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特開2024-132237シャッター機構、粉体収納容器及び現像装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132237
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】シャッター機構、粉体収納容器及び現像装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
G03G15/08 348B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042945
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 修一
(72)【発明者】
【氏名】高見 伸雄
【テーマコード(参考)】
2H077
【Fターム(参考)】
2H077AA03
2H077AA07
2H077AA09
2H077AA35
2H077AB02
2H077AB14
2H077AB15
2H077AB18
2H077AC02
2H077AD02
2H077AD06
2H077AD13
2H077AE06
2H077BA08
2H077BA09
2H077CA12
2H077EA03
2H077GA04
(57)【要約】
【課題】密閉性を向上するとともにトナー補給口と現像装置の画像形成装置本体からの取り外しをスムーズに行うシャッター機構の提供。
【解決手段】画像形成用の粉体が収容される粉体収納容器に着脱可能に取り付けられたシャッター機構であって、開口部と、開口部に取り付けられて開閉可能な開閉部材と、開閉部材の開閉方向における開口部の中心位置に対して一端側に設けられ、開閉方向に移動することで嵌合する第1嵌合部と、開口部の中心位置に対して前記一端側とは反対側に設けられて、開閉方向に移動することで嵌合する第2嵌合部と、を有し、第1嵌合部と第2嵌合部とは粉体収納容器に対する開閉方向と交差する方向を位置決めし、開閉方向と直交した面であって、第1嵌合部と第2嵌合部とが嵌合した状態で粉体収納容器と突き当たる突き当て面を備え、突き当て面が突き当たる方向と、第1嵌合部と前記第2嵌合部とが嵌合する方向と、開閉部材が開く方向とが同一方向であることを特徴とする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成用の粉体が収容される粉体収納容器に着脱可能に取り付けられたシャッター機構であって、
開口部と、
前記開口部に取り付けられて開閉可能な開閉部材と、
前記開閉部材の開閉方向における前記開口部の中心位置に対して一端側に設けられ、前記開閉方向に移動することで嵌合する第1嵌合部と、
前記開口部の中心位置に対して前記一端側とは反対側に設けられて、前記開閉方向に移動することで嵌合する第2嵌合部と、を有し、
前記第1嵌合部と前記第2嵌合部とは前記粉体収納容器に対する前記開閉方向と交差する方向を位置決めし、
前記開閉方向と直交した面であって、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部とが嵌合した状態で前記粉体収納容器と突き当たる突き当て面を備え、
前記突き当て面が突き当たる方向と、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部とが嵌合する方向と、前記開閉部材が開く方向とが同一方向であることを特徴とするシャッター機構。
【請求項2】
請求項1に記載のシャッター機構が取り付けられる粉体収納容器であって、
前記突き当て面が前記粉体収納容器に突き当たった状態で、前記粉体収納容器に前記シャッター機構を固定するための固定部材と、前記粉体収納容器に設けられて前記固定部材と嵌り合う孔部とを備え、
前記孔部は前記開閉方向に平行に延びることを特徴とする粉体収納容器。
【請求項3】
請求項2に記載の粉体収納容器であって、
前記シャッター機構が前記粉体収納容器に装着され、前記突き当て面が前記粉体収納容器と当接した状態において、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部とは、前記開閉方向においては前記粉体収納容器と離間することを特徴とする粉体収納容器。
【請求項4】
画像形成用の粉体が収容される粉体収納容器が、画像形成装置に挿入されることで外部から前記粉体を供給可能な現像装置であって、
前記現像装置は、前記粉体収納容器へ前記粉体を供給するための粉体供給経路を備え、
前記粉体収納容器と前記粉体供給経路との間に介在して前記粉体供給経路と前記粉体収納容器との間で開閉可能な開閉部材を備えたシャッター機構を有し、
前記シャッター機構は、
前記粉体供給経路に接続される開口部と、
前記開口部に取り付けられて開閉可能な開閉部材と、を有し、
前記現像装置に前記粉体収納容器を挿入する方向と、前記粉体供給経路が伸長する方向とは直交し、
前記挿入する方向と前記開閉部材の開閉方向とが平行であることを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項4に記載の現像装置であって、
前記現像装置は、前記開閉部材の開閉方向に直交し、前記シャッター機構が前記現像装置に取り付けられた際に前記シャッター機構と当接する受け面を有することを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の現像装置であって、
前記受け面には孔部が設けられており、
前記受け面がネジ固定によって挟持されることを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項6に記載の現像装置であって、
前記シャッター機構が前記現像装置に装着される際に前記シャッター機構の位置決めを可能な第1嵌合部と、第2嵌合部と、を有し、
前記第1嵌合部と前記第2嵌合部との位置は、前記開閉方向において異なる複数個所に設けられていることを特徴とする現像装置。
【請求項8】
請求項4乃至7の何れか1つに記載の現像装置であって、
前記現像装置は、前記粉体供給経路の側面に前記開閉方向に沿って突出するように設けられ、前記シャッター機構の位置決めを行うためのガイド部を有することを特徴とする現像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シャッター機構およびそれを用いた粉体収納容器及び現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子写真方式の画像形成装置において、粉体であるトナーを収容した粉体収容容器としてのトナーボトルからトナーを粉体搬送装置で現像装置に供給する構成が知られている。
このようなトナーボトルは、現像装置あるいは粉体搬送装置に着脱可能に設けられ、粉体の供給の際に、供給経路からの漏れ等を防ぐために位置決め精度が求められている。
【0003】
さらに、画像形成装置に対して着脱可能な現像装置のトナー補給口において、現像装置を画像形成装置から取り外したときにもトナーが漏れることがないように、トナー排出口に対する現像装置側の接続部は固定として、当該接続部より下流側に設けられたスライド可動式シャッターによってトナー補給口を遮蔽するシャッター機構を備える現像装置が知られている。
【0004】
このようなシャッター機構を備えた現像装置においては、シャッターの接続部分のシール性の向上を図る目的で、トナー補給口に対してシャッターを押し付けるような方法が知られていた。しかしながら、従来のシール方式では、密閉性を高めるためにシャッターの開閉に大きな力を要するようにすると、着脱時に要する力も大きくなってしまうという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる技術的課題に対してなされたものであり、密閉性を向上するとともにトナー補給口と現像装置の画像形成装置本体からの取り外しをスムーズに行うシャッター機構の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のシャッター機構は、画像形成用の粉体が収容される粉体収納容器に着脱可能に取り付けられたシャッター機構であって、開口部と、前記開口部に取り付けられて開閉可能な開閉部材と、前記開閉部材の開閉方向における前記開口部の中心位置に対して一端側に設けられ、前記開閉方向に移動することで嵌合する第1嵌合部と、前記開口部の中心位置に対して前記一端側とは反対側に設けられて、前記開閉方向に移動することで嵌合する第2嵌合部と、を有し、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部とは前記粉体収納容器に対する前記開閉方向と交差する方向を位置決めし、前記開閉方向と直交した面であって、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部とが嵌合した状態で前記粉体収納容器と突き当たる突き当て面を備え、前記突き当て面が突き当たる方向と、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部とが嵌合する方向と、前記開閉部材が開く方向とが同一方向であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、現像装置を画像形成装置の本体に装着した際のトナー供給経路のシール機能安定性の向上と、取り外し時のトナー飛散防止機能とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】画像形成装置の構成の一例を示す図である。
図2図1における現像装置の構成の一例を示す図である。
図3図2に示した現像装置に現像剤を供給するための容器の形状の一例を示す図である。
図4図2に示した現像装置の現像剤供給経路の構成の一例を示す図である。
図5図4に示したシャッター機構の構成の一例を示す図である。
図6】現像装置に装着したときのシャッター機構の動作の一例を示す図である。
図7】シャッター機構を現像装置から取り外した際の構成の一例を示す図である。
図8】シャッター機構を現像装置に装着した際の構成の一例を示す図である。
図9】シャッター機構を他の面から見たときの各部位の位置関係を示す図である。
図10】シャッター機構の装着時における参考例を示す図である。
図11】シャッター機構を他の面から見たときの各部位の位置関係を示す図である。
図12】本実施形態の比較例として嵌合部を1つだけ有するシャッター機構の動作の一例を示す図である。
図13】本実施形態の実施例として嵌合部を2つ備えたシャッター機構の動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態について図面を用いて順次説明する。実施形態において、同一機能や同一構成を有するものには同一の符号を付し、重複説明は適宜省略する。図面は一部構成の理解を助けるために部分的に省略あるいは簡素化して記載する場合もある。
なお、以下の説明において、X方向、Y方向、Z方向は互いに垂直な方向である。X方向及びY方向は水平方向であり、Z方向は鉛直方向として示すが、かかる構成に限定されるものではない。
【0010】
図1は、本発明が適用された画像形成装置としての電子写真方式でタンデム型のカラー複写機(以下、「複写機500」という)の概略構成図である。
なお、以降の説明において、添え字Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック)はそれぞれが各色に対応した構成部材であることを示す添え字であり、説明する構成において必要のない時には適宜省略する。
複写機500は、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック)のトナー像を作像するための作像部46Y,46M,46C,46Kが並列に配置された複写機装置本体であるプリンタ部100を有している。
作像部46Y,46M,46C,46Kは、プリンタ部100に対して着脱可能な複数のモジュールを備えている。なお、複写機500は、モノクロ複写機であってもよい。
【0011】
複写機500は、プリンタ部100、給紙テーブル(以下、「給紙部200」という)及びプリンタ部100上に取り付ける原稿読取部(以下、「スキャナ部400」という)で主に構成されている。
【0012】
プリンタ部100の上部に設けられたトナー容器収納部70には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した四つの粉体収納容器としてのトナー容器32(Y,M,C,K)が着脱自在(交換自在)に設置されている。トナー容器収納部70の下方には中間転写ユニット85が配設されている。
【0013】
中間転写ユニット85は、中間転写体としての中間転写ベルト48、四つの一次転写バイアスローラ49(Y,M,C,K)、二次転写バックアップローラ82、複数のテンションローラ、及び、中間転写クリーニング装置等で構成されている。中間転写ベルト48は、複数のローラ部材によって張架、支持されるとともに、これら複数のローラ部材の一つである二次転写バックアップローラ82の回転駆動によって図1中の矢印方向に無端移動する。
【0014】
プリンタ部100には、中間転写ベルト48に対向するように、各色に対応した四つの作像部46(Y,M,C,K)が並設されている。四つのトナー容器32(Y,M,C,K)の下方には、それぞれの色のトナー容器に対応した四つの粉体補給(供給)装置としてのトナー補給装置60(Y,M,C,K)が配設されている。そして、トナー容器32(Y,M,C,K)に収容された粉体の現像剤であるトナーは、それぞれに対応するトナー補給装置60(Y,M,C,K)によって、各色に対応した作像部46(Y,M,C,K)の現像装置内に供給(補給)される。本実施形態においては、四つの作像部46(Y,M,C,K)によって画像形成部が構成されている。
【0015】
プリンタ部100は、四つの作像部46の下方に潜像形成手段である露光装置47を備えている。露光装置47は、スキャナ部400で読み込んだ原稿画像の画像情報に基づいて、後述する像担持体としての感光体41(Y,M,C,K)の表面を露光走査し、各感光体の表面に静電潜像を形成する。画像情報はスキャナ部400からの読み込みではなく、複写機500に接続されたパーソナルコンピュータ等の外部装置から入力される画像情報であってもよい。
本実施形態において、露光装置47には、レーザーダイオードを用いたレーザービームスキャナ方式を用いているが、露光手段としてはLEDアレイを用いるものなど他の構成でも良い。
【0016】
図2は、イエローに対応した作像部46Yの概略構成を示す模式図である。
作像部46Yは、ドラム状の感光体41Yを備える。作像部46Yは、帯電手段である帯電ローラ44Y、現像手段である現像装置50Y、感光体クリーニング装置42Y、除電装置等を感光体41Yの周囲に配設した構成である。そして、感光体41Y上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)が行われることで、感光体41Y上にイエローのトナー像が形成される。
【0017】
なお、他の三つの作像部46(M,C,K)も、使用されるトナーの色が異なる点以外は、イエローに対応した作像部46Yとほぼ同様の構成となっていて、各感光体41(M,C,K)上にそれぞれの色のトナーに対応したトナー画像が形成される。以下、他の三つの作像部46(M,C,K)の説明を適宜に省略して、イエローに対応した作像部46Yのみの説明を行うことにする。
【0018】
感光体41Yは、駆動モータによって図2中の時計回り方向に回転駆動される。感光体41Yは、帯電ローラ44Yと対向する位置で、感光体41Yの表面が一様に帯電される(帯電工程)。その後、感光体41Yの表面は、露光装置47から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によってイエローに対応した静電潜像が形成される(露光工程)。その後、感光体41Yの表面は、現像装置50Yとの対向位置に達して、この位置で静電潜像がイエローのトナーで現像されて、イエローのトナー像が形成される(現像工程)。
【0019】
中間転写ユニット85の四つの一次転写バイアスローラ49(Y,M,C,K)は、それぞれ、中間転写ベルト48を感光体41(Y,M,C,K)との間に挟み込んで一次転写ニップを形成している。一次転写バイアスローラ49(Y,M,C,K)には、トナーの極性とは逆の転写バイアスが印加される。
【0020】
現像工程でトナー像が形成された感光体41Yの表面は、中間転写ベルト48を挟んで一次転写バイアスローラ49Yと対向する一次転写ニップに達して、この一次転写ニップで感光体41Y上のトナー像が中間転写ベルト48上に転写される(一次転写工程)。このとき、感光体41Y上には、僅かながら未転写トナーが残存する。一次転写ニップでトナー像を中間転写ベルト48に転写した感光体41Yの表面は、感光体クリーニング装置42Yとの対向位置に達する。感光体41Y上に残存した未転写トナーは、この対向位置で感光体クリーニング装置42Yが備えるクリーニングブレード42aによって機械的に回収される(クリーニング工程)。最後に、感光体41Yの表面は、除電装置との対向位置に達して、この位置で感光体41Y上の残留電位が除去される。こうして、感光体41Y上で行われる一連の作像プロセスが終了する。
【0021】
このような作像プロセスは、他の作像部46(M,C,K)でも、イエローの作像部46Yと同様に行われる。すなわち、作像部46(M,C,K)の下方に配設された露光装置47から、画像情報に基づいたレーザ光Lが、各作像部46(M,C,K)の感光体41(M,C,K)上に向けて照射される。詳しくは、露光装置47は、光源からレーザ光Lを発して、そのレーザ光Lを回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して各感光体41(M,C,K)上に照射する。その後、現像工程を経て各感光体41(M,C,K)上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト48上に転写する。
【0022】
このとき、中間転写ベルト48は、図1図2中の矢印方向に走行して、各一次転写バイアスローラ49(Y,M,C,K)の一次転写ニップを順次通過する。これにより、各感光体41(Y,M,C,K)上の各色のトナー像が、中間転写ベルト48上に重ねて一次転写され、中間転写ベルト48上にカラートナー像が形成される。
【0023】
各色のトナー像が重ねて転写され、カラートナー像が形成された中間転写ベルト48は、二次転写ローラ89との対向位置に達する。この位置では、二次転写バックアップローラ82が、二次転写ローラ89との間に中間転写ベルト48を挟み込んで二次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト48上に形成されたカラートナー像は、二次転写ニップの位置に搬送された転写紙等の記録媒体P上に、例えば二次転写バックアップローラ82に印加される転写バイアスの作用によって転写される。このとき、中間転写ベルト48には、記録媒体Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。二次転写ニップを通過した中間転写ベルト48は、中間転写クリーニング装置の位置に達し、その表面上の未転写トナーが回収され、中間転写ベルト48上で行われる一連の転写プロセスが終了する。
【0024】
次に、記録媒体Pの動きについて説明する。
上述した二次転写ニップに搬送される記録媒体Pは、プリンタ部100の下方に配設された給紙部200に設けられた給紙トレイ26から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送されるものである。詳しくは、給紙トレイ26には記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が図1中、反時計回り方向に回転駆動されると、一番上の記録媒体Pがレジストローラ対28の二つのローラによって形成されるローラニップに向けて搬送される。
【0025】
レジストローラ対28に搬送された記録媒体Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト48上のカラートナー像が二次転写ニップに到達するタイミングに合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されることで、記録媒体Pが二次転写ニップに向けて搬送される。これにより、記録媒体P上に、所望のカラートナー像が転写される。
【0026】
二次転写ニップでカラートナー像が転写された記録媒体Pは、定着装置86の位置に搬送される。定着装置86では、定着ベルト及び加圧ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラートナー像が記録媒体P上に定着される。定着装置86を通過した記録媒体Pは、排紙ローラ対29のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対29によって装置外に排出された記録媒体Pは、出力画像として、スタック部30上に順次スタックされる。こうして、複写機500における一連の画像形成プロセスが完了する。
【0027】
次に、作像部46においてトナー像を感光体表面に現像するための現像ユニットである現像装置50の構成及び動作について、さらに詳しく説明する。なお、ここではイエローに対応した作像部46Yを例に挙げて説明を行うが、他色の作像部46(M,C,K)においても同様の構成及び動作を行う。
【0028】
現像装置50Yは、図2に示すように、現像剤担持体としての現像ローラ51Y、現像剤規制板としてのドクタブレード52Y、二つの現像剤搬送スクリュ55Y、及び、トナー濃度検知センサ56Y等で構成されている。現像ローラ51Yは、感光体41Yに対向し、ドクタブレード52Yは、現像ローラ51Yに対向する。二つの現像剤搬送スクリュ55Yは、二つの現像剤収容部(53Y,54Y)内に配設されている。現像ローラ51Yは、内部に固設されたマグネットローラ、及び、マグネットローラの周囲を回転するスリーブ等で構成されている。第一現像剤収容部53Y及び第二現像剤収容部54Y内には、キャリアとトナーとからなる二成分の現像剤Gが収容されている。第二現像剤収容部54Yは、その上方に形成された開口を介してトナー落下搬送経路64Yに連通している。
このように、現像装置50Yは、2つの現像剤収容部(53Y、54Y)によって、画像形成用の粉体である現像剤Gを内部に収容可能な粉体収納容器としても機能する。
トナー濃度検知センサ56Yは、第二現像剤収容部54Y内の現像剤G中のトナー濃度を検知する。
【0029】
現像装置50Y内の現像剤Gは、二つの現像剤搬送スクリュ55Yによって、攪拌されながら、第一現像剤収容部53Yと第二現像剤収容部54Yとの間を循環する。第一現像剤収容部53Y内の現像剤Gは、現像剤搬送スクリュ55Yの一方に搬送されながら現像ローラ51Y内のマグネットローラにより形成される磁界によって現像ローラ51Yのスリーブ表面上に供給されて担持される。現像ローラ51Yのスリーブは、図3に矢印で示すように反時計回り方向に回転駆動し、現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、スリーブの回転にともない現像ローラ51Y上を移動する。このとき、現像剤G中のトナーは、現像剤G中のキャリアとの摩擦帯電によりキャリアとは逆極性の電位に帯電して静電的にキャリアに吸着し、現像ローラ51Y上に形成された磁界によって引き寄せられるキャリアとともに現像ローラ51Y上に担持される。
【0030】
現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、図2中の矢印方向に搬送されて、ドクタブレード52Yと現像ローラ51Yとが対向するドクタ部に達する。現像ローラ51Y上の現像剤Gは、ドクタ部を通過する際にその量が規制されて適量化され、その後、感光体41Yとの対向位置である現像領域まで搬送される。現像領域では、現像ローラ51Yと感光体41Yとの間に形成された現像電界によって感光体41Y上に形成された潜像に現像剤G中のトナーが吸着される。現像領域を通過した現像ローラ51Yの表面上に残った現像剤Gは、スリーブの回転に伴い第一現像剤収容部53Yの上方に達して、この位置で現像ローラ51Yから離脱される。
【0031】
現像装置50Y内の現像剤Gは、トナー濃度が所定の範囲内になるように調整される。詳しくは、現像装置50Y内の現像剤Gに含まれるトナーの現像による消費量に応じて、トナー容器32Yに収容されているトナーが、トナー補給装置60Yを介して第二現像剤収容部54Y内に補給される。第二現像剤収容部54Y内に補給されたトナーは、二つの現像剤搬送スクリュ55Yによって、現像剤Gとともに混合、攪拌されながら、第一現像剤収容部53Yと第二現像剤収容部54Yとの間を循環する。
【0032】
次に、トナー補給装置60(Y,M,C,K)について説明する。
図3は、トナー容器収納部70に四つのトナー容器32(Y,M,C,K)が配置された状態を示す概略斜視図である。図4は、トナー補給装置60Yにトナー容器32Yが装着された状態を示す模式図である。
【0033】
プリンタ部100のトナー容器収納部70に装着されたトナー容器32(Y,M,C,K)内に収容されているトナーは、各色の現像装置50(Y,M,C,K)内のトナー消費に応じて、適宜に各現像装置50(Y,M,C,K)内に補給される。このとき、トナー容器32(Y,M,C,K)内のトナーは、トナー色ごとに設けられたトナー補給装置60(Y,M,C,K)によって補給される。
なお、四つのトナー容器32(Y,M,C,K)のうち、ブラックのトナーが収容されたトナー容器32Kと、イエロー、マゼンタ、シアンのトナーが収容されたトナー容器32(Y,M,C)とでは大きさが異なり、トナー容器32Kの方が、径が大きく形成されている。これにより、使用頻度が高いブラックのトナーが収容されたトナー容器32Kの交換頻度を少なくすることができる。
このようにトナー容器32の形状が色によって異なる場合には、トナー補給装置60(Y,M,C,K)は、トナー容器32の形状に対応して、ブラックのトナーが収容されたトナー容器32Kが装着されるトナー補給装置60Kと、イエロー、マゼンタ、シアンのトナーが収容されたトナー容器32(Y,M,C)が装着されるトナー補給装置60(Y,M,C)とで形状が異なる。
なお、作像プロセスに用いられるトナーの色とトナー容器32の径が異なる以外はほぼ同一構造である。このため、以下、イエローに対応したトナー補給装置60Yとトナー容器32Yのみの説明を行い、他の三つの色に対応したトナー補給装置60(M,C,K)やトナー容器32(M,C,K)の説明を適宜に省略する。なお、色毎で異なる構成がある場合は、特定の色を示す添え字であるY,M,CまたはKを符号として用いるが、色毎で異なる構成ではない場合、あるいは共通の構成である場合には、(Y,M,C,K)を付す場合と適宜添え字を省略する場合がある。
【0034】
トナー容器の形態として、トナー容器32Yは、図3に示すような略円筒状のトナーボトルである。そして、トナー容器32Yは、主として、トナー容器収納部70に非回転で保持される保持部であり、容器カバーとしての容器先端側カバー34Yと、容器側歯車としての容器ギア301Yが一体的に形成された粉体収納容器としての容器本体33Yとから主に構成される。容器本体33Yは、容器先端側カバー34Yに対して回転可能に保持されている。言い換えると、容器カバーは、容器側歯車に対して相対的に回転可能な部材である。
【0035】
トナー容器収納部70は、図3に示すように、主として、容器カバー受入部73と、容器受部72と、挿入口形成部71とで構成されている。容器カバー受入部73は、トナー容器32Yの容器先端側カバー34Y及び容器本体33を保持する部分である。容器受部72は、トナー容器32Yの容器本体33Yを支持する部分である。挿入口形成部71は、トナー容器32Yの装着動作時における挿入口71aを形成する部分である。複写機500の手前側(図1の紙面垂直方向手前側)に設置された本体カバーを開放すると、トナー容器収納部70の挿入口形成部71が露呈される。そして、各トナー容器32(Y,M,C,K)の長手方向を水平方向とした状態で、複写機500の手前側から各トナー容器32(Y,M,C,K)の着脱操作(トナー容器32の長手方向を着脱方向とする着脱操作)を行う。
【0036】
容器受部72は、その長手方向の長さが、容器本体33Yの長手方向の長さとほぼ同等になるように形成されている。容器カバー受入部73は、容器受部72における長手方向(着脱方向)の容器先端側に設けられ、挿入口形成部71は容器受部72における長手方向の一端側に設けられている。四つのトナー容器32は、それぞれ容器受部72上で滑り移動可能とされている。このため、トナー容器32Yの装着動作にともない、容器先端側カバー34Yは、挿入口形成部71を通過した後に、しばらく容器受部72上を滑動して、その後に容器カバー受入部73に装着される。
【0037】
容器先端側カバー34Yが容器カバー受入部73に装着された状態で、図4に示すように駆動モータとギア等で構成されている駆動部(容器回転駆動部)91Yから本体側歯車としての容器駆動ギア601Yを介して、容器本体33Yに具備された歯車としての容器ギア301Yに回転駆動が入力される。これにより、容器本体33Yが図4中の矢印A方向に回転駆動される。容器本体33Y内のトナーは容器本体33Y自体が回転することで、容器本体33Yの内周面に螺旋状に形成された螺旋状突起302Yによって、容器本体33Yの内部に収容されたトナーが容器本体長手方向に沿って図4中の左側に位置する一端から右側に位置する他端へ搬送される。これにより、他端に設けられた容器先端側カバー34Y側から搬送ノズル611Yを介してトナー落下搬送経路64Y内にトナーが供給される。
【0038】
トナー補給装置60(Y,M,C,K)は、図4に示すように、トナー容器収納部70、搬送管としての搬送ノズル611(Y,M,C,K)、搬送部材としての搬送スクリュ614(Y,M,C,K)、トナー落下搬送経路64(Y,M,C,K)、駆動部(容器回転駆動部)91(Y,M,C,K)等で構成されている。
トナー容器32Yが図3図4中矢印Qで示す装着方向へユーザーによって押し込まれる装着動作によってプリンタ部100のトナー容器収納部70内を移動されると、その装着動作に連動して、トナー容器32Yの装着方向における容器先端側からトナー補給装置60Yの搬送ノズル611Yが挿入される。これにより、トナー容器32Y内と搬送ノズル611Y内とが連通することで、搬送スクリュ614(Y,M,C,K)の回転によってトナーがトナー落下搬送経路64(Y,M,C,K)まで搬送されて、トナーが落下することで現像装置50(Y,M,C,K)の第二現像剤収容部54Y内に補給される
【0039】
搬送ノズル611Y内には、搬送スクリュ614Yが配置されている。搬送スクリュ614Yは、駆動部(容器回転駆動部)91Yから搬送スクリュギア605Yに回転駆動が入力されることで回転し、搬送ノズル611Y内に供給されたトナーを搬送する。搬送ノズル611Yの搬送方向下流端は、トナー落下搬送経路64Yに接続されている。搬送スクリュ614Yによって搬送されたトナーは、トナー落下搬送経路64Yを自重落下して現像装置50Y(第二現像剤収容部54Y)内に補給される。
トナー容器32(Y,M,C,K)は、それぞれ、寿命に達したとき(収容するトナーがほとんどすべて消費されて空になったとき)に新品のものに交換される。トナー容器32の長手方向における容器先端側カバー34とは反対側の端部には把手部303が設けられており、容器交換の際には、作業者が把手部303を握って引き出すことで、装着されたトナー容器32を取り外すことが出来る。
【0040】
トナー補給装置60Yでは、搬送スクリュ614Yの回転数によって現像装置50Yへのトナーの供給量を制御している。このため、搬送ノズル611Y内を通過したトナーは、現像装置50Yへの供給量を制御されることなく、トナー落下搬送経路64Yを介して、直接に現像装置50Yへと搬送される。
このように、トナー落下搬送経路64Yは、画像形成用の粉体であるトナーを現像装置50へと供給するための粉体供給経路として機能している。
【0041】
さて、このようなトナー容器32Yやトナー補給装置60Yを用いて現像装置50Yにトナーを供給する構成において、トナー容器32Y等が交換される構成の他、現像装置50Yもまた各種メンテナンスや交換のために、複写機500から着脱可能に設けられている構成も広く知られている。
【0042】
このように現像装置50Yを着脱可能に設ける場合には、現像装置50Yを複写機500から取り外す際にも、現像装置50Yの開口部分が遮閉されてトナーの漏れがないようにすることが求められている。
そこで本実施形態では、トナー落下搬送経路64Yと、現像装置50Yとの境界部分に、図5に示すようなシャッター機構であるシャッターユニット80Yが設けられている。
なお、シャッターユニット80Yについても、各色の現像装置50(Y,M,C,K)に対応する各色のシャッターユニット80(Y,M,C,K)が形成されているが、構成が共通であるため説明を適宜省略する。
【0043】
シャッターユニット80Yは、現像装置50Yの第二現像剤収容部54Yと連通した開口部81Yと、開口部81Yに取り付けられ、図5中のX方向にスライド移動することで開口部81Yを開閉可能な開閉部材82Yと、を有している。
シャッターユニット80Yは、固定部材であるネジ83Yが現像装置50YのX方向の壁面に形成されたネジ穴511Yに締結されることで固定されている。
また、シャッターユニット80Yの取り付けられる現像装置50YのX方向の一端側には、図7に示して後述するように+X方向に延びるように形成されたボス状の突出部である第1突出部57Yと、Y方向の壁面に設けられて+X方向に沿って延びるように形成された突条部である第2突出部58Yと、Y方向の壁面に設けられて、シャッターユニット80Yの下端を支持するガイド部59Yと、がそれぞれ形成されている。
【0044】
開閉部材82Yは、開口部81Yに対して直交するようにX方向にスライド移動可能に保持されたシャッター開口部822Yを有するシャッターである。開閉部材82Yは、現像装置50Yに取り付けられる態様で固定されており、現像装置50Yが複写機500の本体から取り外された状態では図5に示すようにシャッター先端部821Yが+X方向側に突き出して閉状態となるように付勢されている。
他方、現像装置50Yが複写機500に取り付けられる際には、複写機500の筐体に+X方向に向かって挿入されるから、シャッター先端部821Yが複写機500の筐体に当接し、取付の負荷によって-X方向へと押し込まれることとなる。このとき-X方向に押し込まれた開状態においては、図6に開状態時の断面を示すように、シャッター開口部822Yが開口部81Yと連通することで、トナー落下搬送経路64Yを遮蔽することなくトナーを落下させる状態となる。このように開閉部材82Yの±X方向へのスライド移動によって、シャッターユニット80Yはトナー落下搬送経路64Yを開閉可能である。
【0045】
図7図8には、それぞれ現像装置50Yに対してシャッターユニット80Yが取り外された状態と、装着された状態とを示した。
現像装置50Y側に形成されているネジ穴511Yは、第1突出部57Yの下方にあって、円柱状の突出部の中心部に形成されており、シャッターユニット80Yの突き当て面であるネジ座面84Yと当接した状態でネジ83Yがネジ穴511Yに締結されることで、シャッターユニット80Yと現像装置50Yとを固定する。
ネジ穴511Yの位置は、X方向において第1突出部57Yの先端部よりも+X方向側に突き出た位置にある。
【0046】
シャッターユニット80Yの、-X方向側の面すなわち第1突出部57Yと対向する面には、図9にシャッターユニット80Yの-X方向側から見た斜視図を示すように、かかる第1突出部57Yと嵌り合うことでシャッターユニット80Yが現像装置50Yに取り付けられる際の位置決めを行う第1嵌合部87Yが形成されている。
第1突出部57Yと、第1嵌合部87Yとは、円柱状の第1突出部57Yが穴状の第1嵌合部87Yへと嵌り合うことで位置決めを行うが、図10(a)に誇張して示すように、第1突出部57Yが形成された面は、第1嵌合部87Yが形成された面とは当接せず、一定の空隙がある状態で先にネジ座面84Yとネジ穴511Yの形成された面とが突き当たる。
【0047】
仮にネジ83Yがネジ穴511Yに締結されたときに、かかる第1嵌合部87Yに第1突出部57Yが嵌合せずに突き当たってしまうと、シャッターユニット80Yの取付位置がずれてしまうことや、シャッターユニット80Yが傾斜した状態で取り付けられてしまう等の問題が生じてしまう。
【0048】
また、仮にネジ83Yがネジ穴511Yに締結されたときに、図10(b)に示すように、かかる第1嵌合部87Yが形成された面と第1突出部57Yが形成された面とが互いに突き当たってしまうと、X方向において複数の面でシャッターユニット80Yと現像装置50Yとが突き当たってしまうことになる。このような場合もシャッターユニット80Y及び現像装置50Yに歪や変形が生じてしまい、シャッターユニット80Yの取付位置や姿勢がずれてしまう問題が生じてしまう。
【0049】
本実施形態においては、シャッターユニット80Yの開閉方向であるX方向において、シャッターユニット80Yが現像装置50Yと当接するのはネジ座面84Yのみであるから、ネジ座面84Yの形成するYZ平面を位置決めの基準面として、シャッターユニット80Yを現像装置50Yに固定することができる。
【0050】
また本実施形態では、図11に示すように、シャッターユニット80Yには第2突出部58Yに対応する第2嵌合部88Yが形成されている。
かかる第2嵌合部88Yは既に述べたように、±X方向に沿って延びた第2突出部58Yと嵌り合うことで、シャッターユニット80Yが現像装置50Yに取り付けられる際に、シャッターユニット80Yの位置をX方向のみに移動可能なように規制する。
第1嵌合部87Yと第1突出部57Yとが嵌合するとともに、第2嵌合部88Yと第2突出部58Yとが嵌合することによって、第1嵌合部87Yと第2嵌合部88Yとは、X方向と交差するY方向及びZ方向について現像装置50Yに対するシャッターユニット80の位置を位置決めすることができる。
言い換えると、第1突出部57Yが第1嵌合部87Yに挿入されることで、シャッターユニット80Yは現像装置50Yに対してYZ平面方向の移動を規制される。
さらに、第2嵌合部88Yが第2突出部58Yと嵌合することで、第2突出部58Yが延びた方向であるX方向にはスムーズにスライド移動が可能である一方で、YZ平面方向には移動を制限されることになる。
上述のような構成により、シャッターユニット80Yは、現像装置50Yに対して精度よく位置決めを行いつつ固定される。
【0051】
現像装置50Yは、シャッターユニット80Yを取り付けた状態であっても-X方向に移動することで、複写機500から取り外すことができる。
本実施形態では、既に述べたように、突き当て面が突き当たるX方向と、第1嵌合部87Yと第2嵌合部88Yとがそれぞれ嵌合する方向と、開閉部材82Yが開閉する方向とが何れも同一方向であるX方向である。
かかる構成によれば、着脱時に大きな力を必要とせず、容易に着脱可能であるとともに、装着時にX方向に押し込むのみで開口部81Yの開放が可能となる。
【0052】
また、本実施形態では、シャッターユニット80Yが現像装置50Yに装着される際に、シャッターユニット80Yの位置決めを可能な第1嵌合部87Yと、第2嵌合部88Yと、を有し、第1嵌合部87Yと第2嵌合部88Yとの位置は、開閉方向において異なる複数個所に設けられている。
これは、現像装置50Yのセット方向であるX方向に挿入する際に、シャッターユニット80Yが回転方向に力を受けて回動してしまうことを防ぐための構成である。
【0053】
この点について比較例として、X方向において1か所の嵌合部801Yしか持たないシャッターユニット800Yを図12に示して説明する。
図12に示すようにY軸から現像装置50Yとシャッターユニット800Yを見たとき、複写機500の筐体によって開閉部材82Yが-X方向に押圧されると、嵌合部801Yを中心としてシャッターユニット800Y自体も図中にB矢印で示すように右回り方向に力を受けることとなる。
従って、単に嵌合部801Yを設けるだけでは、図12に示すように、嵌合部801Yを中心としてシャッターユニット800Yは回動してしまう。
【0054】
そこで本実施形態では、図7図13等に示すように、第1嵌合部87Yと、第2嵌合部88Yとは、開閉方向であるX方向において、異なる複数個所に設けられている。
具体的には、第1嵌合部87Yはシャッターユニット80Yのうち+X方向側に設けられ、第2嵌合部88Yはシャッターユニット80Yのうち-X方向側に設けられている。
このようにX方向において複数個所となるように第1嵌合部87Y、第2嵌合部88Yを配置することとすれば、XZ平面においてシャッターユニット80YがB方向に回動しようとしたときにも、他方の嵌合部を中心とする回動を妨げるように機能する。すなわち、本実施形態のようにX方向における複数個所に複数の嵌合部を設けることで、現像装置50Yの取付時におけるシャッターユニット80Yの回転を抑制することができる。
【0055】
なお、このとき第1嵌合部87と、第2嵌合部88Yとは、現像装置50Yに取り付けられたときに、そのX方向における位置が開口部81Yの中心位置Oを挟んで互いに反対側に位置するように設けられることが好ましい。
かかる構成によれば、複写機500の筐体に開閉部材82Yが当接したときにシャッターユニット80Yに生じる回転方向の負荷が、第1嵌合部87Y側と第2嵌合部88Y側とで打ち消し合うことになるから、現像装置50Yの取付時におけるシャッターユニット80Yの回転を抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態では、ネジ座面84Yが現像装置50Yに突き当たった状態で、現像装置50Yにシャッターユニット80Yを固定するための固定部材であるネジ83Yと、現像装置50Yに設けられてネジ83Yと嵌り合う孔部であるネジ穴511Yとを備え、ネジ穴511Yは開閉方向に平行に延びるように設けられている。
かかる構成によれば、ネジ座面84Yがネジ83Yとネジ穴511Yとによって挟まれて、シャッターユニット80Yが現像装置50Yに固定される。
【0057】
また、本実施形態では、シャッターユニット80Yが現像装置50Yに装着され、ネジ座面84Yが現像装置50Yと当接した状態において、第1嵌合部87Yと第2嵌合部88Yとは、開閉方向においては現像装置50Yと離間する。
かかる構成によれば、X方向におけるシャッターユニット80Yの位置決めが、ネジ座面84Yとネジ穴511Yとの間の位置関係によって行われるので、シャッターユニット80Yが現像装置50Yに対して傾斜等することなく精度よく位置決めが行われる。
【0058】
また、本実施形態では、現像装置50Yは、開閉部材82Yの開閉方向に直交し、シャッターユニット80Yが現像装置50Yに取り付けられた際にシャッターユニット80Yと当接する受け面550Yを有する。
かかる構成によれば、X方向におけるシャッターユニット80Yの位置決めが、ネジ座面84Yと受け面550Yとの間の位置関係によって行われるので、シャッターユニット80Yが現像装置50Yに対して傾斜等することなく精度よく位置決めが行われる。
【0059】
また、本実施形態では、ネジ座面84Yには現像装置50Yの受け面550Yにまで連通するようにネジ穴511Yが設けられており、ネジ座面84Yが現像装置50Yとの間でネジ固定によって挟持される。
かかる構成によれば、X方向の1点でシャッターユニット80Yが現像装置50Yに対して固定されるので、精度よく位置決めが行われる。
【0060】
現像装置50Yは、側面にX方向に沿って突出するように設けられ、シャッターユニット80Yの位置決めを行うためのガイド部59Yを有する。
かかる構成によれば、シャッターユニット80Yを現像装置50へと取り付ける際に開口部822Yとトナー落下搬送経路64Yとの間の高さ方向の位置決めが精度よく行われるとともに、ガイド部59Yによってシャッターユニット80YがX方向に真っすぐに誘導されるので、ネジ座面84Yとネジ穴511Yとの間の位置ずれも生じにくい。
【0061】
<1>
以上述べたように、本実施形態におけるシャッター機構たるシャッターユニット80(Y,M,C,K)は、現像剤Gが収容される現像装置50(Y,M,C,K)に着脱可能に取り付けられたシャッター機構であって、開口部81(Y,M,C,K)と、開口部81に取り付けられて開閉可能な開閉部材82(Y,M,C,K)と、開閉部材82の開閉方向における開口部81の中心位置に対して一端側に設けられ、開閉方向に移動することで嵌合する第1嵌合部87(Y,M,C,K)と、開口部81の中心位置に対して一端側とは反対側に設けられて、開閉方向に移動することで嵌合する第2嵌合部88(Y,M,C,K)と、を有している。
また、第1嵌合部87と第2嵌合部88とは現像装置50に対する開閉方向と交差する方向を位置決めし、開閉方向と直交した面であって、第1嵌合部87と第2嵌合部88とが嵌合した状態で現像装置50と突き当たるネジ座面84を備え、ネジ座面84が突き当たる方向と、第1嵌合部87と第2嵌合部88とが嵌合する方向と、開閉部材82が開く方向とが何れもX方向である。
かかる構成によれば、着脱の際にシャッター機構の開閉方向以外への押圧等を必要とすることがないので、密閉性を向上するとともにトナー補給口と現像装置の画像形成装置本体からの取り外しをスムーズに行うことができる。
【0062】
<2>
本実施形態における現像装置50は、<1>で述べた構成に加えて、ネジ座面84が現像装置50に突き当たった状態で、現像装置50にシャッターユニット80を固定するためのネジ83と、現像装置50に設けられてネジ83と嵌り合うネジ穴511とを備え、ネジ穴511はX方向に平行に延びる。
かかる構成によれば、現像装置50とシャッターユニット80との固定をネジ83の1か所のみで行えるとともに、X方向への締結のみで固定されるため、位置ずれ等が生じにくくなり精度よく現像装置50とシャッターユニット80との間の位置決めを行うことができる。
また、シャッターユニット80の現像装置50への装着の方向と、ネジ83を締結する方向とが同じ方向であるため、組立性にも優れる。
さらに、現像装置50の画像形成装置本体への取付方向及び開閉部材82の開閉方向も同方向であるX方向であるため、シャッターユニット80が外れることも防止できる。これは開閉部材82が開閉動作をする際に開閉部材82を付勢するバネによって受ける反力もまたX方向であることによる。
【0063】
<3>
本実施形態における現像装置50は、<1>または<2>で述べた構成に加えて、シャッターユニット80が現像装置50に装着され、ネジ座面84が現像装置50と当接した状態において、第1嵌合部87と第2嵌合部88とは、開閉方向においては現像装置50と離間する。
かかる構成によれば、ネジ座面84の形成するYZ平面のみを位置決めの基準面として、シャッターユニット80を現像装置50に固定することができるから、シャッターユニット80を現像装置50に取り付ける際にも、シャッターユニット80が現像装置50に対して傾斜してしまうようなことを防ぐことができる。
【0064】
<4>
本実施形態における現像装置50は、画像形成用のトナーが収容される現像装置50が、複写機500に挿入されることで外部からトナーを供給可能であって、現像装置50は、現像装置50へトナーを供給するためのトナー落下搬送経路64を備え、現像装置50とトナー落下搬送経路64との間に介在してトナー落下搬送経路64と現像装置50との間で開閉可能な開閉部材82を備えたシャッターユニット80を有している。
また、シャッターユニット80は、トナー落下搬送経路64に接続される開口部81と、開口部81に取り付けられて開閉可能な開閉部材82と、を有し、現像装置50を挿入するX方向と、トナー落下搬送経路64が伸長するY方向とは直交し、X方向と開閉部材82の開閉方向とが平行である。
かかる構成によれば、着脱の際にシャッター機構の開閉方向以外への押圧等を必要とすることがないので、密閉性を向上するとともにトナー補給口と現像装置の画像形成装置本体からの取り外しをスムーズに行うことができる。
【0065】
<5>
本実施形態における現像装置50は、<4>に記載の構成に加えて、開閉部材82の開閉方向に直交し、シャッターユニット80が現像装置50に取り付けられた際にシャッターユニット80と当接する受け面550を有する。
かかる構成によれば、ネジ座面84と受け面550との当接によってシャッターユニット80と現像装置50との間の位置決めがなされるから、シャッターユニット80を現像装置50に取り付ける際にも、シャッターユニット80が現像装置50に対して傾斜してしまうようなことを防ぐことができる。
【0066】
<6>
また、本実施形態における現像装置50は、<4>または<5>に記載の構成に加えて、受け面550にはネジ穴511が設けられており、受け面550がネジ固定によって挟持される。
かかる構成によれば、ネジ座面84と受け面550との当接によってシャッターユニット80と現像装置50との間の位置決めがなされるとともに、ネジ穴511へネジ83が挿入されることで受け面550が挟持されるから、シャッターユニット80を現像装置50に取り付ける際にも、シャッターユニット80が現像装置50に対して傾斜してしまうようなことを防ぐことができる。
【0067】
<7>
また、本実施形態における現像装置50は、<4>乃至<6>の何れかに記載の構成に加えて、シャッターユニット80が現像装置50に装着される際にシャッターユニット80の位置決めを可能な第1嵌合部87と、第2嵌合部88と、を有している。
第1嵌合部87と第2嵌合部88との位置は、開閉方向において異なる複数個所に設けられている。
かかる構成によれば、現像装置50のセット方向であるX方向に挿入する際に、シャッターユニット80が回転方向に力を受けて回動してしまうことを防ぐことができる。
【0068】
<8>
また、本実施形態においては、<4>乃至<7>の何れかに記載の構成に加えて、現像装置50は、トナー落下搬送経路64の側面に開閉方向に沿って突出するように設けられ、シャッターユニット80の位置決めを行うためのガイド部59を有する。
かかる構成によれば、シャッターユニット80を現像装置50に取り付ける際にも、シャッターユニット80が現像装置50に対して傾斜してしまうようなことを防ぐことができる。
【0069】
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0070】
例えば、本実施形態では、複写機500の一部として、プリンタ部100に組み込まれた現像装置にシャッター機構が備えられている使用形態についてのみ述べたが、その他、トナーボトル等の粉体を収容可能な容器に本発明を適用しても良い。
また、上述の実施形態では記録媒体P上に電子写真方式によって画像を形成する複写機を画像形成装置の一例として説明を行ったが、記録媒体Pは表面に情報を記録可能な記録媒体であれば良く、紙、コート紙、厚紙、OHP、プラスチックフィルム、プリプレグ、銅箔等であって良い。
【0071】
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0072】
32…トナー容器(粉体収納容器)
41…感光体
50…現像装置(粉体収納容器)
54…第二現像剤収容部(粉体収納容器)
57…第1突出部
58…第2突出部
59…ガイド部
60…トナー補給装置
64…トナー落下搬送経路
80…シャッターユニット(シャッター機構)
81…開口部
82…開閉部材
83…ネジ(固定部材)
84…ネジ座面(突き当て面)
87…第1嵌合部
88…第2嵌合部
100…プリンタ部
500…複写機(画像形成装置)
P…記録媒体
X…開閉方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0073】
【特許文献1】特許第6531849号公報
【特許文献2】特開2009-134267号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13