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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013273
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】触媒の製造方法および触媒
(51)【国際特許分類】
   B01J 37/34 20060101AFI20240125BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20240125BHJP
   B01J 33/00 20060101ALI20240125BHJP
   B01J 35/39 20240101ALI20240125BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
B01J37/34
B01J37/08
B01J33/00 B
B01J35/02 J
B01D53/94 222
B01D53/94 ZAB
B01D53/94 245
B01D53/94 280
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115222
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】土屋 洋人
(72)【発明者】
【氏名】三上 仁志
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼林 礼人
(72)【発明者】
【氏名】岸本 史直
(72)【発明者】
【氏名】高鍋 和広
【テーマコード(参考)】
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
4D148AA06
4D148AA13
4D148AA18
4D148AB01
4D148AB02
4D148AB09
4D148BA06X
4D148BA07X
4D148BA15Y
4D148BA19Y
4D148BA30Y
4D148BA31X
4D148BA33Y
4D148BA35Y
4D148BA36Y
4D148BA37Y
4D148BA38Y
4D148BA41X
4D148BB01
4D148BB16
4D148BB17
4D148DA03
4D148DA20
4D148EA01
4G169AA03
4G169AA08
4G169AA09
4G169BA02A
4G169BA02B
4G169BA04A
4G169BA04B
4G169BA48A
4G169BB02A
4G169BB02B
4G169BC72A
4G169BC72B
4G169BE01C
4G169BE06C
4G169BE32C
4G169CA03
4G169CA07
4G169CA08
4G169CA09
4G169CA13
4G169CA14
4G169CA15
4G169DA05
4G169EA01X
4G169EA01Y
4G169EA02X
4G169EA02Y
4G169EB15Y
4G169EB18Y
4G169EC28
4G169ED06
4G169EE01
4G169FA02
4G169FB30
4G169FB58
4G169FC02
4G169HA20
4G169HB01
4G169HE20
(57)【要約】
【課題】貴金属触媒または貴金属合金触媒の表面に無機酸化物を選択的に付着させることが可能な触媒の製造方法を提供する。
【解決手段】触媒10の製造方法は、光触媒機能を有する担体11に貴金属触媒12が担持されている粒子と、無機酸化物13の前駆体と、水と、を含む液体に光を照射することにより、貴金属触媒12の表面に無機酸化物13を選択的に付着させる工程を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光触媒機能を有する担体に貴金属触媒または貴金属合金触媒が担持されている粒子と、無機酸化物の前駆体と、水と、を含む液体に光を照射することにより、前記貴金属触媒または貴金属合金触媒の表面に前記無機酸化物を付着させる工程を含む、触媒の製造方法。
【請求項2】
前記液体は、細孔形成剤をさらに含み、
前記貴金属触媒または貴金属合金触媒の表面に前記無機酸化物および前記細孔形成剤が付着している担体を焼成することにより、細孔を形成する工程をさらに含む、請求項1に記載の触媒の製造方法。
【請求項3】
前記貴金属は、パラジウムを含む、請求項1または2に記載の触媒の製造方法。
【請求項4】
前記担体は、酸化チタンを含む、請求項1または2に記載の触媒の製造方法。
【請求項5】
前記無機酸化物は、酸化ケイ素を含み、
前記無機酸化物の前駆体は、オルトケイ酸テトラアルキルを含む、請求項1または2に記載の触媒の製造方法。
【請求項6】
光触媒機能を有する担体に貴金属触媒または貴金属合金触媒が担持されており、
前記貴金属触媒または貴金属合金触媒の表面に無機酸化物が選択的に付着している、触媒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒の製造方法および触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、気候変動の緩和または影響軽減を目的とした取り組みが継続され、この実現に向けて、自動車の排気を浄化するために使用される排気浄化触媒に関する研究開発が実施されている。排気浄化触媒は、例えば、貴金属触媒または貴金属合金触媒が担体に担持されている。具体的には、自動車の排気に含まれる炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)および窒素酸化物(NOx)を除去するために使用される三元触媒では、貴金属触媒として、白金触媒、パラジウム触媒およびロジウム触媒が使用されている。
【0003】
しかしながら、排気浄化触媒をエンジン付近の高温環境下で使用すると、貴金属触媒または貴金属合金触媒が凝集し、活性が低下するという問題がある。
【0004】
特許文献1には、担体(i)、金属粒子(ii)および金属粒子間に置かれたシェル(iii)を含み、シェル(iii)が酸化ケイ素を含む触媒が記載されている。また、特許文献1には、金属粒子(ii)を含む担体(i)を分散させ、次いで(i)この分散液に水溶性の加水分解性Si化合物を添加し、次いで(j)担体(i)、金属粒子(ii)及びシェル(iii)を含む触媒から溶媒を除去する触媒の製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-542064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、金属粒子(ii)の表面に酸化ケイ素を選択的に付着させることができない。
【0007】
本発明は、貴金属触媒または貴金属合金触媒の表面に無機酸化物を選択的に付着させることが可能な触媒の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)光触媒機能を有する担体に貴金属触媒または貴金属合金触媒が担持されている粒子と、無機酸化物の前駆体と、水と、を含む液体に光を照射することにより、前記貴金属触媒または貴金属合金触媒の表面に前記無機酸化物を付着させる工程を含む、触媒の製造方法。
【0009】
(2)前記液体は、細孔形成剤をさらに含み、前記貴金属触媒または貴金属合金触媒の表面に前記無機酸化物および前記細孔形成剤が付着している担体を焼成することにより、細孔を形成する工程をさらに含む、(1)に記載の触媒の製造方法。
【0010】
(3)前記貴金属は、パラジウムを含む、(1)または(2)に記載の触媒の製造方法。
【0011】
(4)前記担体は、酸化チタンを含む、(1)から(3)のいずれか一項に記載の触媒の製造方法。
【0012】
(5)前記無機酸化物は、酸化ケイ素を含み、前記無機酸化物の前駆体は、オルトケイ酸テトラアルキルを含む、(1)から(4)のいずれか一項に記載の触媒の製造方法。
【0013】
(6)光触媒機能を有する担体に貴金属触媒または貴金属合金触媒が担持されており、前記貴金属触媒または貴金属合金触媒の表面に無機酸化物が選択的に付着している、触媒。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、貴金属触媒または貴金属合金触媒の表面に無機酸化物を選択的に付着させることが可能な触媒の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態の触媒の一例を示す断面図である。
図2】実施例1の触媒のTEM像である。
図3】実施例2の触媒のTEM像である。
図4】実施例1、比較例1の触媒の触媒活性の評価結果を示すグラフである。
図5】実施例1の触媒の高角度環状暗視野(HAADF)像およびEDXマッピング分析結果を示す図である。
図6】耐久試験前後の実施例1、比較例1の触媒の触媒活性の評価結果を示すグラフである。
図7】耐久試験後の実施例1の触媒の高角度環状暗視野(HAADF)像およびEDXマッピング分析結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
[触媒の製造方法]
本実施形態の触媒の製造方法は、光触媒機能を有する担体に貴金属触媒または貴金属合金触媒が担持されている粒子と、無機酸化物の前駆体と、水と、を含む液体に光を照射することにより、貴金属触媒または貴金属合金触媒の表面に無機酸化物を付着させる工程を含む。このとき、貴金属触媒または貴金属合金触媒の表面の全域に無機酸化物を付着させてもよいし、貴金属触媒または貴金属合金触媒の表面の一部に無機酸化物を付着させてもよい。
【0018】
本実施形態の触媒の製造方法を用いると、貴金属触媒または貴金属合金触媒の表面に無機酸化物が選択的に付着するが、以下に、その理由を説明する。光触媒機能を有する担体に光が照射されると、励起された電子が貴金属触媒または貴金属合金触媒に供給される。その結果、貴金属触媒または貴金属合金触媒の近傍にOH(塩基触媒)が生成するため、無機酸化物の前駆体の加水分解反応および脱水縮合反応が進行し、貴金属触媒または貴金属合金触媒の表面に無機酸化物が選択的に付着する。
【0019】
光触媒機能を有する担体を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム(IV)等が挙げられる。これらの中でも、酸化チタンが好ましい。
【0020】
貴金属触媒を構成する貴金属としては、特に限定されないが、例えば、パラジウム、白金、ロジウム等が挙げられ、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、パラジウムが好ましい。
【0021】
貴金属合金触媒を構成する貴金属合金は、貴金属以外の金属を含んでいてもよい。貴金属以外の金属としては、特に限定されないが、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、銅等が挙げられる。
【0022】
貴金属合金触媒を構成する貴金属合金としては、特に限定されないが、PdFe合金、PdCo合金、PdNi合金等が挙げられる。
【0023】
光触媒機能を有する担体に貴金属触媒または貴金属合金触媒が担持されている粒子の製造方法としては、公知の製造方法を用いることができる。
【0024】
無機酸化物としては、特に限定されないが、例えば、酸化ケイ素、酸化セリウム等が挙げられ、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、酸化ケイ素が好ましい。
【0025】
無機酸化物の前駆体としては、加水分解反応および脱水縮合反応により、無機酸化物を生成することが可能であれば、特に限定されないが、オルトケイ酸テトラアルキル、硝酸セリウム(III)等が挙げられ、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、オルトケイ酸テトラアルキルが好ましい。
【0026】
液体は、細孔形成剤をさらに含んでいてもよい。この場合、本実施形態の触媒の製造方法は、貴金属触媒または貴金属合金触媒の表面に無機酸化物および細孔形成剤が付着している担体を焼成することにより、細孔を形成する工程をさらに含む。
【0027】
細孔形成剤としては、特に限定されないが、例えば、4級アルキルアンモニウム塩等が挙げられる。これらの中でも、テトラメチルアンモニウムブロミドが好ましい。
【0028】
本実施形態の触媒の製造方法は、焼成した担体を水素還元する工程をさらに含んでいてもよい。
【0029】
液体は、硝酸塩をさらに含んでいてもよい。この場合、光触媒機能を有する担体に光を照射すると、反応式
NO +HO+2e→NO +2OH
で表される酸化還元反応が進行し、貴金属触媒または貴金属合金触媒の近傍にOH(塩基触媒)が生成する。
【0030】
硝酸塩としては、特に限定されないが、例えば、硝酸ナトリウム等が挙げられる。
【0031】
液体は、犠牲剤をさらに含んでいてもよい。
【0032】
犠牲剤としては、水よりも酸化されやすい水溶性物質であれば、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール等が挙げられる。
【0033】
本実施形態の触媒の製造方法は、液体に光を照射する前に、酸触媒の存在下、無機酸化物の前駆体の加水分解反応(および脱水縮合反応)を部分的に進行させてもよい。この場合、本実施形態の触媒の製造方法は、無機酸化物の前駆体の加水分解反応(および脱水縮合反応)を部分的に進行させた後に、pH調整剤で液体のpHを調整する工程をさらに含み、pHを調整した液体に光を照射する。
【0034】
酸触媒としては、特に限定されないが、例えば、塩酸、硫酸等が挙げられる。また、pH調整剤としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
【0035】
本実施形態の触媒の製造方法は、貴金属触媒または貴金属合金触媒の表面に無機酸化物が付着している担体を遠心分離により精製してもよい。
【0036】
[触媒]
本実施形態の触媒は、光触媒機能を有する担体に貴金属触媒または貴金属合金触媒が担持されており、貴金属触媒または貴金属合金触媒の表面に無機酸化物が選択的に付着している。このため、本実施形態の触媒を、エンジン付近の高温環境下で使用しても、貴金属触媒または貴金属合金触媒の凝集が抑制される。このとき、本実施形態の触媒は、貴金属触媒または貴金属合金触媒の表面の全域に無機酸化物が付着していてもよいし、貴金属触媒または貴金属合金触媒の表面の一部に無機酸化物が付着していてもよい。
【0037】
本実施形態の触媒の平均粒子径は、特に限定されないが、例えば、1nm以上100nm以下である。
【0038】
貴金属触媒または貴金属合金触媒の粒子径は、特に限定されないが、例えば、1nm以上100nm以下であり、1nm以上60nm以下であることが好ましい。
【0039】
なお、本実施形態の触媒は、本実施形態の触媒の製造方法により、製造することができる。
【0040】
本実施形態の触媒は、液体に光を照射する際の条件(例えば、液体のpH、光の照射条件等)を制御することにより、貴金属触媒または貴金属合金触媒の表面に付着している無機酸化物の厚さを、例えば、5nm以上50nm以下にすることができる。
【0041】
図1に、本実施形態の触媒の一例を示す。
【0042】
触媒10は、光触媒機能を有する担体11に貴金属触媒12が担持されており、貴金属触媒12の表面に無機酸化物13が選択的に付着している。このとき、触媒10は、自動車の排気に含まれる成分(例えば、炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物等)に応じて、貴金属触媒12が選択されるとともに、無機酸化物13の空隙率が調整される。
【0043】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨の範囲内で、上記の実施形態を適宜変更してもよい。
【実施例0044】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【0045】
[比較例1]
酸化チタン粒子(Sigma Aldrich製)に、パラジウムの前駆体としての、5質量%硝酸パラジウム溶液をパラジウムの担持量が5質量%となるように含浸担持させ、200℃で2時間乾燥させた後、大気雰囲気下、500℃で2時間焼成した。次に、水素雰囲気下、150℃で2時間還元し、5質量%のパラジウムが酸化チタンに担持されている触媒を得た。
【0046】
[実施例1]
細孔形成剤としての、テトラメチルアンモニウムブロミド7.860gおよび硝酸ナトリウム1.28gを、超純水150mlおよびエタノール150mlの混合溶媒に溶解させた後、pHが3になるように塩酸を添加した。次に、酸化ケイ素の前駆体としての、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)22.8mLを添加した後、室温で2時間撹拌した。次に、比較例1の触媒0.150gを添加した後、0.1M水酸化ナトリウム水溶液でpHを5に調整した。次に、LEDランプを用いて、波長365nmの紫外線を30分間照射して、パラジウムの表面に酸化ケイ素を付着させた後、遠心分離により精製した。次に、大気雰囲気下、110℃で16時間乾燥させた後、大気雰囲気下、500℃で2時間焼成した。次に、水素雰囲気下、150℃で2時間還元し、触媒を得た。
【0047】
図2に、触媒のTEM像を示す。
【0048】
図2から、触媒は、酸化チタンにパラジウムが担持されており、パラジウムの表面に酸化ケイ素が選択的に付着していることがわかる。このとき、パラジウムは、直径が25nmであり、酸化ケイ素は、厚さが20nmである。
【0049】
[実施例2]
焼成温度を900℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、触媒を得た。
【0050】
図3に、触媒のTEM像を示す。
【0051】
図3から、触媒は、酸化チタンにパラジウムが担持されており、パラジウムの表面に酸化ケイ素が選択的に付着していることがわかる。このとき、パラジウムは、直径が30nmであり、酸化ケイ素は、厚さが25nmである。
【0052】
[触媒の触媒活性]
触媒活性評価装置に模擬ガスを流し、以下の条件で触媒の触媒活性を評価した。
触媒量:100mg
模擬ガスの流量:400mL/min
模擬ガス:NO(500ppm)、CO(5000ppm)、プロピレン(400ppm)、HO(10%)、O(4900ppm)、H(1700ppm)、N(残余)
温度:500℃、450℃、400℃、350℃、300℃、250℃、200℃
時間:15分
【0053】
具体的には、NO、COおよびHC(プロピレン)の浄化率ηを、式
[(入口側濃度)-(出口側濃度)]/(入口側濃度)×100
により算出した。ここで、NO、COおよびHC(プロピレン)の濃度は、FT-IRにより分析した。
【0054】
なお、触媒活性を評価する前に、触媒を前処理した。具体的には、5%O/95%Nガスを流し、500℃で15分間触媒を酸化処理した後、5%H/95%Nガスを流し、500℃で15分間触媒を還元処理した。
【0055】
図4に、実施例1、比較例1の触媒の触媒活性の評価結果を示す。
【0056】
図4から、実施例1の触媒は、パラジウムの表面に酸化ケイ素が選択的に付着しているが、パラジウムの表面に酸化ケイ素が付着していない比較例1の触媒と同等の触媒活性を有することがわかる。
【0057】
[COパルス法]
金属分散度測定装置BELMETAL3(マイクロトラックベル製)を用いて、パルス温度50℃の条件で、触媒の粒子径を測定した。その結果、実施例1、比較例1の触媒の平均粒子径(球形近似)は、それぞれ59.4nm、24.3nmであった。
【0058】
なお、触媒活性を評価する前に、触媒を前処理した。具体的には、酸素雰囲気下、500℃で15分間触媒を酸化処理した後、水素雰囲気下、500℃で15分間触媒を還元処理した。
【0059】
[STEM-EDX]
Super-X EDXシステム(FEI製)を搭載したTEM/STEM装置Talos F200X(FEI製)を用いて、触媒を観察した後、EDXマッピング分析(O、Ti、PdおよびSi)を実施した。
【0060】
図5に、実施例1の触媒の高角度環状暗視野(HAADF)像およびEDXマッピング分析結果を示す。
【0061】
図5から、実施例1の触媒は、パラジウムの表面に酸化ケイ素が選択的に付着していることがわかる。
[耐久試験]
触媒を900℃で2時間焼成することにより、耐久試験を実施した。
【0062】
図6に、耐久試験前後の実施例1、比較例1の触媒の触媒活性の評価結果を示す。
【0063】
図6から、比較例1の触媒は、耐久試験後に触媒活性が低下しているのに対して、実施例1の触媒は、耐久試験後の触媒活性の低下が抑制されていることがわかる。
【0064】
耐久試験後の実施例1、比較例1の触媒の平均粒子径は、それぞれ64.4nm、89.5nmであった。このことから、比較例1の触媒は、耐久試験により、パラジウムが凝集しているのに対して、実施例1の触媒は、耐久試験によるパラジウムの凝集が抑制されていることがわかる。
【0065】
図7に、耐久試験後の実施例1の触媒の高角度環状暗視野(HAADF)像およびEDXマッピング分析結果を示す。
【0066】
図7から、耐久試験後の実施例1の触媒は、パラジウムの表面に酸化ケイ素が選択的に付着していることがわかる。
【符号の説明】
【0067】
10 触媒
11 光触媒機能を有する担体
12 貴金属触媒
13 無機酸化物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7