(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131646
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】光モジュール
(51)【国際特許分類】
H01S 5/022 20210101AFI20240920BHJP
H01L 31/0232 20140101ALI20240920BHJP
【FI】
H01S5/022
H01L31/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042044
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米澤 英徳
(72)【発明者】
【氏名】石川 陽三
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 敦
(72)【発明者】
【氏名】山本 篤司
(72)【発明者】
【氏名】堀川 浩二
(72)【発明者】
【氏名】水嶋 玲
(72)【発明者】
【氏名】田村 修一
【テーマコード(参考)】
5F149
5F173
【Fターム(参考)】
5F149BA26
5F149BB01
5F149EA14
5F149JA01
5F149JA07
5F149JA10
5F149JA12
5F149KA06
5F149KA17
5F149XB05
5F173MC30
5F173ME74
5F173ME88
5F173ME90
5F173MF40
(57)【要約】
【課題】例えば、光半導体素子が基板にフリップチップ実装された構成において生じる問題を減らすことが可能な、改善された新規な光モジュールを得る。
【解決手段】光モジュールは、例えば、第一方向と交差し当該第一方向を向いた面を有した基板と、面にフリップチップ実装された光半導体素子と、を備え、光半導体素子は、基板の第一方向と交差した第二方向の縁から第二方向に部分的に突出し、第一方向に見た場合に光半導体素子を部分的に視認可能である。光モジュールでは、光半導体素子は、当該光半導体素子に設けられ光が入力されるかまたは光を出力する第一部位と、当該第一部位と相対的に位置合わせされ第一方向に見た場合に視認可能なマーク部と、を有してもよい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向と交差し当該第一方向を向いた面を有した基板と、
前記面にフリップチップ実装された光半導体素子と、
を備え、
前記光半導体素子は、前記基板の前記第一方向と交差した第二方向の縁から前記第二方向に部分的に突出し、
前記第一方向に見た場合に前記光半導体素子を部分的に視認可能な、光モジュール。
【請求項2】
前記光半導体素子は、当該光半導体素子に設けられ光が入力されるかまたは光を出力する第一部位と、当該第一部位と相対的に位置合わせされ前記第一方向に見た場合に視認可能なマーク部と、を有した、請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記光半導体素子に対して前記第一方向と交差した方向にずれて位置し、前記第一部位と光学的に接続された光学部品を備えた、請求項2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記マーク部は、前記光半導体素子の縁を含む、請求項2に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記マーク部は、前記光半導体素子を前記第一方向に撮影した画像中で輝度差を生じる部位を含む、請求項2に記載の光モジュール。
【請求項6】
前記マーク部は、凹凸によって前記画像中で輝度差を生じる部位を含む、請求項5に記載の光モジュール。
【請求項7】
前記マーク部は、色によって前記画像中で輝度差を生じる部位を含む、請求項5に記載の光モジュール。
【請求項8】
前記マーク部は、屈折率差によって前記画像中で輝度差を生じる部位を含む、請求項5に記載の光モジュール。
【請求項9】
前記マーク部は、前記光半導体素子の外面に設けられた部位を含む、請求項5に記載の光モジュール。
【請求項10】
前記マーク部は、前記光半導体素子の内部に設けられた部位を含み、
前記画像は、前記光半導体素子を少なくとも部分的に透過する光により撮影された画像である、請求項5に記載の光モジュール。
【請求項11】
前記光半導体素子は、光電気集積素子である、請求項1に記載の光モジュール。
【請求項12】
前記光半導体素子は、前記第一部位として、複数の第一部位を有した、請求項2に記載の光モジュール。
【請求項13】
前記複数の第一部位は、複数の光入力部を含む、請求項12に記載の光モジュール。
【請求項14】
前記複数の第一部位は、複数の光出力部を含む、請求項12に記載の光モジュール。
【請求項15】
前記複数の第一部位は、少なくとも一つの光入力部と少なくとも一つの光出力部とを含む、請求項12に記載の光モジュール。
【請求項16】
前記基板の前記縁は、前記第一方向および前記第二方向と交差した第三方向に沿って直線状に延びた縁である、請求項1~15のうちいずれか一つに記載の光モジュール。
【請求項17】
第一方向と交差し当該第一方向を向いた面を有した基板と、
前記面にフリップチップ実装された光半導体素子と、
を備え、
前記基板は、少なくとも前記第一方向に前記光半導体素子と重なる部位において、視認光に対する透明部位を有し、
前記基板を前記第一方向に見た場合に前記透明部位を介して前記光半導体素子を少なくとも部分的に視認可能に構成された、光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光半導体素子が基板にフリップチップ実装された光モジュールが知られている(例えば、特許文献1)。光半導体素子は、例えば、変調器や、コヒーレントミキサ等である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フリップチップ実装は、ワイヤボンディング実装に比べて、インピーダンスを整合しやすくなる分、より高い周波数の信号に対する伝送損失を減らすことができるという利点がある。
【0005】
しかしながら、実際に光半導体素子を基板にフリップチップ実装するに際しては、例えば、他の部品との位置ずれのような問題が生じる虞がある。
【0006】
そこで、本発明の課題の一つは、例えば、光半導体素子が基板にフリップチップ実装された構成において生じる問題を減らすことが可能な、改善された新規な光モジュールを得ること、である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の光モジュールは、例えば、第一方向と交差し当該第一方向を向いた面を有した基板と、前記面にフリップチップ実装された光半導体素子と、を備え、前記光半導体素子は、前記基板の前記第一方向と交差した第二方向の縁から前記第二方向に部分的に突出し、前記第一方向に見た場合に前記光半導体素子を部分的に視認可能である。
【0008】
前記光モジュールでは、前記光半導体素子は、当該光半導体素子に設けられ光が入力されるかまたは光を出力する第一部位と、当該第一部位と相対的に位置合わせされ前記第一方向に見た場合に視認可能なマーク部と、を有してもよい。
【0009】
前記光モジュールは、前記光半導体素子に対して前記第一方向と交差した方向にずれて位置し、前記第一部位と光学的に接続された光学部品を備えてもよい。
【0010】
前記光モジュールでは、前記マーク部は、前記光半導体素子の縁を含んでもよい。
【0011】
前記光モジュールでは、前記マーク部は、前記光半導体素子を前記第一方向に撮影した画像中で輝度差を生じる部位を含んでもよい。
【0012】
前記光モジュールでは、前記マーク部は、凹凸によって前記画像中で輝度差を生じる部位を含んでもよい。
【0013】
前記光モジュールでは、前記マーク部は、色によって前記画像中で輝度差を生じる部位を含んでもよい。
【0014】
前記光モジュールでは、前記マーク部は、屈折率差によって前記画像中で輝度差を生じる部位を含んでもよい。
【0015】
前記光モジュールでは、前記マーク部は、前記光半導体素子の外面に設けられた部位を含んでもよい。
【0016】
前記光モジュールでは、前記マーク部は、前記光半導体素子の内部に設けられた部位を含み、前記画像は、前記光半導体素子を少なくとも部分的に透過する光により撮影された画像であってもよい。
【0017】
前記光モジュールでは、前記光半導体素子は、光電気集積素子であってもよい。
【0018】
前記光モジュールでは、前記光半導体素子は、前記第一部位として、複数の第一部位を有してもよい。
【0019】
前記光モジュールでは、前記複数の第一部位は、複数の光入力部を含んでもよい。
【0020】
前記光モジュールでは、前記複数の第一部位は、複数の光出力部を含んでもよい。
【0021】
前記光モジュールでは、前記複数の第一部位は、少なくとも一つの光入力部と少なくとも一つの光出力部とを含んでもよい。
【0022】
前記光モジュールでは、前記基板の前記縁は、前記第一方向および前記第二方向と交差した第三方向に沿って直線状に延びた縁であってもよい。
【0023】
本発明の光モジュールは、例えば、第一方向と交差し当該第一方向を向いた面を有した基板と、前記面にフリップチップ実装された光半導体素子と、を備え、前記基板は、少なくとも前記第一方向に前記光半導体素子と重なる部位において、視認光に対する透明部位を有し、前記基板を前記第一方向に見た場合に前記透明部位を介して前記光半導体素子を少なくとも部分的に視認可能に構成される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、例えば、光半導体素子が基板にフリップチップ実装された構成において生じる問題を減らすことが可能な、改善された新規な光モジュールを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、第1実施形態の光モジュールの内部構成を示す例示的かつ模式的な側面図(一部断面図)である。
【
図2】
図2は、光半導体素子がフリップチップ実装された第1実施形態の基板の例示的かつ模式的な平面図である。
【
図3】
図3は、光半導体素子がフリップチップ実装された第2実施形態の基板の例示的かつ模式的な平面図である。
【
図4】
図4は、光半導体素子がフリップチップ実装された第3実施形態の基板の例示的かつ模式的な平面図である。
【
図5】
図5は、光半導体素子がフリップチップ実装された第4実施形態の基板の例示的かつ模式的な平面図である。
【
図6】
図6は、光半導体素子がフリップチップ実装された第5実施形態の基板の例示的かつ模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0027】
以下に示される複数の実施形態は、同様の構成を備えている。よって、各実施形態の構成によれば、当該同様の構成に基づく同様の作用および効果が得られる。また、以下では、それら同様の構成には同様の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される場合がある。
【0028】
本明細書において、序数は、部材や、部位、方向等を区別するために便宜上付与されており、優先順位や順番を示すものではない。
【0029】
また、各図において、X方向を矢印Xで表し、Y方向を矢印Yで表し、Z方向を矢印Zで表す。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに交差するとともに互いに直交している。
【0030】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の光モジュール100の内部構成を示す側面図である。なお、光モジュール100は、例えば、PCT/JP2021/002326(WO-A1-2021/153462)に開示される光モジュールと同様の構成を備えている。
【0031】
図1に示されるように、光モジュール100は、筐体10と、フィードスルー21と、基板22A(22)とを備えている。
【0032】
筐体10は、底壁10aと、周壁10bと、天壁10cと、を有している。底壁10aは、略四角形状かつ板状の形状を有している。底壁10aは、Z方向と交差するとともに略直交して広がっており、X方向およびY方向に略沿って延びている。周壁10bは、底壁10aの縁から、略一定の厚さで、Z方向に略沿って延びている。周壁10bは、側壁とも称されうる。天壁10cは、略四角形状かつ板状の形状を有している。また、天壁10cは、Z方向と交差するとともに略直交して広がっており、X方向およびY方向に略沿って延びている。
【0033】
周壁10bには、筐体10の内部(収容室S)と外部との間で光を透過する窓部材10dが設けられている。筐体10内では、筐体10内から筐体10外へ出射する光や、筐体10外から筐体10内へ入射した光、筐体10内のデバイスや部品を経由する光等が伝送される。
【0034】
底壁10aは、例えば、銅タングステン(CuW)、銅モリブデン(CuMo)、酸化アルミニウム(Al2O3)等の、熱伝導率の高い材料で作られる。また、周壁10bや天壁10cは、例えば、Fe-Ni-Co合金、酸化アルミニウム(Al2O3)などの熱膨張係数の低い材料で作られる。
【0035】
天壁10cの周縁は、蓋とも称され、周壁10bのZ方向の端縁とZ方向に重なっている。天壁10cの周縁と周壁10bのZ方向の端縁とが接合されることにより、筐体10内に、部品やデバイスを収容する収容室Sが形成されている。収容室S内(筐体10内)には、例えば、不活性ガスや空気のような気体が収容されている。なお、収容室Sは、気密封止されてもよい。
【0036】
フィードスルー21は、導体21aと絶縁部とを有し、筐体10の周壁10bの一部を貫通している。フィードスルー21の導体21aは、例えば、銅系金属材料のような導電性の高い金属材料で作られる。また、フィードスルー21の絶縁部は、例えば、セラミックのような絶縁体で作られる。フィードスルー21と筐体10との間の境界は、例えば、絶縁されるとともに気密封止される。
【0037】
基板22A(22)は、筐体10の底壁10aからZ方向に離れた位置において、Z方向と交差するとともに略直交して広がっており、X方向およびY方向に略沿って延びている。基板22は、Z方向の端部に位置する面22aと、Z方向の反対方向の端部に位置する面22bと、を有している。面22aは、Z方向を向くとともに当該Z方向と交差するとともに略直交して広がっており、X方向およびY方向に略沿って延びている。他方、面22bは、Z方向の反対方向を向くとともに当該Z方向と交差するとともに略直交して広がっており、X方向およびY方向に略沿って延びている。Z方向は基板22の厚さ方向の一例である。Z方向の反対方向は、第一方向の一例である。
【0038】
基板22は、絶縁体と導体とを有している。絶縁体は、例えばセラミックで作られる。また、導体は、銅系金属材料のような導電性の高い金属材料で作られる。基板22は、導体として、電極22cと、配線22dと、を含む。なお、
図1には、基板22の面22bに設けられた導体のみが示されているが、導体は、基板22の内部や面22aに設けられてもよい。
【0039】
電極22cとしての複数の電極22c1は、基板22に設けられた配線22dおよび半導体素子31と隣接した別の電極22c(
図1参照)を介して、当該半導体素子31の導体(不図示)と電気的に接続されている。これら電極22c1、配線22d、および別の電極22cを介して、光半導体素子32A(32)の導体と半導体素子31の導体との間では、比較的周波数の高い信号が伝送される。この信号は、例えば、情報を伝送する通信信号である。半導体素子31と光半導体素子32とがX方向に並んだレイアウトにおいて、電極22c1は、半導体素子31と光半導体素子32との間に位置しているため、電極22c1、配線22d、および別の電極22cを介した電気信号の経路の長さは、比較的短くすることができる。よって、本実施形態によれば、より周波数の高い信号の伝送損失を抑制することができる。
【0040】
他方、電極22cとしての複数の電極22c2も、基板22に設けられた配線22dおよび半導体素子31と隣接した別の電極22c(
図1参照)を介して、当該半導体素子31の導体(不図示)と電気的に接続されている。ただし、これら電極22c2、配線22d、および別の電極22cを介して、光半導体素子32の導体と半導体素子31の導体との間では、比較的周波数の低い信号が伝送される。この信号は、例えば、活性層を活性化する電力や、ヒータを加熱するための電力、センサによる検知信号等である。半導体素子31と光半導体素子32とがX方向に並んだレイアウトにおいては、電極22c2は、半導体素子31と光半導体素子32との間から外れて位置しているため、電極22c2、配線22d、および別の電極22cを介した電気信号の経路の長さは、比較的長くなる。しかしながら、周波数が比較的低い信号や電力の伝送においては、特に支障を来さない程度の長さとすることができる。
【0041】
基板22の面22bには、半導体素子31および光半導体素子32が、それぞれフリップチップ実装されている。すなわち、半導体素子31および光半導体素子32は、基板22と底壁10aとの間に位置している。面22bは、実装面とも称されうる。なお、本実施形態では、少なくとも光半導体素子32と基板22との間には、アンダーフィルは設けられない。
【0042】
半導体素子31は、例えば、変調器ドライバや、トランスインピーダンスアンプである。また、光半導体素子32は、例えば、変調器や、コヒーレントミキサ等である。
【0043】
基板22の導体は、半導体素子31の導体と、光半導体素子32の導体と、を電気的に接続している。また、基板22の導体は、フィードスルー21の導体21aと、半導体素子31の導体と、を電気的に接続している。基板22は、インターフェース基板とも称されうる。
【0044】
半導体素子31に対して基板22とは反対側には、熱伝導シート41および伝熱ブロック42が設けられている。熱伝導シート41および伝熱ブロック42は、半導体素子31と筐体10の底壁10aとの間に介在している。また、熱伝導シート41は、半導体素子31と伝熱ブロック42との間に介在している。熱伝導シート41は、可撓性を有している。伝熱ブロック42は、熱伝導シート41と底壁10aとの間に介在している。伝熱ブロック42は、例えば、銅系金属材料のような熱伝導性の高い金属材料で作られる。さらに、底壁10aに対して伝熱ブロック42とは反対側における筐体10の外側には、フィンを有したヒートシンク50が設けられている。ヒートシンク50は、例えば、アルミニウム系金属材料のような熱伝導性の高い金属材料で作られる。このような構成において、半導体素子31で生じた熱は、熱伝導シート41、伝熱ブロック42、底壁10a(筐体10)、およびヒートシンク50を介して、筐体10の外へ放出される。これら熱伝導シート41、伝熱ブロック42、底壁10a、およびヒートシンク50は、伝熱部材の一例である。
【0045】
他方、光半導体素子32に対して基板22とは反対側には、TEC43(thermoelectric cooler)が設けられている。TEC43は、冷却機構の一例である。TEC43は、光半導体素子32と底壁10aとの間に介在している。また、底壁10aに対してTEC43とは反対側における筐体10の外側にも、ヒートシンク50が設けられている。このような構成において、光半導体素子32で生じた熱は、TEC43、底壁10a(筐体10)、およびヒートシンク50を介して、筐体10の外へ放出される。これらTEC43、底壁10a、およびヒートシンク50は、伝熱部材の一例である。なお、TEC43と光半導体素子32との間、およびTEC43と底壁10aとの間のうち少なくとも一方には、伝熱部材として熱伝導シートが介在してもよい。
【0046】
底壁10a上には、例えば、光学部品33や、発光ユニット34が設けられている。
【0047】
光学部品33は、例えば、底壁10a上に接着剤等を介して取り付けられている。光学部品33は、例えば、レンズや、ミラー、ビームコンバイナ、ビームスプリッタ、光アイソレータ等である。光学部品33は、光半導体素子32(の部位32d、
図2参照)と光学的に接続されている。なお、光学部品33は、底壁10aに別の部材を介して取り付けられてもよい。
【0048】
発光ユニット34は、例えば、チップオンサブマウントである。チップオンサブマウントは、サブマウントと、当該サブマウント上に搭載された半導体レーザ素子のような発光素子と、を有している。発光ユニット34と底壁10aとの間には、光半導体素子32に対応したTEC43とは別に、TEC43が介在している。なお、発光ユニット34は、ケースを有し、当該ケース内にチップオンサブマウントが収容されてもよい。
【0049】
フィードスルー21の一部、基板22、半導体素子31、光半導体素子32、光学部品33、発光ユニット34、熱伝導シート41、伝熱ブロック42、およびTEC43は、筐体10内、すなわち収容室S内に、収容されている。また、筐体10内には、例えば、キャパシタや、配線板のような、電気部品が収容されてもよい。電気部品は、部品の一例である。
【0050】
[基板、半導体素子、および光半導体素子の配置]
図2は、半導体素子31および光半導体素子32がフリップチップ実装された基板22A(22)の、Z方向の反対方向に見た場合における平面図である。
図2に示されるように、半導体素子31と光半導体素子32とは、X方向に並んでいる。
【0051】
図2に例示される基板22には、例えば、光を出力するかあるいは光を受光する光半導体素子32と、当該光半導体素子32に対応した半導体素子31と、がフリップチップ実装されている。具体的には、基板22に、例えば、変調器のような光を出力する光半導体素子32が実装された場合、当該基板には、例えば、変調器ドライバのような半導体素子31が実装される。また、基板22に、例えば、コヒーレントミキサのような光を受光する光半導体素子32が実装された場合、当該基板22には、例えば、トランスインピーダンスアンプのような半導体素子31が実装される。ただし、これには限定されず、基板22には、光を出力する光半導体素子32と、当該光を出力する光半導体素子32に対応した半導体素子31と、光を受光する光半導体素子32と、当該光を受光する光半導体素子32に対応した半導体素子31と、が実装されてもよい。
【0052】
ここで、
図2および
図1に示されるように、本実施形態では、光半導体素子32は、基板22のX方向の縁22eから、X方向に部分的に突出しており、光半導体素子32のうち縁22eに対してX方向にずれた範囲が、Z方向に露出している。すなわち、光モジュール100は、例えば、筐体10の天壁10c(
図1参照)のような基板22に対してZ方向に視認の障害となる部材や部位が無い状態で、Z方向の反対方向に見た場合に、光半導体素子32が部分的に視認可能となるよう、構成されている。なお、基板22の縁22eは、Y方向に線状に延びている。X方向は、第二方向の一例である。また、Y方向は、第三方向の一例である。
【0053】
そして、光半導体素子32のうち、基板22から露出した部位に、光が入力されるかまたは光を出力する部位32dと、例えば光学部品33との位置合わせに用いることが可能なマーク部60と、が設けられている。マーク部60は、光半導体素子32の製造時に、部位32dと相対的に所定の位置関係となるよう、設けられる。この場合、マーク部60は、例えば、Z方向の反対方向に見た場合にY方向における部位32dとの間隔が所定値となるよう、設けられる。
【0054】
マーク部60は、例えば、アライメントマーク32b1,32b2である。アライメントマーク32b1,32b2は、光半導体素子32のZ方向の端部に位置する面32aのうち、縁22eよりX方向にずれて位置し、Z方向に露出した領域に、設けられている。アライメントマーク32b1,32b2は、例えば、金属層や、凹凸形状によって構成されうる。また、面32aは、Z方向を向くとともに当該Z方向と交差するとともに略直交して広がっており、X方向およびY方向に略沿って延びている。面32aは、電極(不図示)が設けられ基板22の面22bと対向した被実装面である。
【0055】
アライメントマーク32b1は、所定方向(この場合はX方向)に延びた部位を有し、線状に形成されている。他方、アライメントマーク32b2は、互いに交差するとともに略直交する二つの方向(この場合はX方向およびY方向)に延びた部位を有し、十字状に形成されている。このように、アライメントマーク32bが、所定方向に延びた部位を有することにより、光半導体素子32の姿勢や光軸方向等を把握しやすくなる。なお、アライメントマーク32b1,32b2の位置や、形状、大きさ、数等のスペックは、
図2の例には限定されない。
【0056】
また、マーク部60は、例えば、光半導体素子32のY方向またはY方向の反対方向の端部に位置した縁32cであってもよい。縁32cは、X方向に線状に延びている。
【0057】
マーク部60は、光半導体素子32の部位32dと、他の部品、例えば光学部品33との位置合わせに用いられてもよい。ただし、これには限定されず、マーク部60は、光半導体素子32が実装された基板22、すなわち光半導体素子32、半導体素子31、および基板22が一体化された基板アセンブリと、筐体10あるいは他の部品との位置合わせに用いられてもよい。
【0058】
また、マーク部60は、本実施形態のように、複数箇所に設けられてもよい。このように、マーク部60が複数箇所に設けられることにより、光半導体素子32の姿勢や光軸方向等を把握しやすくなる。
【0059】
以上、説明したように、光半導体素子32にマーク部60が設けられていることにより、例えば、マーク部60の視認による位置合わせ作業の容易化や、位置合わせ精度の向上といった利点が得られる。なお、マーク部60の視認は、カメラ等による撮像画像に対する画像処理による位置検出や、目視を含む。
【0060】
なお、マーク部60は、種々の構成によって実現することができる。例えば、画像処理による位置検出を行う場合、マーク部60は、光半導体素子32をZ方向の反対方向に撮影した画像中で輝度差を生じる部位であればよい。具体的には、例えば、マーク部60は、面32a上に設けられた凹凸や色によって、他の領域との間で輝度差が生じる境界、線、あるいは領域であればよい。また、Z方向の反対方向の撮影に用いる光に対して、屈折率差によって輝度差が生じる輝度差が生じる境界、線、あるいは領域であればよい。面32aは、光半導体素子32の外面の一例である。
【0061】
また、マーク部60は、光半導体素子32の内部に設けられてもよい。この場合、光半導体素子32を少なくとも部分的に透過する光によって撮影された画像中で、輝度差が生じる輝度差が生じる境界あるいは領域としてのマーク部60を視認することができる。例えば、光半導体素子32が、視認光に対して比較的透過率の高い材料と、比較的透過率の低い材料とを有し、当該比較的透過率の低い材料の部位が比較的透過率の高い材料中に埋め込まれたような場合に、当該比較的透過率の低い材料の部位が、マーク部60となり得る。なお、視認光は、視認に用いられる光であり、作業者等の人間が目視する場合には例えば、可視光である。また、視認光は、カメラによって画像を撮影する場合は、カメラにおいて画像の撮影に用いられる光であり、具体的には、可視光や赤外光である。
【0062】
また、本実施形態では、半導体素子31および光半導体素子32に対して基板22とは反対側に設けられた、熱伝導シート41や、伝熱ブロック42、底壁10a、ヒートシンク50のような伝熱部材や、TEC43のような冷却機構によって、半導体素子31および光半導体素子32で生じた熱を、基板22とは反対側に伝達し、放出することができる。半導体素子31および光半導体素子32が基板22にフリップチップ実装されている構成にあっては、基板22を経由した放熱経路を確保するのが難しく、半導体素子31および光半導体素子32で生じた熱の放熱性が低下し、光モジュール100の所期の特性が得られ難くなったり、光モジュール100の信頼性が低下したりする虞がある。この点、本実施形態では、半導体素子31および光半導体素子32で生じた熱を、基板22とは反対側に伝達し、放出することができるため、半導体素子31および光半導体素子32が基板22にフリップチップ実装された構成にあっても、所要の放熱性を確保しやすくなり、光モジュール100の所期の特性が得られやすくなったり、光モジュール100の所要の信頼性を確保しやすくなったり、といった効果が得られる。
【0063】
[第2実施形態]
図3は、第2実施形態の光半導体素子32B(32)がフリップチップ実装された基板22B(22)の、Z方向の反対方向に見た場合における平面図である。
図3に示されるように、本実施形態でも、光半導体素子32B(32)は、部分的に基板22B(22)から露出している。よって、本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0064】
ただし、本実施形態では、光半導体素子32B(32)は、光半導体素子と半導体素子とが一体的に構成された、光電気集積素子である。この場合、部品点数が減る分、製造の手間や時間を減らすことができるという効果が得られる。
【0065】
[第3実施形態]
図4は、第3実施形態の光半導体素子32C(32)がフリップチップ実装された基板22C(22)の、Z方向の反対方向に見た場合における平面図である。
図4に示されるように、本実施形態でも、光半導体素子32C(32)は、部分的に基板22C(22)から露出している。本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の構成に基づく同様の効果が得られる。
【0066】
ただし、本実施形態では、光半導体素子32C(32)は、複数の部位32dを有している。本実施形態では、一例として、複数の部位32dとして二つの部位32dが設けられており、これら二つの部位32dには、それぞれ、光Liが入力される。また、各部位32dに対応して、マーク部60としてのアライメントマーク32b1が設けられている。そして、光モジュール100には、各部位32dと光学的に接続された光学部品33が設けられている。部位32dは、光入力部の一例である。
【0067】
第1実施形態と同様の効果は、本実施形態のように、部位32dおよび光学部品33が複数設けられた光モジュール100においても得られる。
【0068】
[第4実施形態]
図5は、第4実施形態の光半導体素子32D(32)がフリップチップ実装された基板22D(22)の、Z方向の反対方向に見た場合における平面図である。
図5に示されるように、本実施形態でも、光半導体素子32D(32)は、部分的に基板22D(22)から露出している。また、光半導体素子32D(32)は、複数の部位32dとして二つの部位32dが設けられている。さらに、各部位32dと光学的に接続された光学部品33が設けられている。本実施形態によっても、上記第2実施形態と同様の構成に基づく同様の効果が得られる。
【0069】
ただし、本実施形態では、二つの部位32dのうちの一つには、光Liが入力されるのに対し、二つの部位32dのうちの一つは、光Loを出力する。光Liが入力される部位32dは、光入力部の一例であり、光Loを出力する部位32dは、光出力部の一例である。
【0070】
第3実施形態と同様の効果は、本実施形態のように、光半導体素子32D(32)が、光Liが入力される部位32dと、光Loを出力する部位32dと、を有する光モジュール100においても得られる。
【0071】
[第5実施形態]
図6は、第5実施形態の光半導体素子32E(32)がフリップチップ実装された基板22E(22)の、Z方向の反対方向に見た場合における平面図である。
【0072】
本実施形態では、光半導体素子32E(32)は、基板22E(22)から露出していない。ただし、本実施形態では、基板22E(22)は、視認光に対する透明部位を有している。一例として、基板22Eの絶縁体が、全体的に透明な材料で構成される。基板22E(22)が、少なくとも部分的に透明であるため、例えば、筐体10の天壁10c(
図1参照)のような基板22E(22)に対してZ方向に視認の障害となる部材や部位が無い状態で、マーク部60としてのアライメントマーク32b1を、透明部位としての基板22Eの絶縁体を介して、Z方向の反対方向に視認することが可能となる。したがって、本実施形態によれば、例えば、マーク部60の視認による位置合わせ作業の容易化や、位置合わせ精度の向上といった利点が得られる。なお、基板22Eは、視認光に対する透過率の比較的高い部分と、視認光に対する透過率の比較的低い部分と、を有してもよいし、光半導体素子32Eのマーク部60を少なくとも部分的に視認可能な構成であってもよい。
【0073】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、型式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0074】
10…筐体
10a…底壁
10b…周壁
10c…天壁
10d…窓部材
21…フィードスルー
21a…導体
22,22A~22E…基板
22a…面
22b…面
22c,22c1,22c2…電極
22d…配線
22e…縁
31…半導体素子
32,32A~32E…光半導体素子
32a…面
32b1,32b2…アライメントマーク
32c…縁
32d…部位(光入力部、光出力部)
33…光学部品(部品)
34…発光ユニット
41…熱伝導シート(伝熱部材)
42…伝熱ブロック(伝熱部材)
43…TEC(冷却機構、伝熱部材)
50…ヒートシンク(伝熱部材)
60…マーク部
100…光モジュール
Li,Lo…光
S…収容室
X…方向(第二方向)
Y…方向(第三方向)
Z…方向(第一方向の反対方向)