(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132812
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】基板処理装置及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
C23C 16/52 20060101AFI20240920BHJP
C23C 16/458 20060101ALI20240920BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240920BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
C23C16/52
C23C16/458
H01L21/31 B
H01L21/68 P
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023166150
(22)【出願日】2023-09-27
(31)【優先権主張番号】10-2023-0033438
(32)【優先日】2023-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0111714
(32)【優先日】2023-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】316008145
【氏名又は名称】ウォニク アイピーエス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】WONIK IPS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】75,Jinwisandan-ro,Jinwi-myeon,Pyeongtaek-si,Gyeonggi-do,17709,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハン、チェ チン
(72)【発明者】
【氏名】パク、クン ウ
(72)【発明者】
【氏名】パク、ウ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ、スン ファン
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5F131
【Fターム(参考)】
4K030EA03
4K030EA04
4K030EA06
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4K030GA02
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4K030LA18
5F045AA06
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5F131EB02
5F131EB67
5F131EB81
5F131EB89
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ALDウィンドウがオーバーラップしない異種の前駆体を使用する場合、工程時間を短縮することができ、薄膜の厚さの散布が均一な基板処理装置及びこれを用いた基板処理方法を提供する。
【解決手段】基板処理装置は、内部に反応空間が形成された工程チャンバと;サセプタプレート、前記サセプタプレートの上面に形成される複数の真空孔、及び前記複数の真空孔を通じて外部に備えられたポンプと連結される真空ラインを備え、複数の基板を支持するように前記反応空間に設置された基板支持部と;前記反応空間に工程ガスを噴射するように、前記基板支持部に対向し、放射状に配置される複数のガス噴射ユニットを含むガス噴射部と;前記ガス噴射部を介して供給されるガスの種類に応じて前記基板の固定力(chucking force)を調節する制御部と;を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に反応空間が形成された工程チャンバと、
サセプタプレート、前記サセプタプレートの上面に形成される複数の真空孔、及び前記複数の真空孔を通じて外部に備えられたポンプと連結される真空ラインを備え、複数の基板を支持するように前記反応空間に設置された基板支持部と、
前記反応空間に工程ガスを噴射するように、前記基板支持部に対向し、放射状に配置される複数のガス噴射ユニットを含むガス噴射部と、
前記ガス噴射部を介して供給されるガスの種類に応じて前記基板の固定力(chucking force)を調節する制御部とを含む、基板処理装置。
【請求項2】
前記制御部において、
前記ガス噴射部を介して供給されるガスの種類に応じて、前記サセプタプレートの真空度を調節する弁をオン(on)又はオフ(off)状態に動作させて前記基板の固定力を制御することによって、前記基板の温度を調節する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記制御部において、
前記ガス噴射部を介して第1ガスを供給する前に、前記サセプタプレートの真空度を調節する弁をオン状態に動作させる、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記制御部において、
前記ガス噴射部を介して第2ガスを供給する前に、前記サセプタプレートの真空度を調節する弁をオフ状態に動作させる、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記制御部において、
前記ガス噴射部のガス供給弁を動作させて前記工程チャンバの内部に噴射されるガスの量を調節して前記基板の固定力を制御することによって、前記基板の温度を調節する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記サセプタプレートは、複数のガス供給孔をさらに含む、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記制御部において、
前記複数のガス供給孔を介してパージガスを供給して前記基板の固定力を制御することによって、前記基板の温度を調節する、請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
内部に反応空間が形成された工程チャンバと、
サセプタプレート、前記サセプタプレートの上面に形成される複数の真空孔、及び前記複数の真空孔を通じて外部に備えられたポンプと連結される真空ラインを備え、複数の基板を支持するように前記反応空間に設置された基板支持部と、
前記反応空間に工程ガスを噴射するように、前記基板支持部に対向し、放射状に配置される複数のガス噴射ユニットを含むガス噴射部と、
前記ガス噴射部を介して供給されるガスの種類に応じて前記基板の固定力(chucking force)を調節する制御部と、
を含む基板処理装置を用いた基板処理方法であって、
前記基板を前記工程チャンバに装入して、前記基板支持部上に載置させるステップと、
前記反応空間に噴射されるガスの種類に応じて、前記基板の固定力を制御しながら前記基板上に薄膜を形成するステップとを含む、基板処理方法。
【請求項9】
前記薄膜を形成するステップにおいて、
前記ガス噴射部を介して第1ガスを供給する前に、パージガスを供給しながら、前記サセプタプレートの真空度を調節する弁をオン(on)状態に動作させて前記基板の固定力を制御することによって、前記基板の温度を調節する、請求項8に記載の基板処理方法。
【請求項10】
前記薄膜を形成するステップにおいて、
前記ガス噴射部を介して第2ガスを供給する前に、パージガスを供給しながら、前記サセプタプレートの真空度を調節する弁をオフ(off)状態に動作させて前記基板の固定力を制御することによって、前記基板の温度を調節する、請求項8に記載の基板処理方法。
【請求項11】
前記薄膜を形成するステップにおいて、
前記ガス噴射部を介して第3ガスを供給する前に、パージガスを供給しながら、前記サセプタプレートの真空度を調節する弁をオン又はオフ状態に動作させるものの、前記ガス噴射部のガス供給弁を動作させて前記工程チャンバの内部に噴射されるガスの量を調節して前記基板の固定力を制御することによって、前記基板の温度を調節する、請求項8に記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記薄膜を形成するステップにおいて、
前記ガス噴射部を介して第3ガスを供給する前に、パージガスを供給しながら、前記サセプタプレートの真空度を調節する弁をオン又はオフ状態に動作させるものの、前記サセプタプレートに備えられた複数のガス供給孔を介してパージガスを供給して前記基板の固定力を制御することによって、前記基板の温度を調節する、請求項8に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理するための装置及び方法に関し、より詳細には、基板処理装置及びこれを用いた基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体素子やディスプレイ素子、あるいは太陽電池を製造するためには、真空雰囲気の工程チャンバを含む基板処理装置で各種工程が行われる。例えば、工程チャンバ内に基板をロードし、基板上に薄膜を蒸着するか、または薄膜をエッチングするなどの工程が行われ得る。基板は、工程チャンバ内に設置された基板支持アセンブリによって支持され、基板支持アセンブリと対向するように設置されたガス噴射部を介して工程ガスを基板に噴射することができる。
【0003】
このような基板処理装置において、ALDウィンドウ(window)がオーバーラップ(overlap)しない異種の前駆体の使用時に、一つの工程温度を用いて薄膜を蒸着する。一つの工程温度の条件で、ALDウィンドウを満たさない前駆体の使用時に、一部がCVD(Chemical Vapor Deposition)領域で蒸着され、前記前駆体に対する薄膜の厚さの散布が悪い。薄膜の厚さの散布を一定にするために、ALD薄膜蒸着工程の進行中にヒータのセッティング温度(heater setting temperature)を変更する技術を適用している。
【0004】
しかし、工程中にヒータのセッティング温度を変更する場合、チャンバ(chamber)の大きさによる熱容量により、ヒータのセッティング温度の変更後に安定化まで約1時間以上かかるため、ALDウィンドウを満たす工程の進行時に工程時間が非常に長くなるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような問題点を含めて種々の問題点を解決するためのものであって、ALDウィンドウがオーバーラップしない異種の前駆体を使用する場合、工程時間を短縮することができ、薄膜の厚さの散布が均一な基板処理装置及びこれを用いた基板処理方法を提供することを目的とする。しかし、このような課題は例示的なものであって、これによって本発明の範囲が限定されるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の一実施例に係る基板処理装置は、内部に反応空間が形成された工程チャンバと;サセプタプレート、前記サセプタプレートの上面に形成される複数の真空孔、及び前記複数の真空孔を通じて外部に備えられたポンプと連結される真空ラインを備え、複数の基板を支持するように前記反応空間に設置された基板支持部と;前記反応空間に工程ガスを噴射するように、前記基板支持部に対向し、放射状に配置される複数のガス噴射ユニットを含むガス噴射部と;前記ガス噴射部を介して供給されるガスの種類に応じて前記基板の固定力(chucking force)を調節する制御部と;を含む。
【0007】
前記基板処理装置によれば、前記制御部において、前記ガス噴射部を介して供給されるガスの種類に応じて、前記サセプタプレートの真空度を調節する弁をオン(on)又はオフ(off)状態に動作させて前記基板の固定力を制御することによって、前記基板の温度を調節することができる。
【0008】
前記基板処理装置によれば、前記制御部において、前記ガス噴射部を介して第1ガスを供給する前に、前記サセプタプレートの真空度を調節する弁をオン状態に動作させることができる。
【0009】
前記基板処理装置によれば、前記制御部において、前記ガス噴射部を介して第2ガスを供給する前に、前記サセプタプレートの真空度を調節する弁をオフ状態に動作させることができる。
【0010】
前記基板処理装置によれば、前記制御部において、前記ガス噴射部のガス供給弁を動作させて前記工程チャンバの内部に噴射されるガスの量を調節して前記基板の固定力を制御することによって、前記基板の温度を調節することができる。
【0011】
前記基板処理装置によれば、前記サセプタプレートは、複数のガス供給孔をさらに含むことができる。
【0012】
前記基板処理装置によれば、前記制御部において、前記複数のガス供給孔を介してパージガスを供給して前記基板の固定力を制御することによって、前記基板の温度を調節することができる。
【0013】
上記課題を解決するための本発明の他の態様に係る基板処理方法は、内部に反応空間が形成された工程チャンバと;サセプタプレート、前記サセプタプレートの上面に形成される複数の真空孔、及び前記複数の真空孔を通じて外部に備えられたポンプと連結される真空ラインを備え、複数の基板を支持するように前記反応空間に設置された基板支持部と;前記反応空間に工程ガスを噴射するように、前記基板支持部に対向し、放射状に配置される複数のガス噴射ユニットを含むガス噴射部と;前記ガス噴射部を介して供給されるガスの種類に応じて前記基板の固定力(chucking force)を調節する制御部と;を含む基板処理装置を用いた基板処理方法であって、前記基板を前記工程チャンバに装入して、前記基板支持部上に載置させるステップと;前記反応空間に噴射されるガスの種類に応じて、前記基板の固定力を制御しながら前記基板上に薄膜を形成するステップと;を含む。
【0014】
前記基板処理方法によれば、前記薄膜を形成するステップにおいて、前記ガス噴射部を介して第1ガスを供給する前に、パージガスを供給しながら、前記サセプタプレートの真空度を調節する弁をオン(on)状態に動作させて前記基板の固定力を制御することによって、前記基板の温度を調節することができる。
【0015】
前記基板処理方法によれば、前記薄膜を形成するステップにおいて、前記ガス噴射部を介して第2ガスを供給する前に、パージガスを供給しながら、前記サセプタプレートの真空度を調節する弁をオフ(off)状態に動作させて前記基板の固定力を制御することによって、前記基板の温度を調節することができる。
【0016】
前記基板処理方法によれば、前記薄膜を形成するステップにおいて、前記ガス噴射部を介して第3ガスを供給する前に、パージガスを供給しながら、前記サセプタプレートの真空度を調節する弁をオン又はオフ状態に動作させるものの、前記ガス噴射部のガス供給弁を動作させて前記工程チャンバの内部に噴射されるガスの量を調節して前記基板の固定力を制御することによって、前記基板の温度を調節することができる。
【0017】
前記基板処理方法によれば、前記薄膜を形成するステップにおいて、前記ガス噴射部を介して第3ガスを供給する前に、パージガスを供給しながら、前記サセプタプレートの真空度を調節する弁をオン又はオフ状態に動作させるものの、前記サセプタプレートに備えられた複数のガス供給孔を介してパージガスを供給して前記基板の固定力を制御することによって、前記基板の温度を調節することができる。
【発明の効果】
【0018】
前記のようになされた本発明の一実施例に係る基板処理装置及びこれを用いた基板処理方法によれば、ALDウィンドウがオーバーラップしない異種の前駆体を使用する場合、工程時間を短縮することができ、厚さの散布が均一な薄膜を形成することができる。もちろん、このような効果によって本発明の範囲が限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施例に係る基板処理装置200を示す概略的な断面図である。
【
図2】
図1に示された基板処理装置200内に配置された基板支持部230を概略的に示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る基板処理方法を示す概略的な図である。
【
図4】本発明の一実施例に係る基板処理方法を示す概略的な図である。
【
図5】本発明の比較例に係る基板処理方法を示す概略的な図である。
【
図6】本発明の比較例に係る基板処理方法を示す概略的な図である。
【
図7】本発明の一実施例に係る基板処理方法を用いた基板の温度変化を示すグラフである。
【
図8】本発明の比較例に係る基板処理方法を用いた基板の温度変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好ましい様々な実施例を詳細に説明する。
【0021】
本発明の実施例は、当該技術分野における通常の知識を有する者に本発明をさらに完全に説明するために提供されるものであり、下記の実施例は様々な他の形態に変形可能であり、本発明の範囲が下記の実施例に限定されるものではない。むしろ、これらの実施例は、本開示をさらに充実かつ完全にし、当業者に本発明の思想を完全に伝達するために提供されるものである。また、図面において各層の厚さや大きさは、説明の便宜及び明確性のために誇張されたものである。
【0022】
以下において、本発明の一実施例に係る基板処理装置200は、基板S上に薄膜を形成するための薄膜蒸着装置として用いられ得る。例えば、基板処理装置200は、原子層蒸着(atomic layer deposition、ALD)を用いた薄膜蒸着装置に用いられてもよい。一部の実施例において、基板処理装置200は、高温の工程が必要な薄膜蒸着装置に用いられてもよい。
【0023】
図1は、本発明の一実施例に係る基板処理装置200を示す概略的な断面図であり、
図2は、
図1に示された基板処理装置200内に配置された基板支持部230を概略的に示す斜視図である。
【0024】
図1及び
図2を参照すると、本発明の一実施例に係る基板処理装置200は、工程チャンバ210、ガス噴射部220、基板支持部230、及び制御部270を含むことができる。
【0025】
工程チャンバ210は、内部に、基板Sを処理するための反応空間212を含むことができる。例えば、工程チャンバ210は、気密を維持するように構成され、反応空間212内の工程ガスを排出し、反応空間内の真空度を調節するように、少なくとも1つの排気ポート214を介して真空ポンプ(図示せず)に連結されてもよい。排気ポート214の少なくともある一部には、工程チャンバ210内の真空度を制御するために弁216が形成され得、弁216は、例えば、スロットル弁(throttle valve)の形態で形成され、スロットルボディー(throttle body)を通過する空気量を制御して真空の程度を制御することができる。
【0026】
工程チャンバ210は、様々な形状で提供されてもよく、例えば、反応空間212を限定する側壁部と、側壁部の上端に位置する蓋部とを含むことができる。さらに、工程チャンバ210は、基板Sの移動のために、側壁部に開閉可能なゲート(図示せず)を含むことができる。
【0027】
ガス噴射部220は、反応空間212に工程ガスを噴射するように工程チャンバ210に設置され得る。例えば、ガス噴射部220は、工程チャンバ210の外部から供給された工程ガスを反応空間212に噴射することができる。より具体的に説明すると、ガス噴射部220は、基板支持部230上に載置された基板Sに工程ガスを噴射するように、工程チャンバ210の上部にサセプタプレート110に対向するように設置され得る。
【0028】
一部の実施例において、ガス噴射部220は、複数のガス噴射ユニット222を含み、外部から工程ガスの供給を受けるために上層又は側部に形成された少なくとも1つの流入孔と、基板S上に工程ガスを噴射するための複数の噴射孔とを含むことができる。例えば、ガス噴射部220は、シャワーヘッド(shower head)の形態、ノズル(nozzle)の形態などの様々な形態を有することができる。
【0029】
より具体的に、ガス噴射部220は、基板支持部230の回転軸を中心に円軌道(circular orbit)で移動する基板Sが複数の処理ガス噴射領域を順次通過できるように、扇形状に形成され、それぞれソースガス、反応ガス及びパージガスのいずれか1つの処理ガスを噴射する複数のガス噴射ユニット222を含むことができる。
【0030】
例えば、複数のガス噴射ユニット222は、扇形状に形成され、ガス噴射面に複数個のガス噴射孔が形成されてソースガスを噴射するソースガス噴射ユニット222aと、扇形状に形成され、ガス噴射面に複数個のガス噴射孔が形成されて反応ガスを噴射する反応ガス噴射ユニット222bとを含むことができる。さらに、ソースガス噴射ユニット222aと反応ガス噴射ユニット222bとの間には、パージガスを噴射するパージガス噴射ユニット(図示せず)を含むことができる。
【0031】
基板支持部230は、基板Sを支持するように、ガス噴射部220に対向して工程チャンバ210に設置され得る。例えば、基板支持部230は、工程チャンバ210に昇降及び/又は回転可能に設置されてもよい。基板支持部230は、サセプタプレート110及びシャフト160を含むことができる。基板支持部230は、基板支持アセンブリと呼ばれてもよい。
【0032】
一部の実施例において、基板支持部230は、シャフト160の昇降及び/又は回転時に工程チャンバ210の気密が維持され得るように、ベローズ構造(図示せず)を用いて工程チャンバ210に結合されてもよい。
【0033】
サセプタプレート110は、基板Sの載置のための少なくとも1つの載置溝120を含むことができる。例えば、載置溝120は、サセプタプレート110にポケット溝の形状で提供されてもよい。載置溝120は、サセプタプレート110に複数個形成され得る。例えば、載置溝120は、サセプタプレート110の大きさ及び処理速度を考慮して適切な個数で形成されてもよく、
図1に示された個数に制限されずに、適切な個数で提供されてもよい。
【0034】
基板支持部230は、例えば、真空チャック(vacuum chuck)であってもよく、サセプタプレート110の上面に形成される複数の真空孔112と、真空孔112を通じて外部に備えられたポンプ280と連結される真空ライン162とを含む。例えば、基板Sは、サセプタプレート110上に載置され、複数の真空孔112によって調節される真空度によって固定され得る。一般に、工程の進行中に前記真空度は常時維持されるが、本発明では、ALDウィンドウがオーバーラップ(overlap)しない2つの異種前駆体を使用する場合、工程ガスの種類に応じて真空度を制御して、基板Sの工程温度を調節することができる。以下で、
図3乃至
図6を参照して、基板Sの工程温度の調節方法について具体的に後述する。
【0035】
一部の実施例において、サセプタプレート110には、基板Sの安定した固定のために、サセプタプレート110の上面及び載置溝120に連結される真空ライン162が形成され、サセプタプレート110の上面の載置溝120には、このような真空ライン162と連結された排出口(複数の真空孔112)が形成され得る。
【0036】
シャフト160はサセプタプレート110に結合され得る。例えば、シャフト160は、サセプタプレート110の底面又は中央に結合されて下方に延長されてもよい。さらに、シャフト160は、基板Sが公転できるように回転し、さらに、基板Sを上下移動させることができるように昇降可能であり得る。例えば、シャフト160には駆動装置(図示せず)が結合され得、この駆動装置によって、シャフト160は回転または上下移動することができる。シャフト160が回転又は上下移動することによって、サセプタプレート110も回転又は上下移動することができる。
【0037】
複数のリフトピン148は、サセプタプレート110を貫通して連結され得る。例えば、リフトピン148は下端が支持され、リフトピン148によって、サセプタプレート110が上昇又は下降することによって、サセプタプレート110の位置が調節され得る。
【0038】
工程チャンバ210内のサセプタプレート110の下には、基板Sを加熱するためのヒータ255が配置され得る。例えば、ヒータ255は、加熱熱線、カートリッジヒータなどの様々な加熱源を含むことができ、複数個配置されてもよい。さらに、工程チャンバ210内のサセプタプレート110の下には、ヒータ255の側部を取り囲むハウジングボディー251、及びハウジングボディー251上に支持される石英板253が配置され得る。例えば、ハウジングボディー251は、その中心部にシャフト160が通過するように、中心部が空いているドーナツ状を有することができる。さらに、ハウジングボディー251は、工程チャンバ210の底面に支持され得る。
【0039】
図示してはいないが、シャフト160の下降によりサセプタプレート110が下降する際に、リフトピン148は石英板253上で支持され得る。基板Sが、リフトピン148に載置された状態でサセプタプレート110の上に上昇することができる。その後、基板Sが移送ロボット(図示せず)によってリフトピン148から離脱され得る。
【0040】
反対に、基板Sを工程チャンバ210にロードする際には、リフトピン148がサセプタプレート110の上に上昇した状態で、移送ロボット(図示せず)によって基板Sがリフトピン148上に載置され得る。その後、サセプタプレート110が上昇し、基板Sがサセプタプレート110上に載置され得る。
【0041】
シャフト160には、サセプタプレート110に形成された真空ライン162が形成され得る。シャフト160に沿って形成された真空ライン162の少なくともある一部には弁164が形成されることで、工程の進行中に、弁164の制御のみで簡単に基板Sの固定力(chucking force)を制御することができる。弁164は、例えば、スロットル弁(throttle valve)の形態で形成され、スロットルボディー(throttle body)を通過する空気量を制御して真空の程度を制御することができる。または、真空ライン162と弁164との間に別途のスロットル弁(図示せず)を連結して基板Sの固定力を制御することもできる。
【0042】
また、基板処理装置200は制御部270を含む。制御部270では、ガス噴射部220を介して供給されるガスの種類に応じて、基板Sの固定力(chucking force)を調節することができる。以下で、制御部270の動作及びこれによる基板処理方法について、
図3乃至
図8を参照して説明する。
【0043】
図3及び
図4は、本発明の一実施例に係る基板処理方法を示す概略的な図であり、
図5及び
図6は、本発明の比較例に係る基板処理方法を示す概略的な図であり、
図7は、本発明の一実施例に係る基板処理方法を用いた基板の温度変化を示すグラフであり、
図8は、本発明の比較例に係る基板処理方法を用いた基板の温度変化を示すグラフである。
【0044】
図1及び
図3を参照すると、本発明の制御部270は、ガス噴射部220を介して供給される工程ガスの種類に応じて、基板支持部230の真空度を調節する弁164をオン(on)又はオフ(off)状態に動作させることで、基板Sの固定力を制御することができる。具体的に、ガス噴射部220を介して、第1ALDウィンドウを有する第1前駆体(プレカーサー)ガスを供給する前、すなわち、基板Sが基板支持部230上に載置されると、サセプタプレート110の真空度を調節する弁164をオン(on)状態に動作させた後、基板S上に第1薄膜を蒸着することができる。
【0045】
第1前駆体ガスと異なる、第2ALDウィンドウを有する第2前駆体(プレカーサー)ガスを供給する前に、サセプタプレート110の真空度を調節する弁164をオフ(off)状態に動作させた後、安定化が終了すると、第1薄膜が蒸着された基板S上に第2薄膜を蒸着することができる。サセプタプレート110の真空度を調節する弁164をオフ(off)状態に制御するとき、ガス噴射部220を介して工程チャンバ210内にパージガス(purge gas)を供給することができる。
【0046】
上述したように、互いに異なるALDウィンドウを有する工程ガスの種類に応じて、真空チャックの真空度を調節する弁164を制御することによって、簡単に基板Sの温度制御の効果を得ることができる。
【0047】
図1、
図4の(a)及び(b)を参照すると、ヒータ255のセッティング温度を異ならせて制御していない状態で、第2薄膜が蒸着された後に再び第1前駆体ガスを供給する前に、サセプタプレート110の真空度を調節する弁164をオン(on)状態に動作させた後、第2薄膜上に第1薄膜を蒸着することができる。サセプタプレート110の真空度を調節する弁164をオン(on)状態に制御するとき、ガス噴射部220を介して工程チャンバ210内にパージガス(purge gas)を供給することができる。
【0048】
反面、
図5を参照すると、基板Sの固定力(chucking force)を制御しない場合、工程ガスの種類に応じて、ヒータ255のセッティング温度を適切に調節して、基板Sの温度をALDウィンドウ領域内に入るように制御しなければならない。この場合、
図6の(a)及び(b)に示されたように、第1プレカーサー薄膜と第2プレカーサー薄膜をそれぞれ蒸着するために、ヒータ255のセッティング温度の安定化時間がそれぞれ1時間以上ずつかかる。
【0049】
例えば、
図7及び
図8を参照すると、ALDウィンドウが重畳しない工程ガスの種類をそれぞれ供給する際に、簡単に真空チャックの真空度を制御するだけでも、ヒータ255のセッティング温度を一定に維持できるので、従来と比較して、相対的にさらに早く安定化時間が短縮される効果(従来の1時間以上から3分以内に短縮)を得ることができる。例えば、サセプタプレート110上に形成された複数の真空孔112により、基板Sにヒータ255から伝達される熱が均一に伝達されない。ヒータ255のセッティング温度が変化する場合、基板Sの温度安定化時間が長時間かかる。このとき、サセプタプレート110の真空度の制御のみでも、基板Sの下部面とサセプタプレート110との間の離隔空間にパージガスが移動できるので、対流現象による基板Sの温度安定化時間が短縮される。
【0050】
他の例として、サセプタプレート110の真空度の制御と共に、ガス噴射部220のガス供給弁(図示せず)を動作させて、工程チャンバ210の内部に噴射されるパージガスの量を制御することによって、基板Sの固定力を制御することができる。パージガスは、ガス噴射部220を介して供給され得るが、基板Sの下部面とサセプタプレート110の上面との間の対流現象による基板温度安定化のために、サセプタプレート110の上面に別途に形成された複数のガス供給孔(図示せず)を介してパージガスを供給することもできる。この場合、真空ライン162とバイパス形態で連結されて、基板Sの固定力を制御する用途でパージガスの量を適切に制御することができる。
【0051】
サセプタプレート110の真空度の制御以外に、基板Sの下部面や基板Sの上面上に供給されるパージガスの量を制御すれば、ALDウィンドウが互いに異なる3つ以上の前駆体(プレカーサー)ガスを用いた蒸着方式にも適用可能である。パージガスの量は、ガス噴射部220と連結されたガス制御部270、例えば、MFCなどのような別途のガス制御装置を用いて制御可能である。
【0052】
例えば、第1前駆体ガスと第2前駆体ガスを用いて、基板S上に第1薄膜と第2薄膜を順次蒸着した後に、ガス噴射部220を介して第3ガスを供給する前に、パージガスを供給しながら、サセプタプレート110の真空度を調節する弁164をオン(on)又はオフ(off)状態に動作させることができる。このとき、パージガスの量を制御することによって、基板Sの固定力を制御し、基板Sの温度安定化後に、第3前駆体ガスを供給しながら第2薄膜上に第3薄膜を蒸着することができる。上述した方式を活用して、制御部270において、互いに異なるALDウィンドウ領域を有する前駆体ガスの種類に応じて、様々な方式を組み合わせて基板Sの固定力を調節することができる。
【0053】
本発明は、図面に示された実施例を参考にして説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、これから様々な変形及び均等な他の実施例が可能であるということが理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的な保護範囲は、添付の特許請求の範囲の技術的思想によって定められなければならない。
【符号の説明】
【0054】
110 サセプタプレート
120 載置溝
160 シャフト
200 基板処理装置
210 工程チャンバ
220 ガス噴射部
230 基板支持部
270 制御部
280 ポンプ