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特開2024-132634仲介者システム、取引システム、依頼方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132634
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】仲介者システム、取引システム、依頼方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20240920BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043483
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】黒田 幹朗
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC06
5L050CC06
(57)【要約】
【課題】本開示は、アセットの料金の高騰や使われない無駄なアセットが発生することを抑制するために、リアルタイムのアセットの取引に関する需給管理を行えることを目的とする。
【解決手段】本開示は、アセットの提供者と当該アセットの使用者との間での前記アセットに関する取引の仲介を行う仲介者の仲介者システムであって、一定時間内において、ブロックチェーンネットワークから、特定種類の生産方法によって生産された特定のアセットが複数の提供者によって供給された各供給量を受信すると共に前記特定のアセットが所定の使用者によって使用された使用量を受信する受信部と、前記各供給量の総和である総供給量と前記使用量との差により、前記所定の使用者に仲介すべき前記特定のアセットが不足している場合には、他の仲介者の他の仲介者システムに対して、前記特定のアセットの不足分の移転の依頼を送信する送信部と、を有する仲介システムである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アセットの提供者と当該アセットの使用者との間での前記アセットに関する取引の仲介を行う仲介者の仲介者システムであって、
一定時間内において、ブロックチェーンネットワークから、特定種類の生産方法によって生産された特定のアセットが複数の提供者によって供給された各供給量を受信すると共に前記特定のアセットが所定の使用者によって使用された使用量を受信する受信部と、
前記各供給量の総和である総供給量と前記使用量との差により、前記所定の使用者に仲介すべき前記特定のアセットが不足している場合には、他の仲介者の他の仲介者システムに対して、前記特定のアセットの不足分の移転の依頼を送信する送信部と、
を有する仲介システム。
【請求項2】
前記複数の提供者と前記所定の使用者は、予め前記特定のアセットの取引契約を結んでいる、請求項1に記載の仲介システム。
【請求項3】
アセットの提供者と当該アセットの使用者との間での前記アセットに関する取引の仲介を行う仲介者の仲介者システムであって、
一定時間内において、ブロックチェーンネットワークから、特定種類の生産方法によって生産された特定のアセットが所定の提供者によって供給された供給量を受信すると共に前記特定のアセットが複数の使用者によって使用された各使用量を受信する受信部と、
前記供給量と前記各使用量の総和である総使用量との差により、前記複数の使用者のうちの特定の使用者に仲介すべき前記特定のアセットが不足している場合には、他の仲介者の他の仲介者システムに対して、前記特定のアセットの不足分の移転の依頼を送信する送信部と、
を有する仲介システム。
【請求項4】
前記所定の提供者と前記複数の使用者は、予め前記特定のアセットの取引契約を結んでいる、請求項3に記載の仲介システム。
【請求項5】
アセットの提供者と当該アセットの使用者との間での前記アセットに関する取引の仲介を行う仲介者の仲介者システムであって、
一定時間内において、ブロックチェーンネットワークから、特定種類の生産方法によって生産された特定のアセットが複数の提供者によって供給された各供給量を受信すると共に前記特定のアセットが複数の使用者によって使用された各使用量を受信する受信部と、
前記各供給量の総和である総供給量と前記各使用量の総和である総使用量との差により、前記複数の使用者のうちの特定の使用者に仲介すべき前記特定のアセットが不足している場合には、他の仲介者の他の仲介者システムに対して、前記特定のアセットの不足分の移転の依頼を送信する送信部と、
を有する仲介システム。
【請求項6】
前記複数の提供者と前記複数の使用者は、予め前記特定のアセットの取引契約を結んでいる、請求項5に記載の仲介システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の仲介システムであって、
前記特定のアセットは、再生可能エネルギーによって生産された電力である、仲介システム。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の仲介システムと、
前記他の仲介システムと、
を有する取引システム。
【請求項9】
アセットの提供者と当該アセットの使用者との間での前記アセットに関する取引の仲介を行う仲介者の仲介者システムが実行する依頼方法であって、
一定時間内において、ブロックチェーンネットワークから、特定種類の生産方法によって生産された特定のアセットが複数の提供者によって供給された各供給量を受信すると共に前記特定のアセットが所定の使用者によって使用された使用量を受信する受信処理と、
前記各供給量の総和である総供給量と前記使用量との差により、前記所定の使用者に仲介すべき前記特定のアセットが不足している場合には、他の仲介者の他の仲介者システムに対して、前記特定のアセットの不足分の移転の依頼を送信する送信処理と、
を実行する依頼方法。
【請求項10】
コンピュータに、請求項9に記載の方法を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、仲介者システム、取引システム、依頼方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、再生可能エネルギーによって生産された電力が注目されている。この電力は、太陽光、太陽熱、風力、バイオマス、地熱、水力、大気中の熱等の再生可能エネルギーである資源を利用することで生産される。再生可能エネルギーによる発電は、石油、石炭、液化天然ガス等の化石燃料による発電に比べて、地球温暖化の原因となっているCO2をほとんど排出しないため、電力の生産に利用される資源の中でも、再生可能エネルギーは環境に優しいエネルギー資源である。このような環境に優しいグリーン電力を利用して工場などを稼働させることで、企業価値を向上させることができる。また、再生可能エネルギー等によって生産された電力の取引にブロックチェーンを利用する方法がある(特許文献1参照)。ブロックチェーンは、分散型台帳と呼ばれ、複数のノード(コンピュータ)によって電力等のアセットの取引履歴を示す複数の台帳を紐づけることにより、取引履歴のデータの改ざんを防ぐことができる。
【0003】
また、電力の安定した利用を実現するためには、消費される電力と生産される電力をリアルタイムで同じに調整する必要がある(同時同量)。電力の同時同量を実現するため、一般に、「生産量(供給量)を使用量(需要量)に合わせる」、「使用量(需要量)を生産量(供給量)に合わせる」といった手法で需要と供給のバランスが保たれている。後者はデマンドレスポンスと呼ばれ、予定していた電力消費量を節約により抑えることで、あたかも使用者(消費者)が自ら発電したかのように市場で振る舞い、需要と供給のバランスを保つ方法である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前者の場合、電力等のアセットの仲介者が使用量を予測して生産者から買い付けたときに、予測が外れてアセットが余ったり不足したりすることがある。そのため、その過剰な運営費用のためにアセットの料金が高騰したり、使われない無駄なアセットが発生したりする恐れがあるという課題が生じる。
【0005】
本開示は、アセットの料金の高騰や使われない無駄なアセットが発生することを抑制するために、リアルタイムのアセットの取引に関する需給管理を行えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、アセットの提供者と当該アセットの使用者との間での前記アセットに関する取引の仲介を行う仲介者の仲介者システムであって、他の仲介者の他の仲介者システムから、特定種類の生産方法によって生産された特定のアセットの移転の依頼を受信する受信部と、前記他の仲介者の他の仲介者ノードとデータ共有可能な同じブロックチェーンネットワーク内にある前記仲介者の仲介者ノードに対して、前記特定のアセットの所有権者を、前記仲介者から前記他の仲介者に移転するためのアセットに関するデータを送信する送信部と、を有することを特徴とする仲介者システムである。
【発明の効果】
【0007】
以上説明したように本発明によれば、アセットの料金の高騰や使われない無駄なアセットが発生することを抑制するために、リアルタイムのアセットの取引に関する需給管理を行えるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る取引システムの概略図である。
図2】各システム及び各ノードの電気的なハードウェア構成図である。
図3】取引システムの各機能構成図である。
図4】提供者管理テーブルの概念図である。
図5】取引内容管理テーブルの概念図である。
図6】ブロックチェーンネットワーク内で、生産された電力に関するデータを共有する処理を示すシーケンス図である。
図7】電力に関するデータのデータ構造を示す図である。
図8】ブロックチェーンネットワーク内で、消費された電力に関するデータを共有する処理を示すシーケンス図である。
図9】ブロックチェーンネットワーク内で、仲介された電力に関するデータを共有する処理を示すシーケンス図である。
図10】ブロックチェーンネットワークに余剰電力量を記憶する処理を示すシーケンス図である。
図11】余剰電力量に関するデータのデータ構造を示す図である。
図12】総供給量及び総使用量の算出処理を示すシーケンス図である。
図13】ブロックチェーンネットワークに不足剰電力量及び移転する余剰電力量を記憶する処理を示すシーケンス図である。
図14】不足電力量に関するデータのデータ構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を用いて、本実施形態を詳細に説明する。
【0010】
〔システムの構成の概略〕
まず、取引システム1の構成の概略について説明する。図1は、本実施形態に係る取引システムの概略図である。ここでは、アセットの一例としての電力を取り扱う場合について説明する。
【0011】
<各業者の説明>
図1に示されているように、電力の生産者A、電力の取引市場B、電力の仲介者C、電力の使用者D、及び認証局Eが存在する。生産者A、取引市場B、仲介者C、及び使用者Dは、共通データ基盤の一例として、ブロックチェーンネットワーク100を利用して電力の取引を行う。ブロックチェーンネットワーク100を管理する運営者は、企業等(生産者A、取引市場B、仲介者C、使用者D)を登録制とし、登録を行った企業等に対して、デジタル証明書を交付する。ブロックチェーンネットワーク100は、様々な企業の電力の融通及び取引のデータ(後述の電力に関するデータ、余剰電力に関するデータ、不足電力に関するデータ等)を記憶又は読出するためのAPI(Application Programming Interface)を持つ。標準的なAPIによって、ブロックチェーンの台帳を作成することで、様々な企業がブロックチェーンネットワーク100にアクセスすることができる。
【0012】
実際には、電力は生産者Aから変電所や送電線等によって構築された送配電ネットワークを介して使用者Dに送られる。取引市場B又は仲介者Cは、生産者A及び使用者Dの間で電力の所有権の取引を行う。
【0013】
生産者Aは、提供者の一例であり、再生可能エネルギーによって生産された電力(日本では「グリーン電力」と呼ばれている)の生産に利用される再生可能エネルギーの一例としての太陽光から電力を生産する業者である。なお、生産者Aは、図13燃料の一例としての石油から電力を生産する業者であってもよいが、少なくとも再生可能エネルギーによって電力を生産する業者が含まれる。
【0014】
取引市場Bは、生産者Aが生産した電力(の所有権)を市場取引するための機関である。
【0015】
仲介者Cは、電力(の所有権)の取引の仲介を行う業者である。仲介者Cは、取引市場Bに対して電力を注文し、取引市場Bは仲介者Cに対して電力を販売する。また、仲介者Cは、取引市場Bを介さないで、生産者Aとの間で電力を直接取引することも可能である。ここでは、2つの仲介者C1,C2が登場する。仲介者C1と仲介者C2は、互いに又は一方的に、電力(の所有権)を融通することができる。
【0016】
使用者Dは、使用者の一例であり、仲介者Cに電力を注文し、仲介者Cは使用者Dに電力を販売する。なお、使用者には、アセットが電力のように消費されない不動産等の場合のアセットの所有権をすることになった者も含まれる。使用者Dは、生産方法証明書を用いて、自社の再生可能エネルギー利用率(CO削減率)、再生可能エネルギーの利用に基づく公的補助金の申請等を行うことができる。
【0017】
認証局Eは、取引された電力が再生可能エネルギーを利用することで生産された電力であるか否かを監査する等、アセットの生産方法の種類(特定種類の生産方法)を監査するための国又は地方公共団体等の公的機関である。例えば、電力の生産方法の種類には、太陽光、太陽熱、風力、バイオマス、地熱、水力、大気中の熱、又は原子力等を利用して生成する方法が挙げられる。これらのうち、太陽光、太陽熱、風力、バイオマス、地熱、水力、及び大気中の熱は、再生可能エネルギーとしての大分類に属する。また、石油、石炭、及び液化天然ガスは、図13燃料としての大分類に属する。再生可能エネルギーによる発電は、図13燃料による発電に比べて、地球温暖化の原因となっているCOをほとんど排出しないため、再生可能エネルギーは環境に優しいエネルギー源である。本実施形態では、再生可能エネルギーとして、太陽光、太陽熱、風力、バイオマス、地熱、水力、又は大気中の熱が利用される。また、図13燃料として、石油、石炭、又は液化天然ガスが利用される。
【0018】
認証局Eは、ブロックチェーンネットワーク100に対する監査により、データの書き込みに関する不正を検知した際、この書き込みした企業等に対して証明書の失効等の罰則を与えることで、データの健全性を維持することができる。これにより、ブロックチェーンネットワーク100の非中央集権の性質に基づき、任意のノードが落ちても(抜けても)他のノードがあれば動作する。他企業はシステム(生産者システム5a等)を維持しているため、業務をそのまま継続できる。また、ブロックチェーンで同時同報的に失効が管理されるため、影響範囲を各企業が知ることが出来る。
【0019】
なお、生産者A、取引市場B、使用者D、及び認証局Eは複数あってもよい。また、仲介者Cは、3つ以上あってもよい。
【0020】
<取引システムの全体構成>
続いて、図1を用い、取引システム1の全体構成を説明する。なお、下記各ノードは、当該各ノードへのアクセスを、登録された企業等のデジタル証明書を確認することで認証することで、データに対する記憶(読み書き)の認可を行う。
【0021】
生産者Aは、生産者システム5a及び生産者ノード7aを所有又は管理している。生産者システム5aは、後述の発電システム3から発電量を示す発電量情報を取得する。また、生産者システム5aは、生産者ノード7aにアクセスすることができる。
【0022】
取引市場Bは、取引市場システム5b及び取引市場ノード7bを所有又は管理している。取引市場システム5bは、取引市場ノード7bにアクセス可能である。
【0023】
仲介者C1は、仲介者システム5c1及び仲介者ノード7c1を所有又は管理している。また、仲介者C2は、仲介者システム5c2及び仲介者ノード7c2を所有又は管理している。仲介者システム5c1,5c2は、それぞれ仲介者ノード7c1,7c2にアクセス可能である。
【0024】
使用者Dは、使用者システム5d及び使用者ノード7dを所有又は管理している。使用者システム5dは使用者ノード7dにアクセス可能である。
【0025】
認証局Eは、認証局システム5eを所有又は管理している。認証局システム5eは、ブロックチェーンネットワーク100にアクセスして、取引されている電力が再生可能エネルギーによって生産されたか否か等の監査を行う。
【0026】
また、取引システム1では、蓄電池により、生産された電力を蓄積することが可能である。図1の蓄電池システム5f1,5f2,5f3は、それぞれ蓄電池を含むシステムである。生産者Aは、蓄電池システム5f1に対して電力の充電が可能であり、蓄電池システム5f1から電力の放電が可能である。仲介者Cは、蓄電池システム5f2に対して電力の充電が可能であり、蓄電池システム5f2から電力の放電が可能である。また、蓄電池システム5f1,5f2は、相互に充放電が可能である。更に、使用者Dは、蓄電池システム5f3に対して電力の充電が可能であり、蓄電池システム5f3から電力の放電が可能である。
【0027】
各蓄電池システム5f1,5f2,5f3は、それぞれ蓄電池ノード7f1,7f2,7f3にアクセス可能である。
【0028】
なお、生産者システム5a、取引市場システム5b、仲介者システム5c1,5c2、使用者システム5d、認証局システム5e、及び蓄電池システム5f1,5f2,5f3の総称を「システム5」と示す。また、生産者ノード7a、取引市場ノード7b、仲介者ノード7c1,7c2、使用者ノード7d、及び蓄電池ノード7f1,7f2,7f3の総称を「ノード7」と示す。各ノード7によってブロックチェーンネットワーク100が構築されている。
【0029】
〔各システム及び各ノードのハードウェア構成〕
続いて、図2を用いて、各システム及び各ノードのハードウェア構成を説明する。図2は、各システム及び各ノードのハードウェア構成図である。
【0030】
図2は、各システム及び各ノードの電気的なハードウェア構成図である。
【0031】
図2に示すように、各システム5及び各ノード7は、コンピュータとして、図2に示されているように、CPU101、ROM102、RAM103、SSD104、外部機器接続I/F(Interface)105、ネットワークI/F106、ディスプレイ107、入力デバイス108、メディアI/F109、及びバスライン110を備えている。
【0032】
これらのうち、プロセッサとしてのCPU101は、情報処理端末10全体の動作を制御する。ROM102は、IPL等のCPU101の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM103は、CPU101のワークエリアとして使用される。
【0033】
SSD104は、CPU101の制御に従って各種データの読み出し又は書き込みを行う。なお、SSD104の代わりに、HDD(Hard Disk Drive)を用いてもよい。
【0034】
外部機器接続I/F105は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、ディスプレイ、スピーカ、キーボード、マウス、USBメモリ、及びプリンタ等である。
【0035】
ネットワークI/F106は、インターネット等の通信ネットワークを介してデータ通信をするためのインターフェースである。
【0036】
ディスプレイ107は、各種画像を表示する液晶や有機EL(Electro Luminescence)などの表示手段の一種である。
【0037】
入力デバイス908は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。入力デバイス908の一例として、ポインティングデバイス、タッチパネル等が挙げられる。
【0038】
メディアI/F109は、フラッシュメモリ等の記録メディア109mに対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。記録メディア109mには、DVDやBlu-ray Disc(登録商標)等も含まれる。
【0039】
バスライン110は、図2に示されているCPU101等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0040】
なお、後述の発電システム3は、図2に示す構成に対して、更に発電量を計測する計測センサ111を有している。また、使用者システム5dも同様に、図2に示す構成に対して、更に消費電力量を計測する計測センサ111を有している。
【0041】
〔取引システムの各機能構成〕
続いて、図3を用いて、取引システム1の各機能構成について説明する。なお、取引市場システム5b及び認証局システム5eは、生産者システム5aと同様の構成を有するため、説明を省略する。
【0042】
<発電システム>
図3に示されているように、発電システム3は、スマートメータ等によって構成され、送受信部31及び計測部33を有している。これら各部は、図2に示されている各構成要素のいずれかが、SSD104からRAM103上に展開されたプログラムに従ったCPU101からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0043】
送受信部31は、他の装置(システム)とデータ通信を行う。
【0044】
計測部33は、主に計測センサ111の動作により、一定時間毎に(例えば、30分毎に)、発電施設が生産した電力の発電量を計測する。
【0045】
<生産者システム>
図3に示されているように、生産者システム5aは、送受信部51aを有している。送受信部51aは、図2に示されている各構成要素のいずれかが、SSD104からRAM103上に展開されたプログラムに従ったCPU101からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0046】
送受信部51aは、他の装置(システム)とデータ通信を行う。
【0047】
<仲介者システム>
(仲介者システム5c1)
図3に示されているように、仲介者システム5c1は、送受信部51c1、調整部55c1、及び算出部57c1を有している。これら各部は、図2に示されている各構成要素のいずれかが、SSD104からRAM103上に展開されたプログラムに従ったCPU101からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。また、仲介者システム5c1は、RAM103又はSSD104によって実現された記憶部59c1を有している。
【0048】
((生産者管理テーブル))
図4は、生産者管理テーブルを示す概念図である。生産者管理テーブルは、仲介者C1が電力の生産者を管理するためのテーブルである。記憶部59c1には、図4に示されているような生産者管理テーブルによって構成されている生産者管理DBが構築されている。この生産者管理テーブルでは、生産者ID、生産者名、生産者による電力等のアセットの生産方法の種類、及び電力の供給可能量が関連付けられて管理される。
【0049】
これらのうち、生産者IDは、電力等のアセットの生産者を識別するための生産者識別情報の一例である。生産方法の種類は、アセットの生産に利用されたエネルギーの種類を示す。上述のように、生産方法の種類には、小分類として、太陽光、風力、バイオマス、地熱、水力、石油、石炭、及び液化天然ガス等を利用して生成する方法が挙げられる。なお、生産方法の種類は、再生可能エネルギー又は化石燃料のような大分類が示されるようにしてもよい。供給可能量は、生産者等の生産者が一定期間(又は一定時間)に供給可能なアセット量であり、例えば、電力量(kWh)である。
【0050】
((取引内容管理テーブル))
図5は、取引内容管理テーブルを示す概念図である。取引内容管理テーブルは、消費者等の使用者Dによって設定されたアセットの取引内容を管理するためのテーブルである。記憶部59c1には、図8Aに示されているような取引内容管理テーブルによって構成されている取引内容管理DBが構築されている。この取引内容管理テーブルでは、生産者Aと使用者Dとの間で締結された契約内容としての取引内容情報が管理されており、具体的には、使用者ID、使用者名、使用開始日、使用終了日、使用予定量、再生可能エネルギー利用率、利用率達成期間、生産者ID、生産者名、及び生産方法の種類が関連付けられて管理される。なお、生産者ID等の図4と同じ項目名は、同じ意味を示す。
【0051】
これらのうち、使用者IDは、電力等のアセットの使用者Dを識別するための使用者識別情報の一例である。使用開始日は、使用者Dが電力等のアセットの使用を開始する日を示す情報である。使用終了日は、使用者が電力等のアセットの使用を終了する日を示す情報である。使用予定量は、使用者が一定期間(又は一定時間)に使用する予定のアセット量であり、例えば、電力量(kWh)である。再生可能エネルギー利用率は、使用者Dが使用する電力等のアセットのうち、太陽光等の再生可能エネルギーを利用して生産されたアセットの割合(%)を示す情報である。利用率達成期間は、再生可能エネルギー利用率を達成するための期間を示し、仲介者Cは所定時間(例えば、30分)毎に再生可能エネルギー利用率を達成する必要はなく、利用率達成期間内に達成すれば良い。
【0052】
((各機能構成))
送受信部51c1は、他の装置(システム)とデータ通信を行う。
【0053】
調整部55c1は、例えば、後述の組Fにおける使用者IDを検索キーとして取引内容管理テーブル(図5参照)を検索することで、対応する「再生可能エネルギー利用率」及び「利用率達成期間」の各情報を読み出す。そして、調整部55c1は、所定時間T(例えば、30分)毎に、仲介者C1が所有している電力(の権利)の総電力量のうち、再生可能エネルギーの利用率及び利用率達成期間を考慮して、各使用者Dに電力量を割り当てるための需給調整を行う。即ち、調整部55c1は、再生可能エネルギーを利用することで生産された電力等のように、特定種類の生産方法によって生産された特定のアセットを、取引内容管理テーブルで示される契約内容に応じた量ほど仲介先の各使用者D(使用者)に割り当てる。
【0054】
例えば、使用者A1求めている再生可能エネルギー利用率が40%の場合、調整部55c1は、原則として所定期間T内で「40」%を達成するように使用者A1に電力量を割り当てるが、所定時間T内で再生可能エネルギー利用率が40%の電力を仲介できない場合には、ひとまず化石燃料によりされた電力で補い、利用率達成期間内に利用率が40%になるように、次の所定時間以降で調整する。また、例えば、図5に示すように、使用者ID「U0001」の使用者A1に対する利用率達成期間が「1ヶ月」で、使用者ID「U0002」の使用者A2に対する利用率達成期間が「3ヶ月」の場合、調整部55c1は、期間の短い使用者A1に対して優先的に再生可能エネルギー利用率を満たすように電力量を割り当てる。
【0055】
算出部57c1は、記憶部59c1から、取引内容管理テーブル(図5参照)を検索し、再生可能エネルギーによって電力の生産を行っている生産者のうち、同じ各所定の生産者の生産者ID、及び当該各所定の生産者と取引契約を結んでいる各所定の使用者の使用者IDを読み出す。これにより、算出部57c1は、同じ各所定の生産者と各所定の使用者の組Fを特定する。例えば、算出部57c1は、記憶部59c1から、取引内容管理テーブルを検索し、再生可能エネルギーによって電力の生産を行っている生産者A1,A2,A3のうち、同じ所定の生産者A1,A2の生産者ID「P0001」,「P0002」、及び、所定の生産者A1,A2と取引契約を結んでいる各所定の使用者D1,D2の使用者ID「U0001」,「U0002」を読み出す。これにより、算出部57c1は、各所定の生産者A1,A2と各所定の使用者D1,D2である4者による組Fを特定する。
【0056】
また、算出部57c1は、取引内容管理テーブルから、各所定の使用者が要求している再生可能エネルギー利用率の情報を読み出す。例えば、算出部57c1は、取引内容管理テーブルから、各所定の使用者が要求している再生可能エネルギー利用率「40」,「50」を読み出す。
【0057】
更に、算出部57c1は、所定時間T(例えば、30分)毎に、送受信部51c1によって仲介者ノード7c1から取得された電力(の権利)の各供給量のうち、同じ上記組F内の各生産者が供給した電力の供給量SUiの総和を(式1)を利用して計算することで、総供給量TSUを算出する。なお、(式1)において、nは組F内の生産者数を示す。
【0058】
【数1】
また、算出部57c1は、上記と同じ所定時間T毎に、送受信部51c1によって仲介者ノード7c1から取得された電力(の権利)の各使用量のうち、同じ上記組F内の各使用者が使用した電力の使用量USiに各使用者が契約している再生可能エネルギー利用率URiを掛けた後の総和を(式2)を利用して計算することで、再生可能エネルギーによって生産された電力の総供給量TUSを算出する。なお、(式2)において、mは組F内の使用者数(消費者数)を示す。
【0059】
【数2】
更に、算出部57c1は、(式3)を利用して、同じ組F内で、総使用量から総供給量を引くことで、再生可能エネルギーによって生産された電力の不足供給量SSを算出する。
【0060】
不足電力量SS=総使用量TUS-総供給量TSU・・・(式3)
なお、総供給量から総使用量を引いても良い。
【0061】
また、再生可能エネルギーとは異なり、化石燃料から生成された電力は、季節及び昼夜を問わず生成し易い。更に、化石燃料で生成された電力は再生可能エネルギーで生成された電力として使用者Dに提供することはできないが、再生可能エネルギーで生成された電力は再生可能エネルギー利用率を超えて使用者Dに提供することができる。そのため、仲介者C1が使用者Dに、再生可能エネルギーで生成されなかった電力(の権利)を提供する場合に、提供すべき電力が不足する可能性は少ないが、仮に不足した場合には、上記組F内において、上記(式1)~(式3)を用いて、同様の処理により、不足電力量が算出される。
【0062】
また、上記組Fは、複数の生産者Aと複数の使用者Dの組合せだけでなく、複数の生産者Aと単数の所定の使用者Dの組合せでもよく、単数の所定の生産者Aと複数の使用者Dの組合せでもよい。
【0063】
(仲介者システム5c2)
図3に示されているように、仲介者システム5c2は、送受信部51c2、調整部55c2、及び算出部57c2を有している。これら各部は、図2に示されている各構成要素のいずれかが、SSD104からRAM103上に展開されたプログラムに従ったCPU101からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。また、仲介者システム5c2は、RAM103又はSSD104によって実現された記憶部59c2を有している。
【0064】
送受信部51c2、調整部55c2、及び算出部57c2は、それぞれ上述の送受信部51c1、調整部55c1、及び算出部57c1と同様の機能を有するため、これらの説明を省略する。また、記憶部59c2は、上述の記憶部59c1と同様のテーブル(図4図5参照)を管理しているため、説明を省略する。
【0065】
送受信部51c2は、他の装置(システム)とデータ通信を行う。
【0066】
<使用者システム>
図3に示されているように、使用者システム5dは、スマートメータ等によって構成され、送受信部51d及び計測部53dを有している。これら各部は、図2に示されている各構成要素のいずれかが、SSD104からRAM103上に展開されたプログラムに従ったCPU101からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0067】
送受信部51dは、他の装置(システム)とデータ通信を行う。
【0068】
計測部53dは、主に計測センサ111の動作により、一定時間毎に(例えば、30分毎に)、電気製品が消費した電力の消費量を計測する。
【0069】
<各ノード>
続いて、各ノードの各機能構成について説明する。なお、蓄電池ノード7f1,7f2,7f3は、生産者ノード7a等と同様の構成を有するため、説明を省略する。
【0070】
生産者ノード7aは、送受信部71a、及び記憶読出部78aを有している。また、生産者ノード7aは、図2に示されているROM102、RAM103、又はSSD104によって構築される記憶部79aを有している。
【0071】
送受信部71dは、他の装置(システム)とデータ通信を行う。
【0072】
記憶読出部78aは、記憶部79aに、データ(情報)を記憶したり、記憶部79aからデータ(情報)を読み出したりする。
【0073】
なお、仲介者ノード7c1、仲介者ノード7c2、及び使用者ノード7dは、それぞれ送受信部71c1,71c2,71dを有しており、送受信部71dと同様の機能を有するため、説明を省略する。また、仲介者ノード7c1、仲介者ノード7c2、及び使用者ノード7dは、それぞれ記憶読出部78a,78c1,78c2,78dを有しており、記憶読出部78aと同様の機能を有するため、説明を省略する。更に、仲介者ノード7c1、仲介者ノード7c2、及び使用者ノード7dは、それぞれ図2に示されているROM102、RAM103、又はSSD104によって構築される記憶部79c1,79c2,79dを有しており、記憶部79aと同様の構成であるため、説明を省略する。
【0074】
〔取引システムの処理又は動作〕
続いて、図6乃至図14を用いて、本実施形態の取引システムの処理又は動作について説明する。なお、各企業等(生産者A、取引市場B、仲介者C1,C2、使用者D等)は、各企業等が抱えるシステムや装置を書込標準APIに対応させることで、各企業等が有するノード7に対してデータを記憶(書き込み)が出来るようになり、その結果としてブロックチェーンネットワーク100を利用することができるようになる。例えば、図1の生産者Aの場合、発電施設の制御盤を書込標準APIに対応させ、生産者ノード7aに対して発電施設の制御盤から書き込み操作を行うことが出来る。また、発電施設の発電量のデータを生産者システム5aにいったん集約させ、その生産者システム5aから生産者ノード7aに対して書き込み操作を行うことも出来る。
【0075】
<電力融通を行う処理>
図6乃至図14を用いて、仲介者C1及び仲介者C2が電力を融通する一連の処理を説明する。後述の図6乃至図14で示される処理は、例えば、1日のうちで30分毎に行われる。本実施形態では、リアルタイム性を維持するため、データ書き込み時間の短い仕組み(例えば、コンソーシアム型のブロックチェーンネットワーク)を用いることが望ましい。複数の仲介者Cが、電力の融通及び取引のデータ(電力に関するデータ、余剰電力に関するデータ、不足電力に関するデータ等)を確認できる状態にし、お互いに電力の融通を可能な状況が構築される。リアルタイム性とは、電力取引に間に合う時間を指し、日本の場合の電力の集計は、2022年度時点では30分毎に行われるために、30分間で発電量や消費量、それらの取引を含めて終わらせることを指す。今後、規則等が改定されリアルタイムの定義が15分毎などに変更される可能性もある。
【0076】
これにより、従来の電力管理のブロックチェーン運用にはない価値が新たに生まれる。例えば、リアルタイムに電力の過不足状況が可視化されることで、同時同量維持のための再生可能エネルギーの融通が可能になる。ブロックチェーンの台帳自体が証拠性を持っており、企業間の取引における信用コストを下げることが可能である。そのため、再生可能エネルギーを企業が抱えることのリスク低減が可能になり再エネを抱えやすくなる。結果として、再生可能エネルギーへの投資を将来的に行い易くなる。
【0077】
なお、以下では取引市場Bを介さないで、仲介者Cが生産者Aから直接電力を取引する場合について説明する。また、後述の図6乃至図14で示される処理は、上述のように30分毎に行われるが、実際の仲介者(小売事業者)の業務としては、電力の需給予測を1日前には提出することが義務付けられている。そのため、余剰電力量及び不足電力量については、1日前の予測データに基づいて作成され、予め取引合意を為すなどの方法が用いられてもよい。
【0078】
(生産された電力に関するデータの共有)
まず、図6を用いて、ブロックチェーンネットワーク内で、生産者Aによって生産された電力に関するデータを共有する処理を説明する。図6は、ブロックチェーンネットワーク内で、生産された電力に関するデータを共有する処理を示すシーケンス図である。
【0079】
S11:発電システム3では、計測部33が発電量を計測し、送受信部31が計測された発電量を示す発電量情報を生産者システム5aに送信する。これにより、生産者システム5aの送受信部51aは発電量情報を受信する。
【0080】
S12:生産者システム5aの送受信部51aは、生産者ノード7aに発電量情報を含む電力に関するデータを送信する。これにより、生産者ノード7aの送受信部71aは電力に関するデータを受信し、記憶読出部78aが記憶部79aに電力に関するデータを記憶する。
【0081】
図7は、電力に関するデータのデータ構造を示す図である。図7に示されているように、電力に関するデータには、ブロックチェーン内のデータ構造タイプを示すフィールド、ブロックチェーン内の電力に関するデータの一意のデータID、取引状態(発電、小売(仲介)、消費等)、生産方法の種類(太陽光、風力等の分類)、当該電力が再生可能エネルギーから生産されたか否かを示すフラグ、電力の生産日時、当該電力の電力量、発電者(生産者)、電力の所有権者、電力の前所有権者、当該電力に関するデータを分割する際の親の電力に関するデータのデータID、当該電力に関するデータ分割する際の子の電力に関するデータのデータID、及び拡張属性が含まれている。例えば、生産された電力の電力量が10kWhの場合、そのうち仲介者Cが使用者Dに6kWhを販売(仲介)すると、4kWhの電力量を示した親の電力に関するデータと、6kWhの電力量を示した子の電力に関するデータが生成されるため、それぞれのデータにデータIDが付されて、図7のように管理される。
【0082】
また、当初は、図7に示されているデータ構造では、取引状態が「発電」、電力の所有権者が「仲介者C1」、電力の前所有権者が「生産者A」等で示される。
【0083】
なお、renewableFlagに関しては、再生可能エネルギーと非再生可能エネルギー(図13燃料)のについては扱わない。仲介者C2が各時間に対して、再生可能エネルギー用の余剰電力と非再生可能エネルギー用の余剰電力を作れば良いし、非再生可能エネルギー関しては余剰電力に関するデータを作らず、JEPX(日本卸電力取引所)に売却しても良い。
【0084】
S13:生産者ノード7aの送受信部71aは、仲介者ノード7c1に電力に関するデータを送信する。これにより、仲介者ノード7c1の送受信部71c1は電力に関するデータを受信し、記憶読出部78c1が記憶部79c1に電力に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0085】
S14:生産者ノード7aの送受信部71aは、仲介者ノード7c2に電力に関するデータを送信する。これにより、仲介者ノード7c2の送受信部71c2は電力に関するデータを受信し、記憶読出部78c2が記憶部79c2に電力に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0086】
S15:生産者ノード7aの送受信部71aは、使用者ノード7dに電力に関するデータを送信する。これにより、使用者ノード7dの送受信部71dは電力に関するデータを受信し、記憶読出部78dが記憶部79dに電力に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0087】
(消費された電力に関するデータの共有)
次に、図8を用いて、ブロックチェーンネットワーク100内で、使用者Dによって消費された電力に関するデータを共有する処理を説明する。図8は、ブロックチェーンネットワーク内で、消費された電力に関するデータを共有する処理を示すシーケンス図である。なお、処理の時間的な流れとしては、図8の処理が図13の処理よりも後に行われる。
【0088】
S31:使用者システム5dでは、計測部53dが電力の消費量を計測し、送受信部51dが、計測部53dによって計測された消費量を示す電力に関するデータを使用者ノード7dに送信する。これにより、使用者ノード7dの送受信部71dは電力に関するデータを受信し、記憶読出部78dが記憶部79dに電力に関するデータを記憶する。この場合、図7に示されているデータ構造では、取引状態が「消費」、電力の所有権者が「使用者D」、電力の前所有権者が「仲介者C1」等で示される。
【0089】
S32:使用者ノード7dの送受信部71dは、生産者ノード7aに電力に関するデータを送信する。これにより、生産者ノード7aの送受信部71aは電力に関するデータを受信し、記憶読出部78aが記憶部79aに電力に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0090】
S33:使用者ノード7dの送受信部71dは、仲介者ノード7c1に電力に関するデータを送信する。これにより、仲介者ノード7c1の送受信部71c1は電力に関するデータを受信し、記憶読出部78c1が記憶部79c1に電力に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0091】
S34:使用者ノード7dの送受信部71dは、仲介者ノード7c2に電力に関するデータを送信する。これにより、仲介者ノード7c2の送受信部71c2は電力に関するデータを受信し、記憶読出部78c2が記憶部79c2に電力に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0092】
(仲介された電力に関するデータの共有)
次に、図9を用いて、ブロックチェーンネットワーク内で、仲介者C1,C2によって仲介された電力に関するデータを共有する処理を説明する。図9は、ブロックチェーンネットワーク内で、仲介された電力に関するデータを共有する処理を示すシーケンス図である。
【0093】
S51:仲介者システム5c1では、調整部55c1が、仲介者C1によって所有されている現在の電力の総電力量のうち、使用者Dとの契約内容に従い、使用者Dに対して電力の生産方法の種類(太陽光、風力等の分類)及び電力量を割り当てるための需給調整を行う。
【0094】
S52:仲介者システム5c1では、送受信部51c1が、調整部55c1によって需給調整されることで割り当てられた電力に関するデータを仲介者ノード7c1に送信する。これにより、仲介者ノード7c1の送受信部71c1は電力に関するデータを受信し、記憶読出部78c1が記憶部79c1に電力に関するデータを記憶する。この場合、図7に示されているデータ構造では、取引状態が「小売(仲介)」、電力の所有権者が「仲介者C1」、電力の前所有権者が「生産者A」等で示される。
【0095】
S53:仲介者ノード7c1の送受信部71c1は、生産者ノード7aに電力に関するデータを送信する。これにより、生産者ノード7aの送受信部71aは電力に関するデータを受信し、記憶読出部78aが記憶部79aに電力に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0096】
S54:仲介者ノード7c1の送受信部71c1は、仲介者ノード7c2に電力に関するデータを送信する。これにより、仲介者ノード7c2の送受信部71c2は電力に関するデータを受信し、記憶読出部78c2が記憶部79c2に電力に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0097】
S55:仲介者ノード7c1の送受信部71c1は、使用者ノード7dに電力に関するデータを送信する。これにより、使用者ノード7dの送受信部71dは電力に関するデータを受信し、記憶読出部78dが記憶部79dに電力に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0098】
なお、仲介者C2についても、仲介者C1と同様の処理が行われる(S56~S60)。
【0099】
(余剰電力に関するデータの共有)
次に、図10及び図11を用いて、ブロックチェーンネットワーク内で、仲介者C2によって余剰電力に関するデータを共有する処理を説明する。図10は、ブロックチェーンネットワーク内で、余剰電力に関するデータを共有する処理を示すシーケンス図である。なお、以下では、仲介者C2が所有する電力(再生可能エネルギーによって生産された電力)が余っている場合について説明する。
【0100】
S71:仲介者システム5c2では、算出部57c2が、仲介者C2によって所有されている現在の電力の総電力量のうち、契約通りに使用者Dに提供しても余ってしまう電力の電力量を算出する。
【0101】
S72:仲介者システム5c2では、送受信部51c2が、算出部57c2によって算出された余剰電力に関するデータを仲介者ノード7c2に送信する。なお、この余剰電力に関するデータには、この電力が再生可能エネルギーから生成されたか否かを示すフラグが含まれている。これにより、仲介者ノード7c2の送受信部71c2は余剰電力に関するデータを受信し、記憶読出部78c2が記憶部79c2に余剰電力に関するデータを記憶する。
【0102】
図11は、余剰電力に関するデータのデータ構造を示す図である。図11に示されているように、余剰電力に関するデータには、ブロックチェーン内のデータ構造タイプを示すフィールド、ブロックチェーン内の余剰電力に関するデータの一意のデータID、余剰電力の状態(発電、小売(仲介)、売約(仲介済み)等)、当該電力が再生可能エネルギーから生産されたか否かを示すフラグ、余剰電力の生産日時、余剰電力総量、残余剰電力量、余剰電力に関するデータの生産者、電力に関するデータ(図7参照)との紐づけ、及び拡張属性が含まれている。
【0103】
「余剰電力の発生日時」は、仲介者C2によって余剰電力が発生した日時を示す。「余剰電力総量」は、仲介者C2によって所有されている現在の電力の総電力量のうち、契約通りに使用者Dに提供したとしても余ってしまう電力の総電力量を示す。「残余剰電力量」は、余剰電力総量のうち現時点で残っている余剰電力量を示す。これにより、余剰電力に関するデータが仲介者C1にも共有された場合には、仲介者C1は、「当該電力が再生可能エネルギーから生産されたか否かを示すフラグ」及び「残余剰電力量」を参照することで、仲介者C2から融通してもらうことができる電力(再生可能エネルギーから生産された電力)の電力量を把握することができる。
【0104】
S73:仲介者ノード7c2の送受信部71c2は、生産者ノード7aに余剰電力に関するデータを送信する。これにより、生産者ノード7aの送受信部71aは余剰電力に関するデータを受信し、記憶読出部78aが記憶部79aに余剰電力に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0105】
S74:仲介者ノード7c2の送受信部71c2は、仲介者ノード7c1に余剰電力に関するデータを送信する。これにより、仲介者ノード7c1の送受信部71c1は余剰電力に関するデータを受信し、記憶読出部78c1が記憶部79c1に余剰電力に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0106】
S75:仲介者ノード7c2の送受信部71c2は、使用者ノード7dに電力に関するデータを送信する。これにより、使用者ノード7dの送受信部71dは余剰電力に関するデータを受信し、記憶読出部78dが記憶部79dに余剰電力に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0107】
(不足電力に関するデータの共有・余剰電力の移転に関するデータの共有)
次に、図12乃至図14を用いて、ブロックチェーンネットワーク内で、仲介者C1によって不足電力に関するデータを共有する処理及び仲介者C2によって余剰電力の移転に関するデータを共有する処理を説明する。図12は、総供給量及び総使用量の算出処理を示すシーケンス図である。図13は、ブロックチェーンネットワーク内で、不足電力に関するデータを共有する処理及び余剰電力の移転に関するデータを共有する処理を示すシーケンス図である。なお、以下では、仲介者C1が所有する電力(再生可能エネルギーによって生産された電力)が不足している場合について説明する。
【0108】
S91:仲介者C1が複数の生産者Aから複数の使用者Dに対して、電力の(権利の)移転を仲介する場合、図12に示すように、仲介者システム5c1の算出部57c1は、記憶部59c1の取引内容管理テーブル(図5参照)から、同じ各所定の生産者と取引契約を結んでいる各所定の使用者の使用者IDを読み出す。
【0109】
S92:更に、算出部57c1は、取引内容管理テーブルから、各所定の使用者の使用者IDに対応する各再生可能エネルギー利用率を読み出す。
【0110】
S93:送受信部51c1は、一定時間毎に(例えば、30分毎に)、仲介者ノード7c1にアクセスして、上記各所定の生産者の最新の電力の供給量のデータを取得する。
【0111】
S94:算出部57c1は、上記(式1)を用いて、送受信部51c1によって取得された各供給量の総和を計算して、総供給量を算出する。
【0112】
S95:送受信部51c1は、処理S93と同じ一定時間毎に(例えば、30分毎に)、仲介者ノード7c1にアクセスして、上記各所定の使用者の最新の電力の使用量(消費量)のデータを取得する。
【0113】
S96:算出部57c1は、上記(式2)を用いて、送受信部51c1によって取得された各使用量の総和を計算して、総使用量を算出する。
【0114】
S111:図13に進み、仲介者システム5c1では、算出部57c1は、上記(式3)を用いて、仲介者C1が各所定の使用者Dに契約通りに提供すべき電力の不足電力量を算出する。この場合、上述のように、利用率達成期間に基づき各所定の使用者に優先順位を付けて、各所定の使用者Dに提供すべき電力の不足電力量を算出する。そして、各所定の使用者Dのうち、提供すべき電力が不足している特定の使用者Dが存在する場合、処理S112以降の処理が行われる。なお、提供すべき電力が不足している特定の使用者Dが存在しない場合は、図9に示す通常の処理が行われる。
【0115】
S112:仲介者システム5c1では、送受信部51c1が、算出部57c1によって算出された不足電力に関するデータを仲介者ノード7c1に送信する。なお、この不足電力に関するデータには、この電力が再生可能エネルギーから生成されたことを示すフラグが含まれている。これにより、仲介者ノード7c1の送受信部71c1は不足電力に関するデータを受信し、記憶読出部78c1が記憶部79c1に不足電力に関するデータを記憶する。
【0116】
図14は、不足電力に関するデータのデータ構造を示す図である。図14に示されているように、不足電力に関するデータには、ブロックチェーン内のデータ構造タイプを示すフィールド、ブロックチェーン内の不足電力に関するデータの一意のデータID、不足電力の状態(登録、不足中、補填済み等)、当該電力が再生可能エネルギーから生産されたか否かを示すフラグ、不足電力の生産日時、不足電力総量、残不足電力量、不足電力に関するデータの生産者、電力に関するデータ(図7参照)との紐づけ、及び拡張属性が含まれている。
【0117】
「不足電力の発生日時」は、仲介者C1によって不足電力が発生した日時を示す。「不足電力総量」は、仲介者C1が契約通りに使用者Dに提供する予定の電力の総電力量のうち、不足して提供できない電力の総電力量を示す。「残不足電力量」は、他の仲介者C2等から電力を融通してもらった結果、不足電力総量のうち現時点で残っている不足電力量を示す。
【0118】
S113:仲介者ノード7c1の送受信部71c1は、生産者ノード7aに不足電力に関するデータを送信する。これにより、生産者ノード7aの送受信部71aは不足電力に関するデータを受信し、記憶読出部78aが記憶部79aに不足電力に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0119】
S114:仲介者ノード7c1の送受信部71c1は、仲介者ノード7c2に不足電力に関するデータを送信する。これにより、仲介者ノード7c2の送受信部71c2は不足電力に関するデータを受信し、記憶読出部78c2が記憶部79c2に不足電力に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0120】
S115:仲介者ノード7c1の送受信部71c1は、使用者ノード7dに不足電力に関するデータを送信する。これにより、使用者ノード7dの送受信部71dは不足電力に関するデータを受信し、記憶読出部78dが記憶部79dに不足電力に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0121】
S116:仲介者システム5c1では、調整部55c1が処理S74でデータ共有された余剰電力に関するデータに基づき、余剰電力の電力量の範囲で移転可能な電力量を認識し、仲介者システム5c1の送受信部51c1が、仲介者システム5c2に対して、仲介者C2が現時点で所有する余剰電力の移転依頼を送信する。この移転依頼には、移転の依頼元名及び移転依頼を希望する電力の電力量の各情報が含まれている。これにより、仲介者システム5c2の送受信部51c2は、余剰電力の移転依頼を受信する。
【0122】
S117:仲介者システム5c2では、算出部57c2が仲介者システム5c1から移転依頼された電力量分の電力を移転できるかを判断する。そして、移転できる場合には、送受信部51c2が、仲介者システム5c1から依頼された電力量に応じた余剰電力に関するデータを仲介者ノード7c2に送信する。これにより、仲介者ノード7c2の送受信部71c2は余剰電力に関するデータを受信し、記憶読出部78c2が記憶部79c2に余剰電力に関するデータを記憶する。この場合、図11に示されているデータ構造では、取引状態が「小売(仲介)」、電力の所有権者が「仲介者C1」、電力の前所有権者が「仲介者C2」等で示される。また、「残余剰電力量」も更新される。
【0123】
S118:仲介者ノード7c2の送受信部71c2は、生産者ノード7aに余剰電力に関するデータを送信する。これにより、生産者ノード7aの送受信部71aは余剰電力に関するデータを受信し、記憶読出部78aが記憶部79aに余剰電力に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0124】
S119:仲介者ノード7c2の送受信部71c2は、仲介者ノード7c1に余剰電力に関するデータを送信する。これにより、仲介者ノード7c1の送受信部71c1は余剰電力に関するデータを受信し、記憶読出部78c1が記憶部79c1に余剰電力に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0125】
S120:仲介者ノード7c2の送受信部71c2は、使用者ノード7dに電力に関するデータを送信する。これにより、使用者ノード7dの送受信部71dは余剰電力に関するデータを受信し、記憶読出部78dが記憶部79dに余剰電力に関するデータを記憶することで、データ共有する。
【0126】
〔実施形態の主な効果〕
以上説明したように本実施形態によれば、仲介者システム5c1が必要な種類の生産方法によって生産された特定のアセットの所有権を持ち合わせていない場合には、仲介者システム5c2から譲り受けることで、リアルタイムのアセットの取引に関する需給管理を行うことができる。これにより、アセットの料金の高騰や使われない無駄なアセットが発生することを抑制することができるという効果を奏する。
【0127】
また、ブロックチェーンネットワーク100を構築することで、再生可能エネルギーの融通又は取引のデータ(電力に関するデータ、余剰電力に関するデータ、不足電力に関するデータ等)が記憶され、証拠性を持つため、再生可能エネルギーの利用の証拠性を残すことができる。このブロックチェーンネットワーク100による仕組みは、証書以外に再生可能エネルギーの価値を証明する手段になり得る。また、証書の発行に係る費用と比較し、システムの自動化により低コストによる証拠性保証手段になり得る。更に、証書と異なり、リアルな電力に再生可能エネルギーの価値を付けることで、再生可能エネルギーの促進につながる。また、石油等の図13燃料を用いて後から再生可能エネルギーの価値だけを割り付けるなどを行った場合等と区別することもできる。このブロックチェーンネットワーク100を用いた仕組みを標準化することで、各企業が容易に再生可能エネルギーの利用に参画可能な仕組みを作ることができる。再生可能エネルギーの複数企業によるバランシングなど、構想はあっても実ビジネスに展開できていない様々な電力の新規ステークホルダーに対して、APIを提供することで実現を促し、新規事業の創出を行うことができる。
【0128】
なお、上述のような電力融通の方法として、本方式以外には例えばアグリゲーターによる複数社を束ねた電力調整などの方法が提案されている。但し、この手段を用いる場合はアグリゲーション関係にある電力会社は別途契約関係を結ぶ必要があり、調整力としては限定的な領域になる。ブロックチェーンを使うことのメリットは、このような証拠性及び契約関係をブロックチェーンネットワーク100自体に持たせることであり、これによるブロックチェーン台帳を経由することで、各社間で自由な取引が可能となる。
【0129】
〔その他〕
(1)上記実施形態では、アセットの一例として電力が示されたが、これに限るものではなく、以下のように、物理的に(又は現実に)存在するアセットと物理的に(又は現実に)存在しないアセットも含まれる。また、電力に関するデータは、アセットに関するデータの一例である。余剰電力に関するデータは、余剰アセットに関するデータの一例である。不足電力に関するデータは不足アセットに関するデータである。
【0130】
(1-1)物理的に(又は現実に)存在するアセットとして、穀物、野菜、果物、肉、水産物又は加工品等の食物が挙げられる。アセットが、穀物、野菜及び果物の場合、アセットに関するデータは、「生産方法の種類」として、農薬を使ったか否かを示す情報、又は生産者若しくは生産地を示す情報等の付帯情報を示す。
【0131】
アセットが肉の場合、アセットに関するデータは、「生産方法の種類」として、遺伝子組み換え作物を使って飼育された動物であるか否かを示す情報、又は生産者若しくは生産地を示す情報等の付帯情報を示す。
【0132】
アセットが魚や貝等の水産物の場合、アセットに関するデータは、「生産方法の種類」として、天然物又は養殖物を示す情報、又は生産者(漁獲者)若しくは生産地域(漁獲地域)を示す情報等の付帯情報を示す。
【0133】
アセットが加工品の場合、アセットに関するデータは、「生産方法の種類」として、アレルギー物質を示す情報、遺伝子組み換え作物を使って加工されたか否かを示す情報、又は、加工者若しくは加工所の場所を示す情報等の付帯情報を示す。
【0134】
(1-2)更に、物理的に(又は現実に)存在するアセットとして、土地や建物等の不動産、品物又は品物の量等の動産が挙げられる。
【0135】
アセットが不動産の場合、アセットに関するデータは所有権等の付帯情報を示す。アセットが動産の場合、アセットに関するデータは所有権等の付帯情報を示す。
【0136】
(1-3)一方、物理的に(又は現実に)存在しないアセットとして、トークン(仮想通貨)又はトークンの量、二酸化炭素排出権、知的財産権等の権利、契約等が挙げられる。
【0137】
アセットがトークンの場合には、アセットに関するデータは所有権等の付帯情報を示す。
【0138】
アセットが二酸化炭素排出権の場合には、アセットに関するデータは所有権等の付帯情報を示す。
【0139】
アセットが知的財産権等の権利の場合には、アセットに関するデータは、権利の帰属者、権利譲渡先、及び実施権者等の付帯情報を示す。
【0140】
アセットが契約の場合には、アセットに関するデータは、契約条件や履行状況等の付帯情報を示す。なお、契約だけでなく、条約、協定、約束、覚書、メモ等も契約と同様である。
【0141】
(1-4)また、後払いの処理のような場合のアセットとしては、電力だけでなく、ガス、水道水、通話等が含まれる。ガス、水道水、及び通話の場合には、アセットに関するデータは所有権等の付帯情報を示す。
【0142】
(2)また、太陽光によって生産された電力は、特定種類の生産方法によって生産されたアセットの一例である。特定種類の生産方法によって生産されたアセットには、上述の様々な「生産方法の種類」の生産方法によって生産されたアセットが含まれる。
【0143】
(3)各CPU101は、単一であってもよく複数であってもよい。
【0144】
(4)また、上述の実施形態における各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本実施形態における「処理回路」は、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上述した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)、SOC(System on a chip)、GPU、及び従来の回路モジュール等のデバイスを含む。
【0145】
(5)また、上記各プログラムは、(非一時的な)記録媒体に記録されることで、流通されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0146】
1 取引システム
3 発電システム
5a 生産者システム
5c1 仲介者システム
5c2 仲介者システム(他の仲介システムの一例)
5d 使用者システム
7a 生産者ノード
7c1 仲介者ノード
7c2 仲介者ノード(他の仲介者ノードの一例)
7d 使用者ノード
51c1 送受信部(受信部の一例、送信部の一例)
51c2 送受信部
55c1 調整部
55c2 調整部
57c1 算出部
57c2 算出部
71c1 送受信部
71c2 送受信部
78c1 記憶読出部
78c2 記憶読出部
79c1 記憶部
79c2 記憶部
100 ブロックチェーンネットワーク
A 生産者(提供者の一例)
C 仲介者
C1 仲介者
C2 仲介者
D 使用者(消費者)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0147】
【特許文献1】特開2019-144851号公報
図1
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