(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132148
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】二酸化炭素回収システム、二酸化炭素循環システム、および、二酸化炭素回収方法
(51)【国際特許分類】
B01D 53/04 20060101AFI20240920BHJP
B01D 53/50 20060101ALI20240920BHJP
B01D 53/62 20060101ALI20240920BHJP
B01D 53/81 20060101ALI20240920BHJP
C01B 32/50 20170101ALI20240920BHJP
C10L 3/08 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B01D53/04 230
B01D53/50 100
B01D53/62 ZAB
B01D53/81
C01B32/50
C10L3/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042828
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000241485
【氏名又は名称】豊田通商株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 淳也
(74)【代理人】
【識別番号】100227732
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 祥二
(72)【発明者】
【氏名】今川 晴雄
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸山 徳彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 征治
(72)【発明者】
【氏名】青木 正和
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 裕次郎
(72)【発明者】
【氏名】永田 哲治
(72)【発明者】
【氏名】堀部 伸光
(72)【発明者】
【氏名】三ツ橋 翔
(72)【発明者】
【氏名】武内 恭平
【テーマコード(参考)】
4D002
4D012
4G146
【Fターム(参考)】
4D002AA02
4D002AA09
4D002AC10
4D002BA04
4D002CA07
4D002CA13
4D002DA45
4D002EA02
4D002EA04
4D002EA08
4D002FA01
4D002GA02
4D002GA03
4D002GB02
4D002GB20
4D012BA02
4D012CA03
4D012CA16
4D012CB16
4D012CD03
4D012CE01
4D012CE02
4D012CF05
4D012CF10
4D012CG01
4D012CH05
4G146JA02
4G146JB09
4G146JC12
4G146JC14
4G146JD05
4G146JD06
(57)【要約】
【課題】 二酸化炭素回収システムにおいて、二酸化炭素回収率の低下を抑制する技術を提供する。
【解決手段】 二酸化炭素回収システムは、二酸化炭素と水分と硫黄化合物とを含む混合ガスから水分と硫黄化合物が除去された処理ガスを排出するガス処理部と、処理ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収器と、を備え、ガス処理部は、混合ガスから水分と硫黄化合物とを除去する第1吸着器と第2吸着器とを有し、二酸化炭素回収システムは、混合ガスの供給先を第1吸着器または第2吸着器に切り替える上流側切替弁と、第1吸着器の出口ガスを二酸化炭素回収器に排出するか、または、第2吸着器の出口ガスを二酸化炭素回収器に排出するか、を切り替える下流側切替弁と、処理ガスの水分濃度を検出する水分濃度検出部と、水分濃度検出部が検出する水分濃度に応じて、上流側切替弁と下流側切替弁による切り替えを制御する制御部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素回収システムであって、
ガス供給源から二酸化炭素と水分と硫黄化合物とを含む混合ガスが供給され、前記混合ガスから水分と硫黄化合物の少なくとも一部が除去された処理ガスを排出するガス処理部と、
二酸化炭素を吸着可能な二酸化炭素吸着材を収容しており、前記ガス処理部が排出する前記処理ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収器と、を備え、
前記ガス処理部は、
脱水機能と脱硫機能とを備える第1吸着材を収容しており、前記混合ガスから水分と硫黄化合物とを除去する第1吸着器と、
脱水機能と脱硫機能とを備える第2吸着材を収容しており、前記混合ガスから水分と硫黄化合物とを除去する第2吸着器と、を有し、
前記二酸化炭素回収システムは、さらに、
前記ガス供給源と前記ガス処理部との間に設けられ、前記ガス供給源が供給する前記混合ガスを、前記第1吸着器に供給するか、または、前記第2吸着器に供給するか、を切り替える上流側切替弁と、
前記ガス処理部と前記二酸化炭素回収器との間に設けられ、前記第1吸着器の出口ガスを前記処理ガスとして前記二酸化炭素回収器に排出するか、または、前記第2吸着器の出口ガスを前記処理ガスとして前記二酸化炭素回収器に排出するか、を切り替える下流側切替弁と、
前記処理ガスの水分濃度を検出する水分濃度検出部と、
前記水分濃度検出部が検出する水分濃度に応じて、前記上流側切替弁と前記下流側切替弁による切り替えを制御する制御部と、を備える、
二酸化炭素回収システム。
【請求項2】
請求項1に記載の二酸化炭素回収システムであって、
前記第1吸着材および前記第2吸着材のそれぞれの硫黄化合物の破過時間は、水分の破過時間より長い、
二酸化炭素回収システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の二酸化炭素回収システムであって、
前記水分濃度検出部は、露点計である、
二酸化炭素回収システム。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の二酸化炭素回収システムであって、
前記第1吸着器は、前記第1吸着材として、ナトリウムを含むY型ゼオライトを収容しており、
前記第2吸着器は、前記第2吸着材として、ナトリウムを含むY型ゼオライトを収容している、
二酸化炭素回収システム。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の二酸化炭素回収システムであって、
前記二酸化炭素回収器は、前記二酸化炭素吸着材として、ナトリウムを含むX型ゼオライトを収容している、
二酸化炭素回収システム。
【請求項6】
二酸化炭素循環システムであって、
請求項1または請求項2に記載の二酸化炭素回収システムと、
メタン化触媒を収容しており、前記二酸化炭素回収器で回収された二酸化炭素と水素とを用いて、メタンを生成するメタン生成器と、を備える、
二酸化炭素循環システム。
【請求項7】
二酸化炭素回収システムを用いて、二酸化炭素と水分と硫黄化合物とを含む混合ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収方法であって、
ガス供給源が供給する前記混合ガスから水分と硫黄化合物の少なくとも一部を除去し、処理ガスを生成するガス処理工程と、
二酸化炭素を吸着可能な二酸化炭素吸着材を収容する二酸化炭素回収器を用いて、前記ガス処理工程において生成された前記処理ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収工程と、を備え、
前記ガス処理工程は、
脱水機能と脱硫機能とを備える第1吸着材を収容する第1吸着器を用いて、前記混合ガスから水分と硫黄化合物とを除去する第1吸着工程と、
脱水機能と脱硫機能とを備える第2吸着材を収容する第2吸着器を用いて、前記混合ガスから水分と硫黄化合物とを除去する第2吸着工程と、
前記処理ガスの水分濃度を検出する水分濃度検出工程と、
前記水分濃度検出工程において検出される水分濃度に応じて、前記ガス供給源が供給する前記混合ガスを、前記第1吸着器に供給するか、または、前記第2吸着器に供給するか、を切り替える上流側切替工程と、
前記水分濃度検出工程において検出される水分濃度に応じて、前記第1吸着器の出口ガスを前記処理ガスとして前記二酸化炭素回収器に供給するか、または、前記第2吸着器の出口ガスを前記処理ガスとして前記二酸化炭素回収器に供給するか、を切り替える下流側切替工程と、を備える、
二酸化炭素回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素回収システム、二酸化炭素循環システム、および、二酸化炭素回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、CO2を含むガスからCO2を回収する二酸化炭素回収システムが知られている。例えば、特許文献1には、セメント製造の排ガスに含まれるCO2を回収する二酸化炭素回収システムが開示されている。特許文献1の二酸化炭素回収システムは、固体吸着材を用いて排ガスに含まれるCO2を回収する二酸化炭素分離部と、二酸化炭素分離部の上流側に設けられ、固体吸着材の二酸化炭素吸着能を低下させる硫黄化合物などの有害成分を排ガスから除去する有害成分除去部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような先行技術によっても、二酸化炭素回収システムにおいて、二酸化炭素回収率の低下を抑制する技術については、なお、改善の余地があった。例えば、特許文献1の二酸化炭素回収システムでは、有害成分除去部の除去能力が低下すると、有害成分を除去しきれなくなる。このため、有害成分除去部で除去されなかった有害成分が二酸化炭素分離部に到達し、固体吸着材の二酸化炭素吸着能を低下させるおそれがある。固体吸着材の二酸化炭素吸着能が低下すると、二酸化炭素分離部による二酸化炭素回収率が低下する。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、二酸化炭素回収システムにおいて、二酸化炭素回収率の低下を抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
(1)本発明の一形態によれば、二酸化炭素回収システムが提供される。この二酸化炭素回収システムは、ガス供給源から二酸化炭素と水分と硫黄化合物とを含む混合ガスが供給され、前記混合ガスから水分と硫黄化合物の少なくとも一部が除去された処理ガスを排出するガス処理部と、二酸化炭素を吸着可能な二酸化炭素吸着材を収容しており、前記ガス処理部が排出する前記処理ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収器と、を備え、前記ガス処理部は、脱水機能と脱硫機能とを備える第1吸着材を収容しており、前記混合ガスから水分と硫黄化合物とを除去する第1吸着器と、脱水機能と脱硫機能とを備える第2吸着材を収容しており、前記混合ガスから水分と硫黄化合物とを除去する第2吸着器と、を有し、前記二酸化炭素回収システムは、さらに、前記ガス供給源と前記ガス処理部との間に設けられ、前記ガス供給源が供給する前記混合ガスを、前記第1吸着器に供給するか、または、前記第2吸着器に供給するか、を切り替える上流側切替弁と、前記ガス処理部と前記二酸化炭素回収器との間に設けられ、前記第1吸着器の出口ガスを前記処理ガスとして前記二酸化炭素回収器に排出するか、または、前記第2吸着器の出口ガスを前記処理ガスとして前記二酸化炭素回収器に排出するか、を切り替える下流側切替弁と、前記処理ガスの水分濃度を検出する水分濃度検出部と、前記水分濃度検出部が検出する水分濃度に応じて、前記上流側切替弁と前記下流側切替弁による切り替えを制御する制御部と、を備える。
【0008】
この構成によれば、ガス処理部は、それぞれが脱水機能と脱硫機能とを備える2つの吸着器を備える。二酸化炭素回収システムでのガスの流れにおいて、2つの吸着器の上流側には、混合ガスの供給先を2つの吸着器のいずれとするかを切り替える上流側切替弁が設けられており、2つの吸着器の下流側には、2つの吸着器のいずれかの出口ガスを二酸化炭素回収器に排出する処理ガスとするかを切り替える下流側切替弁が設けられている。制御部は、水分濃度検出部が検出する水分濃度に応じて、上流側切替弁と下流側切替弁による切り替えを制御する。これにより、例えば、第1吸着器に収容されている第1吸着材が混合ガスから水分と硫黄化合物とを除去しきれなくなっても、上流側切替弁と下流側切替弁とを切り替えて、第2吸着器に収容されている第2吸着材を用いて、混合ガスに含まれる水分と硫黄化合物とを回収することができる。したがって、水分と硫黄化合物とが二酸化炭素回収器に到達することで、二酸化炭素回収器に収容されている二酸化炭素吸着材の二酸化炭素吸着能が低下することを抑制することができるため、二酸化炭素回収率の低下を抑制することができる。
【0009】
(2)上記形態の二酸化炭素回収システムにおいて、前記第1吸着材および前記第2吸着材のそれぞれの硫黄化合物の破過時間は、水分の破過時間より長くてもよい。この構成によれば、第1吸着材および第2吸着材のそれぞれは、硫黄化合物の破過時間が水分の破過時間よりも長い。すなわち、2つの吸着器において、混合ガスから水分と硫黄化合物とを除去するとき、硫黄化合物は、水分に比べ長い時間、除去されることとなる。これにより、処理ガスにおける硫黄化合物濃度のモニタリングが不要となるため、硫黄化合物の濃度を検出するための検出機器が不要となる。したがって、二酸化炭素回収率の低下を抑制しつつ、二酸化炭素回収システムの製造コストを低減することができる。
【0010】
(3)上記形態の二酸化炭素回収システムにおいて、前記水分濃度検出部は、露点計であってもよい。この構成によれば、二酸化炭素回収システムは、水分濃度を検出する機器として比較的安価な露点計を備えている。これにより、二酸化炭素回収率の低下を抑制しつつ、二酸化炭素回収システムの製造コストを低減することができる。
【0011】
(4)上記形態の二酸化炭素回収システムにおいて、前記第1吸着器は、前記第1吸着材として、ナトリウムを含むY型ゼオライトを収容しており、前記第2吸着器は、前記第2吸着材として、ナトリウムを含むY型ゼオライトを収容していてもよい。この構成によれば、ガス処理部が有する2つの吸着器のそれぞれは、吸着材として、水分と硫黄化合物とを吸着しやすく、かつ、二酸化炭素が吸着しにくく、ナトリウムを含むY型ゼオライトを収容している。これにより、ガス処理部の下流側に設けられる二酸化炭素回収器での二酸化炭素回収率を向上させることができる。
【0012】
(5)上記形態の二酸化炭素回収システムにおいて、前記二酸化炭素回収器は、前記二酸化炭素吸着材として、ナトリウムを含むX型ゼオライトを収容してもよい。この構成によれば、二酸化炭素回収器は、二酸化炭素吸着材として、ナトリウムを含むX型ゼオライトを収容している。ナトリウムを含むX型ゼオライトは、二酸化炭素吸着能とコストとのバランスが優れている。これにより、二酸化炭素回収システムの製造コストを低減しつつ、二酸化炭素回収率を向上させることができる。
【0013】
(6)本発明の別の形態によれば、二酸化炭素循環システムが提供される。この二酸化炭素循環システムは、上記の二酸化炭素回収システムと、メタン化触媒を収容しており、前記二酸化炭素回収器で回収された二酸化炭素と水素とを用いて、メタンを生成するメタン生成器と、を備える。この構成によれば、二酸化炭素循環システムは、上記の二酸化炭素回収システムによって回収した二酸化炭素を用いて、メタン生成器においてメタンを生成する。これにより、例えば、メタン生成器で生成したメタンを燃焼等に用いて二酸化炭素が発生しても、二酸化炭素回収システムによって再度回収し、メタン生成器において、再度メタンを生成することができる。したがって、二酸化炭素をシステム外に漏らすことなく循環させることができるため、二酸化炭素の大気への放出を抑制することができる。
【0014】
(7)本発明のさらに別の形態によれば、二酸化炭素回収システムを用いて、二酸化炭素と水分と硫黄化合物とを含む混合ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収方法が提供される。この二酸化炭素回収方法は、ガス供給源が供給する前記混合ガスから水分と硫黄化合物の少なくとも一部を除去し、処理ガスを生成するガス処理工程と、二酸化炭素を吸着可能な二酸化炭素吸着材を収容する二酸化炭素回収器を用いて、前記ガス処理工程において生成された前記処理ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収工程と、を備え、前記ガス処理工程は、脱水機能と脱硫機能とを備える第1吸着材を収容する第1吸着器を用いて、前記混合ガスから水分と硫黄化合物とを除去する第1吸着工程と、脱水機能と脱硫機能とを備える第2吸着材を収容する第2吸着器を用いて、前記混合ガスから水分と硫黄化合物とを除去する第2吸着工程と、前記処理ガスの水分濃度を検出する水分濃度検出工程と、前記水分濃度検出工程において検出される水分濃度に応じて、前記ガス供給源が供給する前記混合ガスを、前記第1吸着器に供給するか、または、前記第2吸着器に供給するか、を切り替える上流側切替工程と、前記水分濃度検出工程において検出される水分濃度に応じて、前記第1吸着器の出口ガスを前記処理ガスとして前記二酸化炭素回収器に供給するか、または、前記第2吸着器の出口ガスを前記処理ガスとして前記二酸化炭素回収器に供給するか、を切り替える下流側切替工程と、を備える。この構成によれば、ガス処理工程は、それぞれが脱水機能と脱硫機能とを備える吸着材をそれぞれ収容する2つの吸着器を用いて混合ガスから水分と硫黄化合物とを除去する2つの吸着工程を備える。2つの吸着工程は、水分濃度検出工程において検出される処理ガスの水分濃度に応じて、切り替えられる。これにより、ガス処理工程では、2つの吸着器のいずれかにおいて混合ガスに含まれる水分と硫黄化合物とを回収することができるため、水分と硫黄化合物とが二酸化炭素回収器に到達することで、二酸化炭素回収器に収容されている二酸化炭素吸着材の二酸化炭素吸着能が低下することを抑制することができる。したがって、二酸化炭素回収率の低下を抑制することができる。
【0015】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、二酸化炭素回収システムを含むシステム、これらのシステムの制御方法、これらのシステムにおいて二酸化炭素の回収方法を実行させるコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを配布するためのサーバ装置、そのコンピュータプログラムを記憶した一時的でない記憶媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1実施形態の二酸化炭素循環システムの概略構成を示す模式図である。
【
図2】第1実施形態の二酸化炭素回収システムの概略構成を示す模式図である。
【
図3】二酸化炭素回収方法を説明する第1のフローチャートである。
【
図4】二酸化炭素回収方法を説明する第2のフローチャートである。
【
図5】二酸化炭素回収システムの第1の評価試験の結果を説明する図である。
【
図6】二酸化炭素回収システムの第2の評価試験の結果を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の二酸化炭素循環システムの概略構成を示す模式図である。第1実施形態の二酸化炭素循環システム100は、燃焼器1と、除湿器2と、二酸化炭素回収システム10と、触媒反応器5と、除湿器6と、これらを接続する複数の配管を備える。二酸化炭素循環システム100は、二酸化炭素をシステム外に漏らすことなく循環させて、熱エネルギを生成する。
【0018】
燃焼器1は、空気を用いてメタン(CH4)もしくは都市ガスなどメタンを主成分とするガスを燃焼させることで熱エネルギを生成する。燃焼器1では、メタンの燃焼によって、二酸化炭素(CO2)と、水分と、メタンに含まれる硫黄成分由来の硫黄化合物、例えば、二酸化硫黄(SO2)と、が発生する。燃焼器1において発生する二酸化炭素と水分と硫黄化合物とが混合しているガス(混合ガス)は、燃焼排ガスとして、配管100aを通って除湿器2に送られる。なお、配管100aには、燃焼排ガスの熱エネルギを回収するための熱交換器が設けられていてもよい。
【0019】
除湿器2は、燃焼排ガスに含まれる水分の一部を燃焼排ガスから除去する。本実施形態では、除湿器2は、例えば、燃焼排ガスを室温程度まで冷却することで液化された水分を燃焼排ガスから除去する。除湿器2によって水分の一部が除去された燃焼排ガスは、配管100bを通って二酸化炭素回収システム10に送られる。
【0020】
二酸化炭素回収システム10は、脱水脱硫器3と、二酸化炭素吸着器4と、を備える。二酸化炭素回収システム10は、燃焼排ガスから二酸化炭素を回収する。
【0021】
脱水脱硫器3は、除湿器2から送られる燃焼排ガスから、水分と硫黄化合物とを除去する。本実施形態では、脱水脱硫器3は、脱水機能と脱硫機能との両方を有する吸着材を用いて、燃焼排ガスに含まれる水分と硫黄化合物とを吸着し、燃焼排ガスから除去する。水分と硫黄化合物とが除去された燃焼排ガスは、処理ガスとして、配管100cを通って二酸化炭素吸着器4に送られる。脱水脱硫器3は、特許請求の範囲に記載の「ガス処理部」に相当する。
【0022】
二酸化炭素吸着器4は、脱水脱硫器3から送られる処理ガスから、二酸化炭素を回収する。本実施形態では、二酸化炭素吸着器4は、二酸化炭素を吸着可能な二酸化炭素吸着材、例えば、ナトリウムを含むX型ゼオライトを収容している。二酸化炭素吸着器4に脱水脱硫器3から処理ガスが送られると、処理ガスに含まれる二酸化炭素は、X型ゼオライトに吸着されることで、処理ガスから回収される。二酸化炭素が回収された処理ガスは、排ガスとして、二酸化炭素循環システム100の外部に放出される。X型ゼオライトに吸着された二酸化炭素は、圧力操作や温度操作によってX型ゼオライトから脱離させることで回収することができる。二酸化炭素吸着器4において回収された二酸化炭素は、配管100dを通って触媒反応器5に送られる。なお、二酸化炭素吸着器4によって回収された二酸化炭素は、ガスタンクなどに一時的に貯蔵し、化成品原料や飲料用原料として、使用してもよい。二酸化炭素吸着器4は、特許請求の範囲に記載の「二酸化炭素回収器」に相当する。
【0023】
触媒反応器5は、メタンを生成する。触媒反応器5は、メタン化触媒を収容しており、二酸化炭素吸着器4において回収された二酸化炭素と水素(H2)とを用いて、メタンを生成する。触媒反応器5において生成されるメタンを含む燃料ガスは、配管100eを通って除湿器6に送られる。なお、触媒反応器5において生成される炭化水素化合物は、メタンに限定されず、プロパンやエチレン、アセチレンなどであってもよい。触媒反応器5は、特許請求の範囲に記載の「メタン生成器」に相当する。
【0024】
除湿器6は、触媒反応器5から送られる燃料ガスに含まれる水分を冷却などによって除去する。除湿器6によって水分が除去された燃料ガスは、配管100fを通って燃焼器1に送られ、燃焼器1での熱エネルギの生成に利用される。燃焼器1での燃料ガスの燃焼によって発生する二酸化炭素と水分と硫黄化合物とを含む燃焼排ガスは、除湿器2に送られ、上述したように、除湿器2において、水分の一部が除去される。二酸化炭素循環システム100では、このように、燃焼器1での熱エネルギの生成に利用される炭素をシステム外に漏れ出させることなく、循環して利用することができる。
【0025】
図2は、本実施形態の二酸化炭素回収システム10の概略構成を示す模式図である。次に、本実施形態の二酸化炭素回収システム10の詳細について、説明する。二酸化炭素回収システム10は、第1吸着器11と第2吸着器12とから構成される脱水脱硫器3と、再生用ガス供給部13と、上流側切替弁14と、下流側切替弁15と、排ガス排出弁16a,16bと、水分濃度検出部17と、制御部18と、を備える。
【0026】
第1吸着器11は、除湿器2から送られる燃焼排ガスから水分と硫黄化合物とを除去する。第1吸着器11は、脱水機能と脱硫機能とを備える第1吸着材11aを収容している。第1吸着材11aは、二酸化炭素の吸着が抑制され、かつ、水分と硫黄酸化物を含む硫黄化合物を多く吸着できる特性を有する吸着材が好ましい。また、第1吸着材11aの硫黄化合物の破過時間は、水分の破過時間よりも長いことが好ましい。本実施形態では、例えば、第1吸着材11aとして、ナトリウムを含むY型ゼオライトが用いられる。第1吸着器11は、図示しない加熱機構を有している。第1吸着器11の加熱機構は、第1吸着材11aに吸着している水分や硫黄化合物を第1吸着材11aから脱離させるとき、第1吸着材11aを加熱し、水分や硫黄化合物の脱離を促進させる。
【0027】
第2吸着器12は、除湿器2から送られる燃焼排ガスから水分と硫黄化合物とを除去する。第2吸着器12は、脱水機能と脱硫機能とを備える第2吸着材12aを収容している。第2吸着材12aは、二酸化炭素の吸着が抑制され、かつ、水分と硫黄酸化物を含む硫黄化合物を多く吸着できる特性を有する材料が好ましい。また、第2吸着材12aの硫黄化合物の破過時間は、水分の破過時間よりも長いことが好ましい。本実施形態では、例えば、第2吸着材12aとして、第1吸着器11と同様に、ナトリウムを含むY型ゼオライトが用いられる。第2吸着器12は、図示しない加熱機構を有している。第2吸着器12の加熱機構は、第2吸着材12aに吸着している水分や硫黄化合物を第2吸着材12aから脱離させるとき、第2吸着材12aを加熱し、水分や硫黄化合物の脱離を促進させる。
【0028】
再生用ガス供給部13は、水分や硫黄化合物を吸着した第1吸着材11aおよび第2吸着材12aから、水分や硫黄化合物を脱離させる再生用ガスを第1吸着器11と第2吸着器12とに供給する。本実施形態では、再生用ガス供給部13は、例えば、窒素のガスタンクであって、配管101g,102gのそれぞれを介して、第1吸着器11と第2吸着器12とのそれぞれに接続されている。再生用ガス供給部13は、後述する二酸化炭素回収方法において、制御部18が出力する指令信号に応じて、窒素を第1吸着器11または第2吸着器12に供給する。本実施形態では、再生用ガス供給部13は、窒素の加熱機構を有しており、温度が80℃以上、より好ましくは、120℃以上の窒素を第1吸着器11または第2吸着器12に供給することが可能である。なお、再生用ガス供給部13が供給する再生用ガスの種類は、窒素に限定されず、第1吸着材11aおよび第2吸着材12aからの水分と硫黄化合物の脱離を妨げない気体であればよい。また、再生用ガス供給部13はガスタンクに限定されず、例えば、加圧された大気を第1吸着器11または第2吸着器12に供給可能なポンプであってもよい。
【0029】
再生用ガス供給部13と第1吸着器11および第2吸着器12とを接続する配管101g,102gのそれぞれには、再生用ガス導入弁13a,13bが設けられている。再生用ガス導入弁13a,13bのそれぞれは、制御部18に電気的に接続されている。再生用ガス導入弁13a,13bのそれぞれは、後述する二酸化炭素回収方法において、制御部18が出力する指令信号に応じて、再生用ガス供給部13に貯留されている窒素の供給先を切り替えることが可能である。
【0030】
上流側切替弁14は、2つの燃焼排ガス導入弁14a,14bを有する。燃焼排ガス導入弁14aは、除湿器2と第1吸着器11とを接続する配管100bのうち、第1吸着器11に接続する配管101bに設けられている。燃焼排ガス導入弁14aは、電気的に接続されている制御部18からの指令信号に応じて、除湿器2から第1吸着器11に向かう燃焼排ガスの流れを許容したり、遮断したりする。燃焼排ガス導入弁14bは、除湿器2と第2吸着器12とを接続する配管100bのうち、第2吸着器12に接続する配管102bに設けられている。燃焼排ガス導入弁14bは、電気的に接続されている制御部18からの指令信号に応じて、除湿器2から第2吸着器12に向かう燃焼排ガスの流れを許容したり、遮断したりする。
【0031】
下流側切替弁15は、2つの処理ガス排出弁15a,15bを有する。処理ガス排出弁15aは、第1吸着器11と二酸化炭素吸着器4とを接続する配管100cのうち、第1吸着器11に接続されている配管101cに設けられている。処理ガス排出弁15aは、電気的に接続されている制御部18からの指令信号に応じて、第1吸着器11の出口ガスである処理ガスの流れを許容したり、遮断したりする。処理ガス排出弁15bは、第2吸着器12と二酸化炭素吸着器4とを接続する配管100cのうち、第2吸着器12に接続されている配管102cに設けられている。処理ガス排出弁15bは、電気的に接続されている制御部18からの指令信号に応じて、第2吸着器12の出口ガスである処理ガスの流れを許容したり、遮断したりする。
【0032】
排ガス排出弁16a,16bは、第1吸着器11と第2吸着器12とのそれぞれに接続する配管100hに設けられている。排ガス排出弁16aは、配管101hのうち、第1吸着器11に接続されている配管101hに設けられている。排ガス排出弁16aは、第1吸着材11aに吸着している水分や硫黄化合物を脱離させて第1吸着材11aを再生するとき、電気的に接続されている制御部18からの指令信号に応じて、第1吸着器11から排出される、水分や硫黄化合物を含む排ガスの流れを許容したり、遮断したりする。排ガス排出弁16bは、配管101hのうち、第2吸着器12に接続されている配管102hに設けられている。排ガス排出弁16bは、第2吸着材12aに吸着している水分や硫黄化合物を脱離させて第2吸着材12aを再生するとき、電気的に接続されている制御部18からの指令信号に応じて、第2吸着器12から排出される、水分や硫黄化合物を含む排ガスの流れを許容したり、遮断したりする。
【0033】
水分濃度検出部17は、配管100cのうち、第1吸着器11の処理ガスおよび第2吸着器12の処理ガスが流れる配管103cに設けられている。本実施形態では、水分濃度検出部17は、配管103cを流れる処理ガスの露点を測定する露点計である。水分濃度検出部17は、測定した処理ガスの露点を制御部18に出力する。なお、水分濃度検出部17は、露点計に限定されず、処理ガスに含まれる水分の量を検出するものであればよく、処理ガスの水分濃度を検出する検出器や処理ガスの水分含有率を検出する検出器であってもよい。
【0034】
制御部18は、ROM、RAM、および、CPUを含んで構成されるコンピュータである。制御部18は、上流側切替弁14と、下流側切替弁15と、再生用ガス導入弁13a,13bと、排ガス排出弁16a,16bと、水分濃度検出部17と、電気的に接続している。制御部18は、事前に入力されているプログラムに基づいて、上流側切替弁14、下流側切替弁15、再生用ガス導入弁13a,13b、および、排ガス排出弁16a,16bを操作する。制御部18による上流側切替弁14、下流側切替弁15、および、再生用ガス導入弁13c,13dと、排ガス排出弁100i,100jの操作の詳細は、後述する。
【0035】
次に、本実施形態の二酸化炭素回収方法の詳細を説明する。本実施形態の二酸化炭素回収方法は、燃焼器1における燃焼の開始など二酸化炭素循環システム100において、回収可能な二酸化炭素を循環させる必要に応じて、実行可能である。
【0036】
図3は、二酸化炭素回収方法を説明する第1のフローチャートである。
図4は、二酸化炭素回収方法を説明する第2のフローチャートである。
図3は、第1吸着器11に関するフローチャートであり、
図4は、第2吸着器12に関するフローチャートである。本実施形態の二酸化炭素回収方法では、第1吸着器11と第2吸着器12とを並列で操作することで、燃焼器1で発生する燃焼排ガスから水分と硫黄化合物とを連続的に除去することが可能である。二酸化炭素循環システム100において二酸化炭素回収方法が実行される前では、第1吸着器11の第1吸着材11aと第2吸着器12の第2吸着材12aとのそれぞれは、水分や硫黄化合物が吸着されていない状態となっている。
【0037】
本実施形態の二酸化炭素回収方法では、最初に、第1吸着器11を用いて燃焼排ガスの処理を行う。最初に、燃焼排ガス導入弁14aと処理ガス排出弁15aとのそれぞれを開く(
図3のステップS11)。制御部18は、燃焼排ガス導入弁14aと処理ガス排出弁15aとのそれぞれが開くように指令信号を出力する。これにより、除湿器2から脱水脱硫器3に送られる燃焼排ガスは、配管101bを通って第1吸着器11内に導入される。第1吸着器11内では、燃焼排ガスに含まれる水分と硫黄化合物とが第1吸着材11aに吸着される。水分と硫黄化合物とが除去された燃焼排ガスである処理ガスは、配管101cを通って、二酸化炭素吸着器4に向かって流れる。
【0038】
次に、水分濃度検出部17を用いて、第1吸着器11の処理ガスの露点を測定する(
図3のステップS12)。水分濃度検出部17は、配管100cを流れる第1吸着器11の処理ガスの露点を測定し、露点の測定結果を制御部18に出力する。
【0039】
次に、第1吸着器11の処理ガスの露点が-15℃より大きいか否かを判定する(
図3のステップS13)。制御部18は、水分濃度検出部17が出力する処理ガスの露点の測定結果が、-15℃より大きいか否かを判定する。第1吸着器11の処理ガスの露点が-15℃より大きい場合、第1吸着器11の処理ガスに含まれる水分の濃度が比較的高くなっていることを示しており、第1吸着材11aによって燃焼排ガスに含まれる水分を吸着しきれていないことを示している。本実施形態では、第1吸着材11aとして、硫黄化合物の破過時間が水分の破過時間よりも長い吸着材を用いていることから、処理ガスの水分の濃度が比較的高くなっても、処理ガスの硫黄化合物の濃度は低い状態が保たれている。制御部18が、処理ガスの露点が-15℃より大きいと判定する(
図3のステップS13:YES)と、ステップS14に移行する。制御部18が、処理ガスの露点が-15℃以下であると判定する(
図3のステップS13:NO)と、ステップS12に戻り、処理ガスの露点をさらに測定する。
【0040】
ステップS13において第1吸着器11の処理ガスの露点が-15℃より大きいと判定されると、制御部18は、弁操作に関する信号を送信する(
図3のステップS14)。具体的には、制御部18は、燃焼排ガス導入弁14aと処理ガス排出弁15aとのそれぞれに、弁を閉じる指令信号を出力する。また、制御部18は、第2吸着器12に関して、燃焼排ガス導入弁14bと処理ガス排出弁15bとのそれぞれに、弁を開ける指令信号を出力する。
【0041】
図3のステップS14における弁操作に関する信号が送信されると、第1吸着器11では、燃焼排ガス導入弁14aと処理ガス排出弁15aとのそれぞれが閉じられる(
図3のステップS15)。これにより、第1吸着器11による燃焼排ガスの処理が停止する。
【0042】
第1吸着器11では、次に、再生用ガス導入弁13aと排ガス排出弁16aとのそれぞれを開く(
図3のステップS16)。制御部18は、再生用ガス導入弁13aと排ガス排出弁16aとのそれぞれを開く指令信号を出力する。これにより、再生用ガス供給部13に貯留されている窒素が第1吸着器11に供給され、第1吸着材11aに吸着されている水分や硫黄化合物が第1吸着材11aから脱離する。第1吸着材11aから脱離した水分と硫黄化合物は、窒素とともに、配管100hを通って、排ガスとして、二酸化炭素循環システム100の外部に放出される。
【0043】
第1吸着器11では、次に、再生用ガス導入弁13aと排ガス排出弁16aとのそれぞれを閉じる(
図3のステップS17)。制御部18は、再生用ガス導入弁13aと排ガス排出弁16aとのそれぞれが閉じるように指令信号を出力する。制御部18によるそれぞれの弁を閉じる指令信号の出力のタイミングは、ステップS16でのそれぞれの弁を開く指令信号が出力されてから一定の時間であってもよいし、配管100hに設けられる図示しない露点計による排ガスの露点の測定結果に基づいてもよい。これにより、第1吸着材11aが再生され、次回の燃焼排ガスの処理が可能となる。
【0044】
一方、第2吸着器12側では、
図3のステップS14における弁操作に関する信号が送信されると、燃焼排ガス導入弁14bと処理ガス排出弁15bとのそれぞれが開く(
図4のステップS21)。これにより、除湿器2から送られる燃焼排ガスが配管102bを通って第2吸着器12内に導入される。第2吸着器12内では、燃焼排ガスに含まれる水分と硫黄化合物とが第2吸着材12aに吸着される。水分と硫黄化合物とが吸着除去された燃焼排ガスである処理ガスは、配管102cを通って、二酸化炭素吸着器4に向かって流れる。
【0045】
次に、水分濃度検出部17を用いて、第2吸着器12の処理ガスの露点を測定する(
図4のステップS22)。水分濃度検出部17は、配管100cを流れる第2吸着器12の処理ガスの露点を測定し、露点の測定結果を制御部18に出力する。
【0046】
次に、第2吸着器12の処理ガスの露点が-15℃より大きいか否かを判定する(
図4のステップS23)。制御部18は、水分濃度検出部17が出力する処理ガスの露点の測定結果が、-15℃より大きいか否かを判定する。第2吸着器12の処理ガスの露点が-15℃より大きい場合、第2吸着器12の処理ガスに含まれる水分の濃度が比較的高くなっていることを示しており、第2吸着材12aによって燃焼排ガスに含まれる水分を吸着しきれていないことを示している。本実施形態では、第2吸着材12aとして、硫黄化合物の破過時間が水分の破過時間よりも長い吸着材を用いていることから、処理ガスの水分の濃度が比較的高くなっても、処理ガスの硫黄化合物の濃度は低い状態が保たれている。制御部18が、処理ガスの露点が-15℃より大きいと判定する(
図4のステップS23:YES)と、ステップS24に移行する。制御部18が、処理ガスの露点が-15℃以下であると判定する(
図4のステップS23:NO)と、ステップS22に戻り、処理ガスの露点をさらに測定する。
【0047】
ステップS23において第2吸着器12の処理ガスの露点が-15℃より大きいと判定されると、制御部18は、弁操作に関する信号を送信する(
図4のステップS24)。具体的には、制御部18は、燃焼排ガス導入弁14bと処理ガス排出弁15bとのそれぞれに、弁を閉じる指令信号を出力する。また、制御部18は、第1吸着器11に関して、燃焼排ガス導入弁14aと処理ガス排出弁15aとのそれぞれに、弁を開ける指令信号を出力する。これにより、第1吸着器11では、燃焼排ガス導入弁14aと処理ガス排出弁15aとのそれぞれが開く(
図3のステップS11)ため、除湿器2から送られる燃焼排ガスが配管101bを通って第1吸着器11内に導入され、燃焼排ガスから水分と硫黄化合物とが吸着除去される。
【0048】
図4のステップS24における弁操作に関する信号が送信されると、第2吸着器12では、燃焼排ガス導入弁14bと処理ガス排出弁15bとのそれぞれが閉じられる(
図4のステップS25)。これにより、第2吸着器12による燃焼排ガスの処理が停止する。
【0049】
第2吸着器12では、次に、再生用ガス導入弁13bと排ガス排出弁16bとのそれぞれを開く(
図4のステップS26)。制御部18は、再生用ガス導入弁13bと排ガス排出弁16bとのそれぞれを開く指令信号を出力する。これにより、再生用ガス供給部13に貯留されている窒素が第2吸着器12に供給され、第2吸着材12aに吸着されている水分や硫黄化合物が第2吸着材12aから脱離する。第2吸着材12aから脱離した水分と硫黄化合物は、窒素とともに、配管100hを通って、二酸化炭素循環システム100の外部に放出される。
【0050】
第2吸着器12では、次に、再生用ガス導入弁13bと排ガス排出弁16bとのそれぞれを閉じる(
図4のステップS27)。制御部18は、再生用ガス導入弁13bと排ガス排出弁16bとのそれぞれが閉じるように指令信号を出力する。制御部18によるそれぞれの弁を閉じる指令信号の出力のタイミングは、ステップS26でのそれぞれの弁を開く指令信号が出力されてから一定の時間であってもよいし、配管100hに設けられる図示しない露点計による排ガスの露点の測定結果に基づいてもよい。これにより、第2吸着材12aが再生され、次回の燃焼排ガスの処理が可能となる。
【0051】
本実施形態の二酸化炭素回収システム10では、このようにして、水分濃度検出部17による処理ガスの水分濃度の検出結果に応じて、燃焼排ガスの処理を第1吸着器11または第2吸着器12のいずれかに切り替える。これにより、例えば、燃焼器1の連続運転によって燃焼排ガスが連続して排出される場合でも、水分と硫黄化合物が除去された処理ガスを二酸化炭素吸着器4に送ることができるため、耐水性に劣る二酸化炭素吸着材の性能維持を図りつつ、硫黄成分によるメタン化触媒の劣化を抑制することができる。
【0052】
次に、本実施形態の二酸化炭素回収システムの評価試験について説明する。本評価試験では、脱水脱硫器に収容されている吸着材について、水分と硫黄化合物の吸着量のバランスと、硫黄成分の脱離特性とを評価した。
【0053】
第1の評価試験として、吸着材における水分と硫黄化合物の吸着量のバランスを評価した。第1の評価試験では、1つの吸着器に燃焼排ガスの模擬ガスを1時間流通させたのち、吸着器から排出されるガス(処理ガス)に対して硫黄化合物の濃度を測定した。第1の評価試験に用いる模擬ガスの特性は以下のとおりである。
H2O(3%),SO2(2ppm),O2(3%),CO2(9.5%)
バランスガス:N2,空間速度(SV):6000h-1
【0054】
図5は、二酸化炭素回収システムの第1の評価試験の結果を説明する図である。
図5に示す、「吸着器A」、「吸着器B」、「吸着器C」のそれぞれの特徴は以下のとおりである。
「吸着器A」:吸着材として、Naを含むY型ゼオライトを収容する吸着器
「吸着器B」:吸着材として、シリカゲルを収容する吸着器
「吸着器C」:吸着材を収容していない吸着器(比較試験)
【0055】
第1の評価試験では、吸着器Aと吸着器Bとのいずれも、模擬ガスを1時間流通させた後では、H2Oに対する吸着は破過している状態となった。しかしながら、NaY型ゼオライトを吸着材として用いた吸着器Aでは、1時間後の二酸化硫黄濃度は、検出限界以下となっており、H2Oに対する吸着が破過状態であっても、二酸化硫黄の吸着が継続して行われることが明らかとなった。一方、シリカゲルを用いた吸着器Bでは、二酸化硫黄濃度は2ppmとなっており、二酸化硫黄を吸着できていない。なお、吸着器Cは、吸着材を収容しておらず、吸着器Aと吸着器Bに対する比較例として示している。
【0056】
図5に示すように、吸着器Bでは、H
2Oに対する吸着が破過状態となっているとき、二酸化硫黄を吸着できていないため、二酸化硫黄が処理ガスに含まれないように、二酸化硫黄の濃度も測定する必要がある。一方、吸着器Aでは、吸着材としてNaY型ゼオライトを用いることで、二酸化硫黄の破過時間が水分の破過時間より長くなるため、露点計による処理ガスの露点のモニタリングのみで、脱水処理と脱硫処理とを同時に行うことができる。
【0057】
次に、第2の評価試験として、吸着材における硫黄成分の脱離特性を評価した。第2の評価試験では、第1の評価試験で使用した吸着器Aと吸着器Bとのそれぞれについて、硫黄成分の脱離特性を再生用ガスの温度との関係にも着目して評価した。
【0058】
図6は、二酸化炭素回収システムの第2の評価試験の結果を説明する図である。
図6に示す「吸着器A」と「吸着器B」のそれぞれは、
図5に示す「吸着器A」と「吸着器B」のそれぞれと同じである。また、
図6に示す「80℃」と「120℃」の温度は、再生用ガスの温度である。なお。
図6に示す「硫黄成分脱離率」は、吸着材に吸着されている硫黄成分のモル量に対する、脱離した硫黄成分のモル量の割合を示す値に100を掛けた値である。吸着材に吸着している硫黄成分のモル量は、吸着材を20℃/分の昇温速度で700℃まで昇温することで得られる硫黄成分のモル量であって、吸着材に吸着されている硫黄成分のほぼ全量に当たるものと考えられる。
【0059】
吸着器Aと吸着器Bとを比較すると、
図6に示すように、吸着器Aでは、硫黄成分脱離率は、再生用ガスの温度に応じて、55~75%となるのに対し、吸着器Bでは、再生用ガスの温度に関わらず、検出限界以下となった。また、吸着器Aでは、再生用ガスの温度が80℃の場合では、55.5%であるのに対し、再生用ガスの温度が120℃の場合では、75.0%となった。すなわち、再生用ガスの温度を高くすることで、吸着材が次の処理において硫黄化合物を吸着することができる程度を示す再生率を向上することができることが明らかとなった。また、高温の再生用ガスを用いる代わりに、脱水機能と脱硫機能とを有する吸着材を加熱するための機構を脱水脱硫器に設けてもよい。
【0060】
以上説明した、本実施形態の二酸化炭素回収システム10によれば、脱水脱硫器3は、それぞれが脱水機能と脱硫機能とを備える2つの吸着器11,12を備える。二酸化炭素回収システム10でのガスの流れにおいて、2つの吸着器11,12の上流側には、燃焼排ガスの供給先を2つの吸着器11,12のいずれとするかを切り替える上流側切替弁14が設けられており、2つの吸着器11,12の下流側には、2つの吸着器11,12のいずれかの出口ガスを二酸化炭素吸着器4に排出する処理ガスとするかを切り替える下流側切替弁15が設けられている。制御部18は、水分濃度検出部17が検出する処理ガスの露点に応じて、上流側切替弁14と下流側切替弁15による切り替えを制御する。これにより、第1吸着器11に収容されている第1吸着材11aが燃焼排ガスから水分と硫黄化合物とを除去しきれなくなっても、上流側切替弁14と下流側切替弁15とを切り替えて、第2吸着器12に収容されている第2吸着材12aを用いて、燃焼排ガスに含まれる水分と硫黄化合物とを回収することができる。したがって、処理ガスに含まれる水分と硫黄化合物によって二酸化炭素吸着材の二酸化炭素吸着能が低下することを抑制することができるため、二酸化炭素回収率の低下を抑制することができる。
【0061】
また、本実施形態の二酸化炭素回収システム10によれば、第1吸着器11と第2吸着器12とのそれぞれが、脱水機能と脱硫機能とを備える吸着材を収容している。これにより、燃焼排ガスに対する脱水と脱硫とを同時に行うことができるため、脱水と脱硫とを別々に行うシステムに比べ、設備の体格が小さくなり、システムを簡素化することができる。
【0062】
また、本実施形態の二酸化炭素回収システム10によれば、第1吸着材11aおよび第2吸着材12aのそれぞれは、硫黄化合物の破過時間が水分の破過時間よりも長い。すなわち、2つの吸着器11,12において、燃焼排ガスから水分と硫黄化合物とを除去するとき、硫黄化合物は、水分に比べ長い時間、除去されることとなる。これにより、燃焼排ガスにおける硫黄化合物濃度のモニタリングが不要となるため、硫黄化合物の濃度を検出するための検出機器が不要となる。したがって、二酸化炭素回収率の低下を抑制しつつ、二酸化炭素回収システム10の製造コストを低減することができる。
【0063】
また、本実施形態の二酸化炭素回収システム10によれば、第1吸着材11aおよび第2吸着材12aのそれぞれは、硫黄化合物の破過時間が水分の破過時間よりも長いため、二酸化炭素吸着器4から取り出される二酸化炭素を含むガスに硫黄化合物が含まれにくくなる。これにより、触媒反応器5において、硫黄化合物によるメタン化触媒の被毒を抑制することができる。したがって、メタンの生成効率の低下を抑制することができる。
【0064】
また、本実施形態の二酸化炭素回収システム10によれば、二酸化炭素回収システム10は、水分濃度検出部17として、処理ガスに含まれる水分の量を検出可能で、かつ、比較的安価な露点計を備えている。これにより、二酸化炭素回収率の低下を抑制しつつ、二酸化炭素回収システム10の製造コストを低減することができる。
【0065】
また、本実施形態の二酸化炭素回収システム10によれば、二酸化炭素吸着器4は、二酸化炭素吸着材として、ナトリウムを含むX型ゼオライトを収容している。ナトリウムを含むX型ゼオライトは、二酸化炭素吸着能とコストとのバランスが優れている。これにより、二酸化炭素回収システムの製造コストを低減しつつ、二酸化炭素回収率を向上させることができる。
【0066】
また、本実施形態の二酸化炭素循環システム100によれば、二酸化炭素回収システム10によって回収した二酸化炭素を用いて、触媒反応器5においてメタンを生成する。これにより、触媒反応器5で生成したメタンを燃焼器1での燃焼に用いて二酸化炭素が発生しても、二酸化炭素回収システム10によって再度回収し、触媒反応器5において、再度メタンを生成することができる。したがって、二酸化炭素循環システム100の外部に漏らすことなく二酸化炭素を循環させることができるため、二酸化炭素の大気への放出を抑制することができる。
【0067】
また、本実施形態の二酸化炭素回収方法によれば、燃焼排ガスから水分と硫黄化合物とを吸着除去する工程は、それぞれが脱水機能と脱硫機能とを備える吸着材11a,12aをそれぞれ収容する2つの吸着器11,12をそれぞれ用いる2つの吸着工程を備える。2つの吸着工程は、水分濃度検出部17によって検出される処理ガスの露点に応じて、切り替えられる。これにより、燃焼排ガスから水分と硫黄化合物とを吸着除去する工程では、2つの吸着器11,12のそれぞれにおいて燃焼排ガスに含まれる水分と硫黄化合物とを回収することができるため、水分と硫黄化合物とが二酸化炭素吸着器4に到達し、二酸化炭素吸着器4に収容されている二酸化炭素吸着材の二酸化炭素吸着能が低下することを抑制することができる。したがって、二酸化炭素回収率の低下を抑制することができる。
【0068】
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0069】
[変形例1]
上述の実施形態では、第1吸着材11aおよび第2吸着材12aについて、硫黄化合物の破過時間は、水分の破過時間よりも長いとした。しかしながら、硫黄化合物の破過時間と水分の破過時間との関係は、これに限定されない。硫黄化合物の破過時間が水分の破過時間より短くてもよい。硫黄化合物の破過時間が水分の破過時間よりも長いと、処理ガスの水分濃度をモニタリングするだけで、水分と硫黄化合物とが二酸化炭素吸着器4に到達しにくくなるため、処理ガスの水分濃度だけをモニタリングすればよい。露点計などの水分濃度を検出する検出器は、硫黄化合物の濃度を検出する検出器に比べ安価であるため、設備コストを低減することができる。
【0070】
[変形例2]
上述の実施形態では、処理ガスの水分濃度は、露点計による露点の測定によって把握するとした。処理ガスの水分濃度を把握する方法は、これに限定されない。また、処理ガスに含まれる水分の量を表す数値は、露点に限定されず、処理ガスにおける水分の体積濃度や、処理ガスにおける水分の含有率であってもよい。
【0071】
[変形例3]
上述の実施形態では、脱水脱硫器3が有する2つの吸着器11,12のそれぞれには、吸着材として、ナトリウムを含むY型ゼオライトが収容されるとした。しかしながら、2つの吸着器11,12が収容する、脱水機能と脱硫機能との両方を有する吸着材は、ナトリウムを含むY型ゼオライトに限定されない。燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素に対する吸着能が低い方が望ましいが、脱水機能と脱硫機能との両方が優れている方が二酸化炭素吸着器4への水分や硫黄化合物の流出を抑制することができるため、水分による二酸化炭素吸着材の劣化や硫黄化合物によるメタン化触媒の被毒をさらに抑制することができる。
【0072】
[変形例4]
上述の実施形態では、二酸化炭素吸着器4は、二酸化炭素吸着能とコストとのバランスが優れているナトリウムを含むX型ゼオライトを収容しているとした。しかしながら、二酸化炭素吸着器4が収容する二酸化炭素吸着材は、ナトリウムを含むX型ゼオライトを限定されない。二酸化炭素回収率が比較的高い吸着材であってもよい。
【0073】
[変形例5]
上述の実施形態では、脱水脱硫器3は、2つの吸着器11,12を有するとした。しかしながら、脱水脱硫器3が有する吸着器は、3つ以上あってもよく、燃焼排ガスの組成に応じて、吸着器の数を2つ以上の数としてもよい。
【0074】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【0075】
(適用例1)
二酸化炭素回収システムであって、
ガス供給源から二酸化炭素と水分と硫黄化合物とを含む混合ガスが供給され、前記混合ガスから水分と硫黄化合物の少なくとも一部が除去された処理ガスを排出するガス処理部と、
二酸化炭素を吸着可能な二酸化炭素吸着材を収容しており、前記ガス処理部が排出する前記処理ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収器と、を備え、
前記ガス処理部は、
脱水機能と脱硫機能とを備える第1吸着材を収容しており、前記混合ガスから水分と硫黄化合物とを除去する第1吸着器と、
脱水機能と脱硫機能とを備える第2吸着材を収容しており、前記混合ガスから水分と硫黄化合物とを除去する第2吸着器と、を有し、
前記二酸化炭素回収システムは、さらに、
前記ガス供給源と前記ガス処理部との間に設けられ、前記ガス供給源が供給する前記混合ガスを、前記第1吸着器に供給するか、または、前記第2吸着器に供給するか、を切り替える上流側切替弁と、
前記ガス処理部と前記二酸化炭素回収器との間に設けられ、前記第1吸着器の出口ガスを前記処理ガスとして前記二酸化炭素回収器に排出するか、または、前記第2吸着器の出口ガスを前記処理ガスとして前記二酸化炭素回収器に排出するか、を切り替える下流側切替弁と、
前記処理ガスの水分濃度を検出する水分濃度検出部と、
前記水分濃度検出部が検出する水分濃度に応じて、前記上流側切替弁と前記下流側切替弁による切り替えを制御する制御部と、を備える、
二酸化炭素回収システム。
(適用例2)
適用例1に記載の二酸化炭素回収システムであって、
前記第1吸着材および前記第2吸着材のそれぞれの硫黄化合物の破過時間は、水分の破過時間より長い、
二酸化炭素回収システム。
(適用例3)
適用例1または適用例2に記載の二酸化炭素回収システムであって、
前記水分濃度検出部は、露点計である、
二酸化炭素回収システム。
(適用例4)
適用例1から適用例3のいずれか一例に記載の二酸化炭素回収システムであって、
前記第1吸着器は、前記第1吸着材として、ナトリウムを含むY型ゼオライトを収容しており、
前記第2吸着器は、前記第2吸着材として、ナトリウムを含むY型ゼオライトを収容している、
二酸化炭素回収システム。
(適用例5)
適用例1から適用例4のいずれか一例に記載の二酸化炭素回収システムであって、
前記二酸化炭素回収器は、前記二酸化炭素吸着材として、ナトリウムを含むX型ゼオライトを収容している、
二酸化炭素回収システム。
(適用例6)
二酸化炭素循環システムであって、
適用例1から適用例5のいずれか一例に記載の二酸化炭素回収システムと、
メタン化触媒を収容しており、前記二酸化炭素回収器で回収された二酸化炭素と水素とを用いて、メタンを生成するメタン生成器と、を備える、
二酸化炭素循環システム。
(適用例7)
二酸化炭素回収システムを用いて、二酸化炭素と水分と硫黄化合物とを含む混合ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収方法であって、
ガス供給源が供給する前記混合ガスから水分と硫黄化合物の少なくとも一部を除去し、処理ガスを生成するガス処理工程と、
二酸化炭素を吸着可能な二酸化炭素吸着材を収容する二酸化炭素回収器を用いて、前記ガス処理工程において生成された前記処理ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収工程と、を備え、
前記ガス処理工程は、
脱水機能と脱硫機能とを備える第1吸着材を収容する第1吸着器を用いて、前記混合ガスから水分と硫黄化合物とを除去する第1吸着工程と、
脱水機能と脱硫機能とを備える第2吸着材を収容する第2吸着器を用いて、前記混合ガスから水分と硫黄化合物とを除去する第2吸着工程と、
前記処理ガスの水分濃度を検出する水分濃度検出工程と、
前記水分濃度検出工程において検出される水分濃度に応じて、前記ガス供給源が供給する前記混合ガスを、前記第1吸着器に供給するか、または、前記第2吸着器に供給するか、を切り替える上流側切替工程と、
前記水分濃度検出工程において検出される水分濃度に応じて、前記第1吸着器の出口ガスを前記処理ガスとして前記二酸化炭素回収器に供給するか、または、前記第2吸着器の出口ガスを前記処理ガスとして前記二酸化炭素回収器に供給するか、を切り替える下流側切替工程と、を備える、
二酸化炭素回収方法。
【符号の説明】
【0076】
1…燃焼器
3…脱水脱硫器
4…二酸化炭素吸着器
5…触媒反応器
10…二酸化炭素回収システム
11…第1吸着器
11a…第1吸着材
12…第2吸着器
12a…第2吸着材
14…上流側切替弁
15…下流側切替弁
17…水分濃度検出部
18…制御部
100…二酸化炭素循環システム