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特開2024-132704プログラム、制御装置、撮像装置、及び制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132704
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】プログラム、制御装置、撮像装置、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 25/06 20160101AFI20240920BHJP
   G03B 5/00 20210101ALI20240920BHJP
   G03B 5/08 20210101ALI20240920BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20240920BHJP
   G02B 7/08 20210101ALI20240920BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20240920BHJP
【FI】
H02P25/06
G03B5/00 J
G03B5/08
G02B7/04 E
G02B7/04 Z
G02B7/08 C
H04N23/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043588
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】303046277
【氏名又は名称】旭化成エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】築地 秀和
【テーマコード(参考)】
2H044
2K005
5C122
5H540
【Fターム(参考)】
2H044BE01
2H044BE03
2H044BE04
2H044BE18
2H044BF06
2H044DA01
2H044DA02
2H044DB00
2H044DB03
2H044DB04
2H044DC01
2H044DC10
2K005CA02
2K005CA03
2K005CA04
2K005CA13
2K005CA14
2K005CA23
2K005CA24
2K005CA53
2K005CA54
2K005CA55
2K005CA57
5C122EA06
5C122EA41
5C122FB03
5C122FC02
5C122HA75
5C122HA82
5C122HA88
5C122HB01
5H540AA10
5H540BB03
5H540BB05
5H540BB09
5H540EE02
5H540EE05
5H540FA12
5H540FA24
5H540FB01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】m個の自由度で可動部材を移動または回転させるm+n個の駆動源を制御するm+n個の制御回路を制御する制御装置としてコンピュータを機能させるプログラムを提供する。
【解決手段】プログラムは、可動部材の位置を検出するm+n個の位置センサから、位置情報を取得する段階と、可動部材の移動または回転に関連する自由度の成分で目標姿勢情報を取得する段階と、位置情報に示されるm+n個の値の少なくとも1つの値に基づいて、n個の自由度の成分の少なくとも1つに起因する可動部材の目標位置の不整合を補正するための補正成分を示す補正情報を導出する段階と、目標姿勢情報に示されるm個の自由度の成分と、補正情報に示される補正成分と、係数セットと、に基づいて可動部材のm+n個の目標位置を導出する段階と、可動部材の目標位置を示す目標位置情報をm+n個の制御回路の出力する段階と、をコンピュータに実行させる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
m個の自由度で可動部材を移動または回転させるm+n(m及びnは正の整数)個の駆動源のそれぞれを別個に制御するm+n個の制御回路を制御する制御装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記可動部材に対して相対的に異なる位置に設けられ、前記可動部材の位置を検出するm+n個の位置センサのそれぞれから、前記可動部材の位置を示すそれぞれの位置情報を取得する段階と、
前記可動部材の移動または回転に関連するm個の自由度の成分で前記可動部材の目標姿勢を示す目標姿勢情報を取得する段階と、
それぞれの前記位置情報に示される前記可動部材の位置に相当するm+n個の値の少なくとも1つの値に基づいて、前記可動部材の移動または回転に関連するm個の自由度以外の、n個の自由度の成分の少なくとも1つに起因する前記可動部材のm+n個の目標位置の不整合を補正するための補正成分を示す補正情報を導出する段階と、
前記目標姿勢情報に示されるm個の自由度の成分と、前記補正情報に示される前記補正成分と、前記補正成分に適用する前記可動部材の位置に応じて予め定められた係数セットとに基づいて、m+n個の前記制御回路に対する前記可動部材のm+n個の目標位置を導出する段階と、
前記可動部材を目標姿勢にすべく、それぞれの前記目標位置を示すそれぞれの目標位置情報をm+n個の前記制御回路のそれぞれに出力する段階と
を前記コンピュータに実行させる、プログラム。
【請求項2】
m+n個の前記制御回路は、特定の駆動範囲で前記可動部材を移動または回転させるs個の駆動源のそれぞれを制御するs個の制御回路と、前記特定の駆動範囲外の他の駆動範囲で少なくとも前記可動部材を移動または回転させるm+n-s個の駆動源のそれぞれを制御するm+n-s個の制御回路とを含み、
前記目標位置を導出する段階は、前記可動部材が前記特定の駆動範囲内に位置する場合、m+n-s個の前記制御回路がそれぞれの前記駆動源を制御するために利用するそれぞれの前記位置センサで検出される前記可動部材の位置を示すm+n-s個の位置情報に基づかずに、s個の前記制御回路に対する前記可動部材のs個の目標位置を導出するような係数セットを前記係数セットとして用いる段階を含む、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
m+n個の前記制御回路は、第1駆動範囲で前記可動部材を移動または回転させる第1駆動源を制御する第1制御回路と、前記第1駆動範囲の一部である第1重複範囲で駆動範囲が重複する第2駆動範囲で前記可動部材を移動または回転させる第2駆動源を制御する第2制御回路とを含み、
前記位置情報を取得する段階は、前記第1制御回路が前記第1駆動源を制御するために利用する第1位置センサで検出される前記可動部材の位置を示す第1位置情報、及び前記第2制御回路が前記第2駆動源を制御するために利用する第2位置センサで検出される前記可動部材の位置を示す第2位置情報を取得する段階を含み、
前記目標位置を導出する段階は、前記目標姿勢と、前記補正成分と、前記第1位置情報及び前記第2位置情報の少なくとも一方に基づく前記可動部材の位置に応じた前記係数セットとに基づいて、前記第1制御回路に対する第1目標位置及び前記第2制御回路に対する第2目標位置を導出する段階を含む、請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
前記第1目標位置及び前記第2目標位置を導出する段階は、
前記可動部材が前記第1駆動範囲内の前記第1重複範囲外に位置する場合、前記可動部材が前記目標姿勢に相当する前記可動部材の位置に近づくにつれて、前記第2目標位置が前記第2位置センサで検出される前記可動部材の位置に近づくような第1係数セットを前記係数セットとして用いる段階と、
前記可動部材が前記第2駆動範囲内の前記第1重複範囲外に位置する場合、前記可動部材が前記目標姿勢に相当する前記可動部材の位置に近づくにつれて、前記第1目標位置が前記第1位置センサで検出される前記可動部材の位置に近づくような第2係数セットを前記係数セットとして用いる段階と、
前記可動部材が前記第1重複範囲内に位置する場合、前記第1位置情報と前記第2位置情報とに基づく予め定められた関数に従った変動係数セットを前記係数セットとして用いる段階と
を含む、請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
前記可動部材が前記第1駆動範囲内の前記第1重複範囲外の範囲と前記第1重複範囲との境界位置に存在する場合、前記変動係数セットは前記第1係数セットと同一であり、
前記可動部材が前記第2駆動範囲内の前記第1重複範囲外の範囲と前記第1重複範囲との境界位置に存在する場合、前記変動係数セットは前記第2係数セットと同一である、請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
m+n個の前記制御回路は、前記第2駆動範囲の一部である第2重複範囲で駆動範囲が重複する第3駆動範囲で前記可動部材を移動または回転させる第3駆動源を制御する第3制御回路をさらに含み、
前記取得する段階は、前記第3制御回路が前記第3駆動源を制御するために利用する第3位置センサで検出される前記可動部材の位置を示す第3位置情報を取得する段階を含み、
前記目標位置を導出する段階は、前記目標姿勢と、前記補正成分と、前記第1位置情報、前記第2位置情報及び前記第3位置情報の少なくとも1つに基づく前記可動部材の位置に応じた前記係数セットとに基づいて、前記第1制御回路に対する第1目標位置、前記第2制御回路に対する第2目標位置及び前記第3制御回路に対する第3目標位置を導出する段階を含む、請求項3に記載のプログラム。
【請求項7】
前記第1目標位置、前記第2目標位置及び前記第3目標位置を導出する段階は、
前記可動部材が前記第1駆動範囲内の前記第1重複範囲外に位置する場合、前記可動部材が前記目標姿勢に相当する前記可動部材の位置に近づくにつれて、前記第2目標位置が前記第2位置センサで検出される前記可動部材の位置に近づき、前記第3目標位置が前記第3位置センサで検出される前記可動部材の位置に近づくような第1係数セットを前記係数セットとして用いる段階と、
前記可動部材が前記第2駆動範囲内の前記第1重複範囲外でかつ前記第2重複範囲外に位置する場合、前記可動部材が前記目標姿勢に相当する前記可動部材の位置に近づくにつれて、前記第1目標位置が前記第1位置センサで検出される前記可動部材の位置に近づき、前記第3目標位置が前記第3位置センサで検出される前記可動部材の位置に近づくような第2係数セットを前記係数セットとして用いる段階と、
前記可動部材が前記第3駆動範囲内の前記第2重複範囲外に位置する場合、前記可動部材が前記目標姿勢に相当する前記可動部材の位置に近づくにつれて、前記第1目標位置が前記第1位置センサで検出される前記可動部材の位置に近づき、前記第2目標位置が前記第2位置センサで検出される前記可動部材の位置に近づくような第3係数セットを前記係数セットとして用いる段階と、
前記可動部材が前記第1重複範囲内または前記第2重複範囲内に位置する場合、前記第1位置情報、前記第2位置情報、及び前記第3位置情報に基づく予め定められた関数に従った変動係数セットを前記係数セットとして用いる段階と
を含む、請求項6に記載のプログラム。
【請求項8】
前記可動部材が前記第1駆動範囲内の前記第1重複範囲外の範囲と前記第1重複範囲との境界位置に存在する場合、前記変動係数セットは前記第1係数セットと同一であり、
前記可動部材が前記第2駆動範囲内の前記第1重複範囲外の範囲と前記第1重複範囲との境界位置、または前記第2駆動範囲内の前記第2重複範囲外の範囲と前記第2重複範囲との境界位置に存在する場合、前記変動係数セットは前記第2係数セットと同一であり、
前記可動部材が前記第3駆動範囲内の前記第2重複範囲外の範囲と前記第2重複範囲との境界位置に存在する場合、前記変動係数セットは前記第3係数セットと同一である、請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
m+n個の前記制御回路は、第1駆動範囲で可動部材を移動または回転させる第1駆動源を制御する第1制御回路と、第2駆動範囲で前記可動部材を移動または回転させる第2駆動源を制御する第2制御回路と、第3駆動範囲で前記可動部材を移動または回転させる第3駆動源を制御する第3制御回路とを含み、前記第1駆動範囲及び前記第2駆動範囲は、第1重複範囲で重複し、前記第1駆動範囲、前記第2駆動範囲、及び前記第3駆動範囲は、第2重複範囲で重複し、前記第2駆動範囲及び前記第3駆動範囲は、第3重複範囲で重複し、前記第1重複範囲、前記第2重複範囲、及び前記第3重複範囲はそれぞれ重複せず、
前記位置情報を取得する段階は、前記第1制御回路が前記第1駆動源を制御するために利用する第1位置センサで検出される前記可動部材の位置を示す第1位置情報、前記第2制御回路が前記第2駆動源を制御するために利用する第2位置センサで検出される前記可動部材の位置を示す第2位置情報、及び前記第3制御回路が前記第3駆動源を制御するために利用する第3位置センサで検出される前記可動部材の位置を示す第3位置情報を取得する段階を含み、
前記目標位置を導出する段階は、前記目標姿勢と、前記補正成分と、前記第1位置情報、前記第2位置情報、及び前記第3位置情報の少なくとも1つに基づく前記可動部材の位置に応じた係数セットとに基づいて、前記第1制御回路に対する第1目標位置、前記第2制御回路に対する第2目標位置、前記第3制御回路に対する第3目標位置を導出する段階を含む、請求項1に記載のプログラム。
【請求項10】
前記第1目標位置、前記第2目標位置、及び前記第3目標位置を導出する段階は、
前記可動部材が前記第1重複範囲内に位置する場合、前記可動部材が前記目標姿勢に相当する前記可動部材の位置に近づくにつれて、前記第3目標位置が前記第3位置センサで検出される前記可動部材の位置に近づくような第1係数セットを前記係数セットとして用いる段階と、
前記可動部材が前記第3重複範囲内に位置する場合、前記可動部材が前記目標姿勢に相当する前記可動部材の位置に近づくにつれて、前記第1目標位置が前記第1位置センサで検出される前記可動部材の位置に近づくような第2係数セットを前記係数セットとして用いる段階と、
前記可動部材が前記第2重複範囲内に位置する場合、前記第1位置情報、前記第2位置情報、及び第3位置情報に基づく予め定められた関数に従った変動係数セットを前記係数セットとして用いる段階と
を含む、請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
前記可動部材が前記第1重複範囲と前記第2重複範囲との境界位置に存在する場合、前記変動係数セットは前記第1係数セットと同一であり、
前記可動部材が前記第2重複範囲と前記第3重複範囲との境界位置に存在する場合、前記変動係数セットは前記第2係数セットと同一である、請求項10に記載のプログラム。
【請求項12】
前記補正成分は、n個の自由度の成分のそれぞれについての補正成分を含む、請求項1に記載のプログラム。
【請求項13】
前記補正情報を導出する段階は、それぞれの前記位置情報に示される前記可動部材の位置に相当するm+n個の値を変数とし、(m+n)×(m+n)の行列で定められるアルゴリズムに従って前記補正情報を導出する段階を含む、請求項12に記載のプログラム。
【請求項14】
m+n個の前記制御回路のそれぞれと、m+n個の前記位置センサのそれぞれとは、一体化されてm+n個の集積回路を構成する、請求項1に記載のプログラム。
【請求項15】
m+n個の前記駆動源のそれぞれは、電磁アクチュエータであり、
m+n個の前記位置センサのそれぞれは、磁気センサである、請求項14に記載のプログラム。
【請求項16】
m+n個の前記制御回路のそれぞれは、それぞれの前記目標位置に基づくPID制御により、m+n個の電磁アクチュエータのそれぞれを別個に制御する、請求項15に記載のプログラム。
【請求項17】
mは1で、nは1以上の整数であり、
m+n個の前記駆動源が駆動することで、前記可動部材は、第1方向に沿った移動をする、請求項1に記載のプログラム。
【請求項18】
mは3で、nは1以上の整数であり、
m+n個の前記駆動源が駆動することで、前記可動部材は、第1方向及び第2方向に沿った移動、及び前記第1方向及び前記第2方向に沿った平面と交差する第1回転軸を中心とする回転をする、請求項1に記載のプログラム。
【請求項19】
mは3で、nは1以上の整数であり、
m+n個の前記駆動源が駆動することで、前記可動部材は、第1方向に沿った移動、及び前記第1方向と交差する平面に沿った第1回転軸及び第2回転軸のそれぞれを中心に回転をする、請求項1に記載のプログラム。
【請求項20】
m個の自由度で可動部材を移動または回転させるm+n(m及びnは正の整数)個の駆動源のそれぞれを別個に制御するm+n個の制御回路を制御する制御装置であって、
前記可動部材に対して相対的に異なる位置に設けられ、前記可動部材の位置を検出するm+n個の位置センサのそれぞれから、前記可動部材の位置を示すそれぞれの位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記可動部材の移動または回転に関連するm個の自由度の成分で前記可動部材の目標姿勢を示す目標姿勢情報を取得する目標姿勢情報取得部と、
それぞれの前記位置情報に示される前記可動部材の位置に相当するm+n個の値の少なくとも1つの値に基づいて、前記可動部材の移動または回転に関連するm個の自由度以外の、n個の自由度の成分の少なくとも1つに起因する前記可動部材のm+n個の目標位置の不整合を補正するための補正成分を示す補正情報を導出する補正情報導出部と、
前記目標姿勢情報に示されるm個の自由度の成分と、前記補正情報に示される前記補正成分と、前記補正成分に適用する前記可動部材の位置に応じて予め定められた係数セットと基づいて、m+n個の前記制御回路に対する前記可動部材のm+n個の目標位置を導出する目標位置導出部と、
前記可動部材を目標姿勢にすべく、それぞれの前記目標位置を示すそれぞれの目標位置情報をm+n個の前記制御回路のそれぞれに出力する出力部と
を備える、制御装置。
【請求項21】
請求項20に記載の制御装置と、
撮像素子と、
前記撮像素子の撮像面に対象物を結像させる光学系と、
m+n個の前記駆動源と、
m+n個の前記位置センサと
を備え、
前記可動部材は、前記撮像素子または前記光学系である、撮像装置。
【請求項22】
m個の自由度で可動部材を移動または回転させるm+n(m及びnは正の整数)個の駆動源のそれぞれを別個に制御するm+n個の制御回路を制御する制御方法であって、
前記可動部材に対して相対的に異なる位置に設けられ、前記可動部材の位置を検出するm+n個の位置センサのそれぞれから、前記可動部材の位置を示すそれぞれの位置情報を取得する段階と、
前記可動部材の移動または回転に関連するm個の自由度の成分で前記可動部材の目標姿勢を示す目標姿勢情報を取得する段階と、
それぞれの前記位置情報に示される前記可動部材の位置に相当するm+n個の値の少なくとも1つの値に基づいて、前記可動部材の移動または回転に関連するm個の自由度以外の、n個の自由度の成分の少なくとも1つに起因する前記可動部材のm+n個の目標位置の不整合を補正するための補正成分を示す補正情報を導出する段階と、
前記目標姿勢情報に示されるm個の自由度の成分と、前記補正情報に示される前記補正成分と、前記補正成分に適用する前記可動部材の位置に応じて予め定められた係数セットと基づいて、m+n個の前記制御回路に対する前記可動部材のm+n個の目標位置を導出する段階と、
前記可動部材を目標姿勢にすべく、それぞれの前記目標位置を示すそれぞれの目標位置情報をm+n個の前記制御回路のそれぞれに出力する段階と
を備える制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、制御装置、撮像装置、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、各コイルの差分器からの電流誤差信号を電流指令として他のコイルに対して選択的に切り替えて出力することにより、コイル切替え時の推力低下を補償することが記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特許第3486499号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載の可動磁石を位置決めするリニアモータコイルでは、コイル電流の補償を行うかどうかの基準としてコイル電流の飽和を利用している。しかし、コイル電流の飽和の有無によらずに、各コイルを切り替える場合に可動部材の動作が不安定になることを抑制することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、m個の自由度で可動部材を移動または回転させるm+n(m及びnは正の整数)個の駆動源のそれぞれを別個に制御するm+n個の制御回路を制御する制御装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムを提供する。前記プログラムは、前記可動部材に対して相対的に異なる位置に設けられ、前記可動部材の位置を検出するm+n個の位置センサのそれぞれから、前記可動部材の位置を示すそれぞれの位置情報を取得する段階と、前記可動部材の移動または回転に関連するm個の自由度の成分で前記可動部材の目標姿勢を示す目標姿勢情報を取得する段階と、それぞれの前記位置情報に示される前記可動部材の位置に相当するm+n個の値の少なくとも1つの値に基づいて、前記可動部材の移動または回転に関連するm個の自由度以外の、n個の自由度の成分の少なくとも1つに起因する前記可動部材のm+n個の目標位置の不整合を補正するための補正成分を示す補正情報を導出する段階と、前記目標姿勢情報に示されるm個の自由度の成分と、前記補正情報に示される前記補正成分と、前記補正成分に適用する前記可動部材の位置に応じて予め定められた係数セットとに基づいて、m+n個の前記制御回路に対する前記可動部材のm+n個の目標位置を導出する段階と、前記可動部材を目標姿勢にすべく、それぞれの前記目標位置を示すそれぞれの目標位置情報をm+n個の前記制御回路のそれぞれに出力する段階と、を前記コンピュータに実行させる。
【0005】
前記プログラムにおいて、m+n個の前記制御回路は、特定の駆動範囲で前記可動部材を移動または回転させるs個の駆動源のそれぞれを制御するs個の制御回路と、前記特定の駆動範囲外の他の駆動範囲で少なくとも前記可動部材を移動または回転させるm+n-s個の駆動源のそれぞれを制御するm+n-s個の制御回路とを含んでよい。前記目標位置を導出する段階は、前記可動部材が前記特定の駆動範囲内に位置する場合、m+n-s個の前記制御回路がそれぞれの前記駆動源を制御するために利用するそれぞれの前記位置センサで検出される前記可動部材の位置を示すm+n-s個の位置情報に基づかずに、s個の前記制御回路に対する前記可動部材のs個の目標位置を導出するような係数セットを前記係数セットとして用いる段階を含んでよい。
【0006】
いずれかの前記プログラムにおいて、m+n個の前記制御回路は、第1駆動範囲で可動部材を移動または回転させる第1駆動源を制御する第1制御回路と、前記第1駆動範囲の一部である第1重複範囲で駆動範囲が重複する第2駆動範囲で前記可動部材を移動または回転させる第2駆動源を制御する第2制御回路とを含んでよい。前記位置情報を取得する段階は、前記第1制御回路が前記第1駆動源を制御するために利用する第1位置センサで検出される前記可動部材の位置を示す第1位置情報、及び前記第2制御回路が前記第2駆動源を制御するために利用する第2位置センサで検出される前記可動部材の位置を示す第2位置情報を取得する段階を含んでよい。前記目標位置を導出する段階は、前記目標姿勢と、前記補正成分と、前記第1位置情報及び前記第2位置情報の少なくとも一方に基づく前記可動部材の位置に応じた前記係数セットとに基づいて、前記第1制御回路に対する第1目標位置及び前記第2制御回路に対する第2目標位置を導出する段階を含んでよい。
【0007】
いずれかの前記プログラムにおいて、前記第1目標位置及び前記第2目標位置を導出する段階は、前記可動部材が前記第1駆動範囲内の前記第1重複範囲外に位置する場合、前記可動部材が前記目標姿勢に相当する前記可動部材の位置に近づくにつれて、前記第2目標位置が前記第2位置センサで検出される前記可動部材の位置に近づくような第1係数セットを前記係数セットとして用いる段階と、前記可動部材が前記第2駆動範囲内の前記第1重複範囲外に位置する場合、前記可動部材が前記目標姿勢に相当する前記可動部材の位置に近づくにつれて、前記第1目標位置が前記第1位置センサで検出される前記可動部材の位置に近づくような第2係数セットを前記係数セットとして用いる段階と、前記可動部材が前記第1重複範囲内に位置する場合、前記第1位置情報と前記第2位置情報とに基づく予め定められた関数に従った変動係数セットを前記係数セットとして用いる段階と、を含んでよい。
【0008】
いずれかの前記プログラムにおいて、前記可動部材が前記第1駆動範囲内の前記第1重複範囲外の範囲と前記第1重複範囲との境界位置に存在する場合、前記変動係数セットは前記第1係数セットと同一であってよい。前記可動部材が前記第2駆動範囲内の前記第1重複範囲外の範囲と前記第1重複範囲との境界位置に存在する場合、前記変動係数セットは前記第2係数セットと同一であってよい。
【0009】
いずれかの前記プログラムにおいて、m+n個の前記制御回路は、前記第2駆動範囲の一部である第2重複範囲で駆動範囲が重複する第3駆動範囲で前記可動部材を移動または回転させる第3駆動源を制御する第3制御回路をさらに含んでよい。前記取得する段階は、前記第3制御回路が前記第3駆動源を制御するために利用する第3位置センサで検出される前記可動部材の位置を示す第3位置情報を取得する段階を含んでよい。前記目標位置を導出する段階は、前記目標姿勢と、前記補正成分と、前記第1位置情報、前記第2位置情報及び前記第3位置情報の少なくとも1つに基づく前記可動部材の位置に応じた前記係数セットとに基づいて、前記第1制御回路に対する第1目標位置、前記第2制御回路に対する第2目標位置及び前記第3制御回路に対する第3目標位置を導出する段階を含んでよい。
【0010】
いずれかの前記プログラムにおいて、前記第1目標位置、前記第2目標位置及び前記第3目標位置を導出する段階は、前記可動部材が前記第1駆動範囲内の前記第1重複範囲外に位置する場合、前記可動部材が前記目標姿勢に相当する前記可動部材の位置に近づくにつれて、前記第2目標位置が前記第2位置センサで検出される前記可動部材の位置に近づき、前記第3目標位置が前記第3位置センサで検出される前記可動部材の位置に近づくような第1係数セットを前記係数セットとして用いる段階と、前記可動部材が前記第2駆動範囲内の前記第1重複範囲外でかつ前記第2重複範囲外に位置する場合、前記可動部材が前記目標姿勢に相当する前記可動部材の位置に近づくにつれて、前記第1目標位置が前記第1位置センサで検出される前記可動部材の位置に近づき、前記第3目標位置が前記第3位置センサで検出される前記可動部材の位置に近づくような第2係数セットを前記係数セットとして用いる段階と、前記可動部材が前記第3駆動範囲内の前記第2重複範囲外に位置する場合、前記可動部材が前記目標姿勢に相当する前記可動部材の位置に近づくにつれて、前記第1目標位置が前記第1位置センサで検出される前記可動部材の位置に近づき、前記第2目標位置が前記第2位置センサで検出される前記可動部材の位置に近づくような第3係数セットを前記係数セットとして用いる段階と、前記可動部材が前記第1重複範囲内または前記第2重複範囲内に位置する場合、前記第1位置情報、前記第2位置情報、及び前記第3位置情報に基づく予め定められた関数に従った変動係数セットを前記係数セットとして用いる段階と、を含んでよい。
【0011】
いずれかの前記プログラムにおいて、前記可動部材が前記第1駆動範囲内の前記第1重複範囲外の範囲と前記第1重複範囲との境界位置に存在する場合、前記変動係数セットは前記第1係数セットと同一であってよい。前記可動部材が前記第2駆動範囲内の前記第1重複範囲外の範囲と前記第1重複範囲との境界位置、または前記第2駆動範囲内の前記第2重複範囲外の範囲と前記第2重複範囲との境界位置に存在する場合、前記変動係数セットは前記第2係数セットと同一であってよい。前記可動部材が前記第3駆動範囲内の前記第2重複範囲外の範囲と前記第2重複範囲との境界位置に存在する場合、前記変動係数セットは前記第3係数セットと同一であってよい。
【0012】
いずれかの前記プログラムにおいて、m+n個の前記制御回路は、第1駆動範囲で可動部材を移動または回転させる第1駆動源を制御する第1制御回路と、第2駆動範囲で前記可動部材を移動または回転させる第2駆動源を制御する第2制御回路と、第3駆動範囲で前記可動部材を移動または回転させる第3駆動源を制御する第3制御回路とを含んでよい。前記第1駆動範囲及び前記第2駆動範囲は、第1重複範囲で重複し、前記第1駆動範囲、前記第2駆動範囲、及び前記第3駆動範囲は、第2重複範囲で重複し、前記第2駆動範囲及び前記第3駆動範囲は、第3重複範囲で重複し、前記第1重複範囲、前記第2重複範囲、及び前記第3重複範囲はそれぞれ重複せずともよい。前記位置情報を取得する段階は、前記第1制御回路が前記第1駆動源を制御するために利用する第1位置センサで検出される前記可動部材の位置を示す第1位置情報、前記第2制御回路が前記第2駆動源を制御するために利用する第2位置センサで検出される前記可動部材の位置を示す第2位置情報、及び前記第3制御回路が前記第3駆動源を制御するために利用する第3位置センサで検出される前記可動部材の位置を示す第3位置情報を取得する段階を含んでよい。前記目標位置を導出する段階は、前記目標姿勢と、前記補正成分と、前記第1位置情報、前記第2位置情報、及び前記第3位置情報の少なくとも1つに基づく前記可動部材の位置に応じた係数セットとに基づいて、前記第1制御回路に対する第1目標位置、前記第2制御回路に対する第2目標位置、前記第3制御回路に対する第3目標位置を導出する段階を含んでよい。
【0013】
いずれかの前記プログラムにおいて、前記第1目標位置、前記第2目標位置、及び前記第3目標位置を導出する段階は、前記可動部材が前記第1重複範囲内に位置する場合、前記可動部材が前記目標姿勢に相当する前記可動部材の位置に近づくにつれて、前記第3目標位置が前記第3位置センサで検出される前記可動部材の位置に近づくような第1係数セットを前記係数セットとして用いる段階と、前記可動部材が前記第3重複範囲内に位置する場合、前記可動部材が前記目標姿勢に相当する前記可動部材の位置に近づくにつれて、前記第1目標位置が前記第1位置センサで検出される前記可動部材の位置に近づくような第2係数セットを前記係数セットとして用いる段階と、前記可動部材が前記第2重複範囲内に位置する場合、前記第1位置情報、前記第2位置情報、及び第3位置情報に基づく予め定められた関数に従った変動係数セットを前記係数セットとして用いる段階と、を含んでよい。
【0014】
いずれかの前記プログラムにおいて、前記可動部材が前記第1重複範囲と前記第2重複範囲との境界位置に存在する場合、前記変動係数セットは前記第1係数セットと同一であってよい。前記可動部材が前記第2重複範囲と前記第3重複範囲との境界位置に存在する場合、前記変動係数セットは前記第2係数セットと同一であってよい。
【0015】
いずれかの前記プログラムにおいて、前記補正成分は、n個の自由度の成分のそれぞれについての補正成分を含んでよい。
【0016】
いずれかの前記プログラムにおいて、前記補正情報を導出する段階は、それぞれの前記位置情報に示される前記可動部材の位置に相当するm+n個の値を変数とし、(m+n)×(m+n)の行列で定められるアルゴリズムに従って前記補正情報を導出する段階を含んでよい。
【0017】
いずれかの前記プログラムにおいて、m+n個の前記制御回路のそれぞれと、m+n個の前記位置センサのそれぞれとは、一体化されてm+n個の集積回路を構成してよい。
【0018】
いずれかの前記プログラムにおいて、m+n個の前記駆動源のそれぞれは、電磁アクチュエータであってよい。m+n個の前記位置センサのそれぞれは、磁気センサであってよい。
【0019】
いずれかの前記プログラムにおいて、m+n個の前記制御回路のそれぞれは、それぞれの前記目標位置に基づくPID制御により、m+n個の電磁アクチュエータのそれぞれを別個に制御してよい。
【0020】
いずれかの前記プログラムにおいて、mは1で、nは1以上の整数であってよい。m+n個の前記駆動源が駆動することで、前記可動部材は、第1方向に沿った移動をしてよい。
【0021】
いずれかの前記プログラムにおいて、mは3で、nは1以上の整数であってよい。m+n個の前記駆動源が駆動することで、前記可動部材は、第1方向及び第2方向に沿った移動、及び前記第1方向及び前記第2方向に沿った平面と交差する第1回転軸を中心とする回転をしてよい。
【0022】
いずれかの前記プログラムにおいて、mは3で、nは1以上の整数であってよい。m+n個の前記駆動源が駆動することで、前記可動部材は、第1方向に沿った移動、及び前記第1方向と交差する平面に沿った第1回転軸及び第2回転軸のそれぞれを中心に回転をしてよい。
【0023】
本発明の第2の態様においては、m個の自由度で可動部材を移動または回転させるm+n(m及びnは正の整数)個の駆動源のそれぞれを別個に制御するm+n個の制御回路を制御する制御装置を提供する。前記制御装置は、前記可動部材に対して相対的に異なる位置に設けられ、前記可動部材の位置を検出するm+n個の位置センサのそれぞれから、前記可動部材の位置を示すそれぞれの位置情報を取得する位置情報取得部と、前記可動部材の移動または回転に関連するm個の自由度の成分で前記可動部材の目標姿勢を示す目標姿勢情報を取得する目標姿勢情報取得部と、それぞれの前記位置情報に示される前記可動部材の位置に相当するm+n個の値の少なくとも1つの値に基づいて、前記可動部材の移動または回転に関連するm個の自由度以外の、n個の自由度の成分の少なくとも1つに起因する前記可動部材のm+n個の目標位置の不整合を補正するための補正成分を示す補正情報を導出する補正情報導出部と、前記目標姿勢情報に示されるm個の自由度の成分と、前記補正情報に示される前記補正成分と、前記補正成分に適用する前記可動部材の位置に応じて予め定められた係数セットと基づいて、m+n個の前記制御回路に対する前記可動部材のm+n個の目標位置を導出する目標位置導出部と、前記可動部材を目標姿勢にすべく、それぞれの前記目標位置を示すそれぞれの目標位置情報をm+n個の前記制御回路のそれぞれに出力する出力部と、を備える。
【0024】
本発明の第3の態様においては、前記制御装置と、撮像素子と、前記撮像素子の撮像面に対象物を結像させる光学系と、m+n個の前記駆動源と、m+n個の前記位置センサと、を備える撮像装置を提供する。前記可動部材は、前記撮像素子または前記光学系であってよい。
【0025】
本発明の第4の態様においては、m個の自由度で可動部材を移動または回転させるm+n(m及びnは正の整数)個の駆動源のそれぞれを別個に制御するm+n個の制御回路を制御する制御方法を提供する。前記制御方法は、前記可動部材に対して相対的に異なる位置に設けられ、前記可動部材の位置を検出するm+n個の位置センサのそれぞれから、前記可動部材の位置を示すそれぞれの位置情報を取得する段階と、前記可動部材の移動または回転に関連するm個の自由度の成分で前記可動部材の目標姿勢を示す目標姿勢情報を取得する段階と、それぞれの前記位置情報に示される前記可動部材の位置に相当するm+n個の値の少なくとも1つの値に基づいて、前記可動部材の移動または回転に関連するm個の自由度以外の、n個の自由度の成分の少なくとも1つに起因する前記可動部材のm+n個の目標位置の不整合を補正するための補正成分を示す補正情報を導出する段階と、前記目標姿勢情報に示されるm個の自由度の成分と、前記補正情報に示される前記補正成分と、前記補正成分に適用する前記可動部材の位置に応じて予め定められた係数セットと基づいて、m+n個の前記制御回路に対する前記可動部材のm+n個の目標位置を導出する段階と、前記可動部材を目標姿勢にすべく、それぞれの前記目標位置を示すそれぞれの目標位置情報をm+n個の前記制御回路のそれぞれに出力する段階と、を備える。
【0026】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】電磁アクチュエータ150の駆動の様子を示す図である。
図2】2つの電磁アクチュエータ150A,150Bで可動部材110を駆動させる様子を示す図である。
図3】4つの電磁アクチュエータ150A,150B,150C,150Dと4つの位置センサ142A,142B,142C,142Dとが基板上に配置された状態を示す図である。
図4A】電磁アクチュエータ150が可動部材110にX方向の成分の推力を与える点について説明するための図である。
図4B】電磁アクチュエータ150が可動部材110にY方向の成分の推力を与える点について説明するための図である。
図4C】電磁アクチュエータ150が可動部材110に回転の成分の推力を与える点について説明するための図である。
図4D】電磁アクチュエータ150が可動部材110に与える余剰自由度の成分について説明するための図である。
図5】可動部材210の移動を制御する位置調整装置115の構成の一例を示す。
図6】磁石220と、集積回路140A,140Bとの配置に基づく、駆動制御の概略の一例を示す。
図7A】可動部材210の現在の位置Pと、集積回路140Aの目標位置P1と、集積回路140Bの目標位置P2との関係の一例を示す。
図7B】可動部材210の現在の位置Pと、集積回路140Aの目標位置P1と、集積回路140Bの目標位置P2との関係の一例を示す。
図7C】可動部材210の現在の位置Pと、集積回路140Aの目標位置P1と、集積回路140Bの目標位置P2との関係の一例を示す。
図8】可動部材210の位置Pのx座標成分に応じた変動係数aの値を示す図である。
図9】電磁アクチュエータにおける空芯コイル120A,120Bを制御する制御方法のフロー図を示す図である
図10】集積回路140を本実施形態の変動係数aを用いた駆動制御において、可動部材210が制御される位置のシミュレーション結果を示す図である。
図11】1つの直進方向の自由度に対して、4つの集積回路140A,140B,140C,140Dが設けられる場合の位置調整装置115の構成の一例を示す図である。
図12】磁石220と、集積回路140A~140Dとの配置に基づく、駆動制御の概略の一例を示す
図13図12の駆動制御における、各駆動範囲での位置に応じて変動する係数セットの例を示す図である。
図14】磁石220と、集積回路140A~140Dとの配置に基づく、駆動制御の概略の別例を示す図である。
図15図14の駆動制御における、各駆動範囲での位置に応じて変動する係数セットの例を示す図である。
図16】撮像装置100の機能ブロックの一例を示す図である。
図17】ハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0029】
図1は、撮像装置などに設けられるレンズまたは撮像素子などを駆動するために用いられる電磁アクチュエータ150の駆動の様子を示す図である。電磁アクチュエータ150は、矢印方向230の方向に沿って、電磁力により、可動部材110を並進させる。
【0030】
可動部材110には基板200と対向する面において、空芯コイル120が設けられる。一方、基板200には、可動部材110と対向する面において、磁石220が設けられる。なお、本実施形態では、可動部材110上に、空芯コイル120を配置する形態について説明する。しかし、可動部材110上に磁石220を配置し、基板200に空芯コイル120を設けてもよい。
【0031】
電磁アクチュエータ150は、例えば、撮像装置に設けられた可動部材110を、対向する基板200に対して移動させる。電磁アクチュエータ150は、空芯コイル120と、磁石220とを有する。可動部材110には、レンズ等が配置される。すなわち、可動部材110とともにレンズ等は、移動可能である。レンズ等が移動することにより、撮像装置におけるレンズの像振れ補正機能、カメラのズーム機能、VRのヘッドマウントディスプレイにおけるレンズ制御機能等を実装できる。ここで、電磁アクチュエータ150は、「駆動源」に相当する。
【0032】
磁石220の磁場内で、空芯コイル120に電流を流すと、空芯コイル120に磁界と垂直な方向に力が発生する。これにより、可動部材110に矢印方向230に沿った推力を与える。
【0033】
可動部材110上の空芯コイル120の空芯部分1221内には、後述の集積回路140とともに実装された位置センサ142が配置される。位置センサ142は、ホール素子などの磁気センサでよい。この場合、位置センサ142は、磁場の変化に応じた大きさの信号を出力する。可動部材110が移動することで、位置センサ142と磁石220との位置関係が変化し、位置センサ142で検出される磁場の大きさが変化する。これにより、位置センサ142は、磁石220に対する位置センサ142の位置、すなわち、可動部材110の位置を検出する。
【0034】
図2は、2つの電磁アクチュエータ150A,150Bで可動部材110を駆動させる様子を示す。電磁アクチュエータ150A,150Bで可動部材110を駆動させる場合、一方の電磁アクチュエータ150Bの駆動で移動した位置センサ142Bの位置160Bが、磁石220Bに対して目標位置162Bに到達した状態で、他方の電磁アクチュエータ150Aの駆動で移動した位置センサ142Aの位置160Aが、磁石220Aに対して目標位置162Aに到達しない場合がある。このような場合、位置センサ142Aの位置160Aを磁石220Aに対して目標位置162Aに到達させるべく、他方の電磁アクチュエータ150Aの空芯コイル120Aにさらに電流が流れる。これにより、位置センサ142Aの位置160Aが磁石220Aに対して目標位置162Aに到達すると、位置センサ142Bの位置160Bが磁石220Bに対する目標位置162Bに対してずれる。この繰り返しにより、空芯コイル120A,120Bに電流が継続的に流れ、電磁アクチュエータ150A,150Bで消費する電力が増加する場合がある。
【0035】
位置センサ142Aの位置160Aが磁石220Aに対して目標位置162Aに到達せず、かつ位置センサ142Bの位置160Bが磁石220Bに対して目標位置162Bに到達しない場合もある。このような場合、可動部材110は現在の姿勢を維持した状態で、位置センサ142Aの位置160Aを磁石220Aに対して目標位置162Aに到達させるべく、電磁アクチュエータ150Aの空芯コイル120Aに電流が継続的に流れ、かつ位置センサ142Bの位置160Bを磁石220Bに対して目標位置162Bに到達させるべく、電磁アクチュエータ150Bの空芯コイル120Bにも継続的に電流が流れる。これにより、電磁アクチュエータ150A,150Bで消費する電力が増加する場合がある。
【0036】
これらの現象は、位置センサ142A,142Bの製造誤差、または磁石220A220Bの磁場以外に周囲に存在する磁場の影響などで、位置センサ142A,142Bで検知される可動部材110の位置と、可動部材110の実際の位置との間の位置ずれが要因で、下記に示す通り、検知される可動部材110の位置と目標位置との連立方程式の解を導出できないことにより生じる。そして、連立方程式の解を導出できないことによる電力消費の増加は、電磁アクチュエータ150A,150Bが独立して制御されている場合に起こり得る。すなわち、位置センサ142Aの検出結果は、電磁アクチュエータ150Aのフィードバック制御に用いられ、電磁アクチュエータ150Bのフィードバック制御には用いられず、位置センサ142Bの検出結果は、電磁アクチュエータ150Bのフィードバック制御に用いられ、電磁アクチュエータ150AのPID制御などのフィードバック制御には用いられない場合に起こり得る。
【0037】
可動部材110の目標姿勢に達するための可動部材110の各目標位置と、各位置センサ142で検出される各位置とがそれぞれ一致すれば、このような現象を防止できる。すなわち、各位置センサ142での位置ずれを考慮して、可動部材110の目標姿勢に達するための可動部材110の各目標位置が精度よく導出できれば、このような現象を防止できる。
【0038】
図3は、4つの電磁アクチュエータ150A,150B,150C,150D(以下、電磁アクチュエータ150と総称する場合がある)と4つの位置センサ142A,142B,142C,142D(以下、位置センサ142と総称する場合がある)とが可動部材110上に配置された状態を示す。例えば、ユーザは、撮像中において、X方向、Y方向、Z方向、角度θ、角度θ、及び角度θといった方向に撮像装置を移動または回転させてしまうことがある。角度θはX軸周りの回転角度、角度θはY軸周りの回転角度、角度θはZ軸周りの回転角度をそれぞれ示す。そこで、撮像装置は、自身の移動方向及び回転方向を検出し、検出した移動方向とは逆向きにレンズ等の光学系または撮像素子を移動または回転させて、像振れを補正する機能を有する。本実施形態では、4つの電磁アクチュエータ150からの推力を受けて、可動部材110は、3つの自由度で、X方向及びY方向に移動し、かつXY平面に対して垂直なZ軸に沿った回転軸を中心に、角度θ(以下では、θについて、Zの表記を省略している。)の回転をする。X方向は、「第1方向」の一例であって、Y方向は、「第2方向」の一例である。この場合、Z軸は、「第1方向及び第2方向に沿った平面と交差する第1回転軸」に相当する。また、X軸は、「第2回転軸」の一例となる。
【0039】
図4Aに示すように、電磁アクチュエータ150A,150Bは、可動部材110の座標系におけるX方向の成分X1及び成分X2の推力を、可動部材110に与える。図4Bに示すように、電磁アクチュエータ150C,150Dは、可動部材110のXY座標系におけるY方向の成分Y1及び成分Y2の推力を、可動部材110に与える。また、図4Cに示すように、電磁アクチュエータ150A,150B,150C,150Dは、それぞれの推力の成分X1、成分X2、成分X3、及び成分X4の合成により、可動部材110に回転成分θの推力を与える。加えて、図4Dに示すように、位置センサ142で検出される位置に誤差が含まれる場合、可動部材110の移動及び回転に寄与する自由度のX成分、Y成分、及び回転成分θに加えて、可動部材110の移動及び回転に寄与しない、本来存在すべきでない余剰自由度の成分Rが存在する。
【0040】
ここで、位置センサ142Aで検出される電磁アクチュエータ150Aの座標系Aにおける位置をx1とする。位置センサ142Bで検出される電磁アクチュエータ150Bの座標系Bにおける位置をx2とする。位置センサ142Cで検出される電磁アクチュエータ150Cの座標系Cにおける位置をy1とする。位置センサ142Dで検出される電磁アクチュエータ150Dの座標系Dにおける位置をy2とする。また、各位置センサ142で測定される測定位置をx1,x2,y1,y2とし、目標姿勢(X,Y,θ)に対応する各位置センサ142で検出すべき各目標位置をx1,x2,y1,y2とする。
【0041】
目標姿勢(X,Y,θ)と、目標位置(x1,x2,y1,y2)との関係は、数学的に次式(1)で表すことができる。
【数1】
【0042】
目標姿勢(X,Y,θ)を満たす目標位置(x1,x2,y1,y2)を導出する上で、3つの変数(X,Y,θ)に対して、4つの変数で示される測定位置(x1,x2,y1,y2)を満たす連立方程式の解の有無が駆動の振る舞いに対して本質的な影響を及ぼす。この場合、変数(X,Y,θ)と変数(x1,x2,y1,y2)との間の関係式は、式(2)で表される。
【数2】
しかし、上記の通り、位置センサ142で検出される位置には誤差が含まれる可能性がある。そのため、3つの変数(X,Y,θ)に対して、4つの変数で示される測定位置(x1,x2,y1,y2)を満たす連立方程式の解を導出できない場合がある。このように解を導き出せない場合、可動部材110の姿勢を目標姿勢にすることができず、それぞれの電磁アクチュエータ150で消費する電力が増大する可能性がある。
【0043】
そこで、余剰自由度の成分Rを考慮して、4つの変数(X,Y,θ,R)に対して、次式(3)の通り、4つの変数である目標位置(x1,x2,y1,y2)を満たす連立方程式の解を導出する。
【数3】
【0044】
上記の行列の数式により、位置センサ142で検出される位置に誤差が含まれる場合でも、x1,x2,y1,y2のそれぞれの解を導出できる。
【0045】
余剰自由度の成分Rは、位置センサ142で検出される可動部材110の各基準点、例えば可動部材110の各位置センサ142の測定位置x1、x2、y1、y2を変数とする次式(4)から導出されてよい。
【数4】
【0046】
すなわち、各位置センサ142で検出される各基準点の位置に対応する値と、上記の4×4の行列の数式とに基づいて、余剰自由度の成分Rは導出されてよい。なお、式(4)の4×4の行列の数式の各成分は、一例であり、各位置センサ142の磁気特性、位置センサ142で検出される位置、または目標位置などに応じて、調整されてよい。また、式(4)でRを導出した後、式(3)に従って各目標位置に各基準点の各位置を移動させるようにフィードバック制御する。このフィードバック制御のときに、Rを予め定められたスケールで倍する演算処理を行うことで、目標位置は調整されてよい。
【0047】
図5は、可動部材210の移動を制御する位置調整装置115の構成の一例を示す。位置調整装置115は、可動部材210の位置を検出し、可動部材210を目標位置へと調整する。位置調整装置115は、複数の空芯コイル120A,120Bと、複数の集積回路140A,140Bと、制御装置170と、を備える。
【0048】
図1の実施形態の場合、可動部材110は、空芯コイル120の搭載された基板であり、基板200に磁石220が搭載されていた。本実施形態においては、位置調整装置115が搭載された基板に対して、磁石220が搭載された可動部材210が移動する。図1の実施形態と同様に、空芯コイル120A及び磁石220により、可動部材210を駆動するための電磁アクチュエータが構成される。本実施形態においては、可動部材210が集積回路140A,140Bに対し、並進する場合について説明される。可動部材210が、レンズ枠の場合、可動部材210は、レンズ系の光軸に沿って並進する。本実施形態においては、磁石220が空芯コイル120Aに近づいた場合に、空芯コイル120A及び磁石220による電磁アクチュエータが構成される。一方、磁石220が空芯コイル120Bに近づいた場合に空芯コイル120A及び磁石220による電磁アクチュエータが構成される。
【0049】
可動部材210には、磁石220が設けられる。一例として、可動部材210は、撮像装置が備えるレンズ系を保持するレンズ枠である。撮像装置は、例えば、スマートフォン、またはVR(仮想現実)あるいはXR(クロスリアリティ)などで利用されるヘッドマウントディスプレイなどに搭載される。このような撮像装置が備えるレンズ系がズーム機能を有する場合、レンズ系の駆動範囲は広くなる傾向にある。一方、可動部材210を上記のような電磁アクチュエータで駆動する場合、1つの空芯コイル120で可動部材210を駆動できる駆動範囲には限界がある。そこで、可動部材210の駆動範囲を広げるために、位置調整装置115は、複数の空芯コイル120A、120Bを備える。そして、可動部材210の位置に応じて集積回路140A及び集積回路140Bを切り替えながら、可動部材210を駆動させる。
【0050】
集積回路140Aは、可動部材210の位置を検出し、検出した位置に基づいて、可動部材210を目標位置へと移動させるよう電磁アクチュエータを制御する。集積回路140Aは、電磁アクチュエータに発生する電磁場を制御するDIC(Driver Integrated Circuit)であってよい。集積回路140Aは、位置センサ142A及び制御回路144Aを含む。位置センサ142A及び制御回路144Aは、一体化された形式で、集積回路140Aに含まれてよい。
【0051】
位置センサ142Aは、可動部材210の位置を検出する。位置センサ142Aは、制御回路144Aに、検出した可動部材210の位置を示す位置情報(A)を出力する。なお、位置センサ142Aは、集積回路140Bに設けられる位置センサ142Bとは、可動部材210に対して相対的に異なる位置に設けられる。例えば、位置センサ142は、可動部材210の移動方向に沿って等間隔に設けられる。
【0052】
本実施形態において、位置センサ142は、位置情報(A)を、制御回路144Aを介して制御装置170へと送信する。ただし、位置センサ142Aは、位置情報(A)を制御回路144A及び制御装置170の両方へと送信してもよい。
【0053】
制御回路144Aは、可動部材210の位置情報(A)と、後述の制御装置170から受信した目標位置情報(A)とに基づいて、空芯コイル120Aに流れる電流を制御する。従って、電磁アクチュエータは、可動部材210を電磁力によって目標位置(A)へと移動させる。制御回路144Aは、対応する空芯コイル120A及び磁石220による電磁アクチュエータに生じる電磁場を、制御回路144B、空芯コイル120B及び磁石220による電磁アクチュエータとは別個に制御する。
【0054】
集積回路140Bは、集積回路140Aと同様の構成を有する。従って、集積回路140Bは、位置センサ142B及び制御回路144Bを含み、位置センサ142は、位置情報(B)を、制御回路144Bを介して制御装置170へと送信する。制御回路144Bは、空芯コイル120Bに流れる電流を制御して、可動部材210を電磁力によって目標位置(B)へと移動させる。
【0055】
ここで、位置センサ142Aは、「第1位置センサ」に相当し、位置情報(A)は、「第1位置情報」に相当する。位置センサ142Bは、「第2位置センサ」に相当し、位置情報(B)は、「第2位置情報」に相当する。空芯コイル120A及び磁石220によって構成される電磁アクチュエータは、「第1駆動源」に相当し、空芯コイル120A及び磁石220によって構成される電磁アクチュエータは、「第2駆動源」に相当する。
【0056】
以下では、実際に集積回路140A,140Bにおいて行われる制御について、可動部材210と、集積回路140A,140Bとの相対位置に基づいて、具体例を挙げて説明する。その後、制御装置170が、当該制御をどのように実装するかについて説明する。
【0057】
図6は、磁石220と、集積回路140A,140Bとの配置に基づく、駆動制御の概略の一例を示す。集積回路140Aは、磁石220が駆動範囲Aにある場合に、可動部材210を駆動させる。一方、集積回路140Bは、可動部材210が駆動範囲Bにある場合に、可動部材210を駆動させる。
【0058】
集積回路140Aは、「第1集積回路」の一例であり、駆動範囲Aは、「第1駆動範囲」の一例である。同様に、集積回路140Bは、「第2集積回路」の一例であり、駆動範囲Bは、「第2駆動範囲」の一例である。
【0059】
駆動範囲A及び駆動範囲Bは、重複する範囲を有する。集積回路140A,140Bの駆動範囲のうち重複する範囲は、「第1重複範囲」の一例である。
【0060】
駆動範囲A及び駆動範囲Bが重複しない範囲では、集積回路140Aまたは集積回路140Bのいずれか一方により、磁石220の移動を制御できる。磁石220が集積回路140Aの近傍であって、集積回路140Bからは十分に離隔した位置に位置する場合には、集積回路140Aが単独で磁石220を駆動する。以下では、このような範囲を単独駆動範囲Aと称する。一方で、磁石220が集積回路140Bの近傍であって、集積回路140Aからは十分に離隔した位置に位置する場合には、集積回路140Bが単独で磁石220を駆動する。以下では、このような範囲を単独駆動範囲Bと称する。
【0061】
集積回路140Aの駆動範囲Aと集積回路140Bの駆動範囲Bとが重複する第1重複範囲では、集積回路140A,140Bが、別個に可動部材110を移動させようとするので、上述のような集積回路140A,140Bの制御が干渉することがある。これについて、図7A図7Cを参照してさらに補足説明する。
【0062】
図7A図7B、及び図7Cは、可動部材210の現在の位置Pと、集積回路140Aの目標位置P1と、集積回路140Bの目標位置P2との関係を示す。符号210Aは、目標位置P1に位置するときの可動部材210、符号210Bは、目標位置P2に位置するときの可動部材210を示す。集積回路140Aは、位置Pに位置する可動部材210を目標位置P1まで並進させようと駆動する。一方、集積回路140Bは、位置Pに位置する可動部材210を目標位置P2まで並進させようと駆動する。
【0063】
図7Bでは、可動部材210は、集積回路140Aの目標位置P1に到達している。しかし、集積回路140Bにおける目標位置P2は目標位置P1とズレており、集積回路140Bは、さらに目標位置P2へと可動部材210を移動させるために空芯コイル120Bに電流を流す。
【0064】
図7Cでは、図7Bとは対照的に、可動部材210は、集積回路140Bの目標位置P2に到達している。この場合には、集積回路140Aは、さらに目標位置P1へと可動部材210を移動させるために空芯コイル120Bに電流を流す。従って、図7B及び図7Cの電磁アクチュエータの動作の繰り返しにより、空芯コイル120A,120Bに電流が継続的に流れ、電磁アクチュエータで消費する電力が増加する場合がある。
【0065】
あるいは、位置Pが目標位置P1,P2の間の位置にある場合がある。この場合、集積回路140Aは、可動部材210を目標位置P1へと移動させようと制御し、集積回路140Bは、可動部材210を目標位置P2へと移動させようと制御する。この力が釣り合う場合、あるいは、この力の差分が静止摩擦力等を超えない場合には、可動部材210は現在の姿勢を維持した状態で、空芯コイル120A,120Bに電流が流れ続ける。
【0066】
これを防ぐために、第1重複範囲においては、上述のように、余剰自由度の成分Rを導入することが考えられる。すなわち、集積回路140Aの可動部材210の測定位置をx1とし、集積回路140Aの目標位置をx1とし、集積回路140Bの可動部材210の測定位置をx2とし、集積回路140Bの目標位置をx2とする。この場合、第1重複範囲において、位置調整装置115に対する可動部材210の目標位置(目標姿勢)xは、x=(x1+x2)/2で(すなわち、x1,x2の重心で)与えられる。なお、目標位置xは、外部から入力される可動部材210に対する駆動指令に示される値である。例えば、可動部材210がズームレンズであれば、ズームレンズのズーム位置を示すズーム命令に示される値でよい。さらにR=-x1+x2となる余剰自由度の成分Rを用いて、第1重複範囲でのx1,x2は、
x1=x-R/2,
x2=x+R/2
で与えられる。
【0067】
従って、x1,x2の座標系と、x,Rの座標系との変換行列が、次式(5)で与えられる。
【数5】
変換行列は、2変数に対して2行2列の行列となる。この連立方程式は、可解であり、この場合にはズレなくx1,x2の目標位置が導出される。すなわち、第1重複範囲では、余剰自由度の成分Rを用いて、集積回路140A,140Bのそれぞれの目標位置x1,x2を導出することで、目標位置間の不整合を防止でき、空芯コイル120A,120Bに無駄に電流が流れ続けることを防止できる。
【0068】
しかし、本実施形態に係る位置調整装置115では、第1重複範囲の他に、単独駆動範囲A及び単独駆動範囲Bで、可動部材210は移動する。すなわち、集積回路140A,140Bが、単独で駆動して可動部材210を移動させる場合と、共同で駆動して可動部材210を移動させる場合とが存在する。
【0069】
このような場合、第1重複範囲と単独駆動範囲Aとの間、または第1重複範囲と単独駆動範囲Bとの間で、駆動させる必要がある集積回路140A,140Bだけ駆動させるべく、集積回路140A,140Bに流れる電流をオンオフすることが考えられる。しかし、オンのタイミングで空芯コイル120A,120Bに大電流が流れる可能性があり、集積回路140A,140Bを切り替えるタイミングで、可動部材210が安定して駆動できない可能性がある。また、集積回路140A,140Bは、それぞれの個別のアルゴリズムで動作しているため、アルゴリズムが切り替わるタイミングで、やはり、可動部材210が安定して駆動できない可能性がある。
【0070】
上記の通り、第1重複範囲では、余剰自由度の成分Rを考慮したアルゴリズムに従って、複数の集積回路140A,140Bのそれぞれの可動部材210の目標位置を導出することが好ましい。しかし、集積回路140A,140Bが単独で駆動する単独駆動範囲A,Bと、複数の集積回路140A,140Bが駆動する第1重複範囲とで、それぞれの集積回路140が別個のアルゴリズムで動作する場合、やはり、単独駆動範囲A,Bと第1重複範囲との切り替えのタイミングで、空芯コイル120A,120Bに流れる電流が安定せず、可動部材210が安定して駆動できない可能性がある。
【0071】
そこで、本実施形態では、駆動させる集積回路140A,140Bを切り替えるタイミングで空芯コイル120A,120Bに流れる電流がオンオフすることを回避し、さらに、重複範囲において余剰自由度の成分Rを考慮しつつ、駆動させる集積回路140A,140Bを切り替えるタイミングでそれぞれの集積回路140A,140Bが動作するアルゴリズムが切り替わることも回避する仕組みを提供する。
【0072】
より具体的には、余剰自由度の成分Rを用いた動作を実現するアルゴリズムを利用して、単独駆動範囲A、Bでも、集積回路140A,140Bを動作させる。この動作を実現するために、目標位置x1,x2を導出する場合に余剰自由度の成分Rが寄与する割合を可動部材210の位置に応じて変化させるべく、余剰自由度の成分Rに対して可動部材210の位置に応じて予め定められた係数aを用いた係数セットを導入し、それぞれの目標位置x1,x2を導出する以下の式を用いたアルゴリズムを採用する。
x1=x-aR,
x2=x+(1-a)R
【0073】
ここで、aは、0≦a≦1を満たす。可動部材210が駆動範囲A内の第1重複範囲外、すなわち単独駆動範囲Aでは、集積回路140Aが、目標位置xに従って、可動部材210を移動させればよいので、集積回路140Aの目標位置x1として、目標位置xを与えればよい。さらに、集積回路140Bの目標位置x2として、目標位置xに、集積回路140Aの可動部材210の測定位置x1と集積回路140Bの可動部材210の測定位置x2との差分だけ加算した値を与えればよい。つまり、集積回路140Bの目標位置x2として、目標位置xに、余剰成分R(=-x1+x2)を加算した値を与えればよい。これにより、可動部材210の位置が、目標位置xに到達し、静止した状態では、x1がxとなるので、目標位置x2は、測定位置x2(x2=x+R=x1-x1+x2=x2)となり、集積回路140Bも可動部材210が目標位置に到達したと判断して、集積回路140Bにも電流が流れなくなる。これは、aを0とすることで実現できる。すなわち、単独駆動範囲Aでは、目標位置x1,x2は、以下の式で表すことができる。
x1=x
x2=x+R
【0074】
一方、可動部材210が駆動範囲B内の第1重複範囲外、すなわち単独駆動範囲Bでは、集積回路140Bが、目標位置xに従って、可動部材210を移動させればよいので、集積回路140Bの目標位置x2として、目標位置xを与えればよい。さらに、集積回路140Aの目標位置x2として、目標位置xに、余剰自由度の成分R(=-x1+x2)を減算した値を与えればよい。これは、aを1とすることで実現できる。すなわち、単独駆動範囲Bでは、目標位置x1,x2は、以下の式で表すことができる。
x1=x-R,
x2=x
このように、単独駆動範囲Bに位置する場合には、可動部材210の位置が、目標位置xに到達し、静止した状態では、x2がxとなるので、目標位置x1は、測定位置x1(x1=x+R=x2-(-x1+x2)=x1)となり、集積回路140Aも可動部材210が目標位置に到達したと判断して、集積回路140Aにも電流が流れなくなる。
【0075】
第1重複範囲では、図8に示すように、第1重複範囲と単独駆動範囲Aとの境界位置でaが0となり、第1重複範囲と単独駆動範囲Bとの境界位置でaが1となるような、可動部材210の位置に応じて変動する係数aを用いた係数セットを採用する。これにより、すべての駆動範囲で同じアルゴリズムを用いて、しかも、第1重複範囲と単独駆動範囲Aとの境界位置、及び第1重複範囲と単独駆動範囲Bとの境界位置で、集積回路140Aまたは集積回路140Bのオンオフがなくなる。よって、すべての駆動範囲で、可動部材210を安定して駆動させることができる。
【0076】
本実施形態において、単独駆動範囲Aと、単独駆動範囲A及び第1重複範囲の境界とにおいて、a=0としたときのx1,x2の係数セットは、「第1係数セット」の一例である。さらに、単独駆動範囲Bと、単独駆動範囲B及び第1重複範囲の境界とにおいて、a=1としたときのx1,x2の係数セットは、「第2係数セット」の一例である。
【0077】
可動部材210が単独駆動範囲Aに位置する場合、可動部材210が目標位置x1と等しい目標位置xに近づくにつれて、目標位置x1は測定位置x1に近づき、目標位置x2も測定位置x2に近づく。第1係数セットは、このような条件を満たすように定められる。一方、可動部材210が単独駆動範囲Bに位置する場合、可動部材210が目標位置x2と等しい目標位置xに近づくにつれて、目標位置x2は測定位置x2に近づき、目標位置x1も測定位置x1に近づく。第2係数セットは、このような条件を満たすように定められる。
【0078】
本実施形態においては、第1重複範囲でR=-x1+x2とおくことにより、余剰自由度の成分Rを導入した。余剰自由度の成分Rの実際の導出として、目標位置x1,x2,x、成分Rの満たすべき変換を行列で示した関係式の逆行列により与えられる、位置センサ142A,142Bによる測定位置x1o,x2oと、位置調整装置115に対する可動部材210の測定位置xと、余剰自由度の成分Rとの間で規定される式を満たすRとして成分Rの値を導出できる。
【0079】
単独駆動範囲Aにおける目標位置x1,x2,x,成分Rの満たすべき変換の式は、行列式によれば、次式(6)となる。
【数6】
従って、この変換行列の逆行列を用いて、測定位置x1o,x2o,x、成分Rに、逆関数の関係式として次式(7)が成立する。
【数7】
【0080】
第1重複範囲においては、目標位置x1,x2,x、成分Rの満たすべき行列式は、次式(8)となる。
【数8】
この変換行列の逆行列を用いて、測定位置x1o,x2o,x、成分Rに、逆関数の関係式として次式(9)が成立する。
【数9】
このように、余剰自由度Rは、測定位置x1o,x2oに基づいて計算される。ここで、変動係数aは、可動部材210の位置に応じて予め定められる。従って、第1重複範囲においては、位置情報(A)の示す測定位置x1と、位置情報(B)の示す測定位置x2とに基づいて、係数aに基づく予め定められた関数に従う変動係数セットを用いて目標位置x1,x2の補正情報が導出される。
【0081】
可動部材210が、単独駆動範囲Aと、第1重複範囲との境界位置に存在する場合、目標位置x1,x2についての変動係数セットは、第1係数セットと同一となる。一方、単独駆動範囲Bと、第1重複範囲との境界位置に存在する場合、目標位置x1,x2についての変動係数セットは、第2係数セットと同一となる。
【0082】
単独駆動範囲Bにおける目標位置x1,x2,x,成分Rの満たすべき変換の式は、行列式によれば、次式(10)となる。
【数10】
従って、この変換行列の逆行列を用いて、単独駆動範囲Bにおいて、測定位置x1o,x2o,x、成分Rに、逆関数の関係式として次式(11)が成立する。
【数11】
本実施形態において、目標位置x1は、「第1目標位置」の一例であり、目標位置x2は、「第2目標位置」の一例である。
【0083】
このように、本実施形態の位置調整装置115では、各駆動範囲において、制御回路144A,144Bの目標位置x1,x2、位置センサ142A,142Bの測定位置x1,x2、及び余剰自由度Rは、変動係数aを介して、式(6)~式(11)の変換式を満たす。ただし、集積回路140A,140B同士は、それぞれの駆動範囲における制御の役割で区別されるものであって、それらがメインまたはサブの役割を有するものではない。また、制御回路144A,144Bのそれぞれによって制御される空芯コイル120A,120Bのそれぞれと、磁石220とで構成される電磁アクチュエータについてもメインまたはサブ等の区別を有するものではない。
【0084】
一方、特許文献1に記載のリニアモータコイルでは、各コイルにメイン及びサブの役割を付与するので、駆動方向が短い期間に入れ替わる場合に役割を高速に入れ替えることができず、応答性が悪くなることがある。本実施形態の位置調整装置115は、集積回路140A,140B同士、及び電磁アクチュエータ同士を役割で区別しないので、駆動範囲ごとの制御の切り替えを、メイン及びサブ等の役割で区別する装置に比べて高速に行うことができる。
【0085】
次に、再び図5を参照して、位置調整装置115の制御装置170が、上記で説明した制御をどのように行うかについて説明する。制御装置170は、位置センサ142A,142Bからの可動部材210の位置情報(A)及び位置情報(B)に基づいて、電磁アクチュエータの目標位置として目標位置情報(A)及び目標位置情報(B)を制御回路144A,144Bへと出力する。制御装置170は、位置情報取得部172と、目標姿勢情報取得部174と、補正情報導出部175と、目標位置導出部177と、出力部179と、を含む。
【0086】
位置情報取得部172は、位置センサ142A,142Bのそれぞれから可動部材210の位置を示すそれぞれの位置情報(A)及び位置情報(B)を取得する。位置情報(A)及び位置情報(B)のそれぞれに示される可動部材210の位置は、位置センサ142A,142Bのそれぞれにより検出される可動部材210の特定の基準点(例えば、重心)の現在の位置を示す。位置情報(A)に示される可動部材210の測定位置が、測定位置x1oであり、位置情報(B)に示される可動部材210の測定位置が、測定位置x2oである。
【0087】
目標姿勢情報取得部174は、可動部材210の移動または回転に関する自由度の成分での目標姿勢を示す目標姿勢情報を取得する。本実施形態において、目標姿勢情報取得部174の移動に関する自由度とは、x方向であり、x方向での目標姿勢とは、目標位置xである。
【0088】
補正情報導出部175は、位置情報(A)及び位置情報(B)のそれぞれに示される可動部材210の位置に基づいて、可動部材210の移動または回転に関連する自由度以外の目標位置の不整合を補正するための補正成分を示す補正情報を導出する。本実施形態においては、可動部材210の移動に関連する自由度以外の目標位置の不整合を補正するための補正成分とは、余剰自由度の成分Rである。補正情報導出部175は、測定位置x1o,x2oに基づいて、余剰自由度の成分Rを単独駆動範囲A、第1重複範囲、及び単独駆動範囲Bのそれぞれの場合に、式(7),(9),(11)を満たすように導出する。
【0089】
目標位置導出部177は、目標姿勢情報と、補正情報と、補正情報に示される補正成分に適用する可動部材210の位置に応じて定められた係数セットとに基づいて、制御回路144A,144Bについての可動部材210の目標位置を導出する。本実施形態においては、補正情報に示される補正成分に適用する可動部材210の位置に応じて定められた係数セットとは、変動係数aに基づく係数セットである。従って、本実施形態においては、目標位置導出部177は、目標位置xと、余剰自由度の成分Rについての補正情報と、変動係数aとに基づいて、制御回路144A,144Bについての目標位置x1,x2を導出する。
【0090】
出力部179は、可動部材210を目標姿勢にするよう、目標位置導出部177の導出した可動部材210の目標位置を示す目標位置情報を制御回路144のそれぞれに出力する。本実施形態においては、出力部179は、可動部材210を目標姿勢にするよう、目標位置x1,x2を示す目標位置情報(A),(B)を、制御回路144A,144Bのそれぞれに出力する。
【0091】
図9は、電磁アクチュエータにおける空芯コイル120A,120Bを、制御回路144A,144Bを用いて制御する制御方法のフロー図を示す。本実施形態の制御方法は、段階S102~S110を備える。本実施形態の制御方法においては、特に、可動部材210の位置範囲に応じて、第1重複範囲で変動係数aを利用する制御を導入したことにより、制御装置170が行うこととなった制御に着目した説明が行われる。
【0092】
集積回路140A,140Bの位置センサ142A,142Bのそれぞれは、可動部材210の測定位置x1,x2を取得する(S102)。次に、制御回路144A,144B及び位置情報取得部172は、位置センサ142A,142Bのそれぞれから位置情報A,位置情報Bを取得する(S104)。
【0093】
次に、位置情報取得部172は、位置情報A,位置情報Bから可動部材210がどの駆動範囲にあるか、位置範囲を特定する(S106)。まず、位置情報取得部172は、可動部材210の制御にあたって、可動部材210が単独駆動範囲A,B、第1重複範囲のいずれにあるかという大域的な可動部材210の位置を取得する。
【0094】
例えば、位置情報取得部172は、測定位置x1から測定位置x2の概算値から駆動範囲の認定を行う。あるいは、位置情報取得部172は、測定位置x1から測定位置x2を減算し、減算した値の絶対値|x1-x2|を計算する。この場合、位置情報取得部172は、絶対値|x1-x2|が予め定められた閾値以下であれば可動部材210が第1重複範囲にあると判定する。
【0095】
例えば、位置情報取得部172は、単独駆動範囲A,Bにおいて、集積回路140A,140Bのそれぞれに対して、測定位置及び実際位置がどのような関係で与えられるかのテーブルを保持している。この場合、このテーブルに基づいて、位置情報取得部172は、可動部材210がいずれの単独駆動範囲A,Bにあるかの判定を行う。この位置範囲に基づいて、補正情報導出部175が式(6)~式(11)のいずれを用いて補正情報の導出を行うかが決定される。
【0096】
次に、位置情報取得部172は、この駆動範囲内において、測定位置x1,x2の具体値を取得し、補正情報導出部175は、測定位置x1,x2の具体値を用いて、補正情報の導出を行う。
【0097】
次に、補正情報導出部175は、可動部材210が位置する範囲に基づいて、変動係数aを特定する(S108)。変動係数aは、可動部材210が単独駆動範囲Aにある場合にa=0の値を取り、可動部材210が単独駆動範囲Aにある場合にa=1の値を取る。補正情報導出部175は、可動部材210が第1重複範囲にある場合に、測定位置x1,x2に基づいて、0≦a≦1である係数aの具体値を特定する。
【0098】
なお、目標姿勢情報取得部174は、後続のS110の前に目標位置xに基づく、目標位置情報を取得する。目標姿勢情報取得部174が目標位置情報を取得するタイミングは、S110の前であれば限定されるものではない。補正情報導出部175は、変動係数aを含む、目標位置x及び余剰自由度の成分Rから目標位置x1,x2を導出するための変換行列を含む補正情報を導出する。
【0099】
さらに、目標位置導出部177は、目標姿勢情報と、補正情報と、補正情報に示される補正成分に適用する可動部材210の位置に応じて定められた変動係数aとに基づいて、制御回路144A,144Bについての可動部材210の目標位置x1,x2を導出する。(S110)。集積回路140A,140Bは、目標位置x1,x2に基づいて、可動部材210の位置を制御する。
【0100】
図10は、集積回路140を本実施形態の変動係数aを用いた駆動制御において、可動部材210が制御される位置のシミュレーション結果を示す。単独駆動範囲A,B及び第1重複範囲のそれぞれにおける目標位置x,x1,x2と、変動係数aと、が示される。
【0101】
図中、第1に、電磁アクチュエータの目標位置x(実線)及び可動部材210が駆動制御されて位置するシミュレーション結果位置(破線)のグラフが示される。第2に、集積回路140A,140Bの目標位置x1(一点鎖線)、x2(破線)、及び電磁アクチュエータの目標位置x(実線)のグラフが示される。第3に、位置に応じた変動係数aのグラフが示される。
【0102】
変動係数aは、単独駆動範囲Aにおいて、a=0を示し、単独駆動範囲Bにおいて、a=1を示す。従って、変動係数aが0または1である範囲が単独駆動範囲A,Bに相当し、この範囲では、集積回路140Aまたは集積回路140Bのいずれか一方の目標位置x1またはx2が電磁アクチュエータの目標位置xを精度良く与える。単独駆動範囲Aにおいては、実線で示される目標位置xの曲線は、破線で示される集積回路140Aの目標位置x1の曲線に略重複している。単独駆動範囲Bにおいては、実線で示される目標位置xの曲線は、破線で示される集積回路140Bの目標位置x2の曲線に略重複している。
【0103】
第1重複範囲においては、aは0≦a≦1の値を取る。集積回路140A,140Bは、可動部材210の位置を式(8)に基づいて制御する。図中、示されるように目標位置xの曲線は、単独駆動範囲A及び第1重複範囲の境界、第1重複範囲及び単独駆動範囲Bの境界のそれぞれにおいて、曲線に飛びが生じず滑らかに接続される。これは、変動係数aが位置に応じて、0≦a≦1の値で連続的に変化するからである。
【0104】
破線で示される可動部材210の位置のシミュレーション結果は、実線で示される目標位置xに追随する。また、それらのグラフの曲線の形状は類似した形状を示す。このように、制御装置170は、可動部材210の位置が目標位置xに近くなるように滑らかに制御できる。
【0105】
図11は、1つの直進方向の自由度に対して、4つの集積回路140A,140B,140C,140Dが設けられる場合の位置調整装置115の構成の一例を示す図である。以下では、主に図5の実施形態と比較した相違点に着目して説明する。
【0106】
図5の実施形態と比較して、位置調整装置115は、集積回路140C,140Dを含む。集積回路140Cは、位置センサ142C及び制御回路144Cを含み、集積回路140Dは、位置センサ142D及び制御回路144Dを含む。ここで、位置センサ142Cは、「第3位置センサ」の一例であり、制御回路144Cは、「第3制御回路」の一例である。さらに、空芯コイル120Cと、磁石220とで構成される電磁アクチュエータは、「第3駆動源」の一例である。位置センサ142Dは、「第4位置センサ」の一例であり、制御回路144Dは、「第4制御回路」の一例である。さらに、空芯コイル120Dと、磁石220とで構成される電磁アクチュエータは、「第4駆動源」の一例である。
【0107】
位置センサ142C及び位置センサ142Dは、可動部材210の位置を検出し、位置情報(C)及び位置情報(D)を出力する。これにより、制御装置170は、4つの位置情報(A),(B),(C),(D)に基づいて、可動部材210を制御するための4つの目標位置情報(A),(B),(C),(D)を出力する。このような、3以上の位置情報に基づいて制御する場合には、2以上の集積回路140による駆動制御が重複する範囲が生じたり、駆動制御範囲において、単独駆動制御を行わず、常に2以上の集積回路140によって駆動制御が行われるように駆動制御範囲を定めたりする(図14及び図15を参照してこの具体例について後述する。)こともできる。
【0108】
以下では、図12図15を参照して、位置調整装置115が集積回路140A~140Dを含む場合に、集積回路140A~140Dの駆動範囲及び駆動範囲における変動係数セット等の具体例を示す。これにより、位置調整装置115の駆動制御の例を説明する。
【0109】
図12は、磁石220と、集積回路140A~140Dとの配置に基づく、駆動制御の概略の一例を示す。図11の位置調整装置115により、可動部材210における磁石220の駆動を制御する。
【0110】
本実施形態においては、駆動範囲A,Bは第1重複範囲で重複するが、駆動範囲A,Cまたは駆動範囲A,Dは重複しない。また、駆動範囲B,Cは、第2重複範囲で重複するが、駆動範囲B,Dは重複しない。さらに、駆動範囲C,Dは、第3重複範囲で重複する。このように、本実施形態においては、駆動範囲は、隣接する駆動範囲とは重複範囲を有するが、隣接しない駆動範囲とでは重複する駆動範囲を有しない。また、駆動範囲A,B,C,Dのそれぞれは、第1~第3重複範囲外において、単独駆動範囲A,B,C,Dを有する。集積回路140A~140Dを相互に独立して制御を行う場合等に、図12の実施形態における制御は有効である。駆動範囲Cは、「第3駆動範囲」の一例である。
【0111】
図13は、図12の駆動制御における、各駆動範囲での位置に応じて変動する係数セットの一例を示す図である。
【0112】
本実施形態のように4つの集積回路140A,140B,140C,140Dを用いる場合にあっては、制御装置170は、集積回路140A,140B,140C,140Dごとに目標位置x1,x2,x3,x4を導出する。4つの目標位置x1,x2,x3,x4を導出するために、制御装置170は、電磁アクチュエータの目標位置xの自由度以外に余剰自由度の成分としてR1,R2,R3の3つの余剰自由度の成分を導入する。さらに、制御装置170は、xの位置に応じて変動する変動係数セットとして、a,b,c,dの4つの係数セットを導入する。
【0113】
本実施形態において、電磁アクチュエータの目標位置x及び余剰自由度の成分R1,R2,R3と、集積回路140A,140B,140C,140Dの目標位置x1,x2,x3,x4との間の変換は、次式(12)で与えられる。
【数12】
ここで、変動係数a,b,c,dは、a+b+c+d=1及びa,b,c,d≧0を満たす。本実施形態において、目標位置x3は、「第3目標位置」の一例である。
【0114】
本実施形態において、図中に示されるように、変動係数a,b,c,dは、対応する集積回路140A,140B,140C,140Dの各単独駆動範囲においては、1の値を示す。また、変動係数a,b,c,dは、隣接する集積回路140A,140B,140C,140Dとの重複駆動範囲において0≦a,b,c,d≦1の間で変動し、他の集積回路140A,140B,140C,140Dの単独駆動範囲において0の値を示す。
【0115】
この逆関数の関係式として、集積回路140A,140B,140C,140Dの測定位置x1,x2,x3,x4と、電磁アクチュエータの測定位置x及び余剰自由度の成分R1,R2,R3との間の変換は、次式(13)で与えられる。
【数13】
これにより、制御装置170は、余剰自由度の成分R1,R2,R3を、位置センサ142A,142B,142C,142Dが測定した測定位置x1,x2,x3,x4から導出できる。
【0116】
本実施形態においては、目標姿勢情報取得部174が目標姿勢情報を取得する場合、位置情報取得部172は、空芯コイル120C及び磁石220による電磁アクチュエータの制御に利用される位置センサ142Cで検出される測定位置x3を示す位置情報(C)を取得する。同様に、位置情報取得部172は、位置センサ142Dで検出される測定位置x4を示す位置情報(D)を取得する。目標位置導出部177は、式(12)の変換行列と、測定位置x1,x2,x3O,x4の少なくとも1つに基づく可動部材210の位置に応じた式(12)の係数セットとに基づいて、目標位置x1,x2,x3,x4を導出する。
【0117】
例えば、式(12)において、a=1かつb=c=d=0とする。可動部材210が駆動範囲A内の第1重複範囲外、すなわち単独駆動範囲A内に位置する場合、可動部材210が目標位置x1に等しい目標位置xに近づくにつれて、目標位置x1は、測定位置x1に近づく。この場合に、目標位置x2も測定位置x2に近づき、目標位置x3も測定位置x3に近づき、目標位置x4も測定位置x4に近づく。この条件を満たす式(12)の目標位置x1,x2,x3,x4の係数セットは、「第1係数セット」の一例である。
【0118】
例えば、式(12)において、b=1かつa=c=d=0とする。可動部材210が駆動範囲B内の第1重複範囲外かつ第2重複範囲外、すなわち単独駆動範囲B内に位置する場合、可動部材210が目標位置x2に等しい目標位置xに近づくにつれて、目標位置x2は、測定位置x2に近づく。この場合に、目標位置x1も測定位置x1に近づき、目標位置x3も測定位置x3に近づき、目標位置x4も測定位置x4に近づく。この条件を満たす式(12)の目標位置x1,x2,x3,x4の係数セットは、「第2係数セット」の一例である。
【0119】
例えば、式(12)において、c=1かつa=b=d=0とする。可動部材210が駆動範囲C内の第2重複範囲外、すなわち単独駆動範囲C内に位置する場合、可動部材210が目標位置x3に等しい目標位置xに近づくにつれて、目標位置x3は、測定位置x3に近づく。この場合に、目標位置x1も測定位置x1に近づき、目標位置x2も測定位置x2に近づき、目標位置x4も測定位置x4に近づく。この条件を満たす式(12)の目標位置x1,x2,x3,x4の係数セットは、「第3係数セット」の一例である。
【0120】
可動部材210が第1重複範囲内または第2重複範囲内に位置する場合、位置情報(A)に基づく測定位置x1と、位置情報(B)に基づく測定位置x2と、位置情報(C)に基づく測定位置x3とに基づいて、係数a,b,c,dに基づく予め定められた関数に従う変動係数セットを用いて補正情報が導出される。可動部材210が単独駆動範囲Aと、第1重複範囲との境界位置に存在する場合、目標位置x1,x2,x3,x4についての変動係数セットは、第1係数セットと同一となる。可動部材210が単独駆動範囲Bと、第1重複範囲または第2重複範囲との境界位置に存在する場合、目標位置x1,x2,x3,x4についての変動係数セットは、第2係数セットと同一となる。可動部材210が、単独駆動範囲Cと、第2重複範囲との境界位置に存在する場合、目標位置x1,x2,x3,x4についての変動係数セットは、第3係数セットと同一となる。
【0121】
このように、本実施形態の位置調整装置115は、複数の余剰自由度の成分と、位置に応じて値が変動する複数の係数とを導入する。位置調整装置115は、駆動範囲の境界において、複数の変動係数が予め定められた係数となるように連続的に値を変動させる。これにより、位置調整装置115は、可動部材210の目標位置xを滑らかに変動させ、可動部材210の位置を精度よく制御し、電磁アクチュエータの電力消費も低減できる。
【0122】
図14は、磁石220と、集積回路140A~140Dとの配置に基づく、駆動制御の概略の別例を示す。
【0123】
本実施形態においては、集積回路140A~140Dの単独駆動範囲A,B,C,Dが設けられず、集積回路140A~140Dの駆動範囲の全体にわたって2個以上の集積回路140が、可動部材210の駆動を制御する。駆動範囲A,Bの重複する範囲のうち、駆動範囲Cと重複しない範囲は、重複範囲αに相当する。駆動範囲A,B,Cが重複する範囲は、重複範囲βに相当する。駆動範囲B,Cが重複する範囲のうち、駆動範囲Aまたは駆動範囲Dと重複しない範囲は、重複範囲γに相当する。駆動範囲B,C,Dが重複する範囲は、重複範囲δに相当する。駆動範囲C,Dの重複する範囲のうち、駆動範囲Bと重複しない範囲は、重複範囲εに相当する。重複範囲α,β,γ,δ,εは、相互に重複しない。駆動範囲の全体にわたって2個以上の集積回路140が、可動部材210の駆動を制御する場合において、重複範囲αは「第1重複範囲」の一例であり、重複範囲βは「第2重複範囲」の一例であり、重複範囲γは「第3重複範囲」の一例である。
【0124】
本実施形態の集積回路140による可動部材210の駆動の制御は、図中示されるように、2個の集積回路140によって制御される駆動範囲と、それらの駆動範囲同士が重複する範囲とを有する。この制御は、例えば、集積回路140A~140D同士の配置される距離が、図12及び図13の例より短い場合に可動部材210を精密に制御する。
【0125】
図15は、図14の駆動制御における、各駆動範囲での位置に応じて変動する係数セットの例を示す図である。この場合の具体的な変換式は、式(12)及び式(13)と同様となる。ただし、a,b,c,dの取る値は、図中に示される値を取る。本実施形態のように駆動範囲が2個の集積回路140によって制御される駆動範囲と、それらの駆動範囲が重複する範囲とを有する駆動制御の場合にも、変動係数a,b,c,dは、a+b+c+d=1,0≦a,b,c,d≦1を満たすように変動する。
【0126】
位置情報取得部172を取得する段階は、位置情報(A),(B),(C),(D)を取得する。目標位置導出部177は、目標位置xを示す目標姿勢と、補正情報導出部175が導出する補正成分と、位置情報(A),(B),(C),(D)の少なくとも1つに基づく可動部材210の位置に応じた係数セットに基づく可動部材の位置に応じた係数セットとに基づいて、目標位置x1,x2,x3,x4を導出する。
【0127】
例えば、式(12)において、a=b=1/2かつc=d=0とする。可動部材210が重複範囲α内に位置する場合、可動部材210が(x1+x2)/2に等しい目標位置xに近づくと、目標位置x1は測定位置x1に近づき、目標位置x2は測定位置x2に近づく。この場合に、目標位置x3も測定位置x3に近づき、目標位置x4も測定位置x4に近づく。この条件を満たす式(12)の目標位置x1,x2,x3,x4の係数セットは、「第1係数セット」の一例である。
【0128】
例えば、式(12)において、b=c=1/2かつa=d=0とする。可動部材210が重複範囲γ内に位置する場合、可動部材210が(x2+x3)/2に等しい目標位置xに近づくと、目標位置x2は測定位置x2に近づき、目標位置x3は測定位置x3に近づく。この場合に、目標位置x1は測定位置x1に近づき、目標位置x4は測定位置x4に近づく。この条件を満たす式(12)の目標位置x1,x2,x3,x4の係数セットは、「第2係数セット」の一例である。
【0129】
可動部材210が重複範囲β内に位置する場合、式(12)において、b=1/2かつd=0となるが、a及びcは可動部材210の位置に応じて変動する。従って、この範囲で、位置情報(A)に基づく測定位置x1と、位置情報(B)に基づく測定位置x2と、位置情報(C)に基づく測定位置x3とに基づいて、係数a及びcに基づく予め定められた関数に従う変動係数セットを用いて補正情報が導出される。可動部材210が重複範囲αと、重複範囲βとの境界位置に存在する場合、目標位置x1,x2,x3,x4についての変動係数セットは、第1係数セットと同一となる。可動部材210が重複範囲βと、重複範囲γとの境界位置に存在する場合、目標位置x1,x2,x3,x4についての変動係数セットは、第2係数セットと同一となる。
【0130】
以上では、XYZ座標系内のある方向へと直進または移動する自由度について、複数の集積回路140A~140Dを導入した場合に、各集積回路140A~140Dの目標位置x1,x2,x3,x4をどのように導出できるかについて説明した。次に、再び図3図4Dを参照して、座標系XYZにおける回転の自由度に関し、可動部材110に対する電磁アクチュエータ150A,150Bの相対位置に応じて、電磁アクチュエータ150A,150Bが単独駆動制御する範囲がある場合について説明する。
【0131】
図4A図4Dにおいて、既に説明した例においては、可動部材110の電磁アクチュエータ150A~150Dの全てが全駆動範囲においてオンしていた。図5図15を参照して説明した例と同様に、可動部材110に対する電磁アクチュエータ150A,150Bの相対位置に応じて、電磁アクチュエータ150A,150Bいずれかの目標位置を、用いることにより可動部材の目標位置XYをより精密に制御できる場合がある。すなわち、電磁アクチュエータ150A,150Bの駆動範囲を、電磁アクチュエータ150の目標位置が電磁アクチュエータ150A単独の目標位置で精度よく表せる範囲と、電磁アクチュエータ150A,150Bの駆動制御が重複する範囲と、電磁アクチュエータ150の目標位置が電磁アクチュエータ150B単独の目標位置で精度よく表せる範囲との3つに分けて制御する。これらの駆動範囲のそれぞれにおいて、電磁アクチュエータ150A,150B,150C,150Dの目標位置x1,x2,y1,y2の導出を行う。
【0132】
第1に回転成分θが測定位置x1,x2,y1,y2に依存しない場合を考える。電磁アクチュエータ150の目標位置が電磁アクチュエータ150A単独の目標位置で精度よく表せる範囲において、目標位置x1,x2,y1,y2と、変数X,Y、回転成分θ、余剰自由度の成分Rとの間の変換は、次式(14)で与えられる。
【数14】
余剰自由度Rを導出するための位置センサ142A,142B,142C,142Dの測定位置x1,x2,y1,y2に対する逆関数は、次式(15)で与えられる。
【数15】
【0133】
電磁アクチュエータ150A,150Bの駆動制御が重複する範囲においては、目標位置x1,x2,y1,y2と、変数X,Y、回転成分θ、余剰自由度の成分Rとの間の変換式は、位置に応じて変動する係数aを用いて、次式(16)で与えられる。
【数16】
ここで、aは、0≦a≦1を満たす実数である。余剰自由度Rを導出するための測定位置x1,x2,y1,y2に対する逆関数は、次式(17)で与えられる。
【数17】
を満たす。
【0134】
さらに、電磁アクチュエータ150の目標位置が電磁アクチュエータ150B単独の目標位置で精度よく表せる範囲においては、目標位置x1,x2,y1,y2と、変数X,Y、回転成分θ、余剰自由度の成分Rとの間の変換式は、次式(18)で与えられる。
【数18】
を満たす。余剰自由度Rを導出するための測定位置x1,x2,y1,y2に対する逆関数は、次式(19)で与えられる。
【数19】
以上の式において、電磁アクチュエータ150A,150Bの駆動制御の重複範囲における式(16),(17)は、a=0とした場合に、電磁アクチュエータ150の目標位置が電磁アクチュエータ150A単独の目標位置で精度よく表せる範囲の式(14),(15)に合致する。同様に、電磁アクチュエータ150A,150Bの駆動制御の重複範囲における式(16),(17)は、a=1とした場合に電磁アクチュエータ150の目標位置が電磁アクチュエータ150B単独の目標位置で精度よく表せる範囲の式(18),(19)に合致する。
【0135】
このように、回転自由度においても、電磁アクチュエータ150A,150Bの制御に変動係数aを導入する制御が導入できる。本実施形態によれば、撮像装置100は、電磁アクチュエータ150A,150Bを単一のアルゴリズムによって制御し、電磁アクチュエータ150A,150Bの駆動範囲における制御のズレも回避することができる。
【0136】
第2に、回転成分θの導出に、測定位置x1,x2が用いられる場合を考える。電磁アクチュエータ150の目標位置が電磁アクチュエータ150A単独の目標位置で精度よく表せる範囲(a=0)における変換の式、逆関数の式は、回転成分θが測定位置x1,x2,x3,x4に依存しない場合の式と同一の式になる。同様に、電磁アクチュエータ150の目標位置が電磁アクチュエータ150B単独の目標位置で精度よく表せる範囲(a=1)における変換の式、逆関数の式も、回転成分θが測定位置x1,x2,x3,x4に依存しない場合の式と同一の式となる。
【0137】
電磁アクチュエータ150A,150Bの駆動制御の重複範囲における変換の式は、f(a=0)=0,f(a=1/2)=1/2,f(a=1)=0となる関数f(a)を用いて、次式(20)で与えられる。
【数20】
関数f(a)は、予め定められた関数であってよい。測定位置x1,x2,y1,y2に対する逆関数の式は、次式(21)を満たす。
【数21】
f(a=0)=0,f(a=1/2)=1/2,f(a=1)=0となる関数f(a)の具体例としては、次式(22)が挙げられる。
【数22】
【0138】
これらのいずれの場合においても、a=0及びa=1となる境界の領域において、変数X,Y、回転成分θが滑らかに接続される。これにより、撮像装置100は、可動部材210の位置を精度よく制御し、電磁アクチュエータの電力消費も低減できる。
【0139】
次に、図5を参照して、可動部材210の移動について、上記の回転の自由度と、直進または移動の自由度とが混在する場合に、制御装置170がどのような制御を行うかについて説明する。ここで、回転の自由度と、直進または移動の自由度との自由度の数の総和がmである場合(mは正の整数)について説明する。
【0140】
さらに、集積回路140がm+n個設けられ(nは正の整数)、従って、電磁アクチュエータもm+n個形成される場合を考える。集積回路140のm+n個の位置センサ142は、可動部材210について、m+n個の測定位置情報を制御装置170へと送信する。
【0141】
制御装置170は、可動部材210の目標姿勢についてのm+n個の目標位置情報を以下のように導出する。まず、位置情報取得部172は、m+n個の位置情報を取得する。これにより、位置情報取得部172は、可動部材210が各駆動範囲のいずれにあるかを識別する。
【0142】
次に、目標姿勢情報取得部174は、m個の実自由度の成分で可動部材210の目標姿勢を示す目標姿勢情報を取得する。m個の実自由度の成分だけではm+n個の目標位置情報が決定できないことがあるので、制御装置170は、m+n個の目標位置情報を決定すべく以下の処理を行う。
【0143】
次に、補正情報導出部175は、m個の自由度を有する目標姿勢に対し、n個の余剰自由度を導入し、n個の余剰自由度に対する補正成分を決定する。具体的には、目標姿勢情報で定められるm個の実自由度の成分と、各余剰自由度の成分とを記載した列ベクトルに対し、識別された駆動範囲に対する変換行列の逆行列の式をm+n個の位置情報から得られるm+n個の測定位置の列ベクトルに乗じる。これにより、n個の余剰自由度の成分を導出する。従って、補正成分は、n個の自由度の成分のそれぞれについての補正成分を含む。
【0144】
このように、補正情報導出部175は、それぞれの位置情報に示される可動部材のm+n個の位置に相当するm+n個の値の少なくとも1つを変数とする予め定められたアルゴリズムに従って、可動部材の移動または回転に関連するm個の自由度以外の、n個の自由度の成分の少なくとも1つに起因するm+n個の集積回路140に対する可動部材210のm+n個の目標位置の不整合を補正するための補正成分を示す補正情報を導出してよい。補正情報導出部175は、それぞれの位置情報に示される可動部材の基準点の位置に相当するm+n個の値を変数とする予め定められた(m+n)×(m+n)行列に従って、可動部材の移動または回転に関連するm個の自由度以外の、n個の自由度に起因する可動部材のm+n個の目標位置の不整合を補正するための補正成分を示す補正情報を導出してよい。
【0145】
あるいは、補正情報導出部175は、予め定められたm×(m+n)行列に従って、可動部材の移動または回転に関連するm個の自由度の成分を導出し、予め定められたm×(m+n)行列の逆変換に相当する予め定められた(m+n)×m行列に従って、m+n個の変数を得てもよい。これにより、補正情報導出部175は、それらm+n個の変数と元々のm+n個の位置センサ142で検出される位置との差を導出することで補正情報を導出してもよい。
【0146】
次に、目標位置導出部177は、m+n個の制御回路144に対する可動部材210のm+n個の目標位置を導出する。目標位置導出部177は、補正情報導出部175が導出したm個の実自由度と、n個の余剰自由度の成分とに基づいて、各駆動範囲における(m+n)×(m+n)行列を用いて、可動部材210のm+n個の基準点のそれぞれのm+n個の目標位置についてのm+n個の目標位置情報を導出する。
【0147】
ここで、m+n個の制御回路144の駆動範囲において、s個の制御回路144による駆動により、m個の目標位置を精度よく表せる場合を考える。ここで、s個の制御回路144は、特定の駆動範囲でs個の空芯コイル120(駆動源)に電流を流すことで可動部材210を移動または回転させる。そして、m+n-s個の制御回路144は、特定の駆動範囲外の他の駆動範囲で少なくともm+n-s個の空芯コイル120に電流を流すことで可動部材210を移動または回転させる。s=1の場合は、図5図10の例における単独駆動範囲に相当する。目標位置導出部177は、可動部材210が特定の駆動範囲内に位置する場合、m+n-s個の制御回路144がそれぞれの駆動源を制御するために利用するm+n-s個の位置センサ142が測定する可動部材210のm+n-s個の測定位置を示す位置情報に基づかずに、s個の制御回路144に対する可動部材210のs個の目標位置を導出するような変動係数セットを用いることとなる。
【0148】
出力部179は、それぞれの目標位置を示すそれぞれの目標位置情報をm+n個の制御回路144のそれぞれに出力する。これにより、m+n個の制御回路144のそれぞれは、目標位置情報に基づいて、m+n個の電磁アクチュエータを制御する。この際、m+n個の制御回路144のそれぞれは、それぞれの目標位置に基づくPID制御により、m+n個の電磁アクチュエータのそれぞれを別個に制御してよい。
【0149】
ここで、図5図15の実施形態は、xという一方向の自由度を有する移動の例であり、mが1で、nが1以上の整数である例である。この実施形態においては、m+n個の駆動源が駆動することにより、可動部材210は、x方向に沿って移動する。
【0150】
例えば、図1図4Dの回転の実施形態と、図5図15の実施形態とを組み合わせることができる。これは、mが3でnが1以上の整数である例に相当する。この実施形態において、m+n個の駆動源が駆動することにより、一例として、可動部材が、XY平面内での移動と、XY平面内での、Z軸を回転軸とした回転を行うようにすることができる。別の例として、例えば、可動部材210が、Z軸に沿った移動と、X軸を中心とした回転及びY軸を中心とした回転とを行うようにすることができる。
【0151】
以上の通り、m+n個の集積回路140の場合にも、本実施形態の制御装置170による制御を行うことができる。これにより、制御装置170は、可動部材210の位置を精度よく制御し、電磁アクチュエータの電力消費も低減できる。次に、図16を参照して、制御装置170を含む撮像装置100の構成例について説明する。
【0152】
図16は、撮像装置100の機能ブロックの一例を示す。撮像装置100は、制御装置170、撮像素子180、撮像素子駆動部250、光学系190、レンズ駆動部192、レンズ駆動部194、レンズ駆動部196、記憶部260、及び振動検出部270を備える。撮像装置100は、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット、ノートパソコン、小型パソコン、及びウェアラブル端末等の携帯端末である。
【0153】
光学系190は、ズームレンズ191、フォーカスレンズ193、及び像振れ補正用レンズ195を含む。フォーカスレンズ193、及び像振れ補正用レンズ195は、少なくとも1つのレンズで構成されてもよい。すなわち、少なくとも1つのレンズが、合焦制御及び像振れ補正の両方の機能を提供してよい。撮像装置100は、光学式像振れ補正機構(OIS)、及びボディ内像振れ補正機構(BIS)を有する。撮像装置100は、光学式像振れ補正機構(OIS)、及びボディ内像振れ補正機構(BIS)の少なくとも一方を備えてよい。OISは、像振れ補正用レンズ195を移動または回転させることで、像振れ補正を行う。BISは、撮像素子180を移動または回転させることで、像振れ補正を行う。撮像装置100が、OIS及びBISの両方を備える場合、OIS及びBISのそれぞれで異なる周波数帯域の振動を抑制するように、像振れ補正を行ってよい。
【0154】
撮像素子180は、CCDまたはCMOSにより構成されてよい。撮像素子180は、ズームレンズ191、フォーカスレンズ193、及び像振れ補正用レンズ195を介して結像された光学像の画像データを制御装置170に出力する。
【0155】
制御装置170は、CPUまたはMPUなどのマイクロプロセッサ、MCUなどのマイクロコントローラなどにより構成されてよい。制御装置170は、SoC(システムオンチップ)で構成されてよい。記憶部260は、コンピュータ可読可能な記憶媒体でよく、SRAM、DRAM、EPROM、EEPROM(登録商標)、及びUSBメモリなどのフラッシュメモリの少なくとも1つを含んでよい。記憶部260は、制御装置170が撮像素子180、及び光学系190などを制御するのに必要なプログラム等を格納する。記憶部260は、撮像装置100の筐体の内部に設けられてよい。記憶部260は、撮像装置100の筐体から取り外し可能に設けられてよい。
【0156】
ズームレンズ191、フォーカスレンズ193、及び像振れ補正用レンズ195は、少なくとも1つのレンズを含んでよい。ズームレンズ191、及びフォーカスレンズ193の少なくとも一部または全部は、光軸に沿って移動可能に配置される。
【0157】
レンズ駆動部192は、ズーム制御命令に従ってズームレンズ191を光軸に沿って移動させる。レンズ駆動部194は、フォーカス制御命令に従ってフォーカスレンズ193を光軸に沿って移動させる。レンズ駆動部196は、像振れ補正命令に従って像振れ補正用レンズ195を光軸と交差する平面(XY平面)内において移動させる。レンズ駆動部196は、像振れ補正命令に従って像振れ補正用レンズ195を、光軸に交差する平面に沿った軸(X軸、及びY軸)を中心に回転させてもよい。レンズ駆動部192、レンズ駆動部194、及びレンズ駆動部196は、電磁アクチュエータ、すなわちボイスコイルモータを駆動源として含んでよい。レンズ駆動部192、レンズ駆動部194、及びレンズ駆動部196は、形状記憶合金(SMA)アクチュエータ、またはピエゾ(圧電)アクチュエータを駆動源として含んでよい。レンズ駆動部192及びレンズ駆動部194は、ステッピングモータを駆動源として含んでもよい。
【0158】
振動検出部270は、撮像装置100の振動を示す振動信号を出力する。振動検出部270は、撮像装置100の角速度を検出するジャイロセンサを含んでよい。ジャイロセンサは、X軸、Y軸、及びZ軸に沿った軸を中心とするそれぞれの角速度を検出する。振動検出部270は、撮像装置100の加速度を検出する加速度センサを含んでよい。振動検出部270は、X軸、Y軸、及びZ軸に沿った軸を中心とする撮像装置100の角速度、並びに撮像装置100のX軸、Y軸、及びZ軸方向の撮像装置100の加速度を検出する慣性計測装置(IMU)を含んでよい。
【0159】
撮像素子駆動部250は、像振れ補正命令に従って撮像素子180を光軸と交差する平面内において移動させる。また、撮像素子駆動部250は、像振れ補正命令に従って撮像素子180を光軸に沿った軸を中心に回転させる。撮像素子駆動部250は、3つの自由度で、撮像素子180を移動及び回転させてよい。撮像素子駆動部250は、XY平面に沿って撮像素子180を移動させ、Z軸に沿った軸を中心に回転させてよい。
【0160】
制御装置170は、撮像装置100全体を制御する。制御装置170は、レンズ駆動部192、レンズ駆動部194、レンズ駆動部196、及び撮像素子駆動部250を制御する。
【0161】
図17は、本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化してよいコンピュータ1200の一例を示す。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーションまたは当該装置の1または複数の「部」として機能させることができる。または、当該プログラムは、コンピュータ1200に当該オペレーションまたは当該1または複数の「部」を実行させることができる。当該プログラムは、コンピュータ1200に、本発明の実施形態に係るプロセスまたは当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつかまたは全てに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
【0162】
本実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、及びRAM1214を含み、それらはホストコントローラ1210によって相互に接続されている。コンピュータ1200はまた、通信インタフェース1222、入力/出力ユニットを含み、それらは入力/出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続されている。コンピュータ1200はまた、ROM1230を含む。CPU1212は、ROM1230及びRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。
【0163】
通信インタフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブが、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラム及びデータを格納してよい。ROM1230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、及び/またはコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。プログラムが、CR-ROM、USBメモリまたはICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体またはネットワークを介して提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体の例でもあるRAM1214、またはROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーションまたは処理を実現することによって構成されてよい。
【0164】
例えば、通信がコンピュータ1200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、またはUSBメモリのような記憶媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信した受信データを記憶媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0165】
また、CPU1212は、USBメモリ等のような外部記憶媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記憶媒体にライトバックしてよい。
【0166】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記憶媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記憶媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記憶媒体内に格納される場合、CPU1212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0167】
上で説明したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ1200上またはコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記憶媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ1200に提供する。
【0168】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよい。その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0169】
コンピュータ可読命令は、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。ソースコードまたはオブジェクトコードは、従来の手続型プログラミング言語を含む。従来の手続型プログラミング言語は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語でよい。コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供されてよい。プロセッサまたはプログラマブル回路は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0170】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0171】
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0172】
100 撮像装置
110,210 可動部材
115 位置調整装置
120 空芯コイル
140 集積回路
142 位置センサ
144 制御回路
150 電磁アクチュエータ
160 位置
162 目標位置
170 制御装置
172 位置情報取得部
174 目標姿勢情報取得部
175 補正情報導出部
177 目標位置導出部
179 出力部
180 撮像素子
190 光学系
191 ズームレンズ
192,194,196 レンズ駆動部
193 フォーカスレンズ
195 像振れ補正用レンズ
200 基板
220 磁石
230 矢印方向
250 撮像素子駆動部
260 記憶部
270 振動検出部
1200 コンピュータ
1210 ホストコントローラ
1212 CPU
1214 RAM
1220 入力/出力コントローラ
1221 空芯部分
1222 通信インタフェース
1230 ROM
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17