(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132907
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】基板支持器及び基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20240920BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20240920BHJP
C23C 16/458 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/68 R
H01L21/302 101B
C23C16/458
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024024405
(22)【出願日】2024-02-21
(31)【優先権主張番号】P 2023042831
(32)【優先日】2023-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(72)【発明者】
【氏名】工藤 恭久
【テーマコード(参考)】
4K030
5F004
5F131
【Fターム(参考)】
4K030CA04
4K030CA12
4K030EA05
4K030EA06
4K030FA01
4K030GA02
4K030KA17
4K030KA18
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4K030KA41
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4K030KA47
4K030LA15
5F004BA09
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5F131EB31
5F131EB79
5F131EB82
(57)【要約】
【課題】基板支持器の基台にねじ穴を設ける技術を提供する。
【解決手段】開示される基板支持器は、基台、支持プレート、ねじアセンブリ、及び雄ねじを含む。基台は、脆性材料から形成されており、穴を有する。穴は、縦穴部と基台の内部で縦穴部から横方向に延びる少なくとも一つの横穴部とを含む。支持プレートは、その上に配置される基台を支持する。支持プレートには、縦穴部に通じる貫通孔が形成されている。ねじアセンブリは、複数の第1の部材及び第2の部材を含む。複数の第1の部材は、縦穴部の中で第1のねじ穴を形成し、それらの各々が、縦穴部及び横穴部の中に設けられている。第2の部材は、筒形状を有し、第1のねじ穴に螺合され、第1のねじ穴の中で第2のねじ穴を提供する。雄ねじは、貫通孔を通って、第2のねじ穴に螺合されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脆性材料から形成された基台であり、該基台の表面において開口し該基台の内部に延びる縦穴部と前記基台の内部で該縦穴部から横方向に延びる少なくとも一つの横穴部とを含む穴を有する、該基台と、
その上に配置される前記基台を支持する支持プレートであり、前記縦穴部に通じる貫通孔が形成された該支持プレートと、
前記基台の前記穴の中に配置されたねじアセンブリと、
前記ねじアセンブリに螺合される雄ねじと、
を備え、
前記ねじアセンブリは、
前記縦穴部の中で第1のねじ穴を形成する複数の第1の部材であり、各々が前記縦穴部及び前記横穴部の中に設けられた、該複数の第1の部材と、
筒形状を有し、前記第1のねじ穴に螺合され、且つ、該第1のねじ穴の中で第2のねじ穴を提供する第2の部材と、
を含み、
前記雄ねじは、前記貫通孔を通って、前記第2のねじ穴に螺合されている、
基板支持器。
【請求項2】
前記複数の第1の部材及び前記第2の部材の各々は、金属から形成されている、請求項1に記載の基板支持器。
【請求項3】
前記複数の第1の部材及び前記第2の部材の各々は、チタン、ステンレス、又はアルミニウムから形成されている、請求項2に記載の基板支持器。
【請求項4】
前記基台は、セラミック又は導電性セラミックから形成されている、請求項1~3の何れか一項に記載の基板支持器。
【請求項5】
前記基台は、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、又は金属基複合材を含む材料から形成されている、請求項4に記載の基板支持器。
【請求項6】
前記支持プレートは、絶縁性セラミックから形成されている、請求項1~3の何れか一項に記載の基板支持器。
【請求項7】
前記支持プレートは、酸化アルミニウムから形成されている、請求項6に記載の基板支持器。
【請求項8】
前記基台の前記穴は、前記少なくとも一つの横穴部として、前記縦穴部の周りで周方向に沿って配列された複数の横穴部を含む、請求項1~3の何れか一項に記載の基板支持器。
【請求項9】
前記基台の前記穴は、前記少なくとも一つの横穴部として、前記縦穴部の周りで周方向に延在する単一の環状の横穴部を含む、請求項1~3の何れか一項に記載の基板支持器。
【請求項10】
前記縦穴部の中で前記複数の第1の部材は、周方向に沿って複数の間隙と交互に配列されており、
前記複数の間隙は、接着剤で充填されている、
請求項1~3の何れか一項に記載の基板支持器。
【請求項11】
前記基台上に配置された静電チャックを更に備える、請求項1~3の何れか一項に記載の基板支持器。
【請求項12】
前記静電チャックは、静電電極を含み、
前記基台及び前記支持プレートには、前記静電電極に向けて延びており、且つ、前記静電電極に直流電源を接続するための給電線が通る孔が形成されている、
請求項11に記載の基板支持器。
【請求項13】
前記静電チャックは、バイアス電極を含み、
前記基台及び前記支持プレートには、前記バイアス電極に向けて延びており、且つ、前記バイアス電極にバイアス電源を接続するための給電線が通る孔が形成されている、
請求項11に記載の基板支持器。
【請求項14】
前記静電チャックと前記基台とは、金属接合により互いに接合されている、請求項11に記載の基板支持器。
【請求項15】
前記雄ねじと前記支持プレートとの間に配置されたベアリングを更に備える、請求項1~3の何れか一項に記載の基板支持器。
【請求項16】
チャンバと、
請求項1~3の何れか一項に記載された基板支持器であり、前記チャンバ内に設けられた基板支持器と、
を備える基板処理装置。
【請求項17】
プラズマ処理装置である、請求項16に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、基板支持器及び基板処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマ処理装置のような基板処理装置は、チャンバ内に設けられた載置台、即ち基板支持器を有する。基板支持器は、基台を含む。下記の特許文献1は、セラミックから形成された基台を開示している。基台には、ねじ穴が形成されることがあるが、セラミックのような脆性材料から形成された基台のねじ溝は、破損することがある。下記の特許文献2は、セラミック部材の穴の中にねじ穴を有する筒状部材を挿入することにより、セラミック部材にねじ穴を提供する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-160790号公報
【特許文献2】特開平8-217528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板支持器の基台にねじ穴を設ける技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの例示的実施形態において、基板支持器が提供される。基板支持器は、基台、支持プレート、ねじアセンブリ、及び雄ねじを含む。基台は、脆性材料から形成されている。基台は、穴を有する。穴は、基台の表面において開口し、基台の内部に延びる縦穴部と基台の内部で縦穴部から横方向に延びる少なくとも一つの横穴部とを含む。支持プレートは、その上に配置される基台を支持する。支持プレートには、縦穴部に通じる貫通孔が形成されている。ねじアセンブリは、複数の第1の部材及び第2の部材を含む。複数の第1の部材は、縦穴部の中で第1のねじ穴を形成する。複数の第1の部材の各々は、縦穴部及び横穴部の中に設けられている。第2の部材は、筒形状を有し、第1のねじ穴に螺合され、且つ、第1のねじ穴の中で第2のねじ穴を提供する。雄ねじは、貫通孔を通って、第2のねじ穴に螺合されている。
【発明の効果】
【0006】
一つの例示的実施形態によれば、基板支持器の基台にねじ穴として、基台から分離し難い第2のねじ穴が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】プラズマ処理システムの構成例を説明するための図である。
【
図2】容量結合型のプラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。
【
図3】一つの例示的実施形態に係る基板支持器を示す断面図である。
【
図4】一つの例示的実施形態に係る基板支持器のねじアセンブリを示す平面図である。
【
図5】一つの例示的実施形態に係る基板支持器のねじアセンブリを示す断面図である。
【
図6】別の一つの例示的実施形態に係る基板支持器のねじアセンブリを示す平面図である。
【
図7】別の例示的実施形態に係る基板支持器を示す断面図である。
【
図8】更に別の例示的実施形態に係る基板支持器の部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0009】
図1は、プラズマ処理システムの構成例を説明するための図である。一実施形態において、プラズマ処理システムは、プラズマ処理装置1及び制御部2を含む。プラズマ処理システムは、基板処理システムの一例であり、プラズマ処理装置1は、基板処理装置の一例である。プラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、基板支持器11及びプラズマ生成部12を含む。プラズマ処理チャンバ10は、プラズマ処理空間を有する。また、プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間に供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。ガス供給口は、後述するガス供給部20に接続され、ガス排出口は、後述する排気システム40に接続される。基板支持器11は、プラズマ処理空間内に配置され、基板を支持するための基板支持面を有する。
【0010】
プラズマ生成部12は、プラズマ処理空間内に供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマを生成するように構成される。プラズマ処理空間において形成されるプラズマは、容量結合プラズマ(CCP:CapacitivelyCoupled Plasma)、誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)、ECRプラズマ(Electron-Cyclotron-Resonance Plasma)、ヘリコン波励起プラズマ(HWP:Helicon Wave Plasma)、又は、表面波プラズマ(SWP:Surface Wave Plasma)等であってもよい。また、AC(Alternating Current)プラズマ生成部及びDC(DirectCurrent)プラズマ生成部を含む、種々のタイプのプラズマ生成部が用いられてもよい。一実施形態において、ACプラズマ生成部で用いられるAC信号(AC電力)は、100kHz~10GHzの範囲内の周波数を有する。従って、AC信号は、RF(RadioFrequency)信号及びマイクロ波信号を含む。一実施形態において、RF信号は、100kHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。
【0011】
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1に含まれてもよい。制御部2は、処理部2a1、記憶部2a2及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aにより実現される。処理部2a1は、記憶部2a2からプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することにより種々の制御動作を行うように構成され得る。このプログラムは、予め記憶部2a2に格納されていてもよく、必要なときに、媒体を介して取得されてもよい。取得されたプログラムは、記憶部2a2に格納され、処理部2a1によって記憶部2a2から読み出されて実行される。媒体は、コンピュータ2aに読み取り可能な種々の記憶媒体であってもよく、通信インターフェース2a3に接続されている通信回線であってもよい。処理部2a1は、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1との間で通信してもよい。
【0012】
以下に、プラズマ処理装置1の一例としての容量結合型のプラズマ処理装置の構成例について説明する。
図2は、容量結合型のプラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。
【0013】
容量結合型のプラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持器11及びガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッド13を含む。基板支持器11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。シャワーヘッド13は、基板支持器11の上方に配置される。一実施形態において、シャワーヘッド13は、プラズマ処理チャンバ10の天部(ceiling)の少なくとも一部を構成する。プラズマ処理チャンバ10は、シャワーヘッド13、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a及び基板支持器11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。プラズマ処理チャンバ10は接地される。シャワーヘッド13及び基板支持器11は、プラズマ処理チャンバ10の筐体とは電気的に絶縁される。
【0014】
基板支持器11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板Wを支持するための中央領域111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域111bとを有する。ウェハは基板Wの一例である。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。従って、中央領域111aは、基板Wを支持するための基板支持面とも呼ばれ、環状領域111bは、リングアセンブリ112を支持するためのリング支持面とも呼ばれる。
【0015】
一実施形態において、本体部111は、基台1110及び静電チャック1111を含む。基台1110は、導電性部材を含む。基台1110の導電性部材は下部電極として機能し得る。静電チャック1111は、基台1110の上に配置される。静電チャック1111は、セラミック部材1111aとセラミック部材1111a内に配置される静電電極1111bとを含む。セラミック部材1111aは、中央領域111aを有する。一実施形態において、セラミック部材1111aは、環状領域111bも有する。なお、環状静電チャックや環状絶縁部材のような、静電チャック1111を囲む他の部材が環状領域111bを有してもよい。この場合、リングアセンブリ112は、環状静電チャック又は環状絶縁部材の上に配置されてもよく、静電チャック1111と環状絶縁部材の両方の上に配置されてもよい。また、後述するRF電源31及び/又はDC電源32に結合される少なくとも1つのRF/DC電極がセラミック部材1111a内に配置されてもよい。この場合、少なくとも1つのRF/DC電極が下部電極として機能する。後述するバイアスRF信号及び/又はDC信号が少なくとも1つのRF/DC電極に供給される場合、RF/DC電極はバイアス電極とも呼ばれる。なお、基台1110の導電性部材と少なくとも1つのRF/DC電極とが複数の下部電極として機能してもよい。また、静電電極1111bが下部電極として機能してもよい。従って、基板支持器11は、少なくとも1つの下部電極を含む。
【0016】
リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。一実施形態において、1又は複数の環状部材は、1又は複数のエッジリングと少なくとも1つのカバーリングとを含む。エッジリングは、導電性材料又は絶縁材料で形成され、カバーリングは、絶縁材料で形成される。
【0017】
また、基板支持器11は、静電チャック1111、リングアセンブリ112及び基板のうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路1110a、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路1110aには、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。一実施形態において、流路1110aが基台1110内に形成され、1又は複数のヒータが静電チャック1111のセラミック部材1111a内に配置される。また、基板支持器11は、基板Wの裏面と中央領域111aとの間の間隙に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
【0018】
シャワーヘッド13は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッド13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス拡散室13b、及び複数のガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス拡散室13bを通過して複数のガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。また、シャワーヘッド13は、少なくとも1つの上部電極を含む。なお、ガス導入部は、シャワーヘッド13に加えて、側壁10aに形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0019】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してシャワーヘッド13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する少なくとも1つの流量変調デバイスを含んでもよい。
【0020】
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、少なくとも1つのRF信号(RF電力)を少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ生成部12の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を少なくとも1つの下部電極に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
【0021】
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、10MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給される。
【0022】
第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。バイアスRF信号の周波数は、ソースRF信号の周波数と同じであっても異なっていてもよい。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号の周波数よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、100kHz~60MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、少なくとも1つの下部電極に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0023】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、第1のDC生成部32a及び第2のDC生成部32bを含む。一実施形態において、第1のDC生成部32aは、少なくとも1つの下部電極に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のDC信号は、少なくとも1つの下部電極に印加される。一実施形態において、第2のDC生成部32bは、少なくとも1つの上部電極に接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、少なくとも1つの上部電極に印加される。
【0024】
種々の実施形態において、第1及び第2のDC信号がパルス化されてもよい。この場合、電圧パルスのシーケンスが少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に印加される。電圧パルスは、矩形、台形、三角形又はこれらの組み合わせのパルス波形を有してもよい。一実施形態において、DC信号から電圧パルスのシーケンスを生成するための波形生成部が第1のDC生成部32aと少なくとも1つの下部電極との間に接続される。従って、第1のDC生成部32a及び波形生成部は、電圧パルス生成部を構成する。第2のDC生成部32b及び波形生成部が電圧パルス生成部を構成する場合、電圧パルス生成部は、少なくとも1つの上部電極に接続される。電圧パルスは、正の極性を有してもよく、負の極性を有してもよい。また、電圧パルスのシーケンスは、1周期内に1又は複数の正極性電圧パルスと1又は複数の負極性電圧パルスとを含んでもよい。なお、第1及び第2のDC生成部32a,32bは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第1のDC生成部32aが第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0025】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0026】
以下、
図3~
図5を参照して、一つの例示的実施形態に係る基板支持器について説明する。
図3は、一つの例示的実施形態に係る基板支持器を示す断面図である。
図4は、一つの例示的実施形態に係る基板支持器のねじアセンブリを示す平面図である。
図4は、一つの例示的実施形態に係る基板支持器の基台を下方から視た状態を示している。
図5は、一つの例示的実施形態に係る基板支持器のねじアセンブリを示す断面図である。
【0027】
図3に示す基板支持器11は、プラズマ処理装置1の基板支持器11として利用され得る。
図3に示すように、基板支持器11は、基台1110、支持プレート1112、少なくとも一つのねじアセンブリ50、及び少なくとも一つの雄ねじ60(又はボルト)を備えている。基板支持器11は、静電チャック1111を更に備えていてもよい。また、基板支持器11は、支持部材1113を更に備えていてもよい。
【0028】
基台1110は、セラミックのような脆性材料から形成されている。一実施形態において、基台1110は、導電性セラミックから形成されている。導電性セラミックとしては、セラミックを母材として金属などの導電性粒子を配合した材料又は金属を母材としてセラミックを配合した金属基複合材(MMC:Metal Matrix Composites)が挙げられる。基台1110を構成する金属は、シリコン、アルミニウム、チタン、タングステン、及びモリブデンからなる群から選択される少なくとも一つを含んでいてもよい。基台1110を構成するセラミックは、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、及び炭化ケイ素からなる群から選択される少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0029】
図4及び
図5に示すように、基台1110は、少なくとも一つの穴1110hを提供している。少なくとも一つの穴1110hの中には、少なくとも一つのねじアセンブリ50が配置されている。
図3に示す例では、基台1110は、複数の穴1110hを提供している。複数の穴1110hの中には、複数のねじアセンブリ50がそれぞれ配置されている。
【0030】
複数の穴1110hは、基台1110の中心軸線に対して周方向に沿って配列されていてもよい。複数の穴1110hの各々は、縦穴部1110v及び少なくとも一つの横穴部1110tを含んでいる。
図4及び
図5に示す例では、複数の穴1110hの各々は、縦穴部1110vの周りで周方向に沿って配列された複数の横穴部1110tを含んでいる。複数の穴1110hの各々の横穴部1110tの個数は、ねじアセンブリ50の後述する複数の第1の部材51の個数と同数である。
【0031】
縦穴部1110vは、基台1110の表面において開口し、基台1110の内部に延びている。図示された例では、縦穴部1110vは、基台1110の下面において開口しており、基台1110の内部まで上方へ延びている。複数の横穴部1110tは、基台1110の表面よりも内部に形成されている。複数の横穴部1110tは、基台1110の内部で縦穴部1110vから横方向又は縦穴部1110vの中心軸線に対して放射方向に延びている。
【0032】
支持プレート1112は、その上に配置される基台1110を支持している。支持プレート1112は、略円盤形状を有している。一実施形態において、支持プレート1112は、絶縁性セラミックから形成されている。支持プレート1112を構成する絶縁性セラミックは、例えば酸化アルミニウム又は炭化ケイ素である。
【0033】
支持プレート1112は、少なくとも一つの貫通孔1112tを提供している。
図3に示す例では、支持プレート1112は、複数の貫通孔1112tを提供している。複数の貫通孔1112tは、支持プレート1112の中心軸線に対して周方向に沿って配列されていてもよい。複数の貫通孔1112tはそれぞれ、複数の穴1110hの縦穴部1110vに整列されている。複数の貫通孔1112tの各々は、複数の穴1110hのうち対応する穴1110hの縦穴部1110vに通じている。
【0034】
図示された例において、プラズマ処理装置1は、少なくとも一つの雄ねじ60として、複数の雄ねじ60を備えている。複数の雄ねじ60の各々は、複数の貫通孔1112tのうち対応する貫通孔1112tを通って、対応するねじアセンブリ50のねじ穴に螺合されている。複数の雄ねじ60の各々が、対応するねじアセンブリ50のねじ穴に螺合されることにより、基台1110は、支持プレート1112に固定される。なお、ねじアセンブリ50の詳細については、後述する。
【0035】
支持プレート1112は、支持部材1113上に配置されており、支持部材1113によって支持されている。支持部材1113は、チャンバ10の底部上に配置されており、チャンバ10の底部から上方に延びている。支持部材1113は、略円筒形状を有していてもよい。支持部材1113は、絶縁性材料から形成されている。支持部材1113は、脆性材料から形成されていてもよい。支持部材1113は、酸化アルミニウムのような絶縁性セラック又は石英から形成されていてもよい。
【0036】
基台1110及び支持プレート1112は、支持部材1113に通じる複数の貫通孔を提供していてもよい。これら貫通孔は、基台1110の中心軸線の周りで周方向にそって配列されていてもよい。基板支持器11は、これらの貫通孔を通って支持部材1113のねじ穴に螺合される複数のねじ70(又はボルト)を有していてもよい。複数のねじ70が支持部材1113の複数のねじ穴に螺合されることにより、基台1110及び支持プレート1112は、支持部材1113に固定される。なお、支持部材1113は、支持部材1113のための複数のねじ穴に代えて、複数の穴を提供していてもよく、これら穴の中にはねじアセンブリ50と同様のねじアセンブリ72が設けられていてもよい。この場合には、複数のねじ70は、ねじアセンブリ72のねじ穴(後述するねじアセンブリ50の第2のねじ穴と同様のねじ穴)に螺合される。
【0037】
支持プレート1112は、貫通孔1112hを更に提供している。貫通孔1112hは、支持プレート1112の中心軸線上で延びていてもよい。基台1110には、支持プレート1112の下方の空間から貫通孔1112hを通って延びる給電線301Lが接続されている。基台1110には、給電線301Lを介して高周波電源301が接続されている。高周波電源301は、プラズマ生成用の高周波電源であり、上述の第1のRF生成部31aである。即ち、高周波電源301は、プラズマ生成用のソースRF電力を基台1110に供給する。高周波電源301は、整合器301mを介して基台1110に接続されていてもよい。なお、高周波電源301から出力される高周波電流は、表皮効果により基台1110の表面を流れる。したがって、基台1110の下面、側面および上面に、基台1110の材質よりも導電性が高い材質の導電層を形成してもよい。導電層は、基台1110に対して、アルミニウムなどの金属を溶射することにより形成することができる。
【0038】
プラズマ処理装置1は、支持プレート1112及び支持部材1113が絶縁性材料で形成される場合に、基台1110を支持プレート1112の下方の空間から電気的に分離することができる。
【0039】
図3に示すように、静電チャック1111は、基台1110上に設けられている。静電チャック1111は、基台1110の上面に接合されている。静電チャック1111は、ロウ材のような金属を用いた金属接合により基台1110に接合されていてもよい。或いは、静電チャック1111は、有機接着剤のような接着剤により基台1110に接合されていてもよい。
【0040】
静電チャック1111は、上述したように、セラミック部材1111a及び静電電極1111bを含んでいる。セラミック部材1111aは、略円盤形状を有している。静電電極1111bは、上述の中央領域111aの下方、且つ、セラミック部材1111a内に設けられている。静電電極1111bは、導電性材料から形成された膜であってもよく、略円形状を有していてもよい。
【0041】
静電チャック1111、基台1110、及び支持プレート1112は、支持プレート1112の下面から静電電極1111bまで延びる孔11aを提供している。静電電極1111bには、支持プレート1112の下方の空間から孔11aを通って延びる給電線300Lが接続されている。静電電極1111bには、給電線300L及びスイッチ300sを介して直流電源300が接続されている。直流電源300からの直流電圧が、静電電極1111bに印加されると、静電チャック1111と基板Wとの間で静電引力が発生する。発生した静電引力により、基板Wは、静電チャック1111に引き付けられて、静電チャック1111によって保持される。
【0042】
静電チャック1111は、バイアス電極1111cを更に含んでいてもよい。バイアス電極1111cは、セラミック部材1111a内に設けられている。バイアス電極1111cは、静電電極1111bの下方に設けられ得る。バイアス電極1111cは、導電性材料から形成された膜であってもよく、略円形状を有していてもよい。
【0043】
静電チャック1111、基台1110、及び支持プレート1112は、支持プレート1112の下面からバイアス電極1111cまで延びる孔11bを更に提供している。バイアス電極1111cには、支持プレート1112の下方の空間から孔11bを通って延びる給電線302Lが接続されている。バイアス電極1111cには、給電線302Lを介してバイアス電源302が接続されている。バイアス電源302は、上述の第2のRF生成部31b又は第1のDC生成部32aであり得る。即ち、バイアス電極1111cには、バイアスRF電力が供給されるか、パルス化された第1のDC信号が周期的に供給される。バイアス電源302は、それが第2のRF生成部31bである場合には、整合器302mを介してバイアス電極1111cに接続されていてもよい。また、高周波電源301を基台1110に接続せず、バイアス電源302と共にバイアス電極1111cに接続してもよい。
【0044】
以下、
図4及び
図5を参照して、ねじアセンブリ50について詳細に説明する。ねじアセンブリ50は、複数の第1の部材51及び第2の部材52を含んでいる。一実施形態において、ねじアセンブリ50を構成する複数の第1の部材51の個数は、三つであるが、二つ以上の任意の個数であってもよい。
【0045】
複数の第1の部材51の各々は、金属から形成され得る。複数の第1の部材51の各々は、チタン、ステンレス、又はアルミニウムから形成されていてもよい。複数の第1の部材51は、穴1110hの中で周方向に沿って配列されている。複数の第1の部材51の各々は、対応する穴1110hの縦穴部1110v及び横穴部1110tの中に配置されている。複数の第1の部材51は、対応する縦穴部1110vの中で第1のねじ穴51fを形成している。
【0046】
複数の第1の部材51の各々は、第1の部分51a及び第2の部分51bを含んでいる。複数の第1の部材51それぞれの第1の部分51aは、縦穴部1110vの中に配置されており、縦穴部1110vを画成する壁面に沿って延びている。第2の部分51bの横方向の長さは、穴1110hの縦穴部1110vの直径および貫通孔1112tの直径よりも短い。複数の第1の部材51それぞれの第1の部分51aは、縦穴部1110vの中で周方向に沿って配列されている。即ち、複数の第1の部材51それぞれの第1の部分51aは、縦穴部1110vに嵌合する筒状体を周方向に分割することにより得られる複数の要素のうち幾つかを構成している。複数の第1の部材51それぞれの第1の部分51aは、縦穴部1110vの中で第1のねじ穴51fを形成している。ねじアセンブリ50は複数の第1の部材51に分割されており、また第1の部材51の第2の部分51bの横方向の長さが穴1110hの縦穴部1110vの直径および貫通孔1112tの直径よりも短い。よって、第1の部材を縦穴部1110vおよび貫通孔1112tに挿入することが可能となり、容易に第1のねじ穴51fを形成することができる。
【0047】
複数の第1の部材51それぞれの第2の部分51bは、第1の部分51aから横方向に突き出しており、対応する穴1110hの複数の横穴部1110tの中に配置されている。複数の第1の部材51それぞれの第2の部分51bが複数の横穴部1110tの中に配置された状態では、複数の第1の部材51が穴1110hから抜け出ることが防止される。
【0048】
第2の部材52は、金属から形成され得る。第2の部材52は、チタン、ステンレス、又はアルミニウムから形成されていてもよい。第2の部材52は、略筒形状を有している。第2の部材52の外周面には、ねじ溝52m(雄ねじ溝)が形成されている。第2の部材52は、第1のねじ穴51fに螺合されている。第2の部材52が第1のねじ穴51fに螺合されると、複数の第1の部材51それぞれの第1の部分51aは、第2の部材52により放射方向に押されて、縦穴部1110vを画成する壁面に当接する。第2の部材52は、その内周面により第2のねじ穴52fを形成している。上述の雄ねじ60は、第2のねじ穴52fに螺合される。
【0049】
一実施形態においては、複数の第1の部材51それぞれの第1の部分51aは、縦穴部1110vの中で周方向に沿って複数の間隙と交互に配置されている。これらの間隙は、第2の部材52が第1のねじ穴51fに螺合されている状態で、接着剤53で充填されている。接着剤は、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、又はシリコーン系接着剤のような有機接着剤であってもよい。
【0050】
以上説明したように、基板支持器11では、そのねじ穴として、第2のねじ穴52fがねじアセンブリ50によって提供される。基板支持器11では、ねじアセンブリ50の第1の部材51の第2の部分51bが基台1110の横穴部1110tの中に配置されるので、ねじアセンブリ50が基板支持器11から分離し難くなっている。したがって、基板支持器11によれば、基板支持器11から分離し難い第2のねじ穴が基板支持器11とは別の部材によって提供される。また、複数の第1の部材51及び第2の部材52を金属によって構成することにより、破損し難いねじ穴が基板支持器11にもたらされる。
【0051】
以下、
図6を参照する。
図6は、別の一つの例示的実施形態に係る基板支持器のねじアセンブリを示す平面図である。
図6は、一つの例示的実施形態に係る基板支持器の基台を下方から視た状態を示している。
図6に示すように、穴1110hは、少なくとも一つの横穴部1110tとして、単一の横穴部1110tを有していてもよい。単一の横穴部1110tは、縦穴部1110vから放射方向に延びており、縦穴部1110vの周りで周方向に延在している。単一の横穴部1110tは、縦穴部1110vの周りで環状に連なっていてもよい。
図6に示す例では、単一の横穴部1110tの中には、複数の第1の部材51それぞれの第2の部分51bが配置される。
【0052】
以下、
図7を参照する。
図7は、別の例示的実施形態に係る基板支持器を示す断面図である。
図7に示す基板支持器11Aは、プラズマ処理装置1の基板支持器11として採用される。以下、基板支持器11Aについて、基板支持器11に対する相違点の観点から説明する。
【0053】
基板支持器11Aにおいて、基台1110及び静電チャック1111の直径は、支持プレート1112の直径よりも小さい。基板支持器11Aは、スペーサ170を更に含んでいる。スペーサ170は、基台1110の外を囲むように、リングアセンブリ112と支持プレート1112との間に配置されている。基板支持器11Aにおいて、複数のねじ70が通る複数の貫通穴は、支持プレート1112だけを貫通している。複数のねじ70が、支持部材1113の複数のねじ穴に螺合されることにより、支持プレート1112は、支持部材1113に固定される。複数のねじ70は、ねじアセンブリ72のねじ穴に螺合されてもよい。
【0054】
以下、
図8を参照する。
図8は、更に別の例示的実施形態に係る基板支持器の部分拡大断面図である。
図8に示す構造は、基板支持器11又は基板支持器11Aにおいて採用され得る。
図8に示す構造では、雄ねじ60の頭部と支持プレート1112との間に、ベアリング90が配置されている。また、
図8に示す構造では、貫通孔1112tを画成する面と雄ねじ60との間に隙間が生じるように、貫通孔1112tの幅(又は直径)が設定されている。基台1110と支持プレート1112が互いに異なる材料から形成されている場合には、基板支持器の温度変化が生じると、基台1110と支持プレート1112の間の熱膨張係数の差に起因して、基板支持器の反り及び/又は雄ねじ60のゆるみが生じ得る。
図8に示す構造では、基台1110の熱膨張と支持プレート1112の熱膨張との間で差が生じても、ベアリング90により雄ねじ60が貫通孔1112tを画成する面と雄ねじ60との間の隙間においてスライドするので、基板支持器の反り及び/又は雄ねじ60のゆるみが抑制される。なお、基板支持器11においてはねじ70の頭部と基台1110との間に、基板支持器11Aにおいてはねじ70の頭部と支持プレート1112との間に、ベアリングが設けられていてもよい。
【0055】
次に、基板支持器11または基板支持器11Aの組み立て方法について説明する。まず、穴1110h(単一または複数の横穴部1110tおよび縦穴部1110v)が設けられた基台1110を用意する。次に、基台1110の穴1110hと、支持プレート1112の貫通孔1112tとの位置を合わせる。次に、第1の部材51を貫通孔1112tに挿入し、第2の部分51bを横穴部1110tに配置する。次に、複数の第1の部材51により第1のねじ穴51fを形成し、第2の部材52を螺合する。第1の部材の隙間に接着剤を充填させた後に、雄ねじ60を第2の部材に螺合させることにより、基台1110と支持プレート1112が固定される。なお、
図8に示すように、ベアリング90を配置してから、雄ねじ60を第2の部材に螺合させてもよい。その後、静電チャック1111を基台1110に接合し、支持プレート1112を支持部材1113に固定する。なお、静電チャック1111と基台1110の接合および/または支持プレート1112と支持部材1113の固定は、基台1110と支持プレート1112の固定の前に行ってもよい。
【0056】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な追加、省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
【0057】
例えば、他の実施形態において、支持プレート1112は、導電性を有していてもよく、アルミニウムのような金属又は導電性材料から形成されていてもよい。
【0058】
ここで、本開示に含まれる種々の例示的実施形態を、以下の[E1]~[E17]に記載する。
【0059】
[E1]
脆性材料から形成された基台であり、該基台の表面において開口し該基台の内部に延びる縦穴部と前記基台の内部で該縦穴部から横方向に延びる少なくとも一つの横穴部とを含む穴を有する、該基台と、
その上に配置される前記基台を支持する支持プレートであり、前記縦穴部に通じる貫通孔が形成された該支持プレートと、
前記基台の前記穴の中に配置されたねじアセンブリと、
前記ねじアセンブリに螺合される雄ねじと、
を備え、
前記ねじアセンブリは、
前記縦穴部の中で第1のねじ穴を形成する複数の第1の部材であり、各々が前記縦穴部及び前記横穴部の中に設けられた、該複数の第1の部材と、
筒形状を有し、前記第1のねじ穴に螺合され、且つ、該第1のねじ穴の中で第2のねじ穴を提供する第2の部材と、
を含み、
前記雄ねじは、前記貫通孔を通って、前記第2のねじ穴に螺合されている、
基板支持器。
【0060】
[E2]
前記複数の第1の部材及び前記第2の部材の各々は、金属から形成されている、E1に記載の基板支持器。
【0061】
[E3]
前記複数の第1の部材及び前記第2の部材の各々は、チタン、ステンレス、又はアルミニウムから形成されている、E2に記載の基板支持器。
【0062】
[E4]
前記基台は、セラミック又は導電性セラミックから形成されている、E1~E3の何れか一項に記載の基板支持器。
【0063】
[E5]
前記基台は、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、又は金属基複合材を含む材料から形成されている、E4に記載の基板支持器。
【0064】
[E6]
前記支持プレートは、絶縁性セラミックから形成されている、E1~E5の何れか一項に記載の基板支持器。
【0065】
[E7]
前記支持プレートは、酸化アルミニウムから形成されている、E6に記載の基板支持器。
【0066】
[E8]
前記基台の前記穴は、前記少なくとも一つの横穴部として、前記縦穴部の周りで周方向に沿って配列された複数の横穴部を含む、E1~E7の何れか一項に記載の基板支持器。
【0067】
[E9]
前記基台の前記穴は、前記少なくとも一つの横穴部として、前記縦穴部の周りで周方向に延在する単一の環状の横穴部を含む、E1~E7の何れか一項に記載の基板支持器。
【0068】
[E10]
前記縦穴部の中で前記複数の第1の部材は、周方向に沿って複数の間隙と交互に配列されており、
前記複数の間隙は、接着剤で充填されている、
E1~E9の何れか一項に記載の基板支持器。
【0069】
[E11]
前記基台上に配置された静電チャックを更に備える、E1~E10の何れか一項に記載の基板支持器。
【0070】
[E12]
前記静電チャックは、静電電極を含み、
前記基台及び前記支持プレートには、前記静電電極に向けて延びており、且つ、前記静電電極に直流電源を接続するための給電線が通る孔が形成されている、
E11に記載の基板支持器。
【0071】
[E13]
前記静電チャックは、バイアス電極を含み、
前記基台及び前記支持プレートには、前記バイアス電極に向けて延びており、且つ、前記バイアス電極にバイアス電源を接続するための給電線が通る孔が形成されている、
E11又はE12に記載の基板支持器。
【0072】
[E14]
前記静電チャックと前記基台とは、金属接合により互いに接合されている、E11~E13の何れか一項に記載の基板支持器。
【0073】
[E15]
前記雄ねじと前記支持プレートとの間に配置されたベアリングを更に備える、E1~E14の何れか一項に記載の基板支持器。
【0074】
[E17]
チャンバと、
E1~E15の何れか一項に記載された基板支持器であり、前記チャンバ内に設けられた基板支持器と、
を備える基板処理装置。
【0075】
[E17]
プラズマ処理装置である、E16に記載の基板処理装置。
【0076】
以上の説明から、本開示の種々の実施形態は、説明の目的で本明細書で説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0077】
1…プラズマ処理装置、10…チャンバ、11…基板支持器、1110…基台、1110h…穴、1110v…縦穴部、1110t…横穴部、1111…静電チャック、1112…支持プレート、1112t…貫通孔、50…ねじアセンブリ、51…第1の部材、52…第2の部材、53…接着剤、60…雄ねじ。