(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130356
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ロール製品用ラック
(51)【国際特許分類】
B65D 19/10 20060101AFI20240920BHJP
B65D 19/44 20060101ALI20240920BHJP
B65D 85/66 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B65D19/10
B65D19/44 A
B65D85/66
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040029
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003694
【氏名又は名称】弁理士法人有我国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三牧 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】中津井 宏
【テーマコード(参考)】
3E037
3E063
【Fターム(参考)】
3E037AA02
3E037AA05
3E037BA07
3E063AA13
3E063BA01
3E063BB01
3E063CA04
3E063CA09
3E063CA11
3E063CB04
3E063DA05
3E063EE01
3E063FF03
(57)【要約】
【課題】補強構造部をロール収容後に容易に後付け可能なロール製品用ラックを提供する。
【解決手段】パレット10上で起立および倒置可能な一対の基枠30A、30Bと、起立姿勢の基枠30A、30Bとパレット10との間に介装される補強構造部50とを備えるロール製品用ラックであって、補強構造部50は、パレット10の短手方向d1の一方側の筋交部材51A、51Bと他方側の筋交部材52A、52Bとを含んで構成され、これらが、各基枠30A、30Bの両外側柱部の上端側部分31e、32eに対して水平方向および鉛直方向に衝合可能に結合する第1結合部55a、55bと、パレット10に対して水平方向および鉛直方向に衝合可能に結合する第2結合部56a、56bと、第1結合部55a、55bから突出する一対の突出結合部57a、57bとを有しており、一対の突出結合部57a、57bの間に一対の連結棒53、54が掛け渡される。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
四隅に鉛直方向に延びる所定高さのコーナー金具を有するパレットと、
それぞれ前記パレットの短手方向に隣り合う各一対の前記コーナー金具に対して可動に連結された両外側柱部を有し、該両外側柱部が前記コーナー金具に沿って前記パレット上に起立する起立姿勢と前記両外側柱部が前記起立姿勢から前記パレットの長手方向で互いに接近する方向に倒れた倒置姿勢とに操作が可能な折り畳み式の一対の支持基枠と、
前記一対の支持基枠の起立姿勢を保持するよう前記一対の支持基枠と前記パレットとの間に介装される補強構造部と、を備え、
前記一対の支持基枠がそれぞれ前記起立姿勢にあるとき、該一対の支持基枠によりロール製品の支管を両端側で支持することができるロール製品用ラックであって、
前記補強構造部は、前記一対の支持基枠の前記両外側柱部のうち前記パレットの短手方向の一方側に位置する一対の一方側の外側柱部と前記パレットの短手方向の一側辺部との間に介装される一対の一方側の筋交部材と、前記一対の支持基枠の前記両外側柱部のうち前記パレットの短手方向の他方側に位置する一対の他方側の外側柱部と前記パレットの短手方向の他側辺部との間に介装される一対の他方側の筋交部材と、を含んで構成されており、
前記一方側の筋交部材および前記他方側の筋交部材が、それぞれ前記一対の支持基枠の前記両外側柱部の上端側部分に対して水平方向および鉛直方向に衝合可能に結合する第1結合部と、前記パレットに対して水平方向および鉛直方向に衝合可能に結合する第2結合部と、前記第1結合部から前記パレットの長手方向の中央側に向かって突出する一対の突出結合部と、を有しており、
前記一方側の筋交部材および前記他方側の筋交部材のそれぞれの前記一対の突出結合部の間に、前記パレットの長手方向に延びる一対の連結棒が掛け渡されることを特徴とするロール製品用ラック。
【請求項2】
前記一対の連結棒が、それぞれ両端側に下向きの係合爪を有しており、
前記一対の連結棒の前記両端側の下向きの係合爪が、前記一方側の筋交部材および前記他方側の筋交部材のそれぞれの前記一対の突出結合部に形成された嵌合穴に嵌合するとき、前記一対の支持基枠の姿勢変化が、前記一方側の筋交部材および前記他方側の筋交部材と前記一対の連結棒とによって規制されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のロール製品用ラック。
【請求項3】
前記一方側の筋交部材および前記他方側の筋交部材のそれぞれの前記第1結合部が、前記一対の支持基枠の前記両外側柱部の上端側部分に対して鉛直上方側から装着されて該上端側部分を取り囲む角型のソケット形状部分を有しており、
前記一対の支持基枠がそれぞれ前記起立姿勢にあるとき、前記一方側の筋交部材および前記他方側の筋交部材のそれぞれの前記第1結合部が、前記一方側の外側柱部と前記他方側の外側柱部とに対してそれぞれ所定高さ位置に支持される状態で、前記一方側の筋交部材および前記他方側の筋交部材のそれぞれの前記第2結合部が、前記一方側の筋交部材および前記他方側の筋交部材のそれぞれの前記第1結合部から前記パレットの長手方向の中央側に向かって斜下方向に離間しつつ、前記パレットに対して水平方向および鉛直方向に衝合可能に結合していることを特徴とする請求項1または2に記載のロール製品用ラック。
【請求項4】
前記一対の一方側の外側柱部と前記一対の他方側の外側柱部とに、それぞれ前記一方側または前記他方側で前記パレットの長手方向の中央側に向かって互いに対向するように突出するとともに、前記第1結合部に対し鉛直方向に衝合可能な各一対の一方側の突出支持部および他方側の突出支持部が設けられており、
前記一方側の筋交部材および前記他方側の筋交部材のそれぞれの前記一対の突出結合部の間に前記パレットの長手方向に延びる一対の連結棒が掛け渡されるとき、該一対の連結棒が対応する前記一方側の突出支持部の間および前記他方側の突出支持部の間にも、それぞれかけ渡されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のロール製品用ラック。
【請求項5】
前記一対の連結棒が、それぞれ両端側に下向きの係合爪を有しており、
前記一対の連結棒の前記両端側の下向きの係合爪が、前記一方側の筋交部材および前記他方側の筋交部材のそれぞれの前記一対の突出結合部に形成された嵌合穴に嵌合し、かつ、前記一方側の外側柱部および前記他方側の外側柱部に設けられた前記各一対の一方側の突出支持部および他方側の突出支持部に対して水平方向に衝合可能に係合するとき、前記一対の支持基枠の姿勢変化が、前記一方側の筋交部材および前記他方側の筋交部材と前記両端側の下向きの係合爪を有する前記一対の連結棒とによって規制されるようにしたことを特徴とする請求項4に記載のロール製品用ラック。
【請求項6】
前記一方側の筋交部材および前記他方側の筋交部材のそれぞれの前記第1結合部が、前記一対の支持基枠の前記両外側柱部の上端側部分に対して前記パレットの外方側から水平方向に着脱可能に嵌合される水平嵌合部と、該水平嵌合部の嵌合状態で、前記一方側の突出支持部および前記他方側の突出支持部のうち対応する突出支持部を間に挟んで鉛直方向に離間する上下の嵌合穴形成部と、前記一対の支持基枠の前記両外側柱部のいずれかに対して前記水平嵌合部の嵌合方向の所定位置で衝合し、前記水平嵌合部の嵌合位置を規定するストッパ部と、を有していることを特徴とする請求項4または5に記載のロール製品用ラック。
【請求項7】
前記移動規制手段は、前記一方側の筋交部材および前記他方側の筋交部材が前記一対の支持基枠と前記パレットとの間に介装される前で、かつ、前記一対の支持基枠が前記起立姿勢にあるときに、該一対の支持基枠のそれぞれの下端部を、対応する各一対の前記コーナー金具に対してがたつきを抑えつつ移動規制し、前記一方側の筋交部材および前記他方側の筋交部材が前記一対の支持基枠と前記パレットとの間に介装された状態下では、前記規制を解除可能であることを特徴とする請求項1に記載のロール製品用ラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール製品用ラックに関し、特にロール製品の支管の両端部を支持する一対の基枠がパレット上に折畳み可能に設けられるとともに、両基枠とパレットの間または両基枠間に補強用の部材が着脱可能に設けられるロール製品用ラックに関する。
【背景技術】
【0002】
大物で重量の大きいのロール製品をパレット上の収容空間内に収納するよう、そのロール製品の両端側に突出する支管の端部をパレットの妻側(長手方向両端側)に立設された一対の基枠(支持基枠)で支持するようにしたロール製品用ラックが知られている。このようなロール製品用ラックにおいては、ロール製品の収容前や取り出し後には一対の基枠をパレット上に折り畳んでおくようにしているものが多い。
【0003】
この種のロール製品用ラックとして、例えば、特許文献1には、パレットと、そのパレットの長手方向の両側に立設された一対の基枠と、一対の基枠の間でロール径方向のパレットの両側に立設された一対の側枠とが、パレット上に折り畳まれたそれぞれの折畳み姿勢とロール製品を収容するそれぞれの立設姿勢とをとり得るよう、互いに係脱可能に構成されたロール製品用ラックであって、一対の側枠の支柱上部に固定された製品受け布芯材を介して、ロール製品をその外周下面に接触しつつパレット上に保持する製品受け布が一対の側枠間に渡設されたものが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、長さの異なるロール製品を収容可能にするべく、中間係合ピンおよび下部係合ピンを設けた妻側の基枠の両端の支柱をコーナー金具の受け溝に落とし込んで、基枠をパレット上に立設するとともに、コーナー金具にロール製品の長さに応じた複数の受け溝を設けることで、収容対象のロール製品の長さに応じて落とし込む溝を変更するようにしたロール製品用ラックであって、コーナー金具から離れて基枠を立設するときには、支柱とコーナー金具との間に突っ張りバーを介在させるものが記載されている。
【0005】
特許文献3には、パレットの上面の四隅付近に、それぞれ妻側の基枠の両端の支柱をロール製品の長さに応じて差し込み可能なパレット長手方向で外側の差込孔と内側の差込孔とが形成されるとともに、これらの差込孔を囲むように四隅のコーナー金具が配置されたロール製品用ラックであって、一対の基枠の両端の支柱の外側面上部には、軸方向長さを調節可能な連結ロッドが着脱可能に連結される上側の連結ロッド受け部が設けられ、コーナー金具のロール径方向の両外側面下部には、使用前又は使用後の連結ロッド端部が差し込まれる下側の連結ロッド受け部が設けられるものが記載されている。
【0006】
特許文献4には、パレットの長手方向の全域にわたって、上面の幅方向中央部を上方に開く凹状としてロール製品の収納高さを抑えるとともに、幅方向両側部の強度を高め得るパレット構造とした上で、一対の妻側の基枠の両端の支柱上部を連結ロッドで連結するのではなく、パレットの妻側の基枠とパレットの幅方向両側部との間に着脱可能な筋交部材を設けるロール製品用ラックとして、重量物輸送時のパレットやゆがみを十分に防止できる補強構造として、輸送時の振動・衝撃の抑制を図ったものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6064428号公報
【特許文献2】実用新案登録第3175354号公報
【特許文献3】実用新案登録第3184000号公報
【特許文献4】特開2021-120287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述のような従来のロール製品用ラックにあっては、筋交部材や連結ロッド等の補強用の部材によってロール製品用ラックの輸送時の強度を高めることができるものの、重量物のロール製品の収容作業に際しては、十分とは言えなかった。
【0009】
また、連結ロッドには、パレットに対する基枠の立設姿勢を補正できるほど十分な強度は無く、筋交部材は、基枠の立設姿勢を直立姿勢から所定の許容範囲内に抑えた上で、パレット側に固定する構造となっていた。
【0010】
そのため、妻側の支持基枠がパレットおよびコーナー金具に対して立設姿勢から傾いたりねじれたりした状態で重量物のロール製品が収容されると、補正用の部材で基枠の立設姿勢を直立姿勢から所定の許容範囲内に補正することが困難なために、補強用の部材を取り付ける作業が非常にきつくなることがあり、補強用の部材の一部に負荷荷重が集中することが懸念されるという問題があった。
【0011】
本発明は、前述のような従来の課題を解決すべくなされたものであり、筋交部材等の補強構造部の連結構造を工夫することにより、補強用の部材をロール収容作業後に容易に後付け可能で、かつ、基枠の立設姿勢を所定の許容範囲内に補正および安定確保できるロール製品用ラックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るロール製品用ラックは、上記目的達成のため、(1)四隅に鉛直方向に延びる所定高さのコーナー金具を有するパレットと、それぞれ前記パレットの短手方向に隣り合う各一対の前記コーナー金具に対して可動に連結された両外側柱部を有し、該両外側柱部が前記コーナー金具に沿って前記パレット上に起立する起立姿勢と前記両外側柱部が前記起立姿勢から前記パレットの長手方向で互いに接近する方向に倒れた倒置姿勢とに操作が可能な折り畳み式の一対の支持基枠と、前記一対の支持基枠の起立姿勢を保持するよう前記一対の支持基枠と前記パレットとの間に介装される補強構造部と、を備え、前記一対の支持基枠がそれぞれ前記起立姿勢にあるとき、該一対の支持基枠によりロール製品の支管を両端側で支持することができるロール製品用ラックであって、前記補強構造部は、前記一対の支持基枠の前記両外側柱部のうち前記パレットの短手方向の一方側に位置する一対の一方側の外側柱部と前記パレットの短手方向の一側辺部との間に介装される一対の一方側の筋交部材と、前記一対の支持基枠の前記両外側柱部のうち前記パレットの短手方向の他方側に位置する一対の他方側の外側柱部と前記パレットの短手方向の他側辺部との間に介装される一対の他方側の筋交部材と、を含んで構成されており、前記一方側の筋交部材および前記他方側の筋交部材が、それぞれ前記一対の支持基枠の前記両外側柱部の上端側部分に対して水平方向および鉛直方向に衝合可能に結合する第1結合部と、前記パレットに対して水平方向および鉛直方向に衝合可能に結合する第2結合部と、前記第1結合部から前記パレットの長手方向の中央側に向かって突出する一対の突出結合部と、を有しており、前記一方側の筋交部材および前記他方側の筋交部材のそれぞれの前記一対の突出結合部の間に、前記パレットの長手方向に延びる一対の連結棒が掛け渡されることを特徴とする。
【0013】
この構成により、本発明では、筋交部材が、それぞれの第1結合部を外側柱部の上端側部分に対して水平方向および鉛直方向に衝合可能に結合させるとともに、第2結合部をパレットに対して水平方向および鉛直方向に衝合可能に結合させる状態にされ、その状態から、それぞれの一対の突出結合部の間に、パレットの長手方向に延びる一対の連結棒が掛け渡される。したがって、各筋交部材の取付が容易であって、しかも、一対の連結棒をかけ渡す際の係合位置が予め位置決めされることで、折り畳みのために一対の支持基枠のコーナー金具への可動連結部分のがた隙間が比較的大きくとも、一対の連結棒をかけ渡す作業が容易に可能になる。さらに、一対の連結棒が一方側の筋交部材および他方側の筋交部材の外れ防止にも寄与することになる。なお、第1結合部は、外側柱部の上端側部分に対して上方から衝合させるのが好ましく、その上部が外側柱部の上端側部分を取り囲む形状であるのが更に好ましい。
【0014】
本発明の好ましい実施形態においては、(2)前記一対の連結棒が、それぞれ両端側に下向きの係合爪を有しており、前記一対の連結棒の前記両端側の下向きの係合爪が、前記一方側の筋交部材および前記他方側の筋交部材のそれぞれの前記一対の突出結合部に形成された嵌合穴に嵌合するとき、前記一対の支持基枠の姿勢変化が、前記一方側の筋交部材および前記他方側の筋交部材と前記一対の連結棒とによって規制されるようにした構成とすることができる。
【0015】
このようにすると、一対の連結棒によって一方側の筋交部材および他方側の筋交部材を連結することになり、補強構造を有効に強化することができる。しかも、一対の連結棒の間に板やパネル、カバー等をかけ渡すことができ、パネルや板上に軽貨物を載せることも可能となる。
【0016】
本発明の好ましい実施形態においては、(3)前記一方側の筋交部材および前記他方側の筋交部材のそれぞれの前記第1結合部が、前記一対の支持基枠の前記両外側柱部の上端側部分に対して鉛直上方側から装着されて該上端側部分を取り囲む角型のソケット形状部分を有しており、前記一対の支持基枠がそれぞれ前記起立姿勢にあるとき、前記一方側の筋交部材および前記他方側の筋交部材のそれぞれの前記第1結合部が、前記一方側の外側柱部と前記他方側の外側柱部とに対してそれぞれ所定高さ位置に支持される状態で、前記一方側の筋交部材および前記他方側の筋交部材のそれぞれの前記第2結合部が、前記一方側の筋交部材および前記他方側の筋交部材のそれぞれの前記第1結合部から前記パレットの長手方向の中央側に向かって斜下方向に離間しつつ、前記パレットに対して水平方向および鉛直方向に衝合可能に結合している構成とすることができる。
【0017】
この場合、筋交部材の第1結合部を外側柱部の上端側部分によって所定高さ位置に支持するので、一対の連結棒をかけ渡す際の係合位置がより明確になり、一対の連結棒をかけ渡す作業がさらに容易化される。
【0018】
本発明の好ましい実施形態においては、(4)前記一対の一方側の外側柱部と前記一対の他方側の外側柱部とに、それぞれ前記一方側または前記他方側で前記パレットの長手方向の中央側に向かって互いに対向するように突出するとともに、前記第1結合部に対し鉛直方向に衝合可能な各一対の一方側の突出支持部および他方側の突出支持部が設けられており、前記一方側の筋交部材および前記他方側の筋交部材のそれぞれの前記一対の突出結合部の間に前記パレットの長手方向に延びる一対の連結棒が掛け渡されるとき、該一対の連結棒が対応する前記一方側の突出支持部の間および前記他方側の突出支持部の間にも、それぞれかけ渡されるようにした構成とすることができる。
【0019】
この場合、一対の連結棒によって一方側の筋交部材および他方側の筋交部材を連結するのと併せて、一方側の突出支持部を介して一対の一方側の外側柱部同士を連結し、他方側の突出支持部を介して一対の他方側の外側柱部同士を連結することになり、補強構造をより強化することができ、筋交部材の外れ防止効果も高めることができる。
【0020】
本発明の好ましい実施形態においては、(5)前記一対の連結棒が、それぞれ両端側に下向きの係合爪を有しており、前記一対の連結棒の前記両端側の下向きの係合爪が、前記一方側の筋交部材および前記他方側の筋交部材のそれぞれの前記一対の突出結合部に形成された嵌合穴に嵌合し、かつ、前記一方側の外側柱部および前記他方側の外側柱部に設けられた前記各一対の一方側の突出支持部および他方側の突出支持部に対して水平方向に衝合可能に係合するとき、前記一対の支持基枠の姿勢変化が、前記一方側の筋交部材および前記他方側の筋交部材と前記両端側の下向きの係合爪を有する前記一対の連結棒とによって規制されるようにした構成とすることができる。
【0021】
この場合、一対の連結棒の両端側で下向きの係合爪が一対の突出結合部に形成された嵌合穴に嵌合するので、一対の連結棒によって一方側の筋交部材同士および他方側の筋交部材同士を確実に連結することができ、併せて、一方側の外側柱部同士および他方側の外側柱部同士も確実に連結することができる。その結果、補強構造をより強化することができ、筋交部材の外れ防止効果も高めることができる。
【0022】
本発明の好ましい実施形態においては、(6)前記一方側の筋交部材および前記他方側の筋交部材のそれぞれの前記第1結合部が、前記一対の支持基枠の前記両外側柱部の上端側部分に対して前記パレットの外方側から水平方向に着脱可能に嵌合される水平嵌合部と、該水平嵌合部の嵌合状態で、前記一方側の突出支持部および前記他方側の突出支持部のうち対応する突出支持部を間に挟んで鉛直方向に離間する上下の嵌合穴形成部と、前記一対の支持基枠の前記両外側柱部のいずれかに対して前記水平嵌合部の嵌合方向の所定位置で衝合し、前記水平嵌合部の嵌合位置を規定するストッパ部と、を有していてもよい。
【0023】
この場合、一方側の筋交部材および他方側の筋交部材のそれぞれの第1結合部が、一対の支持基枠の両外側柱部の上端側部分に対してパレットの外方側から水平方向に着脱可能に嵌合可能であり、水平嵌合部の嵌合方向の所定位置でストッパ部によって嵌合位置を規定することができるので、作業性を向上させることができる。なお、この場合、一方側の筋交部材および他方側の筋交部材のそれぞれの第2結合部も、パレットの外方側から水平方向に着脱可能に嵌合される水平嵌合部とするのがよい。
【0024】
本発明の好ましい実施形態においては、(7)前記移動規制手段は、前記一方側の筋交部材および前記他方側の筋交部材が前記一対の支持基枠と前記パレットとの間に介装される前で、かつ、前記一対の支持基枠が前記起立姿勢にあるときに、該一対の支持基枠のそれぞれの下端部を、対応する各一対の前記コーナー金具に対してがたつきを抑えつつ移動規制し、前記一方側の筋交部材および前記他方側の筋交部材が前記一対の支持基枠と前記パレットとの間に介装された状態下では、前記規制を解除可能である構成とすることができる。
【0025】
この場合、移動規制手段を用いることで、ロール製品の支管を支持する前の一対の支持基枠は、それぞれの起立姿勢を直立姿勢に精度よく固定保持できるので、ロール製品からの大きな荷重を確実に鉛直方向に受けるとき、各支持基枠の両外側柱部等に軸力として的確に担持させることができる。しかも、筋交部材や連結棒の取付前にロール製品の積載作業が可能となるので、その作業を容易化できることになる。また、有効な補強構造要素である筋交部材や連結棒等を容易に後付けできるので、輸送時の振動・衝撃等に対する十分な保護強度を容易に確保可能となる。さらに、移動規制手段は、筋交部材や連結棒の取付後はその規制を解除して過度な負荷を回避することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、筋交部材等の補強構造部の連結構造を工夫することにより、補強用の部材をロール収容作業後に容易に後付け可能で、かつ、基枠の立設姿勢を所定の許容範囲内に補正および安定確保できるロール製品用ラックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るロール製品用ラックの概略構成を示すそのロール製品収納時の斜視図である。
【
図2】(a)は、本発明の第1実施形態に係るロール製品用ラックの組立状態の概略構成を示す平面図であり、(b)は、同概略構成を示す(a)中のB-B矢視断面図である。
【
図3】(a)は、本発明の第1実施形態に係るロール製品用ラックの一対の支持基枠の折畳み状態を示す正面図であり、(b)は、本発明の第1実施形態に係るロール製品用ラックの一対の支持基枠の起立後に補強構造部を後付けした状態を示す正面図である。
【
図4】(a)は、
図2(b)中の二点鎖線で囲んだ部分Qを拡大して示す部分拡大断面図であり、(b)は、
図3(b)中の二点鎖線で囲んだ部分Pを拡大して示す部分拡大図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係るロール製品用ラックの支持基枠の立設状態をパレットの長手方向一端側から見た側面図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係るロール製品用ラックの一端側の支持基枠の立設状態をパレットの長手方向中央側から見た斜視図である。
【
図7】(a)は、本発明の第1実施形態に係るロール製品用ラックにおける複数の移動規制手段のうち1つの装着前の状態を示す部分拡大斜視図であり、(b)は、本発明の第1実施形態に係るロール製品用ラックにおける複数の移動規制手段のうち1つの装着状態を示す部分拡大斜視図である。
【
図8】本発明の第1実施形態に係るロール製品用ラックにおける移動規制手段を構成するプッシュ解除式のロック手段の外観斜視図である。
【
図9】本発明の第1実施形態に係るロール製品用ラックにおける補強構造部の筋交部材設置後の概略構成を示すそのロール製品収納時の斜視図である。
【
図10】(a)は、本発明の第1実施形態に係るロール製品用ラックにおける補強構造部の一態様の要部連結構造を示す部分正面図であり、(b)は、本発明の第1実施形態に係るロール製品用ラックにおける補強構造部の他の態様の要部連結構造を示す部分斜視図である。
【
図11】(a)は、本発明の第1実施形態に係るロール製品用ラックにおける補強構造部の一態様の要部連結構造を示す部分斜視図であり、(b)は、(a)中の部分Aの部分斜視図である。
【
図12】(a)は、本発明の第1実施形態に係るロール製品用ラックにおける補強構造部の一態様の要部連結構造を示すその被連結側の部分斜視図であり、(b)は、本発明の第1実施形態に係るロール製品用ラックにおける補強構造部の一態様の要部連結構造を示すその連結棒の端部の連結爪部の部分斜視図である。
【
図13】(a)は、本発明の第1実施形態に係るロール製品用ラックの内方側から見た筋交部材の下端側部分の斜視図であり、(b)は、本発明の第1実施形態に係るロール製品用ラックの筋交部材の下端側の第2結合部を凹凸係合させる取付部位の斜視図である。
【
図14】本発明の第2実施形態に係るロール製品用ラックの概略構成を示す外観斜視図である。
【
図15】本発明の第2実施形態に係るロール製品用ラックにおける補強構造部の支持基枠側の連結構造を示すその被連結側の部分斜視図である。
【
図16】(a)は、本発明の第2実施形態に係るロール製品用ラックにおける補強構造部のパレット側の連結構造を示すその被連結側の部分斜視図であり、(b)は、本発明の第2実施形態に係るロール製品用ラックにおける補強構造部のパレット側の連結構造を示すその部分正面断面図である。
【
図17】(a)は、本発明の第2実施形態に係るロール製品用ラックにおける基枠上端部の補強構造部の連結構造を示すその部分正面断面図であり、(b)は、本発明の第2実施形態に係るロール製品用ラックにおける連結棒の端部の連結構造を示すその部分斜視断面図である。
【
図18】本発明の第2実施形態に係るロール製品用ラックにおける補強構造部の筋交部材および連結棒の一端部の連結構造を示す部分斜視図である。
【
図19】(a)は、本発明の第2実施形態に係るロール製品用ラックの内方側から見た筋交部材の斜視図であり、(b)は、本発明の第2実施形態に係るロール製品用ラックの外方側から見た筋交部材の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0029】
(第1実施形態)
図1~
図13は、本発明の第1実施形態に係るロール製品用ラックを示している。
【0030】
まず、構成について説明する。
【0031】
図1に概略構成を示すように、本発明の第1実施形態に係るロール製品用ラック1は、ロール製品Rを収容して輸送および保管等を行うためのものであり、パレット10の長手方向両端側に
図3(a)に示すように折畳み可能に設けられた一対の基枠30A、30B(妻側の支持基枠)が、
図1に示すように立設された状態でロール製品Rを支持できるようになっている。なお、ここにいうロール製品Rは、例えばフィルムシート、金属箔、織物等が支管Tの周りに巻回されたものであり、比較的大物で人手による荷役が容易でない程度に重量の大きいものである。
【0032】
パレット10は、ロール製品用ラック1の基台であって、フォークリフト等による荷役作業が可能な運搬台であり、外枠部とその内側に溶接等により連結された複数の補強部材を有している。パレット10の構造や素材は特に限定されるものではないが、例えば樹脂やスチール等を用いることができ、特に重量の大きい製品を収容する場合には、強度の高い角形筒状のスチールパイプ(以下、角形スチールパイプという)等で構成される。本実施形態では、パレット10は、大物のロール製品Rを収容できるよう、ロール製品Rの軸線方向に長尺な長方形形状を有している。また、パレット10の脚部の構造は任意であるが、本実施形態では、パレット10は所定の高さを有し、その四方側面に、フォークリフトの爪部(フォーク)が差し込まれるリフト用開口が形成されている。
【0033】
具体的には、
図1~
図7に示すように、パレット10は、長手方向の骨材11a、11bと、短手方向の骨材11cと、複数の骨材11a、11bを支持する複数の支柱11dと、複数の支柱11dを下端側で連結する複数の連結板11eとを溶接等により一体化したものである。
【0034】
また、このパレット10の短手方向両側に配置された骨材11aと短手方向中央側に配置された骨材11bとは高さが異なっており、パレット10の長手方向d2の略全域において短手方向d1の中央部の上面が短手方向d1の両側部の上面よりも低くなっている。すなわち、パレット10の上面は短手方向d1の中央部で凹状をなしており、ロール製品Rの収納高さを抑えるとともにパレット10の幅方向両側部で所要の強度(剛性)を得ることのできるパレット構造となっている。これにより、ロール製品用ラック1の物品収容空間容積に対して収容可能なロール製品Rの体積の比率(収容効率)を向上させ、高さを抑えることで、ロール製品用ラック1の小型化を図ることができる。
【0035】
本実施形態では、パレット10の上面の高さが、幅方向中央部における高さと幅方向両端部における高さとの2段階に高さ設定されているが、さらに多段階の高さ設定がされてもよい。また、本実施形態では、パレット10の上面の大部分は、複数のカバー12によって覆われているが、必要に応じて、パレット10の上面に床板を設けてもよい。
【0036】
図1ないし
図5に示すように、パレット10の四隅には、パレット10上の一対の基枠30A、30Bを取り囲むように二対の略L字形断面のコーナー金具21A、21B、22A、22Bが溶接等により固定されており、各基枠30A、30Bは、対応する各一対のコーナー金具21A、22Aまたは21B、22Bを介して、基端側でパレット10に対し折畳みおよび起立可能に結合されている。
【0037】
また、各基枠30A、30Bは、パレット10の短手方向の両端側位置する外側柱部31a、32aまたは31b、32b(以下、単に31、32ともいう)を有しており、両外側柱部31、32の基端部から両外側方に突出する一対の可動連結ピン31c、32cと、長手方向一方側のコーナー金具21A、22Aまたは21B、22B(以下、単に21、22ともいう)の上端付近で外側柱部31、32から外側方に突出するストッパピン31d、32dとを有している。
【0038】
そして、可動連結ピン31c、32cを長手方向一方側のコーナー金具21、22の連結ピン用縦孔21h、22hに上下摺動および回転可能にはめ込むとともに、ストッパピン31d、32dをコーナー金具21、22の上端側の切欠き部21jおよびこれと同様なコーナー金具22の上端側の切欠き部(以下、切欠き部21j等という)に嵌合させることで、支持基枠30A、30Bの両外側柱部31、32をコーナー金具21、22に対し立設状態に保持できるようになっている。
【0039】
各基枠30A、30Bの両側辺を構成する一対の外側柱部31、32は、例えば角形スチールパイプ等で構成されており、外側柱部31、32は、基枠30A、30Bを立設した状態において、パレット10の四隅の上面に対して略垂直に立設される。このとき、パレット10の上方側に突出したコーナー金具21、22の内側が基枠30A、30Bの外側柱部31、32に当接し、保持されるようになっている。
【0040】
具体的には、コーナー金具21、22は、例えばスチール製の平板部材を断面L字形状に折り曲げて形成されており、パレット10の四隅の外側面に沿って溶接等により固定されている。また、コーナー金具21、22の直交する板面は、それぞれパレット10の上面よりも上方に突出してコの字形の内壁面を形成しており、パレット10上で起立方向に起こされた各基枠30A、30Bの両外側柱部31、32に当接している。そして、一対のコーナー金具21、22の直交する板面のうち、パレット10の長手方向の各一端側で同一面上に配置される一対の内面22s(
図4(a)参照)は、それぞれパレット10の短手方向に展延して、基枠30A、30Bの外側柱部31、32が略鉛直に立設した状態よりも外側に移動しないように規制する基枠ストッパ面を形成している。
【0041】
また、
図4(a)、(b)および
図5に示すように、各基枠30A、30Bを間に挟んでパレット10の短手方向に対向するコーナー金具21、22の対向する板面部21t、22tに、連結ピン用縦孔21h、22hが形成されており、各基枠30A、30Bの両外側柱部31、32の基端内面側にパレット10の幅方向を軸方向として固定された一対の可動連結ピン31c、32cが、連結ピン用縦孔21h、22hに摺動および回転可能にはめ込まれている。
【0042】
そして、各基枠30A、30Bの両側方に突出する可動連結ピン31c、32cが対応する連結ピン用縦孔21h、22hに上下摺動および回転可能にはめ込まれた状態で、その基枠30A、30Bが、折畳み姿勢側から立設姿勢側に起こされるとともに鉛直上方側に持ち上げられた後、コーナー金具21、22の上端部に形成された略U字形の凹形状をなす切欠き部21j等に、外側柱部31、32の外側面から突出する一対のストッパピン31d、32dが嵌入するように、パレット10上に立設姿勢に位置決めされたとき、その基枠30A、30Bの外側柱部31、32がコーナー金具21、22の板面部21t、22tに対して上下2か所で係合して回動規制されることにより、立設姿勢を維持できるようになっている。
【0043】
一方、コーナー金具21、22の略U字形の切欠き部21j等から、外側柱部31、32の一対のストッパピン31d、32dが脱出するように、各基枠30A、30Bがパレット10の上方側に持ち上げられると、各基枠30A、30Bの外側柱部31、32とコーナー金具21、22の板面部21t、22tとの上下2か所の係合のうち上側の嵌合が外れて回動規制が解除され、連結ピン用縦孔21h、22hにはめ込まれた可動連結ピン31c、32cを回動支点として折畳み可能となる。そして、これにより、基枠31をパレット10の上面と重なる方向に倒して基枠31全体をパレット10上に所定の折畳み姿勢で配置し、ロール製品用ラック1の高さをコーナー金具21、22の高さ程度に縮小することができる。なお、コーナー金具21、22の下部にコーナー金具21、22の上端形状に対応する略L字系の溝を設ける等して、高さ縮小した複数のロール製品用ラック1を積載可能にすることができる。
【0044】
図5に示すように、各基枠30A、30Bは、左右一対の外側柱部31、32と、外側柱部31、32の下端側を相互に連結する上下一対の支柱連結部材35a、35bと、支柱連結部材35a、35bの中間部同士を結合する一対の下側支柱部材34aと、両下側支柱部材34aよりd1方向でわずかに外側に位置するよう同方向に所定間隔を隔てて上側の支柱連結部材35bからそれぞれ上方に延びる一対の上側支柱部材34bと、これら一対の上側支柱部材34bの上端部を左右一対の外側柱部31、32に連結して枠組み強度を補強する一対の連結部材35cとを有している。これらの部材は、全体として板状の枠組みが形成されるように溶接等によって一体に連結されており、それぞれ例えば角形スチールパイプ等で構成されるが、その素材や個々の形状が特に限定されるものではない。
【0045】
また、各基枠30A、30Bは、一対の上側支柱部材34bの間で上側の支柱連結部材35bに支持された補強リブ付きおよび端面ストッパ付きの支管受け部材37と、一対の上側支柱部材34bおよび支管受け部材37によって形成される支管挿入用のU字形凹部の内面上に設けられた支管受け緩衝材38と、支管収容作業前に支管受け部材37上のU字形凹部を開放するよう回動されるか取り外され、その収容作業後にU字形凹部を閉止する
図5中の図示姿勢に回動されるか取り付けられる支管押え部材36と、その支管押え部材36を一対の連結部材35cに対して一体的に固定可能な押え留め金具39とを有している。なお、
図5中では、支管押え部材36の同図中の左端側を連結部材35cに対して上下方向に回動可能にピン36aで結合した構成となっているが、同図中右側に示す押え留め金具39と同様な機構をピン36a側(例えば内面側)にも設置するようにして、支管押え部材36を着脱可能にすることができる。押え留め金具39は、例えばトグルラッチまたはドローラッチとして知られるものである。
【0046】
パレット10上に立設させた一対の基枠30A、30Bにロール製品Rを支持させたロール製品用ラック1には、
図2(a)、(b)、
図3(b)および
図9に示すように、補強構造部50が後付けされるようになっている。
【0047】
この補強構造部50は、パレット10と基枠30Aとの間に介在するようパレット10の長手方向d2の一方側に配置された一対の筋交部材51A、52Aと、パレット10と基枠30Bとの間に介在するようパレット10の長手方向d2の他方側に配置された一対の筋交部材51B、52Bと、パレット10の短手方向d1の一方側に位置する一対の筋交部材51A、51Bの間に掛け渡された連結棒53と、パレット10の短手方向d1の他方側に位置する一対の筋交部材52A、52Bの間に掛け渡された連結棒54とを含んで構成されている。筋交部材51A、51B、52A、52B(以下、筋交部材51、52ともいう)は、それぞれ例えばスチール製のパイプやアングル(山形鋼)等で構成されている。
【0048】
また、パレット10の短手方向d1の一方側の筋交部材51A、51Bおよび他方側の筋交部材52A、52Bは、それぞれ一対の基枠30A、30Bの両外側柱部31a、32a、31b、32bの上端部31e、32eに対して水平方向および鉛直方向に衝合可能に結合する第1結合部55a、55bと、パレット10に対して水平方向および鉛直方向に衝合可能に結合する第2結合部56a、56bと、第1結合部55a、55bからパレット10の長手方向の中央側に向かって突出する一対の突出結合部57a、57bと、を有している。そして、これら一対の突出結合部57a、57bの間に、パレット10の長手方向に延びる一対の連結棒53、54が掛け渡されるようになっている。
【0049】
具体的には、
図3(b)および
図9に示すように、正面側の一対の逆向きの筋交部材51A、51B(以下、筋交部材51ともいう)は、それぞれの一方の端部である第1結合部55a、55bが基枠30A、30Bの一端の外側柱部31a、31bの上端部31eに連結されており、他方の端部である第2結合部56a、56bが、外側柱部31a、31bが立設されたパレット10の正面側の外枠相当の骨材11a上に連結されている。
【0050】
また、
図2(b)および
図9に示すように、奥側の筋交部材52A、52B(以下、筋交部材52ともいう)は、それぞれの一方の端部である第1結合部55a、55bが外側柱部32a、32bの上端部32eに固定されており、他方の端部である第2結合部56a、56bが、外側柱部32a、32bが立設されたパレット10の奥側の外枠相当の骨材11a上に固定されている。
【0051】
筋交部材51、52を外側柱部31、32およびパレット10に連結するための構成は特に限定されるものではないが、一例として、以下の構成を採用することができる。
【0052】
図10および
図11に示すように、各筋交部材51の第1結合部55a、55bは、各基枠30A、30Bの片方の外側柱部31の上端部31e(上端側部分)を取り囲む所定長さの角型のソケット形状部分55sを有しており、このソケット形状部分55sに上端部31eを抜き差し(挿入および脱抜)可能になっている。また、ソケット形状部分55sは、外側柱部31または32の上端部31eに上方から差し込んで、外側柱部31から外側方に突出する小判形の凸部31pに突き当て保持させることができるようになっており、凸部31pに対応する逆U字形状(下向きに開く凹状)の切り欠きを有している。同様に、各筋交部材52の第1結合部55a、55bは、各基枠30A、30Bの他の片方の外側柱部32の上端部32e(上端側部分)を取り囲む所定長さの角型のソケット形状部分55sを有しており、このソケット形状部分55sに上端部32eを抜き差し可能で、外側柱部32から外側方に突出する小判形の凸部32p(
図5参照)に突き当て保持させることができるよう、凸部32pに対応する逆U字形状の切り欠きを有している。
【0053】
また、
図13(a)および
図13(b)に示すように、筋交部材51、52の他方の端部である第2結合部56a、56bは、外枠相当の骨材11a上の取付位置P1、P2に配置される方形の凸部11pに凹凸係合する方形の切欠き56uを有する着座部分56wと、着座部分56wの奥部を形成しつつパレット10の外枠相当の骨材11aの外側面に当接するガイド部分56vとを有している。また、筋交部材51、52の第2結合部56a、56bは、座面部分56wと凸部11pが凹凸係合した状態で、取付位置P1、P2上に設置される固定板11tによって少なくとも上方側あるいは上側と外側に抜け止めされるようになっている。
【0054】
なお、ここでは、座面部分56wは、略コの字形としているが、凸部11pを取り囲む四角形状をないしていてもよく、凹凸を逆にしてもよい。すなわち、パレット10側に方形の凹部を有する取付板を設置し、そこに筋交部材51、52の第2結合部56a、56bに設けた下向きの凸部を凹凸係合させて、凹凸方向の抜け止めを設置するようにしてもよい。略コの字形の場合、筋交部材51、52の第2結合部56a、56bは、パレット10の外枠相当の骨材11aに対しパレット10の短手方向d1にスライドさせて着脱可能となる。
【0055】
すなわち、筋交部材51、52が、それぞれ一対の基枠30A、30Bの両外側柱部31、32の上端部31e、32eに対して水平方向および鉛直方向に衝合可能に結合する第1結合部55a、55bと、パレット10に対して水平方向および鉛直方向に衝合可能に結合する第2結合部56a、56bと、第1結合部55a、55bからパレット10の長手方向の中央側に向かって突出する一対の突出結合部57a、57bとを有しており、筋交部材51、52の突出結合部57a、57bの間に連結棒53、54が掛け渡し可能であればよい。
【0056】
図2(a)、(b)、
図3(b)および
図9に示すように、筋交部材51、52のパレット10に対する傾斜角度は、例えば45度であり、各基枠30A、30Bの外側柱部31、32に対する傾斜角度も45度である。これら筋交部材51、52は、一方の端部である第1結合部55a、55bが、基枠30A、30Bの外側柱部31、32の上端部31e、32eを所定長さにわたって取り囲む状態で、鉛直方向下方側の外向き(短手方向d2の外側向き)の凸部31p、32pに突当て支持されるともに、他方の端部である第2結合部56a、56bが、パレット10上の取付位置P1、P2に着座すると同時にパレット10の長手方向に位置決めされるようパレット10側の凸部11pに凹凸係合するので、筋交部材51、52の取付け時に、予めパレット10上に立設された基枠30A、30Bの姿勢をで直立姿勢に容易に補正することができる。
【0057】
このような筋交部材51、52、すなわち、パレット10の長手方向一方側の筋交部材51A、51Bおよび長手方向他方側の筋交部材52A、52Bにおいて、鉛直上方側に配置される第1結合部55a、55bは、それぞれ一対の基枠30A、30Bの両外側柱部31、32の上端部31e、32eおよび凸部31p、32pに対して、水平方向(d1方向およびd2方向)および鉛直方向(例えば下方側)に衝合可能に結合、すなわち突当て位置でその突当て(衝合)方向へのそれ以上の移動を阻止可能に結合する第1結合部となっている。
【0058】
また、長手方向一方側の筋交部材51A、51Bおよび長手方向他方側の筋交部材52A、52Bにおいて、鉛直下方側に配置される第2結合部56a、56bは、パレット10に対して水平方向(例えばd2方向)および鉛直方向(上方側および下方側)に衝合可能に結合する第2結合部となっている。ここにいう第1結合部55a、55bおよび第2結合部56a、56bは、それぞれの結合状態において、パレット10および筋交部材51、52に対し、筋交い機能上要求されるd2方向へは共に衝合位置で移動が阻止され、第2結合部56a、56bの外れ方向となるd1方向外方側へは第1結合部55a、55bにより移動が規制され、第1結合部55a、55bの外れ方向となる鉛直方向上方側へは第2結合部56a、56bにより移動が規制されるようになっている。
【0059】
さらに、
図9~
図13に示すように、長手方向一方側の筋交部材51A、51Bおよび長手方向他方側の筋交部材52A、52Bは、それぞれ第1結合部55a、55bからパレット10の長手方向の中央側に向かって突出する一対の突出結合部57a、57bを有している。そして、一方側の筋交部材51A、51Bおよび他方側の筋交部材52A、52Bが、一対の基枠30A、30Bの両外側柱部31a、32a、31b、32bとパレット10との間に介装されているとき、一方側の筋交部材51A、51Bおよび他方側の筋交部材52A、52Bのそれぞれの一対の突出結合部57a、57bの間には、
図2、
図3(b)および
図9に示すように、パレット10の長手方向に延びる一対の連結棒53、54が取り外し可能に掛け渡されるようになっている。
【0060】
また、一対の連結棒53、54は、それぞれ両端側に下向きの係合爪53a、53b、54a、54bを有しており、これら両端側の下向きの係合爪53a、53b、54a、54bが、一方側の筋交部材51A、51Bおよび他方側の筋交部材52A、52Bのそれぞれの一対の突出結合部57a、57bに形成された嵌合孔部e1、e2に嵌合するとき、一対の基枠30A、30Bの姿勢変化が、一方側の筋交部材51A、51Bおよび他方側の筋交部材52A、52Bのみならず、一対の連結棒53、54によっても規制されるようになっている。
【0061】
なお、嵌合孔部e1、e2は、
図10(b)に示すように、曲げ板形状の一対の突出結合部57a、57bに角穴として形成されたものでもよいし、
図10(a)、
図11および
図12に示すように、一対の突出結合部57a、57bに溶接等により固着された金属製の角パイプ57p1、57p2等の開口によって形成されてもよい。後者の場合、嵌合孔部e1、e2は開口面積が大きく、かつ、傾斜しているので、係合爪53a、53bや54a、54bの嵌合作業も容易化できるものとなる。
【0062】
補強構造部50は、このように一対の基枠30A、30Bの姿勢変化を筋交部材51、52および一対の連結棒53、54によって規制できるように構成されているが、前述の通り、一対の基枠30A、30B上にロール製品Rの重量が加わった状態で、後付けされるため、ロール製品Rの収容前の一対の基枠30A、30Bがパレット10に対して直立していなければ、一対の基枠30A、30Bがコーナー金具21、22に対して傾いた状態でロール製品Rからの重量を受けることによって不要な倒れや撓みが大きくなったり、鉛直軸回りの回転が生じたりしたまま容易に動かせなくなることが懸念される。
【0063】
そこで、本実施形態において、補強構造部50は、一対の基枠30A、30Bが起立姿勢にあるとき、それら一対の基枠30A、30Bのそれぞれの下端部である支柱連結部材35aおよび両外側柱部31、32の下端部を対応する各一対のコーナー金具21、22に対してパレット10の長手方向d2のがたつきを抑えつつ移動規制する移動規制手段60を含んで構成されており、移動規制手段60を必要に応じて選択的に使用可能になっている。
【0064】
その使用の前提として、前述の通り、補強構造部50が、一対の基枠30A、30Bの一方側の外側柱部31a、31bとパレット10の短手方向d1の一側辺部(一方側の側辺部)相当の骨材11aとの間に介装される一対の一方側の筋交部材51A、51Bと、一対の基枠30A、30Bの他方側の外側柱部32a、32bとパレット10の短手方向d1の他側辺部(他方側の側辺部)相当の骨材11aとの間に介装される一対の他方側の筋交部材52A、52Bと含んでいる。
【0065】
そして、移動規制手段60は、一方側の筋交部材51A、51Bおよび他方側の筋交部材52A、52Bが一対の基枠30A、30Bとパレット10との間に介装される作業の前で、かつ、一対の基枠30A、30Bが起立姿勢にあるときに、一対の基枠30A、30Bのそれぞれの下端部である下側の支柱連結部材35aを、対応する各一対のコーナー金具21A、22A、21B、22Bに対して長手方向d2へのがたつきを、一対の基枠30A、30Bの折畳みおよび起立(立設)の作業容易性のために要求される所定の摺動隙間の範囲よりも狭い範囲内に抑える、好ましくはがたつきを無くする(がた詰めする)ように移動規制することができるようになっている。
【0066】
具体的には、
図6および
図7に示すように、移動規制手段60は、一対の支持基枠30A、30Bのそれぞれの下側の支柱連結部材35aを、短手方向d1に離間する両端側の2か所で移動規制するようになっている。
【0067】
また、
図4(a)、
図4(b)および
図8に示すように、移動規制手段60は、対応する各一対のコーナー金具21A、22A、21B、22Bの基枠ストッパ面である内面22sに対してがたつきを抑える外側(がた詰め側)に移動規制するよう、下側の支柱連結部材35aの内面に当接する起立板部61aと、その起立板部61aと一体に形成されるとともにパレット10の短手方向d1の両側部上面である基枠載置面11f(一部凹んだ部分でもよい)に当接するベース板部61bと、そのベース板部61bをパレット10の基枠載置面11f上で予め設定された左右両側の定位置に位置決め固定する公知の着脱式の位置決め部材62とによって構成されている。また、互いに直交する起立板部61aおよびベース板部61bは、例えば山形鋼のような形態で一体化されて、L字型金具61となっている。
【0068】
さらに、
図7(a)に示すように、移動規制手段60のベース板部61bには円形の位置決め嵌合穴61cが形成され、パレット10には移動規制手段60の位置決め嵌合穴61cに対応する同一径の円形の位置決め嵌合穴11hが形成されている。
【0069】
また、
図7(b)および
図8に示すように、着脱式の位置決め部材62は、ベース板部61bの位置決め嵌合穴61cを貫通してベース板部61bをパレット10に対し位置決め固定する嵌合ピン部62pと、その嵌合ピン部62pの上端側に連結された着脱操作用のヘッド部62hとを有している。また、詳細を図示しないが、位置決め部材62の嵌合ピン部62pは、先端が閉止された中空軸形状をなしており、その先端部に複数の金属製のボール62aが所定の突出高さの範囲内で出没可能に収納されている。さらに、嵌合ピン部62p内には、軸方向の一部に複数のボール62aを収納可能な環状溝およびその環状側壁面であるテーパ面を有する操作ピンが収納されており、ヘッド部62hの中央のボタン62bを押すと、そのボタン62bと共に図示しないばねによりボタン復帰方向に付勢されている操作ピンが、嵌合ピン部62p内で複数のボールを収納する位置に下降してロックが解除される一方、ヘッド部62hの中央のボタンを離すと、操作ピンの上昇方向のばね復帰に伴って複数のボール62aが操作ピンのテーパ面で放射外方に押し出されて固定孔の内壁に圧接し、ロックがかかるようになっている。
【0070】
一対の基枠30A、30Bに対応して左右一対で長手方向d2の両側に2組配置される二対の移動規制手段60は、一方側の筋交部材51(51A、51B)および他方側の筋交部材52(52A、52B)が一対の基枠30A、30Bとパレット10との間に介装された状態下では、移動規制位置から取り外され、その規制を解除可能となっている。
【0071】
また、
図1および
図5に示すように、この筋交部材51、52の装着状態下において、各一対の着脱式の位置決め部材62は、L字型金具61を実装時に対し逆さ姿勢として、一対の基枠30A、30Bのそれぞれの下端部である下側の支柱連結部材35a上にベース板部61bを載せ、位置決め嵌合穴61cを通して着脱式の位置決め部材62の嵌合ピン部62pを下側の支柱連結部材35aに形成された輸送時(非規制時)取付穴35k1、35k2(
図6参照)に挿入することで、L字型金具61を下側の支柱連結部材35a上に位置決め固定することができるようになっている。
【0072】
次に、ロール製品Rをロール製品用ラック1に収納する作業およびその前後の移動規制手段60を使用する場合のその着脱作業等について説明する。
【0073】
本実施形態のロール製品用ラック1では、一対の支持基枠30A、30Bがそれぞれ起立姿勢に起こされると、それら一対の支持基枠30A、30Bにロール製品Rの支管Tを両端側で支持させるロール収容作業が可能となるが、本実施形態では、そのロール収容作業に先立って、必要に応じ、一対の支持基枠30A、30Bの下端側に配置されていた各一対の移動規制手段60が
図1および
図5に示す輸送時取付位置からそれぞれ取り外されて、
図6および
図7に示すように、一対の支持基枠30A、30Bのそれぞれの下端部である下側の支柱連結部材35aを、対応する各一対のコーナー金具21、22に対して内側から押し付けつつ移動規制し、パレット10上に直立する一対の支持基枠30A、30Bの長手方向d2のがたつきを抑止するように、二対の移動規制手段60がそれぞれの移動規制位置に装着される。
【0074】
次いで、あるいは、移動規制手段60の設置なしで、パレット10上に立設された一対の支持基枠30A、30Bにロール製品Rの支管Tを両端側で支持させるロール収容作業がクレーン等の荷役作業用の機械や設備を用いて実行される。このとき、パレット10の短手方向d1の両側は、補強構造部50の各一対の筋交部材51、52やそれらの上端部間にわたる連結棒53、54が設置されていないので、ロール製品Rを高く持ち上げるような荷役作業が必要でなく、ロール収容作業が容易に可能となる。
【0075】
そのようなロール収容作業により、一対の支持基枠30A、30Bによりロール製品Rの支管Tを両端側で支持した状態になると、次いで、一対の支持基枠30A、30Bの起立姿勢を保持するよう一対の支持基枠30A、30Bとパレット10との間に、補強構造部50の各一対の筋交部材51、52およびそれらの上端部間にわたる連結棒53、54が介装される。
【0076】
このとき、まず、パレット10の短手方向d1の一方側に位置する一方側の外側柱部31a、31bとパレット10の短手方向d1の一側辺部相当の骨材11aとの間に、一方側の筋交部材51A、51Bが介装され、パレット10の短手方向d1の他方側に位置する他方側の外側柱部32a、32bとパレット10の短手方向d1の他側辺部相当の骨材11aとの間に、他方側の筋交部材52A、52Bが介装される。
【0077】
次いで、一方側の筋交部材51A、51Bおよび他方側の筋交部材52A、52Bが、一対の支持基枠30A、30Bの両外側柱部31a、32a、31b、32bとパレット10との間に介装された状態で、一方側の筋交部材51A、51Bおよび他方側の筋交部材52A、52Bのそれぞれの一対の突出結合部57a、57bの間に、パレット10の長手方向に延びる一対の連結棒53、54が掛け渡される。
【0078】
なお、パレット10の短手方向d1の一方側に筋交部材51A、51Bおよび連結棒53を設置した状態、あるいは、パレット10の短手方向d1の他方側に筋交部材52A、52Bおよび連結棒54を設置した状態で、前述のロール収容作業を実行することも考えられる。
【0079】
次いで、それぞれの移動規制位置に装着されていた二対の移動規制手段60がそれぞれのボタンを押下してロック解除されて取り外され、
図1および
図5に示す輸送時取付位置に再度取り付けられる。
【0080】
次に、作用について説明する。
【0081】
以上のように構成された本実施形態のロール製品用ラック1においては、筋交部材51A、51B、52A、52Bが、それぞれの第1結合部55a、55bを外側柱部31a、32a、31b、32bの上端部31e、32eに対して水平方向および鉛直方向に衝合可能に結合させ、第2結合部56a、56bをパレット10に対して水平方向および鉛直方向に衝合可能に結合させる状態に組付けられ、その組付け状態から、それぞれの一対の突出結合部57a、57bの間に、パレット10の長手方向に延びる一対の連結棒53、54が掛け渡される。
【0082】
このとき、各筋交部材51、52の第1結合部55a、55bは、ソケット形状部分55sに各基枠30A、30Bの外則柱部31または32の上端部31eまたは32eを上方から差し込んで、その凸部31p、32pに突き当て保持させる結合状態にされ、その状態で、各筋交部材51、52の第2結合部56a、56bが、外枠相当の骨材11a上の凸部11pに凹凸係合するよう取付位置P1、P2に着座部分56wが取り付けられる際に、各筋交部材51、52がパレット10の長手方向d2に位置決めされるとともに、同方向における一対の基枠30A、30Bの外則柱部31、32の上端部31t、32tの位置が適宜所定位置に補正され、位置決めされることになる。
【0083】
しかも、筋交部材51、52の取付けは所定の傾斜姿勢にしたままでの取付け作業ができるので、作業も容易である。
【0084】
また、このように筋交部材51、52の取付が容易であって、しかも、一対の連結棒53、54をかけ渡す際の係合位置が予め位置決めされるので、折り畳みのために一対の基枠30A、30Bのコーナー金具21A、21B、22A、22Bへの可動連結部分における摺動隙間が比較的大きくとも、一対の連結棒53、54をかけ渡す作業が容易に可能になる。
【0085】
また、本実施形態では、一対の連結棒53、54によって一方側の筋交部材51A、51Bおよび他方側の筋交部材52A、52Bを連結することになり、補強構造を有効に強化することができる。しかも、一対の連結棒53、54の間に板やパネル、カバー等をかけ渡すことができ、パネルや板上に軽貨物を載せることも可能となる。
【0086】
また、本実施形態では、筋交部材51A、51B、52A、52Bの第1結合部55a、55bを外側柱部31a、32a、31b、32bの上端部の凸部31p、32pによって所定高さ位置に支持されているので、一対の連結棒53、54をかけ渡す際の係合位置がより明確になり、一対の連結棒53、54をかけ渡す作業がさらに容易化される。
【0087】
また、本実施形態では、一対の連結棒53、54の両端側で下向きの係合爪53a、53b、54a、54bが一対の突出結合部57a、57bに形成された嵌合穴e1、e2に嵌合するので、一対の連結棒53、54によって一方側の筋交部材51A、51B同士および他方側の筋交部材52A、52B同士を確実に連結することができ、併せて、一方側の外側柱部31a、31b同士および他方側の外側柱部32a、32b同士も確実に連結することができる。その結果、補強構造をより強化することができ、筋交部材51,52の外れ防止効果も高めることができる。
【0088】
また、本実施形態では、一方側の筋交部材51A、51Bおよび他方側の筋交部材52A、52Bのそれぞれの第1結合部75が、一対の基枠30A、30Bの両外側柱部31a、31b、32a、32bの上端側部分31tに対してパレット10の外方側から水平方向にスライドさせて着脱可能に嵌合可能であり、水平嵌合部76の嵌合方向の所定位置でストッパ部75sによって嵌合位置を規定することができるので、作業性を向上させることができる。
【0089】
また、加えて本実施形態では、移動規制手段60を用いることで、ロール製品Rの支管Tを支持する前の一対の基枠30A、30Bは、それぞれの起立姿勢を直立姿勢に精度よく固定保持できるので、ロール製品Rからの大きな荷重を確実に鉛直方向に受けるとき、各基枠30A、30Bの両外側柱部31a、32a、31b、32b等に軸力として的確に担持させることができる。
【0090】
しかも、筋交部材51、52や連結棒53、54の取付前にロール製品Rの収容作業が可能となるので、その収容作業を容易化できることになる。また、有効な補強構造要素である筋交部材51、52や連結棒53、54等を容易に後付けできるので、輸送時の振動・衝撃等に対する十分な保護強度を容易に確保可能となる。さらに、移動規制手段60は、筋交部材や連結棒の取付後はその規制を解除して過度な負荷を回避することができる。
【0091】
このように、本実施形態においては、補強構造部50の筋交部材51、52や連結棒53、54等の連結構造を工夫することにより、これら補強用の部材をロール収容作業後に容易に後付け可能で、かつ、基枠30A、30Bの立設姿勢を所定の許容範囲内に補正および安定確保できるロール製品用ラック1を提供することができる。
【0092】
(第2実施形態)
図14~
図19は、本発明の第2実施形態に係るロール製品用ラックを示している。
【0093】
本実施形態は、前述の第1実施形態と同様なパレット10および一対の基枠30A、30Bと、補強構造部50を備えたもので、パレット10上に立設させた一対の基枠30A、30Bにロール製品Rを支持させたロール製品用ラック1に、
図14に示すように、補強構造部50が後付けされるようになっている。
【0094】
ただし、補強構造部50においては、一対の基枠30A、30Bの両外側柱部31、32の上端部と、そこに連結される各一対の筋交部材51A、52A、51B、52Bの一方の端部75a、75bとが、第1実施形態とは構成が相違する。
【0095】
すなわち、
図15に示すように、一対の基枠30A、30Bの両外側柱部31、32は、それぞれの上端部31t側に、一対の連結棒53、54の下向きの係合爪53a、53bまたは54a、54bを上下方向に嵌入させることができる角形の嵌合孔部e3を形成する略コの字形の第1の突出支持部31sと、突出支持部31sの下方側に配置され、上下に図中d1方向に延びる嵌合溝部e4を形成する略T字形の断面形状を有する第2の突出支持部31gとを有している。
【0096】
第1の突出支持部31sは、立設された各基枠30A、30Bの両外側柱部31、32の軸方向高さおよび高さ方向幅が、外側柱部31、32の横幅方向(d1方向)の全域で一定であり、係合爪53a、53bの係合長さより短くなっている。また、外側柱部31、32からの第1の突出支持部31sの内面側の突出高さは、その連結棒53、54の長さ方向における係合爪53a、53bの厚さよりわずかに大きくなっている。
【0097】
また、
図16(a)および
図16(b)に示すように、パレット10の両側辺部相当の骨材11aの所定の取付位置P1、P2には、それぞれ、方形の凸部11pと共に図中d2方向の両側にd1方向に延びる嵌合溝部e5を形成する略T字形断面形状をなすパレット側突出支持部11tが設けられており、各パレット側突出支持部11tは、パレット10の外枠の一側辺部相当の骨材11aを貫通するボルト11sによってその骨材11aに一体に固定されている。
【0098】
さらに、
図17および
図18に示すように、一方側の筋交部材51A、51Bおよび他方側の筋交部材52A、52Bは、一対の基枠30A、30Bの両外側柱部31a、31b、32a、32bの上端部31t、特に、第1の突出支持部31sおよび第2の突出支持部31gのうち少なくとも第2の突出支持部31gに対して、
図15中のd1方向(パレット10の短手方向)に着脱可能に嵌合する曲げ板状の第1結合部75a、75b(以下、単に第1結合部75ともいう)を有している。
【0099】
図14、
図15および
図17ないし
図19に示すように、各第1結合部75は、第2の突出支持部31gの上下一対の嵌合溝部e4に対してパレット10の外方側から水平方向(パレット10の短手方向d1)に着脱可能に嵌合される上下一対の板状の水平嵌合部76と、それら水平嵌合部76の嵌合状態で、対応する突出支持部31sまたは32sを間に挟んで鉛直方向に離間する上下の嵌合穴形成部77a、77b(
図19参照)を有する突出嵌合部77と、一対の基枠30A、30Bの両外側柱部31、32のいずれかの上端部31tに対して水平嵌合部76の嵌合方向の所定位置で衝合し、水平嵌合部76の嵌合位置を規定するストッパ部75sと、を有している。
【0100】
さらに、
図16(b)に示すように、筋交部材51、52のそれぞれの第2結合部56a、56bも、パレット10のパレット側突出支持部11tに対して外方側からd1方向である水平方向に着脱可能に嵌合される水平嵌合部として構成されている。
【0101】
図17(a)に示すように、突出嵌合部77は、第1の突出支持部31sを覆うように配置され、かつ、
図18に示すように、上下の嵌合穴形成部77a、77bに連結棒53、54の係合爪53a、53b等が嵌入される。これにより、各基枠30A、30Bの両外側柱部31、32の上端部31tに設けられた突出支持部31sまたは32sと、それを覆うように位置決めされた突出嵌合部77の上下の嵌合穴形成部77a、77bとは、双方によって実質的に2つの角形の嵌合孔部e1、e2を形成するようになっており、連結棒53の係合爪53a、53bまたは連結棒54の係合爪54a、54bが嵌合孔部e1、e2に嵌入されたとき、各筋交部材51、52の上端部をなす第1結合部75は、突出支持部31sまたは32sと係合爪53a、53bとによってd1方向の移動を規制され、抜止めされた結合状態となるように構成されている。
【0102】
よって、この結合時には、一対の連結棒53、54を各一対の筋交部材51、52の上端部間にかけ渡すだけで、一対の連結棒53、54を固定する専用の固定部材が不要である。
【0103】
図16(b)に示すように、筋交部材51、52の下端側の端部をなす第2結合部56a、56bは、また、ボルト11sによって比較的がたつきの少ない嵌合設定ができるし、パレット側突出支持部11tに対して抜止め用のフック部を設けたり、移動規制手段60の着脱式の位置決め部材62と同様な着脱式のロック機構で固定したりすることができる。
【0104】
その他の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0105】
本実施形態のロール製品用ラック1においては、各筋交部材51、52の第1結合部55a、55bが、各基枠30A、30Bの外則柱部31、32の上端部31t、32tに対し、第1の突出支持部31s、32sおよび第2の突出支持部31g、32gを介して、パレット10の長手方向および鉛直方向に衝合可能に結合し、各筋交部材51、52の第2結合部56a、56bが、外枠相当の骨材11a上の凸部11pに凹凸係合するよう取付位置P1、P2に着座部分56wが取り付けられる際に、各筋交部材51、52がパレット10の長手方向d2に位置決めされる。したがって、各一対の筋交部材51、52の取付けによって、一対の基枠30A、30Bの外則柱部31、32の上端部31e、32eの位置が適宜所定位置に補正され、位置決めされることになる。
【0106】
また、筋交部材51、52の取付けは所定の傾斜姿勢にしたままでの取付け作業ができるので、作業も容易である。
【0107】
また、一対の連結棒53、54によって一方側の筋交部材51A、51Bおよび他方側の筋交部材52A、52Bを連結するのと併せて、一方側の突出支持部31s同士を介して一対の一方側の外側柱部31a、31b同士を連結し、他方側の一対の突出支持部32s同士を介して一対の他方側の外側柱部32a、32b同士を連結することになり、補強構造をより強化することができ、筋交部材の外れ防止効果も高めることができる。
【0108】
さらに、このように筋交部材51、52の取付が容易であって、しかも、一対の連結棒53、54をかけ渡す際の係合位置が予め位置決めされるので、折り畳みのために一対の基枠30A、30Bのコーナー金具21A、21B、22A、22Bへの可動連結部分における摺動隙間が比較的大きくとも、一対の連結棒53、54をかけ渡す作業が容易に可能になる。
【0109】
よって、本実施形態においても、前述の第1実施形態と同様な効果を得ることができ、筋交部材51、52を外方からの取付け可能な更に作業性の良いロール製品用ラック1を提供することができる。
【0110】
なお、上述の各実施形態において、各基枠30A、30Bの外則柱部31、32の上端部31t、32tに対する各筋交部材51、52の第1結合部55a、55bの連結構造や、第1の突出支持部31s、32sおよび第2の突出支持部31g、32gに対する各筋交部材51、52の第2結合部56a、56bの連結構造は、あくまで例示であり、凹凸係合を伴う連結によって各基枠30A、30Bの倒れを補正可能な他の構成を採り得ることはいうまでもない。また、パレット10や基枠30A、30Bの構造自体も特定の構造に限定されるものでなく、筋交部材51、52や連結棒53、54のような補強部材を用いるものであればよい。
【0111】
以上説明したように、本発明のロール製品用ラックは、補強用の部材をロール収容作業後に容易に後付け可能で、かつ、基枠の立設姿勢を所定の許容範囲内に補正および安定確保できるロール製品用ラックを提供することができるものであり、かかる本発明は、ロール製品の支管の両端部を支持する一対の基枠がパレット上に折畳み可能に設けられるとともに、両基枠とパレットの間または両基枠間に補強用の部材が着脱可能に設けられるロール製品用ラック全般に有用である。
【符号の説明】
【0112】
1 ロール製品用ラック
10 パレット
11a 骨材(外枠相当の骨材、短手方向両側部分の骨材、一側辺部、他側辺部)
11b 骨材(短手方向中央側部分の骨材)
11c 骨材(長手方向両端側の骨材)
11d 支柱
11e 連結板
11f 基枠載置面
11h 嵌合穴
11p 凸部
11s ボルト
11t パレット側突出支持部
12 カバー
21、21A、21B、22、22A、22B コーナー金具
21h、22h 連結ピン用縦孔
21j 切欠き部
21t、22t 板面部
22s 内面(ストッパ面、板面)
30A、30B 基枠(支持基枠)
31、31a、31b、32、32a、32b 外側柱部
31c、32c 可動連結ピン
31d、32d ストッパピン
31e、32e、31t 上端部
31g、32g 第2の突出支持部
31p、32p 凸部(小判形の凸部)
31s、32s 第1の突出支持部
31t 上端部
34a 下側支柱部材
34b 上側支柱部材
35a 支柱連結部材(下側の支柱連結部、基枠の下端部)
35b 支柱連結部材(上側の支柱連結部)
35c 連結部材
35k1、35k2 輸送時取付穴(非規制時取付穴)
36 支管押え部材
36a ピン
37 支管受け部材
38 支管受け緩衝材
39 押え留め金具
50 補強構造部
51、52、51A、52A、51B、52B 筋交部材
53、54 連結棒
53a、53b、54a、54b 係合爪
55a、55b 一方の端部(第1結合部)
56a、56b 他方の端部(第2結合部)
57、57a、57b 突出結合部
60 移動規制手段
61 L字型金具
61a 起立板部
61b ベース板部
61c 嵌合穴
62 位置決め部材(着脱式の位置決め部材)
62h ヘッド部
62p 嵌合ピン部
75 第1結合部
75a、75b 一方の端部(第1結合部)
75s ストッパ部
76 水平嵌合部
77 突出嵌合部
77a、77b 嵌合穴形成部
d1 短手方向
d2 長手方向
e1、e2 嵌合孔部
e3 嵌合孔部
e4、e5 嵌合溝部
P1、P2 取付位置
R ロール製品
T 支管