(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131363
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】カバー組立体、洗浄方法、およびカバー組立体の製造方法
(51)【国際特許分類】
B24B 55/06 20060101AFI20240920BHJP
B24B 37/34 20120101ALI20240920BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B24B55/06
B24B37/34
H01L21/304 621D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041579
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【弁理士】
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】持田 裕介
【テーマコード(参考)】
3C047
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C047FF08
3C047HH11
3C047HH15
3C158AA07
3C158CB06
3C158DA12
3C158EA11
3C158EB01
3C158ED00
5F057AA06
5F057BA11
5F057CA11
5F057DA03
5F057EA01
5F057FA12
5F057FA48
(57)【要約】
【課題】本発明は、研磨ヘッドなどの回転体に研磨液が付着することを防止し、さらに乾燥した研磨液に起因するパーティクルが研磨パッドに落下することを防止できるカバー組立体を提供する。
【解決手段】カバー組立体41は、回転体5の外周面5aの少なくとも一部を覆うカバー洗浄部48を備え、カバー洗浄部48は、カバー洗浄部48の外面を構成する外側カバー部51と、カバー洗浄部48の内面の少なくとも一部を構成する内側カバー部52と、外側カバー部51と内側カバー部52との間に形成された流体室55と、外側カバー部52または内側カバー部42に設けられ、流体室55に連通し、洗浄液を流体室55に供給するための洗浄液供給口57を備え、内側カバー部52は、流体室55に連通し、回転体5の外周面5aに対向する少なくとも1つの洗浄液吐出口58を有している。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨装置に使用される回転体を洗浄するためのカバー組立体であって、
前記回転体の外周面の少なくとも一部を覆うカバー洗浄部を備え、
前記カバー洗浄部は、
前記カバー洗浄部の外面を構成する外側カバー部と、
前記カバー洗浄部の内面の少なくとも一部を構成する内側カバー部と、
前記外側カバー部と前記内側カバー部との間に形成された流体室と、
前記外側カバー部または前記内側カバー部に設けられ、前記流体室に連通し、洗浄液を前記流体室に供給するための洗浄液供給口を備え、
前記内側カバー部は、前記流体室に連通し、前記回転体の前記外周面に対向する少なくとも1つの洗浄液吐出口を有している、カバー組立体。
【請求項2】
前記少なくとも1つの洗浄液吐出口は、複数の洗浄液吐出口であり、
前記複数の洗浄液吐出口は、前記内側カバー部の周方向に沿って配列されている、請求項1に記載のカバー組立体。
【請求項3】
前記洗浄液吐出口は、前記回転体の前記外周面内に設定された、液体の接触を許容する限界高さよりも下方に配置されている、請求項1に記載のカバー組立体。
【請求項4】
前記洗浄液吐出口は、前記洗浄液供給口よりも下方に配置されている、請求項1に記載のカバー組立体。
【請求項5】
前記カバー洗浄部は、前記回転体の前記外周面の全周を覆っており、
前記洗浄液吐出口は、前記回転体の前記外周面の全周に対向するように配置されている、請求項1に記載のカバー組立体。
【請求項6】
前記カバー組立体は、前記カバー組立体の少なくとも一部を構成する第1カバー部材と、前記カバー組立体の他の部分を構成する第2カバー部材を備え、
前記第1カバー部材および前記第2カバー部材のうちの少なくとも一方は、前記研磨装置から取り外し可能に構成されており、
前記第1カバー部材および前記第2カバー部材のうちの少なくとも一方は、前記カバー洗浄部を備えている、請求項1に記載のカバー組立体。
【請求項7】
前記回転体は、基板を研磨面に押し付けるための研磨ヘッドである、請求項1に記載のカバー組立体。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のカバー組立体を用いて、前記回転体を洗浄する方法であって、
前記回転体を回転させながら、前記洗浄液吐出口から前記回転体の前記外周面に向かって前記洗浄液を吐出して、前記回転体と前記カバー組立体との隙間に前記洗浄液を供給することで、前記回転体の前記外周面および前記カバー組立体の内周面を洗浄する、洗浄方法。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のカバー組立体の製造方法であって、
前記外側カバー部を真空成形法により成形することを含み、
前記真空成形法は、
薄板を加熱して、前記薄板を軟化させる工程と、
前記軟化した薄板を真空吸引により金型に密着させる工程と、
前記金型に密着した前記薄板を冷却する工程と、
前記冷却された薄板を離型する工程を含む、カバー組立体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハなどの基板を研磨する研磨装置に使用される回転体を洗浄するためのカバー組立体に関する。また、本発明は、そのようなカバー組立体を用いて回転体を洗浄する洗浄方法、およびカバー組立体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学的機械研磨(CMP)は、研磨液の化学的作用と研磨液に含まれる砥粒および/または研磨パッドの機械的作用によってウェーハなどの基板の表面を研磨する技術である。CMPを実施するための研磨装置は、通常、研磨パッドを支持する研磨テーブルと、基板を研磨パッドに押し付ける研磨ヘッドと、研磨パッドに研磨液(スラリー)を供給する研磨液供給ノズルを備える。
【0003】
基板は研磨ヘッドによって研磨パッドの研磨面に押圧され、この状態で研磨テーブルと研磨ヘッドが回転される。基板は研磨液の存在下で研磨パッドの研磨面に摺接され、これにより基板の表面が研磨される。研磨液を供給しながら基板の表面を研磨すると、研磨液が研磨ヘッドに付着することがある。そこで、研磨ヘッドへの研磨液の付着を防止するために、研磨ヘッドにカバーを取り付けることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、研磨ヘッドを覆うカバーと研磨ヘッドとの間には、わずかに隙間が存在しており、この隙間を通じて研磨ヘッドの外周面およびカバーの内周面に研磨液が付着することがあった。研磨ヘッドの外周面およびカバーの内周面に付着した研磨液は、乾燥し固形化してパーティクルを形成し、研磨パッドの研磨面に落下することがある。このような研磨液に起因するパーティクルは、基板の表面にスクラッチを発生させる原因となる。
【0006】
そこで、本発明は、研磨ヘッドなどの回転体に研磨液が付着することを防止できるカバー組立体を提供する。さらに、本発明は、このようなカバー組立体を用いて回転体を洗浄する洗浄方法、およびカバー組立体の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、研磨装置に使用される回転体を洗浄するためのカバー組立体であって、前記回転体の外周面の少なくとも一部を覆うカバー洗浄部を備え、前記カバー洗浄部は、前記カバー洗浄部の外面を構成する外側カバー部と、前記カバー洗浄部の内面の少なくとも一部を構成する内側カバー部と、前記外側カバー部と前記内側カバー部との間に形成された流体室と、前記外側カバー部または前記内側カバー部に設けられ、前記流体室に連通し、洗浄液を前記流体室に供給するための洗浄液供給口を備え、前記内側カバー部は、前記流体室に連通し、前記回転体の前記外周面に対向する少なくとも1つの洗浄液吐出口を有している、カバー組立体が提供される。
【0008】
一態様では、前記少なくとも1つの洗浄液吐出口は、複数の洗浄液吐出口であり、前記複数の洗浄液吐出口は、前記内側カバー部の周方向に沿って配列されている。
一態様では、前記洗浄液吐出口は、前記回転体の前記外周面内に設定された、液体の接触を許容する限界高さよりも下方に配置されている。
一態様では、前記洗浄液吐出口は、前記洗浄液供給口よりも下方に配置されている。
一態様では、前記カバー洗浄部は、前記回転体の前記外周面の全周を覆っており、前記洗浄液吐出口は、前記回転体の前記外周面の全周に対向するように配置されている。
【0009】
一態様では、前記カバー組立体は、前記カバー組立体の少なくとも一部を構成する第1カバー部材と、前記カバー組立体の他の部分を構成する第2カバー部材を備え、前記第1カバー部材および前記第2カバー部材のうちの少なくとも一方は、前記研磨装置から取り外し可能に構成されており、前記第1カバー部材および前記第2カバー部材のうちの少なくとも一方は、前記カバー洗浄部を備えている。
一態様では、前記回転体は、基板を研磨面に押し付けるための研磨ヘッドである。
【0010】
一態様では、上記カバー組立体を用いて、前記回転体を洗浄する方法であって、前記回転体を回転させながら、前記洗浄液吐出口から前記回転体の前記外周面に向かって前記洗浄液を吐出して、前記回転体と前記カバー組立体との隙間に前記洗浄液を供給することで、前記回転体の前記外周面および前記カバー組立体の内周面を洗浄する、洗浄方法が提供される。
【0011】
一態様では、上記カバー組立体の製造方法であって、前記外側カバー部を真空成形法により成形することを含み、前記真空成形法は、薄板を加熱して、前記薄板を軟化させる工程と、前記軟化した薄板を真空吸引により金型に密着させる工程と、前記金型に密着した前記薄板を冷却する工程と、前記冷却された薄板を離型する工程を含む、カバー組立体の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、研磨ヘッドなどの回転体はカバー組立体に覆われているため、回転体への研磨液の付着を防止することができる。また、カバー組立体は、回転体の外周面の少なくとも一部を覆うカバー洗浄部を備え、回転体とカバー組立体との隙間に洗浄液を供給することで、回転体の外周面およびカバー組立体の内周面を洗浄する。したがって、研磨ヘッドの外周面およびカバー組立体の内周面に付着した研磨液が乾燥することを防止し、乾燥した研磨液からなるパーティクルが研磨パッドに落下することを防止できる。結果として、基板のスクラッチを防止することができる。
【0013】
さらに、本発明によれば、カバー洗浄部の外側カバー部を、真空成形法により高い寸法精度で成形することができる。したがって、外側カバー部の変形に起因して外側カバー部と内側カバー部との間に形成される流体室が歪むことなく、回転体とカバー組立体との隙間に洗浄液を安定して供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】カバー組立体の一実施形態を示す斜視図である。
【
図3】第1カバー洗浄部の一実施形態を示す斜視図である。
【
図4】
図3に示す第1カバー洗浄部の内面を示す図である。
【
図7】カバー洗浄部が研磨ヘッドの外周面およびカバー組立体の内周面を洗浄する様子を説明する図である。
【
図8】外側カバー部を成形する真空成形法の一実施形態を説明する図である。
【
図9】カバー組立体をドレッシングヘッドに適用した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、ウェーハなどの基板Wを研磨する研磨装置の一実施形態を示す斜視図である。
図1に示すように、研磨装置は、研磨具としての研磨パッド2を支持するための研磨テーブル3と、基板Wを研磨テーブル3上の研磨パッド2に押し付けるための研磨ヘッド5と、研磨テーブル3を研磨パッド2とともに回転させるテーブルモータ6と、研磨パッド2に研磨液(例えばスラリー)を供給するための研磨液供給ノズル8を備えている。
【0016】
研磨パッド2は、研磨テーブル3の上面に貼り付けられている。研磨パッド2の露出面は、基板Wを研磨する研磨面2aを構成している。研磨具としては、研磨パッド2に代えて固定砥粒または研磨布などを用いてもよい。テーブルモータ6は、研磨テーブル3の下方に配置されている。研磨テーブル3は、テーブル軸3aを介してテーブルモータ6に連結されている。研磨テーブル3および研磨パッド2は、テーブルモータ6によりテーブル軸3aの軸心を中心に回転される。
【0017】
研磨装置は、研磨ヘッド5に連結されたヘッドシャフト11と、ヘッド揺動シャフト14と、ヘッド揺動シャフト14の上端に連結されたヘッド揺動アーム16をさらに備えている。研磨ヘッド5は、ヘッドシャフト11の下端に固定されている。研磨ヘッド5は、真空吸着によりその下面に基板Wを保持できるように構成されている。基板Wは、被研磨面が下向きになるように保持されている。
【0018】
ヘッドシャフト11は、ヘッド揺動アーム16の自由端に回転可能に支持されている。ヘッド揺動アーム16内には、電動機などを備えたヘッド揺動機構(図示せず)が配置されている。ヘッド揺動機構は、ヘッド揺動シャフト14に連結されている。ヘッド揺動機構は、ヘッド揺動アーム16を介して、研磨ヘッド5をヘッドシャフト11とともに、ヘッド揺動シャフト14の軸心を中心に揺動させるように構成されている。ヘッド揺動機構によりヘッド揺動アーム16が揺動されると、研磨ヘッド5は研磨テーブル3の上方にある研磨位置と研磨テーブル3の半径方向外側にある待機位置との間を移動する。
【0019】
ヘッド揺動アーム16内には、電動機などを備えたヘッド回転機構(図示せず)が配置されている。このヘッド回転機構は、ヘッドシャフト11に連結されており、研磨ヘッド5をヘッドシャフト11とともに、ヘッドシャフト11の軸心を中心に回転させるように構成されている。ヘッド回転機構は、例えば、モータ、プーリ、およびベルトの組み合わせにより構成されている。
【0020】
ヘッドシャフト11は、図示しないヘッド昇降機構に連結されている。このヘッド昇降機構は、ヘッドシャフト11をヘッド揺動アーム16に対して相対的に上下動させるように構成されている。ヘッド昇降機構は、例えば、ボールねじとサーボモータの組み合わせにより構成されている。このヘッドシャフト11の上下動により、研磨ヘッド5は、ヘッド揺動アーム16および研磨テーブル3に対して相対的に上下動可能である。
【0021】
研磨装置は、動作制御部20をさらに備えている。研磨ヘッド5、テーブルモータ6、ヘッド揺動機構、ヘッド回転機構、ヘッド昇降機構、および研磨液供給ノズル8は、動作制御部20に電気的に接続されており、研磨ヘッド5、テーブルモータ6、ヘッド揺動機構、ヘッド回転機構、ヘッド昇降機構、および研磨液供給ノズル8の動作は、動作制御部20により制御される。
【0022】
動作制御部20は、少なくとも1台のコンピュータから構成されている。動作制御部20は、研磨装置の動作を制御するためのプログラムが格納された記憶装置20aと、プログラムに含まれる命令に従って演算を実行する演算装置20bを備えている。記憶装置20aは、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの主記憶装置と、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)などの補助記憶装置を備えている。演算装置20bの例としては、CPU(中央処理装置)、GPU(グラフィックプロセッシングユニット)が挙げられる。ただし、動作制御部20の具体的構成はこれらの例に限定されない。
【0023】
基板Wは次のようにして研磨される。基板Wを保持した研磨ヘッド5は待機位置から研磨位置に移動される。研磨ヘッド5および研磨テーブル3が同じ方向に回転されながら、研磨液が研磨液供給ノズル8から研磨パッド2の研磨面2aに供給される。基板Wは、研磨ヘッド5によって回転されながら、研磨パッド2上に研磨液が存在した状態で、研磨ヘッド5によって研磨パッド2の研磨面2aに押し付けられる。基板Wの表面は、研磨液の化学的作用と、研磨液に含まれる砥粒および/または研磨パッド2の機械的作用により研磨される。
【0024】
研磨装置は、研磨パッド2の研磨面2aのドレッシング(またはコンディショニング)を行うドレッサ30をさらに備えている。ドレッサ30は、研磨パッド2に摺接されるドレッシングヘッド31と、ドレッシングヘッド31が固定されるドレッサシャフト33と、ドレッサシャフト33を支持するドレッサアーム35と、ドレッサシャフト33を介してドレッシングヘッド31を回転させるドレッサ回転機構(図示せず)を備えている。ドレッサ回転機構はドレッサアーム35内に配置されている。ドレッシングヘッド31の下面にはダイヤモンド粒子などの砥粒(図示せず)が固定されており、ドレッシングヘッド31の下面は、これらの砥粒によって研磨面2aをドレッシングするドレッシング面を構成している。
【0025】
ドレッサアーム35は、ドレッサ揺動シャフト37に連結されており、このドレッサ揺動シャフト37を中心に旋回するように構成されている。ドレッサアーム35が旋回すると、ドレッシングヘッド31は研磨面2a上を研磨テーブル3の半径方向に揺動する。ドレッシングヘッド31は、研磨パッド2の研磨面2a上を揺動しながら回転し、研磨パッド2を僅かに削り取ることにより研磨面2aをドレッシングする。さらに、ドレッシングヘッド31は、ドレッサアーム35の旋回に伴って、研磨テーブル3の上方にあるドレッシング位置と、研磨テーブル3の半径方向外側にある待機位置との間を移動する。
【0026】
研磨装置は、霧状の流体を研磨パッド2の研磨面2aに噴射して研磨面2aを洗浄するアトマイザ39をさらに備えている。アトマイザ39は、研磨パッド2(または研磨テーブル3)の半径方向に沿って延びている。流体は、液体(例えば、純水)と気体(例えば、窒素ガスなどの不活性ガス)との混合流体、または液体のみから構成される。このような流体を研磨面2aに噴射することにより、研磨パッド2の研磨面2a上に残留する研磨屑および研磨液に含まれる砥粒が除去される。
【0027】
図1に示すように、研磨装置は、研磨ヘッド5の上部に搭載されたヘッド付帯装置40をさらに備えている。ヘッド付帯装置40は、研磨液などの液体との接触を防止すべき装置である。ヘッド付帯装置40の例としては、研磨ヘッド5の一部に局所荷重を加えるための局所荷重付与装置が挙げられる。ヘッド付帯装置40の具体的構成は、局所荷重付与装置に限定されず、液体への接触を防止すべき装置である限り任意である。
図1では、ヘッド付帯装置40は模式的に描かれている。
【0028】
本実施形態の研磨装置は、研磨ヘッド5の上部を覆うカバー組立体41を備えている。カバー組立体41は、その下端が開口しており、研磨ヘッド5の外周面を囲う形状を有している。本実施形態では、研磨ヘッド5は円柱形状を有しており、カバー組立体41は円形の水平断面を有している。カバー組立体41の上端は、ヘッド揺動アーム16の下面に図示しないねじなどの締結具を用いて連結されている。カバー組立体41は、ヘッドシャフト11、およびヘッド付帯装置40をその内部に収容し、さらに研磨ヘッド5の上部を覆う形状を有している。したがって、研磨ヘッド5の上部への研磨液の浸入、およびヘッド付帯装置40等を含む研磨ヘッド5への研磨液の付着を防止することができる。
【0029】
図2は、カバー組立体41の一実施形態を示す斜視図である。カバー組立体41は、研磨ヘッド5(
図2には図示せず)の外周面を覆うカバー本体42と、ヘッド揺動アーム16(
図2には図示せず)の下面に連結するためのフランジ43を備えている。カバー本体42は、フランジ43に連結されており、フランジ43から下方に延びる円筒形状を有している。なお、カバー組立体41は、研磨ヘッド5の上部を覆うことができる限りにおいて他の形状を有してもよく、本実施形態に限定されない。一実施形態では、カバー本体42は、研磨ヘッド5の形状に応じて、楕円形状や角柱形状などの他の形状を有してもよい。他の実施形態では、カバー組立体41は、フランジ43を備えずに、図示しないブラケットを介してヘッド揺動アーム16に連結されてもよい。
【0030】
カバー組立体41は、2つ以上のカバー部材に分割可能に構成されてもよい。本実施形態では、カバー組立体41は、カバー組立体41の少なくとも一部を構成する第1カバー部材45Aと、カバー組立体41の他の部分を構成する第2カバー部材45Bを備えている。より具体的には、カバー組立体41は、周方向においてカバー組立体41の半分を構成する第1カバー部材45Aと、周方向においてカバー組立体41の残りの半分を構成する第2カバー部材45Bを備えている。第1カバー部材45Aの両端は、第2カバー部材45Bの両端にそれぞれ接触している。本実施形態では、第1カバー部材45Aの両端は、第2カバー部材45Bの両端に重なっている。ただし、第1カバー部材45Aと第2カバー部材45Bの構成は、本実施形態に限定されない。一実施形態では、第1カバー部材45Aの両端と第2カバー部材45Bの両端は、図示しないねじなどの締結具により互いに連結されてもよい。一実施形態では、カバー組立体41は、一体成形物であってもよいし、あるいは、3つ以上のカバー部材から構成されてもよい。
【0031】
第1カバー部材45Aは、カバー本体42の周方向における半分を構成する第1カバー本体42aと、第1カバー本体42aの上部に連結され、フランジ43の半分を構成する第1フランジ43aを備えている。第2カバー部材45Bは、カバー本体42の周方向における残りの半分を構成する第2カバー本体42bと、第2カバー本体42bの上部に連結され、フランジ43の残りの半分を構成する第2フランジ43bを備えている。第1カバー本体42aおよび第2カバー本体42bは、半円筒形状を有している。
【0032】
第1カバー部材45Aおよび第2カバー部材45Bのうちの少なくとも一方は、研磨装置から取り外し可能に構成されている。本実施形態では、第1カバー部材45Aおよび第2カバー部材45Bの両方は、フランジ43の締結具を取り除くことにより、研磨装置から取り外し可能である。このような構成によれば、カバー組立体41に覆われた研磨ヘッド5やヘッド付帯装置40等のメンテナンスを容易に実施することができる。
【0033】
フランジ43とカバー本体42は、別の部材で構成されており、溶接や接着剤を用いた貼り合わせにより接合されている。本実施形態では、第1フランジ43aと第1カバー本体42aは、別の部材で構成されており、第2フランジ43bと第2カバー本体42bは、別の部材で構成されている。
【0034】
カバー本体42は、研磨ヘッド5の外周面およびカバー組立体41の内周面を洗浄するカバー洗浄部48を含む。カバー洗浄部48は、その内部に研磨ヘッド5の外周面およびカバー組立体41の内周面を洗浄するための洗浄液が流れる流体室55を備えている。流体室55の詳細については、後述する。カバー洗浄部48は、研磨ヘッド5の外周面の少なくとも一部を覆うように構成されている。本実施形態では、カバー洗浄部48は、研磨ヘッド5の外周面の全周を覆うように構成されており、カバー本体42の全体から構成されている。すなわち、本実施形態のカバー洗浄部48は、第1カバー本体42aおよび第2カバー本体42bから構成されている。
【0035】
一実施形態では、カバー洗浄部48は、カバー本体42の一部から構成され、研磨ヘッド5の外周面の一部を覆うように構成されてもよい。例えば、カバー洗浄部48は、第1カバー本体42aから構成されており、第2カバー本体42bは、詳細を後述するカバー洗浄部48としての構成を有さない(すなわち、流体室55を備えていない)半円筒形状の部材であってもよい。カバー洗浄部48としての構成を有さない部材は、流体室55を備えるカバー洗浄部48よりも幅を小さくできるため、研磨ヘッド5に隣接して設けられた機器(例えば、
図1に示す研磨液供給ノズル8、アトマイザ39など)との距離が小さい部分は、カバー洗浄部48としての構成を有さない部材で構成されてもよい。言い換えれば、第1カバー部材45Aおよび第2カバー部材45Bのうちの少なくとも一方は、カバー洗浄部48を備えている。本実施形態では、第1カバー部材45Aおよび第2カバー部材45Bの両方は、カバー洗浄部48を備えている。
【0036】
本実施形態では、カバー洗浄部48は、第1カバー本体42aから構成された第1カバー洗浄部48Aと、第2カバー本体42bから構成された第2カバー洗浄部48Bを有している。
【0037】
次に、カバー洗浄部48の構成について説明する。第1カバー洗浄部48Aと第2カバー洗浄部48Bは、基本的に同じ構成を有しているので、以下では第1カバー洗浄部48Aについて説明する。
図3は、第1カバー洗浄部48Aの一実施形態を示す斜視図であり、
図4は、
図3に示す第1カバー洗浄部48Aの内面を示す図であり、
図5は、
図4のA-A線断面図であり、
図6は、
図4のB-B線断面図である。第1カバー洗浄部48Aは、第1カバー洗浄部48Aの外面を構成する外側カバー部51と、第1カバー洗浄部48Aの内面の少なくとも一部を構成する内側カバー部52と、外側カバー部51と内側カバー部52との間に形成された流体室55を備えている。
【0038】
図5に示すように、外側カバー部51は、内側カバー部52の外側に位置する流体室形成部51aと、流体室形成部51aの上側に位置する壁部51bを有している。流体室形成部51aは半径方向外側に窪んだ形状を有している。
図3および
図4に示すように、内側カバー部52は、円弧形状を有する主カバー部52aと、主カバー部52aから上方に突出する継手部52bを有している。第1カバー洗浄部48Aの外面は、外側カバー部51の外面によって構成されている。第1カバー洗浄部48Aの内面は、内側カバー部52の内面と外側カバー部51の壁部51bの内面によって構成されており、これらは同一面内にある。第1カバー洗浄部48Aの内面は、その少なくとも一部が研磨ヘッド5(
図1参照)の外周面に対向している。一実施形態では、外側カバー部51は、壁部51bを有していなくてもよい。
【0039】
外側カバー部51は、その壁部51b内に、内側カバー部52の継手部52bが嵌合する継手嵌合部51cを有している。内側カバー部52は、外側カバー部51よりも小さい。内側カバー部52は、継手部52bが外側カバー部51の継手嵌合部51cに嵌合して、内側カバー部52の全体が外側カバー部51に嵌め込まれる。外側カバー部51と内側カバー部52は、接着剤などを用いて接合されている。
【0040】
図5に示すように、流体室55は、外側カバー部51と内側カバー部52との間に形成されている。より具体的には、流体室55は、外側カバー部51の流体室形成部51aと内側カバー部52の主カバー部52aとの間に形成されている。流体室55は、第1カバー洗浄部48Aの周方向に沿って形成されている。一実施形態では、流体室形成部51aの側壁の厚さT1と、内側カバー部52の厚さT2と、流体室の幅F1は、同じである。一実施形態では、外側カバー部51の壁部51bの厚さは、流体室形成部51aの側壁の厚さよりも大きく、流体室形成部51aの側壁の厚さT1、内側カバー部52の厚さT2、および流体室の幅F1の合計と同じである。
【0041】
流体室55の高さ方向の寸法は、外側カバー部51の流体室形成部51aの高さ方向の寸法に依存して決まる。
図5に示す外側カバー部51の継手嵌合部51cを通らない第1カバー洗浄部48Aの断面において、流体室55の高さ方向の寸法はH1である。
図6に示す外側カバー部51の継手嵌合部51cを通る第1カバー洗浄部48Aの断面において、流体室55の高さ方向の寸法はH2である。高さ方向の寸法H2は、高さ方向の寸法H1よりも大きい。すなわち、流体室55は、外側カバー部51の継手嵌合部51cの位置において、上方に広がっている。
【0042】
第1カバー洗浄部48Aは、洗浄液を流体室55に供給するための洗浄液供給口57をさらに備えている。洗浄液供給口57は、外側カバー部51または内側カバー部52に設けられている。本実施形態では、
図3に示すように、洗浄液供給口57は、内側カバー部52の継手部52bに設けられている。
図6に示すように、洗浄液供給口57は、内側カバー部52に形成された供給流路52cに連通しており、供給流路52cを介して流体室55に連通している。
【0043】
洗浄液供給口57は、洗浄液を供給する洗浄液供給ライン(図示せず)に連結されている。洗浄液供給ラインから供給される洗浄液は、洗浄液供給口57から供給流路52cを流れて、流体室55内に供給される。洗浄液の例としては、純水が挙げられる。一実施形態では、洗浄液供給口57は、内側カバー部52の主カバー部52aに設けられてもよいし、あるいは、外側カバー部51の流体室形成部51aに設けられてもよい。一実施形態では、第1カバー洗浄部48Aは、複数の洗浄液供給口57を備えてもよい。例えば、複数の洗浄液供給口57は、内側カバー部51の周方向に沿って等間隔に配列されてもよい。洗浄液供給ラインから供給される洗浄液の流量や、洗浄液供給口57の個数および配置は、後述する洗浄液吐出口58から吐出される洗浄液の流量に応じて、適宜決定される。
【0044】
内側カバー部51は、流体室55に連通する少なくとも1つの洗浄液吐出口58を有している。本実施形態では、内側カバー部51は、内側カバー部51の周方向に沿って配列された複数の洗浄液吐出口58を有している。複数の洗浄液吐出口58は、内側カバー部51の周方向に沿って等間隔に配列されている。複数の洗浄液吐出口58は、洗浄液供給口57よりも下方に配置されている。洗浄液吐出口58の形状および配置は、本実施形態に限られない。例えば、内側カバー部51は、内側カバー部51の周方向に沿って延びるスリット形状の1つの洗浄液吐出口58を有してもよい。一実施形態では、複数の洗浄液吐出口58は、内側カバー部51の周方向に沿って不規則に配列されてもよい。
【0045】
図6に示すように、洗浄液吐出口58は、内側カバー部52に形成された吐出流路52dを介して流体室55に連通している。洗浄液吐出口58は、吐出流路52dに連通している。本実施形態では、洗浄液吐出口58および吐出流路52dは、内側カバー部52の下部に形成され、かつ流体室55の下部に位置しているが、一実施形態では、洗浄液吐出口58および吐出流路52dは、流体室55の最下部に位置してもよい。本実施形態では、吐出流路52dは水平に延びているが、一実施形態では、吐出流路52dは、流体室55側から洗浄液吐出口58側に向かって下方に傾斜していてもよい。流体室55内の洗浄液は、吐出流路52dを流れて洗浄液吐出口58から第1カバー洗浄部48Aの外側に吐出される。洗浄液吐出口58は、研磨ヘッド5(
図1参照)の外周面に対向するように配置されている。したがって、流体室55内の洗浄液は、洗浄液吐出口58から研磨ヘッド5の外周面に向かって吐出される。
【0046】
上述したように、カバー洗浄部48は、その半分が第1カバー洗浄部48Aから構成され、残りの半分が第2カバー洗浄部48Bから構成されている。したがって、カバー洗浄部48は、研磨ヘッド5の外周面の全周を覆っており、第1カバー洗浄部48Aの複数の洗浄液吐出口58および第2カバー洗浄部48Bの複数の洗浄液吐出口(図示せず)を含むカバー洗浄部48の複数の洗浄液吐出口は、研磨ヘッド5の外周面の全周に対向するように配置されている。
【0047】
図7は、カバー洗浄部48が研磨ヘッド5の外周面5aおよびカバー組立体41の内周面41aを洗浄する様子を説明する図である。カバー洗浄部48は、複数の洗浄液吐出口58から研磨ヘッド5の外周面5aに向かって流体室55内の洗浄液を吐出して、研磨ヘッド5とカバー組立体41との隙間Gに洗浄液を供給する。カバー組立体41の内径は、研磨ヘッド5の外径よりも大きく、研磨ヘッド5とカバー組立体41との間には、研磨ヘッド5の全周に亘って隙間Gが形成されている。研磨ヘッド5とカバー組立体41との隙間Gの幅は、研磨ヘッド5の外周面5aおよびカバー組立体41の内周面41aの全周に洗浄液が接触し、洗浄液吐出口58から供給された洗浄液が研磨ヘッド5の外周面5aおよびカバー組立体41の内周面41aを洗浄することができる程度の大きさ(例えば、数ミリ程度)である。
【0048】
カバー洗浄部48の複数の洗浄液吐出口58は、研磨ヘッド5の外周面5a内に設定された、液体の接触を許容する限界高さLHよりも下方に配置されている。限界高さLHは、研磨ヘッド5の上部への洗浄液の浸入、およびヘッド付帯装置40等を含む研磨ヘッド5への洗浄液の付着を防止することができる高さに予め定められている。
【0049】
カバー洗浄部48による研磨ヘッド5の外周面5aおよびカバー組立体41の内周面41aの洗浄は、基板Wの研磨が終了し、次の基板の研磨が開始されるまでの間に行われる。洗浄中、研磨ヘッド5は、研磨テーブル3の半径方向外側にある待機位置に配置されている。カバー洗浄部48は、複数の洗浄液吐出口58から回転する研磨ヘッド5の外周面5aに向かって流体室55内の洗浄液を吐出して、研磨ヘッド5とカバー組立体41との隙間Gに洗浄液を供給する。特に、複数の洗浄液吐出口58よりも下方に位置する、研磨ヘッド5とカバー組立体41との隙間Gに洗浄液が供給される。研磨ヘッド5が回転されながら、複数の洗浄液吐出口58から洗浄液が隙間Gに供給されるので、研磨ヘッド5の外周面5aおよびカバー組立体41の内周面41aの全周に洗浄液が行き渡る。より具体的には、研磨ヘッド5の回転中に洗浄液が隙間Gに供給されると、表面張力により洗浄液が隙間Gの全周に満たされるとともに、洗浄液吐出口58からの洗浄液の吐出力と研磨ヘッド5の回転力が作用して、研磨ヘッド5の外周面5aおよびカバー組立体41の内周面41aの全周に洗浄液が接触する。これにより、研磨ヘッド5の外周面5aおよびカバー組立体41の内周面41aに付着した研磨液を洗い流すことができる。
【0050】
洗浄液吐出口58から吐出される洗浄液の流量は、上述した洗浄液供給ライン(図示せず)から流体室55に供給される洗浄液の流量によって調節することができる。洗浄液供給ライン(図示せず)から流体室55に供給される洗浄液の流量を大きくすると、洗浄液吐出口58から研磨ヘッド5の外周面5aに向かって洗浄液が勢いよく吐出される。これにより、研磨ヘッド5の外周面5aに付着した研磨液をより効果的に洗い流すことができる。
【0051】
本実施形態の洗浄液吐出口58は、研磨ヘッド5の外周面5aの全周に対向するように配置されているが、一実施形態では、研磨ヘッド5の外周面5aの一部に対向するように配置されてもよい。洗浄液吐出口58の形状および配置は、研磨ヘッド5の回転によって、洗浄液が研磨ヘッド5の外周面5aおよびカバー組立体41の内周面41aの全周に洗浄液が行き渡る限り、特に限定されない。
【0052】
カバー組立体41は、研磨ヘッド5に隣接して設けられた機器(例えば、
図1に示す研磨液供給ノズル8、アトマイザ39など)との接触を避けるために、カバー組立体41の外径の寸法が制限される。したがって、
図5に示す流体室形成部51aの側壁の厚さT1、内側カバー部52の厚さT2、および流体室55の幅F1は、その寸法が制限される。例えば、流体室形成部51aの側壁の厚さT1、内側カバー部52の厚さT2、および流体室55の幅F1は、それぞれ数ミリ程度である。
【0053】
このような厚みの小さい外側カバー部51の流体室形成部51aを切削などにより成形すると、加工時の熱により流体室形成部51aが変形することがある。流体室形成部51aが変形すると、流体室55が歪み、結果的として、複数の洗浄液吐出口58から洗浄液を均一に吐出できないことがある。したがって、外側カバー部51の流体室形成部51aの成形には、高い寸法精度が要求される。
【0054】
一実施形態では、外側カバー部51は、真空成形法により成形される。
図8は、外側カバー部51を成形する真空成形法の一実施形態を説明する図である。本実施形態の外側カバー部51は、熱可塑性樹脂から構成されている。外側カバー部51の材料として用いられる熱可塑性樹脂の例としては、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、PE(ポリエチレン)などが挙げられる。
【0055】
ステップS101では、外側カバー部51の材料である薄板60をヒータ62で加熱して、薄板60を軟化させる。
ステップS102では、軟化した薄板60を真空吸引により金型63に密着させる。金型63には、真空吸引するための通孔63aが形成されており、この通孔63aを通じて金型63と薄板60との間を真空状態にする。軟化した薄板60は、金型63の形状に従って変形しながら金型63に密着する。
【0056】
ステップS103では、金型63に密着した薄板60を冷却する。熱により軟化した薄板60は、冷却されることにより硬化して、形状が固定される。
ステップS104では、冷却された薄板60、すなわち成形された外側カバー部51を離型する。このような真空成形法によれば、外側カバー部51の流体室形成部51aを高い寸法精度で成形することができる。特に、外側カバー部51の流体室形成部51aは、金型63に密着する部分であるため、金型63の形状通りの寸法で成形される。したがって、流体室55を形成する流体室形成部51aを高い寸法精度で成形することができる。本実施形態の外側カバー部51は、均一な厚さを有する薄板60が金型63の形状に従って変形する。したがって、本実施形態の外側カバー部51の全体の形状は、上述した実施形態の外側カバー部51の全体の形状とは異なっている。一実施形態では、流体室形成部51aの側壁の厚さと壁部51bの厚さは、同じであってもよい。他の実施形態では、外側カバー部51の流体室形成部51aと壁部51bは、別個に成形された後に、溶接や接着剤を用いた貼り合わせにより接合されてもよい。
【0057】
これまで説明したカバー組立体は、研磨ヘッド5を覆うカバーとして適用されているが、カバー組立体は、研磨装置に用いられる回転体のいずれにも適用することができる。研磨装置に用いられる回転体としては、研磨ヘッド5の他に、例えば、ドレッシングヘッド31が挙げられる。
図9は、カバー組立体80をドレッシングヘッド31に適用した例を示す図である。ドレッシングヘッド31に適用したカバー組立体80の構成は、上述したカバー組立体41と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0058】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0059】
2 研磨パッド
2a 研磨面
3 研磨テーブル
3a テーブル軸
5 研磨ヘッド
6 テーブルモータ
8 研磨液供給ノズル
11 ヘッドシャフト
14 ヘッド揺動シャフト
16 ヘッド揺動アーム
20 動作制御部
20a 記憶装置
20b 演算装置
30 ドレッサ
31 ドレッシングヘッド
33 ドレッサシャフト
35 ドレッサアーム
37 ドレッサ揺動シャフト
39 アトマイザ
40 ヘッド付帯装置
41 カバー組立体
42 カバー本体
42a 第1カバー本体
42b 第2カバー本体
43 フランジ
43a 第1フランジ
43b 第2フランジ
45A 第1カバー部材
45B 第2カバー部材
48 カバー洗浄部
48A 第1カバー洗浄部
48B 第2カバー洗浄部
51 外側カバー部
51a 流体室形成部
51b 壁部
51c 継手嵌合部
52 内側カバー部
52a 主カバー部
52b 継手部
52c 供給流路
52d 吐出流路
55 流体室
57 洗浄液供給口
58 洗浄液吐出口
60 薄板
62 ヒータ
63 金型
80 カバー組立体