IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社リコーの特許一覧

<>
  • 特開-車体検査装置及び車体検査方法 図1
  • 特開-車体検査装置及び車体検査方法 図2
  • 特開-車体検査装置及び車体検査方法 図3
  • 特開-車体検査装置及び車体検査方法 図4
  • 特開-車体検査装置及び車体検査方法 図5
  • 特開-車体検査装置及び車体検査方法 図6
  • 特開-車体検査装置及び車体検査方法 図7
  • 特開-車体検査装置及び車体検査方法 図8
  • 特開-車体検査装置及び車体検査方法 図9
  • 特開-車体検査装置及び車体検査方法 図10
  • 特開-車体検査装置及び車体検査方法 図11
  • 特開-車体検査装置及び車体検査方法 図12
  • 特開-車体検査装置及び車体検査方法 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132811
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】車体検査装置及び車体検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/89 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
G01N21/89 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023163235
(22)【出願日】2023-09-26
(31)【優先権主張番号】P 2023043480
(32)【優先日】2023-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】平川 真
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 照己
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 優
(72)【発明者】
【氏名】日野 真
(72)【発明者】
【氏名】平山 里絵
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA89
2G051AB01
2G051AB07
2G051AB12
2G051BA01
2G051BA20
2G051CA04
2G051CA07
2G051CC09
2G051DA06
(57)【要約】
【課題】簡単に車体を検査することができる車体検査装置の提供を目的とする。
【解決手段】車体検査装置は、搬送される車体の被検査面を照明する照明部と、前記照明部によって照明された前記被検査面を撮像する撮像部と、前記撮像部で撮像された前記被検査面の欠陥を検出する欠陥検出部と、を備え、少なくとも一組の前記照明部及び前記撮像部が、前記車体から離れ、かつ、前記車体を挟んだ第一の面側と第二の面側にそれぞれ位置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される車体の被検査面を照明する照明部と、
前記照明部によって照明された前記被検査面を撮像する撮像部と、
前記撮像部で撮像された前記被検査面の欠陥を検出する欠陥検出部と、
を備え、
少なくとも一組の前記照明部及び前記撮像部が、前記車体から離れ、かつ、前記車体を挟んだ第一の面側と第二の面側にそれぞれ位置する、
車体検査装置。
【請求項2】
前記第一の面側に位置する前記照明部から出射し、前記第二の面側に位置する前記撮像部に入射する光の光路は、前記車体における、前記第一の面側の端部と前記第二の面側の端部との間の長さより長い、
請求項1に記載の車体検査装置。
【請求項3】
前記撮像部は、前記被検査面に対して平行移動するシフトレンズを備える、
請求項1又は請求項2に記載の車体検査装置。
【請求項4】
前記被検査面は、前記車体が搬送される搬送方向に垂直な、前記車体のリア面又はボンネット面である、
請求項1又は請求項2に記載の車体検査装置。
【請求項5】
複数の前記照明部と、
複数の前記撮像部と、
を備え、
前記車体が搬送される搬送方向と交差する方向に延びる複数の前記被検査面のうちの第1の被検査面を、複数の前記照明部のうちの第1照明部で照明し、前記第1照明部で照明された前記第1の被検査面を、複数の前記撮像部のうちの第1撮像部で撮像し、
複数の前記被検査面のうちの第2の被検査面を、複数の前記照明部のうちの第2照明部で照明し、前記第2照明部で照明された前記第2の被検査面を、複数の前記撮像部のうちの第2撮像部で撮像する、
請求項1又は請求項2に記載の車体検査装置。
【請求項6】
少なくとも一組の照明部及び撮像部が、搬送される車体と離れ、かつ、前記車体を挟んだ第一の面側と第二の面側にそれぞれ位置するよう、前記照明部及び前記撮像部を設置し、
前記照明部を用いて、車体の被検査面を照明し、
前記撮像部を用いて、前記照明部によって照明された前記被検査面を撮像し、
前記撮像部で撮像された前記被検査面の欠陥を検出する、
車体検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体検査装置及び車体検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
検査ラインの側方に照明装置とカメラを設置し、所定の搬送方向に車体を搬送させながら、車体の側面の外観検査を行う検査装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の検査装置は、車体における被検査面の位置に応じて、車体を改めて別の方向に搬送する必要がある。
【0004】
本発明は、簡単に車体を検査することができる車体検査装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る車体検査装置は、搬送される車体の被検査面を照明する照明部と、前記照明部によって照明された前記被検査面を撮像する撮像部と、前記撮像部で撮像された前記被検査面の欠陥を検出する欠陥検出部と、を備え、少なくとも一組の前記照明部及び前記撮像部が、前記車体から離れ、かつ、前記車体を挟んだ第一の面側と第二の面側にそれぞれ位置する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、簡単に車体を検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1実施形態に係る車体検査装置の構成例を示す模式図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る車体検査装置の第1照明部及び第1撮像部を、車体のリア面を含む平面に投影した投影図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る車体検査装置の欠陥検出部及び制御部のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る車体検査装置の欠陥検出部の機能構成例を示すブロック図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る車体検査装置の制御部の機能構成例を示すブロック図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る車体検査方法を説明するためのフローチャートである。
図7】本発明の第1実施形態の変形例に係る車体検査装置の構成例を示す模式図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る車体検査装置の構成例を示す模式図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る車体検査装置の第2照明部及び第2撮像部を、車体の上面を含む平面に投影した投影図である。
図10】本発明の第3実施形態に係る車体検査装置の構成例を示す模式図である。
図11】本発明の第3実施形態に係る車体検査装置の第3照明部及び第3撮像部を、車体の側面を含む平面に投影した投影図である。
図12】本発明の第4実施形態に係る車体検査装置の構成例を示す模式図である。
図13】本発明の第4実施形態に係る車体検査装置の他の構成例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0009】
[第1実施形態]
<車体検査装置1の全体構成>
図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る車体検査装置1の全体構成の一例を説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る車体検査装置1の構成例を示す模式図である。また、図1は、検査対象の車体100の側面図を含む。
【0010】
ここで、図1に示されるX方向は、検査対象の車体100の前後方向に対応する。Y方向は、車体100の幅方向に対応する。Z方向は、車体100の上下方向に対応する。X方向、Y方向、及びZ方向は、互いに直交する。車体100の搬送方向は、車体のリア面100Rからフロント面100Fに向かうX方向に対応する。
【0011】
車体検査装置1は、第1照明部10a、第2照明部10b、第3照明部10c、第1撮像部20a、第2撮像部20b、第3撮像部20c、欠陥検出部30、制御部40、車体検知部50が含まれる。車体検査装置1は、検査対象の車体100を搬送する搬送部200の近傍に配置される。車体検査装置1は、検査領域1Eの領域で車体100を検査する。車体100は、塗装された自動車で、大型、普通及び小型自動車等である。図1の車体100は、リア面100R、上面100U、側面100S、及び底面100Tを有する。リア面100Rは、車体100の後方側に配置されるトランクリッドやリアバンパー等の表面を含む領域である。上面100Uは、車体100の上方側に配置されるルーフ等の表面を含む領域である。側面100Sは、車体100の側方側に配置されるサイドドア、フェンダー、サイドシル、ピラー等の表面を含む領域である。
【0012】
搬送部200は、例えば、ベルトコンベア、ローラーコンベア等である。図1に示す例では、照明部10として、第1照明部10a、第2照明部10b、第3照明部10cと、撮像部20として、第1撮像部20a、第2撮像部20b、第3撮像部20cが示される。以下の説明では、適宜、第1照明部10a、第2照明部10b、第3照明部10cと、第1撮像部20a、第2撮像部20b、第3撮像部20cと、をそれぞれ複数の照明部10、複数の撮像部20として説明する。
【0013】
複数の照明部10のそれぞれは、車体100の被検査面を照明する。例えば、第1照明部10aは、被検査面として車体100のリア面100Rを照明する。第2照明部10bは、被検査面として車体100の上面100Uを照明する。第3照明部10cは、被検査面として車体100の側面100Sを照明する。
【0014】
ただし、照明部10の数は、3つに限定されない。すなわち、車体検査装置1は、例えば、車体100のフロント面100F等の他の領域を照明するための別の照明部10をさらに備えていてもよいし、3つの照明部の一部を共通して用いてもよい。フロント面100Fとは、例えば、車体100の前方側に配置されるボンネット、バンパー等の表面を含む領域である。
【0015】
図1に示される構成では、各被検査面を1つの照明部10で照明しているが、各被検査面を照明する照明部10の数は限定されない。例えば、リア面100Rを複数の照明部10で照明してもよい。また、上面100Uを複数の照明部10で照明してもよい。また、側面100Sを複数の照明部10で照明してもよい。
【0016】
リア面100Rを照明する照明部10が複数である場合、リア面100Rを照明する複数の照明部10のすべてを「第1照明部10a」という場合がある。また、上面100Uを照明する照明部10が複数である場合、上面100Uを照明する複数の照明部10のすべてを「第2照明部10b」という場合がある。また、側面100Sを照明する照明部10が複数である場合、側面100Sを照明する複数の照明部10のすべてを「第3照明部10c」という場合がある。フロント面100Fを照明する照明部10に関しても同様である。
【0017】
複数の照明部10はそれぞれ、LED(Light Emitting Diode)等の半導体発光素子、蛍光ランプ、ハロゲンランプ等の光源を備える。光源は、可視光を発光するものが好ましいが、赤外光等の他の波長帯の光を発光するものであってもよい。また、複数の照明部10は、それぞれ単一の光源を備えていてもよいし、複数の光源を備えていてもよい。
【0018】
複数の照明部10は、それぞれ拡散板、反射板、レンズ素子等の各種光学部材をさらに備えていてもよい。第1実施形態における複数の照明部10のそれぞれは、LEDから照射される光を拡散板で拡散させ、照射むらのない平行な照明光を、対応する被検査面に照明する。
【0019】
複数の撮像部20のそれぞれは、複数の照明部10で照明された被検査面を撮像する。
【0020】
第1撮像部20aは、車体100の後方側に配置され、第1照明部10aで照明されたリア面100Rを撮像する。第2撮像部20bは、車体100の上方側に配置され、第2照明部10bで照明された上面100Uを撮像する。第3撮像部20cは、車体100の側方側に配置され、第3照明部10cで照明された側面100Sを撮像する。
【0021】
複数の撮像部20の数は、3つに限定されない。すなわち、車体検査装置1は、例えば、車体100のフロント面100Fを撮像する別の撮像部20をさらに備えていてもよいし、3つの撮像部の一部を共通して用いてもよい。
【0022】
図1に示される構成では、各被検査面を1つの撮像部20で撮像しているが、各被検査面を撮像する撮像部20の数は、限定されない。例えば、リア面100Rを複数の撮像部20で撮像してもよい。また、上面100Uを複数の撮像部20で撮像してもよい。また、側面100Sを複数の撮像部20で照明してもよい。
【0023】
リア面100Rを撮像する撮像部20が複数である場合、リア面100Rを撮像する複数の撮像部20のすべてを「第1撮像部20a」という場合がある。また、上面100Uを撮像する撮像部20が複数である場合、上面100Uを撮像する複数の撮像部20のすべてを「第2撮像部20b」という場合がある。また、側面100Sを撮像する撮像部20が複数である場合、側面100Sを撮像する複数の撮像部20のすべてを「第3撮像部20c」という場合がある。フロント面100Fを撮像する撮像部20に関しても同様である。
【0024】
複数の撮像部20は、それぞれCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)等の撮像素子を備える。また、複数の撮像部20は、それぞれ入射光を撮像素子に結像するための集光レンズ等の光学部材をさらに備える。撮像部20の一例として、可視光カメラ等が挙げられる。
【0025】
各撮像部20における集光レンズの画角や、撮像倍率等の光学条件は、例えば、各撮像部20で撮像する被検査面の大きさ、撮像部20と被検査面との距離等に応じて、適宜調整されてよい。
【0026】
複数の撮像部20は、それぞれ撮像した被検査面の画像データを欠陥検出部30に出力する。具体的には、第1撮像部20aは、リア面100Rの画像データを欠陥検出部30に出力する。第2撮像部20bは、上面100Uの画像データを欠陥検出部30に出力する。第3撮像部20cは、側面100Sの画像データを欠陥検出部30に出力する。
【0027】
欠陥検出部30は、撮像された被検査面の欠陥を検出する。具体的には、欠陥検出部30は、撮像部20から取得した画像データに対して画像処理を行うPC(Personal Computer)等の情報処理装置である。欠陥検出部30は、複数の撮像部20のそれぞれから取得した被検査面の画像データを解析し、被検査面の欠陥を検出する。ここで、「欠陥」とは、被検査面に形成された傷、クラック、凹凸、汚れ、変色不良等をいう。
【0028】
第1実施形態の欠陥検出部30は、複数の撮像部20のすべてと電気的に接続される。すなわち、1つの欠陥検出部30が、例えば、リア面100Rの欠陥、上面100Uの欠陥、側面100Sの欠陥を検出する。
【0029】
ただし、これに限られず、車体検査装置1が、複数の欠陥検出部30を備え、複数の欠陥検出部30のそれぞれが、異なる撮像部20と電気的に接続されてもよい。例えば、複数の欠陥検出部30のうちの1つが、第1撮像部20aと電気的に接続され、リア面100Rの欠陥を検出する。また、複数の欠陥検出部30のうちの他の1つが、第2撮像部20bと電気的に接続され、上面100Uの欠陥を検出する。また、複数の欠陥検出部30のうちのさらに他の1つが、第3撮像部20cと電気的に接続され、側面100Sの欠陥を検出する。
【0030】
制御部40は、車体検査装置1を制御する。制御部40は、複数の照明部10及び複数の撮像部20と、それぞれ電気的に接続されたPCやPLC(Programmable Logic Computer)等の制御装置である。また、制御部40は、車体検知部50と電気的に接続されており、車体検知部50から出力される検知信号に応じて、複数の照明部10及び複数の撮像部20をそれぞれ制御する。
【0031】
図1に示される制御部40は、欠陥検出部30とは別の装置としているが、一体として構成してもよい。例えば、制御部40は、欠陥検出部30を含んでいてもよい。すなわち、欠陥検出部30は、制御部40の一機能部として構成されてもよい。
【0032】
車体検知部50は、車体を検知する。具体的には、車体検知部50は、搬送部200によって搬送される車体100を検知するセンサである。車体検知部50の種類は、特に限定されないが、例えば、光センサ、画像センサ、距離センサ等が挙げられる。また、車体検知部50は、車体100の検知精度を高めるため、検査領域1E内に配置されることが好ましい。ただし、車体検知部50が配置される位置は車体100が検出できる範囲であれば特に限定されない。
【0033】
<第1照明部、第1撮像部、車体の位置関係>
次に、図2を参照して、車体検査装置1における第1照明部10a及び第1撮像部20a、並びに車体100の位置関係の例を説明する。図2は、本発明の第1実施形態に係る車体検査装置1の第1照明部10a及び第1撮像部20aを、車体100のリア面100Rを含む平面610に投影した投影図である。図1に対し、図2では、投影像10aP、投影像20aP、搬送領域620S、方向620W、光路630、長さ640が示されている。投影像10aP、投影像20aPは、それぞれ第1照明部10a、第1撮像部20aの投影像である。投影像は、平面610に正対するように設けられた仮想照明で、第1照明部10aや第1撮像部20a等の被投影物を照明した際、平面610に映る被投影物の像をいう。
【0034】
搬送領域620Sは、車体100が搬送部200で搬送される領域である。方向620Wは、車体100の搬送方向と交差する方向である。図2に示す方向620Wは、車体100の搬送方向に交差する水平方向でのリア面100Rで、方向620Wが被検査面に対応する。
【0035】
車体100の搬送方向を変えずに、リア面100Rを検査するため、第1照明部10a及び第1撮像部20aは、車体100の搬送領域620Sの外側に配置させる。
【0036】
具体的には、少なくとも一組の第1照明部10a及び第1撮像部20aが、車体100から離れ、かつ、車体100を挟んだ第一の面側と第二の面側にそれぞれ位置する。少なくとも一組の第1照明部10a及び第1撮像部20aの構成は、1つのカメラで構成された第1撮像部20aと、複数の光源で構成された第1照明部10aとの組であってもよい。
【0037】
リア面100Rを含む平面610に投影された、第1照明部10aの投影像10aP及び第1撮像部20aの投影像20aPのそれぞれが、車体100から離れ、且つ、車体100の第一の面側と第二の面側にそれぞれ位置する。
【0038】
すなわち、第1照明部10aは、車体100の底面100Tより下方に配置される。また、第1撮像部20aは、車体100の上面100Uより上方に配置される。この場合、車体100の「第一の面側」は、車体100の下方側に対応する。また、「車体100における第一の面側の端部」は、車体100の底面100Tに対応する。これに対して、車体100を境とした「第二の面側」は、車体100の上方側に対応する。また、「車体100における第二の面側の端部」は、車体100の上面100Uに対応する。ただし、第1照明部10aが、車体100の上面100Uより上方に配置され、第1撮像部20aが、車体100の底面100Tより下方側に配置される場合、「第一の面側」は、車体100の上方側に対応し、「第二の面側」は、車体100の下方側に対応する。
【0039】
光路630は、第1照明部10aから出射され、第1撮像部20aに入射するまでの光路である。長さ640は、車体100の所定の長さとして、車体100における、第一の面側の端部から第二の面側の端部までの距離を示す。図2に示す長さ640は、接地面と車体100の最高部に接する水平面との間の距離である全高で、車体100の下方側と上側の長さである。長さ640は、タイヤが車体100に装着された状態でもよいし、されていない状態でもよい。光路630は、長さ640より長い。より正確には、平面610に投影された、光路630の投影線630Pの長さが、長さ640より長い。
【0040】
このように第1照明部10a及び第1撮像部20aを配置することで、第1照明部10a及び第1撮像部20aのそれぞれを、搬送部200で搬送される車体100に衝突させずに、リア面100Rを含む車体100の各面の外観検査を行うことができる。すなわち、車体100を単一の搬送方向に搬送するだけで、車体100の各面の外観検査を行うことができる。その結果、外観検査の時間を短縮することができ、車体100の生産性を高めることができる。
【0041】
特に、第1実施形態に係る車体検査装置1によれば、搬送方向に垂直な領域を含むリア面100Rを、車体100の他の面と併せて検査することができる。このことから、車体100の搬送方向を一般的な検査ラインにおける搬送方向から変更する必要がない。すなわち、既存の検査ラインをそのまま活用することができる結果、検査設備の改良等の過度なコスト向上を招かない。
【0042】
<欠陥検出部及び制御部のハードウェア構成>
次に、図3を参照して、欠陥検出部30及び制御部40のハードウェア構成を説明する。図3は、本発明の第1実施形態に係る車体検査装置1の欠陥検出部30及び制御部40のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0043】
欠陥検出部30及び制御部40のそれぞれは、例えば、コンピュータ500によって構築される。コンピュータ500は、CPU(Central Processing Unit)501と、ROM(Read Only Memory)502と、RAM(Random Access Memory)503と、HDD(Hard Disk Drive)504と、入出力I/F(Interface)505と、ディスプレイ506と、を備える。これらは、バス509を介して相互に電気的に接続されている。
【0044】
CPU501は、コンピュータ500の動作を制御する。ROM502は、CPU501で実行されるプログラム等を記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HDD504は、プログラム等の各種データ等を記憶する。入出力I/F505は、外部装置との間で各種信号やデータの入出力を行うインターフェースである。ディスプレイ506は、文字又は画像等の各種情報を表示する。
【0045】
なお、CPU501の有する機能の一部又は全部を、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の電子回路により実現させてもよい。
【0046】
<欠陥検出部の機能構成>
次に、図4を参照して、欠陥検出部30の機能構成の一例を説明する。図4は、本発明の第1実施形態に係る車体検査装置1の欠陥検出部30の機能構成例を示すブロック図である。
【0047】
欠陥検出部30は、取得部31と、判定部32と、表示部33と、を備える。欠陥検出部30は、複数の撮像部20に接続されている。取得部31は、例えば、コンピュータ500の入出力I/F505によって実現される。また、判定部32は、例えば、コンピュータ500のCPU501によって実現される。また、表示部33は、例えば、コンピュータ500のディスプレイ506によって実現される。
【0048】
取得部31は、複数の撮像部20のそれぞれから出力された、各被検査面の画像データを取得する。具体的には、取得部31は、第1撮像部20aから出力されたリア面100Rの画像データを取得する。また、取得部31は、第2撮像部20bから出力された上面100Uの画像データを取得する。また、取得部31は、第3撮像部20cから出力された側面100Sの画像データを取得する。さらに、取得部31は、取得した各被検査面の画像データを判定部32に出力する。
【0049】
判定部32は、取得部31で取得した各画像データを解析し、被検査面のそれぞれに欠陥が含まれるか否かを判定する。判定部32は、例えば、取得部31が取得した画像データに含まれる、被検査面の欠陥サイズ等の特徴量を抽出する処理と、抽出した特徴量から欠陥の有無を判定する処理等を実行する。また、判定部32は、特徴量抽出処理を実行する前処理として、画像データのノイズ除去処理等を実行してもよい。
【0050】
判定部32は、例えば、位相シフト法、光切断法、ToF(Time of Flight)法等の3次元計測法を用いて得られた計測データから、被検査面の欠陥を判定してもよい。3次元計測法を用いた欠陥判定処理の例としては、特開2012-063190号公報等で開示されるもの等が挙げられる。なお、3次元計測法を用いる場合、照明部10及び撮像部20は、3次元計測法の実施に適する光学部材や素子を適宜備える。
【0051】
3次元計測法を用いる場合、判定部32は、リア面100R等の被検査面に係る姿勢や位置等の情報を算出する算出部を備えていてもよい。具体的には、算出部は、被検査面内における複数箇所の計測データから構築される点群データと、欠陥検出部30の記憶部(ROM502やHDD504等)に予め記憶されている被検査面の形状情報とを合わせて、被検査面の姿勢や位置等の情報を算出してもよい。
【0052】
被検査面の計測データから点群データを生成する処理は、撮像部20で実行されてもよいし、欠陥検出部30(判定部32)で実行されてもよい。また、点群データを構築する座標データを、整数化フィルタ等を介して変換し、変換後のデータと、被検査面の形状情報とを合わせてもよい。また、点群データから直接、被検査面の姿勢や位置等の情報を算出してもよい。
【0053】
表示部33は、判定部32における判定結果を表示する。例えば、表示部33は、欠陥があることを示すメッセージの文字情報や図形、標識等の画像情報を表示する。それに加えて、表示部33は、検出された欠陥部分にフォーカスした画像等を表示してもよい。
【0054】
<制御部の機能構成>
次に、図5を参照して、制御部40の機能構成の一例を説明する。図5は、本発明の第1実施形態に係る車体検査装置1の制御部40の機能構成例を示すブロック図である。
【0055】
制御部40は、入力部41と、照明部制御部42と、撮像部制御部43と、を備える。入力部41は、例えば、コンピュータ500の入出力I/F505によって実現される。また、照明部制御部42及び撮像部制御部43は、コンピュータ500のCPU501によって実現される。
【0056】
入力部41は、車体検知部50から出力された車体100の検知信号が入力される。また、例えば、車体検知部50から車体100の検知信号が、入力部41に入力されたことを契機に、照明部制御部42及び撮像部制御部43が動作する。
【0057】
照明部制御部42は、複数の照明部10のそれぞれを制御する。具体的には、照明部制御部42は、車体検知部50からの検知信号に応じて、車体100が検査領域1Eに入ったことを認識し、各照明部10を発光させる。
【0058】
照明部制御部42は、第1照明部10a、第2照明部10b、第3照明部10cを同タイミングで発光させてもよい。また、照明部制御部42は、車体100の搬送に合わせて、第1照明部10a、第2照明部10b、第3照明部10cを順に発光させてもよい。ただし、照明部制御部42による各照明部10の制御方法は、これに限定されない。
【0059】
撮像部制御部43は、複数の撮像部20のそれぞれを制御する。具体的には、照明部制御部42は、各照明部10の発光動作に合わせて、各撮像部20における撮像タイミングを制御する。
【0060】
例えば、撮像部制御部43は、第1照明部10aの発光に同期させて、第1撮像部20aを動作させる。これにより、第1照明部10aからの光で照明されたリア面100Rを撮像することができる。また、撮像部制御部43は、第2照明部10bの発光に同期させて、第2撮像部20bを動作させる。これにより、第2照明部10bからの光で照明された上面100Uを撮像することができる。また、撮像部制御部43は、第3照明部10cの発光に同期させて、第3撮像部20cを動作させる。これにより、第3照明部10cからの光で照明された側面100Sを撮像することができる。
【0061】
<車体検査方法>
次に、図6を参照して、車体検査装置1を用いた車体検査方法を説明する。図6は、本発明の第1実施形態に係る車体検査方法を説明するためのフローチャートである。
【0062】
まず、ステップS11において、車体検知部50は、搬送部200によって搬送され、検査領域1Eに達した検査対象の車体100を検知する。また、車体検知部50は、検知信号を制御部40に出力する。
【0063】
続いて、ステップS12において、検知信号が、制御部40の入力部41に入力される。それに応じて、制御部40の照明部制御部42が、第1照明部10a、第2照明部10b、及び第3照明部10cのそれぞれを発光させる。
【0064】
続いて、ステップS13において、制御部40の撮像部制御部43が、第1撮像部20a、第2撮像部20b、及び第3撮像部20cのそれぞれを動作させる。各撮像部20の動作は、各照明部10の発光に連動する。これにより、第1撮像部20aは、被検査面である車体100のリア面100Rを撮像する。また、第2撮像部20bは、他の被検査面である車体100の上面100Uを撮像する。また、第3撮像部20cは、さらに他の被検査面である車体100の側面100Sを撮像する。各撮像部20は、撮像した画像データを欠陥検出部30に出力する。
【0065】
続いて、ステップS14において、欠陥検出部30は、各撮像部20から出力された画像データを解析して、被検査面に欠陥が含まれるか否かを判定する。
【0066】
ステップS14において、欠陥検出部30が、被検査面の少なくとも1つに欠陥が含まれていると判定した場合、ステップS15において、欠陥検出部30は、欠陥が含まれていることを示す欠陥情報を、欠陥検出部30のディスプレイ506に表示する。欠陥情報は、被検査面に欠陥が含まれていることを検査作業者に通知できれば、特に限定されないが、例えば、欠陥があることや欠陥の位置を示す文字情報、図形、標識等の画像情報、及び文字情報と画像情報との組み合わせ等が挙げられる。それに加えて、欠陥検出部30は、搬送部200を停止するための制御信号を搬送部駆動制御部に出力してもよい。
【0067】
これらのステップによって、実施形態に係る車体検査方法が実施される。ただし、本発明の車体検査方法は、検査条件や検査環境等に応じて、他のステップを適宜含んでもよい。
【0068】
[変形例]
次に、図7を参照して、本発明の第1実施形態の変形例に係る車体検査装置1Aを説明する。図7は、本発明の第1実施形態の変形例に係る車体検査装置1Aの構成例を示す模式図である。また、図7は、検査対象の車体100の側面図を含む。なお、第1実施形態と同一の構成部に関しては、詳細説明を適宜省略する。
【0069】
変形例に係る車体検査装置1Aでは、検査対象の車体100のリア面100Rを撮像する第1撮像部20a1の構成が、第1実施形態に係る車体検査装置1の第1撮像部20aの構成と異なる。
【0070】
具体的には、第1撮像部20a1は、シフトレンズ22を備える。シフトレンズ22は、入射光(リア面100Rから反射光)を撮像素子23に結像するためのレンズと、Z方向等の所定の方向にレンズを平行移動可能なシフト機構とで構成される。
【0071】
シフトレンズ22を用いることで、シフトレンズ22のレンズ主面及び撮像素子23の撮像面、並びに、リア面100Rを略平行な状態に保ちながら、リア面100Rを撮像することができる。
【0072】
これにより、画像におけるリア面100Rの輪郭等が、例えば、台形状等の形状に歪まない。また、実際の形状や寸法に合致したリア面100Rの画像を得ることができる。変形例に係る車体検査装置1Aによれば、第1撮像部20a1で撮像された画像データに対して、歪み補正等の処理を行う必要性がないと共に、欠陥サイズ等の特徴量の情報をより正確に得ることができる。その結果、欠陥検出の処理負担を低減すると共に、欠陥の検出精度を高めることができる。
【0073】
また、第1撮像部20a1を複数用いて、リア面100Rの全体の画像を撮像する場合に関しても、複数の第1撮像部20a1のそれぞれで撮像した各画像の合成画像に不連続点等が現れない。その結果、例えば、欠陥検出部30における画像処理を簡素化し、且つ、欠陥の検出精度を高めることができる。
【0074】
第1撮像部20a1は、レンズの角度を調整可能なチルト機構をさらに備えていてもよい。また、車体100の上面100Uを撮像する第2撮像部20bや、側面100Sを撮像する第3撮像部20cも、シフトレンズ22やチルト機構を備えていてもよい。
【0075】
[第2実施形態]
次に、図8及び図9を参照して、本発明の第2実施形態に係る車体検査装置1Bを説明する。図8は、本発明の第2実施形態に係る車体検査装置1Bの構成例を示す模式図である。図8は、検査対象の車体100の正面図を含む。また、図9は、本発明の第2実施形態に係る車体検査装置1Bの第2照明部10b及び第2撮像部20bを、車体100の上面100Uを含む平面710に投影した投影図である。図8及び図9は、車体100の右側面100S1、及び左側面100S2が示される。図9では、投影像10bP、投影像20bP、光路730、長さ740が示されている。
【0076】
第1実施形態及び第1実施形態の変形例と同一の構成部に関しては、詳細説明を省略する。第2実施形態に係る車体検査装置1Bは、第1照明部10a、第2照明部10b、第3照明部10c、第1撮像部20a、第2撮像部20b、及び第3撮像部20cを備える。車体検査装置1Bは、車体100の上面100Uに加え、リア面100R及び側面100Sの外観検査を行う。
【0077】
第2実施形態では、車体100に対する、第2照明部10b及び第2撮像部20bの位置関係に特徴を有する。ここで、図8に示す方向620Wは、車体100の搬送方向に交差する直交方向の上面100Uで、方向620Wが被検査面に対応する。
【0078】
車体100の搬送方向を変えずに、搬送方向に交差する方向620Wに延びる上面100Uを検査するため、第2照明部10b及び第2撮像部20bを、車体100の搬送領域620Sの外側に配置させる。
【0079】
具体的には、少なくとも一組の第2照明部10b及び第2撮像部20bが、車体100から離れ、かつ、車体100を挟んだ第一の面側と第二の面側にそれぞれ位置する。少なくとも一組の第2照明部10b及び第2撮像部20bの構成は、1つのカメラで構成された第2撮像部20bと、複数の光源で構成された第2照明部10bとの組であってもよい。図8では、第2照明部10bは、車体100の右側面100S1より外側に配置される。また、第2撮像部20bは、車体100の左側面100S2より外側に配置される。
【0080】
すなわち、第2照明部10b及び第2撮像部20bを、上面100Uを含む平面710に投影すると、図9に示されるように、第2照明部10bの投影像10bPが車体100より右方側に位置し、第2撮像部20bの投影像20bPが、車体100より左方側に位置する。また、各投影像10bP,20bPは、車体100から離れている。
【0081】
この場合、車体100の右方側が、車体100の「第一の面側」に対応し、車体100の左方側が、車体100の「第二の面側」に対応する。また、「車体100における第一の面側の端部」は、車体100の右側面100S1に対応し、「車体100における第二の面側の端部」は、車体100の左側面100S2に対応する。これとは反対に、第2照明部10bが、車体100の左側面100S2より外側に配置され、第2撮像部20bが、車体100の右側面100S1より外側に配置される場合、車体100の左方側が、車体100の「第一の面側」に対応し、車体100の右方側が、車体100の「第二の面側」に対応する。
【0082】
光路730は、第2照明部10bから出射され、第2撮像部20bに入射するまでの光路である。長さ740は、車体100の所定の長さとして、車体100における、第一の面側の端部から第二の面側の端部までの距離を示す。図9に示す長さ740は、車幅で、車体100の右側面100S1から左側面100S2までの長さである。光路730は、長さ740より長い。より正確には、平面710に投影された、光路730の投影線730Pの長さが、車体100の右側面100S1と左側面100S2との間の長さ740より長い。
【0083】
このように第2照明部10b及び第2撮像部20bを配置することで、第2照明部10b及び第2撮像部20bのそれぞれを、搬送部200で搬送される車体100に衝突させずに、上面100Uを含む車体100の各面の外観検査を行うことができる。すなわち、車体100を単一の搬送方向に搬送するだけで、車体100の各面の外観検査を行うことができる。その結果、外観検査の時間を短縮することができ、車体100の生産性を高めることができる。
【0084】
上面100Uを検査する際、車体100の搬送方向を一般的な検査ラインにおける搬送方向から変更する必要がない。すなわち、既存の検査ラインをそのまま活用することができる結果、検査設備の改良等の過度なコスト向上を招かない。
【0085】
[第3実施形態]
次に、図10及び図11を参照して、本発明の第3実施形態に係る車体検査装置1Cを説明する。図10は、本発明の第3実施形態に係る車体検査装置1Cの構成例を示す模式図である。図10は、検査対象の車体100の正面図を含む。また、図11は、本発明の第3実施形態に係る車体検査装置1Cの第3照明部10c及び第3撮像部20cを、車体100の側面100Sを含む平面810に投影した投影図である。
【0086】
第1実施形態、第1実施形態の変形例、及び第2実施形態と同一の構成部に関しては、詳細説明を省略する。第3実施形態に係る車体検査装置1Cは、第1照明部10a、第2照明部10b、第3照明部10c、第1撮像部20a、第2撮像部20b、及び第3撮像部20cを備える。車体検査装置1Cは、車体100の側面100Sに加え、リア面100R及び上面100Uの外観検査を行う。
【0087】
第3実施形態では、車体100に対する、第3照明部10c及び第3撮像部20cの位置関係に特徴を有する。図11に示す方向820Wは、車体100の搬送方向と交差する方向である。820Wは、車体100の搬送方向に交差する水平方向での側面100Sで、820Wが被検査面に対応する。
【0088】
車体100の搬送方向を変えずに、搬送方向に交差する方向820Wに延びる側面100Sを検査するため、第3照明部10c及び第3撮像部20cを、車体100の搬送領域820Sの外側に配置させる。
【0089】
具体的には、少なくとも一組の第3照明部10c及び第3撮像部20cが、車体100から離れ、かつ、車体100を挟んだ第一の面側と第二の面側にそれぞれ位置する。少なくとも一組の第3照明部10c及び第3撮像部20cの構成は、1つのカメラで構成された第3撮像部20cと、複数の光源で構成された第3照明部10cとの組であってもよい。図10では、第3照明部10cは、車体100の底面100Tより外側に配置される。また、第3撮像部20cは、車体100の上面100Uより外側に配置される。
【0090】
すなわち、第3照明部10c及び第3撮像部20cを、側面100Sを含む平面810に投影すると、図11に示されるように、第3照明部10cの投影像10cPが車体100より下方側に位置し、第3撮像部20cの投影像20cPが、車体100より上方側に位置する。また、各投影像10cP,20cPは、車体100と離れている。
【0091】
この場合、車体100の下方側が、車体100の「第一の面側」に対応し、車体100の上方側が、車体100の「第二の面側」に対応する。また、「車体100における第一の面側の端部」は、車体100の底面100Tに対応し、「車体100における第二の面側の端部」は、車体100の上面100Uに対応する。これとは反対に、第3照明部10cが、車体100の上面100Uより外側に配置され、第3撮像部20cが、車体100の底面100Tより外側に配置される場合、車体100の上方側が、車体100の「第一の面側」に対応し、車体100の下方側が、車体100の「第二の面側」に対応する。
【0092】
光路830は、第3照明部10cから出射され、第3撮像部20cに入射するまでの光路である。長さ840は、車体100の所定の長さとして、一方側から他方側までの距離を示す。図11に示す長さ840は、接地面と車体100の最高部に接する水平面との間の距離である全高で、車体100の底面100Tと上面100Uの長さである。長さ840は、タイヤが車体100に装着された状態でもよいし、されていない状態でもよい。光路830は、長さ840より長い。より正確には、平面810に投影された、光路830の投影線830Pの長さが、車体100の底面100Tと上面100Uとの長さ840より長い。
【0093】
第3実施形態によれば、車体100の搬送方向をY方向としても、複数の照明部10及び複数の撮像部20のすべてを、搬送部200で搬送される車体100に衝突させない。すなわち、車体100を単一の搬送方向に搬送するだけで、車体100の各面の外観検査を行うことができる。その結果、外観検査の時間を短縮することができ、車体100の生産性を高めることができる。
【0094】
第3実施形態の場合、車体100の搬送方向がX方向であっても、複数の照明部10及び複数の撮像部20のすべてを、搬送部200で搬送される車体100に衝突させない。したがって、車体検査装置1Cを、複数の搬送方向で車体100を搬送する場合にも適用できる結果、検査ラインの設計の自由度を高めることができる。
【0095】
[第4実施形態]
次に、図12及び図13を参照して、本発明の第4実施形態に係る車体検査装置1Dを説明する。図12は、本発明の第4実施形態に係る車体検査装置1Dの構成例を示す模式図である。図13は、本発明の第4実施形態に係る車体検査装置1Dの他の構成例を示す模式図である。また、図12及び図13は、検査対象の車体100の平面図を含む。なお、第1実施形態、第1実施形態の変形例、第2実施形態、及び第3実施形態と同一の構成部に関しては、詳細説明を省略する。
【0096】
第4実施形態に係る車体検査装置1Dは、車体100のフロント面100Fを照明する第4照明部10dと、第4照明部10dで照明されたフロント面100Fを撮像する第4撮像部20dと、をさらに備える。
【0097】
第4実施形態に係る車体検査装置1Dは、第1照明部10a、第2照明部10b、及び第3照明部10c、並びに、第1撮像部20a、第2撮像部20b、及び第3撮像部20cを備える。すなわち、第4実施形態に係る車体検査装置1Dは、車体100のフロント面100Fに加え、リア面100R、上面100U、及び側面100Sの外観検査を行う。
【0098】
方向920Wは、車体100の搬送方向に交差する直交方向のフロント面100Fで、方向920Wが被検査面に対応する。図12及び図13に示される被検査面は、フロント面100Fのうちのボンネット面100Bに対応する。
【0099】
車体100の搬送方向を変えずに、搬送方向に交差する方向920Wに延びるフロント面100Fを検査するため、第4照明部10d及び第4撮像部20dを、車体100の搬送領域920Sの外側に配置させる。
【0100】
具体的には、少なくとも一組の第4照明部10d及び第4撮像部20dが、車体100から離れ、かつ、車体100を挟んだ第一の面側と第二の面側にそれぞれ位置する。少なくとも一組の第4照明部10d及び第4撮像部20dの構成は、1つのカメラで構成された第4撮像部20dと、複数の光源で構成された第4照明部10dとの組であってもよい。図12では、第4照明部10dは、車体100の右側面100S1より外側に配置される。また、第4撮像部20dは、車体100の左側面100S2より外側に配置される。
【0101】
この場合、車体100の右方側が、車体100の「第一の面側」に対応し、車体100の左方側が、車体100の「第二の面側」に対応する。また、「車体100における第一の面側の端部」は、車体100の右側面100S1に対応し、「車体100における第二の面側の端部」は、車体100の左側面100S2に対応する。これとは反対に、第4照明部10dが、車体100の左側面100S2より外側に配置され、第4撮像部20dが、車体100の右側面100S1より外側に配置される場合、車体100の左方側が、車体100の「第一の面側」に対応し、車体100の右方側が、車体100の「第二の面側」に対応する。
【0102】
このように第4照明部10d及び第4撮像部20dを配置することで、第4照明部10d及び第4撮像部20dのそれぞれを、搬送部200で搬送される車体100に衝突させずに、フロント面100Fを含む車体100の各面の外観検査を行うことができる。すなわち、車体100を単一の搬送方向に搬送するだけで、車体100の各面の外観検査を行うことができる。その結果、外観検査の時間を短縮することができ、車体100の生産性を高めることができる。
【0103】
図13に示されるように、フロント面100Fの異なる領域をそれぞれ照明する2つ以上の第4照明部10dが設けられてもよい。また、2つ以上の第4照明部10dのうち、異なる第4照明部10dで照明されたフロント面100Fの領域をそれぞれ撮像する、2つ以上の第4撮像部20dが設けられてもよい。
【0104】
すなわち、1つ目の第4照明部10d1で照明されたフロント面100Fの第1領域100F1を、1つ目の第4撮像部20d1で撮像する。また、2つ目の第4照明部10d2で照明されたフロント面100Fの第2領域100F2を、2つ目の第4撮像部20d2で撮像する。
【0105】
このように、第4照明部10dと第4撮像部20dとを1対で含む検査光学系のセットを2つ以上設け、それぞれの検査光学系のセットで、フロント面100Fの異なる領域の画像データを得る。すなわち、検査光学系のセットごとに、フロント面100Fの特定の領域に絞った画像データを得ることができる。これにより、1つの撮像部20でフロント面100Fの全体を撮像する場合に比べて、欠陥の検出精度を高めることができる。例えば、検査ライン周辺の設備環境等の関係で、第4照明部10dや第4撮像部20dを車体100から離れた位置に設ける必要があり、撮像された各画像データの解像度が低い場合に、有効である。
【0106】
検査光学系のセットとして、第4照明部10dと第4撮像部20dとを1対で含む例を示したが、他の照明部10及び他の撮像部20に関しても、同様の構成を適用できる。すなわち、第1照明部10aと第1撮像部20aとを1対で含む検査光学系のセットを2つ以上設けてもよい。また、第2照明部10bと第2撮像部20bとを1対で含む検査光学系のセットを2つ以上設けてもよい。さらに、第3照明部10cと第3撮像部20cとを1対で含む検査光学系のセットを2つ以上設けてもよい。
【0107】
以上、実施形態について説明したが、本発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。
【0108】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 搬送される車体の被検査面を照明する照明部と、
前記照明部によって照明された前記被検査面を撮像する撮像部と、
前記撮像部で撮像された前記被検査面の欠陥を検出する欠陥検出部と、
を備え、
少なくとも一組の前記照明部及び前記撮像部が、前記車体から離れ、かつ、前記車体を挟んだ第一の面側と第二の面側にそれぞれ位置する、
車体検査装置。
<2> 前記第一の面側に位置する前記照明部から出射し、前記第二の面側に位置する前記撮像部に入射する光の光路は、前記車体における、前記第一の面側の端部と前記第二の面側の端部との間の長さより長い、前記<1>に記載の車体検査装置。
<3> 前記撮像部は、前記被検査面に対して平行移動するシフトレンズを備える、前記<1>又は前記<2>に記載の車体検査装置。
<4> 前記被検査面は、前記車体が搬送される搬送方向に垂直な、前記車体のリア面又はボンネット面である、前記<1>から前記<3>のいずれか1つに記載の車体検査装置。
<5> 複数の前記照明部と、
複数の前記撮像部と、
を備え、
前記車体が搬送される搬送方向と交差する方向に延びる複数の前記被検査面のうちの第1の被検査面を、複数の前記照明部のうちの第1照明部で照明し、前記第1照明部で照明された前記第1の被検査面を、複数の前記撮像部のうちの第1撮像部で撮像し、
複数の前記被検査面のうちの第2の被検査面を、複数の前記照明部のうちの第2照明部で照明し、前記第2照明部で照明された前記第2の被検査面を、複数の前記撮像部のうちの第2撮像部で撮像する、
前記<1>から前記<4>のいずれか1つに記載の車体検査装置。
<6> 少なくとも一組の照明部及び撮像部が、搬送される車体と離れ、かつ、前記車体を挟んだ第一の面側と第二の面側にそれぞれ位置するよう、前記照明部及び前記撮像部を設置し、
前記照明部を用いて、車体の被検査面を照明し、
前記撮像部を用いて、前記照明部によって照明された前記被検査面を撮像し、
前記撮像部で撮像された前記被検査面の欠陥を検出する、車体検査方法。
【符号の説明】
【0109】
1,1A,1B,1C,1D 車体検査装置
10 照明部
10a~10d 第1照明部~第4照明部
20 撮像部
20a~20d 第1撮像部~第4撮像部
30 欠陥検出部
40 制御部
50 車体検知部
100 車体
200 搬送部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0110】
【特許文献1】特開2014-81356号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13