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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130566
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ゲート駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/567 20060101AFI20240920BHJP
   H02M 1/08 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H03K17/567
H02M1/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040381
(22)【出願日】2023-03-15
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「省エネエレクトロニクスの製造基盤強化に向けた技術開発事業/新世代パワー半導体の開発/大口径インテリジェント・シリコンパワー半導体の開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高宮 真
(72)【発明者】
【氏名】畑 勝裕
(72)【発明者】
【氏名】張 狄波
【テーマコード(参考)】
5H740
5J055
【Fターム(参考)】
5H740BA11
5H740BC01
5H740BC02
5H740HH06
5H740JA01
5H740JB01
5H740KK01
5H740MM01
5J055AX44
5J055AX64
5J055BX16
5J055CX13
5J055DX09
5J055EX07
5J055EY01
5J055EY03
5J055EY05
5J055EY12
5J055EY21
5J055EY29
5J055EZ07
5J055EZ09
5J055EZ10
5J055EZ20
5J055FX03
5J055FX13
5J055GX01
5J055GX04
5J055GX05
(57)【要約】
【課題】装置全体を小型化する。
【解決手段】パワートランジスタのゲートを駆動するゲート駆動装置であって、パワートランジスタのエミッタまたはソースと配線により接続され基準電圧が供給される基準電圧端子に対するエミッタまたはソースの電圧に基づくセンス電圧を用いて、パワートランジスタのゲート電流を調整する。これにより、パワートランジスタのエミッタまたはソースに電流が流れると、配線の寄生インダクタンスにより、基準電圧端子に対してエミッタまたはソースの電圧が変化する。一般に、配線の寄生インダクタンスは小さいことから、基準電圧端子圧に対するエミッタまたはソースの電圧の振幅は比較的小さいから、装置全体の小型化を図ることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワートランジスタのゲートを駆動するゲート駆動装置であって、
前記パワートランジスタのエミッタまたはソースと配線により接続され基準電圧が供給される基準電圧端子と前記エミッタまたは前記ソースとの間の電圧に基づくセンス電圧を用いて、前記パワートランジスタのゲート電流を調整する
ゲート駆動装置。
【請求項2】
請求項1記載のゲート駆動装置であって、
前記センス電圧と複数の参照電圧とを比較し、比較結果を示す信号を出力する検出回路と、
前記比較結果を示す前記信号に基づくタイミングで前記ゲート電流を複数回に亘って変化させながら、前記パワートランジスタのゲート電圧の立ち上げおよび/または立ち下げを行なうゲート電流調整回路と、
を備えるゲート駆動装置。
【請求項3】
請求項2記載のゲート駆動装置であって、
前記検出回路は、前記センス電圧が前記基準電圧より低い第1参照電圧以下になったときには、第1比較結果信号を出力し、前記センス電圧が前記基準電圧より高い第2参照電圧以上になったときには、第2比較結果信号を出力し、
前記ゲート電流調整回路は、前記ゲート電圧を立ち上げるときには、前記ゲート電流をソース電流である第1ソース電流とした後に前記第1比較結果信号が入力されたタイミングで、前記ゲート電流を前記第1ソース電流より小さいソース電流である第2ソース電流とし、前記ゲート電流を前記第2ソース電流とした後に前記第2比較結果信号が入力されたタイミングで、前記ゲート電流を前記第2ソース電流より大きい第3ソース電流とする
ゲート駆動装置。
【請求項4】
請求項2記載のゲート駆動装置であって、
前記検出回路は、前記センス電圧が前記基準電圧より高い第3参照電圧以上になったときには、第3比較結果信号を出力し、前記センス電圧が前記第3参照電圧未満になったときには、第4比較結果信号を出力し、
前記ゲート電流調整回路は、前記ゲート電圧を立ち下げるときには、前記ゲート電流をシンク電流である第1シンク電流とした後に前記第3比較結果信号が入力されたタイミングで、前記ゲート電流を前記第1シンク電流より小さいシンク電流である第2シンク電流とし、前記ゲート電流を前記第2シンク電流とした後に前記第4比較結果信号が入力されたタイミングで、前記ゲート電流を前記第2シンク電流より大きいシンク電流である第3シンク電流とする
ゲート駆動装置。
【請求項5】
請求項2記載のゲート駆動装置であって、
前記検出回路は、
入力と出力とが接続されたインバータと、
前記センス電圧が入力される入力端子と前記インバータの前記入力とに接続されるコンデンサと、
を有し、前記インバータの前記入力に複数の前記参照電圧を供給する
ゲート駆動装置。
【請求項6】
請求項2記載のゲート駆動装置であって、
前記ゲート電流調整回路は、
電源と前記パワートランジスタの前記ゲートとの間に並列接続されるn個のP型トランジスタを有するプルアップ回路と、
前記ゲート電圧を立ち上げるときに、前記プルアップ回路の前記n個の前記P型トランジスタのうちオンする前記P型トランジスタの個数を調整する第1調整回路と、
を有する
ゲート駆動装置。
【請求項7】
請求項2記載のゲート駆動装置であって、
前記ゲート電流調整回路は、
前記パワートランジスタの前記ゲートと接地との間に並列接続されるm個のN型トランジスタを有するプルダウン回路と、
前記ゲート電圧を立ち下げるときに、前記プルダウン回路の前記m個の前記N型トランジスタのうちオンする前記N型トランジスタの個数を調整する第2調整回路と、
を有する
ゲート駆動装置。
【請求項8】
請求項1または2記載のゲート駆動装置であって、
前記センス電圧は、前記基準電圧端子に対する前記エミッタまたは前記ソースの電圧である
ゲート駆動装置。
【請求項9】
請求項1または2記載のゲート駆動装置であって、
前記基準電圧端子に対する前記エミッタまたは前記ソースの電圧の振幅を減衰させて出力する減衰回路
を備え、
前記センス電圧は、前記減衰回路の出力電圧である
ゲート駆動装置。
【請求項10】
請求項1または2記載のゲート駆動装置であって、
前記基準電圧端子に対する前記エミッタまたは前記ソースの電圧に含まれる所定周波数以上の交流成分をカットして出力するローパスフィルタ
を備え、
前記センス電圧は、前記ローパスフィルタの出力電圧である
ゲート駆動装置。
【請求項11】
請求項1記載のゲート駆動装置であって、
前記ゲートを駆動するインバータと、
前記インバータと電源電圧が供給される電源端子との間に接続され、前記基準電圧端子より前記エミッタまたは前記ソースの電圧が低いときにはオフするトランジスタと、
を備えるゲート駆動装置。
【請求項12】
請求項1、2、11のいずれか1つの請求項に記載のゲート駆動装置であって、
1つの半導体基板に搭載されている
ゲート駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲート駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のゲート駆動装置としては、パワートランジスタ(SiC MOSFET)のゲートを駆動する装置が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。この装置は、パワートランジスタのドレイン電流を検出し、検出したドレイン電流の時間変化量に基づいてゲート・ソース間電圧を調整している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】"Active Gate Driver for Improving Current Sharing Performance of Paralleled High-Power Sic MOSFET Modules", Yan Wen, Yuan Yang, and Yong Gao, IEEE TRANSACTIONS ON POWER ELECTRONICS, VOL.36, NO.2, FEBRUARY 2021, pp. 1491-1505.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のゲート駆動装置では、パワートランジスタのドレイン電流の振幅が大きいため、装置全体を1つの基板に搭載することができない。例えば、ドレイン電流を検出する電流検出部と、ゲート電圧を調整する電圧調整部と、を分けて異なる基板に搭載する必要があり、この場合、装置全体が大型化してしまう。
【0005】
本発明のゲート駆動装置は、装置全体を小型化がすることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のゲート駆動装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明のゲート駆動装置は、
パワートランジスタのゲートを駆動するゲート駆動装置であって、
前記パワートランジスタのエミッタまたはソースと配線により接続され基準電圧が供給される基準電圧端子と前記エミッタまたは前記ソースとの間の電圧に基づくセンス電圧を用いて、前記パワートランジスタのゲート電流を調整する
ことを要旨とする。
【0008】
この本発明のゲート駆動装置では、パワートランジスタのエミッタまたはソースと配線により接続され基準電圧が供給される基準電圧端子とエミッタまたはソースのとの間の電圧に基づくセンス電圧を用いて、パワートランジスタのゲート電流を調整する。パワートランジスタのエミッタまたはソースに電流が流れると、配線の寄生インダクタンスにより、基準電圧端子とエミッタまたはソースとの間の電圧が変化する。一般に、配線の寄生インダクタンスは小さいことから、基準電圧端子とエミッタまたはソースとの間の電圧の振幅は比較的小さい。また、一般に、電圧の振幅が低いときには高いときに比して装置全体
を小型化できる。この結果、装置全体の小型化を図ることができる。
【0009】
こうした本発明のゲート駆動装置において、前記センス電圧と複数の参照電圧とを比較し、比較結果を示す信号を出力する検出回路と、前記比較結果を示す前記信号に基づくタイミングで前記ゲート電流を複数回に亘って変化させながら、前記パワートランジスタのゲート電圧の立ち上げおよび/または立ち下げを行なうゲート電流調整回路と、を備えていてもよい。こうすれば、パワートランジスタのエネルギー損失の抑制と装置全体の小型化を両立させることができる。
【0010】
検出回路とゲート電流調整回路とを備える態様の本発明のゲート駆動装置において、前記検出回路は、前記センス電圧が前記基準電圧より低い第1参照電圧以下になったときには、第1比較結果信号を出力し、前記センス電圧が前記基準電圧より高い第2参照電圧以上になったときには、第2比較結果信号を出力し、前記ゲート電流調整回路は、前記ゲート電圧を立ち上げるときには、前記ゲート電流をソース電流である第1ソース電流とした後に前記第1比較結果信号が入力されたタイミングで、前記ゲート電流を前記第1ソース電流より小さいソース電流である第2ソース電流とし、前記ゲート電流を前記第2ソース電流とした後に前記第2比較結果信号が入力されたタイミングで、前記ゲート電流を前記第2ソース電流より大きい第3ソース電流としてもよい。こうすれば、パワートランジスタのエネルギー損失の抑制と装置全体の小型化とを両立させることができる。
【0011】
また、検出回路とゲート電流調整回路とを備える態様の本発明のゲート駆動装置において、前記検出回路は、前記センス電圧が前記基準電圧より高い第3参照電圧以上になったときには、第3比較結果信号を出力し、前記センス電圧が前記第3参照電圧未満になったときには、第4比較結果信号を出力し、前記ゲート電流調整回路は、前記ゲート電圧を立ち下げるときには、前記ゲート電流をシンク電流である第1シンク電流とした後に前記第3比較結果信号が入力されたタイミングで、前記ゲート電流を前記第1シンク電流より小さいシンク電流である第2シンク電流とし、前記ゲート電流を前記第2シンク電流とした後に前記第4比較結果信号が入力されたタイミングで、前記ゲート電流を前記第2シンク電流より大きいシンク電流である第3シンク電流としてもよい。こうすれば、ゲート電圧を立ち上げる際のエネルギー損失の抑制と装置全体の小型化とを両立させることができる。
【0012】
さらに、検出回路とゲート電流調整回路とを備える態様の本発明のゲート駆動装置において、前記検出回路は、入力と出力とが接続されたインバータと、前記センス電圧が入力される入力端子と前記インバータの前記入力とに接続されるコンデンサと、を有し、前記インバータの前記入力に複数の前記参照電圧を供給してもよい。こうすれば、検出回路としてオペアンプのコンパレータを用いる場合に比して、高速に比較結果を示す信号を出力できる。
【0013】
そして、検出回路とゲート電流調整回路とを備える態様の本発明のゲート駆動装置において、前記ゲート電流調整回路は、電源と前記パワートランジスタの前記ゲートとの間に並列接続されるn個のP型トランジスタを有するプルアップ回路と、前記ゲート電圧を立ち上げるときに、前記プルアップ回路の前記n個の前記P型トランジスタのうちオンする前記P型トランジスタの個数を調整する第1調整回路と、を有していてもよい。こうすれば、プルアップ回路を用いて、ゲート電流を調整できる。
【0014】
また、検出回路とゲート電流調整回路とを備える態様の本発明のゲート駆動装置において、前記ゲート電流調整回路は、前記パワートランジスタの前記ゲートと接地との間に並列接続されるm個のN型トランジスタを有するプルダウン回路と、前記ゲート電圧を立ち下げるときに、前記プルダウン回路の前記m個の前記N型トランジスタのうちオンする前記N型トランジスタの個数を調整する第2調整回路と、を有していてもよい。こうすれば、プルダウン回路を用いてゲート電流を調整できる。
【0015】
また、本発明のゲート駆動装置において、前記センス電圧は、前記基準電圧端子に対する前記エミッタまたは前記ソースの電圧としてもよい。
【0016】
さらに、本発明のゲート駆動装置において、前記基準電圧端子に対する前記エミッタまたは前記ソースの電圧の振幅を減衰させて出力する減衰回路を備え、前記センス電圧は、前記減衰回路の出力電圧としてもよい。こうすれば、より適正にコンパレータの保護を図れる。
【0017】
そして、本発明のゲート駆動装置において、前記基準電圧端子に対する前記エミッタまたは前記ソースの電圧に含まれる所定周波数以上の交流成分をカットして出力するローパスフィルタを備え、前記センス電圧は、前記ローパスフィルタの出力電圧としてもよい。こうすれば、基準電圧端子に対するエミッタまたはソースの電圧のリンキングした場合において、センス電圧のリンキングを抑制できる。これにより、コンパレータの誤動作を抑制できる。
【0018】
また、本発明のゲート駆動装置において、前記ゲートを駆動するインバータと、前記インバータと電源電圧が供給される電源端子との間に接続され、前記基準電圧端子より前記エミッタまたは前記ソースの電圧が低いときにはオフするトランジスタと、を備えていてもよい。こうすれば、基準電圧端子に対するエミッタまたはソースの電圧に応じてトランジスタをオンオフして、ゲート電流を調整することができる。
【0019】
さらに、本発明のゲート駆動装置において、1つの半導体基板に搭載されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施例としてのゲート駆動装置20の構成の概略を示す構成図である。
図2】ゲート駆動装置20の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図3】IGBT12の温度TJが25℃のときに負荷電流ILを変化させたときのコレクタ電流ICの時間変化の測定結果を示している。
図4】IGBT12の温度TJが25℃のときに負荷電流ILを変化させたときのゲート-エミッタ間電圧VGEの時間変化の測定結果を示している。
図5】IGBT12の温度TJが75℃のときに負荷電流ILを変化させたときのコレクタ電流ICの時間変化の測定結果を示している。
図6】IGBT12の温度TJが75℃のときに負荷電流ILを変化させたときのゲート-エミッタ間電圧VGEの時間変化の測定結果を示している。
図7】IGBT12の温度TJが125℃のときに負荷電流ILを変化させたときのコレクタ電流ICの時間変化の測定結果を示している。
図8】IGBT12の温度TJが125℃のときに負荷電流ILを変化させたときのゲート-エミッタ間電圧VGEの時間変化の測定結果を示している。
図9】異なる温度TJにおける時間t2と負荷電流ILとの関係の測定結果を示している。
図10】コレクタ電流ICのオーバーシュート量とIGBT12のエネルギー損失ELOSSとの関係の測定結果を示している。
図11】コンパレータCMPの一例を示す回路図である。
図12】インバータINVの入力と出力との関係の一例を示す説明図である。
図13】減衰回路ATの構成の概略を示す回路図である。
図14】変形例のゲート駆動装置120の一例を示す回路図である。
図15】ケルビンエミッタEに対するパワー端子eの電圧VEeとPMOSトランジスタPVのゲート電圧VG1とIGBT12のゲート電流IGとの時間変化の一例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例0022】
図1は、本発明の一実施例としてのゲート駆動装置20の構成の概略を示す構成図である。ゲート駆動装置20は、電源VDC(例えば、600Vなど)と接地電位が供給されるパワー端子e(基準電圧端子)との間に負荷10と共に直列に接続される絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor,以下「IGBT」という)12のゲートGを駆動する装置として構成されている。ゲート駆動装置20は、プルアップ回路22と、プルダウン回路24と、検出回路30と、プルアップ側、プルダウン側のシリアルインパラレルアウトレジスタ(以下、「SIPO」という)40、42と、プルアップ側、プルダウン側のパラレルインシリアルアウトレジスタ(以下、「PISO」という)44、46と、を備える。なお、負荷10は、リアクトルLと、炭化ケイ素(SiC)により形成されリアクトルLに並列に接続されダイオードD1と、IGBT14と、を備えている。負荷10と接地との間には、ダイオードD2がIGBT12に対して並列に接続されている。IGBT12のケルビンエミッタEは、寄生インダクタンスLeEの配線によりパワー端子eと接続されている。「ゲート電流調整回路」としては、SIPO40、42、PISO44、46、レベルシフタ48、プルアップ回路22、プルダウン回路24が相当する。
【0023】
プルアップ回路22は、電源VDRIVEとIGBT12のゲートGとの間に並列に接続されるPチャネル(P型)金属酸化膜半導体(P-Channel Metal-Oxide Semiconductor、以下「PMOS」という)トランジスタP1~P6を備える。トランジスタP1~P6は、ゲート長が同一でゲート幅が異なるトランジスタとして構成されている。トランジスタP2~P6のゲート幅は、トランジスタP1のゲート幅の2倍、4倍、8倍、16倍、32倍となるよう調整されている。実施例では、電源VDRIVEには、10Vから18Vの電圧、好ましくは、15Vの電圧が供給されている。
【0024】
プルダウン回路24は、IGBT12のゲートGと接地との間に並列に接続されるNチャネル(N型)金属酸化膜半導体(N-Channel Metal-Oxide Semiconductor、以下「NMOS」という)トランジスタN1~N6を備える。トランジスタN1~N6は、ゲート長が同一でゲート幅が異なるトランジスタとして構成されている。トランジスタN2~N6のゲート幅は、トランジスタP1のゲート幅の2倍、4倍、8倍、16倍、32倍となるよう調整されている。
【0025】
検出回路30は、パワー端子eの電圧とケルビンエミッタEの電圧と第1、第2参照電圧VREFL、VREFHと、基準入力電圧INとが入力されている。検出回路30は、パワー端子eに対するケルビンエミッタEの電圧VeEであるセンス電圧に基づいてコレクタ電流Icの変化のタイミングを検出する。電圧VeEは、寄生インダクタンスLeEとIGBT12のコレクタ電流ICとを用いて次式(1)により算出されることから、電圧VeEを調べることで、コレクタ電流Icの変化のタイミングを検出できる。第1参照電圧VREFLは、パワー端子eの電圧である基準電圧Vs(実施例では、接地電圧)より低い電圧として予め定められた電圧である。第2参照電圧VREFHは、基準電圧Vsより高い電圧として予め定められた電圧である。基準入力電圧INは、パルス信号であり、IGBT12のゲートGをプルダウンするときにはハイとなり、IGBT12のゲートGをプルアップするときにはローとなる。検出回路30は、図示はしないが、オペアンプである2つのコンパレータを備え、電圧VeEと第1参照電圧VREFLとの比較と、電圧VeEと第2参照電圧VREFHとの比較と、を行なう検出回路30は、基準入力電圧INが立ち上がったときに、PISO46にパルス信号を出力する。検出回路30は、基準入力電圧INが立ち上がっている状態で、電圧VeEが第1参照電圧VREFL以下になったタイミングで、パルス信号(第1比較結果信号)をPISO46に出力し、電圧VeEが第2参照電圧VREFH以上となったタイミングでパルス信号(第2比較結果信号)をPISO46に出力する。検出回路30は、基準入力電圧INが立ち下がったときに、PISO44にレベルシフタ48を介してパルス信号を出力する。検出回路30は、基準入力電圧INが立ち下がっている状態で、電圧VeEが第2参照電圧VREFH以上になったタイミングで、パルス信号(第3比較結果信号)をレベルシフタ48を介してPISO44に出力し、電圧VeEが第2参照電圧VREFH以下となったタイミングでパルス信号(第4比較結果信号)をレベルシフタ48を介してPISO44に出力する。
【0026】
VeE=-LeE・(dIc/dt) ・・・(1)
【0027】
SIPO40は、スキャンイン入力SInとスキャンクロックSCLKがレベルシフタ48を介して入力されている。SIPO40は、スキャンイン入力SInとスキャンクロックSCLKの入力に基づいて、PMOSトランジスタP1~P6のうちオンするトランジスタの組み合わせのパターンPpをPISO44に出力する。パターンPpは、PMOSトランジスタP1をオンしたときに流れる電流をIopとしたときに、ゲート電流IGがn1・Iop、n2・Iop、n3・Iopと変化するように定められており、実施例では、「n1」を値40、「n2」を値0、「n3」を値63とする。即ち、最初にPMOSトランジスタP4、P6をオンし、続いてPMOSトランジスタP1~P6の全てをオフし、最後にPMOSトランジスタP1~P6の全てをオンする。SIPO42は、スキャンイン入力SInとスキャンクロックSCLKが入力されている。SIPO42は、NMOSトランジスタN1~N6のうちオンするトランジスタの組み合わせのパターンPnをPISO46に出力する。パターンPnは、NMOSトランジスタN1をオンしたときに流れる電流をIonとしたときに、ゲート電流IGがn4・Ion、n5・Ion、n6・Ionと変化するように定められており、実施例では、「n4」を値40、「n5」を値0、「n6」を値63とする。即ち、最初にNMOSトランジスタN4、N6をオンし、続いてNMOSトランジスタN1~N6の全てをオフし、最後にNMOSトランジスタN1~N6の全てをオンする。
【0028】
PISO44は、検出回路30から出力されるパルス信号とSIPO40からのオンするプルアップ回路22のPMOSトランジスタの組み合わせのパターンPpとに基づいて、プルアップ回路22のPMOSトランジスタP1~P6を駆動する。PISO44は、検出回路30からパルス信号が入力される度に、プルアップ回路22のPMOSトランジスタP1~P6のうちオンするトランジスタをパターンPpに従って順次切り替える。これにより、IGBT12のゲート電流IGを3段階のシンク電流に切り替える。PISO46は、検出回路30から出力されるパルス信号とSIPO42からのオンするプルダウン回路24のNMOSトランジスタのパターンPnとに基づいて、プルダウン回路24のNMOSトランジスタN1~N6を駆動する。PISO46は、検出回路30からパルス信号が入力される度に、プルダウン回路24のNMOSトランジスタN1~N6のうちオンするトランジスタをパターンPnに従って順次切り替える。これにより、IGBT12のゲート電流IGを3段階のソース電流に切り替える。
【0029】
SIPO40、PISO44には、例えば、5Vなどの電源電圧VDD1が供給されている。SIPO42、PISO46、検出回路30には、例えば、5Vなどの電源電圧VDD2が供給されている
【0030】
こうして構成された実施例のゲート駆動装置20では、ゲート駆動装置20全体を1つの半導体基板に集積している。これは、寄生インダクタンスLeEが小さく、電圧eEの振幅が比較的小さくなるから、ゲート駆動装置20全体を1つの半導体基板上に集積できることに基づく。ゲート駆動装置20全体を1つの半導体基板に集積することにより、装置全体を小型化できる。また、一般に、電圧の振幅が低いときには高いときに比して装置全体を小型化できる。よって、ゲート駆動装置20全体を小型化できる。
【0031】
次に、こうして構成された実施例のゲート駆動装置20の動作について説明する。図2はゲート駆動装置20の動作を説明するためのタイミングチャートである。基準入力電圧INが立ち上がると(時刻t00)、検出回路30からパルス信号がPISO44に出力され、PISO44はパターンPpに従ってプルアップ回路22のPMOSトランジスタP1~P6のうちPMOSトランジスタP4、P6をオンして(図中、「n1」で表記する)ゲート電流IGがソース電流として流れ始めて、ゲート-エミッタ間電圧VGEが上昇する。
【0032】
ゲート-エミッタ間電圧VGEが上昇して閾値を超えると、コレクタ電流ICが流れ始めて、寄生インダクタンスLeEにより電圧eEが負の電圧となる。そして、電圧eEが第1参照電圧VREFL以下になると(時刻t10)、検出回路30は、PISO44にパルス信号を出力し、PISO44はパターンPpに従ってプルアップ回路22のPMOSトランジスタP1~P6の全てをオフする(図中、「n2」で表記する)。
【0033】
そして、コレクタ電流Icがオーバーシュートして低下すると、寄生インダクタンスLeEにより電圧eEが正の電圧となる。そして、電圧eEが第2参照電圧VREFH以上になると(時刻t20)、検出回路30は、PISO44にパルス信号を出力し、PISO44は、パターンPpに従ってプルアップ回路22のPMOSトランジスタP1~P6の全てをオンする(図中、「n3」で表記する)。実施例では、「n1」、「n2」、「n3」を、値40、値0、値63としているから、ゲート電圧VGを立ち上げるときには、ゲート電流IGを比較的大きな第1ソース電流とした後に、第1ソース電流より小さい第2ソース電流とし、その後、ゲート電流IGを第2ソース電流より大きい第3ソース電流とする。ゲート電流IGを比較的大きな第1ソース電流とした後に、第1ソース電流より小さい第2ソース電流とするおとにより、コレクタ電流ICのオーバーシュートを抑制でき、IGBT12のスイッチングによるエネルギー損失ELOSSを抑制できる。時刻t00と時刻t10との間の時間t1や時刻t10と時刻t20との間の時間t2は、コレクタ電流ICの変化に応じて自動的に切り替わる。
【0034】
基準入力電圧INが立ち下がると(時刻t30)、検出回路30からパルス信号がPISO46に出力され、PISO46はパターンPnに従ってプルダウン回路24のNMOSトランジスタN1~N6のうちNMOSトランジスタN4、N6をオンして(図中、「n4」で表記する)、ゲート電流IGがシンク電流として流れ始めて、ゲート-エミッタ間電圧VGEが下降する。ゲート-エミッタ間電圧VGEが下降すると、コレクタ電流ICが低下し始めて、寄生インダクタンスLeEにより電圧eEが正の電圧となる。
【0035】
そして、電圧eEが第2参照電圧VREFH以上になると(時刻t40)、検出回路30は、PISO46にパルス信号を出力し、PISO46はパターンPnに従ってプルダウン回路24のNMOSトランジスタN1~N6の全てをオフする。そして、コレクタ電流Icが値0になると、電圧eEが下降する。
【0036】
電圧eEが第2参照電圧VREFH以下になると(時刻t50)、検出回路30は、PISO46にパルス信号を出力し、PISO46はパターンPnに従ってプルダウン回路24のNMOSトランジスタN1~N6の全てをオンする。ゲート電流IGBT10は、3回に亘って変化する。時刻t30と時刻t40との間の時間t4や時刻t40と時刻t50との間の時間t5は、コレクタ電流ICの変化に応じて自動的に切り替わる。
【0037】
図3は、IGBT12の温度TJが25℃のときに負荷電流ILを変化させたときのコレクタ電流ICの時間変化の測定結果を示している。図4は、IGBT12の温度TJが25℃のときに負荷電流ILを変化させたときのゲート-エミッタ間電圧VGEの時間変化の測定結果を示している。図5は、IGBT12の温度TJが75℃のときに負荷電流ILを変化させたときのコレクタ電流ICの時間変化の測定結果を示している。図6は、IGBT12の温度TJが75℃のときに負荷電流ILを変化させたときのゲート-エミッタ間電圧VGEの時間変化の測定結果を示している。図7は、IGBT12の温度TJが125℃のときに負荷電流ILを変化させたときのコレクタ電流ICの時間変化の測定結果を示している。図8は、IGBT12の温度TJが125℃のときに負荷電流ILを変化させたときのゲート-エミッタ間電圧VGEの時間変化の測定結果を示している。図9は、異なる温度TJにおける時間t2と負荷電流ILとの関係の測定結果を示している。図4図6図8に示すように時間t1は負荷電流ILに依存しない。理由は、図3図5図7に示すようにコレクタ電流ICがゼロから立ち上がるタイミングは負荷電流ILに依存しないからである。図4図6図8に示すように時間t1は温度TJに依存する。理由は、IGBT12のデバイス特性(例えばしきい値電圧)やゲート駆動装置20のゲート電流IGが温度TJに依存するからである。また、図9に示すように時間t2は負荷電流ILに依存する。理由は、図3図5図7に示すように負荷電流ILが増加するにつれて、コレクタ電流ICがピークに達するタイミングが遅くなるからである。図9に示すように時間t2は温度TJに依存する。理由は、図3図5図7に示すように温度TJが増加するにつれて、コレクタ電流ICのピーク値が増大するため、コレクタ電流ICがピークに達するタイミングが遅くなるからである。
【0038】
図10は、コレクタ電流ICのオーバーシュート量とIGBT12のスイッチングによるエネルギー損失ELOSSとの関係の測定結果を示している。図中、黒丸印は、時間t2を一定とした比較例のゲート駆動装置におけるコレクタ電流ICのオーバーシュート量とIGBT12のエネルギー損失ELOSSとの関係を示している。黒星印は、実施例のゲート駆動装置20におけるコレクタ電流ICのオーバーシュート量とIGBT12のエネルギー損失ELOSSとの関係を示している。実施例のゲート駆動装置20では、比較例に比して、IGBT12のエネルギー損失ELOSSが小さくなっている。このように、実施例のゲート駆動装置20では、エネルギー損失ELOSSを抑制できる。
【0039】
以上説明した実施例のゲート駆動装置20によれば、IGBT12のケルビンエミッタEに配線により接続され基準電圧が供給されるパワー端子eとケルビンエミッタEとの間の電圧eEを用いて、IGBT12のゲート電流IGを調整するから、装置全体の小型化を図ることができる。
【0040】
また、電圧eEと第1、第2参照電圧VREFL、VREFHとを比較し、比較結果を示す信号を出力する検出回路30と、比較結果を示す信号に基づくタイミングでゲート電流IGを3回に亘って変化させながら、IGBTのゲート電圧VGの立ち上げと立ち下げとを行なうSIPO40、42、PISO44、46、レベルシフタ48、プルアップ回路22、プルダウン回路24と、を備えるから、IGBT12のスイッチングによるエネルギー損失ELOSSの抑制と装置全体の小型化とを両立させることができる。
【0041】
実施例のゲート駆動装置20では、検出回路30は、オペアンプとしての2つのコンパレータを備えている。しかし、オペアンプとしての2つのコンパレータに代えて、図11に示すコンパレータCMPを用いてもよい。コンパレータCMPは、入力と出力とが接続されたCMOSのインバータINVと、電圧eEが入力される入力端子VeEとインバータINVの入力とに接続されるコンデンサCと、を備え、インバータINVの入力に抵抗Rを介して複数の参照電圧であるバイアス電圧VBIASを供給してもよい。図12は、インバータINVの入力と出力との関係の一例を示す説明図である。実線は、インバータINVの特性を示している。破線は、電圧V1と電圧V2が等しくなる直線である。この直線とインバータINVの特性との交点が、出力VOUTが反転する動作点となる。インバータINVの入力にバイアス電圧VBIASを供給すると、より低い電圧で出力VOUTが反転する。こうすれば、検出回路30において、オペアンプのコンパレータを用いる場合に比して、高速に比較結果を示す信号を出力できる。
【0042】
実施例のゲート駆動装置20では、パワー端子eの電圧とケルビンエミッタEの電圧とを検出回路30に入力している。しかし、パワー端子eに対するケルビンエミッタEの電圧である電圧eEの振幅が大きい場合には、入力した電圧の振幅を小さくする減衰回路ATを用いて、電圧eEの振幅を小さくしてもよい。図13は、減衰回路ATの構成の概略を示す回路図である。減衰回路ATは、分圧回路VDと、ゲイン可変増幅器AMPと、出力バッファBOと、を備える。分圧回路VDは、直列に接続された4つの抵抗R1~R4を備える。4つの抵抗R1~R4は、パワー端子eとケルビンエミッタEとの間にこの順で直列に接続されている。抵抗R2と抵抗R3との接続点には、接地電圧GDGND(例えば、2.5Vなど)が供給されている。抵抗R1と抵抗R2との接続点および抵抗R3と抵抗R4との接続点がゲイン可変増幅器AMPの入力に接続されている。ゲイン可変増幅器AMPは、増幅のゲインを複数種類設定可能な回路である。ゲイン可変増幅器AMPは、入力した電圧に設定したゲインを乗じた電圧を出力バッファBOを介して出力する。こうして電圧eEを減衰させた検出回路30に入力するから、検出回路30の保護を図ることができる。
【0043】
実施例のゲート駆動装置20では、電圧eEと第1、第2参照電圧VREFL、VREFHとを比較し、比較結果を示す信号を出力する検出回路30と、比較結果を示す信号に基づくタイミングでゲート電流IGを3回に亘って変化させながら、IGBTのゲート電圧VGの立ち上げと立ち下げとを行なうSIPO40、42、PISO44、46、レベルシフタ48、プルアップ回路22、プルダウン回路24と、を備えている。しかし、本発明は、1つまたは複数段のCMOSのインバータによりIGBT12のゲートGを駆動するものにも適用できる。図14は、変形例のゲート駆動装置120の構成の概略を示す構成図である。図中、インバータINVlは、複数段のインバータのうち最終段のインバータである。インバータINVlのPMOSトランジスタのソースと電源VDD1との間にPMOSトランジスタPVを設け、パワー端子eをコンデンサCeを介して電源VDD1に接続し、ケルビンエミッタEをコンデンサCEを介してPMOSトランジスタPVのゲートに接続し、PMOSトランジスタPVのゲートを抵抗Rgを介して接地してもよい。図15は、ケルビンエミッタEに対するパワー端子eの電圧VEeとPMOSトランジスタPVのゲート電圧VG1とIGBT12のゲート電流IGとの時間変化の一例を示すタイミングチャートである。図示するように、ゲート電流IGによりコレクタ電流ICが流れ始めると(時刻t100)、電圧VEeが正の電圧となり、PMOSトランジスタPVがオフする。PMOSトランジスタPVがオフすると、インバータINVlに電流が流れなくなり、ゲート電流IGが値0になる。そして、コレクタ電流ICが減少すると、電圧VEeが降下して負の電圧になると、PMOSトランジスタPVがオンする。PMOSトランジスタPVがオンすると、インバータINVlに電流が流れ始め、ゲート電流IGが上昇する。このように、ゲート駆動装置120では、電圧VEeを用いて、IGBT12のゲート電流IGを調整することができ、装置全体の小型化を図ることができる。また、ゲート駆動装置120は、ゲート駆動装置20に比して簡易な構成であり、高速化を図ることができる。
【0044】
実施例のゲート駆動装置20では、パワー端子eの電圧とケルビンエミッタEの電圧とを検出回路30に入力している。 しかし、電圧Eeに含まれる所定周波数以上の交流成分をカットして出力するローパスフィルタを備え、センス電圧をローパスフィルタの出力電圧としてもよい。こうすれば、基準電圧端子に対するエミッタの電圧がリンキングした場合において、センス電圧のリンキングを抑制できる。
【0045】
実施例のゲート駆動装置20では、電圧eEと2つの参照電圧(第1、第2参照電圧VREFL、VREFH)とを比較しているが、3つ以上の参照電圧と比較してもよい。
【0046】
実施例のゲート駆動装置20では、ゲート電流IGを3回に亘って変化させながら、ゲート電圧VGの立ち上げ、立ち下げを行なっているが、ゲート電流IGを2回に亘って変化させてもよいし、ゲート電流IGを4回以上に亘って変化させてもよい。
【0047】
実施例のゲート駆動装置20では、ゲート電流IGを3回に亘って変化させながら、ゲート電圧VGの立ち上げ、立ち下げを行なっている。しかし、ゲート電圧VGを立ち上げるときのみゲート電流IGを複数回に亘って変化させてもよいし、ゲート電圧VGを立ち下げるときのみゲート電流IGを複数回に亘って変化させてもよい。
【0048】
実施例のゲート駆動装置20では、パワー端子eに対するケルビンエミッタEの電圧VeEを検出している。しかし、ケルビンエミッタEが設けられていないときには、電圧VeEに代えて、パワー端子eに対するIGBT12のゲートの電圧を用いてもよい。
【0049】
実施例のゲート駆動装置20では、プルアップ回路22は、ゲート長が同一でゲート幅が異なるPMOSトランジスタP1~P6を備えている。しかし、PMOSトランジスタP1~P6のうち少なくとも1つのゲート幅を同一としてもよいし、ゲート長を異なるものとしてもよい。また、プルアップ回路22に含まれるPMOSトランジスタの個数は、6つに限定されるものではなく、必要なゲート電流IGに応じて適宜変更してもよい。
【0050】
実施例のゲート駆動装置20では、プルダウン回路24は、ゲート長が同一でゲート幅が異なるNMOSトランジスタN1~N6を備えている。しかし、NMOSトランジスタN1~N6のうち少なくとも1つのゲート幅を同一としてもよいし、ゲート長を異なるものとしてもよい。また、プルダウン回路24に含まれるNMOSトランジスタの個数は、6つに限定されるものではなく、必要なゲート電流IGに応じて適宜変更してもよい。
【0051】
実施例のゲート駆動装置20では、IGBT12のゲートGを駆動するものとしている。しかし、ゲートを駆動する対象は、ゲートを備えるパワートランジスタであれば如何なるものでもよく、例えば、パワーMOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)であってもよい。ゲートを駆動する対象をパワーMOSFETとする場合、ソースと配線により接続されたパワー端子eに対するソースの電圧を用いて、パワーMOSFETのゲート電流IGを調整すればよい。
【0052】
実施例では、本発明のゲート駆動装置20、120を1つの半導体基板に搭載しているが、2つ以上の半導体基板に分けて搭載してもよい。
【0053】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、ゲート駆動装置20が「ゲート駆動装置」に相当する。
【0054】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0055】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、ゲート駆動装置の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0057】
10 負荷、20、120 ゲート駆動装置、22 プルアップ回路、24 プルダウン回路、30 検出回路、48 レベルシフタ、AMP ゲイン可変増幅器、AT 減衰回、BO 出力バッファ、C、CE、Ce コンデンサ、CMP コンパレータ、D1、D2 ダイオード、E ケルビンエミッタ、G ゲート、INV、INVl インバータ、L リアクトル、LeE 寄生インダクタンス、N1~N63 NMOSトランジスタ、P1~P63、PV PMOSトランジスタ、R、R1~R4、Rg 抵抗、VD 分圧回路、e パワー端子。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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図15