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特開2024-132684情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132684
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/38 20190101AFI20240920BHJP
【FI】
G06F16/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043555
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】藤田 雄大
【テーマコード(参考)】
5B175
【Fターム(参考)】
5B175DA01
5B175FB03
5B175JC04
(57)【要約】
【課題】知識の共有状態の適否の判断を支援すること。
【解決手段】情報処理装置は、複数種類のデータを含む第1のデータ群の中から、或る人に関連する第2のデータ群を取得する取得部と、前記或る人に関連する知識を示す文字列を前記第2のデータ群から抽出する抽出部と、前記第2のデータ群の中で前記文字列の抽出元となった第3のデータ群に基づいて、前記知識の共有状態の適否を判定する判定部と、前記判定部による判定結果に基づく情報を出力する出力部と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類のデータを含む第1のデータ群の中から、或る人に関連する第2のデータ群を取得する取得部と、
前記或る人に関連する知識を示す文字列を前記第2のデータ群から抽出する抽出部と、
前記第2のデータ群の中で前記文字列の抽出元となった第3のデータ群に基づいて、前記知識の共有状態の適否を判定する判定部と、
前記判定部による判定結果に基づく情報を出力する出力部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記第3のデータ群における所定の種別のデータの割合が所定条件に合致するか否か判定する、
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記出力部は、前記文字列と前記或る人との関連を示す情報を出力する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記抽出部は、前記文字列が示す知識が属するカテゴリが前記或る人に対応付けられている知識のカテゴリに一致する場合に当該文字列を抽出する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記取得部は、前記第1のデータ群の中から、複数人のそれぞれについて当該人に関連する前記第2のデータ群を取得し、
前記抽出部は、前記複数人のそれぞれについて、当該人に係る前記第2のデータ群から前記文字列を抽出し、
前記複数人に係る前記第2のデータ群、又は前記複数人の属性に基づいて、前記複数人における人と人との関連を推定する推定部を有し、
前記出力部は、前記人と前記文字列との関連と、前記人と人との関連とを示す情報を出力する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の情報処理装置。
【請求項6】
複数種類のデータを含む第1のデータ群の中から、或る人に関連する第2のデータ群を取得する取得部と、
前記或る人に関連する知識を示す文字列を前記第2のデータ群から抽出する抽出部と、
前記第2のデータ群の中で前記文字列の抽出元となった第3のデータ群に基づいて、前記知識の共有状態の適否を判定する判定部と、
前記判定部による判定結果に基づく情報を出力する出力部と、
を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項7】
複数種類のデータを含む第1のデータ群の中から、或る人に関連する第2のデータ群を取得する取得手順と、
前記或る人に関連する知識を示す文字列を前記第2のデータ群から抽出する抽出部手順と、
前記第2のデータ群の中で前記文字列の抽出元となった第3のデータ群に基づいて、前記知識の共有状態の適否を判定する判定手順と、
前記判定手順における判定結果に基づく情報を出力する出力手順と、
をコンピュータが実行することを特徴とする情報処理方法。
【請求項8】
複数種類のデータを含む第1のデータ群の中から、或る人に関連する第2のデータ群を取得する取得手順と、
前記或る人に関連する知識を示す文字列を前記第2のデータ群から抽出する抽出部手順と、
前記第2のデータ群の中で前記文字列の抽出元となった第3のデータ群に基づいて、前記知識の共有状態の適否を判定する判定手順と、
前記判定手順における判定結果に基づく情報を出力する出力手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
組織内の業務の円滑な遂行のためには、組織内の誰がどのような知識を有しているのかを把握することは重要である。また、組織の持続的成長・存続には、組織を構成する人の中に眠る知識や経験をいかに組織の資産に変え、新たなナレッジを作り出していくことができるかが不可欠とも言える。
【0003】
そこで、従来、担当者ごとの知識の「見える化」を図ることを目的とする技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
組織による事業の継続のためには、業務によって得られた知識が他の人(例えば、次世代の人)に継承されることが重要である。例えば、或る業務が特定の人に依存している場合、当該人が突然退職してしまったりすると、当該業務に関する知識の継承が円滑に行われない可能性が有る。このような事態を避けるためには、組織において必要とされる知識が特定の人に依存しすぎているのではなく、組織の知識として共有されている(例えば、文書データなど他の人も活用可能な情報資産として残されているなど)のが望ましい。
【0005】
しかしながら、各人が保有する知識を「見える化」するだけでは、組織内において当該知識の共有が十分であるか否かを判断するのは困難である。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、知識の共有状態の適否の判断を支援することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで上記課題を解決するため、情報処理装置は、複数種類のデータを含む第1のデータ群の中から、或る人に関連する第2のデータ群を取得する取得部と、前記或る人に関連する知識を示す文字列を前記第2のデータ群から抽出する抽出部と、前記第2のデータ群の中で前記文字列の抽出元となった第3のデータ群に基づいて、前記知識の共有状態の適否を判定する判定部と、前記判定部による判定結果に基づく情報を出力する出力部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
知識の共有状態の適否の判断を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施の形態における情報処理システムの構成例を示す図である。
図2】第1の実施の形態における情報処理装置10のハードウェア構成例を示す図である。
図3】第1の実施の形態における情報処理システムの機能構成例を示す図である。
図4】第1の実施の形態における関連図の生成処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
図5】関連図表示画面における組織名の指定を説明するための図である。
図6】社員情報記憶部31の構成例を示す図である。
図7】文書記憶部211の構成例を示す図である。
図8】会議情報記憶部241の構成例を示す図である。
図9】抽出結果記憶部121の構成例を示す図である。
図10】関連図の表示例を示す図である。
図11】知識共有判定処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
図12】抽出元データ群が所定条件を満たすか否かの判定において文書データ以外のデータを文書データとして扱う例を示す図である。
図13】知識共有の判定結果の一例を示す図である。
図14】知識共有の判定結果が反映された関連図表示画面510の表示例を示す図である。
図15】第2の実施の形態における情報処理システムの機能構成例を示す図である。
図16】第2の実施の形態における関連図の生成処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
図17】知識の絞り込み処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
図18】個人別専門分野記憶部122の構成例を示す図である。
図19】組織別専門分野記憶部123の構成例を示す図である。
図20】知識別専門分野記憶部124の構成例を示す図である。
図21】知識の絞り込み処理の結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、第1の実施の形態における情報処理システムの構成例を示す図である。図1において、ユーザ端末40は、LAN(Local Area Network)又はインターネット等のネットワークを介して情報処理装置10へ接続する。情報処理装置10は、LAN又はインターネット等のネットワークを介してデータ管理装置群20及び社員情報管理装置30に接続する。図1には、データ管理装置群20の一例として、文書管理装置21、チャット管理装置22、メール管理装置23及び会議情報管理装置24等が示されている。データ管理装置群20は、これら各装置を群と見立てた総称であり、一又は複数のコンピューティング環境により実現されるものでよい。データ管理装置群20を構成する各装置は、相互に異なる種別のデータ(例えば、保存形式(保存状態又は保存形態とも言える)が異なるデータ)を記憶する装置である。
【0011】
本発明の実施の形態で情報処理システムが利用されるシーン(状況)は、所定の形態に限定されないが、例えば、企業内において利用されてもよい。すなわち、企業における各社員(企業のほか官公庁、各種団体、組合等を含み、社員のほか派遣社員、パート、アルバイト等も含む)がユーザであってもよいし(本実施の形態では、企業における各社員をユーザとして説明されるがこれに限定されるものではなく、一般ユーザにより本情報収集システムが利用される場合にも適用することができる。)、所定のグループや地域などにおける一組織、すなわち本発明の実施の形態でいう組織がグループ会社や団体等における企業等であってもよい。なお、以下、本発明の実施の形態では或る企業(以下、「企業X」という。)において利用されるシーンを一例として説明する。
【0012】
文書管理装置21は、情報処理システムを利用する企業Xの各組織における業務において企業Xの社員によって作成された電子的な文書(以下、「文書データ」という。)を記憶する1以上のコンピュータである。
【0013】
チャット管理装置22は、企業Xの各組織における業務においてチャットシステムを利用して企業Xの社員の間で交換されたメッセージ(以下、単に「チャットデータ」という。)を記憶する1以上のコンピュータである。
【0014】
メール管理装置23は、企業Xの各組織における業務においてメールシステムを利用して企業Xの社員の間で交換されたメッセージ(以下、単に「メール」という。)を記憶する1以上のコンピュータである。
【0015】
会議情報管理装置24は、企業Xの各組織における業務に関連して開催された会議に関する情報(以下、「会議情報」という。)を記憶する1以上のコンピュータである。会議情報には、会議に関する書誌事項(例えば、議題、参加メンバ等)のみならず、議事録や会議の音声データに対する音声認識によって得られるテキスト(以下、「会議テキスト」という。)等も含まれる。会議テキストは、会議の最中に、音声からトランスクリプトされたテキストであってもよい。会議情報管理装置24は、Web会議やテレビ会議等のリモート会議に利用されるデバイスであってもよい。
【0016】
企業Xにおいては、各社員が保有する業務上の各種の情報(以下、「知識」という。)が、文書データとして文書管理装置21に記憶されていることが望ましい状態であるとし、或る社員の或る知識が文書データとして文書管理装置21に記憶されている状態を、当該知識が共有されている状態であるとする。知識が共有されている状態の条件には、知識が体系的に明文化されていることや、知識へのアクセス性が高いことが含まれてもよい。つまり、誰かが知りたい情報(知識)が有る場合に、その知識を容易に、かつ、体系的に得られる状態で管理されていることが、知識が共有されている状態とされてもよい。
【0017】
チャットデータ、メール及び会議テキスト等も、広義においては文書あるが、本実施の形態では、文書管理装置21が記憶される文書データと明確に区別される。つまり、本実施の形態において、チャットデータ、メール及び会議テキスト等に含まれている知識は、企業Xにおいては共有されている知識としては扱われない。チャットデータ、メール及び会議テキスト等は、知識が時系列に記録されたデータであり、知識が体系的にまとめられたものではないからである。
【0018】
但し、どの種別のデータを知識が共有されている状態のデータとして扱うかについては、企業等の組織に応じて適宜定められればよい。例えば、ナレッジデータベース等を有する企業であれば、当該ナレッジデータベースに登録されているデータが、知識が共有されている状態のデータとして扱われてもよい。
【0019】
社員情報管理装置30は、企業Xの各社員の属性に関する情報(以下、「社員情報」という。)を記憶する1以上のコンピュータである。
【0020】
情報処理装置10は、企業Xの各社員に関連するデータ群(文書データ、チャットデータ、メール、会議テキスト等)をデータ管理装置群20から取得して、各社員が保有することが推定される知識を当該データ群から抽出する1以上のコンピュータである。情報処理装置10は、知識の抽出結果や社員情報等に基づいて、各社員と知識との関連、及び社員と社員との関連を推定し、推定結果を示す情報(以下、「関連図」という。)を生成する。情報処理装置10は、また、各社員の知識の抽出元のデータ群の保存状態に基づいて、当該知識の共有状態(知識の共有が十分であるか否か)を判定する。以下、知識の共有状態の判定を、「知識共有判定」という。情報処理装置10は、知識共有判定の結果、知識の共有が十分でないと判定された社員及び知識に関する情報を出力する。
【0021】
ユーザ端末40は、情報処理システムのユーザ(例えば、企業Xの社員又は役員等)が利用する端末である。例えば、PC(Personal Computer)、タブレット端末又はスマートフォン等がユーザ端末40として利用されてもよい。
【0022】
図2は、第1の実施の形態における情報処理装置10のハードウェア構成例を示す図である。図2の情報処理装置10は、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置100、補助記憶装置102、メモリ装置103、プロセッサ104、及びインタフェース装置105等を有する。
【0023】
情報処理装置10での処理を実現するプログラムは、CD-ROM等の記録媒体101によって提供される。プログラムを記憶した記録媒体101がドライブ装置100にセットされると、プログラムが記録媒体101からドライブ装置100を介して補助記憶装置102にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体101より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置102は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
【0024】
メモリ装置103は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置102からプログラムを読み出して格納する。プロセッサ104は、CPU若しくはGPU(Graphics Processing Unit)、又はCPU及びGPUであり、メモリ装置103に格納されたプログラムに従って情報処理装置10に係る機能を実行する。インタフェース装置105は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。
【0025】
図3は、第1の実施の形態における情報処理システムの機能構成例を示す図である。図3において、文書管理装置21は、文書記憶部211を有する。文書記憶部211は、例えば、文書管理装置21の補助記憶装置等を用いて実現可能である。文書記憶部211は、企業Xの各社員によって作成された文書データを記憶するデータベースである。
【0026】
チャット管理装置22は、チャット記憶部221を有する。チャット記憶部221は、例えば、チャット管理装置22の補助記憶装置等を用いて実現可能である。チャット記憶部221は、チャットデータを記憶する。
【0027】
メール管理装置23は、メール記憶部231を有する。メール記憶部231は、例えば、メール管理装置23の補助記憶装置等を用いて実現可能である。メール記憶部231は、メールを記憶する。メール管理装置23は、いわゆるメールサーバとして機能するSMTP(Simple Mail Transfer Protocol server)サーバやPOP(Post Office Protocol)サーバ等により構成されるものでもよい。
【0028】
会議情報管理装置24は、会議情報記憶部241を有する。会議情報記憶部241は、例えば、会議情報管理装置24の補助記憶装置等を用いて実現可能である。会議情報記憶部241は、会議情報を記憶する。
【0029】
社員情報管理装置30は、社員情報記憶部31を有する。社員情報記憶部31は、例えば、社員情報管理装置30の補助記憶装置等を用いて実現可能である。社員情報記憶部31は、社員情報を記憶する。
【0030】
情報処理装置10は、受付部11、取得部12、抽出部13、推定部14、生成部15、判定部16及び出力部17を有する。これら各部は、情報処理装置10にインストールされた1以上のプログラムが、プロセッサ104に実行させる処理により実現される。情報処理装置10は、また、抽出結果記憶部121を利用する。抽出結果記憶部121は、例えば、補助記憶装置102、又は情報処理装置10にネットワークを介して接続可能な記憶装置等を用いて実現可能である。
【0031】
受付部11は、ユーザ端末40からの要求を受信する。ユーザ端末40からの要求としては、例えば、関連図の生成要求及び知識共有判定要求等が有る。関連図の生成要求とは、企業Xの或る組織における関連図の生成要求をいう。当該生成要求には、関連図の生成対象とする組織(以下、「対象組織」という。)の識別情報(組織名)が指定される。知識共有判定要求とは、対象組織に関する知識共有判定の実行要求をいう。
【0032】
取得部12は、対象組織に所属する社員ごとに、当該社員に関連する複数種類のデータが混在したデータ群(第2のデータ群の一例)をデータ管理装置群20が記憶するデータ群(第1のデータ群の一例)から取得する。
【0033】
抽出部13は、対象組織の所属する社員ごとに、当該社員に関連する(当該社員が保有することが推定される)知識を示す1以上の文字列(以下、単に「知識」という。)を、当該社員に関連するデータ群から抽出する。抽出部13は、抽出された知識ごとに、当該知識の抽出元のデータとの対応関係を抽出結果記憶部121に記録する。
【0034】
推定部14は、取得部12が取得したデータ群、又は対象組織に属する各社員の属性に基づいて、対象組織に属する社員と社員との関連(社員同士の関連)を推定する。
【0035】
生成部15は、抽出結果記憶部121に記憶されている情報、及び推定部14による推定結果に基づいて関連図を生成する。
【0036】
判定部16は、抽出部13が抽出した知識ごとに、抽出結果記憶部121が記憶されている情報に基づいて、抽出元のデータ群(第3のデータ群の一例)の保存状態(データの種別の内訳)が、知識の共有が十分であることを示す所定条件に合致するか否かを判定する。
【0037】
出力部17は、生成部15によって生成された関連図や、判定部16による判定結果に基づく情報をユーザ端末40へ送信(出力)する。
【0038】
以下、情報処理装置10が実行する処理手順について説明する。図4は、第1の実施の形態における関連図の生成処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【0039】
ステップS110において、受付部11は、関連図の生成要求をユーザ端末40から受信する。当該生成要求には、関連図の生成対象とする対象組織の識別情報(ここでは、「組織名」とする)が含まれている。ユーザ端末40においては、例えば、関連図表示画面を用いて対象組織の組織名が指定される。
【0040】
図5は、関連図表示画面における組織名の指定を説明するための図である。図5が示すように、関連図表示画面510は、組織名選択領域511、分析ボタン512、知識共有ボタン513及び関連図表示領域514等を含む。
【0041】
組織名選択領域511は、企業Xに属する各組織の組織名のリストの中から対象組織の組織名の選択を受け付けるための領域である。分析ボタン512は、関連図の生成指示を受け付けるためのボタンである。なお、組織の階層構造をグラフで表現した場合の葉ノードに対応する組織だけでなく、節ノードに対応する組織(つまり、下位に複数の組織を含む組織)も対象組織の選択候補とされてもよい。
【0042】
ユーザが、組織名選択領域511を利用して組織名を選択し、分析ボタン512を押下すると、ユーザ端末40は、当該組織名(以下、「対象組織名」という。)を含む、関連図の生成要求を情報処理装置10へ送信する。受付部11は、ステップS110において当該生成要求を受信する。
【0043】
続いて、取得部12は、当該生成要求に含まれている対象組織の組織名と社員情報記憶部31とに基づいて、対象組織の構成員(メンバ)を特定する(S120)。
【0044】
図6は、社員情報記憶部31の構成例を示す図である。図6が示すように、社員情報記憶部31は、企業Xの社員ごとに、社員ID、名前、役職及び所属部署等の属性の集合である社員情報を記憶する。取得部12は、所属部署が対象組織に属する社員を、対象組織の構成員(以下、単に「構成員」という。)として特定する。所属部署が対象組織に属するとは、所属部署が対象組織であること、又は所属部署が対象組織の下位の組織であることをいう。したがって、取得部12は、例えば所属部署が対象組織名に前方一致する社員を構成員として特定することができる(なお、所属部署の識別情報などと対応付けられている場合は当該識別情報を用いて特定してもよい)。
【0045】
続いて、取得部12は、構成員ごとに、当該構成員に関連する全てのデータ群(文書データ、チャットデータ、メール及び会議テキスト等の複数種類のデータが混在したデータ群)をデータ管理装置群20から取得する(S130)。
【0046】
或る構成員に関連する文書データは、文書管理装置21の文書記憶部211から取得される。図7は、文書記憶部211の構成例を示す図である。図7が示すように、文書記憶部211は、文書データごとに、文書ID、文書名、作成者、更新履歴、ファイルパス及び概要等を含むレコードを記憶する。
【0047】
文書IDは、文書データの識別情報である。文書名は、文書データの名称又はタイトルである。作成者は、文書データの作成者の識別情報(例えば、企業Xにおける社員ID)である。複数人による共著の場合には、作成者は、複数人の社員IDのリストである。更新履歴は、文書データの更新ごとに、更新の日付と更新者の識別情報(例えば、企業Xにおける社員ID)とを含む情報である。ファイルパスは、文書データを格納するファイルのパス名である。概要は、文書データが含む内容の概要(例えば、要約文やキーワードの集合)を示すテキストであり、例えば、文書データの検索に用いられる。
【0048】
取得部12は、構成員ごとに、作成者又は更新履歴に当該構成員の社員IDを含む文書データを文書記憶部211に記憶されているファイルパスに基づいて取得する。
【0049】
或る構成員に関連するチャットデータはチャット管理装置22のチャット記憶部221から取得される。取得部12は、構成員ごとに、当該構成員が送信者であるチャットデータをチャット記憶部221から取得する。当該構成員が受信者であるチャットデータも、当該構成員のチャットデータとして取得されてもよい。
【0050】
或る構成員に関連するメールはメール管理装置23のメール記憶部231から取得される。取得部12は、構成員ごとに、当該構成員が送信者であるメールをメール記憶部231から取得する。当該構成員が受信者であるメールも、当該構成員のメールとして取得されてもよい。
【0051】
或る構成員に関連する会議テキストは会議情報管理装置24の会議情報記憶部241から取得される。図8は、会議情報記憶部241の構成例を示す図である。図8が示すように、会議情報記憶部241は、企業Xにおいて開催された会議ごとに、会議ID、会議名、開催日時、参加者、議題及び会議テキスト等を記憶する。
【0052】
会議IDは、会議情報管理装置24において各会議に対して割り当てられるID(識別情報)である。会議名は、会議の名称である。開催日時は、会議が開催された日時である。参加者は、会議に参加した各社員(主催者も含む)の社員IDである。議題は、会議の議題である。会議テキストは、会議における発話の内容がテキスト化されたデータである。
【0053】
取得部12は、構成員ごとに、参加者に当該構成員の社員IDを含む会議の会議テキストを会議情報記憶部241から取得する。
【0054】
続いて、抽出部13は、構成員ごとに、当該構成員について取得されたデータ群から、当該構成員が保有することが推定される知識を抽出する(図4のS140)。本実施の形態では、或る構成員に関するデータの特徴を(端的に)示す文字列(例えば、「単語」)が、当該構成員が有する知識(を表現する文字列)として抽出される。例えば、抽出部13は、或る構成員に関するデータごとに、当該データが含む単語の中でTF-IDF値が上位の一部の単語(文字列)を当該構成員の知識として抽出する。この場合、抽出部13は、知識の抽出元(知識を示す文字列を含むデータ)と知識との対応関係を抽出結果記憶部121に記録する。又は、抽出部13は、或る構成員に関するデータ群をひとまとまりとし、当該データ群が含む単語の中でTF-IDF値が上位の一部の単語を当該構成員の知識として抽出してもよい。この場合、抽出部13は、抽出された知識と当該知識(を示す文字列)を含むデータとの対応関係を抽出結果記憶部121に記録する。又は、抽出部13は、或る構成員に関するデータ群をクラスタリングによって複数(例えば、所定数)のクラスタに分類し、クラスタごとに当該クラスタに属するデータ群をひとまとまりとし、当該データ群が含む単語の中でTF-IDF値が上位の一部の単語を当該構成員の知識として抽出してもよい。この際、データ群のクラスタリングは、データ群に属する各データをベクトル化(例えば、分散表現に変換)し、各ベクトルをクラスタリングすることで行われてもよい。データのベクトル化は、公知の自然言語処理技術を用いて実現可能である。この場合、抽出部13は、抽出された知識と、当該知識の抽出元であるクラスタに属する全てのデータ又は当該知識を含むデータとの対応関係を抽出結果記憶部121に記録する。なお、いずれの場合であっても、抽出部13は、出現頻度が相対的に高い文字列(例えば、閾値以上の数のデータに含まれる文字列)のみを知識として抽出してもよい。
【0055】
図9は、抽出結果記憶部121の構成例を示す図である。図9が示すように、抽出結果記憶部121は、構成員ごとに、社員ID、知識リスト及び抽出元リストを記憶する。社員IDは、構成員の社員IDである。知識リストは、構成員について抽出された知識のリストである。抽出元リストは、知識リストに係る各知識の抽出元のデータのデータIDのリストである。データIDとは、データの識別情報である。例えば、文書データのデータIDは、文書IDである。チャットデータのデータIDは、チャット管理装置22においてチャットデータごとに割り当てられているIDである。メールのデータIDは、メール管理装置23においてメールごとに割り当てられているIDである。会議テキストのデータIDは、会議IDである。なお、知識リストのi番目(1≦i≦知識リストの要素数)の知識の抽出元のデータは、抽出元リストのi番目の要素に係るデータである。1つの知識の抽出元が複数のデータである場合も有るため、抽出元リストの1つの要素は、複数のデータを含みうる。
【0056】
続いて、推定部14は、構成員同士の関連の有無を推定する(図4のS150)。例えば、対象組織が下位に複数の組織を含む組織である場合、推定部14は、所属部署が一致する構成員同士は関連を有すると推定(判定)してよい。推定部14は、また、或るチャットデータ又は或るメールの送信者と受信者の関係にある構成員同士や、同じチャットデータ又は同じメールの受信者である構成員同士は関連を有すると推定してもよい。推定部14は、また、同じ会議の参加者である構成員同士は関連を有すると推定してもよい。或る構成員同士が同じ会議の参加者であるか否かは、会議情報記憶部241(図8)を参照して判定可能である。
【0057】
推定部14は、また、関連が有ると推定(判定)された構成員同士の関連の強さを推定してもよい。関連の強さは、例えば、チャットデータ又はメールのやりとり(送受信)の回数、同じ会議への参加回数、共同の作成者である文書データの数等に基づいて所定の範囲内の数値で表現されてもよい。この際、例えばこれらの回数等が多ければ多い程、関連は強いと推定される。
【0058】
続いて、生成部15は、知識の抽出結果(図9)及び構成員同士の関連の有無の推定結果に基づいて関連図を生成する。(S160)。具体的には、生成部15は、抽出された各知識と構成員とのそれぞれをノードとし、関連を有する構成員のノード同士が辺で接続され、構成員に関して抽出された知識のノード(以下、「知識ノード」という。)と当該構成員のノード(以下、「構成員ノード」という。)とが辺で接続されたグラフを関連図として生成する。なお、異なる構成員について同じ知識(の文字列)が抽出されたとしても、各知識は別々の知識ノードとされる。生成部15は、構成員同士の関連に対応する辺について、関連の強さに応じて線種を変更してもよい(線種とは、例えば線の濃淡・太さ・色彩・点線・実線・波線などである)。同様に、生成部15は、構成員と知識との関連に対応する辺ついても関連の強さに応じて線種を変更してもよい。或る構成員と或る知識との関連の強さは、抽出結果記憶部121(図9)において当該構成員に対応するレコードの抽出元リストの中で当該知識に対応する要素が格納するデータIDの数(つまり、当該知識の抽出元となったデータの数)に基づいて所定の範囲内の数値で表現されてもよい。当該数が大きければ大きいほど関連は強いことになる。
【0059】
続いて、出力部17は、関連図を表示させる表示情報をユーザ端末40へ送信(出力)する(S170)。ユーザ端末40は、当該表示情報に基づいて、関連図表示画面510の関連図表示領域514を更新する。
【0060】
図10は、関連図の表示例を示す図である。図10中、図5と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0061】
図10の関連図表示画面510の関連図表示領域514は関連図を含む。当該関連図は、構成員が6人である場合に対応する。したがって、当該関連図は、6個の構成員ノードを含む。図10では、構成員同士の関連に対応する辺、及び構成員と知識との関連に対応する辺のそれぞれは、関連の強さに応じて太い実線又は破線によって表現されている。線種の区別は、例えば、関連の強さに対して予め設定されている閾値以上であるか否かに基づいて行われてもよい。
【0062】
なお、図10では、各構成員の知識の数が同じ(各構成員ノードに接続する知識ノードが3つ)である例が示されているが、各構成員の知識の数は同じでなくてもよい。また、図10では、各知識が、「知識a」のように抽象化して表現されているが、実際には、「製品X」、「診療情報」、「医療法」、「情報漏洩」等といったように、具体的な知識を示す文字列が知識ノードに表示される。
【0063】
ユーザは、関連図を参照することで、対象組織のトランザクティブメモリーを把握することができる。また、関連図を利用した組織運営の提案機能を実現することでより効果的な組織の知識活用をおこなうことができる。
【0064】
なお、トランザクティブメモリーとは、1980年代半ばにアメリカの社会心理学者ダニエル・ウェグナー氏が提唱した、「組織学習」に関する概念である。この概念は、組織全体が同じ知識を記憶するのではなく、組織内の「誰が」「何を」知っているのかという情報を把握する事を重視する考え方である。つまり、トランザクティブメモリーとは、「What」ではなく「Who knows what」が共有されている状態を指す。日本語では「交換記憶」「対人交流的記憶」とも訳される(参考:https://kotobank.jp/word/%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B6%E3%82%AF%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%96%E3%83%BB%E3%83%A1%E3%83%A2%E3%83%AA%E3%83%BC-802402)。
【0065】
ユーザが関連図表示画面510(図10)の知識共有ボタン513を押下すると、ユーザ端末40は、知識共有判定要求を情報処理装置10へ送信する。この場合において、情報処理装置10が実行する処理手順について説明する。
【0066】
図11は、知識共有判定処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【0067】
ステップS201において、受付部11は、ユーザ端末40から送信された知識共有判定要求を受信する。
【0068】
続いて、判定部16は、対象組織の構成員の社員IDの集合をリストMに代入する(S202)。続いて、判定部16は、リストMの全ての要素ごと(つまり、構成員の社員IDごと)にループ処理L1を実行する。ループ処理L1において処理対象とされている構成員を「構成員m」という。ループ処理L1は、ステップS203及びループ処理L2を含む。
【0069】
ステップS203において、判定部16は、構成員mの社員IDに関連付けられて抽出結果記憶部121(図9)に記憶されている知識リストをKに代入する(S203)。
【0070】
続いて、判定部16は、知識リストKの全ての要素ごと(つまり、知識ごと)にループ処理L2を実行する。ループ処理L2において処理対象とされている知識を「知識k」という。ループ処理L2は、ステップS204~S211を含む。
【0071】
ステップS204において、判定部16は、知識kのデータ群(以下、「抽出元データ群」という。)を構成員mの社員IDに関連付けられて抽出結果記憶部121(図9)に記憶されている抽出元リストの要素から取得する。上述したように、抽出元リストの1つの要素は1以上のデータを含むデータ群を格納する。
【0072】
続いて、判定部16は、抽出元データ群において、文書データの数と文書データ以外のデータの数とのそれぞれが閾値以上であるか否かを判定する(S205)。文書データの数と文書データ以外のデータの数とのそれぞれが閾値以上である場合(S205でYes)、判定部16は、構成員mは知識kのキーマンであると判定する(S206)。本発明の実施の形態におけるキーマンとは、知識kについて十分な文書データを作成している人(構成員)をいう。
【0073】
ステップS205でNoの場合、又はステップS206に続いて、判定部16は、抽出元データ群(の内訳)が所定条件を満たすか否かを判定する(S207)。所定条件は、文書データとしての蓄積が十分であるか否かを示す条件である。本実施の形態では、文書データの形式で保存されている知識は共有されている状態であるとされるからである。文書データとしての蓄積が十分であることの条件の一例として、抽出元データ群における文書データの割合がα%以上であることが文書データとしての蓄積が十分であることの条件とされてもよい。例えば、抽出元データ群において、文書データの数がそれ以外のデータの数以上(つまり、α=50%)であることが当該条件とされてもよい。なお、ステップS207における判定は、構成員mの知識kの共有状態(保存状態)が望ましい状態に対して乖離しているか否かの判定に相当する。
【0074】
抽出元データ群が所定条件を満たす場合(S207でYes)、判定部16は、構成員mの知識kの共有は十分であると判定する(S208)。
【0075】
一方、抽出元データ群が所定条件を満たさない場合(S207でNo)、判定部16は、構成員mの知識kの共有が不十分であることの通知が必要と判定する(S209)。続いて、判定部16は、抽出元データ群に含まれる文書データの数が0以下であるか否かを判定する(S210)。抽出元データ群に含まれる文書データの数が0以下である場合(S210でYes)、判定部16は、更に、構成員mの知識kの共有の警告(忠告、進言又は提案)が必要であると判定する(S211)。
【0076】
なお、判定部16は、ステップS209に続いて、構成員mの年齢に基づき、構成員mの定年までの残り期間が所定値以下である場合に、構成員mの知識kの共有が急務であることの警告が必要であると判定してもよい。このような判定を可能とするため、社員情報記憶部31(図6)には、各社員の年齢が記憶されるようにしてもよい。
【0077】
また、上記では、抽出元データ群が所定条件を満たすか否かの2択である例を示したが、抽出元データ群に対して複数の閾値が複数設けられてもよい。この場合、判定部16は、構成員mの知識kの共有の程度を、複数段階(例えば、高レベル、中レベル、低レベル等)で評価してもよい。具体的には、抽出元データ群に対する文書データの割合に対して複数の閾値が設けられてもよい。
【0078】
なお、判定部16は、知識kの抽出元データ群のうちの文書データ以外のデータ(以下、「データX」という。)が、構成員mのいずれかの知識(知識kに限らない)の抽出元の文書データに類似する場合、データXについては文書データとして扱っても(カウントしても)よい。
【0079】
図12は、抽出元データ群が所定条件を満たすか否かの判定において文書データ以外のデータを文書データとして扱う例を示す図である。図12には、構成員Gが、知識w、知識x、知識y及び知識zを有する例が示されている。また、知識wの抽出元データ群は、チャットデータ1であり、知識xの抽出元データ群は、チャットデータ2及び文書データ5であり、知識yの抽出元データ群は文書データ5であり、知識zの抽出元データ群はチャットデータ3である例が示されている。ここで、知識zは、文書データ5に類似しているとする。この場合、知識zは、チャットデータ3のみが抽出元であるため、知識zの共有は不十分であると判定される。しかし、チャットデータ3は文書データ5に類似しているため、判定部16は、チャットデータ3を文書データとしてカウントしてもよい。この場合、知識zの抽出元は文書データのみである(文書データの割合が100%である)ということになり、判定部16は、知識zの共有は十分であると判定してもよい。なお、データ間の類似性(ここでは、チャットデータ3と文書データ5との類似性)は、各データをベクトル化する(分散表現等に変換する)ことで評価されればよい。判定部16は、2つのベクトルの類似度(例えば、コサイン類似度)を算出し、当該類似度が閾値以上であれば、当該2つのベクトルに係るデータは類似していると判定してもよい。
【0080】
知識リストKの全ての要素(知識)についてループ処理L2が実行され、リストMの全ての要素(構成員)についてループ処理L1が実行されると、出力部17は、各構成員の各知識に対する判定結果を含む情報をユーザ端末40へ送信(出力)する(S212)。
【0081】
図13は、知識共有の判定結果の一例を示す図である。図13の各行は、構成員、知識、内訳及び提案コメント等を含む。構成員及び知識は、判定結果の対象である構成員及び知識である。内訳は、抽出元データ群の内訳である。提案コメントは、判定結果に基づいて提案として出力対象とするコメントである。例えば、ステップS206、S208、S209及びS211の判定結果に応じた提案コメントのテンプレートが予め用意され、そのテンプレートに対して、構成員の名前又は知識等を当てはめることで各提案コメントが生成されてもよい。
【0082】
図13の1行目は、ステップS206及びS209の判定結果に対応する。2行目は、ステップS208の判定結果に対応する。3行目は、ステップS211の判定結果に対応する。4行目は、ステップS206及びS208の判定結果に対応する。
【0083】
ユーザ端末40は、上記のような判定結果を受信すると、当該判定結果を、例えば、図10の関連図表示画面510に反映する。
【0084】
図14は、知識共有の判定結果が反映された関連図表示画面510の表示例を示す図である。図14中、図10と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0085】
図14では、図10に対して判定結果515が追加されている。判定結果515は、図13の判定結果のうち、知識共有が不十分な場合(1行目及び3行目)の構成員、知識及び提案コメントを含む。また、関連図において、当該判定結果に対応する知識のノードが強調表示されている(図14の例では黒塗りにされている。)。なお、図14における判定結果の表示例は一例である。他の態様で判定結果が表示されてもよい。
【0086】
ユーザである組織(正確には組織を管理する構成員)としては、或る構成員の有するさまざまな知識に関して、他の構成員等が共有できる状態、すなわち情報資産(文書データ等)として適切に蓄積されていることが望ましい。このような判定結果を出力することで、ユーザに対して知識共有のための活動を提案することができる。ユーザは提案を受けて、知識共有が不十分な知識を認識することができる。
【0087】
上述したように、第1の実施の形態によれば、或る人(対象組織の構成員)が保有することが推定される知識の適否(共有が十分であるか否か(望ましい共有状態から乖離していないか否か))が判定され、その判定結果に基づく情報(図13図14)が出力される。ユーザは、当該情報を参照することで、誰が保有するどの知識の共有が不十分であるのかを認識することができ、その認識に基づいて適切な対処を行うことができる。したがって、知識の共有状態の適否の判断を支援することができる。
【0088】
また、本実施の形態によれば、関連図が出力されるため、ユーザは、誰がどのような知識を有しているのかを把握することができる。また、当該関連図が構成員(社員)同士の関連をも含むことにより、ユーザは、或る知識を有する社員と直接的な交流が無くても、当該社員へのアクセス経路(誰に当該社員を紹介してもらえばよいか)を把握することができる。
【0089】
また、ユーザは、関連図を参照することで、組織に足りない知識や人材を把握することができる。したがって、そのように把握した知識の保有状況やアクセス経路等から、組織として望ましい(又は、適切な)共有状態への働きかけ等を支援することができる。
【0090】
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では第1の実施の形態と異なる点について説明する。したがって、特に言及されない点については、第1の実施の形態と同様でもよい。
【0091】
第2の実施の形態では、或る構成員について各種データ(文書データ、チャットデータ、メール、会議テキスト)から抽出された知識を当該構成員が有していることの確からしさを評価し、その評価結果に基づいて、或る構成員が保有していることが推定される知識を絞り込む例が開示される。
【0092】
特に、或る構成員に関して、チャットデータ、メール又は会議テキストから或る知識を示す文字列が抽出されただけでは、当該構成員が当該知識に精通しているとは言えない可能性が考えられる。例えば、当該構成員が、チャット又はメールの多数の送信先の一人である場合や、或る会議の多数の参加者の一人である場合、あるいは本来回答すべき構成員の代理で他の構成員が一次的に対応した場合等には、斯かる可能性が高くなると考えられる。
【0093】
図15は、第2の実施の形態における情報処理システムの機能構成例を示す図である。図15中、図3と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。図15において、情報処理装置10は、更に、個人別専門分野記憶部122、組織別専門分野記憶部123及び知識別専門分野記憶部124を利用する。これら各記憶部は、例えば、補助記憶装置102、又は情報処理装置10にネットワークを介して接続可能な記憶装置等を用いて実現可能である。
【0094】
個人別専門分野記憶部122は、企業Xの社員と専門分野との対応情報を記憶する。
【0095】
組織別専門分野記憶部123は、企業Xの組織と専門分野との対応情報を記憶する。
【0096】
知識別専門分野記憶部124は、知識と専門分野との対応情報を記憶する。
【0097】
第2の実施の形態では、図4の処理手順の代わりに図16の処理手順が実行される。図16は、第2の実施の形態における関連図の生成処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。図16中、図4と同一ステップには同一ステップ番号を付し、その説明は省略する。図16では、ステップS140とステップS150の間にステップS145が追加されている。
【0098】
ステップS145において、抽出部13は、構成員ごとに抽出された知識の絞り込み処理を実行する。具体的には、構成員ごとに、当該構成員の専門分野と、知識の専門分野とを突合することで、当該構成員に関して抽出された知識リストの中から当該構成員の専門分野ではない知識を除外する。
【0099】
ステップS145の詳細について説明する。図17は、知識の絞り込み処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【0100】
ステップS301において、抽出部13は、対象組織の構成員の社員IDの集合をリストMに代入する。続いて、抽出部13は、リストMの全ての要素ごと(つまり、構成員の社員IDごと)にループ処理L3を実行する。ループ処理L3において処理対象とされている構成員を「構成員m」という。ループ処理L3は、ステップS302、S303及びループ処理L4を含む。
【0101】
ステップS302において、抽出部13は、構成員mの専門分野を取得する。構成員mの専門分野は、個人別専門分野記憶部122から取得されてもよい。
【0102】
図18は、個人別専門分野記憶部122の構成例を示す図である。図18が示すように、個人別専門分野記憶部122は、企業Xの社員ごとに、社員ID及び専門分野を対応付けて記憶する。或る社員IDに対応する専門分野は、当該社員IDに係る社員が有する知識が属する分野(知識のカテゴリ)である。各社員の専門分野は、例えば、各社員の申告に基づいて登録されてもよいし、各社員の上司又は同僚等による申告に基づいて登録されてもよい。また、一人の社員に対して複数の専門分野が登録されてもよい。複数の社員に対して同じ専門分野が登録されてもよい。なお、個人別専門分野記憶部122に記憶されている内容は、社員情報記憶部31(図6)に登録されてもよい。この場合、個人別専門分野記憶部122は設けられなくてもよい。
【0103】
抽出部13は、個人別専門分野記憶部122を利用する場合、構成員mに係る社員IDに対応する専門分野を個人別専門分野記憶部122から取得する。
【0104】
又は、構成員mの専門分野は、組織別専門分野記憶部123から取得されてもよい。
【0105】
図19は、組織別専門分野記憶部123の構成例を示す図である。図19が示すように、組織別専門分野記憶部123は、企業Xの組織ごとに、組織名及び専門分野を対応付けて記憶する。或る組織名に対応する専門分野は、当該組織名に係る組織所属する社員が保有する(ことが期待される)知識が属する分野(知識のカテゴリ)である。各組織の専門分野は、例えば、各組織に所属する社員の申告に基づいて登録されてもよいし、組織を編成した者によって登録されてもよい。1つの組織に対して複数の専門分野が登録されてもよい。複数の組織に対して同じ専門分野が登録されてもよい。
【0106】
抽出部13は、組織別専門分野記憶部123を利用する場合、構成員mに対して社員情報記憶部31(図6)に記憶されている所属部署に対応する専門分野を組織別専門分野記憶部123から取得する。
【0107】
なお、個人別専門分野記憶部122及び組織別専門分野記憶部123の双方が利用されてもよいし、いずれか一方のみが利用されてもよい。双方が利用される場合、個人別専門分野記憶部122から取得される専門分野と組織別専門分野記憶部123から取得される専門分野との論理和が、構成員mの専門分野とされてもよい。
【0108】
続いて、抽出部13は、構成員mの社員IDに関連付けられて抽出結果記憶部121(図9)に記憶されている知識リストをKに代入する(S303)。
【0109】
続いて、抽出部13は、知識リストKの全ての要素ごと(つまり、知識ごと)にループ処理L4を実行する。ループ処理L4において処理対象とされている知識を「知識k」という。ループ処理L4は、ステップS304~S306を含む。なお、知識リストKに含まれる知識のうち、抽出元が文書データでない知識がループ処理L4の処理対象とされてもよい。つまり、抽出元が文書データでない知識が除外の候補とされてもよい。文書データの作成者は、当該文書データから抽出された知識を有している可能性は高いと考えられるが、チャットデータ、メール又は会議テキストのみから抽出された知識は、チャット、メール、会議における単なる参加者であった可能性が考えられるからである。
【0110】
ステップS304において、抽出部13は、知識kが属する専門分野を知識別専門分野記憶部124から取得する。
【0111】
図20は、知識別専門分野記憶部124の構成例を示す図である。図20が示すように、知識別専門分野記憶部124は、企業Xの知識ごとに専門分野を対応付けて記憶する。或る知識に対応する専門分野は、当該知識が属する専門分野(知識のカテゴリ)である。又は、或る知識に対応する専門分野は、当該知識を専門用語とする専門分野であるともいえる。1つの知識に対して複数の専門分野が登録されてもよい。複数の知識に対して同じ専門分野が登録されてもよい。
【0112】
続いて、抽出部13は、構成員mの専門分野が知識kの専門分野と一致するか否かを判定する(S305)。一致の条件は、例えば、構成員mの専門分野のいずれか一つが知識kの専門分野のいずれか一つと一致することで充足されてもよいし、構成員mの専門分野が知識kの全ての専門分野を含むことで充足されてもよい。
【0113】
構成員mの専門分野が知識kの専門分野と一致しない場合(S305でNo)、抽出部13は、知識kを知識リストKから除外(削除)する。(S306)。この場合、構成員mは、知識kに精通している可能性が低いと考えられるからである。
【0114】
知識リストKの全ての要素(知識)についてループ処理L4が実行され、リストMの全ての要素(構成員)についてループ処理L3が実行されると、図17の処理手順は終了する。
【0115】
図17の処理手順により、例えば、以下のような処理結果が得られる。図21は、知識の絞り込み処理の結果の一例を示す図である。
【0116】
図21には、知識と構成員との組み合わせごとに、知識の専門分野、構成員の専門分野及び除外有無(知識を除外するか否か)が示されている。図21の例では、構成員の専門分野が知識の専門分野を含んでいない場合に、当該知識が当該構成員の知識リストから除外される例が示されている。
【0117】
上述したように、第2の実施の形態によれば、或る人(構成員)に関して抽出された知識について、当該人が当該知識を保有していることの確からしさが判定され、当該確からしさが疑わしい知識については、当該人が保有している知識ではないと判定される。したがって、関連図や知識共有判定の結果等に対する信頼性を向上させることができる。
【0118】
なお、上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0119】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0120】
本発明の態様は、例えば、以下の通りである。
<1>
複数種類のデータを含む第1のデータ群の中から、或る人に関連する第2のデータ群を取得する取得部と、
前記或る人に関連する知識を示す文字列を前記第2のデータ群から抽出する抽出部と、
前記第2のデータ群の中で前記文字列の抽出元となった第3のデータ群に基づいて、前記知識の共有状態の適否を判定する判定部と、
前記判定部による判定結果に基づく情報を出力する出力部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
<2>
前記判定部は、前記第3のデータ群における所定の種別のデータの割合が所定条件に合致するか否か判定する、
ことを特徴とする<1>記載の情報処理装置。
<3>
前記出力部は、前記文字列と前記或る人との関連を示す情報を出力する、
ことを特徴とする<1>又は<2>記載の情報処理装置。
<4>
前記抽出部は、前記文字列が示す知識が属するカテゴリが前記或る人に対応付けられている知識のカテゴリに一致する場合に当該文字列を抽出する、
ことを特徴とする<1>乃至<3>いずれか記載の情報処理装置。
<5>
前記取得部は、前記第1のデータ群の中から、複数人のそれぞれについて当該人に関連する前記第2のデータ群を取得し、
前記抽出部は、前記複数人のそれぞれについて、当該人に係る前記第2のデータ群から前記文字列を抽出し、
前記複数人に係る前記第2のデータ群、又は前記複数人の属性に基づいて、前記複数人における人と人との関連を推定する推定部を有し、
前記出力部は、前記人と前記文字列との関連と、前記人と人との関連とを示す情報を出力する、
ことを特徴とする<1>乃至<4>いずれか記載の情報処理装置。
<6>
複数種類のデータを含む第1のデータ群の中から、或る人に関連する第2のデータ群を取得する取得部と、
前記或る人に関連する知識を示す文字列を前記第2のデータ群から抽出する抽出部と、
前記第2のデータ群の中で前記文字列の抽出元となった第3のデータ群に基づいて、前記知識の共有状態の適否を判定する判定部と、
前記判定部による判定結果に基づく情報を出力する出力部と、
を有することを特徴とする情報処理システム。
<7>
複数種類のデータを含む第1のデータ群の中から、或る人に関連する第2のデータ群を取得する取得手順と、
前記或る人に関連する知識を示す文字列を前記第2のデータ群から抽出する抽出部手順と、
前記第2のデータ群の中で前記文字列の抽出元となった第3のデータ群に基づいて、前記知識の共有状態の適否を判定する判定手順と、
前記判定手順における判定結果に基づく情報を出力する出力手順と、
をコンピュータが実行することを特徴とする情報処理方法。
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複数種類のデータを含む第1のデータ群の中から、或る人に関連する第2のデータ群を取得する取得手順と、
前記或る人に関連する知識を示す文字列を前記第2のデータ群から抽出する抽出部手順と、
前記第2のデータ群の中で前記文字列の抽出元となった第3のデータ群に基づいて、前記知識の共有状態の適否を判定する判定手順と、
前記判定手順における判定結果に基づく情報を出力する出力手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0121】
10 情報処理装置
11 受付部
12 取得部
13 抽出部
14 推定部
15 生成部
16 判定部
17 出力部
20 データ管理装置群
21 文書管理装置
22 チャット管理装置
23 メール管理装置
24 会議情報管理装置
30 社員情報管理装置
31 社員情報記憶部
40 ユーザ端末
100 ドライブ装置
101 記録媒体
102 補助記憶装置
103 メモリ装置
104 プロセッサ
105 インタフェース装置
121 抽出結果記憶部
122 個人別専門分野記憶部
123 組織別専門分野記憶部
124 知識別専門分野記憶部
211 文書記憶部
221 チャット記憶部
231 メール記憶部
241 会議情報記憶部
B バス
【先行技術文献】
【特許文献】
【0122】
【特許文献1】特開2016-71731号公報
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