IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社リコーの特許一覧

特開2024-132854定着装置、画像形成装置及び検査方法
<>
  • 特開-定着装置、画像形成装置及び検査方法 図1
  • 特開-定着装置、画像形成装置及び検査方法 図2
  • 特開-定着装置、画像形成装置及び検査方法 図3
  • 特開-定着装置、画像形成装置及び検査方法 図4
  • 特開-定着装置、画像形成装置及び検査方法 図5
  • 特開-定着装置、画像形成装置及び検査方法 図6
  • 特開-定着装置、画像形成装置及び検査方法 図7
  • 特開-定着装置、画像形成装置及び検査方法 図8
  • 特開-定着装置、画像形成装置及び検査方法 図9
  • 特開-定着装置、画像形成装置及び検査方法 図10
  • 特開-定着装置、画像形成装置及び検査方法 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132854
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】定着装置、画像形成装置及び検査方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
G03G15/20 505
G03G15/20 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023209366
(22)【出願日】2023-12-12
(31)【優先権主張番号】P 2023043146
(32)【優先日】2023-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】岩間 元孝
(72)【発明者】
【氏名】吉浦 有信
(72)【発明者】
【氏名】中本 尚吾
(72)【発明者】
【氏名】長谷 岳誠
(72)【発明者】
【氏名】山下 賢太郎
(72)【発明者】
【氏名】井上 大輔
【テーマコード(参考)】
2H033
【Fターム(参考)】
2H033AA35
2H033BA11
2H033BA12
2H033BA26
2H033BB05
2H033BB06
2H033BB14
2H033BB15
2H033BB21
2H033BB29
2H033BB30
2H033BB33
2H033BB34
2H033BC03
(57)【要約】
【課題】定着装置に用いられる薄く平滑性の高い反射部材などの部品についてコストを抑えながら検査できる定着装置を提供する。
【解決手段】定着部材106と、加圧部材107と、加熱源101とを有する。第一部材と第二部材を有する複合部材が前記定着部材の内周側に備えられる。前記第二部材は、前記第一部材に取り付けられ、前記第一部材と前記第二部材は、光沢度の差を有する。前記複合部材内に光沢度を測る領域となる検査領域があり、前記検査領域の光沢度に基づいて前記検査領域の表面に前記一部材又は前記第二部材のどちらが存在しているのかが識別され、この識別結果に基づいて当該定着装置が所望の定着構成になっていることが識別される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に構成され記録媒体の未定着画像を定着させる定着部材と、前記定着部材を外周側で加圧する加圧部材と、前記定着部材の内周側に設けられ、前記定着部材を加熱する加熱源とを有する定着装置であって、
第一部材と第二部材を有する複合部材が前記定着部材の内周側に備えられ、
前記第二部材は、前記第一部材に取り付けられ、
前記第一部材と前記第二部材は、光沢度の差を有し、
前記複合部材内に光沢度を測る領域となる検査領域があり、前記検査領域の光沢度に基づいて前記検査領域の表面に前記一部材又は前記第二部材のどちらが存在しているのかが識別され、この識別結果に基づいて当該定着装置が所望の定着構成になっていることが識別される
ことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
画像形成装置に備えられる定着装置であって、
当該定着装置が備えられる前記画像形成装置の候補は、第1画像形成装置と、第2画像形成装置とがあり、
前記第2画像形成装置は、前記第1画像形成装置よりも印刷速度が速く、前記第1画像形成装置と前記第2画像形成装置の最高印刷速度の差は5枚/分以上であり、
前記検査領域の光沢度に基づいて前記検査領域の表面に前記一部材又は前記第二部材のどちらが存在しているのかが識別され、この識別結果に基づいて当該定着装置が所望の画像形成装置に備えられていることが識別される
ことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記第一部材は、ニップ形成部材を支持する支持部材であり、
前記ニップ形成部材は、前記定着部材を介して前記加圧部材と当接し、ニップ部を形成し、
前記第二部材は、前記定着部材の内周側に設けられ、前記加熱源から放射される輻射熱を反射する反射部材である
ことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項4】
前記第二部材は、前記加熱源からの輻射熱が照射される第一の面と、前記第一部材への固定に用いられる第二の面と、を有し、
前記検査領域は、前記第二の面に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項5】
前記第二部材は、前記加熱源からの輻射熱が照射される第一の面と、前記第一部材への固定に用いられる第二の面と、を有し、
前記第一部材に取り付けるために用いられる固定部材用穴が前記第二の面に設けられており、
前記検査領域は、前記第二の面に設けられており、
当該定着装置が前記第1画像形成装置に備えられる場合には、前記第二部材における前記固定部材用穴と連結した開口部に前記検査領域が位置せず、
当該定着装置が前記第2画像形成装置に備えられる場合には、前記第二部材における前記固定部材用穴と連結した開口部に前記検査領域が位置する
ことを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
【請求項6】
前記第二部材は、前記加熱源からの輻射熱が照射される第一の面と、前記第一部材への固定に用いられる第二の面と、を有し、
前記第一部材に取り付けるために用いられる位置決め用穴が前記第二の面に設けられており、
前記検査領域は、前記第二の面に設けられており、
当該定着装置が前記第1画像形成装置に備えられる場合には、前記第二部材における前記位置決め用穴と連結した開口部に前記検査領域が位置せず、
当該定着装置が前記第2画像形成装置に備えられる場合には、前記第二部材における前記固定部材用穴と連結した開口部に前記検査領域が位置する
ことを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の定着装置を備えた
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
回転可能に構成され記録媒体の未定着画像を定着させる定着部材と、前記定着部材を外周側で加圧する加圧部材と、前記定着部材の内周側に設けられ、前記定着部材を加熱する加熱源とを有する定着装置の検査方法であって、
第一部材と第二部材を有する複合部材が前記定着部材の内周側に備えられ、
前記第二部材は、前記第一部材に取り付けられ、
前記第一部材と前記第二部材は、光沢度の差を有し、
前記複合部材内における光沢度を測る領域となる検査領域に対して、前記検査領域の光沢度に基づいて前記検査領域の表面に前記一部材又は前記第二部材のどちらが存在しているのかを識別し、この識別結果に基づいて当該定着装置が所望の定着構成になっていることを識別する工程を含む
ことを特徴とする定着装置の検査方法。
【請求項9】
前記検査領域の光沢度を測定する光沢度測定工程を含み、
前記光沢度測定工程は、検査治具を用いて行い、
前記検査治具は、前記検査領域に対して入射した光と、反射した光との強度差に基づいて光沢度を求める
ことを特徴とする請求項8に記載の定着装置の検査方法
【請求項10】
回転可能に構成され記録媒体の未定着画像を定着させる定着部材と、前記定着部材を外周側で加圧する加圧部材と、前記定着部材の内周側に設けられ、前記定着部材を加熱する加熱源とを有する定着装置に備えられる複合部材の検査方法であって、
前記複合部材は、第一部材と第二部材を有し、
前記第二部材は、前記第一部材に取り付けられ、
前記第一部材と前記第二部材は、光沢度の差を有し、
前記複合部材内における光沢度を測る領域となる検査領域に対して、前記検査領域の光沢度に基づいて前記検査領域の表面に前記一部材又は前記第二部材のどちらが存在しているのかを識別し、この識別結果に基づいて当該複合部材が所望の構成になっていることを識別する工程を含む
ことを特徴とする複合部材の検査方法。
【請求項11】
前記検査領域の光沢度を測定する光沢度測定工程を含み、
前記光沢度測定工程は、検査治具を用いて行い、
前記検査治具は、前記検査領域に対して入射した光と、反射した光との強度差に基づいて光沢度を求める
ことを特徴とする請求項10に記載の複合部材の検査方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置、画像形成装置及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置では、定着ベルトと定着ベルトに対向する加圧部材とを有する定着装置を用いることが知られている。このような定着装置では、定着ベルトと加圧部材とでニップ部(定着ニップ)を形成し、ニップ部に記録媒体を通過させて定着を行う。
【0003】
特許文献1では、回転体(定着ベルト)、ニップ形成部材、発熱体、反射部材を備えた定着装置が開示されている。反射部材は、発熱体から放射される輻射熱を反射面で反射する。また、特許文献1の定着装置は、反射部材取り付け手段を有している。特許文献1によれば、ニップ形成部材に撓みが生じても、反射部材の反射形状によって定着ベルトを効率よく加熱する作用を維持することができるとしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、定着装置に用いられる薄く平滑性の高い反射部材などの部品について取り付けられた部品の検査を行う場合、部品に専用の加工を施したり、検査装置を高価なものを用いたりする必要があり、コストが増えるという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、定着装置に用いられる薄く平滑性の高い反射部材などの部品についてコストを抑えながら検査できる定着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の定着装置は、
回転可能に構成され記録媒体の未定着画像を定着させる定着部材と、前記定着部材を外周側で加圧する加圧部材と、前記定着部材の内周側に設けられ、前記定着部材を加熱する加熱源とを有する定着装置であって、
第一部材と第二部材を有する複合部材が前記定着部材の内周側に備えられ、
前記第二部材は、前記第一部材に取り付けられ、
前記第一部材と前記第二部材は、光沢度の差を有し、
前記複合部材内に光沢度を測る領域となる検査領域があり、前記検査領域の光沢度に基づいて前記検査領域の表面に前記一部材又は前記第二部材のどちらが存在しているのかが識別され、この識別結果に基づいて当該定着装置が所望の定着構成になっていることが識別される
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、定着装置に用いられる薄く平滑性の高い反射部材などの部品についてコストを抑えながら検査できる定着装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る画像形成装置の一例を示す概略図である。
図2】本発明に係る定着装置の一例を示す概略図である。
図3】反射部材と支持部材の一例を示す概略図である。
図4】従来の検査方法の一例を示す概略図(A)~(C)である。
図5】検査領域の一例を説明するための図(A)及び(B)である。
図6】検査領域の他の例を説明するための図(A)及び(B)である。
図7】検査領域の他の例を説明するための図(A)及び(B)である。
図8】情報処理システムの一例を示す概略図である。
図9】光沢度測定の一例を示す概略図である。
図10】光の反射の一例を説明するための概略図である。
図11】判定の一例を示すフローである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る定着装置、画像形成装置及び検査方法について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0010】
本発明の定着装置は、
回転可能に構成され記録媒体の未定着画像を定着させる定着部材と、前記定着部材を外周側で加圧する加圧部材と、前記定着部材の内周側に設けられ、前記定着部材を加熱する加熱源とを有する定着装置であって、
第一部材と第二部材を有する複合部材が前記定着部材の内周側に備えられ、
前記第二部材は、前記第一部材に取り付けられ、
前記第一部材と前記第二部材は、光沢度の差を有し、
前記複合部材内に光沢度を測る領域となる検査領域があり、前記検査領域の光沢度に基づいて前記検査領域の表面に前記一部材又は前記第二部材のどちらが存在しているのかが識別され、この識別結果に基づいて当該定着装置が所望の定着構成になっていることが識別される
ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の画像形成装置は、本発明の定着装置を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の検査方法は、
回転可能に構成され記録媒体の未定着画像を定着させる定着部材と、前記定着部材を外周側で加圧する加圧部材と、前記定着部材の内周側に設けられ、前記定着部材を加熱する加熱源とを有する定着装置の検査方法であって、
第一部材と第二部材を有する複合部材が前記定着部材の内周側に備えられ、
前記第二部材は、前記第一部材に取り付けられ、
前記第一部材と前記第二部材は、光沢度の差を有し、
前記複合部材内における光沢度を測る領域となる検査領域に対して、前記検査領域の光沢度に基づいて前記検査領域の表面に前記一部材又は前記第二部材のどちらが存在しているのかを識別し、この識別結果に基づいて当該定着装置が所望の定着構成になっていることを識別する工程を含む
ことを特徴とする。
【0013】
また、本発明では、複合部材の検査方法が提供される。
本発明の複合部材の検査方法は、
回転可能に構成され記録媒体の未定着画像を定着させる定着部材と、前記定着部材を外周側で加圧する加圧部材と、前記定着部材の内周側に設けられ、前記定着部材を加熱する加熱源とを有する定着装置に備えられる複合部材の検査方法であって、
前記複合部材は、第一部材と第二部材を有し、
前記第二部材は、前記第一部材に取り付けられ、
前記第一部材と前記第二部材は、光沢度の差を有し、
前記複合部材内における光沢度を測る領域となる検査領域に対して、前記検査領域の光沢度に基づいて前記検査領域の表面に前記一部材又は前記第二部材のどちらが存在しているのかを識別し、この識別結果に基づいて当該複合部材が所望の構成になっていることを識別する工程を含む
ことを特徴とする。
【0014】
本発明の定着装置及び画像形成装置は、定着装置に用いられる薄く平滑性の高い反射部材などの部品についてコストを抑えながら検査することができる。そのため、部品の組み間違え、位置ずれ等についてコストを抑えながら検査することができる。
また、本発明の検査方法によれば、部品の光沢度差を検出すればよいため、薄く、平滑性が高いリフレクタ等の部品が所望の定着装置や画像形成装置に備えられているかコストを抑えながら識別することができる。また、例えばリフレクタの非機能面に設けられたねじ止め用の開口や位置決め用の開口を拡張し、部品の光沢度差を検出する構成も可能であり、コストの増加を防止できる。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
ここで、本明細書中における「画像形成装置」には、プリンタ、複写機、ファクシミリ、印刷機、又は、これらのうちの二つ以上を組み合わせた複合機などが含まれる。また、以下の説明で使用する「画像形成」とは、文字及び図形などの意味を持つ画像を形成するだけでなく、パターンなどの意味を持たない画像を形成することも意味する。
【0016】
まず、図1を参照して、本実施形態に係る画像形成装置の全体構成及び動作について説明する。図示されるように、本実施形態に係る画像形成装置100は、画像形成部200、定着部300、記録媒体供給部400、記録媒体排出部500を備えている。画像形成部200は、用紙などのシート状の記録媒体に画像を形成する。定着部300は、記録媒体に画像を定着させる。記録媒体供給部400は、記録媒体を画像形成部200へ供給する。記録媒体排出部500は、記録媒体を装置外へ排出する。
【0017】
画像形成部200には、作像ユニットとしての4つのプロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkと、露光装置6と、転写装置8とが設けられている。露光装置6は、各プロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkが備える感光体2に静電潜像を形成する。転写装置8は、記録媒体に画像を転写する。
【0018】
各プロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの異なる色のトナー(現像剤)を収容している以外、基本的に同じ構成である。プロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkを区別なく説明する際には、プロセスユニット1とも表記することがある。
【0019】
各プロセスユニット1は、感光体2、帯電部材3、現像装置4、クリーニング部材5を備えている。
感光体2は、像担持体の一例であり、表面に画像を担持する。静電潜像担持体などと称されてもよい。形状は例えばドラム状である。
帯電部材3は、感光体2の表面を帯電させる。
現像装置4は、感光体2の表面に現像剤としてのトナーを供給してトナー画像を形成する。感光体2上に形成されるトナーの像は、可視像、トナー像などと称されてもよい。
クリーニング部材5は、感光体2の表面を清掃する。
【0020】
転写装置8は、中間転写ベルト11と、一次転写ローラ12と、二次転写ローラ13を備えている。中間転写ベルト11は、無端状のベルト部材であり、複数の支持ローラによって張架されている。一次転写ローラ12は、中間転写ベルト11の内側に4つ設けられている。各一次転写ローラ12が中間転写ベルト11を介して各感光体2に接触することにより、中間転写ベルト11と各感光体2との間に一次転写ニップが形成されている。二次転写ローラ13は、中間転写ベルト11の外周面に接触し、二次転写ニップを形成している。
【0021】
定着部300には、画像が転写された記録媒体を加熱し、定着を行う定着装置20が設けられている。定着装置20は、定着ベルト106、加圧ローラ107などを備えている。
定着ベルト106は、定着部材の一例であり、可撓性を有し、回転可能な無端状のベルトである。定着ベルト106は、記録媒体上の画像を加熱する。
加圧ローラ107は、加圧部材の一例であり、定着ベルト106に接触してニップ部(定着ニップなどと称してもよい)を形成する。
記録媒体がニップ部を通過することにより、画像が記録媒体に定着される。
【0022】
記録媒体供給部400には、給紙カセット14、給紙ローラ15が設けられている。給紙カセット14は、記録媒体としての用紙Pを収容する。給紙ローラ15は、給紙カセット14から用紙Pを送り出す。
【0023】
以下、記録媒体を用紙として説明するが、記録媒体は紙(用紙)に限定されない。記録媒体は、紙(用紙)だけでなく、OHPシート又は布帛、金属シート、プラスチックフィルム、あるいは炭素繊維にあらかじめ樹脂を含浸させたプリプレグシートなども含む。また、用紙には、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙及びアート紙など)、トレーシングペーパなども含まれる。
【0024】
記録媒体排出部500には、一対の排紙ローラ17、排紙トレイ18が設けられている。一対の排紙ローラ17は、用紙Pを画像形成装置外に排出する。排紙トレイ18は、排紙ローラ17によって排出された用紙Pを載置する。
【0025】
次に、画像形成装置100の印刷動作の一例について説明する。
画像形成装置100において印刷動作が開始されると、各プロセスユニット1の感光体2及び転写装置8の中間転写ベルト11が回転を開始する。また、給紙ローラ15が、回転を開始し、給紙カセット14から用紙Pが送り出される。送り出された用紙Pは、一対のタイミングローラ16に接触することにより静止し、用紙Pに転写される画像が形成されるまで用紙Pの搬送が一旦停止される。
【0026】
各プロセスユニット1においては、まず、帯電部材3によって、感光体2の表面が均一な高電位に帯電される。次いで、原稿読取装置によって読み取られた原稿の画像情報、あるいは端末からプリント指示されたプリント画像情報に基づいて、露光装置6が、各感光体2の表面(帯電面)を露光する。これにより、露光された部分の電位が低下して各感光体2の表面に静電潜像が形成される。
【0027】
そして、この静電潜像に対して現像装置4がトナーを供給し、各感光体2上にトナー画像が形成される。各感光体2上に形成されたトナー画像は、各感光体2の回転に伴って一次転写ニップ(一次転写ローラ12の位置)に達すると、回転する中間転写ベルト11上に順次重なり合うように転写される。かくして、中間転写ベルト11上にフルカラーのトナー画像が形成される。
【0028】
なお、各プロセスユニット1のいずれか一つを使用して単色画像を形成してもよいし、いずれか2つ又は3つのプロセスユニットを用いて2色又は3色の画像を形成してもよい。
【0029】
また、中間転写ベルト11へトナー画像が転写された後は、クリーニング部材5によって各感光体2上の残留トナーなどが除去される。
【0030】
中間転写ベルト11上に転写されたトナー画像は、中間転写ベルト11の回転に伴って二次転写ニップ(二次転写ローラ13の位置)へ搬送され、タイミングローラ16によって搬送されてきた用紙P上に転写される。
【0031】
その後、用紙Pは、定着装置20へと搬送される。用紙P上のトナー画像は、定着ベルト106と加圧ローラ107によって加熱及び加圧され、用紙Pに定着される。そして、用紙Pは、記録媒体排出部500へ搬送され、排紙ローラ17によって排紙トレイ18へ排出される。これにより、一連の印刷動作が終了する。
【0032】
図2は、本実施形態の定着装置20の一例を示す概略図である。
本実施形態の定着装置20は、例えば、ヒータ101、リフレクタ102、ステー103、ニップ形成部材104、定着ベルト106、加圧ローラ107、ベルト支持部材108、摺動シート110を備えている。
【0033】
定着ベルト106は、定着部材の一例であり、可撓性を有し、回転可能な無端状のベルトである。無端状のベルトをスリーブ状のベルトと称してもよい。定着ベルト106は、ベルト支持部材108により支持され、回転可能である。定着ベルト106の回転軸の方向は紙面と垂直な方向であり、回転軸方向、軸方向などとも称する。定着ベルト106は、その内部(ループ内)に配された加熱源としてのヒータ101の輻射熱によって加熱される。
【0034】
定着ベルト106としては、例えば、ニッケルやSUS等の金属材料やポリイミド等の樹脂材料で形成された内周側の基材と、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等で形成された外周側の離型層によって構成されている。基材と離型層の間に、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム、あるいはフッ素ゴム等のゴム材料で形成された弾性層を介在させてもよい。この弾性層の厚さを100μm程度にすれば、未定着トナーを押し潰して定着させるときに弾性層の弾性変形により、ベルト表面の微小な凹凸を吸収でき、光沢ムラの発生を回避できる。
【0035】
定着ベルト106は、全体として厚さ1mm以下に、直径20~40mmに設定されていることが好ましく、この場合、低熱容量化を図ることができる。そして、定着ベルト106を構成する基材、弾性層、離型層のそれぞれの厚さは、適宜変更可能であるが、例えば20~50μm、100~300μm、10~50μmの範囲に設定されていることが好ましい。更に低熱容量化を図るためには、望ましくは、定着ベルト106全体の厚さを0.2mm以下にするのがよく、更に望ましくは、0.16mm以下の厚さとするのがよく、直径は30mm以下とするのが望ましい。
【0036】
ベルト支持部材108は、例えば定着ベルト106を定着ベルト106の両端部で支持する。ベルト支持部材108は、ベルト保持部材などと称されてもよい。ベルト支持部材108は、例えば側板フランジを用いることができる。
【0037】
加圧ローラ107は、加圧部材の一例であり、定着ベルト106の外周面に当接している。また、加圧ローラ107は、定着ベルト106を挟んでニップ形成部材104と対向して設けられ、定着ベルト106とニップ部Nを形成する。加圧ローラ107は、例えば、芯金と、芯金の表面に設けられた発泡性シリコーンゴムやフッ素ゴム等から成る弾性層と、弾性層の表面に設けられたPFAやPTFE等から成る離型層によって構成することができる。例えば加圧手段のバネにより加圧ローラ107が定着ベルト106に押し付けられ、定着ベルト106と圧接する箇所では、加圧ローラ107の弾性層が押し潰されることで、所定幅のニップ部Nが形成される。なお、ニップ部Nは、定着ニップNなどと称してもよい。
【0038】
加圧ローラ107は、例えば、画像形成装置本体に設けられたモータ等の駆動源によって回転駆動するように構成されている。加圧ローラ107が回転駆動すると、その駆動力がニップ部Nで定着ベルト106に伝達され、定着ベルト106が従動回転するようになっている。定着ベルト106は定着ニップNで挟み込まれて回転し、ニップ部N以外では両端部に配された側板フランジにガイドされ、走行する。
【0039】
本実施形態では、加圧ローラ107を中実のローラとしているが、中空のローラであってもよい。その場合、加圧ローラ107の内部にハロゲンヒータ等の熱源を配設してもよい。弾性層はソリッドゴムでもよいが、加圧ローラの内部に熱源が無い場合は、スポンジゴムを用いてもよい。スポンジゴムの方が、断熱性が高まり定着ベルト106の熱が奪われにくくなるのでより望ましい。
【0040】
ニップ形成部材104は、定着ベルト106を介して加圧ローラ107と当接し、ニップ部Nを形成する。ニップ形成部材104としては、例えば樹脂パッドを用いることができる。
【0041】
ステー103は、支持部材の一例であり、ニップ形成部材104を支持する。
【0042】
摺動シート110は、ニップ形成部材104に接触して支持されている。また本例における摺動シート110は、ニップ形成部材104よりも加圧ローラ107側に配置されているが、これに限られない。例えば、摺動シート110がニップ形成部材104に巻き付けられる構成であってもよい。
【0043】
ヒータ101は、加熱源の一例であり、定着ベルト106の内部に配置され、定着ベルト106を加熱する。ヒータ101は、例えば輻射熱により定着ベルト106を加熱する。加熱源としては、例えば、ハロゲンヒータを用いることができ、その他にも、誘導加熱装置、抵抗発熱体、カーボンヒータ等であってもよい。図示するように、加熱源は複数であってもよい。
【0044】
用紙Pがニップ部Nを通過することで、用紙P上の未定着画像109が用紙Pに定着される。図中の白矢印は、用紙Pの搬送方向を模式的に示している。
【0045】
リフレクタ102は、反射部材の一例であり、ヒータ101(加熱源)の熱、例えば輻射熱を反射する。リフレクタ102は、ステー103と接触して設けられている。リフレクタ102を用いることにより、ヒータ101の定着ベルト106に対する加熱効率を上げることができる。リフレクタ102は、例えば金属部品であり、例えば、薄く、平滑性が高く、反射率が高く、光沢度が高い部品である。
【0046】
また、リフレクタ102を用いることにより、ヒータ101からの熱によりステー103が加熱されることによるエネルギー消費を抑制することができる。また、省エネ性の向上や復帰時間の短縮につながる。リフレクタ102は、反射率が高いことが好ましく、例えば反射率が90%以上であることが好ましい。
【0047】
図3は、複合部材の一例を示す平面概略図である。図3は、図2におけるリフレクタ102とステー103を図中のa方向から見た場合の概略図に相当するともいえるが、正確には、複合部材が定着ベルト106の内周側に組み込まれる前の状態を図示している。リフレクタ102は、例えば、ねじ130(固定部材)によりステー103に固定される。また、ステー103は、位置決め用の凸部131を有している。図3についての詳細は後述する。
【0048】
本実施形態では、ステー103とリフレクタ102を有する部分を例えば複合部材と称する。図3では、複合部材として符号120を付している。複合部材120は、定着ベルト106の内周側に備えられる。つまり、第二部材(例えばリフレクタ102)は、第一部材(ステー103)に取り付けられ、第一部材と第二部材を有する複合部材が定着部材の内周側に備えられる。
【0049】
従来、定着装置に用いられる部品、例えば複合部材やリフレクタを識別する方法としては、例えば図4に示す方法が使用される。
図4(A)は、部品の一部の色を変える方法である。例えば、摺動シートのような複数の繊維111、112からなる部品において、繊維111と繊維112の色を変える方法が提案されている。このような方法の場合、機能に影響を及ぼさずに識別することが比較的容易である。このような方法は、ハーネスを取り付ける部品などにおいても用いることができる。しかし、このように部品の一部の色を変える方法は、リフレクタ102に用いるのが難しい。
【0050】
例えば、従来技術の特開2021-092639では、部品を識別するために部品の一部の色を変えることが提案されており、機能に影響なく色を変更できる部品では有効に識別が行える。しかし、板金などの場合、機能に影響を及ぼさず色を変えることは難しい。
【0051】
図4(B)は、部品113にマーキング114を付ける方法である。マーキング114の他にも刻印などでもよい。部品113にマーキング114がある場合、適切な部品113として識別される。しかし、マーキング114の場合、リフレクタ102などの平滑性の高い部品ではこすれて消えてしまう懸念がある。刻印は消える心配はないが、目視検査である場合、誤組みのリスクを回避しきることは難しい。
【0052】
図4(C)は、治具検査による識別方法の一例である。例えば部品113に段差や刻印を形成し、レーザー変位センサ115で高さを検出する。図中の白矢印は、センサの移動方向であり、図中の黒矢印は、センサから照射されるレーザーである。しかし、この方法は、部品が薄い板金の場合、段差や刻印の検出が難しく、精度を上げるためには治具(例えばセンサ)が高価になるという問題がある。
【0053】
リフレクタ102は、薄く、平滑性が高いため、図4(B)、(C)に示すような従来の識別方法を適用しにくい。これに対して本実施形態は、できるだけコストを抑えながらリフレクタ102の識別を行えるようにする。
【0054】
本実施形態では、以下のようにする。
本実施形態の定着装置は、第一部材(例えばステー103)と第二部材(例えばリフレクタ102)を有する複合部材が前記定着部材の内周側に備えられ、前記第二部材は、前記第一部材に取り付けられ、前記第一部材と前記第二部材は、光沢度の差を有する。また、前記複合部材内に光沢度を測る領域となる検査領域があり、前記検査領域の光沢度に基づいて前記検査領域の表面に前記一部材又は前記第二部材のどちらが存在しているのかが識別され、この識別結果に基づいて当該定着装置が所望の定着構成になっていることが識別される。
【0055】
本実施形態は、定着装置や画像形成装置に備えられる複合部材、特に第二部材(リフレクタ102)を識別する手段を具現化することを狙いとしている。通常、リフレクタは、第1の画像形成装置にも第2の画像形成装置にも組み込むことが可能であるため、組み間違えが生じる。上述したように、従来、リフレクタの形状を変更するようにして組み間違えを防止するようにしている。一方、本実施形態では、組み間違えを防止するためのコストが増加しないようにするため、第一部材と第二部材の光沢度の差を利用し、検査領域の表面に一部材又は第二部材のどちらが存在しているのかを識別して組み間違えが生じていないかどうどうかを識別するようにしている。本実施形態によれば、薄く平滑性の高い反射部材などの部品についてコストを抑えながら検査できる。
【0056】
第1の画像形成装置(例えば低速の画像形成装置)に組み込まれる場合には、複合部材における所定の場所(例えば検査領域)が、高光沢度となるリフレクタとステーのセット(複合部材)が取り付けられる。一方、複合部材が第2の画像形成装置(例えば高速の画像形成装置)に組み込まれる場合には、複合部材における所定の場所が、低光沢度となるリフレクタとステーのセット(複合部材)が取り付けられる。このようにすることで、第一部材と第二部材の光沢度の差を利用し、検査領域に一部材又は第二部材のどちらが存在しているのかを識別して組み間違えを防止することができる。
【0057】
このことを別の表現で説明する。画像形成装置Aに組み込まれる複合部材Aは、リフレクタAを有しており、画像形成装置Bに組み込まれる複合部材Bは、リフレクタBを有している。例えば、画像形成装置Aは低速の画像形成装置(第1の画像形成装置)であり、熱負荷の小さい装置構成となるため、耐熱性能が低いが低コストなリフレクタAを用いるという設計をしたとする。また、画像形成装置Bは高速の画像形成装置(第2の画像形成装置)であり、熱負荷の大きい装置構成となるため、耐熱性が高いが高コストなリフレクタBを用いるという設計をしたとする。しかし、画像形成装置Aに複合部材Aを組み込み、画像形成装置Bに複合部材Bを組み込むという予定であったとしても、人為的なミス等により、複合部材Aが画像形成装置Bに組み込まれ、複合部材Bが画像形成装置Aに組み込まれてしまう可能性がある。
【0058】
そこで、第一部材と第二部材の光沢度の差を利用して検査を行う。複合部材A、Bの所定の領域を検査領域とし、検査領域の光沢度を測ることで検査領域の表面に第一部材と第二部材のどちらが存在しているのかを識別し、複合部材を有する定着装置が所望の定着構成になっていることを識別可能としている。所望の定着構成とは、設計通りの部品が組み込まれていることを意味し、例えば、設計通りのリフレクタが定着装置に組み込まれていることを意味する。リフレクタの違いにより、定着ベルトの温度等に違いが生じ、定着ニップの温度、ステーの温度などに違いが生じることとなる。
【0059】
例えば、画像形成装置Aに備えられる複合部材Aおいて、リフレクタAの検査領域にあたるところは何も加工を施さず、検査領域の表面でリフレクタAの光沢度が観測されるようにしておく。一方、画像形成装置Bに備えられる複合部材Bにおいて、リフレクタBの検査領域にあたるところに開口を施し、検査領域の表面でステーの光沢度が観測されるようにしておく。このようにしておくことで、複合部材Aの検査領域を観測したときに、リフレクタAの高光沢度が観測された場合、所定の定着構成になっていることが識別でき、検査領域で高光沢度が観測されない場合、所定の定着構成になっていないことが識別できる。一方、複合部材Bの検査領域を観測したときに、ステーの低光沢度が観測された場合、所定の定着構成になっていることが識別でき、検査領域で低光沢度が観測されない場合、所定の定着構成になっていないことが識別できる。このように、検査領域の光沢度に基づいて検査領域の表面に第一部材又は第二部材のどちらが存在しているのかが識別され、この識別結果に基づいて定着装置が所望の定着構成になっていることが識別される。
【0060】
本実施形態の定着装置は、画像形成装置に備えられ、定着装置が備えられる画像形成装置の候補は、例えば、第1画像形成装置と、第2画像形成装置とがある。このような画像形成装置は、例えば印刷速度(画像形成速度などとも称する)が異なる画像形成装置が挙げられる。例えば、前記第2画像形成装置は、前記第1画像形成装置よりも印刷速度が速く、前記第1画像形成装置と前記第2画像形成装置の最高印刷速度の差は5枚/分以上である。そして、複合部材における検査領域の光沢度に基づいて検査領域の表面に一部材又は第二部材のどちらが存在しているのかが識別され、この識別結果に基づいて定着装置が所望の画像形成装置に備えられていることが識別される。これにより、リフレクタが設計通りの画像形成装置に組み込まれているかを識別することができる。
【0061】
前記第一部材は、定着装置に用いられる部品であり、ニップ形成部材を支持する支持部材であることが好ましい。また、前記第二部材は、定着装置に用いられる部品であり、定着部材の内周側に設けられ、加熱源から放射される輻射熱を反射する反射部材(リフレクタ)であることが好ましい。第一部材がステーであり、第二部材がリフレクタである場合、光沢度が大きく、検査精度が向上する。第二部材が第一部材に取り付けられて複合部材が形成される。
【0062】
リフレクタ102において、ヒータ101の輻射熱を反射する面を第一の面、機能面などと称する。また、ヒータ101の輻射熱を反射する面ではない面を第二の面、非機能面などと称する。非機能面(第二の面)は、例えばステー103への固定に用いられる。
【0063】
本実施形態で用いられるリフレクタ102は、ヒータ101の輻射熱を反射する機能があり、表面の光沢が強い。これは、非機能面においても同様である。
【0064】
ステー103は、リフレクタ102が固定される。固定されることを、組み付けられるなどと称してもよい。ステー103は、例えばSUS板が用いられ、リフレクタ102と比べると光沢度が低い。ステー103は、例えば濁った灰色をしている。
【0065】
図5を用いて本実施形態を説明する。図5は、リフレクタ102がステー103に固定された状態において、一部を図示した平面概略図である。図5(A)は、低速の画像形成装置に複合部材120aが組み付けられたときの複合部材120aの要部平面概略図である。図5(B)は、高速の画像形成装置に複合部材120bが組み付けられたときの複合部材120bの要部平面概略図である。図5(B)は、図3のbの部分に相当する。
図5に示すように、複合部材120aと複合部材120bは、共通のステー103を用いているが、リフレクタ102aとリフレクタ102bとが異なっている。
【0066】
図5の(A)と(B)ともに、複合部材内に光沢度を測る検査領域122(識別する領域、所定の領域、任意の領域などと称してもよい)が設けられている。検査領域122では、ステー103とリフレクタ102a、102bとの光沢度の差を利用して、検査領域122にステー103とリフレクタ102a、102bのどちらが表面に存在しているかを識別可能である。図5(A)の検査領域122と図5(B)の検査領域122を比べると、図5(A)ではリフレクタの面積が大きくなっているため、検査領域122における光沢度差は大きくなる。一方、図5(B)ではリフレクタの面積が小さくなっているため、検査領域122における光沢度差は低くなる。検査領域122の光沢度を測定することで、設計通りの定着装置や画像形成装置に複合部材が組み込まれているかを識別することができる。
【0067】
検査領域122に異なる光沢度を持つ部材を配置することで、外観での識別が可能になる。例えば治具(測定手段などとも称する)を用いて、検査領域122の光沢度を検出することで、薄く、平滑性が高いリフレクタに対しても精度よく検知することが可能になる。
【0068】
図5(B)では、検査領域に対応する位置で、リフレクタに開口を設けているため、マーキングが消えるといった懸念がない。また、検査領域の光沢度に基づいて検査できるため、治具が高価になることを防止できる。そのため、部品の光沢度を検出することで、リフレクタが薄く、平滑性が高く、反射率が高い特徴を持つ金属部品である場合でも、できるだけコストを抑えながら識別することができる。
【0069】
検査領域122の光沢度を求める方法は、適宜選択することができる。例えば検査治具(測定手段)を用いる方法であってもよいし、視認する方法であってもよい。特に制限されるものではないが、例えば検査治具を用いて光沢度を数値として求める場合、光沢度を測定するなどと称する。光沢度を測るとあるのは、光沢度を測定することが含まれることは当然のことであるが、視認して光沢度を求めることも含まれるものとする。ただし、精度を向上させる観点から、光沢度を数値で求めることが好ましく、検査治具等を用いて光沢度を測定することが好ましい。また、光沢度を測るとあるのは、光沢度を検出すると称してもよい。
【0070】
上記の説明では、設計通りの部品が組み込まれているかを識別することについて主に説明している。本実施形態では、この他にも例えば、リフレクタ102が所望の位置に取り付けられているかを判断することができる。リフレクタ102の取り付け位置が所望の位置からずれる場合、検査領域122の光沢度に変化が生じる。検査領域122の光沢度が想定していた値と異なる場合、位置ずれであると判断することができる。検査領域122の光沢度について、所定の閾値と比較するようにしてもよい。閾値の比較については、後述のフローでも説明している。
【0071】
本実施形態において、リフレクタ102は、ヒータ101からの輻射熱が照射される第一の面と、前記第一部材への固定に用いられる第二の面と、を有し、検査領域122は、前記第二の面に設けられていることが好ましい。
このようにすることで、リフレクタの機能に与える影響を低減できる。例えば、第2画像形成装置(高速の画像形成装置)に組み込まれる複合部材120bでは、検査領域122におけるリフレクタ102bの開口部を大きくしている。検査領域122を第二の面にすることで、第二部材における検査領域に対応する位置に開口部を設けたとしても、第二部材の機能に及ぼす影響を抑えることができる。
【0072】
リフレクタ102の形状を変化させて、検査領域でステー103との光沢度の差を生じさせることは、リフレクタ102のどの面でも可能ではあるが、ヒータ101からの輻射熱の反射に影響しない面で形状を変化させることが好ましい。この場合、ヒータ101の輻射熱を反射する部分の面積や形状が変わらないため、リフレクタ102の目的である反射機能を落とさないようにすることができる。このため、定着装置における定着に関わる構成についての変更を最小限にしながら、リフレクタ102の検査を行うことができ、リフレクタ102の誤組みを検知することができる。
【0073】
検査領域における第二部材の開口の有無や開口の大きさ等は、適宜変更できる。その例について以下説明する。
本例において、第二部材は、加熱源からの輻射熱が照射される第一の面と、前記第一部材への固定に用いられる第二の面と、を有し、第一部材に取り付けるために用いられる固定部材用穴が第二の面に設けられている。前記検査領域は、前記第二の面に設けられている。定着装置が前記第1画像形成装置に備えられる場合には、前記第二部材における前記固定部材用穴と連結した開口部に前記識別する範囲が位置せず、定着装置が前記第2画像形成装置に備えられる場合には、前記第二部材における前記固定部材用穴と連結した開口部に前記識別する範囲が位置する。
【0074】
この場合、検査領域に対応する位置に設けられる開口部を、固定用部材用穴を形成する工程で同時に作製することができる。これにより、第二部材を作製するコストを抑えることができる。また、前記開口部が固定部材用穴と連結する場合、第二部材の加工時や検査時の管理が容易になる。更に、第二部材を第一部材に固定する際、作業者が固定用部材穴を目で見て作業することから、前記開口部の目視チェックも行えるという利点がある。そのため、目視チェックと、検査治具(測定手段)とのダブルチェックが可能になり、誤組みをより防止できる。
【0075】
前記開口部が固定部材用穴と連結する場合の例について図6を用いて説明する。
図6は、リフレクタ102がステー103に固定された状態において、一部を図示した平面概略図である。図6(A)は、低速の画像形成装置に複合部材120aが組み付けられたときの複合部材120aの要部平面概略図である。図6(B)は、高速の画像形成装置に複合部材120bが組み付けられたときの複合部材120bの要部平面概略図である。高速の画像形成装置に複合部材120bが組み付けられたときの複合部材120bの要部平面概略図である。図6(B)は、図3のbの部分に相当する。
図6に示すように、複合部材120aと複合部材120bは、共通のステー103を用いているが、リフレクタ102aとリフレクタ102bとが異なっている。
【0076】
図6(A)、(B)に示す例では、リフレクタ102が固定部材用穴123を有しており、ねじ130(固定部材)によりリフレクタ102がステー103に固定されている。図6(A)の検査領域122と図6(B)の検査領域122を比べると、図6(A)では検査領域122にリフレクタ102aの開口がないため、検査領域122における光沢度は大きくなる。一方、図6(B)では固定部材用穴123が検査領域122にまで延長されており、検査領域122にリフレクタ102bの開口があるためステー103が露出し、検査領域122における光沢度は低くなる。検査領域122の光沢度を測ることで、検査領域の表面にステー又はリフレクタのどちらが存在しているのかが識別され、この識別結果に基づいて設計通りの定着装置や画像形成装置に複合部材が組み込まれているかを識別することができる。
【0077】
このように、検査領域122で測定される光沢度が図6(A)と(B)とで違いが生じる。検査領域122で測定された光沢度を用いて、あらかじめ設定された閾値を下回るかどうかを判断することにより、所望のリフレクタ102が取り付けられているか、所望の定着構成になっているかどうかを判断することができる。
【0078】
検査領域における第二部材の開口の有無や開口の大きさについて、他の例を説明する。
本例において、第二部材は、加熱源からの輻射熱が照射される第一の面と、前記第一部材への固定に用いられる第二の面と、を有し、前記第一部材に取り付けるために用いられる位置決め用穴が前記第二の面に設けられている。前記検査領域は、前記第二の面に設けられている。定着装置が前記第1画像形成装置に備えられる場合には、前記第二部材における前記位置決め用穴と連結した開口部に前記識別する範囲が位置せず、定着装置が前記第2画像形成装置に備えられる場合には、前記第二部材における前記固定部材用穴と連結した開口部に前記識別する範囲が位置する。
【0079】
この場合、検査領域に対応する位置に設けられる開口部を、位置決め用穴を形成する工程で同時に作製することができる。これにより、第二部材を作製するコストを抑えることができる。また、前記開口部が位置決め用穴と連結する場合、第二部材の加工時や検査時の管理が容易になる。更に、第二部材を第一部材に固定する際、作業者が固定用部材穴を目で見て作業することから、前記開口部の目視チェックも行えるという利点がある。そのため、目視チェックと、検査治具(測定手段)とのダブルチェックが可能になり、誤組みをより防止できる。
【0080】
前記開口部が位置決め用穴と連結する場合の例について図7を用いて説明する。
図7は、リフレクタ102がステー103に固定された状態において、一部を図示した平面概略図である。図7(A)は、低速の画像形成装置に複合部材120aが組み付けられたときの複合部材120aの要部平面概略図である。図7(B)は、高速の画像形成装置に複合部材120bが組み付けられたときの複合部材120bの要部平面概略図である。高速の画像形成装置に複合部材120bが組み付けられたときの複合部材120bの要部平面概略図である。図示するように、複合部材120aと複合部材120bは、共通のステー103を用いているが、リフレクタ102aとリフレクタ102bとが異なっている。また、図7(B)は、図3におけるcの部分に相当する図である。
【0081】
図7(A)、(B)に示す例では、リフレクタ102が位置決め用穴124を有しており、ステー103は位置決め用の凸部131を有している。凸部131が位置決め用穴124に嵌まることにより、リフレクタ102の位置決めがなされている。図7(A)の検査領域122と図7(B)の検査領域122を比べると、図7(A)では検査領域122にリフレクタ102aの開口がないため、検査領域122はリフレクタ102aの光沢度が検出され、検査領域122における光沢度は大きくなる。一方、図7(B)では位置決め用穴124が検査領域122まで広がっており、検査領域122でリフレクタ102bが開口していることでステー103が露出している。そのため、検査領域122でステー103の光沢度が検出され、検査領域122における光沢度は低くなる。検査領域122の光沢度を測ることで、検査領域の表面にステー又はリフレクタのどちらが存在しているのかが識別され、この識別結果に基づいて設計通りの定着装置や画像形成装置に複合部材が組み込まれているかを識別することができる。
【0082】
次に、図5(B)、図6(B)、図7(B)のように、第二部材(例えばリフレクタ102)において、検査領域122に対応する位置に開口部を設けることによる影響について説明する。以下の説明では、第二部材がリフレクタ102である場合の例を用いて説明する。
【0083】
リフレクタ102に開口部を設けることにより、その分、リフレクタ102の体積が小さくなり、熱量量が小さくなる。リフレクタ102の熱容量が小さくなると、同じ熱量でも、リフレクタ102の昇温速度が上がる。このため、時間が経つにつれ、ヒータ101の輻射熱が定着ベルト106に吸収されやすくなり、定着ベルト106の昇温速度を増加させる利点がある。また、連続通紙時に、リフレクタ102がより高温になることで、定着ベルト106内の温度が上がり、使用電力を低下させる利点もある。
【0084】
一方、リフレクタ102に開口部を設けることにより、リフレクタ102の最高温度が上昇するという作用が生じる。生産性が高い装置の場合、より長い昇温時間と、より多くの電力が必要になるため、開口部を設けた場合の利点は大きいが、リフレクタ102の高温化によって耐熱温度を超えるリスクが生じる。なお、生産性が低い装置の場合、リフレクタ102は比較的、高温になりにくいため、開口部を設けた場合のリスクは、生産性が高い装置よりも低い。
【0085】
リフレクタ102に開口部を設けることにより、廃棄部分が増加するという作用が生じる。このように、リフレクタ102に開口部を設けた場合、リフレクタ102の温度上昇や廃棄部分の増加などの作用が生じるため、これらを考慮して、開口部をどのように設けるかを検討することが好ましい。
【0086】
また、生産性が高い装置においてリフレクタ102の開口部を大きくするか、生産性が低い装置においてリフレクタ102の開口部を大きくするか等、適宜検討して最適化することが好ましい。例えば、本実施形態の定着装置が高生産性の画像形成装置(例えば上述の第2の画像形成装置)に用いられる場合に、リフレクタ102の体積を大きくして熱容量を高めてもよいし、リフレクタ102の体積を小さくして熱容量を下げてもよい。この他にも、本実施形態の定着装置が低生産性の画像形成装置(例えば上述の第1の画像形成装置)に用いられる場合に、リフレクタ102の体積を大きくして熱容量を高めてもよいし、リフレクタ102の体積を小さくして熱容量を下げてもよい。
【0087】
なお、高生産性の画像形成装置は、例えば、画像形成速度が所定の速度以上となる装置であり、熱負荷の大きい装置であるともいえる。一方、低生産性の画像形成装置は、例えば、画像形成速度が所定の速度未満となる装置であり、熱負荷の小さい装置であるともいえる。
【0088】
複合部材内における検査領域の光沢度を測る時期は、適宜選択することができる。換言すると、本発明の検査方法を実施するタイミングは、適宜選択することができる。例えば、リフレクタをステーに取り付けて複合部材にした後、定着ベルトの内周側に配置する前の時点が挙げられる。この場合、複合部材が露出しているので検査しやすい。この他にも、例えば、リフレクタをステーに取り付けて複合部材にし、定着ベルトの内周側に配置した後、画像形成装置に組み付ける前の時点が挙げられる。この場合、定着ベルトに阻害されずに検査領域を視認又は測定する必要があるが、装置作製工程の後の方の工程で検査できるため、工程の戻りによって検査を繰り返すことを回避できる。この他にも、例えば、画像形成装置を作製した後の時点が挙げられる。この場合、検査領域を視認又は測定するための構成(例えば筐体に窓を設けるなど)が必要になるが、装置を作製した後においても検査を行うことができるといった利点がある。
【0089】
上記の中でも、定着装置を作製する前の時点で検査を行うことが好ましい。例えば、簡易的な検査装置を用意しておき、検査装置は、当該検査装置内に固定されたセンサ治具を有する。複合部材を検査装置にセットして検査する。このようにすることで、検査装置は、定められた所定の箇所の光沢度を求めることとなり、複合部材における検査領域の光沢度を求めることができる。つまり、定着装置で位置決めがなされ、毎回同じ位置を検査することができる。
【0090】
また、本実施形態では、複合部材が異なっていても検査領域は同じ位置である。例えば複合部材Aと複合部材Bにおける検査領域は同じ位置になる。このようなことから、複合部材Aの検査領域における光沢度と、複合部材Bの検査領域における光沢度とを比較して検査することも可能になる。
【0091】
図8は、本発明の検査方法を行う検査システムの一例を示す概略図である。検査システム143は、コントローラ141、不揮発性記憶装置142、光沢度計140を有する。コントローラ141は、演算装置として使用する。不揮発性記憶装置142は、プログラムやデータなどを不揮発に記憶する。光沢度計140は、被測定物に光を照射し、反射した光の強度を測定する。コントローラ141は、光沢度計140から送られた反射率のデータと、不揮発性記憶装置142に記憶されたデータとを比較する。コントローラ141は、比較した結果から、被測定物がリフレクタ102(例えば図5の(A))であるか、開口部121(例えば図5の(B))であるかを判別する。開口部121であると判別した場合は、検査領域122にステー103が存在していると判別することに該当する。
【0092】
検査システムの構成は、適宜選択できる。本例の検査システムは、検査治具(検査装置などと称してもよい)を少なくとも有し、必要に応じてその他の装置を有する。検査治具は、光沢度計140を有し、必要に応じてコントローラ141、不揮発性記憶装置142等を有していてもよい。別の装置がコントローラ141及び不揮発性記憶装置142を有していてもよい。
【0093】
図9は、光沢度測定の一例を示す概略図であり、検査治具を用いる場合の測定例を示す概略図である。
検査治具は、光沢度計140を有する。光沢度計140は、暗所内で光沢度を測定することが好ましく、この場合、精度を向上させることができる。暗所にするには、例えばカバー144を用いる。カバー144は、被測定物を全て覆ってもよいし、検査領域122を含む被測定物の一部を覆ってもよい。カバー144としては、特に制限されず、暗幕のような布を用いてもよいし、箱形状などの部材を用いてもよい。
【0094】
図中、被測定物として、定着装置20と複合部材120を符号で示している。被測定物の検査領域122が光沢度計140に近接した状態もしくは接触した状態で測定することが好ましい。
【0095】
光沢度計140は、コントローラ141に接続されている。光沢度計140は、コントローラ141からの指示により、検査領域122の光沢度を測定する。コントローラ141は、光沢度計140の測定値を取得する。
【0096】
図10は、光の反射の一例を説明するための概略図である。光沢度計140は、被測定物に光を照射し、正反射した光の強度を測定する。照射した光の強度と、正反射した光の強度との比を光沢の指標として数値化し、光沢度としている。光沢度計140は、光沢度をコントローラ141に送信してもよいし、光の強度をコントローラ141に送信してもよい。
【0097】
図11は、判定の一例を示すフローである。
S1では、ユニット(被測定物)を測定位置にセットする。
S2では、光沢度を測定する。光沢度の測定は、上記で説明したような方法で行う。
S3では、測定した光沢度が閾値以上かどうかを判定する。閾値は、例えば不揮発性記憶装置142に記憶されており、測定した値と不揮発性記憶装置142に記憶された値とを比較することで閾値以上かどうかの判定を行うことができる。
S4は、S3の判定結果がYESの場合の処理である。S4では、検査領域122にリフレクタ102が存在していると判定する。
S5は、S3の判定結果がNOの場合の処理である。S5では、検査領域122に開口部121が存在していると判定する。つまり、検査領域122にステー103が存在していると判定する。
【0098】
このような検査により、検査領域122にリフレクタ102が又はステー103のどちらが存在しているのかが識別され、この識別結果に基づいて被測定物が所望の構成になっていることが識別できる。
【0099】
識別結果は、任意の表示部に表示するようにしてもよい。その他にも、ユーザー(検査者などが含まれる)の使用端末に表示するようにしてもよい。識別結果の表示内容は、特に制限されず、検査領域122にリフレクタ102が又はステー103のどちらが存在しているのかを表示してもよいし、検査結果として例えばOK又はNGといった表示にしてもよい。光沢度を表示してもよい。
【0100】
S1について追加説明する。
ユニット(被測定物)を測定位置にセットする態様は、適宜選択できる。例えば、被測定物を検査治具の測定位置にセットしてもよい。この場合、例えば、検査治具に1つ又は複数の位置決め用の凸部を設けておき、被測定物が凸部に固定されるように検査治具にセットする。このようにすることで、検査領域122を定められた位置に固定でき、検査領域122として毎回同じ位置を測定することができる。またこの際、光沢度計140の配置を固定しておくことで、被測定物の同じ位置を検査領域122として光沢度を測定することができる。また、この場合、別の被測定物を測定する際にも、被測定物同士で検査領域122を同じ位置にすることができる。
【0101】
ユニット(被測定物)を測定位置にセットする態様は、上記の他にも適宜選択できる。上記の他にも例えば、被測定物に対して検査治具をセットしてもよい。被測定物に対して検査治具がセットされる位置を所定の位置になるように定めておくことで、検査領域122として毎回同じ位置を測定することができる。また、この場合、別の被測定物を測定する際にも、被測定物同士で検査領域122を同じ位置にすることができる。
【0102】
検査治具は、光沢度計140を有していればよく、適宜その他の部材等を有する。例えば、被測定物をセットするための載置台(名称は適宜選択できる)を有していてもよい。その他にも検査治具は、カバー144を有していてもよい。検査治具が載置台及びカバー144を有することで、被測定物の測定が行いやすくなる。
【0103】
定着装置の検査は、定着ベルト106等が備えられた状態でも行うことができる。例えば、定着ベルト106等が備えられた状態でも検査できる箇所に検査領域122を設定する。例えば、図3のcの部分に検査領域122を設定し、図3のcの部分を、定着ベルト106の回転軸方向における定着ベルト106よりも外側にしてもよい。
【0104】
上述のように、本実施形態の検査方法は、例えば、検査領域の光沢度を測定する光沢度測定工程を含み、光沢度測定工程は、検査治具を用いて行い、検査治具は、検査領域に対して入射した光と、反射した光との強度差に基づいて光沢度を求める。検査治具を用いることにより、検査精度を向上させることができる。
【0105】
本発明について補足説明する。
検査領域122は、測定した光沢度の差に基づいて、設計通りに第一部材と第二部材が組まれているかを識別できる位置に設けられた領域であればよい。複合部材120内に検査領域122があるかどうかを調べるには、例えば、複数の複合部材120同士を比較することで調べることができる。例えば、複合部材120aと複合部材120bとを比較して、例えば図6又は図7に示すような形状の違いを確認することで、複合部材120内に検査領域122があるかどうかを調べることができる。定着装置20についても同様に、定着装置20内に検査領域122があるかどうかを調べるには、例えば、複数の定着装置20同士を比較することで調べることができる。
【0106】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1>
回転可能に構成され記録媒体の未定着画像を定着させる定着部材と、前記定着部材を外周側で加圧する加圧部材と、前記定着部材の内周側に設けられ、前記定着部材を加熱する加熱源とを有する定着装置であって、
第一部材と第二部材を有する複合部材が前記定着部材の内周側に備えられ、
前記第二部材は、前記第一部材に取り付けられ、
前記第一部材と前記第二部材は、光沢度の差を有し、
前記複合部材内に光沢度を測る領域となる検査領域があり、前記検査領域の光沢度に基づいて前記検査領域の表面に前記一部材又は前記第二部材のどちらが存在しているのかが識別され、この識別結果に基づいて当該定着装置が所望の定着構成になっていることが識別される
ことを特徴とする定着装置。
<2>
画像形成装置に備えられる定着装置であって、
当該定着装置が備えられる前記画像形成装置の候補は、第1画像形成装置と、第2画像形成装置とがあり、
前記第2画像形成装置は、前記第1画像形成装置よりも印刷速度が速く、前記第1画像形成装置と前記第2画像形成装置の最高印刷速度の差は5枚/分以上であり、
前記検査領域の光沢度に基づいて前記検査領域の表面に前記一部材又は前記第二部材のどちらが存在しているのかが識別され、この識別結果に基づいて当該定着装置が所望の画像形成装置に備えられていることが識別される
ことを特徴とする<1>に記載の定着装置。
<3>
前記第一部材は、ニップ形成部材を支持する支持部材であり、
前記ニップ形成部材は、前記定着部材を介して前記加圧部材と当接し、ニップ部を形成し、
前記第二部材は、前記定着部材の内周側に設けられ、前記加熱源から放射される輻射熱を反射する反射部材である
ことを特徴とする<1>又は<2>に記載の定着装置。
<4>
前記第二部材は、前記加熱源からの輻射熱が照射される第一の面と、前記第一部材への固定に用いられる第二の面と、を有し、
前記検査領域は、前記第二の面に設けられている
ことを特徴とする<1>から<3>のいずれかに記載の定着装置。
<5>
前記第二部材は、前記加熱源からの輻射熱が照射される第一の面と、前記第一部材への固定に用いられる第二の面と、を有し、
前記第一部材に取り付けるために用いられる固定部材用穴が前記第二の面に設けられており、
前記検査領域は、前記第二の面に設けられており、
当該定着装置が前記第1画像形成装置に備えられる場合には、前記第二部材における前記固定部材用穴と連結した開口部に前記検査領域が位置せず、
当該定着装置が前記第2画像形成装置に備えられる場合には、前記第二部材における前記固定部材用穴と連結した開口部に前記検査領域が位置する
ことを特徴とする<2>に記載の定着装置。
<6>
前記第二部材は、前記加熱源からの輻射熱が照射される第一の面と、前記第一部材への固定に用いられる第二の面と、を有し、
前記第一部材に取り付けるために用いられる位置決め用穴が前記第二の面に設けられており、
前記検査領域は、前記第二の面に設けられており、
当該定着装置が前記第1画像形成装置に備えられる場合には、前記第二部材における前記位置決め用穴と連結した開口部に前記検査領域が位置せず、
当該定着装置が前記第2画像形成装置に備えられる場合には、前記第二部材における前記固定部材用穴と連結した開口部に前記検査領域が位置する
ことを特徴とする<2>に記載の定着装置。
<7>
<1>から<6>のいずれかに記載の定着装置を備えた
ことを特徴とする画像形成装置。
<8>
回転可能に構成され記録媒体の未定着画像を定着させる定着部材と、前記定着部材を外周側で加圧する加圧部材と、前記定着部材の内周側に設けられ、前記定着部材を加熱する加熱源とを有する定着装置の検査方法であって、
第一部材と第二部材を有する複合部材が前記定着部材の内周側に備えられ、
前記第二部材は、前記第一部材に取り付けられ、
前記第一部材と前記第二部材は、光沢度の差を有し、
前記複合部材内における光沢度を測る領域となる検査領域に対して、前記検査領域の光沢度に基づいて前記検査領域の表面に前記一部材又は前記第二部材のどちらが存在しているのかを識別し、この識別結果に基づいて当該定着装置が所望の定着構成になっていることを識別する工程を含む
ことを特徴とする定着装置の検査方法。
<9>
前記検査領域の光沢度を測定する光沢度測定工程を含み、
前記光沢度測定工程は、検査治具を用いて行い、
前記検査治具は、前記検査領域に対して入射した光と、反射した光との強度差に基づいて光沢度を求める
ことを特徴とする<8>に記載の定着装置の検査方法
<10>
回転可能に構成され記録媒体の未定着画像を定着させる定着部材と、前記定着部材を外周側で加圧する加圧部材と、前記定着部材の内周側に設けられ、前記定着部材を加熱する加熱源とを有する定着装置に備えられる複合部材の検査方法であって、
前記複合部材は、第一部材と第二部材を有し、
前記第二部材は、前記第一部材に取り付けられ、
前記第一部材と前記第二部材は、光沢度の差を有し、
前記複合部材内における光沢度を測る領域となる検査領域に対して、前記検査領域の光沢度に基づいて前記検査領域の表面に前記一部材又は前記第二部材のどちらが存在しているのかを識別し、この識別結果に基づいて当該複合部材が所望の構成になっていることを識別する工程を含む
ことを特徴とする複合部材の検査方法。
<11>
前記検査領域の光沢度を測定する光沢度測定工程を含み、
前記光沢度測定工程は、検査治具を用いて行い、
前記検査治具は、前記検査領域に対して入射した光と、反射した光との強度差に基づいて光沢度を求める
ことを特徴とする<10>に記載の複合部材の検査方法
【符号の説明】
【0107】
20 定着装置
101 ヒータ
102 リフレクタ
103 ステー
104 ニップ形成部材
106 定着ベルト
107 加圧ローラ
108 ベルト支持部材
109 未定着画像
110 摺動シート
121 切り欠き
122 検査領域
123 固定部材用穴
124 位置決め用穴
130 ねじ
131 位置決め用の凸部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0108】
【特許文献1】特開2017-9881号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11