(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132229
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】液体供給装置および研磨装置
(51)【国際特許分類】
B24B 53/017 20120101AFI20240920BHJP
B24B 55/06 20060101ALI20240920BHJP
B24B 37/10 20120101ALI20240920BHJP
B24B 53/12 20060101ALI20240920BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B24B53/017 Z
B24B55/06
B24B37/10
B24B53/12 Z
B24B53/017 A
H01L21/304 622M
H01L21/304 622P
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042930
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【弁護士】
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 紀之
(72)【発明者】
【氏名】田村 元成
(72)【発明者】
【氏名】山口 都章
(72)【発明者】
【氏名】寺田 哲也
【テーマコード(参考)】
3C047
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C047AA15
3C047AA34
3C047EE11
3C047FF19
3C047HH15
3C158AA07
3C158AC05
3C158CB01
3C158CB03
3C158EA11
3C158EB01
5F057AA12
5F057AA21
5F057AA32
5F057DA03
5F057DA38
5F057FA36
5F057FA39
5F057GA29
(57)【要約】
【課題】洗浄流体の噴射時にアトマイザを揺動させる構成において洗浄能力を向上できる技術を提供する。
【解決手段】液体供給装置は、研磨テーブルの上方を水平に揺動可能な揺動アームと、前記揺動アームの長手方向に沿って並んで設けられ前記研磨テーブル上に洗浄流体を噴射する複数の噴射ノズルと、を備え、前記複数の噴射ノズルの各々はスリット状の流体出口を有し、平面視において、前記揺動アームの先端に近い噴射ノズルの流体出口ほど、前記揺動アームの長手方向に対する傾斜角度が大きくなるよう方向付けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨テーブルの上方を水平に揺動可能な揺動アームと、
前記揺動アームの長手方向に沿って並んで設けられ前記研磨テーブル上に洗浄流体を噴射する複数の噴射ノズルと、
を備え、
前記複数の噴射ノズルの各々はスリット状の流体出口を有し、平面視において、前記揺動アームの先端に近い噴射ノズルの流体出口ほど、前記揺動アームの長手方向に対する傾斜角度が大きくなるよう方向付けられている
ことを特徴とする液体供給装置。
【請求項2】
前記揺動アームの揺動範囲のうち前記揺動アームの先端が前記研磨テーブルの中心から最も離れる位置にあるとき、前記複数の噴射ノズルの各々の流体出口は、平面視において、前記研磨テーブルの中心を向くよう方向付けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体供給装置。
【請求項3】
前記揺動アームの先端には、前記研磨テーブル上にドレッシング水を供給するドレッシング水ノズルが設けられており、
前記ドレッシング水ノズルは、前記ドレッシング水を霧状に噴霧するスプレーノズルである、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の液体供給装置。
【請求項4】
前記ドレッシング水ノズルは、平面視において、前記研磨テーブルの回転方向下流側かつ前記揺動アームの長手方向先端側である斜め方向に向けて前記ドレッシング水を噴霧する、
ことを特徴とする請求項3に記載の液体供給装置。
【請求項5】
前記揺動アームの両側面には、前記噴射ノズルと前記研磨テーブルとの間の空間を覆うようにカバーが設けられており、
前記研磨テーブルの回転方向上流側に位置する前記カバーは、前記揺動アームの長手方向から見て、段形状を有している
ことを特徴とする請求項1または2に記載の液体供給装置。
【請求項6】
前記揺動アームの両側面には、前記噴射ノズルと前記研磨テーブルとの間の空間を覆うようにカバーが設けられており、
前記研磨テーブルの回転方向上流側に位置する前記カバーは、ブラシ形状を有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の液体供給装置。
【請求項7】
前記揺動アームには、前記カバーを、前記研磨テーブルに接触する位置と離間する位置との間で上下移動させる移動機構がさらに設けられている
ことを特徴とする請求項6に記載の液体供給装置。
【請求項8】
前記噴射ノズルは、洗浄流体として気体と液体との混合流体を噴射する二流体ノズルである、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の液体供給装置。
【請求項9】
請求項1または2に記載の液体供給装置を備えた研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体供給装置および研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスの高集積化が進むにつれて回路の配線が微細化し、配線間距離もより狭くなりつつある。半導体デバイスの製造では、シリコンウェハの上に多くの種類の材料が膜状に繰り返し形成され、積層構造が形成される。この積層構造を形成するためには、ウェハの表面を平坦にする技術が重要となっている。このようなウェハの表面を平坦化する一手段として、化学機械研磨(CMP)を行う研磨装置が広く用いられている。
【0003】
化学機械研磨(CMP)装置は、一般に、研磨パッドが取り付けられた研磨テーブルと、ウェハを保持するトップリング(研磨ヘッド)と、研磨液(スラリ)を研磨パッド上に供給するスラリ吐出ノズルとを備えている。スラリ吐出ノズルから研磨液を研磨パッド上に供給しながら、トップリングによりウェハを研磨パッドに押し付け、さらにトップリングと研磨テーブルとを相対移動させることにより、ウェハを研磨してその表面を平坦にする。
【0004】
ウェハの研磨を行った後には、研磨屑や研磨液に含まれる砥粒などのパーティクルが研磨パッド上に残留する。そこで、ウェハの研磨後には、研磨パッドに向けて液体または気体と液体の混合流体を噴射する少なくとも1つの噴射ノズルを有するアトマイザから霧状の洗浄流体(液体、または液体と気体の混合)が研磨パッド上に噴霧され、研磨パッド上の異物が除去される。
【0005】
ところで、従来のアトマイザは、研磨パッド上の所定位置に位置決めされた状態で洗浄流体を噴射するように構成されている。しかしながら、設計時に比べて噴射ノズルから噴射される洗浄流体の噴射範囲の中心部の洗浄能力が高く、端部の洗浄能力が不十分であり、パッドにスラリの筋残りが発生することがあった。
【0006】
これに対し、洗浄流体の噴射時にアトマイザを揺動させることで、洗浄範囲を向上させることができると考えられる。特許文献1では、アトマイザを揺動させるための構成として、アトマイザの噴射ノズルがスラリ吐出ノズルと同一の揺動アーム上に配置されている構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【0008】
しかしながら、洗浄流体の噴射時にアトマイザを揺動させる構成には、以下のような課題がある。
【0009】
・
図8に示すように、アトマイザ120の揺動によって、アトマイザ120の先端が研磨テーブル11の中心から離れた位置に移動すると、平面視において、噴射ノズル123の流体出口の、研磨テーブル11の回転方向に対する角度が小さくなり(噴射ノズル123から噴射される洗浄流体の着水領域が、平面視において、研磨テーブル11の回転方向に対して寝てしまい)、これにより、
図9に示すように、研磨テーブル11の径方向における洗浄流体の着水範囲(洗浄範囲)が狭くなってしまうため、洗浄能力が低下する。
【0010】
・
図16に示すように、研磨テーブル11の回転方向から見たときに、噴射ノズル123から噴射される洗浄流体の着水領域の端部が、研磨テーブル11の回転方向から見て、隣の噴射ノズル123から噴射される洗浄流体の着水領域の端部と重なっており(オーバーラップしており)、かつ、洗浄流体の着水領域がアトマイザ120とともに揺動することで、研磨テーブル11上から液体が排出されづらく(液体の排出に時間がかかり)、研磨テーブル11上に居残っている液体のために噴射ノズル123から噴射される洗浄流体の打力低下が起こる。
【0011】
・
図16に示すように、アトマイザ120の両側面には、噴射ノズル123から噴射された洗浄流体のミストが部屋中に広がることを抑えるためにカバー125が設けられるが、研磨テーブル11の高速回転時では、噴射ノズル123から噴射された洗浄流体のうち回転方向下流側に流れた洗浄流体が(排出される前に)研磨テーブル11の回転により一周して噴射ノズル123の直下に戻ってくる。また、回転方向上流側に流れた洗浄流体も回転の力を受けて噴射ノズル123の直下にすぐに戻ってくる。そして、噴射ノズル123の直下に戻ってきたこれらの洗浄流体が、噴射ノズル123から新たに噴射された洗浄流体に当たって波立ったのち、回転方向上流側のカバー125により阻まれて噴射ノズル123の直下に溜まってしまい、噴射ノズル123から噴射される洗浄流体の打力低下が起こる。
図17に示すように、アトマイザ120の揺動によって、研磨テーブル11の径方向における洗浄範囲は時間によって変化する(アトマイザ120の先端が研磨テーブル11の中心から離れた位置にあるほど、研磨テーブル11の径方向における洗浄範囲は狭くなる)ため、打力低下があると洗浄不十分の範囲がそのまま残ってしまいやすい。
【0012】
・スラリ吐出ノズルとアトマイザの噴射ノズルとが同一の揺動アーム上に配置されている構成では、揺動アームの揺動によって、ドレッシング水の滴下位置が変わるため、ドレッサに十分なドレッシング水を供給できなくなる。
【0013】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたものである。本発明の目的は、洗浄流体の噴射時にアトマイザを揺動させる構成が有する上記課題の少なくとも1つを解決できる技術を提供することにある。
【0014】
本発明の第1の態様に係る液体供給装置は、
研磨テーブルの上方を水平に揺動可能な揺動アームと、
前記揺動アームの長手方向に沿って並んで設けられ前記研磨テーブル上に洗浄流体を噴射する複数の噴射ノズルと、
を備え、
前記複数の噴射ノズルの各々はスリット状の流体出口を有し、平面視において、前記揺動アームの先端に近い噴射ノズルの流体出口ほど、前記揺動アームの長手方向に対する傾斜角度が大きくなるよう方向付けられている。
【0015】
このような態様によれば、揺動アームの揺動範囲のうち揺動アームの先端が研磨テーブルの中心から最も離れる位置にあるときであっても、噴射ノズルから噴射される洗浄流体の着水領域の、研磨テーブルの回転方向に対する角度が大きくなるため、研磨テーブルの径方向における洗浄流体の着水範囲(洗浄範囲)を広げることができる。また、揺動アームの揺動範囲のうち揺動アームの先端が研磨テーブルの中心から最も近づく位置にあるときに、揺動アームの先端に近い領域ほど、噴射ノズルから噴射される洗浄流体の着水領域の端部が、研磨テーブルの回転方向から見て隣の噴射ノズルから噴射される洗浄流体の着水領域の端部と重なりにくくなる。これにより、回転方向に回転する研磨テーブル上の液体は、隣り合う噴射ノズルから噴射される洗浄流体の着水領域間を通過しやすくなるため、当該液体の排出性が向上する。研磨テーブル上の液体の排出性が向上することで、研磨テーブル上に居残っている液体のために噴射ノズルから噴射される洗浄流体の打力が低下することが改善される。したがって、洗浄能力が向上する。
【0016】
本発明の第2の態様に係る液体供給装置は、第1の態様に係る液体供給装置であって、
平面視において、前記揺動アームの揺動範囲のうち前記揺動アームの先端が前記研磨テーブルの中心から最も離れる位置にあるとき、前記複数の噴射ノズルの各々の流体出口は、前記研磨テーブルの中心を向くよう方向付けられている。
【0017】
このような態様によれば、揺動アームの揺動範囲のうち揺動アームの先端が研磨テーブルの中心から最も離れる位置にあるときに、噴射ノズルから噴射される洗浄流体の着水領域の、研磨テーブルの回転方向に対する角度が最も大きくなるため、研磨テーブルの径方向における洗浄流体の着水範囲(洗浄範囲)を最大まで広げることができ、洗浄能力を一層向上できる。
【0018】
本発明の第3の態様に係る液体供給装置は、第1または2の態様に係る液体供給装置であって、
前記揺動アームの先端には、前記研磨テーブル上にドレッシング水を供給するドレッシング水ノズルが設けられており、
前記ドレッシング水ノズルは、前記ドレッシング水を霧状に噴霧するスプレーノズルである。
【0019】
このような態様によれば、ドレッシング水の着水範囲を広げることができ、揺動アームが揺動していても、研磨テーブルの中心に向かうドレッシング水の量が増えるため、ドレッサに十分な量のドレッシング水を供給することが可能となる。
【0020】
本発明の第4の態様に係る液体供給装置は、第3の態様に係る液体供給装置であって、
前記ドレッシング水ノズルは、平面視において、前記研磨テーブルの回転方向下流側かつ前記揺動アームの長手方向先端側である斜め方向に向けて前記ドレッシング水を噴霧する。
【0021】
このような態様によれば、研磨テーブルの中心により近い位置にドレッシング水を供給できるため、ドレッサに供給されるドレッシング水の量を増加させることができる。
【0022】
本発明の第5の態様に係る液体供給装置は、第1~4のいずれかの態様に係る液体供給装置であって、
前記揺動アームの両側面には、前記噴射ノズルと前記研磨テーブルとの間の空間を覆うようにカバーが設けられており、
前記研磨テーブルの回転方向上流側に位置する前記カバーは、前記揺動アームの長手方向から見て、段形状を有している。
【0023】
このような態様によれば、カバーにより覆われている噴射ノズルと研磨テーブルとの間の空間のうち、研磨テーブルの回転方向上流側の空間が広がるため、噴射ノズルの直下に液体が溜まりづらくなる。これにより、噴射ノズルから噴射される洗浄流体の打力低下が改善され、洗浄能力が向上する。
【0024】
本発明の第6の態様に係る液体供給装置は、第1~4のいずれかの態様に係る液体供給装置であって、
前記揺動アームの両側面には、前記噴射ノズルと前記研磨テーブルとの間の空間を覆うようにカバーが設けられており、
前記研磨テーブルの回転方向上流側に位置する前記カバーは、ブラシ形状を有する。
【0025】
このような態様によれば、噴射ノズルから噴射された液体が噴射ノズルの直下から出ていくとき、および、研磨テーブル上の液体が研磨テーブルの回転に伴って噴射ノズルの直下に戻ってくるときに、カバーのブラシ形状の部分が液体を受け止めてその周方向(研磨テーブルの回転方向と平行な方向)の力を弱めることで、研磨テーブル上で液体が薄く広がるようになり、当該液体の排出性が高まるとともに、噴射ノズルから噴射される洗浄流体の打力低下が改善される。
【0026】
本発明の第7の態様に係る液体供給装置は、第6の態様に係る液体供給装置であって、
前記揺動アームには、前記カバーを、前記研磨テーブルに接触する位置と離間する位置との間で上下移動させる移動機構がさらに設けられている。
【0027】
このような態様によれば、揺動アームを揺動させる際に、ブラシ形状を有するカバーを研磨テーブルに接触させることで、研磨テーブルのパッド上の堆積物を直接掃き出す(掻き出す)ことが可能となる。
【0028】
本発明の第8の態様に係る液体供給装置は、第1~7のいずれかの態様に係る液体供給装置であって、
前記噴射ノズルは、洗浄流体として気体と液体との混合流体を噴射する二流体ノズルである。
【0029】
このような態様によれば、液体と一緒に気体を噴射することで、研磨テーブル上に残っている液体が気体によりブロックされ、噴射される洗浄流体の打力低下が防止される。また、気体の分だけ噴射の勢いが増し、打力向上により洗浄能力が向上する。さらに、噴射された液体が細かくなることで、パッドの孔に入り込んで洗浄できるようになり、洗浄能力が向上する。
【0030】
本発明の第9の態様に係る研磨装置は、第1~8のいずれかの態様に係る液体供給装置を備える。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、一実施の形態に係る研磨装置の概略構成を示す平面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す研磨装置が有する液体供給装置を拡大して示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す液体供給装置の揺動アームを先端側から見た正面図である。
【
図4】
図4は、
図2に示す液体供給装置の揺動アームの先端部を斜め下方から見た図である。
【
図5】
図5は、揺動アーム上での噴射ノズルの水平取付角度を説明するための平面図である。
【
図6】
図6は、研磨テーブル上の液体が噴射ノズルから噴射される洗浄流体の着水領域間を通過することを説明するための図である。
【
図7】
図7は、
図5に示す水平取付角度での噴射ノズルの洗浄範囲を説明するための図である。
【
図8】
図8は、噴射ノズルの水平取付角度の比較のための一例を説明するための図である。
【
図9】
図9は、
図8に示す水平取付角度での噴射ノズルの洗浄範囲を説明するための図である。
【
図10】
図10は、揺動アームの揺動時にドレッシング水ノズルから噴霧されるドレッシング水の着水範囲を説明するための図である。
【
図11】
図11は、
図1に示す研磨装置が有する液体供給装置の一変形例を拡大して示す斜視図であって、ブラシ形状を有するカバーを説明するための図である。
【
図13】
図13は、
図11に示す液体供給装置の揺動アームの先端部を斜め下方から見た図である。
【
図14】
図14は、
図11に示す液体供給装置の揺動アームを先端側から見た正面図であって、ブラシ形状を有するカバーが研磨テーブルに接触している状態を説明するための図である。
【
図15】
図15は、噴射ノズルが二流体ノズルである態様を説明するための図である。
【
図16】
図16は、比較のために従来のアトマイザを揺動させる構成を説明するための図である。
【
図17】
図17は、比較のために従来のアトマイザを揺動させる構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明および以下の説明で用いる図面では、同一に構成され得る部分について、同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
【0033】
図1は、一実施の形態に係る研磨装置10の概略構成を示す平面図である。
【0034】
図1に示すように、研磨装置10は、研磨パッド(不図示)が取り付けられた研磨テーブル11と、ウェハ(不図示)を保持しかつウェハを研磨テーブル11上の研磨パッドに押圧しながら研磨するためのトップリング(研磨ヘッド)12と、研磨パッドのドレッシングを行うためのドレッサ13と、液体供給装置20とを備えている。
【0035】
このうちトップリング12は、トップリングヘッド14に支持されている。研磨テーブル11の上面には研磨パッド(不図示)が貼付されており、この研磨パッドの上面はウェハを研磨する研磨面を構成している。なお、研磨パッドに代えて固定砥石を用いることもできる。トップリング12および研磨テーブル11は、各々の軸心周りに回転できるように構成されている。ウェハは、トップリング12の下面に真空吸着により保持される。研磨時には、液体供給装置20から研磨パッドの研磨面に研磨液(スラリ)が供給され、研磨対象であるウェハがトップリング12により研磨面に押圧されて研磨される。
【0036】
図2は、液体供給装置20を拡大して示す斜視図であり、
図3は、液体供給装置20の揺動アーム21を先端側から見た正面図であり、
図4は、揺動アーム21の先端部を斜め下方から見た図である。
【0037】
図1~
図4に示すように、液体供給装置20は、研磨テーブル11の上方を水平に揺動可能な揺動アーム21と、揺動アーム21の長手方向に沿って並んで設けられ研磨テーブル11上に洗浄流体(たとえば純水や脱イオン水などの液体、または液体と気体(たとえば窒素ガスのような不活性ガス)の混合流体)を噴射する複数(
図1に示す例では8つ)の噴射ノズル231~238と、揺動アーム21の先端部に設けられ、研磨テーブル11上にスラリを吐出するスラリ吐出ノズル22と、研磨テーブル11上にドレッシング水を吐出するドレッシング水ノズル24と、を有している。なお、図面の理解のしやすさの便宜上、
図2および
図3では、スラリ吐出ノズル22とドレッシング水ノズル24の図示が省略されており、
図4では、スラリ吐出ノズル22の図示が省略されている。
【0038】
揺動アーム21は、研磨テーブル11の上方に水平に延びるように配置されており、揺動アーム21の基端部には、揺動手段が設けられている。揺動手段は、鉛直方向に延びる揺動軸26と、揺動軸26の下端部に設けられた不図示の駆動機構(たとえばサーボモータおよび減速機)とを有している。揺動アーム21の基端部は、揺動軸26に固定されている。駆動機構から受ける動力により揺動軸26が鉛直な中心軸線回りに回動されることにより、揺動アーム21は、研磨テーブル11の上方において、揺動軸26を中心に水平に揺動(旋回)される。
【0039】
図1に示すように、スラリ吐出ノズル22およびドレッシング水ノズル24は、揺動アーム21の先端部に位置決めされており、複数の噴射ノズル231~238は、揺動アーム21の長手方向に沿って並んで設けられている。ここで言う、揺動アーム21の先端部とは、アームの軸線(長手方向)の先端であってもよいし、その両側面どちらかであってもよい。
図1に示す例では、スラリ吐出ノズル22およびドレッシング水ノズル24は、揺動アーム21の先端部のうちトップリング12に保持されたウェハに面する側の側面に配置されている。
【0040】
複数の噴射ノズル231~238の各々は、揺動アーム21の底面に配置されている。各噴射ノズル231~238は、スリット状の流体出口を有しており、洗浄流体を霧状にして該霧状の洗浄流体を研磨テーブル11上に噴霧する。揺動アーム21を揺動させながら、各噴射ノズル231~238から洗浄流体を噴射させることにより、研磨テーブル11全体を洗うことができる。洗浄流体の噴射時における揺動アーム21の揺動角度(揺動範囲)は、たとえば10°~20°であってもよい。
【0041】
ところで、従来のCMP装置では、スラリ吐出ノズルを揺動させる揺動アームと噴射ノズルを有するアトマイザとが別体であり、揺動アームの先端部に設けられたスラリ吐出ノズルが、研磨パッド上に配置されたアトマイザと干渉しないように、スラリ吐出ノズルをアトマイザより高い高さ位置に配置する必要があった。そのため、揺動アームを揺動させながらスラリ吐出ノズルからスラリを吐出させる際に、スラリの滴下位置が位置ずれしやすく、ウェハの研磨に必要なスラリを最適なタイミングと位置に滴下することが困難であった。
【0042】
これに対し、本実施の形態では、スラリ吐出ノズル22と噴射ノズル231~238とが同一の揺動アーム21上に配置されていることで、スラリ吐出ノズル22の高さ位置を低くしても、スラリ吐出ノズル22が噴射ノズル231~238と干渉することがない。したがって、スラリ吐出ノズル22の高さ位置を低くすることが可能であり、これにより、スラリがスラリ吐出ノズル22から吐出されてから研磨テーブル11上に到達するまでの距離および時間が短縮され、揺動アーム21を揺動させながらスラリ吐出ノズル22からスラリを吐出させる際に、スラリの滴下位置が位置ずれしにくくなり、ウェハの研磨に必要なスラリを最適なタイミングと位置に滴下することが可能となっている。
【0043】
図1に示すように、揺動アーム21において、スラリ吐出ノズル22は、噴射ノズル231~238よりもウェハに近い側に配置されている。すなわち、スラリ吐出ノズル22は、噴射ノズル231~238の並びの延長には位置していない(噴射ノズル231~238の並びの延長よりもウェハ側にずれて位置している)。さらに言い換えれば、スラリ吐出ノズル22は、揺動アーム21の先端部に位置する噴射ノズル231とウェハとの間に位置している。これにより、研磨対象物であるウェハにより近い位置にスラリを吐出することが可能であり、ウェハの研磨に必要なスラリをより最適なタイミングと位置に滴下することが可能となる。
【0044】
図5は、揺動アーム11上における噴射ノズル231~235の水平取付角度を説明するための平面図である。なお、図面の理解のしやすさの便宜上、
図5では、
図1に比べて、噴射ノズル231~235の数を減らして図示している。
【0045】
図5に示すように、本実施の形態では、平面視において、揺動アーム21の先端に近い噴射ノズル231~235の流体出口ほど、揺動アーム21の長手方向(軸線)に対する傾斜角度が大きくなるよう方向付けられている。
【0046】
ところで、比較例として、
図8に示すように、平面視において、複数の噴射ノズル123の各々の流体出口の、揺動アーム120の長手方向(軸線)に対する傾斜角度で同じである場合を考える。この場合、揺動アーム120の揺動によって、揺動アーム120の先端が研磨テーブル11の中心から離れた位置に移動したとき、揺動アーム120の先端に近い噴射ノズルの流体出口ほど、研磨テーブル11の回転方向に対する角度が小さくなり(噴射ノズル123から噴射される洗浄流体の着水領域が、平面視において、研磨テーブル11の回転方向に対して寝てしまい)、これにより、
図9に示すように、研磨テーブル11の径方向における洗浄流体の着水範囲(洗浄範囲)が狭くなってしまうため、洗浄能力が低下する。
【0047】
これに対し、本実施の形態では、平面視において、揺動アーム21の先端に近い噴射ノズルの流体出口ほど、揺動アーム21の長手方向(軸線)に対する傾斜角度が大きくなるよう方向付けられているため、
図5に示すように、揺動アーム21の揺動範囲Aのうち揺動アーム21の先端が研磨テーブル11の中心から最も離れる位置にあるときであっても、噴射ノズル231~235から噴射される洗浄流体の着水領域の、研磨テーブル11の回転方向に対する角度が大きくなり、これにより、
図7に示すように、研磨テーブル11の径方向における洗浄流体の着水範囲(洗浄範囲)を広げることができる。
【0048】
また、本実施の形態では、平面視において、揺動アーム21の先端に近い噴射ノズルの流体出口ほど、揺動アーム21の長手方向(軸線)に対する傾斜角度が大きくなるよう方向付けられていることで、
図6に示すように、揺動アーム21の揺動範囲Aのうち揺動アーム21の先端が研磨テーブル11の中心から最も近づく位置にあるときに、揺動アーム21の先端に近い噴射ノズルほど、噴射ノズルから噴射される洗浄流体の着水領域の端部が、研磨テーブル21の回転方向から見て隣の噴射ノズルから噴射される洗浄流体の着水領域の端部と重なりにくくなる。これにより、回転方向(
図6では反時計回り)に回転する研磨テーブル11上の液体は、
図6の矢印Bで示すように、隣り合う噴射ノズル231~235から噴射される洗浄流体の着水領域間を通過しやすくなるため、当該液体の排出性が向上する。研磨テーブル11上の液体の排出性が向上することで、研磨テーブル11上に居残っている液体のために噴射ノズル231~235から噴射される洗浄流体の打力が低下することが改善される。
【0049】
図5に示すように、平面視において、揺動アーム21の揺動範囲Aのうち揺動アーム21の先端が研磨テーブル11の中心から最も離れる位置にあるとき、複数の噴射ノズル231~235の各々の流体出口は、研磨テーブル11の中心を向くよう(研磨テーブル11の径方向と平行になるよう)方向付けられていてもよい。この場合、揺動アーム21の揺動範囲Aのうち揺動アーム21の先端が研磨テーブル11の中心から最も離れる位置にあるときに、噴射ノズル231~235から噴射される洗浄流体の着水領域の、研磨テーブル11の回転方向に対する角度が最も大きくなる(90°になる)ため、研磨テーブル11の径方向における洗浄流体の着水範囲(洗浄範囲)を最大まで広げることができる。
【0050】
図2~
図4に示すように、揺動アーム21の先端部に位置する噴射ノズル231は、スラリ吐出ノズル22から吐出されたスラリの研磨テーブル11上における滴下位置を洗浄できるように斜めに設けられていてもよい。すなわち、揺動アーム21の先端側から見たときに、揺動アーム21の先端部に位置する噴射ノズル231は、その吐出方向の延長線が、スラリ吐出ノズル22の吐出方向の延長線に対して鋭角をなすように、斜めに設けられていてもよい。
【0051】
図1を参照し、たとえばスラリ吐出ノズル22から研磨テーブル11の中心付近にスラリが滴下される場合に、仮に揺動アーム21の先端部に位置する噴射ノズル231が鉛直下向きに設けられていると、研磨テーブル11の中心付近に残留するスラリに対して洗浄流体を十分に噴射して洗浄できない可能性がある。なお、中心付近に残留しやすい理由は、研磨テーブルの半径方向中心に向かうほど、スラリに対する研磨テーブル外周へ向かわせる遠心力が働きにくくなるためである。これに対し、本実施の形態では、揺動アーム21の先端部に位置する噴射ノズル231が、スラリ吐出ノズル22から吐出されたスラリの滴下位置を洗浄できるように斜めに設けられているため、スラリ吐出ノズル22から研磨テーブル11の中心付近にスラリが滴下される場合であっても、研磨テーブル11の中心付近に洗浄流体を十分に噴射して洗浄することが可能であり、研磨テーブル11上に残留するパーティクルを低減できる。
【0052】
噴射ノズル231~238の各々は、
図15に示すように、洗浄流体として気体と液体との混合流体を噴射する二流体ノズルであってもよい。この場合、噴射ノズル231~238から液体と一緒に気体が噴射されることで、研磨テーブル11上に残っている液体Cが気体によりブロックされるため、噴射ノズル231~238から噴射される洗浄流体の打力低下が防止される。また、気体の分だけ噴射の勢いが増し、打力向上により洗浄能力が向上する。さらに、噴射された液体が細かくなることで、研磨テーブル11上のパッドの孔に入り込んで洗浄できるようになり、洗浄能力が向上する。
【0053】
図2および
図3に示すように、揺動アーム21の両側面には、噴射ノズル231~238から噴射された洗浄流体のミストが部屋中に広がることを抑えるために、噴射ノズル231~238と研磨テーブル11との間の空間を覆うようにカバー25a、25bが設けられていてもよい。
【0054】
一例として、
図2および
図3に示すように、研磨テーブル11の回転方向Rの上流側に位置するカバー25aは、揺動アーム11の長手方向から見て、段形状を有しており、カバー25a、25bにより覆われている噴射ノズル231~238と研磨テーブル11との間の空間のうち、研磨テーブル11の回転方向Rの上流側の空間が広げられていてもよい。
【0055】
ところ、比較例として、研磨テーブル11の回転方向Rの上流側に位置するカバー25aが、下流側に位置するカバー25bと同様に、揺動アーム120の側面からそのまま真下に延びる平板形状を有している場合を考える。
図16に示すように、研磨テーブル11の高速回転時では、噴射ノズル123から噴射された洗浄流体が(研磨テーブル11の外側に排出される前に)研磨テーブル11の回転により一周して噴射ノズル123の直下に戻り、噴射ノズル123から新たに噴射された洗浄流体に当たって波立つことがあるが、回転方向Rの上流側のカバー125が、揺動アーム120からそのまま真下に延びる平板形状を有している場合には、波立った液体は、回転方向Rの上流側のカバー125により阻まれて噴射ノズル123の直下に溜まってしまい、これにより、噴射ノズル123から噴射される洗浄流体の打力低下が起こる。
【0056】
これに対し、本実施の形態では、回転方向Rの上流側のカバー25aが段形状を有しており、カバー25a、25bにより覆われている噴射ノズル231~238と研磨テーブル11との間の空間のうち、回転方向Rの上流側の空間が広がっているため、噴射ノズル231~238の直下に液体が溜まりづらくなる。これにより、噴射ノズル231~238から噴射される洗浄流体の打力低下が改善され、洗浄能力を向上できる。
【0057】
一変形例として、
図11~
図13に示すように、研磨テーブル11の回転方向Rの上流側に位置するカバー25aは、ブラシ形状を有していてもよい。この場合、噴射ノズル231~238から噴射された液体が噴射ノズル231~238の直下から出ていくとき、および、研磨テーブル11の液体が研磨テーブル11の回転に伴って噴射ノズル231~238の直下に戻ってくるときに、カバー26aのブラシ形状の部分が液体を受け止めてその周方向(研磨テーブルの回転方向と平行な方向)の力を弱めることで、研磨テーブル11上で液体が薄く広がるようになる。これにより、研磨テーブル11上からの液体の排出性が高まるとともに、噴射ノズル231~238から噴射される洗浄流体の打力低下が改善される。
【0058】
研磨テーブル11の回転方向Rの上流側に位置するカバー25aがブラシ形状を有している場合には、揺動アーム21には、ブラシ形状を有するカバー25aを、研磨テーブル11に接触する位置と離間する位置との間で上下移動させる移動機構(不図示)が設けられていてもよい。移動機構は、エアシリンダまたはモータを有していてもよいし、手動であってもよい。噴射ノズル231~238から洗浄流体を噴射させながら、揺動アーム21を揺動させる際に、移動機構により、ブラシ形状を有するカバー25aを下降させて、研磨テーブル11に接触させることで、研磨テーブル11のパッド上の堆積物を直接掃き出す(掻き出す)ことが可能となり、パッドの洗浄能力がさらに向上する。
【0059】
次に、ドレッシング水ノズル24の構成について説明する。
図1および
図4に示すように、ドレッシング水ノズル22は、揺動アーム11の先端部において、スラリ吐出ノズル22に隣接して設けられており、研磨パッドのドレッシング時(またはウェハの水洗浄時)に、
図10に示すように、研磨テーブル11上に配置されたドレッサ33(またはトップヘッド12に保持されたウェハ)にドレッシング水を供給する。
【0060】
図4に示すように、ドレッシング水ノズル22は、スリット状の流体出口を有しており、ドレッシング水を霧状に噴霧するスプレーノズルであってもよい。この場合、スラリ吐出ノズル22のように配管からそのまま真下に液体を滴下する構成に比べて、ドレッシング水の着水範囲を広げることができ、
図10に示すように、揺動アーム21が揺動していても、研磨テーブル11の中心に向かうドレッシング水の量が増えるため、ドレッサ13(またはトップヘッド12に保持されたウェハ)に十分な量のドレッシング水を供給することが可能となる。
【0061】
図4に示すように、ドレッシング水ノズル22は、鉛直方向に対して斜めに設けられており、
図10に示すように、平面視において、研磨テーブル11の回転方向下流側かつ揺動アーム12の長手方向先端側である斜め方向に向けてドレッシング水を噴霧するように構成されていてもよい。この場合、研磨テーブル11の中心により近い位置にドレッシング水を供給できるため、ドレッサ13(またはトップヘッド12に保持されたウェハ)に供給されるドレッシング水の量を増加させることができる。
【0062】
次に、上述のように構成された研磨装置10の動作の一例を説明する。
【0063】
まず、ウェハの研磨時には、
図1に示すように、スラリ吐出ノズル22から研磨テーブル11の中心付近にスラリを滴下できるように揺動アーム21が位置決めされた状態で、スラリ吐出ノズル22から研磨テーブル11上にスラリが吐出されるとともに、研磨対象であるウェハがトップリング12により研磨テーブル11上に押圧されて研磨される。
【0064】
ウェハの研磨後、スラリ吐出ノズル22からのスラリの吐出が停止される。次いで、
図5および
図6に示すように、揺動アーム21を予め定められた揺動範囲Aで揺動させながら、各噴射ノズル231~238から研磨テーブル11上に霧状の洗浄流体が噴霧されて、研磨テーブル11の洗浄が行われるとともに、
図10に示すように、ドレッシング水ノズル24から研磨テーブル11上にドレッシング水が供給され、研磨パッドのドレッシング(またはウェハの水洗浄)が行われる。各噴射ノズル231~238およびドレッシング水ノズル24からの流体の噴射は、次のウェハの研磨開始前まで(ドレッシング作業終了まで)行われる。
【0065】
以上のような本実施の形態によれば、平面視において、揺動アーム21の先端に近い噴射ノズル231~238の流体出口ほど、揺動アーム21の長手方向(軸線)に対する傾斜角度が大きくなるよう方向付けられているため、
図5に示すように、揺動アーム21の揺動範囲Aのうち揺動アーム21の先端が研磨テーブル11の中心から最も離れる位置にあるときであっても、噴射ノズル231~238から噴射される洗浄流体の着水領域の、研磨テーブル11の回転方向に対する角度が大きくなり、これにより、
図7に示すように、研磨テーブル11の径方向における洗浄流体の着水範囲(洗浄範囲)を広げることができる。また、
図6に示すように、揺動アーム21の揺動範囲Aのうち揺動アーム21の先端が研磨テーブル11の中心から最も近づく位置にあるときに、揺動アーム21の先端に近い領域ほど、噴射ノズル231~238から噴射される洗浄流体の着水領域の端部が、研磨テーブル11の回転方向から見て隣の噴射ノズル231~238から噴射される洗浄流体の着水領域の端部と重なりにくくなる。これにより、回転方向に回転する研磨テーブル11上の液体は、隣り合う噴射ノズル231~238から噴射される洗浄流体の着水領域間を通過しやすくなるため、当該液体の排出性が向上する。研磨テーブル11上の液体の排出性が向上することで、研磨テーブル上に居残っている液体のために噴射ノズルから噴射される洗浄流体の打力が低下することが改善される。したがって、洗浄能力が向上する。
【0066】
また、本実施の形態によれば、ドレッシング水ノズル24が、ドレッシング水を霧状に噴霧するスプレーノズルであるため、ドレッシング水の着水範囲を広げることができ、揺動アーム21が揺動していても、研磨テーブル11の中心に向かうドレッシング水の量を増やすことができる。これにより、
図10に示すように、研磨テーブル11に配置されたドレッサ13に十分な量のドレッシング水を供給することが可能となる。
【0067】
また、本実施の形態の一態様によれば、研磨テーブル11の回転方向Rの上流側に位置するカバー25aが段形状を有しているため、カバー24a、24bにより覆われている噴射ノズル231~238と研磨テーブル11との間の空間のうち、研磨テーブル11の回転方向Rの上流側の空間が広がり、噴射ノズル231~238の直下に液体が溜まりづらくなる。これにより、噴射ノズル231~238から噴射される洗浄流体の打力低下が改善され、洗浄能力がさらに向上する。
【0068】
また、本実施の形態の別の態様によれば、研磨テーブル11の回転方向Rの上流側に位置するカバー25aがブラシ形状を有しているため、噴射ノズル231~238から噴射された液体が噴射ノズル231~238の直下から出ていくとき、および、研磨テーブル11上の液体が研磨テーブル231~238の回転に伴って噴射ノズル231~238の直下に戻ってくるときに、カバー25aのブラシ形状の部分が液体を受け止めてその周方向(研磨テーブル11の回転方向と平行な方向)の力を弱めることができる。これにより、研磨テーブル11上で液体が薄く広がるようになり、当該液体の排出性が高まるとともに、噴射ノズル231~238から噴射される洗浄流体の打力低下がさらに改善される。
【0069】
また、本実施の形態によれば、噴射ノズル231~238が、洗浄流体として気体と液体との混合流体を噴射する二流体ノズルであるため、洗浄流体の噴射時に、研磨テーブル11上に残っている液体が気体によりブロックされ、当該洗浄流体の打力低下が防止される。また、気体の分だけ噴射の勢いが増し、打力向上により洗浄能力が向上する。さらに、噴射された液体が細かくなることで、パッドの孔に入り込んで洗浄できるようになり、洗浄能力が向上する。
【0070】
以上、本発明の実施の形態および変形例を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。また、各実施の形態および変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0071】
10 研磨装置
11 研磨テーブル
12 トップリング
13 ドレッサ
14 トップリングヘッド
20 液体供給装置
21 揺動アーム
22 スラリ吐出ノズル
231~238 噴射ノズル
24 ドレッシング水ノズル
25a、125a、25b カバー