(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130903
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】カーボン被覆シリカゲルを有する電子基板用印刷ペースト
(51)【国際特許分類】
H05K 1/09 20060101AFI20240920BHJP
H01G 11/32 20130101ALI20240920BHJP
C08K 9/02 20060101ALI20240920BHJP
C08L 27/06 20060101ALI20240920BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20240920BHJP
C01B 33/18 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H05K1/09 A
H01G11/32
C08K9/02
C08L27/06
C08L101/00
C01B33/18 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040856
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(71)【出願人】
【識別番号】591086854
【氏名又は名称】株式会社テクノメデイカ
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【弁理士】
【氏名又は名称】八木田 智
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 徹二
(72)【発明者】
【氏名】野口 幸紀
(72)【発明者】
【氏名】吉田 朗子
【テーマコード(参考)】
4E351
4G072
4J002
5E078
【Fターム(参考)】
4E351AA07
4E351BB01
4E351BB31
4E351CC11
4E351DD29
4E351EE02
4E351EE13
4E351EE14
4E351EE16
4E351EE20
4E351EE25
4E351GG06
4E351GG16
4G072AA25
4G072AA28
4G072AA41
4G072BB05
4G072BB15
4G072CC10
4G072DD03
4G072GG01
4G072HH14
4G072HH28
4G072QQ06
4G072QQ09
4G072UU09
4J002AA001
4J002BD031
4J002DA016
4J002DJ016
4J002FA096
4J002FB076
4J002FD116
4J002GQ00
4J002HA01
5E078AB01
5E078BA04
5E078BA12
5E078BA31
(57)【要約】
【課題】
電極等の電気化学素子の材料として使用することが可能なカーボン被覆シリカゲルを有する電子基板用印刷ペーストを提供すること。
【解決手段】
本発明に係るカーボン被覆シリカゲルを有する電子基板用印刷ペーストは、メソ孔を備えた多孔質シリカゲルのメソ孔内壁から外表面まで連続して被覆するようにカーボン膜が形成されたカーボン被覆シリカゲルと、該カーボン被覆シリカゲルに対して1:0.1~1.5未満の量の樹脂と、印刷ペースト全体に対して40~70重量%の量の溶剤とから成ることを特徴とする。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メソ孔を備えた多孔質シリカゲルのメソ孔内壁から外表面まで連続して被覆するようにカーボン膜が形成されたカーボン被覆シリカゲルと、該カーボン被覆シリカゲルに対して1:0.1~1.5未満の量の樹脂と、印刷ペースト全体に対して40~70重量%の量の溶剤とから成る
ことを特徴とするカーボン被覆シリカゲルを有する電子基板用印刷ペースト。
【請求項2】
前記樹脂の量が、カーボン被覆シリカゲルに対して1:0.2~0.9未満である
ことを特徴とする請求項1に記載に印刷ペースト。
【請求項3】
前記樹脂の量が、カーボン被覆シリカゲルに対して1:0.2~0.5未満である
ことを特徴とする請求項2に記載に印刷ペースト。
【請求項4】
前記溶剤の含有量が、印刷ペースト全体に対して55~65重量%の量である
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷ペースト。
【請求項5】
前記樹脂が、好ましくは、アクリル、エポキシ、変性エポキシ、ポリエステル及び塩ビから選択される
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷ペースト。
【請求項6】
前記樹脂はポリ塩化ビニルである
ことを特徴とする請求項5に記載の印刷ペースト。
【請求項7】
前記溶剤が、使用する樹脂に応じて樹脂を溶解可能な有機溶剤である
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷ペースト。
【請求項8】
前記溶剤が、アルキル系、芳香族、エーテル系、エステル系、アルコール系、及びアミン系有機溶剤から選択される
ことを特徴とする請求項7に記載の印刷ペースト。
【請求項9】
前記溶剤が、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートである
ことを特徴とする請求項8に記載の印刷ペースト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面がカーボンで被覆されたシリカゲルを用いて製造した電子基板用印刷ペーストに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から電気化学素子の電極材料として、材料自身が導電性を有し均質な細孔構造を有する材料が求められている。
このような材料として、約2~50nmの細孔(メソ孔)を有するメソポーラス材料の開発が行われており、このメソポーラス材料は、比表面積が非常に大きく、電子工学デバイスの材料として注目を浴びている。メソポーラス材料の中でもメソポーラスシリカは、高い空孔率を有することからその活用が期待されているが、シリカ系材料は絶縁体であるため電気化学的な応用は不可能であった。
上記した問題を解決するために、メソポーラスシリカ材料のメソ孔内壁をカーボン膜で被覆すると共に、前記メソ孔内壁のカーボン膜に連続してメソポーラスシリカ材料の外表面をカーボン膜で被覆することによって、メソ領域の細孔構造を確保しつつ、高い導電性を有する多孔体から成るカーボン被覆シリカゲルを得ることが提案されている(特許文献1)。
特許文献1で提案されたカーボン被覆シリカゲルは、有機シリル化剤により表面がシリル化されたシリカ材料を、有機シリル化剤の有機基が離脱する温度で熱処理することにより、有機シリル化剤の有機基離脱によるシリカ材料表面の活性化処理を行い、その後、CVDで処理することによりシリカ材料表面をカーボン材料で被覆することにより得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1によるカーボン被覆シリカゲルによれば、絶縁体であるシリカゲルを、そのメソ孔内壁から外表面まで連続して被覆するようにカーボン膜が形成されているので、高い導電性を有し、電気化学素子に用いるのに好適な材料である。
上記した特許文献1によるカーボン被覆シリカゲルに限らず、メソ孔内壁から外表面まで連続して被覆するようにカーボン膜が形成されたカーボン被覆シリカゲルは電極等の電気化学素子の材料としては好適であるが、そのままでは電極等の電気化学素子の材料としては使用できない。
本願の発明者等は、上記した問題に鑑みて、高い導電性を有するカーボン被覆シリカゲルを電極等の電気化学素子の材料として使用できるようにするために鋭意研究を続け、特に基板上に電極を形成するのに好適なカーボン被覆シリカゲルを有する電子基板用印刷ペーストを発明するに至った。
本発明の目的は、従来の問題点を解決し、電極等の電気化学素子の材料として使用することが可能なカーボン被覆シリカゲルを有する電子基板用印刷ペーストを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した目的を達成するために、本発明に係るカーボン被覆シリカゲルを有する電子基板用印刷ペーストは、メソ孔を備えた多孔質シリカゲルのメソ孔内壁から外表面まで連続して被覆するようにカーボン膜が形成されたカーボン被覆シリカゲルと、該カーボン被覆シリカゲルに対して1:0.1~1.5未満の量の樹脂と、印刷ペースト全体に対して40~70重量%の量の溶剤とから成ることを特徴とする。
好ましくは、前記樹脂の量は、カーボン被覆シリカゲルに対して1:0.2~0.9未満、さらに好ましくは、1:0.2~0.5未満である。
また、好ましくは、前記溶剤の含有量は、印刷ペースト全体に対して55~65重量%の量である。
前記カーボン被覆シリカゲルは、有機シリル化剤により表面がシリル化されたシリカ材料を、有機シリル化剤の有機基が離脱する温度で熱処理することにより、有機シリル化剤の有機基離脱によるシリカ材料表面の活性化処理を行い、その後、CVDで処理することによりシリカ材料表面をカーボン材料で被覆したものであり得る。
前記樹脂は、好ましくは、アクリル、エポキシ、変性エポキシ、ポリエステル及び塩ビから選択される。
さらに好ましくは、前記樹脂はポリ塩化ビニルであり得る。
前記溶剤は、使用する樹脂に応じて樹脂を溶解可能な有機溶剤であり、好ましくは、アルキル系、芳香族、エーテル系、エステル系、アルコール系、及びアミン系有機溶剤から選択される。
さらに好ましくは、前記溶剤はジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートであり得る。
好ましくは、前記印刷ペーストには、カーボンブラック、金属微粒子及び/又は金属酸化物微粒子から選択される導電性粒子が添加され得る。
前記導電性粒子は、カーボン被覆シリカゲルに対して1:0.1の量で添加され得る。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係るカーボン被覆シリカゲルを有する電子基板用印刷ペーストは、メソ孔を備えた多孔質シリカゲルのメソ孔内壁から外表面まで連続して被覆するようにカーボン膜が形成されたカーボン被覆シリカゲルと、該カーボン被覆シリカゲルに対して1:0.1~1.5未満の量の樹脂と、印刷ペースト全体に対して40~70重量%の量の溶剤とから成るので、硬化不良による密着性の低下を生じさせることがなく、印刷後の電極が粗密化して導電性を低下させることなく、電極等の印刷時に糸引きを生じさせることなく、分散性が低下したり、粘度低下による印刷性が低下することなく、非常に導電性が高い印刷ペーストを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1a】基板に電極を形成するのに好ましい、印刷ペーストにおけるカーボン被覆シリカゲル、樹脂及び溶剤の比率を確認した結果を示す表である。
【
図1b】基板に電極を形成するのに好ましい、印刷ペーストにおけるカーボン被覆シリカゲル、樹脂及び溶剤の比率を確認した結果を示す表である。
【
図2a】
図1aにおける試料1~8を用いて孔版印刷を行った印刷直後の画像及び乾燥後の画像を各々示している。
【
図2b】
図1bにおける試料9~19を用いて孔版印刷を行った印刷直後の画像及び乾燥後の画像を各々示している。
【
図3】
図3(a)~(d)は、前記電子基板の製造方法の製造工程を概念的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面に示した一実施例を参照しながら、本発明に係るカーボン被覆シリカゲルを有する電子基板用印刷ペースト(以下、単に印刷ペーストと称する)及び該印刷ペーストを用いた電極を有する電子基板の実施の形態を説明していく。
【0009】
始めに、印刷ペーストについて説明していく。
メソ孔を備えた多孔質シリカゲルのメソ孔内壁から外表面まで連続して被覆するようにカーボン膜が形成されたカーボン被覆シリカゲルは、非常に高い導電性を有し、比表面積が大きいため、センサや電池等の電極用の材料として高い性能を期待できるが、そのままでは電極を形成するために基板に固定することはできない。
従って、本発明は、カーボン被覆シリカゲルを皮膜化し、カーボン被覆シリカゲル間、及びカーボン被覆シリカゲルと基板とを密着させるための結着剤としての樹脂と、前記樹脂成分を溶解し、導電性材料と樹脂とを均一に分散させると共に、印刷に適した粘度に調整するための溶剤とをカーボン被覆シリカゲルと適切な比率で混合して、基板に電極等を形成するのに適した印刷ペーストを得るものである。
ここで、樹脂としては、例えば、アクリル、エポキシ、変性エポキシ、ポリエステル及び塩ビから選択した材料が使用され、前記溶剤としては、使用する樹脂に応じて樹脂を溶解可能な有機溶剤であり、好ましくは、アルキル系、芳香族、エーテル系、エステル系、アルコール系、及びアミン系有機溶剤から選択した材料が使用される。
前記樹脂は、その含有量が少なすぎると硬化不良による密着性低下を生じさせ、また、その含有量が多すぎると樹脂がカーボン被覆シリカゲルを被覆してしまうので、カーボン被覆シリカゲルの高い比表面積による効果を低下させてしまう他、印刷した電極の粗密化を生じさせたり、印刷時に糸引きが生じたりする等の問題が生じる。このため樹脂の含有量を適切に選択する必要がある。
溶剤についても同様に、その含有量が少なすぎると分散性が低下し、粘度が高くなるため印刷性が低下するという問題が生じ、その含有量が多すぎると、粘度が低くなるため印刷性が低下し、また、印刷した電極の粗密化を生じさせる等の問題が生じるため、その含有量を適切に選択する必要がある。
発明者等は、前記樹脂の含有量としては、カーボン被覆シリカゲルに対して1:0.1~1.5未満の比率、好ましくは、1:0.2~0.9未満の比率、さらに好ましくは、1:0.2~0.5未満の比率であることが好適であり、かつ、前記溶剤の含有量としては、印刷ペースト全体に対して40~70重量%、好ましくは55~65重量%であることが好適であることを確認した。
また、カーボン被覆シリカゲルの粒径は、10ミクロン~100ミクロンが望ましい。
さらに好ましくは、その導電性を調整するために、カーボンブラック、金属微粒子及び/又は金属酸化物微粒子から選択される導電性粒子を添加してもよい。
【0010】
図1a及び
図1bは、基板に電極を形成するのに好ましい、印刷ペーストにおけるカーボン被覆シリカゲル、樹脂及び溶剤の比率を確認した結果を示す表である。
確認に使用したカーボン被覆シリカゲルは、メソ孔を備えた多孔質シリカゲルのメソ孔内壁から外表面まで連続して被覆するようにカーボン膜が形成されたシリカゲルであり、その粒径は10ミクロンである。
確認に使用した樹脂はポリ塩化ビニルであり、溶剤はジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートである。
具体的には、カーボン被覆シリカゲル、前記樹脂及び溶剤の総重量を100として、以下に示す異なる比率で混合した19種類の印刷ペースト(試料1~19)を作成し、各試料のペースト状態、硬化及び密着状況、導電性及び孔版印刷での印刷性について各印刷ペーストに対して評価をした。
各項目に対する評価基準は以下の通りである。
ペースト状態:
A:良好
B:低粘度のため印刷に不向き
C:高粘度のため印刷に不向き
硬化及び密着状態:
A:良好
B:不良
導電性:
A:良好
B:不良(粗密)
孔版印刷での印刷性
A:良好
B:転写不良
■試料1:
(比率)
カーボン被覆シリカゲル:35.1
樹脂:7.0(カーボン被覆シリカゲルと樹脂との比率:1:0.2)
溶剤:57.9
(評価)
ペースト状態:A
硬化・密着状態:A
導電性:A
孔版印刷:A
■試料2:
(比率)
カーボン被覆シリカゲル:25.0
樹脂:5.0(カーボン被覆シリカゲルと樹脂との比率:1:0.2)
溶剤:70.0
(評価)
ペースト状態:B
硬化・密着状態:B
導電性:評価せず
孔版印刷:B
■試料3:
(比率)
カーボン被覆シリカゲル:9.9
樹脂:21.1(カーボン被覆シリカゲルと樹脂との比率:1:2.14)
溶剤:69.0
(評価)
ペースト状態:A
硬化・密着状態:A
導電性:B
孔版印刷:A
■試料4:
(比率)
カーボン被覆シリカゲル:10.0
樹脂:20.0(カーボン被覆シリカゲルと樹脂との比率:1:2)
溶剤:70.0
(評価)
ペースト状態:A
硬化・密着状態:A
導電性:B
孔版印刷:A
■試料5:
(比率)
カーボン被覆シリカゲル:12.3
樹脂:17.7(カーボン被覆シリカゲルと樹脂との比率:1:1.43)
溶剤:70.0
(評価)
ペースト状態:A
硬化・密着状態:A
導電性:B
孔版印刷:A
■試料6:
(比率)
カーボン被覆シリカゲル:16.2
樹脂:14.4(カーボン被覆シリカゲルと樹脂との比率:1:0.89)
溶剤:69.4
(評価)
ペースト状態:A
硬化・密着状態:A
導電性:B
孔版印刷:A
■試料7:
(比率)
カーボン被覆シリカゲル:27.4
樹脂:2.5(カーボン被覆シリカゲルと樹脂との比率:1:0.09)
溶剤:70.1
(評価)
ペースト状態:B
硬化・密着状態:B
導電性:評価せず
孔版印刷:B
■試料8:
(比率)
カーボン被覆シリカゲル:12.7
樹脂:26.2(カーボン被覆シリカゲルと樹脂との比率:1:2.07)
溶剤:61.1
(評価)
ペースト状態:A
硬化・密着状態:A
導電性:B
孔版印刷:B
■試料9:
(比率)
カーボン被覆シリカゲル:13.9
樹脂:25.8(カーボン被覆シリカゲルと樹脂との比率:1:1.87)
溶剤:60.3
(評価)
ペースト状態:A
硬化・密着状態:A
導電性:B
孔版印刷:B
■試料10:
(比率)
カーボン被覆シリカゲル:16.8
樹脂:25.0(カーボン被覆シリカゲルと樹脂との比率:1:1.49)
溶剤:58.2
(評価)
ペースト状態:A
硬化・密着状態:A
導電性:B
孔版印刷:B
■試料11:
(比率)
カーボン被覆シリカゲル:23.2
樹脂:20.7(カーボン被覆シリカゲルと樹脂との比率:1:0.89)
溶剤:56.1
(評価)
ペースト状態:A
硬化・密着状態:A
導電性:A
孔版印刷:A
■試料12:
(比率)
カーボン被覆シリカゲル:36.4
樹脂:2.8(カーボン被覆シリカゲルと樹脂との比率:1:0.08)
溶剤:60.8
(評価)
ペースト状態:B
硬化・密着状態:B
導電性:評価せず
孔版印刷:B
■試料13:
(比率)
カーボン被覆シリカゲル:28.7
樹脂:13.2(カーボン被覆シリカゲルと樹脂との比率:1:0.46)
溶剤:58.1
(評価)
ペースト状態:A
硬化・密着状態:A
導電性:A
孔版印刷:A
■試料14:
(比率)
カーボン被覆シリカゲル:36.4
樹脂:8.0(カーボン被覆シリカゲルと樹脂との比率:1:0.22)
溶剤:55.6
(評価)
ペースト状態:B
硬化・密着状態:A
導電性:A
孔版印刷:A
■試料15:
(比率)
カーボン被覆シリカゲル:38.0
樹脂:8.0(カーボン被覆シリカゲルと樹脂との比率:1:0.21)
溶剤:54.0
(評価)
ペースト状態:C
硬化・密着状態:評価せず
導電性:評価せず
孔版印刷:評価せず
■試料16:
(比率)
カーボン被覆シリカゲル:28.0
樹脂:7.0(カーボン被覆シリカゲルと樹脂との比率:1:0.25)
溶剤:65.0
(評価)
ペースト状態:A
硬化・密着状態:A
導電性:A
孔版印刷:A
■試料17:
(比率)
カーボン被覆シリカゲル:27.1
樹脂:6.7(カーボン被覆シリカゲルと樹脂との比率:1:0.25)
溶剤:66.2
(評価)
ペースト状態:B
硬化・密着状態:A
導電性:A
孔版印刷:B
■試料18:
(比率)
カーボン被覆シリカゲル:37.7
樹脂:7.0(カーボン被覆シリカゲルと樹脂との比率:1:0.19)
溶剤:55.3
(評価)
ペースト状態:A
硬化・密着状態:B
導電性:評価せず
孔版印刷:A
■試料19:
(比率)
カーボン被覆シリカゲル:22.8
樹脂:22.2(カーボン被覆シリカゲルと樹脂との比率:1:0.97)
溶剤:55.0
(評価)
ペースト状態:A
硬化・密着状態:A
導電性:B
孔版印刷:A
試料1~19から、試料1、11、13及び16の評価が全てAであり、電子基板印刷ペーストとして好適があることが確認でき、また、試料14についてもペースト状態の評価はBであるものの、実際に孔版印刷を行ったところ電子基板印刷ペーストとして利用可能であることが確認でき、これらの結果から樹脂の含有量がカーボン被覆シリカゲルに対して1:0.2~0.9未満の比率、好ましくは、1:0.2~0.5未満の比率であり、前記溶剤の含有量が、印刷ペースト全体に対して55~65%であることが、ペースト状態、硬化・密着状態、導電性及び孔版印刷に対して好適であることが確認できた。
【0011】
図2a及び
図2bは、上記試料1~19を用いて孔版印刷を行った印刷直後の画像及び乾燥後の画像を各々示している。
図2a及び
図2bからも、樹脂の含有量がカーボン被覆シリカゲルに対して1:0.2~0.9未満の比率であり、前記溶剤の含有量が、印刷ペースト全体に対して55~65%であることが、ペースト状態、硬化・密着状態、導電性及び孔版印刷に対して好適であることが確認できる。
また、樹脂及び溶剤の種類は、上記した実施例に限定されることなく、樹脂として、アクリル、エポキシ、変性エポキシ、ポリエステル及び塩ビから選択した材料を使用し、前記溶剤として、使用する樹脂に応じて樹脂を溶解可能な有機溶剤であり、好ましくは、アルキル系、芳香族、エーテル系、エステル系、アルコール系、及びアミン系有機溶剤から選択した材料を使用しても、上記した比率及び含有量がペースト状態、硬化・密着状態、導電性及び孔版印刷に対して好適であることを確認した。
さらに、発明者等は、上記したグループから選択した他の樹脂及び溶剤を用いて、試料1~19の範囲より広い範囲、具体的には、樹脂の含有量がカーボン被覆シリカゲルに対して1:0.1~1.5未満の比率であり、前記溶剤の含有量が、印刷ペースト全体に対して40~70重量%の範囲であっても、ペースト状態、硬化・密着状態、導電性及び孔版印刷の印刷性が、電子基板印刷ペーストとしての使用に耐え得ることを併せて確認した。
【0012】
次に、
図3に示した一実施例を参照して、上記したカーボン被覆シリカゲルを有する電子基板用印刷ペースト(以下、単に印刷ペーストと称する)を用いた電極を有する電子基板を製造する方法について説明する。
図3(a)~(d)は、前記電子基板の製造方法の製造工程を概念的に示す図である。
図中符号1は、例えば、セラミック基板であり得る絶縁性基板を示しており、始めに絶縁性基板1上に、ラインパターン3を、導電性材料を孔版印刷することで形成する(
図3(b))。尚、絶縁性基板は、セラミック基板に限定されることなく、フィルム材料で構成してもよい。また、ラインパターン3を形成する導電性材料は、後述する工程(
図3(c))で形成される電極部5と重なり電気的な導通が確保できれば任意の導電性材料を使用することができ、例えば、銀ペースト又は白金ペーストが用いられ得る。
次いで、本発明に係るカーボン被覆シリカゲルを有する印刷ペーストを用いて電極部5を孔版印刷する(
図3(c))。サイズ及び形状は任意のサイズ及び形状であり得る。
最後に、端子部3a及び前記電極部5を残して他の部分を覆うように絶縁膜7が形成される。
上記した電極部5を形成するための印刷ペーストは、カーボン被覆シリカゲルを含み、樹脂の含有量がカーボン被覆シリカゲルに対して1:0.1~1.5未満の比率、好ましくは、1:0.2~0.9未満の比率、さらに好ましくは1:0.2~0.5未満の比率であり、溶剤の含有量が、印刷ペースト全体に対して40~70重量%、好ましくは、印刷ペースト全体に対して55~65重量%の量であるため、電極部5を製造する際にも好適なペースト状態及び硬化・密着状態を有しており、また、上記した比率でカーボン被覆シリカゲルを含有させることにより導電性に優れた電極を形成することが可能になる。