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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130015
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ワーク加工装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20240920BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20240920BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20240920BHJP
   B23Q 3/08 20060101ALI20240920BHJP
   B23Q 7/04 20060101ALI20240920BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20240920BHJP
   B65G 49/07 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B24B41/06 A
B24B27/06 M
B23Q3/08 A
B23Q7/04 K
H01L21/78 Q
B65G49/07 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039481
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】篠原 大也
(72)【発明者】
【氏名】清水 翼
【テーマコード(参考)】
3C016
3C033
3C034
3C158
5F063
5F131
【Fターム(参考)】
3C016DA02
3C033BB03
3C033HH27
3C033HH28
3C033MM02
3C033PP09
3C034AA13
3C034AA19
3C034BB73
3C034BB81
3C034BB87
3C034DD10
3C158AA03
3C158AA14
3C158AA16
3C158AA18
3C158AB03
3C158AB04
3C158CB06
3C158DA17
5F063AA26
5F063AA43
5F063DG40
5F063FF04
5F063FF42
5F063FF52
5F131AA02
5F131AA12
5F131BA37
5F131BA52
5F131BB03
5F131BB13
5F131CA38
5F131DA14
5F131DA22
5F131DA42
5F131DA62
5F131DB22
5F131DB54
5F131DB63
5F131EA05
5F131EA22
5F131EB03
5F131EC33
(57)【要約】
【課題】剛性の低いワークを安定且つ確実に保持して搬送可能な搬送装置を備えたワーク加工装置を提供する。
【解決手段】裏面にダイシングテープ204が貼り付けられてなるワーク200が格納される格納部12と、ワーク200が一旦載置される載置部14と、ワーク200を加工する加工部16と、ワーク200を洗浄する洗浄部18と、格納部12と載置部14と加工部16と洗浄部18との間のそれぞれの搬送経路に沿ってワーク200を搬送する搬送装置20と、を備え、搬送装置20は、ワーク200の表面に当接可能なパッド132と、パッド132の周囲を除くパッド132の中央部に固定されるパッド支持体134と、パッド132とワーク200との間に負圧を作用させる吸引ポンプ136と、を含む保持装置104、106、108を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面にテープが貼り付けられてなるワークが格納される格納部と、
前記ワークが一旦載置される載置部と、
前記ワークを加工する加工部と、
前記ワークを洗浄する洗浄部と、
前記格納部と前記載置部と前記加工部と前記洗浄部との間のそれぞれの搬送経路に沿って前記ワークを搬送する搬送装置と、
を備え、
前記搬送装置は、前記ワークを保持し、前記ワークを前記載置部に載置し、収納可能な保持装置を少なくとも有し、
前記保持装置は、
前記ワークの表面に当接可能なパッドと、
前記パッドの周囲を除く前記パッドの中央部に固定され、前記パッドを支持するパッド支持体と、
前記パッドと前記ワークとの間に負圧を作用させる負圧発生部と、
を含む、
ワーク加工装置。
【請求項2】
前記搬送装置は、第1搬送装置と第2搬送装置とを有し、
前記保持装置は、第1保持装置と第2保持装置と第3保持装置とを有し、
前記第1保持装置は、前記第1搬送装置に搭載されて、前記格納部と前記載置部との間の搬送経路で前記ワークを保持し、
前記第2保持装置は、前記第1搬送装置に搭載されて、前記載置部と前記加工部との間の搬送経路、及び前記洗浄部と前記載置部との間の搬送経路で前記ワークを保持し、
前記第3保持装置は、前記第2搬送装置に搭載されて、前記加工部と前記洗浄部との間の搬送経路で前記ワークを保持する、
請求項1に記載のワーク加工装置。
【請求項3】
前記第1保持装置は、前記第1搬送装置にアーム部材を介して揺動自在に連結されて、倒伏位置と起立位置との間で姿勢が変更される、
請求項2に記載のワーク加工装置。
【請求項4】
前記載置部と前記第3保持装置とは、前記第2搬送装置において上部に前記載置部が配置され、下部に前記第3保持装置が配置される、
請求項2又は3に記載のワーク加工装置。
【請求項5】
前記加工部は、前記ワークをダイシング加工するダイシング手段を有する、
請求項1又は2に記載のワーク加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク加工装置に係り、特にワークをダイシング加工するダイシング装置等のワーク加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や電子部品が形成されたウェーハ等のワークを個々のチップに分割するダイシング装置においては、スピンドルによって高速に回転されるブレードと、ワークを吸着保持するワークテーブルと、ワークテーブルとブレードとの相対的位置を変化させるX、Y、Z、θ駆動部とを備えている。このダイシング装置では、各駆動部によりブレードとワークとを相対的に移動させながら、ブレードによってワークを切り込むことによりダイシング加工(切削加工)する。
【0003】
ダイシング装置においては、ワークの搬送時にダイシングフレームを吸着保持して搬送することが一般的に行われている(例えば、特許文献1参照)。ダイシングフレームを吸着保持することで、加工後のワークを安定して搬送することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-86543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ダイシングフレームを吸着保持してワークを搬送する方式の場合、ダイシング装置内の加工や搬送を行う空間はダイシングフレームのフレームサイズに合わせて設計する必要がある。そのため、装置内部の空間に対してフレームサイズよりも小さなワークしか加工することができず、装置面積に対する加工可能なワーク面積が小さく生産性が低くなる要因となる。一方、生産性を高めるためにはフレームサイズを大きくする必要があるが、そうすると、更なるコストアップや装置の大型化を招いてしまうことになる。
【0006】
これに対して、ダイシングフレームを使用することなく、ワークを直接保持して搬送(ダイレクト搬送)することにより装置内の空間を最大限に活用可能にすることが考えられる。ダイレクト搬送では、ダイシングフレームを使用しないため、従来と同じ装置でフレームサイズまでワークサイズを拡張することが可能となり、より大きなワークの処理が可能となる。また、大きなワークではチップ取り数が増えるので、チップの低廉化につながるというメリットもある。
【0007】
しかしながら、ダイシングフレームを使用しない場合、ワークの剛性が低くなることから、剛性の低いワークを保持して搬送することは難しいという問題がある。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みて成されたものであり、剛性の低いワークを安定且つ確実に保持して搬送可能な搬送装置を備えたワーク加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のワーク加工装置は、本発明の目的を達成するために、裏面にテープが貼り付けられてなるワークが格納される格納部と、ワークが一旦載置される載置部と、ワークを加工する加工部と、ワークを洗浄する洗浄部と、格納部と載置部と加工部と洗浄部との間のそれぞれの搬送経路に沿ってワークを搬送する搬送装置と、を備え、搬送装置は、ワークを保持し、ワークを載置部に載置し、収納可能な保持装置を少なくとも有し、保持装置は、ワークの表面に当接可能なパッドと、パッドの周囲を除くパッドの中央部に固定され、パッドを支持するパッド支持体と、パッドとワークとの間に負圧を作用させる負圧発生部と、を含む。
【0010】
本発明の一形態は、搬送装置は、第1搬送装置と第2搬送装置とを有し、保持装置は、第1保持装置と第2保持装置と第3保持装置とを有し、第1保持装置は、第1搬送装置に搭載されて、格納部と載置部との間の搬送経路でワークを保持し、第2保持装置は、第1搬送装置に搭載されて、載置部と加工部との間の搬送経路、及び洗浄部と載置部との間の搬送経路でワークを保持し、第3保持装置は、第2搬送装置に搭載されて、加工部と洗浄部との間の搬送経路でワークを保持することが好ましい。
【0011】
本発明の一形態は、第1保持装置は、第1搬送装置にアーム部材を介して揺動自在に連結されて、倒伏位置と起立位置との間で姿勢が変更されることが好ましい。
【0012】
本発明の一形態は、載置部と第3保持装置とは、第2搬送装置において上部に載置部が配置され、下部に第3保持装置が配置されることが好ましい。
【0013】
本発明の一形態は、加工部は、ワークをダイシング加工するダイシング手段を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、剛性の低いワークを安定且つ確実に保持することが可能な搬送装置を備えたワーク加工装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態のダイシング装置の要部構成図である。
図2】加工対象のワークの斜視図である。
図3図2に示したワークの断面図である。
図4】加工部の構成の一例を示した斜視図である。
図5】ダイシング装置の電気的構成を示した機能ブロック図である。
図6】第1保持装置が起立位置にある状態を示した斜視図である。
図7】第1保持装置が倒伏位置にある状態を示した斜視図である。
図8】第1保持装置を上方から見た斜視図である。
図9図8に示した第1保持装置を側方から見た斜視図である。
図10】保持部材を示した要部斜視図である。
図11図10に示した保持部材の要部断面図である。
図12】保持部材によってワークが吸着保持された状態を示した概略説明図である。
図13】保持部材の他の形態を上方から見た斜視図である。
図14】搬送装置によるワーク搬送動作を経時的に示した説明図である。
図15】搬送装置によるワーク搬送動作を経時的に示した説明図である。
図16】搬送装置によるワーク搬送動作を経時的に示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面に従って本発明に係るワーク加工装置の実施形態について説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係るダイシング装置10の要部構成を示した斜視図である。本例のダイシング装置10を説明するに当たってはX、Y、Zの三次元座標系を用いて説明する。なお、ダイシング装置10は、本発明のワーク加工装置の一例である。
【0018】
図1に示すように、ダイシング装置10は、ワークが格納される格納部12と、ワークが一旦載置される載置部14と、ワークを加工する加工部16と、ワークを洗浄する洗浄部18と、を備えている。また、ダイシング装置10は、後述の保持装置を有する搬送装置20(本発明の搬送装置の一例)を備えており、この搬送装置20によってワークが、格納部12と載置部14と加工部16と洗浄部18との間のそれぞれの搬送経路に沿って搬送される。また、ダイシング装置10は、ダイシング装置10の各部材の動作を統括制御する制御部22を備えている。
【0019】
格納部12は、一例として箱型に構成されており、上下方向(Z方向)に重なって配置された2つの格納棚24、26を有している。例えば、格納棚24には加工前のワークが格納され、格納棚26には加工後のワークが格納される。ワークは格納棚24、26において複数枚(例えば、100~150枚)積層された状態で格納される。なお、本例のダイシング装置10は、ダイシングフレームを使用せず、裏面にテープが貼り付けられてなるワークを対象とするものであるが、これに限らず、ダイシングフレームを使用したワークも対象とするものであってもよい。
【0020】
また、格納部12は、エレベータ28によって上下方向に移動される。搬送装置20が格納棚24からワーク(加工前ワーク)を取り出したり、格納棚26にワーク(加工後ワーク)を格納したりする動作が行われる場合、搬送装置20の高さに合わせて格納部12の高さがエレベータ28により調整される。なお、格納部12は、本発明の格納部の一例である。
【0021】
ここで、実施形態のダイシング装置10によってダイシング加工されるワークについて図2及び図3を参照して説明する。
【0022】
図2は、加工後のワーク200の斜視図である。また、図3のIIIAは、図2に示したワーク200の断面図であり、図3のIIIBは、図3のIIIAで示したワーク200が撓んだ状態(ペラペラの状態)を模式的に示した説明図である。
【0023】
図2に示すように、ワーク200は、ダイシングフレームを使用せず、ワーク200の裏面(デバイスが形成される表面とは反対側の面)のみにダイシングテープ202が貼り付けられたものである。なお、ワーク200は、本発明のワークの一例であり、ダイシングテープ202は、本発明のテープの一例である。
【0024】
本例のワーク200は平面視で矩形状に構成されている。このワーク200には、互いに交差する複数の分割予定ラインに沿って形成された複数の溝204が碁盤目状に形成されている。これらの溝204は、ダイシング装置10(図1参照)の後述する加工部16によって加工されたものであり、図3のIIIA及びIIIBに示すように、ワーク200を貫通してダイシングテープ202まで切り込まれている(いわゆるフルカット加工。)。なお、ワーク200の形状は矩形状に限定されるものではなく、例えば、円形であってもよい。また、溝204の形態は碁盤目状に限定されるものではなく、例えば、複数本の溝が一方向にのみ形成された形態でもよく、また、1本の溝のみが形成された形態であってもよい。また、溝204の加工形態は、フルカット加工に限定されるものではなく、例えば、ハーフカット加工或いはセミフルカット加工であってもよい。
【0025】
ダイシングテープ202としては、例えばPVC(polyvinyl chloride:ポリ塩化ビニール)系のテープが使用される。ワーク200は、例えばDAF(Die Attach Film)等のフィルム状接着材を介してダイシングテープ202に貼り付けられていてもよい。その場合、フィルム状接着材としては、例えばPO(polyolefin:ポリオレフィン)系のものを使用することができる。以上が、ワーク200の構成である。
【0026】
図1に戻り、載置部14は、ワーク200(図2参照)が置かれるテーブル30を有している。このテーブル30には、後述するように、格納棚24から取り出された加工前のワーク200が加工部16に搬送される前に一旦置かれ、また、洗浄部18で洗浄された洗浄後(加工後)のワーク200が格納棚26に格納される前に一旦置かれる。すなわち、載置部14は、ワーク200の仮置き場として利用される。なお、載置部14は、本発明の載置部の一例である。
【0027】
図4は、加工部16の構成の一例を示した斜視図である。図4に示すように、加工部16は、Xテーブル32を備える。Xテーブル32は、Xベース34に設けられたXガイド36、36によってガイドされ、リニアモータ38によって矢印X-Xで示すX方向に駆動される。また、Xテーブル32の上面にはθ方向に回転する回転テーブル40が固定され、この回転テーブル40に、ワーク200(図2参照)を吸着保持するワークテーブル42が設けられている。よって、ワークテーブル42は、Xテーブル32によってX方向に移動され、かつ回転テーブル40によってθ方向に回転される。
【0028】
また、加工部16は、Xベース34を跨ぐように門型に構成されたYベース44を備える。Yベース44の壁面には、Yテーブル46、46が設けられる。Yテーブル46、46は、Yベース44の壁面に固定されたYガイド48、48によってガイドされ、図示しないステッピングモータとボールスクリューとからなる駆動装置によって矢印Y-Yで示すY方向に駆動される。
【0029】
Yテーブル46、46には、それぞれZテーブル50、50が設けられる。Zテーブル50、50は、Yテーブル46に設けられた不図示のZガイドにガイドされ、図示しないステッピングモータとボールスクリューとからなる駆動装置によって矢印Z-Zで示すZ方向に駆動される。Zテーブル50、50にはスピンドル52、52が対向した状態で固定され、スピンドル52、52の先端部に装着されたブレード54、54が対向配置される。
【0030】
上記の加工部16の構成により、ブレード54、54はY方向にインデックス送りされると共にZ方向に切り込み送りされ、ワークテーブル42はX方向に切削送りされると共にθ方向に回転される。このような加工部16の動作と回転するブレード54、54とによって、ワーク200(図2参照)の表面に複数の溝204が碁盤目状に切削加工される。なお、加工部16は、本発明の加工部の一例であり、ブレード54は、本発明のダイシング手段の一例である。
【0031】
図1に戻り、洗浄部18は、加工部16によって加工されたワーク200を保持する回転テーブル56を有する。洗浄部18では、回転テーブル56に保持されたワーク200を回転テーブル56によってスピン回転させながら薬液処理、リンス処理及び乾燥処理等が行われる。なお、洗浄部18は、本発明の洗浄部の一例である。また、本例のダイシング装置10では、格納部12、加工部16及び洗浄部18がY方向に沿って配置されている。
【0032】
図5は、図1に示したダイシング装置10の電気的構成を示した機能ブロック図である。図5に示すように、ダイシング装置10の制御部22は、システム制御部60、加工制御部62、エレベータ制御部64、搬送制御部66、起伏制御部68、保持制御部70、及びコンピュータ可読媒体72を備える。
【0033】
システム制御部60は、制御部22が備える上記の各種制御部を統括的に制御するものである。また、システム制御部60は、コンピュータ可読媒体72へのデータ等の書き込み、及びコンピュータ可読媒体72からのデータ等の読み出しを制御する。
【0034】
加工制御部62は、加工部16及び洗浄部18の各種駆動部材の動作を制御する。エレベータ制御部64は、エレベータ28の動作を制御する。搬送制御部66は、後述する第1及び第2搬送装置の各搬送駆動部74の動作を制御する。起伏制御部68は、後述する起伏駆動部76の動作を制御する。保持制御部70は、後述する第1乃至第3保持装置の各電磁弁78の開閉動作を制御する。なお、加工制御部62による各種駆動部材の動作制御については公知であるため、詳細な説明を省略する。
【0035】
制御部22のハードウェアは、コンピュータが適用される。制御部22として機能するコンピュータは、1つ以上のプロセッサ及び1つ以上のコンピュータ可読媒体72を備える。コンピュータは、コンピュータ可読媒体72に記憶される1つ以上の命令を含むプログラムをプロセッサが実行して、制御部22における各種の機能を実現する。
【0036】
制御部22においては、1つのプロセッサを用いて1つの処理部又は2つ以上の処理部が実現されてもよいし、複数のプロセッサを用いて1つの処理部が実現されてもよい。プロセッサとして、汎用的な処理デバイスであるCPU(Central Processing Unit)を備えてもよいし、特定の処理に特化した処理デバイスを備えてもよい。複数のプロセッサは、同一の種類であってもよいし、互いに異なる複数の種類であってもよい。
【0037】
コンピュータ可読媒体72は、主記憶装置であるメモリ、及び補助記憶装置であるストレージを備える。また、コンピュータ可読媒体72は、半導体メモリ、ハードディスク装置及びソリッドステートドライブ装置等を使用し得る。更に、コンピュータ可読媒体72は、複数のデバイスの任意の組み合わせを使用し得る。
【0038】
次に、図1に示すダイシング装置10に搭載された搬送装置20の構成とその動作について概説する。
【0039】
図1に示すように、実施形態のダイシング装置10は、ワーク200(図2参照)の搬送装置20として、第1搬送装置100と、第2搬送装置102とを備えている。また、搬送装置20は、ワーク200を保持するための保持装置(本発明の保持装置の一例)を備えている。この保持装置は、第1保持装置104と、第2保持装置106と、第3保持装置108とを有している。第1保持装置104と第2保持装置106は、第1搬送装置100に搭載され、第3保持装置108と載置部14は、第2搬送装置102に搭載されている。なお、第1乃至第3保持装置104、106、108は同一の構成を有している。また、図1では、第1乃至第3保持装置104、106、108の構成を簡略化して示している。
【0040】
まず、実施形態のダイシング装置10の概略動作について説明する。実施形態のダイシング装置10では、まず、第1保持装置104が第1搬送装置100と協働して、格納棚24に格納されている加工前のワーク200を保持し、このワーク200を格納棚24から取り出して載置部14に一旦載置する。なお、図1では、洗浄部18の上方位置に載置部14が配置されているが、上記の動作(加工前のワーク200を載置部14に一旦載置する動作)を行う場合、載置部14は第2搬送装置102によって加工部16の上方位置に予め配置されている。すなわち、加工前のワーク200は、加工部16の上方位置に配置されている載置部14に一旦載置される。なお、加工部16の上方位置とは、Z方向において厳密な上方位置でなくてもよい。すなわち、載置部14は加工部16の上方位置から、例えばY方向に若干ずれた位置に配置されていてもよい。以下、同じである。
【0041】
次に、第2保持装置106が第1搬送装置100と協働して、載置部14に載置されているワーク200を保持し、このワーク200を加工部16に搬送する。なお、この動作(ワーク200を加工部16に搬送する動作)を行う場合、載置部14は第2搬送装置102によって、図1に図示した洗浄部18の上方位置に予め配置される。これにより、ワーク200は、載置部14に干渉することなく加工部16に搬送される。なお、洗浄部18の上方位置とは、Z方向において厳密な上方位置でなくてもよい。すなわち、載置部14は洗浄部18の上方位置から、例えばY方向に若干ずれた位置に配置されていてもよい。以下、同じである。
【0042】
次に、第3保持装置108が第2搬送装置102と協働して、加工部16で加工された加工後のワーク200を保持し、このワーク200を洗浄部18に搬送する。
【0043】
次に、第2保持装置106が第1搬送装置100と協働して、洗浄部18で洗浄された洗浄後のワーク200を保持し、このワーク200を載置部14に一旦載置する。なお、この動作(洗浄後のワーク200を載置部14に一旦載置する動作)を行う場合、載置部14は第2搬送装置102によって、加工部16の上方位置に予め配置されている。すなわち、洗浄後のワーク200は、加工部16の上方位置に配置されている載置部14に一旦載置される。
【0044】
そして最後に、第1保持装置104が第1搬送装置100と協働して、載置部14に載置されている洗浄後のワーク200を保持し、このワーク200を格納棚26に格納する。このような搬送装置20の動作により、格納棚24から取り出されたワーク200は加工部16で加工され、洗浄部18で洗浄された後、格納棚26に格納される。
【0045】
次に、本例の搬送装置20(第1搬送装置100及び第2搬送装置102)の詳細な構成について説明する。
【0046】
図1に示すように、第1搬送装置100は、本体110と、本体110から上方に突設されたアーム112と、Yレール114とを有している。本体110は、アーム112を介してYレール114に支持されると共に、Yレール114に沿ってY方向に移動自在に設けられている。これにより、Y方向において本体110は、後述するように、格納部12に対するワーク取り出し可能位置(図14のXIVA参照)及びワーク格納可能位置(図16のXVIF参照)と、載置部14に対するワーク受け渡し可能位置(図14のXIVB参照)及びワーク受け取り可能位置(図14のXIVD及び図16のXVIE参照)と、加工部16に対するワーク受け渡し可能位置(図14のXIVF参照)と、洗浄部18に対するワーク受け取り可能位置(図15のXVF参照)と、載置部14に対する洗浄後のワーク受け渡し可能位置(図16のXVIB参照)との間の搬送経路に沿って移動可能となっている。なお、第1搬送装置100は、本発明の第1搬送装置の一例である。
【0047】
第2搬送装置102も同様に、本体116と、本体116から上方に突設されたアーム118と、Yレール120とを有している。本体116は、アーム118を介してYレール120に支持されると共に、Yレール120に沿ってY方向に移動自在に設けられている。これにより、Y方向において本体116は、後述するように、加工部16に対するワーク受け取り可能位置(図15のXVB参照)と、洗浄部18に対するワーク受け渡し可能位置(図15のXVD参照)との間の搬送経路に沿って移動可能となっている。なお、第2搬送装置102は、本発明の第2搬送装置の一例である。
【0048】
また、本体110及び本体116は、搬送駆動部74(図5参照)によってY方向及びZ方向に駆動される。搬送駆動部74としては、例えばステッピングモータとボールスクリューとを有する駆動装置を例示することができる。この場合、Y方向における移動は、Y方向に配置したボールスクリューをステッピングモータで回転させることにより、本体110及び本体116をそれぞれアーム112、118と共にY方向に移動させる。また、Z方向における移動は、Z方向に配置したボールスクリューをステッピングモータで回転させることにより、本体110、116をそれぞれアーム112、118に対してZ方向に移動させる。なお、上記の駆動装置は一例である。
【0049】
また、第1搬送装置100及び第2搬送装置102は、本体110及び本体116のY方向の移動時において、本体110及び本体116が互いに干渉することなく互いにすれ違い可能に構成されている。
【0050】
具体的には、Yレール114はYレール120よりも上方側(Z(+)側)に配設されている。また、アーム112はL字状に構成され、Yレール114から前方側(X(+)側)に突出して下方側(Z(-)側)に延設されている。また、アーム118はI字状に構成され、Yレール120から下方側(Z(-)側)に延設されている。このような構成により、本体110及び本体116をY方向から見た場合、本体110が本体116よりも前方側(X(+)側)に配置され、且つ、本体110とYレール120との間に本体116が通過可能な隙間が形成される。このような構成により、本体110及び本体116は、Y方向の移動時において互いに干渉することなく互いにすれ違うことが可能となる。
【0051】
図6及び図7は、それぞれ第1搬送装置100の構成を示した斜視図である。図6には、第1保持装置104が起立位置に位置している状態が示されており、図7には、第1保持装置104が倒伏位置に位置している状態が示されている。なお、図6及び図7においても第1保持装置104及び第2保持装置106の構成を簡略化して示している。
【0052】
図6及び図7に示すように、第1搬送装置100には、第1保持装置104と、第2保持装置106とが搭載されている。また、第1保持装置104には、第1保持装置104を図6の起立位置と図7の倒伏位置との間で起伏動作するための起伏駆動部76(図5参照)が搭載されている。
【0053】
起伏駆動部76は、アーム部材122を有している。アーム部材122の先端部には第1保持装置104が連結され、アーム部材122の基端部には軸124が連結されている。軸124は、X方向に沿って配置され、本体110の下部構成部材128に固定された揺動支持部126に軸支されている。また、軸124は、起伏駆動部76の駆動源(不図示)に連結されている。なお、アーム部材122は、本発明のアーム部材の一例である。
【0054】
このように構成された起伏駆動部76によれば、起伏駆動部76の駆動源(不図示)によって軸124が正転及び逆転されることにより、アーム部材122が軸124を揺動支点としてY(-)Z平面に沿って揺動される。これによって、第1保持装置104が、ワーク200(図2参照)を保持する際の図7の倒伏位置と、ワーク200を保持しない際の図6の起立位置との間で姿勢が変更される。第1保持装置104が図7の倒伏位置にあることを“展開”、若しくは“展開時”等と称し、図6の起立位置にあることを“収納”、若しくは“収納時”等と称する場合もある。すなわち、第1保持装置104は、収納可能である。なお、起伏駆動部76の構成は、これに限定されるものではなく、第1保持装置104を起伏動作可能な構成であればよい。
【0055】
次に、第1保持装置104の構成の一例について説明する。なお、第2保持装置106と第3保持装置108は、第1保持装置104と同一の構成を有しているため、本明細書では、第1保持装置104の構成を代表して説明し、第2保持装置106と第3保持装置108の説明は省略する。
【0056】
図8は、第1保持装置104を上方から見た斜視図である。図9は、図8に示した第1保持装置104を側方から見た斜視図である。なお、第1保持装置104は、本発明の第1保持装置の一例である。
【0057】
図8及び図9に示すように、第1保持装置104は、複数台(本例では5台)の保持部材130(130A)を備え、これらの保持部材130(130A)によって1つのワーク200を保持するものである。まず、保持部材130について説明する。
【0058】
図10は、保持部材130を示した要部斜視図であり、図11は、図10に示した保持部材130の要部断面図である。図10及び図11に示すように、保持部材130は、パッド132と、パッド支持体134と、電磁弁78(図5参照)と、吸引ポンプ136とを備えている。
【0059】
パッド132は薄板状に構成されたものであり、一例として平面視で矩形状に形成されている。なお、パッド132の形状は矩形状に限定されるものではなく、例えば、円形であってもよい。
【0060】
図11に示すように、パッド132の中央部には、後述する開口部138及び吸引路140を介して吸引ポンプ136に連通する吸引路142が形成されている。吸引路142には、吸引ポンプ136により吸引路140及び開口部138を介して負圧が付与される。これにより、パッド132の吸引孔開口面144(図11において下側の面)は、ワーク200(図2参照)を負圧によって吸着する吸着面として機能する。吸引ポンプ136(吸引路142、開口部138及び吸引路140を含む。以下、同じ。)は、本発明の負圧発生部の一例である。なお、本例では、ワーク200(図2参照)の表面(ダイシングテープ202が貼り付けられる側とは反対側の面)にパッド132を接触させた状態でワーク200が負圧により吸着保持される。
【0061】
また、吸引路142と吸引ポンプ136との間の管路には、電磁弁78が設けられている。電磁弁78は、保持制御部70(図5参照)から与えられる信号によって開閉動作が行われる。電磁弁78が開放された場合には、吸引路142と吸引ポンプ136との間が連通状態となって吸引ポンプ136の負圧が吸引路142に付与される。電磁弁78が閉鎖された場合には、吸引路142と吸引ポンプ136との間が非連通状態となって吸引ポンプ136の負圧が吸引路142に付与不能になる。
【0062】
図10及び図11に示すように、パッド支持体134は、支持部本体146と、板金148とを備えている。支持部本体146は、配管150に連結される口金部152と、口金部152の下部に一体に構成された平板状の座部154とを有し、例えば剛性の高い金属によって構成されている。座部154は、平面視で矩形状に構成される。この座部154の板金固定面156(板金148が配置される側の面)は平面状に構成されている。そして、座部154の板金固定面156に板金148が固定される。口金部152及び座部154には、配管150に連通される吸引路140が形成されている。なお、座部154の形状は矩形状に限定されるものではなく、例えば円形であってもよい。
【0063】
配管150は、一端が口金部152に固定され、他端が電磁弁78を介して吸引ポンプ136に接続される。吸引ポンプ136は、電磁弁78、配管150、吸引路140、及び開口部138を介して吸引路142に連通されている。これにより、吸引ポンプ136の駆動に応じて吸引路142には負圧が付与されるので、パッド132の吸引孔開口面(吸着面)144に対してワーク200(図2参照)を負圧により吸着保持することが可能となる。
【0064】
板金148は、座部154の板金固定面156に対してネジ等の締結部材によって取り外し可能に固定される。また、板金148には、吸引路140と連通した開口部138が形成されている。本例の開口部138と吸引路140とによって、吸引路が構成されている。また、板金148と座部154との間にはOリング(不図示)が配置されている。このOリングは、吸引路140を囲繞する位置に配置されており、Oリングによって吸引路140内の空気の漏れが防止されている。
【0065】
図11に示すように、板金148のパッド固定面158(座部154とは反対側の面)には、パッド132が接着剤により固定される。板金148のパッド固定面158に対するパッド132の固定形態は特に限定されるものではないが、後述するようにパッド132としてゴム製のものが採用された場合には、ネジ等の締結部材よりも接着剤による固定形態であることが好ましい。なお、上述したように、パッド132が固定される板金148は座部154から取り外し可能(着脱自在)に構成されているので、例えばパッド132が摩耗した場合には、パッド132は板金148と共に座部154から取り外されて新たなパッド132(板金148を含む)に交換することが可能となっている。以下、パッド132の構成について詳しく説明する。
【0066】
パッド132は、可撓性部材によって構成されている。可撓性部材としては、ゴムを例示することができる。ゴムとしては、クロロプレンゴム及びシリコンゴム等の柔軟性のある軟質ゴムを例示することができる。なお、可撓性部材としては、ゴムに限定されるものではなく、例えば、PVC等の柔軟性のある軟質プラスチックを採用してもよい。但し、後述するように、パッド132の非固定領域132bを、ワーク200(図2参照)の形状に倣って変形させる観点から、軟質プラスチックよりもゴムが好ましい。
【0067】
上記のように可撓性部材により構成されるパッド132は、平面視で矩形状に構成される平面領域(パッド領域)のうち、その外縁部(周囲)を除く中央領域(中央部)がパッド支持体134に固定される領域であり、その中央領域の周辺領域がパッド支持体134に固定されない領域である。すなわち、パッド132を構成するパッド領域(平面視矩形状領域)のうち、中央部を含む所定範囲の中央領域がパッド支持体134(板金148のパッド固定面158)に対して固定された固定領域132aとなり、この固定領域132aよりも面外方に位置する周辺領域がパッド支持体134(板金148のパッド固定面158)に対して固定されない非固定領域132bとなっている。なお、固定領域132aの中央部には吸引路142が形成されており、その吸引路142には開口部138及び吸引路140を介して吸引ポンプ136が連通されている。
【0068】
次に、保持部材130の作用について説明する。図12は、保持部材130によってワーク200が吸着保持された状態を示した概略説明図である。
【0069】
図12に示すように、パッド132の吸引孔開口面(吸着面)144をワーク200の表面に当接させた状態にする。そして、この状態で電磁弁78を開放して吸引路142に負圧を付与する。これにより、パッド132の吸引孔開口面144とワーク200の表面との間に負圧が作用して、パッド132に対してワーク200が負圧により吸着保持された状態となる。
【0070】
このようにしてパッド132による吸着保持が行われる際、パッド132の中央領域に形成される固定領域132aはパッド支持体134(板金148のパッド固定面158)に対して固定されているため、固定領域132aに接するワーク200の中央領域は、平坦な状態で維持しながらパッド132に対して吸着保持される。一方、パッド132の周辺領域に形成される非固定領域132bはパッド支持体134(板金148のパッド固定面158)に対して固定されずにワーク200の変形に倣って柔軟に変形可能(可撓変形が可能な領域)となっている。そのため、パッド132の非固定領域132bに接した部分であるワーク200の周辺部が自重により撓み変形したとしても、その撓み変形に倣ってパッド132の非固定領域132bが追従して変形してワーク200の周辺部を吸着保持することが可能となる。
【0071】
ここで、パッド132による吸着保持が行われる際の吸引ポンプ136の吸引量(送風量)について説明する。吸引ポンプ136は、パッド132に対してワーク200(図2参照)を吸着保持した場合、図2に示す溝204から吸引路142を介して吸引路140に流入する空気量(外気量)よりも大きな風量を吸引可能な吸引量に設定される。具体的に説明すると、吸引ポンプ136のモータの回転数が上記の風量となるように吸引量が設定される。つまり、吸引ポンプ136のモータの回転数は、溝204を介して吸引路140に流入する空気量よりも大きな排気速度で吸引する回転数に設定される。
【0072】
なお、吸引ポンプ136による上記の排気速度は、ワーク200に形成された溝204のパッド132での管路抵抗の大きさに応じてパッド132がワーク200を吸着可能な速度に設定される。上記の管路抵抗は、溝204の幅、深さ、本数、形状等により定められる。また、図11に示した矢印Aは、吸引ポンプ136が駆動された場合の空気流れ方向を示している。
【0073】
吸引ポンプ136のモータの回転数を上記のように設定して吸引ポンプ136を駆動し、パッド132の吸引孔開口面144をワーク200の表面に当接させた場合、外気は溝204からワーク200とパッド132との間に流入(リーク)する。その際、吸引ポンプ136は、吸引路140に流入する空気量(外気量)よりも大きな風量を吸引する回転数で駆動される。その結果、溝204による管路抵抗の作用とも相まって、パッド132の吸引孔開口面144とワーク200の表面との間に負圧が発生し、ワーク200の表面がパッド132の吸引孔開口面144に負圧により吸着保持される。
【0074】
したがって、本例の保持部材130によれば、ワーク200の表面に当接可能なパッド132と、パッド132の周囲を除くパッド132の中央部に固定されるパッド支持体134と、パッド132とワーク200との間に負圧を作用させる吸引ポンプ136と、を含む構成を備えているので、剛性が低い、いわゆる「ペラペラの状態」のワーク200を吸着保持する場合であっても安定且つ確実に保持することが可能となる。
【0075】
また、本例の保持部材130によれば、パッド132は、ワーク200を平坦な状態で吸着保持することが可能な固定領域132aを備えたことにより、パッド132によりワーク200を吸着保持する際にワーク200の変形が全体的に抑制されるので、ワーク200に形成されるチップ(デバイス)間の接触等の不具合を防止することが可能となる。
【0076】
また、本例の保持部材130によれば、従来と同じサイズの装置(例えば、ダイシング装置)において、ワークサイズをフレームサイズまで拡張することが可能となるので、より大きなサイズのワークの処理が可能となる。また、サイズの大きなワークではチップ取り数が増えるので、チップの低廉化につながるというメリットもある。
【0077】
図8及び図9に戻り、第1保持装置104について継続して説明する。
【0078】
図8及び図9に示すように、第1保持装置104は、5台の保持部材130(130A)の他、パッド連結ベース160と、搬送ベース162と、スプリング164とを備えている。
【0079】
図8及び図9に示すように、パッド連結ベース160は、平面視において略X字状に構成されている。パッド連結ベース160は、4箇所の端部160Aを有し、これらの端部160Aに保持部材130がそれぞれ固定されている。また、パッド連結ベース160は、中央部160Bを有し、中央部160Bに保持部材130Aが取り付けられている。
【0080】
図13は、保持部材130Aの斜視図である。保持部材130Aは、パッド132A及び座部154Aの形状が平面視において長方形に構成されているが、基本的な構造は保持部材130と同一であるので、ここでは説明を省略する。
【0081】
図8及び図9に示した5台の保持部材130(130A)は、それぞれのパッド132(132A)の吸引孔開口面144が同一の水平面上に位置するようにパッド連結ベース160にそれぞれ固定されている。
【0082】
図8及び図9に示すように、搬送ベース162は、パッド連結ベース160の上方に配置される。すなわち、搬送ベース162は、パッド連結ベース160に対して5台の保持部材130(130A)とは反対側に設けられている。搬送ベース162は、平面視において略十字状に構成されている。搬送ベース162は、4箇所の端部162Aを有している。搬送ベース162の下方に配置されたパッド連結ベース160は、搬送ベース162の各端部162Aに設けられたスプリング164を介して搬送ベース162に上下動自在(フローティング)に支持されている。すなわち、スプリング164は、搬送ベース162とパッド連結ベース160との間に設けられることで、搬送ベース162とパッド連結ベース160との距離を変化させる方向に付勢する機能を有している。なお、搬送ベース162の上部中央部162Bに図6及び図7に示したアーム部材122の先端部が連結される。
【0083】
上記の如く構成された第1保持装置104によれば、搬送ベース162とパッド連結ベース160との間に配置された複数(本例では4つの)のスプリング164を含むフローティング機構を備えているので、このフローティング機構により、パッド連結ベース160に連結固定される各保持部材130(130A)の吸引孔開口面144が、搬送ベース162に対して可動になっている。これにより、各保持部材130(130A)の吸引孔開口面144をワーク200の表面に接触させた際の衝撃を緩和することができるので、各保持部材130(130A)の吸引孔開口面144への吸着保持の動作をスムーズに行うことが可能となる。
【0084】
なお、本例では、5台の保持部材130(130A)を有する第1保持装置104を例示したが、これに限定されるものではなく、少なくとも1台の保持部材130を有する構成であってもよい。
【0085】
次に、第2保持装置106、第3保持装置108及び載置部14について簡単に説明する。
【0086】
図6及び図7に示すように、第2保持装置106は、吸引孔開口面144(図11参照)を下側に向けた状態で第1搬送装置100の下部構成部材128に固定される。そして、第2保持装置106は、搬送駆動部74(図5参照)によって本体110と共にY方向及びZ方向に移動される。なお、第2保持装置106は、本発明の第2保持装置の一例である。
【0087】
図1に示すように、第3保持装置108及び載置部14は、第2搬送装置102の本体116の下部に固定されている。載置部14と第3保持装置108は、Z方向(鉛直方向)において上部に載置部14が配置され、下部に第3保持装置108が配置されている。なお、第3保持装置108は、本発明の第3保持装置の一例である。
【0088】
次に、図1に示した搬送装置20によるワーク200の搬送動作の一例について図14乃至図16を参照して説明する。
【0089】
図14乃至図16には、搬送装置20(第1乃至第2搬送装置100、102及び第1乃至第3保持装置104、106、108)によって一つのワーク200を、格納部12と載置部14と加工部16と洗浄部18との間のそれぞれの搬送経路に沿って搬送する状態が経時的に示されている。また、これらの図中に示される矢印は、搬送装置20の各部材の移動方向をそれぞれ示している。また、上方向、下方向とは、それぞれ、Z(+)方向、Z(-)方向を指している。
【0090】
まず、加工前のワーク200を格納部12(格納棚24)から載置部14に搬送する動作について説明する。
【0091】
図14のXIVAには、格納棚24に格納されている加工前のワーク200が、第1保持装置104(吸引孔開口面144(図11参照)。以下同じ。)によって吸着保持された状態が示されている。第1保持装置104は、ワーク200を吸着保持する前段階では、倒伏位置を維持した状態で格納棚24に対しY(+)方向側に配置されている。この後、第1搬送装置100の本体110のY(-)方向の移動により、Y方向において本体110が、格納部12に対するワーク取り出し可能位置に配置される。この動作によって、第1保持装置104が倒伏位置で格納棚24に挿入されてワーク200の上方位置に配置される。
【0092】
第1保持装置104がワーク200の上方位置に配置されると、本体110が下方向に移動される。これにより、第1保持装置104がワーク200に向けて下方向に移動され、第1保持装置104がワーク200の表面に当接される。この後、第1保持装置104の電磁弁78(図5参照)が開放される。これにより、第1保持装置104とワーク200の表面との間に負圧が発生し、ワーク200の表面が負圧によって第1保持装置104に吸着保持される。
【0093】
ワーク200が第1保持装置104に吸着保持されると、本体110が上方向に移動される。これにより、図14のXIVAの如く、吸着保持したワーク200が積層ワーク群210から上方向に持ち上げられる。このとき、載置部14は、第2搬送装置102によって予め加工部16の上方位置に配置されていることが好ましい。なお、以下の説明において、第2搬送装置102については本体116(図1参照)の図示を省略して説明する。また、第2保持装置106の移動とは、本体116の移動を指すものとする。
【0094】
図14のXIVA如く、ワーク200が上方向に持ち上げられると、本体110がY(+)方向に移動される。これにより、Y方向において本体110が、載置部14に対するワーク受け渡し可能位置に配置される(図14のXIVB参照)。この動作によって、第1保持装置104に吸着保持されたワーク200が載置部14の上方位置に配置される。
【0095】
ワーク200が載置部14の上方位置に配置されると、本体110が下方向に移動される。これにより、第1保持装置104が載置部14に向けて下方向に移動され、図14のXIVBの如く、ワーク200が載置部14(テーブル30(図1参照))に受け渡される。
【0096】
ワーク200が載置部14に受け渡されると、電磁弁78(図5参照)が閉鎖される。これにより、第1保持装置104に対するワーク200の吸着保持が解除され、ワーク200が第1保持装置104から切り離されて載置部14に載置される。以上が、加工前のワーク200を格納部12から載置部14に搬送する動作である。
【0097】
次に、載置部14に載置されたワーク200を載置部14から加工部16に搬送する動作について説明する。
【0098】
図14のXIVBで示したように、ワーク200が載置部14に載置されると、本体110が上方向に移動され、第1保持装置104がワーク200の上方位置に退避される。この後、起伏駆動部76(図5参照)が駆動され、第1保持装置104の姿勢が図14のXIVBの倒伏位置から図14のXIVCに示す起立位置に変更される。
【0099】
第1保持装置104の姿勢が起立位置に変更されると、本体110がY(-)方向に移動される。これにより、図14のXIVDの如く、Y方向において本体110が、載置部14に対するワーク受け取り可能位置に配置される。この動作によって、第2保持装置106が載置部14の上方位置に配置される。
【0100】
第2保持装置106が載置部14の上方位置に配置されると、本体110が下方向に移動される。これにより、第2保持装置106が載置部14に向けて下方向に移動され、図14のXIVEの如く、第2保持装置106がワーク200の表面に当接される。
【0101】
第2保持装置106がワーク200に当接されると、第2保持装置106の電磁弁78(図5参照)が開放される。これにより、第2保持装置106とワーク200の表面との間に負圧が発生し、ワーク200の表面が負圧によって第2保持装置106に吸着保持される。
【0102】
ワーク200が第2保持装置106に吸着保持されると、本体110が上方向に移動される。この後、第2搬送装置102がY(+)方向に移動され、図14のXIVFの如く、載置部14が洗浄部18の上方位置に配置される。これにより、載置部14によって閉鎖されていた加工部16の上方空間が開放される。
【0103】
ここで、図14のXIVFには、Y方向において本体110が、加工部16に対するワーク受け渡し可能位置に配置された状態が示されている。すなわち、加工部16の上方位置に、第2保持装置106に吸着保持されたワーク200が配置された状態が示されている。この後、本体110が下方向に移動される。これにより、第2保持装置106が加工部16に向けて下方向に移動され、図15のXVAの如く、ワーク200が加工部16(ワークテーブル42(図1参照))に受け渡される。
【0104】
ワーク200が加工部16に受け渡されると、第2保持装置106の電磁弁78(図5参照)が閉鎖される。これにより、第2保持装置106に対するワーク200の吸着保持が解除されて、ワーク200が第2保持装置106から切り離される。以上が、載置部14に載置されたワーク200を載置部14から加工部16に搬送する動作である。
【0105】
次に、加工部16で加工された加工後のワーク200を加工部16から洗浄部18に搬送する動作について説明する。
【0106】
ここで、図15のXVBには、加工部16によるワーク加工中の状態が示されている。ワーク加工中において、本体110の上方向の移動により、第2保持装置106は加工部16の上方位置に退避される。また、第2搬送装置102は、Y(-)方向に移動される。これにより、Y方向において第2搬送装置102が、加工部16に対するワーク受け取り可能位置に配置される。この動作によって、第3保持装置108が加工部16の上方位置に配置される。
【0107】
ワーク加工が終了すると、第2搬送装置102が下方向に移動される。これにより、第3保持装置108が加工部16に向けて下方向に移動され、図15のXVCの如く、第3保持装置108がワーク200の表面に当接される。
【0108】
第3保持装置108がワーク200に当接されると、第3保持装置108の電磁弁78(図5参照)が開放される。これにより、第3保持装置108とワーク200の表面との間に負圧が発生し、ワーク200の表面が負圧によって第3保持装置108に吸着保持される。
【0109】
ワーク200が第3保持装置108に吸着保持されると、第2搬送装置102が上方向に移動され、加工後のワーク200が加工部16から搬出される。この後、第2搬送装置102がY(+)方向に移動される。これにより、図15のXVDの如く、Y方向において第2搬送装置102が、洗浄部18に対するワーク受け渡し可能位置に配置される。この動作によって、第3保持装置108に吸着保持されたワーク200が洗浄部18の上方位置に配置される。
【0110】
ワーク200が洗浄部18の上方位置に配置されると、第2搬送装置102が下方向に移動される。これにより、第3保持装置108が洗浄部18に向けて下方向に移動され、図15のXVEの如く、ワーク200が洗浄部18(回転テーブル56(図1参照))に受け渡される。
【0111】
ワーク200が洗浄部18に受け渡されると、第3保持装置108の電磁弁78(図5参照)が閉鎖される。これにより、第3保持装置108に対するワーク200の吸着保持が解除されて、ワーク200が第3保持装置108から切り離される。以上が、加工後のワーク200を加工部16から洗浄部18に搬送する動作である。
【0112】
次に、洗浄部18で洗浄された洗浄後のワーク200を洗浄部18から載置部14に搬送する動作について説明する。
【0113】
ここで、図15のXVFには、洗浄部18によるワーク洗浄中の状態が示されている。ワーク洗浄中において、第2搬送装置102のY(-)方向の移動により、載置部14は加工部16の上方位置に配置される。また、本体110は、Y(+)方向に移動される。これにより、Y方向において本体110が、洗浄部18に対するワーク受け取り可能位置に配置される。この動作によって、第2保持装置106が洗浄部18の上方位置に配置される。
【0114】
ワーク洗浄が終了すると、本体110が下方向に移動される。これにより、第2保持装置106が洗浄部18に向けて下方向に移動され、図16のXVIAの如く、第2保持装置106がワーク200の表面に当接される。
【0115】
第2保持装置106がワーク200に当接されると、第2保持装置106の電磁弁78(図5参照)が開放される。これにより、第2保持装置106とワーク200の表面との間に負圧が発生し、ワーク200の表面が負圧によって第2保持装置106に吸着保持される。
【0116】
ワーク200が第2保持装置106に吸着保持されると、本体110が上方向に移動され、洗浄後のワーク200が洗浄部18から搬出される。この後、本体110がY(-)方向に移動される。これにより、図16のXVIBの如く、Y方向において本体110が、載置部14に対するワーク受け渡し可能位置に配置される。この動作によって、第2保持装置106に吸着保持されたワーク200が載置部14の上方位置に配置される。
【0117】
ワーク200が載置部14の上方位置に配置されると、本体110が下方向に移動される。これにより、第2保持装置106が載置部14に向けて下方向に移動され、図16のXVICの如く、ワーク200が載置部14に受け渡される。
【0118】
ワーク200が載置部14に受け渡されると、第2保持装置106の電磁弁78(図5参照)が閉鎖される。これにより、第2保持装置106に対するワーク200の吸着保持が解除され、ワーク200が第2保持装置106から切り離されて載置部14に載置される。以上が、洗浄された加工後のワーク200を洗浄部18から載置部14に搬送する動作である。
【0119】
そして最後に、洗浄後のワーク200を載置部14から格納部12(格納棚26)に搬送する動作について説明する。
【0120】
ここで、図16のXVIDには、ワーク200に対する第2保持装置106の吸着保持が解除された直後の状態が示されている。吸着保持が解除されると、本体110が上方向に移動され、第2保持装置106が載置部14の上方位置に退避される。この後、本体110がY(+)方向に移動される。これにより、Y方向において本体110が、載置部14に対するワーク受け取り可能位置に配置される(図16のXVIE参照)。この動作によって、第1保持装置104によるワーク200の吸着保持が可能となる。
【0121】
この後、起伏駆動部76(図5参照)が駆動される。これにより、第1保持装置104が、図16のXVIDで示す起立位置から下方向に向けて移動されて倒伏位置に配置される。この動作によって、図16のXVIEの如く、第1保持装置104がワーク200の表面に当接される。
【0122】
第1保持装置104がワーク200に当接されると、第1保持装置104の電磁弁78(図5参照)が開放される。これにより、第1保持装置104とワーク200の表面との間に負圧が発生し、ワーク200の表面が負圧によって第1保持装置104に吸着保持される。
【0123】
ワーク200が第1保持装置104に吸着保持されると、本体110が上方向に移動され、洗浄後のワーク200を載置部14から持ち上げる。そして、この動作に連動して、格納部12がエレベータ28によって下方向に移動され、格納棚26とワーク200との相対的な上下方向の位置が合わせられる。
【0124】
この後、本体110がY(-)方向に移動される。これにより、図16のXVIFの如く、Y方向において本体110が、格納部12(格納棚26)に対するワーク受け渡し可能位置に配置される。この動作によって、第1保持装置104に吸着保持されたワーク200が格納棚26に挿入される。
【0125】
ワーク200が格納棚26に挿入されると、第1保持装置104の電磁弁78(図5参照)が閉鎖される。これにより、第1保持装置104に対するワーク200の吸着保持が解除され、ワーク200が第1保持装置104から切り離されて格納棚26に格納される。以上が、洗浄後のワーク200を載置部14から格納部12に搬送する動作である。
【0126】
このように、本例の搬送装置20によれば、保持装置(第1乃至第3保持装置104、106、108)として、ワーク200の表面に当接可能なパッド132と、パッド132の周囲を除くパッド132の中央部に固定されるパッド支持体134と、パッド132とワーク200との間に負圧を作用させる吸引ポンプ136と、を含む構成を採用したので、剛性が低い、いわゆる「ペラペラの状態」のワーク200を吸着保持する場合であっても安定且つ確実に保持することが可能となる。
【0127】
したがって、本例の搬送装置20を備える実施形態のダイシング装置10によれば、格納部12と載置部14と加工部16と洗浄部18との間のそれぞれの搬送経路において、剛性の低いワークを安定且つ確実に搬送することが可能となる。
【0128】
以下、本例の搬送装置20が有する幾つかの効果について説明する。
【0129】
本例の搬送装置20は、第1搬送装置100に第1保持装置104と第2保持装置106を搭載し、且つ、仮置き場として機能する載置部14を搬送経路の途中に備えた構成を採用したので、以下に説明するように、ダイシング装置10の小型化を図ることができる。
【0130】
例えば、第1搬送装置100に対し、倒伏位置で固定された第1保持装置104のみを搭載し、第1保持装置104のみでワーク200を保持して搬送する構成を採用した場合、本体110のY方向における搬送経路が長くなる。
【0131】
具体的には、洗浄部18で洗浄後のワーク200を第1保持装置104で吸着保持するために、本体110のY方向における搬送経路を、図14のXIVAで示した位置(格納棚24に対するワーク受け取り可能位置)から、図15のXVFで示した位置(洗浄部18に対するワーク受け取り可能位置)を超えて更にアーム部材122の長さ分だけY(+)方向側に延設させる必要がある。このため、Y方向における本体110の搬送経路が長くなるので、ダイシング装置が大型化する傾向にある。
【0132】
これに対し、本例の搬送装置20は、第1搬送装置100に第1保持装置104と第2保持装置106を搭載し、洗浄部18で洗浄後のワーク200を第2保持装置106で吸着保持して載置部14に一旦載置し、このワーク200を第1保持装置104で吸着保持する構成を採用したので、Y方向における本体110の搬送経路を短縮することができ、よって、ダイシング装置10の小型化を図ることができる。
【0133】
更に、本例の搬送装置20は、上記の構成に加えて、第1保持装置104を本体110にアーム部材122を介して揺動自在に連結し、載置部14に載置されたワーク200を第2保持装置106で保持する際(図14のXIVC参照)に第1保持装置104を起立させる構成を採用したので、Y方向における格納部12と加工部16との間の距離を短縮することができ、よって、ダイシング装置10の更なる小型化を図ることができる。
【0134】
また、本例の搬送装置20では、第2搬送装置102に第3保持装置108を搭載した構成を採用したので、以下に説明するように、ワーク200に対する切削屑の再付着を防止することができる。
【0135】
例えば、1つの保持装置のみでワーク200を保持して搬送する構成と比較した場合、加工部16で加工後のワーク200は、その表面に切削屑等が付着していることから、加工後のワーク200を吸着保持したときに保持装置に切削屑が付着する場合がある。そして、その保持装置によって、洗浄部18で洗浄されたクリア(清潔)なワーク200を吸着保持したときに、その保持装置に付着していた切削屑がクリアなワーク200に再付着する場合がある。
【0136】
これに対し、本例の搬送装置20は、加工部16で加工後のワーク200(切削屑が付着されているワーク200)を、加工部16と洗浄部18との間の搬送経路のみで保持する専用の第3保持装置108を備え、この第3保持装置108を第2搬送装置102によって独立して移動させる構成を採用している。これにより、洗浄部18で洗浄されたクリアなワーク200を、同じくクリアな状態で保持されている第2保持装置106及び第1保持装置104を利用して洗浄部18から載置部14を介して格納棚26に格納することができる。つまり、本例の構成を採用することにより、ワーク200に対する切削屑の再付着を防止することができる。
【0137】
なお、本発明においては、1つの搬送装置に1つの保持装置を搭載し、1つの保持装置のみでワーク200を保持して搬送するシンプルな構成の搬送装置でも採用可能である。但し、上記の如く、ワーク200に対する切削屑の再付着を防止する観点から、本例の構成を採用することが好ましい。
【0138】
また、本例の搬送装置20では、第2搬送装置102に載置部14を搭載して、載置部14を第2搬送装置102によって移動する構成を採用したが、これに限定されるものではない。例えば、載置部専用の移動装置を設け、この移動装置によって載置部14を独立して移動させてもよい。但し、装置構成を簡素化する観点から、載置部14の移動装置として、第3保持装置108を移動させるための第2搬送装置102を兼用することが好ましい。
【0139】
実施形態では、本発明に係るワーク加工装置を、ブレード54を有するダイシング装置に適用した例を挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、ダイシング手段としてレーザー光を使用するダイシング装置にも適用可能である。また、ダイシング装置に限定されるものではなく、格納部、加工部、洗浄部等を備えた、他のワーク加工装置にも適用可能である。
【0140】
以上、本発明に係る加工装置の一例について説明したが、本発明の技術は実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、いくつかの改良又は変形を行ってもよい。
【符号の説明】
【0141】
10…ダイシング装置、12…格納部、14…載置部、16…加工部、18…洗浄部、20…搬送装置、22…制御部、24…格納棚、26…格納棚、28…エレベータ、30…テーブル、32…Xテーブル、34…Xベース、36…Xガイド、38…リニアモータ、40…回転テーブル、42…ワークテーブル、44…Yベース、46…Yテーブル、48…Yガイド、50…Zテーブル、52…スピンドル、54…ブレード、56…回転テーブル、60…システム制御部、62…加工制御部、64…エレベータ制御部、66…搬送制御部、68…起伏制御部、70…保持制御部、72…コンピュータ可読媒体、74…搬送駆動部、76…起伏駆動部、78…電磁弁、100…第1搬送装置、102…第2搬送装置、104…第1保持装置、106…第2保持装置、108…第3保持装置、110…本体、112…アーム、114…Yレール、116…本体、118…アーム、120…Yレール、122…アーム部材、124…軸、126…揺動支持部、128…下部構成部材、130…保持部材、130A…保持部材、132…パッド、132a…固定領域、132A…パッド、132b…非固定領域、134…パッド支持体、136…吸引ポンプ、138…開口部、140…吸引路、142…吸引路、144…吸引孔開口面(吸着面)、146…支持部本体、148…板金、150…配管、152…口金部、154…座部、154A…座部、156…板金固定面、158…パッド固定面、160…パッド連結ベース、160A…端部、160B…中央部、162…搬送ベース、162A…端部、162B…上部中央部、164…スプリング、200…ワーク、202…ダイシングテープ、204…溝、210…積層ワーク群
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図16