(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132461
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】ラミネート処理装置、画像形成装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B29C 63/02 20060101AFI20240920BHJP
B65H 5/06 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B29C63/02
B65H5/06 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043230
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】吉田翔太
(72)【発明者】
【氏名】落合恭也
(72)【発明者】
【氏名】原口陽介
【テーマコード(参考)】
3F049
4F211
【Fターム(参考)】
3F049AA04
3F049CA33
3F049DA12
3F049DA19
3F049DB02
3F049LA16
3F049LB03
3F049LB08
4F211AC03
4F211AD06
4F211AD08
4F211AG01
4F211AG03
4F211AH33
4F211AP06
4F211AR07
4F211AR11
4F211SA08
4F211SC07
4F211SD01
4F211SJ11
4F211SP05
(57)【要約】
【課題】ラミネート処理装置のユーザビリティー及び安全性を向上させる。
【解決手段】2枚重ねシートを剥離するシート剥離機構250と、前記2枚重ねシートを加熱及び加圧可能な定着部120と、前記シート剥離機構250及び前記定着部120を覆い、回転軸230の周りに開閉可能である外装カバー208と、前記定着部120を脱圧又は加圧するカム204と、前記回転軸230と前記カム204を接続する動力伝達手段と、を有するラミネート処理装置200において、前記定着部120が、前記外装カバー208の開閉に連動して開閉しない定着部カバー201で覆われており、前記外装カバー208の前記回転軸230の動きに連動して、前記カム204が前記定着部120を脱圧又は加圧する、ことを特徴とするラミネート処理装置200により解決される。
【選択図】
図23
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚重ねシートを剥離するシート剥離機構と、
前記2枚重ねシートを加熱及び加圧可能な定着部と、
前記シート剥離機構及び前記定着部を覆い、回転軸の周りに開閉可能である外装カバーと、
前記定着部を脱圧又は加圧するカムと、
前記回転軸と前記カムを接続する動力伝達手段と、を有するラミネート処理装置において、
前記定着部が、前記外装カバーの開閉に連動して開閉しない定着部カバーで覆われており、
前記外装カバーの前記回転軸の動きに連動して、前記カムが前記定着部を脱圧又は加圧する、ことを特徴とするラミネート処理装置。
【請求項2】
前記定着部は単体で独立して構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のラミネート処理装置。
【請求項3】
前記動力伝達手段は、前記カムと同一軸上に設置されたギヤと、前記外装カバーの前記回転軸に接続した別なギヤを有し、当該ギヤと当該別なギヤは互いに連結可能又は分離可能である、ことを特徴とする請求項2に記載のラミネート処理装置。
【請求項4】
前記外装カバーは少なくとも2つの外装カバーを含み、
一方の外装カバーの回転軸と他方の外装カバーの回転軸と前記カムが、前記動力伝達手段により接続されている、ことを特徴とする請求項1に記載のラミネート処理装置。
【請求項5】
前記定着部の脱圧又は加圧を検知する第1検知手段、又は前記外装カバーの開閉を検知する第2検知手段を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のラミネート処理装置。
【請求項6】
前記2枚重ねシートのための搬送経路の一部が、前記外装カバー側に固定されており、前記外装カバーの動きに連動して開閉される、ことを特徴とする請求項1に記載のラミネート処理装置。
【請求項7】
給送された前記2枚重ねシートに画像を形成する画像形成部と、
請求項1~6のいずれか一項に記載のラミネート処理装置を有する、ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
画像形成装置と、
請求項1~6のいずれか一項に記載のラミネート処理装置を有する、ことを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラミネート処理装置、画像形成装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ラミネート処理装置の定着部において、ユーザがジャム発生時に定着ローラ(熱加圧ローラ)を手動で離間させることで、ジャム処理を行うことが知られている。
【0003】
具体的には、対向して配置された定着ローラ120の一方が本体側に固定され、他方がカバー側に固定されており、ユーザが外装カバー208を開くと定着ローラ120が離間する構成(
図29)や、脱加圧機構が設けられており、ユーザが脱加圧用レバー240を手動で動かすと定着ローラ120が脱加圧される構成(
図30)が知られている。
【0004】
しかし、前者の場合、定着ローラ120が露出しているため、ユーザが定着ローラ表面に触れる恐れがあり、安全性に問題がある。後者の場合も、定着ローラ120が定着部カバー201で覆われているため、ユーザが手で定着ローラ120に触れる可能性は低いが、外装カバー208を開いた後に脱加圧用レバー240を操作して脱圧する必要があり、ユーザの作業工程が増えてしまう。
【0005】
特許文献1には、ラミネートフィルムの交換作業を容易にするために、可動する外装カバーとしての上流側上部本体にテンショナローラが固定され、このテンショナローラが上流側上部本体の開閉動作に連動して移動するラミネート装置が開示されている。しかし、ラミネートフィルムの交換のために、可動する別な外装カバーとしての下流側上部本体を開いた状態では、加熱加圧ローラ対の上側ローラ及び下側ローラが露出するため、ユーザが加熱加圧ローラ対に接触する恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、ラミネート処理装置のユーザビリティー及び安全性を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、2枚重ねシートを剥離するシート剥離機構と、前記2枚重ねシートを加熱及び加圧可能な定着部と、前記シート剥離機構及び前記定着部を覆い、回転軸の周りに開閉可能である外装カバーと、前記定着部を脱圧又は加圧するカムと、前記回転軸と前記カムを接続する動力伝達手段と、を有するラミネート処理装置において、前記定着部が、前記外装カバーの開閉に連動して開閉しない定着部カバーで覆われており、前記外装カバーの前記回転軸の動きに連動して、前記カムが前記定着部を脱圧又は加圧する、ことを特徴とするラミネート処理装置により解決される。
【発明の効果】
【0008】
ラミネート処理装置のユーザビリティー及び安全性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係るシート剥離装置の全体構成図である。
【
図2】実施形態に係るシート剥離装置の主要部分を示す構成図(その1)である。
【
図3】実施形態に係るシート剥離装置の主要部分を示す構成図(その2)である。
【
図4】実施形態に係るシート剥離装置の主要部分を示す構成図(その3)である。
【
図5】実施形態に係るシート剥離装置の主要部分を示す構成図(その4)である。
【
図6】実施形態に係るシート剥離装置の主要部分を示す構成図(その5)である。
【
図7】実施形態に係るシート剥離装置の主要部分を示す構成図(その6)である。
【
図8】実施形態に係るシート剥離装置の主要部分を示す構成図(その7)である。
【
図9】実施形態に係るシート剥離装置の主要部分を示す構成図(その8)である。
【
図10】実施形態に係るシート剥離装置の主要部分を示す構成図(その9)である。
【
図11】実施形態に係るシート剥離装置の主要部分を示す構成図(その10)である。
【
図12】実施形態に係るシート剥離装置の主要部分を示す構成図(その11)である。
【
図13】実施形態に係るシート剥離装置の主要部分を示す構成図(その12)である。
【
図14】実施形態に係るシート剥離装置の主要部分を示す構成図(その13)である。
【
図15】シート剥離装置が備える剥離爪の模式図である。
【
図16】剥離爪でシートSを互いに剥離する様子を示す斜視図(その1)である。
【
図17】剥離爪でシートSを互いに剥離する様子を示す斜視図(その2)である。
【
図18】剥離爪でシートSを互いに剥離する様子を示す斜視図(その3)である。
【
図19】シート給紙から中紙挟みこみ完了までの一連の動作を説明するフローチャートである。
【
図20】本発明に係るシート剥離装置を備えるラミネート処理装置の一例を示す全体構成図である。
【
図21】本発明に係るラミネート処理装置を備える画像形成装置の一例を示す全体構成図である。
【
図22】本発明に係るラミネート処理装置を備える画像形成装置の変形例を示す全体構成図である。
【
図23】本発明の実施形態に係るラミネート処理装置の定着部の概略構成図である。
【
図24】シート剥離装置の外装カバーと定着部の概略的位置関係を示す図である。
【
図25】本発明の第1実施形態に係るシート剥離装置の概略正面図である。
【
図26】本発明の第2実施形態に係るシート剥離装置の概略平面図である。
【
図27】本発明の第3実施形態に係るシート剥離装置の概略構成図である。
【
図28】本発明の第4実施形態に係るシート剥離装置の概略正面図である。
【
図29】従来のラミネート処理装置の定着部を示す概略図である。
【
図30】従来のラミネート処理装置の定着部を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態のシート剥離装置は、2枚重ねシート(以下、シートSという)を互いに剥離し、その剥離したシートS内に中紙Pを挿入して挟持させるものである。
【0011】
ここで、シートSとは、2枚のシートが重ねられ、その一部(又は一辺)が接合された2枚重ねシートである。
【0012】
2枚重ねシートとしては、例えば、片側を透明ポリエステルシートなどの透過性シートとし、反対側を透明又は不透明シートとして、それらの一辺で接合したものがある。
【0013】
中紙Pは、それら2枚重ねシートに挿入されるシート状媒体の一例である。シート状媒体には、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙など)、トレーシングペーパ、OHPシートなどが含まれる。
【0014】
また、本文中において、「シートSを互いに剥離する」とは、2枚重ねシートSの2枚のシートを剥離(分離)することを意味する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係るシート剥離装置の全体構成図である。
図1に示すように、シート剥離装置100は、シートSを積載する第1積載手段であるシートトレイ102と、シートトレイ102からシートSを給送するピックアップローラ105と、搬送ローラ対107とを備える。またシート剥離装置100は、中紙Pを積載する第2積載手段である給紙トレイ103と、給紙トレイ103から中紙Pを給送するピックアップローラ106とを備える。
【0016】
搬送ローラ対107の搬送方向下流には、シートSの搬送位置を検出する搬送センサC1が設けられ、ピックアップローラ106の搬送方向下流には、中紙Pの搬送位置を検出する搬送センサC2が設けられている。
【0017】
さらにシート剥離装置100は、搬送ローラ対107及びピックアップローラ106の下流に、入口ローラ対108と、回転部材としての巻付けローラ109と、後述する第一部材としての従動ローラ110とからなるローラ対と、出口ローラ対113と、排紙トレイ104などを備える。入口ローラ対108の搬送方向下流には、シートS及び中紙Pの搬送位置を検出する搬送センサC3が設けられ、出口ローラ対113の搬送方向下流には、シートSの搬送位置を検出する搬送センサC4が設けられている。
【0018】
なお、ピックアップローラ105、搬送ローラ対107、入口ローラ対108、巻付けローラ109と従動ローラ110からなるローラ対は、第1給送手段の一例であり、ピックアップローラ106、入口ローラ対108、巻付けローラ109、従動ローラ110とからなるローラ対は第2給送手段の一例である。
【0019】
本実施形態のシート剥離装置100は、
図1に示すように、シートSと中紙Pを別々のトレイに積載し、巻付けローラ109と従動ローラ110とからなるローラ対の間に送り、出口ローラ対113に送る。後述するように出口ローラ対113と、巻付けローラ109と従動ローラ110とからなるローラ対との間に位置されたシートSの剥離された2枚のシートの開口内に中紙Pを挿入する。そして、中紙Pが挿入されたシートSを、出口ローラ対113により、排紙トレイ104に排出・積載する。以下より、その具体的な構成と、動作について詳細に説明する。
【0020】
図2は、実施形態に係るシート剥離装置の主要部分を示す構成図(その1)であり、シート剥離機構250(
図24)に相当する部分を含む。
図2に示すように、シート剥離装置100は、第1搬送手段である出口ローラ対113を備え、出口ローラ対113により、搬送されたシートSを巻付けローラ109と従動ローラ110とからなるローラ対の間にシートSを搬送する。
【0021】
入口ローラ対108及び出口ローラ対113は、それぞれ、例えば対となった2つのローラであり、駆動手段(モータなど)により、入口ローラ対108は一方向に回転駆動し、出口ローラ対113は正逆方向に回転駆動され、シートS及び中紙Pを挟持して搬送する。
【0022】
入口ローラ対108は、シートS及び中紙Pを出口ローラ対113に向けて搬送する。この搬送方向を正搬送方向(矢印A方向)と呼ぶ。
【0023】
一方、出口ローラ対113は、その回転を正逆の両方向に切り替え可能である。挟持されたシートSを正搬送方向である排紙トレイ104(
図1参照)に向けて搬送できるとともに、その逆方向(引き戻す方向)となる巻付けローラ109に向けてシートSを搬送することもできる。この巻付けローラ109に向けて搬送する方向(正搬送方向に対し、逆方向)を、逆搬送方向(矢印B方向)と呼ぶ。
【0024】
また、シート剥離装置100は、これら入口ローラ対108と出口ローラ対113との間に、回転部材である巻付けローラ109と、その巻付けローラ109に従動して回転する第一部材である従動ローラ110とを備える。
【0025】
巻付けローラ109は、駆動手段(モータなど)により正逆方向に回転駆動され、その回転を両方向(時計回り/反時計回り)に切り替え可能である。従動ローラ110は、巻付けローラ109に当接し、ニップ部を形成し、巻付けローラ109と従動ローラ110とによってシートS及び中紙Pを挟持して搬送する。
【0026】
さらにシート剥離装置100は、巻付けローラ109の回転軸と直交する方向の外周である円周周り(外周面)に、回転方向に互いに所定の間隔を持って配置された第二部材としてのローラ部材であるグリップローラ111、112と、シートSの搬送方向を切り替えるための分岐爪T1、T2とを備える。
【0027】
これら複数のグリップローラ111、112は、巻付けローラ109に当接し、従動して回転する。グリップローラ111、112は、シートSを巻付けローラ109とで挟持(グリップ)し、巻付けローラ109に巻き付けるために用いられる。
【0028】
分岐爪T1は、入口ローラ対108と巻付けローラ109の間に配置され、分岐爪T2は、巻付けローラ109と出口ローラ対113の間に配置されている。これら分岐爪T1、T2は、駆動手段(モータなど)によりその位置(向き)を変動でき、シートSの搬送方向を変更できる。
【0029】
なお、グリップローラ111、112、及び分岐爪T1、T2は、シートSを巻付けローラ109に巻き付ける巻き付け手段としての巻き付け部材の一例である。
【0030】
続いて、
図1~
図14を用いて、シート剥離装置100の一連の動作、すなわちシートSの剥離から中紙Pの挿入までの動作を説明する。なお、
図3~
図14において、
図1、2と同一物には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0031】
まず、
図1に示すように、本実施形態のシート剥離装置100は、シートトレイ102上にシートSの2枚のシートが接合された一部がそのシートSにおけるピックアップローラ105の給送方向(搬送方向)の下流流側に位置するように積載され、シートトレイ102上のシートSをピックアップローラ105にてピックし、搬送ローラ対107により入口ローラ対108に向けて搬送する。
【0032】
次いで、
図2に示すように、入口ローラ対108より、シートSを巻付けローラ109と従動ローラ110で形成されるニップ部に向けて搬送する。このとき分岐爪T1、T2は、シートSの搬送経路上方、下方にそれぞれ移動されており、分岐爪T1はシートSを入口ローラ対108から巻付けローラ109と従動ローラ110の間に案内し、分岐爪T2はシートSを巻付けローラ109と従動ローラ110の間から出口ローラ対113に案内する。
【0033】
ここで、本実施形態では、シート剥離装置100は、シートSの4辺中の一辺である端部が接合された側を正搬送方向(矢印A方向)の下流として搬送する。しかし、これに限定させるものではなく、シートトレイ102上にシートSの2枚のシートが接合された一部がそのシートSにおけるピックアップローラ105の給送方向(搬送方向)の上流側に位置するように積載され、シートトレイ102上から給送されたシートSが出口ローラ対113の巻付けローラ109への搬送方向側と反対方向側から出口ローラ対113に搬送されるようにしてもよい。
【0034】
続いて
図3に示すように、シート剥離装置100は、正搬送方向におけるシートSの後端部が、分岐爪T1を過ぎた後、例えば、巻付けローラ109と従動ローラ110のニップ部に挟持された時点で、シートSの搬送を一時停止する。それとともに、分岐爪T1を回転軸を支点にして反時計回りに移動(回動)させ、シートSの後端部を巻付けローラ109の周りに案内する経路を生成する。なお、これら動作は、搬送センサC3(
図1参照)の検出位置をトリガとして実施できる。
【0035】
次に、
図4に示すように、出口ローラ対113と巻付けローラ109は回転方向を反転し、シートSを逆搬送方向(矢印B方向)に搬送する。そして、分岐爪T1によってシートSを巻付けローラ109の周りに案内する。すなわち、シート剥離装置100は、シートSの接合されていない側から、シートSを巻付けローラ109に巻き付ける。なお。このときの巻付けローラ109の回転方向を第一の回転方向と呼ぶ。
【0036】
図5~
図7に、シートSを巻付けローラ109に巻き付ける過程を示す。グリップローラ111、112は、送られてきたシートSを巻付けローラ109との間に挟持し、シートSを巻付けローラ109の円周周りに巻き付けていく(
図5参照)。
【0037】
シートSを巻付けローラ109に1周以上巻き付けると、シートSの先端(シートSの接合されていない側)は、巻付けローラ109に対し固定される。さらにシートSを巻付けローラ109に巻き付けると、シートSの2枚のシートである内周側にあるシートと外周側にあるシートに周長差(巻き付け量の差)が生じ、出口ローラ対113と巻付けローラ109の間で、シートSが剥離し始める(シートSに隙間が形成され始める)(
図6参照)。
【0038】
そして
図7に示すように、出口ローラ対113と巻付けローラ109の間に、内周側シートの弛みが集まることで、内周側シートと外周側シートの間に隙間(空間)gを生じさせることができる。
【0039】
このように、本実施形態のシート剥離装置100は、シートSを巻付けローラ109に巻き付け、幾何学的な関係から内周側シートと外周側シートの間に巻き付け周長差を生じさせることで、シートSを確実に剥離できる。
【0040】
続いて、本実施形態のシート剥離装置100において、シートSの接合された一部である一辺(一端)とその一辺(一端)と対向する開口端となる他辺(他端)と間の部分全体を剥離して中紙Pをその中に挿入するための追加の構成と、その動作について説明する。
【0041】
図8に示すように、本実施形態のシート剥離装置100は、シートSの剥離されたシートのうちの1つのシートを案内する経路部材115と、シートSの幅方向の両側に設けられ、シートSの幅方向に移動可能な剥離爪116とをさらに備える。シート剥離装置100は、シートSに生じた空間gに対し、両側から剥離爪116を挿入できる。
【0042】
図9に示すように、シート剥離装置100は、剥離爪116を挿入した状態で、シートSを正搬送方向(矢印A方向)に搬送する方向に出口ローラ対113を回転させる。そして、
図10に示すように、剥離爪116がシートSの搬送方向後端部に達することで、シートSの後端(開口)を剥離できる。
【0043】
ここで、剥離爪116について補足説明する。
【0044】
図15はシート剥離装置が備える剥離爪の模式図であり、
図16~
図18は剥離爪でシートSを互いに剥離する様子を示す斜視図である。
【0045】
これら図に示すように、剥離爪116は、挿入方向(矢印C)の先端から後端に向かって徐々に隆起する形状であり、シートSに生じた空間gにスムーズに挿入できる。
【0046】
また、剥離爪116を空間gに挿入した後(
図16、17参照)、シートSを正搬送方向(矢印A)に搬送することで、シートSの後端部まで確実に剥離することができる(
図18参照)。
【0047】
なお、単一の剥離爪116を備える構成とし、シートSの片側にのみ挿入するとしてもよい。また、剥離爪116の形状は、図に示したものに限定されない。例えば、長楕円形状として構成してもよいし、さらに90°回転可能な構成としてもよい。
【0048】
図10に戻り、説明を続ける。シート剥離装置100は、出口ローラ対113が、シートSを正搬送方向(矢印A)に搬送してシートSを剥離した後、回転軸を支点として分岐爪T2を時計方向に移動(回動)され、回転させ、今までのシートSの搬送経路を閉じる。
【0049】
次いで、
図11に示すように、出口ローラ対113は回転を反転し、シートSを逆搬送方向(矢印B方向)に搬送する。これにより、シートSの剥離された2枚のシート(以下、上側シートS1、下側シートS2とする)は、それぞれ別の方向に案内される。すなわち、上側シートS1は経路部材115に沿って搬送され、下側シートS2は経路部材でもある分岐爪T2に沿って搬送される。そして、図に示すように、シートSは接合された一辺を端として、大きく開口することになる。
【0050】
続いて、
図12に示すように、出口ローラ対113は、シートSを逆搬送方向(矢印B方向)に指定位置まで搬送して待機する一方、第2搬送手段である入口ローラ対108は、給紙トレイ103(
図1参照)から、中紙Pを出口ローラ対113に向けて正搬送方向(矢印A方向)搬送する。このとき、分岐爪T1は、搬送経路上方に移動されており、中紙Pがその下を通過する。
【0051】
次いで、
図13に示すように、開口したシートS内に中紙Pを挿入する。なお、これら動作は、搬送センサC4(
図1参照)の検出位置をトリガとして実施できる。
【0052】
そして、
図14に示すように、出口ローラ対113は、中紙Pが挿入されたシートSを正搬送方向(矢印A方向)に搬送することで、シートSの2枚のシートを再度重ね、開口が閉じられる。そしてシート剥離装置100は、中紙Pが挟み込まれたシートSを、出口ローラ対113、又はそれ以降に配置されたローラなど(不図示)により、排紙トレイ104に排出・積載する(
図1参照)。
【0053】
以上、説明したように本実施形態のシート剥離装置100は、シートSを大きく開口し、その中に中紙Pを挿入・挟持させることができる。したがって、例えば、バキューム装置を用いる特許文献1のラミネート装置に比べ、単純な構成であり、装置全体を簡略化、小型化できる。
【0054】
また、本実施形態のシート剥離装置100は、
図1で示したように、シートSと中紙Pを別々のトレイに積載し、それぞれ別々に搬送できる。このため、シートSと中紙Pを予め決められた順番に積載する必要がなく、利便性を向上できる。なお、本実施形態では、トレイ102にシートSを積載し、トレイ103に中紙Pを積載するようにしたが、これに限定されない。トレイ102に中紙Pを積載し、トレイ103にシートSを積載してもよい。
【0055】
図19は、シート給紙から中紙挟みこみ完了までの一連の動作を説明するフローチャートである。フローチャートに対応する図面の番号を示しながら説明する。
【0056】
まず、ステップS11において、シート剥離装置100は、シートSの給紙を開始する(
図1参照)。次いで、ステップS12において、搬送センサC4にシートSの先端が到着したか判定する(
図2参照)。ステップS13にて、シート剥離装置100は、シートSが搬送センサC4から指定量搬送したことを判定すると、ステップS14にて、分岐爪T1をシートSが巻き付け経路に案内される位置に移動する(
図3参照)。
【0057】
続いて、ステップS15において、シート剥離装置100は、巻付けローラ109を逆回転し、シートSを巻付けローラ109に巻き付ける(
図4~7参照)。ステップS16において、シート剥離装置100は、搬送センサC4にシートSの先端が到達したことを判定すると、ステップS17において、シートSを搬送センサC4から指定量搬送した後、搬送を停止し、分岐爪T1を元の位置に移動させて戻す。そして、ステップS18において、シートSの剥離で生じた空間gに剥離爪116を挿入する(
図8参照)。
【0058】
次いで、ステップS19において、シート剥離装置100は、出口ローラ対113と巻付けローラ109を正回転し、シートSを正搬送方向に搬送する。これにより、シートSは搬送方向後端まで互いに剥離されることになる(
図9、10参照)。
【0059】
続いて、ステップS20において、シート剥離装置100は、シートSが搬送センサC4から指定量搬送されたことを判定すると、ステップS21において、分岐爪T2を剥離位置に移動し、出口ローラ対113を逆回転する。次いで、ステップS22において、シートSの先端が搬送センサC4を通過したか判定する(
図11参照)。
【0060】
そして、ステップS23においてシート剥離装置100は、シートSを搬送センサC4から指定量搬送した後、シートSの搬送を停止し、分岐爪T2を元の位置に移動させて戻す。このとき、シートSを接合された一辺を端として、開口することになる(
図11参照)。
【0061】
続いて、ステップS24において、シート剥離装置100は、中紙Pの給紙を開始する(
図12参照)。ステップS25において、搬送センサC3により、中紙Pの先端が通過したことを判定した後、ステップS26において、中紙Pを指定量搬送することで、シートS内に挿入する(
図13参照)。そして、出口ローラ対113を正回転して、中紙Pが挿入されたシートSを正搬送方向に搬送することで、挟み込みが完了する(
図14参照)。ステップ27において、挟み込みが完了し、シートSが出口ローラ対113から排出された後に、全てのローラの回転を停止する。
【0062】
続いて、本発明に係るシート剥離装置を備えるラミネート処理装置、画像形成装置及び画像形成システムについて説明する。
【0063】
図20は、本発明に係るシート剥離装置を備えるラミネート処理装置の一例を示す全体構成図である。
図20に示すように、ラミネート処理装置200は、先に説明したシート剥離装置100と、シートSを加熱及び加圧可能な定着部である熱加圧ローラ120と、熱加圧ローラ120の下流に設けられた排出ローラ121とを備える。
【0064】
このラミネート処理装置200は、シートSの給紙、剥離、中紙Pの挿入、及び熱加圧によるラミネート処理までの一連の動作を1台で実施できる構成である。この一連の動作を、人手を要さずに自動で実施でき、従来技術よりも利便性を向上できる。
【0065】
図21は、本発明に係るラミネート処理装置を備える画像形成装置の一例を示す全体構成図である。この画像形成装置300は、ラミネート処理装置部として、内部にラミネート処理装置200aを備える。
【0066】
ここで、ラミネート処理装置200aは、シートS又は中紙Pを積載するシートトレイ102を備えるとともに、シートS及び/又は中紙Pを画像形成装置300から給紙可能な構成である。したがって、画像形成装置300(例えば、プリンタ、コピー機など)により、シートS又は中紙Pに画像をインラインで挿入できる。
【0067】
画像形成装置本体300の構成を具体的に説明する。
図21に示すように、画像形成装置本体300内には、中間転写装置150が設けられている。中間転写装置150は、複数のローラに掛けまわしてエンドレスの中間転写ベルト152をほぼ水平に張り渡し、反時計まわりに走行する。
【0068】
中間転写装置150の下には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの作像装置154c、154m、154y、154kが、中間転写ベルト152の張り渡し方向に沿って四連タンデム式に並べて設けられている。各作像装置154は、図中時計まわりに回転するドラム状の像担持体のまわりに帯電装置、現像装置、転写装置、クリーニング装置などを設置して構成される。各作像装置154の下には、露光装置156が設けられている。
【0069】
露光装置156の下には、給紙装置158が設けられている。給紙装置158は、シートSを収納する第1給紙カセット160と、中紙Pを収納する第2給紙カセット162とを備える。なお、第1給紙カセット160は、2枚重ねシートを積載する第3積載手段の一例であり、第2給紙カセット162は、シート状媒体を積載する第4積載手段の一例である。
【0070】
第1給紙カセット160の右上には、第1給紙カセット160内のシートSを一枚ずつ繰り出して用紙搬送路164に入れる第1給紙コロ166が設けられている。また、第2給紙カセット162の右上には、給紙カセット内の中紙Pを一枚ずつ繰り出して用紙搬送路164に入れる第2給紙コロ168が設けられている。
【0071】
用紙搬送路164は、画像形成装置本体300内の右側に下方から上方に向けて形成され、画像形成装置本体300内のラミネート処理装置200aへと通ずる。用紙搬送路164には、搬送ローラ170、中間転写ベルト152と対向して二次転写装置174、定着装置176、一対の排紙ローラよりなる排紙装置178などが順に設けられている。
【0072】
なお、第1給紙コロ166、搬送ローラ170及び用紙搬送路164は、第1給紙カセット160(第3積載手段)から2枚重ねシートを給送する第3給送手段の一例である。また、第2給紙コロ168、搬送ローラ170及び用紙搬送路164は、第2給紙カセット162(第4積載手段)からシート状媒体を給送する第4給送手段の一例である。さらに、中間転写装置150、及び定着装置176などは、2枚重ねシート又はシート状媒体に画像を形成する画像形成部の一例である。
【0073】
続いて、本実施形態の画像形成装置300において、シートSに画像形成をした後、ラミネート処理を行う動作について説明する。
【0074】
シートSに画像を形成する際、はじめに、画像読取装置188で原稿画像を読み取り、露光装置156で書き込みを行う。次いで、各作像装置154c、154m、154y、154kのそれぞれの像担持体上に各色トナー画像を形成し、そのトナー像を一次転写装置180c、180m、180y、180kで順次転写して中間転写ベルト152上にカラー画像を形成する。
【0075】
一方、画像形成装置300は、第1給紙コロ166を回転してシートSを繰り出して用紙搬送路164に入れる。そして、用紙搬送路164を通して搬送ローラ170で搬送してタイミングを取って二次転写位置へと送り込み、上記したように中間転写ベルト152上に形成したカラー画像が二次転写装置174でシートSに転写される。
【0076】
画像転写後のシートSは、定着装置176で画像定着後、排紙装置178でラミネート処理装置200aに送られる。
【0077】
また、画像形成装置300は、第2給紙コロ168を回転して中紙Pを繰り出して用紙搬送路164に入れ、排紙装置178でラミネート処理装置200aに送る。
【0078】
このようにして、画像形成されたシートSと、中紙Pをラミネート処理装置200aに送ることで、ラミネート処理が行われる。ラミネート処理の詳細は、上記したので省略する。
【0079】
本実施形態の画像形成装置300は、上記した構成であるので、中紙Pに画像形成をした後に、ラミネート処理装置200aにより、ラミネート処理を行うこともできる。また、中紙PとシートSに画像形成した後に、ラミネート処理を行うこともできる。
【0080】
図22は、本発明に係るラミネート処理装置を備える画像形成装置の変形例を示す全体構成図である。この画像形成装置400は、画像形成装置本体側に本体排出ローラ122と、本体排紙トレイ123とを備える点で、
図21の画像形成装置300と異なる。
【0081】
画像形成装置400は、ラミネート処理を実施しない場合、本体排出ローラ122を用いて画像形成した記録媒体を本体排紙トレイ123に排出できる。したがって、画像形成装置400は、ラミネート処理をしない場合、画像形成の出力速度を下げない。
【0082】
なお、画像形成装置400は、ラミネート処理装置200aを内部に脱着可能に備える構成としてもよい。すなわち、ラミネート処理が不要な際は、ラミネート処理装置200aを画像形成装置400から外してもよい。
【0083】
また、その外したラミネート処理装置200aに、中紙Pを積載する給紙トレイ103と、給紙トレイ103から中紙Pを給送するピックアップローラ106とを装着し、
図20に示すものと同様なラミネート処理機単体として利用できるとしてもよい。
【0084】
図21に示した画像形成装置300、及び
図22に示した画像形成装置400は、ラミネート処理機に代えて、シート剥離装置を備える構成としてもよい。また、
図22に示した画像形成装置400では、シート剥離装置を着脱可能な構成としてもよい。
【0085】
また、画像形成システムとして、画像形成装置と、前記画像形成装置に着脱可能に接続されたシート剥離装置100、100a、100b、又はラミネート処理装置200を備えるシステムを構成してもよい。さらにまた、給紙装置(スタッカ)、及び/又はくるみ製本装置などを備えるシステムを構成してもよい。なお、シートSを定着装置176の間を通す場合、そのシートSは、定着温度では接着されず、それよりも高温の熱を与えることにより接着されるものである。
【0086】
さらに、画像形成装置300、400は、シートSと中紙に画像を形成する方式として、電子写真方式を用いているがこれに限定されるものでなく、インクジェット方式や孔版印刷方式などの公知の画像形成方式を用いてもよい。
【0087】
以上、実施形態を用いて本発明を詳細に説明した。この実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して使用できる。例えば、実施形態と変形例をそれぞれ組み合わせてもよい。
【0088】
次に、本発明の特徴部を説明する。
図23は、本発明の実施形態に係るラミネート処理装置の定着部の概略構成図である。ここでは、定着部は簡略化のために一対の熱加圧ローラ120(定着ローラ)として示されている。
このラミネート処理装置200では、定着部は、定着部カバー201内に収容された、固定熱加圧ローラ120a、可動熱加圧ローラ120bなどを有する。固定熱加圧ローラ120aは、固定保持板金202によって保持され、固定されているのに対して、可動熱加圧ローラ120bは可動保持板金203に固定されており、この可動保持板金203は可動保持板金支点206のまわりに回転できるようになっている。そのため、可動熱加圧ローラ120bは、可動保持板金支点206の周りに回転可能である。
【0089】
固定保持板金202と可動保持板金203は加圧ばね207によって接続されており、図示のように定着部カバー201が閉じた状態において、このばね力によって可動保持板金203は固定保持板金202側に引き寄せられている。
【0090】
カム回転支点205周りに回転可能であって、定着部である熱加圧ローラ120(固定熱加圧ローラ120a及び可動熱加圧ローラ120b)を脱圧又は加圧するカム204が、可動保持板金203の外側に配置されている。カム204は台形状の断面を有する。カム204は可動保持板金203に接触しているため、カム204の回転位置によって可動熱加圧ローラ120bの位置を変更することができる。これにより、可動保持板金203及び可動熱加圧ローラ120bを固定保持板金202及び固定熱加圧ローラ120aに対して脱圧したり加圧したりすることができる。
【0091】
カム204を実線矢印方向へ時計回りに回転させると、カム204の長辺部分が可動保持板金203へ接触し、それにより可動熱加圧ローラ120bは固定熱加圧ローラ120aから離間する方向に回動して、脱圧状態となる。カム204を破線矢印方向へ反時計回りに回転させると、カム204の短辺部分が可動保持板金203へ接触し、それにより可動熱加圧ローラ120bは固定熱加圧ローラ120aに向かって回動して、加圧状態となる。
【0092】
可動熱加圧ローラ120bの内部に示した実線矢印は脱圧方向を示し、破線矢印は加圧方向を示している。
ユーザが手動で可動熱加圧ローラ120bの脱加圧を行う場合は、カム204のカム回転支点205の延長軸上に取り付けられた脱加圧用のレバーを操作する。
【0093】
図24は、シート剥離装置の外装カバーと定着部の概略的位置関係を示す図である。
図24(a)は外装カバー208の閉じた状態、
図24(b)は外装カバー208の開いた状態を示す。
図示のように、外装カバー208は、2枚重ねシート(シートS)を剥離するシート剥離機構250とシートSを加熱及び加圧可能な熱加圧ローラ120を覆い、回転軸230の周りに開閉できるよう構成されている。固定熱加圧ローラ120a及び可動熱加圧ローラ120bは、外装カバー208の開閉に連動して開閉しない定着部カバー201で覆われている。シートSの搬送経路209の一部は、カバー外装208側に固定されており、外装カバー208の動きに連動して開閉される。これにより、ユーザは、固定熱加圧ローラ120aと可動熱加圧ローラ120bの間にジャムしたシートSに簡単にアクセスし、ジャム処理できる。加えて、
図23で示した構成を有する定着部が搬送経路209内に配置されている。レバーが取り付けられたレバー軸210がカム204と同一軸上に配置されているため、ユーザがレバーを介してレバー軸210を回転させると、カム204も回転する。
【0094】
なお、
図24における搬送経路209は曲線状の経路を有しているが、搬送経路形状は任意であってこれに限られず、
図20に示すようにローラ間の搬送経路形状は直線状であってもよい。
【0095】
搬送経路209の上流側には、前述したラミネート処理装置200のシート剥離機構250が設けられており、シートは、2枚重ねシート(シートS)となった状態で定着部である熱加圧ローラ120に進入してくる。
【0096】
図25は、本発明の第1実施形態に係るラミネート処理装置の概略正面図である。
このラミネート処理装置200では、ギヤ211が外装カバー208の回転軸230上に設置されており、ギヤ211にはギヤ212が噛み合っている。ギヤ212は多段構成を有し、その大径部はギヤ211と噛み合い、その小径部にはベルト213が掛けられている。ベルト213はまた、
図23で示したカム204と同一軸上に設置されているギヤ214に掛けられており、ギヤ214の回転に伴い定着部の脱加圧状態が変化する。ここで、ギヤ211,212、ベルト213及びギヤ214は、回転軸230とカム204を接続する動力伝達手段を構成している。
【0097】
したがって、ユーザが外装カバー208を回転させると、それに連動してギヤ211も回転し、これに連動してギヤ212、ベルト213及びギヤ214が回転し、よってカム204が回転する。すなわち、外装カバー208の回転軸230の動きに連動して、カム204が熱加圧ローラ120を脱圧又は加圧する。外装カバー208と定着部がギヤとベルトを介して繋がっているため、ユーザが外装カバー208を開くと定着部は脱圧され、外装カバーを閉じると、定着部は加圧される。ゆえに、ラミネート処理装置200のユーザビリティー及び安全性を向上させることができる。
【0098】
本実施形態に係るラミネート処理装置200は以下の効果を有する。
・従来の熱加圧ローラの脱加圧機構では、ユーザは、外装カバーを開いた後にレバーを動かし、熱加圧ローラを脱圧する必要がある。だが本実施形態によれば、外装カバー208の開閉に連動して、熱加圧ローラ120の脱加圧がなされるため、作業工程を減らすことができ、装置のユーザビリティーが向上する。
・外装カバー208の開閉動作と連動して熱加圧ローラ120の脱加圧がなされるため、ユーザによるジャム処理後のレバーの戻し忘れ(すなわち、加圧)を防止できる。
・定着部は単体で独立して構成されているため、回転により脱加圧がなされる装置の場合、外装カバー208と連動する熱加圧ローラ120の脱加圧機構を装置に後付けで追加することができ、定着部自体に変更を加える必要がない。
・熱加圧ローラ120が、外装カバー208の開閉に連動して開閉しない定着部カバー201で覆われているため、外装カバー208を開閉しても、ユーザが高温の熱加圧ローラ120に触ることがなく、安全性が高い。
【0099】
図26は、本発明の第2実施形態に係るシート剥離装置の概略平面図である。
本実施形態のシート剥離装置の基本構成は第1実施形態(
図25)と同様であるため、本実施形態に特徴的な構成部品のみ示している。定着部として、
図23で示した構成を有する定着部が使用されており、ユニット化されている、すなわち定着部は単体で独立して構成されている。ギヤ214aは、
図23で示したカム204と同一軸上に設置されており、定着部のカム204と繋がっている。ギヤ214bはカム204と同一直線上にあるが、定着部と直接繋がっておらず、外装カバー208の回転軸230に動力的に接続している。
【0100】
ギヤ214a,214bはそれぞれカップリングとして形成されており、互いに噛み合っている。それにより、外装カバー208の動きが、ギヤ211,212、ベルト213、ギヤ214b,214aを介してカム204に伝達される。ここで、ギヤ211,212、ベルト213及びギヤ214a,214bは、回転軸230とカム204を接続する動力伝達手段を構成している。
カップリングとして形成されたギヤ214a,214bは互いに連結可能又は分離可能であるため、ユーザは、ユニット化された定着部を図中矢印方向にラミネート処理装置200から取り出すことができる。よって、定着部が故障した際に、定着部をユニットごと交換することができる。
【0101】
図27は、本発明の第3実施形態に係るシート剥離装置の概略構成図である。
図27(a)は同概略正面図、
図27(b)は同概略平面図である。
本実施形態のラミネート処理装置200の基本構成は第1実施形態(
図25)と同様であるため、本実施形態に特徴的な構成部品のみ示している。定着部として、
図23で示した構成を有する定着部が使用されており、ユニット化されている。ラミネート処理装置200は、少なくとも2つの外装カバー、具体的には、それぞれの回転軸周りに回転して装置中央部から両側に開く一方の外装カバー208aと他方の外装カバー208bを有している。ギヤ211は外装カバー208aの回転軸上に設置されており、ギヤ211にはギヤ212が噛み合っている。ギヤ212は多段構成を有し、その大径部はギヤ211と噛み合い、その小径部にはベルト213が掛けられている。
【0102】
同様に、ギヤ217は外装カバー208bの回転軸上に設置されており、ギヤ217にはギヤ218が噛み合っている。ギヤ218も多段構成を有し、その大径部はギヤ217と噛み合い、その小径部にはベルト219が掛けられている。
【0103】
ギヤ220は
図23で示したカム204と同一軸上に設置されており、これと繋がっている。また、ギヤ220は2段に構成されており、上述したように、ギヤ220に掛けられたベルト213,219はそれぞれ、外装カバー208a,208bのギヤ212,218に接続されている。ここで、ギヤ211,212,217,218及びベルト213,219は、外装カバー208a,208bの各回転軸とカム204を接続する動力伝達手段を構成している。
【0104】
よって、外装カバー208aと外装カバー208bが動力的に連結されているため、ユーザが外装カバー208a,208bの一方を開閉すると、これに連動して他方も開閉する。外装カバー208a,208bはカム204とも接続されているため、外装カバー208a,208bの開閉に伴い、熱加圧ローラ120も脱加圧される。
【0105】
このようにして、ラミネート処理装置200が複数の外装カバー208a,208bを有する場合、1つの外装カバーの開閉に連動して他のカバーが開閉される。したがって、ユーザは、ジャム処理の際に複数の外装カバーを開閉する必要がない。
【0106】
図28は、本発明の第4実施形態に係るシート剥離装置の概略正面図である。
図28(a)は、熱加圧ローラ120の脱加圧を検知する場合を示している。
このラミネート処理装置200では、第1実施形態(
図25)の構成に加えて、定着部の脱圧又は加圧を検知する第1検知手段が設けられている。第1検知手段として、カム204の軸に取り付けられたフィラー221と、このフィラー221を挟んで取り付けられた透過型センサ222が設けられている。外装カバー208の回転軸230の周りの開閉に連動してカム204の軸が回転するため、フィラー221も回動し、このフィラー221を透過型センサ222で検出することができる。
【0107】
図28(b)は、外装カバー208の脱加圧を検知する場合を示している。
このラミネート処理装置200では、第1実施形態(
図25)の構成に加えて、外装カバー208の開閉を検知する第2検知手段が設けられている。第2検知手段として、外装カバー208の分割部にセンサ223が設けられている。センサ223は例えばリミットスイッチ等のスイッチであり、これにより、外装カバー208が閉じているか開いているかを判別することができる。
【0108】
従来のシート剥離装置の場合、脱加圧機構と外装カバーの動きが連結されていないため、外装カバーの開閉有無と熱加圧ローラの脱加圧状態を把握したい場合には、これら両者にセンサを設ける必要があった。しかし、本実施形態では、外装カバー208と脱加圧機構が動力的に連結されているために、外装カバー208又は脱加圧機構のいずれか一方にセンサを設けるだけで外装カバー208の開閉有無と熱加圧ローラ120の脱加圧状態を検知でき、コストが削減される。
【0109】
以上、説明したように本発明の実施形態によれば、熱加圧ローラ120が、外装カバー208の開閉に連動して開閉しない定着部カバー201で覆われている一方、外装カバー208の開閉と連動して、熱加圧ローラ120の脱加圧状態が変化する、すなわち熱加圧ローラ120が脱圧又は加圧される。ユーザは外装カバー208を開いた後に、熱加圧ローラ120の脱加圧操作を行う必要がなく、装置のユーザビリティーが向上する。例えばラミネート処理装置におけるラミネートフィルム給紙において重送が発生した場合、ユーザは熱加圧ローラ120の間にジャムしたシートSに簡単にアクセスし、ジャム処理を行うことができる。また、外装カバー208を動かして定着部を露出しても、熱加圧ローラ120は定着部カバー201で覆われているため、ユーザは熱加圧ローラ120に触れられず、安全性が高い。
【0110】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
(態様1)
2枚重ねシートを剥離するシート剥離機構と、
前記2枚重ねシートを加熱及び加圧可能な定着部と、
前記シート剥離機構及び前記定着部を覆い、回転軸の周りに開閉可能である外装カバーと、
前記定着部を脱圧又は加圧するカムと、
前記回転軸と前記カムを接続する動力伝達手段と、を有するラミネート処理装置において、
前記定着部が、前記外装カバーの開閉に連動して開閉しない定着部カバーで覆われており、
前記外装カバーの前記回転軸の動きに連動して、前記カムが前記定着部を脱圧又は加圧する、ことを特徴とするラミネート処理装置。
(態様2)
前記定着部は単体で独立して構成されている、ことを特徴とする態様1に記載のラミネート処理装置。
(態様3)
前記動力伝達手段は、前記カムと同一軸上に設置されたギヤと、前記外装カバーの前記回転軸に接続した別なギヤを有し、当該ギヤと当該別なギヤは互いに連結可能又は分離可能である、ことを特徴とする態様2に記載のラミネート処理装置。
(態様4)
前記外装カバーは少なくとも2つの外装カバーを含み、
一方の外装カバーの回転軸と他方の外装カバーの回転軸と前記カムが、前記動力伝達手段により接続されている、ことを特徴とする態様1に記載のラミネート処理装置。
(態様5)
前記定着部の脱圧又は加圧を検知する第1検知手段、又は前記外装カバーの開閉を検知する第2検知手段を有する、ことを特徴とする態様1~4のいずれか一つに記載のラミネート処理装置。
(態様6)
前記2枚重ねシートのための搬送経路の一部が、前記外装カバー側に固定されており、前記外装カバーの動きに連動して開閉される、ことを特徴とする態様1~5のいずれか一つに記載のラミネート処理装置。
(態様7)
給送された前記2枚重ねシートに画像を形成する画像形成部と、
態様1~6のいずれか一つに記載のラミネート処理装置を有する、ことを特徴とする画像形成装置。
(態様8)
画像形成装置と、
態様1~6のいずれか一つに記載のラミネート処理装置を有する、ことを特徴とする画像形成システム。
【符号の説明】
【0111】
120 熱加圧ローラ(定着部)
200 ラミネート処理装置
204 カム
208,208a,208b 外装カバー
209 搬送経路
214a ギヤ
214b ギヤ(別なギヤ)
221 フィラー(第1検知手段)
222 透過型センサ(第1検知手段)
223 センサ(第2検知手段)
230 回転軸
250 シート剥離機構
300 画像形成装置
S シート(2枚重ねシート)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0112】