(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131717
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】蓄電システム、及び均等充電の実施日決定方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/34 20060101AFI20240920BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20240920BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20240920BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20240920BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H02J7/34 C
H02J7/35 G
H02J3/38 110
H01M10/44 Q
H01M10/48 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042148
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 勇毅
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】酒井 宣彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 秀人
(72)【発明者】
【氏名】山本 寛一郎
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G066AA02
5G066HB06
5G066HB09
5G066JB03
5G503AA01
5G503AA06
5G503BA03
5G503BB01
5G503CA10
5G503CB05
5G503DA04
5G503GD03
5G503GD06
5H030AS03
5H030BB01
5H030BB07
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
(57)【要約】
【課題】均等充電に掛かるコストをより抑える。
【解決手段】鉛蓄電池と、太陽光発電装置8Bを含む外部電源系統と上記鉛蓄電池とを電気的に接続する交直変換装置と、上記交直変換装置を介して均等充電を含む上記鉛蓄電池の充放電を制御する制御部とを備える蓄電システムであって、上記太陽光発電装置8Bの発電環境の天気予報情報を取得する太陽光発電情報取得部14Caと、上記太陽光発電情報取得部14Caが取得した天気予報情報に基づき、上記太陽光発電装置8Bでの太陽光発電による均等充電に適した日を均等充電の実施候補日として1日又は2日以上選択する候補日選択部14Cbと、上記候補日選択部14Cbが選択した実施候補日から、均等充電を実行する日である均等充電日を決定する均等充電日決定部14Cfと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛蓄電池と、太陽光発電装置を含む外部電源系統と上記鉛蓄電池とを電気的に接続する交直変換装置と、上記交直変換装置を介して均等充電を含む上記鉛蓄電池の充放電を制御する制御部とを備える蓄電システムであって、
上記太陽光発電装置の発電環境の天気予報情報を取得する太陽光発電情報取得部と、
上記太陽光発電情報取得部が取得した天気予報情報に基づき、上記太陽光発電装置での太陽光発電による均等充電に適した日を均等充電の実施候補日として1日又は2日以上選択する候補日選択部と、
上記候補日選択部が選択した実施候補日から、均等充電を実行する日である均等充電日を決定する均等充電日決定部と、を備える、
蓄電システム。
【請求項2】
上記候補日選択部は、天気予報情報が晴天の日を実施候補日と選択する、
請求項1に記載した蓄電システム。
【請求項3】
上記候補日選択部が選択した上記実施候補日の、上記外部電源系統及び上記鉛蓄電池に電気的に接続する負荷での負荷電力量を予測する負荷電力量予測部と、
上記実施候補日の太陽光発電量を、当該実施候補日の天気予報情報に基づき予測する太陽光発電量予測部と、
を備え、
上記均等充電日決定部は、上記負荷電力量予測部の予測情報と上記太陽光発電量予測部の予測情報とに基づき、予測される太陽光発電量が予測される負荷電力量よりも大きい実施候補日を優先して上記均等充電日に選択する、
請求項1又は請求項2に記載した蓄電システム。
【請求項4】
均等充電の実施間隔から均等充電の実施間隔の範囲を判定する均等充電必要判定部を備え、
上記均等充電日決定部は、候補日選択部が選択した実施候補日が、上記均等充電必要判定部が判定した均等充電の実施間隔の範囲内に無い場合には、実施候補日に関係無く、上記均等充電の実施間隔の範囲内から均等充電日を決定する、
請求項1に記載した蓄電システム。
【請求項5】
鉛蓄電池と、太陽光発電装置を含む外部電源系統と上記鉛蓄電池とを電気的に接続する交直変換装置と、上記交直変換装置を介して均等充電を含む上記鉛蓄電池の充放電を制御する制御部とを備える蓄電システムにおける、均等充電の実施日を決定する均等充電の実施日決定方法であって、
上記太陽光発電装置の発電環境の、1又は2以上の日の天気予報の情報を取得し、
取得した天気予報の情報から上記太陽光発電装置での発電による均等充電に適した日を均等充電の実施候補日として選択する、
均等充電の実施日決定方法。
【請求項6】
上記選択した上記実施候補日の、上記外部電源系統及び上記鉛蓄電池に電気的に接続する負荷での負荷電力量を予測し、
上記実施候補日の太陽光発電量を、天気予報情報に基づき予測し、
上記予測した太陽光発電量が上記予測した負荷電力量よりも大きい実施候補日を優先して均等充電を行う日とする、
請求項5に記載した均等充電の実施日決定方法。
【請求項7】
均等充電の実施間隔から均等充電の実施間隔の範囲を判定し、
選択した上記実施候補日が、上記判定した均等充電の実施間隔の範囲内に無い場合には、決定した上記実施候補日に関係無く、上記均等充電の実施間隔の範囲内から均等充電を実施する日を決定する、
請求項5又は請求項6に記載した均等充電の実施日決定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電装置を含む外部電源系統に交直変換装置を介して接続した鉛蓄電池に対する均等充電に関する技術である。
【背景技術】
【0002】
鉛蓄電池は、長期間の充放電の繰り返しにより、容量が低下し劣化する。鉛蓄電池を用いた蓄電システムでは、鉛蓄電池の劣化の一因であるサルフェーションを除去するために、鉛蓄電池を満充電状態にする均等充電(回復充電)を定期的に行っている。
【0003】
また、特許文献1には、蓄電システムに対し、自然エネルギーを併用する外部電源系統が接続する構成例が例示されている。
その特許文献1に記載の蓄電システムでは、均等充電の実施頻度を、季節毎に異なる値に設定している。また、特許文献1には、気温を測定し、測定した気温から季節を判断して、判断した季節に対応する決まった実施頻度で均等充電を実施することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のように、単純に決まった実施頻度で均等充電を繰り返すと、均等充電を行う日の自然エネルギーの発電量が小さい場合、その分、商業電力系統から多く電力を買って均等充電を行わなければならない。このことは、蓄電システムに掛かるコストが嵩む原因となる。
【0006】
本発明は、そのような点に着目してなされたもので、均等充電に掛かるコストをより抑えることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
課題解決のために、本発明の一態様は、鉛蓄電池と、太陽光発電装置を含む外部電源系統と上記鉛蓄電池とを電気的に接続する交直変換装置と、上記交直変換装置を介して均等充電を含む上記鉛蓄電池の充放電を制御する制御部とを備える蓄電システムであって、上記太陽光発電装置の発電環境の天気予報情報を取得する太陽光発電情報取得部と、上記太陽光発電情報取得部が取得した天気予報情報に基づき、上記太陽光発電装置での太陽光発電による均等充電に適した日を均等充電の実施候補日として1日又は2日以上選択する候補日選択部と、上記候補日選択部が選択した実施候補日から、均等充電を実行する日である均等充電日を決定する均等充電日決定部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の態様によれば、太陽光発電の発電量が多い日を均等充電の実施候補日として選択可能となる。このため、太陽光発電装置以外の外部電源系統(商用電源系統)の電力を用いた均等充電を抑制することが出来る。この結果、本発明の態様によれば、均等充電に掛かるコストをより抑えることが可能となる。なお、太陽光発電による均等充電に適した日とは、晴天の日など、日照時間が比較的に長い日を指す。
【0009】
また、本発明の態様によれば、特に、太陽光発電の発電量が負荷電力よりも高いと推定される日を均等充電の実施日とすれば、外部の系統から電力を買う必要がなくなり、より均等充電のためのコストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に基づく実施形態に係る蓄電システムの構成を示す図である。
【
図2】本発明に基づく実施形態に係る制御装置の構成を示す図である。
【
図5】均等充電実施日演算部の構成例を示す図である。
【
図6】均等充電日決定部の処理フロー例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
なお、以下の説明において、各実施の形態において共通する構成要素には同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0012】
(構成)
図1は、本実施形態に係る蓄電システムの構成を示す図である。
図1に示す蓄電システム100は、例えば、通常時に電力供給部8から負荷9に給電し、停電の発生時には、電源バックアップ用の蓄電池モジュールから負荷9に給電する。
【0013】
電力供給部8は、蓄電システム100及び負荷9に電力を供給する機能部である。電力供給部8は、外部電源系統を構成する。本実施形態の電力供給部8は、商用電源8Aに加えて、太陽光発電(PV:Photovoltaics)を行う太陽光発電装置8Bを有する。
なお、太陽光発電装置8Bは、蓄電システムと同じ場所(エリア)に設置されていても良いし、蓄電システムの設置場所から離れた環境に設置されていても良い。
【0014】
<蓄電システム100>
蓄電システム100は、蓄電池モジュール、PCS3(Power Conditioning System)、及び制御装置1を備えている。
【0015】
<蓄電池モジュール>
蓄電池モジュールは、組電池2と、電圧センサ22と、電流センサ21とを含む。
[組電池]
組電池2は、電力を充放電可能に構成された蓄電池列が、1又は2以上並列接続されて構成されている。
各蓄電池列は、n(nは2以上の整数)個の鉛蓄電池セル(単蓄電池)が直列に接続されて構造される。各蓄電池は、例えば、バイポーラ型鉛蓄電池から構成される。この場合、各蓄電池列は、2以上のバイポーラ型鉛蓄電池が直列に接続されて構成される。
【0016】
ここで、バイポーラ型鉛蓄電池は、複数のバイポーラ電極が電解層を介して厚さ方向に積層して構成される。各バイポーラ電極は、平板状の基板を挟んで正極及び負極が配置されており、その基板の両側に位置する正極と負極が導通状態となっている。そして、バイポーラ型鉛蓄電池は、一の電解層とその電解層を挟んで対向する正極及び負極とで、1つのセル部材を構成する。なお、一のバイポーラ型鉛蓄電池を構成するセル部材の数やバイポーラ電極の数の積層数は、バイポーラ型鉛蓄電池に要求される蓄電容量に応じて設定される。
なお、本発明は、組電池2が、1個の鉛蓄電池だけから構成される場合も適用される。
【0017】
<センサ>
電圧センサ22は、並列に接続された各蓄電池列の電圧を計測するセンサである。電圧センサ22は、蓄電池列に並列と接続されている。電流センサ21は蓄電池列毎に設けられる。電流センサ21は、対応する蓄電池列の電流I(充電電流及び放電電流)を計測するセンサである。また、電流センサ21は、蓄電池列間の循環電流を検出するためのセンサでもある。
【0018】
<PCS3>
PCS3は、交直変換装置である。PCS3は、制御装置1によって制御され、電力供給部8、組電池2、及び負荷9の間で相互に電力を変換する。つまり、PCS3は、電力供給部8、組電池2、及び負荷9の間での電力の授受を制御する電力変換部である。
【0019】
例えば、PCS3は、電力供給部8からの交流電力(AC)を直流電力(DC)に変換して組電池2に供給する。PCS3は、例えば、DC/DCコンバータ、AC/DCコンバータ(AC/DC)、及びスイッチ回路等を含んで構成されている。
【0020】
<制御装置1>
制御装置1は、蓄電システム100の各構成要素の統括的な制御を司る装置である。具体的に、制御装置1は、蓄電池列の状態を監視するとともに、PCS3を駆動することにより、蓄電池列の充放電制御を行う。
【0021】
制御装置1は、例えば、機能的には、BMU(Battery Management Unit)とEMS(Energy Management System)とから構成される。つまり、制御装置1は、電圧センサ22及び電流センサ21によって計測された物理量を逐次取得し、当該物理量に基づいて蓄電池列の状態を監視する監視機能(BMU)と、組電池2の充放電を制御する充放電制御機能(EMU)とを備えたデータ処理装置である。制御装置1の機能は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の記憶装置と、インターフェース回路等の種々の周辺回路とをそれぞれ含んで構成されている。
【0022】
図2は、本実施形態に係る制御装置1の機能ブロック構成を示す図である。
図2に示すように、制御装置1は、通信部11、計測制御部12、記憶部13、及び充電制御部14を有している。これらの機能ブロックは、上述した制御装置1を構成する各ハードウェア資源がソフトウェアと協働することによって実現される。例えば、CPU等のプロセッサが、BMUの構成要素である記憶装置(記憶部13)に記憶されたプログラムにしたがって各種演算を実行して、BMUの構成要素である各種周辺回路を制御することにより、実現される。
【0023】
[通信部]
通信部11は、PCS3との間でデータの送受信を行う機能部である。
【0024】
[計測制御部12]
計測制御部12は、電圧センサ22及び電流センサ21によって計測された物理量(Vs、I)の計測結果を取得する機能部である。例えば、計測制御部12は、定期的に、電圧センサ22及び電流センサ21から電圧Vs及び電流Iの計測値を取得する。
計測制御部12によって取得した各種計測結果は、記憶部13に記憶される。例えば、計測制御部12は、電流センサ21から取得した蓄電池列の電流Iの計測値と、電圧センサ22から取得した蓄電池列の電圧Vsの計測値とを、計測結果として記憶部13に記憶する。
【0025】
[記憶部13]
記憶部13は、充電制御や均等判定などを実現するために必要な各種データを記憶する機能部である。
記憶部13は、
図3に示すように、計測制御部12によって取得した計測結果を取得電流情報13Aと取得電圧情報13Bに記憶する。また、記憶部13は、充電制御のための設定値や条件などの情報を記憶する。本実施形態の記憶部13は、
図3に示すように、均等充電の実施間隔情報13C、実施候補日情報13D、均等実施日情報13E、PV天気情報13F、電力演算情報13Gなどの各種情報が記憶されている。
【0026】
均等充電の実施間隔情報13Cには、均等充電の実施間隔の情報が設定される。実施候補日情報13Dは均等充電の実施候補日の情報が設定される。均等実施日情報13Eには、決定された均等実施日が設定される。PV天気情報13Fは、太陽光発電を行う環境の天気予報の情報が設定される。電力演算情報13Gには、電力量を予測演算するための情報が設定される。
【0027】
<充電制御部14>
充電制御部14は、
図4に示すように、PCS3を制御して、蓄電池群の充電・放電を制御するための機能として、充放電動作制御部14A、通常充放電実施処理部14B、及び均等充電処理部14Dを備える。また、充電制御部14は、
図4に示すように、状態を管理する機能として、均等充電実施日演算部14Cを備える。
【0028】
[充放電動作制御部14A]
充放電動作制御部14Aは、通常充放電実施処理部14B又は均等充電処理部14Dからの指令に基づき、PCS3の処理として要求される充放電制御を行う。充放電動作制御部14Aは、例えば、指令に応じて、PCS3の出力電圧の位相を系統入力電圧より遅らせることで充電動作を実行し、出力電圧の位相を進み位相とすることで放電動作を実行する。
【0029】
[通常充放電実施処理部14B]
通常充放電実施処理部14Bは、組電池2に対する通常時の充放電のためにPCS制御を実行する処理部である。通常の充電制御は、例えば、予備充電、CC充電(定電流充電)、CV充電(定電圧充電)の過程によって、蓄電池に充電が実行される。また、負荷からの要求に応じて、蓄電池の放電制御を行う。
【0030】
[均等充電実施日演算部14C]
均等充電実施日演算部14Cは、
図5に示すように、太陽光発電情報取得部14Ca、候補日選択部14Cb、均等充電必要判定部14Cc、負荷電力量予測部14Cd、太陽光発電量予測部14Ce、及び均等充電日決定部14Cfを備える。
【0031】
[太陽光発電情報取得部14Ca]
太陽光発電情報取得部14Caは、インターネットその他の通信手段によって、外部から太陽光発電装置8Bの発電環境の天気予報情報、例えば太陽光発電装置8Bを構成する発電パネルの設置エリアの天気予報情報を取得する。取得した天気予報情報はPV天気情報13Fに設定される。太陽光発電情報取得部14Caは、例えば、情報の取得日を含む1週間分などの複数日の天気予報情報を取得する。なお、情報の取得日だけの天気予報情報を取得する構成でも良い。
太陽光発電情報取得部14Caの処理は、例えば毎朝実行する。
【0032】
[候補日選択部14Cb]
候補日選択部14Cbは、太陽光発電情報取得部14Caが取得した天気予報情報に基づき、太陽光発電装置8Bでの太陽光発電による均等充電に適した日を均等充電の実施候補日として1日又は2日以上選択する。太陽光発電による均等充電に適した日とは、晴天の日など、日照時間が比較的に長い日を指す。
【0033】
本実施形態の候補日選択部14Cbは、例えば、天気予報情報が晴天の日を実施候補日と選択する。本実施形態の候補日選択部14Cbは、晴天以外の晴れの日や、午後が晴れの晴れ時々曇りの日なども実施候補日として選択してもよい、
本実施形態の候補日選択部14Cbは、例えば、情報取得日以降の天気予報情報から実施候補日を選択する。
候補日選択部14Cbは、例えば毎日実行して、日々、実施候補日を更新する。
【0034】
[均等充電必要判定部14Cc]
均等充電必要判定部14Ccは、均等充電の実施間隔情報13Cから、次の均等充電の実施間隔の範囲を判定する。実施間隔は、例えば7日以上14日以下の範囲とする。
【0035】
均等充電の実施間隔(頻度)は、季節毎に異なる間隔としても良い。例えば、季節が夏の場合は、実施間隔を7日若しくは6~8日に設定する。季節が春、秋の場合は、実施間隔を10日若しくは9~11日に設定する。季節が冬の場合は、実施間隔を14日若しくは13~16日に設定する。
均等充電必要判定部14Ccは、例えば、均等充電を行う度に実行されて、実施間隔の範囲が更新される。
【0036】
[負荷電力量予測部14Cd]
負荷電力量予測部14Cdは、候補日選択部14Cbが選択した実施候補日の、外部電源系統及び組鉛蓄電池に電気的に接続する負荷での負荷電力量を予測する。負荷電力量予測部14Cdは、候補日選択部14Cbの処理が実行される度に毎日実行される。
【0037】
負荷電力量の予測は、例えば、次のように行う。
予め、負荷が有するワットアワーメーター等の電力量測定機器で、実際の負荷電力を時系列データとして取得し蓄積する。また、実際の負荷電力取得日の天気データ(気温、天気、風速など)を取得し蓄積する。取得し蓄積するデータは、例えば、過去1年分以上のデータとする。そして、上記蓄積した過去データを参照し、予測したい日の、天気予報データや曜日、日時(季節)の情報を変数として、負荷データを予測する。負荷電力の予測方法は、特許第5735283号公報等に記載の公知の予測方法で算出すればよい。
【0038】
負荷電力量の予測は、例えば、「曜日」「季節」「天気」「気温」「風速」などを変数として、線形重回帰モデルや一般加法モデルなどで、上記の変数と負荷電力量との相関を求めておく。そして、その相関に基づき、求める日の「曜日」「季節」「天気」「気温」「風速」と相関がある負荷電力量を求める。相関は、機械学習によるモデル式を求めて使用しても良い。
【0039】
[太陽光発電量予測部14Ce]
太陽光発電量予測部14Ceは、実施候補日の太陽光発電量を、当該実施候補日の天気予報情報に基づき予測する。
太陽光発電量の予測は、例えば、天気予報情報に基づく日照時間に単位時間当たりの発電量を乗算することで算出する。
【0040】
また、太陽光発電量の予測は、例えば、天気情報と太陽光発電量との相関を、過去のデータから求めておき、その相関データや相関式(重回帰モデルなど)から予測する。相関式は、機械学習により求めたモデル式であってもよい。また、相関データや相関式を季節毎に個別に設定しても良い。なお、太陽光発電量は気温との相関は高くない。
太陽光発電量予測部14Ceは、候補日選択部14Cbの処理が実行される度に毎日実行される。
【0041】
[均等充電日決定部14Cf]
均等充電日決定部14Cfは、候補日選択部14Cbが選択した実施候補日から、均等充電を実行する日である均等充電日を決定する処理を実行する。
【0042】
ただし、均等充電日決定部14Cfは、候補日選択部14Cbが選択した実施候補日が、均等充電必要判定部14Ccが判定した均等充電の実施間隔の範囲内に無い場合には、実施候補日に関係無く、均等充電の実施間隔の範囲内から均等充電日を決定しても良い。この場合は、例えば、均等充電の実施間隔の範囲の最終日等を均等充電日に決定したり、太陽光発電情報取得部14Caが取得した天気予報情報の基づき、均等充電の実施間隔の範囲で一番天気の良い日を均等充電日に決定したりする。
【0043】
また、均等充電日決定部14Cfは、例えば、負荷電力量予測部14Cdの予測情報と太陽光発電量予測部14Ceの予測情報とに基づき、予測される太陽光発電量が予測される負荷電力量よりも大きい実施候補日を優先して均等充電日に選択する。例えば、複数の実施候補日が存在する場合、「予測太陽光発電量 -予測負荷電力量」の値が大きいほど、優先して均等充電日に選択するようにしてもよい。
【0044】
また、均等充電日決定部14Cfは、決定した均等充電日の当日に、その当日の天気予報情報を取得し、取得した天気予報情報が均等充電に適した天気の情報でないと判定した場合、別の日を均等充電日として求める処理を行うことが好ましい。
【0045】
[均等充電日決定の処理フロー例]
ここで、本実施形態では、太陽光発電情報取得部14Ca、候補日選択部14Cb、負荷電力量予測部14Cd、及び太陽光発電量予測部14Ceの処理は、毎日実行されて、実施候補日が日々更新されるとする。
処理の日も含めて実施候補日が日々更新される場合、当日に、均等実施日の日が均等充電に適した日か再度確認される処理(上記の再設定判定部の処理)が実行されたことになる。
【0046】
ここでは、均等充電日決定部14Cfの処理は、処理日における太陽光発電情報取得部14Ca、候補日選択部14Cb、負荷電力量予測部14Cd、及び太陽光発電量予測部14Ceの処理が実行された後に、実行されるとする。すなわち、均等充電日決定部14Cfの処理が、毎日実行される。
【0047】
次に、均等充電日決定部14Cfの処理フロー例を、
図6を参照して説明する。
均等充電日決定部14Cfは、まずステップS10にて、太陽光発電情報取得部14Caが求めた実施候補日(実施候補日情報13Dの情報)を取得する。
次に、ステップS20にて、取得した実施候補日が、均等充電必要判定部14Ccが判定した均等充電の実施間隔の範囲内に存在するか、実施間隔情報13Cを参照して判定する。存在する場合にはステップS30に移行する。存在しない場合にはステップS60に移行する。
【0048】
ステップS30では、実施間隔の範囲内に存在する実施候補日の日の中に、予測太陽光発電量が予測負荷電力より大きい日があるか判定する。存在する場合には、その日を、均等充電を実行する日である均等充電日の候補として設定して、ステップS40に移行する。存在しない場合には、ステップS80に移行する。
【0049】
次に、ステップS40では、均等充電日の候補に本日が存在するか判定する。本日が存在する場合には、ステップS50に移行する。一方、本日の候補日が存在しない場合は、本日は、均等充電を行わないで終了する。この場合、明日再度処理が実行されることになる。
【0050】
ステップS50では、本日を均等充電日として設定する。これにより、判定処理の日である今日に、均等充電処理部14Dの処理が実行される。ここで、均等充電日の候補が複数存在し、本日よりも、「予測太陽光発電量 -予測負荷電力量」の値が大きい日がある場合には、本日を均等充電日としないで、処理を終了するようにしても良い。
【0051】
実施間隔の範囲内に実施候補日が存在せず、ステップS60に移行すると、本日が実施間隔の範囲内か判定する。範囲内の場合には、ステップS70に移行する。一方、範囲外の場合には、処理を終了する。ここで、本日が実施間隔の範囲内であっても、実施間隔の範囲内の最終日でない場合には、処理を終了する構成でもよい。処理を終了する場合に、本日は均等充電を実施しない構成となる。
【0052】
ステップS70では、本日を均等充電日として均等実施日情報13Eに設定して終了する。ただし、実施間隔の範囲内の日が既に均等実施日情報13Eに設定されている場合には、均等実施日情報13Eの設定変更は行わない。また、実施間隔の範囲内のうち、一番天気が良い日や負荷電力予測量が一番少ない日を均等充電日として再設定してもよい。
【0053】
なお、求められた均等充電日は、均等実施日情報13Eに設定され、均等充電処理部14Dは、均等実施日情報13Eに設定された日と判定すると、その日に均等充電を実施する。
【0054】
また、ステップS80では、実施間隔の範囲内の実施候補日のうち、「予測太陽光発電量 -予測負荷電力量」の値が一番大きな日を均等充電日として、均等実施日情報13Eに設定して処理を終了する。
【0055】
<均等充電処理部14D>
本実施形態の均等充電処理部14Dは、均等充電の開始と判定すると、均等充電処理のためのPCS制御を実行する処理部である。均等充電の開始は、均等実施日情報13Eに格納された日と判定した場合、若しくは、実施間隔の範囲内の最終日と判定した場合である。
【0056】
本実施形態の均等充電処理部14Dは、充電電圧が第1閾値に到達するまで、CC充電若しくはCP充電(定電力充電)を行い、充電電圧が第1閾値に到達するとCV充電に切り替えて均等充電を行う。均等充電の制御方法について特に限定は無く、公知の均等充電制御を実行すればよい。
【0057】
(動作その他)
本実施形態では、天気予報の情報に基づき、太陽光発電による均等充電に適した日(晴れの日等)に均等充電を実行することで、太陽光発電の発電量が多い日に均等充電が実施される。この場合、本実施形態では、太陽光発電装置8B以外の外部電源系統(商用電源系統)の電力を用いた均等充電を抑制することが出来る。この結果、本実施形態では、均等充電に掛かるコストをより抑えることが可能となる。
【0058】
また、本実施形態では、太陽光発電の発電量が負荷電力よりも高いときを均等充電の実施日とすれば、外部の系統から電力を買う必要がなくなり、より均等充電のためのコストを抑えることができる。
【0059】
このように、本実施形態では、天気予報情報を取得し、その情報を基に太陽光発電の発電量が多く、かつ負荷電力量が少ない日を均等充電の実施日として選定する。これによって、本実施形態では、太陽光発電の発電余剰電力を用いて均等充電を実施することが可能となる。ただし、前回の均等充電から期間が短い場合や必要以上(例えば14日以上)空いてしまう場合には、天気の状態や予測される負荷電力量に関係無く、所定のタイミングで均等充電を実施する。
以上のように、本実施形態では、均等充電のタイミングを最適化することで、系統からの買電電力量を削減できるようになる。
(その他)
【0060】
本開示は、次の構成も取り得る。
(1)鉛蓄電池と、太陽光発電装置を含む外部電源系統と上記鉛蓄電池とを電気的に接続する交直変換装置と、上記交直変換装置を介して均等充電を含む上記鉛蓄電池の充放電を制御する制御部とを備える蓄電システムであって、
上記太陽光発電装置の発電環境の天気予報情報を取得する太陽光発電情報取得部と、
上記太陽光発電情報取得部が取得した天気予報情報に基づき、上記太陽光発電装置での太陽光発電による均等充電に適した日を均等充電の実施候補日として1日又は2日以上選択する候補日選択部と、
上記候補日選択部が選択した実施候補日から、均等充電を実行する日である均等充電日を決定する均等充電日決定部と、を備える、
蓄電システム。
(2)上記候補日選択部は、天気予報情報が晴天の日を実施候補日と選択する。
(3)上記候補日選択部が選択した上記実施候補日の、上記外部電源系統及び上記鉛蓄電池に電気的に接続する負荷での負荷電力量を予測する負荷電力量予測部と、
上記実施候補日の太陽光発電量を、当該実施候補日の天気予報情報に基づき予測する太陽光発電量予測部と、
を備え、
上記均等充電日決定部は、上記負荷電力量予測部の予測情報と上記太陽光発電量予測部の予測情報とに基づき、予測される太陽光発電量が予測される負荷電力量よりも大きい実施候補日を優先して上記均等充電日に選択する。
(4)均等充電の実施間隔から均等充電の実施間隔の範囲を判定する均等充電必要判定部を備え、
上記均等充電日決定部は、候補日選択部が選択した実施候補日が、上記均等充電必要判定部が判定した均等充電の実施間隔の範囲内に無い場合には、実施候補日に関係無く、上記均等充電の実施間隔の範囲内から均等充電日を決定する。
(5)鉛蓄電池と、太陽光発電装置を含む外部電源系統と上記鉛蓄電池とを電気的に接続する交直変換装置と、上記交直変換装置を介して均等充電を含む上記鉛蓄電池の充放電を制御する制御部とを備える蓄電システムにおける、均等充電の実施日を決定する均等充電の実施日決定方法であって、
上記太陽光発電装置の発電環境の、1又は2以上の日の天気予報の情報を取得し、
取得した天気予報の情報から上記太陽光発電装置での発電による均等充電に適した日を均等充電の実施候補日として選択する、
均等充電の実施日決定方法。
(6)上記選択した上記実施候補日の、上記外部電源系統及び上記鉛蓄電池に電気的に接続する負荷での負荷電力量を予測し、
上記実施候補日の太陽光発電量を、天気予報情報に基づき予測し、
上記予測した太陽光発電量が上記予測した負荷電力量よりも大きい実施候補日を優先して均等充電を行う日とする。
(7)均等充電の実施間隔から均等充電の実施間隔の範囲を判定し、
選択した上記実施候補日が、上記判定した均等充電の実施間隔の範囲内に無い場合には、決定した上記実施候補日に関係無く、上記均等充電の実施間隔の範囲内から均等充電を実施する日を決定する。
【符号の説明】
【0061】
1 制御装置
2 組電池(鉛蓄電池)
8 電力供給部
8A 商用電源
8B 太陽光発電装置
9 負荷
11 通信部
12 計測制御部
13 記憶部
13A 取得電流情報
13B 取得電圧情報
13C 実施間隔情報
13D 実施候補日情報
13E 均等実施日情報
13F PV天気情報
13G 電力演算情報
14 充電制御部
14A 充放電動作制御部
14B 通常充放電実施処理部
14C 均等充電実施日演算部
14Ca 太陽光発電情報取得部
14Cb 候補日選択部
14Cc 均等充電必要判定部
14Cd 負荷電力量予測部
14Ce 太陽光発電量予測部
14Cf 均等充電日決定部
14D 均等充電処理部