(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131829
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】情報表示装置、プログラム、表示制御方法および情報表示システム
(51)【国際特許分類】
G09G 5/00 20060101AFI20240920BHJP
G09G 5/36 20060101ALI20240920BHJP
G09F 19/00 20060101ALI20240920BHJP
G06F 3/0481 20220101ALI20240920BHJP
【FI】
G09G5/00 550B
G09G5/00 550C
G09G5/36 400
G09G5/00 555D
G09G5/00 510H
G09G5/00 530T
G09F19/00 Z
G06F3/0481
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042305
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100110607
【弁理士】
【氏名又は名称】間山 進也
(72)【発明者】
【氏名】小池 菜月
(72)【発明者】
【氏名】松下 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】浅井 章弘
(72)【発明者】
【氏名】武捨 章洋
(72)【発明者】
【氏名】倉本 南
(72)【発明者】
【氏名】田代 祥香
【テーマコード(参考)】
5C182
5E555
【Fターム(参考)】
5C182AA02
5C182AA03
5C182AB08
5C182AB11
5C182AC02
5C182AC43
5C182BA06
5C182BA14
5C182BA29
5C182BA54
5C182BA65
5C182BA68
5C182BB01
5C182BB02
5C182BC01
5C182BC22
5C182BC25
5C182BC26
5C182CB13
5C182CB47
5C182CC02
5C182CC21
5C182DA52
5C182DA65
5C182FA61
5E555AA25
5E555BA02
5E555BB02
5E555BC08
5E555CA46
5E555CB22
5E555CB48
5E555CB56
5E555CB74
5E555DB03
5E555DB53
5E555DB57
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】 情報表示装置を提供すること。
【解決手段】
所定の表示内容を表示部に表示するための情報表示装置150が提供される。情報表示装置150は、表示部352から所定範囲内において検知される検知対象Pの滞在の時間を計測する時間計測部368を備える。情報表示装置150は、さらに、所定範囲内における検知対象の滞在の時間が基準以上となった場合に、表示する時間が長くなるように表示条件を変更して所定の表示内容を表示するように制御する表示制御部364を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の表示内容を表示部に表示するための情報表示装置であって、
前記表示部から所定範囲内において検知される検知対象の滞在の時間を計測する時間計測部と、
前記所定範囲内における前記検知対象の前記滞在の時間が基準以上となった場合に、表示する時間が長くなるように表示条件を変更して前記所定の表示内容を表示するように制御する表示制御部と
を含む、情報表示装置。
【請求項2】
距離センサによる測定値の時間変化に基づき、前記表示部から前記所定範囲内における前記検知対象の滞在を検知する検知部
をさらに含む、請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項3】
前記表示部に表示させる前記所定の表示内容が静止画であるか動画であるかを判定する種類判定部
をさらに含み、前記表示条件は、前記所定の表示内容が静止画である場合、前記静止画の表示の切り替える時間であり、前記所定の表示内容が動画である場合、前記動画を再生する再生速度である、請求項2に記載の情報表示装置。
【請求項4】
前記所定の表示内容を取得する表示内容取得部と、
前記所定の表示内容に関連付けられる前記所定の表示内容の表示時間情報を取得する情報取得部と
をさらに含み、前記表示条件は、前記表示時間情報に基づく、請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項5】
前記所定の表示内容を取得する表示内容取得部と、
前記所定の表示内容に含まれる情報量を計算する計算部と
をさらに含み、前記表示条件は、前記所定の表示内容の前記情報量に基づく、請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項6】
前記表示部に表示させる前記所定の表示内容は、複数の表示内容を含み、前記表示部は、前記複数の表示内容を異なる領域に表示しており、前記情報表示装置は、
前記所定範囲内における前記検知対象の位置を検出する位置検出部
をさらに含み、前記表示制御部は、前記検知対象の位置に基づいて、前記複数の表示内容のうちの前記位置に関連付けられる領域の表示内容を前記所定の表示内容として、前記表示条件および表現手法の一方または両方を変更するよう制御する、請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記表示する時間が長くなるように表示条件を変更している状態からの解除条件が満たされたことに応答して、前記表示する時間が基準の長さに戻るように前記表示条件を変更するように制御する、請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項8】
前記検知対象の動作を測定する1以上の動作測定部
をさらに含み、前記表示制御部は、前記検知対象の動作に基づいて、前記表示部の表示に対する操作の処理を実行し、前記表示に対する操作は、複数の表示内容からの前記表示部に表示する前記所定の表示内容の選択または変更、前記所定の表示内容の表現手法の変更、前記所定の表示内容の表示時間の変更である、請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項9】
前記緊急情報を受信する受信部
をさらに含み、前記表示制御部は、前記緊急情報を受信したことに応答して、前記表示条件が前記表示する時間が長くなるように変更されている場合、前記表示する時間が基準の長さに戻るように前記表示条件を変更するように制御する、請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項10】
前記表示制御部は、前記表示条件を変更して前記所定の表示内容を表示している間、前記表示部に、前記所定の表示内容に加えて、前記表示部での表示を操作するための操作部へアクセスするためのコード表示を表示するように制御し、前記情報表示装置は、
前記操作部を介した操作を受け付ける操作受付部
をさらに含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の情報表示装置。
【請求項11】
所定の表示内容を表示部に表示する情報表示装置を実現するためのプログラムであって、コンピュータに、
前記表示部から所定範囲内において検知される検知対象の滞在の時間を計測する時間計測部、および
前記所定範囲内における前記検知対象の前記滞在の時間が基準以上となった場合に、表示する時間が長くなるように表示条件を変更して前記所定の表示内容を表示するように制御する表示制御部
として機能させる、プログラム。
【請求項12】
表示制御方法であって、コンピュータに、
表示部から所定範囲内において検知される検知対象の滞在の時間を計測するステップと、
前記所定範囲内における前記検知対象の前記滞在の時間が基準以上となった場合に、表示する時間が長くなるように表示条件を変更して前記所定の表示内容を表示するステップと
を実行させる、表示制御方法。
【請求項13】
所定の表示内容を表示部に表示するための情報表示システムであって、
前記表示部から所定範囲内において検知される検知対象の滞在の時間を計測する時間計測部と、
前記所定範囲内における前記検知対象の前記滞在の時間が基準以上となった場合に、表示する時間が長くなるように表示条件を変更して前記所定の表示内容を表示するように制御する表示制御部と
を含む、情報表示システム。
【請求項14】
前記表示制御部は、前記表示条件を変更して前記所定の表示内容を表示している間、前記表示部に、前記所定の表示内容に加えて、前記表示部での表示を操作するための操作部へアクセスするためのコード表示を表示させることを特徴とし、前記情報表示システムは、さらに、
前記操作部を介した操作を受け付ける操作受付部と、
前記操作部を提供し、操作者の操作を受け付けて、前記操作受付部へ送信する情報処理装置と
をさらに含む、請求項13に記載の情報表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報表示技術に関し、より詳細には、情報表示装置、プログラム、表示制御方法および情報表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インターネット接続されたサイネージ装置にネットワークを介して広報情報や災害情報を配信し、表示する技術が知られている。しかしながら、従来のサイネージ装置では、表示時間が充分ではなく、閲覧者が読んでいる途中で表示内容が切り替わってしまう可能性があり、一方で、閲覧者がいないにも関わらず、詳細な表示内容を表示してしまう可能性があった。
【0003】
上記情報表示に関連して、特開2020-043503号公報(特許文献1)は、屋外においても対象者を低コストで検知し適切に選定すると共に、表示される情報を的確に対象者に注目させることを目的とした技術を開示する。特許文献1の従来技術では、情報を表示する表示部と、特定の方向に音声を出力可能な指向性スピーカと、表示部の視認可能範囲を含む所定の検知領域内の対象者を検知するパルスレーザセンサと、パルスレーザセンサからの検知信号に基づいて、対象者の視認可能範囲内における表示部に対する行動パターンを計算する演算部と、演算部からの演算結果に基づいて、行動パターンのうち、所定の行動パターンに合わせて指向性スピーカからの情報に関連する音声の出力方向及び音量の少なくとも一つを制御する制御部とを備える、情報報知装置を開示する。しかしながら、特許文献1の従来技術は、表示時間が充分ではなく、閲覧者が読んでいる途中で表示内容が切り替わってしまう可能性があるという点を解消できるものではなかった。
【0004】
その他、特開2017-37159号公報(特許文献2)は、画像に含まれる部分領域を認識し、認識された部分領域の表示設定を決定、画像表示装置の近くに人が存在するか否かを検知し、検知された結果に応じて、表示設定に基づいてコンテンツの概要を示す部分領域を表示するか、詳細な内容を示す部分領域を表示するかを切り替える画像処理装置を開示する。特許文献2は、また、表示種類が詳細の場合は、概要の場合に比べて表示内容を把握するには時間がかかるため、表示時間を長く設定することができる点を開示する。しかしながら、特許文献2の従来技術では、画像表示装置の近くに人が存在するか否かを検知しているに過ぎないので、エリア内に人流が多く、読んでいる人(つまり立ち止まっている人)がいない状況でも詳細表示となってしまい、表示時間が長くなってしまい、閲覧者がいないにも関わらず、詳細な表示内容を表示してしまう可能性があるという点を解消できるものではなかった。よって、閲覧者がいない場合に、多数の潜在的な閲覧者向けへ多くの情報を提供するという観点から充分ではなかった。
【0005】
つまり、上述したような従来技術では、閲覧者がいない時間でも詳細情報を表示する表示時間が長くなり、多数の潜在的な閲覧者向けへ多くの情報を提供する観点で充分なものではなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、上記点に鑑みてなされたものであり、本開示は、表示内容に関心を有する閲覧者の読みやすさと、閲覧者がいない場合に多数の潜在的な閲覧者に対しより多くの情報を提供することとを両立することが可能な情報表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示では、上記点に鑑みて、下記特徴を有する、所定の表示内容を表示部に表示するための情報表示装置を提供する。本情報表示装置は、表示部から所定範囲内において検知される検知対象の滞在の時間を計測する時間計測部と、所定範囲内における検知対象の滞在の時間が基準以上となった場合に、表示する時間が長くなるように表示条件を変更して所定の表示内容を表示するように制御する表示制御部とを含む。
【発明の効果】
【0008】
上記構成により、表示内容に関心を有する閲覧者の読みやすさと、閲覧者がいない場合に多数の潜在的な閲覧者に対しより多くの情報を提供することとを両立することが可能なとなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態によるサイネージ管理システムの全体構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態によるサイネージ管理システムを構成する管理端末として用いることができるパーソナル・コンピュータ(PC)のハードウェア構成図である。
【
図3】
図3は、本実施形態によるサイネージ管理システムを構成するサイネージ装置のハードウェア構成図である。
【
図4】
図4は、本実施形態によるサイネージ管理システムの機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図5】
図5は、本実施形態によるサイネージ管理システムにおいて距離測定部が行う距離の測定方法を説明する図である。
【
図6】
図6は、本実施形態によるサイネージ管理システムにおいて実行される距離の時間変化および滞在時間に基づく通行人および閲覧者の識別方法を説明する図である。
【
図7】
図7は、本実施形態によるサイネージ管理システムにおいて用いられる表示設定を説明する図である。
【
図8】
図8は、本実施形態によるサイネージ管理システムで実行される表示制御を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、本実施形態によるサイネージ管理システムで実行される表示内容の種類に応じた表示条件の決定処理を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、本実施形態によるサイネージ管理システムで実行される文字数に応じた表示時間の決定処理を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、好ましい実施形態によるサイネージ装置の表示部に複数の表示内容を異なる領域に表示する構成を説明する。
【
図12】
図12は、1または複数の動作測定部を備える、好ましい実施形態によるサイネージ装置を説明する図である。
【
図13】
図13は、本実施形態によるサイネージ管理システムにおいて緊急情報受信時の動作を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、閲覧者端末を用いる、好ましい実施形態によるサイネージ管理システムの全体構成を示す図である。
【
図15】
図15は、好ましい実施形態によるサイネージ管理システムにおいて閲覧者端末に表示される表示画面を例示する。
【
図16】
図16は、好ましい実施形態によるサイネージ管理システムにおいて閲覧者端末からサイネージ装置の表示に対する操作を行う処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明するが、実施形態は、以下に説明される具体的な実施形態に限定されるものではない。本開示の実施形態は、種々の変更および改変を受け入れる余地がある点に留意されたい。
【0011】
本開示によれば、所定の表示内容(例えば、広告情報、行政情報、施設情報など)を表示部に表示するための情報表示装置が提供される。情報表示装置は、表示部から所定範囲(例えば表示部に関連して設けられるセンサから所定の距離の範囲)内において検知される検知対象(例えば人)の滞在の時間を計測する時間計測部を備える。情報表示装置は、さらに、上記所定範囲内における検知対象の滞在の時間が基準以上となった場合に、表示する時間が長くなるように表示条件(例えば、静止画の切り替え時間や動画の再生速度)を変更して上記所定の表示内容を表示するように制御する表示制御部を備える。
【0012】
上記構成により、上記所定範囲内における検知対象の滞在の時間から表示部の表示内容を読んでいる閲覧者が存在する可能性を推定し、閲覧者が滞在している可能性が高い状況において、所定の表示内容をより長い時間表示することができる。ひいては、表示内容に関心を有する閲覧者が読んでいる途中に表示内容が切り替わってしまうことを防止し、閲覧者の読みやすさを向上することができる。同時に、閲覧者が滞在している可能性が低い状況において、潜在的な閲覧者(例えば、表示部を視野に入れている通行人)へより多くの情報を提供することができる。
【0013】
情報表示装置は、紙での掲示に比べて表示内容を切り替えることにより、少ない表示面積でより多くの情報を表示および伝達することを可能とするという利点がある。一方、人が表示内容に興味を示していない間、同一の表示内容を長く表示し続けるよりも、短い時間で表示内容を切り替えて複数の内容を表示することで、表示内容がその内容に関心を有するであろう人の目に留まる可能性が高くなる。ただ、興味を持ち表示内容を読み始めた場合、読み終わるまでには、情報量にもよるが一定の時間が必要になる。上記構成では、単に人の存在を検知するだけではなく、滞在時間に基づくことで、閲覧者が滞在している可能性が高いことをより精度高く判断し、閲覧者が滞在している可能性が高いと判断される場合に、表示内容の表示時間を長くすることで、閲覧者が読んでいる途中で表示が切り替わることを防ぐことができる。
【0014】
特定の実施形態においては、情報表示装置は、距離センサによる測定値の時間変化に基づき、表示部から所定範囲内における検知対象の滞在を検知する検知部をさらに備えていてもよい。ここで、距離センサによる測定値の時間変化が、一定の基準に収まる場合に、対象がその範囲に滞在、例えば、立ち止まっている可能性が高いと判断することができる。
【0015】
特定の実施形態においては、情報表示装置は、表示部に表示させる所定の表示内容が静止画であるか動画であるかを判定する種類判定部を備えてもよい。さらに、上記表示条件は、表示する所定の表示内容が静止画である場合、静止画の表示の切り替える時間であり、表示する所定の表示内容が動画である場合、動画を再生する再生速度である。
【0016】
特定の実施形態においては、情報表示装置は、所定の表示内容を取得する表示内容取得部と、所定の表示内容に関連付けられる所定の表示内容の表示時間情報を取得する情報取得部とを備えてもよい。この場合に、上述した表示条件は、表示時間情報に基づくことができる。これにより、所定の表示内容に表示時間情報を関連付けることで、表示内容の提供者(例えば広告主)の希望に合わせた表示時間とすることができる。
【0017】
あるいは、別の特定の実施形態においては、所定の表示内容を取得する表示内容取得部と、所定の表示内容に含まれる情報量(例えば文字数など)を計算する計算部とをさらに備えてもよい。この場合に、上述した表示条件は、所定の表示内容の情報量に基づくことができる。これにより、表示内容に含まれる情報量に応じた表示時間とすることができる。
【0018】
また、好ましい実施形態においては、上記所定の表示内容は、複数の表示内容を含み、表示部は、複数の表示内容を異なる領域に表示している。その場合に、情報表示装置は、表示部から所定範囲内における検知対象の位置を検出する位置検出部をさらに備えてもよい。この場合に、表示制御部は、検知対象の位置に基づいて、複数の表示内容のうちの位置に関連付けられる領域の表示内容を上述した所定の表示内容として、表示条件(例えば切り替え時間や再生時間)および表現手法(例えば画像のサイズやスケールや文字の大きさなど)の一方または両方を変更するよう制御することができる。これにより、表示部の異なる領域に複数の表示内容を示す場合に、閲覧者がいる可能性が高い領域については、表示内容を長く表示するようにし、閲覧者に読みやすくすることが可能となる。同時に、閲覧者がいる可能性が低い領域については、表示内容の表示時間を短く、より多くの情報を提供することが可能となる。
【0019】
好ましい実施形態においては、表示制御部は、表示する時間が長くなるように表示条件を変更している状態からの解除条件が満たされたことに応答して、表示する時間が基準の長さに戻るように表示条件を変更するように制御することができる。これにより、閲覧者がいなくなった可能性が高くなった際に、人の介入なく通常の表示時間となるように表示条件を戻すことができる。
【0020】
さらに、好ましい実施形態においては、情報表示装置は、検知対象の動作を測定する1以上の動作測定部をさらに備えてもよい。表示制御部は、対象の動作に基づいて、表示部の表示に対する操作の処理を実行することができる。ここで、表示に対する操作は、複数の表示内容からの表示部に表示する所定の表示内容の選択または変更、所定の表示内容の表現手法の変更、所定の表示内容の表示時間の変更であってもよい。これにより、閲覧者は、自身の好みのタイミングで、表示を変更することができるようになる。
【0021】
さらに好ましい実施形態においては、情報表示装置は、緊急情報を受信する受信部をさらに備えてもよい。その場合に、表示制御部は、緊急情報を受信したことに応答して、表示条件が表示する時間が長くなるように変更されている場合、表示時間が基準の長さに戻るように表示条件を変更するように制御することができる。これにより、緊急時は不特定多数の人向けの表示に固定することができるようになる。
【0022】
また、さらに好ましい実施形態においては、表示制御部は、表示条件を変更して所定の表示内容を表示している間、表示部に、所定の表示内容に加えて、表示部での表示を操作するための操作部(例えば、操作用のウェブページやアプリケーションの画面)へアクセスするためのコード表示(例えばQRコード(登録商標))を表示するように制御する。この場合において、情報表示装置は、さらに、操作部を介した操作を受け付ける操作受付部(インタフェース)をさらに含む。これにより、興味をもった閲覧者は、自身の手持ちの端末から、情報表示装置の表示を操作することが可能となり、読み手の表示選択の自由度を向上させることができる。
【0023】
本開示によれば、表示制御方法が提供される。表示制御方法は、コンピュータに、表示部から所定範囲内において検知される検知対象の滞在の時間を計測するステップを実行させる。表示制御方法は、また、コンピュータに、所定範囲内における検知対象の滞在の時間が基準以上となった場合に、表示する時間が長くなるように表示条件を変更して所定の表示内容を表示するステップを実行させる。
【0024】
本開示によれば、上記情報表示装置を実現するためのプログラムが提供される。本開示によれば、また、上記情報表示装置を含み構成される情報表示システムが提供される。
【0025】
好ましい実施形態による情報表示システムによるにおいて、表示制御部は、表示条件を変更して所定の表示内容を表示している間、表示部に、所定の表示内容に加えて、表示部での表示を操作するための操作部へアクセスするためのコード表示を表示させることができる。この場合に、情報表示システムは、さらに、操作部を介した操作を受け付ける操作部と、操作者の操作を受け付け、操作部に送信する情報処理装置とをさらに含む。
【0026】
以下、図面を参照しながら、本実施形態による情報表示システムおよび情報表示装置について、複数のサイネージ装置とを含み、各サイネージ装置でのコンテンツ(表示内容)の表示を制御するサイネージ管理システムおよびサイネージ管理システム内で用いられるサイネージ装置を例として、より詳細に説明する。しかしながら、本実施形態による情報表示システムおよび情報表示装置の構成は、説明するサイネージ管理システムおよびそれに用いられるサイネージ装置に限定されるものではなく、当業者であれば情報を提示するための任意の情報表示システムおよび情報表示装置を対象としてもよいことに気が付くであろう。
【0027】
図1は、本実施形態によるサイネージ管理システム100の全体構成を示す図である。
図1に示すように、サイネージ管理システム100は、それぞれネットワーク102に接続される、管理端末110と、それぞれ管理端末110により管理され、所定の表示内容を表示する1または複数のサイネージ装置150(
図1においては、4台のサイネージ装置150a~150dが示される。)とを含み構成される。
【0028】
管理端末110は、管理者が操作するパーソナル・コンピュータ、タブレット・コンピュータ、スマートフォンなどの端末である。管理者は、管理端末110を操作して、サイネージ管理システム100内の各種設定および指示などの操作を実行することができる。
【0029】
サイネージ装置150は、所定の表示内容を静止画や動画として表示する装置である。表示内容は、特に限定されるものではないが、例えば、広告情報、行政情報、施設情報、案内情報、災害情報などである。本明細書において、表示内容は、1つの広告単位を指すものとし、動画の文脈では、動画自体を参照するものとする。サイネージ装置150は、サイネージ・ディスプレイとも参照される。サイネージ装置150としては、液晶ディスプレイやLEDディスプレイなどの表示装置と一体化され単体で動作する装置、または、セット・トップ・ボックス(STB)などの、表示装置との接続インタフェースを備え、外部の表示装置と組み合わせて動作する装置として構成され得る。表示装置は、単一のディスプレイであってもよいし、複数のディスプレイを組み合わせたマルチ・ディスプレイであってもよい。サイネージ装置150は、本実施形態における情報表示装置を構成する。なお、サイネージ装置150の台数は、任意であり、1台または複数台用いてもよい。
【0030】
図1に示すサイネージ装置150は、サイネージ装置150の前に立つ閲覧者の存在、閲覧者までの距離、閲覧者の滞在時間および閲覧者の動作の少なくとも1つを検出するためのセンサ152を備える。センサ152による測定結果から、サイネージ装置150の表示部からの所定の距離以下に、所定の時間以上いる滞在者を検知し、そのような滞在者を検知したことに応答して、表示内容の表示時間が長くなるように調整する。ここで、表示時間が長くなるように調整するとは、一定の情報量を有する表示内容を表示する時間を、基準と比較して長くすることをいう。表示時間を調整することにより、閲覧者がいる可能性が小さい間は、不特定多数の人に向けて短い表示時間で多くの情報を表示するとともに、閲覧者がいる可能性が高い間は、各表示内容の表示時間を長くすることで、読みやすさの向上を図る。本明細書において、滞在者を検知したことに応答して移行する、表示内容の表示時間を長く調整した状態を「熟読モード」と参照し、元の基準のままの表示時間となる状態を「通常モード」と参照する場合がある。
【0031】
ネットワーク102は、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、インターネットなどの公衆回線網、4G、5G、6Gなどの移動体通信網およびこれらの組み合わせなどを含んでもよい。
【0032】
サイネージ管理システム100の管理者は、管理端末110を用いて、ネットワーク102を介して、表示内容のデータをアップロードし、サイネージ装置150は、ネットワーク102を介して、表示内容をダウンロードし、表示する。
【0033】
なお、
図1では、説明の便宜上、管理端末110が複数のサイネージ装置150を管理するものとして説明したが、この構成に限定されるものではない。他の実施形態では、外部の端末装置から、管理装置として複数のサイネージ装置150を管理するサーバ(例えばクラウド上のサーバ)にアクセスする態様であってもよい。また、表示内容のデータは、管理端末110からサイネージ装置150へ直接送信されてもよいし、管理端末110とは別の管理サーバからサイネージ装置150へ送信されてもよい。
【0034】
以下、本実施形態によるサイネージ管理システム100について詳細に説明する前に、サイネージ管理システム100を構成する各装置のハードウェア構成を説明する。
【0035】
図2は、本実施形態によるサイネージ管理システム100を構成する管理端末110として用いることができるパーソナル・コンピュータ(PC)のハードウェア構成図である。
図2は、PCのハードウェア構成図である。
【0036】
図2に示されているように、PC200は、コンピュータによって構築されており、
図2に示されているように、CPU201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203、HD204、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ205、ディスプレイ206、外部機器接続I/F(Interface)208、ネットワークI/F209、データバス210、キーボード211、ポインティングデバイス212、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ214、メディアI/F216を備えている。
【0037】
これらのうち、CPU201は、PC200全体の動作を制御する。ROM202は、IPL等のCPU201の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM203は、CPU201のワークエリアとして使用される。HD204は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ205は、CPU201の制御にしたがってHD204に対する各種データの読み出しまたは書き込みを制御する。ディスプレイ206は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、または画像などの各種情報を表示する。外部機器接続I/F208は、各種の外部機器を接続するためのインタフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやプリンタ等である。ネットワークI/F209は、通信ネットワークを利用してデータ通信をするためのインタフェースである。データバス210は、
図2に示されているCPU201等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0038】
また、キーボード211は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス212は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。DVD-RWドライブ214は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW213に対する各種データの読み出しまたは書き込みを制御する。なお、DVD-RWに限らず、DVD-R等であってもよいし、他の任意の記録媒体であってもよく、特に限定されるものではない。メディアI/F216は、フラッシュメモリ等の記録メディア215に対するデータの読み出しまたは書き込み(記憶)を制御する。
【0039】
図3は、本実施形態における、サイネージ管理システム100を構成するサイネージ装置150のハードウェア構成図である。
図3に示されているように、サイネージ装置150は、CPU251、ROM252、RAM253、記憶部254、無線I/F255、メディアI/F256、ディスプレイI/F257およびセンサI/F258を備える。
【0040】
これらのうち、CPU251は、サイネージ装置150全体の動作を制御する。ROM252は、CPU251やIPL等のCPU251の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM253は、CPU251のワークエリアとして使用される。記憶部254は、CPU251の制御にしたがって、サイネージ装置150用プログラム等の各種データの読み出しまたは書き込みを行う。無線I/F255は、無線を介した通信を制御する。サイネージ装置150は、無線I/F255を通じて管理端末110とネットワーク接続し、または、他のサイネージ装置150と広域無線通信による接続し、各種の情報をやり取りすることが可能である。メディアI/F256は、フラッシュメモリ等の記録メディアに対するデータの読み出しまたは書き込み(記憶)を制御する。ディスプレイI/F257は、ディスプレイ260との接続用のインタフェースである。センサI/F258は、各種センサ270との接続用のインタフェースである。
【0041】
また、サイネージ装置150は、ディスプレイI/F257を介して接続されるディスプレイ260を備える。ディスプレイは、液晶ディスプレイ、LEDディスプレイなどであってよく、1台のディスプレイであってもよいし、あるいは、複数台でマルチディスプレイ・サイネージを行ってもよい。ディスプレイ260は、サイネージ装置150と別体で構成されてもよいし、一体化されて構成されてもよい。
【0042】
さらに、本実施形態によるサイネージ装置150は、センサI/F258を介して接続されるセンサ270を備える。センサ270は、光学方式や超音波方式の距離センサなどの所定範囲の対象物や人物との距離を測定する距離センサや、人の位置を検出する位置センサなどの位置センサを含む。センサ270に含まれるセンサの数も、種類の数も、特に限定されるものではなく、センサ・アレイなど、センサ自体が複数の素子から構成されたものであってもよい。センサ270についても、サイネージ装置150およびディスプレイとは別体で構成されてもよいし、ディスプレイ260に一体化されてもよいし、サイネージ装置150全体で一体化されて構成されてもよく、特に限定されるものではない。
【0043】
以上、本実施形態のサイネージ管理システム100の全体構成およびサイネージ管理システム100を構成する装置のハードウェア構成について説明した。以下、引き続き、サイネージ管理システム100の機能構成300について、
図4に示す機能ブロック図に基づいて説明する。なお、
図4には、管理端末110の機能ブロック310と、サイネージ装置150の機能ブロック350とが示されている。
【0044】
管理端末110の機能ブロック310は、
図4に示すように、記憶部312と、通信部320と、操作部318とを含み構成される。
【0045】
記憶部312は、
図2に示すHD204などの補助記憶装置により提供される。記憶部312には、管理対象のサイネージ装置150に関する設定(表示設定)314および管理対象のサイネージ装置150に表示させる表示内容の情報(表示情報)316が記憶される。表示設定314には、例えば、所定の表示内容についてその掲載期間、通常モード時および熟読モード時の表示条件(静止画の切り替え時間や動画の再生速度)などの設定情報が含まれる。
【0046】
操作部318は、管理者が各種設定や操作を行うためのユーザ・インタフェースを提供する。管理者は、操作部318を介して、各サイネージ装置150の表示内容の新規登録、更新、削除、表示内容の掲載期間の設定、通常モード時または熟読モード時の表示条件の設定などのサイネージ管理システム100における各種設定を行うことができる。
【0047】
通信部320は、管理端末110をネットワーク102に接続するための通信インタフェースを含み構成される。管理端末110は、通信部320を用いて、ネットワーク102を介して各サイネージ装置150と通信し、各サイネージ装置150に対する表示内容の新規登録、追加、削除や各種設定値の変更を実施する。
【0048】
なお、説明する実施形態においては、説明の簡便のため、管理端末110が、各サイネージ装置150に対して表示する表示内容(例えば広告にかかる静止画や動画)を提供するものとして説明する。しかしながら、表示内容のデータは、管理端末110とは別のサーバ(例えばクラウド上のサーバ)などから取得することとしてもよい。
【0049】
サイネージ装置150の機能ブロック350は、通信部352と、表示部354と、距離測定部356と、制御部360と、記憶部380とを含み構成される。
【0050】
通信部352は、ネットワーク102に接続するための通信手段である。サイネージ装置150は、通信部352を介して、管理端末110や管理サーバと通信し、記憶部380に記憶するための表示内容のデータや表示条件などの各種設定値を受信する。特定の実施形態では、通信部352は、受信待機しており、配信される表示内容データを受信することができる。通信部352は、有線LAN、無線LAN、LTE(Long Term Evolution)、5Gなどの移動体通信網またはこれらの組み合わせを介した所定の通信を実行する。通信部352は、あるいは、他のサイネージ装置150などとLoRaなどの広域無線通信を実行してもよい。
【0051】
表示部354は、
図3に示したディスプレイ260を含み構成される。表示部354は、管理端末110などから指令された表示内容(静止画または動画)を表示する。
【0052】
記憶部380は、表示部354で表示するための表示内容のデータを記憶し、管理端末110により表示の指令がなされる表示内容(表示情報)382を記憶する。また、記憶部380は、表示部354に表示するための表示設定384を記憶する。なお、特定の実施形態においては、表示情報382には、表示内容ごとの表示時間の情報が紐付けられており、記憶部380は、表示情報382に対応付けて表示時間を記憶してもよい。
【0053】
距離測定部356は、ディスプレイに関連付けて配置される(例えばディスプレイのベゼル上部に設けられるなど)距離センサを含み構成され、対象(通行人や閲覧者)との距離を測定する。距離測定部356は、検知範囲内(表示部を閲覧することができる範囲)に存在する対象の距離センサからの距離を測定する。距離センサとしては、特に限定されるものではないが、光学式センサや超音波式センサなどを用いることができる。
【0054】
ここで、
図5を参照しながら、距離測定部356における距離の測定方法について説明する。距離測定部356で用いるセンサとしては、ToF(Time of Flight)センサを用いることができる。ToFセンサの場合、
図5に示すように、パルス投光したレーザー光が人Pなどの対象の表面で反射して受光するまでの時間を光の速さ(約30万km/秒)とかけて、2で割ることで、センサから対象までの距離を求める。なお、好まし実施形態では、距離の測定は、継続的に行い、時間経過での距離の変化量を測定する。所定の時間内での距離の変化量が大きい場合は、閲覧者ではない単なる通行人である可能性が高いが、所定の時間内での距離の変化量が小さい場合は、立ち止まっている人である可能性が高いと判断することができる。
【0055】
再び
図4を参照すると、制御部360は、CPU251などを含み構成され、サイネージ装置150の全体制御を行う。
図4には、制御部360のより詳細な構成が記載されている。制御部360は、より具体的には、通信制御部362と、表示制御部364と、滞在検知部366と、滞在時間計測部368と、種類判定部370と、表示内容取得部372と、情報取得部374とを含み構成される。
【0056】
通信制御部362は、通信部352を介した各種データの送受信制御を行う。また受信した表示内容データおよび各種設定値を記憶部380へ格納する処理を行う。
【0057】
表示制御部364は、表示部354に対する表示制御を行う。表示制御部364は、表示部354の制御(表示内容の表示や切り替え)や距離測定部356の測定結果に基づいて、表示内容の表示時間を変更する制御を行う。表示制御部364は、より具体的には、記憶部380に格納された表示設定384に基づいて、記憶部380に格納された表示情報(表示内容)382を表示し、距離測定部356の測定結果に応じてモードを選択し、表示の際の表示条件(静止画の切り替え時間や、動画の場合の再生速度)を変更する制御を行う。ここで、距離測定部356の測定結果から、所定範囲内における検知対象の滞在の時間が基準以上となった場合に、熟読モードに移行するものとする。表示制御部364は、熟読モードに移行した場合、表示する時間が長くなるように表示内容の表示条件を変更する。また、表示制御部364は、熟読モードの解除条件(例えば、熟読モードに入ってから所定時間が経過したこと、検知対象が検知されない時間が基準以上となることなど)が満たされたことに応答して、通常モードに戻り、表示時間が基準の長さに戻るように表示条件を変更するように制御してもよい。
【0058】
滞在検知部366は、距離測定部356による測定結果(測定値の時間変化)に基づき、表示部354から所定範囲内における検知対象の滞在を検知する。ここで、距離測定部356による測定値の時間変化が、一定の基準に収まる場合に、対象がその範囲に滞在、例えば、立ち止まっていると推定することができる。
【0059】
滞在時間計測部368は、表示部354から所定範囲(例えば表示部354に関連して設けられるセンサから所定の距離の範囲)内において検知される検知対象(例えば人)の滞在の時間を計測する。滞在検知部366による検知は、継続的に実施されており、上記測定値の時間変化が、一定の基準(例えば、3秒間で変化量0.1m未満など)に収まる場合に、人が滞在しているものと見なす。そして、上記測定値の時間変化が一定の基準に収まる期間を滞在時間として計測する。滞在時間計測部368は、求めた滞在時間を表示制御部364に通知するか、または、滞在時間が所定の基準を超えたこと(イベント)を表示制御部364に通知する。
【0060】
図6は、本実施形態によるサイネージ管理システム100において実行される距離の時間変化および滞在時間に基づく通行人および閲覧者の識別方法を説明する。あらかじめ設定した距離および時間(例えば:距離1m以内に時間5秒以上の滞在)を条件として、表示部354の前の対象を検知した場合に、表示部の閲覧者であると判断する。滞在時間は、測定する距離の変化量が小さい期間を滞在時間として測定する。
図6では、人の移動方向および移動速度が矢印で模式的に示されている。
図6で描かれている状況では、人P1および人P3は、動いているため、表示部354からの距離が近いとしても距離の時間変化量が大きい。そのため、滞在時間が短く、人P1および人P3は、閲覧者とは判断されない。一方、人P2は、距離の時間変化量が小さく、表示部354の前に所定時間以上滞在しているため、閲覧者であると判断される。
【0061】
再び
図4を参照すると、種類判定部370は、表示部354に表示させる(また記憶部380に記憶される)所定の表示内容が静止画であるか動画であるかを判定する。上述した表示条件は、表示する所定の表示内容が静止画である場合、静止画の表示の切り替える時間となり、表示する所定の表示内容が動画である場合、動画を再生する再生速度となる。
【0062】
表示内容取得部372は、管理端末110または他のサーバから、ネットワーク102を介して、表示内容を取得する。取得された表示内容のデータは、記憶部380に格納され、表示制御部364の制御により表示部354に表示する際に読み出される。
【0063】
図7は、本実施形態によるサイネージ管理システム100において用いられる表示設定を説明する図である。
図7(A)は、一律で表示条件を定める表示設定の例を示す。通常モード時および熟読モード時の表示内容の表示条件は、
図7(A)に示すように、すべての表示内容に対し一律(静止画に一律の切り替え時間、動画に一律の再生速度)に定められてもよい。
【0064】
なお、1つの表示内容が、複数ページにわたる場合、熟読モードでの表示時間は、例えば、設定された値をページ数で割った時間を1ページあたりの表示時間としてもよいし、各ページに対して、設定された値の表示時間としてもよい。例えば、表示内容が3ページ、通常モード時の表示時間が3秒であり、熟読モード時の表示時間6秒の場合、通常モード時の1ページの表示時間は、3秒÷3ページ=1秒とし、熟読モード時の1ページの表示時間は、6秒÷3ページ=2秒としてもよい。表示時間が経過したり、動画を再生終了した場合、再度、記憶部380から表示内容を取得し、処理を繰り返すことができる。
【0065】
また、他の実施形態では、表示条件は、
図7(B)に示すように、表示内容(広告の種類)ごとに定められてもよい。その場合、表示条件が表示時間情報に基づくとして、情報取得部374は、管理端末110または他のサーバから、ネットワーク102を介して、表示内容とともにその表示時間情報を取得することができる。このように構成することによって、表示内容の提供者(例えば広告主)の希望に合わせて表示時間を変えることができるようになる。
【0066】
以下、
図8に示すフローチャートを参照しながら、本実施形態によるサイネージ管理システム100で実行される表示制御処理を説明する。
図8に示す処理は、サイネージ装置150の起動などに応答して、ステップS100から開始する。
【0067】
ステップS101では、サイネージ装置150は、距離測定部356により、測定結果を取得する。ステップS101では、表示部から所定範囲内において検知される検知対象の滞在の時間が計測される。ステップS102では、サイネージ装置150は、表示制御部364により、閲覧者が検出されたか否かを判定する。ステップS102の判定では、所定範囲内における検知対象の滞在の時間が基準以上、より具体的には、対象までの測定距離が所定の閾値未満で、対象までの測定距離の時間変化が所定範囲内にある状態の継続時間が閾値以上となったか否かが判定される。
【0068】
ステップS102で、閲覧者が検出されたと判定された場合(YES)は、ステップS103へ処理が分岐される。ステップS103では、サイネージ装置150は、記憶部380の表示設定から「熟読モード」時の表示条件を読み出し、ステップS105へ処理が進められる。
【0069】
一方、ステップS102で、閲覧者が検出されなかったと判定された場合(NO)は、ステップS104へ処理が分岐される。ステップS104では、サイネージ装置150は、記憶部380の表示設定から「通常モード」時の表示条件を読み出し、ステップS105へ処理が進められる。
【0070】
ステップS105では、サイネージ装置150は、表示制御部364により、読み出した表示条件にて表示部354に表示内容を表示する。ステップS106では、表示内容の表示が終了すると、次に表示する表示内容を記憶部380から読み出し、ステップS101へループさせる。
【0071】
以下、
図9に示すフローチャートを参照して、本実施形態によるサイネージ管理システム100で実行される表示内容の種類に応じた表示条件の決定処理を説明する。
図9に示す処理は、
図8に示したステップ103(ステップS104でも同様の処理であるが、その場合、「熟読モード」を「通常モード」に読み替える)で読み出されて、ステップS200から開始する。
【0072】
ステップS201では、サイネージ装置150は、種類判定部370により、表示する表示内容が静止画であるか、動画であるかを判定する。ステップS201で、表示内容が静止画であると判定された場合(静止画)は、ステップS202へ処理が進められる。ステップS202では、サイネージ装置150は、記憶部380の表示設定から、熟読モード時の静止画の切り替え時間を取得し、ステップS204で本処理を終了する。
【0073】
一方、ステップS201で、表示内容が動画であると判定された場合(動画)は、ステップS203へ処理が進められる。ステップS203では、サイネージ装置150は、記憶部380の表示設定から、熟読モード時の動画の再生時間を取得し、ステップS204で本処理を終了する。
【0074】
以上、
図1~
図9を参照しながら、本実施形態によるサイネージ管理システムおよびサイネージ装置の構成を説明した。以下、
図4、
図10~
図16を参照しながら、より好ましい実施形態ないし変形例の実施形態について説明する。
【0075】
ここで、再び
図4を参照すると、
図4には、好ましい実施形態によるサイネージ装置150の表示制御部364の機能ブロックも示されている。
図4に示すように、表示制御部364は、さらに、情報量計算部376を含んでもよい。情報量計算部376は、上記表示する所定の表示内容に含まれる情報量を計算する。ここで、情報量は、所定の表示内容に含まれる情報の多さを定量する任意の指標を用いることができる。情報量としては、例えば、表示内容に文字情報が含まれる場合の文字数を例示することができる。この場合、表示条件は、上述したように、一律の設定値として記憶されていたり、表示内容に紐付けて記憶されていたりするのではなく、表示内容に含まれる情報量、例えば文字数から、決定される。
【0076】
図10は、本実施形態によるサイネージ管理システム100で実行される文字数に応じた表示時間の決定処理を示すフローチャートである。
図10に示す処理は、ステップS300から開始される。なお、
図10に示す処理は、例えば、
図9のステップS202に代えて、熟読モード時または通常モード時の切り替え時間に関して、実行され得る。
【0077】
ステップS301では、サイネージ装置150は、記憶部380から表示内容を取得する。ステップS302では、サイネージ装置150は、表示内容の情報量(文字数n)を計算する。ステップS303では、サイネージ装置150は、情報量(文字数n)が閾値を超えたか否かに応じて処理を分岐させる。
【0078】
ステップS303で、情報量(文字数n)が閾値を超えたと判定された場合(YES)は、ステップS304へ処理が進められる。ステップS304では、サイネージ装置150は、切り替え時間をたとえば5秒に設定し、ステップS306で本処理を終了する。一方、ステップS303で、情報量(文字数n)が閾値を超えなかったと判定された場合(NO)は、ステップS305へ処理が進められる。ステップS305では、サイネージ装置150は、表示時間をたとえば10秒に設定し、ステップS306で本処理を終了する。なお、ここでの切り替え時間の具体的な数字は、例示に過ぎず、実装に依存し、また、熟読モード時のものか、通常モード時のものかによっても異なることになる。
【0079】
このように、文字数が多く情報量が多いほど、表示時間が長くなり、文字数が少なく情報量が少ないほど、表示時間が短くなる。なお、
図10に示す例では、情報量に対する一つの閾値を設けて、その閾値を超えるか否かに応じて表示時間を決めていた。しかしながら、閾値の数は、1つに限定されず、多段階での判定としてもよい。また、閾値判定処理に代えて、文字数などの情報量に所定の係数を乗じるなどして、表示時間を決定してもよい。例えば、文字数に0.05の係数をかけるとして、300文字の表示内容の表示時間は、300文字×0.01=3秒とし、500文字の表示内容の表示時間は、500文字×0.01=5秒としてもよい。
【0080】
このように表示内容の情報量に応じて表示時間(切り替え時間)を調整することにより、読んでいる人がより読みやすくなる。
【0081】
上述までの実施形態の説明では、表示部354にはある時点に1つだけの表示内容が表示されるものとして説明した。つまり、切り替えにより結果として複数の表示内容が表示されるが、同時に複数の表示内容は表示されなかった。しかしながら、表示部354に同時に表示可能な表示内容の数に限定はなく、表示部354の表示面の大きさに応じて適切な数の表示内容を異なる表示画面上の領域に表示することができる。
【0082】
図11は、好ましい実施形態によるサイネージ装置150の表示部354において複数の表示内容を異なる領域に表示した構成を説明する。また、再び
図4を参照すると、
図4には、表示部354に複数の表示内容を異なる領域に表示する、好ましい実施形態によるサイネージ装置150の表示制御部364の機能ブロックも示されている。
図4に示すように表示制御部364は、さらに、位置検出部378を備える。
【0083】
この好ましい実施形態において、距離測定部356は、センサ部位の正面の対象までの距離を測定するのみならず、複数の方向(位置)での距離を測定可能に構成される。距離測定部356で用いるセンサとしては、非接触の方式では、レーザー式、静電容量式、カメラ方式の位置センサを用いることができる。この実施形態においては、複数の位置に対してそれぞれ距離が測定される。
【0084】
位置検出部378は、複数の位置に対する距離の測定値およびその時間変化から、所定範囲内における検知対象の位置を検出する。この好ましい実施形態において、表示制御部364は、検知対象の位置に基づいて、複数の表示内容のうちの位置に関連付けられる領域の表示内容の表示条件および表現手法の一方または両方を変更するよう制御することができる。例えば、表示部354の表示領域を左右に分けて左右に2つの表示内容を表示する場合において、表示部354の上部の左右の箇所に2つのToFセンサを設置し、それぞれ距離の測定値およびその時間変化を計測することによって、左右それぞれの位置(領域)での検知対象の滞在時間を求めて、読んでいる滞在者の有無を判定することができる。
【0085】
また、上記表現手法とは、画像のサイズやスケール、文字の大きさであってよい。例えば、熟読モードにおいて、表示部354で複数の表示内容を同時に表示する場合、距離測定部356にて距離、時間に加えて位置を測定し、人の位置に一番近い領域の表示内容のみ表示条件(切り替え時間または再生速度)を変更したり、文字サイズを大きくしたり、画像を拡大する(画像を大きくする)などの変更を行うことができる。
【0086】
このように、閲覧者の位置に近い表示内容だけを熟読モードへ移行させることができる。この場合、記憶部380から、変更する位置に表示する表示内容のリストと熟読モードの表示設定情報を取得し、取得したリストに熟読モードの表示設定を反映させることができる。
【0087】
図11に描かれた情報では、人Pが左側に位置しているため、表示部32の左側に表示している表示内容Aのみ熟読モードに切り替えることができる。また、熟読モードへの切り替えに伴って、表示時間の延長に加えて、文字サイズや画像サイズの変更を併せて行ってもよい。また、文字サイズおよび画像サイズは、距離測定部356において測定した距離に基づいて変更してもよい。例えば、表示部354と閲覧者の距離が近い場合は変更なしとし、表示部354と閲覧者の距離が遠い場合は、文字サイズを大きくしたり、画像を大きくしたりするなどの表現手法の変更を行うことができる。また、画像を大きくしたことで文字の表示範囲が狭くなり、収まりきらない場合は、文字サイズを小さくする処理を行っても良い。
【0088】
上述までの実施形態では、閲覧者は、受動的に表示部354に表示される情報を閲覧するのみであった。以下、閲覧者が、表示部354に表示される表示内容を操作することが可能な好ましい実施形態について説明する。
【0089】
再び
図4を参照すると、
図4には、閲覧者が表示を操作することができる、好ましい実施形態によるサイネージ装置150の機能ブロックも示されている。
図4に示すように、サイネージ装置150は、通信部352、表示部354、距離測定部356、制御部360および記憶部380に加えて、1または複数の動作測定部358を含み構成される。動作測定部358は、表示部354に関連付けて配置される赤外線センサなどを含み構成され、対象(閲覧者)の手をかざす動作やジェスチャなどの各種動作を検知する。
【0090】
この実施形態において、表示制御部364は、検知対象の動作に基づいて、表示部354の表示に対する操作の処理を実行する。ここで、上記表示に対する操作は、複数の表示内容から表示部354に表示する表示内容の選択または変更、表示内容の表現手法の変更または表示内容の表示時間の変更であってもよい。
【0091】
図12は、1または複数の動作測定部を備える、好ましい実施形態によるサイネージ装置150を説明する。
図12(A)は、1つの動作測定部358が表示部354の中央下部に設けられたサイネージ装置150Aを示す。
図12(B)は、2つの動作測定部358が表示部354の左右両側の中央に設けられたサイネージ装置150Bを示す。
【0092】
熟読モードにおいて、人の動作を契機として表示内容の切り替えを行う場合、距離測定部356に加えて、人の動作を測定する動作測定部358を1または複数使用する。
図12(A)に示すように、動作測定部358を1つだけ、読んでいる人が手をかざしやすい位置に設置することができる。この場合、手のかざしを検知したことに応答して、
図12(C)のテーブルで表されるように、表示内容を切り替える、表示内容の文字サイズを大きくあるいは小さくする、表示内容の表示時間を延長あるいは短縮するなどの変更を行うことができる。他の実施形態では、
図12(B)に示すように2つ動作測定部358を左右に設置することもできる。この場合、
図12(D)に示すテーブルで表されるように、右に手をかざしたら次の表示内容に左に手をかざしたら前の表示内容に表示を変更したり、左に手をかざしたら画像を大きく右に手をかざしたら画像を小さく変更したり、左に手をかざしたら文字を大きく右に手をかざしたら文字を小さく変更したりすることができる。
【0093】
上述までは、サイネージ装置を広告情報や案内情報などの通常の情報を発信する平常時の用途について説明した。一方で、サイネージ装置150の用途としては、地震などの災害発生時に表示部354に緊急情報を表示したいという要望がある。以下、そのような災害時等の緊急情報の表示に有用な実施形態について説明する。
【0094】
説明する実施形態において、通信部352は、緊急情報を受信するように構成される。表示制御部364は、上記通信部352により緊急情報を受信したことに応答して、熟読モードにある場合(表示条件が、表示時間が長くなるように変更されている場合)に、通常モードに戻して、表示時間が基準の長さに戻るように表示条件を変更するように制御することができる。
【0095】
図13は、本実施形態によるサイネージ管理システム100において、緊急情報受信時の動作を示すフローチャートである。
図13に示す処理は、地震などの災害時に緊急情報を受信したことに応答して、ステップS400から開始される。
【0096】
ステップS400では、サイネージ装置150は、現在のモードを確認し、熟読モードになっているか否かに応じて処理を分岐させる。ステップS401で、熟読モードになっていると判定された場合(YES)は、ステップS402へ処理が進められる。ステップS402では、サイネージ装置150は、通常モードに移行させ、ステップS403へ処理が進められる。一方、ステップS401で、熟読モードになっていないと判定された場合(NO)は、ステップS403へ直接処理が進められる。
【0097】
ステップS403では、サイネージ装置150は、距離測定部356の動作を停止し、これ以上、滞在者を検知して熟読モードに移行しないようにする。ステップS404では、サイネージ装置150は、表示部354に緊急情報を表示し、ステップS405で本処理を終了する。
【0098】
このように、緊急情報を表示中に熟読モードに切り替わらないようにすることができる。
【0099】
上述までの実施形態では、閲覧者は、サイネージ装置150のみを用いて情報を閲覧していた。以下、閲覧者が、自身の手持ちの端末から、サイネージ装置の表示に対する操作が可能な好ましい実施形態について、
図4、
図14~
図16を参照しながら説明する。
【0100】
図14は、好ましい実施形態によるサイネージ管理システム400の全体構成を示す図である。
図14に示すように、サイネージ管理システム400は、ネットワーク402に接続される、サイネージ装置450と、閲覧者端末490とを含み構成される。
【0101】
サイネージ装置450は、
図1に示す実施形態と同様に、サイネージ装置450の表示部454の前に立つ閲覧者の存在、閲覧者までの距離、閲覧者の滞在時間および閲覧者の動作の少なくとも1つを検出するためのセンサ452を備える。
図14に描かれる表示部454は、熟読モードにおける状態を例示しており、表示コード(一例としてQR(クイック・レスポンス)コード(登録商標))456を表示している。
【0102】
閲覧者は、自身が所持するスマートフォンやタブレットなどの閲覧者端末490のカメラを用いて二次元コード456を読み取ることにより、所定のURLが得られ、そのURLから、サイネージ装置450の表示の操作を行うためのウェブページにアクセスすることができる。あるいは、閲覧者は、閲覧者端末490のカメラを用いて二次元コードを読み取ることにより、操作用アプリケーションを起動し、サイネージ装置450の表示の操作を行うためのアプリケーション画面を表示することができる。
【0103】
また、再び
図4を参照すると、
図4には、さらに好ましい実施形態によるサイネージ装置450の機能ブロックも示されている。
図4に示すように、サイネージ装置450の制御部360は、操作受付部379を含み構成される。この好ましい実施形態において、表示制御部364は、熟読モードにある間、表示部354に、表示内容に加えて、手持ちの端末を用いて、表示部354での表示に対する操作を行うための操作部(例えばウェブページやアプリケーション画面)へアクセスするためのコード表示を表示するように制御する。ここで、コード表示としては、上述したQRコード(登録商標)が例示されるが、バーコードなどの一次元コード、QRコード(登録商標)以外の二次元コード、その他、三次元コードなどであってもよい。
【0104】
このウェブページまたはアプリケーション画面として提供される操作画面を介した操作は、サイネージ装置450の操作受付部379と接続されており、操作受付部379は、操作部(ウェブページまたはアプリケーション画面)を介した操作を受け付ける。
【0105】
図15は、好ましい実施形態によるサイネージ管理システムにおいて閲覧者端末に表示される表示画面を例示する。
図15(A)は、二次元コードを読み取った端末でまず表示される画面を示す。
【0106】
図15(A)に示す画面500は、「表示切り替え」ボタン502と、「表示設定」ボタン504と、「閲覧終了」ボタン506とを含み構成される。「閲覧終了」ボタン506が押下されると、端末490からのサイネージ装置450の操作を終了し、接続が切断される。「表示切り替え」ボタン502が押下されると、
図15(B)に示す画面520に遷移する。「表示設定」ボタン504が押下されると、
図15(C)に示す画面540に遷移する。
【0107】
図15(B)に示す画面520は、「次のコンテンツを表示」ボタン522と、「ひとつ前のコンテンツ表示」ボタン524と、「戻る」ボタン526とを含み構成される。「戻る」ボタン526が押下されると、
図15(A)に示す画面500に戻る。「次のコンテンツを表示」ボタン522が押下されると、サイネージ装置450の表示部354に表示される表示内容が次のもの(複数の表示内容に表示順序が定められ、その現在表示中の表示内容の次のもの)に変更される。「ひとつ前のコンテンツ表示」ボタン524が押下されると、サイネージ装置450の表示部354に表示される表示内容が、1つ前のもの(複数の表示内容に表示順序が定められ、その現在表示中の表示内容の一つ前のもの)に変更される。
【0108】
図15(C)に示す画面540は、「文字サイズを大きくする」ボタン542と、「画像を大きくする」ボタン544と、「戻る」ボタン546とを含み構成される。「戻る」ボタン546が押下されると、
図15(A)に示す画面500に戻される。「文字サイズを大きくする」ボタン542が押下されると、サイネージ装置450の表示部354に表示される表示内容の表現手法が、文字サイズを大きくするように変更される。「画像を大きくする」ボタン544が押下されると、サイネージ装置450の表示部354に表示される表示内容の表現手法が、画像サイズを大きくするように変更される。
【0109】
なお、端末での制御は1台のみとし、複数台の情報端末から同時に操作することはできないものとすることができる。端末のアクセスを確認したら、表示制御部364は、表示コードを画面から消し、また、他端末からのアクセスを不可に変更し、複数端末からのアクセスを不可能にする。一方で、接続した端末との接続を解除されると、他端末からのアクセスを可能に変更することができる。
【0110】
図16は、好ましい実施形態によるサイネージ管理システムにおいて閲覧者端末からサイネージ装置の表示に対する操作を行う処理を示すフローチャートである。
図16には、閲覧者端末490側の処理を示す左側のフローチャートと、サイネージ装置450側の処理を示す右側のフローチャートとが示されている。
【0111】
図16に示す処理は、閲覧者端末490側およびサイネージ装置450側でそれぞれステップS500およびS600で開始する。
【0112】
ステップS501では、閲覧者端末490は、二次元コードによりサイネージ装置450にアクセスを行う。ステップS501でのアクセスに応答して、サイネージ装置450は、ステプS601で、端末のアクセスを確認し、ステップS602で、他の端末のアクセスを拒否するように設定する。閲覧者端末490側では、アクセス後、ステップS502で、画面に対する閲覧者の操作に応答して、表示設定情報を接続中のサイネージ装置150に送信する。それに応答して、サイネージ装置450は、ステップS603で、表示設定情報を受信する。ステップS604では、受信した表示設定情報に基づいて、表示内容の表示条件および表現手法の一方または両方を変更する。
【0113】
閲覧者端末490側では、ステップS503では、「閲覧終了」ボタンが押下されたか否かを判定する。ステップS503で、「閲覧終了」ボタンがまだ押下されていないと判定された場合(NO)は、ステップS502へ処理を戻し、操作の受付を継続する。一方、ステップS503で、「閲覧終了」ボタンが押下されたと判定された場合(YES)は、ステップS504へ処理が進められる。ステップS504では、閲覧者端末490は、サイネージ装置450との通信接続を解除し、ステップS505で、本処理を終了する。
【0114】
サイネージ装置450側では、ステップS605では、接続が解除されたか否かを判定し、接続が継続している間(NO)、ステップS603へ処理を戻す。一方、ステップS605で、接続が解除されたと判定された場合(YES)ステップS606へ処理を進める。ステップS606では、表示設定を元に戻し、ステップS507で、本処理を終了する。
【0115】
このように、熟読モード中、表示部354に表示コードを表示し、通信手段を備えた端末を用いてアクセス可能とすることで、表示部354に表示される表示内容の切り替えや表示内容中の文字や画像サイズの変更を閲覧者が能動的に行えるようになる。
【0116】
以上説明したように、本実施形態によれば、滞在者の有無に応じて表示内容の表示時間を調整することにより、表示内容に関心を有する閲覧者の読みやすさと閲覧者がいない場合の不特定多数へより多くの情報を提供することの両立を図ることが可能な情報表示装置、該情報表示装置を実現するためのプログラム、情報表示装置が実行する管理方法、および情報表示装置を含む情報表示システムが提供される。
【0117】
特に、情報表示装置の表示部の前の対象について滞在時間を計測して、表示内容を読んでいる閲覧者の存否を推定し、表示内容の閲覧者がいると推定される場合に、表示内容の表示時間を調整することで、閲覧者が読んでいる最中に表示が切り替わることを防ぐことができることが可能となる。
【0118】
なお、上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0119】
上記実施形態で説明した装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。ある実施形態では、管理端末やサーバは、コンピュータ・クラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含んでもよい。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。同様に、サイネージ装置は、互いに通信するように構成された複数のデバイスを含むことができる。
【0120】
さらに、管理端末、サーバおよびサイネージ装置は、開示された処理ステップ、例えば
図8、
図9、
図10、
図13または
図16を様々な組み合わせで共有するように構成できる。例えば、所定のユニットによって実行されるプロセスは、サイネージ装置によって実行され得る。同様に、所定のユニットの機能は、サイネージ装置によって実行することができる。また、管理端末、サーバ、サイネージ装置の各要素は、1つのサーバ装置にまとめられていても良いし、複数の装置に分けられていても良い。
【0121】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 所定の表示内容を表示部に表示するための情報表示装置であって、
前記表示部から所定範囲内において検知される検知対象の滞在の時間を計測する時間計測部と、
前記所定範囲内における前記検知対象の前記滞在の時間が基準以上となった場合に、表示する時間が長くなるように表示条件を変更して前記所定の表示内容を表示するように制御する表示制御部と
を含む、情報表示装置である。
<2> 距離センサによる測定値の時間変化に基づき、前記表示部から前記所定範囲内における前記検知対象の滞在を検知する検知部
をさらに含む、前記<1>に記載の情報表示装置である。
<3>前記表示部に表示させる前記所定の表示内容が静止画であるか動画であるかを判定する種類判定部
をさらに含み、前記表示条件は、前記所定の表示内容が静止画である場合、前記静止画の表示の切り替える時間であり、前記所定の表示内容が動画である場合、前記動画を再生する再生速度である、<1)または<2>に記載の情報表示装置である。
<4> 前記所定の表示内容を取得する表示内容取得部と、
前記所定の表示内容に関連付けられる前記所定の表示内容の表示時間情報を取得する情報取得部と
をさらに含み、前記表示条件は、前記表示時間情報に基づく、<1>~<3>のいずれかに記載の情報表示装置である。
<5> 前記所定の表示内容を取得する表示内容取得部と、
前記所定の表示内容に含まれる情報量を計算する計算部と
をさらに含み、前記表示条件は、前記所定の表示内容の前記情報量に基づく、<1>~<4>のいずれかに記載の情報表示装置である。
<6> 前記表示部に表示させる前記所定の表示内容は、複数の表示内容を含み、前記表示部は、前記複数の表示内容を異なる領域に表示しており、前記情報表示装置は、
前記所定範囲内における前記検知対象の位置を検出する位置検出部
をさらに含み、前記表示制御部は、前記検知対象の位置に基づいて、前記複数の表示内容のうちの前記位置に関連付けられる領域の表示内容を前記所定の表示内容として、前記表示条件および表現手法の一方または両方を変更するよう制御する、<1>~<5>のいずれかに記載の情報表示装置である。
<7> 前記表示制御部は、前記表示する時間が長くなるように表示条件を変更している状態からの解除条件が満たされたことに応答して、前記表示する時間が基準の長さに戻るように前記表示条件を変更するように制御する、<1>~<6>のいずれかに記載の情報表示装置である。
<8> 前記検知対象の動作を測定する1以上の動作測定部
をさらに含み、前記表示制御部は、前記検知対象の動作に基づいて、前記表示部の表示に対する操作の処理を実行し、前記表示に対する操作は、複数の表示内容からの前記表示部に表示する前記所定の表示内容の選択または変更、前記所定の表示内容の表現手法の変更、前記所定の表示内容の表示時間の変更である、<1>~<7>のいずれかに記載の情報表示装置である。
<9> 前記緊急情報を受信する受信部
をさらに含み、前記表示制御部は、前記緊急情報を受信したことに応答して、前記表示条件が前記表示する時間が長くなるように変更されている場合、前記表示する時間が基準の長さに戻るように前記表示条件を変更するように制御する、<1>~<8>のいずれかに記載の情報表示装置である。
<10> 前記表示制御部は、前記表示条件を変更して前記所定の表示内容を表示してる間、前記表示部に、前記所定の表示内容に加えて、前記表示部での表示を操作するための操作部へアクセスするためのコード表示を表示するように制御し、前記情報表示装置は、
前記操作部を介した操作を受け付ける操作受付部
をさらに含む、<1>~<9>のいずれかに記載の情報表示装置である。
<11> 所定の表示内容を表示部に表示する情報表示装置を実現するためのプログラムであって、コンピュータに、
前記表示部から所定範囲内において検知される検知対象の滞在の時間を計測する時間計測部、および
前記所定範囲内における前記検知対象の前記滞在の時間が基準以上となった場合に、表示する時間が長くなるように表示条件を変更して前記所定の表示内容を表示するように制御する表示制御部
として機能させる、プログラムである。
<12> 表示制御方法であって、コンピュータに、
表示部から所定範囲内において検知される検知対象の滞在の時間を計測するステップと、
前記所定範囲内における前記検知対象の前記滞在の時間が基準以上となった場合に、表示する時間が長くなるように表示条件を変更して前記所定の表示内容を表示するステップと
を実行させる、表示制御方法である。
<13> 所定の表示内容を表示部に表示するための情報表示システムであって、
前記表示部から所定範囲内において検知される検知対象の滞在の時間を計測する時間計測部と、
前記所定範囲内における前記検知対象の前記滞在の時間が基準以上となった場合に、表示する時間が長くなるように表示条件を変更して前記所定の表示内容を表示するように制御する表示制御部と
を含む、情報表示システムである。
<14> 前記表示制御部は、前記表示条件を変更して前記所定の表示内容を表示している間、前記表示部に、前記所定の表示内容に加えて、前記表示部での表示を操作するための操作部へアクセスするためのコード表示を表示させることを特徴とし、前記情報表示システムは、さらに、
前記操作部を介した操作を受け付ける操作受付部と、
前記操作部を提供し、操作者の操作を受け付けて、前記操作受付部へ送信する情報処理装置と
をさらに含む、<13>に記載の情報表示システムである。
【符号の説明】
【0122】
100…サイネージ管理システム、102…ネットワーク、110…管理端末、150…サイネージ装置、310,350…機能ブロック、312,380…記憶部、318…操作部、320…通信部、352…通信部、354…表示部、356…距離測定部、358…動作測定部、360…制御部、362…通信制御部、364…表示制御部、366…滞在検知部、368…滞在時間計測部、370…種別判定部、372…表示内容取得部、374…情報取得部、376…情報量計算部、378…位置検出部、379…操作受付部、450…サイネージ装置、490…閲覧者端末
【先行技術文献】
【特許文献】
【0123】
【特許文献1】特開2020-043503号公報
【特許文献2】特開2017-37159号公報