(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131451
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】腸内菌叢改善用組成物。
(51)【国際特許分類】
A61K 31/353 20060101AFI20240920BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240920BHJP
A61P 1/14 20060101ALI20240920BHJP
A61K 36/185 20060101ALI20240920BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20240920BHJP
【FI】
A61K31/353
A61P1/04
A61P1/14
A61K36/185
A23L33/105
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041716
(22)【出願日】2023-03-16
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「スマートバイオ産業・農業基盤技術」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000006138
【氏名又は名称】株式会社明治
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大庭 知慧
(72)【発明者】
【氏名】夏目 みどり
(72)【発明者】
【氏名】岩澤 佳緒里
(72)【発明者】
【氏名】西平 順
(72)【発明者】
【氏名】長谷田 茜
(72)【発明者】
【氏名】勝山 豊代
【テーマコード(参考)】
4B018
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB02
4B018LB05
4B018LB06
4B018LB07
4B018LB08
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4B018MF01
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4C086NA14
4C086ZA66
4C086ZA68
4C086ZA73
4C088AB13
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4C088MA34
4C088MA52
4C088NA14
4C088ZA66
4C088ZA68
4C088ZA73
(57)【要約】
【課題】新規な腸内菌叢改善用組成物の提供。
【解決手段】本発明によれば、カカオプロシアニジンを有効成分として含む、腸内菌叢改善用組成物が提供される。本発明の組成物は、老化抑制、腸管バリア崩壊抑制または腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の占有率の低減により治療、予防もしくは改善しうる疾患もしくは症状の治療、予防もしくは改善に用いることができる。本発明の組成物の有効成分は、腸内菌叢の改善および腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の占有率の低減を期待して長期間にわたって継続的に摂取しても副作用の懸念がなく、安全性が高い点において有利である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カカオプロシアニジンを有効成分として含む、腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の占有率を低減させるための組成物。
【請求項2】
腸内菌叢改善用である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
経口摂取させるための、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
単位包装形態である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項5】
摂取対象がヒトである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項6】
ヒト1日当たりの有効摂取量のカカオプロシアニジンを含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
ヒト1日当たりの有効摂取量が1~1000mgである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
1週間以上継続して摂取させる、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項9】
食品組成物または医薬組成物である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項10】
老化抑制、腸管バリア崩壊抑制または腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の占有率の低減により治療、予防もしくは改善しうる疾患もしくは症状の治療、予防もしくは改善に用いるための、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項11】
疾患が過敏性腸症候群または炎症性腸疾患である、請求項10に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腸内菌叢改善用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの健康や疾病に腸内菌叢が密接に関係していることが知られており、特に、加齢やストレスによりヒトの腸内菌叢の環境は大きく変化することが知られている。このため、腸内環境を整えることで、ストレスによる感染症発現リスクを低下させる可能性や、肥満、癌、糖尿病、肝臓疾患、自己免疫疾患、免疫機能の低下等を改善させる可能性が示されている。
【0003】
ヒトの腸内には500~1000種類、100兆個以上の腸内細菌が生息しているといわれ、一般に、ビフィズス菌や乳酸菌のような有用性のある微生物(有用菌)と、ウェルシュ菌のような有害性のある微生物(有害菌)が共に生息している。また、腸内菌共生バランス失調(ディスバイオシス)は通性嫌気性菌の増加と関連しており、通性嫌気性菌の一つであるプロテオバクテリア門菌は、70歳以上の高齢者、過敏性腸症候群や炎症性腸疾患の患者で増加していることが報告されている(非特許文献1~3)。このため、ヒトの腸内環境をよりよい状態で維持するためには、腸内有用菌の割合を増やすかあるいは有害菌や疾患等と関連のある腸内細菌の割合を減らすことが重要と考えられている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Litvak Y, et al., Science. 2018; 362 (6418): eaat9076.
【非特許文献2】Odamaki T,.et al., BMC Microbiol. 2016; 16:90.
【非特許文献3】Kostic AD, et al., Gastroenterology. 2014; 146(6): 1489-99.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、新規な腸内菌叢改善用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは今般、カカオプロシアニジンをヒト対象に経口摂取させることにより、腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の占有率を有意に低減させることができることを見出した。本発明はこの知見に基づくものである。
【0007】
本発明によれば以下の発明が提供される。
[1]カカオプロシアニジンを有効成分として含む、腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の占有率を低減させるための組成物または腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の占有率の低減剤。
[2]腸内菌叢改善用である、上記[1]に記載の組成物または剤。
[3]経口摂取させるための、上記[1]または[2]に記載の組成物または剤。
[4]単位包装形態である、上記[1]~[3]のいずれかに記載の組成物または剤。
[5]摂取対象がヒトである、上記[1]~[4]のいずれかに記載の組成物または剤。
[6]ヒト1日当たりの有効摂取量のカカオプロシアニジンを含む、上記[1]~[5]のいずれかに記載の組成物または剤。
[7]ヒト1日当たりの有効摂取量が1~1000mgである、上記[6]に記載の組成物または剤。
[8]1週間以上継続して摂取させる、上記[1]~[7]のいずれかに記載の組成物または剤。
[9]食品組成物または医薬組成物である、上記[1]~[8]のいずれかに記載の組成物または剤。
[10]老化抑制、腸管バリア崩壊抑制または腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の占有率の低減により治療、予防もしくは改善しうる疾患もしくは症状の治療、予防もしくは改善に用いるための、上記[1]~[9]のいずれかに記載の組成物または剤。
[11]疾患が過敏性腸症候群または炎症性腸疾患である、上記[10]に記載の組成物または剤。
【0008】
上記[1]の組成物を本明細書において「本発明の組成物」と、上記[1]の剤を本明細書において「本発明の剤」と、それぞれいうことがある。
【0009】
本発明の組成物および剤の有効成分は、長期間にわたって継続的に摂取しても副作用の懸念がなく、腸内菌叢の改善および腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の占有率の低減を期待して長期間にわたって継続的に摂取しても副作用の懸念がなく、安全性が高い点において有利である。
【発明の具体的説明】
【0010】
本発明の組成物および剤は、カカオプロシアニジンを有効成分として含むものである。本発明において、カカオプロシアニジンは、カカオに含まれるプロシアニジンを意味し、カテキン、エピカテキン、プロシアニジンB2、プロシアニジンB5、プロシアニジンC1およびシンナムタンニンA2を少なくとも含む。
【0011】
本発明において「カカオプロシアニジン」は、カカオに含まれるプロシアニジン、すなわち、カカオ由来プロシアニジンを意味する。したがって、典型的には、カカオの植物体またはその加工品から単離、抽出(粗抽出を含む)あるいは精製(粗精製を含む)したカカオ(カカオ抽出物)のプロシアニジンを使用することができる。ここで、カカオ抽出物には、プロシアニジン以外のカカオの成分が含まれていてもよく、プロシアニジン以外のカカオの成分としては、例えば、テオブロミンおよびカフェイン等が挙げられる。本発明においてカカオプロシアニジンは、カカオプロシアニジンを含む加工品(例えば、カカオマス、脱脂カカオマス、ココアパウダー、カカオ豆粉砕品等のカカオ豆加工品)を使用することもできる。本発明においてカカオプロシアニジンは、上記の様々な形態のカカオプロシアニジンを単独あるいは組み合わせて使用することができる。
【0012】
本発明において、カカオプロシアニジンの原料や、カカオプロシアニジンを含有する加工品となりうるカカオの植物体またはその加工品としては、カカオ樹皮、カカオ葉、カカオ豆、カカオニブ、カカオシェル、カカオマス、脱脂カカオマス、ココアパウダー等、植物体の各種部位またはカカオ豆加工品を挙げることができる。カカオマスは、カカオ豆を磨砕したものであり、脱脂カカオマスは、カカオマスから油脂を除去することにより得ることができる。油脂の除去方法は特に制限されず、圧搾等の公知の方法に従って行うことができる。脱脂カカオマスを粉砕すればココアパウダーとなる。また、カカオの植物体またはその加工品を原料としてカカオプロシアニジンの抽出を行う場合は、抽出効率の観点から、磨砕、粉砕等の微粒化処理が施されているカカオニブ、カカオマスおよびココアパウダーを用いるのが好ましい。なお、本発明においては、カカオの植物体には、意図してないしは意図せずに、カカオの植物体以外の物も含めることができる。また、カカオの植物体またはその加工品を原料として抽出を行う際にも、意図してないしは意図せずに、カカオの植物体以外の物も含めることができる。さらに、カカオマスまたはココアパウダーにも、意図してないしは意図せずに、カカオの植物体以外の物も含めることができる。
【0013】
カカオの植物体またはその加工品を原料とするカカオプロシアニジンの抽出方法は公知であり、例えば、特開2009-183229号公報や特開2011-93807号公報、特開平11-308978の記載のカカオポリフェノールの調製と同様にカカオプロシアニジンを含む組成物を調製することができる。抽出溶媒は、特に限定されるものではないが、水、熱水またはアルコール(エタノール等)を用いることができ、塩酸等を添加した酸性条件下で抽出を行ってもよい。また、カカオの植物体またはその加工品を原料とするカカオプロシアニジンの精製方法は、合成吸着剤、イオン交換樹脂、限外ろ過、活性白土処理等の公知の方法を使用することができ、特に限定されるものではない。
【0014】
カカオプロシアニジンを効率よく投与ないし摂取させるためには、カカオプロシアニジンを高濃度で含む組成物を本発明に用いることが好ましく、この場合には、公知の方法(例えば、特開2009-183229号公報や特開2011-93807号公報、特開平11-308978に記載のカカオポリフェノールの調製と同様の方法)に従って得られたカカオプロシアニジン濃縮組成物を本発明に使用することができる。例えば、カカオプロシアニジン抽出物を本発明の組成物および剤に使用する場合、該抽出物中の総プロシアニジン量が1%以上、好ましくは2%以上、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは4%以上のものを用いることができる。
【0015】
本発明の組成物および剤は、カカオプロシアニジンのままで提供することができ、あるいは、プロシアニジンと他の成分とを混合して提供することもできる。本発明の組成物および剤におけるカカオプロシアニジンの含有量は、その目的、用途、形態、剤型、症状、体重等に応じて任意に定めることができ、本発明はこれに限定されないが、その含有量(固形分換算)は全体量に対して以下のように定めることができる。すなわち、本発明の組成物および剤におけるカカオプロシアニジンの含有量の下限値は0.5質量%とすることができ、好ましくは1質量%、より好ましくは2質量%、3質量%、4質量%または5質量%である。また、上記含有量の上限値は100質量%とすることができ、好ましくは99質量%、より好ましくは90質量%、80質量%、70質量%または60質量%である。これらの下限値および上限値はそれぞれ任意に組み合わせることができ、上記含有量の範囲は、例えば、0.5~100質量%(好ましくは1~99質量%、より好ましくは2~90質量%または5~60質量%)とすることができる。
【0016】
本発明の組成物および剤中のカカオプロシアニジンの含有量は、市販のエピカテキンを標準物質として用いて、高速液体クロマトグラフィ法(HPLC法)により測定することができる。
【0017】
本発明の組成物および剤は、腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の占有率を低減させるために用いられる。すなわち、本発明の組成物および剤は、腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の占有率を低減させることにより腸内菌叢を改善することができる。
【0018】
後記実施例に示されるように、カカオプロシアニジンは腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の占有率を低減させる作用を有する。ここで、プロテオバクテリア(Proteobacteria)門菌は、通性嫌気性菌として知られ、この菌の増加はディスバイオシスとも関連しており、70歳以上の高齢者、過敏性腸症候群や炎症性腸疾患の患者で増加していることが報告されている(非特許文献1~3)。また、腸内炎症時に偏性嫌気性菌が減少し、通性嫌気性菌が増加するという観察から「酸素仮説」が提唱されており、実際に生理的な条件下において大腸上皮細胞はβ酸化過程を通して粘膜界面の管腔の酸素レベルを低下させ、嫌気的な環境を作り出すことが報告されている。一方で、腸の炎症の場合は、上皮細胞はβ酸化を行う能力が低下し、その結果、酸素の利用可能性が増加し、これがディスバイオシスの促進とプロテオバクテリア門菌の増加と関連することも報告されている(Rizzatti G, Lopetuso LR, et al., Biomed Res Int. 2017;2017:9351507.)。このように、プロテオバクテリア門菌の増加は腸内の炎症と関連していることから、腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の占有率を低減させることで腸内菌叢を改善することができ、ひいては老化抑制、腸管バリア崩壊抑制ならびにプロテオバクテリア門菌が増加している疾患等の治療、予防および改善することができると考えられる。
【0019】
したがって、本発明の組成物および剤は、老化抑制、腸管バリア崩壊抑制または腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の占有率の低減により治療、予防もしくは改善しうる疾患もしくは症状の治療、予防もしくは改善に用いることができる。本発明において、腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の占有率の低減により治療、予防または改善しうる疾患および症状としては、過敏性腸症候群および炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病等)が挙げられる。
【0020】
本発明の組成物および剤はまた、腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の占有率の低減により治療、予防または改善しうる疾患または症状の発症リスクがある対象または腸内菌叢の悪化リスクがある対象に摂取させることができ、それにより、前記疾患の発症リスクまたは腸内菌叢の悪化リスクを低減することができる。すなわち、本発明の組成物および剤は、腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の占有率の低減により治療、予防または改善しうる疾患または症状の発症リスクおよび/または腸内菌叢の悪化リスクの低減に用いることができる。ここで、「腸内菌叢の悪化」は、服薬、疾病、食生活、ストレス、睡眠不足等の外的要因に加え、生理的、遺伝的な内的要因によっても引き起こされる。また、「腸内菌叢の悪化」は「ディスバイオシス」を含む意味で用いられ、(1)微生物叢の多様性が失われる、(2)腸内細菌数が減少する、および/または(3)病原微生物が優位を占めるようになる等の事象により特徴付けられる。また、「疾患または症状の発症リスクがある対象」は、疾患または症状の自覚症状がないが、将来において該疾患または症状の発症の恐れがある対象を意味し、「腸内菌叢の悪化リスクがある対象」は、腸内菌叢悪化に伴う自覚症状がないが、将来において腸内菌叢の悪化の恐れがある対象を意味する。また、「発症リスクの低減」は、疾患または症状の発症確率が低減されることを意味し、「腸内菌叢の悪化リスクの低減」は、腸内菌叢悪化の確率が低減されることを意味する。
【0021】
本発明において、「腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の占有率の低減」の程度は、腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の占有率(%)を指標にして評価することができる(後記実施例参照)。具体的には、カカオプロシアニジンの摂取後の腸内菌叢に占めるプロテオバクテリア門菌の割合が、摂取前の腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌を下回る場合に、好ましくは、カカオプロシアニジンの摂取後の腸内菌叢に占めるプロテオバクテリア門菌の割合が、摂取前の腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の割合よりも有意差(p<0.05)をもって下回った場合に、あるいは、カカオプロシアニジンの摂取後の腸内菌叢に占めるプロテオバクテリア門菌の割合が、摂取前の腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の割合の約0.9倍以下である場合に、より好ましくは約0.85倍以下である場合に、より一層好ましくは約0.8倍以下、さらに好ましくは約0.75倍以下、特に好ましくは約0.70倍以下、さらに特に好ましくは約0.65倍以下、約0.6倍以下または約0.5倍以下である場合に、腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌が低減したと判定することができる。
【0022】
本発明において、腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の占有率は、公知の方法により算出することができる。例えば、糞便を検体として、本発明の組成物または剤の摂取前および摂取後の糞便中のDNAを抽出し、ショートリードメタゲノム解析やメタ16S解析(16Sアンプリコン解析)といったメタゲノム解析の手法を用いて該DNA中の菌を検出し、検出された全菌数に対する割合としてプロテオバクテリア門菌の占有率を算出する。
【0023】
本発明において、腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の占有率を低減させる対象および腸内菌叢を改善する対象は、ヒトおよび非ヒト哺乳動物(例えば、イヌ、ネコ等の愛玩動物、ウシ、ウマ等の家畜)が挙げられ、好ましくはヒトである。本発明において腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の占有率を低減させる対象および腸内菌叢を改善する対象はまた、健常な対象が挙げられる。
【0024】
本発明の組成物および剤は、医薬品(例えば、医薬組成物)、医薬部外品、食品(例えば、食品組成物)、飼料(例えば、ペットフード)等の形態で提供することができ、後記の記載に従い、実施することができる。
【0025】
本発明の有効成分であるカカオプロシアニジンは、ヒトおよび非ヒト哺乳動物に経口投与することができる。経口剤としては、顆粒剤、散剤、錠剤(糖衣錠を含む)、丸剤、カプセル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤が挙げられる。これらの製剤は、当分野で通常行われている手法により、薬学上許容される担体を用いて製剤化することができる。薬学上許容される担体としては、賦形剤、結合剤、希釈剤、添加剤、香料、緩衝剤、増粘剤、着色剤、安定剤、乳化剤、分散剤、懸濁化剤、防腐剤等が挙げられる。
【0026】
本発明の有効成分であるカカオプロシアニジンを食品として提供する場合には、カカオプロシアニジンをそのまま食品に含有させることができ、該食品はカカオプロシアニジンを有効量含有した食品である。ここで、カカオプロシアニジンを「有効量含有した」とは、個々の食品において通常喫食される量を摂取した場合に後述するような範囲でカカオプロシアニジンが摂取されるような含有量をいう。また「食品」とは、健康食品、機能性食品、保健機能食品(例えば、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品)、特別用途食品(例えば、幼児用食品、妊産婦用食品、病者用食品)およびサプリメントを含む意味で用いられる。
【0027】
「食品」の形態は特に限定されるものではなく、例えば、日常摂取する食品やサプリメントであっても、飲料の形態であっても、半液体やゲル状の形態であっても、固形状の形態であってもよい。例えば、カカオ豆を主原料とする食品が挙げられ、好ましくは油脂加工組成物であり、より好ましくはチョコレート等の油脂加工食品である。また、チョコレートのような、カカオプロシアニジンを含む半固形状の組成物とすることで、咀嚼や嚥下の機能が低下し、経口摂取ないしは経口投与ができないヒトおよび非ヒト哺乳動物に対しても摂取させることができる。
【0028】
前記の通り、カカオプロシアニジンを効率よく摂取させるためにはカカオプロシアニジンを高濃度で含む組成物を本発明に使用することができる。したがって、カカオ豆を主原料とする食品およびサプリメントは、例えば、カカオプロシアニジンを高濃度で含むものであることが好ましく、より好ましくはカカオプロシアニジンを高濃度で含む油脂加工組成物であり、さらに好ましくはカカオプロシアニジンを高濃度で含むチョコレートである。カカオプロシアニジンを高濃度で含む油脂加工組成物(特に、チョコレート)は、カカオプロシアニジン含有量が高いカカオ由来原料(例えば、カカオマス、脱脂カカオマス、ココアパウダー、カカオ豆粉砕品)および/またはカカオプロシアニジン抽出物を原料として使用することにより製造することができる。本発明においては、カカオプロシアニジンを高濃度で含有する、いわゆる高カカオチョコレートを本発明の組成物および剤として用いることができ、この場合の高カカオチョコレートは、例えば、該チョコレート中の総プロシアニジン量が0.5%以上(好ましくは2%以上)であり、かつ、該チョコレート中のカカオ分が55%以上(好ましくは70%以上)であるものである。
【0029】
ここで、食品およびサプリメント中のカカオプロシアニジンの含有量はカカオプロシアニジンの摂取が可能である限り特に限定されるものではないが、カカオプロシアニジンの効率的な摂取の観点から、チョコレート等の油脂加工組成物中の含有量は組成物の固形分当たり、例えば、総プロシアニジン量として0.1~99質量%(好ましくは0.5~70質量%、より好ましくは0.8~60質量%、さらに好ましくは1~50質量%、特に好ましくは2~5質量%)とすることができる。
【0030】
本発明で提供される食品としては、チョコレートのようにカカオ豆を主原料とする食品等の油脂加工食品が挙げられる。ここで、油脂加工食品は、カカオマス、ココアパウダー、ココアバター、油脂等を使用して加工した油脂性菓子を含む意味で用いられる。本発明でいう油脂性菓子とは、日本国公正取引委員会認定のルールであるチョコレート類の表示に関する公正競争規約でいうチョコレート、準チョコレート、チョコレート製品に限定されるものでなく、前記ルールに該当しないテンパータイプ、ノンテンパータイプのファットクリームや、カカオ代用脂を使用したチョコレート等、あらゆる種類の油脂性菓子を含む意味で用いられる。本発明において、油脂性菓子の調製は、カカオプロシアニジン(あるいはカカオプロシアニジンを含む食品素材)を配合すること以外は、常法に従って行うことができる。例えば、油脂性菓子の原料を混合した後、ロールミルによるレファイニング(微細化)工程、コンチング工程、必要に応じてテンパリング工程、成型工程、エージング工程等を経て本発明の油脂性菓子を製造することができる。
【0031】
本発明で提供される食品は、有効成分であるカカオプロシアニジン(あるいはカカオプロシアニジンを含む食品素材)を含有させることができる食品であれば、油脂加工食品に特に限定されない。例えば、パン類、ビスケット類、麺類、クラッカー、栄養補給バー等の澱粉系食品;キャンディー類、ガム類、グミ、スナック等の各種菓子類;牛乳、加工乳、アイスクリーム類、発酵乳(ヨーグルト等)、乳飲料、チーズ類、バター類、クリーム類等の乳および乳製品;プリン、ゼリー、ババロア、ムース等のデザート類;非アルコール飲料、アルコール飲料等の飲料類;ハム、ソーセージ等の畜肉加工品;カマボコ、竹輪、魚肉ソーセージ等の魚肉加工品;ジャム、ピューレ等の果実加工品;ルウ、ソース等の調味料類等が挙げられる。カカオプロシアニジンは、各食品の特性、目的に応じ、適当な製造工程の段階で適宜配合することができる。
【0032】
本発明の医薬品および食品は、食品として古くから利用されてきたカカオ豆に含まれるプロシアニジンを利用することから、それを必要とする哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、サル等)に対し安全に用いることができる。カカオプロシアニジンの投与量または摂取量は、受容者の性別、年齢および体重、症状、投与時間、剤形、投与経路並びに組み合わせる薬剤等に依存して決定できる。
【0033】
例えば、カカオプロシアニジンを食品として経口摂取させる場合、ヒト1日当たり(固形分換算)、カカオプロシアニジンを1~1000mg(好ましくは1~750mg、より好ましくは25~500mgmg、さらに好ましくは50~400mg、さらにより好ましくは75~300mg、特に好ましくは90~250mg)の範囲となるようにして、摂取させることができる。また、カカオプロシアニジンはカカオマスの形態で経口摂取させてもよく、この場合、成人1日当たり(固形分換算)、カカオマス5~30g(好ましくは10~25g)の範囲となるようにして摂取させることができる。本発明においては、カカオプロシアニジンをチョコレート等の油脂加工食品の形態で経口摂取させてもよく、カカオ分70%以上で、かつ、総プロシアニジン量2%以上の高カカオチョコレートを経口摂取させる場合には、成人1日当たり4~40g(好ましくは20~30g)を摂取させることができる。上記のいずれの場合において、なお、上記の本発明のカカオプロシアニジン等の摂取量並びに下記摂取期間等は、本発明の組成物を非治療目的および治療目的のいずれで使用する場合にも適用があり、治療目的の場合には摂取は投与に読み替えることができる。
【0034】
本発明の組成物および剤は、他の経口摂取できる組成物や剤と併用することに制限はない。本発明の組成物および剤は、例えば、腸内菌叢の改善効果が期待できる素材や組成物と併用することで、腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の占有率の低減効果をさらに高めることができる。このような素材や組成物としては、難消化性単糖、糖アルコール、オリゴ糖、食物繊維等が挙げられ、具体例としては、マンノース、タガトース、アロース、キシリトール、ソルビト-ル、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、乳菓オリゴ糖、キシロオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、キトサンオリゴ糖、セルロース、キチン、キトサン、ペクチン、イヌリン、カラギーナン、マンナン、フコイダン、アガロース、難消化性デキストリン、難消化性グルカン、ポリデキストロース、グアーガム分解物、レジスタントスターチ、絹タンパク、およびカカオ豆、大豆、米、そば、酒粕等に由来するレジスタントプロテイン、並びにこれらの化学修飾物が挙げられる。
【0035】
本発明の組成物および剤は、腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の占有率の低減に有効な1日分の摂取量のカカオプロシアニジンを含んでなる組成物および剤で提供することができる。この場合、本発明の組成物および剤は、1日分の有効摂取量を摂取できるように包装されていてもよく、1日分の有効摂取量が摂取できる限り、その形態は特に限定されない。
【0036】
典型的には本発明の組成物および剤は単位摂取形態で提供することができ、摂取対象は、1個または複数個の単位摂取形態を摂取することで1日分の有効摂取量を摂取することができる。ここで「単位摂取形態」とは、1回分の摂取に適した、所定量の有効成分を含む形態をいい、ブロック状、板状、スティック状、錠剤、カプセル等に加工された形態や、包装形態が挙げられる。例えば、カカオプロシアニジンの1日分の有効摂取量(摂取目安量)を100mgとし、単位摂取形態として20mgのカカオプロシアニジンを含む板状のチョコレート製品を想定すると、摂取対象は1日当たり5枚の該食品を摂取することが推奨される。
【0037】
本発明の組成物および剤を単位摂取形態で提供する場合、1日分の有効摂取量が摂取できるように摂取量に関する情報を一緒に提供することが望ましい。また、1日分の有効摂取量を複数の単位摂取形態で提供する場合には、摂取の便宜上、1日分の有効摂取量に対応する複数の単位摂取形態をセットで提供することもでき、さらには複数日分の有効摂取量に対応する複数の単位摂取形態をセットで提供することもできる。例えば、上記のチョコレート製品の例では、5日分の有効摂取量に相当する25枚の板状のチョコレート製品(個包装されていてもよい)を1セット(容器包装されていてもよい)で提供することができる。
【0038】
本発明の組成物および剤を包装形態で提供する場合、1日分の有効摂取量が摂取できるように摂取量に関する記載が包装になされているか、または当該記載がなされた文書を一緒に提供することが望ましい。また、1日分の有効摂取量を複数包装で提供する場合には、摂取の便宜上、1日分の有効摂取量の複数包装をセットで提供することもできる。
【0039】
本発明の組成物および剤を提供するための包装形態は一定量を規定する形態であれば特に限定されず、例えば、包装紙、袋、ソフトバック、紙容器、缶、ボトル、カプセル等の収容可能な容器等が挙げられる。
【0040】
本発明の組成物および剤はその効果をよりよく発揮させるために、少なくとも1週間以上継続的に摂取させることができ、好ましくは2週間以上、より好ましくは3週間以上、さらに好ましくは4週間以上、さらにより好ましくは1ヶ月以上の継続的な摂取である。ここで、「継続的に」とは、毎日投与あるいは少なくとも2日に1回の投与を続けることを意味する。本発明の組成物および剤を包装形態で提供する場合には、継続的摂取のために一定期間(例えば、1週間)の有効摂取量をセットで提供してもよい。
【0041】
本発明の食品には、腸内菌叢の改善機能や、腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の占有率の低減に関する表示が付されてもよい。この場合、消費者に理解しやすい表示とするため本発明の食品には、例えば、以下の一部または全部の表示が付されてもよい。
・腸内環境を整える
・腸内環境を改善する
・腸内環境の改善に役立つ
・腸内環境を良好に保つ
・腸内フローラを良好にする
・腸の調子を整える
・おなかの調子を整える
【0042】
本発明の別の面によれば、有効量のカカオプロシアニジンを、それを必要とする対象(例えば、ヒトまたは非ヒト哺乳動物)に摂取させるか、あるいは投与することを含んでなる、腸内菌叢の改善方法および腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の占有率を低減させる方法が提供される。本発明の腸内菌叢の改善方法および腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の占有率を低減させる方法は、本発明の組成物および剤に関する記載に従って実施することができる。
【0043】
本発明の別の面によればまた、有効量のカカオプロシアニジンを、それを必要とする対象(例えば、ヒトまたは非ヒト哺乳動物)に摂取させるか、あるいは投与することを含んでなる、腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の占有率の低減により治療、予防または改善しうる疾患または症状の治療、予防または改善方法ならびに腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の占有率の低減により治療、予防または改善しうる疾患または症状の発症リスクおよび/または腸内菌叢の悪化リスクの低減方法が提供される。本発明の治療、予防または改善方法並びに本発明のリスク低減方法は、本発明の組成物および剤に関する記載に従って実施することができる。
【0044】
本発明の別の面によればまた、腸内菌叢の改善剤および腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の占有率の低減剤の製造のためのカカオプロシアニジンの使用と、腸内菌叢の改善剤および腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の占有率の低減剤としてのカカオプロシアニジンの使用が提供される。本発明によればまた、腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の占有率の低減により治療、予防または改善しうる疾患または症状の治療剤、予防剤または改善剤の製造のためのカカオプロシアニジンの使用と、腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の占有率の低減により治療、予防または改善しうる疾患または症状の治療剤、予防剤または改善剤としてのカカオプロシアニジンの使用が提供される。本発明によればまた、腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の占有率の低減により治療、予防または改善しうる疾患または症状の発症リスクおよび/または腸内菌叢の悪化リスクの低減剤の製造のためのカカオプロシアニジンの使用と、腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の占有率の低減により治療、予防または改善しうる疾患または症状の発症リスクおよび/または腸内菌叢の悪化リスクの低減の低減剤としてのカカオプロシアニジンの使用が提供される。本発明の使用は、本発明の組成物および剤に関する記載に従って実施することができる。
【0045】
本発明の別の面によればまた、腸内菌叢の改善および腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の占有率の低減に用いるためのカカオプロシアニジンと、腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の占有率の低減により治療、予防または改善しうる疾患または症状の治療、予防または改善に用いるためのカカオプロシアニジンが提供される。本発明によればまた、腸内菌叢中のプロテオバクテリア門菌の占有率の低減により治療、予防または改善しうる疾患または症状の発症リスクおよび/または腸内菌叢の悪化リスクの低減に用いるためのカカオプロシアニジンが提供される。上記のカカオプロシアニジンは、本発明の組成物および剤に関する記載に従って実施することができる。
【0046】
本発明の方法および使用はヒトを含む哺乳動物における使用であってもよく、治療的使用と非治療的使用のいずれもが意図される。本明細書において、「非治療的」とはヒトを手術、治療または診断する行為(すなわち、ヒトに対する医療行為)を含まないことを意味し、具体的には、医師または医師の指示を受けた者がヒトに対して手術、治療または診断を行う方法を含まないことを意味する。
【実施例0047】
以下の例に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0048】
例1:カカオプロシアニジンによる腸内菌叢に対する影響の評価
例1では、ヒト試験においてカカオプロシアニジンの摂取による腸内菌叢に対する影響を評価した。
【0049】
(1)方法
健康な日本人男女の被験者30名を対照群と試験群の2群に均等に割り付け(各群n=15)、プラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間比較試験を実施した。対照群および試験群には、表1に示す対照食(カカオエキス非含有タブレット(プラセボ))および試験食(カカオエキス含有タブレット)をそれぞれ4週間毎日摂取させた(一人当たりの摂取量:10錠/日)。表2に各タブレットのカカオエキス含有量とそのプロシアニジン分析値を示す。表2の分析値は、Natsume M, et al,. Biosci Biotechnol Biochem., 2000; 64(12): 2581-2587.に記載の方法に従って、表3に示す分析条件にて高速液体クロマトグラフィ(HPLC)を用いた成分分析により求めた。具体的には、280nmの各物質のピーク面積を求め、(-)-エピカテキンを標準品とした検量線によりエピカテキン当量で算出した。
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
対照群と試験群の各群の摂取前と摂取開始から4週間後(本明細書中、単に「摂取4週間後」ということがある。)の糞便をそれぞれ採取し、菌叢解析を実施した。具体的には、採取した糞便をDNA抽出処理し、ショートリードメタゲノム解析によって得られた塩基配列から菌叢割合を算出した。表4にシーケンス解析条件、表5にシーケンス解析に使用した機器等をそれぞれ示す。なお、被験者のうち3名は医師の判断により有効解析対象から除外したため、被験者27名を有効解析対象としてデータ解析を行った。
【0054】
【0055】
【0056】
(2)結果
結果は、表6および表7に示す通りであった。なお、表6および表7では、解析対象とした菌(門)のうち、被験者において占有率の最大値が1%以上であったものを示した(分類不能の菌(門)についてはデータ示さず)。
【0057】
対照群では、対照食の摂取前後で腸内菌叢の変動は認められなかった(表6)。これに対し、試験群では、試験食の摂取前と比較して、摂取4週間後の腸内菌叢ではプロテオバクテリア(Proteobacteria)門菌の占有率が有意に低減するとともに、ウェルコミクロビウム(Verrucomicrobia)門菌が低減傾向にあることが確認された(表7)。プロテオバクテリア(Proteobacteria)門菌の増加は、老化、腸管バリア崩壊、過敏性腸症候群や炎症性腸疾患等の疾患と関連することが知られており、カカオプロシアニジンの摂取は腸内菌叢を改善する効果を示すことが確認された。
【0058】
【0059】