(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130362
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】食品評価指標算出装置および食品評価指標算出プログラム
(51)【国際特許分類】
G01N 33/02 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
G01N33/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040038
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100086391
【弁理士】
【氏名又は名称】香山 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 源哉
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 啓介
(72)【発明者】
【氏名】中島 郁世
(72)【発明者】
【氏名】石田 翔太
(72)【発明者】
【氏名】本山 三知代
(57)【要約】
【課題】食品の複雑さを評価するための食品評価指標を算出することができる食品評価指標算出装置を提供する。
【解決手段】食品評価指標算出装置1は、ある食品に対して、TDS法に基づいて複数の特性用語毎に算出されたTDS曲線データに基づいて、全ての特性用語の支配率の分散を所定時間毎に算出する分散算出部23と、所定時間毎に算出された全ての特性用語の支配率の分散に基づいて、食品の複雑さを表す食品評価指標を算出する指標算出部24とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある食品に対して、TDS法に基づいて複数の特性用語毎に算出されたTDS曲線データに基づいて、全ての特性用語の支配率の分散を所定時間毎に算出する分散算出部と、
前記所定時間毎に算出された全ての特性用語の支配率の分散に基づいて、前記食品の複雑さを表す食品評価指標を算出する指標算出部とを含む、食品評価指標算出装置。
【請求項2】
ある食品に対して、予め設定された複数の特性用語を用いたTDS法によって、複数の評価者から得られる複数のTDS測定データに基づいて、特性用語毎に、前記複数のTDS測定データの総数に対する当該特性用語が選択された回数の割合を表す支配率を、第1所定時間毎に算出する支配率算出部と、
特性用語毎に、前記第1所定時間毎に算出された支配率をプロットし、得られたプロットをスムージングすることにより、前記特性用語毎のTDS曲線データを算出するTDS曲線データ算出部と、
特性用語毎のTDS曲線データに基づいて、全ての特性用語の支配率の分散を第2所定時間毎に算出する分散算出部と、
前記第2所定時間毎に算出された全ての特性用語の支配率の分散に基づいて、前記食品の複雑さを表す食品評価指標を算出する指標算出部とを含む、食品評価指標算出装置。
【請求項3】
前記指標算出部は、請求項1の前記所定時間毎または請求項2の前記第2所定時間毎に算出された全ての特性用語の支配率の分散の平均値を算出する、請求項1または2に記載の食品評価指標算出装置。
【請求項4】
前記指標算出部は、請求項1の前記所定時間毎または請求項2の前記第2所定時間毎の複数の評価時点のうち、全ての特性用語の支配率の合計値が所定の閾値以下である評価時点での全ての特性用語の支配率の分散を除外して、全ての特性用語の支配率の分散の平均値を算出する、請求項1または2に記載の食品評価指標算出装置。
【請求項5】
前記閾値が、0.4以上0.6以下の範囲内の値である、請求項4に記載の食品評価指標算出装置。
【請求項6】
前記第1所定時間と前記第2所定時間とが等しい、請求項2に記載の食品評価指標算出装置。
【請求項7】
コンピュータを、
ある食品に対して、TDS法に基づいて複数の特性用語毎に算出されたTDS曲線データに基づいて、全ての特性用語の支配率の分散を所定時間毎に算出する手段、および
前記所定時間毎に算出された全ての特性用語の支配率の分散に基づいて、前記食品の複雑さを表す食品評価指標を算出する指標算出手段として機能させるための食品評価指標算出プログラム。
【請求項8】
ある食品に対して、予め設定された複数の特性用語を用いたTDS法によって、複数の評価者から得られる複数のTDS測定データに基づいて、特性用語毎に、前記複数のTDS測定データの総数に対する当該特性用語が選択された回数の割合を表す支配率を、第1所定時間毎に算出する手段、
特性用語毎に、前記第1所定時間毎に算出された支配率をプロットし、得られたプロットをスムージングすることにより、特性用語毎のTDS曲線データを算出する手段、
特性用語毎のTDS曲線データに基づいて、全ての特性用語の支配率の分散を第2所定時間毎に算出する手段、および
前記第2所定時間毎に算出された全ての特性用語の支配率の分散に基づいて、前記食品の複雑さを表す食品評価指標を算出する指標算出手段として機能させるための食品評価指標算出プログラム。
【請求項9】
前記指標算出手段は、請求項7の前記所定時間毎または請求項8の前記第2所定時間毎に算出された全ての特性用語の支配率の分散の平均値を算出する、請求項7または8に記載の食品評価指標算出プログラム。
【請求項10】
前記指標算出手段は、請求項7の前記所定時間毎または請求項8の前記第2所定時間毎の複数の評価時点のうち、全ての特性用語の支配率の合計値が所定の閾値以下である評価時点での全ての特性用語の支配率の分散を除外して、全ての特性用語の支配率の分散の平均値を算出する、請求項8または9に記載の食品評価指標算出プログラム。
【請求項11】
前記閾値が、0.4以上0.6以下の範囲内の値である、請求項10に記載の食品評価指標算出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、食品評価指標算出装置および食品評価指標算出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
食品喫食時に知覚される複雑さ(以下、「食品の複雑さ」という。)は、食品の嗜好性に影響を与える有効な官能特性と一つとされているが、食品の複雑さを定量的に評価する方法は存在していない。
【0003】
下記特許文献1には、試験例で得られた各飲料に対して、選抜された識別能力のある6名のパネルにより、食品の複雑さの評価項目について官能評価を行うことにより、食品の複雑さを評価することが開示されている。
【0004】
具体的には、評点1~5の5段階で評価し、6名のパネルの平均値が評価スコアとされる。ただし、官能評価を行うに際して、パネル間で摺合せを実施することにより、評価基準を統一させている。
【0005】
特許文献1に記載の食品の複雑さの評価方法では、評価者(パネル)に対して食品の複雑さを独自に学習させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の目的は、食品の複雑さを評価するための食品評価指標を算出することができる、食品評価指標算出装置および食品評価指標算出プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一実施形態は、ある食品に対して、TDS法に基づいて複数の特性用語毎に算出されたTDS曲線データに基づいて、全ての特性用語の支配率の分散を所定時間毎に算出する分散算出部と、前記所定時間毎に算出された全ての特性用語の支配率の分散に基づいて、前記食品の複雑さを表す食品評価指標を算出する指標算出部とを含む、食品評価指標算出装置を定期用する。
【0009】
この構成では、食品の複雑さを評価するための食品評価指標を算出することができるようになる。
【0010】
本開示の一実施形態は、ある食品に対して、予め設定された複数の特性用語を用いたTDS法によって、複数の評価者から得られる複数のTDS測定データに基づいて、特性用語毎に、前記複数のTDS測定データの総数に対する当該特性用語が選択された回数の割合を表す支配率を、第1所定時間毎に算出する支配率算出部と、特性用語毎に、前記第1所定時間毎に算出された支配率をプロットし、得られたプロットをスムージングすることにより、前記特性用語毎のTDS曲線データを算出するTDS曲線データ算出部と、特性用語毎のTDS曲線データに基づいて、全ての特性用語の支配率の分散を第2所定時間毎に算出する分散算出部と、前記第2所定時間毎に算出された全ての特性用語の支配率の分散に基づいて、前記食品の複雑さを表す食品評価指標を算出する指標算出部とを含む、食品評価指標算出装置を提供する。
【0011】
この構成では、食品の複雑さを評価するための食品評価指標を算出することができるようになる。
【0012】
本開示の一実施形態は、コンピュータを、ある食品に対して、TDS法に基づいて複数の特性用語毎に算出されたTDS曲線データに基づいて、全ての特性用語の支配率の分散を所定時間毎に算出する手段、および前記所定時間毎に算出された全ての特性用語の支配率の分散に基づいて、前記食品の複雑さを表す食品評価指標を算出する指標算出手段として機能させるための食品評価指標算出プログラムを提供する。
【0013】
このプログラムによれば、食品の複雑さを評価するための食品評価指標を算出することができるようになる。
【0014】
本開示の一実施形態は、コンピュータを、ある食品に対して、予め設定された複数の特性用語を用いたTDS法によって、複数の評価者から得られる複数のTDS測定データに基づいて、特性用語毎に、前記複数のTDS測定データの総数に対する当該特性用語が選択された回数の割合を表す支配率を、第1所定時間毎に算出する手段、特性用語毎に、前記第1所定時間毎に算出された支配率をプロットし、得られたプロットをスムージングすることにより、特性用語毎のTDS曲線データを算出する手段、特性用語毎のTDS曲線データに基づいて、全ての特性用語の支配率の分散を第2所定時間毎に算出する手段、および前記第2所定時間毎に算出された全ての特性用語の支配率の分散に基づいて、前記食品の複雑さを表す食品評価指標を算出する指標算出手段として機能させるための食品評価指標算出プログラムを提供する。
【0015】
このプログラムによれば、食品の複雑さを評価するための食品評価指標を算出することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る食品評価装置の構成を説明するためのブロック図である。
【
図2】
図2は、TDS測定時にパーソナルコンピュータに表示される表示画面の一例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、制御装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図4】
図4は、制御装置の動作を説明するためのグラフである。
【
図5】
図5は、複雑な官能特性を有する食品に対するTDS曲線および支配率分散曲線のイメージ図である。
【
図6】
図6は単純な官能特性を有する食品に対するTDS曲線および支配率分散曲線のイメージ図である。
【
図7】
図7は、油脂無添加の鶏肉エキスのTDS曲線を示すグラフである。
【
図8】
図8は、油脂添加の鶏肉エキスのTDS曲線を示すグラフである。
【
図9】
図9は、油脂無添加の鶏肉エキスの支配率分散曲線と、油脂添加の鶏肉エキスの支配率分散曲線とを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[本開示の実施形態の説明]
本開示の一実施形態は、ある食品に対して、TDS法に基づいて複数の特性用語毎に算出されたTDS曲線データに基づいて、全ての特性用語の支配率の分散を所定時間毎に算出する分散算出部と、前記所定時間毎に算出された全ての特性用語の支配率の分散に基づいて、前記食品の複雑さを表す食品評価指標を算出する指標算出部とを含む、食品評価指標算出装置を定期用する。
【0018】
この構成では、食品の複雑さを評価するための食品評価指標を算出することができるようになる。
【0019】
本開示の一実施形態は、ある食品に対して、予め設定された複数の特性用語を用いたTDS法によって、複数の評価者から得られる複数のTDS測定データに基づいて、特性用語毎に、前記複数のTDS測定データの総数に対する当該特性用語が選択された回数の割合を表す支配率を、第1所定時間毎に算出する支配率算出部と、特性用語毎に、前記第1所定時間毎に算出された支配率をプロットし、得られたプロットをスムージングすることにより、前記特性用語毎のTDS曲線データを算出するTDS曲線データ算出部と、特性用語毎のTDS曲線データに基づいて、全ての特性用語の支配率の分散を第2所定時間毎に算出する分散算出部と、前記第2所定時間毎に算出された全ての特性用語の支配率の分散に基づいて、前記食品の複雑さを表す食品評価指標を算出する指標算出部とを含む、食品評価指標算出装置を提供する。
【0020】
この構成では、食品の複雑さを評価するための食品評価指標を算出することができるようになる。
【0021】
本開示の一実施形態では、前記指標算出部は、前記所定時間毎または前記第2所定時間毎に算出された全ての特性用語の支配率の分散の平均値を算出する。
【0022】
本開示の一実施形態では、前記指標算出部は、前記所定時間毎または前記第2所定時間毎の複数の評価時点のうち、全ての特性用語の支配率の合計値が所定の閾値以下である評価時点での全ての特性用語の支配率の分散を除外して、全ての特性用語の支配率の分散の平均値を算出する。
【0023】
本開示の一実施形態では、前記閾値が、0.4以上0.6以下の範囲内の値である。
【0024】
本開示の一実施形態では、前記第1所定時間と前記第2所定時間とが等しい。
、請求項2に記載の食品評価指標算出装置。
【0025】
本開示の一実施形態は、コンピュータを、ある食品に対して、TDS法に基づいて複数の特性用語毎に算出されたTDS曲線データに基づいて、全ての特性用語の支配率の分散を所定時間毎に算出する手段、および前記所定時間毎に算出された全ての特性用語の支配率の分散に基づいて、前記食品の複雑さを表す食品評価指標を算出する指標算出手段として機能させるための食品評価指標算出プログラムを提供する。
【0026】
このプログラムによれば、食品の複雑さを評価するための食品評価指標を算出することができるようになる。
【0027】
本開示の一実施形態は、コンピュータを、ある食品に対して、予め設定された複数の特性用語を用いたTDS法によって、複数の評価者から得られる複数のTDS測定データに基づいて、特性用語毎に、前記複数のTDS測定データの総数に対する当該特性用語が選択された回数の割合を表す支配率を、第1所定時間毎に算出する手段、特性用語毎に、前記第1所定時間毎に算出された支配率をプロットし、得られたプロットをスムージングすることにより、特性用語毎のTDS曲線データを算出する手段、特性用語毎のTDS曲線データに基づいて、全ての特性用語の支配率の分散を第2所定時間毎に算出する手段、および前記第2所定時間毎に算出された全ての特性用語の支配率の分散に基づいて、前記食品の複雑さを表す食品評価指標を算出する指標算出手段として機能させるための食品評価指標算出プログラムを提供する。
【0028】
このプログラムによれば、食品の複雑さを評価するための食品評価指標を算出することができるようになる。
【0029】
本開示の一実施形態では、前記指標算出手段は、前記所定時間毎または前記第2所定時間毎に算出された全ての特性用語の支配率の分散の平均値を算出する。
【0030】
本開示の一実施形態では、前記指標算出手段は、前記所定時間毎または前記第2所定時間毎の複数の評価時点のうち、全ての特性用語の支配率の合計値が所定の閾値以下である評価時点での全ての特性用語の支配率の分散を除外して、全ての特性用語の支配率の分散の平均値を算出する。
【0031】
本開示の一実施形態では、前記閾値が、0.4以上0.6以下の範囲内の値である。
【0032】
[本開示の実施形態の詳細な説明]
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0033】
[1]食品評価指標算出装置の構成
図1は、本開示の一実施形態に係る食品評価指標算出装置の構成を説明するためのブロック図である。
【0034】
食品評価指標算出装置1は、ある食品の複雑さを評価するための食品評価指標を算出する。以下において、食品評価指標を算出しようとしている食品を、評価対象食品ということにする。
【0035】
食品評価装置1は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)からなり、制御装置2と、表示装置3と、操作装置4と、記憶装置5とを含む。制御装置2は、CPUおよびメモリを含む。表示装置3は、例えば、液晶ディスプレイである。操作装置4は、マウス、キーボード等の入力装置を含む。なお、表示装置3は、タッチパネル式ディスプレイであってもよい。食品評価装置1は、タブレット型コンピュータから構成されていてもよい。
【0036】
記憶装置5は、ハードディスク、不揮発性メモリ等から構成されている。記憶装置5には、測定データ記憶部51が設けられている。
【0037】
測定データ記憶部51には、評価対象食品に対してTDS(Temporal Dominance of Sensations)法によって複数の評価者から得られた複数のTDS測定データが記憶されている。TDS法は、食品を賞味する際に生じる感覚の経時変化を測定するための周知の手法である。評価対象食品に対してTDS法によって評価者から得られるTDS測定データは、当該評価対象食品を当該評価者が賞味した際に生じる感覚の経時変化を表すデータである。
【0038】
なお、ここでいう評価者は、TDS測定データを作成するために、食品を賞味した際に生じる感覚の経時的変化を評価する者であり、食品の複雑さがどの程度であるかを直接評価する者ではない。
【0039】
評価対象食品に対する、ある評価者のTDS測定データは、たとえば、次のようなTDS測定(TDS評価)が行われることによって取得される。
【0040】
図2に示すように、評価者が操作可能なパーソナルコンピュータ(以下、「データ収集用コンピュータ」という。)の表示装置に、複数の特性用語を選択するための複数の用語選択ボタン101~108と、該当なしを意味する、なしボタン109と、TDS測定を開始するためのスタートボタン110とを含む表示画面100が表示される。
【0041】
なお、データ収集用コンピュータとして、食品評価装置1とは別のコンピュータが用いられてもよいし、食品評価装置1が用いられてもよい。データ収集用コンピュータの表示装置は、タッチパネル式ディスプレイであってもよい。また、データ収集用コンピュータは、タブレット型コンピュータであってもよい。
【0042】
特性用語は、知覚・官能特性を表す用語である。この例では、複数の特性用語としては、「うま味」、「脂肪味」、「塩味」、「甘味」、「鶏肉のにおい」、「バター臭」、「油臭い」および「甘いにおい」の8種類がある。そして、これら8種類の特性用語のそれぞれに対応した8個の用語選択ボタン101~108が設けられている。特性用語は、知覚・官能特性用語と称されてもよい。また、特性用語は、評価用語と称されてもよい。
【0043】
評価者は、評価対象食品のサンプルを口に入れた後、スタートボタン110を押す。これにより、用語選択ボタン101~108およびなしボタン109の操作が可能となる。スタートボタン110が押された時点が測定開示時刻(評価開始時刻)となる。評価者は、用語選択ボタン101~108のうちから、「最も注目を引き付ける感覚(支配的な感覚)」に対応するボタン101~108を1つだけ選択して押す。
【0044】
「最も注目を引き付ける感覚」が変化した場合には、その都度、評価者は、用語選択ボタン101~108のうちから、変化後の感覚に対応するボタン101~108を1つだけ選択して押す。
【0045】
評価者に感覚が生じなくなった場合には、評価者は、なしボタン109を押す。
【0046】
スタートボタン110が押されてから予め設定した測定時間(たとえば60秒)が経過した場合に、TDS測定が停止される。予め設定した測定時間が経過する前になしボタン109が押された場合にも、TDS測定が停止されるようにしてもよい。
【0047】
このようにして、評価者が選択した特性用語の経時変化がTDS測定データとして測定される。
【0048】
なお、評価者がサンプルを口に入れた直後にスタートボタン110を操作させるのではなく、評価者がサンプルを一定時間(たとえば10秒間)、口に含ませた後、サンプルを飲み込んだの直後に、スタートボタン110を操作させるようにしてもよい。この場合も、スタートボタン110が押された時点が測定開示時刻(評価開始時刻)となる。
【0049】
また、スタートボタン110を設けずに、用語選択ボタン101~108およびなしボタン109の操作が可能な状態で、評価者がサンプルを口に入れ、この後、評価者に用語選択ボタン101~108を操作させるようにしてもよい。この場合には、評価者がサンプルを口に入れた後に、最初に用語選択ボタン101~108のいずれかが押された時点が測定開示時刻(評価開始時刻)となる。
【0050】
データ収集用コンピュータが、食品評価装置1とは別のコンピュータである場合には、データ収集用コンピュータによって取得されたTDS測定データが何らかの方法によって食品評価装置1に与えられる。たとえば、データ収集用コンピュータによって取得されたTDS測定データは、電子メールによって食品評価装置1に与えられてもよいし、USBメモリ等の記憶媒体を介して食品評価装置1に与えられてもよい。
【0051】
また、データ収集用コンピュータと食品評価装置1とをネットワークを介して接続しておき、TDS測定が終了したときに、データ収集用コンピュータから食品評価装置1にTDS測定データが自動的に送信されるようにしてもよい。データ収集用コンピュータと食品評価装置1とがネットワークを介して接続されている場合には、データ収集用コンピュータ側の操作に基づいて、
図2に示すような表示画面100を、食品評価装置1からデータ収集用コンピュータに提供するようにしてもよい。
【0052】
TDS測定データは、評価者が食品を賞味した際に、複数の特性用語の中から当該評価者が選択した特性用語の経時変化を表すデータということもできる。
【0053】
測定データ記憶部51には、ある1つの評価対象食品に対してTDS法によって複数の評価者から得られた複数のTDS測定データが、たとえば、評価者および測定時刻(年月日時刻)に関連付けて記憶されている。一人の評価者に対して前述のようなTDS測定を1回のみ実行させて、当該評価者から1つのTDS測定データを取得してもよいし、一人の評価者に対して前述のようなTDS測定を2回以上実行させて、当該評価者から2以上のTDS測定データを取得してもよい。
【0054】
制御装置2は、機能処理部として、支配率算出部21と、TDS曲線データ算出部22と、分散算出部23と、評価指標算出部24とを含む。
【0055】
支配率算出部21は、測定データ記憶部51に記憶されている評価対象食品に対する複数のTDS測定データに基づいて、特性用語毎に、複数のTDS測定データの総数に対する当該特性用語が選択された回数の割合を表す支配率を、第1所定時間毎に算出する。なお、ある評価対象食品に対する複数のTDS測定データの総数は、当該評価対象食品に対して行われたTDS測定(TDS評価)の総測定回数(総評価回数)に相当する。
【0056】
TDS曲線データ算出部22は、特性用語毎に、第1所定時間毎に算出された支配率をプロットし、得られたプロットをスムージングすることにより、特性用語毎のTDS曲線データを算出する。
【0057】
分散算出部23は、特性用語毎のTDS曲線データに基づいて、全ての特性用語の支配率の分散を第2所定時間毎に算出する。
【0058】
評価指標算出部24は、第2所定時間毎に算出された全ての特性用語の支配率の分散に基づいて評価対象食品の複雑さを表す食品評価指標を算出する。
【0059】
[2]制御装置2の動作
図3は、制御装置2の動作を説明するためのフローチャートである。
【0060】
まず、制御装置2は、複数の特性用語のうちの1つを選択し、選択した特性用語を注目特性用語として設定する(ステップS1)。
【0061】
次に、制御装置2(より詳しくは支配率算出部21)は、測定データ記憶部51に記憶されている評価対象食品に対する複数のTDS測定データに基づいて、注目特性用語の支配率を第1所定時間毎に算出する(ステップS2)。
【0062】
この実施形態では、第1所定時間は0.2秒に設定されている。第1所定時間は、0.2秒以外の時間に設定されてもよい。
【0063】
ここでは、
図4(a)を参照して、注目特性用語に対する支配率の算出方法について説明する。説明の便宜上、評価者は5人であり、各評価者に対してTDS測定が1回のみ行われ、測定データ記憶部51に5つのTDS測定が記憶されているものとする。また、注目特性用語が、たとえば、甘味であるとする。
【0064】
図4(a)の帯グラフは、5人の評価者A~Eに対するTDS測定データのうち、甘味が選択された時間帯を示している。
図4(a)のクロスハッチング部分が、甘味が選択された時間帯を示している。
【0065】
支配率算出部21は、0.2秒毎の評価時点における甘味の支配率を算出する。各評価時点での支配率は、総測定回数(この例では5)に対する、当該評価時点において甘味を選択している評価者の数の比率である。
【0066】
具体的には、甘味を選択している評価者が0のときは、支配率算出部21は甘味の支配率を0として算出する。甘味を選択している評価者が一人のときは、支配率算出部21は甘味の支配率を0.2として算出する。甘味を選択している評価者が二人のときは、支配率算出部21は甘味の支配率を0.4として算出する。甘味を選択している評価者が3人のときは、支配率算出部21は甘味の支配率を0.6として算出する。
【0067】
甘味を選択している評価者が4人のときは、支配率算出部21は甘味の支配率を0.8として算出する。甘味を選択している評価者が5人のときは、支配率算出部21は甘味の支配率を1として算出する。
【0068】
図3に戻り、次に、制御装置2(より詳しくはTDS曲線データ算出部22)は、ステップS2で算出された0.2秒毎の支配率をプロットし、得られたプロットをスムージングすることにより、注目特性用語のTDS曲線データを算出する(ステップS3)。
【0069】
ステップS2において、
図4(a)の帯グラフに基づいて甘味の支配率が算出されたとすると、TDS曲線データ算出部22は、
図4(b)に示すように、ステップS2で第1所定時間毎に算出された甘味の支配率をプロットする。そして、TDS曲線データ算出部22は、
図4(b)のプロットをスムージングことにより、
図4(c)に示されるような甘味のTDS曲線データを算出する。
【0070】
次に、制御装置2は、注目特性用語として選択されていない特性用語が存在するか否かを判別する(ステップS4)。
【0071】
注目特性用語として選択されていない特性用語が存在する場合には(ステップS4:YES)、制御装置2は注目特性用語を更新する(ステップS5)。具体的には、制御装置2は、注目特性用語として選択されていない特性用語のうちから1つを選択し、選択した特性用語を注目特性用語として設定する。そして、制御装置2は、ステップS2に戻る。
【0072】
これにより、新たに設定された注目特性用語に対して前記ステップS2およびS3の処理が行われる。そして、ステップS4で、注目特性用語として選択されていない特性用語が存在しないと判別されるまで、ステップS2~ステップS4の処理が繰り返し実行される。このようにして、特性用語毎のTDS曲線データが算出される。
【0073】
特性用語毎のTDS曲線データが生成されると、ステップS4で否定判定(NO)となるので、制御装置2はステップS6に進む。ステップS6では、制御装置2(より詳しくは分散算出部23)は、特性用語毎のTDS曲線データに基づいて、全ての特性用語の支配率の分散を第2所定時間毎に算出する。
【0074】
この実施形態では、第2所定時間は、第1所定時間と同じ0.2秒に設定されている。第2所定時間は、第1所定時間とは異なる時間に設定されてもよい。第2所定時間は、第1所定時間よりも長い時間に設定されてもよいし、第1所定時間よりも短い時間に設定されてもよい。
【0075】
分散算出部23は、第2所定時間毎の各評価時点において、次式(1)に基づいて、全ての特性用語の支配率の分散s2を算出する。
【0076】
【0077】
式(1)内の各記号の意味は、次の通りである。
【0078】
s2:支配率の分散
n:特性用語の総数
xi(i=1,2,…,n-1,n):各特性用語の支配率
xa:全ての特性用語の支配率の平均値
次に、制御装置2(より詳しくは評価指標算出部24)は、第2所定時間毎に算出された全ての特性用語の支配率の分散s2の平均値を、食品評価指標として算出する(ステップS7)。
【0079】
ステップS1~S5の処理で得られた特性用語毎のTSD曲線データ、ステップS6で算出された全ての特性用語の支配率の分散s2およびステップS7で得られた全ての特性用語の支配率の分散s2の平均値は記憶装置5に記憶され、任意のタイミングで出力可能である。
【0080】
この実施形態では、支配率の分散s2の平均値が、食品の複雑さを評価するための指標(食品評価指標)である。具体的には、後述するように、食品の分散s2の平均値が小さいほど、食品の複雑さが高いことを表す。
【0081】
図5は、複雑な官能特性を有する食品に対するTDS曲線および支配率分散曲線のイメージ図である。
図6は、単純な官能特性を有する食品に対するTDS曲線および支配率の分散曲線のイメージ図である。支配率分散曲線は、TDS曲線から算出される所定時間毎の全ての特性用語の支配率の分散を、経時的にプロットすることにより得られる曲線である。
【0082】
図5および
図6では、説明の便宜上、特性用語として、term1とterm2とterm3との3種類が存在しているものとしている。
【0083】
図5(a)および
図6(a)は、3種類の特性用語term1,term2,term3それぞれに対するTDS曲線のイメージ図を示している。
図5(b)および
図6(b)は、それぞれ
図5(a)および
図6(a)から求められた支配率分散曲線のイメージ図を示している。
【0084】
図5(b)の支配率分散曲線は、
図5(a)のTDS曲線に基づいて所定時間毎(たとえば0.2秒毎)の全ての特性用語term1,term2,term3の支配率の分散s
2を算出し、得られた所定時間毎の分散s
2を経時的にプロットすることによって作成することができる。
【0085】
図6(b)の支配率分散曲線は、
図6(a)のTDS曲線に基づいて所定時間毎(たとえば0.2秒毎)の全ての特性用語term1,term2,term3の支配率の分散s
2を算出し、得られた所定時間毎の分散s
2を経時的にプロットすることによって作成することができる。
【0086】
複雑な官能特性を有する食品においては、単純な官能特性を有する食品に比べて、各特性用語の支配率は、拮抗すると考えられる(
図5(a)、
図6(a)参照)。つまり、複雑な官能特性を有する食品においては、単純な官能特性を有する食品に比べて、各特性用語の支配率の散らばりが小さくなると考えられる。
【0087】
よって、所定時間毎(本実施形態では第2所定時間毎)の全ての特性用語の支配率の分散s
2は、複雑さが高い食品ほど小さな値になりやすいと考えられる(
図5(b)、
図6(b)参照)。したがって、所定時間毎の全ての特性用語の支配率の分散s
2の平均値は、複雑さが高い食品ほど小さな値になりやすいと考えられる。
【0088】
そこで、本実施形態では、所定時間毎の全ての特性用語の支配率の分散s2の平均値を、食品の複雑化を評価するための食品評価指標として算出している。所定時間毎の全ての特性用語の支配率の分散s2の平均値を食品評価指標として用いる場合には、当該平均値が小さいほど、食品の複雑さが高いと判定することができる。つまり、本実施形態では、食品の複雑さを評価するための食品評価指標を算出することができる。これにより、食品の複雑さを、客観的にかつ定量的に評価することが可能となる。
【0089】
なお、たとえば評価開始直後と評価終了間際には特性用語の選択率が低いことが原因によって、全ての特性用語の支配率の分散s2が低下するおそれがある。そこで、所定時間毎の複数の評価時点のうち、「全ての特性用語の支配率の合計値」が所定の閾値以下である評価時点での「全ての特性用語の支配率の分散s2」を除外して、「全ての特性用語の支配率の分散s2の平均値」を算出するようにしてもよい。
【0090】
閾値αとしては、例えば、0.4以上0.6以下の範囲内の値を設定することが好ましい。例えば、閾値αが0.5に設定された場合には、所定時間毎の複数の評価時点のうち、全ての評価者のうちの半分以上の評価者がいずれの特性用語を選択していない時点での全ての特性用語の支配率の分散s2を除外して、全ての特性用語の支配率の分散s2の平均値が算出される。
【0091】
[実施例]
鶏肉エキスに油脂が添加された油脂添加の鶏肉エキスおよび油脂が添加されていない油脂添加の鶏肉エキスそれぞれについて、以下の手順で、全ての特性用語の支配率の分散s2の平均値を算出した。
【0092】
(手順1):まず、鶏もも肉を熱水抽出して鶏肉エキスを調製した。
【0093】
(手順2):次に、(手順1)で調製された鶏肉エキスの一部を取り出し、それに油脂を添加することにより、油脂添加の鶏肉エキスを調製した。
【0094】
(手順3):(手順1)で調製された鶏肉エキスを油脂無添加の鶏肉エキスとし、油脂無添加の鶏肉エキスのサンプルと油脂添加の鶏肉エキスのサンプルを、
図2に示される8種類の特性用語を用いてTDS法によって評価した。言い換えれば、油脂無添加の鶏肉エキスと油脂添加の鶏肉エキスに対してTSD測定を行った。8種類の特性用語は、「うま味」、「脂肪味」、「塩味」、「甘味」、「鶏肉のにおい」、「バター臭」、「油臭い」および「甘いにおい」からなる。
【0095】
具体的には、各サンプルについてTDS法による評価(TSD測定)を42回行った。より具体的には、評価者は11人で、そのうちの10人が各サンプルについてTDS法による評価(TSD測定)を4回行い、残りの1人が各サンプルについてTDS法による評価(TSD測定)を2回行った。したがつて、総評価回数(総TSD測定回数)は42となる。
【0096】
これにより、油脂無添加の鶏肉エキスに対して42個のTDS測定データが得られた。また、油脂添加の鶏肉エキスに対して42個のTDS測定データが得られた。
【0097】
(手順4):油脂無添加の鶏肉エキスに対する42個のTDS測定データから、特性用語毎に、油脂無添加の鶏肉エキスのTDS曲線データを算出した。また、油脂添加の鶏肉エキスに対する42個のTDS測定データから、特性用語毎に、油脂添加の鶏肉エキスのTDS曲線データを算出した。所定時間は、0.2秒である。
【0098】
図7は、油脂無添加の鶏肉エキスのTDS曲線を示すグラフである。
図8は、油脂添加の鶏肉エキスのTDS曲線を示すグラフである。
【0099】
(手順5):
図7の油脂無添加の鶏肉エキスのTDS曲線に基づいて、所定時間毎の全ての特性用語の油脂無添加の鶏肉エキスの支配率の分散s
2を算出した。また、
図8の油脂添加の鶏肉エキスのTDS曲線に基づいて、所定時間毎の全ての特性用語の油脂添加の鶏肉エキスの支配率の分散s
2を算出した。所定時間は、0.2秒である。
【0100】
図9は、油脂無添加の鶏肉エキスの支配率分散曲線と、油脂添加の鶏肉エキスの支配率分散曲線とを示すグラフである。
図9において、破線のグラフS1が油脂無添加の鶏肉エキスの支配率分散曲線を示し、実線のグラフS2が油脂添加の鶏肉エキスの支配率分散曲線を示している。
【0101】
図9から、油脂添加の鶏肉エキスの支配率の分散s
2が、油脂無添加の鶏肉エキスの支配率の分散s
2よりも小さくなっていることがわかる。
【0102】
(手順6):手順5で算出された所定時間毎の油脂無添加の鶏肉エキスの支配率の分散s2の平均値と、手順5で算出された所定時間毎の油脂添加の鶏肉エキスの支配率の分散s2の平均値とを算出した。
【0103】
油脂無添加の鶏肉エキスの支配率の分散s2の平均値は0.0103であり、油脂添加の鶏肉エキスの支配率の分散s2の平均値は0.0063であった。つまり、油脂無添加の鶏肉エキスに比べて、油脂添加の鶏肉エキスの方が、支配率の分散の平均値が小さくなった。
【0104】
したがって、支配率の分散の平均値を食品評価指標として食品の複雑さを評価した場合、油脂添加の鶏肉エキスの複雑さは、油脂無添加の鶏肉エキスの複雑さよりも高いと評価される。
【0105】
[その他]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は他の形態でも実施することができる。
【0106】
前述の実施形態では、所定時間毎の全ての特性用語の支配率の分散s
2の平均値を、食品の複雑化を評価するための食品評価指標として算出している。しかし、
図3のステップS6で算出された所定時間毎の全ての特性用語の支配率の分散s
2の積算値(総和)を、食品の複雑化を評価するための食品評価指標として算出してもよい。
【0107】
つまり、
図3のステップS6で算出された所定時間毎の全ての特性用語の支配率の分散s
2の全体的な大きさを表すような値であれば、分散s
2の平均値以外の値を食品の複雑化を評価するための食品評価指標として算出してもよい。
【0108】
また、
図3のステップS6で算出された所定時間毎の全ての特性用語の支配率の分散s
2の全体に含まれている所定の閾値β以下の分散s
2の、全体に対する割合を、食品の複雑化を評価するための食品評価指標として算出してもよい。この場合には、当該割合が大きいほど、食品の複雑さが高いと判定される。閾値βは、たとえば、0.005以上0.01以下の範囲内の値に設定される。
【0109】
いずれの食品評価指標を算出する場合においても、所定時間毎の複数の評価時点のうち、全ての特性用語の支配率の合計値が閾値α以下である評価時点での全ての特性用語の支配率の分散s2を除外して、食品評価指標を算出してもよい。
【0110】
また、前述の実施形態では、記憶装置5に評価対象食品に対する複数のTDS測定データが記憶されている。しかし、評価対象食品に対して、TDS法に基づいて複数の特性用語毎に算出されたTDS曲線データが、たとえば外部から与えられて記憶装置5に記憶されてもよい。そのような場合には、分散算出部23(
図1参照)は、記憶装置5に記憶されている複数の特性用語毎に算出されたTDS曲線データに基づいて、全ての特性用語の支配率の分散を所定時間毎に算出するようにすればよい。そして、指標算出部24は、所定時間毎に算出された全ての特性用語の支配率の分散に基づいて、評価対象食品の複雑さを表す食品評価指標を算出すればよい。つまり、その場合には、制御装置2は、支配率算出部21およびTDS曲線データ算出部22を含んでいなくてもよい。
【0111】
前述の実施形態では、特性用語としては、「うま味」、「脂肪味」、「塩味」、「甘味」、「鶏肉のにおい」、「バター臭」、「油臭い」および「甘いにおい」の8種類が設定されているが、特性用語の種類数および内容は、任意に設定することができる。
【0112】
本開示は、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0113】
1 食品評価指標算出装置
2 制御装置
3 表示装置
4 操作装置
5 記憶装置
21 支配率算出部
22 TDS曲線データ算出部
23 分散算出部
24 評価指標算出部
51 測定データ記憶部
101~108 用語選択ボタン
109 なしボタン
110 スタートボタン