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特開2024-130951電磁波送受信装置およびレーダシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130951
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】電磁波送受信装置およびレーダシステム
(51)【国際特許分類】
   G01S 17/34 20200101AFI20240920BHJP
   G01S 7/481 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G01S17/34
G01S7/481 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040930
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】517430945
【氏名又は名称】JFE商事エレクトロニクス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】永妻 忠夫
(72)【発明者】
【氏名】大塚 尊凡
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA04
5J084AA05
5J084BA51
5J084CA07
5J084CA08
5J084CA42
(57)【要約】
【課題】飛行体に搭載される機器がより軽量であるレーダシステムを提供する。
【解決手段】電磁波を送受信する送受信アンテナは、方向性結合器の入力ポートに接続させ、分岐器の第1の出力ポートは、方向性結合器の結合ポートに接続させ、分岐器の第2の出力ポートは、混合器の第1の入力ポートに接続させ、方向性結合器の出力ポートは、混合器の第2の入力ポートに接続させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波を送受信する送受信アンテナと、
入力ポートと、第1の出力ポートと、第2の出力ポートと、を有する分岐器と、
入力ポートと、出力ポートと、結合ポートと、を有する方向性結合器と、
第1の入力ポートと、第2の入力ポートと、出力ポートと、を有する混合器と、を有し、
前記送受信アンテナは、前記方向性結合器の入力ポートに接続され、
前記分岐器の第1の出力ポートは、前記方向性結合器の結合ポートに接続され、
前記分岐器の第2の出力ポートは、前記混合器の第1の入力ポートに接続され、
前記方向性結合器の出力ポートは、前記混合器の第2の入力ポートに接続されている、電磁波送受信装置。
【請求項2】
前記方向性結合器の分岐比は、前記混合器の出力ポートから出力される電気信号の電力値が最大になるように設定される、請求項1に記載の電磁波送受信装置。
【請求項3】
前記分岐器は、前記分岐器の第1の出力ポートから出力される電気信号の電力値と、前記分岐器の第2の出力ポートから出力される電気信号の電力値と、が同じになるように、前記入力ポートから入力される電気信号を分割する、請求項1に記載の電磁波送受信装置。
【請求項4】
前記分岐器は、前記分岐器の第1の出力ポートから出力される信号の電力値が前記分岐器の第2の出力ポートから出力される信号の電力値より大きくなるように、前記入力ポートから入力される電気信号を分割する、請求項1に記載の電磁波送受信装置。
【請求項5】
前記分岐器の第1の出力ポートと前記方向性結合器の結合ポートとの間に接続された増幅器をさらに有する、請求項1に記載の電磁波送受信装置。
【請求項6】
電磁波を送受信する送受信アンテナと、
入力ポートと、第1の出力ポートと、第2の出力ポートと、を有する分岐器と、
入力ポートと、出力ポートと、結合ポートと、を有する方向性結合器と、
第1の入力ポートと、第2の入力ポートと、出力ポートと、を有する合波器と、
入力ポートと、出力ポートと、を有する検波器と、を有し、
前記送受信アンテナは、前記方向性結合器の入力ポートに接続され、
前記分岐器の第1の出力ポートは、前記方向性結合器の結合ポートに接続され、
前記分岐器の第2の出力ポートは、前記合波器の第1の入力ポートに接続され、
前記方向性結合器の出力ポートは、前記合波器の第2の入力ポートに接続され、
前記合波器の出力ポートは、前記検波器の入力ポートに接続されている、電磁波送受信装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の電磁波送受信装置と、
第1の周波数の光信号と第2の周波数の光信号を出力する光信号発生器と、
前記光信号発生器により出力された光信号を伝送する光ファイバと、
前記光ファイバにより伝送された光信号に基づいた電気信号を生成する光/電気変換器と、をさらに有し、
前記分岐器の入力ポートは、前記光/電気変換器により生成された電気信号が入力される、レーダシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波送受信装置およびレーダシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1には、ドローンを用いたレーダシステムが開示されている。このレーダシステムでは、異なる2つの周波数の光信号を発生させる光信号発生器と、2つの光信号を、2つの光信号の周波数の差の周波数の電気信号に変換する光/電気変換器と、を備えている。このため、このレーダシステムでは、2つの光信号の周波数の差を制御することで、およそ1GHzから1000GHzの範囲において任意の帯域の電磁波を発信することが可能であり、距離分解能を高くすることが可能である。
【0003】
また、このレーダシステムでは、光信号発生器や、信号処理を行う信号処理システムなどの大型の装置は、地上に設置され、光/電気変換器やアンテナなどの小型の装置のみがドローンが搭載される。このため、ドローンのサイズやドローンに搭載される機器の重量を抑制することが可能である。結果、このレーダシステムでは、ドローンの飛行時に、ドローンにより発生する気流を抑制することが可能であり、煙突内などの狭い空間においてドローンを飛行させることが可能である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】永妻忠夫, 徳永遥, 易利, 「ドローン搭載型広帯域ミリ波レーダとインフラ診断への応用」, 日本赤外線学会誌, 第32巻1号, 2022, pp. 46-51
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献1に開示されたレーダシステムでは、測定対象に入射される入射波を発信する送信アンテナと、測定対象により反射された反射波を受信する受信アンテナの2つのアンテナを備えており、アンテナの重量が、ドローンに搭載される機器の重量を上げてしまっている。
【0006】
そこで、本発明は、飛行体に搭載される機器がより軽量であるレーダシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に一実施形態に係る情報処理装置は、電磁波を送受信する送受信アンテナと、入力ポートと、第1の出力ポートと、第2の出力ポートと、を有する分岐器と、入力ポートと、出力ポートと、結合ポートと、を有する方向性結合器と、第1の入力ポートと、第2の入力ポートと、出力ポートと、を有する混合器と、を有し、前記送受信アンテナは、前記方向性結合器の入力ポートに接続され、前記分岐器の第1の出力ポートは、前記方向性結合器の結合ポートに接続され、前記分岐器の第2の出力ポートは、前記混合器の第1の入力ポートに接続され、前記方向性結合器の出力ポートは、前記混合器の第2の入力ポートに接続されている。
【0008】
前記方向性結合器の分岐比は、前記混合器の出力ポートから出力される電気信号の電力値が最大になるように設定されるようにすると良い。
【0009】
前記分岐器は、前記分岐器の第1の出力ポートから出力される電気信号の電力値と、前記分岐器の第2の出力ポートから出力される電気信号の電力値と、が同じになるように、前記入力ポートから入力される電気信号を分割するようにすると良い。
【0010】
前記分岐器は、前記分岐器の第1の出力ポートから出力される信号の電力値が前記分岐器の第2の出力ポートから出力される信号の電力値より大きくなるように、前記入力ポートから入力される電気信号を分割するようにしても良い。
【0011】
前記分岐器の第1の出力ポートと前記方向性結合器の結合ポートとの間に接続された増幅器をさらに有するようにしても良い。
【0012】
本発明の一実施形態に係る電磁波送受信装置は、電磁波を送受信する送受信アンテナと、入力ポートと、第1の出力ポートと、第2の出力ポートと、を有する分岐器と、入力ポートと、出力ポートと、結合ポートと、を有する方向性結合器と、第1の入力ポートと、第2の入力ポートと、出力ポートと、を有する合波器と、入力ポートと、出力ポートと、を有する検波器と、を有し、前記送受信アンテナは、前記方向性結合器の入力ポートに接続され、前記分岐器の第1の出力ポートは、前記方向性結合器の結合ポートに接続され、前記分岐器の第2の出力ポートは、前記合波器の第1の入力ポートに接続され、前記方向性結合器の出力ポートは、前記合波器の第2の入力ポートに接続され、前記合波器の出力ポートは、前記検波器の入力ポートに接続されている。
【0013】
本発明の一実施形態に係るレーダシステムは、前記電磁波送受信装置と、第1の周波数の光信号と第2の周波数の光信号を出力する光信号発生器と、前記光信号発生器により出力された光信号を伝送する光ファイバと、前記光ファイバにより伝送された光信号に基づいた電気信号を生成する光/電気変換器と、をさらに有し、前記分岐器の入力ポートは、前記光/電気変換器により生成された電気信号が入力される。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、飛行体に搭載される機器がより軽量であるレーダシステムを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るレーダシステム100を示す図である。
図2】レーダシステム100における信号の流れを説明する図である。
図3】方向性結合器143における入力される電力値と出力される電力値との関係を説明する図である。
図4】電磁波送受信装置140における入力される電力値と出力される電力値との関係を説明する図である。
図5】電磁波送受信装置140の別例を示す図である。
図6】レーダシステム100の別例を示す図である。
図7】レーダシステム100の別例における信号の流れを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<レーダシステム100>
図1は、本発明の一実施形態に係るレーダシステム100を示す図である。レーダシステム100は、光信号発生器110と、光ファイバ120と、光/電気変換器130と、電磁波送受信装置140と、を有する。レーダシステム100は、周波数掃引ホモダイン検波方式を用いるレーダシステムである。
【0017】
光信号発生器110は、異なる周波数の2つの光信号(第1の周波数f1の光信号と第2の周波数f2の光信号)を出力する。光信号発生器110は、例えば、単一波長レーザ光を出力するレーザ光源と、周波数f0の電気信号を出力する信号発生器と、信号発生器から出力された電気信号により駆動される光強度変調器と、により構成するようにすると良い。このとき、光強度変調器の直流バイアス点を透過率が最小になる動作点に設定し、光強度変調器により、単一波長レーザ光に対して両側波帯抑制搬送波(Double Side-Band Supported Carrier: DSB-SC)変調(H. Kikuchi; “Photonic Millimeter-Wave Generation and Distribution Technics for Millimeter/Sub-Millimeter Wave Radio Interferometer Telescope,” Advances in Lasers and Electro Optics, (Intech, 2010) p.479)を行うことで、周波数差が2・f0の2つの光信号が生成される。よって、このような構成の光信号発生器110では、信号発生器が出力する電気信号の周波数f0を制御することで、光信号発生器110から出力される2つの光信号の周波数の差(|f1-f2|)を制御することが可能である。
【0018】
光ファイバ120は、光信号を伝送する。光ファイバ120の一端には、光信号発生器110が接続されており、光信号発生器110により出力された2つの光信号は、図2に示すように、光ファイバ120により伝送される。
【0019】
光/電気変換器130は、光ファイバ120により伝送された光信号に基づいた電気信号を生成し、生成された電気信号(入射信号)を出力する。光/電気変換器130は、例えば、フォトダイオードである。光/電気変換器130の入力ポート131は、光ファイバ120の他端に接続されている。このため、光信号発生器110により出力され、光ファイバ120により伝送された2つの光信号は、図2に示すように、光/電気変換器130の入力ポート131に入力される。光/電気変換器130は、入力ポート131に入力された2つの光信号の周波数の差の周波数(|f1-f2|)の電気信号を生成し、この生成された電気信号(入射信号)を出力ポート132から出力する。
【0020】
電磁波送受信装置140は、下記で詳述するように、電磁波を送受信する送受信アンテナ141を有しており、入力された電気信号に基づいた電磁波(入射波)を、測定対象に向けて、送受信アンテナ141から発信する。電磁波送受信装置140は、光/電気変換器130の出力ポート131に接続している。このため、光/電気変換器130から出力された入射信号は、図2に示すように、電磁波送受信装置140に入力され、この入射信号に基づいた電磁波(入射波)が送受信アンテナ141から発信される。光/電気変換器130から出力される入射信号の周波数は、光信号発生器110から出力された2つの光信号の周波数の差(|f1-f1|)であるので、電磁波送受信装置140は、光信号発生器110から出力された2つの光信号の周波数の差の周波数(|f1-f2|)の電磁波(入射波)を、送受信アンテナ141から発信する。このとき、光/電気変換器130と電磁波送受信装置140との間に、光/電気変換器130から出力された入射信号を増幅し、増幅された入射信号を電磁波送受信装置140に出力する増幅器を接続するようにしても良い。
【0021】
また、電磁波送受信装置140は、測定対象により反射された電磁波(反射波)を送受信アンテナ141により受信する。そして、電磁波送受信装置140は、光/電気変換器130から入力された入射信号と、送受信アンテナ141により受信された電磁波(反射波)に基づいた反射信号(反射波の周波数の電気信号)と、を混合する。
【0022】
電磁波送受信装置140は、下記で詳述するように、混合器144または検波器147を有する。入射信号と反射信号は、電磁波送受信装置140の混合器144(または検波器147)において混合される。
【0023】
本実施形態では、光信号発生器110が出力する光信号の第1の周波数f1、第2の周波数f2を調整することで、広帯域の電磁波(例えば、およそ1GHzから1000GHzの範囲において任意の帯域の電磁波)を測定対象に入射することが可能である。特に、上述したように、光信号発生器110をレーザ光源、信号発生器、光強度変調器により構成した場合、信号発生器が出力する電気信号の周波数f0を高速で変化させることで、送受信アンテナ141から発信される電磁波の周波数を高速で変化させ、広い周波数幅を高速で掃引することが可能である。例えば、信号発生器として任意波形発生器を用いた場合、40GHzの周波数幅を0.4ミリ秒で掃引することが可能である。
【0024】
このため、本実施形態では、周波数変調連続波(Frequency-Modulated Continuous Wave: FMCV)測距方式と同様に、周波数を変調させた連続波を測定対象に入射することが可能である。結果、本実施形態では、測定対象の奥行情報(測定対象までの距離や厚さ)を、周波数変調連続波測距方式と同様に、入射信号と反射信号とを電磁波送受信装置140の混合器144(または検波器147)において混合することによって得ることが可能である。電磁波送受信装置140(混合器144の出力ポート1443または検波器147の出力ポート1472)は、例えば、図1(または図6)に示すように、ダイナミックマルチメータなどの信号処理システムに接続し、電磁波送受信装置140からの出力を信号処理システムに送るようにすると良い。
【0025】
また、図1に示すように、飛行体F(例えば、ドローン)に搭載する機器を、光/電気変換器130、電磁波受信装置140とし、光信号発生器110は、飛行体Fに搭載せず、例えば、地上に配置されるようにすると良い。このようにすることで、飛行体Fに搭載される機器の重量が抑制される。結果、飛行体の飛行時に、飛行体により発生する気流を抑制することが可能になり、煙突内などの狭い空間において飛行体を飛行させることが可能になる。
【0026】
<電磁波送受信装置140>
電磁波送受信装置140は、図1に示すように、送受信アンテナ141と、分岐器142と、方向性結合器143と、混合器144と、を有する。
【0027】
送受信アンテナ141は、電磁波を送受信する。送受信アンテナ141は、入力された電気信号に基づいた電磁波を発信し、受信した電磁波に基づいた電気信号を出力する。
【0028】
分岐器142は、入力ポート1421と、第1の出力ポート1422と、第2の出力ポート1423と、を有する。分岐器142は、入力ポート1421から入力された電気信号を2つのパスに分割し、分割された電気信号の一方を第1の出力ポート1422から出力し、分割された電気信号の他方を第2の出力ポート1423から出力する。
【0029】
分岐器142は、例えば、入力ポート1421から入力された電気信号を等分割する。つまり、分岐器142は、第1の出力ポート1422から出力される電気信号の電力値と、第2の出力ポート1423から出力される電気信号の電力値と、が同じになるように、入力ポート1421から入力される電気信号を分割する。
【0030】
方向性結合器143は、入力ポート1431と、出力ポート1432と、結合ポート1433と、を有する。方向性結合器143は、3つのポートを有した、いわゆる単方向性結合器である。方向性結合器143は、入力ポート1431と、出力ポート1432と、結合ポート1433の他に、アイソレーションポートを有する、いわゆる双方向性結合器であっても良い。方向性結合器143が双方向性結合器である場合、アイソレーションポートは終端される。
【0031】
方向性結合器143は、入力ポート1431から入力された電気信号の一部の電気信号を出力ポート1432から出力し、残りの電気信号を結合ポート1433から出力する。入力ポート1431から入力される信号の電力値Piに対する結合ポート1432から出力される電気信号の電力値Pcの割合である分岐比α(=Pc/Pi)を用いると、入力ポート1431から電力値P1の電気信号が入力されたときに、図3に示すように、入力ポート1431から入力された電気信号の電力値P1の(1-α)倍の電力値((1α)・P1)の電気信号が出力ポート1432から出力され、入力ポート1431から入力された電気信号の電力値P1のα倍の電力値(α・P1)の電気信号が結合ポート1433から出力される。
【0032】
また、方向性結合器143は、結合ポート1433から入力された電気信号の一部の電気信号を入力ポート1431から出力する。結合ポート1433から電力値P3の電気信号が入力されたときに、図3に示すように、結合ポート1433から入力された電気信号の電力値P3のα倍の電力値(α・P3)の電気信号が入力ポート1431から出力される。
【0033】
混合器144は、第1の入力ポート1441と、第2の入力ポート1442と、出力ポート1443と、を有する。混合器144は、第1の入力ポート1441から入力された電気信号と、第2の入力ポート1442から入力された電気信号と、を混合し、この混合された電気信号を出力ポート1443から出力する。
【0034】
本実施形態では、図1に示すように、分岐器142の入力ポート1421は、光/電気変換器130の出力ポート132に接続され、分岐器142の第1の出力ポート1422は、方向性結合器143の結合ポート1433に接続され、分岐器142の第2の出力ポート1423は、混合器144の第1の入力ポート1441に接続されている。
【0035】
このため、本実施形態では、図2に示すように、光/電気変換器130から出力された入射信号は、分岐器142の入力ポート1421に入力される。このとき、光/電気変換器130と電磁波送受信装置140との間に増幅器を接続されているならば、光/電気変換器130から出力された入射信号が増幅された入射信号が分岐器142の入力ポートに入力される。分岐器142の入力ポート1421から入力された入射信号は、図2に示すように、分岐器142において2つのパスに分割され、2つに分割された入射信号のうちの一方の入射信号は、分岐器142の第1の出力ポート1422から出力され、方向性結合器143の結合ポート1433に入力され、2つに分割された入射信号のうちの他方の入射信号は、分岐器142の第2の出力ポート1423から出力され、混合器144の第1の入力ポート1441に入力される。
【0036】
また、本実施形態では、図1に示すように、方向性結合器143の入力ポート1431は、送受信アンテナ141に接続され、方向性結合器143の出力ポート1432は、混合器144の第2の入力ポート1442に接続されている。
【0037】
このため、本実施形態では、図2に示すように、方向性結合器143の結合ポート1433に入力された入射信号は、方向性結合器143の入力ポート1431から出力され、送受信アンテナ141に入力され、入射信号の周波数の電磁波(入射波)が送受信アンテナ141から発信される。混合器144の第1の入力ポート1441に入力された入射信号は、図2に示すように、混合器144の出力ポート1441から出力され、検波器150の入力ポート151に入力される。電磁波(反射波)を受信した送受信アンテナ141から出力される反射信号(反射波の周波数の電気信号)は、図2に示すように、方向性結合器143の入力ポート1431に入力され、方向性結合器143の入力ポート1431に入力された反射信号は、方向性結合器143の出力ポート1432から出力され、混合器144の第2の入力ポート1442に入力される。
【0038】
以上のように、本実施形態に係る電磁波送受信装置は、入射波の発信と受信波の受信の両方を行う1つの送受信アンテナを有するのみで、入射信号と反射信号とを混合器に出力することが可能である。このため、本実施形態では、飛行体に搭載される機器の重量をより抑制することが可能である。結果、本実施形態では、飛行体に搭載される機器がより軽量であるレーダシステムを提供することが可能である。
【0039】
また、非特許文献1に開示されたレーダシステムは、入射波を発信する送信アンテナと反射波を受信する受信アンテナの2つのアンテナを有しているため、入射波が発信される位置と、反射波が受信される位置と、の間に差が存在し、反射波の受信電力が弱くなってしまっていた。一方、本実施形態では、入射波の発信と受信波の受信の両方が1つの送受信アンテナで行われるため、入射波が発信される位置と、反射波が受信される位置と、の間に差が存在せず、反射波の受信電力の減少が抑制される。
【0040】
<方向性結合器の分岐比α>
本実施形態では、分岐器142の入力ポート1421に入力される入射信号の電力値がPIであるとき、分岐器142が入射信号を等分割するならば、分岐器142の第1の出力ポート1421から出力され、方向性結合器143の結合ポート1433に入力される入射信号の電力値は、(1/2)・PIであり、方向性結合器143の入力ポート1431から出力され、送受信アンテナ141に入力される入射信号の電力値は、(1/2)・α・PIである。一方、送受信アンテナ141から方向性結合器143の入力ポート1431に入力される反射信号の電力値がPRであるとき、方向性結合器143の出力ポート1432から出力される反射信号の電力値は、(1-α)・PRである。よって、本実施形態では、分岐比αの値を大きくすると、方向性結合器143の結合ポート1433に入力された入射信号に対する送受信アンテナ141に入力される入射信号の割合は大きくなるが、方向性結合器143の入力ポート1431に入力された反射信号に対する方向性結合器143の出力ポート1432から出力される反射信号の割合が小さくなってしまい、分岐比αの値を小さくすると、方向性結合器143の入力ポート1431に入力された反射信号に対する方向性結合器143の出力ポート1432から出力される反射信号の割合は大きくなるが、方向性結合器143の結合ポート1433に入力された入射信号に対する送受信アンテナ141に入力される入射信号の割合が小さくなってしまう。
【0041】
そこで、例えば、方向性結合器143の分岐比αは、混合器144の出力ポート1443から出力される電気信号の電力値が最大になるように設定するようにすると良い。
【0042】
混合器144の出力ポート1443から出力される電気信号の電力値は、混合器144の第1の入力ポート1441に入力される入射信号の電力値と、混合器144の第2の入力ポート1442に入力される反射信号の電力値と、の積である。例えば、分岐器142が入力ポート1421から入力された入射信号を等分割するならば、分岐器142の入力ポート1421に入力される入射信号の電力値をPIとし、測定対象の反射率をβとすると、図4に示すように、送受信アンテナ141から方向性結合器143の入力ポート1431に入力される反射信号の電力値は、(1/2)・α・β・PIとなる。よって、このとき、混合器144の第1の入力ポート1441に入力される入射信号の電力値は、(1/2)・PIであり、混合器144の第2の入力ポート1442に入力される反射信号の電力値は、(1/2)・α・(1-α)・β・PIであるので、混合器144の出力ポート1443から出力される電気信号の電力値POは、下記のようになる。
【数1】
上記式(1)を分岐比αで微分すると下記のようになる。
【数2】
混合器144の出力ポート1443から出力される電気信号の電力値POは、dPO/dα=0を満たすときに最大である。よって、混合器144の出力ポート1443から出力される電気信号の電力値POは、分岐比αが1/2であるときに最大になる。よって、例えば、方向性結合器143の分岐比αは、1/2に設定するようにすると良い。
【0043】
<可変分岐器>
分岐器142は、電気信号の分割比が可変である可変分岐器であっても良い。このとき、分岐器142は、第1の出力ポート1422から出力される信号の電力値が第2の出力ポート1423から出力される信号の電力値より大きくなるように、入力ポート1421から入力される電気信号を分割するようにすると良い。
【0044】
このようにすることで、送受信アンテナ141に入力される電気信号の強度を大きくし、測定対象に入射する入射波の強度を大きくすることが可能になる。結果、測定対象から反射される反射波の強度を大きくし、反射信号の強度を大きくすることが可能になる。
【0045】
このときも、混合器144の出力ポート1443から出力される電気信号の電力値POは、下記のようになる。
【数3】
よって、このときも、方向性結合器143の分岐比αは、1/2と設定するようにすると良い。
【0046】
<増幅器145>
電磁波送受信装置140は、図5に示すように、分岐器142の第1の出力ポート1422と方向性結合器143の結合ポート1433との間に接続された増幅器145をさらに有するようにしても良い。増幅器145は、分岐器142の第1の出力ポート1422から出力された電気信号を増幅し、増幅された電気信号を方向性結合器143の結合ポート1433に出力する。このようにすることでも、送受信アンテナ141に入力される電気信号の強度を大きく、測定対象に入射する入射波の強度を大きくすることが可能になる。
【0047】
このとき、分岐器142は、第1の出力ポート1422から出力される電気信号の電力値と、第2の出力ポート1423から出力される電気信号の電力値と、が同じになるように、入力ポート1421から入力される電気信号を分割するようにしても良いし、第1の出力ポート1422から出力される信号の電力値が第2の出力ポート1423から出力される信号の電力値より大きくなるように、入力ポート1421から入力される電気信号を分割するようにしても良い。
【0048】
また、このときも、混合器144の出力ポート1443から出力される電気信号の電力値POは、上記式(2)のようになる。よって、このときも、方向性結合器143の分岐比αは、1/2に設定するようにすると良い。
【0049】
<合波器146および検波器147>
電磁波送受信装置140は、図6に示すように、混合器144の代わりに、合波器146と検波器147とを有するようにしても良い。
【0050】
合波器146は、第1の入力ポート1461と、第2の入力ポート1462と、出力ポート1463と、を有する。合波器146は、第1の入力ポート1461から入力された電気信号と、第2の入力ポート1462から入力された電気信号と、を出力ポート1463から出力する。
【0051】
検波器147は、入力ポート1471と、出力ポート1472と、を有する。検波器147は、入力ポート1471から入力された電気信号を混合し、混合された電気信号を出力ポート1472から出力する。検波器147は、ホモダイン検波器であり、例えば、ショットキーバリアダイオードである。
【0052】
図6に示した実施形態では、分岐器142の第2の出力ポート1423は、合波器146の第1の入力ポート1461に接続され、方向性結合器143の出力ポート1432は、合波器146の第2の入力ポート1462に接続されている。
【0053】
このため、本実施形態では、図7に示すように、分岐器142の第2の出力ポート1423から出力された入射信号は、合波器146の第1の入力ポート1461に入力され、方向性結合器143の出力ポート1432から出力された反射信号は、合波器146の第2の入力ポート1462に入力される。そして、合波器146の第1の入力ポート1461から入力された入射信号と合波器146の第2の入力ポート1462から入力された反射信号は、合波器146の出力ポート1463から出力される。
【0054】
また、図6に示した本実施形態では、合波器146の出力ポート1463は、検波器147の入力ポート1471に接続されている。
【0055】
このため、本実施形態では、図7に示すように、合波器146の出力ポート1463から出力された入射信号と反射信号は、検波器147の入力ポート1471に入力される。
【0056】
以上のように、図6に示した本実施形態においても、入射波の発信と受信波の受信の両方を行う1つの送受信アンテナを有するのみで、入射信号と反射信号とを検波器に出力することが可能であり、飛行体に搭載される機器がより軽量であるレーダシステムを提供することが可能である。
【0057】
また、このとき、方向性結合器143の分岐比αは、検波器147の出力ポート1472から出力される電気信号の電力値が最大になるように設定するようにすると良い。このときも、検波器147から出力される電気信号の電力値POは、方向性結合器143の分岐比αが1/2であるときに最大になる。よって、例えば、方向性結合器143の分岐比αは、1/2に設定するようにすると良い。
【0058】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に記載した本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更が可能である。
【符号の説明】
【0059】
100 レーダシステム
110 光信号発生器
120 光ファイバ
130 光/電気変換器
131 入力ポート
132 出力ポート
140 電磁波送受信装置
141 送受信アンテナ
142 分岐器
1421 入力ポート
1422 第1の出力ポート
1423 第2の出力ポート
143 方向性結合器
1431 入力ポート
1432 出力ポート
1433 結合ポート
1434 アイソレーションポート
144 混合器
1441 第1の入力ポート
1442 第2の入力ポート
1443 出力ポート
145 増幅器
146 合波器
1461 第1の入力ポート
1462 第2の入力ポート
1463 出力ポート
147 検波器
1471 入力ポート
1472 出力ポート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7