(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131695
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】後処理装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 37/04 20060101AFI20240920BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240920BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B65H37/04
G03G15/00 431
G03G15/00 550
G03G21/16 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042115
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】高山 亮太
(72)【発明者】
【氏名】柴崎 勇介
(72)【発明者】
【氏名】廣野 雄祐
(72)【発明者】
【氏名】篠田 淳
(72)【発明者】
【氏名】東海枝 秀斗
(72)【発明者】
【氏名】平田 聡
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 真悟
(72)【発明者】
【氏名】藤田 涼香
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直文
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 賢裕
(72)【発明者】
【氏名】森永 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕史
(72)【発明者】
【氏名】野崎 航
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 日奈子
(72)【発明者】
【氏名】山田 淳
【テーマコード(参考)】
2H072
2H171
3F108
【Fターム(参考)】
2H072GA07
2H171FA01
2H171FA03
2H171GA02
2H171HA03
2H171HA19
2H171HA24
3F108GA01
3F108GB01
3F108HA02
3F108HA11
3F108HA32
(57)【要約】
【課題】マニュアル操作による後処理において、後処理手段の移動に伴う待機時間を短縮可能な後処理装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置から排出された用紙を搬送する搬送手段と、外部から用紙が手差し挿入されるスリット部23と、搬送手段により搬送された用紙及びスリット部23に挿入された用紙に後処理を行う後処理手段(19、26)と、後処理手段が載置されるステージ部材27と、本体処理位置とマニュアル処理位置との間で、後処理手段(19、26)をステージ部材27とともに移動させる移動手段と、移動手段、ステージ部材27及び後処理手段を一体にスライド移動させるスライド手段と、開口部25cと、を備え、スライド手段(スライド部材31)は、後処理手段19の少なくとも一部を、開口部25cを介して筐体25の外部へ移動させる後処理装置100。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に搭載される後処理装置において、
前記画像形成装置から排出された用紙を搬送する搬送手段と、
外部から用紙が手差し挿入されるスリット部と、
前記搬送手段により搬送された用紙及び前記スリット部に挿入された用紙に後処理を行う後処理手段と、
前記後処理手段が載置されるステージ部材と、
前記搬送手段により搬送された用紙に後処理を行う本体処理位置と、前記スリット部に挿入された用紙に後処理を行うマニュアル処理位置との間で、前記後処理手段を前記ステージ部材とともに移動させる移動手段と、
前記移動手段、前記ステージ部材及び前記後処理手段を一体にスライド移動させるスライド手段と、
筐体の前記マニュアル処理位置側の側面に設けられた開口部と、を備え、
前記スライド手段は、前記後処理手段の少なくとも一部を、前記開口部を介して前記筐体の外部へ移動させることを特徴とする後処理装置。
【請求項2】
前記後処理手段は移動方向に沿って隣接する二つの後処理手段を有し、
前記マニュアル処理位置において後処理を実行する第一の後処理手段に対し、後処理を実行しない第二の後処理手段が前記開口部側に位置するとき、
前記スライド手段によって、前記開口部を介して前記第二の後処理手段を前記筐体の外部へ移動させ、前記第一の後処理手段を前記マニュアル処理位置に配置させることを特徴とする請求項1に記載の後処理装置。
【請求項3】
前記後処理手段が綴じ手段であり、前記綴じ手段が針有綴じ装置及び針無綴じ装置であることを特徴とする請求項1または2に記載の後処理装置。
【請求項4】
前記後処理手段の処理部を遮蔽する遮蔽機構を備え、
前記遮蔽機構は、前記筐体の外部へ移動する前記後処理手段の前記処理部を遮蔽することを特徴とする請求項1または2に記載の後処理装置。
【請求項5】
前記後処理手段を前記ステージ上で変位させる変位手段を備え、
前記変位手段は、前記筐体の外部へ移動した前記後処理手段をスライド移動方向と直交する方向に変位させることを特徴とする請求項4に記載の後処理装置。
【請求項6】
前記後処理手段の導通状態を切り替えるスイッチ部材を備え、
前記スイッチ部材は前記スライド手段の移動に連動して作動し、前記筐体の外部へ移動した前記後処理手段を非導通状態とすることを特徴とする請求項1または2に記載の後処理装置。
【請求項7】
前記スライド手段を動作させないためのスライドロック機構を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の後処理装置。
【請求項8】
前記搬送手段により搬送された用紙に後処理を実行せずに排出する排紙動作、及び前記スリット部に挿入された用紙に後処理を行うマニュアル処理動作を同時に実行可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の後処理装置。
【請求項9】
請求項1または2に記載の後処置装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後処理装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置で画像が形成された用紙に対して綴じ処理等の後処理を行う手段を備えた後処理装置が知られている。このような後処理装置において、ユーザが手差しで挿入した用紙に対してマニュアル操作により後処理(マニュアル綴じ)を行う機構を備えた構成が知られている。
【0003】
また、後処理手段として複数の装置を備える構成が知られており、例えば、綴じ処理を行う後処理装置では、用紙の端部に針を打ち込んで綴じる方式の「針有綴じ装置(針有ステープラ)」と、針を用いずに綴じる方式の「針無綴じ装置(針無ステープラ)」とを備える構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1には、針有綴じ装置(針ステイプラ)及び針無綴じ装置(針無しステイプラ)を所望の位置へ移動させるための機構が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
後処理装置では、マニュアル綴じを実行するために、針有綴じ装置及び針無綴じ装置のいずれか一方を所定の綴じ位置へ移動させるための動作が行われる。
しかしながら、綴じ処理に用いる一方の綴じ装置を所定の綴じ位置まで移動させる際、他方の綴じ装置を退避経路や退避位置等に移動させる必要があり、マニュアル綴じの実行開始までに長い待機時間が生じてしまうという課題があった。
【0006】
そこで本発明は、マニュアル操作による後処理において、後処理手段の移動に伴う待機時間を短縮可能な後処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の後処理装置は、画像形成装置に搭載される後処理装置において、前記画像形成装置から排出された用紙を搬送する搬送手段と、外部から用紙が手差し挿入されるスリット部と、前記搬送手段により搬送された用紙及び前記スリット部に挿入された用紙に後処理を行う後処理手段と、前記後処理手段が載置されるステージ部材と、前記搬送手段により搬送された用紙に後処理を行う本体処理位置と、前記スリット部に挿入された用紙に後処理を行うマニュアル処理位置との間で、前記後処理手段を前記ステージ部材とともに移動させる移動手段と、前記移動手段、前記ステージ部材及び前記後処理手段を一体にスライド移動させるスライド手段と、筐体の前記マニュアル処理位置側の側面に設けられた開口部と、を備え、前記スライド手段は、前記後処理手段の少なくとも一部を、前記開口部を介して前記筐体の外部へ移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、マニュアル操作による後処理において、後処理手段の移動に伴う待機時間を短縮可能な後処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】後処理装置と画像形成装置からなる画像形成システムの構成の一例を説明する模式図である。
【
図2】
図1の画像形成システムの一例を示すブロック図である。
【
図3】画像形成システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】本発明に係る後処理装置の一例を模式的に示す平面図(A)及び外観斜視図(B)である。
【
図5】本発明に係る後処理装置の一例を模式的に示す側面図である。
【
図6】本発明に係る後処理装置の一例を模式的に示す平面図(A)及び要部説明図(B)である。
【
図7】本発明に係る後処理装置の一例を模式的に示す平面図(A)及び要部説明図(B)である。
【
図8】本発明に係る後処理装置の一例を模式的に示す平面図(A)及び要部説明図(B)である。
【
図9】後処理手段を筐体の外部へ移動させた状態を示すイメージ図である。
【
図10】本発明に係る後処理装置の一例を模式的に示す平面図(A)及び要部説明図(B)である。
【
図11】本発明に係る後処理装置の一例を模式的に示す平面図(A)及び要部説明図(B)である。
【
図12】後処理手段を筐体の外部へ移動させた状態を示すイメージ図である。
【
図13】後処理手段を筐体の外部へ移動させた状態を示すイメージ図である。
【
図14】本発明に係る後処理装置の一例を模式的に示す平面図(A)及び要部説明図(B)である。
【
図15】スライド検知センサによるスライド部材の検知を模式的に示す説明図である。
【
図16】スライド部材を手動で操作する流れの一例を示すフローチャートである。
【
図17】スライド部材を手動で操作する流れの一例を示すフローチャートである。
【
図18】スライド部材を自動で移動させる流れの一例を示すフローチャートである。
【
図19】スライド部材を自動で移動させる流れの一例を示すフローチャートである。
【
図20】針有綴じ装置を筐体の外部へ移動させ、針無綴じ装置をマニュアル綴じ位置に配置させた状態を示す要部イメージ図である。
【
図21】本発明に係る後処理装置の一例を模式的に示す平面図(A)及び要部説明図(B)である。
【
図22】変位手段が後処理手段をスライド移動方向と直交する方向に変位させる機構を模式的に示す説明図である。
【
図23】本発明に係る後処理装置の一例を模式的に示す平面図である。
【
図24】本発明に係る後処理装置の一例を模式的に示す平面図(A)及び要部説明図(B)である。
【
図25】画像形成装置から排出された用紙をステープルモードで処理する流れの説明図である。
【
図26】画像形成装置から排出された用紙をシフト排紙モードで排出する流れの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る後処理装置および画像形成装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0011】
図1は後処理装置及び画像形成装置からなる画像形成システムの構成の一例を説明する外観模式図である。
画像形成装置300は、例えば、公知の電子写真プロセスにより媒体に対して画像を形成する装置である。
以下の説明では、画像形成装置300、後処理装置100及びオプション装置200で処理される媒体を用紙として説明するが、媒体は紙媒体に限定されず、例えばプラスチック製、布製、金属製のシート等であってもよい。
【0012】
図1(A)は後処理装置(インナーフィニッシャー)100を搭載した画像形成装置の構成例である。画像形成装置300で画像形成処理が実施され排出された用紙は、後処理装置100に搬送され、綴じ処理等の後処理が実施される。
【0013】
図1(B)は後処理装置100及びオプション装置200を搭載した画像形成装置の構成例である。画像形成装置300で画像形成処理が実施され排出された用紙は、オプション装置200に搬送されてパンチ処理や折り処理等の後処理が実施された後、後処理装置100に搬送され、綴じ処理等の後処理が実施される。なお、オプション装置200は、ユーザが搭載/非搭載を適宜選択することができる装置である。
【0014】
図2は
図1に示した画像形成装置300、後処理装置100及びオプション装置200で構成されるシステムの一例を示すブロック図である。図中、通信信号の流れを実線で示し、用紙の流れを破線で示している。
【0015】
図2(A)は、
図1(A)の画像形成システムのブロック図である。
画像形成装置300は、ユーザに各種機器の状態や操作内容を知らせるための表示部301、ユーザがモードや部数等の設定操作や入力を行うための操作部302、用紙をストックするとともに1枚ずつ分離給送する給紙部303、図示しない感光体に潜像を形成し用紙へ画像を転写させる作像部304、用紙に転写された画像を定着させる定着部305、及びこれらの各ブロックを制御する制御部306を備えている。
なお、表示部301及び操作部302は、後処理装置100の表示手段及び操作入力手段としても機能する。
【0016】
後処理装置100は、制御部102及び処理部101を備えている。
画像形成装置300の制御部306から通信ライン307を通じて制御部102に処理の指示がされ、処理部101にて指定された用紙に指定された処理が実施される。通信ライン307を通じてやりとりされる情報としては、例えば用紙に対して実施される処理の種類やモード、用紙のサイズ、処理タイミング等の情報が挙げられる。このような構成によりシステムの動作が可能となっている。
【0017】
図2(B)は、
図1(B)の画像形成システムのブロック図である。
画像形成装置300及び後処理装置100の構成は
図2(A)と同様である。
オプション装置200は、制御部202及び処理部201を備えている。
後処理装置100の制御部102から通信ライン103を通じて制御部202に処理の指示がされ、オプション装置処理部201にて指定された用紙に指定された処理が実施される。通信ライン103を通じてやりとりされる情報は、通信ライン307における情報と同様、例えば用紙に対して実施される処理の種類やモード、用紙のサイズ、処理タイミング等の情報が挙げられる。このような構成によりシステムの動作が可能となっている。
【0018】
図3は、画像形成システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
後処理装置100の制御部102は、I/F102bを介して画像形成装置300の制御部306と接続されている。後処理装置100の制御は、画像形成装置300からの処理信号に応じて行われる。
CPU102aは、演算手段であり、後処理装置100の全体の動作を制御している。
【0019】
図3では、オプション装置として、パンチ処理を行うオプション装置200及び折り処理を行うオプション装置400を備えた構成を示している。
オプション装置200の制御部202は、I/F202aを介して後処理装置100のCPU102aに接続され、オプション装置400は、I/F402aを介して後処理装置100のCPU102aに接続され、それぞれ後処理装置100の制御部102により動作が制御される。
【0020】
後処理装置100、オプション装置200及びオプション装置400は着脱可能な装置であり、I/F(102b、202a、402a)も同様に中継コネクタやドロアコネクタ等によりハード的に着脱可能な構成となっている。
【0021】
後処理装置100の制御部102には、搬送モータ111、排紙モータ112、ステープル駆動モータ113、搬送センサ114、排紙センサ115、及びステープル移動HPセンサ116が接続されている。
【0022】
オプション装置200の制御部202には、パンチ穿孔モータ211、パンチ移動モータ212、パンチ前センサ213、カバー開閉センサ214、及び穿孔ユニットHPセンサ215が接続されている。
【0023】
オプション装置400の制御部402には、折りモータ411、入口センサ412、及び折りセンサ413が接続されている。
【0024】
図4及び
図5は、本発明が適用される後処理装置100の構成を説明する図である。
後処理装置100は、例えば、後処理として綴じ処理を行う装置であり、後処理手段として綴じ手段(綴じ装置)を備えている。
本実施形態の後処理装置100は、画像形成装置300から排出された用紙に対する後処理を実行する本体部100aと、マニュアル綴じ部100bとを備えている。
図4(A)は後処理装置100の平面図、
図4(B)は外観模式図である。
図5は後処理装置100をY方向から見た側面図であり、
図5(A)は本体部100aの側面図、
図5(B)はマニュアル綴じ部100bの側面図である。
なお、
図4(A)の一点鎖線Cは、本体部100aにおいて搬送及び排紙される用紙の幅方向の中央となる基準位置を示している。
【0025】
後処理装置100は画像形成装置300から排出された用紙が搬入される入口の近傍に設けられる。
図4(A)及び
図5(A)に示すように、後処理装置100の本体部100aは、搬送経路の最も上流側に位置する入口ローラ11、その下流側に位置する搬送ローラ12、後処理装置内で用紙を搬送方向と直交する方向(幅方向)にシフトするシフトローラ13、及び用紙が載置される排紙トレイ20の近傍に設けられ、最も下流側に位置する排紙ローラ16を備えている。
【0026】
また、本体部100aは、綴じ処理の実行時に用紙の搬送方向先端部が突き当たる基準フェンス18、排紙された用紙の排紙方向後端部が突き当たるエンドフェンス21を備えている。基準フェンス18及びエンドフェンス21に衝止された用紙は搬送方向の端縁が揃えられる。
また、基準フェンス18に向けて用紙を搬送し突き当てる戻しコロ14、基準フェンス18に向けて用紙を搬送する叩きコロ15を備えている。
【0027】
また
図4(A)に示すように、本体部100aは、用紙の幅方向の端縁を揃える一対のジョガーフェンス22(22a、22b)を備えている。ジョガーフェンスは用紙のサイズに応じて変位可能である。
【0028】
また
図5(A)に示すように、本体部100aは、綴じ処理が実行されるまで用紙をスタックするステープルトレイ17を備えている。
【0029】
本実施形態の後処理装置100において、本体部100aは画像形成装置300から排出された用紙に対して綴じ処理を実施する「ステープルモード」に加え、画像形成装置300から排出された用紙に対して後処理を行わずにそのまま搬送して排紙する「排紙モード」、及び後処理を行わずに用紙のソート処理のみを行って排紙する「シフト排紙モード」を有している。いずれかのモードをユーザが適宜選択し、設定することができる。
【0030】
「ステープルモード」において、後処理装置100の本体部100aは、画像形成装置300から排出された用紙を入口ローラ11により受け入れて搬入し、シフトローラ13まで搬送した後、ステープルトレイ17上に排紙し、叩きコロ15及び戻しコロ14の動作によりスイッチバックさせ、用紙端が基準フェンス18に突き当たるまで搬送する。複数の用紙を同様に搬送した後、綴じ装置19により用紙束に綴じ処理を行い、綴じられた用紙束を排紙ローラ16の回転により排紙トレイ20へ排紙する。
【0031】
ステープルモードの流れを
図25に基づき説明する。
図25(A)~(F)は、後処理装置100の本体部100aの側面図であり、画像形成装置300から排出された用紙の搬送経路及び後処理の流れを説明する図である。図中、用紙Pの搬送経路を破線で示している。また、用紙Pの搬送方向を矢印D1及びD2で示している。
【0032】
まず、
図25(A)に示すように、画像形成装置300から排出された用紙Pを入口ローラ11により受け入れ、後処理装置100内に搬入する。
次に、
図25(B)に示すように、用紙Pをシフトさせず、排紙従動ローラ16bを圧解除位置としたまま、用紙Pをステープルトレイ17に向けて搬送する。
次に、
図25(C)に示すように、シフトローラ13により用紙Pをステープルトレイ17に排紙した後、叩きコロ15により用紙Pを叩き、基準フェンス18に向けてスイッチバックさせる。
【0033】
次に、
図25(D)に示すように、叩きコロ15及び戻しコロ14により、用紙Pの端部が基準フェンス18に突き当たるまで搬送する。
基準フェンス18に突き当たった用紙Pは、
図4(A)に示すジョガーフェンス22により幅方向の端縁が揃えられる。
図25(D)に示す状態で1枚目の用紙Pを待機させ、後続の用紙Pについて同様に
図5(A)から
図25(D)に示した動作を行う。
【0034】
図25(E)に示すように、複数の用紙Pはステープルトレイ17上で順次重ねられ、整合状態の用紙束PSとしてスタックされる。用紙束PSに対し、綴じ装置19により綴じ処理が行われる。綴じ装置19は針有ステープラであり、綴じ処理により用紙束PSの所定の位置に針が打ち込まれる。排紙従動ローラ16bはニップ位置へ移動する。
【0035】
綴じ処理された用紙束PSは、
図25(F)に示すように排紙ローラ16により排紙トレイ20へ排紙される。
【0036】
「排紙モード」及び「シフト排紙モード」において、後処理装置100の本体部100aは、画像形成装置300から排出された用紙を入口ローラ11により搬入し、排紙ローラ16まで搬送した後、排紙トレイ20へ排紙する。
【0037】
シフト排紙モードの流れを
図26に基づき説明する。
図26(A)~(D)は、後処理装置100の本体部100aの側面図であり、画像形成装置300から排出された用紙の搬送経路及び後処理の流れを説明する図である。図中、用紙Pの搬送経路を破線で示している。また、用紙Pの搬送方向を矢印D1で示している。
図26(E)は
図26(B)の状態に対応する後処理装置100の平面図である。
【0038】
まず、
図26(A)に示すように、画像形成装置300から排出された用紙Pを入口ローラ11により受け入れ、後処理装置100内に搬入する。
【0039】
次に、
図26(B)に示すように、排紙従動ローラ16bがニップ圧解除状態に位置し、用紙Pの後端が搬送ローラ12を抜けた後、シフトローラ13により用紙Pを幅方向にシフトさせながら用紙Pを搬送する。
図26(E)に示す平面図では、例として用紙Pを搬送中央に対して矢印で示す方向(上側。
図26(B)では奥側)へシフトさせた状態を示している。シフトローラ13は、
図26(E)の平面図では用紙Pを搬送中央に対して下側(
図26(B)では手前側)へシフトさせる動作も行うことができる。
用紙Pのシフト方向は、用紙1枚毎または複数枚毎に切り替えることができ、所定の部数単位でシフトさせ、排紙位置をずらすことでソート処理を行うことができる。
【0040】
次に
図26(C)に示すように、用紙Pのシフトが完了した後、排紙従動ローラ16bをニップ位置へ移動させ、用紙Pを排紙トレイ20へ向けて搬送する。
搬送された用紙Pは、
図26(D)に示すように、排紙ローラ16により排紙トレイ20へ排紙される。
【0041】
後処理装置100は、後処理手段として複数の綴じ手段を備えることができる。
以下、本発明の実施形態に係る後処理装置100の綴じ手段として、針を用いて綴じ処理を行う針有綴じ装置(針有ステープラ)19と、針を用いないで綴じ処理を行う針無綴じ装置(針無ステープラ)26とを備える例について説明する。
ステープルモードにおいて、針有綴じ装置19及び針無綴じ装置26のいずれかにより綴じ処理が実施される。
また、マニュアル綴じ部100bにおけるマニュアル処理(マニュアル綴じ)においても、針有綴じ装置19及び針無綴じ装置26のいずれかにより綴じ処理が実施される。
【0042】
図4(A)中、本体部100aにおける綴じ処理時に綴じ装置が配置される位置(本体処理位置)の例をS1、マニュアル綴じ部100bおける綴じ処理時に綴じ装置が配置される位置(マニュアル処理位置)の例をS2として示している。
【0043】
マニュアル綴じ操作は、ユーザが
図5(B)に示すスタートボタン24を押下することにより開始される。スタートボタン24が押されると、挿入した用紙束(以下、単に「用紙」ともいう)に対して自動で綴じ処理が行われる。
綴じ装置は、マニュアル綴じを実施するときの綴じ位置をホームポジション(HP)とすることもできる。
【0044】
また、
図4(A)に示すように、マニュアル綴じ部100bの筐体25には、スリット部23に手差し挿入された用紙のX方向端縁を規制するためのストッパ25a、及び用紙のY方向端縁を規制するためのストッパ25bが設けられている。
用紙がスリット部23に手差し挿入されたとき、X方向の綴じ手段側の先端部はストッパ25aにより衝止され、Y方向の装置内部側の先端部はストッパ25bにより衝止され、位置決めされる。
【0045】
図5(B)に示す例において、スリット部23は、排紙トレイ20と略同一平面上に用紙が載置されるように水平方向に対して所定角度傾斜して設けられているが、スリット部23の態様はこれに限定されず、水平に設けられていてもよい。
排紙トレイ20とスリット部23の位置関係は、綴じ手段が本体部100aにおける綴じ処理及びマニュアル綴じ部100bにおける綴じ処理のいずれも行うことができる関係であれば、特に限定されない。
【0046】
本発明に係る後処理装置100は、本体部100aにおいて搬送手段により搬送された用紙に後処理を実行せずに排出する排紙動作、及びマニュアル綴じ部100bにおいてスリット部23に挿入された用紙に後処理を行うマニュアル処理動作(マニュアル綴じ動作)を同時に実行可能である。後処理を実行せずに排出する排紙動作には、シフト排紙動作が含まれる。
マニュアル処理動作中に排紙動作またはシフト排紙動作を開始することが可能であり、排紙動作またはシフト排紙動作中にマニュアル処理動作を開始することも可能である。
【0047】
図6、
図7、
図8、
図10及び
図11は、本発明に係る後処理装置の一例を模式的に示す平面図、及び後処理手段としての綴じ装置をマニュアル綴じ位置に移動させる機構の要部説明図である。綴じ手段として、針有綴じ装置19及び針無綴じ装置26を備えた例を示している。
【0048】
本実施形態の後処理装置100は、画像形成装置300に搭載される後処理装置において、画像形成装置300から排出された用紙を搬送する搬送手段と、外部から用紙が手差し挿入されるスリット部23と、搬送手段により搬送された用紙及びスリット部23に挿入された用紙に後処理を行う後処理手段(19、26)と、後処理手段(19、26)が載置されるステージ部材27と、搬送手段により搬送された用紙に後処理を行う本体処理位置S1と、スリット部23に挿入された用紙に後処理を行うマニュアル処理位置とS2の間で、後処理手段(19、26)をステージ部材27とともに移動させる移動手段と、を備えている。また移動手段、ステージ部材27及び後処理手段(19、26)を一体にスライド移動させるスライド手段と、筐体25のマニュアル処理位置側の側面に設けられた開口部25cと、を備えている。スライド手段(スライド部材31)は、後処理手段(19、26)の少なくとも一部を、開口部25cを介して筐体25の外部へ移動させる。
【0049】
後処理手段は移動方向に沿って隣接する二つの後処理手段(19、26)を有し、マニュアル処理位置S2において後処理を実行する第一の後処理手段(例えば、針無綴じ装置26)に対し、後処理を実行しない第二の後処理手段(例えば、針有綴じ装置19)が開口部25c側に位置するとき、スライド手段によって、開口部25cを介して第二の後処理手段を筐体25の外部へ移動させ、第一の後処理手段をマニュアル処理位置S2に配置させる。
【0050】
図6は、後処理手段としての針有綴じ装置19及び針無綴じ装置26を、移動手段によってマニュアル処理位置(以下、「マニュアル綴じ位置」ともいう)に移動させる機構を説明する図である。
図6(A)は後処理装置100の平面図、
図6(B)は移動手段の側面図である。
【0051】
移動手段は、移動方向の一方側に配置されるベルトモータ32と、ベルトモータによって回転駆動される駆動プーリ30aと、移動方向の他方側に配置された従動プーリ30bと、駆動プーリ30aと従動プーリ30bとの間に掛け回されたベルト29を備えている。移動手段は、スライド部材31上に設けられている。スライド部材31は装置本体(100)上に設けられている。
【0052】
ステージ部材27は下面側に支持部材(軸)28を備え、支持部材28はベルト29の一部に固定されている。
ステージ部材27上には、針有綴じ装置19及び針無綴じ装置26が隣接して設けられている。
【0053】
ベルトモータ32が図中R1で示す方向(時計回り)に回転することにより、同方向に駆動プーリ30aが回転し、これに伴いベルト29も同方向に回転する。R1方向への回転に伴い、ステージ部材27とステージ部材27上の針有綴じ装置19及び針無綴じ装置26は図中D1で示す方向(プーリ30bからプーリ30aの方向)へ移動する。
同様に、ベルトモータ32がR1と逆方向(反時計回り)に回転することにより、ステージ部材27とステージ部材27上の針有綴じ装置19及び針無綴じ装置26は図中D1で示す方向と逆方向に移動する。
【0054】
なお、本実施形態では針有綴じ装置19及び針無綴じ装置26は同一のステージ部材27上に載置され、同一の移動手段により同時に移動させているが、針有綴じ装置19と針無綴じ装置26それぞれの移動手段を備え、独立して移動させる態様であってもよい。
【0055】
図7及び
図8は、後処理手段である綴じ装置をスライド手段により手動でマニュアル綴じ位置に移動させる機構を説明する図である。
図7(A)及び
図8(A)は後処理装置100の平面図であり、
図7(B)及び
図8(B)は移動手段及びスライド手段の側面図である。
図7はスライド移動前の状態、
図8はスライド移動後の状態を示している。
【0056】
スライド手段は、スライド部材31とスライドレール33を備えている。
スライドレール33は、スライド部材31側に設けられたスライドレール33aと、後処理装置100の本体側に設けられたスライドレール33bを有している。
スライド部材31のマニュアル綴じ部100b側には、開口部25cと嵌合するスライド外装34が設けられている。
【0057】
図9は、
図8に示したスライド移動後の筐体25側面の外観イメージ図である。
スライド外装34の上部には、ユーザが掴むことができる取手部34aが設けられている。
取手部34aを持って
図7に矢印で示すD2方向にスライド部材31をスライドさせることにより、針有綴じ装置19及び針無綴じ装置26を移動させることができる。
なお、取手部34aの形状は、ユーザの掴みやすさを考慮した形状及び位置であれば、
図7、
図8及び
図9に示した形状に限定されない。
【0058】
図7及び
図8に示した例では、マニュアル処理位置S2において綴じ処理を実行する針無綴じ装置26に対し、綴じ処理を実行しない針有綴じ装置19が開口部25c側に位置しているため、スライド手段によって、開口部25cを介して針有綴じ装置19を筐体25の外部へ移動させ、針無綴じ装置26をマニュアル処理位置S2に配置させることができる。
【0059】
スライド部材31はスライドレール33に沿って往復移動可能であり、D2方向と逆方向にスライド部材31をスライドさせることにより、筐体25の外部に露出した針有綴じ装置19を筐体25の内部に戻すことができる。
【0060】
図10及び
図11は、スライド手段を自動で動作させ、後処理手段である綴じ装置をマニュアル綴じ位置に移動させる機構を説明する図である。
図10(A)及び
図11(A)は後処理装置100の平面図であり、
図10(B)及び
図11(B)は移動手段及びスライド手段の側面図である。
図10はスライド移動前の状態、
図11はスライド移動後の状態を示している。
【0061】
スライド手段は、スライド部材31とスライドレール33を備えている。
スライドレール33は、スライド部材31側に設けられたスライドレール33aと、後処理装置100の本体側に設けられたスライドレール33bを有している。
スライド部材31のマニュアル綴じ部100b側の端部には、開口部25cに嵌合するスライド外装34が設けられている。
【0062】
本実施形態のスライド手段は、スライドモータ35、ギア35a、及びスライド部材31に設けられた複数の歯31aを備えている。スライドモータ35に連結されたギア35aが歯31aと噛み合い、スライドモータ35の正逆回転駆動によりスライド部材31を往復移動させることができる。
【0063】
図10に示す例では、スライドモータ35が図中R2で示す方向(反時計回り)に回転することにより、同方向にギア35aが回転し、これに伴いスライド部材31が図中D2に示す方向へ移動する。
同様に、スライドモータ35がR2と逆方向(時計回り)に回転することにより、スライド部材31は図中D2で示す方向と逆方向に移動する。
これにより、針有綴じ装置19及び針無綴じ装置26を筐体25の内部に移動させることができる。
【0064】
図10及び
図11に示した例では、綴じ処理を実行する針無綴じ装置26に対し、綴じ処理を実行しない針有綴じ装置19が開口部25c側に位置しているため、針有綴じ装置19をスライド手段によって筐体25の外部へ移動させ、針無綴じ装置26をマニュアル綴じ位置に配置させることができる。
【0065】
図12は、
図11に示したスライド移動後の筐体25側面の外観イメージ図である。
本実施形態においてスライド手段は自動で動作するため、スライド外装34には、手動操作を容易にするための取手部34aが設けられていなくてもよい。
【0066】
以上の構成を備える本実施形態の後処理装置は、一方の綴じ装置を所定の綴じ位置まで移動させる際、他方の綴じ装置を処理位置から離れた退避経路や退避位置等に移動させる必要がなく、マニュアル綴じが開始可能となるまでの待機時間を短縮することができる。
【0067】
図7~
図12に示した例では、隣接する針有綴じ装置19及び針無綴じ装置26のうち、針有綴じ装置19が開口部25c側に位置している。針無綴じ装置26をマニュアル綴じ位置に配置するための動作において、針有綴じ装置19は筐体25の外部に移動し、針有綴じ装置19の処理部(以下、「綴じ部」ともいう)19bが露出することとなる。
この場合、
図13(A)に示すようにユーザの指60が処理部19bに接触するおそれがある。
また、針有綴じ装置19の全体が外部に露出していない状態であっても、マニュアル綴じ部100bに設けられたスリット部23にユーザの手が入り込んだとき、スリット部23を介して処理部19bに接触してしまうおそれがある。
【0068】
これに対し、本実施形態の後処理装置100は、後処理手段の処理部を遮蔽する遮蔽機構を備え、遮蔽機構が、筐体の外部へ移動する後処理手段の処理部を遮蔽することができる。
【0069】
図13(B)に示す例では、針有綴じ装置19の処理部19bを遮蔽するヘッド部19aが矢印Fで示す方向に移動(下降)することにより、露出した処理部19bを遮蔽し、指等の異物が入り込まないようにすることができる。
ヘッド部19aは、例えば、綴じ処理時に針を打ち出すドライバを備えた部材である。遮蔽機構はヘッド部19aを昇降させる機構であり、綴じ処理時にヘッド部19aを昇降させるための機構を利用することができる。
【0070】
本実施形態の後処理装置100は、スライド手段(スライド部材31)を動作させないためのスライドロック機構を備える構成とすることができる。
図14は、スライドロック機構36を説明する図である。
図14(A)は後処理装置100の平面図であり、
図14(B)はスライドロック機構の側面図である。
【0071】
本実施形態の後処理装置100では、例えば
図13(A)に示したように、露出した針有綴じ装置19の処理部19bにユーザの指が接触してしまうおそれがある。そこで、スライドロック機構36によりスライド部材31の動きを規制し、意図しないスライド動作により後処理手段(針有綴じ装置19)が外部に露出してしまうのを防止することが好ましい。特に、手動でスライド部材31を動作させる態様(
図7及び
図8)において、スライドロック機構36を備えることにより安全性が向上する。
【0072】
本実施形態のスライドロック機構36は、ロックモータ36aと、ロックモータ36に連結されたロック部材36bを備えている。ロック部材36bは、ロックモータ36aの正逆回転駆動伴ってロック位置と解除位置との間を往復移動する。
図14(A)及び
図14(B)は、ロック部材36bがスライド部材31の係合部31bに係合し、スライド部材31の移動が制限されたロック状態を示している。
この状態から、ロックモータ36aがR3で示す方向(反時計回り)に回転し、ロック部材36bがR4で示す方向(反時計回り)に移動することにより、ロック部材36bが係合部31bから離れ、干渉しない位置へ移動する。これによりロック状態が解除され、スライド部材31がスライド可能となる。
【0073】
ロック部材36の形状とスライド部材31の係合部31bの形状は、互いに当接してスライド部材31の移動を規制できるものであれば、
図14に示した形状に限定されない。
【0074】
また、本実施形態の後処理装置100は、スライド部材31の移動の有無を検知するセンサを備えることが好ましい。
図15は、スライド検知センサ37によるスライド部材31の検知を説明する図である。
スライド検知センサ37は、
図14(A)に破線矢印で示す方向の物体を検知することができるものであればよく、例えば、フォトセンサ等が挙げられる。
【0075】
図15(A)は、スライド部材31が所定の位置(ホームポジション)に停止し、スライド検知センサ37により検知された状態を示している。
図15(B)は、スライド部材31が所定の位置から移動したことにより検知センサ37により検知されない状態を示している。
スライド検知センサ37の出力電圧値に基づき、スライド部材31が所定の位置にあるか否かを判定することができる。すなわち、マニュアル処理時にスライド部材31をスライドさせた後、スライド部材31が筐体25の内部に戻されたか否か(ホームポジションに戻されたか否か)を判定することができる。
【0076】
スライド部材31を移動させる流れを
図16~
図19に基づき説明する。
図16~
図19は、綴じ処理を実行する針無綴じ装置26に対し、綴じ処理を実行しない針有綴じ装置19が開口部25c側に位置している場合において、針有綴じ装置19をスライド手段によって筐体25の外部へ移動させ、針無綴じ装置26をマニュアル綴じ位置に配置させるための動作の例を説明している。
図16及び
図17はスライド部材31を手動で操作する流れを示すフローチャートであり、
図18及び
図19はスライド部材31を自動でスライドさせる流れを示すフローチャートである。
【0077】
図16は、
図14に示す後処理装置100において、針無綴じ装置26によりマニュアル綴じを行う場合に、ユーザがスライド部材31を手動で操作するときの動作の流れを示したものである。
ユーザにより針無綴じ装置26による綴じ処理の実行が選択されると、針無綴じ装置26をマニュアル綴じ位置に配置するために、隣接する針有綴じ装置19を筐体25の外部へ移動させる必要が生じる。
【0078】
まず、筐体25の外部に移動させる後処理手段である針有り綴じ装置19の処理部19aを遮蔽する(S101)。遮蔽は、
図13(B)に示すようにヘッド部19aが下降することにより行われる。
次に、スライドロックモータ36aを回転し、ロック部材36bをスライド部材31と干渉しない位置に移動させ、スライド部材31のロック状態を解除する(S102)。そして、スライド部材31のロックが解除されたことをユーザへ通知する(S103)。通知は、例えば、画像形成装置300の表示部301(
図2参照)等により行われる。
【0079】
ステップS103の通知によりスライド部材31がスライド可能な状態となったことを確認したユーザは、マニュアル処理(マニュアル綴じ)を実行するためにスタートボタン24を押下する。
【0080】
スタートボタンがONとなったかを判断し(S104)、ONの場合は後処理(綴じ処理)が実行されたとみなし、マニュアル処理終了の入力を受け付ける(S105)。マニュアル処理終了の入力は、例えば、画像形成装置300の表示部301に押下可能な選択肢を表示させ、ユーザが「終了」を選択して押下することにより行われる。
【0081】
マニュアル処理終了の入力の有無を判断し(S106)、終了の入力があった場合は、スライド部材31の位置検知を行い(S107)、スライド検知センサ37によりスライド部材31がホームポジション(移動開始前の位置)に戻ったか否かを判断する(S108)。ホームポジションに戻っていないと判断した場合は、スライド部材31をホームポジションに戻す指示を表示する(S109)。表示は、例えば、画像形成装置300の表示部301(
図2参照)等により行われる。
【0082】
スライド部材31がホームポジションに戻ったと判断した場合は、スライドロックモータ36aをステップS102における回転方向と逆方向に回転し、ロック部材36bがスライド部材31と係合する位置に移動し、スライド部材31をロック状態とする(S110)。
そして、筐体25の外部に移動するために遮蔽されていた針有り綴じ装置19の処理部19aの遮蔽を解除する(S111)。遮蔽の解除は、ヘッド部19aを上昇させることにより行われる。
【0083】
図17は、
図16に示したフローチャートと同様、
図14に示す後処理装置100において、針無綴じ装置26によりマニュアル綴じを行う場合に、ユーザがスライド部材31を手動で操作するときの動作フローを示したものである。
【0084】
図17の例では、まず、スライドロックモータ36aを回転し、ロック部材36bをスライド部材31と干渉しない位置に移動させ、スライド部材31のロック状態を解除する(S201)。そして、スライド部材31のロックが解除されたことをユーザへ通知する(S203)。
その後、筐体25の外部に移動させる後処理手段である針有り綴じ装置19の処理部19aを遮蔽する(S203)。
【0085】
以降のステップS204からS211までの流れは、
図16のステップS104からS111と同様である。
【0086】
図16の例では、外部へ移動させる針有綴じ装置の処理部19aを遮蔽する動作により待機時間が発生する。この待機時間を短縮するために、
図17の例では、先にスライド部材31のロック解除を行う。これにより、ユーザは直ちにスライド部材31を移動させることが可能となり、綴じ処理を開始するまでに要する時間がさらに短縮される。
【0087】
図18は、本実施形態の後処理装置100において、針無綴じ装置26によりマニュアル綴じを行う場合に、スライド部材31を自動でスライドさせるときの動作フローを示したものである。
ユーザにより針無しの綴じ処理が選択されると、針無綴じ装置26をマニュアル綴じ位置に配置するために、隣接する針有綴じ装置19を筐体25の外部へ移動させる必要が生じる。
【0088】
まず、筐体25の外部に移動させる後処理手段である針有り綴じ装置19の処理部19aを遮蔽する(S301)。遮蔽は、
図13(B)に示すようにヘッド部19aが下降することにより行われる。
次に、スライドモータ35を回転し、スライド部材31を開口部25c側へスライドさせる(S302)。
【0089】
スライド部材31がスライドし、針有綴じ装置19が筐体25の外部へ移動し、針無綴じ装置26がマニュアル綴じ位置に配置されたことを確認したユーザは、マニュアル処理(マュアル綴じ)を実行するためにスタートボタン24を押下する。
【0090】
スタートボタンがONとなったかを判断し(S303)、ONの場合は後処理(綴じ処理)が実行されたとみなし、マニュアル処理終了の入力を受け付ける(S304)。マニュアル処理終了の入力は、例えば、画像形成装置300の表示部301に押下可能な選択肢を表示させ、ユーザが「終了」を選択して押下することにより行われる。
【0091】
マニュアル処理終了の入力の有無を判断し(S305)、終了の入力があった場合は、スライドモータ35をステップS302における回転方向と逆方向に回転させ、スライド部材31をホームポジション(移動開始前の位置)に移動する(S306)。
【0092】
そして、筐体25の外部に移動するために遮蔽されていた針有り綴じ装置19の処理部19aの遮蔽を解除する(S307)。遮蔽の解除は、ヘッド部19aを上昇させることにより行われる。
【0093】
図19は、
図18に示したフローチャートと同様、後処理装置100において、針無綴じ装置26によりマニュアル綴じを行う場合に、スライド部材31を自動でスライドさせるときの動作フローを示したものである。
【0094】
図19の例では、まず、スライドモータ35を回転し、スライド部材31を開口部25c側へスライドさせる(S401)。
その後、筐体25の外部に移動させる後処理手段である針有り綴じ装置19の処理部19aを遮蔽する(S402)。
【0095】
以降のステップS403からS407までの流れは、
図18のステップS303からS307と同様である。
【0096】
図18の例では、外部へ移動させる針有綴じ装置の処理部19aを遮蔽するための待機時間が発生する。この待機時間を短縮するために、
図19の例では、先にスライド部材31の移動を開始する。スライド部材31の移動中に処理部19aを遮蔽する動作を行うことにより、ユーザが綴じ処理を開始するまでの時間がさらに短縮される。
【0097】
図20(A)~(D)は、針有綴じ装置19を筐体25の外部へ移動させ、針無綴じ装置26をマニュアル綴じ位置に配置させた状態を示す要部のイメージ図である。いずれも、用紙(用紙束)Pがスリット部23にセットされた状態を示している。
図20(A)及び
図20(C)は筐体25の外側から見た図であり、
図20(B)及び
図20(D)は筐体25の内側から見た図である。
【0098】
図20(A)及び
図20(B)に示すように、針有綴じ装置19の処理部19bと針無綴じ装置26の処理部26bは並列に配置されており、処理部19bが遮蔽されない状態において、用紙Pの先端を受け入れ可能な連続した空間が形成される。
針有綴じ装置19の処理部19aが遮蔽されていない場合、スリット部23にセットされた用紙Pの先端は処理部19aにも挿入される。
【0099】
一方、
図20(C)及び
図20(D)に示すように、針有綴じ装置19の処理部19bがヘッド部19aにより遮蔽されている場合において、用紙Pの端縁がストッパ25b(後処理装置100の平面図参照)に沿ってセットされた場合は、セットされた用紙Pが針無綴じ装置26の処理部26bに挿入されない。
このような場合、用紙Pの端縁をストッパ25bの規制面に突き当てず、傾けてセットする等の対処が必要となる。また、用紙Pのサイズによっては所望の位置を綴じることが困難となる。
【0100】
これに対し、筐体25の外部へ移動した針有綴じ装置19の位置を、スリット部23から離れる方向に変位させる(後退させる)手段を備えることにより、処理部19aを遮蔽しているヘッド部19aが用紙セットの障害とならないようにすることができる。
【0101】
図21及び
図22は、変位手段を備えた後処理装置100の構成を説明する図である。
図21(A)は後処理装置100の平面図であり、
図21(B)はステージ部材27上の針有綴じ装置19の変位方向を説明する要部平面図である。また
図22(A)は変位手段を備えた構成の要部側面図であり、
図22(B)及び
図22(C)は変位手段の側面図である。
【0102】
本実施形態の後処理装置100は、後処理手段をステージ部材27上で変位させる変位手段を備えている。変位手段は、筐体25の外部へ移動した後処理手段(針有綴じ装置19)をスライド移動方向と直交する方向(図中矢印D3の方向:排紙トレイ20側から入口ローラ11側に向かう方向)に変位させる。
【0103】
変位手段は、
図22に示すように、変位させる一方の後処理手段を搭載する変位テーブル38、レール39、変位モータ41、変位モータ41に連結されたギア41a、及び変位テーブル38に設けられた歯38aと噛み合うギア40を備えている。レール39は、変位テーブル38側に設けられたレール39aと、ステージ部材27側に設けられたレール39bを有している。
また、変位テーブル38及びレール39はステージ部材27上に配設されるため、
図22(A)に示すように、他方の後処理手段の高さ方向の位置を調整する部材として固定テーブル42が設けられている。
【0104】
変位モータ41が
図22(B)に示す矢印R5方向(反時計回り)に回転すると、連結されたギア41aも同方向に回転する。これに伴いギア40は矢印R6方向(時計回り)に回転する。ギア40の回転に伴い、ギア40と噛み合う歯38aにより変位テーブル38はレールに沿って図中矢印D3で示す方向へ移動する。変位テーブル38に搭載された針有綴じ装置19もD3の方向へ移動する。
同様に、変位モータ41がR5方向と逆方向(時計回り)に回転することにより、変位テーブル38及び変位テーブル38に搭載された針有綴じ装置19はD3で示す方向と逆方向に移動する。
【0105】
針有綴じ装置19は変位モータ41の正逆回転駆動伴って往復移動可能となる。これにより針有綴じ装置19は、筐体25の外部へ移動したときのみ、針無綴じ装置26の処理部26bに対して後退した位置へ変位し、スリット部23にセットした用紙の障害となるのを回避することができる。
【0106】
筐体25の外部へ移動した後処理手段の処理部を遮蔽することにより安全性を高める例について説明したが、その他に、筐体25の外部へ移動した後処理手段を作動させないことにより、安全性を高めることもできる。
【0107】
図23及び
図24は、後処理手段の導通状態を切り替えるスイッチ部材44を備えた後処理装置100の構成を説明する図である。
図23及び
図24(A)は後処理装置100の平面図であり、
図24(B)及び
図24(C)はスイッチ部材44の動作を説明する部分拡大図である。
図23はスライド部材31をスライドさせる前の状態、
図24(A)はスライド部材31をスライドし、針有綴じ装置19が筐体25の外部に移動した状態を示している。
【0108】
本実施形態の後処理装置100は、後処理手段の導通状態を切り替えるスイッチ部材44を備え、スイッチ部材44はスライド手段(スライド部材31)の移動に連動して作動し、筐体25の外部へ移動した後処理手段を非導通状態とすることができる。
【0109】
スイッチ部材44は制御部102のCPU102aに接続されている。CPU102aは、筐体25の外部に移動した後処理手段に対し、非導通状態のときは動作させない制御を行う。
【0110】
スイッチ部材44は、
図24(B)及び
図24(C)に示すように、ボタン44a、押し込み部材44bを有している。
スイッチ部材44のボタン44aが、スライド部材31により押し込み部材44bを介して押圧されているときは導通状態(
図23及び
図24(B))となる。一方、スイッチ部材44のボタン44aが押圧されていないときは非導通状態となる(
図24(A)及び
図24(C))。
【0111】
図24(A)に示す例では、スイッチ部材44のボタン44aは押圧されていないため、非導通状態となっており、筐体25の外部に移動した針有綴じ装置19は動作しない制御がなされ、ヘッド19aの昇降は行われない。
一方、
図23に示す例では、スイッチ部材44のボタン44aが押圧されて導通状態となっており、筐体25の内部において針有綴じ装置19は動作可能となっている。
【0112】
以上、本実施形態の後処理装置として綴じ処理を行う態様について説明したが、本発明に係る構成は、綴じ処理以外の後処理を行う後処理装置にも適用することができる。
【0113】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 画像形成装置に搭載される後処理装置において、
前記画像形成装置から排出された用紙を搬送する搬送手段と、
外部から用紙が手差し挿入されるスリット部と、
前記搬送手段により搬送された用紙及び前記スリット部に挿入された用紙に後処理を行う後処理手段と、
前記後処理手段が載置されるステージ部材と、
前記搬送手段により搬送された用紙に後処理を行う本体処理位置と、前記スリット部に挿入された用紙に後処理を行うマニュアル処理位置との間で、前記後処理手段を前記ステージ部材とともに移動させる移動手段と、
前記移動手段、前記ステージ部材及び前記後処理手段を一体にスライド移動させるスライド手段と、
筐体の前記マニュアル処理位置側の側面に設けられた開口部と、を備え、
前記スライド手段は、前記後処理手段の少なくとも一部を、前記開口部を介して前記筐体の外部へ移動させることを特徴とする後処理装置である。
<2> 前記後処理手段は移動方向に沿って隣接する二つの後処理手段を有し、
前記マニュアル処理位置において後処理を実行する第一の後処理手段に対し、後処理を実行しない第二の後処理手段が前記開口部側に位置するとき、
前記スライド手段によって、前記開口部を介して前記第二の後処理手段を前記筐体の外部へ移動させ、前記第一の後処理手段を前記マニュアル処理位置に配置させることを特徴とする前記<1>に記載の後処理装置である。
<3> 前記後処理手段が綴じ手段であり、前記綴じ手段が針有綴じ装置及び針無綴じ装置であることを特徴とする前記<1>または<2>に記載の後処理装置である。
<4> 前記後処理手段の処理部を遮蔽する遮蔽機構を備え、
前記遮蔽機構は、前記筐体の外部へ移動する前記後処理手段の前記処理部を遮蔽することを特徴とする前記<1>から<3>のいずれかに記載の後処理装置。
<5> 前記後処理手段を前記ステージ上で変位させる変位手段を備え、
前記変位手段は、前記筐体の外部へ移動した前記後処理手段をスライド移動方向と直交する方向に変位させることを特徴とする前記<1>から<4>のいずれかに記載の後処理装置である。
<6> 前記後処理手段の導通状態を切り替えるスイッチ部材を備え、
前記スイッチ部材は前記スライド手段の移動に連動して作動し、前記筐体の外部へ移動した前記後処理手段を非導通状態とすることを特徴とする前記<1>から<5>のいずれかに記載の後処理装置である。
<7> 前記スライド手段を動作させないためのスライドロック機構を備えることを特徴とする前記<1>から<6>のいずれかに記載の後処理装置である。
<8> 前記搬送手段により搬送された用紙に後処理を実行せずに排出する排紙動作、及び前記スリット部に挿入された用紙に後処理を行うマニュアル処理動作を同時に実行可能であることを特徴とする前記<1>から<7>のいずれかに記載の後処理装置である。
<9> 前記<1>から<8>のいずれかに記載の後処置装置を備えることを特徴とする画像形成装置である。
【符号の説明】
【0114】
19 後処理手段(綴じ手段:針有綴じ装置)
23 スリット部
24 スタートボタン
25 マニュアル綴じ部外装
25c 開口部
26 後処理手段(綴じ手段:針無綴じ装置)
27 ステージ部材
28 支持部材(軸)
29 ベルト
30 プーリ
31 スライド部材
31a 歯
31b 係合部
32 ベルトモータ
33 スライドレール
34 スライド外装
35 スライドモータ
35a ギア
36 スライドロック機構
36a ロックモータ
36b ロック部材
37 スライド検知センサ
38 変位テーブル
39 レール
40 ギア
41 変位モータ
41a ギア
42 固定テーブル
44 切替スイッチ
100 後処理装置(インナーフィニッシャー)
100a 本体部
100b マニュアル綴じ部
300 画像形成装置
S1 本体部処理位置
S2 マニュアル処理位置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0115】