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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132867
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】永久磁石を備えた位置測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/245 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
G01D5/245 110A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023219117
(22)【出願日】2023-12-26
(31)【優先権主張番号】23162285
(32)【優先日】2023-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】390014281
【氏名又は名称】ドクトル・ヨハネス・ハイデンハイン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】DR. JOHANNES HEIDENHAIN GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・ホイマン
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス・シュナイダー
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077AA27
2F077AA43
2F077CC10
2F077NN05
2F077NN24
2F077PP14
2F077QQ15
(57)【要約】
【課題】高い測定精度と効率的な製造を併せ持つ、検出部品2と目盛部品1を備えた位置測定装置を実現することである。
【解決手段】この目盛部品1は第一の目盛トラック1.1、第二の目盛トラック1.2及び第三の目盛トラック1.3を有する。これらの三つの目盛トラック1.1;1.2;1.3は互いに平行に配置されている。この検出部品2は、第一の目盛トラック1.1に対向する第一のセンサーフィールド2.1と、第二の目盛トラック1.2に対向する第二のセンサーフィールド2.2と、第三の目盛トラック1.3に対向する第三のセンサーフィールド2.3とを有する。これらのセンサーフィールド2.1;2.2;2.3は、これらのフィールドが目盛トラック1.1,1.2,1.3を走査できるように構成されている。更に、この検出部品2が第一の永久磁石2.10と第二の永久磁石2.20を有し、これらの磁石が、磁界Bの形成によってセンサーフィールド2.1,2.2,2.3にバイアス磁化を加える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出部品(2)と、この検出部品(2)に対して相対的に第一の方向(X)に沿って移動可能な目盛部品(1)とを備えた位置測定装置であって、
この目盛部品(1)が、両方とも絶対形態で構成された第一の目盛トラック(1.1)及び第二の目盛トラック(1.2)と、増分形態で構成された第三の目盛トラック(1.3)とを有し、これらの三つの目盛トラック(1.1;1.2;1.3)が互いに平行に第二の方向(Y)に間隔を開けて配置されており、この第二の方向(Y)が第一の方向(X)に対して直角の方向を向いており、
この検出部品(2)が、第三の方向(Z)に第一の目盛トラック(1.1)に対向して配置された第一のセンサーフィールド(2.1)と、第三の方向(Z)に第二の目盛トラック(1.2)に対向して配置された第二のセンサーフィールド(2.2)と、第三の方向(Z)に第三の目盛トラック(1.3)に対向して配置された第三のセンサーフィールド(2.3)とを有し、この第三の方向(Z)が第二の方向(Y)に対して直角の方向を向くとともに、第一の方向(X)に対して直角の方向を向いており、これらのセンサーフィールド(2.1;2.2;2.3)が、これらのセンサーフィールドによって目盛トラック(1.1;1.2;1.3)を走査可能であるように構成され、
この検出部品(2)が、更に、第一のセンサーフィールド(2.1)に対向して第三の方向(Z)にずれた形で配置された第一の永久磁石(2.10)と、第二のセンサーフィールド(2.2)に対向して第三の方向(Z)にずれた形で配置された第二の永久磁石(2.20)とを有し、第二の方向(Y)において、これらの第一と第二の永久磁石の間に第一の空隙(L1)が在る、位置測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の位置測定装置において、
前記の第三の目盛トラック(1.3)が第一の目盛トラック(1.1)と第二の目盛トラック(1.2)の間に配置されている位置測定装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の位置測定装置において、
前記の二つの永久磁石(2.10;2.20)の磁化方向が同じである位置測定装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の位置測定装置において、
前記のセンサーフィールド(1.1;1.2;1.3)の長手方向の縁(X)が第一の方向(X)に対して平行な方向成分を有することと、前記の永久磁石(2.10;2.20)の極性方向が第一の方向(X)に対して直角の方向成分を有することとの中の一つ以上である位置測定装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の位置測定装置において、
前記の第一の永久磁石(2.10)は、第一のセンサーフィールド(2.1)が第一の目盛トラック(1.1)と第一の永久磁石(2.10)の間に在るように、第一の目盛トラック(1.1)に対して第三の方向(Z)にずれた形で配置されていることと、前記の第二の永久磁石(2.20)は、第二のセンサーフィールド(2.2)が第二の目盛トラック(1.2)と第二の永久磁石(2.20)の間に在るように、第二の目盛トラック(1.2)に対して第三の方向(Z)にずれた形で配置されていることとの中の一つ以上である位置測定装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の位置測定装置において、
第三の方向(Z)において、第一の永久磁石(2.10)と第一のセンサーフィールド(2.1)の間に第二の空隙(L)が形成されていることと、第三の方向(Z)において、第二の永久磁石(2.20)と第二のセンサーフィールド(2.2)の間に第二の空隙(L)が形成されていることとの中の一つ以上である位置測定装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の位置測定装置において、
前記の第一の永久磁石(2.10)が第一のセンサーフィールド(2.1)の裏側に配置されていることと、前記の第二の永久磁石(2.20)が第二のセンサーフィールド(2.2)の裏側に配置されていることとの中の一つ以上である位置測定装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の位置測定装置において、
前記の二つの永久磁石(2.10;2.20)の中の少なくとも一方が棒磁石として構成されている位置測定装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の位置測定装置において、
前記の二つの永久磁石(2.10;2.20)の長さ(XPM)、幅(YPM)及び高さ(ZPM)のサイズと、前記の第二の方向(Y)における第一の空隙(L)のサイズと、前記の第三の方向(Z)における第二の空隙(L)のサイズとの中の一つ以上が、少なくともセンサーフィールド(2.1;2.2;2.3)の領域内における少なくとも第二の方向(Y方向)に関する磁界(B)が均一に構成されるように規定されている位置測定装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の位置測定装置において、
前記の第一の永久磁石(2.10)のサイズが、この永久磁石が第一のセンサーフィールド(2.1)の外寸を超えて突き出るように規定されていることと、前記の第二の永久磁石(2.20)のサイズが、この永久磁石が第二のセンサーフィールド(2.2)の外寸を超えて突き出るように規定されていることとの中の一つ以上である位置測定装置。
【請求項11】
請求項10に記載の位置測定装置において、
前記の第一の永久磁石(2.10)のサイズが、この永久磁石の第二の方向(Y)における外寸だけが第二の方向(Y)における第一のセンサーフィールド(2.1)の外寸よりも大きいことと、前記の第二の永久磁石(2.10)のサイズが、この永久磁石の第二の方向(Y)における外寸だけが第二の方向(Y)における第二のセンサーフィールド(2.2)の外寸よりも大きいこととの中の一つ以上である位置測定装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の位置測定装置において、
前記の二つの永久磁石(2.10;2.20)の幾何学的な形状が同一であるように構成されている位置測定装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の位置測定装置において、
前記の二つの永久磁石(2.10;2.20)のエネルギー積が同じである位置測定装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の位置測定装置において、
第二の方向(Y)における第一の空隙(L)の外寸が、少なくとも第二の方向(Y)における第三のセンサーフィールド(2.3)の外寸に等しい位置測定装置。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の位置測定装置において、
前記の目盛部品(1)が少なくとも一つの別の目盛トラック(1.4)を有し、この目盛トラックが、増分形態で構成されて、第一の目盛トラック(1.1)と第二の目盛トラック(1.2)の間に配置されており、第三の方向(Z)に、この少なくとも一つの別の目盛トラック(1.4)に対向して、少なくとも一つの別のセンサーフィールド(2.4)が配置されている位置測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に基づく永久磁石を使用して検出部品と目盛部品の間の相対的な角度位置又は直線的な位置を測定する位置測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1により、一つの絶対目盛トラックと二つの増分目盛トラックを備えた位置測定装置が周知である。磁気抵抗式センサーを用いて、特に、極性方向が異なる三つの積層式バイアス磁化部品を用いて、位置情報の計測を可能にしている。従来技術における位置測定装置の欠点は、三つのバイアス磁化部品を用いることによって、材料コストと組立コストが高くなることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許公開第2053362号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、高い測定精度と効率的な製造を併せ持つ位置測定装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、本発明に基づく請求項1の特徴によって解決される。有利な実施形態と改善形態は、それぞれ従属請求項に提示されている。
【0006】
本発明による位置測定装置は、検出部品、例えば、角度測定器又は長さ測定器の走査ヘッドと、この検出部品に対して相対的に第一の方向Xに沿って移動可能な目盛部品、例えば、角度測定器又は長さ測定器の磁気式の目盛ドラム又は基準尺とを備えている。この目盛部品は、両方とも絶対形態で構成された第一及び第二の目盛トラックと、第三の増分目盛トラックとを有し、これらの三つの目盛トラックが互いに平行に第二の方向Yに間隔を開けて延びるか、或いは配置されている。この検出部品は、第一の目盛トラックに対向して第三の方向Zにずれた形で配置された少なくとも一つの第一のセンサーフィールドを有し、その結果、第一のセンサーフィールドと第一の目盛トラックの間に第三の空隙が形成されている。この検出部品は、更に、第二の目盛トラックに対向して第三の方向Zにずれた形で配置された第二のセンサーフィールドを有する。第二のセンサーフィールドと第二の目盛トラックの間には、第三の空隙が形成されている。この検出部品は、更に、第三の目盛トラックに対向して第三の方向Zにずれた形で配置された第三のセンサーフィールドを有し、その結果、同じく第三のセンサーフィールドと第三の目盛トラックの間に第三の空隙が形成されている。これらのセンサーフィールドは、少なくとも第三の方向Zに対して各センサーフィールドに対向する目盛トラックを走査可能であるように構成され、配置されている。更に、この検出部品は、例えば、直方体形状の棒磁石の形の第一の永久磁石を備えている。この場合、第一の永久磁石は、第一の目盛トラックに対向するとともに、第一の永久磁石と第一の目盛トラックの間に第一のセンサーフィールドが配置されるように、第一の目盛トラックに対して第三の方向Zにずれた形で配置されている。この場合、第一のセンサーフィールドと第一の永久磁石の間に第二の空隙を形成することができる。例えば、直方体形状の棒磁石の形の第二の永久磁石が、第二の目盛トラックに対向するとともに、第二の目盛トラックに対して第三の方向Zにずれた形で配置されている。この場合、第二の永久磁石は、同様に第二の目盛トラックと第二の永久磁石の間に第二のセンサーフィールドが在るように、第三の方向Zにずれた形で配置されている。第二の空隙は、第二のセンサーフィールドと第二の永久磁石の間にも形成することができる。更に、第二の方向Yにおいて、第一と第二の永久磁石の間に第一の空隙を形成することができる。
【0007】
即ち、これらのセンサーフィールドは、それぞれ走査すべき目盛トラックに対して第三の方向Zにずれた形で配置されるとともに、それぞれ走査すべき目盛トラックに対向して配置されている。
【0008】
これらの第一と第二の目盛トラックは、絶対形態で、即ち、位置測定装置が動作状態にある時に検出部品によって常にその時々の絶対位置の値を計測されるように構成されている。更に、この検出部品によって、第三の増分目盛トラックが走査され、それによって、比較的細かな増分位置が計測される。分解能又は測定精度の向上のために、絶対位置の値が増分位置と結合される。これらの三つの目盛トラックが、互いに平行に第一の方向Xに沿って延びるとともに、第二の方向Yに互いに間隔を開けて配置されている。
【0009】
このようにして、本発明による位置測定装置は、特に、例えば、補間誤差又は反転誤差などの測定偏差の最小化によって、高い測定精度を達成している。
【0010】
「空隙」とは、磁力線を案内することができる二つの対向する面の間に在る空間又は間隔であると理解する。この場合、空隙は、空気以外に、ほぼ非強磁性形態で相互作用する如何なる別の固体又は如何なる別の気体、混合ガス又はそれらの組合せを有することができ、例えば、アルミニウム合金を有することもできる。この場合、第一、第二及び第三の空隙は、異なる材料から構成することもできる。そのように、例えば、第一の空隙と第二の空隙をアルミニウム合金から構成し、第三の空隙を空気から構成することができる。
【0011】
本発明による位置測定装置で用いられるセンサーフィールドは、一つの同じ平坦な基板(例えば、ガラス基板)上に塗布された磁気検知構造として構成することができる。これに代わって、センサーフィールド毎に、専用の平坦な基板を配備することができる。これらのセンサーフィールドは、複数の強磁性の金属バンドから、例えば、パーマロイから構成することができる。この目盛部品の磁界は、金属バンドの磁化に影響を与え、それによって、電気抵抗が変化する(磁気抵抗効果)。これらの位置に依存する抵抗値は、センサーフィールドが発生するセンサー信号の電子的な処理後に、位置情報として電子評価機器に出力される。
【0012】
二つの永久磁石の磁界Bが、金属バンドにおける磁区の構成に対抗して作用する所定のバイアス磁化をセンサーフィールドに加える。
【0013】
ここで規定される座標系は、デカルト座標系である、即ち、第一の方向Xが第二の方向Yに対して直角の方向を向いており、第三の方向Zが、これまたそれ以外の二つの方向X及びYに対して直角の方向を向いている。
【0014】
本発明の有利な改善構成では、第三の目盛トラックは、第二の方向Yに対して、第一の目盛トラックと第二の目盛トラックの間に配置することができる。この場合、第一と第二の目盛トラックに対向して第三の方向Zにずれた形で配置された二つの永久磁石が、検出部品で用いられる全てのセンサーフィールドに対してバイアス磁化を印加できることが有利である。第三の目盛トラック又は第三のセンサーフィールドに対する追加の永久磁石が不要となる。
【0015】
この目盛部品は、例えば、支持部品、例えば、横断面形状が長方形である金属製支持部品の表面の中又は上に磁気材料を投入又は塗布する方法によって作成することができる。この後に、所与の精密なパターンに基づく局所的な磁化によって、目盛トラックを作成することができる。
【0016】
有利には、この位置測定装置は、二つの永久磁石の磁化方向が同じであるように構成され、このことは、例えば、第二の方向Yに永久磁石をずらすことによって、二つの永久磁石の上、下及び間の中の一つ以上において第一と第二の方向の少なくとも一つの平面(XY平面)内の成分が均一である磁界を形成することができる。
【0017】
この場合、二つの永久磁石の磁化方向は、第一の永久磁石のN極と第二の永久磁石のS極が対向するように構成することができる。これに代わって、第一の永久磁石のS極と第二の永久磁石のN極が対向することもできる。
【0018】
「均一な領域」とは、少なくとも一つの平面(例えば、XY平面)内の磁力線が全て平行に同じ方向(例えば、Y方向)に延びる、磁界の少なくとも一つの部分領域であると理解する。
【0019】
これに代わって、第三の実施構成では、第三のセンサーフィールドは、このフィールドが確かに尚も第一と第二の永久磁石の間の磁界Bが均一な領域内に存在するが、この場合には第一と第二のセンサーフィールドが存在する平面(XY平面)内に存在しないように配置することができる。
【0020】
二つの永久磁石は、互いに平行に配置することができ、その結果、永久磁石の極の向き(N極とS極の間の接続線の方向)がそれぞれ測定方向(X方向)に対して直角の方向成分を有する。特に、二つの永久磁石の長手方向の縁が、測定方向(X方向)に沿って延びることができる。これらのセンサーフィールドも、互いに平行に測定方向(X方向)に延びることができ、その結果、これらの長手方向の縁が測定方向(X方向)に沿って延びる。有利には、更に、永久磁石又はセンサーフィールドの高さを定義する直角方向の縁が、第三の方向(Z)に対して平行に延びる。これらの永久磁石又はセンサーフィールドの幅を定義する直角方向の縁は、第二の方向(Y)に対して平行に延びることができる。
【0021】
別の実施形態では、第一の永久磁石は、第一のセンサーフィールドが第三の方向(Z)に対して第一の目盛トラックと第一の永久磁石の間に在るように、第一の目盛トラックに対して第三の方向(Z)にずれた形で配置することができる。これに加えて、或いはこれに代わって、第二の永久磁石は、第二のセンサーフィールドが第三の方向(Z)に対して第一の目盛トラックと第二の永久磁石の間に在るように、第二の目盛トラックに対して第三の方向(Z)にずれた形で配置することができる。この場合、有利には、各永久磁石が、各センサーフィールドの上の中央に在る。
【0022】
別の実施形態では、第三の方向(Z)において、第一の永久磁石と第一のセンサーフィールドの間に第二の空隙を形成することができる。これに加えて、或いはこれに代わって、第三の方向(Z)において、第二の永久磁石と第二のセンサーフィールドの間に第二の空隙を形成することができる。この場合、第一の永久磁石と第二の永久磁石は、一つの面(XY平面)内に存在することができる。第一のセンサーフィールドと第二のセンサーフィールドも、別の面(XY平面)内に存在することができ、その結果、第一のセンサーフィールドと第一の永久磁石の間及び第二のセンサーフィールドと第二の永久磁石の間において、第三の方向(Z)の第二の空隙が同じ形で形成される。
【0023】
本発明の別の実施形態では、第一のセンサーフィールドの上方における基板の裏側に第一の永久磁石を配置することができる。同様に、第二のセンサーフィールドの上方における基板の裏側に第二の永久磁石を配置することができる。そのため、この実施構成では、第一のセンサーフィールドの基板と第一の永久磁石の間に、これに加えて、或いはこれに代わって第二のセンサーフィールドの基板と第二の永久磁石の間に、第二の空隙が存在しない。従って、取り外し可能な、或いは固定的な接続部、例えば、接着式接続部を永久磁石と基板の間に配備することができる。
【0024】
この場合、「基板の裏側」とは、第三の方向(Z)において、目盛トラックの方を向いた面に対して逆側に在る、基板表面の部分であると理解する。
【0025】
本発明の別の実施形態では、二つの永久磁石の中の少なくとも一方を棒磁石として構成することができる。横断面が長方形の永久磁石の場合、長手方向の縁が長さXPMを定義し、その直角方向の縁が幅YPMと高さZPMを定義する。
【0026】
永久磁石は、半硬磁性又は硬磁性の材料、例えば、鉄、コバルト、ニッケル又は所定のフェライトの合金から成る磁石である。永久磁石の磁界は静磁界である。永久磁石は、その表面に一つ又は複数のN極とS極を有する。
【0027】
永久磁石と同様に、センサーフィールドもほぼ直方体として規定することができ、長手方向の縁が長さXを定義し、その直角方向の縁が幅Yと高さZを定義する。この場合、Z≪X及びZ≪Yが成り立つ。
【0028】
本発明の別の実施形態では、二つの永久磁石の長さ、幅及び高さのサイズは、これに代わって、或いはこれに加えて、第二の方向において、第一の空隙のサイズは、これに代わって、或いはこれに加えて、第三の方向において、第二の空隙のサイズは、少なくともセンサーフィールドの領域内において、少なくとも第一と第二の方向の平面(XY平面)内の磁界が均一な領域を形成するように規定することができる。この場合、磁界が均一な領域は、第二の方向を向いたバイアス磁化をセンサーフィールドに加えることができ、これが、センサーフィールドの金属バンドにおける磁区の構成に対抗して作用するのが有利である。
【0029】
この均一な領域の局所的な状態に影響を及ぼす制御量としては、特に、個々の永久磁石の幾何学的形状、個々の永久磁石のエネルギー積の選定及び第一の空隙、これに加えて、或いはこれに代わって第二の空隙を使用することができる。
【0030】
本発明の別の実施形態では、第一の永久磁石は、特に、第一の方向(X)において、、これに加えて、或いはこれに代わって第二の方向(Z)におけるサイズに関して、この磁石が第一のセンサーフィールドの外寸を超えて突き出るように規定することができる。それと同様に、これに加えて、或いはこれに代わって、第二の永久磁石は、特に、第一の方向(X)と第二の方向(Z)におけるサイズに関して、この磁石が第二のセンサーフィールドの外寸を超えて突き出るように規定することができる。
【0031】
「センサーフィールドの外寸」とは、センサーフィールドの長さと幅を定義する縁であると理解する。さもなければ、それは、永久磁石が在る平面(XY平面)に対してセンサーフィールドの面を垂直(第三の方向Z)に投影した像の縁を意味する。
【0032】
別の実施形態では、第一の永久磁石のサイズは、この磁石の第二の方向(Y)における外寸だけが第二の方向(Y)における第一のセンサーフィールドの外寸よりも大きくなるように規定することができる。同様に、第二の永久磁石のサイズも、或いはこの磁石のサイズだけは、この磁石の第二の方向(Y)における外寸だけが第二の方向(Y)における第二のセンサーフィールドの外寸よりも大きくなるように規定することができる。
【0033】
別の実施形態では、二つの永久磁石の幾何学的形状を同じ形に構成する、即ち、第一と第二の永久磁石の構造の形状、横断面の形状及び縁の長さを同じにすることができる。
【0034】
本発明の別の実施形態では、二つの永久磁石が同じエネルギー積を有する、即ち、第一の永久磁石のエネルギー積と第二の永久磁石のエネルギー積が同じ絶対値を有することができる。
【0035】
永久磁石のエネルギー積は、永久磁石の材料において同時に起こり得る磁束密度と磁界の強さの積の最大である。
【0036】
本発明の別の実施形態では、第二の方向(Y)における第一の空隙の外寸のサイズは、この外寸が少なくとも第二の方向(Y)における第三のセンサーフィールドの外寸に等しくなるように規定される。
【0037】
本発明の別の実施形態では、この目盛部品は、増分形態で構成された少なくとも一つの別の目盛トラックを有することができる。この別の目盛トラックは、同様に第一と第二の目盛トラックの間に配置することができ、その結果、第一、第二、第三及び別の目盛トラックが平行に第二の方向(Y)に間隔を開けて配置される。第三の方向(Z)において、この別の目盛トラックに対向して、少なくとも一つの別のセンサーフィールドを配置することもできる。この場合、このセンサーフィールドは、検出部品において、このフィールドによって目盛トラックを走査可能であるように構成される。この場合、第一の永久磁石は、第一のセンサーフィールドが第一の目盛トラックと第一の永久磁石の間に在るように、第一の目盛トラックに対して第三の方向(Z)にずれた形で配置される。これに加えて、或いはこれに代わって、第二の永久磁石は、第二のセンサーフィールドが第一の目盛トラックと第二の永久磁石の間に在るように、第二の目盛トラックに対して第三の方向(Z)にずれた形で配置される。この場合、少なくとも第三のセンサーフィールドと別のセンサーフィールドが、少なくとも第一と第二の方向の平面(XY平面)に関する磁力線の成分が均一である磁界の領域内に在って、この形成された磁界がこれらのセンサーフィールドを通り抜けることができるように、第一と第二の永久磁石の間の磁界が構成される。この場合、第一のセンサーフィールド、第二のセンサーフィールド、第三のセンサーフィールド及び別のセンサーフィールドは、一つの平面(XY平面)内に存在することができる。これに代わって、第一と第二のセンサーフィールドが第一の平面(XY平面)内に在り、第三と別のセンサーフィールドが第二の平面(XY平面)内に在る。この場合、第一の平面と第二の平面は、第三の方向(Z)の長さに関して異なる。
【0038】
以下において、更なる特徴と利点に関しても、添付した模式的な図面を参照して、実施例の記述に基づき本発明を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】角度測定装置としての実施形態による位置測定装置の側面図
図2】第一の実施例による位置測定装置の断面図
図3】目盛部品の平面図
図4A】磁界を模式的に図示した永久磁石の磁化方向の模式図
図4B】磁界を模式的に図示した永久磁石の磁化方向の模式図
図5】第一の実施例による位置測定装置の平面図
図6】第一の実施例による検出部品の前面図
図7A】第一の永久磁石の斜視図
図7B】簡略化した図面による第一のセンサーフィールドの斜視図
図8】第二の実施例による位置測定装置の平面図
図9】第三の実施例による位置測定装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下において、図面を参照して、本発明の幾つかの特別な実施構成を詳しく説明する。
【0041】
この場合、図1は、角度測定装置として構成された、本発明による目盛部品1と検出部品2を備えた位置測定装置を図示している。この位置測定装置の二つの主要な構成要素(目盛部品1と検出部品2)は、第三の方向Zに間隔を開けて配置されており、例えば、第一の方向Xに沿って互いに相対的に回転する形で動くことができる二つの機械部品と機械的に連結されており、これらの相対的な位置又は絶対的な位置(角度位置又は直線的な位置)が検出される。
【0042】
図2の第一の実施構成では、位置測定装置が、第一の目盛トラック1.1、第二の目盛トラック1.2及び第三の目盛トラック1.3を有する目盛部品1を備えている。この位置測定装置は、更に、少なくとも一つの第一のセンサーフィールド2.1、少なくとも一つの第二のセンサーフィールド2.2及び少なくとも一つの第三のセンサーフィールド2.3を有する検出部品2を備えている。これらのセンサーフィールド2.1,2.2,2.3は、一つの同じ平坦な基板4(例えば、ガラス基板)上に取り付けられた、磁気を検知する構造として構成することができる。この検出部品2は、更に、第一の永久磁石2.10と第二の永久磁石2.20及び図示されていない電子評価機器を有する。
【0043】
この有利な実施例では、三つのセンサーフィールド2.1,2.2,2.3は、磁気抵抗原理に基づき機能し、磁界検知層が目盛部品1の方を向いている。三つのセンサーフィールド2.1,2.2,2.3は、目盛トラック1.1,1.2,1.3に対向して第三の方向Zにずれた形で配置されており、その結果、第三の空隙Lが形成されている。有利には、直線的に構成された目盛部品1では、第三の方向Zにおける外寸がほぼ一定である形の第三の空隙L3が磁界検知層の面の上方に構成されるように、センサーフィールド2.1,2.2,2.3が配置される。ドラム形状の目盛部品1では、個々のセンサー面とその下に在る目盛トラックの間の第三の空隙L3の外寸が変化することができる。
【0044】
第一の永久磁石2.10は、第一の目盛トラック1.1に対向して第三の方向Zにずれた形で配置されており、その結果、この磁石は、基板4の裏側に対向して第一のセンサーフィールド2.1の領域内に配置されている。この場合、第一のセンサーフィールド2.1と第一の永久磁石2.10の間に第二の空隙Lを形成することができる。それと同様に、第二の永久磁石2.20は、第二の目盛トラック1.2に対向して第三の方向Zにずれた形で配置されており、その結果、この磁石は、第二のセンサーフィールド2.2の裏側に対向して配置されている。第二のセンサーフィールド2.2と第二の永久磁石2.20の間にも第二の空隙Lを形成することができる。第一の永久磁石2.10と第二の永久磁石の間には、第二の方向Yに第一の空隙Lが在る。
【0045】
図3から読み取ることができる通り、本発明の第一の実施構成による目盛部品1は、三つの目盛トラック1.1,1.2,1.3を有し、これらの中の二つが絶対形態で構成され、一つが増分形態で構成されている。この目盛部品1は、有利には、第三の目盛トラック1.3が第一の目盛トラック1.1と第二の目盛トラックの間に配置されるように構成されている。この目盛部品1の第一と第二の目盛トラック1.1,1.2は、それぞれ少なくとも一つの絶対磁気符号目盛を有し、この目盛は、例えば、この目盛が不規則な間隔による磁石のN極のエリアと磁石のS極のエリアを有し、これらのエリアが、個別に、或いは組み合わされて、例えば、疑似ランダムシーケンスの形の予め定義された位置情報を形成するように構成することができる。この目盛部品1の第三の目盛トラック1.3は、少なくとも一つの相対的に細かな増分磁気符号目盛を有し、この目盛は、例えば、交番するN極とS極を用いて、互いに規則的な間隔を開けた形で構成することができる。
【0046】
図3の目盛トラック1.1,1.2,1.3の符号目盛は、簡略化して、従って、単に模式的に図示されている。
【0047】
図4A,4Bは、本発明による位置測定装置の永久磁石2.10,2.20の磁化方向を図示している。この場合、永久磁石2.10,2.20は、二つの永久磁石の磁化方向が同じであり、その結果得られる磁界Bが少なくとも部分領域内において第一及び第二の方向の少なくとも一つの平面(XY平面)に関する成分が均一な形で第二の方向(Y方向)に形成されるように、即ち、第一の永久磁石2.10のN極側が第二の永久磁石2.20のS極側に対向して存在する(図4Aを参照)か、或いは第一の永久磁石2.10のS極側が第二の永久磁石2.20のN極側に対向して置かれる(図4Bを参照)ように配置されている。
【0048】
図5は、本発明による第一の実施例による位置測定装置を平面図で図示している。この場合、第一の永久磁石2.10は、(破線で表示された)第一のセンサーフィールド2.1に対して第一の方向Xにおける中央に、かつ第二の方向Yにおける中央に配置されており、第二の永久磁石2.20は、それと同様に同じく(破線で表示された)第二のセンサーフィールド2.2に対して第一の方向Xにおける中央に、かつ第二の方向Yにおける中央に配置されている。
【0049】
この場合、二つの永久磁石2.10,2.20のサイズは、これらの磁石がセンサーフィールド2.1,2.2を超えて突き出るように、即ち、特に、長さXPM及び幅YPMに関する永久磁石2.10,2.20の外寸がその下に在るセンサーフィールド2.1,2.2の長さX及び幅Yよりも大きくなるように規定されている。これに代わって、二つの永久磁石2.10,2.20は、それらの外寸(長さXPM,幅YPM)の中の一つだけがその下に在るセンサーフィールドのそれに対応する外寸(長さX,幅Y)よりも大きくなるように構成することができる。残る外寸は、その下に在るセンサーフィールドと同じにするか、或いはそれよりも小さくすることができる。
【0050】
二つの永久磁石2.10,2.20とその下に在るセンサーフィールド2.1,2.2,2.3は、これらの長手方向の縁(長さXPM又はX)が第一の方向Xに沿って平行に延びるとともに、その直角方向の縁(高さZPM又はZ)が第三の方向Zに対して平行に延びるような方向を向いている。
【0051】
図5の目盛トラック1.1,1.2,1.3の符号目盛は、簡略化して、従って、単に模式的に図示されている。
【0052】
図6に模式的に図示されている通り、第一と第二の永久磁石2.10,2.20の間には、磁界ベクトルによって示された磁力線の推移が特徴的な磁界Bが形成されている。特に、二つの永久磁石の上、下及び間に、第二の方向Yに延びる磁界ベクトルによって表示されている磁界が均一な領域が、第一と第二の方向の少なくとも一つの平面(XY平面)内に形成されている。この場合、センサーフィールド2.1,2.2,2.3は、有利には、これらのフィールドが磁界Bの作用領域内に存在するように、永久磁石に対して相対的に配置されている。
【0053】
第一の実施構成では、第一の永久磁石2.10は、第一のセンサーフィールド2.1に対して第三の方向Zにずれた形で配置されており、その結果、このセンサーフィールドは、第二の方向Y(Y方向)の方向ベクトルに基づく磁力線の推移がほぼ均一である磁界Bの第一と第二の方向の少なくとも一つの平面(XY平面)の領域内に在る。それと同様に、第二の永久磁石2.20は、第二のセンサーフィールド2.2に対して第三の方向Zにずれた形で配置されており、その結果、このセンサーフィールドは、同じく第二の方向Y(Y方向)の方向ベクトルに基づく磁力線の推移がほぼ均一である磁界Bの第一と第二の方向の少なくとも一つの平面(XY平面)の領域内に在る。この場合、第三のセンサーフィールド2.3は、このセンサーフィールドが第一と第二のセンサーフィールド2.1,2.2の平面内で、かつこれらのセンサーフィールドの間に置かれるように配置されており、その結果、このフィールドは、同じく第二の方向Y(Y方向)の方向ベクトルに基づく磁力線の推移がほぼ均一である磁界Bの第一と第二の方向の少なくとも一つの平面(XY平面)の領域内に在る。これらの均一な領域の局所的な状態に影響を与える制御量としては、特に、個々の永久磁石2.10,2.20の幾何学的形状、個々の永久磁石2.10,2.20のエネルギー積の選定及び第一の空隙L、これに加えて、或いはこれに代わって第二の空隙Lを使用することができる。
【0054】
図7Aから読み取ることができる通り、第一の永久磁石2.10は、横断面が長方形の棒磁石として造形することができ、長手方向の縁が長さXPMを定義し、その直角方向の縁が幅YPMと高さZPMを定義する。同様に、第二の永久磁石2.10は、第一の永久磁石2.10と同じ形状で構成することができ、同じく長手方向の縁が長さXPMを定義し、その直角方向の縁が第二の永久磁石2.20の幅YPMと高さZPMを定義する。
【0055】
図7Bでは、センサーフィールド1.1,1.2,1.3は、ほぼ直方体として規定することができ、長手方向の縁が長さXを定義し、その直角方向の縁が幅Yと高さZを定義する。この場合、Z≪X及びZ≪Yが成り立つ。
【0056】
図8は、本発明による位置測定装置の第二の実施構成を図示しており、この装置は、第一の目盛トラック1.1と第二の目盛トラック1.2の間に、かつ第三の目盛トラック1.3の傍に、増分形態で構成された少なくとも一つの別の目盛トラック1.4を更に有し、第三の方向Zには、この少なくとも一つの別の目盛トラック1.4に対向して、少なくとも一つの別のセンサーフィールド2.4が配置されている。この場合、第一と第二の永久磁石2.10,2.20の間の磁界Bは、第三のセンサーフィールド2.3と別のセンサーフィールド2.4の両方が、第二の方向Y(Y方向)の方向ベクトルに基づく磁力線の推移がほぼ均一である磁界Bの第一と第二の方向X,Yの少なくとも一つの平面(XY平面)の領域内に在るとともに、この形成された磁界Bがこれらのセンサーフィールドを通過できるように構成されている。この場合、第一のセンサーフィールド2.1,第二のセンサーフィールド2.2、第三のセンサーフィールド2.3及び別のセンサーフィールド2.4は、一つの平面(XY平面)内に在る。
【0057】
図8の目盛トラック1.1,1.2,1.3,1.4の符号目盛は、簡略化されており、従って、単に模式的に図示されている。
【0058】
図9の第三の実施構成では、センサーフィールド2.1,2.2が、第三の方向Zに互いに相対的に配置されており、その結果、第一のセンサーフィールド2.1が第一の目盛トラック1.1と第一の永久磁石2.10の間に配置され、第二のセンサーフィールド2.2が第二の目盛トラック1.2と第二の永久磁石2.20の間に配置され、これらの第一と第二のセンサーフィールド2.1,2.2が一つの平面(XY平面)内に在る。これらのセンサーフィールド2.1,2.2,2.3は、磁界検知構造として構成されており、センサーフィールド2.1,2.2,2.3毎に、独自の平坦な基板4が使用されている。これに代わって、第一と第二のセンサーフィールド2.1,2.2に対して、一つの平面(XY平面)内を平坦な形で延びる(図示されていない)同じ基板4を配備することもできる。
【0059】
第一の目盛トラック1.1と第一のセンサーフィールド2.1の間に、これに加えて、或いはこれに代わって、第二の目盛トラック1.2と第二のセンサーフィールド2.2の間に、第三の空隙Lが形成されている。第三のセンサーフィールド2.3は、第三の目盛トラック1.3に対して第三の方向Zにずれた形で配置されているが、この場合、第一と第二のセンサーフィールド2.1,2.2と共に一つの平面(XY平面)内には配置されていない。この場合、第三の目盛トラック1.3と第三のセンサーフィールド2.3の間に、第三の空隙L が形成されている。有利には、第三のセンサーフィールド2.3は、第二の方向Y(Y方向)の方向ベクトルに基づく第一と第二の永久磁石2.10,2.20の間の磁界Bが均一である第一と第二の方向X,Yの少なくとも一つの平面(XY平面)の領域内にこのセンサーフィールドが在るように配置されている。
【符号の説明】
【0060】
1 目盛部品
2 検出部品
1.1 第一の目盛トラック
1.2 第二の目盛トラック
1.3 第三の目盛トラック
1.4 別の目盛トラック
2.1 第一のセンサーフィールド
2.2 第二のセンサーフィールド
2.3 第三のセンサーフィールド
2.4 別のセンサーフィールド
2.10 第一の永久磁石
2.20 第二の永久磁石
4 基板
B 磁界
第一の空隙
第二の空隙
第三の空隙
別の第三の空隙
N N極
S S極
PM 永久磁石の長さ
PM 永久磁石の幅
PM 永久磁石の高さ
センサーフィールドの長さ
センサーフィールドの幅
センサーフィールドの高さ
X,Y,Z デカルト座標系の方向
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-02-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出部品(2)と、この検出部品(2)に対して相対的に第一の方向(X)に沿って移動可能な目盛部品(1)とを備えた位置測定装置であって、
この目盛部品(1)が、両方とも絶対形態で構成された第一の目盛トラック(1.1)及び第二の目盛トラック(1.2)と、増分形態で構成された第三の目盛トラック(1.3)とを有し、これらの三つの目盛トラック(1.1;1.2;1.3)が互いに平行に第二の方向(Y)に間隔を開けて配置されており、この第二の方向(Y)が第一の方向(X)に対して直角の方向を向いており、
この検出部品(2)が、第三の方向(Z)に第一の目盛トラック(1.1)に対向して配置された第一のセンサーフィールド(2.1)と、第三の方向(Z)に第二の目盛トラック(1.2)に対向して配置された第二のセンサーフィールド(2.2)と、第三の方向(Z)に第三の目盛トラック(1.3)に対向して配置された第三のセンサーフィールド(2.3)とを有し、この第三の方向(Z)が第二の方向(Y)に対して直角の方向を向くとともに、第一の方向(X)に対して直角の方向を向いており、これらのセンサーフィールド(2.1;2.2;2.3)が、これらのセンサーフィールドによって目盛トラック(1.1;1.2;1.3)を走査可能であるように構成され、
この検出部品(2)が、更に、第一のセンサーフィールド(2.1)に対向して第三の方向(Z)にずれた形で配置された第一の永久磁石(2.10)と、第二のセンサーフィールド(2.2)に対向して第三の方向(Z)にずれた形で配置された第二の永久磁石(2.20)とを有し、第二の方向(Y)において、これらの第一と第二の永久磁石の間に第一の空隙(L1)が在る、位置測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の位置測定装置において、
前記の第三の目盛トラック(1.3)が第一の目盛トラック(1.1)と第二の目盛トラック(1.2)の間に配置されている位置測定装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の位置測定装置において、
前記の二つの永久磁石(2.10;2.20)の磁化方向が同じである位置測定装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の位置測定装置において、
前記のセンサーフィールド(1.1;1.2;1.3)の長手方向の縁(X)が第一の方向(X)に対して平行な方向成分を有することと、前記の永久磁石(2.10;2.20)の極性方向が第一の方向(X)に対して直角の方向成分を有することとの中の一つ以上である位置測定装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の位置測定装置において、
前記の第一の永久磁石(2.10)は、第一のセンサーフィールド(2.1)が第一の目盛トラック(1.1)と第一の永久磁石(2.10)の間に在るように、第一の目盛トラック(1.1)に対して第三の方向(Z)にずれた形で配置されていることと、前記の第二の永久磁石(2.20)は、第二のセンサーフィールド(2.2)が第二の目盛トラック(1.2)と第二の永久磁石(2.20)の間に在るように、第二の目盛トラック(1.2)に対して第三の方向(Z)にずれた形で配置されていることとの中の一つ以上である位置測定装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の位置測定装置において、
第三の方向(Z)において、第一の永久磁石(2.10)と第一のセンサーフィールド(2.1)の間に第二の空隙(L)が形成されていることと、第三の方向(Z)において、第二の永久磁石(2.20)と第二のセンサーフィールド(2.2)の間に第二の空隙(L)が形成されていることとの中の一つ以上である位置測定装置。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の位置測定装置において、
前記の第一の永久磁石(2.10)が第一のセンサーフィールド(2.1)の裏側に配置されていることと、前記の第二の永久磁石(2.20)が第二のセンサーフィールド(2.2)の裏側に配置されていることとの中の一つ以上である位置測定装置。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の位置測定装置において、
前記の二つの永久磁石(2.10;2.20)の中の少なくとも一方が棒磁石として構成されている位置測定装置。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の位置測定装置において、
前記の二つの永久磁石(2.10;2.20)の長さ(XPM)、幅(YPM)及び高さ(ZPM)のサイズと、前記の第二の方向(Y)における第一の空隙(L)のサイズと、前記の第三の方向(Z)における第二の空隙(L)のサイズとの中の一つ以上が、少なくともセンサーフィールド(2.1;2.2;2.3)の領域内における少なくとも第二の方向(Y方向)に関する磁界(B)が均一に構成されるように規定されている位置測定装置。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の位置測定装置において、
前記の第一の永久磁石(2.10)のサイズが、この永久磁石が第一のセンサーフィールド(2.1)の外寸を超えて突き出るように規定されていることと、前記の第二の永久磁石(2.20)のサイズが、この永久磁石が第二のセンサーフィールド(2.2)の外寸を超えて突き出るように規定されていることとの中の一つ以上である位置測定装置。
【請求項11】
請求項10に記載の位置測定装置において、
前記の第一の永久磁石(2.10)のサイズが、この永久磁石の第二の方向(Y)における外寸だけが第二の方向(Y)における第一のセンサーフィールド(2.1)の外寸よりも大きいことと、前記の第二の永久磁石(2.10)のサイズが、この永久磁石の第二の方向(Y)における外寸だけが第二の方向(Y)における第二のセンサーフィールド(2.2)の外寸よりも大きいこととの中の一つ以上である位置測定装置。
【請求項12】
請求項1又は2に記載の位置測定装置において、
前記の二つの永久磁石(2.10;2.20)の幾何学的な形状が同一であるように構成されている位置測定装置。
【請求項13】
請求項1又は2に記載の位置測定装置において、
前記の二つの永久磁石(2.10;2.20)のエネルギー積が同じである位置測定装置。
【請求項14】
請求項1又は2に記載の位置測定装置において、
第二の方向(Y)における第一の空隙(L)の外寸が、少なくとも第二の方向(Y)における第三のセンサーフィールド(2.3)の外寸に等しい位置測定装置。
【請求項15】
請求項1又は2に記載の位置測定装置において、
前記の目盛部品(1)が少なくとも一つの別の目盛トラック(1.4)を有し、この目盛トラックが、増分形態で構成されて、第一の目盛トラック(1.1)と第二の目盛トラック(1.2)の間に配置されており、第三の方向(Z)に、この少なくとも一つの別の目盛トラック(1.4)に対向して、少なくとも一つの別のセンサーフィールド(2.4)が配置されている位置測定装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
第一の目盛トラック1.1と第一のセンサーフィールド2.1の間に、これに加えて、或いはこれに代わって、第二の目盛トラック1.2と第二のセンサーフィールド2.2の間に、第三の空隙Lが形成されている。第三のセンサーフィールド2.3は、第三の目盛トラック1.3に対して第三の方向Zにずれた形で配置されているが、この場合、第一と第二のセンサーフィールド2.1,2.2と共に一つの平面(XY平面)内には配置されていない。この場合、第三の目盛トラック1.3と第三のセンサーフィールド2.3の間に、第三の空隙L が形成されている。有利には、第三のセンサーフィールド2.3は、第二の方向Y(Y方向)の方向ベクトルに基づく第一と第二の永久磁石2.10,2.20の間の磁界Bが均一である第一と第二の方向X,Yの少なくとも一つの平面(XY平面)の領域内にこのセンサーフィールドが在るように配置されている。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下の構成も包含し得る:
1.
検出部品(2)と、この検出部品(2)に対して相対的に第一の方向(X)に沿って移動可能な目盛部品(1)とを備えた位置測定装置であって、
この目盛部品(1)が、両方とも絶対形態で構成された第一の目盛トラック(1.1)及び第二の目盛トラック(1.2)と、増分形態で構成された第三の目盛トラック(1.3)とを有し、これらの三つの目盛トラック(1.1;1.2;1.3)が互いに平行に第二の方向(Y)に間隔を開けて配置されており、この第二の方向(Y)が第一の方向(X)に対して直角の方向を向いており、
この検出部品(2)が、第三の方向(Z)に第一の目盛トラック(1.1)に対向して配置された第一のセンサーフィールド(2.1)と、第三の方向(Z)に第二の目盛トラック(1.2)に対向して配置された第二のセンサーフィールド(2.2)と、第三の方向(Z)に第三の目盛トラック(1.3)に対向して配置された第三のセンサーフィールド(2.3)とを有し、この第三の方向(Z)が第二の方向(Y)に対して直角の方向を向くとともに、第一の方向(X)に対して直角の方向を向いており、これらのセンサーフィールド(2.1;2.2;2.3)が、これらのセンサーフィールドによって目盛トラック(1.1;1.2;1.3)を走査可能であるように構成され、
この検出部品(2)が、更に、第一のセンサーフィールド(2.1)に対向して第三の方向(Z)にずれた形で配置された第一の永久磁石(2.10)と、第二のセンサーフィールド(2.2)に対向して第三の方向(Z)にずれた形で配置された第二の永久磁石(2.20)とを有し、第二の方向(Y)において、これらの第一と第二の永久磁石の間に第一の空隙(L1)が在る、位置測定装置。
2.
上記1に記載の位置測定装置において、
前記の第三の目盛トラック(1.3)が第一の目盛トラック(1.1)と第二の目盛トラック(1.2)の間に配置されている位置測定装置。
3.
上記1又は2に記載の位置測定装置において、
前記の二つの永久磁石(2.10;2.20)の磁化方向が同じである位置測定装置。
4.
上記1~3のいずれか1つに記載の位置測定装置において、
前記のセンサーフィールド(1.1;1.2;1.3)の長手方向の縁(X )が第一の方向(X)に対して平行な方向成分を有することと、前記の永久磁石(2.10;2.20)の極性方向が第一の方向(X)に対して直角の方向成分を有することとの中の一つ以上である位置測定装置。
5.
上記1~4のいずれか1つに記載の位置測定装置において、
前記の第一の永久磁石(2.10)は、第一のセンサーフィールド(2.1)が第一の目盛トラック(1.1)と第一の永久磁石(2.10)の間に在るように、第一の目盛トラック(1.1)に対して第三の方向(Z)にずれた形で配置されていることと、前記の第二の永久磁石(2.20)は、第二のセンサーフィールド(2.2)が第二の目盛トラック(1.2)と第二の永久磁石(2.20)の間に在るように、第二の目盛トラック(1.2)に対して第三の方向(Z)にずれた形で配置されていることとの中の一つ以上である位置測定装置。
6.
上記1~5のいずれか1つに記載の位置測定装置において、
第三の方向(Z)において、第一の永久磁石(2.10)と第一のセンサーフィールド(2.1)の間に第二の空隙(L )が形成されていることと、第三の方向(Z)において、第二の永久磁石(2.20)と第二のセンサーフィールド(2.2)の間に第二の空隙(L )が形成されていることとの中の一つ以上である位置測定装置。
7.
上記1~6のいずれか1つに記載の位置測定装置において、
前記の第一の永久磁石(2.10)が第一のセンサーフィールド(2.1)の裏側に配置されていることと、前記の第二の永久磁石(2.20)が第二のセンサーフィールド(2.2)の裏側に配置されていることとの中の一つ以上である位置測定装置。
8.
上記1~7のいずれか1つに記載の位置測定装置において、
前記の二つの永久磁石(2.10;2.20)の中の少なくとも一方が棒磁石として構成されている位置測定装置。
9.
上記1~8のいずれか1つに記載の位置測定装置において、
前記の二つの永久磁石(2.10;2.20)の長さ(X PM )、幅(Y PM )及び高さ(Z PM )のサイズと、前記の第二の方向(Y)における第一の空隙(L )のサイズと、前記の第三の方向(Z)における第二の空隙(L )のサイズとの中の一つ以上が、少なくともセンサーフィールド(2.1;2.2;2.3)の領域内における少なくとも第二の方向(Y方向)に関する磁界(B)が均一に構成されるように規定されている位置測定装置。
10.
上記1~9のいずれか1つに記載の位置測定装置において、
前記の第一の永久磁石(2.10)のサイズが、この永久磁石が第一のセンサーフィールド(2.1)の外寸を超えて突き出るように規定されていることと、前記の第二の永久磁石(2.20)のサイズが、この永久磁石が第二のセンサーフィールド(2.2)の外寸を超えて突き出るように規定されていることとの中の一つ以上である位置測定装置。
11.
上記10に記載の位置測定装置において、
前記の第一の永久磁石(2.10)のサイズが、この永久磁石の第二の方向(Y)における外寸だけが第二の方向(Y)における第一のセンサーフィールド(2.1)の外寸よりも大きいことと、前記の第二の永久磁石(2.10)のサイズが、この永久磁石の第二の方向(Y)における外寸だけが第二の方向(Y)における第二のセンサーフィールド(2.2)の外寸よりも大きいこととの中の一つ以上である位置測定装置。
12.
上記1~11のいずれか1つに記載の位置測定装置において、
前記の二つの永久磁石(2.10;2.20)の幾何学的な形状が同一であるように構成されている位置測定装置。
13.
上記1~12のいずれか1つに記載の位置測定装置において、
前記の二つの永久磁石(2.10;2.20)のエネルギー積が同じである位置測定装置。
14.
上記1~13のいずれか1つに記載の位置測定装置において、
第二の方向(Y)における第一の空隙(L )の外寸が、少なくとも第二の方向(Y)における第三のセンサーフィールド(2.3)の外寸に等しい位置測定装置。
15.
上記1~14のいずれか1つに記載の位置測定装置において、
前記の目盛部品(1)が少なくとも一つの別の目盛トラック(1.4)を有し、この目盛トラックが、増分形態で構成されて、第一の目盛トラック(1.1)と第二の目盛トラック(1.2)の間に配置されており、第三の方向(Z)に、この少なくとも一つの別の目盛トラック(1.4)に対向して、少なくとも一つの別のセンサーフィールド(2.4)が配置されている位置測定装置。
【外国語明細書】