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特開2024-13125ソーシャルネットワーキングサービス提供システム、ソーシャルネットワーキングサービス提供方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013125
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】ソーシャルネットワーキングサービス提供システム、ソーシャルネットワーキングサービス提供方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/00 20240101AFI20240124BHJP
   H04L 9/32 20060101ALI20240124BHJP
   H04L 51/212 20220101ALI20240124BHJP
【FI】
G06Q50/00 300
H04L9/32 200E
H04L9/32 200B
H04L51/212
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115077
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】宮地 充子
(72)【発明者】
【氏名】宮地 秀至
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC12
(57)【要約】
【課題】誤った情報が投稿されたり、誹謗中傷の情報が投稿されたりすることを抑制し、かつ、ユーザーの反応を予想することを可能にするSNS提供システムを提供する。
【解決手段】SNS提供システム20は、投稿者30aから投稿情報40を受け取り、未承認スペース21aに格納する前処理部21と、承認スペース22aに格納されている情報を承認済み情報としてユーザー30a~30dに公開する公開処理部22と、未承認スペース21aに格納された投稿情報40に対する評価を示す評価情報50a~50bを閲覧者30b~30cから取得し、取得した評価情報50a~50bが示す総合評価60が所定条件を満たすか否かを判断し、総合評価60が所定条件を満たす場合に、投稿情報40及び評価情報50a~50bを承認スペース22aに格納する評価支援部23とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーシャルネットワーキングサービス提供システムであって、
第1記憶部を有し、通信ネットワークを介して投稿者から投稿情報を受け取り、前記第1記憶部に格納する前処理部と、
第2記憶部を有し、前記第2記憶部に格納されている情報を承認済み情報として通信ネットワークを介してユーザーに公開する公開処理部と、
前記第1記憶部に格納された前記投稿情報に対する評価を示す評価情報を、通信ネットワークを介して、少なくとも一人の閲覧者から取得し、前記少なくとも一人の閲覧者から取得した前記評価情報が示す総合評価が所定条件を満たすか否かを判断し、前記総合評価が前記所定条件を満たす場合に、前記投稿情報及び前記評価情報を前記第2記憶部に格納する評価支援部とを備え、
前記公開処理部は、前記第2記憶部に格納された前記投稿情報及び前記評価情報を前記承認済み情報として公開する、
ソーシャルネットワーキングサービス提供システム。
【請求項2】
前記評価情報は、前記投稿情報の公開に賛成するか否かに関する前記閲覧者の評価値を含み、
前記評価支援部は、前記少なくとも一人の閲覧者から取得した前記評価値の合計を前記総合評価として算出する、
請求項1記載のソーシャルネットワーキングサービス提供システム。
【請求項3】
前記評価支援部は、前記総合評価が前記所定条件を満たす場合に、前記総合評価に対してデジタル署名を施し、得られた署名済み総合評価を前記評価情報として前記第2記憶部に格納する、
請求項2記載のソーシャルネットワーキングサービス提供システム。
【請求項4】
前記評価情報は、前記投稿情報が信憑性及び誹謗中傷の観点から問題があるか否かに関する前記閲覧者のコメントを含む、
請求項1記載のソーシャルネットワーキングサービス提供システム。
【請求項5】
前記評価支援部は、前記総合評価が前記所定条件を満たす場合に、前記少なくとも一人の閲覧者から取得した前記閲覧者のコメントに対してデジタル署名を施し、得られた署名済みコメントを前記評価情報として前記第2記憶部に格納する、
請求項4記載のソーシャルネットワーキングサービス提供システム。
【請求項6】
前記評価情報は、前記投稿情報の非表示を希望するか否かに関する前記閲覧者の指示を含み、
前記公開処理部は、前記第2記憶部に格納された前記投稿情報に対して非表示を希望する指示を出した前記閲覧者に対しては、前記投稿情報を公開しない、
請求項1記載のソーシャルネットワーキングサービス提供システム。
【請求項7】
前記評価支援部は、前記総合評価が前記所定条件を満たす場合に、前記総合評価を、通信ネットワークを介して前記投稿者に送信し、前記投稿者から投稿意思を取得したときに、前記投稿情報及び前記評価情報を前記第2記憶部に格納する、
請求項1~6のいずれか1項に記載のソーシャルネットワーキングサービス提供システム。
【請求項8】
前記前処理部は、前記投稿者から前記投稿情報と共に、前記投稿者の投稿名に対してコミットした結果得られる第1コミットメント値を受け取り、
前記評価支援部は、前記投稿意思として、前記投稿者の投稿名に対してコミットした結果得られる第2コミットメント値を受け取り、前記第1コミットメント値と前記第2コミットメント値とが一致する場合に、前記投稿情報及び前記評価情報を前記第2記憶部に格納する、
請求項7記載のソーシャルネットワーキングサービス提供システム。
【請求項9】
前記前処理部は、前記投稿者から匿名で前記投稿情報を受け取り、
前記評価支援部は、前記少なくとも一人の閲覧者から匿名で前記評価情報を受け取る、
請求項1~6のいずれか1項に記載のソーシャルネットワーキングサービス提供システム。
【請求項10】
ソーシャルネットワーキングサービス提供方法であって、
第1記憶部を有する前処理部が、通信ネットワークを介して投稿者から投稿情報を受け取り、前記第1記憶部に格納する前処理ステップと、
第2記憶部を有する公開処理部が、前記第2記憶部に格納されている情報を承認済み情報として通信ネットワークを介してユーザーに公開する公開ステップと、
評価支援部が、前記第1記憶部に格納された前記投稿情報に対する評価を示す評価情報を、通信ネットワークを介して、少なくとも一人の閲覧者から取得し、前記少なくとも一人の閲覧者から取得した前記評価情報が示す総合評価が所定条件を満たすか否かを判断し、前記総合評価が前記所定条件を満たす場合に、前記投稿情報及び前記評価情報を前記第2記憶部に格納する評価支援ステップとを含み、
前記公開ステップでは、前記公開処理部が、前記第2記憶部に格納された前記投稿情報及び前記評価情報を前記承認済み情報として公開する、
ソーシャルネットワーキングサービス提供方法。
【請求項11】
ソーシャルネットワーキングサービス提供システムのためのプログラムであって、
請求項10記載のソーシャルネットワーキングサービス提供方法に含まれるステップをコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を提供するシステム等に関する。
【背景技術】
【0002】
Twitter(商標)、Instagram(商標)等のソーシャルネットワーキングサービス(以下、「SNS」ともいう)は、デジタル社会の普及に伴い、現在社会の重要なコミュニケーションツールとなっている。
【0003】
従来、様々な新しい特徴をもつSNSが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、投稿者の位置情報の公開を必須とするSNSを構築することにより、それに伴う独自の楽しさを社会に提供するSNS提供装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-79476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1を含む従来のSNSでは、以下の課題がある。
(1)正しい情報と誤った情報とが混在する。
(2)他のユーザーを誹謗中傷する情報が存在する。
(3)投稿を閲覧したユーザーの反応を予想することが難しい。
【0006】
そこで、本開示は、誤った情報が投稿されたり、誹謗中傷の情報が投稿されたりすることを抑制し、かつ、ユーザーの反応を予想することを可能にするSNS提供システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の一形態に係るSNS提供システムは、第1記憶部を有し、通信ネットワークを介して投稿者から投稿情報を受け取り、前記第1記憶部に格納する前処理部と、第2記憶部を有し、前記第2記憶部に格納されている情報を承認済み情報として通信ネットワークを介してユーザーに公開する公開処理部と、前記第1記憶部に格納された前記投稿情報に対する評価を示す評価情報を、通信ネットワークを介して、少なくとも一人の閲覧者から取得し、前記少なくとも一人の閲覧者から取得した前記評価情報が示す総合評価が所定条件を満たすか否かを判断し、前記総合評価が前記所定条件を満たす場合に、前記投稿情報及び前記評価情報を前記第2記憶部に格納する評価支援部とを備え、前記公開処理部は、前記第2記憶部に格納された前記投稿情報及び前記評価情報を前記承認済み情報として公開する。
【発明の効果】
【0008】
本開示により、誤った情報が投稿されたり、誹謗中傷の情報が投稿されたりすることを抑制し、かつ、ユーザーの反応を予想することを可能にするSNS提供システム等が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態に係るSNS提供システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、実施の形態に係るSNS提供システムが有する機能(つまり、フェーズ)を時系列的に示す図である。
図3A図3Aは、図2におけるシステム設定フェーズの詳細な処理手順を示す通信シーケンス図である。
図3B図3Bは、図2における登録フェーズの詳細な処理手順を示す通信シーケンス図である。
図3C図3Cは、図2における未承認投稿フェーズの詳細な処理手順を示す通信シーケンス図である。
図3D図3Dは、図2における投稿アシストフェーズの詳細な処理手順を示す通信シーケンス図である。
図3E図3Eは、図2におけるアシスト回答フェーズの詳細な処理手順を示す通信シーケンス図である。
図3F図3Fは、図2における承認投稿・公開フェーズの詳細な処理手順を示す通信シーケンス図である。
図4図4は、実施の形態の変形例に係る投稿アシストフェーズでの閲覧者の端末装置での表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示す。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、各図は、必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0011】
図1は、実施の形態に係るSNS提供システム20の構成を示すブロック図である。ここでは、インターネット等の通信ネットワーク25、通信ネットワーク25を介してSNS提供システム20と通信し合うユーザー30a~30d及びそれらのユーザー30a~30dが使用する端末装置も併せて図示されている。ユーザー30a~30dは、SNS提供システム20で登録されている会員である。
【0012】
なお、本実施の形態では、ユーザー30aは、投稿情報40をSNS提供システムに投稿する投稿者30aでもある。また、ユーザー30b~30cは、投稿情報40に対する評価情報50a~50bを提供する閲覧者30b~30cでもあり、ユーザー30dは、公開された投稿情報40、評価情報50a~50b及び総合評価60を閲覧する閲覧者30dでもある。投稿情報40は、テキストだけでなく、写真、音、音楽、動画等も含まれる。
【0013】
また、「ユーザーが情報を送信(あるいは、投稿、提供等)する/受信(あるいは、取得等)する」とは、ユーザーが端末装置を用いて情報を送信(あるいは、投稿、提供等)する/受信(あるいは、取得等)する意味であり、同様に、「ユーザーに情報を送信(あるいは、送付等)する」とは、ユーザーの端末装置に情報を送信(あるいは、送付等)する意味である。
【0014】
SNS提供システム20は、誤った情報が投稿されたり、誹謗中傷の情報が投稿されたりすることを抑制し、かつ、ユーザーの反応を予想することを可能にするSNSを提供するシステムであり、主要な構成要素として、前処理部21、公開処理部22、及び、評価支援部23を備える。なお、SNS提供システム20は、図示された前処理部21、公開処理部22、及び、評価支援部23の他にも、ユーザーの登録処理及び管理等を行う処理部(図示せず)も備える。
【0015】
前処理部21は、第1記憶部としての未承認スペース21aを有し、通信ネットワーク25を介して投稿者30aから投稿情報40を受け取り、未承認スペース21aに格納するサーバー装置である。未承認スペース21aは、公開前の投稿情報40を保存するためのハードディスク等の記憶領域である。
【0016】
公開処理部22は、第2記憶部としての承認スペース22aを有し、承認スペース22aに格納されている情報を承認済み情報として通信ネットワーク25を介してユーザーに公開するサーバー装置である。承認スペース22aは、公開のための投稿情報40等を保存するためのハードディスク等の記憶領域である。
【0017】
評価支援部23は、未承認スペース21aに格納された投稿情報40に対する評価を示す評価情報50a~50bを、通信ネットワーク25を介して、少なくとも一人の閲覧者30b~30cから取得し、取得した評価情報50a~50bが示す総合評価60が所定条件を満たすか否かを判断し、総合評価60が所定条件を満たす場合に、投稿情報40及び評価情報50a~50bを承認スペース22aに格納するサーバー装置である。
【0018】
ここで、評価情報50a~50bには、投稿情報40の公開に賛成するか否かに関する閲覧者30b~30cの評価値、及び、投稿情報40が信憑性及び誹謗中傷の観点から問題があるか否かに関する閲覧者30b~30cのコメントが含まれる。
【0019】
なお、前処理部21、公開処理部22及び評価支援部23を実現するサーバー装置は、通信ネットワーク25と接続するための通信インターフェース、メモリ及びプロセッサ等を備える独立したコンピュータ装置及びそれぞれで実行されるプログラムで実現されてもよいし、それらのうちの2以上の処理部が共通の1台のコンピュータ及びそこで実行されるプログラムで実現されてもよい。
【0020】
同様に、未承認スペース21a及び承認スペース22aは、各サーバー装置が備える記憶装置で実現されてもよいし、サーバー装置と通信路で接続された別の記憶装置で実現されてもよいし、共通の1つの記憶装置で実現されてもよい。
【0021】
図2は、実施の形態に係るSNS提供システム20が有する機能(つまり、フェーズ)を時系列的に示す図である。
【0022】
まず、システム設定フェーズS10では、SNS提供システム20は、SNS提供システム20の秘密鍵と、それに対応する公開鍵を生成し、保持しておく。
【0023】
次に、登録フェーズS11では、SNS提供システム20は、ユーザー30a~30dのそれぞれから、ユーザーの秘密鍵、それに対応する公開鍵、及び、登録名を受け取ることで、会員登録を行う。なお、登録名とは、このSNSにおけるユーザーの名前である。
【0024】
次に、未承認投稿フェーズS12では、SNS提供システム20は、投稿意思を有する投稿者30aから、事前チェックとして、投稿情報40等を受け付ける。なお、未承認投稿フェーズS12での投稿者30aによる投稿を、「未承認投稿」ともいう。
【0025】
具体的には、前処理部21は、通信ネットワーク25を介して投稿者30aから匿名で投稿情報40等を受け取り、未承認スペース21aに格納する。なお、「匿名で投稿情報40を受け取る」とは、投稿情報40を受け取るときに、投稿者30aの登録名が秘匿化されることを意味する。匿名にしている理由は、匿名で投稿情報40を提供することで、閲覧者30b~30cが、投稿情報40を確認することなく、投稿者30aの登録名だけから「この投稿は誹謗中傷のある投稿であるので削除すべきである」と判断することを防ぐためである。
【0026】
次に、投稿アシストフェーズS13では、SNS提供システム20は、閲覧者30b~30cから、匿名で、未承認投稿された投稿情報40に対する評価情報50a~50bを取得する。評価情報50a~50bには、上述したように、投稿情報40の公開に賛成するか否かに関する評価値、及び、投稿情報40が信憑性及び誹謗中傷の観点から問題があるか否かに関するコメントが含まれる。
【0027】
具体的には、評価支援部23は、未承認スペース21aに格納された投稿情報40に対する評価を示す評価情報50a~50bを、通信ネットワーク25を介して、閲覧者30b~30cから匿名で取得し、未承認スペース21aに格納する。なお、「匿名で評価情報50a~50bを取得する」とは、評価情報50a~50bを受け取るときに、閲覧者30b~30cの登録名が秘匿化されることを意味する。匿名にしている理由は、閲覧者30b~30cのプライバシーを秘匿化することで、閲覧者30b~30cが正直な評価値及びコメント、つまり、精度の高い評価値及びコメントをSNS提供システム20に提供できることを確保するためである。
【0028】
次に、アシスト回答フェーズS14では、SNS提供システム20は、閲覧者30b~30cから得た評価情報50a~50bに基づいて、投稿情報40を公開することの可否を判断し、その結果を、投稿者30aにフィードバックする。具体的には、評価支援部23は、閲覧者30b~30cから取得した評価値の合計を総合評価60として算出し、算出した総合評価60が閾値よりも高い場合には、投稿情報40を承認スペース22aに置いて公開してもよいと判断し、その判断結果及び総合評価60等を投稿者30aに送信し、投稿者30aによる最終投稿意思の送信を待つ。
【0029】
なお、総合評価60が閾値以下である場合には、評価支援部23は、投稿情報40を公開しないと判断し、その判断結果及び総合評価60等を投稿者30aに送信し、この投稿情報40に関する処理を終了する。
【0030】
次に、承認投稿・公開フェーズS15では、SNS提供システム20は、投稿者30aによる最終投稿意思として、投稿情報40等の再投稿を受け取り、投稿情報40、閲覧者30b~30cから得た評価情報50a~50b及び総合評価60等を公開する。なお、承認投稿・公開フェーズS15での投稿者30aによる投稿を、「承認投稿」ともいう。
【0031】
具体的には、評価支援部23は、投稿者30aによって承認投稿された投稿情報40、閲覧者30b~30cから得た評価情報50a~50b及び総合評価60を承認スペース22aに格納し、公開処理部22は、承認スペース22aに格納されたそれらの情報を全ユーザー30a~30dに公開する。
【0032】
このように、SNS提供システム20によれば、投稿者30aによる投稿情報40が公開される前に、事前チェックとして、閲覧者30b~30cによって、未承認投稿された投稿情報40の公開に賛成するか否かに関する評価値、及び、投稿情報40が信憑性及び誹謗中傷の観点から問題があるか否かに関するコメントを含む評価情報50a~50bが収集される。そして、収集された評価情報50a~50bに基づいて総合評価60が算出され、総合評価60が一定の閾値を超える場合にだけ、投稿情報40が評価情報50a~50b及び総合評価60と共に公開される。これにより、誤った情報が投稿されたり、誹謗中傷の情報が投稿されたりすることが抑制され、かつ、ユーザーの反応を予想することが可能になるSNSが実現される。
【0033】
以下、図2に示される各フェーズの詳細な処理手順を説明する。
【0034】
図3Aは、図2におけるシステム設定フェーズS10の詳細な処理手順を示す通信シーケンス図である。
【0035】
このシステム設定フェーズS10では、SNS提供システム20は、公開鍵暗号方式の鍵生成処理に従って、SNS提供システム20の秘密鍵skと、それに対応する公開鍵pkとを生成し、秘密鍵skについては秘密に保持し、公開鍵pkについてはユーザー30a~30dが利用可能な形態で保持しておく(S20)。
【0036】
図3Bは、図2における登録フェーズS11の詳細な処理手順を示す通信シーケンス図である。
【0037】
この登録フェーズS11では、ユーザー30a~30dは、公開鍵暗号方式の鍵生成処理に従って生成した自身の秘密鍵sk及びそれに対応する公開鍵pkと、自身の登録名IDとをSNS提供システム20に提供することで、会員登録を行う(S22)。秘密鍵sk及び公開鍵pkの添字iは、一人のユーザーを指す。
【0038】
図3Cは、図2における未承認投稿フェーズS12の詳細な処理手順を示す通信シーケンス図である。
【0039】
この未承認投稿フェーズS12では、まず、投稿者30aは、投稿情報Mi_jを作成する(S30)。投稿情報Mi_jの添字i_jは、ユーザーiのj番目の投稿を指す。
【0040】
次に、投稿者30aは、投稿情報Mi_j用の投稿名postname=Hash(Mi_j)||IDを生成する(S31)。ここで、Hash(Mi_j)は、投稿情報Mi_jをSHA等のハッシュ関数Hash()に入力して得られるハッシュ値を意味する。演算子「||」は、ビット結合を意味する。投稿名postnameは、投稿情報Mi_jのハッシュ値と登録名IDとをビット結合したものであり、登録名IDと投稿情報Mi_jとに依存する、秘匿化された投稿名の一例である。
【0041】
次に、投稿者30aは、投稿名postnameをコミットするための鍵(コミットメント鍵)cki_jをランダムに生成する(S32)。ここで、「コミットする」とは、暗号理論におけるプロトコルの一つであるコミットメント方式に従って情報を処理することを意味する。
【0042】
次に、投稿者30aは、コミットメント鍵cki_jを用いて、投稿名postnameをコミットし、コミットメント値ci_j=CommSNS(cki_j、postname)を生成する(S33)。
【0043】
ここで、CommSNS()は、コミットメント方式を意味し、CommSNS(cki_j,postname)は、コミットメント鍵cki_jを用いて投稿名postnameをコミットすることを意味し、コミットメント値ci_jは、コミットの結果得られる値である。コミットメント方式におけるコミットフェーズでは、コミットする送信者(ここでは、投稿者30a)は、受信者(ここでは、SNS提供システム20)に対し、コミットメント値ci_jを通じて投稿名postnameをコミットできる。一方、コミットメント方式におけるオープンフェーズでは、受信者が送信者からコミットメント鍵cki_jと投稿名postnameとを入手してコミットメント値ci_jを作成できるかどうかを確認する。コミットメント方式では、コミットメント値ci_jを受け取った受信者は、コミットメント値ci_jを見てもどのような情報がコミットされたかを見つけることが困難であるという秘匿性と、送信者は、コミットメント値ci_jを投稿名postnameとは異なる他の情報にオープンすることが困難であるという束縛性とが確保される。コミットメント方式は、具体的には、素因分解問題ベースのコミットメント方式、離散対数分解問題ベースのコミットメント方式、ハッシュ関数ベースのコミットメント方式等である。
【0044】
次に、投稿者30aは、投稿情報Mi_jに対するリング署名σ=RSign(rsk、Mi_j、Urpk)を生成する(S34)。投稿情報Mi_jに対してリング署名をするのは、署名した投稿者30aの匿名性を確保したうえで、投稿情報Mi_jの非改ざん性を保証し、なりすましを防止するためである。
【0045】
ここで、RSign()は、デジタル署名の一つであるリング署名方式を意味し、RSign(rsk、Mi_j、Urpk)は、投稿情報Mi_jに対して秘密鍵sk、及び、リング署名用公開鍵Urpkを用いたリング署名を意味し、リング署名σは、リング署名で生成される署名文である。リング署名用公開鍵Urpkは、全ユーザー30a~30dの公開鍵から作られ(つまり、Urpk={rpk1、rpk2、・・、rpkn})、秘密鍵rskは、リング署名用公開鍵Urpkのうちの一つの公開鍵に対応する秘密鍵である。リング署名を受け取った受信者は、グループの誰かが署名をしたことを特定できるが、誰が署名をしたかを特定することが困難という匿名性が確保される。リング署名は、具体的には、AOSリング署名、Borromeanリング署名等である。
【0046】
次に、投稿者30aは、投稿情報Mi_j、リング署名σ、及び、コミットメント値ci_jを未承認スペース21aに投稿する(S35)。つまり、SNS提供システム20の前処理部21は、通信ネットワーク25を介して投稿者30aから投稿情報Mi_j、リング署名σ、及び、コミットメント値ci_jを受け取り、未承認スペース21aに格納する。
【0047】
図3Dは、図2における投稿アシストフェーズS13の詳細な処理手順を示す通信シーケンス図である。
【0048】
この投稿アシストフェーズS13では、まず、閲覧者30b~30cのそれぞれは、評価支援部23との対話の下で、リング署名用公開鍵Urpkを用いて、未承認スペース21aに格納されたリング署名σを検証することで、未承認スペース21aに格納された投稿情報Mi_jが、登録されているユーザーの投稿であることを確認する(S40)。
【0049】
次に、閲覧者30b~30cのそれぞれは、評価支援部23との対話の下で、未承認スペース21aに格納された投稿情報Mi_jに対してコメントRepi_j_tを作成する(S41)。なお、コメントRepi_j_tの添字i_j_tは、投稿情報Mi_jに対する閲覧者tのコメントを指す。
【0050】
次に、閲覧者30b~30cのそれぞれは、評価支援部23との対話の下で、未承認スペース21aに格納された投稿情報Mi_jを承認スペース22aに置くことに賛成又は反対、つまり、投稿情報Mi_jを公開することに賛成又は反対を決定し、賛成ならば評価値Ei_j_t=1、反対ならば評価値Ei_j_t=0を生成する(S42)。なお、評価値Ei_j_tの添字i_j_tは、投稿情報Mi_jに対する閲覧者tの評価値を指す。
【0051】
次に、閲覧者30b~30cのそれぞれは、評価支援部23との対話の下で、生成した評価値Ei_j_tを、秘匿化のために、SNS提供システム20の公開鍵pkを用いて暗号化することで、暗号化評価値Enc(pk、Ei_j_t)を生成する(S43)。ここで、Enc()は、公開鍵暗号方式を意味し、Enc(pk、Ei_j_t)は、公開鍵pkを用いて評価値Ei_j_tを暗号化して得られる暗号文を意味する。暗号化評価値Enc(pk、Ei_j_t)は、公開鍵pkに対応する秘密鍵skをもっている人(ここでは、SNS提供システム20)だけが評価値Ei_j_tに復号できる。公開鍵暗号方式は、具体的には、RSA暗号、楕円曲線暗号等である。
【0052】
次に、閲覧者30b~30cのそれぞれは、評価支援部23との対話の下で、上記ステップS41で生成したコメントRepi_j_tに対してリング署名をすることで、リング署名σRi_j_t=RSign(rsk、Repi_j_t、Urpk)を生成する(S44)。ここで、Urpkは、上述した通り、リング署名用公開鍵Urpk={rpk1、rpk2、・・、rpkn}であり、rskは、リング署名用公開鍵Urpkのうちの一つの公開鍵に対応する秘密鍵である。コメントRepi_j_tに対してリング署名をするのは、署名した閲覧者の匿名性を確保したうえで、コメントRepi_j_tの非改ざん性を保証し、なりすましを防止するためである。
【0053】
次に、閲覧者30b~30cのそれぞれは、評価支援部23との対話の下で、未承認スペース21aに格納された投稿情報Mi_jと上記ステップS41で生成したコメントRepi_j_tと上記ステップS43で生成した暗号化評価値Enc(pk、Ei_j_t)とを1セットRSeti_j_t=(Mi_j、Repi_j_t、Enc(pk、Ei_j_t))にし(S45a)、その1セットRSeti_j_tに対してリング署名することで、リング署名σPi_j_t=RSign(rsk、RSeti_j_t、Urpk)を生成する(S45b)。1セットRSeti_j_tに対してリング署名をするのは、署名した閲覧者の匿名性を確保したうえで、投稿情報Mi_jとコメントRepi_j_tと暗号化評価値Enc(pk、Ei_j_t)との対応についての非改ざん性を保証し、なりすましを防止するためである。ここで、1セットRSeti_j_tとは、投稿情報Mi_jとコメントRepi_j_tと暗号化評価値Enc(pk、Ei_j_t)とを結合することを意味し、例えば、ビット結合等である。
【0054】
次に、閲覧者30b~30cのそれぞれは、投稿情報Mi_jと、コメントRepi_j_tと、リング署名σRi_j_tと、暗号化評価値Enc(pk、Ei_j_t)と、リング署名σPi_j_tとを、評価支援部23との対話の下で、未承認スペース21aに投稿する(S46)。
【0055】
次に、投稿者30aは、リング署名用公開鍵Urpkを用いて、未承認スペース21aに格納されたリング署名σPi_j_tを検証することで、投稿情報Mi_jに対するコメントRepi_j_t、暗号化評価値Enc(pk、Ei_j_t)が、登録しているユーザーのコメント及び暗号化評価値であることを確認する(S47)。
【0056】
図3Eは、図2におけるアシスト回答フェーズS14の詳細な処理手順を示す通信シーケンス図である。
【0057】
このアシスト回答フェーズS14では、まず、評価支援部23は、リング署名用公開鍵Urpkを用いて、未承認スペース21aに格納されたリング署名σPi_j_tを検証することで、未承認スペース21aに格納された投稿情報Mi_jに対するコメントRepi_j_t及び暗号化評価値Enc(pk、Ei_j_t)が、登録しているユーザーのコメント及び暗号化評価値であることを確認する(S50)。
【0058】
次に、評価支援部23は、未承認スペース21aに格納された閲覧者30b~30cからの暗号化評価値Enc(pk、Ei_j_t)の総和ΣEnc(pk、Ei_j_t)を暗号化したまま算出し、SNS提供システム20の秘密鍵skを用いて復号することで、総合評価TE=Dec(sk、ΣEnc(pk、Ei_j_t))を算出する(S51)。ここで、Dec()は、公開鍵暗号Enc()に対応する復号を意味し、Dec(sk、ΣEnc(pk、Ei_j_t))は、SNS提供システム20の秘密鍵skを用いて暗号化評価値Enc(pk、Ei_j_t)を復号して得られる平文を意味する。
【0059】
次に、評価支援部23は、総合評価TEと閾値Tとを比較し(S52)、総合評価TE>閾値Tである場合には、未承認スペース21aに格納された投稿情報Mi_jを未承認スペース21aから承認スペース22aに置いてもよい、つまり、投稿情報Mi_jを公開してもよいと判断し、以下のステップS53~S56を実行する。なお、閾値Tは、固定値であってもよいし、閲覧者30b~30cの数に一定値(例えば,、0.9等)を乗じた値のような変数であってもよい。
【0060】
ステップS53では、評価支援部23は、未承認スペース21aに格納された暗号化評価値の総和ΣEnc(pk、Ei_j_t)に対して、ゼロ知識署名を作成する(S53)。具体的には、評価支援部23は、SNS提供システム20の秘密鍵skを用いて、暗号化評価値の総和ΣEnc(pk、Ei_j_t)に対して、デジタル署名を施す。なお、ゼロ知識署名とは、秘密鍵を持っていることを、その秘密鍵を明かさずに証明するゼロ知識証明のための署名であり、ここでは、秘密鍵を用いたデジタル署名である。
【0061】
ステップS54では、評価支援部23は、総合評価TEに対して、SNS提供システム20の秘密鍵skを用いてデジタル署名をすることで、総和署名Score=Sign(sk、Mi_j||TE)を生成する(S54)。投稿情報Mi_jと総合評価TEとのビット結合に対してデジタル署名をするのは、投稿情報Mi_jと総合評価TEとが対応したものであり、かつ、改ざんされていないことを保証するためである。
【0062】
ここで、デジタル署名は、公開鍵暗号方式の一つであり、例えば、RSA-SHA等である。
【0063】
ステップS55では、評価支援部23は、投稿情報Mi_jに対する全ての閲覧者30b~30cからのコメントAll_Repを、SNS提供システム20の秘密鍵skを用いてデジタル署名をすることで、全コメント署名Comment=Sign(sk、All_Rep)を生成する(S55)。コメントAll_Repは、投稿情報Mi_jに対する全ての閲覧者30b~30cからのコメントRepi_j_tの集合である。コメントAll_Repに対してデジタル署名をするのは、コメントAll_Repの非改ざん性を保証し、なりすましを防止するためである。
【0064】
ステップS56では、評価支援部23は、投稿情報Mi_jを公開してもよいと判断したこと、総合評価TE、総和署名Score、及び、全コメント署名Commentを、投稿者30aに送信する(S56)。
【0065】
一方、ステップS52での比較において、総合評価TE>閾値Tでない場合には、評価支援部23は、投稿情報Mi_jを公開しないと判断し、その判断結果と、総合評価TE、総和署名Score、及び、全コメント署名Commentを、投稿者30aに送信し、この投稿情報Mi_jに関する処理を終了する。
【0066】
図3Fは、図2における承認投稿・公開フェーズS15の詳細な処理手順を示す通信シーケンス図である。
【0067】
この承認投稿・公開フェーズS15では、まず、通知を受けた投稿者30aは、未承認スペース21aに格納された暗号化評価値の総和ΣEnc(pk、Ei_j_t)と、その復号結果(つまり、総合評価TE)とが正しいことを、ゼロ知識証明を使って検証する(S60)。具体的には、投稿者30aは、センターの公開鍵pkを用いて、ステップS53でのゼロ知識署名に対する検証を行うことで、未承認スペース21aに格納された暗号化評価値の総和ΣEnc(pk、Ei_j_t)と、その復号結果(つまり、総合評価TE)とが正しいことを確認する。
【0068】
次に、投稿者30aは、投稿を希望する際は、評価支援部23との対話の下で、コミットメント鍵ck’ i_jと、投稿名postname’と、投稿情報Mi_jとを、(ck’ i_j、postname’、Mi_j)という形で評価支援部23に再投稿する(S61)。
【0069】
次に、評価支援部23は、投稿名について、未承認投稿フェーズのステップS35で受領しているコミットメント値ci_j(=CommSNS(cki_j、postname))と、いま再投稿で受領したコミットメント鍵ck’i_j及び投稿名postname’から生成されるコミットメント値c’i_j(=CommSNS(ck’ i_j、postname’))とが一致するか否かを確認することで、正しい投稿名が送信されたかどうかを確認する(S62)。つまり、CommSNS(cki_j、postname)=CommSNS(ck’ i_j、postname’)となるかどうかを確認することで、正しい投稿名が送信されたかどうかを確認する。
【0070】
さらに、評価支援部23は、再投稿で受領した投稿情報Mi_jと、既に算出している総合評価TEとのビット結合について確認するために、既に生成している総和署名Scoreに対して、Verify(pk、Mi_j||TE、Score)によって検証をすることで、投稿情報Mi_jが投稿者30aによってすり替えられていないことを確認する(S63)。なお、Verify()は、Sign()に対応するデジタル検証である。
【0071】
その結果、CommSNS(ck、postname)≠CommSNS(ck’、postname’)となる場合、あるいは、投稿情報Mi_jが投稿者30aによってすり替えられていると判断される場合には、評価支援部23は、その結果を投稿者30aに伝えて処理を終了する(つまり、投稿情報Mi_jを公開しない)。
【0072】
一方、CommSNS(ck、postname)=CommSNS(ck’、postname’)となり、かつ、投稿情報Mi_jが投稿者30aによってすり替えられていないと判断される場合には(S64a)、評価支援部23は、いま受領した投稿情報Mi_j、未承認スペース21aに格納していた対応する総合評価TE、総和署名Score、全てのコメントAll_Rep、全コメント署名Comment、及び、投稿者30aの登録名IDを、承認スペース22aに格納する(S64b)。
【0073】
次に、公開処理部22は、承認スペース22aに格納された投稿情報Mi_j、総合評価TE、総和署名Score、全てのコメントAll_Rep、全コメント署名Comment、及び、投稿者30aの登録名IDを公開する(S65)。
【0074】
閲覧者30dは、承認スペース22aに格納された投稿情報Mi_j、総合評価TE、全てのコメントAll_Rep、及び、登録名IDを閲覧すると共に(S66)、Verify(pk、All_Rep、Comment)による検証を行うことでコメントが改ざんされていないことを確認し(S67)、Verify(pk、Mi_j||TE、Score)による検証を行うことで総合評価TEが改ざんされていないことを確認する(S68)。なお、上記検証によって改ざんされていないことを確認できない場合には、閲覧者30dは、そのことをSNS提供システム20に報告する。
【0075】
以上のように、本実施の形態に係るSNS提供システム20によれば、投稿者30aによる投稿情報40が公開される前に、事前チェックとして、閲覧者30b~30cによって、未承認投稿された投稿情報40の公開に賛成するか否かに関する評価値、及び、投稿情報40が信憑性及び誹謗中傷の観点から問題があるか否かに関するコメントを含む評価情報50a~50bが収集される。そして、収集された評価情報50a~50bに基づいて総合評価60が算出され、総合評価60が一定の閾値を超える場合にだけ、投稿情報40が評価情報50a~50b及び総合評価60と共に公開される。これにより、誤った情報が投稿されたり、誹謗中傷の情報が投稿されたりすることが抑制され、かつ、ユーザーの反応を予想することが可能になるSNSが実現される。
【0076】
図4は、実施の形態の変形例に係る投稿アシストフェーズでの閲覧者30b~30cの端末装置70での表示例を示す図である。ここでは、未承認スペース21aに格納された投稿情報及び閲覧者30b~30cによる評価情報の例が図示されている。
【0077】
端末装置70の画面71の表示領域72aには、投稿者30aによる投稿情報Mi_jの例(「・・・は美味しいよ・・・」)が匿名で表示され、その投稿情報Mi_jを公開することに対して閲覧者が賛成する場合にチェックを入れる欄(「共感する」)、反対する場合にチェックを入れる欄(「共感しない」)、非表示を希望する場合にチェックを入れる欄(「非表示」)、閲覧者の「コメント」の入力例(「賛成です。」)が表示されている。
【0078】
表示領域72bには、別の投稿情報Mi_jの例(「・・・のバカヤロー・・・」)が匿名で表示され、その投稿情報Mi_jに対して閲覧者が「非表示」にチェックを入れた例が表示されている。
【0079】
これらの表示例における「共感する」及び「共感しない」のチェック欄への入力については、SNS提供システム20では、上記実施の形態における評価値Ei_j_tに対する処理が実行される。また、「コメント」への入力については、SNS提供システム20では、上記実施の形態におけるコメントRepi_j_tに対する処理が実行される。
【0080】
本変形例では、上記実施の形態と異なり、図4の「非表示」に示されるように、閲覧者30b~30cは、未承認スペース21aに格納された投稿情報Mi_jに対して、「非表示」にチェックを入れることができる。「非表示」は、「Dislike」と表示されてもよい。この「非表示」のチェック欄は、コメントに代えて簡易的に閲覧者の気持ちを表すため等に用いられ、SNS提供システム20では、次の通り処理される。
【0081】
つまり、前処理部21は、「非表示」のチェック欄への入力結果について、投稿者30aに公表することはしない。つまり、投稿者30aは、「非表示」のチェック欄への入力結果を認知できない。評価支援部23は、投稿情報Mi_jを承認スペース22aに格納して公開するか否かの判断については、上記実施の形態と同様に、評価値Ei_j_tを用いて行い、「非表示」のチェック欄への入力結果を考慮しない。ただし、公開処理部22は、承認スペース22aに格納された投稿情報Mi_jを、「非表示」のチェック欄にチェックを入れた閲覧者には公開せず、その閲覧者を除く他の閲覧者だけに公開する。これにより、投稿情報の非表示を希望する閲覧者に対しては、投稿情報が非表示となり、公開によって特定の閲覧者が気分を害してしまうことが回避される。なお、評価支援部23は、「非表示」のチェック欄がチェックされた総数については、投稿者30aに提供してもよい。
【0082】
以上のように、実施の形態に係るSNS提供システム20は、未承認スペース21aを有し、通信ネットワーク25を介して投稿者30aから投稿情報40を受け取り、未承認スペース21aに格納する前処理部21と、承認スペース22aを有し、承認スペース22aに格納されている情報を承認済み情報として通信ネットワーク25を介してユーザー30a~30dに公開する公開処理部22と、未承認スペース21aに格納された投稿情報40に対する評価を示す評価情報50a~50bを、通信ネットワーク25を介して、少なくとも一人の閲覧者30b~30cから取得し、少なくとも一人の閲覧者30b~30cから取得した評価情報50a~50bが示す総合評価60が所定条件を満たすか否かを判断し、総合評価60が所定条件を満たす場合に、投稿情報40及び評価情報50a~50bを承認スペース22aに格納する評価支援部23とを備え、公開処理部22は、承認スペース22aに格納された投稿情報40及び評価情報50a~50bを承認済み情報として公開する。
【0083】
これにより、投稿者30aによる投稿情報40が公開される前に、事前チェックとして、閲覧者30b~30cから評価情報50a~50bが収集され、収集された評価情報50a~50bが示す総合評価60が所定条件を満たす場合に、投稿情報40及び評価情報50a~50bが承認済み情報として公開される。よって、誤った情報が投稿されたり、誹謗中傷の情報が投稿されたりすることが抑制され、かつ、ユーザーの反応を予想することが可能になるSNSが実現される。さらに、閲覧者にとっては、公開された投稿情報40だけでなく、事前に得られた第三者による評価情報50a~50bを得ることもできる。その結果、SNS提供システム20によって、投稿者及び閲覧者の双方に対して、利便性が提供される。
【0084】
ここで、評価情報50a~50bは、投稿情報40の公開に賛成するか否かに関する閲覧者30b~30cの評価値を含み、評価支援部23は、少なくとも一人の閲覧者30b~30cから取得した評価値の合計を総合評価60として算出する。これにより、事前チェックをした全ての閲覧者による評価が勘案されたうえで公開が判断されるので、偏った判断が抑制され、公平な判断に基づいて公開が決定される。
【0085】
また、評価支援部23は、総合評価60が所定条件を満たす場合に、総合評価60に対してデジタル署名を施し、得られた署名済み総合評価60を評価情報50a~50bとして承認スペース22aに格納する。これにより、総合評価60に対する改ざんが抑制され、総合評価60の信頼性が確保される。
【0086】
また、評価情報50a~50bは、投稿情報40が信憑性及び誹謗中傷の観点から問題があるか否かに関する閲覧者30b~30cのコメントを含む。これにより、投稿者は、公開に先立ち、ユーザーの反応を的確に予測したり、意図しない誹謗中傷の発言をしてしまうことを回避したりすることができる。
【0087】
また、評価支援部23は、総合評価60が所定条件を満たす場合に、少なくとも一人の閲覧者30b~30cから取得した閲覧者30b~30cのコメントに対してデジタル署名を施し、得られた署名済みコメントを評価情報50a~50bとして承認スペース22aに格納する。これにより、閲覧者によるコメントに対する改ざんが抑制され、閲覧者によるコメントの信頼性が確保される。
【0088】
また、評価情報50a~50bは、投稿情報40の非表示を希望するか否かに関する閲覧者30b~30cの指示を含み、公開処理部22は、承認スペース22aに格納された投稿情報40に対して非表示を希望する指示を出した閲覧者30b~30cに対しては、投稿情報40を公開しない。これにより、投稿情報の非表示を希望する閲覧者には、投稿情報が非表示となり、公開によって特定の閲覧者が気分を害してしまうことが回避される。
【0089】
また、評価支援部23は、総合評価60が所定条件を満たす場合に、総合評価60を、通信ネットワーク25を介して投稿者30aに送信し、投稿者30aから投稿意思を取得したときに、投稿情報40及び評価情報50a~50bを承認スペース22aに格納する。これにより、事前チェックで得られた総合評価が投稿者にフィードバックされ、投稿者は、投稿情報の投稿を中止したり、投稿情報を修正したりする機会を得ることができる。
【0090】
また、前処理部21は、投稿者30aから投稿情報40と共に、投稿者30aの投稿名に対してコミットした結果得られる第1コミットメント値を受け取り、評価支援部23は、投稿意思として、投稿者30aの投稿名に対してコミットした結果得られる第2コミットメント値を受け取り、第1コミットメント値と第2コミットメント値とが一致する場合に、投稿情報40及び評価情報50a~50bを承認スペース22aに格納する。これにより、投稿者は、異なる人になりすますことが困難になる。また、投稿者は、別の人が未承認スペースに投稿情報を投稿したと偽証することも困難となる。
【0091】
また、前処理部21は、投稿者30aから匿名で投稿情報40を受け取り、評価支援部23は、少なくとも一人の閲覧者30b~30cから匿名で評価情報50a~50bを受け取る。これにより、事前チェックの段階では、投稿者及び閲覧者の匿名性が確保されるので、投稿情報の内容ではなく投稿者の名前だけの判断による偏見的な評価情報が閲覧者から提供されることが抑制されたり、閲覧者のプライバシーが保護され、閲覧者の自由な評価が確保されたりする。
【0092】
また、実施の形態に係るSNS提供方法は、未承認スペース21aを有する前処理部21が、通信ネットワーク25を介して投稿者30aから投稿情報40を受け取り、未承認スペース21aに格納する前処理ステップ(未承認投稿フェーズS12)と、承認スペース22aを有する公開処理部22が、承認スペース22aに格納されている情報を承認済み情報として通信ネットワーク25を介してユーザー30a~30dに公開する公開ステップ(承認投稿・公開フェーズS15)と、評価支援部23が、未承認スペース21aに格納された投稿情報40に対する評価を示す評価情報50a~50bを、通信ネットワーク25を介して、少なくとも一人の閲覧者30b~30cから取得し、少なくとも一人の閲覧者30b~30cから取得した評価情報50a~50bが示す総合評価60が所定条件を満たすか否かを判断し、総合評価60が所定条件を満たす場合に、投稿情報40及び評価情報50a~50bを承認スペース22aに格納する評価支援ステップ(投稿アシストフェーズS13)とを含み、公開ステップでは、公開処理部22が、承認スペース22aに格納された投稿情報40及び評価情報50a~50bを承認済み情報として公開する。
【0093】
これにより、投稿者30aによる投稿情報40が公開される前に、事前チェックとして、閲覧者30b~30cから評価情報50a~50bが収集され、収集された評価情報50a~50bが示す総合評価60が所定条件を満たす場合に、投稿情報40及び評価情報50a~50bが承認済み情報として公開される。よって、誤った情報が投稿されたり、誹謗中傷の情報が投稿されたりすることが抑制され、かつ、ユーザーの反応を予想することが可能になるSNSが実現される。さらに、閲覧者にとっては、投稿情報40だけでなく、第三者による評価情報50a~50bを得ることもできる。その結果、SNS提供システム20によって、投稿者及び閲覧者の双方に対して利便性が提供される。
【0094】
なお、本開示は、SNS提供システム20のためのプログラムであって、上記SNS提供方法に含まれるステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現してもよい。
【0095】
以上、本開示に係るSNS提供システム、SNS提供方法、及び、プログラムについて、実施の形態及び変形例に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態及び変形例に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態及び変形例に施したものや、実施の形態及び変形例における一部の構成要素を組み合わせて構築される別の形態も、本開示の範囲内に含まれる。
【0096】
例えば、上記実施の形態に係るSNS提供システム20では、各種暗号処理(暗号化、デジタル署名、リング署名、ゼロ知識署名、コミットメントなど)が用いられたが、これらの暗号処理はすべて必須ではなく、SNS提供システム20で求められるセキュリティの程度に応じて、適宜、実装されればよい。
【0097】
また、上記変形例に係るSNS提供システム20では、評価支援部23は、投稿情報Mi_jを承認スペース22aに格納して公開するか否かの判断については、評価値Ei_j_tを用いたが、評価値Ei_j_tに代えて、あるいは、評価値Ei_j_tに加えて、「非表示」のチェック欄への入力結果を考慮してもよい。例えば、評価支援部23は、「非表示」のチェック欄にチェックした閲覧者が一定数あるいは一定比率の閲覧者数を超えた場合に、その投稿情報Mi_jを公開しないと決定してもよい。
【0098】
また、上記実施の形態に係るSNS提供システム20では、未承認スペース21aに格納された投稿情報に対して、閲覧者は、評価値及びコメントを提供したが、必ずしも評価値及びコメントの提供は必須ではなく、一方のみ、閲覧のみであってもよい。
【0099】
また、上記変形例に係るSNS提供システム20では、未承認スペース21aに格納された投稿情報を閲覧する閲覧者に対して、3種類のチェック欄(「共感する」、「共感しない」、「非表示」)及びコメント入力欄が提供されたが、必ずしもこれらに限られるものではなく、これらのうちの少なくとも一つのチェック欄だけが提供されてもよいし、これらに代えて、あるいは、これらに加えて、「投稿内容を再考してほしい」等の他のチェック欄を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本開示に係るSNS提供システムは、誤った情報が投稿されたり、誹謗中傷の情報が投稿されたりすることを抑制し、かつ、ユーザーの反応を予想することを可能にするSNS提供システムとして、例えば、SNSを提供するサーバー装置、コンピュータ装置、ウェブシステム、クラウドコンピュータシステムとして、利用できる。
【符号の説明】
【0101】
20 SNS提供システム
21 前処理部
21a 未承認スペース(第1記憶部)
22 公開処理部
22a 承認スペース(第2記憶部)
23 評価支援部
25 通信ネットワーク
30a 投稿者(ユーザー)
30b~30d 閲覧者(ユーザー)
40、Mi_j 投稿情報
50a~50b 評価情報
60、TE 総合評価
70 端末装置
71 画面
72a、72b 表示領域
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4