(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130541
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】通知システム、通知装置及び通知方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/389 20190101AFI20240920BHJP
G01R 31/392 20190101ALI20240920BHJP
G01R 31/382 20190101ALI20240920BHJP
G01R 31/385 20190101ALI20240920BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240920BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G01R31/389
G01R31/392
G01R31/382
G01R31/385
H02J7/00 Y
H01M10/48 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040335
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】温田 透
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
2G216AB01
2G216BA01
2G216BA23
2G216BA52
2G216BA58
2G216CD03
5G503AA07
5G503BA01
5G503BB01
5G503EA08
5H030AA01
5H030AS08
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
(57)【要約】
【課題】二次電池の交換判定に用いた情報を利用し、二次電池の交換を促す。
【解決手段】通知システムは、車両に搭載される二次電池の電流と前記二次電池の電圧に基づいて、前記二次電池の内部抵抗値を算出する算出部と、前記二次電池が交換されたか否かを、前記内部抵抗値を用いて判定する判定部と、前記判定部で前記二次電池が交換されたと判定された場合、交換前の前記二次電池の内部抵抗情報を用いて前記二次電池の交換を促すための通知閾値を設定する設定部と、前記二次電池の前記内部抵抗情報と前記通知閾値とに基づいて、前記二次電池の交換を促す通知をあらかじめ定められた宛先へ出力する通知部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される二次電池の電流と前記二次電池の電圧に基づいて、前記二次電池の内部抵抗値を算出する算出部と、
前記二次電池が交換されたか否かを、前記内部抵抗値を用いて判定する判定部と、
前記判定部で前記二次電池が交換されたと判定された場合、交換前の前記二次電池の内部抵抗情報を用いて前記二次電池の交換を促すための通知閾値を設定する設定部と、
前記二次電池の前記内部抵抗情報と前記通知閾値とに基づいて、前記二次電池の交換を促す通知をあらかじめ定められた宛先へ出力する通知部と、
を備える通知システム。
【請求項2】
複数の車両毎に前記通知閾値を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されているうちの一つ又は複数の前記通知閾値に基づいて、記憶されている特定の車両の前記通知閾値を更新する更新部と、
を備える請求項1に記載の通知システム。
【請求項3】
前記通知閾値は、前記二次電池の二次電池情報及び前記二次電池を搭載した車両の車両情報と対応付けて前記記憶部に記憶され、
前記更新部は、前記記憶部に記憶された通知閾値を、前記二次電池情報及び前記車両情報に基づいて更新する
請求項2に記載の通知システム。
【請求項4】
前記二次電池の交換の有無を示す情報を受信する受信部を有し、
前記判定部は、前記受信部が二次電池の交換有りを示す情報を受信した場合、前記二次電池が交換されたと判定する
請求項1に記載の通知システム。
【請求項5】
前記算出部は、前記二次電池からの放電が所定のパターンで行われているときの前記二次電池の電流値と電圧値に基づいて前記二次電池の内部抵抗値を算出し、算出した内部抵抗値を基準温度又は基準SOCの少なくとも一方のときの内部抵抗値に補正する
請求項1に記載の通知システム。
【請求項6】
前記算出部は、前記二次電池の等価回路の導体抵抗値、溶液抵抗値及び反応抵抗値を算出し、前記導体抵抗値、前記溶液抵抗値、前記反応抵抗値のいずれか、又は前記導体抵抗値、前記溶液抵抗値、及び前記反応抵抗値の合計値を前記内部抵抗値とする
請求項1に記載の通知システム。
【請求項7】
前記判定部は、異なるタイミングで算出された前記内部抵抗値の差、又は異なるタイミングで算出された前記内部抵抗値の変化率を前記内部抵抗情報とし、当該内部抵抗情報と、あらかじめ定められた閾値との比較結果により前記二次電池の交換を判定する
請求項1に記載の通知システム。
【請求項8】
前記設定部は、異なるタイミングで算出された複数の前記内部抵抗値を用いて前記通知閾値を設定し、前記通知閾値を設定した後、交換前の前記二次電池に係る前記内部抵抗値を含む前記二次電池の使用履歴を消去する
請求項1に記載の通知システム。
【請求項9】
前記内部抵抗情報は、あらかじめ定められた基準値と前記内部抵抗値との差、前記基準値と前記内部抵抗値との比率、又は前記内部抵抗値であり、
前記基準値は、前記算出部で算出された最新の内部抵抗値から過去複数回の前記内部抵抗値のうちの最小値、前記二次電池の交換前に算出された前記内部抵抗値のうちの最小値、前記二次電池が無劣化のときの内部抵抗値、又は前記二次電池が交換された後に前記算出部で最初に算出された内部抵抗値である
請求項1に記載の通知システム。
【請求項10】
前記内部抵抗情報は、前記内部抵抗値の変化率であり、
前記設定部は、交換前に生成された最新の前記内部抵抗値の変化率を前記通知閾値とし、
前記通知部は、前記二次電池が交換されたと判定された後の前記内部抵抗情報と、当該通知閾値とに基づいて前記二次電池の交換を促す通知をあらかじめ定められた宛先へ出力する
請求項1に記載の通知システム。
【請求項11】
車両に搭載される二次電池の電流と前記二次電池の電圧に基づいて、前記二次電池の内部抵抗値を算出する算出部と、
前記二次電池が交換されたか否かを、前記内部抵抗値を用いて判定する判定部と、
前記判定部で前記二次電池が交換されたと判定された場合、交換前の前記二次電池の内部抵抗情報を用いて前記二次電池の交換を促すための通知閾値を設定する設定部と、
前記二次電池の前記内部抵抗情報と前記通知閾値とに基づいて、前記二次電池の交換を促す通知をあらかじめ定められた宛先へ出力する通知部と、
を備える通知装置。
【請求項12】
車両に搭載される二次電池の電流と前記二次電池の電圧に基づいて、前記二次電池の内部抵抗値を算出する算出ステップと、
前記二次電池が交換されたか否かを、前記内部抵抗値を用いて判定する判定ステップと、
前記判定ステップで前記二次電池が交換されたと判定された場合、交換前の前記二次電池の内部抵抗情報を用いて前記二次電池の交換を促すための通知閾値を設定する設定ステップと、
前記二次電池の前記内部抵抗情報と前記通知閾値とに基づいて、前記二次電池の交換を促す通知をあらかじめ定められた宛先へ出力する通知ステップと、
を備える通知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通知システム、通知装置及び通知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される二次電池が交換されたことを検知する発明として、例えば特許文献1、2に開示された発明がある。特許文献1に開示された二次電池状態検出装置は、エンジンが停止する毎に、二次電池の電流及び電圧に基づいて二次電池の等価回路の素子値を学習し、過去の素子値と新たな素子値との差が所定の閾値以上変化している場合に二次電池が交換されたと判定する。特許文献2に開示されたバッテリ交換判定装置は、車両がイグニッションオフとなる第1期間における補機バッテリの内部抵抗と、第1期間よりも前であって直近で車両がイグニッションオフとなった第2期間における補機バッテリの内部抵抗との差がしきい値よりも大きい場合に補機バッテリが交換されたと判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2015/151848号
【特許文献2】特開2021-127033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2に開示された装置によれば、二次電池が交換されたことを判定することができる。しかしながら、二次電池が交換されたことを判定するにとどまり、劣化した二次電池の交換を促すことができていない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、二次電池の交換判定に用いた情報を利用し、二次電池の交換を促すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る通知システムは、車両に搭載される二次電池の電流と前記二次電池の電圧に基づいて、前記二次電池の内部抵抗値を算出する算出部と、前記二次電池が交換されたか否かを、前記内部抵抗値を用いて判定する判定部と、前記判定部で前記二次電池が交換されたと判定された場合、交換前の前記二次電池の内部抵抗情報を用いて前記二次電池の交換を促すための通知閾値を設定する設定部と、前記二次電池の前記内部抵抗情報と前記通知閾値とに基づいて、前記二次電池の交換を促す通知をあらかじめ定められた宛先へ出力する通知部と、を備える。
【0007】
本発明の一態様に係る通知システムにおいては、複数の車両毎に前記通知閾値を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されているうちの一つ又は複数の前記通知閾値に基づいて、記憶されている特定の車両の前記通知閾値を更新する更新部と、を備えるようにしてもよい。
【0008】
本発明の一態様に係る通知システムにおいては、前記通知閾値は、前記二次電池の二次電池情報及び前記二次電池を搭載した車両の車両情報と対応付けて前記記憶部に記憶され、前記更新部は、前記記憶部に記憶された通知閾値を、前記二次電池情報及び前記車両情報に基づいて更新するようにしてもよい。
【0009】
本発明の一態様に係る通知システムにおいては、前記二次電池の交換の有無を示す情報を受信する受信部を有し、前記判定部は、前記受信部が二次電池の交換有りを示す情報を受信した場合、前記二次電池が交換されたと判定するようにしてもよい。
【0010】
本発明の一態様に係る通知システムにおいては、前記算出部は、前記二次電池からの放電が所定のパターンで行われているときの前記二次電池の電流値と電圧値に基づいて前記二次電池の内部抵抗値を算出し、算出した内部抵抗値を基準温度又は基準SOCの少なくとも一方のときの内部抵抗値に補正するようにしてもよい。
【0011】
本発明の一態様に係る通知システムにおいては、前記算出部は、前記二次電池の等価回路の導体抵抗値、溶液抵抗値及び反応抵抗値を算出し、前記導体抵抗値、前記溶液抵抗値、前記反応抵抗値のいずれか、又は前記導体抵抗値、前記溶液抵抗値、及び前記反応抵抗値の合計値を前記内部抵抗値とするようにしてもよい。
【0012】
本発明の一態様に係る通知システムにおいては、前記判定部は、異なるタイミングで算出された前記内部抵抗値の差、又は異なるタイミングで算出された前記内部抵抗値の変化率を前記内部抵抗情報とし、当該内部抵抗情報と、あらかじめ定められた閾値との比較結果により前記二次電池の交換を判定するようにしてもよい。
【0013】
本発明の一態様に係る通知システムにおいては、前記設定部は、異なるタイミングで算出された複数の前記内部抵抗値を用いて前記通知閾値を設定し、前記通知閾値を設定した後、交換前の前記二次電池に係る前記内部抵抗値を含む前記二次電池の使用履歴を消去するようにしてもよい。
【0014】
本発明の一態様に係る通知システムにおいては、前記内部抵抗情報は、あらかじめ定められた基準値と前記内部抵抗値との差、前記基準値と前記内部抵抗値との比率、又は前記内部抵抗値であり、前記基準値は、前記算出部で算出された最新の内部抵抗値から過去複数回の前記内部抵抗値のうちの最小値、前記二次電池の交換前に算出された前記内部抵抗値のうちの最小値、前記二次電池が無劣化のときの内部抵抗値、又は前記二次電池が交換された後に前記算出部で最初に算出された内部抵抗値であるようにしてもよい。
【0015】
本発明の一態様に係る通知システムにおいては、前記内部抵抗情報は、前記内部抵抗値の変化率であり、前記設定部は、交換前に生成された最新の前記内部抵抗値の変化率を前記通知閾値とし、前記通知部は、前記二次電池が交換されたと判定された後の前記内部抵抗情報と、当該通知閾値とに基づいて前記二次電池の交換を促す通知をあらかじめ定められた宛先へ出力するようにしてもよい。
【0016】
本発明の一態様に係る通知装置は、車両に搭載される二次電池の電流と前記二次電池の電圧に基づいて、前記二次電池の内部抵抗値を算出する算出部と、前記二次電池が交換されたか否かを、前記内部抵抗値を用いて判定する判定部と、前記判定部で前記二次電池が交換されたと判定された場合、交換前の前記二次電池の内部抵抗情報を用いて前記二次電池の交換を促すための通知閾値を設定する設定部と、前記二次電池の前記内部抵抗情報と前記通知閾値とに基づいて、前記二次電池の交換を促す通知をあらかじめ定められた宛先へ出力する通知部と、を備える。
【0017】
本発明の一態様に係る通知方法は、車両に搭載される二次電池の電流と前記二次電池の電圧に基づいて、前記二次電池の内部抵抗値を算出する算出ステップと、前記二次電池が交換されたか否かを、前記内部抵抗値を用いて判定する判定ステップと、前記判定ステップで前記二次電池が交換されたと判定された場合、交換前の前記二次電池の内部抵抗情報を用いて前記二次電池の交換を促すための通知閾値を設定する設定ステップと、前記二次電池の前記内部抵抗情報と前記通知閾値とに基づいて、前記二次電池の交換を促す通知をあらかじめ定められた宛先へ出力する通知ステップと、を備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、二次電池の交換判定に用いた情報を利用し、二次電池の交換を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、実施形態に係る通知システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、状態検知装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、状態検知装置の制御部の機能ブロック図である。
【
図4】
図4は、情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るテーブルの一例である。
【
図6】
図6は、情報処理装置の制御部の機能ブロック図である。
【
図7】
図7は、状態検知装置の制御部が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、内部抵抗情報の変化の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、情報処理装置の制御部が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、変形例に係る通知システムの構成を示す図である。
【
図11】
図11は、変形例に係る通知システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一または対応する要素については適宜同一の符号を付している。
【0021】
[実施形態]
図1は、本発明の実施形態に係る通知システム1000の構成を示す図である。通知システム1000は、車両1に搭載された二次電池の交換を促す交換通知をあらかじめ定められた宛先へ送信するシステムである。通知システム1000は、車両1、情報処理装置200、及び端末装置300を含む。なお、
図1には一台の車両1と一つの端末装置300を図示しているが、通知システム1000には複数台の車両1と複数の端末装置300が含まれる。
【0022】
情報処理装置200は、車両1から通信ネットワーク2を介して送信される情報を取得し、取得した情報に基づいて交換通知をあらかじめ定められた宛先へ送信する装置である。情報処理装置200の構成については、後に詳述する。通信ネットワーク2は、車両1、情報処理装置200及び端末装置300を相互に通信可能に接続するネットワークであり、移動体通信網やインターネット、LAN(Local Area Network)等を含む。
【0023】
端末装置300は、例えば車両1のユーザが有するスマートフォンである。端末装置300は、情報処理装置200から送られる交換通知を受信する装置の一例である。端末装置300は、取得した交換通知に基づいて車両1の二次電池の交換を促すメッセージを車両1のユーザに表示する。なお、端末装置300は、車両1のユーザが車両1の点検整備を依頼するディーラーに設けられたデスクトップ型パーソナルコンピュータであってもよい。また、端末装置300は、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、タブレット型パーソナルコンピュータなどの情報処理装置であってもよい。
【0024】
車両1は、例えば端末装置300のユーザが所有する自動車である。
図1においては、車両1の電源系統として、二次電池20、エンジン21、スタータモータ22、オルタネータ23、負荷24を示している。二次電池20は、電解液を有する充電可能な電池であり、例えば鉛蓄電池、リチウムイオン電池、ニッケルカドミウム電池、又はニッケル水素電池等によって構成されている。二次電池20は、オルタネータ23によって充電され、スタータモータ22を駆動するとともに、負荷24に電力を供給する。スタータモータ22は、例えば、直流電動機によって構成され、二次電池20から供給される電力によって回転力を発生し、エンジン21を始動する。エンジン21は、例えばガソリンエンジン及びディーゼルエンジン等のレシプロエンジン、又はロータリーエンジン等によって構成されている。エンジン21は、スタータモータ22によって始動され、トランスミッションを介して駆動輪を駆動し、車両1に推進力を与えるとともにオルタネータ23を駆動する。発電機としてのオルタネータ23は、エンジン21によって駆動されて交流電力を発生し、発生した交流電力を整流回路によって直流電力に変換して二次電池20を充電する。負荷24は、例えば、電動ステアリングモータ、デフォッガ、シートヒータ、イグニッションコイル、カーオーディオ、及びカーナビゲーション等によって構成され、二次電池20から供給される電力によって動作する。
【0025】
なお、
図1の例では、車両1の駆動力をエンジン21のみが出力する構成としたが、例えば車両1は、エンジン21をアシストする電動モータを具備したハイブリッド車又は電動モータで駆動される電気自動車などの電動車であってもよい。車両1がハイブリッド車又は電気自動車などの電動車の場合、二次電池20は、リチウムイオン電池等によって構成される高圧システム(電動モータを駆動するシステム)を起動し、高圧システムがエンジン21又は電動モータを始動する。
【0026】
また、車両1は、二次電池20の状態を検知するために状態検知装置10、電圧センサ31、電流センサ32、温度センサ33、及び放電回路34を有している。電圧センサ31、電流センサ32、及び温度センサ33は、二次電池20の状態を検知するために用いられるセンサである。電圧センサ31は、二次電池20の端子電圧を測定し、測定した電圧を示す信号を状態検知装置10へ出力する。電流センサ32は、二次電池20を充電する充電電流及び二次電池20から流れる放電電流を測定し、測定した電流を示す信号を状態検知装置10へ出力する。温度センサ33は、二次電池20の電解液又は二次電池20の周囲の温度を測定し、測定した温度を示す信号を状態検知装置10へ出力する。
【0027】
放電回路34は、二次電池20の状態を検知するために用いられる回路である。放電回路34は、例えば半導体スイッチと抵抗素子とが直列接続されて構成された回路であり、状態検知装置10からの制御に応じて半導体スイッチをオン/オフすることで二次電池20を放電させる。なお、放電回路34は、二次電池20を所定の(例えば矩形波状の)パターンで放電させることもできる。所定のパターンは、例えば放電を所定回数行うパターンも含む。
【0028】
状態検知装置10は、放電回路34により所定のパターンで二次電池20を放電させたときに、電圧センサ31から出力される信号、電流センサ32から出力される信号、及び温度センサ33から出力される信号を取得し、取得した信号に基づいて二次電池20の状態を検知する。なお、状態検知装置10、電圧センサ31、電流センサ32、温度センサ33、及び放電回路34を別々の構成とするのではなく、これらの一部または全てをまとめた構成を状態検知装置10としてもよい。
【0029】
また、車両1は、車両1の駆動系の主要な制御を司る上位装置であるECU(Electronic Control Unit)40と、外部の装置との通信を行うための通信インターフェース50を有している。ECU40は、状態検知装置10に接続されており、状態検知装置10と情報の授受を行う。通信インターフェース50は、無線通信により通信ネットワーク2を介して通信を行なうインターフェースであり、ECU40に接続されている。ECU40は、通信インターフェース50を介して無線通信を行うことにより情報処理装置200に接続し、情報処理装置200と情報の授受を行なう。
【0030】
図2は、状態検知装置10の構成の一例を示すブロック図である。状態検知装置10は、CPU(Central Processing Unit)11a、ROM(Read Only Memory)11b、及びRAM(Random Access Memory)11cを含む制御部11、記憶部12、通信部13、インターフェース14、及びバス15を有している。なお、制御部11は、CPU11aの代わりに、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等によって構成するようにしてもよい。
【0031】
バス15は、制御部11、記憶部12、通信部13、及びインターフェース14を相互に接続し、これらの間で情報の授受を可能とするための信号線群である。通信部13は、ECU40との間で通信を行い、各種情報の授受を行なう。インターフェース14は、電圧センサ31、電流センサ32、及び温度センサ33から出力される信号を取得するとともに、放電回路34を制御する制御信号を出力する。記憶部12は、不揮発性メモリによって構成され、二次電池20の状態を検知するための各種情報を記憶する。ROM11bは、不揮発性の半導体メモリ等によって構成され、プログラム11baを格納している。RAM11cは、半導体メモリ等によって構成され、CPU11aがプログラム11baを実行する際に生成される情報や、電圧センサ31、電流センサ32、及び温度センサ33の測定結果、これらの測定結果を用いてCPU11aにより算出される各種の値を記憶する。
【0032】
CPU11aは、ROM11bに格納されているプログラム11baに基づいて各部を制御する。制御部11の機能は、CPU11aがROM11bからプログラム11baを読み出して実行することで、機能部として実現される。
図3は、CPU10aがプログラム11baを実行することにより制御部11において実現する機能の構成を示す機能ブロック図である。制御部11においては、取得部101、算出部102、判定部103、設定部104、出力部105、及び放電制御部106が実現する。
【0033】
取得部101は、電圧センサ31から出力されてインターフェース14が取得した信号に基づいて、電圧センサ31が測定した電圧値を取得し、電流センサ32から出力されてインターフェース14が取得した信号に基づいて、電流センサ32が測定した電流値を取得する。また、取得部101は、温度センサ33から出力されてインターフェース14が取得した信号に基づいて、温度センサ33が測定した温度を取得する。
【0034】
算出部102は、放電回路34によって二次電池20が所定のパターンで放電を行ったときに取得部101が取得した二次電池20の電圧値、電流値、及び温度を用いて二次電池20の内部抵抗値を算出する。二次電池20の内部抵抗値は、例えば制御部11が放電回路34を制御して二次電池20からの放電が所定のパターンで行われたときの二次電池20の電圧及び電流の変化を電圧センサ31および電流センサ32によって測定し、測定結果から内部抵抗値を算出することにより得られる。二次電池20からの放電を所定のパターンで行って内部抵抗値を算出する方法としては、例えば特許第3960998号公報に開示されている方法や特許第4494904号公報に開示されている方法などがあるが、他の公知の方法で算出してもよい。また、算出部102は、取得部101が取得した温度に基づいて、算出した内部抵抗値を温度が基準の温度のときの内部抵抗値に補正し、取得部101が取得した電圧に基づいて、算出した内部抵抗値を二次電池20のSOC(State Of Charge)が基準のSOCであるときの内部抵抗値に補正する。基準の温度は、例えば25℃であり、基準のSOCは、例えば100%である。
【0035】
判定部103は、算出部102で得られた内部抵抗値と、あらかじめ定められた第1閾値を用いて、二次電池20が交換されたか否かを判定する。設定部104は、二次電池20が交換されたと判定部103で判定された場合、情報処理装置200が二次電池20の交換を促す通知を送信するために用いる後述する第2閾値を設定する。出力部105は、後述する車両情報、二次電池情報、第2閾値、内部抵抗情報、交換フラグなどをECU40へ出力する。放電制御部106は、二次電池20からの放電が所定のパターンで行われるように放電回路34を制御する。
【0036】
次に、情報処理装置200の構成について説明する。
図4は、情報処理装置200の構成を示すブロック図である。情報処理装置200は、制御部210、記憶部220、通信部230、ユーザインターフェース240、及びバス250を有している。
【0037】
バス250は、制御部210、記憶部220、通信部230、及びユーザインターフェース240を相互に接続し、これらの間で情報の授受を可能とするための信号線群である。通信部230は、通信ネットワーク2を介して車両1や端末装置300と通信を行うための通信インターフェースである。ユーザインターフェース240は、情報の入力を行なうためのマウスやキーボード、情報の表示を行なうためのディスプレイ装置を有する。なお、情報処理装置200は、ユーザインターフェース240を有していない構成であってもよい。
【0038】
記憶部220は、ハードディスク装置等の記憶媒体を有する。記憶部220は、交換通知を送信するために用いられる情報を格納するテーブルTBを記憶する。
図5は、テーブルTBの一例を示す図である。テーブルTBは、識別子、サイズ、種類、定格、車種情報、第2閾値、及び宛先を格納する。識別子は、車両1を一意に識別する識別子又は車両1の所有者を一意に識別する識別子である。サイズは、車両1が備える二次電池20のサイズを表す情報である。種類は、車両1が備える二次電池20の種類を示す情報である。定格は、車両1が備える二次電池20の定格容量を示す情報である。車種情報は、車両1の駆動系の種類を表す情報である。第2閾値は、通知閾値の一例であり、車両1の二次電池20について、交換を促す交換通知を送信するか否かを判定するための閾値である。宛先は、交換通知の宛先を示す情報であり、例えば、車両1の所有者の電子メールアドレスである。テーブルTBは、ユーザの車両1が備える二次電池20に係る情報を集約したデータベースであり、第2閾値の学習や、第2閾値の最適化にも用いられる。
【0039】
制御部210は、CPU210a、ROM210b、及びRAM210cを有している。ROM210bは、不揮発性の半導体メモリ等によって構成され、プログラム210baを格納している。RAM210cは、半導体メモリ等によって構成され、CPU210aがプログラム210baを実行する際に用いる情報を記憶する。
【0040】
制御部210の機能は、CPU210aがプログラム210baを読み出して実行することで、機能部として実現される。
図6は、CPU210aがプログラム210baを実行することにより制御部210において実現する機能の構成を示す機能ブロック図である。CPU210aがプログラム210baを実行することにより、制御部210においては、取得部211、判定部212、及び通知部213が実現する。取得部211は、状態検知装置10からECU40を介して送信される情報を取得する。判定部212は、取得部211が取得した情報と第2閾値を用いて、二次電池20の交換を促す交換通知を送信するか否かを判定する。通知部213は、判定部212が交換通知を送信すると判定した場合、あらかじめ定められた宛先へ通信部230を介して交換通知を送信する。
【0041】
次に通知システム1000の動作例について説明する。
図7は、状態検知装置10の制御部11が実行する処理の流れを示すフローチャートである。制御部11は、
図7に示す処理を例えば予め定められた周期や予め定められたタイミングで実行する。
【0042】
まず制御部11は、エンジン21が停止しているか判断する(ステップS101)。ここで制御部11は、例えば通信部13を介してエンジン21の状態をECU40に問い合わせる。制御部11は、ECU40からイグニッションオフとの応答を得た場合には、エンジン21が停止している状態であると判定し(ステップS101でYES)、ステップS102へ進む。制御部11は、ECU40からイグニッションオンとの応答を得た場合には、エンジン21が停止していない状態であると判定し(ステップS101でNO)、
図7の処理を終了する。なお、ECU40は、車両1がハイブリッド車である場合、エンジン21と電動モータが作動していない状態を停止状態とし、車両1が電気自動車である場合、電動モータが作動していない状態を停止状態としてもよい。また、実施形態では、ステップS101を実行しているが変形例としてステップS101を設けない構成としてもよい。
【0043】
制御部11は、ステップS101でYESと判定した場合、二次電池20の内部抵抗値を算出する(ステップS102)。ここで制御部11は、二次電池20からの放電が所定のパターンで行われるように放電回路34を制御する。制御部11は、放電回路34によって二次電池20が所定のパターンで放電を行っているときに取得部101が取得した二次電池20の電圧値、及び電流値を用いて二次電池20の内部抵抗値を算出する。
【0044】
次に制御部11は、ステップS102で算出した内部抵抗値を補正する(ステップS103)。ここで制御部11は、ステップS102で算出した内部抵抗値を、基準温度及び基準SOCにおける内部抵抗値に補正する。具体的には、制御部11は、取得部101が温度センサ33から取得した温度と、推定したSOC、あらかじめ実験により求めた温度とSOCによる内部抵抗値の変化を示す数式に基づいて、内部抵抗値を基準温度及び基準SOCにおける内部抵抗値に補正する。なお、SOCの推定は、電圧センサ31から取得した電圧に基づいて二次電池20の開回路電圧を推定し、推定した開回路電圧から二次電池20のSOCを推定する手段等を用いて算出される。補正後の内部抵抗値は、履歴として記憶部12に記憶される。なお、制御部11は、基準温度における内部抵抗値への補正と、基準SOCにおける内部抵抗値への補正の一方のみを行うようにしてもよい。
【0045】
次に制御部11は、内部抵抗情報を生成する(ステップS104)。内部抵抗情報は、例えば二次電池20の内部抵抗値の変化率である。制御部11は、ステップS103で新たに記憶された内部抵抗値を分子とし、ステップS103で記憶された内部抵抗値より過去で前回記憶された内部抵抗値を分母として内部抵抗値の変化率を算出し、算出した変化率を内部抵抗情報とする。なお、内部抵抗情報は、履歴として記憶されている過去の複数の内部抵抗値の平均を分母とし、ステップS103で新たに記憶された内部抵抗値を分子として内部抵抗値の変化率を算出してもよい。制御部11は、生成された内部抵抗情報を履歴として記憶部12に記憶させる(ステップS105)。なお、内部抵抗情報は、記憶されている最新の内部抵抗値と、最新より一つ前の内部抵抗値との差であってもよい。
【0046】
次に制御部11は、内部抵抗情報と第1閾値とを比較し、内部抵抗情報が第1閾値を超えているか判断する(ステップS106)。このステップS106の処理は、二次電池20が交換されたか否かを判定する処理である。第1閾値は、二次電池20が交換されたか否かを判定するための閾値であり、記憶部12に予め記憶されている。ここで、二次電池20が交換されたか否かを判定する処理について、
図8を用いて説明する。
図8は、内部抵抗値の変化の一例を示すグラフであり、縦軸が内部抵抗値であって、横軸が時間である。
図8に示す時点t1は、例えば、二次電池20が交換される直近で内部抵抗値が算出された時点であり、時点t0は、時点t1で算出された内部抵抗値の一つ前の内部抵抗値が生成された時点である。また、時点t2は、二次電池20が新たなものに交換されて最初に内部抵抗値が算出された時点である。
図8に示すように、二次電池20が交換されていない時点t0と時点t1との間では内部抵抗値の変化率は小さいが、二次電池20が交換された場合、時点t1と時点t2との間で内部抵抗値の変化率が大きくなる。このため、内部抵抗値の変化率である内部抵抗情報を監視し、内部抵抗情報が第1閾値を超えている場合、二次電池20が交換されたと判定することができる。
【0047】
制御部11は、内部抵抗情報が第1閾値を超えている場合(ステップS106でYES)、交換フラグをオンに設定する(ステップS107)。また、制御部11は、内部抵抗情報が第1閾値以下である場合(ステップS106でNO)、交換フラグをオフに設定する(ステップS108)。
【0048】
次に制御部11は、交換フラグがオンであるか判断する(ステップS109)。制御部11は、交換フラグがオンである場合(ステップS109でYES)、第2閾値を二次電池20の交換直前の内部抵抗情報に設定する(ステップS110)。例えば時点t1の後に二次電池20が交換された場合、第2閾値は、時点t1で生成された二次電池情報に設定される。次に制御部11は、交換前の二次電池20の内部抵抗値と内部抵抗情報の履歴を消去する(ステップS111)。なお、制御部11は、ステップS111で内部抵抗値と内部抵抗情報の履歴を、二次電池20の使用履歴の情報に含まれるものとし、使用履歴の情報を消去してもよい。使用履歴とは、例えば、二次電池20の積算充放電電流、使用時間、環境温度履歴、および、走行距離等の情報である。そして制御部11は、車両情報、二次電池情報、ステップS110で設定した第2閾値、及びステップS107で設定した交換フラグを、ECU40を介して情報処理装置200へ送信する(ステップS112)。車両情報は、車両1の識別子と車種情報を含む。車種情報は、例えば車両1がエンジンで駆動される車両の場合は「コンベンショナル」となり、車両1がハイブリッド車の場合は「HEV」となる。二次電池情報は、二次電池20のサイズ、二次電池20の種類、二次電池20の定格容量を含む。二次電池情報は、例えば予め記憶部12に記憶されている。
【0049】
一方、制御部11は、交換フラグがオフである場合(ステップS109でNO)、車両情報、二次電池情報、内部抵抗情報、及びステップS108で設定した交換フラグを、ECU40を介して情報処理装置200へ送信する(ステップS113)。ステップS113で送信する内部抵抗情報は、ステップS104で生成した最新の内部抵抗情報である。
【0050】
次に、車両1から情報を送られた情報処理装置200が実行する処理について説明する。
図9は、情報処理装置200の制御部210が実行する処理の流れを示すフローチャートである。制御部210は、車両1から送信された情報を受信すると
図9に示す処理を実行する。
【0051】
まず制御部210は、受信した交換フラグがオンであるか判断する(ステップS201)。制御部210は、受信した交換フラグがオンである場合(ステップS201でYES)、受信した車両情報に含まれる識別子に対応付けて、受信した各種情報をテーブルTBに格納する。例えば、受信した識別子が「A00001」であり、受信した車両情報が「コンベンショナル」、受信したサイズが「L1」、受信した種類が「n」、受信した定格容量が「50」、受信した第2閾値が「3」である場合、
図5に例示したテーブルTBの1行目に識別子として「A00001」が格納されているため、この識別子に対応付けて、受信した情報が
図5に例示したように格納される。
【0052】
一方、制御部210は、受信した交換フラグがオフである場合(ステップS201でNO)、受信した内部抵抗情報が、受信した車両情報に含まれている識別子に対応付けてテーブルTB格納されている第2閾値を超えているか判断する(ステップS203)。
【0053】
制御部210は、受信した内部抵抗情報が、受信した車両情報に含まれている識別子に対応付けてテーブルTBに格納されている第2閾値を超えていない場合(ステップS203でNO)、
図9の処理を終了する。一方、制御部210は、受信した内部抵抗情報が、受信した車両情報に含まれている識別子に対応付けてテーブルTBに格納されている第2閾値を超えている場合(ステップS203でYES)、二次電池20の交換を促す通知である交換通知を送信する。交換通知は、例えば電子メールである。制御部210は、例えば送信された識別子が「A00001」であり、送信された内部抵抗情報が第2閾値である「3」を超えている場合、受信した識別子「A00001」に対応付けてテーブルTBに格納されている宛先を、交換通知である電子メールの宛先として送信する。情報処理装置200が送信した交換通知は、端末装置300が受信する。端末装置300は、電子メールである交換通知を受信すると、車両1の二次電池20の交換を促すメッセージを表示する。
【0054】
二次電池20の交換時期を通知するために二次電池20の劣化状態や寿命を推定してユーザへ通知することが提案されているが、二次電池20の個体差、二次電池20の製造メーカ、二次電池20の種類、二次電池20のサイズ等で様々な二次電池20が存在し、また、二次電池20の充放電もユーザの乗り方によって異なるため、それらを加味して劣化状態の推定を精度良く実現し、交換時期を通知するのは非常に手間がかかり、課題が多い。
【0055】
二次電池20の交換を行う状況は、様々な状況が考えられるものの、二次電池20が劣化したとき、あるいは劣化に相当する状態のときに行われることが多いため、交換されたと判定されたときの最新の内部抵抗情報の一つ前の内部抵抗情報は、二次電池20の交換を要するときの内部抵抗情報とみなし、二次電池20の交換を勧める指標として利用することができる。本実施形態では、二次電池20が劣化して交換が必要となったときの内部抵抗情報を第2閾値として情報処理装置200が記憶し、情報処理装置200は、車両1から送信された内部抵抗情報が第2閾値を超えた場合に交換通知を送信するため、二次電池20の交換に適切なタイミングで精度良く二次電池20の交換を通知することができる。
【0056】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。なお、上述した実施形態及び以下の変形例は、各々を組み合わせてもよい。上述した各実施形態及び各変形例の構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態や変形例に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0057】
本発明においては、あらかじめ実験により求められた第2閾値がテーブルTBに格納されている構成であってもよい。この構成の場合、車両1において二次電池20が交換される前に内部抵抗情報が第2閾値を超えると交換通知が端末装置300へ送信され、車両1のユーザに対して二次電池20の交換を促すことができる。
【0058】
上述した実施形態においては、制御部11は、放電回路34によって二次電池20が所定のパターンで放電を行っているときに取得部101が取得した二次電池20の電圧値、及び電流値を用いて二次電池20の内部抵抗値を算出しているが、二次電池20から負荷24へ電力を供給したときに取得部が取得した電圧及び電流を用いて内部抵抗値を算出してもよい。
【0059】
本発明においては、前述の特許文献1に記載されている技術を採用し、二次電池20の等価回路を学習処理によって求めるようにしてもよい。この変形例においては、特許文献1に記載されているように、二次電池20の内部抵抗としての溶液抵抗値と反応抵抗値が学習処理によって算出される。状態検知装置10は、溶液抵抗値と反応抵抗値の一方、又は溶液抵抗値と反応抵抗値の合計を内部抵抗値としてもよい。また、本発明においては、電極板の電子伝導に係る抵抗である導体抵抗値を算出し、導体抵抗も内部抵抗値に含めるようにしてもよい。
【0060】
本発明においては、内部抵抗情報は、あらかじめ定められた基準値とステップS103で補正後の内部抵抗値との差、あらかじめ定められた基準値とステップS103で補正後の内部抵抗値との比率、又はステップS103で補正後の内部抵抗値であってもよい。なお、この基準値は、履歴として記憶されている最新の内部抵抗値から過去のn番目(nは任意の整数)までの内部抵抗値うちの最小値、又は二次電池20が新品で無劣化のときの内部抵抗値であってもよい。また、この基準値は、二次電池20が交換されたと判定されたときから後で複数回記憶された内部抵抗値のうちの最小値であってもよい。
【0061】
本発明においては、テーブルTBにおいて、識別子に対応付けて運転頻度や運転時間などの車両1の運転状況を格納するようにしてもよい。また、テーブルTBにおいて、運転状況を格納する場合、運転状況に基づいて、車両1の第2閾値を他の車両1の第2閾値で更新するようにしてもよい。例えば、
図5に示す例では、識別子が「A0002」の車両1と識別子が「A0004」の車両1は、二次電池20のサイズ、二次電池20の種類及び車両情報が同じである。識別子が「A0002」の車両1について、例えば、一か月における運転頻度が高く、1日あたりの運転時間が長いとの運転状況が格納され、識別子が「A0004」の車両1について、例えば、一か月における運転頻度が低く、1日あたりの運転時間が短いとの運転状況が格納されていた場合を想定する。この場合、識別子が「A0002」の車両1の第2閾値である「4」を、識別子が「A0004」の車両1の第2閾値である「5」で更新するようにしてもよい。また、テーブルTBの第2閾値を更新する場合、例えば、車両1の型式をテーブルTBに格納し、同じ型式が格納されているレコードを複数抽出し、抽出したレコードの第2閾値の平均値で他の同じ型式の車両1の第2閾値を更新してもよい。また、例えば、テーブルTBで同じ型式が格納されているレコードについて、機械学習によって型式に適切な第2閾値を算出し、算出した第2閾値で他の同じ型式の車両1の第2閾値を更新してもよい。このように、第2閾値を学習することにより、次に二次電池20を交換する時の第2閾値を設定することができる。さらに、複数の車両1の間で第2閾値を更新することにより、交換通知を適切なタイミングで送ることができる。また、新たにテーブルTBにレコードを追加する場合、他のレコードでサイズ、種類、定格容量、車種情報が同じであるレコードに格納されている第2閾値を新たに追加するレコードの第2閾値としてもよい。複数の車両1の第2閾値を集約し、車両1の間で更新することにより、好適な第2閾値を設定することができる。
【0062】
本発明においては、例えばディーラーにおいて車両1の二次電池20が交換された場合、ディーラーが有する治具と状態検知装置10が通信し、二次電池20の交換の判定結果としてオンに設定された交換フラグを治具から状態検知装置10に送信して更新してもよい。交換フラグを治具から受信した制御部11は、受信した交換フラグがオンである場合、二次電池20が交換されたと判定する。また、車両1の二次電池20が交換された場合、情報処理装置200から車両1へオンに設定された交換フラグを送信し、状態検知装置10における交換フラグを送信された交換フラグで更新してもよい。なお、このように外部から交換フラグが更新された場合、ステップS106、ステップS107及びステップS108の処理をスキップしてもよい。
【0063】
上述した実施形態においては、交換通知を端末装置300が受信しているが、ECU40が交換通知を受信してもよい。この場合、ECU40は、受信した交換通知に基づいて、車両1が備えるディスプレイ装置で車両1の二次電池20の交換を促すメッセージを表示してもよい。
【0064】
本発明においては、第2閾値を記憶部12で記憶するようにしてもよい。制御部11は、ステップS104で生成した内部抵抗情報が記憶部12に記憶されている第2閾値を超えた場合、内部抵抗情報が第2閾値を超えたことをECU40へ通知する。この通知を受けたECU40は、車両1が備えるディスプレイ装置で車両1の二次電池20の交換を促すメッセージを表示してもよい。また、この場合、ECU40は、ディスプレイ装置で交換を促すメッセージを表示するのではなく、交換通知を端末装置300へ送信してもよい。
【0065】
本発明においては、状態検知装置10が備える機能と、情報処理装置200が備える機能をECU40が備える構成であってもよい。
図10は、通知システム1000の変形例を示すブロック図である。この変形例においては、ECU40は、制御部400、インターフェース410、及び記憶部420を備えている。インターフェース410は、電圧センサ31、電流センサ32、及び温度センサ33から出力される信号を取得する。制御部400は、制御部11と同様にCPU、ROM、RAMを有している。なお、制御部400は、CPUの代わりに、DSP、FPGA、または、ASIC等によって構成するようにしてもよい。CPU、ROM、RAM、記憶部420、及びインターフェース410は、バスにより相互に接続され、これらの間で情報の授受を行なう。記憶部420は、不揮発性メモリによって構成され、第1閾値及び第2閾値を記憶する。
【0066】
制御部400の機能は、CPUがROMからプログラムを読み出して実行することで、機能部として実現される。CPUがROMに記憶されているプログラムを実行することにより、制御部400においては、取得部401、算出部402、判定部403、設定部404、放電制御部405、及び通知部406が実現する。
【0067】
取得部401は、電圧センサ31から出力されてインターフェース310が取得した信号に基づいて、電圧センサ31が測定した電圧値を取得し、電流センサ32から出力されてインターフェース410が取得した信号に基づいて、電流センサ32が測定した電流値を取得する。また、取得部401は、温度センサ33から出力されてインターフェース410が取得した信号に基づいて、温度センサ33が測定した温度を取得する。
【0068】
算出部402は、算出部402と同じ機能を備えており、放電回路34によって二次電池20が所定のパターンで放電を行ったときに取得部401が取得した二次電池20の電圧値、電流値、及び温度を用いて二次電池20の内部抵抗値を算出する。
【0069】
判定部403は、判定部403と同じ機能を備えており、算出部402で得られた内部抵抗値と、予め定められた閾値に基づいて、二次電池20が交換されたか否かを判定する。また、判定部403は、算出した内部抵抗値から内部抵抗情報を生成し、内部抵抗情報と第2閾値とを用いて、二次電池20の交換を促す交換通知を出力するか否かを判定する。
【0070】
設定部404は、二次電池20が交換されたと判定部403で判定された場合、二次電池20の交換を促す通知を送信するために用いる第2閾値を設定する。放電制御部405は、二次電池20からの放電が所定のパターンで行われるように放電回路34を制御する。
【0071】
通知部406は、交換通知を出力すると判定部403が判定した場合、車両1の二次電池20の交換を促すメッセージを車両1が備えるディスプレイ装置に表示させる。
【0072】
この構成においては、制御部400は、算出部402で算出した内部抵抗値が第1閾値を超えている場合、二次電池20が交換されたと判定する。制御部400は、二次電池20が交換されたと判定した場合、内部抵抗情報を生成し、生成した内部抵抗情報を第2閾値として記憶部420に記憶させる。制御部400は、二次電池20が交換されたと判定された後、内部抵抗情報が記憶部420に記憶されている第2閾値を超えた場合、車両1の二次電池20の交換を促すメッセージを車両1が備えるディスプレイ装置に表示させる。この構成においても、二次電池20の交換に適切なタイミングで二次電池20の交換を通知することができる。なお、この構成においては、ECU40が車両情報、二次電池情報、第2閾値、交換フラグを情報処理装置200へ送信し、交換通知の送信を情報処理装置200が行うようにしてもよい。
【0073】
本発明においては、情報処理装置200が備える機能をECU40が備える構成であってもよい。
図11は、この変形例の構成を示すブロック図である。この構成の場合、制御部400は、取得部401、判定部403、通知部406を備える。取得部401は、状態検知装置10から送信される第2閾値、内部抵抗情報、交換フラグを取得する。取得部401が受信した第2閾値は、記憶部420に記憶される。判定部403は、取得部401が取得した内部抵抗情報と、記憶部420に記憶された第2閾値を用いて、交換通知を出力するか否か判定する。具体的には、取得部401が取得した内部抵抗情報が第2閾値を超えている場合、交換通知を出力すると判定する。通知部406は、判定部403が交換通知を出力すると判定した場合、あらかじめ定められた宛先へ交換通知を送信する。なお、通知部406は、判定部403が交換通知を出力すると判定した場合、車両1の二次電池20の交換を促すメッセージを車両1が備えるディスプレイ装置に表示させてもよい。
【0074】
本発明においては、二次電池20の故障の兆候を示す電圧値、電流値、内部抵抗値を利用して交換通知を送信するようにしてもよい。例えば、状態検知装置10は、取得した電圧値、電流値、内部抵抗値を履歴として記憶する。状態検知装置10は、二次電池20の内部短絡が発生したことを検知し、内部短絡が発生する直前の電圧値、電流値、内部抵抗値及びそれらの変化量をECU40へ出力する。ECU40は、状態検知装置10から出力された内部短絡が発生する直前の電圧値、電流値、内部抵抗値を情報処理装置200へ送信し、情報処理装置200は、送信された電圧値、電流値、内部抵抗値を故障の兆候を示す値として記憶する。そして状態検知装置10は、得られた電圧値、電流値、内部抵抗値をECU40へ出力する。ECU40は、状態検知装置10から出力された電圧値、電流値、内部抵抗値を情報処理装置200へ送信し、情報処理装置200は、受信した値と、故障の兆候を示す値とを比較して二次電池20の内部短絡を推定し、内部短絡が発生すると判定した場合、交換通知を端末装置300へ送信する。この構成によれば二次電池20の劣化による交換を促すだけでなく、故障を予測して交換を促すことができる。なお、この構成では、内部抵抗値の故障の兆候を示す値を状態検知装置10が記憶し、状態検知装置10が内部短絡を推定してもよい。この場合、状態検知装置10は、交換通知をECU40へ出力し、交換通知を受け取ったECU40は、車両1の二次電池20の交換を促すメッセージを車両1が備えるディスプレイ装置に表示させる。また、内部抵抗値を故障の兆候を示す値をECU40が記憶し、状態検知装置10は、エンジン21が停止しているときに得られた電圧値、電流値、内部抵抗値をECU40へ出力してもよい。この場合、ECU40は、状態検知装置10から出力される電圧値、電流値、内部抵抗値を、故障の兆候を示す値と比較して二次電池20の内部短絡を推定し、内部短絡が発生すると判定した場合、車両1の二次電池20の交換を促すメッセージを車両1が備えるディスプレイ装置に表示させてもよい。なお、故障の兆候を示す電圧値、電流値、内部抵抗値を利用する場合、情報処理装置200は、複数の車両1から送信されたこれらの情報を機械学習により学習して最適化してもよい。機械学習により最適化された情報をECU40へ送信し、送信された情報を基にECU40が内部短絡の発生を判定してもよく、また、機械学習により最適化された情報を状態検知装置10へ送り、送られた情報を基に状態検知装置10が内部短絡の発生を判定してもよい。また、情報処理装置200は、交換通知をECU40送信し、交換通知に応じてECU40が二次電池20の交換を促すメッセージを車両1のディスプレイ装置に表示させてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 車両
10 状態検知装置
11、210、400 制御部
12、220 記憶部
13、230 通信部
20 二次電池
31 電圧センサ
32 電流センサ
33 温度センサ
34 放電回路
40 ECU
101、211、401 取得部
102、402 算出部
103、212、403 判定部
104、404 設定部
105 出力部
106、405 放電制御部
213、406 通知部
200 情報処理装置
300 端末装置
1000 通知システム