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特開2024-132068基板冷却方法、半導体装置の製造方法、基板冷却システム、基板処理装置およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132068
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】基板冷却方法、半導体装置の製造方法、基板冷却システム、基板処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20240920BHJP
   C23C 14/54 20060101ALI20240920BHJP
   C23C 16/52 20060101ALI20240920BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01L21/31 E
C23C14/54 D
C23C16/52
H01L21/68 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042716
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山口 英人
(72)【発明者】
【氏名】杉下 雅士
【テーマコード(参考)】
4K029
4K030
5F045
5F131
【Fターム(参考)】
4K029AA06
4K029AA09
4K029AA24
4K029BD01
4K029DA03
4K029DA04
4K029DA08
4K029EA08
4K029KA01
4K029KA09
4K030CA04
4K030CA06
4K030CA12
4K030CA17
4K030GA02
4K030GA12
4K030JA10
4K030KA26
4K030KA39
4K030KA41
4K030LA15
5F045AA06
5F045AA19
5F045AA20
5F045AB32
5F045AB33
5F045BB08
5F045DP19
5F045DP28
5F045DQ05
5F045EC02
5F045EJ02
5F045EJ10
5F045EK06
5F045EK24
5F045EN04
5F045GB05
5F131AA02
5F131BA02
5F131BA04
5F131BA22
5F131BA24
5F131CA01
5F131DA05
5F131DA33
5F131DA42
5F131EA04
5F131EA23
5F131EA24
5F131EB55
5F131EB81
5F131EB82
5F131EC02
5F131EC05
5F131JA12
5F131JA16
5F131JA22
5F131JA27
5F131KA02
5F131KA03
5F131KA04
5F131KA22
(57)【要約】
【課題】基板の冷却を適正に制御することができる技術を提供する。
【解決手段】基板を支持する基板支持具に取り付けられる温度センサにより温度を検出しつつ処理室に配置される前記基板を処理した後、前記基板を前記処理室から搬送室に搬送する工程と、前記基板支持具が所定の位置に配置された状態で、前記温度センサにより検出される温度が設定温度以下になるように、前記基板を冷却する工程と、を有する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を支持する基板支持具に取り付けられる温度センサにより温度を検出しつつ処理室に配置される前記基板を処理した後、前記基板を前記処理室から搬送室に搬送する工程と、
前記基板支持具が所定の位置に配置された状態で、
前記温度センサにより検出される温度が設定温度以下になるように、前記基板を冷却する工程と、
を有する基板冷却方法。
【請求項2】
前記温度センサは、前記基板支持具と共に動作することが可能なように構成されている請求項1記載の基板冷却方法。
【請求項3】
前記温度センサは複数の測温部を有し、
前記基板を冷却する工程では、各々の前記測温部により検出される温度が前記設定温度になるまで冷却される請求項1記載の基板冷却方法。
【請求項4】
前記複数の測温部のうち、特定の位置に配置されている前記測温部により検出される温度が前記設定温度になるまで冷却される請求項3記載の基板冷却方法。
【請求項5】
前記基板を冷却する工程では、前記温度センサにより検出される温度が前記設定温度以下の温度で所定時間継続したときに、前記基板の冷却を完了していると判定される請求項1記載の基板冷却方法。
【請求項6】
前記基板を冷却する工程では、
前記温度センサの制御対象は、前記基板を冷却する冷却機構である請求項1記載の基板冷却方法。
【請求項7】
更に、基板を処理する工程を有し、
前記基板を冷却する工程と前記基板を処理する工程の各々において、前記請求項1記載の温度センサにより検出される温度に基づき、前記基板の温度が制御される半導体装置の製造方法。
【請求項8】
基板を支持する基板支持具に取り付けられる温度センサと、
前記温度センサにより温度を検出しつつ処理室に配置される前記基板を処理した後、前記基板が前記処理室から搬送される搬送室と、
前記基板支持具が所定の位置に配置された状態で、前記温度センサにより検出される温度が設定温度以下になるように、冷却機構に前記基板を冷却させることが可能に構成されている制御部と、
を備えた基板冷却システム。
【請求項9】
更に、前記冷却機構は、前記搬送室に冷媒を供給するクーリングユニットを有し、
前記制御部は、前記クーリングユニットからの前記冷媒の流量を調整することが可能にように構成されている請求項8記載の基板冷却システム。
【請求項10】
前記クーリングユニットは、前記温度センサに対向する位置に前記冷媒を供給する供給孔を備えられている、請求項9記載の基板冷却システム。
【請求項11】
前記冷却機構は、前記供給孔毎に前記冷媒の流量を変更できるように構成されている請求項10記載の基板冷却システム。
【請求項12】
更に、前記制御部は、判定部を有し、
前記判定部は、前記基板の冷却が完了しているかを判定し、次の工程へ移行させるように構成されている請求項8記載の基板冷却システム。
【請求項13】
更に、前記温度センサは複数の測温部を有し、
前記判定部は、前記複数の測温部により検出される温度が設定温度以下であれば、前記基板の冷却を完了していると判定する請求項12記載の基板冷却システム。
【請求項14】
前記判定部は、前記複数の測温部のうち、特定の箇所に配置されている測温部により検出される温度が設定温度以下であれば、前記基板の冷却を完了していると判定する請求項13記載の基板冷却システム。
【請求項15】
前記判定部は、前記温度センサにより検出される温度が設定温度以下の温度で所定時間継続した時に、前記基板の冷却を完了していると判定する請求項12記載の基板冷却システム。
【請求項16】
更に、前記処理室と前記搬送室の間で前記基板支持具を移動させることが可能に構成されている搬送機構を有する請求項8記載の基板冷却システム。
【請求項17】
前記搬送室は、前記処理室に隣接するように構成されている請求項16記載の基板冷却システム。
【請求項18】
前記搬送室は、前記処理室の下方に設けられているように構成されている請求項16記載の基板冷却システム。
【請求項19】
基板を支持する基板支持具に取り付けられる温度センサと、
前記温度センサにより温度を検出しつつ処理室に配置される基板を処理した後、前記基板が前記処理室から搬送される搬送室と、
前記基板支持具が所定の位置に配置された状態で、前記温度センサにより検出される温度が設定温度以下になるように、冷却機構に前記基板を冷却させることが可能に構成されている制御部と、
を備えた基板処理装置。
【請求項20】
基板を支持する基板支持具に取り付けられる温度センサにより温度を検出しつつ処理室に配置される基板を処理した後、前記基板が前記処理室から搬送室に搬送される手順と、
前記基板支持具が所定の位置に配置された状態で、前記温度センサにより検出される温度が設定温度以下になるように、前記基板を冷却する手順と、
を基板処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板冷却方法、半導体装置の製造方法、基板冷却システム、基板処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程の一工程として、ウエハ(以後、基板ともいう)上に所定の処理が行われる(例えば特許文献1、2参照)。特に、特許文献1には、ボート(以後、保持具ともいう)に取り付けられる温度センサにより検出される温度を用いて、処理室の温度を制御する技術が記載されている。但し、基板処理後、基板の冷却を適正に制御することができないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/059722号
【特許文献2】特開2022-149120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板の冷却を適正に制御することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、
基板を支持する基板支持具に取り付けられる温度センサにより温度を検出しつつ、処理室に配置される前記基板を処理した後、前記基板を前記処理室から搬送室に搬送する工程と、
前記基板支持具が所定の位置に配置された状態で、前記温度センサにより検出される温度が設定温度以下になるように、前記基板を冷却する工程と、を有する技術が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板の冷却を適正に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は本開示の一実施形態に係る基板処理装置の正面断面図である。
図2図2は本開示の一実施形態に係る基板処理装置のボートロード時の状態を示す概略図である。
図3図3は本開示の一実施形態に係る移載室の構成を示す縦断面図である。
図4図4は本開示の一実施形態に係る移載室の構成を示す横断面図である。
図5図5は本開示の一実施形態に係る基板処理装置におけるコントローラのハードウェア構成を示す図である。
図6図6は本開示の一実施形態に係る基板処理装置における温度コントローラのハードウェア構成を示す図である。
図7図7は本開示の一実施形態に係る基板処理装置における温度コントローラの制御ブロック図である。
図8図8(a)は本開示の一実施形態に係る基板処理装置で行われる基板処理シーケンスを説明するための図であり、基板処理シーケンスを示すフローチャートである。図8(b)は本開示の一実施形態に係る基板処理装置で行われる基板処理シーケンスを説明するための図であり、基板処理シーケンスの各ステップにおける温度を示すグラフである。
図9図9(a)はボートおよび基板が処理室に位置する場合の、降温の制御方法を示す制御ブロック図である。図9(a)はボートおよび基板が移載室に位置する場合の、降温の制御方法を示す制御ブロック図である。
図10図10は基板処理シーケンスの各ステップにおける温度コントローラ、ガス流量コントローラおよび駆動コントローラの制御内容を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の一実施形態について、主に図1図10を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間において、実質的に同一の要素には同一の符号を付し、各要素が最初に登場した図面において当該要素の説明を行い、以降の図面では特に必要がない限りその説明を省略する。明細書中に特段の断りが無い限り、各要素は一つに限定されず、複数存在してもよい。
【0009】
図1に示すように、基板処理装置10は、支持された縦形の反応管(プロセスチューブ)11を備えており、反応管11は互いに同心円に配置された外管(アウタチューブ)12と内管(インナチューブ)13とから構成されている。外管12は石英(SiO)が使用されて、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に一体成形されている。内管13は上下両端が開口した円筒形状に形成されている。内管13の筒中空部は、基板支持具(基板保持体、保持具)としてのボート31が搬入される処理室14を形成しており、内管13の下端側(開口空間)はボート31を出し入れするための炉口部15を構成している。
【0010】
外管12と内管13との間の下端部は、略円筒形状に構築された炉口フランジ部としてのマニホールド16によって気密封止されている。外管12及び内管13の交換等のために、マニホールド16は外管12及び内管13にそれぞれ着脱自在に取り付けられている。マニホールド16が基板処理装置10の筐体2に支持されることによって、反応管11は垂直に据え付けられた状態になっている。
【0011】
外管12と内管13との隙間によって排気路17が、横断面形状が一定幅の円形リング形状に構成されている。図1に示されているように、マニホールド16の側壁の上部には排気管18の一端が接続されており、排気管18は排気路17の最下端部に通じた状態になっている。排気管18の他端には圧力コントローラ21によって制御される排気装置19が接続されており、排気管18の途中には圧力センサ20が接続されている。圧力コントローラ21は圧力センサ20からの測定結果に基づいて排気装置19をフィードバック制御するように構成されている。
【0012】
マニホールド16には下端開口を閉塞する蓋体(シールキャップ)25が垂直方向下側から接するようになっている。蓋体25はマニホールド16の外径と略等しい円盤形状に構築されており、筐体2の移載室(以後、搬送室ともいう)3に設備されたボートカバー37に保護された昇降機構(ボートエレベータ)26によって垂直方向に昇降されるように構成されている。これにより、ボート31は、処理室14と処理室14に隣接して下方に設けられる移載室3との間を移動することが可能である。昇降機構26はモータ駆動の送りねじ軸装置及びベローズ等によって構成されており、昇降機構26のモータ27は駆動コントローラ28によって制御されるように構成されている。蓋体25の中心線上には回転軸30が配置されて回転自在に支持されている。回転軸30は駆動コントローラ28によって制御されるモータ29により回転駆動されるように構成されている。回転軸30の上端にはボート31が垂直に支持されている。本実施形態では、回転軸30とモータ29により回転機構を構成する。
【0013】
マニホールド16の下方に位置する蓋体25にはガス導入管22が内管13の炉口部15に通じるように配設されている。ガス導入管22には原料ガス供給装置、反応ガス供給装置及び不活性ガス供給装置(以下、ガス供給装置23と総称する。)が接続されている。ガス供給装置23はガス流量コントローラ24によって制御されるように構成されている。ガス導入管22から炉口部15に導入されたガスは、内管13の処理室14内を流通して排気路17を通って排気管18によって排気される。
【0014】
ボート31は上下で一対の端板32,33と、これらの間に垂直に架設された三本の保持部材としての支柱(柱)34とを備えており、三本の支柱34には多数の保持溝35が長手方向に等間隔に刻まれている。三本の支柱34において同一の段に刻まれた保持溝35同士は、互いに対向して開口するようになっている。ボート31は三本の支柱34の同一段の保持溝35間に基板1を挿入されることにより、複数枚の基板1を水平にかつ互いに中心を揃えた状態に整列させて保持するようになっている。また、三本の支柱34の同一段の保持溝39間に断熱板120を挿入されることにより、複数枚の断熱板120を水平にかつ互いに中心を揃えた状態に整列させて保持するようになっている。
【0015】
つまり、ボート31は、複数枚の基板1が保持される端板32から端板38間の基板処理領域と、複数枚の断熱板120が保持される端板38から端板33間の断熱板領域とを区別するように構成され、基板処理領域の下方に断熱板領域が配置されるよう構成されている。端板38と端板33の間に保持される断熱板120により断熱部36が構成される。
【0016】
回転軸30はボート31を蓋体25の上面から持ち上げた状態に支持するように構成されている。断熱部36は、炉口部15に設けられ、炉口部15を断熱するよう構成されている。また、蓋体25の下にはボート31を回転するモータ29があり、そのモータ29は中空モータ構造となっており、回転軸30がモータ29を貫通している。
【0017】
反応管11の外側には、加熱部としてのヒータユニット40が同心円に配置されて、筐体2に支持された状態で設置されている。ヒータユニット40の近傍には、温度センサとしてのヒータ熱電対65が設けられ、温度コントローラ64はヒータ熱電対65からの測定結果に基づいてヒータユニット40をフィードバック制御するように構成されている。これにより、ヒータユニット40は、ボート31に保持される基板処理領域内の基板1を加熱するよう構成される。なお、ヒータ熱電対65に関しての詳細は後述する。また、ヒータユニット40はケース41を備えている。ケース41はステンレス鋼(SUS)が使用されて上端閉塞で下端開口の筒形状、好ましくは円筒形状に形成されている。ケース41の内径及び全長は外管12の外径及び全長よりも大きく設定されている。
【0018】
ケース41内には断熱構造体42が設置されている。断熱構造体42は、外側に配置された外層と、内側に配置された内層とを備え、円筒形状に形成されており、その円筒体の側壁部43が複数層構造に形成されている。
【0019】
そして、冷却エア90は、内層内に設けられたガス供給流路を流れ、該ガス供給流路を介して空間75に供給されるように構成されている。
【0020】
図1に示されているように、断熱構造体42の側壁部43の上端側には天井部としての天井壁部80が空間75を閉じるように被せられている。天井壁部80には空間75の雰囲気を排気する排気経路の一部としての排気孔81が環状に形成されており、排気孔81の上流側端である下端は内側空間75に通じている。排気孔81の下流側端は排気ダクト82に接続されている。そして、空間75に吹き出した冷却エア90は排気孔81及び排気ダクト82によって排気されるように構成されている。
【0021】
図2に示すように、ヒータユニット40は縦方向に複数ゾーンに分割制御可能なように、ゾーン毎にヒータが設けられているため、複数のヒータが積み重なって構成されている。図2ではヒータユニット40は5ゾーンに分割している。そして、それぞれのゾーン毎にヒータの温度を測定するヒータ熱電対65が設置されている。図2では、処理基板は「1」と表記し、図示を省略している。
【0022】
外管12の内側には、チューブ内部の温度を測定する、温度センサとしての炉内熱電対66が設置されている。この炉内熱電対66は1つの石英管の中にゾーン数に応じた数の熱電対が収められている構造となっている。そしてその測温点はゾーンに対向した位置に設けられている。
【0023】
基板1の温度を測定する、温度センサとしての基板熱電対211は、ボート31に設けられ、ボート31が回転し基板1が回転する時に、基板1と共に回転するように構成されている。基板熱電対211は、基板1の温度を測定する測温部211bと、測温部を構成する素線を包含するケーブル211cを含む構成となっている。
【0024】
ヒータ熱電対65、基板熱電対211および炉内熱電対66は、温度センサの一例である。なお、温度センサは、温度を電気信号として測定できるものであれば良く、熱電対に限らず、測温抵抗体などの他のセンサでも良い。
【0025】
回転軸30にはケーブル211cを通す孔が貫通しており、ハーメチックシールなどを使って真空シールをしつつ、ケーブル211cを処理室14の外側(例えば、回転軸30の下部)の送信機221まで引き出せる構造となっている。ケーブル211cは、蓋体25の下の送信機221に接続されている。
【0026】
送信機221は回転軸30に固定されており、回転軸30と共に動く構造になっている。送信機221はケーブル211cを介して入力された基板熱電対211からの電気信号(電圧)をデジタル変換し、電波に乗せて無線伝送で送信する。
【0027】
蓋体25の下の移載室3の筐体2に固定された受信機222がある。受信機222は送信機221が出した信号を受信し、受信したデジタル信号をシリアル通信出力する端子(出力端子)222a、又は受信したデジタル信号を例えば4-20mAなどのアナログ信号に変換し出力する端子(出力端子)222bを有する。このデジタル信号又はアナログ信号の出力信号端子と温度表示器(不図示)又は温度コントローラ64との間をケーブル223で接続し、温度データを温度コントローラ64に入力する。なお、受信機222は、移載室3に設けられているが、この形態に限定されることはない。移載室3の外に配置されていてもよく、基板処理装置10から離れた位置に配置されていてもよい。
【0028】
次に、図3図4図9(a)および図9(b)を用いて、本実施形態における移載室3の構成について説明する。
【0029】
図3および図4に示すように、移載室3は、天井、床、および、四方を囲う側壁によって多面多角形状に構成され、例えば、平面四角形状に構成される。移載室3の一側面には、クリーンユニット62が設置される。クリーンユニット62よりクリーンエアとしてのガスが移載室3に供給される。また、移載室3の周囲に位置する空間には、ガスを循環させるための循環路74が形成される。移載室3に供給されたガスは、排気部72より排気され、循環路74を経由してクリーンユニット62より再び移載室3に供給される。循環路74の途中には図示しないラジエータが設置され、ガスはラジエータを通過することにより冷却される。
【0030】
クリーンユニット62は、上部クリーンユニット62aと下部クリーンユニット62bとが上下に隣り合うように配置される。上部クリーンユニット62aは、移載室3にボート31がある場合の、特主にボート31の基板処理領域に向けてガスを供給するように構成される。下部クリーンユニット62bは、移載室3にボート31がある場合の、主にボート31の断熱板領域の断熱部36に向けてガスを供給するように構成される。以下、クリーンユニット62と称した場合は、上部クリーンユニット62aを示す場合、下部クリーンユニット62bを示す場合、または、それらの両方を示す場合を含む。
【0031】
クリーンユニット62は、上流側から順に、ファン69と、バッファエリア67と、フィルタ部68と、ガス供給口70を有する。バッファエリア67は、ガス供給口70の全面からガスを均等に吹き出すための拡散空間である。フィルタ部68は、ガスに含まれるパーティクルを取り除くように構成される。
【0032】
クリーンユニット62の対面側の一側面には、側面排気部72aと昇降機構26が設置されている。上部クリーンユニット62aから移載室3に供給されたガスは、主に側面排気部72aにより排気され、循環路74を経由してクリーンユニット62より移載室3へ再び供給される。これにより、移載室3の上部領域(基板1がある領域)には、おおむね水平方向の、基板1と平行な方向のガス流れが形成される。
【0033】
図4に示すように、移載室3の床面には、ボート31を挟んで一対の床面排気部72bが設けられる。床面排気部72bは、移載室3の一辺に沿って長方形状に形成される。下部クリーンユニット62bから移載室3に供給されたガスは、主に底面排気部72bより排気され、循環路74を経由してクリーンユニット62より移載室3に再び供給される。これにより、移載室3の下部領域(断熱部36がある領域)にはおおむね垂直下方向のガス流れが形成される。
【0034】
図3および図4に示すように、床面排気部72bの上方であって、上部クリーンユニット62aと下部クリーンユニット62bとの境界付近にクーリングユニットとしてのノズル76が設置される。ノズル76は、水平方向に延伸し、複数の供給孔76aを有し、ボート31の基板処理領域と断熱板領域の境界付近に冷媒としての冷却ガスを供給する。
【0035】
ノズル76は、移載室3に冷却ガスを供給する為の冷却ガス供給装置231に接続される。冷却ガス供給装置231は、ノズル76に接続される供給管231a、マスフローコントローラ(MFC)231b及びバルブ231cが設けられている。尚、ノズル76および冷却ガス供給装置231は、冷却機構を構成する。
【0036】
図9(a)、図9(b)に示すように、クリーンユニット62は縦方向に分割されて、ガス供給口70に設けられた複数の供給孔70aからガスを噴き出すように構成される。クリーンユニット62は、ガス流量コントローラ24から出力される複数の指示によって、複数の供給孔70aがそれぞれ独立にガスの噴き出しのON/OFFおよびガスの流量の調整ができるようになっている。図9(b)に示すように、クリーンユニット62は、ボート31に設けられる基板熱電対211の測温部211bに対向する各々の位置および断熱部36の位置に供給孔70aを有し、冷媒としての冷却ガスを供給する。クリーンユニット62はクーリングユニットとも称し、冷却機構を構成する。
【0037】
図9(b)に示すように、移載室3には、基板移載機56が配置されている。基板移載機56は、例えば5枚の基板1を取出すことができるアーム(ツイーザ)を有している。基板移載機56は、図示しない駆動手段によりツイーザを上下回転動作させることにより、ポッド60とボート31との間にて、基板1を搬送させることが可能な様に構成される。
【0038】
図5に示すように、制御部としての制御用コンピュータであるコントローラ200は、CPU(Central Processing Unit)201及びメモリ202などを含むコンピュータ本体203と、通信部としての通信IF(Inter face)204と、記憶部としての記憶装置205と、操作部としての表示・入力装置206とを有する。つまり、コントローラ200は一般的なコンピュータとしての構成部分を含んでいる。
【0039】
CPU201は、操作部の中枢を構成し、記憶装置205に記憶された制御プログラムを実行し、表示・入力装置206からの指示に従って、記憶装置205に記録されているレシピ(例えば、プロセス用レシピ)を実行する。また、一時記憶部としてのメモリ202は、CPU201のワークエリアとして機能する。
【0040】
また、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、記憶装置205を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、記憶装置205を介さずにプログラムを供給するようにしてもよい。なお、メモリ202や記憶装置205は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、メモリ202単体のみを含む場合、記憶装置205単体のみを含む場合、または、それの両方を含む場合がある。
【0041】
通信IF204は、圧力コントローラ21、ガス流量コントローラ24、駆動コントローラ28、温度コントローラ64(これらをまとめてサブコントローラということもある。)と通信経路によって電気的に接続されている。コントローラ200は、この通信IF204を介してサブコントローラと各部品の動作に関するデータをやり取りすることができる。
【0042】
図6に示すように、温度コントローラ64は、制御部64aと、通信IF64bと、熱電対入力部64cと、制御出力部64dとを有する。
【0043】
制御部64aは、CPU及びメモリ等を含む一般的なコンピュータとしてのハードウェア構成を有する。制御部64aは、制御プログラムを実行することによって、通信IF64b及び熱電対入力部64cにより取得した情報を用いて、後述する温度制御アルゴリズムに従った制御演算を実行し、制御出力部64dへ演算結果を出力する。
【0044】
通信IF64bは、上位コントローラであるコントローラ200等と接続するための有線IFと、ボート31に固定された送信機221と接続するための無線IFである受信機222とを有する。
【0045】
通信IF64bは、コントローラ200から目標温度及び制御パラメータ等の情報を受信したり、制御演算結果や温度情報を送信したりする。また、通信IF64bは、昇降機構26の駆動コントローラ28から、ボート位置情報を受信する。また、通信IF64bは、送信機221及び受信機222を介して基板熱電対211の温度を受信する。
【0046】
熱電対入力部64cは、ヒータ熱電対65及び炉内熱電対66から温度に相当する電気信号を入力しデジタル信号に変換して、制御部64aへ出力する。
【0047】
制御出力部64dは、制御部64aから受信した演算結果に基づいて、ヒータユニット40の温度制御を行うためのヒータ制御信号を出力する。
【0048】
以後の説明では、ヒータ熱電対65により検出された温度をヒータ温度、ヒータ熱電対65を使用した温度制御をヒータ温度制御と呼称する。また、基板熱電対211により検出された温度を基板温度、基板熱電対211を使用した温度制御を基板温度制御と呼称する。また、炉内熱電対66により検出された温度を炉内温度、炉内熱電対66を使用した温度制御を炉内温度制御と呼称する。
【0049】
なお、コントローラ200は基板熱電対211の測定温度を、温度コントローラ64を介して、または、基板熱電対211から直接、情報として得ることができる。そして、コントローラ200は測定温度をコントローラ200での状況の表示やエラー処理、レシピの運用管理の入力として使用することができる。
【0050】
次に、図7を用いて、本実施形態における温度コントローラ64の制御ブロックの一例について説明する。
【0051】
制御ブロックは、補正部641、PID演算部642、切替部643、及び、PID演算部644の順に接続されるモードと、補正部645、切替部643、及び、PID演算部644の順に接続されるモードを有する。PID演算部642、PID演算部644、及び、切替部643には、ボート位置情報が入力される。なお、制御対象は熱処理炉であり、熱処理炉は反応管11およびヒータユニット40で構成され、ヒータ熱電対65および基板熱電対211を含む。
【0052】
温度コントローラ64は、ボート位置情報に従って、切替部643の入力端を選択する。
【0053】
ボート31が閉塞位置(処理室14内)に位置する場合、温度コントローラ64は、切替部643の入力端「A」を選択し、基板温度及びヒータ温度を被制御量としてPID制御を行う。
【0054】
切替部643の入力端を「A」とした場合の制御は、本開示の技術における第2制御モードの一例である。第2制御モードは、ヒータ熱電対65及び基板熱電対211のうち、少なくとも基板熱電対211を用いて制御する制御モードである。
【0055】
ボート31が閉塞位置以外の位置(例えば、移載室3内)に位置する場合、温度コントローラ64は、切替部643の入力端「B」を選択し、ヒータ温度のみを被制御量としてPID制御を行う。
【0056】
切替部643の入力端を「B」とした場合の制御は、本開示の技術における第1制御モードの一例である。第1制御モードは、ヒータ熱電対65及び基板熱電対211のうち、ヒータ熱電対65のみを用いて制御する制御モードである。
【0057】
補正部641及び補正部645は、処理室14内を同等温度に制御する際の目標温度とヒータ温度及び基板温度等との差分に従って、目標温度を補正する。
【0058】
この切替部643の切り替えによって、切替部643の出力がジャンプし不連続値が発生するため、ボート位置情報をPID演算部642及びPID演算部644にも入力して、いわゆるバンプレス処理や積分停止処理等により、切替前後でも平滑に制御できるように構成されている。
【0059】
次に、図8(a)、図8(b)、図9(a)、図9(b)および図10を用いて、基板処理装置10で行われる基板処理シーケンスの一例について説明する。
【0060】
(待機工程(移載工程):ステップS101)
待機工程は、処理室14内(炉内ともいう)の温度を待機温度(準備温度)の目標温度T0に安定される処理である。基板1はまだ処理室14内に投入されていない。すなわち、ボート31は、図9(b)に示すような状態にあり、図示しないシャッターによって処理室14(図1に示すマニホールド16)の下端開口は閉塞されている。
【0061】
温度コントローラ64は、処理室14を準備温度に設定するため、炉内熱電対66の検知温度を入力し、または、ヒータ熱電対65の検知温度を入力し、ヒータユニット40を制御する。
【0062】
ガス流量コントローラ24は、図示しないガス供給装置およびノズルによって処理室14内へ不活性ガスを供給する。これに並行して、ガス流量コントローラ24は、冷却ガス供給装置231によってノズル76を介して供給孔76aから移載室3へ冷却ガスを供給すると共に、クリーンユニット62を介して各供給孔70aから移載室3へ冷却ガスを供給する。
【0063】
駆動コントローラ28は、基板移載機56によってポッド60からボート31へ基板1を移載(チャージ)する。ステップS101を移載工程とも称する。
【0064】
(搬入工程:ステップS102)
搬入工程は、ボート31に保持された基板1を処理室14内へ投入(ボートロード)する処理である。処理室14の下端開口は開放され、駆動コントローラ28は、昇降機構26によってボート31を上昇させて処理室14に搬入する。ボート31の搬入が完了すると、処理室14の下端開口は蓋体25によって閉塞され、ボート31は、図9(a)に示すように、処理室14内の所定位置に配置された状態になる。
【0065】
搬入工程では、移載工程に引き続き、ガス流量コントローラ24は、処理室14内への不活性ガスの供給および移載室3への冷却ガスの供給を継続する。
【0066】
処理室14内への搬入前においてボート31及び基板1の温度は処理室14内の温度(すなわち、T0)より低い。また、基板1を処理室14内へ投入した結果、処理室14外の雰囲気(室温)が処理室14内に導入される。これらのため、図8(b)に示すように、処理室14内の温度は一時的にT0より低くなる。その後、温度コントローラ64による制御により処理室14内の温度は若干の時間を経て再びT0に安定する。図8(b)では処理基板を処理室14内へ投入した後、及び、次のステップS103の目標温度をステップS101と等しく図示されているが、ステップS103の要求条件(処理温度)に対応して投入後の目標温度が異なる場合もある。
【0067】
(処理工程:ステップS103)
処理工程は、基板1に所定の処理(例えば、成膜処理)を施すために処理室14内の温度を処理温度の目標温度T0で維持して安定させる処理である。温度コントローラ64は、目標温度のT0に基板熱電対211の測定温度が近づくようにヒータユニット40を制御する。本明細書における処理温度とは基板1の温度または処理室14内の温度のことを意味する。
【0068】
ガス流量コントローラ24は、ガス供給装置23によってガス導入管22を介して処理室14内に原料ガス、反応ガスまたは不活性ガス(これらを処理ガスと総称する)を供給する。駆動コントローラ28は、回転機構によってボート31を回転させる。複数種類の処理ガスが供給される場合は、供給される処理ガスに対応して複数の処理温度が設定される。
【0069】
なお、処理工程では、基板1への所定の処理の終了後、処理室14の温度を、所定温度になるまで降温(炉内降温)させる処理がある。この処理はステップS103のサブステップであり、降温工程(ステップS103a)という。その後、搬出工程(ステップS104)へ遷移する。
【0070】
また、降温時間を制御する監視温度として炉内熱電対66の検知温度、または、ヒータ熱電対65の検知温度を使用する場合、基板熱電対211の検知温度と比較して基板1の温度との乖離が大きく、不必要に長い時間を降温時間として費やしてしまったり、移載室3を熱により損傷してしまったりすることがある。
【0071】
本実施形態では、基板熱電対211が基板1の温度を精度よく測定できるため、この温度を監視しつつ、この温度が所定温度まで降温するまで降温工程を継続し、降温後に搬出工程を開始することにより、最適な降温時間を制御することができる。これにより、基板1の温度にばらつきがあっても、常に最短時間で、かつ、周囲部分の損傷なく、降温時間を制御することができる。ここで、所定温度とは、ボート31を搬出可能な温度であり、移載室3の耐熱温度以下の温度である。
【0072】
より具体的には、温度コントローラ64は、基板熱電対211の検知温度を入力してフィードバック制御をする。ガス流量コントローラ24は、待機工程と同様に、処理室14内に不活性ガスを供給する。駆動コントローラ28は、回転軸30によってボート31および基板熱電対211を回転させる。
【0073】
他方、コントローラ200は、同様に基板熱電対211の検知温度を入力して監視する。そして、コントローラ200は、検知温度のすべてが所定温度以下の温度まで冷却されるタイミングまで降温工程を継続する。言い換えると、コントローラ200の判定部は、基板の降温が完了しているかを判定し、次の工程(搬出工程)へ移行させる。判定部は、所定温度以下の温度で所定時間継続したときに、基板の降温が完了していると判定してもよい。
【0074】
炉内熱電対66よりも基板1に近い基板熱電対211によって検出される温度で、所定温度(設定温度)と比較し判定することができるので、搬出工程のタイミングを適正に管理することが可能である。
【0075】
(搬出工程:ステップS104)
搬出工程は、処理が施された基板1、をボート31および基板熱電対211と共に処理室14内から引き出す(ボートアンロード)処理である。駆動コントローラ28は、昇降機構26によってボート31および基板熱電対211を下降させて移載室3に搬出(搬送)する。ボート31の下降に伴い処理室14の下端開口は開放される。その後、ボート31は、図9(b)に示すような所定位置に配置された状態になる。また、処理室14の下端開口は閉塞される。
【0076】
搬出工程では、降温工程に引き続き、ガス流量コントローラ24は、処理室14内への不活性ガスの供給を継続する。これに並行して、ガス流量コントローラ24は、待機工程と同様に、移載室3への冷却ガスを供給する。
【0077】
温度コントローラ64は、処理室14を準備温度に設定するため、基板熱電対211から切り替えられた、炉内熱電対66の検知温度、または、ヒータ熱電対65の検知温度を入力し、ヒータユニット40を制御する。後述する冷却工程および移載工程においても、温度コントローラ64は、炉内熱電対66の検知温度、または、ヒータ熱電対65の検知温度に基づき、処理室14を準備温度に設定する。
【0078】
搬出工程の後に、ボート31は、図9(b)に示すような移載室3内の所定位置に配置された状態で、基板1を降温(冷却)させる冷却工程(ステップS105)が実行され、その後、移載工程(ステップS106)が実行される。
【0079】
(冷却工程:ステップS105)
冷却工程では、搬出工程に引き続き、ガス流量コントローラ24は移載室3への冷却ガスの供給を継続し、基板熱電対211の検知温度が所定温度になるまで移載室3で基板1を降温(冷却)させる。
【0080】
降温時間として固定の時間を設定する場合、基板1の温度にばらつきが生じるとき、不必要に長い時間を降温時間として費やしてしまうことがある。または、基板1が所定温度まで降温する前に次の工程である移載工程が開始され、基板移載機56またはポッド60を熱により損傷してしまうことがある。
【0081】
本実施形態では、移載室3においても、基板1の温度を基板熱電対211が精度よく測定するため、この温度を監視しつつ、この温度が所定温度(設定温度以下)まで降温するまで冷却工程を継続し、降温後に移載工程を開始することにより、最適な降温時間を制御することができる。そのため、基板1の温度にばらつきがあっても、常に最短時間で、かつ、周囲部分の損傷なく、降温時間を制御することができる。ここで、所定温度とは、基板1を移載可能な温度であり、ボート31とポッド60との間にて基板1を搬送する基板移載機56またはポッド60の耐熱温度以下の温度である。
【0082】
また、本実施形態では、処理工程においてヒータユニット40を制御して処理室14に配置された基板を処理する際に使用される基板熱電対211を、冷却工程においても移載室3に位置する基板1の温度を測定するために使用する。このため、移載室3に基板1の温度を測定する構成要素を新たに設置する必要がない。
【0083】
より具体的には、温度コントローラ64は、上述した、待機工程、搬入工程および搬出工程と同様に、炉内熱電対66またはヒータ熱電対65の検知温度を入力してフィードバック制御する。
【0084】
他方、コントローラ200は、搬出工程から冷却工程まで、ガス流量コントローラ24に対しクリーンユニット62から移載室3へ冷却ガスを供給するように指示する。コントローラ200は、クリーンユニット62からの冷却ガスの流量を調整することが可能である。そして、コントローラ200は、基板熱電対211の検知温度を入力し、すべてのゾーンの基板熱電対211の検知温度を監視する。そして、コントローラ200は、検知温度のすべてが所定温度以下の温度まで冷却されたタイミングまで、冷却工程を継続する。言い換えると、コントローラ200の判定部は、基板の冷却が完了しているかを判定し、次の工程(移載工程)へ移行させる。判定部は、所定の温度以下の温度で所定時間継続したときに、基板の冷却が完了していると判定してもよい。基板熱電対211の制御対象は冷却機構としてのクリーンユニット62である。
【0085】
冷却工程において、コントローラ200は以下のように制御してもよい。
【0086】
コントローラ200は、搬出工程から冷却工程まで、ガス流量コントローラ24に対しクリーンユニット62へ冷却ガスを供給するように指示する。そして、コントローラ200は、縦方向に複数配置されている基板熱電対211の測温部211bの検知温度を入力、監視する。そして、コントローラ200は、ある一つのゾーンに配置されている基板熱電対211の測温部211bの検知温度が所定温度以下の温度まで冷却されたタイミングまで、その基板熱電対211が対応する位置のクリーンユニット62の供給孔70aへの冷却ガスの供給を継続する。その後、コントローラ200は、ある一つのゾーンに配置されている基板熱電対211の測温部211bに対応する位置のクリーンユニット62の供給孔70aへの冷却ガスの供給を停止する。コントローラ200は、すべてのクリーンユニット62の供給孔70aへの冷却ガスの供給が停止するまで、すなわち基板熱電対211の測温部211bの検知温度のすべてが所定温度以下の温度まで冷却されるまで、冷却工程を継続する。言い換えると、コントローラ200の判定部は、基板の冷却が完了しているかを判定し、次の工程(移載工程)へ移行させる。判定部は、所定の温度以下の温度で所定時間継続したときに、基板の冷却が完了していると判定してもよい。
【0087】
特定ゾーンが、例えば、最も熱が籠るゾーンである場合、その特定ゾーンの冷却は、他のゾーンの冷却よりも時間は長くなるので、特定ゾーンに配置されている基板熱電対211により検出される温度が所定温度以下であれば、基板の冷却が完了していると判定することができる。
【0088】
また、冷却工程において、コントローラ200およびガス流量コントローラ24は以下のように制御してもよい。
【0089】
ガス流量コントローラ24は、基板熱電対211の検知温度をコントローラ200から得ることができ、その基板熱電対211の配置位置に対応する、クリーンユニット62のガスの噴き出し流量を、同じくコントローラ200から得た所定の冷却温度を目標としてフィードバック制御する。
【0090】
コントローラ200は、搬出工程から冷却工程まで、ガス流量コントローラ24に対しクリーンユニット62の各供給孔70aに対応する基板熱電対211への所定の冷却温度を指示する。これに並行して、コントローラ200は、基板熱電対211の検知温度もガス流量コントローラ24に対し出力する。
【0091】
ガス流量コントローラ24は縦方向に複数配置されている基板熱電対211の測温部211bの検知温度を入力、フィードバック制御する。そして、ガス流量コントローラ24は、ある一つのゾーンの基板熱電対211の測温部211bの検知温度が予め定められた所定温度以下の温度まで冷却されたタイミングまで、その基板熱電対211が対応する位置のクリーンユニット62の供給孔70aへの冷却ガスの供給を継続する。その後、ガス流量コントローラ24は、ある一つのゾーンに配置されている基板熱電対211の測温部211bに対応する位置のクリーンユニット62の供給孔70aへの冷却ガスの供給を停止する。ガス流量コントローラ24は、基板熱電対211の測温部211bの検知温度のすべてが所定温度以下の温度まで冷却されるまで、冷却工程を継続する。言い換えると、ガス流量コントローラ24は、基板の冷却が完了しているかを判定し、次の工程(移載工程)へ移行させる。ガス流量コントローラ24は、所定の温度以下の温度で所定時間継続したときに、基板の冷却が完了していると判定してもよい。
【0092】
(移載工程:ステップS106)
ステップS105後、駆動コントローラ28は、基板移載機56によってボート31からポッド60へ基板1を移載する(ディスチャージステップ)。
【0093】
処理を施すべき未処理の基板1が残っている場合には、ステップS101~S106の一連の処理が繰り返される。ステップS101~S106は、目標温度に対し、処理室14内の温度が予め定められた微小温度範囲にあり、かつ、予め定められた時間以上その状態が続くといった安定状態を得た後に実施するように構成されている。
【0094】
本態様によれば、以下に示す1つ又は複数の効果が得られる。
【0095】
(a)ボート31に設けられる基板熱電対211により検出される温度が設定温度になるまで冷却する。これにより、ボート31に設けられる基板熱電対211により温度が所定温度(設定温度)以下になることを監視するだけで、基板1の冷却を実施することができる。また、ボート31に支持される基板1間において、基板1の温度にばらつきがあっても、ボート31に設けられる基板熱電対211により温度を検出することができるので、精度よく基板1の温度を所定温度以下(設定温度以下)に冷却することができる。
【0096】
(b)ボート31に設けられる各々の基板熱電対211の測温部211bにより検出される温度が設定温度になるまで冷却する。これにより、ボート31に設けられる基板熱電対211により温度が所定温度(設定温度)以下になることを監視するだけで、基板1の冷却を実施することができる。
【0097】
(c)ある特定のゾーンに配置されている基板熱電対211の測温部211bにより検出される温度が設定温度になるまで冷却する。これにより、ある特定のゾーンに配置されている基板熱電対211の測温部211bにより検出される温度が設定温度であれば、ボート31に配置されている基板1の冷却を完了していると判定することができる。
【0098】
(d)ボート31に設けられる基板熱電対211により検出される温度が設定温度以下の温度で所定時間継続したときに、基板1の冷却を完了していると判定する。これにより、ボート31に設けられる基板熱電対211により検出される温度の推移を監視することにより判定することで、基板1の温度が所定温度以下(設定温度以下)になるように、基板を冷却することができる。
【0099】
(e)冷却工程(ステップS105)における、ボート31に設けられる基板熱電対211の制御対象は、基板1を冷却する冷却機構である。これにより、ボート31に設けられる基板熱電対211により検出される温度に基づいて、冷却機構を駆動して、基板1を冷却することができる。
【0100】
(f)冷却工程(ステップS105)と処理工程(ステップS103)の各々において、ボート31に設けられる基板熱電対211により検出される温度に基づき、基板1の処理や基板1の冷却を制御することができるので、温度制御性が格段に向上するため、高精度な温度制御が可能となる。また、移載室3に基板1の温度を測定する構成要素を新たに設置する必要がない。
【0101】
(g)移載室3に冷却ガスを供給するクリーンユニット62を有する。これにより、移載室3をクリーンユニット62により冷却することができるので、短時間に基板1の冷却を実施することができる。
【0102】
(h)クリーンユニット62は、基板熱電対211に対向する位置に冷却ガスを供給する供給孔70aを備えている。これにより、移載室3をクリーンユニット62により冷却することができるので、短時間に基板1の冷却を実施することができる。
【0103】
(i)冷却機構としてのクリーンユニット62は、供給孔70a毎に冷媒の流量を変更できるように構成されている。これにより、移載室3をクリーンユニット62により冷却することができるので、短時間に基板1の冷却を実施することができる。
【0104】
(j)コントローラ200は、判定部を有し、判定部は、基板1の冷却が完了しているかを判定し、次の工程(移載工程)へ移行させるように構成されている。これにより、基板1の冷却が完了していると判定されると、次の工程に進める(次のステップに移行させる)ため、基板1を十分に冷却することができ、次の移載工程で基板移載機56のツイーザやポッド60の損傷を防止することができる。
【0105】
(k)判定部は、すべての(各ゾーンの)基板熱電対211の測温部211bにより検出される温度が設定温度であれば、基板1の冷却を完了していると判定する。これにより、基板1の冷却が完了していると判定されると、次の工程に進める(次のステップに移行させる)ため、基板1を十分に冷却することができ、次の移載工程で基板移載機56のツイーザやポッド60の損傷を防止することができる。
【0106】
(l)判定部は、特定の箇所(例えば、最も熱が籠る)ゾーンに配置されている基板熱電対211の測温部211bにより検出される温度が設定温度であれば、基板1の冷却を完了していると判定する。これにより、基板1の冷却が完了していると判定されると、次の工程に進める(次のステップに移行させる)ため、基板1を十分に冷却することができ、次の移載工程で基板移載機56のツイーザやポッド60の損傷を防止することができる。
【0107】
(m)判定部は、基板熱電対211により検出される温度が設定温度以下の温度で所定時間継続した時に、基板1の冷却を完了していると判定する。これにより、基板1の冷却が完了していると判定されると、次の工程に進める(次のステップに移行させる)ため、基板1を十分に冷却することができ、次の移載工程で基板移載機56のツイーザやポッド60の損傷を防止することができる。
【0108】
(n)処理室14と移載室3の間でボート31を移動させることが可能に構成されている搬送機構を有する。これにより、ボート31と共に移動可能なようにボート31に基板熱電対211が設けられるので、処理室14と移載室3の両方で基板1の温度を検出することができ、温度制御性が格段に向上するため、高精度な温度制御が可能となる。
【0109】
(o)移載室3は、処理室14に隣接するように構成されており、例えば、移載室3は、処理室14の下方に設けられているように構成されている。これにより、ボート31と共に移動可能なようにボート31に基板熱電対211が設けられるので、処理室14と移載室3の両方で基板1の温度を検出することができ、温度制御性が格段に向上するため、高精度な温度制御が可能となる。
【0110】
以上、本開示の実施形態について具体的に説明した。しかしながら、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0111】
上述の実施形態では1つのゾーンについて記載したが、実際には複数のゾーンがあり、各ゾーンに対して移動平均パラメータを設定できる。また、温度(または温度帯)についても、各温度(または温度帯)に応じて移動平均パラメータを設定できる。
【0112】
基板処理装置として、半導体製造装置だけでなくLCD装置のようなガラス基板を処理する装置でも適用できる。また、プロセスは特に限定されずに何でもよい。成膜処理であれば、例えば、CVD、PVD、酸化膜、窒化膜、またはその両方を形成する処理、金属を含む膜を形成する処理等、特に膜種に限定されることはない。更に、成膜以外のアニール処理、酸化処理、窒化処理、拡散処理等の処理であっても構わない。
【符号の説明】
【0113】
3・・・移載室(搬送室)
14・・・処理室
31・・・ボート(基板支持具)
211・・・基板熱電対(温度センサ)
図1
図2
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図5
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図7
図8
図9
図10