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特開2024-130456半導体製造装置、ヘッドテーブルおよび半導体装置の製造方法
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  • 特開-半導体製造装置、ヘッドテーブルおよび半導体装置の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130456
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】半導体製造装置、ヘッドテーブルおよび半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
H01L21/52 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040188
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】515085901
【氏名又は名称】ファスフォードテクノロジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】三枝 伶
(72)【発明者】
【氏名】松添 明央
(72)【発明者】
【氏名】星野 優人
【テーマコード(参考)】
5F047
【Fターム(参考)】
5F047FA07
5F047FA73
5F047FA83
5F047FA90
(57)【要約】
【課題】ボンドヘッドの上下方向の移動に伴う振動を低減することが可能な技術を提供することにある。
【解決手段】半導体製造装置は、ダイを保持するヘッドと、前記ヘッドを水平方向の第一方向に駆動する第二テーブルと、前記第二テーブルを上下方向に駆動する第一テーブルと、を備えるヘッドテーブルと、を備える。前記第一テーブルは、前記第二テーブルが駆動される方向と反対方向に駆動される第一カウンタウエイトを備える。前記第二テーブルは、前記ヘッドが駆動される方向と反対方向に駆動される第二カウンタウエイトを備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイを保持するヘッドと、
前記ヘッドを水平方向の第一方向に駆動する第二テーブルと、前記第二テーブルを上下方向に駆動する第一テーブルと、を備えるヘッドテーブルと、
を備え、
前記第一テーブルは、前記第二テーブルが駆動される方向と反対方向に駆動される第一カウンタウエイトを備え、
前記第二テーブルは、前記ヘッドが駆動される方向と反対方向に駆動される第二カウンタウエイトを備える半導体製造装置。
【請求項2】
請求項1の半導体製造装置において、
前記第一テーブルは、
装置架台に固定され、上下方向に延伸する第一ベースと、
前記第一ベースの側面に設けられ、前記第二テーブルに固定される第一可動子と第一カウンタウエイトに固定される第二可動子とを備える駆動部と、
を備える半導体製造装置。
【請求項3】
請求項2の半導体製造装置において、
前記第一テーブルは、
前記第一ベースの側面に上下方向に延伸して設けられ、前記第二テーブルに固定される第一ブロックおよび前記第一カウンタウエイトに固定される第三ブロックが移動可能な第一直動ガイドと、
前記第一ベースの側面に上下方向に延伸して設けられ、前記第二テーブルに固定される第二ブロックおよび前記第一カウンタウエイトに固定される第四ブロックが移動可能な第二直動ガイドと、
を備え、
前記駆動部は前記第一直動ガイドと前記第二直動ガイドとの間に配置される半導体製造装置。
【請求項4】
請求項3の半導体製造装置において、
前記駆動部は、さらに、固定子を備えるリニアモータである半導体製造装置。
【請求項5】
請求項3の半導体製造装置において、
前記駆動部は、さらに、回転モータと前記第一可動子および前記第二可動子に螺合するボールネジを備える半導体製造装置。
【請求項6】
請求項3の半導体製造装置において、
前記第二テーブルは、
前記第一ブロックおよび前記第二ブロックに固定される第二ベースと、
前記第二ベースの側面に設けられ、前記ヘッドを移動させる第三可動子と第二カウンタウエイトを移動させる第四可動子とを備える駆動部と、
を備える半導体製造装置。
【請求項7】
請求項6の半導体製造装置において、
前記第二テーブルは、
前記第二ベースの側面に水平方向に延伸して設けられ、前記ヘッドに固定される第五ブロックおよび前記第二カウンタウエイトに固定される第六ブロックが移動可能な第三直動ガイドと、
を備える半導体製造装置。
【請求項8】
請求項7の半導体製造装置において、
前記駆動部は、さらに、前記第二ベースの側面に水平方向に延伸して設けられる固定子を備えるリニアモータである半導体製造装置。
【請求項9】
請求項1の半導体製造装置において、
前記第一テーブルは、
装置架台に立設される第一ベースと、
前記第一ベースの側面に設けられ、前記第二テーブルに固定される第一可動子と第一固定子とを備えるリニアモータと、
前記第一ベースの側面に上下方向に延伸して設けられ、前記第二テーブルに固定される第一ブロックが移動可能な第一直動ガイドと、
前記第一ベースの側面に上下方向に延伸して設けられ、前記第二テーブルに固定される第二ブロックが移動可能な第二直動ガイドと、
前記第一ベースと前記第一固定子の間に設けられ、前記第一固定子が移動可能な第四直動ガイドと、
前記第一ベースに固定して設けられる第二可動子と、
を備える半導体製造装置。
【請求項10】
請求項9の半導体製造装置において、
前記第二テーブルは、
前記第一ブロックおよび前記第二ブロックに固定される第二ベースと、
前記第二ベースの側面に水平方向に延伸して設けられ、前記ヘッドを移動させる第三可動子とカウンタウエイトを移動させる第四可動子と第二固定子とを備えるリニアモータと、
前記第二ベースの側面に水平方向に延伸して設けられ、前記ヘッドが固定される第五ブロックおよび前記カウンタウエイトに固定される第六ブロックが移動可能な第三直動ガイドと、
を備える半導体製造装置。
【請求項11】
請求項1の半導体製造装置において、
前記第一テーブルは、
装置架台に固定され、上下方向に延伸する第一ベースと、
前記第一ベースの上面に設けられ、前記第二テーブルに固定される第一可動子と第一カウンタウエイトに固定される第二可動子とを備える駆動部と、
前記第一ベースの側面に上下方向に延伸して設けられ、前記第二テーブルに固定される第一ブロックが移動可能な第一直動ガイドと、
前記第一ベースの側面に上下方向に延伸して設けられ、前記第二テーブルに固定される第二ブロックが移動可能な第二直動ガイドと、
前記第一ベースの側面に上下方向に延伸して設けられ、前記第一カウンタウエイトに固定される第三ブロックが移動可能な第五直動ガイドと、
前記第一ベースの側面に上下方向に延伸して設けられ、前記第一カウンタウエイトに固定される第四ブロックが移動可能な第六直動ガイドと、
を備える半導体製造装置。
【請求項12】
請求項11の半導体製造装置において、
前記駆動部は、さらに、回転モータと、前記回転モータによって駆動されるボールネジと、前記ボールネジに螺合するナットと傾斜カムを有し、前記ボールネジの回転によって前記第一可動子を動かす第一変換部と、前記ボールネジに螺合するナットと傾斜カムを有し、前記ボールネジの回転によって前記第二可動子を動かす第二変換部と、を備える半導体製造装置。
【請求項13】
請求項11の半導体製造装置において、
前記駆動部は、さらに、回転モータと、前記回転モータによって駆動される回転軸と、前記回転軸に設けられるギアを備え、
前記第一可動子は前記ギアに嵌合する第一ギアを有し、
前記第二可動子は前記ギアに嵌合する第二ギアを有する半導体製造装置。
【請求項14】
請求項1から13の何れか1項の半導体製造装置において、
前記ヘッドテーブルは、さらに、前記第一テーブルを水平方向の前記第一方向と異なる第二方向に駆動する第三テーブルを備え、
前記第三テーブルは、前記第一テーブルが駆動される方向と反対方向に駆動される第三カウンタウエイトを備える半導体製造装置。
【請求項15】
請求項1から13の何れか1項の半導体製造装置において、
前記第二カウンタウエイトは第二ボンドヘッドである半導体製造装置。
【請求項16】
ヘッドを水平方向の第一方向に駆動する第二テーブルと、
前記第二テーブルを上下方向に駆動する第一テーブルと、
を備え、
前記第一テーブルは、前記第二テーブルが駆動される方向と反対方向に駆動される第一カウンタウエイトを備え、
前記第二テーブルは、前記ヘッドが駆動される方向と反対方向に駆動される第二カウンタウエイトを備えるヘッドテーブル。
【請求項17】
ダイを保持するヘッドと、前記ヘッドを水平方向の第一方向に駆動する第二テーブルと、前記第二テーブルを上下方向に駆動する第一テーブルと、を備えるヘッドテーブルと、を備え、前記第一テーブルは、前記第二テーブルが駆動される方向と反対方向に駆動される第一カウンタウエイトを備え、前記第二テーブルは、前記ヘッドが駆動される方向と反対方向に駆動される第二カウンタウエイトを備える半導体製造装置にダイが保持されたウエハリングを搬入する工程と、
前記ウエハリングから前記ダイをピックアップする工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は半導体製造装置に関し、例えばダイボンダに適用可能である。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程の一工程として、ボンドヘッドに設けられたコレット(吸着ノズル)を使ってダイがピックアップされ、ピックアップされたダイが基板にボンドされるダイボンディング工程がある(例えば、特開2017-69418号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-69418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ダイボンディング工程では、ボンドヘッドを上下方向に移動する際に発生する振動によってボンド精度が悪化することがある。
【0005】
本開示の課題は、ボンドヘッドの上下方向の移動に伴う振動を低減することが可能な技術を提供することにある。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
すなわち、半導体製造装置は、ダイを保持するヘッドと、前記ヘッドを水平方向の第一方向に駆動する第二テーブルと、前記第二テーブルを上下方向に駆動する第一テーブルと、を備えるヘッドテーブルと、を備える。前記第一テーブルは、前記第二テーブルが駆動される方向と反対方向に駆動される第一カウンタウエイトを備える。前記第二テーブルは、前記ヘッドが駆動される方向と反対方向に駆動される第二カウンタウエイトを備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ボンドヘッドの上下方向の移動に伴う振動を低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は実施形態におけるダイボンダの構成例を示す概略上面図である。
図2図2図1において矢印A方向から見たときの概略構成を説明する図である。
図3図3図1に示すダイボンダの制御系の概略構成を示すブロック図である。
図4図4図1に示すダイボンダを用いた半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
図5図5図1に示すボンドヘッドテーブルの構成を示す側面図である。
図6図6図5のボンドヘッドテーブルのZテーブルの構成を示す側面図である。
図7図7は第一可動子および第二可動子の速度と時間との関係を示す図である。
図8図8は第一変形例におけるボンドヘッドテーブルの構成を示す側面図である。
図9図9は第二変形例におけるボンドヘッドテーブルの構成を示す側面図である。
図10図10図9に示すボンドヘッドテーブルのZテーブルの構成を示す側面図である。
図11図11図10に示すZテーブルの固定子および可動子を取り除いた構成を示す側面図である。
図12図12は第三変形例におけるZテーブルの構成を示す側面図である。
図13図13は第三変形例におけるYテーブルの構成を示す側面図である。
図14図14は第四変形例におけるZテーブルの構成を示す側面図である。
図15図15は第五変形例におけるボンドヘッドテーブルのXテーブルの構成を示す上面図である。
図16図16は第六変形例におけるボンドヘッドテーブルのZテーブルの構成を示す上面図である。
図17図17は第七変形例におけるボンドヘッドテーブルのZテーブルの構成を示す上面図である。
図18図18は第八変形例におけるボンドヘッドテーブルの構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態および変形例について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合がある。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0010】
半導体製造装置の一実施形態であるダイボンダの構成について図1および図2を用いて説明する。図1は実施形態におけるダイボンダの構成例を示す概略上面図である。図2図1において矢印A方向から見たときの概略構成を説明する図である。
【0011】
ダイボンダ1は、大別して、ウエハ供給部10と、ピックアップ部20、中間ステージ部30と、ボンディング部40と、搬送部50、基板供給部60と、基板搬出部70と、制御部(制御装置)80と、を有する。Y2-Y1方向がダイボンダ1の前後方向であり、X2-X1方向が左右方向であり、Z1-Z2方向が上下方向である。ウエハ供給部10がダイボンダ1の前側に配置され、ボンディング部40が後側に配置される。
【0012】
ウエハ供給部10は、ウエハカセットリフタ11と、ウエハ保持台12と、剥離ユニット13と、ウエハ認識カメラ14と、を有する。
【0013】
ウエハカセットリフタ11は複数のウエハリングWRが格納されるウエハカセット(不図示)をウエハ搬送高さまで上下動させる。ウエハ修正シュート(不図示)はウエハカセットリフタ11から供給されるウエハリングWRのアライメントを行う。ウエハエキストラクタ(不図示)はウエハリングWRをウエハカセットから取出してウエハ保持台12に供給したり、ウエハ保持台12から取り出してウエハカセットに収納したりする。
【0014】
ダイシングテープDT上にウエハWが接着(貼付)されており、そのウエハWは複数のダイDに分割されている。ダイシングテープDTはウエハリングWRに保持されている。ウエハWは、例えば、半導体ウエハであり、ダイDは半導体チップである。ウエハWとダイシングテープDTとの間にダイアタッチフィルム(DAF)と呼ばれるフィルム状の接着材料DFを貼り付けている。接着材料DFは加熱することで硬化する。
【0015】
ウエハ保持台12は図示しない駆動部によってX1-X2方向およびY1-Y2方向に移動し、ピックアップするダイDを剥離ユニット13の位置に移動させる。また、ウエハ保持台12は図示しない駆動部によってXY平面内においてウエハリングWRを回転させる。剥離ユニット13は不図示の駆動部によって上下方向に移動する。剥離ユニット13はダイシングテープDTからダイDを剥離する。
【0016】
ウエハ認識カメラ14はウエハWからピックアップするダイDのピックアップ位置を把握したり、ダイDの表面検査をしたりする。
【0017】
ピックアップ部20は、ピックアップヘッド21と、ピックアップヘッドテーブル(PHT)23と、を有する。ピックアップヘッド21には、剥離されたダイDを先端に吸着保持するコレット22が設けられる。ピックアップヘッド21はウエハ供給部10からダイDをピックアップし、中間ステージ31に載置する。ピックアップヘッドテーブル23はピックアップヘッド21をZ1-Z2方向、Y1-Y2方向およびX1-X2方向に移動させる。なお、ピックアップヘッドテーブル23は、ピックアップヘッド21を回転させてもよい。
【0018】
中間ステージ部30は、ダイDが載置される中間ステージ31と、中間ステージ31上のダイDを認識するためのステージ認識カメラ34と、を有する。中間ステージ31は載置されたダイDを吸着する吸引孔を備える。載置されたダイDは中間ステージ31に一時的に保持される。中間ステージ31はダイDが載置される載置ステージであると共に、ダイDがピックアップされるピックアップステージでもある。
【0019】
ボンディング部40は、ボンドヘッド41と、ボンドヘッドテーブル(BHT)43と、基板認識カメラ44と、ボンドステージ46と、を有する。ボンドヘッド41にはダイDを先端に吸着保持するコレット42が設けられる。ボンドヘッドテーブルはボンドヘッド41をZ1-Z2方向、Y1-Y2方向およびX1-X2方向に移動させる。なお、ボンドヘッドテーブル43は、ボンドヘッド41を回転させてもよい。基板認識カメラ44は基板Sを撮像し、ボンド位置を認識する。ここで、基板Sは、例えば、配線基板やリードフレーム等がある。基板Sには、最終的に一つのパッケージとなる、複数の製品エリア(以下、パッケージエリアPという。)が形成されている。また、基板Sには、パッケージエリアPの位置認識マーク(不図示)が形成されている。ボンドステージ46は、基板SにダイDが載置される際、上昇させられ、基板Sを下方から支える。ボンドステージ46は基板Sを真空吸着するための吸引口(不図示)を有し、基板Sを固定することが可能である。ボンドステージ46は基板Sを加熱する加熱部(不図示)を有する。
【0020】
このような構成によって、ボンドヘッド41は、ステージ認識カメラ34の撮像データに基づいてピックアップ位置や姿勢を補正し、中間ステージ31からダイDをピックアップする。そして、ボンドヘッド41は、基板認識カメラ44の撮像データに基づいて基板SのパッケージエリアP上にボンドし、または既に基板SのパッケージエリアPの上にボンドされたダイの上に積層する形でボンドする。
【0021】
搬送部50は、基板Sを掴み搬送する搬送爪51と、基板Sが移動する搬送レーン52と、を有する。基板Sは、搬送レーン52に設けられた搬送爪51の図示しないナットを搬送レーン52に沿って設けられた図示しないボールネジで駆動することによってX1方向に移動する。このような構成によって、基板Sは、基板供給部60から搬送レーン52に沿ってボンド位置まで移動し、ボンド後、基板搬出部70まで移動して、基板搬出部70に基板Sを渡す。
【0022】
基板供給部60は、搬送治具に格納されて搬入された基板Sを搬送治具から取り出して搬送部50に供給する。基板搬出部70は、搬送部50により搬送された基板Sを搬送治具に格納する。
【0023】
次に、制御部80について図3を用いて説明する。図3図1に示すダイボンダの制御系の概略構成を示すブロック図である。
【0024】
制御系8は制御部(制御装置)80と駆動部86と信号部87と光学系88とを備える。制御部80は、大別して、主としてCPU(Central Processing Unit)で構成される制御・演算装置81と、記憶装置82と、入出力装置83と、バスライン84と、電源部85とを有する。記憶装置82は主記憶装置82aと補助記憶装置82bとを有する。主記憶装置82aは、処理プログラムなどを記憶しているRAM(Random Access Memory)で構成されている。補助記憶装置82bは制御に必要な制御データや画像データ等を記憶しているHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等で構成されている。
【0025】
入出力装置83は、装置状態や情報等を表示するモニタ83aと、オペレータの指示を入力するタッチパネル83bと、モニタ83aを操作するマウス83cと、光学系88からの画像データを取り込む画像取込装置83dと、を有する。入出力装置83は、さらに、モータ制御装置83eと、I/O信号制御装置83fと、焦点制御装置83gと、を有する。モータ制御装置83eは、ウエハ供給部10のXYテーブル(図示せず)やピックアップヘッドテーブル23、ボンドヘッドテーブル43の駆動部、剥離ユニット13の駆動部等を制御する。I/O信号制御装置83fは、種々のセンサや照明装置などの明るさを制御するスイッチやボリューム等を含む信号部87から信号を取り込み又は制御する。光学系88には、ウエハ認識カメラ14、ステージ認識カメラ34、基板認識カメラ44が含まれる。ウエハ認識カメラ14、ステージ認識カメラ34および基板認識カメラ44は光強度や色を数値化する。制御・演算装置81はバスライン84を介して必要なデータを取込み、演算し、ピックアップヘッド21等の制御や、モニタ83a等に情報を送る。
【0026】
制御部80は画像取込装置83dを介してウエハ認識カメラ14、ステージ認識カメラ34および基板認識カメラ44で撮像した画像データを記憶装置82に保存する。保存した画像データに基づいてプログラムしたソフトウエアにより、制御・演算装置81を用いてダイDおよび基板SのパッケージエリアPの位置決め、並びにダイDおよび基板Sの表面検査を行う。制御・演算装置81が算出したダイDおよび基板SのパッケージエリアPの位置に基づいてソフトウエアによりモータ制御装置83eを介して駆動部86を動かす。このプロセスによりウエハ上のダイの位置決めを行い、ピックアップヘッドテーブル23およびボンドヘッドテーブル43を動作させダイDを基板SのパッケージエリアP上にボンドする。
【0027】
ダイボンダ1を用いた半導体装置の製造工程の一部(半導体装置の製造方法)について図4を用いて説明する。図4図1に示すダイボンダを用いた半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。以下の説明において、ダイボンダ1を構成する各部の動作は制御部80により制御される。
【0028】
(ウエハ搬入工程:工程S1)
ウエハリングWRがウエハカセットリフタ11のウエハカセットに供給される。供給されたウエハリングWRがウエハ保持台12に供給される。
【0029】
(基板搬入工程:工程S2)
基板Sが格納された搬送治具が基板供給部60に供給される。基板供給部60で搬送治具から基板Sが取り出され、基板Sが搬送爪51に固定される。
【0030】
(ピックアップ工程:工程S3)
工程S1後、所望するダイDをダイシングテープDTからピックアップできるようにウエハ保持台12が動かされる。ウエハ認識カメラ14によりダイDが撮影され、撮影により取得された画像データに基づいてダイDの位置決めおよび表面検査が行われる。画像データを画像処理することによって、ダイボンダのダイ位置基準点からのウエハ保持台12上のダイDのずれ量(X、Y、θ方向)が算出されて位置決めが行われる。なお、ダイ位置基準点は、予め、ウエハ保持台12の所定の位置を装置の初期設定として保持されている。画像データを画像処理することによって、ダイDの表面検査が行われる。
【0031】
位置決めされたダイDは剥離ユニット13およびピックアップヘッド21によりダイシングテープDTから剥離される。ダイシングテープDTから剥離されたダイDは、ピックアップヘッド21に設けられたコレット22に吸着、保持されて、中間ステージ31に搬送されて載置される。
【0032】
ステージ認識カメラ34により中間ステージ31の上のダイDが撮影され、撮影により取得された画像データに基づいてダイDの位置決めおよび表面検査が行われる。画像データを画像処理することによって、ダイボンダのダイ位置基準点からの中間ステージ31上のダイDのずれ量(X、Y、θ方向)が算出されて位置決めが行われる。なお、ダイ位置基準点は、予め、中間ステージ31の所定の位置を装置の初期設定として保持されている。画像データを画像処理することによって、ダイDの表面検査が行われる。
【0033】
ダイDを中間ステージ31に搬送したピックアップヘッド21はウエハ供給部10に戻される。上述した手順に従って、次のダイDがダイシングテープDTから剥離され、以後同様の手順に従ってダイシングテープDTから1個ずつダイDが剥離される。
【0034】
(ボンド工程:工程S4)
搬送部50により基板Sがボンドステージ46に搬送される。ボンドステージ46上に載置された基板Sが基板認識カメラ44により撮像され、撮影によって画像データが取得される。画像データが画像処理されることによって、ダイボンダ1の基板位置基準点からの基板Sのずれ量(X、Y、θ方向)が算出される。なお、基板位置基準点は、予め、ボンディング部40の所定の位置を装置の初期設定として保持されている。
【0035】
工程S3において算出された中間ステージ31上のダイDのずれ量からボンドヘッド41の吸着位置が補正されてダイDがコレット42により吸着される。中間ステージ31からダイDを吸着したボンドヘッド41によりボンドステージ46に支持された基板Sの所定箇所にダイDがボンドされる。基板認識カメラ44により基板SにボンドされたダイDが撮影され、撮影により取得された画像データに基づいてダイDが所望の位置にボンドされたかどうか等の検査が行われる。
【0036】
ダイDを基板Sにボンドしたボンドヘッド41は中間ステージ31に戻される。上述した手順に従って、次のダイDが中間ステージ31からピックアップされ、基板Sにボンドされる。これが繰り返されて基板SのすべてのパッケージエリアPにダイDがボンドされる。
【0037】
(基板搬出工程:工程S5)
ダイDがボンドされた基板Sが基板搬出部70に搬送される。基板搬出部70で搬送爪51から基板Sが取り出されて搬送治具に格納される。ダイボンダ1から基板Sが格納されている搬送治具が搬出される。
【0038】
上述したように、ダイDは、基板S上に実装され、ダイボンダ1から搬出される。その後、例えば、ダイDが実装された基板Sが格納された搬送治具がワイヤボンディング工程に搬送され、ダイDの電極はAuワイヤ等を介して基板Sの電極と電気的に接続される。そして、基板Sがモールド工程に搬送され、ダイDとAuワイヤとをモールド樹脂(図示せず)で封止することによって、半導体パッケージが完成する。
【0039】
積層ボンドする場合は、ワイヤボンディング工程に続いて、ダイDが実装された基板Sが載置格納された搬送治具がダイボンダに搬入されて基板S上に実装されたダイDの上にダイDが積層され、ダイボンダから搬出された後、ワイヤボンディング工程でAuワイヤを介して基板Sの電極と電気的に接続される。第二段目より上のダイDは、上述した方法でダイシングテープDTから剥離された後、ボンディング部に搬送されてダイDの上に積層される。上記工程が所定回数繰り返された後、基板Sがモールド工程に搬送され、複数個のダイDとAuワイヤとをモールド樹脂(図示せず)で封止することによって、積層パッケージが完成する。
【0040】
ボンドヘッドテーブル43について図5および図6を用いて説明する。図5図1に示すボンドヘッドテーブルの構成を示す側面図である。図6図5に示すボンドヘッドテーブルのZテーブルの構成を示す側面図である。
【0041】
ボンドヘッドテーブル43は、ボンドヘッド41をY1-Y2方向に動かすYテーブル432と、Yテーブル432をZ1-Z2方向に動かすZテーブル431と、を有する。
【0042】
第一テーブルとしてのZテーブル431は、ダイDを中間ステージ31からピックアップするおよびダイDを基板Sにボンドするために、Yテーブル432を上下方向に動かしてボンドヘッド41を昇降させる。Zテーブル431はリニアモータでYテーブル432を駆動する構成である。
【0043】
第二テーブルとしてのYテーブル432は、ボンドヘッド41を中間ステージ31内のピックアップ位置とボンドステージ46内のボンディングポイントとの間を往復させる。Yテーブル432はリニアモータでボンドヘッド41を駆動する構成である。
【0044】
図6に示すように、Zテーブル431は、第一ベースとしてのベース101と、ベース101のX2側の側面に設置される第一直動ガイドとしての直動ガイド102と、を備える。Zテーブル431は、さらに、直動ガイド102に平行にベース101のX2側の側面に配置される第二直動ガイドとしての直動ガイド103と、直動ガイド102と直動ガイド103との間に設置される第一固定子としての固定子104と、を備える。
【0045】
ベース101はダイボンダ1の架台(不図示)に対して垂直方向(Z1-Z2方向)に延伸してる。ベース101は、例えば、その上部または下部がダイボンダ1の架台に取り付けられている。直動ガイド102,103はZ1-Z2方向に延伸している。直動ガイド102は固定子104のY1側に配置され、直動ガイド103は固定子104のY2側に配置される。
【0046】
Zテーブル431は、さらに、直動ガイド102に沿って移動(スライド)する第一ブロックとしてのブロック102aおよび第三ブロックとしてのブロック102bと、を備える。Zテーブル431は、さらに、直動ガイド103をスライドする第二ブロックとしてのブロック103aおよび第四ブロックとしてのブロック103bと、を備える。好ましくは、ブロック102a,102b,103a,103bの質量はそれぞれ同じである。好ましくは、ブロック102a,102b,103a,103bのY1-Y2方向の長さはそれぞれ同じである。好ましくは、ブロック102a,102b,103a,103bのZ1-Z2方向の長さはそれぞれ同じである。
【0047】
固定子104はZ1-Z2方向に延伸している。固定子104は、N極とS極の永久磁石が交互にZ1-Z2方向に多数配列されて構成されている磁石部104aと、隣り合う永久磁石の磁束を結合する平板状のヨーク104bと、を備える。磁石部104aはヨーク104bのX2側の面に設けられている。
【0048】
Zテーブル431は、さらに、固定子104のX2側の側面に設けられた第一可動子としての可動子105と第二可動子としての可動子106とを備える。可動子105,106は、電流により磁束を生成するコイルとコアと隣り合う磁束を結合するヨークとを備え、電磁石を構成している。固定子104、可動子105,106は駆動部を構成する。
【0049】
好ましくは、可動子105および可動子106の質量は同じである。好ましくは、可動子105および可動子106のY1-Y2方向の長さは同じである。好ましくは、可動子105および可動子106のZ1-Z2方向の長さは同じである。
【0050】
可動子105およびブロック102a,103aはYテーブル432のベース201のX1側の側面に固定される。可動子106およびブロック102b,103bはカウンタウエイト107のX1側の側面に固定される。第一カウンタウエイトの質量はYテーブルの質量と同じであることが好ましく、カウンタウエイト107はY1-Y2方向に延伸し、その長さはYテーブル432のベース201のY1-Y2方向の長さと同程度である。
【0051】
図5に示すように、Yテーブル432は、第二ベースとしてのベース201と、ベース201のX2側の側面に設置された第三直動ガイドとしての直動ガイド202と、直動ガイド202に平行にベース201のX2側の側面に配置される第二固定子としての固定子204と、を備える。Yテーブル432は、さらに、直動ガイド202をスライドする第五ブロックとしてのブロック202aおよび第六ブロックとしてのブロック202bを備える。
【0052】
ベース201は可動子105およびブロック102a,103aに固定されている。直動ガイド202および固定子204はY1-Y2方向に延伸している。直動ガイド202は固定子204のZ1側またはZ2側に配置される。固定子204は、固定子104と同様の構成である。
【0053】
Yテーブル432は、さらに、固定子204のX2側に設けられる第三可動子としての可動子205と第四可動子としての可動子206とを備える。可動子205,206は、可動子105と同様の構成である。好ましくは、可動子205および可動子206の質量は同じである。好ましくは、可動子205および可動子206のY1-Y2方向の長さは同じである。好ましくは、可動子205および可動子206のZ1-Z2方向の長さは同じである。
【0054】
ボンドヘッド41は可動子205のZ2側に固定されている。ボンドヘッド41はブロック202aのX2側の側面に固定されている。第二カウンタウエイトとしてのカウンタウエイト207は可動子206のX2側の側面に固定されている。カウンタウエイト207はブロック202bのX2側の側面に固定されている。
【0055】
本実施形態では、Yテーブル432のベース201のY1-Y2方向の長さは、Z1-Z2方向(移動方向)の長さに比べて長く構成されている。よって、Zテーブル431の直動ガイド102および直動ガイド103は固定子104から離れて設けられるのが好ましい。例えば、直動ガイド102および直動ガイド103は、それぞれの固定子104までの距離がそれぞれの近い方のベース101の端部までの距離よりも大きくなるよう設けられる。
【0056】
ボンドヘッドテーブル43の動作は制御部80によって制御される。すなわち、制御部80は、例えば、ネットワークに繋がるI/Oやアクチュエータなどを駆動して、Zテーブル431の可動子105,106のコイルと、Yテーブル432の可動子205,206のコイルに流す電流を制御することにより、ボンドヘッドテーブル43の動作を制御する。
【0057】
ボンドヘッドテーブル43の反動吸収(カウンタ)動作について説明する。
【0058】
制御部80は、Zテーブル431の可動子105を動かす方向(例えば、Z2方向)と逆方向(例えば、Z1方向)に、可動子106を動かす。
【0059】
ここで、可動子105の質量をm1、可動子106の質量をm2、可動子105の加速度をa1、可動子106の加速度をa2、可動子105に働く推力をF1、可動子106に働く推力をF2とする。それぞれの運動方程式は下記の式で表される。ここで、m1には、可動子105に接続されるブロック102a,103aおよびYテーブル432の質量が含まれる。m2には、可動子106に接続されるブロック102b,103bおよびカウンタウエイト107の質量が含まれる。
【0060】
F1=m1×a1・・・(1)
F2=m2×a2・・・(2)
【0061】
反動吸収(カウンタ)機構は、可動子105と可動子106の運動方程式が等しいとき効果を発揮する。すなわち、下記の式が成り立つ。
【0062】
F1=F2・・・(3)
【0063】
このときの可動子106に求められる加速度を上記の式より計算する。すなわち、式(3)に式(1)(2)を代入してする。
【0064】
m1×a1=m2×a2
∴a2=(m1/m2)×a1・・・(4)
【0065】
可動子106の加速度を上記式(4)に数値を入れて算出したa2にすることにより、カウンタ機構として効果を発揮する。可動子105および可動子106に載っている質量が同じであれば、加速度を合わせることで、カウンタとなる。可動子106が可動子105と逆方向に移動することより、Zテーブル431の振動を低減することが可能となる。なお、移動距離は、速度・加速度等に依存するため、ダイボンダ装置に見合った設計にする必要がある。
【0066】
実質、第一可動子105の加速度に合わせた第二可動子106の加減速度の計算は上述した通りである。これを図7に示すv-t図を用いて説明する。図7は第一可動子および第二可動子の速度と時間との関係を示す図である。第一可動子105の加速時間、定速時間および減速時間をそれぞれ、ta、tc、tdとしたとき、第二可動子106も第一可動子105と加速時間、定速時間および減速時間を合わせることでカウンタを成立させる。このとき、第二可動子106は第一可動子105と同じストロークで運動する必要がある。
【0067】
また、可動子105および可動子106は上下方向に移動するので、厳密には、重力加速度(g)の影響を受けて、Z1方向に移動する場合とZ2方向に移動する場合の加速度は異なる。しかし、重力加速度を考慮しない実験において、振動は低減されている。重力加速を考慮するのがより好ましい。
【0068】
制御部80は、Yテーブル432の可動子205を動かす方向(例えば、Y2方向)と逆方向(例えば、Y1方向)に、可動子206を動かす。Zテーブル431と同様に、可動子206の加速度を上記式(4)に数値を入れて算出したa2にすることにより、カウンタ機構として効果を発揮する。可動子205および可動子206に載っている質量が同じであれば、加速度を合わせることで、カウンタとなる。可動子206が可動子205と逆方向に移動することより、Yテーブル432の振動を低減することが可能となる。
【0069】
ピックアップヘッドテーブル23はボンドヘッドテーブル43と同様の構成であり、同様に動作する。ピックアップヘッドテーブル23およびボンドヘッドテーブル43をヘッドテーブルと総称する。また、ピックアップヘッド21およびボンドヘッド41をヘッドと総称する。
【0070】
実施形態によれば、下記の少なくとも一つの効果を有する。
【0071】
(a)Zテーブルにカウンタ機構を備えるので、ヘッドが上下動する際の振動を低減することが可能である。これにより、ヘッドによる振動が架台を通して認識カメラにまで伝播してしまう現象(励振)を低減することが可能になる。
【0072】
(b)励振を低減することが可能であるので、励振が収まるまでの時間を短くすることが可能になる。これにより、ボンドヘッドの上下動から撮影までの待ち時間を短くすることが可能になる。
【0073】
(c)励振を低減することが可能であるので、位置決め精度を向上することが可能になる。これにより、ボンド精度を向上することが可能になる。
【0074】
(d)Zテーブルの駆動部の両側に直動ガイドが設けられるので、Y1-Y2方向が長いYテーブルおよびそのカウンタウエイトを安定して移動させることが可能である。
【0075】
(e)Zテーブルの駆動部をリニアモータで構成するので、可動子のコイルに流す電流を調整することにより、カウンタの調整をすることが可能となる。これにより、機差(固定子・可動子及びそれらを周辺部品の質量、重力加速度または運動による摩擦など)の影響を受けず振動を低減することが可能である。
【0076】
(f)ヘッドとそのカウンタウエイトを同一の直動ガイドおよびリニアモータで動作させ、Yテーブルとそのカウンタウエイトを同一の直動ガイドおよびリニアモータで動作させる。これにより、機構の簡略化が可能である。また、ヘッドの動作過程の振動も低減することが可能である。
【0077】
(g)Zテーブルの駆動部をリニアモータで構成するので、駆動部を回転モータおよびボールネジ等で構成するよりも駆動部(可動子・固定子周辺部品)での発塵を防ぐことが可能であり、半導体製造装置のクリーン度を向上することが可能である。
【0078】
(h)Zテーブルの駆動部をリニアモータで構成するので、それぞれの可動子を独立に制御可能であり、駆動部を回転モータおよびボールネジ等で構成するよりも駆動部(可動子・固定子)を低振動にすることが可能である。これにより、ボンド精度をさらに向上することが可能になる。
【0079】
<変形例>
以下、実施形態の代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態にて説明されているものと同様の構成および機能を有する部分に対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部分の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が適宜援用され得るものとする。また、上述の実施形態の一部、および、複数の変形例の全部または一部が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
【0080】
(第一変形例)
第一変形例におけるボンドヘッドテーブルについて図8を用いて説明する。図8は第一変形例におけるボンドヘッドテーブルの構成を示す側面図である。
【0081】
実施形態では、Yテーブル432のカウンタ機構として可動子206にカウンタウエイト207を搭載する例を説明した。他方、第一変形例では、カウンタウエイトの代わりにボンドヘッドを搭載するようにしてもよい。カウンタウエイト207を搭載している場合と変わらず、同等の質量であれば、同加減速度で動かせば同様の機能を発揮することが可能である。例えば、可動子205側にボンドヘッド41a、可動子206側にボンドヘッド41bを搭載する。
【0082】
これにより、ピックアップおよびボンドを二つのボンドヘッド41a,41bが並行して動作するデュアルヘッドの役割を設けさせることが可能である。例えば、ボンドヘッド41aは第一の中間ステージ31aからダイDをピックアップし、ピックアップしたダイDを第一のボンドステージ46aに保持される基板Sにボンドする。ボンドヘッド41bは第二の中間ステージ31bからダイDをピックアップし、ピックアップしたダイDを第二のボンドステージ46bに保持される基板Sにボンドする。これにより、単純計算2倍の生産性を発揮することが可能になる。
【0083】
ボンドヘッド41a,41bをY1-Y2方向に駆動するYテーブル432によってピックアップおよびボンドする例を説明したが、軸方向は制限されない。例えば、ボンドヘッド41a,41bをX1-X2方向に駆動するXテーブルによってピックアップおよびボンドするようにしてもよい。
【0084】
(第二変形例)
第二変形例におけるボンドヘッドテーブルについて図9から図11を用いて説明する。図9は第二変形例におけるボンドヘッドテーブルの構成を示す側面図である。図10図9に示すボンドヘッドテーブルのZテーブルの構成を示す側面図である。図11図10に示すZテーブルの固定子および可動子を取り除いた構成を示す側面図である。
【0085】
実施形態では、Zテーブル431の可動子106にカウンタウエイト107を設ける例を説明した。他方、第二変形例では、Zテーブル431の固定子104をカウンタウエイトとして使用する。第二変形例におけるYテーブル432は実施形態と同様の構成である。
【0086】
図10に示すように、Zテーブル431は、ベース101と、ベース101のX2側の側面に設置された直動ガイド102と、直動ガイド102に平行にベース101のX2側の側面に配置された直動ガイド103と、直動ガイド102と直動ガイド103との間に設置された第四直動ガイドとしての直動ガイド108と、を備える。図11に示すように、Zテーブル431は、さらに、直動ガイド102をスライドするブロック102aと、直動ガイド103をスライドするブロック103aと、直動ガイド108をスライドするブロック108a,108bと、を備える。ベース101はダイボンダ1の架台(不図示)に対して垂直方向(Z1-Z2方向)に延伸して、ダイボンダ1の架台に取り付けられている。直動ガイド102,103,108はZ1-Z2方向に延伸している。
【0087】
図9および図10に示すように、Zテーブル431は、さらに、ブロック108a,108bのX2側に設置された固定子104と、固定子104のX2側に設けられた可動子105,106と、を備える。固定子104は、実施形態と同様の構成である。
【0088】
可動子105,106は、実施形態の可動子105と同様の構成である。ブロック109はベース101のX2側であって、直動ガイド108のZ1側の部分に設けられている。可動子106はブロック109によってベース101に固定されて不動とされる。可動子105およびブロック102a,103aはYテーブル432に固定される。
【0089】
第二変形例におけるZテーブル431の反動吸収動作について説明する。
【0090】
制御部80は、可動子105が移動する方向(例えば、Z2方向)と同方向に、可動子105の移動と並行して可動子106を仮想的に移動させる。なお、可動子106はベース101に固定されているので移動できない。可動子106が固定されていないとした場合に、可動子106が移動するように電流を流すことを、可動子106を仮想的に移動させるという。
【0091】
ここで、可動子105の質量をm1、固定子104(可動子106)の質量をm2、可動子105の加速度をa1、固定子104(可動子106)の加速度をa2、可動子105に働く推力をF1、固定子104(可動子106)に働く推力をF2、とする。それぞれの運動方程式は実施形態の上記の式(1)(2)で表される。
【0092】
反動吸収(カウンタ)機構は、可動子105と固定子104(可動子106)の運動方程式が等しいとき効果を発揮する。すなわち、実施形態の上記の式(3)が成り立つ。
【0093】
このときの可動子106に求められる加速度は実施形態の上記の式(4)より計算する。
【0094】
可動子106の加速度を上記式(4)に数値を入れて算出したa2にすることにより、カウンタ機構として効果を発揮する。ただし、上述されたように、可動子106はベース101に固定されているので、可動子106に代わって、固定子104が可動子105と逆方向に移動する。これにより、Yテーブル432の振動を低減することが可能となる。なお、移動距離は、速度・加速度等に依存するため、ダイボンダに見合った設計にする必要がある。
【0095】
第二変形例では、ベース101に固定した可動子106を設けると共に、固定子104を移動可能としている。これにより、固定子104をカウンタウエイトとして使用することができるためカウンタ機構を小型化することができる。また、不動である可動子106により固定子104の加速度が制御されるため、テーブルごとに適正な制振移動距離を調整することが可能となり、機差に合わせたカウンタ機構が可能となる。
【0096】
(第三変形例)
第三変形例におけるボンドヘッドテーブルについて図12および図13を用いて説明する。図12は第三変形例におけるZテーブルの構成を示す側面図である。図13は第三変形例におけるYテーブルの構成を示す側面図である。
【0097】
実施形態では、ボンドヘッドテーブル43のZテーブル431およびYテーブル432の駆動部をリニアモータで構成する例を説明した。他方、第三変形例では、ボンドヘッドテーブル43のZテーブル431およびYテーブル432の駆動部を回転モータおよびボールネジで構成する。
【0098】
図12に示すように、Zテーブル431は、ベース101と、ベース101のX2側に設置された直動ガイド102と、直動ガイド102に平行にベース101のX2側に配置された直動ガイド103と、を備える。Zテーブル431は、さらに、直動ガイド102をスライドするブロック102a,102bと、直動ガイド103をスライドするブロック103a,103bと、を備える。Zテーブル431は、さらに、直動ガイド102と直動ガイド103との間に設置された回転モータ111とボールネジ114とを備える。
【0099】
ボールネジ114は一直線状に配置される左ネジ114aおよび右ネジ114bを有する。右ネジ114bの一端部は、回転モータ111の回転軸に結合されている。左ネジ114aに可動子115は螺合され、右ネジ114bに可動子116は螺合される。可動子115にはYテーブル432が固定され、可動子116にはカウンタウエイト107が固定される。
【0100】
回転モータ111によって、ボールネジ114を回転させると、左ネジ114aに螺合された可動子115と右ネジ114bに螺合された可動子116とは同期して逆方向に移動する。すなわち、可動子115に固定されたYテーブル432と、可動子116に固定されカウンタウエイト107とは、逆方向に移動する。これにより、Yテーブル432の振動を低減することが可能となる。
【0101】
図13に示すように、Yテーブル432は、ベース201と、ベース201のX2側に設置された直動ガイド202と、直動ガイド202に平行にベース201のX2側に配置された直動ガイド203と、備える。Yテーブル432は、さらに、直動ガイド202をスライドするブロック202a,202bと、直動ガイド203をスライドするブロック203a,203bと、を備える。Yテーブル432は、さらに、直動ガイド202と直動ガイド203との間に設置された回転モータ211とボールネジ214とを備える。
【0102】
Yテーブル432の駆動部は回転モータ211、ボールネジ214、可動子215,216を備える。ボールネジ214は一直線状に配置される左ネジ214aおよび右ネジ214bを有する。右ネジ214bの一端部は、回転モータ211の回転軸に結合されている。左ネジ214aに可動子216は螺合され、右ネジ214bに可動子215は螺合される。可動子215にはボンドヘッド41が固定され、可動子216にはカウンタウエイト207が固定される。可動子215はブロック202a,203aに固定される。可動子216はブロック202b,203bに固定される。
【0103】
回転モータ211によって、ボールネジ214を回転させると、左ネジ214aに螺合された可動子216と右ネジ214bに螺合された可動子215とは同期して逆方向に移動する。すなわち、可動子216に固定されたカウンタウエイト217と可動子215に固定されボンドヘッド41とは逆方向に移動する。これにより、ボンドヘッド41の振動を低減することが可能となる。
【0104】
ボンドヘッドテーブル43は、Zテーブル431の駆動部を実施形態と同様にリニアモータで構成し、Yテーブル432の駆動部を第二変形例と同様に回転モータおよびボールネジで構成にするようにしてもよい。ボンドヘッドテーブル43は、Zテーブル431を第二変形例と同様に回転モータおよびボールネジで構成し、Yテーブル432を実施形態と同様にリニアモータで構成にするようにしてもよい。
【0105】
(第四変形例)
第四変形例におけるボンドヘッドテーブルについて図14を用いて説明する。図14は第四変形例におけるZテーブルの構成を示す側面図である。
【0106】
第三変形例では、ボールネジを右ネジと左ネジとで構成し、一つの回転モータでボールネジを駆動する例を説明した。他方、第四変形例では、右ネジのボールネジを駆動する回転モータと、左ネジのボールネジを駆動する回転モータと、の二つの回転モータを使用で駆動する。第四変形例のZテーブル431は、駆動部を除いて、第三変形例と同様の構成である。
【0107】
Zテーブル431は、直動ガイド102と直動ガイド103との間に設置された回転モータ111a,111bとボールネジ114c,114dとを備える。
【0108】
ボールネジ114c,114dは一直線状に配置される。例えば、ボールネジ114cは左ネジで構成され、ボールネジ114dは右ネジで構成される。ボールネジ114cの一端部は、回転モータ111aの回転軸に結合されている。ボールネジ114dの一端部は、回転モータ111bの回転軸に結合されている。ボールネジ114cに可動子115は螺合され、ボールネジ114dに可動子116は螺合される。可動子115にはYテーブル432が固定され、可動子116にはカウンタウエイト107が固定される。
【0109】
回転モータ111a,111bによって、ボールネジ114c,114dを回転させると、ボールネジ114cに螺合された可動子115と、ボールネジ114dに螺合された可動子116とは逆方向に移動する。すなわち、可動子115に固定されたYテーブル432と、可動子116に固定されカウンタウエイト107とは、逆方向に移動する。これにより、Yテーブル432の振動を低減することが可能となる。
【0110】
第三変形例では、右ネジと左ネジで構成されるボールネジを一つの回転モータで駆動するので、複雑な制御がいらずにYテーブル432とカウンタウエイト107を同時スタートさせることができる。他方、ネジピッチが決まってしまっている為、質量比が変わってしまうとYテーブル432側に制振させたい可動子に対するカウンタウエイトの微調整が難しい。第四変形例では、搭載している質量に応じて、二つの回転モータに流す電流等を変えることによる加速度が調整可能であることから、振動をより低減することが可能である。
【0111】
Yテーブル432の駆動部は、Zテーブル431と同様に、二つの回転モータと二つのボールネジで構成してもよい。
【0112】
(第五変形例)
第五変形例におけるボンドヘッドテーブルの構成について図15を用いて説明する。図15は第五変形例におけるボンドヘッドテーブルのXテーブルの構成を示す上面図である。
【0113】
第五変形例におけるボンドヘッドテーブル43は、さらに、実施形態、第一変形例から第四変形例および後述する第六変形例から第八変形例の何れか一つのボンドヘッドテーブルのZテーブルをX1-X2方向に移動するXテーブル433を備える。第三テーブルとしてのXテーブル433はZテーブル431と同様の構成である。
【0114】
Xテーブル433は、ベース301と、ベース301のZ1側に設置される直動ガイド302と、直動ガイド302に平行にベース301のZ1側に配置される直動ガイド303と、直動ガイド302と直動ガイド303との間に設置される固定子304と、を備える。
【0115】
ベース301はダイボンダ1の架台(不図示)に対して水平方向(X1-X2方向)に延伸してる。ベース301は、例えば、ダイボンダ1の架台に固定されている。直動ガイド302,303はX1-X2方向に延伸している。直動ガイド302は固定子304のY1側に配置され、直動ガイド103は固定子104のY2側に配置される。
【0116】
Xテーブル433は、さらに、直動ガイド302をスライドするブロック302a,302bと、直動ガイド303をスライドするブロック303a,303bと、を備える。好ましくは、ブロック302a,302b,303a,303bの質量はそれぞれ同じである。好ましくは、ブロック302a,302b,303a,303bのX1-X2方向の長さはそれぞれ同じである。好ましくは、ブロック302a,302b,303a,303bのY1-Y2方向の長さはそれぞれ同じである。
【0117】
固定子304はX1-X2方向に延伸している。固定子304は、固定子104と同様の構成である。
【0118】
Xテーブル433は、さらに、固定子304のZ1側に設けられた可動子305,306を備える。可動子305,306は、可動子105と同様の構成である。固定子304および可動子305,306は駆動部を構成する。
【0119】
好ましくは、可動子305および可動子306の質量は同じである。好ましくは、可動子305および可動子306のX1-X2方向の長さは同じである。好ましくは、可動子305および可動子306のY1-Y2方向の長さは同じである。
【0120】
可動子305およびブロック302a,303aはZテーブル431のベース101のZ2側に固定される。可動子306およびブロック302b,303bは第三カウンタウエイトとしてのカウンタウエイト307のZ2側に固定される。カウンタウエイト307はY1-Y2方向に延伸し、その長さはYテーブル432のベース201のY1-Y2方向の長さと同程度である。
【0121】
制御部80は、Xテーブル433の可動子305を動かす方向(例えば、X2方向)と逆方向(例えば、X1方向)に、可動子306を動かして、Zテーブル431およびYテーブル432と、カウンタウエイト307と、を逆方向に動かす。これにより、Zテーブル431およびYテーブル432の振動を低減することが可能となる。
【0122】
(第六変形例)
第六変形例におけるボンドヘッドテーブルについて図16を用いて説明する。図16は第六変形例におけるボンドヘッドテーブルのZテーブルの構成を示す上面図である。
【0123】
実施形態では、ボンドヘッドテーブル43のZテーブル431をリニアモータで構成する例を説明した。他方、第六変形例では、ボンドヘッドテーブル43のZテーブル431の駆動部を回転モータ、ボールネジおよび傾斜カムで構成する。
【0124】
Zテーブル431は、ベース101と、ベース101のX2側の側面に設置される直動ガイド102と、直動ガイド102に平行にベース101のX2側の側面に配置される直動ガイド103と、を備える。Zテーブル431は、さらに、ベース101のX1側の側面に設置される第五直動ガイドとしての直動ガイド112と、直動ガイド112に平行にベース101のX1側の側面に配置される第六直動ガイドとしての直動ガイド113と、を備える。
【0125】
ベース101はダイボンダ1の架台(不図示)に対して垂直方向(Z1-Z2方向)に延伸してる。ベース101は、例えば、その上部または下部がダイボンダ1の架台に固定されている。直動ガイド102,103,112,113はZ1-Z2方向に延伸している。
【0126】
Zテーブル431は、さらに、直動ガイド102をスライドするブロック102aと、直動ガイド103をスライドするブロック103aと、直動ガイド112をスライドするブロック102bと、直動ガイド113をスライドするブロック103bと、を備える。好ましくは、ブロック102a,102b,103a,103bのY1-Y2方向の長さはそれぞれ同じである。好ましくは、ブロック102a,102b,103a,103bのZ1-Z2方向の長さはそれぞれ同じである。
【0127】
Zテーブル431は、さらに、回転モータ111と、Y1-Y2方向に伸びるボールネジ114と、第一可動子としての可動子125と、第二可動子としての可動子126と、第一変換部としての変換部127と、第二変換部としての変換部128と、を有する駆動部を備える。回転モータ111、ボールネジ114、変換部127,128はベース101のZ1側に設けられる。可動子125はベース101のX2側の側面に設けられ、可動子125は直動ガイド102と直動ガイド103との間に設置される。可動子126はベース101のX1側の側面に設けられ、直動ガイド112と直動ガイド113との間に設置される。変換部127,128はそれぞれ傾斜カムとナットとで構成される。
【0128】
駆動部は、回転モータ111のY方向を回転の中心とする円運動をボールネジ114と、変換部127,128のナットとで、変換部127,128の傾斜カムのY軸方向の直線運動(水平運動)に変換する。このY方向の直線運動を変換部127の傾斜カムで可動子125およびのZ方向の直線運動(上下運動)に変換し、変換部128の傾斜カムで可動子126のZ方向の直線運動(上下運動)に変換する。
【0129】
可動子125のX1側は変換部127の傾斜カムに接続される。可動子125のX2側はYテーブル432に固定される。可動子126のX2側は変換部128の傾斜カムに接続される。可動子126のX1側はカウンタウエイト107に固定される。
【0130】
可動子125およびブロック102a,103aのX2側はYテーブル432のベース201のX1側に固定される。可動子126およびブロック102b,103bのX1側はカウンタウエイト107のX2側に固定される。カウンタウエイト107はY1-Y2方向に延伸し、その長さはYテーブル432のベース201のY1-Y2方向の長さと同程度である。
【0131】
回転モータ111によって、ボールネジ114を、例えば、右方向に回転させると、変換部127に接続された可動子125はZ2方向に移動し、変換部128に接続された可動子126はZ1方向に移動する。これにより、可動子125に固定されたYテーブル432と、可動子126に固定されカウンタウエイト107とは、同期して相互に離隔するように移動する。
【0132】
また、回転モータ111によって、ボールネジ114を、例えば、左方向に回転させると、変換部127に接続された可動子125はZ1方向に移動し、変換部127に接続された可動子126はZ2方向に移動する。これにより、可動子125に固定されたYテーブル432と、可動子126に固定されカウンタウエイト107とは、同期して相互に接近するように移動する。
【0133】
これらの動作により、Yテーブル432とカウンタウエイト107とは逆方向に移動するので、Yテーブル432の振動を低減することが可能となる。
【0134】
(第七変形例)
第七変形例におけるボンドヘッドテーブルについて図17を用いて説明する。図17は第七変形例におけるボンドヘッドテーブルのZテーブルの構成を示す上面図である。
【0135】
第六変形例では、Zテーブル431の駆動部を回転モータ、ボールネジおよび傾斜カムで構成する例を説明した。他方、第七変形例では、Zテーブル431の駆動部を回転モータおよびギアで構成する。第七変形例のZテーブル431は、駆動部を除いて、第六変形例と同様の構成である。
【0136】
Zテーブル431は、さらに、回転モータ111と、Y方向に伸びる回転軸118と、可動子135と、可動子136と、回転軸118に設けられるギア134と、を有する駆動部を備える。回転モータ111、回転軸118およびギア134はベース101のZ1側に設けられる。可動子125はX2側の側面に設けられ、直動ガイド102と直動ガイド103との間に設置される。可動子126はX2側の側面に設けられ、直動ガイド112と直動ガイド113との間に設置される。
【0137】
可動子135のX1側にはギア134に嵌合する第一ギアとしてのギアを有する。可動子135のX2側はYテーブル432に固定される。可動子136のX2側にはギア134に嵌合する第二ギアとしてのギアを有する。可動子136のX1側はカウンタウエイト107に固定される。
【0138】
可動子135およびブロック102a,103aのX2側はYテーブル432のベース201のX1側に固定される。可動子136およびブロック102b,103bのX1側はカウンタウエイト107のX2側に固定される。カウンタウエイト107はY1-Y2方向に延伸し、その長さはYテーブル432のベース201のY1-Y2方向の長さと同程度である。
【0139】
回転モータ111によって、回転軸118を、例えば、右方向に回転させると、ギア134に嵌合された可動子135はZ2方向に移動し、ギア134に嵌合された可動子136はZ1方向に移動する。これにより、可動子135に固定されたYテーブル432と、可動子136に固定されカウンタウエイト107とは、同期して相互に離隔するように移動する。
【0140】
また、回転モータ111によって、回転軸118を、例えば、左方向に回転させると、ギア134に嵌合された可動子135はZ1方向に移動し、ギア134に嵌合された可動子126はZ2方向に移動する。これにより、可動子135に固定されたYテーブル432と、可動子126に固定されカウンタウエイト107とは、同期して相互に接近するように移動する。
【0141】
これらの動作により、Yテーブル432とカウンタウエイト107とは逆方向に移動するので、Yテーブル432の振動を低減することが可能となる。
【0142】
(第八変形例)
第八変形例におけるボンドヘッドテーブルについて図18を用いて説明する。図18は第八変形例におけるボンドヘッドテーブルの構成を示す側面図である。
【0143】
実施形態におけるボンドヘッドテーブル43は、Yテーブル432がボンドヘッド41をY1-Y2方向に動かし、Zテーブル431がYテーブル432をZ1-Z2方向に動かす構成である。他方、第八変形例では、Yテーブル432がボンドヘッド41をY1-Y2方向に動かし、Zテーブル431がボンドヘッド41をZ1-Z2方向に動かす構成である。
【0144】
Zテーブル431は、実施形態におけるZテーブル431と同様の構成である。ただし、可動子105およびブロック102a,103aのX2側の側面に固定されるブロック117を備える。また、ブロック117のX2側の側面にY1-Y2方向に延伸する直動ガイド213が設けられる。さらに、直動ガイド213をスライドするブロック213aが設けられる。
【0145】
Yテーブル432は、実施形態におけるYテーブル432と同様の構成である。ただし、直動ガイド202をスライドするブロック202aを備えず、ボンドヘッド41はブロック213aのZ2側に固定されている。第一可動子205のX2側にZ1-Z2方向に延伸するブロック223aが取り付けられる。さらに、ブロック223aをスライドする直動ガイド223が設けられる。ボンドヘッド41はブロック223aのX2側に固定される。
【0146】
Zテーブル431のY1-Y2方向の長さは、ボンドヘッド41の移動距離程度になるので、実施形態のZテーブル431よりも短くすることができる。これにより、実施形態よりもボンドヘッドテーブルの小型化が可能である。
【0147】
以上、本開示者らによってなされた開示を実施形態および変形例に基づき具体的に説明したが、本開示は、上記実施形態および変形例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【0148】
実施形態では、ZテーブルおよびYテーブルはリニアモータで構成し、ボンドヘッドおよびカウンタウエイトを直動させる例を説明したが、直動動作と回転動作を組み合わせてもよい。
【0149】
例えば、Yテーブルは実施形態と同様にリニアモータで構成し、ZテーブルはYテーブルを回転させる構成にしてもよい。これにより、Yテーブルが回転するとき、ボンドヘッドとカウンタウエイトが同円周上にあればボンドヘッドの動作はカウンタされ得る。
【0150】
また、Yテーブルは実施形態と同様にリニアモータで構成し、ボンドヘッドのカウンタウエイトはYテーブルとは別に設け、カウンタウエイトを直動および回転させて方向可変になるよう構成してもよい。
【0151】
また、ボンディングヘッドにXYZ方向またはXYZθ方向の加速度を測定するジャイロセンサーを設け、ボンディングヘッドの各位置での合成振動方向(モーメント方向)を算出し、算出された方向にカウンタウエイトを動作させるようにしてもよい。
【0152】
第三変形例では、Zテーブル431の駆動部は、Yテーブル432を移動させる左ネジ114aおよび左ネジ114aに連結され、カウンタウエイトを移動させようとする右ネジ114bで構成されるボールネジ114と、備える。駆動部は、さらに、ボールネジ114を回転させる回転モータ111と、回転モータ111およびボールネジ114を支持するベース101と、を備える。この構成に限定されるものではなく、下記にように構成してもよい。
【0153】
駆動部は、Yテーブル432を移動させる負荷側ボールネジ(例えば右ネジ)と、負荷側ボールネジに連結され、カウンタウエイトを移動させようとするカウンタウエイト側ボールネジ(例えば細目の右ネジ)と、両ボールネジを回転させる回転モータ111と、を備える。駆動部は、さらに、回転モータ111と両ボールネジを支持するコの字型の駆動固定板と、駆動固定板がベース101上を移動可能にするベースガイドと、を備える。そして、カウンタウエイトは、カウンタウエイト側ボールネジ上を移動する反動吸収ナットとベース101に固定された反動吸収体とを有する。
【0154】
実施形態では、ボンドヘッドテーブルを例にカウンタ機構を説明したが、ピックアップヘッドテーブルにも適用可能である。
【0155】
実施形態では、ダイアタッチフィルムを用いる例を説明したが、基板に接着剤を塗布するプリフォーム部を設けてダイアタッチフィルムを用いなくてもよい。プリフォーム部はペースト状接着剤を塗布するプリフォームヘッドとプリフォームヘッドを上下方向および水平方向に駆動するプリフォームテーブルとを備える。プリフォームテーブルは実施形態または変形例と同様に構成してもよい。
【0156】
実施形態では、ウエハ供給部からダイをピックアップヘッドでピックアップして中間ステージに載置し、中間ステージに載置されたダイをボンドヘッドで基板にボンドするダイボンダについて説明したが、これに限定されるものではなく、ウエハ供給部からダイをピックアップするダイボンディング装置に適用可能である。
【0157】
例えば、中間ステージとピックアップヘッドがなく、ウエハ供給部のダイをボンドヘッドで基板にボンドするダイボンダにも適用可能である。
【0158】
また、中間ステージがなく、ウエハ供給部からダイをピックアップしダイピックアップヘッドを上に回転してダイをボンドヘッドに受け渡しボンドヘッドで基板にボンディングするフリップチップボンダに適用可能である。
【符号の説明】
【0159】
1・・・ダイボンダ(半導体製造装置)
41・・・ボンドヘッド(ヘッド)
43・・・ボンドヘッドテーブル(ヘッドテーブル)
431・・・Zテーブル(第一テーブル)
432・・・Yテーブル(第二テーブル)
107・・・カウンタウエイト(第一カウンタウエイト)
207・・・カウンタウエイト(第二カウンタウエイト)
図1
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図3
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