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特開2024-131553感光性樹脂組成物、レジスト膜、レジスト下層膜及びレジスト永久膜
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131553
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物、レジスト膜、レジスト下層膜及びレジスト永久膜
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/023 20060101AFI20240920BHJP
   C08G 8/04 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G03F7/023
C08G8/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041888
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長田 裕仁
(72)【発明者】
【氏名】伊部 武史
【テーマコード(参考)】
2H225
4J033
【Fターム(参考)】
2H225AE03P
2H225AE04P
2H225AF05P
2H225AM79P
2H225AM80P
2H225AN39P
2H225BA22P
2H225CA12
2H225CB02
2H225CC03
2H225CC21
4J033CA05
4J033CA10
4J033CA12
4J033CA24
4J033CB01
4J033CC08
4J033CC11
4J033CD05
4J033HA02
4J033HA12
4J033HB10
(57)【要約】
【課題】従来のポジ型感光性樹脂組成物にはないアルカリ溶解性と、感光剤親和性と、レジスト膜としたときに低温硬化性及び低体積収縮性を有する、ポジ型感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】下記の成分(A)~(D)を含有する、ポジ型感光性樹脂組成物。(A)m-クレゾールから誘導される構造単位(a1)、ベンズアルデヒドから誘導される構造単位(a2)、及びサリチルアルデヒドから誘導される構造単位(a3)のモル比[(a1):(a2):(a3)]が、1.0:0.3~0.8:0.3~0.8であるノボラック型フェノール樹脂/(B)感光剤/(C)熱架橋剤/(D)有機溶剤
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分(A)~(D)を含有する、ポジ型感光性樹脂組成物。
(A)m-クレゾールから誘導される構造単位(a1)、ベンズアルデヒドから誘導される構造単位(a2)、及びサリチルアルデヒドから誘導される構造単位(a3)のモル比[(a1):(a2):(a3)]が、1.0:0.3~0.8:0.3~0.8であるノボラック型フェノール樹脂
(B)感光剤
(C)熱架橋剤
(D)有機溶剤
【請求項2】
前記成分(A)が、m-クレゾール、ベンズアルデヒド、及びサリチルアルデヒドを、有機溶媒中、モル比でm-クレゾール:ベンズアルデヒド:サリチルアルデヒド=1.0:0.3~0.8:0.3~0.8の範囲において、酸触媒で重縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂である、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記成分(A)における、m-クレゾールから誘導される構造単位(a1)、ベンズアルデヒドから誘導される構造単位(a2)、及びサリチルアルデヒドから誘導される構造単位(a3)の含有量の合計が30質量%以上である、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記成分(B)がキノンジアジド系感光性化合物である、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記成分(C)がメラミン樹脂又は尿素樹脂である、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物を乾燥することにより得られる感光性膜。
【請求項7】
請求項1~5のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物から得られるレジスト膜。
【請求項8】
請求項1~5のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物から得られるレジスト下層膜。
【請求項9】
請求項1~5のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物から得られるレジスト永久膜。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物、レジスト膜、レジスト下層膜及びレジスト永久膜に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化に伴い、半導体パッケージの高密度化が進んでいる。半導体パッケージの高密度化は半導体素子の更なる微細化要求に結びついており、表面保護膜、層間絶縁膜等には数μmの微細パターン形成が求められている。
【0003】
従来、半導体素子の表面保護膜や層間絶縁膜等には、耐熱性や機械特性等に優れたポリイミド樹脂等を用いたポジ型感光性樹脂組成物が広く使用されてきた。通常、ポリイミド樹脂は、それらの前駆体塗膜を加熱硬化により閉環させて樹脂塗膜とする。該樹脂塗膜は優れた耐熱性、機械特性を有する。しかしながら、ポリイミド前駆体を用いたポジ型感光性樹脂組成物は、加熱硬化の際に脱水に起因した体積収縮が起き、膜厚の損失及び寸法精度の低下が起きるという問題がある。また、近年、低温での膜形成プロセスが望まれているが、ポリイミドを低温で硬化するとイミド化が不完全であるため、満足のいく物性が得られないという課題がある。
【0004】
そこで、加熱硬化による脱水が起こらず、低温で硬化可能であり、且つ、硬化後に優れた機械特性を持つフェノール樹脂、感光剤及び熱架橋剤を用いたポジ型感光性樹脂組成物が提案されている(例えば特許文献1)。しかしながら、特許文献1記載のポジ型感光性樹脂組成物では、ベースとなるフェノール樹脂がアルカリ溶解性及び感光剤親和性に乏しく、微細パターン形成には不向きである。
【0005】
そこで、微細パターン形成を実現するために、変性フェノール樹脂を使用したポジ型樹脂組成物も提案されている(例えば特許文献2)。しかしながら、特許文献2記載のポジ型感光性樹脂組成物では、依然としてフェノール樹脂のアルカリ溶解性と感光剤親和性に課題があり、満足のいく微細パターン形成は実現していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-258070号公報
【特許文献2】国際公開第2009/063808号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
半導体パッケージの高密度化、パターンの微細化に伴い、高いアルカリ溶解性に加えて高い感光剤親和性を有したフェノール樹脂からなり、レジスト膜としたときに低温硬化性、低体積収縮性を有するポジ型感光性樹脂組成物の開発が求められている。
【0008】
本発明の目的は、従来のポジ型感光性樹脂組成物にはないアルカリ溶解性と、感光剤親和性と、レジスト膜としたときに低温硬化性及び低体積収縮性を有する、ポジ型感光性樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定の構造単位を有するノボラック型フェノール樹脂組成物、感光剤、熱架橋剤及び有機溶剤を含むポジ型感光性樹脂組成物が、アルカリ溶解性及び感光剤親和性に優れ、かつレジスト膜としたときに低温硬化性及び低体積収縮性に優れることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は下記の成分(A)~(D)を含有する、ポジ型感光性樹脂組成物に関する。
(A)m-クレゾールから誘導される構造単位(a1)、ベンズアルデヒドから誘導される構造単位(a2)、及びサリチルアルデヒドから誘導される構造単位(a3)のモル比[(a1):(a2):(a3)]が、1.0:0.3~0.8:0.3~0.8であるノボラック型フェノール樹脂
(B)感光剤
(C)熱架橋剤
(D)有機溶剤
本発明はさらに、ポジ型感光性樹脂組成物を乾燥することにより得られる感光性膜に関する。
本発明はさらに、ポジ型感光性樹脂組成物から得られるレジスト膜に関する。
本発明はさらに、ポジ型感光性樹脂組成物から得られるレジスト下層膜に関する。
本発明はさらに、ポジ型感光性樹脂組成物から得られるレジスト永久膜に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、アルカリ溶解性及び感光剤親和性に優れ、かつレジスト膜としたときに低温硬化性及び低体積収縮性に優れているポジ型感光性樹脂組成物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】合成例1で得たノボラック型フェノール樹脂のGPCチャートである。
図2】合成例2で得たノボラック型フェノール樹脂のGPCチャートである。
図3】合成例3で得たノボラック型フェノール樹脂のGPCチャートである。
図4】合成例4で得たノボラック型フェノール樹脂のGPCチャートである。
図5】合成例5で得たノボラック型フェノール樹脂のGPCチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に発明を実施するための形態について説明する。
なお、本明細書において、「x~y」は「x以上、y以下」の数値範囲を表すものとする。数値範囲に関して記載された上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
また、以下に記載される本発明の個々の形態を2つ以上組み合わせた形態もまた、本発明の形態である。
【0014】
[ポジ型感光性樹脂組成物]
本発明の一実施形態に係るポジ型感光性樹脂組成物は、下記の成分(A)~(D)を含有する。
(A)m-クレゾールから誘導される構造単位(a1)、ベンズアルデヒドから誘導される構造単位(a2)、及びサリチルアルデヒドから誘導される構造単位(a3)のモル比[(a1):(a2):(a3)]が、1.0:0.3~0.8:0.3~0.8であるノボラック型フェノール樹脂
(B)感光剤
(C)熱架橋剤
(D)有機溶剤
【0015】
本実施形態では、上記(A)のノボラック型フェノール樹脂を使用することにより、高いアルカリ溶解性に加えて、感光剤親和性に優れるレジスト膜が得られる。
以下、ポジ型感光性樹脂組成物の構成成分について説明する。
【0016】
・成分(A)
成分(A)であるノボラック型フェノール樹脂は、m-クレゾールから誘導される構造単位(a1)、ベンズアルデヒドから誘導される構造単位(a2)、及びサリチルアルデヒドから誘導される構造単位(a3)のモル比[(a1):(a2):(a3)]が、1.0:0.3~0.8:0.3~0.8である。
【0017】
成分(A)が有するm-クレゾールから誘導される構造単位(a1)、ベンズアルデヒドから誘導される構造単位(a2)、及びサリチルアルデヒドから誘導される構造単位(a3)のモル比[(a1):(a2):(a3)]は、高いアルカリ溶解性に加えて、感光剤親和性、低温硬化性及び低体積収縮性を有するレジスト膜を得る観点から、好ましくは1.0:0.5~0.7:0.3~0.5であり、より好ましくは1.0:0.55~0.65:0.35~0.45である。
【0018】
成分(A)は、m-クレゾールから誘導される構造単位(a1)、ベンズアルデヒドから誘導される構造単位(a2)、及びサリチルアルデヒドから誘導される構造単位(a3)以外の構造単位を含んでいてもよい。(a1)~(a3)以外の構造単位としては、m-クレゾール、ベンズアルデヒド、及びサリチルアルデヒド以外のフェノール類やアルデヒド類から誘導される構造単位が挙げられる。
【0019】
上記フェノール類としては、フェノール、o-クレゾール、p-クレゾール、2,3-キシレノール、2,5-キシレノール、3,4-キシレノール、3,5-キシレノール、2,3,5-トリメチルフェノール、3,4,5-トリメチルフェノール等が挙げられる。
【0020】
上記アルデヒド類としては、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、クロロアセトアルデヒド、4-ヒドロキシベンズアルデヒド、3-ヒドロキシベンズアルデヒド等が挙げられる。
【0021】
成分(A)における、上記構造単位(a1)、(a2)及び(a3)の含有量の合計は、高いアルカリ溶解性に加えて、感光剤親和性、低温硬化性及び低体積収縮性を有するレジスト膜を得る観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
上記構造単位(a1)、(a2)及び(a3)の含有量の合計は、実質的に100質量%であってもよい。なお、実質的に100質量%とは、上記構造単位(a1)、(a2)及び(a3)以外の構造単位が不可避的に含まれる場合を意味する。
【0022】
成分(A)であるノボラック型フェノール樹脂の重量平均分子量は、好ましくは1000以上、より好ましくは1,500以上である。また、好ましくは7,000以下、より好ましくは6,000以下、さらに好ましくは5,000以下である。重量平均分子量が1000以上であると、低温硬化性及び低体積収縮性に優れるため好ましい。一方、重量平均分子量が7,000以下であると、アルカリ溶解性及び感光剤親和性に優れるため好ましい。なお、本明細書において、重量平均分子量は実施例に記載する条件に従って測定する。
【0023】
成分(A)は、m-クレゾール、ベンズアルデヒド、及びサリチルアルデヒドを、有機溶媒中、モル比(m-クレゾール:ベンズアルデヒド:サリチルアルデヒド)が1.0:0.3~0.8:0.3~0.8である範囲で、酸触媒を用いて重縮合させることによって得られる。
【0024】
反応溶媒中の、m-クレゾール、ベンズアルデヒド、及びサリチルアルデヒドのモル比(m-クレゾール:ベンズアルデヒド:サリチルアルデヒド)は、高いアルカリ溶解性に加えて、感光剤親和性、低温硬化性及び低体積収縮性を有するレジスト膜を得る観点から、好ましくは1.0:0.5~0.7:0.3~0.5、より好ましくは1.0:0.55~0.65:0.35~0.45の範囲である。
【0025】
ベンズアルデヒドのモル比はサリチルアルデヒドのモル比よりも小さいことが好ましい。すなわち、ベンズアルデヒド<サリチルアルデヒド(モル比)を満たすと好ましい。
【0026】
m-クレゾール、ベンズアルデヒド、及びサリチルアルデヒドを有機溶媒中で重縮合させて成分(A)であるノボラック型フェノール樹脂を得る際、上述したように、m-クレゾール、ベンズアルデヒド、及びサリチルアルデヒド以外のフェノール類及びアルデヒド類が有機溶媒に含まれていてもよい。
【0027】
反応溶媒中の、成分(A)の構成する構造単位となり得る全ての出発原料の合計質量に対する、m-クレゾール、ベンズアルデヒド、及びサリチルアルデヒドの合計質量の割合は、高いアルカリ溶解性に加えて、感光剤親和性、低温硬化性及び低体積収縮性を有するレジスト膜を得る観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは実質的に100質量%である。
【0028】
成分(A)の製造時に使用する反応溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン等が挙げられる、これらの中でも好ましくはエタノール、1-プロパノール、及び2-プロパノールから選ばれる1種以上であり、より好ましくはエタノールである。
【0029】
上記反応溶媒の使用量としては、反応の均一性の観点から、成分(A)の構成する構造単位を誘導するための原料100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは50質量部以上である。また、好ましくは500質量部以下、より好ましくは300質量部以下である。
【0030】
成分(A)の製造時に使用する酸触媒としては、塩酸、硫酸、燐酸、ホウ酸等の無機酸類;蓚酸、酢酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸類等が例示できる。これらの中でも、より反応を促進するため、無機酸類、パラトルエンスルホン酸が好ましく、パラトルエンスルホン酸がより好ましい。
酸触媒の添加量は、特に制限されないが、成分(A)の構成する構造単位を誘導するための原料100質量部に対し、好ましくは5質量部以上、より好ましくは20質量部以上である。また、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下である。
【0031】
成分(A)の原料を重縮合させる際の反応温度は、反応を促進しつつ、かつ、効率良く高分子量化することができることから、好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上である。また、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下である。
反応時間は、好ましくは4時間以上、より好ましくは12時間以上である。また、好ましくは32時間以下、より好ましくは24時間以下である。
【0032】
・成分(B)
成分(B)である感光剤は、ポジ型感光性樹脂組成物の塗膜の露光部へのアルカリ可溶化を促進することで、露光時の感度を向上させることができる。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物に高い感光剤親和性を与える観点から、感光剤はキノンジアジド系感光剤が好ましい。
【0033】
キノンジアジド系感光剤は、キノンジアジド基を有する化合物を含む。キノンジアジド基を有する化合物の具体例としては、例えば、芳香族(ポリ)ヒドロキシ化合物と、ナフトキノン-1,2-ジアジド-5-スルホン酸、ナフトキノン-1,2-ジアジド-4-スルホン酸、オルトアントラキノンジアジドスルホン酸等のキノンジアジド基を有するスルホン酸との完全エステル化合物、部分エステル化合物、アミド化物又は部分アミド化物が挙げられる。
【0034】
芳香族(ポリ)ヒドロキシ化合物は、例えば、2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,4’-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,6-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4-トリヒドロキシ-2’-メチルベンゾフェノン、2,3,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3’,4,4’,6-ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4,4’-ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4,5-ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,3’,4,4’,5’,6-ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、2,3,3’,4,4’,5’-ヘキサヒドロキシベンゾフェノン等のポリヒドロキシベンゾフェノン化合物;
【0035】
ビス(2,4-ジヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)メタン、2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(4’-ヒドロキシフェニル)プロパン、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-2-(2’,4’-ジヒドロキシフェニル)プロパン、2-(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)-2-(2’,3’,4’-トリヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’-{1-[4-〔2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル〕フェニル]エチリデン}ビスフェノール,3,3’-ジメチル-{1-[4-〔2-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル〕フェニル]エチリデン}ビスフェノール等のビス[(ポリ)ヒドロキシフェニル]アルカン化合物;
【0036】
トリス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-3、5-ジメチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-2,5-ジメチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-2,5-ジメチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-2,5-ジメチルフェニル)-3,4-ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,4-ジヒドロキシフェニルメタン等のトリス(ヒドロキシフェニル)メタン化合物又はそのメチル置換体;
【0037】
ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)-3-ヒドロキシフェニルメタン,ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン,ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン,ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン,ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3-シクロヘキシル-2-ヒドロキシフェニル)-3-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-3-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3-シクロヘキシル-2-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシ
フェニルメタン、ビス(3-シクロヘキシル-2-ヒドロキシフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-2-ヒドロキシ-4-メチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-2-ヒドロキシ-4-メチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン等の、ビス(シクロヘキシルヒドロキシフェニル)(ヒドロキシフェニル)メタン化合物又はそのメチル置換体等が挙げられる。
これらの感光剤はそれぞれ単独で用いてもよく、また、2種類以上を併用してもよい。
【0038】
感光剤は、1種単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。
本実施形態における感光剤の配合量は、光感度に優れかつ感光剤親和性にも優れるポジ型感光性樹脂組成物となることから、成分(A)100質量部に対して、好ましくは5質量部以上であり、より好ましくは10質量部以上ある。また、好ましくは50質量部以下であり、より好ましくは30質量部以下である。
【0039】
・成分(C)
成分(C)である熱架橋剤とは、ポジ型感光性樹脂組成物の塗膜にパターンを形成した後、加熱硬化する際に、レジスト膜内に架橋構造を形成する化合物をいう。本実施形態においては、成分(C)を含まないと、ポジ型感光性樹脂組成物をレジスト膜としたときに、十分に硬化しない。
【0040】
熱架橋剤は特に限定されず、公知の熱架橋剤を使用することができる。熱架橋剤として、例えば、エポキシ系熱架橋剤やヒドロキシメチルアミノ系熱架橋剤等が挙げられる。本実施形態においては、低温硬化性及び低体積収縮性を有するレジスト膜を得る観点から、ヒドロキシメチルアミノ系熱架橋剤が好ましい。
【0041】
エポキシ系熱架橋剤は、エポキシ基を有する化合物を熱架橋剤として使用するものである。エポキシ系熱架橋剤としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン、複素環式エポキシ樹脂、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルを挙げることができる。
【0042】
ヒドロキシメチルアミノ系熱架橋剤は、ヒドロキシメチルアミノ基を有する化合物を熱架橋剤として使用するものである。ヒドロキシメチルアミノ系熱架橋剤としては、(ポリ)(N-ヒドロキシメチル)メラミンが挙げられる。具体的には、ヘキサキス(メトキシメチル)メラミン、ヘキサキス(ブトキシメチル)メラミンのようなメラミン樹脂が挙げられる。また、ヒドロキシメチルアミノ系熱架橋剤として、尿素樹脂が挙げられる。具体的には、ニカラック MX-270、MX-280、MX-290(三和ケミカル社製)等が挙げられる。
【0043】
熱架橋剤は、1種単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。
熱架橋剤の配合量は、良好な感度が得られ、所望のパターンが得られることから、成分(A)100質量部に対して、好ましくは5質量部以上であり、より好ましくは10質量部以上ある。また、好ましくは30質量部以下であり、より好ましくは20質量部以下である。
【0044】
・成分(D)
本実施形態のポジ型感光性樹脂組成物は、成分(D)として有機溶剤を含む。
有機溶剤としては、N-メチル-2-ピロリドン、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の極性の非プロトン性溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート等のエステル類、乳酸エチル、乳酸メチル、ジアセトンアルコール、3-メチル-3-メトキシブタノール等のアルコール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。これらの有機溶剤は1種単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。
【0045】
本実施形態のポジ型感光性樹脂組成物における有機溶剤の配合量は、組成物の流動性をスピンコート法等の塗布法により均一な塗膜を得られることから、当該組成物中の固形分濃度が、好ましくは5質量%以上となる量である。また、好ましくは65質量%以下となる量である。
【0046】
・その他
一実施形態において、ポジ型感光性樹脂組成物には、上述した成分(A)~(D)の他、本発明の効果を阻害しない範囲で各種添加剤を配合してもよい。添加剤としては、充填材、顔料、レベリング剤等の界面活性剤、密着性向上剤、溶解促進剤等が挙げられる。
【0047】
本実施形態のポジ型感光性樹脂組成物は、上述した成分(A)~(D)、及び必要に応じて各種添加剤を、通常の方法で、撹拌混合して均一な液とすることで調製できる。
該組成物に充填材、顔料等の固形のものを配合する際には、ディゾルバー、ホモジナイザー、3本ロールミル等の分散装置を用いて分散、混合させることが好ましい。また、粗粒や不純物を除去するため、メッシュフィルター、メンブレンフィルター等を用いて該組成物をろ過することもできる。
【0048】
本実施形態のポジ型感光性樹脂組成物は、レジスト膜、レジスト下層膜及びレジスト永久膜等の用途に好適に使用できる。また、厚膜レジスト(バンプ形成レジスト)、層間絶縁膜、液晶配向膜、耐熱性付与剤、ディスプレイ用バンク剤(画素分割層)等に好適に用いることができる。
【0049】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、一般的なポジ型感光性樹脂組成物と同様の使い方により、感光性膜、レジスト膜、レジスト下層膜及びレジスト永久膜(以下、感光性膜、レジスト膜、レジスト下層膜及びレジスト永久膜を纏めてレジスト膜等ということがある。)とすることができる。
具体的には、フォトリソグラフィを行う対象物上に、本発明のポジ型感光性樹脂組成物を塗布し、プリベークすることにより、有機溶剤を除去した感光性樹脂組成物の膜(感光性膜)が得られる。
【0050】
塗布方法としては、スピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターブレードコート等が挙げられる。プリベークは、例えば、60℃以上150℃以下の温度で30秒以上600秒以下の時間加熱すればよい。また、本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、ガラス基板、シリコン基板、アルミ基板、炭化シリコン基板、窒化シリコン基板、窒化ガリウム基板、透明導電膜、銅基板、銅メッキ基板等を塗布の対象として適宜選択できる。
【0051】
感光性膜を露光することにより発生する酸の触媒反応により、露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が大幅に上昇する。露光に使用する光源としては、例えば、赤外光、可視光、紫外光、遠紫外光、X線、電子線が挙げられる。これらの光源の中でも紫外光が好ましく、高圧水銀灯のg線(波長436nm)、i線(波長365nm)が好適である。
露光後、100℃~150℃前後で加熱処理してもよい。
【0052】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物から得られる感光性膜は、露光部が高いアルカリ溶解性を有し、また未露光部とのアルカリ溶解性の差が大きいことから、高解像度でパターニングが可能となる。したがって、レジスト膜等に好適に用いることができる。なお、本願においてレジスト膜等には、露光前の感光性膜及び露光後の非感光性膜のどちらも含まれる。
【0053】
露光後の現像に用いるアルカリ現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ性物質;エチルアミン、n-プロピルアミン等の1級アミン;ジエチルアミン、ジ-n-ブチルアミン等の2級アミン;トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の3級アミン類;ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウム塩;ピロール、ピヘリジン等の環状アミン等のアルカリ性水溶液が挙げられる。
アルカリ現像液には、必要に応じてアルコール、界面活性剤等を適宜添加して用いることもできる。アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常2~5質量%の範囲が好ましく、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液が一般的に用いられる。
【0054】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物をレジスト下層膜(BARC膜)用途に用いる場合には、本発明のポジ型感光性樹脂組成物をそのままレジスト下層膜用組成物として用いてもよく、また、必要に応じてその他の樹脂成分、界面活性剤、染料、充填材、架橋剤、溶解促進剤等の各種添加剤を加えてもよい。
【0055】
その他の樹脂成分としては、例えば、各種のノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン等の脂環式ジエン化合物とフェノール性化合物との付加重合樹脂、フェノール性水酸基含有化合物とアルコキシ基含有芳香族化合物との変性ノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂(ザイロック樹脂)、ナフトールアラルキル樹脂、トリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂、ビフェニル変性ナフトール樹脂、アミノトリアジン変性フェノール樹脂、各種のビニル重合体が挙げられる。
その他の樹脂成分を用いる場合、本発明のポジ型感光性樹脂組成物とその他の樹脂との配合割合は、用途に応じて任意に設定することができる。例えば、成分(A)100質量部に対し、その他の樹脂が0.5~100質量部となる割合であることが好ましい。
【0056】
レジスト下層膜用組成物は上記各成分を配合し、撹拌機等を用いて混合することにより調製できる。また、レジスト下層膜用組成物が充填材や顔料を含有する場合には、ディゾルバー、ホモジナイザー、3本ロールミル等の分散装置を用いて分散又は混合して調整することができる。
【0057】
レジスト下層膜用組成物からレジスト下層膜を形成するには、例えば、上述したレジスト下層膜用組成物を、シリコン基板等のフォトリソグラフィを行う対象物上に塗布し、100~200℃の温度条件下で乾燥させた後、更に250~400℃の温度条件下で加熱硬化させる方法がある。次いで、この下層膜上で通常のフォトリソグラフィ操作を行ってレジストパターンを形成し、ハロゲン系プラズマガス等でドライエッチング処理することにより、多層レジスト法によるレジストパターンを形成することができる。
【0058】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物をレジスト永久膜用途に用いる場合には、本発明の成分(A)~(D)の他、更に必要に応じてその他の樹脂、界面活性剤、染料、充填材、架橋剤、溶解促進剤等の添加剤を加えてもよい。ここで用いるその他の樹脂としては、レジスト下層膜用組成物で用いることができる樹脂と同様のものが挙げられる。
【0059】
レジスト永久膜用組成物を用いたフォトリソグラフィの方法は、例えば、本発明のポジ型感光性樹脂組成物にその他の樹脂成分及び添加剤成分を溶解・分散させ、フォトリソグラフィを行う対象物上に塗布し、60~150℃の温度条件でプリベークする。このときの塗布方法は、スピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターブレードコート等の何れの方法でもよい。次に、目的とするレジストパターンを所定のマスクを通じて露光し、露光した箇所をアルカリ現像液にて溶解することにより、レジストパターンを形成する。
【0060】
本実施形態のレジスト永久膜は、例えば、半導体デバイス関係ではソルダーレジスト、パッケージ材、アンダーフィル材、回路素子等のパッケージ接着層や集積回路素子と回路基板の接着層に、また、LCD、OLEDに代表される薄型ディスプレイ関係では薄膜トランジスタ保護膜、液晶カラーフィルター保護膜、ブラックマトリックス、スペーサー等に、好適に用いることができる。
【実施例0061】
以下、具体的な例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明する。なお、合成した樹脂の重量平均分子量(Mw)は、下記のGPCの測定条件で測定した。
[GPCの測定条件]
測定装置:東ソー株式会社製「HLC-8220 GPC」
カラム:昭和電工株式会社製「Shodex KF802」:8.0mmФ×300mm
+昭和電工株式会社製「Shodex KF802」:8.0mmФ×300mm
+昭和電工株式会社製「Shodex KF803」:8.0mmФ×300mm
+昭和電工株式会社製「Shodex KF804」:8.0mmФ×300mm
カラム温度:40℃
検出器:RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC-8020モデルIIバージョン4.30」
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
試料:樹脂固形分換算で0.5質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの
注入量:0.1mL
標準試料:下記単分散ポリスチレン
(標準試料:単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A-500」
東ソー株式会社製「A-2500」
東ソー株式会社製「A-5000」
東ソー株式会社製「F-1」
東ソー株式会社製「F-2」
東ソー株式会社製「F-4」
東ソー株式会社製「F-10」
東ソー株式会社製「F-20」
【0062】
合成例1(ノボラック型フェノール樹脂(A-1)の合成)
冷却管を設置した容量が2000mLの4口フラスコに、m-クレゾール164g(1.52mol)、ベンズアルデヒド103g(0.97mol)、サリチルアルデヒド74g(0.61mol)、パラトルエンスルホン酸8gを仕込み、反応溶媒としてエタノール300gに溶解させた。その後、マントルヒーターで80℃に加熱し、還流下で16時間撹拌し反応させた。反応後、酢酸エチルと水を添加して5回分液洗浄した。残った樹脂溶液から溶媒を減圧留去した後、真空乾燥して、淡赤色粉末のノボラック型フェノール樹脂(A1)の粉末281gを得た。
ノボラック型フェノール樹脂(A-1)のMwは3,100であった。ノボラック型フェノール樹脂(A-1)のGPCチャートを図1に示す。
【0063】
合成例2(ノボラック型フェノール樹脂(A-2)の合成)
出発原料の仕込み量を、m-クレゾール164g(1.52mol)、ベンズアルデヒド80g(0.75mol)、及びサリチルアルデヒド92g(0.75mol)とした以外は、合成例1と同様にしてノボラック型フェノール樹脂(A-2)の粉末280gを得た。ノボラック型フェノール樹脂(A-2)のMwは2,370であった。
ノボラック型フェノール樹脂(A-2)のGPCチャートを図2に示す。
【0064】
合成例3(ノボラック型フェノール樹脂(A-3)の合成)
出発原料の仕込み量を、m-クレゾール164g(1.52mol)、ベンズアルデヒド117g(1.10mol)、及びサリチルアルデヒド58g(0.47mol)とした以外は、合成例1と同様にしてノボラック型フェノール樹脂(A-3)の粉末279gを得た。ノボラック型フェノール樹脂(A-3)のMwは2,700であった。
ノボラック型フェノール樹脂(A-3)のGPCチャートを図3に示す。
【0065】
合成例4(ノボラック型フェノール樹脂(A-4)の合成)
出発原料の仕込み量を、m-クレゾール164g(1.52mol)、ベンズアルデヒド67g(0.63mol)、及びサリチルアルデヒド115g(0.94mol)とした以外は、合成例1と同様にしてノボラック型フェノール樹脂(A-4)の粉末282gを得た。ノボラック型フェノール樹脂(A-4)のMwは2,900であった。
ノボラック型フェノール樹脂(A-4)のGPCチャートを図4に示す。
【0066】
合成例5(ノボラック型フェノール樹脂(A-5)の合成)
反応溶媒をエタノール250g、1-プロパノール30g及び2-プロパノール15gとした以外は、合成例1と同様にしてノボラック型フェノール樹脂(A-5)の粉末282gを得た。ノボラック型フェノール樹脂(A-5)のMwは3,200であった。
ノボラック型フェノール樹脂(A-5)のGPCチャートを図5に示す。
【0067】
比較合成例1(ノボラック型フェノール樹脂(A-6)の合成)
乾燥窒素気流下、冷却管を設置した2000mLの3口フラスコにm-クレゾール140g(1.30モル)、p-クレゾール76g(0.7モル)、37重量%ホルムアルデヒド水溶液151g(ホルムアルデヒド1.86モル)、シュウ酸二水和物1g(0.01モル)を仕込み、メチルイソブチルケトン(MIBK)528gに溶解させた後、マントルヒーターで、反応液を還流させながら4時間撹拌反応させた。反応後、水を添加し、5回分液洗浄を行った。エバポレーターでメチルイソブチルケトンを60℃で減圧留去させた後、真空乾燥を行い、淡赤色粉末のフェノールノボラック樹脂(A-6)212gを得た。フェノールノボラック樹脂(A-6)のMwは3,500であった。
【0068】
比較合成例2(ノボラック型フェノール樹脂(A-7)の合成)
乾燥窒素気流下、冷却管を設置した250mLの4口フラスコにm-クレゾール、及び、p-クレゾールを重量比60:40の割合で混合した混合物100gと桐油(山桂産業社製)11g、p-トルエンスルホン酸0.01gを仕込み、120℃で2時間撹拌し、乾性油変性フェノール誘導体である化合物(a-7)を得た。
次いで、上記化合物(a-7)100g、パラホルムアルデヒド13.9g、及び、シュウ酸0.9gを混合し、90℃で3時間撹拌し反応させた。次に120℃に昇温して減圧下で3時間撹拌後、反応液を大気圧下で室温まで冷却し、反応生成物である乾性油変性フェノール樹脂(A-7)102gを得た。フェノールノボラック樹脂(A-7)のMwは12,900であった。
【0069】
[ポジ型感光性樹脂組成物]
実施例1
合成例1で得たフェノールノボラック樹脂(A-1)粉末1.00g、感光剤(1,2-ナフトキノンジアジド(P-200:東洋合成社製))粉末(B)0.15g、熱架橋剤(メチル化メラミン樹脂(ニカラック MW-30HM:三和ケミカル社製))粉末(C-1)0.15gを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(D)18gに溶解させてポジ型感光性樹脂組成物(E-1)を得た。
【0070】
実施例2~5
成分(A)として表1に示すフェノールノボラック樹脂(A-2)~(A-5)粉末を用いた以外は、実施例1と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物(E-2)~(E-5)を得た。
【0071】
実施例6
成分(C)として熱架橋剤(メチル化尿素樹脂(ニカラック MX-270:三和ケミカル社製))粉末(C-2)を用いた以外は実施例1と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物(E-6)を得た。
【0072】
比較例1~2
成分(A)として表1に示すフェノールノボラック樹脂(A-6)、及び、(A-7)粉末を用いた以外は、実施例1と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物(E-7)~(E-8)を得た。
【0073】
[評価]
実施例及び比較例で調製したポジ型感光性樹脂組成物を用いてレジスト膜を作製し、アルカリ溶解性、感光剤親和性、低温硬化性及び低体積収縮性を評価した。
(1)アルカリ溶解性
ポジ型感光性樹脂組成物を、5インチシリコンウェハ上に約1μmの厚さになるようにスピンコーターで塗布し、110℃のホットプレート上で60秒乾燥させた。その後、UV露光装置(株式会社三永電機製作所製:UVE-1001SD)を用いて200mJ/cmの露光を行い、露光後に130℃のホットプレート上で90秒間露光後ベーク(PEB)を行った。得られたレジスト膜付きのウェハを現像液(2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液)に60秒間浸漬後、110℃のホットプレート上で60秒乾燥させた。現像液浸漬前後の膜厚を測定し、その差分を60で除した値をアルカリ溶解性ADR1(Å/s)とした。評価基準は以下の通りである。
〇:ADR1が400以上
×:ADR1が400未満
評価結果を表1に示す。なお、表1中かっこ内の数値はADR1の値である。
【0074】
(2)感光剤親和性(現像コントラスト)
また、上記(1)において、レジスト膜の露光を実施せずに測定した値をADR2(Å/s)とし、ADR1/ADR2の値を感光剤親和性(現像コントラスト)として評価した。評価基準は以下の通りである。
〇:感光剤親和性が10以上
×:感光剤親和性が10未満
評価結果を表1に示す。なお表1中カッコ内の数値は(ADR1/ADR2)である。
【0075】
(3)レジスト膜の低温硬化性
ポジ型感光性樹脂組成物を、直径5インチのシリコンウェハ上に約10μmの厚さになるようにスピンコーターを用いて塗布し、110℃で60秒間プリベークした後、窒素雰囲気下、175℃で1時間加熱処理(硬化)を行った。温度が50℃以下になったところでレジスト膜付きのウェハを取出し、膜厚を測定した。その後、レジスト膜付きのウェハを3等分し、それぞれをアセトン、N-メチルピロリドン(NMP)及び2.38重量%TMAH水溶液の溶剤に15分浸漬した。各溶剤から取り出した後のウェハを純水で洗浄した後、再度膜厚を測定した。
溶剤への浸漬前後の膜厚変化率にて、低温硬化性を評価した。評価基準は以下の通りである。
〇:変化率が5%未満であるもの
×:変化率が5%以上であるもの
評価結果を表1に示す。なお表1中かっこ内の数値は、膜厚変化率(%)である。
【0076】
(4)レジスト膜の体積収縮性
ポジ型感光性樹脂組成物を、直径5インチのシリコンウェハ上に約10μmの厚さになるようにスピンコーターを用いて塗布後、110℃で60秒間プリベークした。その後、窒素雰囲気下、175℃で1時間加熱処理(硬化)を行った。温度が50℃以下になったところでレジスト膜付きのウェハを取出し、硬化前後の膜厚の収縮率を[1-(硬化後膜厚/硬化前膜厚)]×100の計算式より算出し、その変化率を体積収縮性とした。評価基準は以下のとおりである。
〇:変化率が10%未満であるもの
×:変化率が10%以上であるもの
評価結果を表1に示す。なお、表1中のカッコ内の数値は体積収縮率(%)である。
【0077】
【表1】
【0078】
表1において、成分(A)の構造単位のモル比「(a1)/(a2)/(a3)」は、m-クレゾールから誘導される構造単位(a1)、ベンズアルデヒドから誘導される構造単位(a2)、及びサリチルアルデヒドから誘導される構造単位(a3)のモル比である。
【0079】
表1から、本発明のポジ型感光性樹脂組成物を使用したレジスト膜は、アルカリ溶解性を有し、感光剤親和性も高く、さらにレジスト膜としたときに低温硬化性や低体積収縮性にも優れることが確認できる。
図1
図2
図3
図4
図5