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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013003
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】ポンプ設備及び制御装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/046 20060101AFI20240124BHJP
   F04D 29/70 20060101ALI20240124BHJP
   F04D 15/00 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
F04D29/046 A
F04D29/70 H
F04D15/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114892
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【弁護士】
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】梅澤 孝雄
(72)【発明者】
【氏名】千葉 真
(72)【発明者】
【氏名】内田 義弘
【テーマコード(参考)】
3H020
3H130
【Fターム(参考)】
3H020BA02
3H020BA03
3H020BA22
3H020CA05
3H020DA10
3H020EA03
3H130AA03
3H130AB22
3H130AB28
3H130AB50
3H130AC30
3H130BA48E
3H130BA48J
3H130BA72E
3H130BA72J
3H130BA82E
3H130BA82J
3H130BA85E
3H130BA85J
3H130BA90E
3H130BA90J
3H130BA98E
3H130BA98J
3H130DA05X
3H130DB11X
3H130DF03Z
3H130DG01Z
3H130DG05Z
3H130DG07Z
3H130EB01D
3H130ED04E
3H130ED04J
3H130ED05E
3H130ED05J
(57)【要約】      (修正有)
【課題】横軸ポンプの水中軸受が樹脂を原料に含む場合においてランニングコストを低減する。
【解決手段】水平方向に延びる主軸と、当該主軸に固定された羽根車と、当該羽根車が収容されるポンプケーシングと、当該ポンプケーシング内に設置され当該主軸の先端部が収容される軸受ケーシングと、当該軸受ケーシング内に設置され当該主軸を回転可能に支持し且つ樹脂を原料に含む水中軸受と、当該軸受ケーシングを貫通した状態で設けられ、当該主軸と当該水中軸受の互いのすべり面の間にフラッシング水を外部から供給するための注水配管と、当該注水配管が連通しており且つ当該注水配管より高い位置に配置されている水槽と、当該注水配管に設けられ且つ管路の開閉を制御する注水制御弁と、当該主軸を駆動する原動機と、落水時または当該原動機の停止工程中に、当該注水制御弁を開くように制御する制御装置と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に延びる主軸と、
前記主軸に固定された羽根車と、
前記羽根車が収容されるポンプケーシングと、
前記ポンプケーシング内に設置され前記主軸の先端部が収容される軸受ケーシングと、
前記軸受ケーシング内に設置され前記主軸を回転可能に支持し且つ樹脂を原料に含む水中軸受と、
前記軸受ケーシングを貫通した状態で設けられ、前記主軸と前記水中軸受の互いのすべり面の間にフラッシング水を外部から供給するための注水配管と、
前記注水配管が連通しており且つ前記注水配管より高い位置に配置されている水槽と、
前記注水配管に設けられ且つ管路の開閉を制御する注水制御弁と、
前記主軸を駆動する原動機と、
落水時または前記原動機の停止工程中に、前記注水制御弁を開くように制御する制御装置と、
を備えるポンプ設備。
【請求項2】
前記ポンプケーシング内に空気を導入するための吸気配管と、
前記吸気配管に設けられた開閉可能な真空破壊弁を備え、
前記落水時に注水制御弁を開くように制御するとは、前記原動機が回転停止した場合、前記真空破壊弁を開くと同時または開く前後に、注水制御弁を開くように制御することである
請求項1に記載のポンプ設備。
【請求項3】
前記主軸の先端部の一部を周方向に被覆する主軸スリーブを更に備え、
前記主軸スリーブには、前記フラッシング水によりシルトを取り除くための溝が設けられている
請求項1または2に記載のポンプ設備。
【請求項4】
前記フラッシング水の供給時に水流または水量を検知するための検知器を備え、
前記制御装置は、前記検知器の検知量または検知量の経時変化量を用いて、前記主軸もしくは前記水中軸受へのシルトの付着量及び/またはシルトの除去効果を判定する
請求項1に記載のポンプ設備。
【請求項5】
前記水槽を吸気用の真空ポンプ用の補水槽と兼用した
請求項1に記載のポンプ設備。
【請求項6】
前記水中軸受の摩耗量を検知する摩耗量検知センサを備え、
前記制御装置は、前記摩耗量検知センサのセンシング結果に応じて、前記水中軸受の交換または交換時期を報知する
請求項1に記載のポンプ設備。
【請求項7】
前記摩耗量検知センサ及び/または前記主軸の測定対象の軸端部を洗浄するための洗浄配管が設けられている
請求項6に記載のポンプ設備。
【請求項8】
前記制御装置は、前記主軸が回転している状態で注水を行うために、ポンプ停止動作開始と同時に前記注水制御弁を開くように制御する
請求項1に記載のポンプ設備。
【請求項9】
前記ポンプケーシングの吐出し側に吐出弁と、
前記ポンプケーシングの吐出側と連通する吐出配管と、
前記ポンプケーシング内に空気を導入するための吸気配管と、
前記吸気配管に設けられた開閉可能な真空破壊弁と、
を備え、
前記制御装置は、前記吐出配管から逆流する水の力により前記主軸を回転させるために、前記原動機の停止後に前記真空破壊弁を開くと同時に前記吐出弁を開くように制御する
請求項1に記載のポンプ設備。
【請求項10】
前記ポンプケーシング内に空気を導入するための吸気配管と、
前記吸気配管に設けられた開閉可能な真空破壊弁と、
を備え、
前記水槽は、大気開放されており、
前記制御装置は、前記原動機の停止後、前記真空破壊弁を開く前に、第1設定時間、前記注水制御弁を開くよう制御する
請求項1に記載のポンプ設備。
【請求項11】
前記ポンプケーシング内に空気を導入するための吸気配管と、
前記吸気配管に設けられた開閉可能な真空破壊弁と、
を備え、
前記制御装置は、前記原動機の停止後、前記注水制御弁を開く前に、第2設定時間、前記真空破壊弁を開くよう制御する
請求項1に記載のポンプ設備。
【請求項12】
前記制御装置は、前記原動機の運転及び停止を制御する
請求項1に記載のポンプ設備。
【請求項13】
水平方向に延びる主軸と、
前記主軸に固定された羽根車と、
前記羽根車が収容されるポンプケーシングと、
前記ポンプケーシング内に設置され前記主軸の先端部が収容される軸受ケーシングと、
前記軸受ケーシング内に設置され前記主軸を回転可能に支持し且つ樹脂を原料に含む水中軸受と、
前記軸受ケーシングを貫通した状態で一端が前記水中軸受に対向するように設けられており且つ前記ポンプケーシング内に空気を導入するための吸気配管と、
前記吸気配管に設けられた開閉可能な真空破壊弁と、
原動機の停止後、前記真空破壊弁を開くように制御する制御装置と、
を備えるポンプ設備。
【請求項14】
軸受ケーシングを貫通した状態で設けられ、主軸と水中軸受の互いのすべり面の間にフラッシング水を外部から供給するための注水配管と、
前記注水配管に連通しており且つ前記注水配管より高い位置に配置されている水槽と、前記注水配管に設けられ且つ管路の開閉を制御する注水制御弁と、を備えるポンプ設備において用いられる制御装置であって、
落水時または主軸を駆動する原動機の停止工程中に、前記注水制御弁を開くように制御する制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ設備及び制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
揚水や排水に用いられるポンプの回転体には軸、羽根車を支持する軸受が設けられている。気中部(外部)に設けられる軸受には、玉軸受やコロ軸受などが用いられ、ポンプケーシング内部(水中部)に設けられる軸受には、滑り軸受が用いられる。この滑り軸受には、ホワイトメタル等を用いグリースを供給する製品が多く用いられているが、グリースの供給機の省力(簡素化による信頼性の向上)のニーズや、グリースの維持管理や排出(や廃棄されるグリースの処理や取扱液への漏れ)などが懸念される場合、油(グリースや潤滑油)を使用せず、取扱液(自己水)で滑り面を潤滑させるセラミックス軸受が用いられることがある。
セラミックス軸受は、脆性材であり非常に堅く、シルト分や塵芥を多く含む河川水や雨水などの水質の悪い取扱液でも摩耗しにくく、交換周期が比較的長いという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-183697号公報
【特許文献2】特開2007-182769号公報
【特許文献3】特開2013-194769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、セラミックスは堅い反面、脆性材として脆く、衝撃や偏荷重に弱いというデメリットがある。
【0005】
その解決策として、脆性材ではない樹脂を原料に含む(例えば主原料とする)樹脂軸受による無油化(自己水潤滑)軸受を採用している場合があるが、液質の悪い取扱液では、脆性材料に比べて摩耗が早く、交換周期が短くなってランニングコストが嵩むという課題がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、横軸ポンプの水中軸受が樹脂を原料に含む場合においてランニングコストを低減することを可能とするポンプ設備及び制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係るポンプ設備は、水平方向に延びる主軸と、前記主軸に固定された羽根車と、前記羽根車が収容されるポンプケーシングと、前記ポンプケーシング内に設置され前記主軸の先端部が収容される軸受ケーシングと、前記軸受ケーシング内に設置され前記主軸を回転可能に支持し且つ樹脂を原料に含む水中軸受と、前記軸受ケーシングを貫通した状態で設けられ、前記主軸と前記水中軸受の互いのすべり面の間にフラッシング水を外部から供給するための注水配管と、前記注水配管が連通しており且つ前記注水配管より高い位置に配置されている水槽と、前記注水配管に設けられ且つ管路の開閉を制御する注水制御弁と、前記主軸を駆動する原動機と、落水時または前記原動機の停止工程中に、前記注水制御弁を開くように制御する制御装置と、を備える。
【0008】
本発明の第2の態様に係るポンプ設備は、第1の態様に係るポンプ設備であって、前記ポンプケーシング内に空気を導入するための吸気配管と、前記吸気配管に設けられた開閉可能な真空破壊弁を備え、前記落水時に注水制御弁を開くように制御するとは、前記原動機が回転停止した場合、前記真空破壊弁を開くと同時または開く前後に、注水制御弁を開くように制御することである。
【0009】
本発明の第3の態様に係るポンプ設備は、第1または2の態様に係るポンプ設備であって、前記主軸の先端部の一部を周方向に被覆する主軸スリーブを更に備え、前記主軸スリーブには、前記フラッシング水によりシルトなどを取り除くための溝が設けられている。
【0010】
本発明の第4の態様に係るポンプ設備は、第1から3のいずれかの態様に係るポンプ設備であって、前記フラッシング水の供給時に水流または水量を検知するための検知器を備え、前記制御装置は、前記検知器の検知量または検知量の経時変化量を用いて、前記主軸もしくは前記水中軸受へのシルトなどの付着量及び/またはシルトなどの除去効果を判定する。
【0011】
本発明の第5の態様に係るポンプ設備は、第1から4のいずれかの態様に係るポンプ設備であって、前記水槽を吸気用の真空ポンプ用の補水槽と兼用した。
【0012】
本発明の第6の態様に係るポンプ設備は、第1から5のいずれかの態様に係るポンプ設備であって、前記水中軸受の摩耗量を検知する摩耗量検知センサを備え、前記制御装置は、前記摩耗量検知センサのセンシング結果に応じて、前記水中軸受の交換または交換時期を報知する。
【0013】
本発明の第7の態様に係るポンプ設備は、第6の態様に係るポンプ設備であって、前記摩耗量検知センサ及び/または前記主軸の測定対象の軸端部を洗浄するための洗浄配管が設けられている。
【0014】
本発明の第8の態様に係るポンプ設備は、第1から7のいずれかの態様に係るポンプ設備であって、前記制御装置は、前記主軸が回転している状態で注水を行うために、ポンプ停止動作開始と同時に前記注水制御弁を開くように制御する。
【0015】
本発明の第9の態様に係るポンプ設備は、第1から7のいずれかの態様に係るポンプ設備であって、前記ポンプケーシングの吐出し側に吐出弁と、前記ポンプケーシングの吐出側と連通する吐出配管と、前記ポンプケーシング内に空気を導入するための吸気配管と、前記吸気配管に設けられた開閉可能な真空破壊弁と、を備え、前記制御装置は、前記吐出配管から逆流する水の力により前記主軸を回転させるために、前記原動機の停止後に前記真空破壊弁を開くと同時に前記吐出弁を開くように制御する。
【0016】
本発明の第10の態様に係るポンプ設備は、第1から7のいずれかの態様に係るポンプ設備であって、前記ポンプケーシング内に空気を導入するための吸気配管と、前記吸気配管に設けられた開閉可能な真空破壊弁と、を備え、前記水槽は、大気開放されており、前記制御装置は、前記原動機の停止後、前記真空破壊弁を開く前に、第1設定時間、前記注水制御弁を開くよう制御する。
【0017】
本発明の第11の態様に係るポンプ設備は、第1から7のいずれかの態様に係るポンプ設備であって、前記ポンプケーシング内に空気を導入するための吸気配管と、前記吸気配管に設けられた開閉可能な真空破壊弁と、を備え、前記制御装置は、前記原動機の停止後、前記注水制御弁を開く前に、第2設定時間、前記真空破壊弁を開くよう制御する。
【0018】
本発明の第12の態様に係るポンプ設備は、第1から11のいずれかの態様に係るポンプ設備であって、前記制御装置は、前記原動機の運転及び停止を制御する。
【0019】
本発明の第13の態様に係るポンプ設備は、水平方向に延びる主軸と、前記主軸に固定された羽根車と、前記羽根車が収容されるポンプケーシングと、前記ポンプケーシング内に設置され前記主軸の先端部が収容される軸受ケーシングと、前記軸受ケーシング内に設置され前記主軸を回転可能に支持し且つ樹脂を原料に含む水中軸受と、前記軸受ケーシングを貫通した状態で一端が前記水中軸受に対向するように設けられており且つ前記ポンプケーシング内に空気を導入するための吸気配管と、前記吸気配管に設けられた開閉可能な真空破壊弁と、原動機の停止後、前記真空破壊弁を開くように制御する制御装置と、を備える。
【0020】
本発明の第14の態様に係る制御装置は、軸受ケーシングを貫通した状態で設けられ、主軸と水中軸受の互いのすべり面の間にフラッシング水を外部から供給するための注水配管と、前記注水配管に連通しており且つ前記注水配管より高い位置に配置されている水槽と、前記注水配管に設けられ且つ管路の開閉を制御する注水制御弁と、を備えるポンプ設備において用いられる制御装置であって、落水時または主軸を駆動する原動機の停止工程中に、前記注水制御弁を開くように制御する。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一態様によれば、横軸ポンプの水中軸受が樹脂を含む場合において、落水時または原動機の停止工程中に、主軸と前記水中軸受の互いのすべり面の間にフラッシング水が供給されるので、落水時または原動機の停止工程中において河川水により汚れた水中軸受内部をフラッシングし、内部にある異物を水中軸受外に除去することが出来る。これにより、水中軸受の摩耗を軽減することができるので、水中軸受の交換周期を伸ばすことができ、ランニングコストを低減することができる。
本発明の別の一態様によれば、真空破壊弁を開くと、水中軸受の近傍に空気が供給されることで、気液混合状態で水が撹拌されることによる洗浄作用と空気によるフラッシングが行われ、水中軸受内部にある異物を水中軸受外に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態に係るポンプ設備の概略構成図である。
図2】本実施形態に係るポンプの一部断面図である。
図3】制御方法の第1の例を示すフロー図である。
図4】主軸スリーブの溝の一例を示す模式図である。
図5】摩耗量検知センサの配置関係の一例を示す図である。
図6】制御方法の第2の例を示すフロー図である。
図7】制御方法の第3の例を示すフロー図である。
図8】制御方法の第4の例を示すフロー図である。
図9】制御方法の第5の例を示すフロー図である。
図10】変形例に係るポンプの一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、各実施形態について、図面を参照しながら説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0024】
本願の発明者は、上記の課題に加えて以下の問題点を発見した。すなわち水中軸受へ水を供給するために別途機器(例えば加圧ポンプ)を設ける場合には、初期費用及び維持管理がかかるという問題がある。そこで、本願の発明者は、主軸と水中軸受の互いのすべり面の間にフラッシング水を外部から供給する(具体的には例えば注水する)ための注水配管を設け、注水配管が注水配管を介して水槽(例えば高架水槽)に連通することによって、この水槽から注水配管及び注水配管を介してフラッシング水(具体的には例えば水)を供給することを着想した。これにより、主軸と水中軸受の互いのすべり面の間にフラッシング水(例えば水)が直接あたるので、洗浄効果を向上させることができる。
【0025】
しかし、満水の状態で注水しても、注水を止めたら再び河川水に接触し汚れが付着してしまうという問題がある。これに対して、本願の発明者は、落水時または原動機の停止工程中に、注水配管に設けられた制御弁を開くように制御することに着想した。これにより、落水時または原動機の停止工程中において河川水により汚れた水中軸受内部をフラッシングし、内部にある異物を水中軸受外に除去することが出来き、落水完了までフラッシングすることで再び河川水に接触しないようにでき、汚れが付着することを抑えることができる。
【0026】
図1は、本実施形態に係るポンプ設備の概略構成図である図1に示すように、ポンプ設備10は、制御装置1、原動機2、原動機2の回転を減速する減速機3、吸水井7から水を吸い出して吐き出すポンプ4と、を備える。ここで制御装置1は、原動機2の運転及び停止を制御することで、ポンプ4の運転及び停止を制御する。制御装置1は例えばタイマー11を有する。原動機2は、例えば減速機3を介して、ポンプ4の主軸41を駆動する。ポンプ4は横軸ポンプであり、本実施形態では一例として吸上げ運転を行う横軸の軸斜流ポンプである。ポンプ4には吐出弁V1が設けられている。
【0027】
更にポンプ設備10は、ポンプ4に設けられた、一端がポンプ4のポンプケーシング43に接続された吸気配管P1、吸気配管P1に設けられた満水検知器S1、ポンプケーシング内に空気を導入するための吸気配管P1から分岐した吸気配管P10、この吸気配管P10に設けられた開閉可能な真空破壊弁V2を備える。
更にポンプ設備10は、吸気配管P1に設けられた吸気弁V3、吸気配管P1が分岐した分岐配管P11、P12、分岐配管P11に設けられた真空ポンプVP1、分岐配管P12に設けられた真空ポンプVP2を備える。真空ポンプVP1、VP2の吐出配管は吸水井7に連通する。
【0028】
更にポンプ設備10は、吸気配管P1に連通する2号機からの吸気配管P2、吸気配管P1に連通する3号機からの吸気配管P3を備える。
更にポンプ設備10は、補水槽6、補水槽6の水位を計測する水位計61、補水槽6に連通する給水管P6、一端が補水槽6に連通し他端が吸込井に連通する吐出管P61、一端が補水槽6に連通する吐出管P62、吐出管P62から分岐して真空ポンプVP1に連通する分岐配管P63、吐出管P62から分岐して真空ポンプVP2に連通する分岐配管P64を備える。
【0029】
更にポンプ設備10は、水槽の一例である高架水槽5、高架水槽5の水位を計測する水位計53、高架水槽5に連通する給水管P5、一端が高架水槽5に連通し他端が吸水井に連通する吐出管P51、一端が高架水槽5に連通する注水配管P4、注水配管P4、注水配管P4から二つに分岐された注水配管P41、注水配管P42を備える。
【0030】
更にポンプ設備10は、注水配管P42に設けられた水検知器S2、注水配管P42に設けられた注水制御弁V6(以降、単に制御弁ともいう)を備える。ここで注水制御弁V6は例えば、電動弁または電磁弁である。
【0031】
なお、水検知器S2は、フロースイッチであってもよいし、流量計であってもよい。
【0032】
図2は、本実施形態に係るポンプの一部断面図である。図2に示すように、ポンプ4は、水平方向に延びる主軸41と、主軸41に固定された羽根車42と、羽根車42が収容されるポンプケーシング43と、ポンプケーシング43内に設置され主軸41の先端部が収容される軸受ケーシング44と、を備える。
【0033】
更にポンプ4は、軸受ケーシング44内に設置され主軸41を回転可能に支持し且つ樹脂を原料に含む水中軸受45、注水配管46、注水配管47、排出管48、排出管48に設けられた開閉可能な排出弁49を備える。ここで水中軸受は一例として樹脂を主原料に含む。
注水配管46は、軸受ケーシング44を貫通した状態で設けられ、主軸41と水中軸受の互いのすべり面の間にフラッシング水を外部から供給するためのものである。注水配管46は、注水配管P42と連通する。
【0034】
高架水槽5は、注水配管46、47が連通しており且つ注水配管46、47より高い位置に配置されている。これにより、高架水槽5のフラッシング水(例えば水)を、注水配管P4及び注水配管P42及び注水配管46または47を介して、主軸41と水中軸受45の互いのすべり面の間に供給することができる。
【0035】
制御装置1は落水時または原動機2の停止工程中に、注水制御弁V6を開くように制御する。続いて、制御方法の具体例についてそれぞれ説明する。
【0036】
<制御方法の第1の例>
まず図3を用いて、制御方法の第1の例について説明する。図3は、制御方法の第1の例を示すフロー図である。
【0037】
(ステップS110)制御装置1は、ポンプ停止信号を原動機2に出力する。
【0038】
(ステップS120)原動機2は、ポンプ停止信号を受けて回転停止を開始することで、ポンプ停止動作が行われる。
【0039】
(ステップS130)その後、原動機2が停止する。
【0040】
(ステップS140)次に制御装置1は、真空破壊弁V2を開くように制御するとともに、真空破壊弁V2が開くと同時または開く前後に、注水制御弁V6を開くように制御する。
【0041】
(ステップS150)次に制御装置1は、タイマー11によって時間をカウントする。ここでポンプ4が満水状態から落水完了までの時間が予め計測されていることによって、落水完了までに要する時間(落水完了所要時間という)を知っているものとする。
【0042】
(ステップS160)タイマーによるカウント開始から落水完了所要時間が経過した場合、ポンプ4の落水が完了する。
【0043】
(ステップS170)制御装置1は、タイマーによるカウント開始から落水完了所要時間が経過した場合、ポンプ4の落水が完了したとみなせるので、真空破壊弁V2を閉じるように制御するとともに、注水制御弁V6を閉じるように制御する。
【0044】
<制御方法の第1の例の効果1>
このように制御方法の第1の例では、制御装置1は、ポンプ停止の信号を受けて、真空破壊弁が開くと同時または開く前後に、落水時に注水制御弁V6を開くよう制御する。
これにより、水中軸受45内に混入したシルトなどを除去するためのフラッシング水の供給を制御できるようにしたことにより、シルトなどによる水中軸受の摩耗を抑制することが可能となり、信頼性及び維持管理性を向上させることができる。
【0045】
<制御方法の第1の例の効果2>
また吸い上げ運転を行う横軸ポンプは、停止時に真空破壊弁V2を開き、ポンプ内水を落水させて停止させる。落水時、ポンプケーシング43内は急激な負圧となるため、注水制御弁V6を開くことで、高架水槽5の高さ以上の圧力差が生じ、高架水槽5の水が(十分に)水中軸受45に供給されることとなる。
ここで通常状態では、高架水槽5の高さ分しか給水圧として加わらないが、停止時の負圧を利用すれば、十分な圧力差を確保できる。給水のために揚程の高い加圧ポンプを新たに設置する必要がなく、自然現象を利用し簡易な構成でポンプ設備を構築でき、経済性を向上させることができる。
【0046】
<制御方法の第1の例の効果3>
また河川水を扱うポンプでは、河川のシルト分などが流入してくる。また、ポンプ4の運転も降雨時であり、一度運転した後、数週間運転しないこともある。水中軸受45に付着したシルトなどは、ポンプの停止により気中状態になると、固まってしまい洗浄しにくく(除去しにくく)なる。これに対して上記制御方法の第1の例では、ポンプ運転直後に除去することができるので、除去効率を向上させることができる。
【0047】
<制御方法の第1の例の効果4>
また取扱液に海水を含む場合、運転停止後に注水し洗浄することにより主軸41のスリーブ摺動面の腐食を防ぐことができる。
【0048】
<好ましい実施態様>
注水配管46は、水中軸受45の主軸41長軸方向において略中央に配置し、注水が水中軸受45に全体に行き届くようにすることが好ましい。
また水中軸受45は、例えば特許文献3(特開2013-194769号公報)に開示されているような、フッ素樹脂、芳香族ポリエーテルケトン、炭素繊維および不可避不純物の複合材料から構成されてもよい。
【0049】
<その他の実施態様1>
注水配管は、図2の注水配管46のように、水中軸受45の軸方向において略中央部に設けられてもよいし、図2の注水配管47のように水中軸受45の端部に設けられていてもよいし、水中軸受45の軸方向において略中央部と水中軸受45の端部の両方に設けられてもよい。
【0050】
<その他の実施態様2>
図2の注水配管47のように、注水配管47のポンプ内部への配管ルートは、使用していないグリース供給ラインを介して水中軸受45まで到達するようにしてもよい。
【0051】
<その他の実施態様3>
図2の注水配管46のように、注水配管46のポンプ内部への配管ルートは、真空に引くための吸気配管の接続口411を通り水中軸受45まで到達するようにしてもよい。
【0052】
<その他の実施態様4>
図2に示すように、洗浄後の排水を排出する排出管48が設けられている。このように、水中軸受45の洗浄を行い排除したシルトなどの異物は軸受ケーシング44に設けられた穴から排出され、ポンプケーシング43内にたまらないように排出管48を設置してもよい。
【0053】
<フラッシング水の排水用溝加工>
図4は、主軸スリーブの溝の一例を示す模式図である。図4に示すように、主軸41には、主軸41の先端部の一部を周方向に被覆する主軸スリーブ421が設けられている。図4に示すように、主軸スリーブ421には周方向の溝422、423が設けられており、軸方向の溝424、425、426、427が設けられている。
このように、主軸スリーブ421には、フラッシング水によりシルトなどを取り除くための溝が設けられている。これにより、水中軸受45内に混入したシルトなどを洗浄した後、確実に水中軸受45外に排出することが、除去(洗浄)効率を上げ、軸受の信頼性(寿命)を向上させることが出来る。
【0054】
<その他の実施態様>
樹脂を原料として含む水中軸受45に溝を設けてもよく、水中軸受45と対向する主軸スリーブ421側に設けるようにしてもかまわない。また、溝は、一本以上であるが、複数あることが好ましい。
【0055】
水中軸受45に溝を設ける場合、軸方向に沿った一本以上の溝を有してもよいし、軸方向と直角方向(円周方向)に一本以上の溝を有してもよいし、両方有してもよい。また、溝は有さなくても良い。
【0056】
主軸スリーブ421側の溝は軸方向と平行に1本以上の溝を有してもよいし、軸方向と直角方向(円周方向)に1本以上の溝を有してもよいし、両方有してもよい。また、溝は有さなくても良い。
【0057】
<注水量の確認によるシルト状態の確認>
水検知器S2は、フラッシング水の供給時に水流または水量を検知するための検知器の一例である。
制御装置1は、検知器(ここでは一例として水検知器S2)の検知量または検知量の経時変化量を用いて、前記主軸もしくは水中軸受45へのシルトなどの付着量及び/またはシルトなどの除去効果を判定する。
【0058】
<効果1>
ここではシルト状態を注水の流れやすさを視点として判断する。内部が見えない水中軸受45に対して、状況を的確に判断できるようになり、維持管理の指標として役立てることができる。
また、シルトなどの量が少ない場合(なお、同じポンプでも河川の状態や降雨・水位状態により含まれるシルトなどの量が異なる)に、水流が規定量流れたことを、シルトなどが除去できたこととみなすことで、シルトなどの除去を確認したこととし注水を停止することで注水量の適正化(水道費の縮減)をはかることができる。
【0059】
<効果2>
またポンプ4の新設時のデータとの比較により、水中軸受の摩耗量の進展の計測も可能であり、信頼性、維持管理性を向上させることができる。
【0060】
<その他の実施態様>
フラッシング水の供給時に水流または水量を検知するための検知器は、注水管に設ける水検知器S2(例えば、流量計またはフロースイッチ)でもよいし、注水配管に設けられる圧力計または高架水槽5に設けられる水位計53であってもよい。圧力計の場合には圧力から水流または水量を換算してもよいし、水位計53では水位変化量から水流または水量を換算してもかまわない。
【0061】
<真空ポンプ用の補水槽6による注水>
なお、注水用の水槽として高架水槽5を例示したが、これに限らず、注水用の水槽を吸気用の真空ポンプ用の補水槽6と兼用してもよい。これにより、注水用の水槽を真空ポンプ用の補水槽と兼用とすることで、よりシンプルな設備となり、経済性、維持管理性が向上する。
【0062】
<その他の実施態様>
この場合、水中軸受45の給水圧を上げるために補水槽6を適度な高さに設置することが好ましい。ポンプ場(建築駆体)が低い場合などは、加圧ポンプを設置してもかまわない。
上述したように、加圧ポンプを設けないことが好ましいが、建築駆体の制約などで、給水圧を確保できない場合は、小型の加圧ポンプを設置しても良い。なお、停止時(ポンプ内負圧時)の洗浄であるため、通常時の洗浄時を考慮した加圧ポンプよりも揚程(圧力)の低いポンプが選定可能であるので経済性としての効果を有する。
【0063】
<摩耗量検知センサとの併用>
図5は、摩耗量検知センサの配置関係の一例を示す図である。図5に示すように、ポンプ設備は、例えば水中軸受の近傍に、水中軸受の摩耗量を検知する摩耗量検知センサ50を備えてもよい。この場合、制御装置1は、摩耗量検知センサ50のセンシング結果に応じて、水中軸受45の交換または交換時期を報知してもよい。例えば、摩耗量検知センサ50がギャップセンサである場合、水中軸受45が削れて水中軸受45の内周面と主軸41の外周面との距離(ギャップ)が閾値を超えた場合、水中軸受45の交換を報知してもよいし、交換時期として例えば設定期間(例えば、1か月)後の交換を報知してもよい。このように摩耗量検知センサ50を組み合わせて使用することで、信頼性を向上させることができる。
【0064】
ここで摩耗量検知センサ50としてギャップセンサを用いる場合など、シルト分などが付着していると計測値が真値を示さない場合がある。これに対して、摩耗量検知センサ50及び/または主軸41の測定対象の軸端部を洗浄するための洗浄配管が設けられていてもよい。
【0065】
具体的には例えば図5に示すように、摩耗量検知センサ50を洗浄するセンサ洗浄用配管51が設けられていてもよく、センサ洗浄用配管51が注水配管P41に連通していてもよい。
また図5において主軸41の軸端部の洗浄対象範囲431が示されている。図5に示すように、軸端部の洗浄対象範囲431を洗浄できるように、1本以上の軸端部洗浄用配管52が設けられていてもよく、軸端部洗浄用配管52が注水配管P41に連通していてもよい。
【0066】
上記のように、センサ洗浄用配管51及び/または軸端部洗浄用配管52などのシルト分などを除去する手段を設けることで、摩耗量検知センサ50による確実な計測・検知が可能となる。
【0067】
また、センサ洗浄用配管51及び軸端部洗浄用配管52の端を、先細にしてもよい。これにより、洗浄水の流速を上げ、洗浄効果をよくすることもできる。
【0068】
<制御方法の第2の例:主軸が回転している際に注水する>
【0069】
図6は、制御方法の第2の例を示すフロー図である。
(ステップS210)制御装置1は、ポンプ停止信号を原動機2に出力する。
【0070】
(ステップS220)原動機2は、ポンプ停止信号を受けて回転停止を開始することで、ポンプ停止動作が行われる。このポンプ停止動作開始とともに、制御装置1は、注水制御弁V6を開くように制御する。
【0071】
(ステップS230)その後、原動機2が停止する。
【0072】
(ステップS240)次に制御装置1は、真空破壊弁V2を開くように制御する。
【0073】
(ステップS250)次に制御装置1は、タイマー11によって時間をカウントする。ここでポンプ4が満水状態から落水完了までの時間が予め計測されていることによって、落水完了までに要する時間(落水完了所要時間という)を知っているものとする。
【0074】
(ステップS260)タイマーによるカウント開始から落水完了所要時間が経過した場合、ポンプ4の落水が完了する。
【0075】
(ステップS270)制御装置1は、タイマーによるカウント開始から落水完了所要時間が経過した場合、ポンプ4の落水が完了したとみなせるので、真空破壊弁V2を閉じるように制御するとともに、注水制御弁V6を閉じるように制御する。
【0076】
このように制御装置1は、主軸41が回転している状態で注水を行うために、ポンプ停止動作開始と同時に注水制御弁V6を開くように制御する。
【0077】
樹脂を原料として含む水中軸受45と主軸スリーブ421が接している面は、主軸41が停止している状態では注水した水がかからない箇所がある。そのため、主軸41を回転させることで全面に水がかかり洗浄することができる。さらに、回転している状態で注水することにより、シルト分などが付着した主軸41の表面と水中軸受45内面が摺動することで高い洗浄効果が期待できる。
【0078】
斜流ポンプの場合、ポンプ停止信号後、吐出弁の閉動作中(数分間)は回転体が回転している状態で注水することができる。
【0079】
軸流ポンプの場合、ポンプ停止信号後すぐに原動機が停止となるが、主軸41は慣性力で回り続けるためその間(数秒間)は主軸41が回転している状態で注水することが出来る。
【0080】
<制御方法の第3の例>
なお、制御装置1は、吐出配管(図示せず)から逆流する水の力により主軸41を回転させるために、原動機2の停止後に真空破壊弁V2を開くと同時に吐出弁V1を開くように制御してもよい。ここで吐出配管は、ポンプケーシング43の吐出側と連通する配管である。
【0081】
この制御方法の一例について図7を用いて説明する。図7は、制御方法の第3の例を示すフロー図である。
(ステップS310)制御装置1は、ポンプ停止信号を原動機2に出力する。
【0082】
(ステップS320)その後、原動機2が停止する。
【0083】
(ステップS330)次に制御装置1は、真空破壊弁V2を開くように制御するとともに、吐出弁V1を開くように制御し、注水制御弁V6を開くように制御する。
【0084】
(ステップS340)次に制御装置1は、タイマー11によって時間をカウントする。ここでポンプ4が満水状態から落水完了までの時間が予め計測されていることによって、落水完了までに要する時間(落水完了所要時間という)を知っているものとする。
【0085】
(ステップS350)タイマーによるカウント開始から落水完了所要時間が経過した場合、ポンプ4の落水が完了する。
【0086】
(ステップS360)制御装置1は、タイマーによるカウント開始から落水完了所要時間が経過した場合、ポンプ4の落水が完了したとみなせるので、真空破壊弁V2を閉じるように制御するとともに、注水制御弁V6を閉じるように制御し、吐出弁V1を閉じるように制御する。
【0087】
<制御方法の第4の例:ポンプ停止後、満水状態で注水制御弁をあける>
なお、制御装置1は、原動機2の停止後、真空破壊弁V2を開く前に、第1設定時間、注水制御弁V6を開くよう制御してもよい。高架水槽5は、大気開放されている。
これにより、満水保持している状態がポンプ内の負圧は一番高くなるため、高架水槽5の高さ以上の圧力差が生じ、高架水槽5の水が水中軸受45に供給されることとなる。
【0088】
この制御方法の一例について図8を用いて説明する。図8は、制御方法の第4の例を示すフロー図である。
(ステップS410)制御装置1は、ポンプ停止信号を原動機2に出力する。
【0089】
(ステップS420)原動機2は、ポンプ停止信号を受けて回転停止を開始することで、ポンプ停止動作が行われる。
【0090】
(ステップS430)その後、原動機2が停止する。
【0091】
(ステップS440)次に制御装置1は、注水制御弁V6を開くように制御する。
【0092】
(ステップS450)次に制御装置1は、タイマー11によって時間をカウントする。
【0093】
(ステップS460)次に制御装置1は、タイマーによるカウント開始から第1設定時間が経過した場合、真空破壊弁V2を開くように制御する。
【0094】
(ステップS470)次に制御装置1は、継続してタイマー11によって時間をカウントする。ここでポンプ4が満水状態から落水完了までの時間が予め計測されていることによって、落水完了までに要する時間(落水完了所要時間という)を知っているものとする。
【0095】
(ステップS480)真空破壊弁V2を開いてから落水完了所要時間が経過した場合、ポンプ4の落水が完了する。
【0096】
(ステップS490)制御装置1は、タイマー11により真空破壊弁V2を開いてから落水完了所要時間が経過したと判断した場合、ポンプ4の落水が完了したとみなせるので、真空破壊弁V2を閉じるように制御するとともに、注水制御弁V6を閉じるように制御する。
【0097】
<制御方法の第5の例:注水制御弁を開く前に真空破壊弁を開く>
なお、制御装置1は、原動機2の停止後、前記注水制御弁V6を開く前に、第2設定時間、真空破壊弁V2を開くよう制御してもよい。
ここで真空破壊弁V2を開くと、落水させるためにポンプ4内へ供給される空気は水中軸受45を通る。これにより、気液混合状態で水が撹拌されることによる洗浄作用と、空気によるフラッシングを行い水中軸受45内部にある異物を水中軸受45の外で除去することができる。
【0098】
この制御方法の一例について図9を用いて説明する。図9は、制御方法の第5の例を示すフロー図である。
(ステップS510)制御装置1は、ポンプ停止信号を原動機2に出力する。
【0099】
(ステップS520)原動機2は、ポンプ停止信号を受けて回転停止を開始することで、ポンプ停止動作が行われる。
【0100】
(ステップS530)その後、原動機2が停止する。
【0101】
(ステップS540)次に制御装置1は、真空破壊弁V2を開くように制御する。
【0102】
(ステップS550)次に制御装置1は、タイマー11によって時間をカウントする。
【0103】
(ステップS560)次に制御装置1は、タイマーによるカウント開始から第2設定時間が経過した場合、注水制御弁V6を開くように制御する。
【0104】
(ステップS570)次に制御装置1は、継続してタイマー11によって時間をカウントする。ここでポンプ4が満水状態から落水完了までの時間が予め計測されていることによって、落水完了までに要する時間(落水完了所要時間という)を知っているものとする。
【0105】
(ステップS580)真空破壊弁V2を開いてから落水完了所要時間が経過した場合、ポンプ4の落水が完了する。
【0106】
(ステップS590)制御装置1は、タイマー11により真空破壊弁V2を開いてから落水完了所要時間が経過したと判断した場合、ポンプ4の落水が完了したとみなせるので、真空破壊弁V2を閉じるように制御するとともに、注水制御弁V6を閉じるように制御する。
【0107】
以上、本実施形態に係るポンプ設備は、水平方向に延びる主軸と、前記主軸に固定された羽根車と、前記羽根車が収容されるポンプケーシングと、前記ポンプケーシング内に設置され前記主軸の先端部が収容される軸受ケーシングと、前記軸受ケーシング内に設置され前記主軸を回転可能に支持し且つ樹脂を原料に含む水中軸受と、前記軸受ケーシングを貫通した状態で設けられ、前記主軸と前記水中軸受の互いのすべり面の間にフラッシング水を外部から供給するための注水配管と、前記注水配管が連通しており且つ前記注水配管より高い位置に配置されている水槽と、前記注水配管に設けられ且つ管路の開閉を制御する注水制御弁と、前記主軸を駆動する原動機と、落水時または前記原動機の停止工程中に、前記注水制御弁を開くように制御する制御装置と、を備える。
【0108】
この構成によれば、ポンプ4の水中軸受が樹脂を含む場合において、落水時または原動機の停止工程中に、主軸と前記水中軸受の互いのすべり面の間に液体フラッシング水が供給されるので、落水時または原動機の停止工程中において河川水により汚れた水中軸受内部をフラッシングし、内部にある異物を水中軸受外に除去することが出来る。これにより、水中軸受の摩耗を軽減することができるので、水中軸受の交換周期を伸ばすことができ、ランニングコストを低減することができる。
【0109】
なお、本実施形態では、注水制御弁V6が注水配管P4に設けられたとして説明したが、これに限らず、注水制御弁V6が注水配管46、47に設けられていてもよい。
【0110】
<変形例>
また変形例として、水中軸受45に、吸気配管を1本以上の配管(下側も含む)を接続してもよい。この場合、吸気配管を接続し真空破壊弁V2を開けて空気をポンプ4の軸受ケーシング44の内部へ入れてもよい。これにより、水中軸受45の近傍に空気が供給されることで、気液混合状態で水が撹拌されることによる洗浄作用と空気によるフラッシングが行われ、水中軸受45内部にある異物を水中軸受45外に除去することができる。
【0111】
この変形例の具体例について図10を用いて説明する。図10に示すように、変形例に係るポンプの一部断面図である。図10に示すように、吸気配管61、62、63が、前記軸受ケーシングを貫通した状態で一端が水中軸受45に対向するように設けられており、この吸気配管61、62、63が吸気配管P1に連通している。これにより、真空破壊弁V2を開くと、空気が吸気配管P1、吸気配管61、62、63を通って、水中軸受45の近傍に供給される。
【0112】
以上、変形例に係るポンプ設備は、水平方向に延びる主軸と、前記主軸に固定された羽根車と、前記羽根車が収容されるポンプケーシングと、前記ポンプケーシング内に設置され前記主軸の先端部が収容される軸受ケーシングと、前記軸受ケーシング内に設置され前記主軸を回転可能に支持し且つ樹脂を原料に含む水中軸受と、前記軸受ケーシングを貫通した状態で一端が前記水中軸受に対向するように設けられており且つ前記ポンプケーシング内に空気を導入するための吸気配管と、前記吸気配管に設けられた開閉可能な真空破壊弁と、原動機の停止後、前記真空破壊弁を開くように制御する制御装置と、を備える。
【0113】
この構成によれば、真空破壊弁を開くと、水中軸受の近傍に空気が供給されることで、気液混合状態で水が撹拌されることによる洗浄作用と空気によるフラッシングが行われ、水中軸受45内部にある異物を水中軸受45外に除去することができる。
【0114】
以上、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0115】
1 制御装置
10 ポンプ設備
11 タイマー
2 原動機
3 減速機
4 ポンプ
41 主軸
411 接続口
42 羽根車
421 主軸スリーブ
422、423、424、425、426、427 溝
43 ポンプケーシング
431 洗浄対象範囲
44 軸受ケーシング
45 水中軸受
46、47 注水配管
48 排出管
49 排出弁
5 高架水槽
50 摩耗量検知センサ
51 センサ洗浄用配管
52 軸端部洗浄用配管
53 水位計
6 補水槽
61 水位計
7 吸水井
V2 真空破壊弁
V6 注水制御弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10