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  • 特開-ブロック共重合体及び有機膜 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130208
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ブロック共重合体及び有機膜
(51)【国際特許分類】
   C08G 81/00 20060101AFI20240920BHJP
   C08G 81/02 20060101ALI20240920BHJP
   C08G 61/12 20060101ALI20240920BHJP
   C08F 20/18 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
C08G81/00
C08G81/02
C08G61/12
C08F20/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039815
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】中林 千浩
(72)【発明者】
【氏名】東原 知哉
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 伸
【テーマコード(参考)】
4J031
4J032
4J100
【Fターム(参考)】
4J031AA20
4J031AA48
4J031AB01
4J031AC09
4J031AD01
4J031AE03
4J031AE05
4J031AF26
4J032BA03
4J032BA04
4J032BB01
4J032BC02
4J032BD05
4J100AL08P
4J100BB18P
4J100FA03
4J100FA06
4J100FA19
4J100GC13
4J100GC25
4J100JA46
(57)【要約】
【課題】有機半導体材料自体で有機半導体膜の屈折率を調整することができ、有機半導体材料にフッ素系重合体等の屈折率調整のための材料を混合する必要のないブロック共重合体と、このブロック共重合体を用いた有機膜を提供する。
【解決手段】π共役系ポリマー骨格を有する有機半導体ブロックと、有機半導体ブロックの屈折率を調整する屈折率調整ブロックとを、連結基を介して結合してなることを特徴とするブロック共重合体。このブロック共重合体を用いた有機膜。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
π共役系ポリマー骨格を有する有機半導体ブロックと、該有機半導体ブロックの屈折率を調整する屈折率調整ブロックとを、連結基を介して結合してなることを特徴とするブロック共重合体。
【請求項2】
前記有機半導体ブロックが、下記式(I)で表されることを特徴とする請求項1に記載のブロック共重合体。
【化1】
(式(I)中、Aは、置換基を有していてもよいチオフェン環を有する単量体単位を表す。
は、直接結合、直鎖又は分岐のアルキレン基、或いは置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。該アルキレン基中のメチレン基(-CH-)が酸素原子(-O-)に置換されていてもよい。
は、水素原子、直鎖又は分岐のアルキル基、直鎖又は分岐のアルコキシ基、或いは置換基を有していてもよいアリール基を表す。
nは2以上の自然数である。
波線は、前記連結基との結合手を意味する。)
【請求項3】
前記Aが、置換基としてアルキル基を有するチオフェン単位であることを特徴とする請求項2に記載のブロック共重合体。
【請求項4】
前記屈折率調整ブロックが、下記式(II)で表されることを特徴とする請求項1に記載のブロック共重合体。
【化2】
(式(II)中、Rは、水素原子、或いは直鎖又は分岐のアルキル基を表す。
は、直鎖又は分岐のアルキル基を表す。該アルキル基中の水素原子はフッ素原子に置換されていてもよい。
は、水素原子、或いは直鎖又は分岐のアルキル基を表す。該アルキル基中のメチレン基(-CH-)が酸素原子(-O-)、硫黄原子(-S-)、カルボニル基(-C(=O)-)、或いはチオカルボニル基(-C(=S)-)に置換されていてもよい。
は、直接結合、或いは直鎖又は分岐のアルキレン基を表す。該アルキレン基中のメチレン基(-CH-)が酸素原子(-O-)、硫黄原子(-S-)、カルボニル基(-C(=O)-)、或いはチオカルボニル基(-C(=S)-)に置換さいれていてもよい。
mは2以上の自然数である。
波線は、前記連結基との結合手を意味する。)
【請求項5】
前記連結基が、トリアゾール環の2価基であることを特徴とする請求項1に記載のブロック共重合体。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のブロック共重合体を用いた有機膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、π共役系ポリマー骨格を有する有機半導体ブロックと、有機半導体ブロックの屈折率を調整する屈折率調整ブロックとが連結基を介して結合してなるブロック共重合体に関する。本発明はまた、このブロック共重合体を用いた有機膜に関する。
【背景技術】
【0002】
有機薄膜太陽電池、光センサ等の有機電子デバイスにおいては、デバイス内部の光伝搬を制御する必要がある。デバイス内部の光伝搬を制御する手法として、有機膜自体の屈折率を調整する手法が挙げられるが、現在の光伝搬制御の主流は、有機膜に金属や絶縁性誘導体、導電性金属酸化物等の無機材料層を外部に導入する手法である。しかし、無機材料等を成膜して光伝搬を制御する場合、プロセスコストが高い、成膜の際に有機層にダメージを与えやすい等の課題があった。
【0003】
特許文献1には、無機材料等の成膜を行わず、有機半導体材料にエレクトレット材料、具体的にはフッ素系重合体を混合することで、有機半導体膜の屈折率を制御できることが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2016/204275号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、有機半導体材料と、有機半導体材料と極性の大きく異なるフッ素系重合体との相溶性等の問題から、均質な有機半導体膜の形成が困難となる恐れがある。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、有機半導体材料自体で有機半導体膜の屈折率を調整することができ、有機半導体材料にフッ素系重合体等の屈折率調整のための材料を混合する必要のない有機半導体ブロック共重合体と、このブロック共重合体を用いた有機半導体膜を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、π共役系ポリマー骨格を有する有機半導体ブロックと、有機半導体ブロックの屈折率を調整する屈折率調整ブロックとを連結基を介して結合したブロック共重合体により、前記課題を解決できることを見出した。
【0008】
本発明は、このような知見に基づいて達成されたものであり、以下を要旨とする。
【0009】
[1] π共役系ポリマー骨格を有する有機半導体ブロックと、該有機半導体ブロックの屈折率を調整する屈折率調整ブロックとを、連結基を介して結合してなることを特徴とするブロック共重合体。
【0010】
[2] 前記有機半導体ブロックが、下記式(I)で表されることを特徴とする[1]に記載のブロック共重合体。
【0011】
【化1】
【0012】
(式(I)中、Aは、置換基を有していてもよいチオフェン環を有する単量体単位を表す。
は、直接結合、直鎖又は分岐のアルキレン基、或いは置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。該アルキレン基中のメチレン基(-CH-)が酸素原子(-O-)に置換されていてもよい。
は、水素原子、直鎖又は分岐のアルキル基、直鎖又は分岐のアルコキシ基、或いは置換基を有していてもよいアリール基を表す。
nは2以上の自然数である。
波線は、前記連結基との結合手を意味する。)
【0013】
[3] 前記Aが、置換基としてアルキル基を有するチオフェン単位であることを特徴とする[2]に記載のブロック共重合体。
【0014】
[4] 前記屈折率調整ブロックが、下記式(II)で表されることを特徴とする[1]~[3]のいずれかに記載のブロック共重合体。
【0015】
【化2】
【0016】
(式(II)中、Rは、水素原子、或いは直鎖又は分岐のアルキル基を表す。
は、直鎖又は分岐のアルキル基を表す。該アルキル基中の水素原子はフッ素原子に置換されていてもよい。
は、水素原子、或いは直鎖又は分岐のアルキル基を表す。該アルキル基中のメチレン基(-CH-)が酸素原子(-O-)、硫黄原子(-S-)、カルボニル基(-C(=O)-)、或いはチオカルボニル基(-C(=S)-)に置換されていてもよい。
は、直接結合、或いは直鎖又は分岐のアルキレン基を表す。該アルキレン基中のメチレン基(-CH-)が酸素原子(-O-)、硫黄原子(-S-)、カルボニル基(-C(=O)-)、或いはチオカルボニル基(-C(=S)-)に置換さいれていてもよい。
mは2以上の自然数である。
波線は、前記連結基との結合手を意味する。)
【0017】
[5] 前記連結基が、トリアゾール環の2価基であることを特徴とする[1]~[4]のいずれかに記載のブロック共重合体。
【0018】
[6] [1]~[5]のいずれかに記載のブロック共重合体を用いた有機膜。
【発明の効果】
【0019】
本発明のブロック共重合体は、それ自体で屈折率を調整することができるため、本発明のブロック共重合体によれば、フッ素系重合体等の屈折率調整のための材料を混合することなく、屈折率を調整した有機半導体膜を提供することができる。
このため、有機半導体ブロック共重合体と屈折率調整のための材料との相溶性等を考慮することなく、均質で膜質の良好な有機半導体膜を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施例2の有機半導体ブロック共重合体と比較例1の有機半導体重合体の屈折率の波長依存性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明を実施するための形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の代表例であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
【0022】
なお、本発明において、アリーレン基とは、芳香族炭化水素環連結基であるアリーレン基と、芳香族複素環連結基であるヘテロアリーレン基との双方を意味する広義のアリーレン基である。アリール基についても同様である。
【0023】
<ブロック共重合体>
本発明のブロック共重合体は、π共役系ポリマー骨格を有する有機半導体ブロックと、有機半導体ブロックの屈折率を調整する屈折率調整ブロックとを連結基を介して結合してなるブロック共重合体である。
本発明のブロック共重合体は、有機半導体ブロックによる良好な半導体特性と、有機半導体ブロックの屈折率を調整する屈折率調整ブロックによる屈折率制御性とを兼備するものである。
ブロック共重合体を構成する各ブロックは相分離が起こる組み合わせであれば特に限定されないが、互いに非相溶であるブロック同士の組み合わせであることが好ましい。有機半導体ブロックと屈折率調整ブロックとをナノレベルで相分離させることにより、有機半導体ブロック、屈折率調整ブロックそれぞれの凝集を抑制することができる。このため、本発明のブロック共重合体からは、屈折率を調整した均質な膜を得ることができる。
【0024】
本発明のブロック共重合体中の有機半導体ブロックと屈折率制御ブロックの合計含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上であり、その上限は連結基を確保する観点から90質量%以下であることが好ましい。
なお、本発明のブロック共重合体は有機半導体ブロックの1種のみを含むものであってもよく、例えば下記式(I)における置換基の種類等の異なる2種以上の有機半導体ブロックを含むものであってもよい。また屈折率調整ブロックや連結基についてもそれぞれ
1種のみを含むものであってもよく、2種以上を含むものであってもよい。
【0025】
<有機半導体ブロック>
有機半導体ブロックは、π共役系ポリマー骨格としてチオフェン環を含む単量体単位を含むブロックであることが好ましく、下記式(I)で表されるブロックであることが好ましい。
【0026】
【化3】
【0027】
(式(I)中、Aは、置換基を有していてもよいチオフェン環を有する単量体単位を表す。
は、直接結合、直鎖又は分岐のアルキレン基、或いは置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。該アルキレン基中のメチレン基(-CH-)が酸素原子(-O-)に置換されていてもよい。
は、水素原子、直鎖又は分岐のアルキル基、直鎖又は分岐のアルコキシ基、或いは置換基を有していてもよいアリール基を表す。
nは2以上の自然数である。
波線は、前記連結基との結合手を意味する。)
【0028】
[A]
Aの置換基を有していてもよいチオフェン環を含有する単量体単位を構成するチオフェン環を有するチオフェン系化合物としては、1個以上のチオフェン環を有するものであればよく、特に限定されない。
【0029】
チオフェン系化合物としては、単環のチオフェン環を有するものであってもよく、縮合環のチオフェン環を有するものであってもよく、2以上のチオフェン環が直接結合又は他の連結基を介して結合したものであってもよい。また、縮合環の場合、チオフェン環同士が縮合したものであってもよく、チオフェン環と、ベンゼン環等の他の環が縮合したものであってもよい。縮合環同士或いは縮合環とチオフェン環とが直接結合又は他の連結基を介して縮合したものであってもよい。
【0030】
また、チオフェン環を有する単量体が置換基を有する場合、該置換基としては、特に限定されるものではないが、炭素数1~20の、直鎖又は分岐のアルキル基、直鎖又は分岐のアルコキシ基等が挙げられる。これらのうち、ブロック共重合体の溶解性の観点から、炭素数4~20の直鎖又は分岐のアルキル基が好ましい。
【0031】
以下にAを構成するチオフェン系化合物の具体例を挙げるが、本発明に係るA単位は、何らこれらのチオフェン系化合物に限定されるものではない。
【0032】
【化4】
【0033】
Aは、ブロック共重合体の溶解性の観点から置換基として炭素数4~20のアルキル基を有するチオフェン単位であることが好ましい。
【0034】
[R
前記式(I)中、Rは、直接結合、直鎖又は分岐のアルキレン基、或いは置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。該アルキレン基中のメチレン基(-CH-)が酸素原子(-O-)に置換されていてもよい。
【0035】
の直鎖状のアルキレン基としては、具体的には、メチレン基[-CH-]、エチレン基[-(CH-]、トリメチレン基[-(CH-]、テトラメチレン基[-(CH-]等の炭素数1~20の直鎖アルキレン基が挙げられる。
分岐鎖状のアルキレン基としては、具体的には、-CH(CH)-、-CH(CHCH)-、-C(CH-、-C(CH)(CHCH)-、-C(CH)(CHCHCH)-、-C(CHCH-等の炭素数2~20のアルキルメチレン基又はジアルキルメチレン基;-CH(CH)CH-、-CH(CH)CH(CH)-、-C(CHCH-、-CH(CHCH)CH-、-C(CHCH-CH-等の炭素数3~20のアルキルエチレン基又はジアルキルエチレン基;-CH(CH)CHCH-、-CHCH(CH)CH-等の炭素数4~20のアルキルトリメチレン基;-CH(CH)CHCHCH-、-CHCH(CH)CHCH-等の炭素数5~20のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。
上記のアルキル基のメチレン基(-CH-)が酸素原子(-O-)で置換されていてもよい。
【0036】
置換基を有していてもよいアリーレン基として、具体的にはフェニレン基等のアリーレン基、ピリジニレン基等のヘテロアリーレン基が挙げられる。該アリーレン基が有していてもよい置換基としては炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基等が挙げられる。
【0037】
これらのうち、Rとしては、ブロック共重合体の溶解性の観点から炭素数1~10の、直鎖または分岐アルキル基、直鎖または分岐アルコキシ基等が好ましい。
【0038】
[R
前記式(I)中、Rは、水素原子、直鎖又は分岐のアルキル基、直鎖又は分岐のアルコキシ基、或いは置換基を有していてもよいアリール基を表す。
【0039】
直鎖状のアルキル基としては、具体的には、メチル基[-CH]、エチル基[-CHCH]、プロピル基[-CHCHCH]、ブチル基[-CHCHCHCH]等の炭素数1~20の直鎖アルキル基が挙げられる。
分岐鎖状のアルキル基としては、具体的には、-C(CH、-C(CHCH、-CH(CH)CHCH、-CH(CH)CH(CH、-C(CHCHCH等の炭素数3~20の分岐アルキル基が挙げられる。
【0040】
直鎖状のアルコキシ基としては、具体的には、メトキシ基[-OCH]、エトキシ基[-OCHCH]、プロポキシ基[-OCHCHCH]、ブトキシ基[-OCHCHCHCH]等の炭素数1~20の直鎖アルコキシ基が挙げられる。
分岐鎖状のアルコキシ基としては、具体的には、-OC(CH、-OC(CHCH、-OCH(CH)CHCH、-OCH(CH)CH(CH、-OC(CHCHCH等の炭素数3~20の分岐アルコキシ基が挙げられる。
【0041】
置換基を有していてもよいアリール基として、具体的にはフェニル基等のアリール基、ピリジル基等のヘテロアリール基が挙げられる。該アリール基が有していてもよい置換基としては炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基等が挙げられる。
【0042】
これらのうち、Rとしては、ブロック共重合体の溶解性の観点から、置換基を有していてもよいフェニル基等のアリール基、ピリジル基等のヘテロアリール基等が好ましい。
【0043】
[n]
式(I)中、nは2以上の自然数であり、後述の有機半導体ブロックの数平均分子量(Mn)を満たす数である。
【0044】
[分子量]
有機半導体ブロックは分子量によって半導体特性が異なる。光・電子機能材料として用いる場合、半導体特性の一例としての電荷移動度が良好な値が得られることから、有機半導体ブロックの数平均分子量(Mn)は2000g/mol以上であることが好ましく、4000g/mol以上であることがより好ましく、6000g/mol以上であることがより好ましい。有機半導体ブロックの数平均分子量(Mn)の上限については特に制限はないが、ブロック共重合体の溶解性および屈折率制御の観点から100000g/mol以下が好ましく、50000g/mol以下がより好ましい。
【0045】
ここで、有機半導体ブロックの数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミテーションクロマトグラフィー(Gel permeation chromatography(GPC))により測定した数平均分子量(ポリスチレン換算)である。測定にはテトラヒドロフラン(THF)を溶媒として用いることが好ましい。
【0046】
有機半導体ブロックは、分子量分布が大きいと、所望の範囲より分子量の小さいものが含まれ、所望の電荷移動度が得られなくなる恐れがある。このため、有機半導体ブロックの分子量分散度(Mw/Mn)は、1.0~4.0程度が好ましく、1.0~3.0程度がより好ましく、1.0~2.0程度が特に好ましい。なお、Mwは重量平均分子量を示す。
重量平均分子量(Mw)についても、数平均分子量(Mn)と同様にGPC測定により求められる。
【0047】
<屈折率調整ブロック>
屈折率調整ブロックは、有機半導体ブロックの屈折率を調整するブロックであれば特に限定されないが、下記式(II)で表されるブロックであることが好ましい。
【0048】
【化5】
【0049】
(式(II)中、Rは、水素原子、或いは直鎖又は分岐のアルキル基を表す。
は、直鎖又は分岐のアルキル基を表す。該アルキル基中の水素原子はフッ素原子に置換されていてもよい。
は、水素原子、或いは直鎖又は分岐のアルキル基を表す。該アルキル基中のメチレン基(-CH-)が酸素原子(-O-)、硫黄原子(-S-)、カルボニル基(-C(=O)-)、或いはチオカルボニル基(-C(=S)-)に置換されていてもよい。
は、直接結合、或いは直鎖又は分岐のアルキレン基を表す。該アルキレン基中のメチレン基(-CH-)が酸素原子(-O-)、硫黄原子(-S-)、カルボニル基(-C(=O)-)、或いはチオカルボニル基(-C(=S)-)に置換さいれていてもよい。
mは2以上の自然数である。
波線は、前記連結基との結合手を意味する。)
【0050】
[R
前記式(II)中、Rは、水素原子、或いは直鎖又は分岐のアルキル基を表す。
【0051】
の直鎖状のアルキル基としては、具体的には、メチル基[-CH]、エチル基[-CHCH]、プロピル基[-CHCHCH]、ブチル基[-CHCHCHCH]等の炭素数1~20の直鎖アルキル基が挙げられる。
分岐鎖状のアルキル基としては、具体的には、-C(CH、-C(CHCH、-CH(CH)CHCH、-CH(CH)CH(CH、-C(CHCHCH等の炭素数3~20の分岐アルキル基が挙げられる。
【0052】
としては、屈折率制御の観点から、水素原子又は炭素数1~5の直鎖アルキル基が好ましい。
【0053】
[R
前記式(II)中、Rは、直鎖又は分岐のアルキル基を表す。該アルキル基中の水素原子はフッ素原子に置換されていてもよい。
【0054】
の直鎖状のアルキル基としては、具体的には、メチル基[-CH]、エチル基[-CHCH]、プロピル基[-CHCHCH]、ブチル基[-CHCHCHCH]、ペンチル基[-CHCHCHCHCH]、へキシル基[-CHCHCHCHCHCH]、へプチル基[-CHCHCHCHCHCHCH]、オクチル基[-CHCHCHCHCHCHCHCH]等の炭素数1~20の直鎖アルキル基が挙げられる。
分岐鎖状のアルキル基としては、具体的には、-C(CH、-C(CHCH、-CH(CH)CHCH、-CH(CH)CH(CH、-C(CHCHCH等の炭素数3~20の分岐アルキル基が挙げられる。
【0055】
としては、屈折率制御の観点から、炭素数1~20の直鎖アルキル基であって、該アルキル基中の水素原子の1~41個がフッ素原子で置換されたものが好ましい。
【0056】
[R
前記式(II)中、Rは、水素原子、或いは直鎖又は分岐のアルキル基を表す。該アルキル基中のメチレン基(-CH-)が酸素原子(-O-)、硫黄原子(-S-)、カルボニル基(-C(=O)-)、或いはチオカルボニル基(-C(=S)-)に置換されていてもよい。
【0057】
の直鎖状のアルキル基としては、具体的には、メチル基[-CH]、エチル基[-CHCH]、プロピル基[-CHCHCH]、ブチル基[-CHCHCHCH]、ペンチル基[-CHCHCHCHCH]、へキシル基[-CHCHCHCHCHCH]、へプチル基[-CHCHCHCHCHCHCH]、オクチル基[-CHCHCHCHCHCHCHCH]等の炭素数1~20の直鎖アルキル基が挙げられる。
分岐鎖状のアルキル基としては、具体的には、-C(CH、-C(CHCH、-CH(CH)CHCH、-CH(CH)CH(CH、-C(CHCHCH等の炭素数3~20の分岐アルキル基が挙げられる。
【0058】
としては、ブロック共重合体合成および屈折率制御の観点から、炭素数5~20の直鎖アルキル基であって、該アルキル基中のメチレン基(-CH-)の3~9個が、硫黄原子(-S-)及び/又はチオカルボニル基(-C(=S)-)に置換されたものが好ましい。
【0059】
[R
前記式(II)中、Rは、直接結合、或いは直鎖又は分岐のアルキレン基を表す。該アルキレン基中のメチレン基(-CH-)が酸素原子(-O-)、硫黄原子(-S-)、カルボニル基(-C(=O)-)、或いはチオカルボニル基(-C(=S)-)に置換さいれていてもよい。
【0060】
の直鎖状のアルキレン基としては、具体的には、メチレン基[-CH-]、エチレン基[-(CH-]、トリメチレン基[-(CH-]、テトラメチレン基[-(CH-]等の炭素数1~20の直鎖アルキレン基が挙げられる。
分岐鎖状のアルキレン基としては、具体的には、-CH(CH)-、-CH(CHCH)-、-C(CH-、-C(CH)(CHCH)-、-C(CH)(CHCHCH)-、-C(CHCH-等の炭素数2~20のアルキルメチレン基又はジアルキルメチレン基;-CH(CH)CH-、-CH(CH)CH(CH)-、-C(CHCH-、-CH(CHCH)CH-、-C(CHCH-CH-等の炭素数3~20のアルキルエチレン基又はジアルキルエチレン基;-CH(CH)CHCH-、-CHCH(CH)CH-等の炭素数4~20のアルキルトリメチレン基;-CH(CH)CHCHCH-、-CHCH(CH)CHCH-等の炭素数5~20のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。
【0061】
としては、ブロック共重合体合成および屈折率制御の観点から、炭素数5~20の直鎖アルキレン基であって、該アルキレン基中のメチレン基(-CH-)の2~8個が、酸素原子(-O-)及び/又はカルボニル基(-C(=O)-)に置換されたものが好ましい。
【0062】
[m]
式(II)中、mは2以上の自然数であり、後述の屈折率調整ブロックの数平均分子量(Mn)を満たす数である。
【0063】
[分子量]
屈折率調整ブロックの数平均分子量(Mn)は1000~50000であることが好ましく、2000~20000程度であることが特に好ましい。屈折率調整ブロックの数平均分子量が上記下限以上であれば、ブロック共重合体の屈折率制御が期待でき、上記上限以下であればブロック共重合体の溶解性を確保することができる。
【0064】
ここで、屈折率調整ブロックの数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミテーョンクロマトグラフィー(Gel permeation chromatography(GPC))により測定した数平均分子量(ポリスチレン換算)である。測定にはテトラヒドロフラン(THF)を溶媒として用いることが好ましい。
【0065】
[含有量]
本発明のブロック共重合体における屈折率調整ブロックの含有量は、有機半導体ブロックと屈折率調整ブロックの合計質量に対して5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましい。一方、90質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましく、80質量%以下がさらに好ましい。屈折率調整ブロックの含有量が上記下限値以上であれば十分な屈折率調整機能を得ることができ、上記上限値以下であればブロック共重合体の有機半導体特性に優れたものとなる。
【0066】
<連結基>
本発明のブロック共重合体において、有機半導体ブロックと屈折率調整ブロックとを結合する連結基としては、これらのブロック同士を連結することができるものであればよく、特に制限はないが、トリアゾール環の2価基(具体的には、1,2,3-トリアゾールの1位と4位に結合手を有するもの)、シクロへキセン環の2価基等の脂環式炭化水素基等が挙げられる。
これらのうち、ブロック共重合体合成の観点から、トリアゾール環の2価基が好ましい。
【0067】
<ブロック共重合体の製造方法>
本発明のブロック共重合体の製造方法は特に限定されないが、クリック化学カップリング反応により製造することが好ましい。
【0068】
<クリック化学カップリング反応>
クリック化学カップリング反応は、アジド(N)化合物がアルキン基と反応して1,2,3-トリアゾールを形成する任意の方法を指す。クリック化学カップリング反応は、当業者に一般的に公知の任意のHuisgen実験手順を適用又は採用して実施し得る。一般的に、前記クリック化学カップリング反応は、有機又は水性条件のいずれかでHuisgen反応に従って実施される。有機的な条件において、前記クリック化学カップリング反応は、典型的に、臭化銅(I)(CuBr)及びN,N,N’,N’,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)の存在下で実施される。この反応は、特に、有機溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、ジメチルスルホキシド(DMSO))中で、室温と反応混合物の還流温度の間を含む温度で、好ましくは無水条件下で行うとよい。
【0069】
本発明のブロック共重合体は、例えば、末端アジド基を有する有機半導体ブロックと末端アルキン基を有する屈折率調整ブロックとのクリック化学カップリング反応で1,2,3-トリアゾールを形成することで製造することができる。末端アジド基を有する有機半導体ブロックと末端アルキン基を有する屈折率調整ブロックは、市販のものを用いてもよく、公知の製造方法により合成したものを用いてもよい。
【0070】
<相分離>
本発明のブロック共重合体は、前記有機半導体ブロックからなる連続相と、前記屈折率調整ブロックからなる連続相とがラメラ状の相構造を形成している。ラメラ状の相構造により、半導体特性を有する有機半導体ブロックと、屈折率調整機能を有する屈折率調整ブロックとがナノレベルで相分離していることにより、有機半導体ブロック、屈折率調整ブロックそれぞれの凝集を抑えることができる。このため、本発明のブロック共重合体からは、屈折率を調整した均質な膜を得ることができる。
なお、該相構造は顕微鏡写真(例えば走査型プローブ顕微鏡)で観察することができる。
【0071】
<成膜方法>
本発明のブロック共重合体を成膜して本発明の有機膜を得るための成膜方法に特に制限はないが、湿式成膜法が好ましい。具体的にはスピンコート法などが挙げられる。この場合、スピンコートの条件は、ブロック共重合体溶液の粘度等を考慮して、定法に従い適宜決定すればよい。
また、ブロック共重合体溶液は、ブロック共重合体を溶解する溶媒を用いて、定法に従い調製すればよいが、溶媒の一例としては、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロホルム、トルエン、キシレン、THF等の1種又は2種以上の混合溶媒が挙げられる。
また、湿式成膜に供するブロック共重合体溶液のブロック共重合体濃度は5~30mg/mL程度であることが好ましい。
【実施例0072】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0073】
[合成例1:トリメチルシリル基末端ポリ(3-ヘキシルチオフェン)の合成]
【化6】
【0074】
窒素雰囲気下において、30mL二口フラスコにブロモ-o-トリルビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)0.128g(0.170mmol)、脱水テトラヒドロフラン(THF)8mL、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(上記反応式において記載を省略した。)0.137g(0.332mmol)を加えて室温で30分攪拌し、ブロモ-o-トリル(ジフェニルホスフィンプロパン)ニッケル(II)溶液Aを調製した。
また、窒素雰囲気下において別の5mLバイアルにマグネシウム53mg(2.18mmol)、脱水THF1mL、1,2-ジブロモエタン数滴を加え、エチレンの発生を確認した後、(5-クロロ-1-ペンチニル)トリメチルシラン0.33mL(1.85mmol)を加えて、室温で終夜攪拌し、(5-クロロマグネシオ-1-ペンチニル)トリメチルシラン溶液Bを調製した。
窒素雰囲気下において別の300mL二口フラスコに2-ブロモ-3-ヘキシル-5-ヨード-チオフェン3.18g(8.52mmol)、脱水THF200mLを加え、0℃に冷却した。さらにイソプロピルマグネシウムクロリド-塩化リチウム錯体の1.2M THF溶液7.2mL(8.64mmol)を加えて、室温で30分攪拌し、2-ブロモ-5-クロロマグネシオ-3-ヘキシルチオフェン溶液Cを調製した。
溶液Cに、溶液Aを加えて室温で15分間重合させた後、溶液Bを加えて室温で1時間反応させ重合を停止させた。
【0075】
得られた反応溶液をメタノールに滴下し、析出物を得た。濾過で回収した析出物をベンゼンに溶解させ、凍結乾燥させることで目的物のトリメチルシリル基末端ポリ(3-ヘキシルチオフェン)を得た。
収量1.26g(収率89%)、数平均分子量(Mn)(THF GPC,ポリスチレン標準使用)13000g/mol、分子量分散度(Mw/Mn)(THF GPC,ポリスチレン標準使用)1.08、数平均分子量(H NMR)7900g/molであった。
このもののNMR分析結果は以下の通りである。
H NMR(400MHz,CDCl) δ 6.98(s),6.91(s),6.86(s),2.81(t,J=7.3Hz),2.52(t,J=7.8Hz),2.33(t,J=6.6Hz),1.73-1.67(m),1.51-1.36(m),0.92(s),0.1(s)
【0076】
[合成例2:エチニル基末端ポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)の合成]
【化7】
【0077】
窒素雰囲気下において、200mLフラスコに、上記合成例1で得たトリメチルシリル基末端ポリ(3-ヘキシルチオフェン)0.504g(63.8μmol)、脱水THF100mL、テトラブチルアンモニウムフロリドの1.0M THF溶液4mL(4mmol)を加え、50℃で4時間反応させた。得られた固体をベンゼンに溶解させ、凍結乾燥させることで目的物のエチニル基末端ポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)を得た。
収量0.445g(収率88%)、数平均分子量(Mn)(THF GPC,ポリスチレン標準使用)13000g/mol、分子量分散度(Mw/Mn)(THF GPC,ポリスチレン標準使用)1.09、数平均分子量(H NMR)8400g/molであった。
このもののNMR分析結果は以下の通りである。
H NMR(400MHz,CDCl) δ 6.97(s),6.90(s),6.85(s),2.80(t,J=7.7Hz),2.54-2.48(m),2.30-2.26(m),2.00(t,J=2.5Hz),1.88(d,J=14.0Hz),1.74-1.66(m),1.41(d,J=13.1Hz),1.34(t,J=3.6Hz),0.91(t,J=6.8Hz)
【0078】
[合成例3:アジド基末端ポリ(アクリル酸1H,1H,2H,2H-ノナフルオロヘキシル)(PNFHA)の合成]
【化8】
【0079】
窒素雰囲気下において、10mLフラスコにアクリル酸1H,1H,2H,2H-ノナフルオロヘキシル0.609g(1.91mmol)、8-アジドオクチル2-((ドデシルチオ)カルボノチオイル)チオ)プロパノエート39.5mg(78.4μmmol)、脱水ジメチルスルホキシド(DMSO)2mL、アゾビスイソブチロニトリル3.0mg(18.3μmol)加え、反応溶液に窒素バブリングを行った後に70℃で3時間反応させた。続いて、反応溶液をメタノールへ滴下して得られた析出物を濾過で回収し、目的物のアジド基末端ポリ(アクリル酸1H,1H,2H,2H-ノナフルオロヘキシル)(PNFHA)を得た。
収量0.395g(収率61%)、数平均分子量(Mn)(THF GPC,ポリスチレン標準使用)4300g/mol、分子量分散度(Mw/Mn)(THF GPC,ポリスチレン標準使用)1.08、数平均分子量(H NMR)5300g/molであった。
このもののNMR分析結果は以下の通りである。
H NMR(400MHz,CDCl) δ 4.92-4.86(m),4.53-4.48(m),4.42-4.22(m),4.08-3.95(m),3.38-3.28(m),3.25(t,J=6.9Hz),2.56-2.24(m),2.13-1.89(m),1.16-1.10(m),0.89-0.85(m)
【0080】
[実施例1]
<ポリ(3-ヘキシルチオフェン)-b-ポリ(アクリル酸1H,1H,2H,2H-ノナフルオロヘキシル)(P3HT-b-PNFHA)の合成>
【化9】
【0081】
窒素雰囲気下において、30mLフラスコに上記合成例2で得たエチニル基末端ポリ(3-ヘキシルチオフェン)0.108g(12.9μmol)、上記合成例3で得たアジド基末端ポリ(アクリル酸1H,1H,2H,2H-ノナフルオロヘキシル)(PNFHA)85.9mg(16.2μmol)、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン47,0mg(0.271mmol)、脱水THF10mLを加え凍結脱気を3回行った。続いて、臭化銅(I)39.0mg(0.188mmol)を加え60℃で終夜反応させた。次に反応溶液にクロロホルムを加えアルミナカラムを用いて銅を除去し、次いで高速液体クロマトグラフ(HPLC)にて目的物の分画を行った。HPLCにて得られた溶液をメタノールに滴下し、析出物を得た。この析出物を濾過で回収し、ベンゼンに溶解させ凍結乾燥させることで目的物のポリ(3-ヘキシルチオフェン)-b-ポリ(アクリル酸1H,1H,2H,2H-ノナフルオロヘキシル)(P3HT-b-PNFHA)を得た。
収量57.1mg(収率45%)、数平均分子量(Mn)(THF GPC,ポリスチレン標準使用)13000g/mol、分子量分散度(Mw/Mn)(THF GPC,ポリスチレン標準使用)1.10であった。
このもののNMR分析結果は以下の通りである。
H NMR(600MHz,CDCl) δ 6.98(s),4.44-4.26(m),2.80(t,J=7.6Hz),2.54-2.33(b),1.73-1.63(m),1.62-1.51(b),1.43(d,J=6.9Hz),1.47-1.39(m),0.91(t,J=6.5Hz)
【0082】
[実施例2]
<屈折率評価サンプル作製>
上記実施例1で得たP3HT-b-PNFHAのクロロベンゼン溶液(濃度:20mg/mL)を調製した。
この溶液を室温でガラス基板上に毎分1000回転でスピンコート成膜し、厚さ70nmの屈折率評価サンプルを作製した。
【0083】
<屈折率評価>
分光光度計U-4100(日立ハイテクサイエンス社製)にて、屈折率評価サンプルの透過率と反射率を測定し、測定結果を用いてクラマース・クローニヒ(Kramers-Kronig:KK)分析を行い、屈折率を算出した。結果を表1と図1に示す。
【0084】
[比較例1]
実施例2において、P3HT-b-PNFHAを上記合成例2で得たP3HTに変更した以外は、同様にして屈折率評価サンプルを作製し、同様に屈折率を算出し、結果を表1と図1に示した。
【0085】
[比較例2]
実施例2において、P3HT-b-PNFHAを上記合成例2で得たP3HTと上記合成例3で得たPNFHAの混合物(70:30質量比)に変更した以外は、同様にして屈折率評価サンプルの作製を試みたが、サンプルの膜質不良で屈折率評価を行うことができなかった。
【0086】
【表1】
【0087】
表1及び図1に示されるとおり、実施例2の本発明のブロック共重合体は、比較例1の有機半導体ブロックのみの重合体よりも低屈折率を示しており、屈折率調整ブロックの導入によって屈折率を調整できることが確認された。
また、比較例2のように、各ブロックを構成する重合体の混合物では、均質な有機膜を成膜できなかった。
図1