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特開2024-131602半導体装置及び半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131602
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/29 20060101AFI20240920BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20240920BHJP
   H01L 23/28 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01L23/36 A
H01L21/56 R
H01L23/28 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041970
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】羽鳥 行範
【テーマコード(参考)】
4M109
5F061
5F136
【Fターム(参考)】
4M109AA01
4M109BA03
4M109CA21
4M109DB02
4M109EA02
4M109EA07
4M109EB12
4M109EB13
5F061AA01
5F061BA03
5F061CA21
5F061CB03
5F061CB13
5F136BB18
5F136DA07
5F136FA52
5F136FA55
5F136FA63
5F136GA21
5F136GA30
(57)【要約】
【課題】放熱性の低下を抑制できる半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置10は、配線基板20と、配線基板20に実装された半導体素子30と、半導体素子30の上方に設けられた放熱板40とを有する。半導体装置10は、配線基板20と放熱板40との間の空間及び半導体素子30と放熱板40との間の空間を充填するとともに、半導体素子30を封止する封止樹脂50を有する。放熱板40は、半導体素子30と平面視で重なる位置に設けられた本体部42と、本体部42よりも外方に突出するリード部44とを有する。リード部44は、本体部42よりも薄く形成されている。リード部44の上面は、封止樹脂50により被覆されている。リード部44のうち半導体装置10の外周縁に位置する外側面44Sが封止樹脂50の外側面50Sから露出されている。本体部42の上面は、封止樹脂50の上面から露出されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置であって、
配線基板と、
前記配線基板に実装された半導体素子と、
前記半導体素子の上方に設けられた放熱板と、
前記配線基板と前記放熱板との間の空間及び前記半導体素子と前記放熱板との間の空間を充填するとともに、前記半導体素子を封止する封止樹脂と、
前記放熱板は、前記半導体素子と平面視で重なる位置に設けられた本体部と、前記本体部よりも外方に突出するリード部とを有し、
前記リード部は、前記本体部よりも薄く形成されており、
前記リード部の上面は、前記封止樹脂により被覆されており、
前記リード部のうち前記半導体装置の外周縁に位置する外側面が前記封止樹脂の外側面から露出されており、
前記本体部の上面は、前記封止樹脂の上面から露出されている半導体装置。
【請求項2】
前記放熱板は、前記本体部の側面から前記半導体装置の外周縁側に向かって突出する突出部を有し、
前記突出部は、平面視において、前記本体部を取り囲むように形成されており、
前記突出部は、前記本体部よりも薄く形成されており、
前記リード部は、前記突出部の側面から前記半導体装置の外周縁側に向かって突出しており、
前記封止樹脂は、前記突出部の上面を被覆するとともに、前記突出部の側面を被覆している請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記放熱板は、前記本体部の下面を被覆する表面処理層を有し、
前記表面処理層の下面は、前記本体部の下面よりも表面粗度が大きい粗化面であり、
前記封止樹脂は、前記表面処理層の下面を被覆している請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記表面処理層は、酸化膜である請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記表面処理層は、前記本体部の側面と、前記リード部の上面と、前記外側面を除く前記リード部の側面とを被覆しており、
前記本体部の上面は、前記表面処理層及び前記封止樹脂から露出されており、
前記本体部の上面を被覆する金属層を更に有する請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記表面処理層は、粗面めっき層である請求項3に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記放熱板は、前記封止樹脂のみによって前記配線基板の上方に支持されている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記本体部の平面形状は、四角形に形成されており、
前記リード部は、前記四角形を構成する四辺のうちの少なくとも二辺に設けられている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
複数の第1製品領域と、第1非製品領域と、前記第1非製品領域に設けられた複数の第1接続部とを有する第1基板を準備する工程と、
前記複数の第1製品領域の各々に半導体素子を実装する工程と、
複数の第2製品領域と、第2非製品領域と、前記第2非製品領域に設けられた複数の第2接続部とを有する第2基板を準備する工程と、
前記第1接続部又は前記第2接続部に接続部材を接合する工程と、
前記複数の第1製品領域と前記複数の第2製品領域とをそれぞれ対向させるとともに、前記複数の第1接続部と前記複数の第2接続部とそれぞれ対向させて前記第2基板を前記第1基板の上方に配置し、前記接続部材を介して前記第1接続部と前記第2接続部とを接続する工程と、
前記第1基板と前記第2基板との間の空間及び前記半導体素子と前記第2基板との間の空間を充填するとともに、前記半導体素子と前記接続部材とを封止する封止樹脂を形成する工程と、
前記第1製品領域の外縁及び前記第2製品領域の外縁に沿って、前記第1基板と前記第2基板と前記封止樹脂とを切断して個片化する工程と、を有し、
前記複数の第2製品領域の各々は、前記半導体素子と平面視で重なる位置に設けられた本体部と、前記本体部よりも外方に向かって突出するとともに前記本体部よりも薄く形成されたリード部とを有し、
前記個片化された後の前記封止樹脂は、前記リード部の上面及び下面を被覆し、前記リード部のうち切断面である外側面を露出するとともに、前記本体部の上面を露出するように形成される半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記接続部材は、金属ポストである請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、配線基板と、配線基板に実装された半導体素子と、接続部材を介して配線基板上に搭載されたリードフレームと、半導体素子及び接続部材を封止する封止樹脂とを有する半導体装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の半導体装置では、リードフレームに放熱部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-174849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した半導体装置では、半導体装置に反りが発生した場合に、リードフレームが封止樹脂から剥離するおそれがある。リードフレームが封止樹脂から剥離すると、半導体装置の放熱性が低下するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点によれば、半導体装置であって、配線基板と、前記配線基板に実装された半導体素子と、前記半導体素子の上方に設けられた放熱板と、前記配線基板と前記放熱板との間の空間及び前記半導体素子と前記放熱板との間の空間を充填するとともに、前記半導体素子を封止する封止樹脂と、前記放熱板は、前記半導体素子と平面視で重なる位置に設けられた本体部と、前記本体部よりも外方に突出するリード部とを有し、前記リード部は、前記本体部よりも薄く形成されており、前記リード部の上面は、前記封止樹脂により被覆されており、前記リード部のうち前記半導体装置の外周縁に位置する外側面が前記封止樹脂の外側面から露出されており、前記本体部の上面は、前記封止樹脂の上面から露出されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一観点によれば、放熱性の低下を抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1(a)は、一実施形態の半導体装置を示す概略断面図(図2における1-1線断面図)であり、図1(b)は、図1(a)に示した半導体装置の一部を拡大した拡大断面図である。
図2図2は、一実施形態の半導体装置を示す概略平面図である。
図3図3は、一実施形態の半導体装置を示す概略断面図(図2における3-3線断面図)である。
図4図4は、一実施形態の半導体装置を示す概略側面図である。
図5図5は、一実施形態の半導体装置の製造方法を示す概略平面図である。
図6図6は、一実施形態の半導体装置の製造方法を示す概略断面図(図5における6-6線断面図)である。
図7図7は、一実施形態の半導体装置の製造方法を示す概略断面図である。
図8図8は、一実施形態の半導体装置の製造方法を示す概略平面図である。
図9図9は、一実施形態の半導体装置の製造方法を示す概略断面図(図8における9-9線断面図)である。
図10図10は、一実施形態の半導体装置の製造方法を示す概略断面図である。
図11図11は、一実施形態の半導体装置の製造方法を示す概略断面図である。
図12図12は、一実施形態の半導体装置の製造方法を示す概略断面図である。
図13図13は、一実施形態の半導体装置の製造方法を示す概略断面図である。
図14図14は、一実施形態の半導体装置の製造方法を示す概略断面図である。
図15図15は、一実施形態の半導体装置の製造方法を示す概略断面図である。
図16図16は、一実施形態の半導体装置の製造方法を示す概略断面図である。
図17図17は、変更例の半導体装置を示す概略平面図である。
図18図18は、変更例の半導体装置を示す概略平面図である。
図19図19(a)は、変更例の半導体装置を示す概略断面図であり、図19(b)は、図19(a)に示した半導体装置の一部を拡大した拡大断面図である。
図20図20は、変更例の半導体装置の製造方法を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態について添付図面を参照して説明する。
なお、添付図面は、便宜上、特徴を分かりやすくするために特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率については各図面で異なる場合がある。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、一部の部材のハッチングを梨地模様に代えて示し、一部の部材のハッチングを省略している。なお、本明細書において、「平面視」とは、対象物を図1(a)等の鉛直方向(図中上下方向)から見ることを言い、「平面形状」とは、対象物を図1(a)等の鉛直方向から見た形状のことを言う。本明細書における「上下方向」及び「左右方向」は、各図面において各部材を示す符号が正しく読める向きを正位置とした場合の方向である。本明細書における「対向」とは、面同士又は部材同士が互いに正面の位置にあることを指し、互いが完全に正面の位置にある場合だけでなく、互いが部分的に正面の位置にある場合を含む。本明細書における「対向」とは、2つの部分の間に、2つの部分とは別の部材が介在している場合と、2つの部分の間に何も介在していない場合の両方を含む。
【0009】
(半導体装置10の全体構成)
まず、図1(a)に従って、半導体装置10の構造について説明する。
半導体装置10は、配線基板20と、1つ又は複数(ここでは、1つ)の半導体素子30と、放熱板40と、封止樹脂50と、金属層60と、外部接続端子70とを有している。
【0010】
(配線基板20の構成)
配線基板20は、例えば、基板本体21を有している。基板本体21の下面には、配線層22と、ソルダーレジスト層23とが順に積層されている。基板本体21の上面には、配線層24と、ソルダーレジスト層25とが順に積層されている。
【0011】
基板本体21としては、例えば、絶縁樹脂層と配線層とが交互に積層された配線構造体を用いることができる。配線構造体は、例えば、コア基板を有してもよいし、コア基板を有していなくてもよい。絶縁樹脂層の材料としては、例えば、熱硬化性の絶縁性樹脂を用いることができる。熱硬化性の絶縁性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂やシアネート樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。また、絶縁樹脂層の材料としては、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂などの感光性樹脂を主成分とする絶縁性樹脂を用いることができる。絶縁樹脂層は、例えば、シリカやアルミナ等のフィラーを含有していてもよい。
【0012】
基板本体21内の配線層や基板本体21の下面及び上面に設けられた配線層22,24の材料としては、例えば、銅(Cu)や銅合金を用いることができる。ソルダーレジスト層23,25の材料としては、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂などの感光性樹脂を主成分とする絶縁性樹脂を用いることができる。ソルダーレジスト層23,25は、例えば、シリカやアルミナ等のフィラーを含有していてもよい。
【0013】
配線層22は、基板本体21の下面に形成されている。配線層22は、配線基板20の最下層の配線層である。
ソルダーレジスト層23は、配線層22の一部を被覆するように、基板本体21の下面に積層されている。ソルダーレジスト層23は、配線基板20の最外層(ここでは、最下層)の絶縁層である。
【0014】
ソルダーレジスト層23には、配線層22の下面の一部を外部接続用パッドP1として露出させるための複数の開口部23Xが形成されている。外部接続用パッドP1には、配線基板20をマザーボード等の実装基板に実装する際に使用される外部接続端子70が接続されている。
【0015】
開口部23Xの底部に露出する配線層22の下面には、必要に応じて、表面処理層が形成されている。表面処理層の例としては、金(Au)層、ニッケル(Ni)層/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni層/パラジウム(Pd)層/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)などを挙げることができる。表面処理層の他の例としては、Ni層/Pd層(Ni層とPd層をこの順番で積層した金属層)、Pd層/Au層(Pd層とAu層をこの順番で積層した金属層)などを挙げることができる。ここで、Au層はAu又はAu合金からなる金属層、Ni層はNi又はNi合金からなる金属層、Pd層はPd又はPd合金からなる金属層である。これらAu層、Ni層、Pd層としては、例えば、無電解めっき法により形成された金属層(無電解めっき層)や、電解めっき法により形成された金属層(電解めっき層)を用いることができる。また、表面処理層としては、開口部23Xに露出する配線層22の下面に、OSP(Organic Solderability Preservative)処理などの酸化防止処理を施して形成されるOSP膜を用いることができる。OSP膜としては、アゾール化合物やイミダゾール化合物等の有機被膜を用いることができる。なお、配線層22の下面に表面処理層が形成されている場合には、その表面処理層が外部接続用パッドP1として機能する。
【0016】
本例では、配線層22の下面に外部接続端子70を設けるようにしたが、開口部23Xの底部に露出する配線層22自体、又は配線層22の下面に表面処理層が形成されている場合にはその表面処理層自体を、外部接続端子としてもよい。
【0017】
配線層24は、基板本体21の上面に形成されている。配線層24は、例えば、基板本体21内の配線層や貫通電極を介して、配線層22と電気的に接続されている。配線層24は、例えば、基板本体21の上面において、マトリクス状に配列されている。配線層24は、配線基板20の最上層の配線層である。配線層24は、例えば、半導体素子30などの電子部品と電気的に接続するための電子部品搭載用のパッドとして機能する。
【0018】
ソルダーレジスト層25は、配線層24を露出するように、基板本体21の上面に積層されている。ソルダーレジスト層25は、例えば、平面視において、半導体素子30が実装される実装領域を取り囲むように形成されている。換言すると、ソルダーレジスト層25は、実装領域における基板本体21の上面及び配線層24を露出させる開口部25Xを有している。ソルダーレジスト層25は、配線基板20の最外層(ここでは、最上層)の絶縁層である。
【0019】
(半導体素子30の構成)
半導体素子30は、半導体素子30の回路形成面(ここでは、下面)に形成された複数の接続端子31を有している。例えば、半導体素子30は、シリコン(Si)等からなる薄板化された半導体基板上に、半導体集積回路(図示略)が形成された回路形成面がパッシベーション膜で覆われ、その回路形成面に接続端子31が設けられた構造を有している。
【0020】
半導体素子30としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)チップやGPU(Graphics Processing Unit)チップなどのロジックチップを用いることができる。また、半導体素子30としては、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)チップやフラッシュメモリチップなどのメモリチップを用いることができる。また、半導体素子30としては、例えば、高放熱のアナログICなどを用いることができる。また、半導体素子30としては、高放熱のCSP(Chip Scale Package)などを用いることができる。半導体素子30の平面形状は、任意の形状及び任意の大きさとすることができる。半導体素子30の平面形状は、例えば、四角形に形成されている。半導体素子30の大きさは、例えば、平面視において10mm×10mm程度とすることができる。半導体素子30の厚さは、例えば、10μm~200μm程度とすることができる。
【0021】
半導体素子30は、配線基板20にフリップチップ実装されている。すなわち、半導体素子30は、接続端子31を介して、配線基板20の配線層24と電気的に接続されている。接続端子31としては、例えば、金(Au)バンプやはんだバンプを用いることができる。はんだバンプの材料としては、例えば、鉛(Pb)を含む合金、錫(Sn)とCuの合金、Snと銀(Ag)の合金、SnとAgとCuの合金などを用いることができる。
【0022】
(放熱板40の構成)
放熱板40は、半導体素子30の上方に設けられている。放熱板40は、封止樹脂50を介して、半導体素子30の回路形成面と反対側の背面(ここでは、上面)に設けられている。放熱板40は、封止樹脂50に埋設されている。放熱板40は、例えば、封止樹脂50のみによって支持されている。例えば、放熱板40は、封止樹脂50のみによって配線基板20の上方に支持されるとともに、封止樹脂50のみによって半導体素子30の上方に支持されている。放熱板40は、ヒートスプレッダとも呼ばれる。放熱板40は、半導体素子30が発する熱の密度を分散させる機能を有する。
【0023】
図1(a)及び図2に示すように、放熱板40は、例えば、ベース部41と、表面処理層45とを有している。ベース部41は、本体部42と、突出部43と、複数(ここでは、8個)のリード部44とを有している。ベース部41は、本体部42と突出部43と複数のリード部44とが連続して一体に形成されている。
【0024】
(ベース部41の構成)
本体部42は、例えば、平板状に形成されている。本体部42は、半導体素子30と平面視で重なるように設けられている。本体部42は、例えば、半導体素子30の全体と平面視で重なるように設けられている。本体部42は、例えば、半導体素子30の実装領域に設けられている。図2に示すように、本体部42の平面形状は、半導体素子30の平面形状と同様の形状、ここでは四角形に形成されている。すなわち、本体部42の外形は、平面視において四角形に形成されている。本体部42の平面形状は、例えば、半導体素子30の平面形状よりも一回り大きく形成されている。本体部42の平面形状は、基板本体21の平面形状よりも小さく形成されている。本体部42の厚さは、例えば、0.15mm~0.40mm程度とすることができる。
【0025】
図1(a)に示すように、本体部42は、半導体素子30と対向する下面と、下面と反対側の上面とを有している。本体部42の下面は、封止樹脂50を介して半導体素子30の背面に熱的に結合されている。本体部42の上面は、封止樹脂50から露出されている。本体部42の上面は、例えば、封止樹脂50の上面と面一に形成されている。
【0026】
図2に示すように、突出部43は、平面視において、本体部42の外周縁を取り囲むように形成されている。突出部43は、例えば、本体部42の外周を周方向全周にわたって連続して包囲している。
【0027】
図3に示すように、突出部43は、本体部42の側面から外方に突出するように形成されている。突出部43は、例えば、本体部42の側面から半導体装置10の外周縁側に向かって突出するように形成されている。突出部43の厚さは、例えば、本体部42の厚さよりも薄く形成されている。突出部43の厚さは、例えば、本体部42の厚さの0.3倍~0.7倍程度の厚さに設定することができる。突出部43の厚さは、例えば、0.1mm~0.2mm程度とすることができる。突出部43は、本体部42の上面側から配線基板20に向かって凹むように形成されている。突出部43の上面は、本体部42の上面よりも下方に設けられている。突出部43の上面は、例えば、封止樹脂50によって被覆されている。突出部43の下面は、例えば、本体部42の下面と面一に形成されている。突出部43の下面は、例えば、封止樹脂50によって被覆されている。突出部43の側面は、例えば、封止樹脂50によって被覆されている。
【0028】
図2に示すように、各リード部44は、例えば、突出部43の側面から外方に突出するように形成されている。各リード部44は、例えば、突出部43のうち半導体装置10の外周縁側に位置する側面から半導体装置10の外周縁側に向かって突出するように形成されている。各リード部44は、例えば、半導体装置10の外側面まで延びている。
【0029】
複数のリード部44は、例えば、本体部42の周方向に沿って互いに間隔を空けて設けられている。複数のリード部44は、例えば、半導体装置10の外周領域に設けられている。複数のリード部44は、半導体装置10の外周縁に沿って所定の間隔を空けて設けられている。複数のリード部44は、例えば、四角形をなす本体部42の外形を構成する四辺のうちの少なくとも二辺に設けられている。本実施形態の複数のリード部44は、本体部42の外形を構成する四辺の各辺に2つずつ設けられている。
【0030】
図1(a)に示すように、各リード部44の厚さは、例えば、突出部43の厚さと同じ厚さに形成されている。各リード部44の厚さは、例えば、本体部42の厚さよりも薄く形成されている。各リード部44の厚さは、例えば、本体部42の厚さの0.3倍~0.7倍程度の厚さに設定することができる。各リード部44の厚さは、例えば、0.1mm~0.2mm程度とすることができる。各リード部44は、本体部42の上面側から配線基板20に向かって凹むように形成されている。各リード部44の上面は、本体部42の上面よりも下方に設けられている。各リード部44の上面は、例えば、突出部43の上面と面一に形成されている。各リード部44の上面は、例えば、封止樹脂50によって被覆されている。各リード部44の下面は、例えば、本体部42の下面及び突出部43の下面と面一に形成されている。各リード部44の下面は、例えば、封止樹脂50によって被覆されている。
【0031】
図1(a)及び図4に示すように、各リード部44のうち半導体装置10の外周縁に位置する外側面44Sは、封止樹脂50の外側面50Sから露出されている。各リード部44の外側面44Sは、例えば、封止樹脂50の外側面50Sと面一に形成されている。図2に示すように、外側面44Sを除く各リード部44の側面は、封止樹脂50によって被覆されている。
【0032】
(表面処理層45の構成)
図1(a)に示すように、表面処理層45は、本体部42の下面を被覆するように形成されている。表面処理層45は、例えば、本体部42の下面全面を被覆するように形成されている。表面処理層45は、例えば、本体部42の下面全面と、突出部43の下面全面と、リード部44の下面全面とを被覆するように形成されている。すなわち、表面処理層45は、ベース部41の下面全面を被覆するように形成されている。
【0033】
表面処理層45は、例えば、本体部42の上面を露出するように形成されている。換言すると、本体部42の上面には、表面処理層45が形成されていない。表面処理層45は、例えば、突出部43の上面を被覆するように形成されている。表面処理層45は、例えば、リード部44の上面を被覆するように形成されている。表面処理層45は、例えば、本体部42の上面を除いたベース部41の上面全面を被覆するように形成されている。
【0034】
表面処理層45は、例えば、本体部42の側面を被覆するように形成されている。図3に示すように、表面処理層45は、例えば、突出部43の側面を被覆するように形成されている。図2に示すように、表面処理層45は、例えば、リード部44の側面を被覆するように形成されている。図1(a)に示すように、表面処理層45は、例えば、リード部44の側面のうち半導体装置10の外周縁側に設けられた外側面44Sを露出するように形成されている。換言すると、リード部44の外側面44Sには、表面処理層45が形成されていない。表面処理層45は、例えば、リード部44の外側面44Sを除いたリード部44の側面全面を被覆するように形成されている。表面処理層45は、例えば、リード部44の外側面44Sを除いたベース部41の側面全面を被覆するように形成されている。
【0035】
本実施形態の表面処理層45は、酸化膜である。表面処理層45は、例えば、水酸化物を含む酸化銅の被膜である。表面処理層45は、例えば、微細な針状結晶から構成されている。針状結晶は、例えば、約0.5μm以下の粒径を有している。表面処理層45としての酸化膜は、自然酸化膜ではなく、放熱板40に対して酸化処理を施して意図的に形成した酸化膜である。例えば、表面処理層45としての酸化膜は、放熱板40に対して陽極酸化処理を施して形成された酸化膜である。このような酸化膜は、放熱板40の基材(例えば、Cu材)自体が酸化されることにより形成される。
【0036】
図1(b)に示すように、表面処理層45の表面は、粗化面である。表面処理層45の表面は、例えば、本体部42の表面よりも表面粗度の大きい粗化面に形成されている。詳述すると、ベース部41の下面を被覆する部分の表面処理層45の下面45Dは、本体部42の下面よりも表面粗度の大きい粗化面に形成されている。突出部43及びリード部44の上面を被覆する部分の表面処理層45の上面45Uは、突出部43及びリード部44の上面よりも表面粗度の大きい粗化面に形成されている。本体部42及び突出部43の側面を被覆する部分の表面処理層45の側面45Sは、本体部42及び突出部43の側面よりも表面粗度の大きい粗化面に形成されている。表面処理層45の下面45D、上面45U及び側面45Sの表面粗度は、例えば、表面粗さRa値で200nm以上とすることができる。ここで、表面粗さRa値とは、表面粗さを表す数値の一種であり、算術平均粗さと呼ばれるものであって、具体的には測定領域内で変化する高さの絶対値を平均ラインである表面から測定して算術平均したものである。表面処理層45の厚さは、例えば、0.1μm~0.2μmの範囲の厚さに設定されている。
【0037】
なお、リード部44の外側面44Sには、酸化膜である表面処理層45が形成されていない。但し、リード部44の外側面44Sには、表面処理層45とは別の酸化膜、例えば自然酸化膜が形成されている場合がある。この自然酸化膜は、例えば、水酸化物を含まない酸化膜である。
【0038】
(封止樹脂50の構成)
図1(a)に示すように、封止樹脂50は、配線基板20と放熱板40との間の空間を充填するとともに、半導体素子30を封止するように形成されている。封止樹脂50は、基板本体21の上面に形成されている。封止樹脂50は、例えば、接続端子31を含む半導体素子30を全体的に被覆するように形成されている。封止樹脂50は、例えば、半導体素子30の表面全面を被覆するように形成されている。封止樹脂50は、例えば、配線基板20と半導体素子30との間の空間を充填するように形成されている。封止樹脂50は、例えば、ソルダーレジスト層25の開口部25Xに露出する基板本体21の上面及び配線層24を全体的に被覆するように形成されている。
【0039】
封止樹脂50は、半導体素子30と放熱板40との間の空間を充填するように形成されている。ここで、半導体素子30の背面と放熱板40の下面との間の間隔、具体的には半導体素子30の背面と表面処理層45の下面との間の最短距離は、例えば、50μm~100μm程度とすることができる。半導体素子30の背面と放熱板40の下面との間の空間には、例えば、封止樹脂50のみが設けられている。換言すると、放熱板40は、封止樹脂50のみを介して、半導体素子30の上方に設けられている。放熱板40は、封止樹脂50のみを介して、半導体素子30と熱的に結合されている。図1(b)に示すように、半導体素子30と放熱板40との間の空間を充填する封止樹脂50は、本体部42の下面を被覆する表面処理層45の下面45D全面を被覆するように形成されている。
【0040】
図1(a)に示すように、封止樹脂50は、例えば、ソルダーレジスト層25と放熱板40との間の空間を充填するように形成されている。ソルダーレジスト層25の上面と放熱板40の下面との間の空間には、例えば、配線基板20と放熱板40との間の間隔を所定の距離に維持するためのスペーサ部材が設けられておらず、封止樹脂50のみが設けられている。すなわち、半導体素子30の実装領域以外の領域では、配線基板20と放熱板40との間の空間には封止樹脂50のみが設けられている。換言すると、放熱板40は、封止樹脂50のみを介して、配線基板20の上方に設けられている。放熱板40は、封止樹脂50のみによって配線基板20の上方に支持されている。なお、封止樹脂50は、例えば、ソルダーレジスト層25の上面全面を被覆するように形成されている。
【0041】
実装領域よりも外側の外周領域に形成された封止樹脂50は、放熱板40の突出部43及びリード部44を埋設するように形成されている。封止樹脂50は、突出部43の上下両面及び側面、及びリード部44の上下両面及び側面を被覆するように形成されている。具体的には、封止樹脂50は、突出部43の下面を被覆する表面処理層45の下面45D全面と、突出部43の上面を被覆する表面処理層45の上面45U全面と、突出部43の側面を被覆する表面処理層45の側面45S全面とを被覆するように形成されている。封止樹脂50は、リード部44の下面を被覆する表面処理層45の下面45D全面と、リード部44の上面を被覆する表面処理層45の上面45U全面と、突出部43の側面を被覆する表面処理層45の側面45S全面とを被覆するように形成されている。また、封止樹脂50は、本体部42の側面を被覆する表面処理層45の側面45S全面を被覆するように形成されている。
【0042】
封止樹脂50は、本体部42の上面を露出するように形成されている。封止樹脂50の上面は、本体部42の上面と面一、又は本体部42の上面よりも僅かに下方に形成されている。封止樹脂50の外側面50Sは、放熱板40のリード部44の外側面44Sを露出するように形成されている。封止樹脂50の外側面50Sは、例えば、リード部44の外側面44Sと基板本体21の外側面とソルダーレジスト層23,25の外側面と面一に形成されている。
【0043】
このような封止樹脂50により、放熱板40が配線基板20に対して固定されるとともに、半導体素子30が封止される。すなわち、封止樹脂50は、配線基板20上に放熱板40を支持する支持部材として機能するとともに、半導体素子30を保護する保護部材として機能する。また、封止樹脂50を設けたことにより、半導体装置10全体の機械的強度を高めることができる。このため、配線基板20及び放熱板40を薄型化することができ、半導体装置10全体を薄型化することができる。
【0044】
封止樹脂50の材料としては、例えば、熱硬化性樹脂を主成分とする非感光性の絶縁性樹脂を用いることができる。封止樹脂50の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂などの絶縁性樹脂、又はこれら樹脂にシリカやアルミナ等のフィラーを混入した樹脂材を用いることができる。封止樹脂50としては、例えば、モールド樹脂を用いることができる。
【0045】
(金属層60の構成)
封止樹脂50及び表面処理層45から露出する本体部42の上面には、金属層60が形成されている。金属層60は、例えば、本体部42の上面全面を被覆するように形成されている。金属層60は、例えば、外装めっき層として機能する。金属層60の例としては、Sn層やはんだ層を挙げることができる。はんだ層の材料としては、例えば、Pbを含む合金、SnとAuの合金、SnとCuの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。Sn層やはんだ層は、例えば、電解めっき法により形成することができる。また、金属層60の他の例としては、Ag層、Au層、Ni層/Au層、Ni層/Pd層/Au層、Ni層/Ag層を挙げることができる。なお、金属層60の代わりに、例えば、本体部42の上面に、OSP処理などの酸化防止処理を施して形成されるOSP膜を形成するようにしてもよい。OSP膜としては、アゾール化合物やイミダゾール化合物等の有機被膜を用いることができる。
【0046】
(外部接続端子70の構成)
外部接続端子70は、配線基板20の外部接続用パッドP1上に形成されている。外部接続端子70は、例えば、図示しないマザーボード等の実装基板に設けられたパッドと電気的に接続される接続端子である。外部接続端子70としては、例えば、はんだボールやリードピンを用いることができる。本実施形態の外部接続端子70は、はんだボールである。
【0047】
(半導体装置10の製造方法)
次に、半導体装置10の製造方法について説明する。なお、説明の便宜上、最終的に半導体装置10の各構成要素となる部分には、最終的な構成要素の符号を付して説明する。
【0048】
まず、図5に示す工程では、大判の第1基板80を準備する。第1基板80は、複数の第1製品領域81と、第1非製品領域82とを有している。第1基板80は、例えば、複数の第1製品領域81がマトリクス状(ここでは、3×3)に配列されている。各第1製品領域81には、図1(a)に示した配線基板20に相当する構造体が形成される。第1非製品領域82は、平面視において、9個の第1製品領域81を取り囲むように形成されている。第1非製品領域82は、例えば、平面視において、9個の第1製品領域81の各々を取り囲むように形成されている。第1非製品領域82は、例えば、9個の第1製品領域81をまとめて取り囲む第1外周領域83と、図中上下方向に隣接する2個の第1製品領域81の間に設けられた第1連結領域84とを有している。第1連結領域84は、図中左右方向に沿って延びている。
【0049】
ここで、各第1製品領域81は、図1(a)に示した半導体装置10に相当する構造体が形成された後、最終的に一点鎖線で示した切断線に沿って切断されて個片化され、各々個別の半導体装置10となる。すなわち、各第1製品領域81よりも外側の部分、つまり第1非製品領域82は、最終的に廃棄される部分である。換言すると、第1非製品領域82は、最終的に個片化された半導体装置10には残らない部分である。なお、図5に示した例では、第1基板80が9個の第1製品領域81を有するが、第1製品領域81の数は特に制限されない。以下では、説明の簡略化のために、1つの第1製品領域81とその1つの第1製品領域81の周囲に設けられた第1非製品領域82とに着目して説明を行う。
【0050】
図6に示すように、第1基板80の各第1製品領域81には、基板本体21と、基板本体21の下面に積層された配線層22及びソルダーレジスト層23と、基板本体21の上面に積層された配線層24及びソルダーレジスト層25とを有している。このとき、第1基板80の第1非製品領域82には、基板本体21の上面に積層された配線層26が形成されている。第1非製品領域82に設けられたソルダーレジスト層25には、配線層26の上面の一部を第1接続部A1として露出させるための開口部25Yが形成されている。図5に示すように、第1非製品領域82の第1外周領域83には、複数列の第1接続部A1が、例えば、平面視でペリフェラル状に配置されている。すなわち、第1外周領域83に設けられた複数列の第1接続部A1は、第1基板80の外周縁に沿って設けられている。第1非製品領域82の第1連結領域84には、複数の第1接続部A1が設けられている。第1連結領域84に設けられた第1接続部A1は、図中上下方向に隣接する2個の第1製品領域81の間に設けられている。
【0051】
次に、図7に示す工程では、ソルダーレジスト層25の開口部25Yに露出する配線層26の上面、つまり第1接続部A1上に、はんだ層85を形成する。はんだ層85は、例えば、スクリーン印刷等により、第1接続部A1上にはんだペーストを塗布することによって形成することができる。
【0052】
また、図7に示す工程では、半導体素子30を準備する。半導体素子30は、回路形成面(ここでは、下面)に形成された接続端子31を有する。続いて、各第1製品領域81の配線層24の上面に半導体素子30を実装する。例えば、各第1製品領域81の配線層24上に、半導体素子30の接続端子31をフリップチップ接合する。具体的には、接続端子31がはんだバンプである場合には、配線層24上に適宜フラックス(図示略)を塗布し、配線層24と接続端子31とを位置合わせした後に、230℃~260℃程度の温度でリフロー処理を行う。これにより、はんだバンプである接続端子31を溶融させ、接続端子31を配線層24に電気的に接続する。なお、図示は省略するが、半導体素子30と基板本体21との間にアンダーフィル樹脂を設けるようにしてもよい。
【0053】
次に、図8に示す工程では、大判の第2基板90を準備する。第2基板90は、例えば、金属板である。本実施形態の第2基板90は、銅板である。第2基板90は、複数の第2製品領域91と、第2非製品領域92とを有している。第2基板90は、例えば、複数の第2製品領域91がマトリクス状(ここでは、3×3)に配列されている。各第2製品領域91には、図1(a)に示した放熱板40に相当する構造体が形成される。第2非製品領域92は、平面視において、9個の第2製品領域91を取り囲むように形成されている。第2非製品領域92は、例えば、平面視において、9個の第2製品領域91の各々を取り囲むように形成されている。第2非製品領域92は、例えば、9個の第2製品領域91をまとめて取り囲む第2外周領域93と、図中上下方向に隣接する2個の第2製品領域91の間に設けられた第2連結領域94とを有している。第2連結領域94は、図中左右方向に沿って延びている。
【0054】
ここで、各第2製品領域91は、図1(a)に示した半導体装置10に相当する構造体が形成された後、最終的に一点鎖線で示した切断線に沿って切断されて個片化され、各々個別の半導体装置10となる。すなわち、各第2製品領域91よりも外側の部分、つまり第2非製品領域92は、最終的に廃棄される部分である。換言すると、第2非製品領域92は、最終的に個片化された半導体装置10には残らない部分である。なお、図8に示した例では、第2基板90が9個の第2製品領域91を有するが、第2製品領域91の数は特に制限されない。以下では、説明の簡略化のために、1つの第2製品領域91とその1つの第2製品領域91の周囲に設けられた第2非製品領域92とに着目して説明を行う。
【0055】
図8及び図9に示すように、第2基板90の各第2製品領域91には、本体部42と突出部43とリード部44とを有するベース部41が形成されている。換言すると、図8に示すように、各第2製品領域91には、本体部42と突出部43とリード部44とを画定する開口部91Xが形成されている。図9に示すように、各第2製品領域91には、ベース部41のうち突出部43及びリード部44に対応する部分の上面に凹部91Yが形成されている。すなわち、本例の突出部43及びリード部44は、ベース部41の上面側から薄化されている。以上説明した開口部91X及び凹部91Yは、例えば、エッチング加工やプレス加工により形成することができる。
【0056】
図8に示すように、第2非製品領域92の第2連結領域94には、図中上下方向に隣接する2個の第2製品領域91に形成されたリード部44同士を連結する連結部95が形成されている。換言すると、各第2製品領域91に形成されたリード部44は、連結部95を介して、図中上下方向に隣接する第2製品領域91に形成されたリード部44と連結されている。また、各第2製品領域91に形成されたリード部44は、例えば、図中左右方向に隣接する第2製品領域91に形成されたリード部44と直接連結されている。
【0057】
図9に示す工程では、第2非製品領域92における第2基板90の下面に金属層96を形成する。本例では、第2非製品領域92における第2基板90の下面の一部に部分的に金属層96を形成する。金属層96は、例えば、第2基板90を給電層に利用する電解めっき法により形成することができる。例えば、金属層96の形成領域以外の第2基板90の表面全面を被覆するレジスト層を形成し、そのレジスト層をめっきマスクとした電解めっき法により、レジスト層から露出される第2基板90上に金属層96を形成する。また、スパージャ方式により金属層96を形成してもよい。金属層96としては、Ag層、Au層、Ni層、Ni層/Au層、Ni層/Pd層/Au層、Ni層/Ag層を挙げることができる。本実施形態の金属層96の最表層は、例えば、Au層、Ag層やPd層などの貴金属めっき層によって構成されている。金属層96の最表層、つまり金属層96の下面は、図7に示した第1基板80の第1接続部A1と接続される第2接続部A2として機能する。複数の第2接続部A2は、複数の第1接続部A1とそれぞれ対応する位置に設けられている。
【0058】
詳述すると、図8に示すように、第2非製品領域92の第2外周領域93には、複数列の第2接続部A2が、例えば、平面視でペリフェラル状に配置されている。すなわち、第2外周領域93に設けられた複数列の第2接続部A2は、第2基板90の外周縁に沿って設けられている。第2連結領域94に設けられた連結部95には、複数の第2接続部A2が設けられている。連結部95に設けられた第2接続部A2は、図中上下方向に隣接する2個の第2製品領域91の間に設けられている。
【0059】
続いて、図10に示す工程では、金属層96の周囲を囲む第2基板90の表面に表面処理層45を形成する。本実施形態の表面処理層45は、酸化膜である。表面処理層45は、例えば、陽極酸化法を用いて形成することができる。陽極酸化法は、例えば、表面処理層45が形成される前の第2基板90を陽極として電解液である陽極酸化処理液中に浸漬し、この第2基板90に対向配置される白金(Pt)等の電極を陰極として通電(パルス電圧を印加)する方法である。このような陽極酸化法により、第2基板90の表面全体に酸化膜である表面処理層45が形成される。但し、金属層96は、貴金属めっき層からなるため、陽極酸化されない。このため、表面処理層45は、金属層96の周囲を囲むように、金属層96により被覆された部分を除いた第2基板90の表面全面に形成される。この表面処理層45は、水酸化物を含む銅酸化膜であり、針状結晶を有する陽極酸化膜である。このため、表面処理層45の表面は、粗化面に形成される。なお、陽極酸化法では、陽極酸化処理液の組成、電圧や処理時間などの処理条件を調整することにより、表面処理層45の厚さを調整することができる。すなわち、陽極酸化法では、表面処理層45の厚さを所望の厚さ、ここでは0.1μm~0.2μmの範囲に容易に調整することができる。換言すると、陽極酸化法では、0.1μm~0.2μmの所望の厚さを有する表面処理層45を安定して形成することができる。
【0060】
次いで、金属層96の下面、つまり第2接続部A2上に、はんだ層97を形成する。はんだ層97は、例えば、スクリーン印刷等により、第2接続部A2上にはんだペーストを塗布することによって形成することができる。次いで、第2接続部A2上に柱状の金属ポスト98を搭載(接合)する。例えば、はんだ層97上に金属ポスト98を搭載し、所定の温度でリフロー処理を行ってはんだ層97を溶融させ、第2接続部A2上に金属ポスト98を固定する。このとき、金属層96の最表層が貴金属めっき層より構成されているため、金属層96上にはんだを好適に濡れ広がらせることができる。なお、金属ポスト98の材料としては、例えば、銅又は銅合金を用いることができる。
【0061】
ここで、はんだ層97を形成する際に第2接続部A2上に塗布されるはんだペーストには、フラックスが含まれている。このフラックスは、はんだの濡れ性を確保するために、金属層の表面の自然酸化膜を還元して除去する機能を有する。このため、金属層96の周囲に酸化膜である表面処理層45が形成されている場合には、金属層96の周囲にフラックスが流出する際に、そのフラックスが金属層96の周囲に形成された表面処理層45を還元することになる。これにより、表面処理層45においてフラックスの活性力を低下させることができる。この結果、表面処理層45では、はんだの濡れ性が得られず、はんだの濡れ広がりが抑制される。すなわち、表面処理層45は、はんだの濡れ広がりを抑制する機能を有している。但し、表面処理層45の厚さが薄すぎる場合、例えば表面処理層45の厚さが0.1μm未満である場合には、フラックスの活性力をほとんど低下させることができないため、はんだの濡れ広がりを好適に抑制できない。また、表面処理層45の厚さが厚すぎる場合、例えば表面処理層45の厚さが0.2μmよりも厚くなる場合には、表面処理層45の内部で剥離が生じやすくなるおそれがある。表面処理層45の内部で剥離が生じると、第2基板90と後工程で形成される封止樹脂50との密着性が低下するという問題が生じる。そこで、本実施形態では、表面処理層45の厚さを、0.1μm~0.2μmの範囲の厚さに設定している。
【0062】
続いて、図11に示す工程では、第1基板80の上方に、第2基板90を配置する。このとき、第1製品領域81と第2製品領域91とが互いに平面視で重なるように、第1基板80及び第2基板90を配置する。すなわち、第1製品領域81と第2製品領域91とが上下に整列するように、第1基板80及び第2基板90を配置する。さらに、第1基板80の第1接続部A1と、第2基板90の第2接続部A2及び金属ポスト98とが互いに対向するように、第1基板80及び第2基板90を配置する。
【0063】
次いで、図12に示す工程では、金属ポスト98を介して第1接続部A1と第2接続部A2とを接続するとともに、第1基板80上に第2基板90を搭載する。例えば、第1基板80のはんだ層85上に適宜フラックスを塗布した後に、第2基板90を、金属ポスト98を間に挟んだ状態で、第1基板80上に配置する。このように重ね合わされた第1基板80及び第2基板90を230℃~260℃程度の温度で加熱しつつ加圧する。これにより、はんだ層85,97が溶融し、金属ポスト98が第1接続部A1及び第2接続部A2に接合される。本工程により、金属ポスト98を介して第2基板90が第1基板80に固定されるとともに、金属ポスト98を介して第1接続部A1と第2接続部A2とが電気的に接続される。なお、本工程では、第2基板90を第1基板80に向かって押圧しながらリフロー処理が行われるが、金属ポスト98がスペーサとして機能する。このため、第1基板80と第2基板90との間の間隔を、所定の距離に好適に維持することができる。
【0064】
次に、図13に示す工程では、第1基板80と第2基板90と半導体素子30との間を充填する封止樹脂50を形成する。封止樹脂50は、第1基板80と第2基板90との間の空間を充填し、第1基板80と半導体素子30との間の空間を充填し、半導体素子30と第2基板90との間の空間を充填するように形成される。封止樹脂50は、図8に示した開口部91X及び凹部91Yを充填し、半導体素子30を全体的に被覆するように形成される。封止樹脂50は、例えば、本体部42の上面及びその本体部42の上面を被覆する表面処理層45の上面を露出するように形成される。封止樹脂50は、例えば、樹脂モールド成形法により形成することができる。例えば、封止樹脂50の材料として熱硬化性を有するモールド樹脂を用いる場合には、図12に示した構造体を金型内に収容し、その金型内に、圧力(例えば、5MPa~10MPa)を印加して流動化したモールド樹脂を導入する。その後、モールド樹脂を180℃程度の温度で加熱して硬化させることにより、封止樹脂50を形成する。そして、所要の封止処理を終えると、封止樹脂50が形成された構造体を上記金型から取り出す。なお、モールド樹脂を充填する方法としては、例えば、トランスファーモールド法、コンプレッションモールド法やインジェクションモールド法などの方法を用いることができる。
【0065】
続いて、図14に示す工程では、本体部42の上面が外部に露出されるように、表面処理層45の上面及び封止樹脂50の上面を研磨する。例えば、本体部42の上面と封止樹脂50の上面とが面一になるように、表面処理層45の上面及び封止樹脂50の上面を研磨する。表面処理層45及び封止樹脂50の研磨には、バフ研磨やブラスト処理が用いられる。
【0066】
次いで、図15に示す工程では、表面処理層45及び封止樹脂50から露出された本体部42の上面に金属層60を形成する。金属層60は、例えば、第2基板90等を給電層に利用する電解めっき法により形成することができる。
【0067】
以上の製造工程により、各第1製品領域81及び各第2製品領域91に半導体装置10に相当する構造体を形成することができる。
次に、ダイシングソー等により、図中の一点鎖線で示す切断位置、つまり第1製品領域81の外縁及び第2製品領域91の外縁に沿って、第1基板80と第2基板90と封止樹脂50とを切断し、個別の半導体装置10に個片化する。本工程により、図16に示すように、切断面である、リード部44の外側面44Sと封止樹脂50の外側面50Sと基板本体21の外側面とが面一に形成される。また、本工程により、図15に示した金属ポスト98を含む第1非製品領域82及び第2非製品領域92が除去される。
【0068】
以上の製造工程により、複数の半導体装置10を一括して製造することができる。なお、個片化後の半導体装置10は、天地逆の状態で用いることができ、または任意の角度で配置することができる。
【0069】
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
(1)半導体装置10は、配線基板20と、配線基板20に実装された半導体素子30と、半導体素子30の上方に設けられた放熱板40とを有する。半導体装置10は、配線基板20と放熱板40との間の空間及び半導体素子30と放熱板40との間の空間を充填するとともに、半導体素子30を封止する封止樹脂50を有する。放熱板40は、半導体素子30と平面視で重なる位置に設けられた本体部42と、本体部42よりも外方に突出するリード部44とを有する。リード部44は、本体部42よりも薄く形成されている。リード部44の上面は、封止樹脂50により被覆されている。リード部44のうち半導体装置10の外周縁に位置する外側面44Sが封止樹脂50の外側面50Sから露出されている。本体部42の上面は、封止樹脂50の上面から露出されている。
【0070】
この構成によれば、リード部44の上面及び下面が封止樹脂50により被覆される。これにより、リード部44を封止樹脂50に埋設させることができる。このため、アンカー効果により、リード部44と封止樹脂50との密着性を向上させることができる。したがって、リード部44を有する放熱板40が封止樹脂50から剥離することを好適に抑制できる。この結果、半導体装置10の放熱性が低下することを好適に抑制できる。
【0071】
(2)さらに、リード部44が封止樹脂50に埋設されるため、リード部44を有する放熱板40に反りが発生することを好適に抑制できる。このため、反りに起因して放熱板40が封止樹脂50から剥離することを好適に抑制できる。
【0072】
(3)本体部42の上面は、封止樹脂50から露出されている。この構成によれば、半導体素子30で生じた熱が封止樹脂50を通じて放熱板40に伝導され、その放熱板40の本体部42の上面から熱が大気中に放熱される。これにより、本体部42の上面が封止樹脂50により被覆されている場合に比べて、半導体素子30の発する熱を効率良く放熱することができる。
【0073】
(4)リード部44の外側面44Sは、封止樹脂50から露出されている。この構成によれば、半導体素子30で生じた熱が封止樹脂50を通じて放熱板40に伝導され、その放熱板40のリード部44の外側面44Sから熱が大気中に放熱される。これにより、リード部44の外側面44Sが封止樹脂50により被覆されている場合に比べて、半導体素子30の発する熱を効率良く放熱することができる。
【0074】
(5)放熱板40は、本体部42の側面から半導体装置10の外周縁側に向かって突出する突出部43を有する。突出部43は、平面視において、本体部42を取り囲むように形成されている。突出部43は、本体部42よりも薄く形成されている。封止樹脂50は、突出部43の上面及び側面を被覆している。
【0075】
この構成によれば、突出部43の上下両面及び側面が封止樹脂50により被覆される。これにより、本体部42を取り囲むように形成された突出部43を封止樹脂50に埋設させることができる。このため、アンカー効果により、突出部43と封止樹脂50との密着性を向上させることができる。したがって、突出部43を有する放熱板40が封止樹脂50から剥離することを好適に抑制できる。この結果、半導体装置10の放熱性が低下することを好適に抑制できる。
【0076】
(6)封止樹脂50と接する表面処理層45の下面45Dを粗化面に形成した。これにより、アンカー効果が生じ、放熱板40と封止樹脂50との密着性を向上させることができる。このため、放熱板40が封止樹脂50から剥離することを好適に抑制できる。
【0077】
(7)表面処理層45は、酸化膜である。この構成によれば、はんだ層97及び金属ポスト98により第1基板80と第2基板90とが接続される場合に、第2基板90の表面に設けられた表面処理層45(酸化膜)によって、フラックスの活性を低下させることができる。これにより、はんだ層97が表面処理層45上に濡れ広がることを抑制できるため、第2接続部A2以外の部分にはんだ層97が濡れ広がることを抑制できる。
【0078】
(8)放熱板40は、封止樹脂50のみによって配線基板20の上方に支持されている。換言すると、半導体装置10には、放熱板40と配線基板20とを接続する金属ポスト98等の接続部材(スペーサ)が設けられていない。このため、接続部材が設けられる場合に比べて、半導体装置10を小型化できる。
【0079】
(9)第1製品領域81の外側に設けられた第1非製品領域82と第2製品領域91の外側に設けられた第2非製品領域92とに、第1基板80と第2基板90とを接続する接続部材である金属ポスト98を設ける。そして、金属ポスト98により第1基板80と第2基板90とを接続した状態で、第1基板80と第2基板90との間の空間及び半導体素子30と第2基板90との間の空間を充填するとともに、半導体素子30を封止する封止樹脂50を形成する。
【0080】
この構成によれば、金属ポスト98によって第1基板80と第2基板90との間の距離を所望の距離に維持した状態で、封止樹脂50を形成することができる。これにより、個片化後の半導体装置10における配線基板20と放熱板40との間の距離を好適に所望の距離とすることができる。さらに、個片化後の半導体装置10における半導体素子30と放熱板40との間の距離を好適に所望の距離とすることができる。さらに、個片化後の半導体装置10には金属ポスト98が残らないため、半導体装置10を小型化できる。
【0081】
(10)第1基板80と第2基板90とが、金属ポスト98を介して接続される。この構成によれば、はんだボールにより第1基板80と第2基板90とを接続する場合に比べて、第1基板80と第2基板90とを接続する接続部材、つまり金属ポスト98を平面方向に小型化できる。
【0082】
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0083】
・上記実施形態の放熱板40の構造は適宜変更することができる。
・例えば図17に示すように、四角形をなす本体部42の外形を構成する四辺のうちの二辺のみにリード部44を設けるようにしてもよい。本変更例では、図中左右方向に互いに対向する二辺の各辺に2つずつのリード部44が設けられている。
【0084】
・例えば図18に示すように、放熱板40から突出部43(図2参照)を省略してもよい。この場合には、各リード部44は、本体部42の側面から外方に突出するように形成されている。この場合には、放熱板40のうちのリード部44のみが封止樹脂50の内部に埋め込まれる。
【0085】
・上記実施形態の本体部42の平面形状は適宜変更することができる。例えば、本体部42の平面形状を、四角形以外の多角形、円形や楕円形に変更してもよい。
・上記実施形態の表面処理層45の表面を粗化面に形成したが、これに限定されない。例えば、表面処理層45の表面を平滑面に形成してもよい。
【0086】
・上記実施形態の表面処理層45を省略してもよい。
・上記実施形態では、ベース部41の下面を被覆する表面処理層45を酸化膜に具体化したが、これに限定されない。例えば、表面処理層45を金属層に変更してもよい。
【0087】
例えば図19(a)及び図19(b)に示すように、ベース部41の下面を被覆する表面処理層を、粗面めっき層100に具体化してもよい。図19(b)に示すように、粗面めっき層100は、表面が粗面化されためっき層である。粗面めっき層100の下面100Dは、ベース部41の下面よりも表面粗度の大きい粗化面に形成されている。粗面めっき層100の下面100Dの表面粗度は、例えば、表面粗さRa値で200nm以上とすることができる。粗面めっき層100の材料としては、例えば、Ni、クロム(Cr)、Sn、コバルト(Co)、鉄(Fe)、Pdなどの金属、又はこれら金属から選択される少なくとも一種の金属を含む合金を用いることができる。本変更例の粗面めっき層100は、粗面Niめっき層である。なお、粗面めっき層100の下面100Dの粗度は、粗面めっき層100を電解めっき法にて形成する際に使用するめっき液の組成や電流密度等を調整することにより設定することができる。
【0088】
本変更例の半導体装置10では、本体部42の上面に表面処理層101が形成されている。表面処理層101は、例えば、本体部42の上面全面を被覆している。表面処理層101の上面は、粗面めっき層100の下面100Dよりも表面粗度の小さい平滑面に形成されている。表面処理層101の上面は、例えば、封止樹脂50の上面から露出されている。表面処理層101の上面は、例えば、封止樹脂50の上面と面一に形成されている。表面処理層101は、例えば、ベース部41の表面のうち本体部42の上面のみに形成されている。なお、表面処理層101としては、例えば、Ag層、Au層、Ni層、Ni層/Au層、Ni層/Pd層/Au層、Ni層/Ag層を挙げることができる。
【0089】
・上記実施形態における配線基板20の構造は適宜変更することができる。例えば、ソルダーレジスト層25を省略してもよい。例えば、配線層24の数及び配置は適宜変更することができる。例えば、配線層22の数及び配置は適宜変更することができる。
【0090】
・例えば図20に示すように、第1基板80と第2基板90とを接続する接続部材を、金属ポスト98以外の接続部材に変更してもよい。具体的には、接続部材を、はんだボール110に変更してもよい。はんだボール110は、例えば、球形状の銅コアボール111と、その銅コアボール111の周囲を覆うはんだ112とを有している。はんだ112は、第1接続部A1と接合されるとともに、第2接続部A2と接合されている。
【0091】
図20に示した変更例において、コア付きのはんだボール110の導電性コアボールとして銅コアボール111を用いるようにした。これに限らず、銅コアボール111の代わりに、例えば金やニッケル等の銅以外の金属により形成した導電性コアボールを用いるようにしてもよいし、樹脂により形成した樹脂コアボールを用いるようにしてもよい。あるいは、コア付きのはんだボールの代わりに、導電性コアボールや樹脂コアボールなどのコアボールを省略したはんだボールを用いるようにしてもよい。
【0092】
・上記実施形態における第1基板80の構造は適宜変更することができる。例えば、第1接続部A1の数及び配置は適宜変更することができる。例えば、図5の左右方向に隣接する2個の第1製品領域81の間に第1接続部A1を設けるようにしてもよい。
【0093】
・上記実施形態における第2基板90の構造は適宜変更することができる。例えば、第2接続部A2の数及び配置は適宜変更することができる。例えば、図8の左右方向に隣接する2個の第2製品領域91の間に第2接続部A2を設けるようにしてもよい。
【0094】
・上記実施形態の配線基板20に実装する半導体素子30の数は特に限定されない。例えば、配線基板20に複数の半導体素子30を実装するようにしてもよい。
・上記実施形態における半導体素子30の実装の形態は適宜変更することができる。半導体素子30の実装の形態としては、例えば、フリップチップ実装、ワイヤボンディング実装、はんだ実装又はこれらを組み合わせた形態が挙げられる。
【符号の説明】
【0095】
10 半導体装置
20 配線基板
24 配線層
30 半導体素子
40 放熱板
41 ベース部
42 本体部
43 突出部
44 リード部
44S 外側面
45 表面処理層
45D 下面
45S 側面
45U 上面
50 封止樹脂
50S 外側面
60 金属層
80 第1基板
81 第1製品領域
82 第1非製品領域
85 はんだ層
90 第2基板
91 第2製品領域
92 第2非製品領域
96 金属層
97 はんだ層
98 金属ポスト(接続部材)
100 粗面めっき層(表面処理層)
100D 下面
101 表面処理層
110 はんだボール(接続部材)
A1 第1接続部
A2 第2接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図18
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図20