TRを有すると共に、トラス形状30TRに近接して熱を排気するための排気口30Hを有している。以下、具体的なXガイドカバー30の構造を説明する。
【0061】
図1、
図7~
図9に示すように、Xガイドカバー30は、前面30Fと後面30Eとを備え、前面30Fと後面30Eとは、右Yキャリッジ16と左Yキャリッジ18との間に配置されるXガイド20及びXキャリッジ22を覆っている。前面30Fと後面30EとがX軸方向に平行で、Z軸方向の上側で接し、前面30Fと後面30EがXガイドカバー30の上方側の全体を覆う上面30Tを構成する。
【0062】
これらの図に示すように、前面30Fは後端が前端より高い傾斜面で構成され、後面30Eは前端が後端より高い傾斜面で構成されている。Xガイドカバー30には、X軸方向から見て、前面30Fの後端と後面30Eの前端との接続部分にトラス形状30TRが形成される。このトラス形状30TRはX軸方向に沿って延びている。トラス形状30TRは、Xガイドカバー30に含まれる面(前面30Fと後面30E)で構成され、且つXガイドカバー30の中で、Z軸方向で最も高い位置で上面30Tの一部を構成し、Z軸方向の先端に向かって三角(角部を有する)形状を画定する。トラス形状30TRは、本発明の第2トラス形状の一例である。
【0063】
また、
図9に示すように、Xガイドカバー30の後面30Eの上端側で、トラス形状30TRの近くに複数の排気口30Hが配置されている。これらの複数の排気口30Hは、所定の間隔をあけて、X軸方向に沿って配置されている。排気口30Hは、本発明の第2排気口の一例である。
【0064】
以上のように構成されるXガイドカバー30によれば、
図8及び
図9に示すように、Xガイドカバー30にトラス形状30TRを配置することで、Xガイドカバー30の内部の空気(エアパッド37から噴出される空気)であって、X駆動部31により熱せられた空気Ar2を、太矢印に示すようにトラス形状30TRに効率的に導くことができる。
【0065】
さらに、
図8に示すように、暖められた空気Ar2はトラス形状30TRに移動し、排気口30H(
図9参照)から排出される。特に、Xガイドカバー30の内圧は、エアパッド37から噴出される空気により、Xガイドカバー30の外部圧力に比べて高い。したがって、空気Ar2がXガイドカバー30の内部から複数の排気口30Hを介して外部に排出される。すなわち、Xガイドカバー30の内部の熱を効率的に外部に排出できる。
【0066】
なお、前面30FにZコラム23を挟んでX軸方向に並んで配置される蛇腹カバーを備えていてもよい。この場合、前面30Fの蛇腹カバーは、Zコラム23のX軸方向の移動に追従して伸縮する。
【0067】
<Zコラム>
次に、Zコラム23の構造について説明する。
【0068】
図7及び
図8に示すXキャリッジ22には、Zキャリッジ25が連結されている。Zキャリッジ25は、
図7の拡大図に示すように、四角柱状のZガイド24を挿通するためZガイド挿通孔25Aを画定する4つ面を有している。Zガイド24の4つの面に対向するZキャリッジ25の4つ面には、それぞれエアパッド38が配置される。エアパッド38が空気を噴出することで、Zガイド24がZキャリッジ25に沿って移動(摺動)可能となる。エアパッド38は、本発明の第3エアパッドの一例である。
【0069】
Zキャリッジ25は、Zガイド24と対向する前面の側に、Z駆動部34を備える。Z駆動部34はモータ35とローラ36とを備えている。Z駆動部34は、ローラ36の回転軸がX軸方向と平行となるようにZキャリッジ25に設置され、且つ、ローラ36の外周面がZガイド24に当接するように設置される。Z駆動部34は、本発明の第3駆動部の一例である。
【0070】
図1、
図7~
図9に示すように、Zコラム23は、エアパッド38及びZ駆動部34を備えるZキャリッジ25と、Zガイド24とを内部に収容する。そして、Zガイド24の下端部側がZコラム23の下端部側から突出されている。Zコラム23は、本発明のZキャリッジカバーの一例である。
【0071】
Z駆動部34のモータ35を駆動してローラ36を回転させることで、Zガイド24がZキャリッジ25に沿ってZコラム23の内部を、Z軸方向を上下方向として移動する。
【0072】
Zコラム23は、Z駆動部34のモータ35の熱で暖められた空気がZコラム23の内部に滞留しないようにするために、実施形態のZコラム23の上面部にトラス形状23TRを有すると共に、トラス形状23TRに近接して熱を排気するための排気口を有している。以下、具体的なZコラム23の構造を説明する。
【0073】
図1、
図7~
図9に示すように、Zコラム23は、右側面23Rと、左側面23Lと、前面23Fと、後面23Eと、上面23Tと、を備えている。Zコラム23は、例えば、剛性のある部材で構成される。上面23Tは、右側面23R、左側面23L、前面23F及び後面23Eの上端とそれぞれ連接される。
【0074】
これらの図に示されるように、後面23Eの上端が、前面23Fの上端よりZ軸方向において上側に位置している。後面23Eの上端及び前面23Fの上端に連接される上面23Tは、その法線がZ軸方向に対して前側に傾いた平坦面で構成される。すなわち上面23Tは、X軸方向から見て、その後端が前端より高い位置にある傾斜面で構成される。
【0075】
Zコラム23には、X軸方向から見て、上面23Tと後面23Eとの接続部分にトラス形状23TRが形成される。このトラス形状23TRはX軸方向に沿って延びている。トラス形状23TRは、Zコラム23に含まれる面で構成され、且つ右Yキャリッジカバー17の中で、Z軸方向で最も高い位置で上面23Tの一部を構成し、Z軸方向の先端に向かう三角(角部を有する)形状を画定する。トラス形状23TRは、本発明の第3トラス形状の一例である。
【0076】
また、
図9に示すように、Zコラム23の後面23Eの上端側で、トラス形状23TRの近くに複数の排気口23Hが配置されている。これらの複数の排気口23Hは、所定の間隔をあけて、X軸方向に沿って配置されている。排気口23Hは、本発明の第3排気口の一例である。
【0077】
以上のように構成されるZコラム23によれば、
図8及び
図9に示すように、Zコラム23にトラス形状23TRを配置することで、Zコラム23の内部の空気(エアパッド38から噴出される空気)であって、Z駆動部34により熱せられた空気Ar3を、太矢印に示すようにトラス形状23TRに効率的に導くことができる。
【0078】
さらに、
図8に示すように、暖められた空気Ar3はトラス形状23TRに移動し、排気口23Hから排出される。特に、Zコラム23の内圧は、エアパッド38から噴出される空気により、Zコラム23の外部圧力に比べて高い。したがって、空気Ar3がZコラム23の内部から複数の排気口23Hを介して外部に排出される。すなわち、Zコラム23の内部の熱を効率的に外部に排出できる。
【0079】
なお、トラス形状23TRの位置は、上面23Tの一部を構成する限り、特に限定されない。例えば、トラス形状23TRは上面23Tと前面23Fで構成されてもよい。
【0080】
<左Yキャリッジカバー>
次に、左Yキャリッジカバー19の構造について説明する。
【0081】
図7に示すように、左Yキャリッジ18の下端で定盤10の上面10Tにエアパッド70が配置されている。
図1及び
図9に示すように、左Yキャリッジ18の下端には、左Yキャリッジカバー19が設けられている。左Yキャリッジカバー19は、エアパッド70等に埃が入り込むのを防止するために、エアパッド70を覆うように配置されている。左Yキャリッジ18は、本発明の第2支柱部材の一例である。左Yキャリッジカバー19は、本発明の第2Yキャリッジカバーの一例である。エアパッド70は、本発明の第4エアパッドの一例である。
【0082】
左Yキャリッジカバー19は、右側面19Rと、左側面19Lと、前面19Fと、後面19E、上面19Tとを備えている。上面19Tは、右側面19R、左側面19L、前面19F及び後面19Eの上端とそれぞれ連接される。
【0083】
左側面19Lの上端が、右側面19Rの上端よりZ軸方向において上側に位置している。左側面19L及び右側面19Rに連接する上面19Tの法線がZ軸方向及びX軸方向に対して定盤10の中央側に傾いた平坦面で構成される。
【0084】
左Yキャリッジカバー19には、Y軸方向から見て、上面19Tと左側面19Lとによりトラス形状19TRが形成される。このトラス形状19TRはY軸方向に沿って延びている。トラス形状19TRは、左Yキャリッジカバー19に含まれる面で構成され、且つ左Yキャリッジカバー19の中で、Z軸方向で最も高い位置で上面19Tの一部を構成し、Z軸方向の先端に向かう三角(角部を有する)形状を画定する。トラス形状19TRは、本発明の第4トラス形状の一例である。
【0085】
また、左側面19Lの上端でトラス形状19TRの近くに複数の排気口19Hが配置されている。これらの複数の排気口19Hは、所定の間隔をあけて、Y軸方向に沿って配置されている。排気口19Hは、本発明の第4排気口の一例である。
【0086】
以上のように構成される左Yキャリッジカバー19によれば、
図9に示すように、エアパッド70から噴出される空気はトラス形状19TRに移動する。左Yキャリッジカバー19の内圧は、エアパッド70から噴出される空気により、左Yキャリッジカバー19の外部圧力に比べて高い。左Yキャリッジカバー19の空気は複数の排気口19Hを介して外部に効率的に排出される。
【0087】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態の三次元座標測定装置について説明する。なお、上述した第1実施形態と共通する部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0088】
図10は、第2実施形態の三次元座標測定装置の外観を示した斜視図である。
図11は、
図10の定盤の右側部を拡大して示した正面図である。
【0089】
図10に示す第2実施形態の三次元座標測定装置100は、第1実施形態の三次元座標測定装置1の右Yキャリッジカバー17及び左Yキャリッジカバー19とは異なる形状を有している。以下、第2実施形態の三次元座標測定装置100の右Yキャリッジカバー217及び左Yキャリッジカバー219について説明する。
【0090】
<右Yキャリッジカバー>
図10及び
図11に示すように、右Yキャリッジカバー217は、右側面217Rと、左側面217Lと、前面217Fと、後面217E、上面217Tと、下面217Bとを備えている。
【0091】
右Yキャリッジカバー217における上面217T、右側面217R及び左側面217LのY軸方向の長さは、右Yキャリッジ16のY軸方向の長さより長く、定盤10の右側面10Rの長さにほぼ等しく、第1実施形態の右Yキャリッジカバー17とは異なる。
【0092】
右Yキャリッジカバー217の上面217Tの一部には、右Yキャリッジ16を挟んでY軸方向に亘って蛇腹カバー217BLが配置されている。前側の蛇腹カバー217BLは、一端が前面217Fの側で固定され、他端が右Yキャリッジ16に固定される。また、後側の蛇腹カバー217BLは、一端が右Yキャリッジ16に固定され、他端が後面217Eの側で固定される。蛇腹カバー217BLは、右Yキャリッジ16の移動に追従して伸縮する。蛇腹カバー217BLは、本発明の蛇腹カバーの一例である。
【0093】
図11に示すように、右Yキャリッジカバー217の上面217Tは一部に蛇腹カバー217BLを含み、Y軸方向から見て、全体として、その右端が左端より高い位置にある傾斜面で構成される。蛇腹カバー217BLを含む上面217Tと右側面217Rとにより、トラス形状217TRが構成される。トラス形状217TRは、本発明の第1トラス形状の一例である。
【0094】
また、複数の排気口217Hが、右側面217Rの上端側で、トラス形状217TRの近くに配置される。排気口217Hは、本発明の第1排気口の一例である。
【0095】
第2実施形態の右Yキャリッジカバー217によれば、第1実施形態と同様に、Y駆動部80で暖められた空気Ar1は太矢印に示すようにトラス形状217TRに移動し、右Yキャリッジカバー217の内圧が高いので、複数の排気口217Hから空気Ar1が排出される。すなわち、右Yキャリッジカバー217の内部の熱を効率的に外部に排出できる。
【0096】
また、
図11に示すように、蛇腹カバー217BLは、Y軸方向から見て、右端が左端より高い位置にある傾斜面で構成されている。したがって、蛇腹カバー217BLの上にゴミ等が溜まり難くできる。その結果、細矢印に示すように、蛇腹カバー217BLの上のゴミ等は右Yキャリッジカバー217の内部に侵入し難くなる。
【0097】
<左Yキャリッジカバー>
次に、左Yキャリッジカバー219の構造について説明する。
図10に示すように、左Yキャリッジカバー219は、右側面219Rと、左側面219Lと、前面219Fと、後面219E、上面219Tとを備えている。
【0098】
左Yキャリッジカバー219における上面219T、右側面219R及び左側面219LのY軸方向の長さは、右Yキャリッジ16のY軸方向の長さより長く、定盤10の左側面の長さにほぼ等しく、第1実施形態の左Yキャリッジカバー19とは異なる。
【0099】
左Yキャリッジカバー219の上面219Tの一部には、左Yキャリッジ18を挟んでY軸方向に亘って蛇腹カバー219BLが配置されている。蛇腹カバー219BLは、左Yキャリッジ18の移動に追従して伸縮する。
【0100】
図10に示すように、左Yキャリッジカバー219の上面219Tは一部に蛇腹カバー219BLを含み、Y軸方向から見て、全体として、その左端が右端より高い位置にある傾斜面で構成される。蛇腹カバー219BLを含む上面219Tと左側面219Lとにより、トラス形状219TRが構成される。トラス形状219TRは、本発明の第4トラス形状の一例である。
【0101】
また、複数の排気口219Hが、左側面219Lの上端側で、トラス形状219TRの近くに配置される。排気口219Hは、本発明の第4排気口の一例である。
【0102】
第2実施形態の左Yキャリッジカバー219によれば、第1実施形態と同様に、エアパッド70から噴出された空気は、トラス形状219TRに移動し、複数の排気口219Hから排出される。すなわち、左Yキャリッジカバー219の内部の熱を効率的に外部に排出できる。
【0103】
以上、本発明に係る三次元座標測定装置の一例について説明したが、本発明の技術は実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、いくつかの改良又は変形を行ってもよい。
【符号の説明】
【0104】
1…三次元座標測定装置、10…定盤、10B…下面、10L…左側面、10R…右側面、10T…上面、12…架台、14…Yキャリッジ、16…右Yキャリッジ、17…右Yキャリッジカバー、17B…下面、17E…後面、17F…前面、17H…排気口、17L…左側面、17R…右側面、17T…上面、17TR…トラス形状、18…左Yキャリッジ、19…左Yキャリッジカバー、19E…後面、19F…前面、19H…排気口、19L…左側面、19R…右側面、19T…上面、19TR…トラス形状、20…Xガイド、22…Xキャリッジ、22A…Xガイド挿通孔、23…Zコラム、23E…後面、23F…前面、23H…排気口、23L…左側面、23R…右側面、23T…上面、23TR…トラス形状、24…Zガイド、25…Zキャリッジ、25A…Zガイド挿通孔、26…測定プローブ、28…スタイラス、30…Xガイドカバー、30E…後面、30F…前面、30H…排気口、30T…上面、30TR…トラス形状、31…X駆動部、32…モータ、33…ローラ、34…Z駆動部、35…モータ、36…ローラ、37…エアパッド、38…エアパッド、40…溝、40R…右側面、42…Yガイド、42B…下面、42L…左側面、42R…右側面、42T…上面、50…支持部、52…基部、54…右側部、56…左側部、58…先端部、60…エアパッド群、62E…エアパッド、62F…エアパッド、64E…エアパッド、64F…エアパッド、66E…エアパッド、66F…エアパッド、68E…エアパッド、68F…エアパッド、70…エアパッド、80…Y駆動部、82…モータ、84…ローラ、100…三次元座標測定装置、217…右Yキャリッジカバー、217B…下面、217BL…蛇腹カバー、217E…後面、217F…前面、217H…排気口、217L…左側面、217R…右側面、217T…上面、217TR…トラス形状、219…左Yキャリッジカバー、219BL…蛇腹カバー、219E…後面、219F…前面、219H…排気口、219L…左側面、219R…右側面、219T…上面、219TR…トラス形状、Ar1…空気、Ar2…空気、Ar3…空気